【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ポリエステルは優れた機械的性質を有し、加工性にも優れている為、各種の電気・電子分野で幅広く利用されている。しかしながら、この様な用途の拡大、多様化に伴って、より高温下での成形加工等の処理が必要とされる場合があり、より高い耐熱安定性が要求されている。
例えば、耐熱安定性を向上させるため、液晶ポリエステルに2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトを安定剤として添加してなる樹脂組成物が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、該樹脂組成物を成形品とした場合、ハンダ溶着の際の高温によって安定剤が分解して生じるアウトガスなどによって、成形品にブリスターが生じるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−318058号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ハンダ溶着の際にも成形品にブリスターが生じることが少ない成形品を製造し得る液晶ポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような問題を解決し得る液晶ポリエステル樹脂組成物を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、液晶ポリエステルと、下記一般式(I)で示される亜リン酸エステル類とを含有してなる樹脂組成物が、成形品とした場合、ハンダ溶着の際にも成形品にブリスターが生じることが少ないことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、液晶ポリエステルと、一般式(I)
(式中、R1およびR 2 は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキル置換シクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表わし、R3は、水素原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基を表わし、Xは直接結合であるか、硫黄原子または一般式(I−1)
(式中、R4は、水素原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表わす)で示される2価の基を表わし、Aは、水素原子またはハロゲン原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基を表わし、Yは、直接結合であるか、炭素数1〜20のアルキレン基、カルボニル基、スルホン基、硫黄原子または酸素原子を表わし、iおよびjは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表わし、同一または異なる核上の各Aは互いに異なっていてもよい。)で示される亜リン酸エステル類の少なくとも1種とを含有してなることを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で使用される液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるポリエステルであり、450℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものである。
液晶ポリエステルとしては、例えば、
(1)芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールの組み合わせからなるもの、
(2)異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸からなるもの、
(3)芳香族ジカルボン酸と芳香族ジオールとの組み合わせからなるもの、
(4)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルに芳香族ヒドロキシカルボン酸を反応させたものなどが挙げられる。
なお、これらの芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオールの代わりに、それらのエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0007】
カルボン酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、カルボキシル基が、ポリエステル生成反応を促進するような、酸塩化物、酸無水物などの反応性が高い誘導体となっているもの、カルボキシル基がエステル交換反応によりポリエステルを生成するようなアルコール類やエチレングリコールなどとエステルを形成しているものなどが挙げられる。
また、フェノール性水酸基のエステル形成性誘導体としては、例えば、エステル交換反応によりポリエステルを生成するように、フェノール性水酸基がカルボン酸類とエステルを形成しているものなどが挙げられる。
【0008】
また、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールは、エステル形成性を阻害しない程度であれば、塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基などで置換されていてもよい。
【0009】
液晶ポリエステルの繰り返し構造単位としては、下記のものを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
【0010】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。
【0011】
芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位:
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
【0012】
芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位:
上記の繰り返し構造単位は、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基で置換されていてもよい。
なお、上記のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、上記のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
【0013】
耐熱性、機械物性のバランスから液晶ポリエステルは、前記A1またはA2式で表される繰り返し単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
繰り返し構造単位の好ましい組み合わせとしては、例えば、下記(a)〜(k)が挙げられる。
(a):(A1)、(B1)、(C3)、または、(A1)、(B1)と(B2)の混合物、(C3)。
(b):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C1)に置き換えたもの。
(c):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C2)に置き換えたもの。
(d):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)に置き換えたもの。
(e):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置き換えたもの。
(f):(a)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(A1)の一部を(A2)に置き換えたもの。
(g):(A2)、(B1)、(C3)、または、(A2)、(B1)と(B2)の混合物、(C3)。
(h):(g)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C1)に置き換えたもの。
(i):(g)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C2)に置き換えたもの。
(j):(g)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)に置き換えたもの。
(k):(g)の構造単位の組み合わせのものにおいて、(C3)の一部または全部を(C4)と(C5)の混合物に置き換えたもの。
【0014】
本発明に用いる液晶ポリエステルとしては、液晶性発現の観点から、p−ヒドロキシ安息香酸または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノン、レゾルシノール、4,4‘−ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールAおよびビスフェノールSからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなることが好ましい。
【0015】
本発明に用いる液晶ポリエステルとしては、耐熱性の観点から、p―ヒドロキシ安息香酸または2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、ヒドロキノンおよびビスフェノールSからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、テレフタル酸およびイソフタル酸からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%からなることが好ましい。
【0016】
本発明で用いられる液晶ポリエステルは、耐熱性及び耐衝撃性のバランスから、下記式(A1)または(A3)で示される繰り返し単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。
また、液晶ポリエステルの重量平均分子量は、特に限定されないが、10000〜50000であることが好ましい。
【0017】
本発明に用いる液晶ポリエステルの製造方法は、特に限定されないが、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種を過剰量の脂肪酸無水物によりアシル化してアシル化物を得、得られたアシル化物と、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種とをエステル交換(重縮合)することにより溶融重合する方法が挙げられる。アシル化物としては、予めアシル化して得た脂肪酸エステルを用いてもよい(特開2002−220444、特開2002−146003参照)。
【0018】
アシル化反応においては、脂肪酸無水物の添加量がフェノール性水酸基の1.0〜1.2倍当量であることが好ましく、より好ましくは1.05〜1.1倍当量である。脂肪酸無水物の添加量が1.0倍当量未満では、エステル交換(重縮合)時にアシル化物や芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが昇華し、反応系が閉塞し易い傾向があり、また、1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
【0019】
アシル化反応は、130〜180℃で5分〜10時間反応させることが好ましく、140〜160℃で10分〜3時間反応させることがより好ましい。
【0020】
アシル化反応に使用される脂肪酸無水物は,特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸などが挙げられ、これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
【0021】
エステル交換においては、アシル化物のアシル基がカルボキシル基の0.8〜1.2倍当量であることが好ましい。
【0022】
エステル交換は、130〜400℃で0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なうことが好ましく、150〜350℃で0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なうことがより好ましい。
【0023】
アシル化して得た脂肪酸エステルとカルボン酸とをエステル交換させる際、平衡を移動させるため、副生する脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物は、蒸発させるなどして系外へ留去することが好ましい。
【0024】
なお、アシル化反応、エステル交換は、触媒の存在下に行なってもよい。該触媒としては、従来からポリエステルの重合用触媒として公知のものを使用することができ、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモンなどの金属塩触媒、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの有機化合物触媒などを挙げることができる。
これらの触媒の中で、N,N-ジメチルアミノピリジン、N―メチルイミダゾールなどの窒素原子を2個以上含む複素環状化合物が好ましく使用される(特開2002−146003)。
該触媒は、通常、モノマー類の投入時に投入され、アシル化後も除去することは必ずしも必要ではなく、該触媒を除去しない場合にはそのままエステル交換を行なうことができる。
【0025】
エステル交換による重縮合は、通常、溶融重合により行なわれるが、溶融重合と固層重合とを併用してもよい。固相重合は、溶融重合工程からポリマーを抜き出し、その後、粉砕してパウダー状もしくはフレーク状にした後、公知の固相重合方法により行うことが好ましい。具体的には、例えば、窒素などの不活性雰囲気下、20〜350℃で、1〜30時間固相状態で熱処理する方法などが挙げられる。固相重合は、攪拌しながらでも、攪拌することなく静置した状態で行ってもよい。なお適当な攪拌機構を備えることにより溶融重合槽と固相重合槽とを同一の反応槽とすることもできる。固相重合後、得られた液晶ポリエステルは、公知の方法によりペレット化し、成形してもよい。
液晶ポリエステルの製造は、例えば、回分装置、連続装置等を用いて行うことができる。
【0026】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、上記した液晶ポリエステル樹脂組成物と、下記一般式(I)で示される亜リン酸エステル類の少なくとも1種とを含有してなる。
【0027】
式中、R1およびR 2 は、それぞれ独立に、水素原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキル置換シクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を表わす。
R3は、水素原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基を表わす。
Xは、直接結合であるか、硫黄原子または一般式(I−1)
で示される2価の基を表わす。
ここで、R4は、水素原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を表わす。
【0028】
Aは、水素原子またはハロゲン原子を表わすか、炭素数1〜8のアルキル基を表わす。
Yは、直接結合であるか、炭素数1〜20のアルキレン基、カルボニル基、スルホン基、硫黄原子または酸素原子を表わす。
iおよびjは、それぞれ独立に、0〜4の整数を表わし、同一または異なる核上の各Aは互いに異なっていてもよい。
【0029】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基,t−オクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
炭素数6〜12のアルキル置換シクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基などが挙げられる。
炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基などが挙げられる。
炭素数1〜20のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられる。
【0030】
R1およびR2は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキル置換シクロアルキル基であることが好ましい。
R1は、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基などのt−アルキル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基であることがより好ましい。
R2は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基であることがより好ましい。
R3は、水素原子であることが好ましい。
【0031】
Xは、直接結合または一般式(I−1)で示される2価の基であることが好ましい。
一般式(I−1)で示される2価の基中のR4は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基などの炭素数1〜5のアルキル基または水素原子であることが好ましい。
Xは、直接結合であることがより好ましい。
Aは、水素原子であることが好ましい。
Yは、耐熱性の観点から、2価の硫黄原子または酸素原子であることが好ましい。
【0032】
一般式(I)で示される亜リン酸エステル類としては、R1およびR2がt−アルキル基、シクロヘキシルまたは1−メチルシクロヘキシル基であり、R3が水素原子であり、Xが直接結合であるか、R4がメチル基である一般式(I−1)で示される2価の基であり、Aが水素原子であり、Yが2価の硫黄原子または酸素原子であることが特に好ましい。
【0033】
かかる亜リン酸エステル類(I)としては、例えば、下記式(II)〜(V)で示される化合物が挙げられる。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
かかる亜リン酸エステル類(I)は、例えば、対応するフェノール化合物と三塩化リンをトリエチルアミンなどの脱塩剤の存在下、反応させる、特願平9−149270号公報に記載の方法などに準じて製造することができる。
【0038】
亜リン酸エステル類(I)の配合量は、液晶ポリエステル100重量部に対し、0.01以上1.0重量部未満であること好ましく、0.05〜0.20重量部であることがより好ましい。亜リン酸エステル類(I)の配合量が0.01重量部未満では、耐熱安定性に十分な効果が得られない傾向があり、1重量部以上では、ハンダ溶着の際、成形品にブリスターが発生する傾向がある。
【0039】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、機械強度を向上させるために、繊維状、粒状、板状などの無機または有機充填材を配合してもよい。
繊維状の充填剤としては、例えば、アルミニウム、チタン、銅などの金属の繊維状物質、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、シリカアルミナ繊維、チタン酸カリウム繊維、炭素繊維、黒鉛繊維などが挙げられるが、これらの中でガラス繊維が好ましく使用される。
上記した充填剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
【0040】
粒状充填材としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、クレー、珪藻土、ウオラスナイトなどのケイ酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、アルミナ、硫酸カルシウム、その他各種の金属粉末、カーボンブラック、黒鉛、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ミルドガラスファイバー、ガラスバルーン、ガラス粉などが挙げられる。
板状充填材としては、例えば、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔などが挙げられる。
その他、有機充填材としては、例えば、芳香族ポリエステル、芳香族ポリイミド、ポリアミドなどからなる耐熱性高強度繊維などが挙げられる。
これらの充填剤は、必要に応じて、予め公知の表面処理剤により処理されていてもよい。
繊維状充填剤を使用する場合は、収束剤などを併用してもよい。
【0041】
充填剤を配合する場合、その配合量は液晶ポリエステル樹脂組成物全体に対して10重量%〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは10重量%〜70重量%である。80重量%を超えて充填剤を配合すると、機械的強度が低下する傾向がある。充填剤の配合方法は、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。
【0042】
また、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、従来より公知の酸化防止剤、補強剤、顔料、増強剤、熱安定剤等の種々の添加剤を添加してもよい。
添加剤は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。また、上記した充填剤と添加剤とを併用してもよい。
【0043】
さらに本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルエーテル及びその変性物、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂を一種または二種以上を添加してもよい。
【0044】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物は、例えば、押し出し成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形などの通常の溶融成形により、繊維、フィルム、三次元成形品、容器、ホースなどに加工して成形品とすることができる。
このようにして得られた成形品は、熱処理によって強度を増大させることができ、弾性率も多くの場合向上させることができる。
該熱処理は、不活性雰囲気(例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等)中、酸素含有雰囲気(例えば空気)中または減圧下において、成形品をポリマーの融点温度以下の温度で加熱することによって行うことができる。
該成形品は、ハンダ溶着の際にも成形品にブリスターが生じることが少なく、高温下で優れた耐熱安定性を有することから、コネクター、リレーなどの電気・電子部品の構造部材などに好適に使用することができる。
【0045】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
なお、以下の各実施例および比較例で使用した液晶ポリエステルは、常法により測定を行った結果、いずれも溶融時に光学異方性を示した。
【0046】
実施例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p―ヒドロキシ安息香酸 911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 409g(2.2モル)、テレフタル酸 274g(1.65モル)、イソフタル酸91g(0.55モル)及び無水酢酸 1235g(12.1モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。
その後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から288℃まで5時間かけて昇温し、288℃で3時間保持し、固層で重合反応を進めた。
得られた樹脂に対して、式(II)で示される亜リン酸エステル類を0.10重量%配合後、セントラルガラス製ミルドガラス(EFH−7501)を全体の40重量%になるよう配合して混合した後、2軸押出機(池貝鉄工(株)PCM−30)を用いて、340℃で造粒した。得られたペレットを日精樹脂工業(株)製PS40E5ASE型射出成形機を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度130℃で射出成形を行い、樹脂の特性(耐ハンダ性、溶融粘度の安定性)を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
樹脂の特性
(1)耐ハンダ性(ハンダ浸漬時のブリスター発生)
JIS K71131(1/2)号ダンベル×1.2mmtを所定の温度のH60Aハンダ(スズ60%、鉛40%)に300℃で5分浸漬し、10本中成形品に発泡(ブリスター)が見られる本数を測定した。
(2)溶融粘度の安定性(耐熱安定性の指標)
Bohlin Instruments社製コントロールストレスレオメータCVOにて、下記の条件で溶融粘度の時間変化を測定した。各温度での溶融粘度の経時変化が小さいほど、耐熱安定性に優れる。
温度:370℃
雰囲気:窒素200ml/min
測定時間:1時間
ジオメトリー:コーンプレート5.4°/25φ
測定周波数:1Hz
Pre−Shear:OFF
Target Strain:0.01
Mode:Auto
【0048】
実施例2
亜リン酸エステル類に式(V)で示される化合物を0.05重量部用いた以外は、実施例1と全く同様に行い、樹脂の特性(耐ハンダ性、溶融粘度の安定性)を評価した。結果を表1に示す。
【0049】
比較例1
亜リン酸エステル類を用いなかった以外は、実施例1と全く同様に行い、樹脂の特性(耐ハンダ性、溶融粘度の安定性)を評価した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
*)発泡の見られたダンベル数 0本:○、1〜5本:△、6〜10本:×
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、ハンダ溶着の際にも成形品にブリスターが生じることなく、高温下で優れた耐熱安定性を有する成形品を製造し得る液晶ポリエステル樹脂組成物を提供することが可能となる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a liquid crystal polyester resin composition.
[0002]
[Prior art]
Liquid crystal polyester has excellent mechanical properties and excellent workability, and is therefore widely used in various electric and electronic fields. However, with the expansion and diversification of such uses, processing such as molding at a higher temperature may be required, and higher heat resistance stability is required.
For example, a resin composition obtained by adding 2,2′-methylenebis (4,6-di-t-butylphenyl) octyl phosphite as a stabilizer to a liquid crystal polyester in order to improve heat stability is known. (See Patent Document 1). However, when the resin composition is used as a molded product, there is a problem that blisters are generated in the molded product due to outgas or the like generated by decomposition of the stabilizer due to high temperature during solder welding.
[0003]
[Patent Document 1]
Japanese Unexamined Patent Publication No. Hei 4-318058
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a liquid crystal polyester resin composition capable of producing a molded product in which blisters are less likely to occur in the molded product even during solder welding.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies in order to find a liquid crystal polyester resin composition that can solve the above-described problems, and as a result, have found that liquid crystal polyester and phosphites represented by the following general formula (I) It has been found that when the resin composition containing is formed into a molded product, blisters are less likely to occur in the molded product even during solder welding, and the present invention has been completed.
That is, the present invention relates to a liquid crystal polyester having the general formula (I)
(Wherein, R 1 and R 2 each independently represent a hydrogen atom, or an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 8 carbon atoms, or an alkyl-substituted cycloalkyl having 6 to 12 carbon atoms) A aralkyl group or a phenyl group having 7 to 12 carbon atoms, R 3 represents a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, X is a direct bond, a sulfur atom or a general formula (I-1)
Wherein R 4 represents a hydrogen atom or a divalent group represented by an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms or a cycloalkyl group having 5 to 8 carbon atoms, and A represents a hydrogen atom Or a halogen atom or an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, Y is a direct bond or an alkylene group having 1 to 20 carbon atoms, a carbonyl group, a sulfone group, a sulfur atom or an oxygen atom, i and j each independently represent an integer of 0 to 4, and each A on the same or different nucleus may be different from each other. The present invention provides a liquid crystal polyester resin composition comprising at least one of the phosphites represented by the formula (1).
[0006]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The liquid crystal polyester used in the present invention is a polyester called a thermotropic liquid crystal polymer and forms an anisotropic melt at a temperature of 450 ° C. or lower.
As liquid crystal polyester, for example,
(1) a combination of an aromatic hydroxycarboxylic acid, an aromatic dicarboxylic acid and an aromatic diol;
(2) those composed of different kinds of aromatic hydroxycarboxylic acids,
(3) those comprising a combination of an aromatic dicarboxylic acid and an aromatic diol;
(4) Those obtained by reacting an aromatic hydroxycarboxylic acid with a polyester such as polyethylene terephthalate.
In addition, instead of these aromatic hydroxycarboxylic acids, aromatic dicarboxylic acids, and aromatic diols, ester-forming derivatives thereof may be used.
[0007]
Examples of the carboxylic acid ester-forming derivatives include, for example, those in which the carboxyl group is a highly reactive derivative such as an acid chloride or an acid anhydride that promotes the polyester formation reaction, or the carboxyl group is transesterified. Examples thereof include those that form an ester with alcohols, ethylene glycol, and the like that produce a polyester by the reaction.
Examples of the ester-forming derivative of the phenolic hydroxyl group include, for example, those in which the phenolic hydroxyl group forms an ester with a carboxylic acid so as to form a polyester by a transesterification reaction.
[0008]
In addition, aromatic hydroxycarboxylic acids, aromatic dicarboxylic acids and aromatic diols are halogen atoms such as a chlorine atom and a fluorine atom, alkyl groups such as a methyl group and an ethyl group, and phenyl, as long as they do not inhibit ester-forming properties. May be substituted with an aryl group such as a group.
[0009]
Examples of the repeating structural unit of the liquid crystal polyester include the following, but are not limited thereto.
[0010]
Repeating structural unit derived from aromatic hydroxycarboxylic acid:
The above repeating structural unit may be substituted with a halogen atom or an alkyl group.
[0011]
Repeating structural unit derived from aromatic dicarboxylic acid:
The above repeating structural unit may be substituted with a halogen atom, an alkyl group or an aryl group.
[0012]
Repeating structural unit derived from aromatic diol:
The above repeating structural unit may be substituted with a halogen atom, an alkyl group or an aryl group.
In addition, as said alkyl group, a C1-C10 alkyl group is preferable and as said aryl group, a C6-C20 aryl group is preferable.
[0013]
Heat resistance, liquid crystal polyester from the balance of mechanical properties, preferably contains a repeating unit represented by A 1 or A 2 Formula least 30 mol%.
Preferred combinations of the repeating structural units include, for example, the following (a) to (k).
(A): (A 1 ), (B 1 ), (C 3 ) or (A 1 ), a mixture of (B 1 ) and (B 2 ), (C 3 ).
(B) in those combinations of the structural units of :( a), obtained by replacing a part or all of (C 3) to (C 1).
(C) in those combinations of the structural units of :( a), obtained by replacing a part or all of (C 3) to (C 2).
(D) In those combinations of the structural units of :( a), obtained by replacing a part or all of (C 3) to (C 4).
(E) in what combination of structural units of :( a), replaced with the mixture of (C 3) of some or all the (C 4) (C 5) .
(F) In those combinations of the structural units of :( a), obtained by replacing a part of (A 1) to (A 2).
(G): (A 2 ), (B 1 ), (C 3 ), or (A 2 ), a mixture of (B 1 ) and (B 2 ), (C 3 ).
(H) in those combinations of the structural units of :( g), obtained by replacing a part or all of (C 3) to (C 1).
(I) in those combinations of the structural units of :( g), obtained by replacing a part or all of (C 3) to (C 2).
(J) In one of the combinations of the structural units of :( g), obtained by replacing a part or all of (C 3) to (C 4).
(K) in those combinations of the structural units of :( g), which was replaced by a mixture of (C 3) of some or all the (C 4) (C 5) .
[0014]
As the liquid crystal polyester used in the present invention, from the viewpoint of exhibiting liquid crystallinity, a repeating structural unit derived from p-hydroxybenzoic acid or 2-hydroxy-6-naphthoic acid 30 to 80 mol%, hydroquinone, resorcinol, 4,4′- Dihydroxybiphenyl, at least one compound selected from the group consisting of terephthalic acid, isophthalic acid and naphthalenedicarboxylic acid, in which 10 to 35 mol% of repeating structural units derived from at least one compound selected from the group consisting of bisphenol A and bisphenol S Of a repeating structural unit derived from
[0015]
The liquid crystal polyester used in the present invention is selected from the group consisting of 30 to 80 mol% of a repeating structural unit derived from p-hydroxybenzoic acid or 2-hydroxy-6-naphthoic acid, hydroquinone and bisphenol S from the viewpoint of heat resistance. Further, it is preferable that the repeating structural unit is composed of 10 to 35 mol% of a repeating structural unit derived from at least one compound, and 10 to 35 mol% of a repeating structural unit derived from at least one compound selected from the group consisting of terephthalic acid and isophthalic acid.
[0016]
The liquid crystal polyester used in the present invention preferably contains at least 30 mol% of a repeating unit represented by the following formula (A 1 ) or (A 3 ) from the balance of heat resistance and impact resistance.
The weight average molecular weight of the liquid crystal polyester is not particularly limited, but is preferably 10,000 to 50,000.
[0017]
The method for producing the liquid crystal polyester used in the present invention is not particularly limited. For example, an acylated product is obtained by acylating at least one selected from the group consisting of aromatic hydroxycarboxylic acids and aromatic diols with an excess amount of a fatty acid anhydride. A method of melt polymerization by transesterification (polycondensation) of the obtained and obtained acylated product and at least one selected from the group consisting of aromatic hydroxycarboxylic acids and aromatic dicarboxylic acids. As the acylated product, a fatty acid ester obtained by acylation in advance may be used (see JP-A-2002-220444 and JP-A-2002-146003).
[0018]
In the acylation reaction, the amount of the fatty acid anhydride to be added is preferably 1.0 to 1.2 times equivalent of the phenolic hydroxyl group, more preferably 1.05 to 1.1 times equivalent. If the amount of the fatty acid anhydride added is less than 1.0 equivalent, the acylated product, aromatic hydroxycarboxylic acid, aromatic dicarboxylic acid, etc. will sublimate during transesterification (polycondensation), and the reaction system tends to be clogged, If the equivalent is more than 1.2 times, the obtained liquid crystal polyester tends to be significantly colored.
[0019]
The acylation reaction is preferably performed at 130 to 180 ° C for 5 minutes to 10 hours, and more preferably at 140 to 160 ° C for 10 minutes to 3 hours.
[0020]
The fatty acid anhydride used in the acylation reaction is not particularly limited. For example, acetic anhydride, propionic anhydride, butyric anhydride, isobutyric anhydride, valeric anhydride, pivalic anhydride, 2-ethylhexanoic anhydride, monochloroacetic anhydride, , Dichloroacetic anhydride, trichloroacetic anhydride, monobromoacetic anhydride, dibromoacetic anhydride, tribromoacetic anhydride, monofluoroacetic anhydride, difluoroacetic anhydride, trifluoroacetic anhydride, glutaric anhydride, maleic anhydride, succinic anhydride, β- Bromopropionic acid and the like may be mentioned, and these may be used as a mixture of two or more kinds. From the viewpoints of price and handleability, acetic anhydride, propionic anhydride, butyric anhydride, and isobutyric anhydride are preferred, and acetic anhydride is more preferred.
[0021]
In the transesterification, the acyl group of the acylated product is preferably 0.8 to 1.2 times equivalent of the carboxyl group.
[0022]
The transesterification is preferably performed at a temperature of 130 to 400 ° C. at a rate of 0.1 to 50 ° C./min while increasing the temperature at a temperature of 150 to 350 ° C. at a rate of 0.3 to 5 ° C./min. Is more preferable.
[0023]
When transesterifying a fatty acid ester obtained by acylation with a carboxylic acid, in order to shift the equilibrium, it is preferable to distill off the by-product fatty acid and unreacted fatty acid anhydride to the outside by evaporating or the like. .
[0024]
The acylation reaction and transesterification may be performed in the presence of a catalyst. As the catalyst, those conventionally known as catalysts for polyester polymerization can be used, for example, magnesium acetate, stannous acetate, tetrabutyl titanate, lead acetate, sodium acetate, potassium acetate, antimony trioxide and the like. And organic compound catalysts such as N, N-dimethylaminopyridine and N-methylimidazole.
Among these catalysts, heterocyclic compounds containing two or more nitrogen atoms, such as N, N-dimethylaminopyridine and N-methylimidazole, are preferably used (JP-A-2002-146003).
The catalyst is usually charged when the monomers are charged, and it is not always necessary to remove the catalyst after the acylation. If the catalyst is not removed, the transesterification can be carried out as it is.
[0025]
Polycondensation by transesterification is usually performed by melt polymerization, but melt polymerization and solid phase polymerization may be used in combination. The solid phase polymerization is preferably performed by a known solid phase polymerization method after extracting the polymer from the melt polymerization step and then pulverizing the polymer into powder or flake. Specifically, for example, a method in which heat treatment is performed in a solid state at 20 to 350 ° C. for 1 to 30 hours in an inert atmosphere such as nitrogen. The solid-phase polymerization may be performed with or without stirring. By providing a suitable stirring mechanism, the melt polymerization tank and the solid phase polymerization tank can be the same reaction tank. After the solid phase polymerization, the obtained liquid crystal polyester may be pelletized and molded by a known method.
The production of liquid crystal polyester can be performed using, for example, a batch apparatus, a continuous apparatus, or the like.
[0026]
The liquid crystal polyester resin composition of the present invention comprises the above liquid crystal polyester resin composition and at least one phosphite represented by the following general formula (I).
[0027]
In the formula, R 1 and R 2 each independently represent a hydrogen atom, or an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 8 carbon atoms, or an alkyl-substituted cycloalkyl group having 6 to 12 carbon atoms. , An aralkyl group having 7 to 12 carbon atoms or a phenyl group.
R 3 represents a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms.
X is a direct bond, a sulfur atom or a compound of the formula (I-1)
Represents a divalent group represented by
Here, R 4 represents a hydrogen atom, an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, or a cycloalkyl group having 5 to 8 carbon atoms.
[0028]
A represents a hydrogen atom or a halogen atom, or an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms.
Y represents a direct bond or an alkylene group having 1 to 20 carbon atoms, a carbonyl group, a sulfone group, a sulfur atom or an oxygen atom.
i and j each independently represent an integer of 0 to 4, and each A on the same or different nucleus may be different from each other.
[0029]
Here, examples of the alkyl group having 1 to 8 carbon atoms include a methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an i-propyl group, an n-butyl group, an i-butyl group, a sec-butyl group, and a t-butyl group. Group, t-pentyl group, i-octyl group, t-octyl group, 2-ethylhexyl group and the like.
Examples of the cycloalkyl group having 5 to 8 carbon atoms include a cyclopentyl group, a cyclohexyl group, a cycloheptyl group, and a cyclooctyl group.
Examples of the alkyl-substituted cycloalkyl group having 6 to 12 carbon atoms include a 1-methylcyclopentyl group, a 1-methylcyclohexyl group, and a 1-methyl-4-i-propylcyclohexyl group.
Examples of the aralkyl group having 7 to 12 carbon atoms include a benzyl group, an α-methylbenzyl group, and an α, α-dimethylbenzyl group.
Examples of the alkylene group having 1 to 20 carbon atoms include an ethylene group, a propylene group, a butylene group, a pentamethylene group, a hexamethylene group, an octamethylene group, and a 2,2-dimethyl-1,3-propylene group. .
[0030]
R 1 and R 2 are preferably an alkyl group having 1 to 8 carbon atoms, a cycloalkyl group having 5 to 8 carbon atoms, or an alkyl-substituted cycloalkyl group having 6 to 12 carbon atoms.
R 1 is more preferably a t-alkyl group such as a t-butyl group, a t-pentyl group, a t-octyl group, a cyclohexyl group, or a 1-methylcyclohexyl group.
R 2 is an alkyl group having 1 to 5 carbon atoms such as a methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an i-propyl group, an n-butyl group, an i-butyl group, a sec-butyl group, and a t-pentyl group. Preferably, it is a methyl group, a t-butyl group, or a t-pentyl group.
R 3 is preferably a hydrogen atom.
[0031]
X is preferably a direct bond or a divalent group represented by the general formula (I-1).
R 4 in the divalent group represented by the general formula (I-1) is a group having 1 carbon atom such as a methyl group, an ethyl group, an n-propyl group, an i-propyl group, an n-butyl group and an i-butyl group. And preferably 5 to 5 alkyl groups or hydrogen atoms.
X is more preferably a direct bond.
A is preferably a hydrogen atom.
Y is preferably a divalent sulfur atom or oxygen atom from the viewpoint of heat resistance.
[0032]
In the phosphites represented by the general formula (I), R 1 and R 2 are a t-alkyl group, cyclohexyl or 1-methylcyclohexyl group, R 3 is a hydrogen atom, and X is a direct bond. Or a divalent group represented by the general formula (I-1) wherein R 4 is a methyl group, A is preferably a hydrogen atom, and Y is preferably a divalent sulfur atom or an oxygen atom. .
[0033]
Examples of such phosphites (I) include compounds represented by the following formulas (II) to (V).
[0034]
[0035]
[0036]
[0037]
The phosphites (I) can be prepared by, for example, reacting a corresponding phenol compound with phosphorus trichloride in the presence of a desalting agent such as triethylamine, according to the method described in Japanese Patent Application No. 9-149270. Can be manufactured.
[0038]
The compounding amount of the phosphites (I) is preferably 0.01 or more and less than 1.0 part by weight, more preferably 0.05 to 0.20 part by weight, based on 100 parts by weight of the liquid crystal polyester. When the amount of the phosphite (I) is less than 0.01 part by weight, a sufficient effect on heat resistance tends not to be obtained. When the amount is more than 1 part by weight, blisters are formed on a molded product during solder welding. Tend to.
[0039]
The liquid crystal polyester resin composition of the present invention may contain a fibrous, granular, plate-like or other inorganic or organic filler in order to improve mechanical strength.
Examples of the fibrous filler include fibrous substances of metals such as aluminum, titanium, and copper, glass fibers, asbestos fibers, silica fibers, silica alumina fibers, potassium titanate fibers, carbon fibers, and graphite fibers. However, among these, glass fibers are preferably used.
The above-mentioned fillers may be used alone or in combination of two or more.
[0040]
As the particulate filler, for example, calcium silicate, aluminum silicate, talc, clay, diatomaceous earth, silicates such as wollastonite, iron oxide, titanium oxide, zinc oxide, antimony trioxide, alumina, calcium sulfate, and various other Examples include metal powder, carbon black, graphite, silica, quartz powder, glass beads, milled glass fiber, glass balloon, glass powder, and the like.
Examples of the plate-like filler include mica, glass flake, and various metal foils.
In addition, examples of the organic filler include heat-resistant high-strength fibers made of aromatic polyester, aromatic polyimide, polyamide, and the like.
These fillers may be previously treated with a known surface treatment agent, if necessary.
When a fibrous filler is used, a sizing agent or the like may be used in combination.
[0041]
When a filler is compounded, the compounding amount is preferably from 10% by weight to 80% by weight, more preferably from 10% by weight to 70% by weight, based on the whole liquid crystal polyester resin composition. If the filler is added in excess of 80% by weight, the mechanical strength tends to decrease. The method of compounding the filler is not particularly limited, and a known method can be employed.
[0042]
Further, various additives such as conventionally known antioxidants, reinforcing agents, pigments, enhancers, and heat stabilizers may be added to the liquid crystal polyester resin composition of the present invention.
The additives may be used alone or in combination of two or more. Moreover, you may use together the above-mentioned filler and additive.
[0043]
Further, the liquid crystal polyester resin composition of the present invention includes polypropylene, polyamide, polyester, polyphenylene sulfide, polyether ketone, polycarbonate, polyether sulfone, polyphenyl ether and modified products thereof, as long as the object of the present invention is not impaired. One or two or more thermoplastic resins such as ether imides and thermosetting resins such as phenol resins, epoxy resins, polyimide resins and cyanate resins may be added.
[0044]
The liquid crystal polyester resin composition of the present invention can be formed into fibers, films, three-dimensional molded products, containers, hoses, and the like by ordinary melt molding such as extrusion molding, injection molding, compression molding, and blow molding. It can be.
The molded article obtained in this way can be increased in strength by heat treatment and its elastic modulus can be improved in many cases.
The heat treatment can be performed by heating the molded article at a temperature equal to or lower than the melting point of the polymer in an inert atmosphere (eg, nitrogen, argon, helium, etc.), an oxygen-containing atmosphere (eg, air), or under reduced pressure. .
The molded product is suitable for structural members of electric and electronic parts such as connectors and relays because the molded product is less likely to generate blisters even during solder welding and has excellent heat stability at high temperatures. Can be used.
[0045]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described with reference to examples, but it is needless to say that the present invention is not limited to the examples.
In addition, the liquid crystal polyester used in each of the following Examples and Comparative Examples was measured by a conventional method, and as a result, all exhibited optical anisotropy when melted.
[0046]
Example 1
In a reactor equipped with a stirrer, a torque meter, a nitrogen gas inlet tube, a thermometer and a reflux condenser, 911 g (6.6 mol) of p-hydroxybenzoic acid and 409 g (2.2 mol) of 4,4′-dihydroxybiphenyl were added. ), 274 g (1.65 mol) of terephthalic acid, 91 g (0.55 mol) of isophthalic acid and 1235 g (12.1 mol) of acetic anhydride were charged. After sufficiently replacing the inside of the reactor with nitrogen gas, the temperature was raised to 150 ° C. over 15 minutes under a nitrogen gas stream, and the temperature was maintained at reflux for 3 hours.
Thereafter, the temperature was raised to 320 ° C. over 2 hours and 50 minutes while distilling off distilling by-product acetic acid and unreacted acetic anhydride, and the time when a rise in torque was recognized was regarded as the end of the reaction, and the contents were taken out. . The obtained solid content was cooled to room temperature, pulverized with a coarse pulverizer, and then heated in a nitrogen atmosphere from room temperature to 250 ° C. over 1 hour, and then heated from 250 ° C. to 288 ° C. over 5 hours to obtain 288 C. for 3 hours, and the polymerization reaction was advanced in a solid layer.
0.10% by weight of a phosphite represented by the formula (II) is blended with the obtained resin, and then milled glass (EFH-7501) made of Central Glass is blended to be 40% by weight of the whole and mixed. After that, the mixture was granulated at 340 ° C. using a twin-screw extruder (PCM-30, Ikegai Iron Works). The obtained pellets were subjected to injection molding at a cylinder temperature of 350 ° C. and a mold temperature of 130 ° C. using a PS40E5ASE type injection molding machine manufactured by Nissei Plastics Industry Co., Ltd. to obtain resin characteristics (solder resistance, melt viscosity stability). ) Was evaluated. Table 1 shows the results.
[0047]
Resin properties (1) Solder resistance (blisters generated during solder immersion)
JIS K71131 (1/2) dumbbell x 1.2mmt is immersed in H60A solder (60% tin, 40% lead) at a specified temperature for 5 minutes at 300 ° C, and foaming (blister) is observed in molded products among 10 tubes The number was measured.
(2) Stability of melt viscosity (index of heat stability)
The time change of the melt viscosity was measured with a control stress rheometer CVO manufactured by Bohlin Instruments under the following conditions. The smaller the change over time of the melt viscosity at each temperature, the better the heat stability.
Temperature: 370 ° C
Atmosphere: Nitrogen 200ml / min
Measurement time: 1 hour Geometry: Cone plate 5.4 ° / 25φ
Measurement frequency: 1Hz
Pre-Shear: OFF
Target Strain: 0.01
Mode: Auto
[0048]
Example 2
The procedure of Example 1 was repeated, except that 0.05 parts by weight of the compound represented by the formula (V) was used as the phosphite, and the properties (solder resistance, stability of melt viscosity) of the resin were evaluated. Table 1 shows the results.
[0049]
Comparative Example 1
Except that no phosphites were used, the procedure was exactly the same as in Example 1 to evaluate the properties of the resin (solder resistance, stability of melt viscosity). Table 1 shows the results.
[0050]
[Table 1]
*) Number of dumbbells with foaming 0: ○, 1-5: △, 6-10: ×
[0051]
【The invention's effect】
ADVANTAGE OF THE INVENTION According to this invention, it becomes possible to provide the liquid crystal polyester resin composition which can manufacture the molded article which has the outstanding heat-resistant stability under high temperature, without generating a blister in a molded article also at the time of solder welding. .