【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱発色液を印画する画像データに基づいて記録紙に塗布する感熱記録方法および装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
支持体上にシアン感熱発色層、マゼンタ感熱発色層、イエロー感熱発色層が層設されたカラー感熱記録紙に、サーマルヘッドで熱記録を施すカラー感熱プリンタが知られている。このカラー感熱プリンタでは、サーマルヘッドとカラー感熱記録紙とを相対的に移動させながら、まず、最上層であるイエロー感熱発色層に熱記録を施し、４２０ｎｍの近紫外線を照射してイエロー画像を光定着する。次に、イエロー感熱発色層よりも高い熱エネルギーを与えてマゼンタ感熱発色層に熱記録を施し、３６５ｎｍの紫外線を照射してマゼンタ画像を光定着する。最後に、最も大きい熱エネルギーでシアン感熱発色層を熱記録する。
【０００３】
カラー感熱記録紙は、複数の感熱発色層が予め形成された多層構造であるため、従来のカラー感熱プリンタでは各感熱発色層を選択的に定着している。したがって、従来のカラー感熱プリンタには、イエロー用とマゼンタ用の２種類の定着ランプが必要となり、部品コストが嵩むという問題点がある。また、各感熱発色層を選択的に発色させるためには、感熱発色層毎にサーマルヘッドの発熱量を制御しなければならない。
【０００４】
上記の問題を解決するために、予めシアン感熱発色層が形成された記録紙を用い、シアン画像の熱記録・定着後にマゼンタ感熱発色層を塗布・乾燥させ、マゼンタ画像の熱記録・定着後、同様にイエロー感熱発色層の塗布・乾燥、イエロー画像の熱記録・定着を行う装置が提案されている（特許文献１参照）。このようにすると、１種類の定着ランプで光定着を行うことができ、サーマルヘッドの制御を簡素化することが可能である。
【０００５】
【特許文献１】
特開２０００−３３７２１号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献１に記載される装置には、サーマルヘッド、光定着ランプといった高価な部品が搭載されており、更なるコストダウンの妨げとなっていた。また、予めシアン感熱発色層が形成された感熱記録紙を用いているため、保管環境によって記録紙の品質が劣化したり、湿度によって画質に悪影響を及ぼすおそれがある。
【０００７】
本発明は、装置のランニングコスト、部品コストの削減が可能で、記録紙の生保存性を考慮する必要がない感熱記録方法および装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の感熱記録方法は、加熱によって特定の色に発色する感熱発色液を、印画する画像データに基づいて記録紙に塗布する工程と、感熱発色液を塗布した後の記録紙を加熱して前記感熱発色液を発色させる工程とを備えたことを特徴とする。
【０００９】
また、本発明の感熱記録装置は、加熱によって特定の色に発色する感熱発色液を、印画する画像データに基づいて記録紙に塗布する印画ヘッドと、感熱発色液を塗布した後の記録紙を加熱して前記感熱発色液を発色させる加熱手段とを備えたことを特徴とする。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１において、感熱記録装置２では、記録媒体として長尺の記録紙１０が用いられる。記録紙１０は、ロール状に巻かれた記録紙ロール１１の形態で感熱記録装置２にセットされる。記録紙ロール１１は、外周に当接された給紙ローラ１２によって回転され、これにより矢印Ａ方向に記録紙１０が送り出される。
【００１１】
記録紙ロール１１の近傍には、記録紙１０を挟み込んで搬送する搬送ローラ対１３が配置されている。この搬送ローラ対１３は、図示しない搬送用モータで回転駆動されるキャプスタンローラ１４と、このキャプスタンローラ１４に圧接するピンチローラ１５とからなる。
【００１２】
搬送ローラ対１３の矢印Ａ方向の下流側には、印画ヘッド１６が配置されている。この印画ヘッド１６は、上流側から順にイエロー（Ｙ）用印画ヘッド１６ａ、マゼンタ（Ｍ）用印画ヘッド１６ｂ、およびシアン（Ｃ）用印画ヘッド１６ｃからなる。各印画ヘッド１６ａ〜１６ｃは、記録紙１０の搬送方向と直交する方向（主走査方向）に往復移動しながら、記録紙１０に１ラインずつ画像を記録する。
【００１３】
各印画ヘッド１６ａ〜１６ｃには、加熱によってイエロー、マゼンタ、およびシアンに発色する感熱発色液が貯留されている。各感熱発色液は、各印画ヘッド１６ａ〜１６ｃに設けられた図示しない吐出ノズルから記録紙１０に向けて吐出される。なお、感熱発色液としては、この他にもブラック、ダークイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアンなどを加えてもよい。また、感熱発色液を吐出する手段としては、周知の吐出手段を用いることができる。
【００１４】
シアン感熱発色液は、電子供与性染料前駆体が封入された熱応答性マイクロカプセルと電子受容性化合物とをゼラチンなどからなるバインダ中に混合させたものである。図２に示すように、シアン感熱発色液により形成されるシアン感熱発色層は、８０〜９５ｍＪ／ｍｍ2 の範囲内の熱エネルギーによってマイクロカプセルが破壊され、電子受容性化合物がマイクロカプセルに浸透し、電子供与性染料前駆体と結合してシアンに発色する。
【００１５】
マゼンタ感熱発色液は、ジアゾニウム塩化合物が封入された熱応答性マイクロカプセルとカプラーとをゼラチンなどからなるバインダ中に混合したものである。マゼンタ感熱発色液により形成されるマゼンタ感熱発色層は、４５〜６５ｍＪ／ｍｍ2 の範囲内の熱エネルギーによってマイクロカプセルが破壊され、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとが結合してマゼンタに発色する。
【００１６】
イエロー感熱発色液は、ジアゾニウム塩化合物が封入された熱応答性マイクロカプセルとカプラーとをゼラチンなどからなるバインダ中に混合したものである。イエロー感熱発色液により形成されるイエロー感熱発色層は、２５〜３５ｍＪ／ｍｍ2 の範囲内の熱エネルギーによってマイクロカプセルが破壊され、ジアゾニウム塩化合物とカプラーとが結合してイエローに発色する。
【００１７】
各印画ヘッド１６ａ〜１６ｃは、矢印Ａ方向に搬送される記録紙１０に対して、イエロー感熱発色液、マゼンタ感熱発色液、シアン感熱発色液をそれぞれ吐出する。印画時には、印画する画像データに応じたサイズおよび数量の感熱発色液の液滴を記録紙１０に塗布する。
【００１８】
図１において、印画ヘッド１７の矢印Ａ方向の下流側には、ヒータ１７が設けられている。このヒータ１７は、印画ヘッド１６で感熱発色液が塗布された後の記録紙１０を加熱して、各感熱発色液を発色させる。ヒータ１７の加熱温度は、発色する熱エネルギーが最も大きいシアン感熱発色液を発色させるのに必要な温度に設定されている。
【００１９】
ヒータ１７の矢印Ａ方向の下流側には、長尺の記録紙１０を記録エリア毎にカットするカッタ１８が設けられている。カッタ１８の下流側には、カットされたシート状の記録紙１０を排紙口１９に排出する排紙ローラ対２０が設けられている。
【００２０】
次に、上記実施形態による作用について、図３のフローチャートを参照して説明する。プリント指示がなされると、記録紙１０が給紙ローラ１２によって給紙され、搬送ローラ対１３によって矢印Ａ方向に搬送される。この搬送中に各印画ヘッド１６ａ〜１６ｃが作動して、印画する画像データに応じたサイズおよび数量の各感熱発色液の液滴を記録紙１０に塗布する。
【００２１】
各画像の記録後、ヒータ１７が作動して記録紙１０を加熱し、各感熱発色液を発色させる。加熱発色後の記録紙１０は矢印Ａ方向に所定量搬送され、カッタ１８により記録エリアをカットされる。この記録紙１０の記録済み部分は、排紙ローラ対２０により排紙口１９から排出されて図示しない排紙トレイに順次積層される。
【００２２】
上記のような構成であると、従来のカラー感熱プリンタのように、熱記録後の感熱発色層に光定着を施す必要がなく、高価な部品であるサーマルヘッドや定着ランプを設けなくともよいので、装置のランニングコスト、部品コストの削減が可能である。また、記録紙１０に予め感熱発色層が形成されていないので、記録紙１０の生保存性を考慮する必要がない。
【００２３】
なお、図４に示すように、印画ヘッド３１およびヒータ３２を、記録紙１０の搬送経路を挟んで両側に配置させてもよい。このようにすると、記録紙１０の両面に同時印刷を施すことが可能になる。
【００２４】
【発明の効果】
以上のように、本発明の感熱記録方法および装置によれば、加熱によって特定の色に発色する感熱発色液を、印画する画像データに基づいて記録紙に塗布し、感熱発色液を塗布した後の記録紙を加熱して感熱発色液を発色させるので、装置のランニングコスト、部品コストの削減が可能である。また、記録紙の生保存性を考慮する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明を実施した感熱記録装置の概略構成を示す図である。
【図２】各感熱発色液により形成される感熱発色層の熱感度を示すグラフである。
【図３】感熱記録装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図４】本発明の別の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
２、３０ 感熱記録装置
１０ 記録紙
１６、３１ 印画ヘッド
１７、３２ ヒータ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermal recording method and apparatus for applying to a recording paper based on image data for printing a thermal coloring liquid.
[0002]
[Prior art]
There is known a color thermal printer that performs thermal recording with a thermal head on a color thermal recording paper in which a cyan thermosensitive coloring layer, a magenta thermosensitive coloring layer, and a yellow thermosensitive coloring layer are provided on a support. In this color thermal printer, while the thermal head and the color thermal recording paper are moved relative to each other, first, the yellow thermosensitive coloring layer, which is the uppermost layer, is thermally recorded and irradiated with near-ultraviolet rays of 420 nm to illuminate the yellow image. To settle. Next, thermal recording is performed on the magenta thermosensitive coloring layer by applying higher thermal energy than the yellow thermosensitive coloring layer, and the magenta image is photofixed by irradiating with 365 nm ultraviolet rays. Finally, the cyan thermosensitive coloring layer is thermally recorded with the largest heat energy.
[0003]
Since the color heat-sensitive recording paper has a multilayer structure in which a plurality of heat-sensitive color layers are formed in advance, the conventional color heat-sensitive printer selectively fixes each heat-sensitive color layer. Therefore, the conventional color thermal printer requires two types of fixing lamps for yellow and magenta, and there is a problem that the cost of parts increases. Further, in order to selectively color each thermosensitive coloring layer, the amount of heat generated by the thermal head must be controlled for each thermosensitive coloring layer.
[0004]
In order to solve the above problems, a recording paper on which a cyan thermosensitive coloring layer is formed in advance is used.After the thermal recording / fixing of the cyan image, the magenta thermosensitive coloring layer is applied and dried, and after the thermal recording / fixing of the magenta image, Similarly, an apparatus for applying / drying a yellow thermosensitive coloring layer and thermally recording / fixing a yellow image has been proposed (see Patent Document 1). In this way, light fixing can be performed with one type of fixing lamp, and control of the thermal head can be simplified.
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2000-33721
[Problems to be solved by the invention]
However, the apparatus described in Patent Document 1 is equipped with expensive parts such as a thermal head and a light fixing lamp, which hinders further cost reduction. In addition, since a thermal recording paper having a cyan thermosensitive coloring layer previously formed is used, the quality of the recording paper may be deteriorated depending on the storage environment, and the image quality may be adversely affected by humidity.
[0007]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to provide a thermal recording method and apparatus that can reduce the running cost and component cost of the apparatus and do not need to consider the raw storage stability of the recording paper.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the thermal recording method of the present invention includes a step of applying a thermal coloring liquid that develops a specific color by heating to a recording paper based on image data to be printed, and a thermal coloring liquid. And heating the subsequent recording paper to cause the thermosensitive coloring liquid to develop color.
[0009]
Further, the thermal recording apparatus of the present invention comprises a printing head for applying a thermal coloring liquid that develops a specific color by heating to a recording paper based on image data to be printed, and a recording paper after the thermal coloring liquid is applied. And heating means for developing the heat-sensitive color developing solution by heating.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In FIG. 1, the thermal recording apparatus 2 uses a long recording paper 10 as a recording medium. The recording paper 10 is set in the thermal recording apparatus 2 in the form of a recording paper roll 11 wound in a roll shape. The recording paper roll 11 is rotated by a paper feed roller 12 that is in contact with the outer periphery, whereby the recording paper 10 is fed in the direction of arrow A.
[0011]
In the vicinity of the recording paper roll 11, a pair of conveying rollers 13 that sandwich and convey the recording paper 10 is disposed. The conveyance roller pair 13 includes a capstan roller 14 that is rotationally driven by a conveyance motor (not shown), and a pinch roller 15 that is in pressure contact with the capstan roller 14.
[0012]
A printing head 16 is disposed on the downstream side of the conveying roller pair 13 in the arrow A direction. The print head 16 includes a yellow (Y) print head 16a, a magenta (M) print head 16b, and a cyan (C) print head 16c in order from the upstream side. Each of the print heads 16 a to 16 c records an image line by line on the recording paper 10 while reciprocating in a direction (main scanning direction) orthogonal to the conveyance direction of the recording paper 10.
[0013]
Each of the print heads 16a to 16c stores a thermal coloring liquid that develops yellow, magenta, and cyan when heated. Each thermosensitive coloring liquid is discharged toward the recording paper 10 from discharge nozzles (not shown) provided in the print heads 16a to 16c. In addition, black, dark yellow, light magenta, light cyan, etc. may be added as the thermosensitive coloring liquid. As a means for discharging the thermosensitive coloring liquid, a known discharge means can be used.
[0014]
The cyan thermosensitive coloring liquid is obtained by mixing a thermoresponsive microcapsule encapsulating an electron-donating dye precursor and an electron-accepting compound in a binder made of gelatin or the like. As shown in FIG. 2, in the cyan thermosensitive coloring layer formed by the cyan thermosensitive coloring liquid, the microcapsules are destroyed by the thermal energy within the range of 80 to 95 mJ / mm 2 , and the electron accepting compound penetrates into the microcapsules. When combined with an electron-donating dye precursor, it develops cyan.
[0015]
The magenta thermosensitive coloring solution is a mixture of thermoresponsive microcapsules encapsulating a diazonium salt compound and a coupler in a binder made of gelatin or the like. In the magenta thermosensitive coloring layer formed by the magenta thermosensitive coloring liquid, the microcapsules are broken by the thermal energy within the range of 45 to 65 mJ / mm 2 , and the diazonium salt compound and the coupler are combined to develop magenta.
[0016]
The yellow thermosensitive coloring liquid is a mixture of a thermoresponsive microcapsule encapsulating a diazonium salt compound and a coupler in a binder made of gelatin or the like. In the yellow thermosensitive coloring layer formed by the yellow thermosensitive coloring liquid, the microcapsules are broken by the thermal energy within the range of 25 to 35 mJ / mm 2 , and the diazonium salt compound and the coupler are combined to develop yellow.
[0017]
Each of the print heads 16a to 16c discharges a yellow thermosensitive color developing solution, a magenta thermosensitive color developing solution, and a cyan thermosensitive color developing solution to the recording paper 10 conveyed in the arrow A direction. At the time of printing, droplets of thermal coloring liquid having a size and quantity corresponding to the image data to be printed are applied to the recording paper 10.
[0018]
In FIG. 1, a heater 17 is provided on the downstream side of the printing head 17 in the direction of arrow A. The heater 17 heats the recording paper 10 after the thermal coloring liquid is applied by the printing head 16 to cause each thermal coloring liquid to color. The heating temperature of the heater 17 is set to a temperature necessary for color development of the cyan thermosensitive coloring liquid having the largest color heat energy.
[0019]
On the downstream side of the heater 17 in the arrow A direction, a cutter 18 for cutting the long recording paper 10 for each recording area is provided. A paper discharge roller pair 20 for discharging the cut sheet-like recording paper 10 to a paper discharge port 19 is provided on the downstream side of the cutter 18.
[0020]
Next, the effect | action by the said embodiment is demonstrated with reference to the flowchart of FIG. When a print instruction is issued, the recording paper 10 is fed by the paper feed roller 12 and conveyed in the direction of arrow A by the conveyance roller pair 13. During this conveyance, the printing heads 16a to 16c are operated to apply droplets of the thermal coloring liquids of the size and quantity corresponding to the image data to be printed onto the recording paper 10.
[0021]
After the recording of each image, the heater 17 is operated to heat the recording paper 10 so that each thermosensitive coloring liquid is colored. The recording paper 10 after the color development by heating is conveyed by a predetermined amount in the direction of arrow A and the recording area is cut by the cutter 18. The recorded portion of the recording paper 10 is discharged from a paper discharge port 19 by a paper discharge roller pair 20 and is sequentially stacked on a paper discharge tray (not shown).
[0022]
With the above-described configuration, unlike the conventional color thermal printer, there is no need to light-fix the thermal coloring layer after thermal recording, and it is not necessary to provide expensive thermal heads and fixing lamps. It is possible to reduce the running cost and parts cost of the device. Further, since the thermosensitive coloring layer is not formed on the recording paper 10 in advance, it is not necessary to consider the raw storability of the recording paper 10.
[0023]
As shown in FIG. 4, the print head 31 and the heater 32 may be arranged on both sides of the conveyance path of the recording paper 10. In this way, simultaneous printing can be performed on both sides of the recording paper 10.
[0024]
【The invention's effect】
As described above, according to the thermal recording method and apparatus of the present invention, after applying the thermal coloring liquid that develops a specific color by heating to the recording paper based on the image data to be printed, This recording paper is heated to develop the color of the thermosensitive coloring liquid, so that the running cost and component cost of the apparatus can be reduced. In addition, it is not necessary to consider the raw storability of the recording paper.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a schematic configuration of a thermal recording apparatus embodying the present invention.
FIG. 2 is a graph showing the thermal sensitivity of a thermosensitive coloring layer formed by each thermosensitive coloring solution.
FIG. 3 is a flowchart showing an operation procedure of the thermal recording apparatus.
FIG. 4 is a diagram showing another embodiment of the present invention.
[Explanation of symbols]
2, 30 Thermal recording apparatus 10 Recording paper 16, 31 Print head 17, 32 Heater
