JP2004201688A - 熱不安定性デオキシリボヌクレアーゼiバリアント - Google Patents

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Abstract

【課題】ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIに比べて熱不安定性の増大したデオキシリボヌクレアーゼ、非動物宿主生物によりデオキシリボヌクレアーゼを製造するための費用効果の高い方法を提供すること。
【解決手段】ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの特定アミノ酸残基が異なるアミノ酸残基で置換され、デオキシリボヌクレアーゼI活性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアント;該バリアントをコードする塩基配列を用いる製造方法;並びに該バリアントとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードし、Pichia pastoris AOX1プロモーター又はそのプロモーターエレメントと作動可能に連結した特定の塩基配列を含み、ここで、該プレタンパク質をコードする塩基配列が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの塩基配列と融合させた染色体を有するPichia pastoris株。
【選択図】なし

Description

本発明は、非動物宿主生物における、増大した熱不安定性を有するデオキシリボヌクレアーゼの製造に関する。詳細には、本発明は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント及びそれらの製造に関する。また、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントの使用及びそれを備えるキットも提供される。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、広範な適用を有する工業製品である。分子生物学及び核酸生化学の分野においては、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、ニックトランスレーション、ランダムDNA断片の生成、デオキシリボヌクレアーゼIプロテクションアッセイ(例えば、転写因子フットプリンティング等)、インビトロ転写後のDNAテンプレートの除去、緩衝液及び高感度のPCR増幅において使用するDNAポリメラーゼ酵素調製物からのDNAの除去、RT-PCR等の適用の前のRNA試料からのDNAの除去、並びに生物学的及び/又は生化学的手法によって生成された他の調製物からのDNAの除去(非特許文献1)。従って、DNAの変性は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIによって触媒されるDNAの酵素的加水分解によって達成される。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、約30,000ダルトンの分子量及びpH7.8で至適な酵素活性を有する。ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、DNAのホスホジエステル結合であって、ピリミジンヌクレオチドに隣接する結合を優先的に加水分解し、3’位に遊離のヒドロキシル基と5’位にリン酸基とを有するDNA分子を生じる。消化限界の平均鎖長は、4ヌクレオチドである。さらに、他のデオキシリボヌクレアーゼと同様に、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、二価の金属イオンによって活性化される。最大の活性化は、Mg2+及びCa2+を用いて得られる。金属基質(例えば、DNAのマグネシウム塩等)が必要である。クエン酸塩は、マグネシウム活性化デオキシリボヌクレアーゼIを完全に阻害するが、マンガン活性化デオキシリボヌクレアーゼIを阻害しない。デオキシリボヌクレアーゼIは、EDTA等のキレート化剤によって及びドデシル硫酸ナトリウムによって阻害される(非特許文献1)。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIを不活性化する、すなわち、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIタンパク質の1mgあたり約0単位まで、デオキシリボヌクレアーゼ活性を低下させる好ましい方法は、熱処理である(非特許文献2)。しかし、膵臓組織から調製された従来のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、実質的に熱安定性である。例えば、95℃で30分間の加熱インキュベーション後、デオキシリボヌクレアーゼ活性は残存しており、インキュベーション温度が一旦低下してもなお、再度上昇するであろう(非特許文献3)。ウシ膵臓ウイルスデオキシリボヌクレアーゼI含有試料中のMgCl2の濃度を、6mMに増大した場合、不可逆的な熱不活性化は、95℃で達成され得る(非特許文献4)。熱処理は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI含有試料中に含まれ得る他の物質、例えば、RNA又はタンパク質については潜在的に有害である。従って、低い不活性化温度が所望される。
本発明者らの知識によれば、熱不安定性が増大しているウシデオキシリボヌクレアーゼは、今までに知られていない。増大した熱不安定性を有するデオキシリボヌクレアーゼを同定する試みが、他の生物において行われてきた。デオキシリボヌクレアーゼのための可能性のある代替的供給源は、エビ(shrimp)である。エビデオキシリボヌクレアーゼIは、Penaeus japonicusから精製され、より詳細に特徴付けられた(非特許文献5)。しかし、エビデオキシリボヌクレアーゼIは、ヌクレアーゼ、すなわち、DNAとRNAとの両方を加水分解することができる酵素とは進化的に遠縁であることが見出された。従って、Penaeus japonicus由来のエビデオキシリボヌクレアーゼIは、また、リボヌクレアーゼ活性を有することが、実験によって示された。対照的に、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIにおいては、リボヌクレアーゼ活性は検出されなかった。
特許文献1は、別のエビ種、すなわち、Pandalus borealis由来のデオキシリボヌクレアーゼを記載する。Pandalus borealis由来のデオキシリボヌクレアーゼは、熱不安定性の増大によって特徴付けられる。このデオキシリボヌクレアーゼは、例えば、エビ漁業の副産物であるエビを処理した水から、精製され得る。この明細書によれば、精製されたエビデオキシリボヌクレアーゼは、94℃で2分間のインキュベーションによって不活性化され得る。この明細書は、RT-PCR、すなわち、第1のテンプレートとしてRNAを用いるポリメラーゼ連鎖反応について述べているが、この明細書は、Pandalus borealis デオキシリボヌクレアーゼIのなんらかの可能性のあるリボヌクレアーゼ活性については全く黙している。RT-PCR実験におけるPandalus borealis由来のデオキシリボヌクレアーゼの適用についての例は示されていない。さらに、Pandalus borealisデオキシリボヌクレアーゼIの実際のアミノ酸配列及びこの供給源(これから、熱不安定性が増大したデオキシリボヌクレアーゼが精製された)の種同質性に関するデータは提供されていない。
デオキシリボヌクレアーゼであって、当該分野で公知の特に熱不安定性が増大したデオキシリボヌクレアーゼは、特定の不利な点がある。本発明は、熱不安定性の増大した改善されたデオキシリボヌクレアーゼを提供する。本発明の改善されたデオキシリボヌクレアーゼは、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの、アミノ酸置換によるバリアントである。さらに、このバリアントは、あらゆる検出可能なリボヌクレアーゼ活性を欠く。
米国特許出願2002/0042052 A1 Sambrook、Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001) Alberts, B., Johnson, A., Lewis, J., Raff, M., Roberts, K. Walter, P.(編), Molecular Biology of the Cell, 第4版, 2002, Garland Science Publishing Hanaki K.ら、Biotechniques 29(2000)38-42 Bicklerら、Biotechniques 13(1992)64-66 Wang W. Y.ら、Biochem J. 346(2000)799-804)
本発明は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIに比べて熱不安定性の増大したデオキシリボヌクレアーゼを提供することを目的とする。95℃未満の温度で不活性化され得るデオキシリボヌクレアーゼを提供することが、本発明のさらなる目的である。いかなる検出可能なリボヌクレアーゼ活性もないデオキシリボヌクレアーゼを提供することが、本発明のさらなる目的である。非動物の宿主生物によって合成された組換えタンパク質としてデオキシリボヌクレアーゼを製造するための費用効果の高い方法を提供することが本発明のさらなる目的である。本発明の別の目的は、細胞又は培地成分からのデオキシリボヌクレアーゼの分離を容易にし、かつ促進する発現系を提供することである。本発明のなお別の目的は、製造手法が、費用効果の高い工業的プロセスに向けた大規模化を行ないやすくすることである。
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 配列番号:2の260アミノ酸ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのN末端から番号付けして、Cys173、Cys101、Cys104、Lys117、Arg185、Arg187、Ile3、Phe82及びPhe128からなる群より選ばれたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸残基の少なくとも1つであるアミノ酸残基について、少なくとも1つの異なるアミノ酸残基で置換して、デオキシリボヌクレアーゼI活性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI バリアントを形成させたものである、アミノ酸置換によるウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔2〕 異なるアミノ酸残基でCys173を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔3〕 異なるアミノ酸残基でCys101を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕又は〔2〕記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔4〕 異なるアミノ酸残基でCys104を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔5〕 異なるアミノ酸残基でLys117を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Asp、Glu、Asn、Gln及びIleからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔6〕 異なるアミノ酸残基でArg185を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、His、Ala、Asn及びGlnからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔5〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔7〕 異なるアミノ酸残基でArg187を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、His、Ala、Asn及びGlnからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔6〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔8〕 異なるアミノ酸残基でIle3を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔7〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔9〕 異なるアミノ酸残基でPhe82を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Asn、Gln及びIleからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔8〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔10〕 異なるアミノ酸残基でPhe128を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Asn、Gln及びIleからなる群より選ばれたものである、前記〔1〕〜〔9〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔11〕 ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを95℃未満で約5分間加熱した後、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼI比活性が、1mgタンパク質あたり約0単位である、前記〔1〕〜〔10〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔12〕 (a)ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列を含有したベクターを供給する工程、
(b)前記(a)のベクターを用いて微生物宿主株を形質転換する工程、
(c)栄養素を含む増殖培地中で、前記(b)で得られた形質転換微生物宿主株を培養し、それにより、該微生物宿主株が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを発現する工程、及び
(d)微生物宿主株及び/又は増殖培地からウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを精製する工程
を含む、前記〔1〕〜〔11〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの製造方法、
〔13〕 ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列が、配列番号:3である、前記〔12〕記載の方法、
〔14〕 (a)ベクターは、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードする塩基配列を含有し、
(b)微生物宿主株は、メチロトローフ酵母株であり、
(c)増殖培地は、炭素源としてメタノールを含み、
(d)メチロトローフ酵母株は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを発現し、分泌し、
(e)ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントは、増殖培地から精製される
ものである、前記〔12〕又は〔13〕記載の方法、
〔15〕 シグナルペプチドが、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの1番目のアミノ酸に直接隣接して位置するシグナルペプチダーゼ切断部位を含む、前記〔14〕記載の方法、
〔16〕 発現されたプレタンパク質のアミノ酸配列が、(a)配列番号:8、
(b)配列番号:9、及び
(c)配列番号:10
からなる群より選ばれたものである、前記〔14〕又は〔15〕記載の方法、
〔17〕 ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列が、配列番号:3である、前記〔14〕〜〔16〕いずれか1項に記載の方法、
〔18〕 プレタンパク質をコードする塩基配列が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列に融合したシグナルペプチドをコードする塩基配列からなるものである、前記〔14〕〜〔17〕いずれか1項に記載の方法、
〔19〕 シグナルペプチドをコードする塩基配列が、
(a)配列番号:5、
(b)配列番号:6、及び
(c)配列番号:7
からなる群より選ばれたものである、前記〔14〕〜〔18〕いずれか1項に記載の方法、
〔20〕 プレタンパク質をコードする塩基配列が、プロモーター又はプロモーターエレメントに作動可能に連結されたものである、前記〔14〕〜〔19〕いずれか1項に記載の方法、
〔21〕 メチロトローフ酵母株が、Hansenula、Pichia、Candida及びTorulopsis種からなる群より選ばれたものである、前記〔14〕〜〔20〕いずれか1項に記載の方法、
〔22〕 メチロトローフ酵母株が、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Candida boidinii及びTorulopsis glabrataからなる群より選ばれたものである、前記〔21〕記載の方法、
〔23〕 メチロトローフ酵母株が、アメリカンタイプカルチャーコレクションアクセッション番号76273のPichia pastoris又はその誘導体である、前記〔22〕記載の方法、
〔24〕 ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードし、配列番号:11のPichia pastoris AOX1プロモーター又はそのプロモーターエレメントと作動可能に連結した塩基配列を含み、ここで、該プレタンパク質をコードする塩基配列が、配列番号:3と融合した配列番号:6又は7である染色体を有するPichia pastoris株、
〔25〕 前記〔12〕〜〔23〕いずれか1項に記載の方法により得られうる、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント、
〔26〕 DNAを加水分解し、ついで、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼI比活性を、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを、95℃未満の温度で約5分間加熱することにより1mgのタンパク質あたり約0まで減少させるための、前記〔1〕〜〔11〕及び前記〔25〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの使用、
〔27〕 ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを約70℃の温度で1mgのタンパク質あたり約0まで減少させるための、約5分間加熱することによりウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼI比活性が、前記〔26記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの使用、
〔28〕 前記〔1〕〜〔11〕及び前記〔25〕いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントと、二価カチオンを含有した反応緩衝液とを含んでなる、パーツのキット、並びに
〔29〕 ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントが、2mM Tris-HCl、2mM MgCl2、4mM CaCl2、50%グリセロール、pH7.6並びに100mM Tris-HCl pH7.5、100mM MgCl2及び10mM ジチオエリスリトールを含む10倍濃縮反応液を含む緩衝液に溶解されたものである、前記〔28〕記載のパーツのキット、
に関する。
本発明のデオキシリボヌクレアーゼによれば、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIに比べて熱不安定性が増大されているという優れた効果を奏する。また、本発明のデオキシリボヌクレアーゼによれば、95℃未満の温度で不活性化され得るという優れた効果を奏する。さらに本発明によれば、いかなる検出可能なリボヌクレアーゼ活性もないデオキシリボヌクレアーゼが提供される。本発明のデオキシリボヌクレアーゼの製造方法によれば、非動物の宿主生物によって合成された組換えタンパク質としてデオキシリボヌクレアーゼを高い費用効果の製造することができ、費用効果の高い工業的プロセスに向けた大規模化が容易になるという優れた効果を奏する。本発明の発現系によれば、細胞又は培地成分からのデオキシリボヌクレアーゼの分離を容易にし、かつ促進することができるという優れた効果を奏する。
本明細書において、「ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント」、「バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI」及び「ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアント」という用語は、同義に用いられる。それらの用語は、バリアントであるタンパク質、すなわち、アミノ酸置換によって生成された対立遺伝子型の成熟ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIタンパク質を意味する。
本明細書において記載されるウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントを簡略に表記するために、番号は、配列番号:1に示される推定の成熟ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸配列にそって、アミノ酸残基/位置をいうことを意味する。アミノ酸の識別表示には、アミノ酸の三文字表記及び1文字のアルファベット表記を用いる。すなわち、Asp D アスパラギン酸、Ile I イソロイシン、Thr T スレオニン、Leu L ロイシン、Ser S セリン、Tyr Y チロシン、Glu E グルタミン酸、Phe F フェニルアラニン、Pro P プロリン、His H ヒスチジン、Gly G グリシン、Lys K リジン、Ala A アラニン、Arg R アルギニン、Cys C システイン、Trp W トリプトファン、Val V バリン、Gln Q グルタミン、Met M メチオニン、Asn N アスパラギン。アミノ酸配列中の特定の位置におけるあるアミノ酸は、その三文字略記と番号によって示される。例えば、「Cys101」は、配列番号:1における101位のアミノ酸のシステイン残基を意味する。異なるアミノ酸によるアミノ酸残基の置換は、三文字表記を、その位置を示す番号の後ろに加えて示される。例えば、「Cys101Ala」は、配列番号:1における101位での、AlaによるCysの置換を意味する。
「熱不安定性(thermolabile)」という用語は、例えば、デオキシリボヌクレアーゼ酵素の不活性状態又は活性が乏しい状態であって、実施例11と同様にアッセイされた、許容されない温度によって生じる状態を意味する。従って、第1の参照デオキシリボヌクレアーゼに比べて、熱不安定性が増大した第2のデオキシリボヌクレアーゼは、より低い非許容温度によって特徴付けられる。
デオキシリボヌクレアーゼ活性を定量化する場合、本明細書では、「単位」(U)を適用する。従って、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI及びそのバリアントのヌクレオチド分解活性(nucleolytic activity)は、Kunitz(Kunitz, M., J. Gen. Physiol. 33(1950)349-62及び363)によって公開されたアッセイと類似の光度測定アッセイを用いて定量される。所定の調製物の「デオキシリボヌクレアーゼ比活性」又は「比活性」は、実施例11に詳細に記載される方法によって決定された調製物中のタンパク質1mgあたりの単位として定義される。
「メチロトローフ酵母」とは、炭素供給源としてメタノールを利用することができる酵母として定義される。この用語は、また、その実験株を含む。メチロトローフ酵母株が栄養要求性であり、例えば、ヒスチジンを合成できないメチロトローフ酵母株の場合、このアミノ酸等の補助的な炭素含有物質を、十分な量で補充する必要があり、この補助物質は、炭素源ではなく栄養源とみなされる。
「ベクター」は、本発明のDNA断片を含有、すなわち、保持し、かつ維持することができるDNAとして定義され、例えば、ファージ、プラスミド等が挙げられる。これらの用語は、遺伝子工学の当業者によって理解される。「発現カセット」という用語は、プロモーター及びターミネーターに対して作動可能に連結された、プレタンパク質をコードする塩基配列を意味する。発現カセットを含むベクターに関しては、「ベクター」及び「発現ベクター」という用語が同義語として用いられる。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、100ヌクレオチド長未満である核酸分子、DNA(又はRNA)について用いられる。
「形質転換」とは、DNAが染色体外エレメントとして又は染色体組み込みにより複製し得るように、生物、すなわち宿主生物にDNAを導入することを意味する。
「発現」という用語及び「発現する」という動詞は、プレタンパク質を生じる、すなわち、翻訳後プロセシングを含まない、宿主生物におけるDNA配列の転写及び/又は転写されたmRNAの翻訳を意味する。
核酸若しくはその相補体の少なくとも一部が直接翻訳されてペプチド若しくはタンパク質のアミノ酸配列を提供することができる場合又はこの単離された核酸が、単独で、若しくは発現ベクターの一部として用いられて、インビトロで、原核生物の宿主細胞中で、若しくは真核生物宿主細胞中で、ペプチド若しくはタンパク質を発現することができる場合、塩基配列は、該ペプチド若しくはタンパク質を「コード」する。
「プロモーター」は、転写を刺激する調節塩基配列である。これらの用語は、遺伝子工学の当業者によって理解される。プロモーターと同様に、「プロモーターエレメント」は、転写を刺激するが、より大きいプロモーター配列のサブ断片を構成する。
「作動可能に連結された」という用語は、一つのベクター上の2以上の核酸断片の会合であって、一方の機能が、他方によって影響されるような会合をいう。例えば、プロモーターが、コード配列、すなわち、タンパク質又はプレタンパク質をコードする塩基配列の発現に影響し得る、すなわち、該コード配列が、該プロモーターの転写制御下にある場合、該プロモーターは、該コード配列と作動可能に連結される。
「ポリペプチド」又は「タンパク質」という用語は、ペプチド結合によって連結された90個を超えるアミノ酸モノマーから構成されるポリマーを意味する。「ペプチド」という用語は、ペプチド結合によって連結された90個以下のアミノ酸モノマーから構成されるオリゴマーを意味する。「ペプチド結合」とは、1つのアミノ酸のα-アミノ基が、他のアミノ酸のα-カルボキシル基に結合されている、2つのアミノ酸の間の共有結合である。
「プレタンパク質」又は「プレタンパク質型」という用語は、成熟タンパク質の前駆体である一次翻訳産物を意味し、すなわち、この場合、タンパク質は、プレタンパク質の翻訳後プロセシングにより生じる。
「翻訳後プロセシング」という用語は、細胞区画又は細胞外区画において成熟タンパク質を生じるために、プレタンパク質が供される修飾(改変)工程を意味する。
「シグナルペプチド」とは、プレタンパク質型の分泌可能なタンパク質に存在するアミノ酸の切断可能なシグナル配列である。細胞膜を横切って輸送される、すなわち、「分泌される」タンパク質は、代表的には、疎水性アミノ酸に富み、代表的には、約15〜30アミノ酸長のN末端配列を有する。時々、膜を通過するプロセスの間に、シグナル配列は、シグナルペプチダーゼによって切断される(Alberts, B., Johnson, A., Lewis, J., Raff, M., Roberts, K., Walter, P.(編), Molecular Biology of the Cell, 第4版, 2002, Garland Science Publishing)。シグナルペプチドの多くの供給源は、当業者に周知であり、例えば、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドのアミノ酸配列等が挙げられ得る。別の例は、ネイティブのウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドである。一般的に、本質的に任意の分泌タンパク質のプレタンパク質N末端は、本発明における使用に適切なシグナルペプチドの可能性のある供給源である。シグナルペプチドは、また、プレタンパク質を第1及び第2の細胞区画に対して指向させる2つのシグナルペプチドを含有する二部構成(bipartite)であってもよい。二部構成のシグナルペプチドは、分泌経路の経過の間に、段階的に切断される。それに関する具体例は、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子のプレプロペプチドである(Watersら、J. Biol. Chem. 263(1988)6209-6214)。
N末端シグナルペプチドを有するプレタンパク質は、「分泌経路」に入るように指向される。この分泌経路は、翻訳後プロセシングの過程を含み、最終的には、タンパク質の分泌をもたらす。グリコシル化及びジスルフィド結合の形成は、分泌の前の分泌経路の一部であるプロセスである。本明細書においては、メチロトローフ酵母株によって分泌されるタンパク質は、この分泌経路を通過することが理解される。
驚くべきことに、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの熱不安定性が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸配列における特定の位置でのアミノ酸置換によって特異的に増大され得ることが発見された。熱不安定性の特異的増大とは、同時に酵素活性が保存されること、すなわち、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのこのようなバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ活性は完全なまま残っているが、ただし低下したレベルであることを意味する。
本発明によれば、熱不安定性の増大したデオキシリボヌクレアーゼとは、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの、アミノ酸置換によるバリアントであり、デオキシリボヌクレアーゼ活性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントを形成するために、少なくとも1つの異なるアミノ酸で1つのアミノ酸残基、すなわち、配列番号:1による260個のアミノ酸のウシデオキシリボヌクレアーゼIのN末端から番号付けて、Cys173、Cys101、Cys104、Lys117、Arg185、Arg187、Ile3、Phe82及びPhe128からなる群より選択されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸残基の少なくとも1つを置換する。さらに、本発明によれば、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、95℃未満の温度、すなわち、94℃〜70℃での5分間のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの加熱後に、タンパク質1mgあたり約0単位である。さらに、本発明によれば、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントは、測定可能なリボヌクレアーゼ活性を有さない。
2Åの解像度でのウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの結晶構造〔Suck, Dら、Nature 332(1988)464-468; Lahm, A. & Suck, D., J. Mol. Biol. 221(1991)645-667〕に基づいて、成熟アミノ酸配列、すなわち、分泌されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIにおける位置を、アミノ酸置換の潜在的な標的として同定した。アミノ酸置換は、好ましくは分子内相互作用に関与しているアミノ酸が位置している位置において、考慮される。この観点に関連のあるアミノ酸は、一般には以下である:(a)静電気力によって第2のアミノ酸残基と相互作用する第1のアミノ酸残基、(b)ファンデルワールス力によって、第2のアミノ酸残基と相互作用する第1のアミノ酸残基、(c)同じ二価の金属イオンと相互作用する第1のアミノ酸残基及び第2のアミノ酸残基、(d)ジスルフィド結合によって結合される第1のシステイン残基及び第2のシステイン残基。さらに、DNAと相互作用するドメインから離れて配置されたアミノ酸は、置換になおさらに好適であると考えられる。
当業者は、タンパク質中の1つ以上のアミノ酸残基を置換する方法を熟知する。本発明のために、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする合成塩基配列を合成して、微生物宿主の生物において発現させた。しかし、好ましい方法は、メチロトローフ酵母株によって発現され、かつ分泌されるウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを合成することであった。このストラテジーを用いれば、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを特徴付けるための引き続くステップは、さらに効果的に実施され得る(実施例1〜6を参照のこと)。
生成されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを、参照物、すなわち、アミノ酸置換の出発点として用いた野生型ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIに対して比較した。2つのパラメーター(熱不安定性及びデオキシリボヌクレアーゼの比活性)を比較した。熱不安定性の増大と十分な残存デオキシリボヌクレアーゼ活性との組み合わせを示すウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントが望まれた。熱不安定性に関して、95℃未満、すなわち、94℃〜70℃の温度での5分間の熱インキュベーションによってウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを不活性化することが望まれた。デオキシリボヌクレアーゼ酵素活性に関しては、比活性、すなわち、タンパク質の1mgあたりのデオキシリボヌクレアーゼ活性が、野生型レベルの50%を超える場合に、野生型レベルの比活性よりも低い活性が、受容されるとみなされた。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸配列において、アミノ酸残基:Cys173、Cys101、Cys104、Lys117、Arg185、Arg187、Ile3、Phe82及びPhe128は、所望の特性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを得るために、異なるアミノ酸で置換されうることが見出された。特定のアミノ酸置換を、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの二重変異体バリアント又は三重変異バリアント中において組み合わせて、それによりさらに熱不安定性を増大させる。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントは、好ましくは、細菌、真菌等の微生物宿主生物において、異種タンパク質として生成された。当業者は、いくつか例を挙げると、E. coli、Bacillus及びStaphylococcus種等の種々の原核生物宿主に存在する細菌発現系を熟知している。さらにより好ましい微生物宿主生物は、真菌である。好ましい真菌の属の例は、Aspergillusである。なおより好ましくは、Saccharomyces属又はSchizosaccharomyces属の種等の酵母種である。なお、それより好ましくは、メチロトローフ酵母種の株である。
メチロトローフ酵母は、メタノール利用に必要な生化学的経路を有し、細胞の形態及び増殖の特徴に基づいて、4つの属:Hansenula、Pichia、Candida及びTorulopsisに分類される。最も高度に発達したメチロトローフ宿主系は、Pichia pastoris(Komagataella pastoris)及びHansenula polymorpha(Pichia angusta)を利用する。
酵母における異種タンパク質の発現は、US5,618,676、US5,854,018、US5,856,123及びUS5,919,651に記載される。
酵母生物は、細胞内で合成されるが、細胞の外側で機能を有する多数のタンパク質を生成する。これらの細胞外タンパク質は、分泌タンパク質と呼ばれる。最初に、分泌されたタンパク質は、小胞体の膜を横切る細胞の分泌経路への発現産物の効率的な指向を確実にするN末端シグナルペプチドを含む、前駆体又はプレタンパク質の形態で、細胞の内側で発現される。シグナルペプチドは一般に、移行の間に所望の産物から切り離される。切断は、シグナルペプチダーゼによってタンパク質分解的に行なわれる。シグナルペプチドのアミノ酸の特定の小配列は、シグナルペプチダーゼによって認識され、切断される。このサブ配列は、シグナルペプチダーゼ切断部位と呼ばれる。一旦分泌経路に入れば、タンパク質は、ゴルジ装置に輸送される。ゴルジ装置から、タンパク質は、原形質膜、リソソーム及び分泌小胞に分配される。
分泌されたタンパク質は、細胞内タンパク質とは対照的に、異なる環境条件に直面させられる。分泌経路のプロセスの一部は、細胞外タンパク質の成熟を安定化させることである。従って、酵母の分泌経路を通過させられるプレタンパク質は、特定の翻訳後プロセシングを受ける。例えば、プロセシングは、分子内の架橋を形成する、ジスルフィド結合の生成を含み得る。さらにタンパク質の特定のアミノ酸が、グリコシル化され得る。
酵母に対して異種であるタンパク質の酵母における発現及び分泌のためのいくつかのアプローチが示唆されている。EP0116201は、酵母に対して異種のタンパク質が、所望のタンパク質とシグナルペプチドとシグナルペプチダーゼ切断部位として作用するペプチドをコードするDNAを保持する発現ベクターによって形質転換されるプロセスを記載する。形質転換された生物の培養物は、調製されかつ増殖させ、タンパク質が、培養培地から回収される。酵母細胞における使用のために、適切なシグナルペプチドは、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドであることが見出されている(US4,870,008)。
本発明が行われる場合、驚くべきことに、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドも、メチロトローフ酵母の分泌経路に対してプレタンパク質を指向させるのに十分であることが発見された。従って、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを用いて、メチロトローフ酵母において、異種遺伝子産物を発現させ、分泌させることができる。
分泌の間、酵母の酵素KEX-2は、プレタンパク質におけるその切断部位としてリジン−アルギニンを認識するシグナルペプチダーゼである。KEX-2は、所望のタンパク質の配列に対する接合部で切断する。結果として、所望の遺伝子産物が遊離され、リーダー部分、すなわち、プレタンパク質のシグナルペプチドを有さない。KEX-2エンドプロテアーゼは、もともと、Saccharomyces酵母において特徴付けられ、ここで、このプロテアーゼは、接合型のα因子及びキラー因子の前駆体を特異的にプロセシングする(Julius, D.,ら、Cell 37(1984)1075-1089)。Pichia pastoris等のメチロトローフ酵母種は、Saccharomyces cerevisiaeと、KEX-2型のプロテアーゼ(類似の役割及び機能)を共有する(Werten, M. W.ら、Yeast 15(1999)1087-1096)。
高レベルの組換えタンパク質発現のための宿主として例示的に記載された十分確立されたメチロトローフ酵母種は、Pichia pastorisである(US4,683,293、US4,808,537、US4,812,405、US4,818,700、US4,837,148、US4,855,231、US4,857,467、US4,879,231、US4,882,279、US4,885,242、US4,895,800、US4,929,555、US5,002,876、US5,004,688、US5,032,516、US5,122,465、US5,135,868、US5,166,329、WO00/56903)。グルコースの非存在下で、Pichia pastorisは、炭素源としてメタノールを用いるが、これは、同時にメチロトローフ生物の特徴である。配列番号:11に示されるアルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターは、メタノール代謝の最初の段階を触媒する、アルコールオキシダーゼの発現を制御する。代表的には、メタノール誘導細胞における総可溶性タンパク質の30%がアルコールオキシダーゼである。いくつかのPichia発現ベクターは、AOX1プロモーターを保持し、メタノールを用いて、所望の異種タンパク質の高レベル発現を誘導する。発現構築物は、また、Pichia pastorisゲノム中に組み込まれて、形質転換された遺伝的に安定な宿主を生じる。
所望の産物を、分泌されたタンパク質を精製することができる増殖培地中に分泌させるために、シグナルペプチド又はシグナルペプチダーゼ切断部位を有するシグナルペプチドび所望のタンパク質を含む異種プレタンパク質をコードする発現ベクターを用いて、Pichia pastoris株等のメチロトローフ酵母株は、操作されうる。実質的に異なるコドン使用頻度を有するプレタンパク質をコードする塩基配列を生成することが有利であろう。特定のコドンが宿主によって利用される頻度によって、特定の酵母発現宿主においてプレタンパク質の発現が生じる速度を増大するように、コドンを選択することができる。コードされるアミノ酸配列を変えることなく、プレタンパク質をコードする塩基配列を実質的に変える他の理由としては、天然に生じる配列から生成されたRNA転写物よりも、より所望される特性、例えば、より長い半減期等を有するRNA転写物の生成が挙げられる。
例えば、プロモーター又はプロモーターエレメントに対して及びターミネーター又はターミネーターエレメントに対して、並びに効率的な翻訳に必要な配列に対して作動可能に連結された)プレタンパク質をコードする塩基配列を含む発現に適したベクターを用いて、宿主生物をベクターで形質転換し、形質転換体を選択する。ついで、増殖培地中に分泌された組換えタンパク質の量に関して、形質転換体を分析する。酵素的に活性な組換えタンパク質の最高量を分泌する形質転換体を選択する。このように、デオキシリボヌクレアーゼ活性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを分泌する形質転換体を選択する。
一方で、発現収率は、例えば、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチド等のシグナルペプチド又はネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドによる、分泌経路への所望の産物の適切な標的化に依存する。他方では、発現量は、所望の産物をコードする遺伝子の量(dosage)を増大させることによって増大させることができる。これによって、宿主生物における発現構築物、すなわち、発現ベクター又は発現カセットのコピー数を増幅する。これを達成するための1つの方法は、所望の産物をコードする発現ベクターの多重形質転換による。別の方法は、第1及び第2の発現ベクターを用いて、所望の産物をコードする遺伝子を宿主生物中に導入することであり、ここで、第2の発現ベクターは、第1の発現ベクター中で用いられる選択マーカーとは異なる選択マーカーに基づく。宿主生物が第1の発現ベクターの多コピーを既に保持する場合、同じ所望の産物をコードする第2の発現ベクターをさらに導入できる(US5,324,639, Thill, G. P.ら、Positive and Negative Effects of Multi-Copy Integrated Expression in Pichia Pastoris, International Symposium on the Genetics of Microoganisms 2(1990)477-490, Vedvick, Tら、J. Ind. Microbiol. 7(1991)197-201, Werten, M. W.ら、Yeast 15(1999)1087-1096)。
増殖培地へのウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの発現されたバリアントの分泌は、成熟組換えタンパク質を細胞質外空間へと指向させ、ここからこのタンパク質は増殖培地中へ拡散する。従って、液体培養中において増殖した形質転換メチロトローフ酵母は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントを、液体増殖培地中に、すなわち、液体培養培地中に分泌する。これによって、例えば、濾過技術を用いる、組換えタンパク質からの酵母バイオマスの非常に有効な分離が可能になる。結果として、この供給源から精製されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントは、リボヌクレアーゼ活性又はプロテアーゼ活性等の他の酵素活性から非常に効率的に分類される。
従って、本発明の第1の好ましい態様は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸置換によるバリアントであり、ここでは、デオキシリボヌクレアーゼ活性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントを形成するために、少なくとも1つの異なるアミノ酸が、アミノ酸残基、すなわち、配列番号:1による260アミノ酸のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのN末端から番号付けて、Cys173、Cys101、Cys104、Lys117、Arg185、Arg187、Ile3、Phe82及びPhe128からなる群より選択されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼのアミノ酸残基の少なくとも1つで置換されている。
本発明の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がCys173を置換する場合、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がCys101を置換する場合、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がCys104を置換する場合、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がLys117を置換する場合、Asp、Glu、Asn、Gln及びIleからなる群より選択される。本発明の別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がArg185を置換する場合、His、Ala、Asn及びGlnからなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がArg187を置換する場合、His、Ala、Asn及びGlnからなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がIle3を置換する場合、Ala、Ser、Thr、Gly及びValからなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がPhe82を置換する場合、Asn、Gln及びIleからなる群より選択される。本発明の別の非常に好ましい態様において、異なるアミノ酸は、異なるアミノ酸がPhe128を置換する場合、Asn、Gln及びIleからなる群より選択される。
本発明の別の好ましい態様において、2つの異なるアミノ酸が、2つのアミノ酸残基を置換し、ここで、第1の異なるアミノ酸が、Cys101を置換するAlaであり、第2の異なるアミノ酸が、Cys104を置換するAlaである。本発明のなお別の好ましい態様において、2つの異なるアミノ酸が、2つのアミノ酸残基を置換し、ここで、第1の異なるアミノ酸が、Arg185を置換するAlaであり、第2の異なるアミノ酸が、Arg187を置換するHisである。本発明のなお別の好ましい態様において、3つの異なるアミノ酸が、3つのアミノ酸残基を置換し、ここで、第1の異なるアミノ酸が、Lys117を置換するAspであり、第2の異なるアミノ酸が、Arg185を置換するAlaであり、第3の異なるアミノ酸が、Arg187を置換するHisである。
本発明のさらに好ましい態様において、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、95℃未満の温度で約5分間、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを加熱後、タンパク質1mgあたり約0単位である。本発明の別の好ましい態様において、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、94〜71℃の温度で約5分間、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを加熱後、タンパク質1mgあたり約0単位である。本発明の別の好ましい態様においては、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、約70℃の温度で約5分間、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを加熱後、タンパク質1mgあたり約0単位である。本発明のなお別の好ましい態様においては、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの比活性の100%以下である。従って、同等の条件下で生成され、精製された場合、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、未変化のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI、すなわち、野生型形態に比べて100%以下である。本発明のなお別の好ましい態様においては、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの活性に比べて少なくとも50%である。従って、同等の条件下で生成され、精製された場合、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性は、未変化のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI、すなわち野生型形態に比べて低下している。
本発明の別の好ましい態様は、
(a)ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列を含有したベクターを供給する工程、
(b)前記(a)のベクターを用いて微生物宿主株を形質転換する工程、
(c)栄養素を含む増殖培地中で、前記(b)で得られた形質転換微生物宿主株を培養し、それにより、該微生物宿主株が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを発現する工程及び
(d)微生物宿主株及び/又は増殖培地からウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを精製する工程
を含む、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの製造方法である。
異種タンパク質の翻訳効率は、宿主生物において、好ましいコドンに従って、異種タンパク質をコードする塩基配列のコドンを適応させることによって改善され得る。従って、本発明の非常に好ましい態様において、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列は、配列番号:3である。
本発明のなおさらに好ましい態様において、(a)ベクターは、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードする塩基配列を含有し、(b)微生物宿主株は、メチロトローフ酵母株であり、(c)増殖培地は、炭素源としてメタノールを含み、(d)メチロトローフ酵母株は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを発現し、分泌し及び(e)ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントは、増殖培地から精製される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、塩基配列は、配列番号:3である。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、シグナルペプチドは、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの第1のアミノ酸に直接隣接して位置するシグナルペプチダーゼ切断部位を含む。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、発現されたプレタンパク質のアミノ酸配列は、(a)配列番号:8、(b)配列番号:9及び(c)配列番号:10からなる群より選択される。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列は、配列番号:6である。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、プレタンパク質をコードする塩基配列は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列に融合されたシグナルペプチドをコードする塩基配列からなる。本発明のなお別の非常に好ましい態様において、シグナルペプチドをコードする塩基配列は、(a)配列番号:5、(b)配列番号:6及び(c)配列番号:7からなる群より選択される。配列番号:5は、ネイティブなウシ膵臓DNaseIプレタンパク質のシグナルペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列である。配列番号:6は、ネイティブなウシ膵臓DNaseIプレタンパク質のシグナルペプチドとさらなるシグナルペプチダーゼ切断部位のアミノ酸配列とをコードする塩基配列である。配列番号:7は、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子のシグナルペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列である。このシグナルペプチドは、二部構成(bipartite)のシグナルペプチドである。
特に言及したもの以外の、酵母由来シグナルペプチド及び酵母以外に由来する真核生物シグナルペプチドが、同じ目的で用いられ得る。シグナルペプチドは、シグナルペプチダーゼによって切断され得ないが、シグナルペプチダーゼ切断ペプチドは、プレタンパク質アミノ酸配列に、すなわち、シグナルペプチドのアミノ酸配列と、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIポリペプチドのアミノ酸配列との間に挿入され得る。従って、本発明のなお別の非常に好ましい態様においては、シグナルペプチドは、ウシ膵臓タンパク質の第1のアミノ酸に直接隣接して位置するシグナルペプチダーゼ切断部位を含む。
本発明の別の好ましい態様においては、プレタンパク質をコードする塩基配列は、プロモーター又はプロモーターエレメントに作動可能に連結される。ベクターは、メチロトローフ酵母株においてエピソームとして複製され得るプラスミドであることが好ましい。メチロトローフ酵母株において複製され得る人工染色体がベクターを含むことがさらに好ましい。さらに、メチロトローフ酵母株の染色体が、ベクターを含むことが非常に好ましい。
従って、メチロトローフ酵母株、特に、Pichia pastoris株を用いる好ましい方法においては、ベクターは、分泌経路に入る、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のバリアントのアミノ酸配列をコードする。
本発明のさらなる好ましい態様では、メチロトローフ酵母株は、Hansenula、Pichia、Candida又はTorulopsis種である。メチロトローフ酵母株は、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Candida boidinii及びTorulopsis glabrataからなる群より選択されることが非常に好ましい。メチロトローフ酵母株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection)の登録番号76273を有するPichia pastoris又はその誘導体であることが、なおさらに好ましい。
本発明の別の好ましい態様は、配列番号:11のPichia pastoris AOX1プロモーター又はそのプロモーターエレメントと作動可能に連結されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードする塩基配列を含有したベクターを含む染色体を有するPichia pastoris株であり、ここで、該プレタンパク質をコードする塩基配列は、配列番号:3に融合された配列番号:6又は配列番号:7である。
当業者は、例えば、液体増殖培地等の増殖培地から獲得可能な、例えば、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント等の分泌された異種タンパク質の量が、異種タンパク質が発現され、分泌されるものであるプレタンパク質をコードする塩基配列のコピー数が増大される場合、増大され得るという事実を承知している。従って、増殖培地から獲得可能な分泌された異種タンパク質の量は、メチロトローフ酵母株のゲノムにおけるベクターのコピー数が増大される場合、増大され得る。例えば、ベクターのコピー数は、メチロトローフ酵母株を、ベクターの反復的な形質転換及びベクターに含まれる選択マーカーが耐性を付与する漸増する濃度の選択薬剤)を用いる反復的な選択ラウンドに供することによって増大され得る(US5,324,639, Thill, G. P.ら、Positive and Negative Effects of Multi-Copy Integrated Expression in Pichia pastoris,International Symposium on the Genetics of Microorganisms 2(1990)477〜490頁, Vedvick, T.ら、J. Ind. Microbiol. 7(1991)197-201)。
当業者は、また、反復的な形質転換は、2以上のベクターを用いて行なわれうるという事実を認識している。例えば、反復的な形質転換は、第1ベクター及び第2ベクターを用いて実行され得るが、ここで、第1ベクター及び第2ベクターが、同じプレタンパク質をコードし、それにより第1及び第2のベクターにおいて、プレタンパク質をコードする塩基配列が、プロモーター又はプロモーターエレメントに作動可能に連結され、それにより同じバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIが、発現され、分泌され、それにより第1及び第2のベクターが、第1及び第2の選択マーカーに対して耐性を付与することによる。
第1の選択マーカーについての例は、Sh ble遺伝子、すなわち、ZeocinTM耐性遺伝子である、(Drocourt, D.,ら、Nucleic Acids Res. 18(1990)4009;Carmels, T.ら、Curr. Genet. 20(1991)309-314)。Sh ble遺伝子によりコードされるタンパク質は、化学量論的に、かつ強い親和性でZeocinTMに結合する。ZeocinTMの結合は、毒性活性を阻害し、それによりSh ble遺伝子を含む形質転換体を選択する。培地中の選択薬剤としてのZeocinTMの漸増する濃度によって、Sh ble遺伝子を発現するベクターのコピー数の増大を選択することは、当業者に公知である。従って、選択マーカーとしてSh ble遺伝子を有するベクターを用いて、反復的な形質転換によって、多コピーのベクターを含むメチロトローフ酵母株の多重形質転換体を生成することが有利である。形質転換されたメチロトローフ酵母株について、ZeocinTMに対する耐性のレベルのさらなる増大がそれ以上得られなくなるまで又は選択培地中におけるZeocinTM濃度のさらなる増大の可能性がそれ以上なくなるまで、形質転換を反復すること及びなおさらに耐性の形質転換について選択を反復することがさらに有利である。
第1及び第2のベクターが用いられる場合、第2の選択マーカーの例は、G418等のアミノグリコシド抗生物質に対する耐性である(Southern, P. J.及びBerg, P.J. Mol. Appl. Genet. 1(1982)327-341)。従って、例示的な第2のベクターは、G418に対する耐性を付与する耐性遺伝子を発現する。例えば、アミノグリコシド抗生物質に対する耐性を付与する、当該分野で公知のいくつかのアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼが存在する(van Treeck, U.,ら、Antimicrob Agents Chemother. 19(1981)371-380;Beck, E.,ら、Gene 19(1982)327-336)。アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼI(APH-I)酵素は、抗生物質G418を不活性化する能力を有しており、酵母においては確立された選択マーカーである(Chen, X. J.及びFukuhara, H., Gene(1988)181-192)。
従って、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントが発現され、分泌されるものであるプレタンパク質をコードする塩基配列の投与量をさらに増大する目的で、第2のベクターは、さらなる回の形質転換及び選択のために有利に用いられ、ここで、この場合、好ましい選択薬剤は、G418であり、これによって、メチロトローフ酵母株の形質転換については、第1のベクターが用いられる。
当業者は、クロマトグラフィーによるウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの精製には精通している(Funakoshi, A.ら、J. Biochem.(Tokyo)88(1980)1113-1138;Paudel, H. K.及びLiao, T. H. J. Biol Chem. 261(1986)16006-16011;Nefsky, B.,及びBretscher, A., Eur. J. Biochem. 179(1989)215-219)。原則的には、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの精製は、適宜達成され得る。しかし、形質転換されたメチロトローフ酵母株によって増殖培地中に分泌されているウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIバリアントは、イオン交換クロマトグラフィーを用いて精製されることが好ましい。また、ヘパリンセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーからなるさらなる精製工程が非常に好ましい。このさらなる工程を用いて、当業者は、SDS-PAGEを行ない、ゲルをクマーシーブルーを用いて染色することによって試験して、約98%の純度のバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIを達成することが可能である。
本発明のなお別の好ましい態様は、上記の方法の1つによる、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントである。本発明のさらなる好ましい態様は、DNAを加水分解し、引き続いて、95℃未満の温度で約5分間のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの加熱によって、タンパク質1mgあたり約0単位までのウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性を低下させるためのウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの使用である。また、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼ比活性が、約70℃の温度で約5分間のこのウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの加熱によって、タンパク質1mgあたり約0単位まで低下することを特徴とするウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの使用である。
さらに、本発明の別の好ましい態様は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント及び二価の陽イオンを含有した反応緩衝液を含むパーツのキットである。ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントは、2mM Tris-HCl、2mM MgCl2、4mM CaCl2、50%グリセロールを含む緩衝液(pH7.6)中で溶解され、10倍濃縮反応緩衝液は、100mM Tris-HCl(pH7.5)、100mM MgCl2及び10mMジチオエリトリトールを含むことがまた好ましい。
以下の実施例、参考文献、配列表及び図面は、本発明の理解を助けるために提供されるものであり、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲に記載される。この記載された手法において、本発明の趣旨から逸脱することなく、改変がなされ得ることが理解される。
ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドをコードする塩基配列のクローニング
一般的に、Invitrogenのマニュアルである、「Pichia Expression Kit」バージョン M 011102 25-0043、「pPICZ A、B及びC」バージョン D 110801 25-0148「pPICZαA、B及びC」バージョン E 010302 25-0150及び「pPIC9K」バージョン E 030402 25-0106において示唆され、記載される方法を、適用した。そこで言及されるさらなるベクター、酵母株及び培地に対しても参照される。Sambrook, Fritsch & Maniatis,Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の基本的方法を適用した。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のネイティブなウシシグナルペプチドをコードする塩基配列を提供するため、2つの相補的な一本鎖DNAオリゴヌクレオチドを合成した。ネイティブなウシシグナルペプチドをコードする塩基のトリプレットすなわち、コドンは、メチロトローフ酵母における好ましいコドン用法に従って設計した。用いたDNAオリゴヌクレオチドは、配列番号:39及び配列番号:40に示される。アニーリングした、すなわち、二本鎖になったDNAオリゴヌクレオチドが、制限エンドヌクレアーゼSfuI及びXhoIの切断によって作成された突出末端に対して同一である末端突出を有するように、DNAオリゴヌクレオチドの5’末端を設計した。突出末端の方向は、コード鎖に対して与えられるが、ここではその5’末端にSfuI部位が位置しており、その3’末端にXhoI部位が位置しているとする。宿主生物における翻訳の効率的な開始を容易にするために、コード配列の上流に、最適なKosak配列が挿入されている。
2つのDNAオリゴヌクレオチドの各々5mgを、10mM Tris-HCl pH7.5 10mM MgCl2、50mM NaCl、1mMジチオトレイトールに溶解し、100°Cで5分間加熱し、所望されない二次構造及びイレギュラーなハイブリダイゼーション産物を分解させた。引き続き、得られた混合物を室温までゆっくりと冷却することによって、ハイブリダイゼーションを行わせた。二本鎖核酸をアガロースゲル中で分析して、SfuIとXhoIとを用いて事前に直鎖状にした発現ベクターpPICZA(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)とのライゲーション反応に直接用いた。ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドをコードする塩基配列を保持した、得られたベクターを、制限酵素消化及びアガロースゲル電気泳動並びに配列決定によって引き続いて分析した。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする合成塩基配列の変異誘発
一般的に、Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の標準的方法を適用した。以下で説明した方法は、「部位特異的変異誘発(site-directed mutagenesis)」としても公知である、非常に一般的な方法の具体的な適用である。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、部位特異的様式で変異を生成した。所望のコドン、すなわち、塩基のトリプレットを変異させるため、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする合成塩基配列のバリアント部分を代表する一対の相補的な一本鎖DNAオリゴヌクレオチドを設計して、合成した。一本鎖DNAオリゴヌクレオチドは、変異対象のトリプレット配列以外は、配列番号:1に示された配列に対して同一又は相補的であった。代表的には、DNAオリゴヌクレオチドは、約20〜45ヌクレオチドの長さを有した;変異対象のトリプレット配列又はその相補体は、それを含有したDNAオリゴヌクレオチドの中心部分に配置され、両側が約10〜12ヌクレオチドで挟まれた。このDNAオリゴヌクレオチドは、野生型ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI DNA(配列番号:1)に対するDNAオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションが、中央のミスマッチとのハイブリッドをもたらすが、このミスマッチの側面のインタクトな塩基対合(各DNAオリゴヌクレオチドの5’末端及び3’末端を含む)とはハイブリッドを生じないように、設計された。
さらに、「5’DNaseI」と命名された第1のプライマー(配列番号:12)は、配列番号:1の5’末端の21ヌクレオチドを含有し、「3’DNaseI」と命名された第2のプライマー(配列番号:13)は、配列番号:1の3’末端の25ヌクレオチドに相補的な配列を含有するものである2つの一本鎖DNAオリゴヌクレオチドプライマーが提供された。この2つのプライマーを、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むように設計された。従って、第1のプライマーと第2のプライマーとが伸長され、配列番号:1の合成塩基配列に隣接する隣接配列を含んだ。「5’DNaseI」は、XhoI部位を含み、「3’DNase I」は、NotI部位を含んだ。
野生型成熟ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIタンパク質のアミノ酸の置換によるバリアントをコードする塩基配列を、いくつかのPCRに基づく工程によって合成した。
ベクター中に挿入断片として存在した、配列番号:1による塩基配列を含む二本鎖DNAをテンプレートとして用いて、第1及び第2のPCRを行なった。挿入断片に隣接するベクター配列は、従って、PCRの間に、アニーリングされた場合に、完全にマッチする、プライマー「5’DNaseI」及び「3’DNaseI」であった。第1のPCRは、「5’DNaseI」プライマーと変異、すなわち、バリアントトリプレット配列を含有した第1の一本鎖DNAオリゴヌクレオチドとからなる1対のプライマーを用いて行われ、これによって、この2つのプライマーは、反対のテンプレートDNA鎖にアニーリングした。従って、第2のPCRは、「3’DNase I」プライマーと第1のものに相補的である第2の一本鎖DNAオリゴヌクレオチドとを用いて行われた。結果として、第1及び第2のPCRによって、2つの中間産物:ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列の5’部分及び3’部分を生成し、それにより5’部分は、3’末端に変異した配列を保持し、逆に、3’部分は、5’末端に変異した配列を保持した。
得られた2つの中間増幅産物を、アガロースゲル電気泳動によって分析して、所望の断片を切り出して、「QIAquick Gel Extraction Kit」(Qiagen, カタログ番号28704)を用いて、アガロースブロックからDNAを単離した。
2つの部分を融合するために、第3のPCRを引き続いて行なった。このために、2つの部分を1回のPCRにおいて合体させて、5回のPCRサイクルを行なった。これらのサイクルの間に、数個の全長産物が形成され、これによって、用いたアニーリング温度を、5’部分及び3’部分の重複配列について算出した。引き続いて、プライマー「5’DNaseI」及び「3’DNaseI」を、添加して、さらに25サイクルのPCRサイクルを行ない、ここで、用いるアニーリング温度は、添加されたプライマーに対応しており、より低い融点を有した。
「PCRクローニングキット−平滑末端(PCR cloning kit-blunt end)」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim;カタログ番号1939645)を用いて、変異した全長DNA断片を、引き続きクローニングベクターに挿入した。制限酵素分析及び配列決定によって、このDNA断片を確認した。次いで、XhoI及びNotIを用いた切断によって、確認したDNA断片を切り出して、同じ制限酵素で切断したPichia pastoris発現ベクターに挿入した(実施例2及び実施例4を参照のこと)。
Cys173Ala
配列番号:1において571-519位に見出される塩基トリプレット「TGC」を、「GCC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Cys173Ala」(配列番号:14)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Cys173Ala」(配列番号:15)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Cys101Ala
配列番号:1において301-303位に見出される塩基トリプレット「TGC」を、「GCC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Cys101Ala」(配列番号:16)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Cys101Ala」(配列番号:17)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Cys104Ala
配列番号:1において310-312位に見出される塩基トリプレット「TGT」を、「GCT」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Cys104Ala」(配列番号:18)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Cys104Ala」(配列番号:19)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Lys117Asp
配列番号:1において349-351位に見出される塩基トリプレット「AAA」を、「GAC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Lys117Asp」(配列番号:20)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Lys117Asp」(配列番号:21)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Arg185His
配列番号:1において553-555位に見出される塩基トリプレット「AGA」を、「CAC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Arg185His」(配列番号:22)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Arg185His」(配列番号:23)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Arg185Ala
配列番号:1において553-555位に見出される塩基トリプレット「AGA」を、「GCA」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Arg185Ala」(配列番号:24)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Arg185Ala」(配列番号:25)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Arg187His
配列番号:1において558-561位に見出される塩基トリプレット「AGA」を、「CAC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Arg187His」(配列番号:26)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Arg187His」(配列番号:27)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Arg187Ala
配列番号:1において558-561位に見出される塩基トリプレット「AGA」を、「GCA」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Arg187His」(配列番号:28)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Arg187His」(配列番号:29)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Ile3Ser
配列番号:1において7-9位に見出される塩基トリプレット「ATT」を、「TCT」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Ile3Ser」(配列番号:30)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用いた。この「5’Ile3Ser」は、「5’DNaseI」と同様の5’末端塩基配列を含有する。従って、全長産物が形成され、この場合、第2及び第3のPCRは必要なかった。
Phe82Asn
配列番号:1において244-246位に見出される塩基トリプレット「TTC」を、「AAC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Phe82Asn」(配列番号:31)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Phe82Asn」(配列番号:32)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Phe128Asn
配列番号:1において382-384位に見出される塩基トリプレット「TTC」を、「AAC」によって置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Phe128Asn」(配列番号:33)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Phe128Asn」(配列番号:34)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Cys101Ala、Cys104Ala二重変異体
配列番号:1において301-303位に見出される塩基トリプレット「TGC」を、「GCC」によって置換して、310-312位における塩基トリプレット「TGT」を、「GCT」で置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Cys101Ala、Cys104Ala」(配列番号:35)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Cys101Ala、Cys104Ala」(配列番号:36)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Arg185Ala、Arg187His二重変異体
配列番号:1において553-555位に見出される塩基トリプレット「AGA」を、「GCA」によって置換して、559-561位における塩基トリプレット「AGA」を、「CAC」で置換した。このために、第1のPCRにおいて、DNAオリゴヌクレオチド「5’Arg185Ala,Arg187His」(配列番号:37)を、プライマーとして、「3’DNaseI」と組み合わせて用い、第2のPCRにおいては、「3’Arg185Ala,Arg187His」(配列番号:38)を、プライマーとして、「5’DNaseI」と組み合わせて用いた。全長産物を生成するために、単離された中間断片を、引き続いて、第3のPCRのために用いた。
Lys117Asp、Arg185Ala、Arg187His三重変異体
Lys117Aspにおける変異を、二重変異体Arg185Ala、Arg187Hisと組み合わせた。固有のStyI切断部位は、変異部位間に位置する。従って、上記のように得られた全長産物を、StyIを用いて別々に切断して、この所望の変異体を含む断片を、アガロース電気泳動後に単離した。所望の変異体を含む断片が連結され得るように、切断した部分を合わせた。標準的な連結反応後、プライマー「5’DNaseI」と「3’DNaseI」とを用いて、トリプレット変異体全長断片を、PCRによって増幅した。トリプレット変異体全長断片を引き続いて、配列決定によって確認した。
pPICZαA由来発現ベクター及びpPICZA由来発現ベクターにおけるバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする人工DNAのクローニング
一般的に、Invitrogenのマニュアル「Pichia Expression Kit」バージョン M 011102 25-0043、「pPICZ A、B及びC」バージョン D 110801 25-0148、「pPICZαA、B及びC」バージョン E 010302 25-0150及び「pPIC9K」バージョン E 030402 25-0106において示唆され、かつ記載される方法を適用した。そこで言及されるさらなるベクター、酵母株及び培地に対しても参照される。Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の基本的方法を適用した。
PCR断片から生成されたバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードするDNA断片(実施例2を参照のこと)を、XhoIとNotI(Roche Diagnostics GmbH)とを用いて切断した。断片を、製造業者の指示に従って、「QIAquick Gel Extraction Kit」を用いて単離した。
ケース1:ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のネイティブなウシシグナルペプチドをコードする塩基配列を含んだpPICZAベクター中に、断片を連結させた。ベクターをXhoIとNotIとを用いた切断によって直鎖状にして、単離した。次いで、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードするDNA断片を挿入して連結させ、それにより、ウシシグナルペプチドをコードする塩基配列と、改変ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする塩基配列とをインフレームで融合させる。
ケース2:この断片を、pPICZαAベクター中に連結し、これによってバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする塩基配列を、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドをコードする塩基配列に対して融合させる。連結反応の前に、XhoIとNotIとを用いて、このベクターを同様に切断して、単離した。
ケース1に従うクローニング手法によって、ロイシン−グルタミン酸−リジン−アルギニンをコードするリンカー配列を、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドと、バリアントタンパク質をコードする配列との間のリーディングフレーム中に挿入した。XhoI部位(CTCGAG)によって、ロイシン−グルタミン酸配列を挿入した。リジン−アルギニン配列は、分泌経路の過程において、プレタンパク質からシグナルペプチドを切り離すために必要であるKEX-2シグナルペプチダーゼ切断部位を提示することが公知である。ケース2に従うクローニング手法によって、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドをコードする塩基配列の後に、直接的にインフレームで、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする塩基配列を挿入した。
両方のケースとも、組換えプレタンパク質をコードする塩基配列は、例えば、Pichia pastorisにおいては、メタノールによって誘導性であるP. pastoris AOX-1プロモーター(配列番号:11)の制御下であった。
20ngの直鎖状ベクター断片(1μlの容積)、100ngの切断されたPCR断片(3μl)の総容積10μl中での結合、並びにT4DNAリガーゼ(Roche Diagnostics GmbH)の存在下において、製造業者の指示に従って、16℃での一晩のインキュベーションによって、構築を達成した。引き続いて、5μlの連結調製物を用いて、総容積205μlであるコンピテントなE. coli XL1Blue細胞(Stratagene)を形質転換した。氷上での30分間のインキュベーション後、細胞を42℃で90秒間、熱ショックさせた。引き続いて、細胞を、1mL LB培地中に移して、37℃で1時間インキュベートして、選択マーカーを発現させた。アリコートを、後で、100μg/mlのZeocinを含むLBプレート上にプレートして、37℃で15時間インキュベートした。耐性クローンを拾い上げて、プラスミドを単離して(Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001)、制限分析及び配列分析によって試験した。エラー及びクローニングアーティファクトのないことが確認された構築クローンを選択した。Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチダーゼとともにバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIを保持する発現ベクターを、pDNM#-1と命名し、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドとともにバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIを保持する発現ベクターを、pDNM#-3と命名し、ここで「#」は、特定のバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする変異した塩基配列を指定する数を示す。表1は、pDNM発現ベクター及び含まれた挿入断片を列挙している。
Figure 2004201688
pPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクターを用いるPichia pastorisの形質転換
一般的に、Invitrogenのマニュアル「Pichia Expression Kit」バージョン M 011102 25-0043、「pPICZ A、B及びC」バージョン D 110801 25-0148、「pPICZαA,B及びC」バージョン E 010302 25-0150及び「pPIC9K」バージョン E 030402 25-0106において示唆され、記載される方法を、適用した。そこで言及されるさらなるベクター、酵母株及び培地に対しても参照される。Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の基本的方法を適用した。
用いた宿主株は、Pichia pastoris X-33、GS115、KM71H及びSMD1168(Invitrogen)であった。好ましい株は、X-33及びKM71Hであった。形質転換は、宿主生物のゲノムへの発現構築物の安定な組み込みを目的とした。
最初に、5mlのYPD培地(YPD=酵母 ペプトン デキストロース;Invitrogen)に、P.pastorisコロニーを接種して、30℃においてシェーカーで一晩、事前培養した。形質転換コンピテントな細胞を調製するため、100μlの事前培養物を接種材料として、200mlの新鮮なYPD培地に添加して、1.3〜1.5のOD600nmに達するまで増殖させた。細胞を、1,500×gで5分間遠心分離して、200mlの氷冷(0℃)滅菌水に再懸濁した。細胞を再度、1,500×gで5分間遠心分離して、100mlの氷冷滅菌水に再懸濁した。この細胞を、もう一度、1,500×gで5分間遠心分離して、10mlの氷冷1Mソルビトール(ICN)に再懸濁した。この方法で調製した細胞を、氷上で保持して、直ちに形質転換のために用いた。
形質転換のために用いるべき表1に示されるpPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクターを、SacI制限エンドヌクレアーゼ(Roche Diagnostics GmbH)を用いて直鎖状にし、沈殿させて、水に再懸濁した。「Gene Pulser IITM」(BioRad)を用いるエレクトロポレーションによって、形質転換を達成した。形質転換設定のために、1Mソルビトール溶液中の80μlのP.pastoris細胞を、1mgの直鎖状にした発現ベクターDNAと穏やかに混合して、氷冷キュベット中に移し、次いでこれを氷上で5分間保持した。引き続いて、キュベットをGene Pulser中に移した。エレクトロポレーションのパラメーターは、1kV、1kΩ及び25μFであった。エレクトロポレーション後、1mlの1Mソルビトール溶液をこの細胞懸濁液に添加して、引き続いて、100μg/ml ZeocinTM(Invitrogen)を含むYPDS(YPDS=酵母ペプトンデキストロースソルビトール;Invitrogen)プレート上にプレートした。ここでは、100〜150μlの細胞懸濁液が1枚のプレート上に広げられる。YPDSプレートを30℃で2〜4日間インキュベートした。酵母クローンを、格子線を引いた最小デキストロースプレート上に移した。これらのプレートからのコロニーを拾い上げて、滅菌水に別々に再懸濁した。細胞を、17.5単位のリチカーゼ(lyticase)(Roche Diagnostics GmbH)を用いて30℃で1時間消化し、その後-80℃で10分間凍結させた。PCRによって、pPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクターの各々の発現カセットの存在を確認した。「発現カセット(expression cassette)」という用語は、AOX1プロモーター及びAOX1ターミネーターに作動可能に連結された改変ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質をコードする塩基配列配列を意味し、ここで、発現カセットは、形質転換のために用いられたpPICZαA由来ベクター及びpPICZA由来ベクターそれぞれに由来する。発現カセットを含むベクターに関しては、「ベクター(vector)」及び「発現ベクター(expression vector)」という用語は同義語である。
陽性クローン、すなわち、ゲノムに安定に組み込まれた完全な発現カセットの存在についてポジティブであると試験されたクローンを、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI発現のさらなる特徴付けのために用いた。
さらに、もとのpPICZαAベクターを用いて、レシピエントのPichia pastoris X33株によって、コントロールの形質転換を行った。同様の様式で、ポジティブクローンを得て、確認した。
バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの発現及び分泌、異なるシグナルペプチドを有するプレタンパク質の分析
一般的に、Invitrogenのマニュアル「Pichia Expression Kit」バージョン M 011102 25-0043、「pPICZ A、B及びC」バージョン D 110801 25-0148、「pPICZαA、B及びC」バージョン E 010302 25-0150及び「pPIC9K」バージョン E 030402 25-0106において示唆され、かつ記載される方法を、適用した。そこで言及されるさらなるベクター、酵母株及び培地に対しても参照される。Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の基本的方法を適用した。
pPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクター(表1)を用いて形質転換した1セットの陽性クローン(通常20〜30個)を、各々3mlのBMGY培地(BMGY=緩衝化グリセロール複合培地:Invitrogen)中で、振盪培養によって一晩増殖させた。その後、各々10mlのBMMY培地(Invitrogen) pH3を含む振盪フラスコ中へそれらを継代する前に、培養物のOD600nm値を決定した。事前培養物を接種材料として用いて、各々においてOD600nmが1になった。その培養物をシェーカー上で30℃に保持した。並行して、ポジティブコントロールクローンを同じ条件下で培養した。
BMMY(BMMY=緩衝化メタノール複合培地)培地は、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする塩基配列の転写を制御するAOX-Iプロモーターの誘導因子である、メタノール(Mallinckrodt Baker B. V.)を含有する。
500μlの試料を、全部で72時間にわたって24時間間隔で、振盪フラスコから採取した。試料アリコートを除去し、培地にまた、0.5%メタノールを供給した。増殖培地の上清の試料を、デオキシリボヌクレアーゼ酵素活性について試験した。
バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの発現の分析
実施例5に記載されたように得られた試料アリコートについて、最初にOD600nmを決定した。引き続き、細胞を遠心分離によってペレット化して、上清を保存した。希釈されていない上清中において及び1:10希釈において、デオキシリボヌクレアーゼ活性を測定した。
pPICZαAベクターで形質転換されたコントロールクローンは、培地中においていかなる測定可能なデオキシリボヌクレアーゼ活性ももたらさなかったが、pPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクター(表1)で形質転換したPichia株は、増殖培地(すなわち、培養培地)中に分泌されたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの各々のバリアントに起因してデオキシリボヌクレアーゼ活性を示した。従って、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチド又はネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドのいずれかを含有した組換えプレタンパク質の発現は、デオキシリボヌクレアーゼ活性を有する活性な酵素の分泌を可能にすることが結論され得る。
分泌されたタンパク質、すなわち、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの所望のバリアントの量に関して、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを有するプレタンパク質を発現する株と、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドを有するプレタンパク質を発現する株との間に明白な相違はなかった。
多重形質転換による発現量の増大及び増大したZeocinTM濃度
一般的に、Invitrogenのマニュアル「Pichia Expression Kit」バージョン M 011102 25-0043、「pPICZ A、B及びC」バージョン D 110801 25-0148、「pPICZαA、B及びC」バージョン E 010302 25-0150及び「pPIC9K」バージョン E 030402 25-0106において示唆され、かつ記載される方法を、適用した。そこで言及されるさらなるベクター、酵母株及び培地に対しても参照される。Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の基本的方法を適用した。
上清培地に最高のデオキシリボヌクレアーゼ活性を生成することが見出された、pPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクター(表1)を用いて形質転換された酵母クローンを、前と同じ発現ベクターを用いて反復エレクトロポレーションに供した。エレクトロポレーションのための条件は、実施例4に記載されたとおりであり、ただしYPDSプレートが、ZeocinTMを増加した濃度(すなわち、1,000〜2,000μg/ml)で含んだ。各々の発現ベクターの多コピーがそのゲノム中に組み込まれている形質転換体を選択するために、抗生物質の濃度を増大させた。抗生物質に対して増大した耐性を有する酵母クローンを、格子線を引いた最小デキストロースプレート上に移した。実施例5に既に記載したとおり、事前培養物を個々の酵母クローンから作製して、実施例6に記載された増殖培地中に分泌されたデオキシリボヌクレアーゼ酵素活性を決定することによって発現を測定した。デオキシリボヌクレアーゼ活性の量の増大を生じた個々のクローンを見出した。これは、両方のタイプの組換えプレタンパク質、すなわち、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドか又はネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドのいずれかを含有したプレタンパク質を発現する酵母形質転換体について行った。各々のpPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクターで反復して形質転換されたPichia株の上清において測定したデオキシリボヌクレアーゼ活性は、平均して、1回だけの形質転換を行なった各々の前駆体株の活性に比べて2〜3倍高かった。
分泌された成熟タンパク質の量に関して、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを有するプレタンパク質を発現する株と、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドを有するプレタンパク質を発現する株との間に明白な相違はなかった。
さらなる選択圧を付与することを可能にする異なる発現ベクターの導入による発現量の増大
一般的に、Invitrogenのマニュアル「Pichia Expression Kit」バージョン M 011102 25-0043、「pPICZ A、B及びC」バージョン D 110801 25-0148、「pPICZαA、B及びC」バージョン E 010302 25-0150及び「pPIC9K」バージョン E 030402 25-0106において示唆され、かつ記載される方法を、適用した。そこで言及されるさらなるベクター、酵母株及び培地に対しても参照される。Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第3版, CSHL Press, 2001に記載等の分子生物学の基本的方法を適用した。
表1のpPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクターそれぞれから、AOX-1プロモーターの一部及び各プレタンパク質のリーディングフレームからなる各々の発現カセットを、制限エンドヌクレアーゼであるSacIとXbaI(Roche Diagnostics GmbH)とを用いて切り出した。得られた切断産物をアガロースゲル電気泳動によって分離した。発現カセットを有する単離された断片において、Klenowポリメラーゼ(Roche Diagnostics GmbH)を用いて、XbaI突出末端を平滑末端に変換した。
制限エンドヌクレアーゼSacIとNotI(Roche Diagnostics GmbH)とを用いて、ベクターpPIC9K(Invitrogen)を切断した。得られた切断産物を、アガロースゲル電気泳動によって分離した。8956bpのサイズを有する断片を、切り出して、「QIAquick Gel Extraction Kit」(Qiagen)を用いて単離した。Klenowポリメラーゼ(Roche Diagnostics GmbH)を用いて、NotI突出末端を平滑末端に変換した。表1のpPICZαA由来pDNM発現ベクター及びpPICZA由来pDNM発現ベクターから調製した発現カセットを、別々に挿入した。形質転換された細菌クローンを、100μg/mlの抗生物質であるアンピシリンを含有するLBプレート上で選択した以外は、実施例3に記載のとおり、連結、細菌形質転換及びクローニング手法を実施した。制限分析及び配列決定によってクローンを確認した。Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドを有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを保持するpPIC9K由来発現ベクターを、pDNM#-2と命名し、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを保持するpPIC9K由来発現ベクターを、pDNM#-4と命名した。ここで、「#」は、特定のバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIをコードする変異した塩基配列を指定する数を示す。表2は、pDNM発現ベクター及び含まれる挿入断片を列挙している。
Figure 2004201688
pPIC9K由来発現ベクターを用いて、抗生物質G418に対する耐性を導入した。Pichia pastorisの中でも、ゲノム中に、pPICZαA由来pDNM発現ベクター又はpPICZA由来pDNM発現ベクターの多コピーが組み込まれているZeocinTM−耐性形質転換体であって、最高量のデオキシリボヌクレアーゼ活性を増殖培地中に分泌する形質転換体を選択した。所定のpPICZαA由来pDNM発現ベクター又はpPICZA由来pDNM発現ベクターの多コピーを含むクローンを、同じ発現カセットを保持するpPIC9K由来発現ベクターで形質転換した。先に記載したように、SalI制限エンドヌクレアーゼ(Roche Diagnostics GmbH)を用いて、実施例4に記載のとおり実施した形質転換に用いるためのpPIC9K由来発現ベクターを直鎖状にした。形質転換には、各直鎖状発現ベクター 1mgを用いた。エレクトロポレーション後、細胞が抗生物質に耐性になることを可能にするために、細胞を、1〜3日間の期間、1Mソルビトール中において4℃で細胞を保持した。1、2及び4mg/mlのG418(Roche Diagnostics GmbH)を含有するYPDSプレート(Invitrogen)上に、100〜200μlの細胞懸濁液を一枚のプレート上に広げた。YPDSプレートを30℃で3〜5日間インキュベートした。酵母クローンを、格子線を引いた最小デキストロースプレート上に移した。最高のG418濃度を有するYPDSプレートに由来するクローンを優先的に移した。実施例4に記載のとおり、選択されたクローンをさらに特徴付けた。
多コピーのZeocinTM耐性を付与する発現ベクター及びG418に対する耐性を付与する発現ベクターを保持し、多重形質転換され、確認されたPichiaクローンを、増殖培地中に分泌されるデオキシリボヌクレアーゼ活性の量に関して特徴付けた。実施例5に記載のとおりアッセイを実施した。pPICZαA由来pDNM発現ベクター又はpPICZA由来pDNM発現ベクター及びpPIC9K由来発現ベクターの両方の発現を保持する多重形質転換クローンを同定した。このクローンは前駆体クローンよりも高いレベルの分泌されたデオキシリボヌクレアーゼ酵素活性を産生する。pPICZαA由来pDNM発現ベクター又はpPICZA由来pDNM発現ベクター及びpPIC9K由来発現ベクターの両方を用いて形質転換された培養物の上清において測定したデオキシリボヌクレアーゼ活性は、平均して、一回だけの形質転換を受けた各前駆体株と比べた場合、約4倍高いことが見出された。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの分泌されたバリアントの量に関して、ネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを含むプレタンパク質を発現する株と、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドを含むプレタンパク質を発現する株との間に明白な相違はなかった。
液体培養上清からのバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの精製
濾過又は遠心分離によって、増殖培地の上清からバイオマスを取り出した。陽イオン交換体を用いるイオン交換クロマトグラフィーによって、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIを引き続き精製した。陽イオン交換体への結合は、pHが5.0であり、かつ20mMの酢酸Ca2+を含む結合緩衝液を用いて生じた。結合緩衝液を用いて繰り返し固相を洗浄することによって、他のタンパク質及び不純物を除去し、これにより、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIは、固相、すなわち陽イオン交換体によって結合されたまま残った。pHが5.0であり、かつ0.3M NaCl、20mMの酢酸Ca2+を含む溶出緩衝液を用いて、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの溶出を達成した。この工程後に得たバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの純度は、SDS-PAGEを行ない、クマーシーブルーを用いてゲルを染色することによって試験した場合、約95%よりも高かった。引き続く精製工程は、ヘパリンセファロースを用いるアフィニティークロマトグラフィーであった。この工程後、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの純度は、SDS-PAGEを行ない、クマーシーブルーを用いてゲルを染色することによって試験した場合、約98%よりも高かった。
増殖培地の上清において、バリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのデオキシリボヌクレアーゼ比活性を決定するためのアッセイ
Kunitz(Kunitz, M., J.Gen. Physiol. 33(1950)349-62及び363)に従って、試料のアリコート中のデオキシリボヌクレアーゼ活性について試験を実施した。10mM Tris-HCl pH8.0, 0.1mM CaCl2, 1mM MgCl2を含む緩衝液中で、0.05mg/mlの濃度で、仔ウシ胸腺DNAを溶解した。清澄な(濾過された)培養上清等のデオキシリボヌクレアーゼ活性含有増殖培地を、添加して、260nmにおける吸光度の増大を25℃において経時的に光度測定した。1単位(1U)は、1分あたり0.001の吸光度上昇(ΔE)に相当する。
精製したバリアントウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのデオキシリボヌクレアーゼ比活性を決定するためのアッセイ
デオキシリボヌクレアーゼなしの参照試料は、試料緩衝液であった。この試料緩衝液は、1部の1M酢酸ナトリウムpH5.0と、1部の50mM MgSO4と8部の二回蒸留水との混合物である。基質緩衝液のために、5mM MgSO4と100mM酢酸ナトリウムとを含む緩衝液(pH5.0)に仔ウシ胸腺DNAを溶解して、水浴中において37℃で24〜30時間インキュベートした。13,000×gで10分間の遠心分離によって、不溶性の部分を除去した。基質緩衝液は、DNAを0.04mg/mlの濃度で含んだ。上清のDNA含量を、260nmで光度的に決定した。必要な場合、試料緩衝液を用いて基質緩衝液を調節して、0.8の吸光度にした。基質緩衝液を使用の前に4℃で少なくとも3日間貯蔵した。
代表的な測定においては、実施例9による改変ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの精製から得られた約1,000単位の活性容積を有するデオキシリボヌクレアーゼ含有溶液を、デオキシリボヌクレアーゼ活性の決定のために用いた。60μlのデオキシリボヌクレアーゼ含有溶液を40μlの二回蒸留水を用いて希釈した(別の活性容積の試料を測定する場合、希釈比を調整した)。最初に、1cmの厚みを有する石英キュベット中に、2.5mlの基質緩衝液を、充填した。基質緩衝液及びキュベットの両方を25℃に保持し、測定は同じ温度とした。測定を行った波長は260nmであった。光度計を吸光度ゼロ(参照値)に設定した後、0.05mlの希釈したデオキシリボヌクレアーゼ含有溶液を添加して混合した。吸光度の増大(ΔE/分)を経時的に測定した。1単位(1U)は、上記の条件下で、1分あたり0.001の吸光度の増大をもたらす活性に相当する。
所定の容積あたりの活性は、以下のように算出された
Figure 2004201688
適用された希釈係数に従って、未希釈の改変ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼI調製物の活性を算出した。このアッセイを用いて測定された単位は、Kunitzアッセイの単位に匹敵することがまた、一般に観察された。
さらに、上記と同じタイプのキュベットを用いて、タンパク質含量を測定した。20℃〜25℃の温度で、280nmの波長で、参照として試料緩衝液を用いて、試料緩衝液中の精製した改変ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの測定を行った。
タンパク質含量は、以下:として吸光度値(ΔE280)から算出した:
Figure 2004201688
各々の測定は、三連で行った。次いで、所定の容積のデオキシリボヌクレアーゼ比活性を、タンパク質1mgあたりの単位として算出した。
熱インキュベーション後のデオキシリボヌクレアーゼ比活性を決定するためのアッセイ
20mM Tris-HClと2mM MgCl2と4mM CaCl2と50%グリセロールとを含む貯蔵緩衝液(pH7.6)中でウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIの精製されたバリアントのアリコートを94℃で5分間インキュベートし、ここで、各アリコートは、500μlの容積を有し、1mlあたり500単位以上(実施例11のアッセイによって決定した場合)を含んだ。微調整した(変動限界0.5℃未満)サーモスタットブロックヒーターにおける加熱期間を超えて、各アリコートを保持した。インキュベーション後、直ちに、実施例11に記載のアッセイを用いて、容量あたりの活性として、残存デオキシリボヌクレアーゼ比活性を測定した。
以下のバリアント:Arg185Ala;Arg185His;Arg187Ala;Arg187His;Arg185Ala,Arg187His二重変異体;Lys117Asp,Arg185Ala,Arg187His三重変異体;Cys101Ala;Cys104Ala;Cys101Ala,Cys104Ala二重変異体;Cys173Ala;Ile3Ser;Lys117Asp;Phe128Asn;及びPhe82Asnを用いて試験結果を得た。熱処理(94℃、5分間)後の容積あたりの残存活性は、タンパク質1mgあたり0単位であった。形質転換に用いたPichia酵母株又は各々のプレタンパク質に含まれたシグナルペプチドの種類に関して、熱安定性に関する差異は見出されなかった。
三重変異体Lys117Asp,Arg185Ala,Arg187Hisを選択して、さらなる試験に供した。酵素濃度及びアッセイ条件は、熱処理が70℃5分間であった以外は、上記のとおりであった。熱処理後、デオキシリボヌクレアーゼ比活性は、タンパク質1mgあたり0単位であった。形質転換に用いたPichia酵母株又は各々のプレタンパク質に含まれたシグナルペプチドの種類に関して、熱安定性に関する差異は見出されなかった。熱処理後、デオキシリボヌクレアーゼ活性の損失は、例えば、より低い温度又はCa2+又はMg2+イオンの濃度の増大によって、逆転できなかった。
ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのLys117Asp,Arg185Ala,Arg187His三重変異バリアントのリボヌクレアーゼ活性を決定するためのアッセイ
5μlの10×「Shure Cut Buffer L」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim;カタログ番号1417975)及び5μgの精製バクテリオファージMS2 RNA」(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim;カタログ番号0165948)を含有する総容積50μl中で、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのLys117Asp,Arg185Ala,Arg187His三重変異バリアントの10単位を37℃で4時間インキュベートした。1×濃度で、「Shure Cut Buffer L」は、10mM Tris pH7.5と10mM MgCl2と1mMジチオトレイトールとを含む。
2%アガロースゲル中における反応混合物の20μlのアリコートのアガロースゲル電気泳動後に、未処理のコントロールRNAと比較して、RNA分解は、検出されなかった
図1は、ZeocinTMに対する耐性を付与する市販のプラスミドpPICZαA(Invitrogen)の誘導体であるプラスミドpDNM34-1の例示的なマップを示す。「DNAseC173A」と記された挿入断片は、Cys173A1aアミノ酸置換を保持し、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドをコードする塩基配列に融合されたウシ分泌デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする合成DNA配列である。「AOX1-Prom」は、Pichia pastoris AOX1プロモーターを意味し、「Term」は、Pichia pastoris AOX1ターミネーターを意味する。実施例3に記載される他のpDNM#-1誘導体は、ウシ分泌デオキシリボヌクレアーゼIの各バリアントをコードする合成DNA配列においてコードされたアミノ酸置換に関して異なった。pPICZA(Invitrogen)由来の対応するpDNM#-3ベクターは、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチド(SfuI-XhoI断片)を欠くが、代わりに、同じ位置に挿入された実施例1記載のネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを有する。 図2は、G418に対する耐性を付与する市販のプラスミドpPIC9K(Invitrogen)の誘導体であるプラスミドpDNM34-2のマップを示す。「DNAseC173A」と記された挿入断片は、Cys173A1aアミノ酸置換を保持し、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチドをコードする塩基配列に融合されたウシ分泌デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする合成DNA配列である。「AOX1-Prom」は、Pichia pastoris AOX1プロモーターを意味し、「Term」は、Pichia pastoris AOX1ターミネーターを意味する。実施例8に記載される他のpDNM#-2誘導体は、ウシ分泌デオキシリボヌクレアーゼIの各バリアントをコードする合成DNA配列においてコードされたアミノ酸置換に関して異なった。pPIC9K由来の対応するpDNM#-4ベクターは、Saccharomyces cerevisiae由来のα因子シグナルペプチド(SfuI-XhoI断片)を欠くが、代わりに、同じ位置に挿入された実施例1記載のネイティブなウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIプレタンパク質のウシシグナルペプチドを有する。
配列番号:1は、シグナルペプチドなしの野生型ウシ膵臓DNase Iをコードする配列である。
配列番号:2は、シグナルペプチドなしの野生型ウシ膵臓DNase Iをコードする配列である。
配列番号:3は、シグナルペプチドなしのウシ膵臓DNase Iの3つの置換アミノ酸を含有したバリアントのをコードする配列である。
配列番号:4は、シグナルペプチドなしのウシ膵臓DNase Iの3つの置換アミノ酸を含有したバリアントのをコードする配列である。
配列番号:5は、ネイティブウシ膵臓DNase Iプレタンパク質のシグナルペプチド配列をコードする配列である。
配列番号:6は、ネイティブウシ膵臓DNase Iプレタンパク質のシグナルペプチド配列とさらなるシグナルペプチダーゼ切断部位とをコードする配列である。
配列番号:7は、Saccharomyces cerevisiaeのα因子シグナルペプチド配列とさらなるシグナルペプチダーゼ切断部位とをコードする配列である。
配列番号:8は、ウシ膵臓DNase Iのバリアントである。
配列番号:9は、ウシ膵臓DNase Iのバリアントである。
配列番号:10は、ウシ膵臓DNase Iのバリアントである。
配列番号:12は、プライマーである。
配列番号:13は、プライマーである。
配列番号:14は、プライマーである。
配列番号:15は、プライマーである。
配列番号:16は、プライマーである。
配列番号:17は、プライマーである。
配列番号:18は、プライマーである。
配列番号:19は、プライマーである。
配列番号:20は、プライマーである。
配列番号:21は、プライマーである。
配列番号:22は、プライマーである。
配列番号:23は、プライマーである。
配列番号:24は、プライマーである。
配列番号:25は、プライマーである。
配列番号:26は、プライマーである。
配列番号:27は、プライマーである。
配列番号:28は、プライマーである。
配列番号:29は、プライマーである。
配列番号:30は、プライマーである。
配列番号:31は、プライマーである。
配列番号:32は、プライマーである。
配列番号:33は、プライマーである。
配列番号:34は、プライマーである。
配列番号:35は、プライマーである。
配列番号:36は、プライマーである。
配列番号:37は、プライマーである。
配列番号:38は、プライマーである。
配列番号:39は、プライマーである。
配列番号:40は、プライマーである。

Claims (13)

  1. 配列番号:2の260アミノ酸ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのN末端から番号付けして、Cys173、Cys101、Cys104、Lys117、Arg185、Arg187、Ile3、Phe82及びPhe128からなる群より選ばれたウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのアミノ酸残基の少なくとも1つであるアミノ酸残基について、少なくとも1つの異なるアミノ酸残基で置換して、デオキシリボヌクレアーゼI活性を有するウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを形成させたものである、アミノ酸置換によるウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント。
  2. 異なるアミノ酸残基でLys117を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、Asp、Glu、Asn、Gln及びIleからなる群より選ばれたものである、請求項1記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント。
  3. 異なるアミノ酸残基でArg185を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、His、Ala、Asn及びGlnからなる群より選ばれたものである、請求項1又は2記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント。
  4. 異なるアミノ酸残基でArg187を置換する場合、異なるアミノ酸残基が、His、Ala、Asn及びGlnからなる群より選ばれたものである、請求項1〜3いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント。
  5. ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを95℃未満で約5分間加熱した後、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントのデオキシリボヌクレアーゼI比活性が、1mgタンパク質あたり約0単位である、請求項1〜4いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアント。
  6. (a)ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列を含有したベクターを供給する工程、
    (b)前記(a)のベクターを用いて微生物宿主株を形質転換する工程、
    (c)栄養素を含む増殖培地中で、前記(b)で得られた形質転換微生物宿主株を培養し、それにより、該微生物宿主株が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを発現する工程、及び
    (d)微生物宿主株及び/又は増殖培地からウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを精製する工程
    を含む、請求項1〜5いずれか1項に記載のウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの製造方法。
  7. (a)ベクターは、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードする塩基配列を含有し、
    (b)微生物宿主株は、メチロトローフ酵母株であり、
    (c)増殖培地は、炭素源としてメタノールを含み、
    (d)メチロトローフ酵母株は、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントを発現し、分泌し、
    (e)ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントは、増殖培地から精製される
    ものである、請求項6記載の方法。
  8. シグナルペプチドが、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントの1番目のアミノ酸に直接隣接して位置するシグナルペプチダーゼ切断部位を含む、請求項7記載の方法。
  9. 発現されたプレタンパク質のアミノ酸配列が、(a)配列番号:8、
    (b)配列番号:9、及び
    (c)配列番号:10
    からなる群より選ばれたものである、請求項7又は8記載の方法。
  10. ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列が、配列番号:3である、請求項7〜9いずれか1項に記載の方法。
  11. プレタンパク質をコードする塩基配列が、ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントをコードする塩基配列に融合したシグナルペプチドをコードする塩基配列からなるものである、請求項7〜10いずれか1項に記載の方法。
  12. プレタンパク質をコードする塩基配列が、プロモーター又はプロモーターエレメントに作動可能に連結されたものである、請求項7〜11いずれか1項に記載の方法。
  13. ウシ膵臓デオキシリボヌクレアーゼIのバリアントとシグナルペプチドとからなるプレタンパク質をコードし、配列番号:11のPichia pastorisAOX1プロモーター又はそのプロモーターエレメントと作動可能に連結した塩基配列を含み、ここで、該プレタンパク質をコードする塩基配列が、配列番号:3と融合した配列番号:6又は7である染色体を有するPichia pastoris株。
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