JP2004195152A - 咬合面形状計測及び運動再現装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スリット状の照射光を測定範囲に向けて照射する照射部3と、測定範囲内の光切断線を受光する受光部2と,被計測体を測定範囲に保持又は誘導するテーブル部1ととを有する咬合面形状計測装置において,照射部及び受光部に対してテーブル部が一方向に移動する。照射部の照射方向と受光部の受光方向の相対角度が5〜100度の範囲である。該咬合面形状計測装置において得られた形状データを位置データと重ね合せる重合機構、及び/又は咬合面形状計測装置において得られた形状データを静止データ又は運動データと連動させる連動機構を有する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科医療分野において患者から採得した歯列模型の咬合面形状を3次元データとして計測する咬合面形状計測装置に関するものである。
また本発明は、歯科医療分野において咬合面形状計測装置を用いて計測した咬合面形状データを任意の顎位・顎運動データと重合及び/又は連動させることによって、咬合時における歯牙の接触や咬合状態を再現する、及び/又は、咀嚼運動時等の下顎の向き、方向及び速度を再現する形状標点位置運動模擬再現装置に関するものである。
さらに本発明は、歯牙の咬合状態や咀嚼等の運動を観察することによって、顎口腔機能異常等の治療の支援に用いられる形状標点位置運動模擬再現装置に関するものである。さらに本発明は、歯牙の咬合状態や咀嚼等の運動を患者に説明する患者へのインフォームドコンセントに用いられる形状標点位置運動模擬再現装置に関するものである。また本発明は、歯科矯正分野において歯牙の経時的位置変化を再現する形状標点位置運動模擬再現装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に歯科医療分野において、咬合に異常がある場合、顎関節症を引き起こすことがあるため、スプリント療法や義歯の装着及び歯列矯正等の咬合治療が行われ、術前や経過観察時の咬合に関する形態的、機能的状態を把握することが重要である。
従来、咬合を診査する方法としては、咬合紙による方法、診断用模型による方法、また器具を用いての視診による方法等がある。咬合紙による方法は、患者に咬合紙を噛ませることにより、咬合接触部位に相当する歯列に色素を付着させ、この色素の付着部位及び咬合紙の色の抜け方によって咬合接触状態を判定する。また診断用模型による方法では、上下顎模型を作製し、歯列状態を視診したり、咬合器に装着させて早期接触や咬頭干渉の部位の確認などのシミュレーションを行なうことにより、咬合接触状態を判定する。
【0003】
しかし、歯牙の経時的位置変化等の診査は視診で行うため、歯牙の位置や方向等の定量的な変化を確認することは困難である。また一般の咬合器は単純な開閉運動、側方又は前方の滑走運動しか再現できず、咀嚼運動や習慣性開閉口運動等の顎運動を再現することができないため、正確な干渉部位の確認を行うことができない。さらに実際の咬合時は閉口であることから、口腔内での咬合の観察は著しく困難である。
【0004】
そこで近年では、これらの問題を解決するために、咀嚼運動や習慣性開閉口運動等の顎運動を再現する装置の発明が行われている。
例えば、特開2000−107207号公報には、上顎モデルに対する相対的な下顎モデルの動きをパラレルメカニズムにより6自由度で再現させる顎運動シミュレート方法が紹介されている。しかしコンピュータ上ではなく実物の下顎モデルを6自由度で動かすため、咬合時には上下顎モデルが閉口した状態になり、咬合接触を観測することは極めて困難である。
【0005】
また、3次元データで構成された頭蓋骨データを顎運動データと連動させて表示し、顎運動を再現する装置が市販されている。しかし歯列形状データについては顎運動データを測定した同一患者の歯列形状データではないため、正確な咬合接触を観測することはできない。さらにこれらの装置及び方法では、歯列模型形状の計測を行わないため、定量的な歯牙の位置や方向等の定量的な変化を確認することは困難である。
これらの問題点を解決する更なる発明として歯列模型を3次元データとして計測を行い、顎運動データと連動させることによって顎運動を再現する装置又は方法が紹介されている。
【0006】
例えば、特開平9−238963号公報には、患者の歯列又は顎提の任意の複数点の咀嚼運動軌跡を計測した運動データと、患者の歯列又は顎堤の石膏模型を3次元計測した形状データを同一座標系で一致させ、運動データに基づいて形状データを運動させる顎運動シミュレーション方法が紹介されている。
また補綴学会誌44巻6号には、レーザ式三次元歯列模型測定装置によって測定したデータと、市販されている6自由度下顎運動計測装置からのデータを基に、上下顎歯列咬合面の相対的運動奇跡を経時的に再現する装置について紹介されている。
【0007】
しかし、これらの方法及び装置では顎運動データについては顎運動測定器で測定した顎運動データを用いるが、歯列模型を計測する装置としては、専用の歯列模型計測器ではなく、一般の3次元形状計測装置を用いている。しかし歯列状態や咀嚼運動時の咬合状態等を確認するには、咬合面形状のデータのみで良く不必要な部分の計測も行われるため、膨大なデータ量となり演算処理等が複雑となる。また、計測装置自体が大型であり、非常にコスト高である。
【0008】
また歯列模型の咬合面形態を計測する3次元形状計測装置としては、例えば、特開平8−327338号公報には、被測定物からの反射光像の幅及び最大輝度が所定範囲内にあるか否かを検知し、測定不能を示す信号が出力された相対位置に対して位置関係を修正し再測定を行うことにより、被測定物の被測定面の傾きに起因する測定誤差を低減し、安定して高い精度で測定することを目的とした3次元形状測定装置が紹介されている。
【0009】
また例えば、特開平9−178437号公報には、被計測物(歯模型)は相異なる2つの姿勢で取り付けられ、それぞれ回転軸まわりの複数の回転位置に支持台により設定されることにより、被計測物の3次元形状を光の不可視領域なく正確に計測することを目的とした3次元計測装置が紹介されている。
しかしこれらの計測装置は歯科補綴物の製作や石膏模型のディジタルデータ化を目的としているため、石膏模型の咬合面形状だけでなく、石膏模型全体を計測する必要があり、不可視領域をなくすために石膏模型の姿勢を変えて計測を行うため、移動機構を複数有した構成となっており、構造が複雑になり装置が大型化するだけでなく、保守管理が複雑になりコスト高になることは避けられない。また移動機構を制御するために多くの演算部が必要となり、計測に多大な時間を費やすだけでなく、データ量が膨大になり演算処理が複雑となる。さらに特開平9−178437号公報に関しては、1回の計測で1個の被計測物しか計測できないため、複数の被計測物の計測を行う場合、被計測物を交換する必要があり作業性が悪くなる。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−107207号公報
【特許文献2】
特開平9−238963号公報
【特許文献3】
特開平8−327338号公報
【特許文献4】
特開平9−178437号公報
【非特許文献1】
補綴学会誌44巻6号
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
石膏模型の咬合面形態を短時間で計測でき、咬合面形態の測定を目的としているためデータ数も少なく演算処理が簡略化でき、構造的に可動部分を減らし小型化した咬合面形状計測装置は今日ではなかった。
咬合面形状計測装置を用いて計測した形状データと、同一患者から計測した顎位・顎運動データを口腔内及び/又は口腔外で計測した標点を基準として形状データを顎位・顎運動データに重合又は連動させることによって咬合時における歯牙の接触や咬合状態、又は咀嚼運動時の下顎の向き、方向及び速度を再現する形状標点位置運動模擬再現装置は今日までなかった。また歯牙の接触や咬合状態、又は歯牙の経時的位置変化を同一患者のデータで正確に再現でき、患者が容易に口腔内の観察を行うことが可能な形状標点位置運動模擬再現装置は今日までなかった。
【0012】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、スリット状の照射光を測定範囲に向けて照射する照射部と、測定範囲内の光切断線を受光する受光部と、被計測体を測定範囲に保持又は誘導するテーブル部とを有する咬合面形状計測装置において、照射部及び受光部に対してテーブル部が一方向に移動することを特徴とする咬合面形状計測装置である。
本発明は、照射部の照射方向と受光部の受光方向の相対角度が5〜100度の範囲であることを特徴とする咬合面形状計測装置である。
【0013】
本発明は、受光部の受光方向がテーブル部の垂線に対して10〜30度であることを特徴とする咬合面形状計測装置である。
本発明は、テーブル部に複数の被計測体を設置できることを特徴とする咬合面形状計測装置である。
本発明は咬合面形状計測装置において得られた形状データを位置データと重ね合せる重合機構、及び/又は咬合面形状計測装置において得られた形状データを静止データ又は運動データと連動させる連動機構を有することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
【0014】
本発明は、形状データが上顎データ及び下顎データであって、連動機構によって、上顎データ及び下顎データの相対的な移動速度を視覚的報知することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
本発明は、形状データが上顎データ及び下顎データであって、連動機構によって、上顎データ及び下顎データが重なり合う部分及び/又は接触する部分を視覚的報知することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
【0015】
本発明は、形状データが複数の上顎データ又は下顎データであって、重合機構によって、上顎データ又は下顎データの経時的位置変化を視覚的報知することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
本発明は、ある単数又は複数の物体について、その物体の位置データ、静止データ、又は運動データが、任意の座標系Aを基準として与えられ、かつ同じ物体又はその模型の形状データが任意の座標系Bを基準として与えられた場合に、これらのデータを記憶演算し、任意の座標系Cを基準としてこれら単数又は複数の物体の3次元形状及び運動を同時に表現する形状標点位置運動模擬再現方法である。
【0016】
本発明は、上顎又は下顎の歯列模型上の計測咬合面に対応する生体上の生体計測咬合面上における同一直線状にない少なくとも3点以上の上顎口腔内生体標点又は下顎口腔内生体標点の座標が外部より与えられた場合に、計測咬合面データ上でこれら上顎口腔内生体標点又は下顎口腔内生体標点に対応する歯列模型の上顎模型標点又は下顎模型標点を術者が指定できることを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
【0017】
本発明は、上顎又は下顎の歯列模型上の計測咬合面に対応する生体上の生体計測咬合面上における同一直線状にない少なくとも3点以上の上顎口腔内生体標点又は下顎口腔内生体標点、又は生体上の同一直線上にない少なくとも3点以上の口腔外生体標点の任意の座標系から見た座標が外部より与えられた場合に、形状データ、静止データ及び運動データを、上顎口腔内生体標点3点によって決まる上顎口腔内生体標点座標系か、下顎口腔内生体標点3点によって決まる下顎口腔内生体標点座標系、及び口腔外生体標点3点によって決まる口腔外生体座標系に変換することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
【0018】
本発明は、記憶した複数の計測咬合面データを該任意の座標系又は口腔外生体座標系又は上顎口腔内生体標点座標系又は下顎口腔内生体標点座標系を基準に、位置関係の解析を行い、解析結果を表示することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置である。
【0019】
【発明実施の形態】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について具体的に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
咬合面形状計測装置の形態について説明する。
本発明の1形態としては、開閉部を有する筐体内に照射部、受光部、及びテーブル部が設置された計測室を備えていることが好ましく、照射部から照射されるスリット状の照射光をテーブル部によって測定範囲に保持又は誘導された被計測体に照射することによって被計測体表面に光切断線を生じさせ、光切断線を受光部で撮像し、撮像データから3次元座標を算出する光切断法を基本としている。
【0020】
以下に各構成について、説明する。
照射部は、スリット状の照射光を測定範囲に向けて照射する機構を有している。
また照射部は、スリット状の照射光を生成する機構を有している。スリット状の照射光を生成する方法においては、例えば光源から照射された光に、シリンドリカルレンズやスリットマスク、又はポリゴンミラーを用いることによってスリット状の照射光を生成する方法があるが、好ましくはシリンドリカルレンズを用いる方法である。更に光源においても、半導体レーザやライン状のレーザダイオードを使用しても良いが、好ましくは半導体レーザが好ましく、更に好ましくは赤色半導体レーザである。最も好ましいのは635〜670nmの波長の赤色半導体レーザ光である。
更に照射部から発光されるスリット状の照射光は連続的に照射されることが好ましいが、更に好ましくは、開閉部の開放時はスリット状の照射光を消灯するように連動されていることが好ましい。
【0021】
スリット状の照射光とは、照射部によって生成され、測定範囲に向けて照射される面状の光のことであり、スリット幅は0.1〜1.0mmが好ましい。更に好ましくは0.1〜0.3mmである。
測定範囲とは受光部が撮像できる空間であり、好ましくは照射部から照射されたスリット状の照射光によって被計測体に生じる光切断線を受光部が撮像できる空間である。また、測定範囲は照射部の照射方向と受光部の受光方向の交点を中心に配置されていることが好ましい。
受光部は、受光素子及びレンズで構成されており、測定範囲内の被測定体に生じた光切断線を受光する機構を有している。受光部が有する受光素子としてPSDやCCD素子等を使用することができるが、好ましくはCCD素子であり、更に好ましくは2次元CCD素子である。また、受光部が有するレンズは、受光素子の受光面全体で被計測体が撮像できる焦点距離を有するものが好ましく、さらに好ましくは受光量を調節できる機構を有したものが良い。
【0022】
照射部の照射方向とは、照射部が有する光源の中心を通り、照射部から照射されるスリット状の照射光面に平行な直線である。
受光部の受光方向とは、受光部が有する受光素子の受光面の中心を通り、受光面の法線上の直線である。
照射部と受光部の設置位置は、照射部の照射方向と受光部の受光方向が平行であり、その相対角度が、5〜100度の範囲が好ましい。更に好ましくは20〜40度の範囲が良く、最も好ましい角度は25〜35度の範囲が良い。
また受光部の受光方向がテーブル部の模型台の法線に対して10〜30度であることが好ましく、更に好ましいのは15〜25度である。
【0023】
テーブル部は被計測体を設置又は固定する模型台と模型台を保持又は移動させる駆動部を備え、被計測体を測定範囲に保持又は誘導する機構を有している。
模型台は複数の被計測体が設置できることが好ましい。
駆動部は例えばボールねじとリニアガイドを組み合わせた構成や、ベルトを掛けることによってテーブルを移動させる構成があるが、好ましくはモータと連結したボールねじを回転させることによって、リニアガイドに沿って被計測体を測定範囲に保持又は誘導する移動機構を有したものが良い。またモータはステッピングモータが好ましい。
テーブル部の移動方式は、1軸の直動方式や回転方式、又はそれらを組み合わせた多軸方式でも良いが、好ましくは1軸の直動方式が好ましい。
またテーブル部は計測時に相対移動することが好ましい。
【0024】
被計測体は、テーブル部によって測定範囲に保持又は誘導される物体であり、本発明においては石膏模型や顎堤がこれにあたる。被計測体の上方面とテーブル部の模型台面は平行であることが好ましい。
開閉部とは、筐体中の一部を切り欠き、計測室内部に被計測体の出し入れができれば良く、好ましくは切り欠いた部分がヒンジで接合されていることが好ましく、更に好ましくは扉状になっていることが好ましい。
開閉方法においても、ヒンジに限定することなく、何を用いても良いが、スライド式、扉式、片開き式、両開き式、引き出し式などを採用することができる。
【0025】
計測室は、筐体内に位置し、照射部、受光部、及びテーブル部で構成されていることが好ましい。また開閉部内壁、及び計測室内を構成する部分は、外乱光やスリット状の照射光の反射を防ぐ為に、黒色処理することが好ましい。
筐体とは、各構成を関連付けるものであり、この筐体内に本発明の構成要素が装着される。筐体とは、咬合面形状計測装置に使用する種々の部品が設置できれば良く、特に定められた形態をする必要はないが、好ましくは小型である。
【0026】
次に形状標点位置運動模擬再現装置の形態について説明する。
形状データとは、本発明の咬合面形状計測装置において計測、算出された被計測体の3次元形状データであり、3次元座標値又は画像で表示される。好ましくは上顎又は下顎の歯列模型上の計測咬合面を計測、算出した計測咬合面データである。
計測咬合面とは、本発明の咬合面形状計測装置において計測される患者の上顎又は下顎の歯列模型上の咬合面である。
また生体計測咬合面とは、生体の上顎又は下顎の咬合面である。
上顎データとは、上顎の計測咬合面データであり、下顎データとは、下顎の計測咬合面データである。
【0027】
静止データとは、ある物体の3次元位置と3次元方向を表す6次元位置方向データであり、好ましくは顎運動測定器で測定した上顎又は下顎の任意の顎位データである。
物体とは、運動計測装置で計測される被計測体であり、好ましくは、患者の上顎又は下顎であることが好ましく、更に好ましくは、患者の上下顎歯列、又は上下顎歯列の一部である。
運動データとは、静止データが時系列に沿って位置方向を表す6次元運動データであり、6次元座標値、軌跡図又はグラフで表示される。好ましくは顎運動測定器で測定した上顎又は下顎の顎運動データであり、更に好ましくは上下顎歯列又は上下顎歯列の一部の顎運動データである。
位置データとは、ある物体の特定の位置を表す3次元位置データであり、3次元座標値で表示される。好ましくは生体計測咬合面上における上顎口腔内生体標点、下顎口腔内生体標点、又は生体上の口腔外生体標点であり、又は歯列模型の計測咬合面上における上顎模型標点又は下顎模型標点である。
【0028】
上顎口腔内生体標点とは、上顎の生体計測咬合面上における同一直線上にない少なくとも3点以上の位置データである。この3点は上顎の生体計測咬合面上であればどの特定点でも良いが、好ましくは上顎中切歯の近心切端隅角の中点と上顎左右第一大臼歯の窩点の3点である。
下顎口腔内生体標点とは、下顎の生体計測咬合面上における同一直線上にない少なくとも3点以上の位置データである。この3点は下顎の生体計測咬合面上であればどの特定点でも良いが、好ましくは下顎中切歯の近心切端隅角の中点と下顎左右第一大臼歯の窩点の3点である。
口腔外生体標点とは、生体上の同一直線上にない少なくとも3点以上の位置データである。この3点は生体上であればどの特定点でも良いが、好ましくは左右顆頭点や眼窩下点、又は鼻翼下縁点である。
【0029】
上顎模型標点とは、生体計測咬合面上の上顎口腔内生体標点に対応する上顎歯列模型の計測咬合面上の点である。
下顎模型標点とは、生体計測咬合面上の下顎口腔内生体標点に対応する下顎歯列模型の計測咬合面上の点である。
【0030】
連動機構とは、形状データを運動データに基づいて時系列に表示させる機構である。好ましくは形状データを顎位、又は顎運動データに基づいて、計測咬合面形状を計測咬合面の位置、又は方向、又は運動とともに表示させることが好ましい。また、形状データ及び運動データは同一患者のデータであることが好ましい。
重合機構とは、形状データと位置データの3次元座標を重ね合わせる機構である。好ましくは、形状データ上で上顎口腔内生体標点又は下顎口腔内生体標点に対応する上顎模型標点又は下顎模型標点の座標を一致させることが好ましく、更に好ましくは上顎模型標点又は下顎模型標点を術者が指定できることが好ましい。
視覚的報知の好ましい形態としては、ディスプレイ上に画像、グラフ又は座標値で表示することが好ましい。
物体の咬合形状計測装置、あるいは物体の運動計測装置は従来より発表・製造・発売・利用されているが、物体が運動した状態で、形状計測と運動計測を同時に計測する装置は実現困難であるし、形状と運動を別の時刻に計測するにしても、同一の計測座標系、つまり同一の計測系の計測範囲に物体を保ちつつ計測する装置は物体によっては実現困難か又は大規模な装置となる。本発明は、形状計測装置と運動計測装置が別の装置として分離しており、形状計測と運動計測が互いに別の任意時刻又は任意地点で分離して測定される場合に、物体の形状と運動を再現するための装置として発明したものである。
【0031】
この場合、形状計測装置における基準座標系である形状計測座標系と、運動計測装置における基準座標系である運動計測座標系の間には、位置方向に関する6自由度の任意性が存在する。運動計測においては、物体を剛体と見なして物体中の特定の代表点を原点とし物体中の特定の代表方向を座標軸の方向とする物体座標系を設定し、物体の運動は運動計測座標系の中での物体座標系の原点の運動と座標軸の回転角の運動、つまり物体座標系の運動と見なすことと理論的に同値である。つまり、運動計測データには形状に関わるデータは入る余地が無い。
【0032】
一方、物体の形状と運動を再現するということは、特定又は任意の座標系を基準に、物体の形状データを再現し、その物体の代表点代表方向データを物体の形状データ中に再現し、代表点代表方向の運動として物体の形状ごと運動データを再現しなければならない。そのために、運動計測の際に物体の形状に基づく少なくとも3つの標点の座標を運動計測座標系を基準に計測し、形状計測の際に同じ3つの標点の座標を形状計測座標系を基準に計測すれば、物体座標系を基準にしたときにこの3つの標点は同じ座標値として一致する。このことを利用して、任意座標系中で物体の形状と運動を再現しようとするものである。
この場合に、運動計測時の物体の3つの標点の座標から物体座標系データ(位置と方向)を運動計測座標系で算出し、形状計測時の物体の3つの標点の座標から物体座標系データ(位置と方向)を形状計測座標系基準で算出する。
【0033】
物体の形状運動の再現は次の手順で行うことができる。まず、物体座標系に対して任意座標系データ(位置と方向)を設定する。次に形状計測座標系基準の物体座標系データ(位置と方向)を用いて、形状データを形状計測座標系基準から物体座標系基準の表現に変換する。次に物体座標系基準の任意座標系データ(位置と方向)を用いて、形状データを物体座標系基準から任意座標系基準の表現に変換する。これで任意座標系中に物体座標系が設定され、物体の形状データが再現されたことになる。
次に、運動計測座標系基準の運動データ(時系列に並べた複数の物体の位置と方向のデータ)を物体座標系の運動データ(位置と方向)表現に変換する。(これは運動計測装置内で行われる場合も考えられる。)次に、個々の物体座標系の運動データから物体運動計測座標系基準から物体基準座標系にすると、逆に任意の座標系中に物体座標系を静止状態で再現できる。
【0034】
以下に本発明の咬合面形状計測装置の実施方法について説明する。
本発明の咬合面形状計測装置は、照射部から照射されるスリット状の照射光をテーブル部によって測定範囲に保持又は誘導された被計測体に照射することによて被計測体表面に光切断線を生じさせ、その光切断線を受光部で撮像し、撮像データから3次元座標を算出する装置である。
計測時は、先ず、患者の口腔内から採得した上顎及び下顎の石膏模型をテーブル部に備えられた模型台に設置する。次にテーブル部に備えられた駆動部によってある一定の間隔で移動させ、測定範囲に上顎及び下顎の石膏模型を誘導し、
照射部から照射されるスリット状の照射光により生じた石膏模型表面の光切断線を受光部で撮像し、上顎及び下顎の咬合面形状の3次元座標を算出する。
次に本発明の形状標点位置運動模擬再現装置の実施方法について説明する。
咬合面形状計測装置によって得られた上顎及び下顎の形状データとが顎運動測定器によって得られた顎運動データから、上顎口腔内生体標点と上顎模型標点、下顎口腔内生体標点と下顎模型標点を一致させることにより、上下顎の咬合面形状データを顎運動データに基づいて時系列に表示させる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の咬合面形状計測装置は、咬合面形態を計測することを目的としているためデータ数も少なく演算処理が簡略化でき、構造的にも可動部分を減らし小型化できると共に、一度に複数の石膏模型の咬合面形態を計測できるため、作業性良く短時間で計測することができる。
本発明の咬合面形状計測装置で計測した形状データと同一患者から計測した顎位・顎運動データを口腔内及び/又は口腔外で計測した標点を基準として重合又は連動させることによって歯牙の接触や咬合状態、又は咀嚼運動時の下顎の向き、方向及び速度を再現できると共に、歯牙の経時的位置変化を正確に再現できるため、容易に口腔内の観察を行うことが可能である。
【0036】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の咬合面形状計測装置の斜視図
【図2】本発明の咬合面形状計測装置で得られた上顎及び下顎データ
【符号の説明】
1テーブル部
2受光部
3照射部
4上顎データ
5下顎データ
Claims (8)
- スリット状の照射光を測定範囲に向けて照射する照射部と、測定範囲内の光切断線を受光する受光部と、被計測体を測定範囲に保持又は誘導するテーブル部とを有する咬合面形状計測装置において、照射部及び受光部に対してテーブル部が一方向に移動することを特徴とする咬合面形状計測装置。
- 照射部の照射方向と受光部の受光方向の相対角度が5〜100度の範囲であることを特徴とする請求項1記載の咬合面形状計測装置。
- 受光部の受光方向がテーブル部の垂線に対して10〜30度であることを特徴とする請求項2記載の咬合面形状計測装置。
- テーブル部に複数の被計測体を設置できることを特徴とする請求項1〜3記載の咬合面形状計測装置。
- 咬合面形状計測装置において得られた形状データを位置データと重ね合せる重合機構、及び/又は咬合面形状計測装置において得られた形状データを静止データ又は運動データと連動させる連動機構を有することを特徴とする形状標点位置運動模擬再現装置。
- 形状データが上顎データ及び下顎データであって、連動機構によって、上顎データ及び下顎データの相対的な移動速度を視覚的報知することを特徴とする請求項5記載の形状標点位置運動模擬再現装置。
- 形状データが上顎データ及び下顎データであって、連動機構によって、上顎データ及び下顎データが重なり合う部分及び/又は接触する部分を視覚的報知することを特徴とする請求項5〜6記載の形状標点位置運動模擬再現装置。
- 形状データが複数の上顎データ又は下顎データであって、重合機構によって、上顎データ又は下顎データの経時的位置変化を視覚的報知することを特徴とする請求項5〜7記載の形状標点位置運動模擬再現装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002383341A JP4191994B2 (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 咬合面形状計測及び運動再現装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP2002383341A JP4191994B2 (ja) | 2002-12-16 | 2002-12-16 | 咬合面形状計測及び運動再現装置 |
Publications (2)
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