【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミック製の転動体を備える転動装置に係り、特に、半導体,液晶パネル,ハードディスク等(以降は「半導体等」と記す)の製造行程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等に組み込まれる転動装置のように、水又は各種洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような環境下又はドライ環境下において好適に使用される転動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受,リニアガイド装置,ボールねじ等の転動装置の潤滑は、一般に、潤滑油,グリース等の潤滑剤を転動装置の内部に封入する等の方法によって行われている。
例えば、実開昭55−34002号公報や実開昭57−56218号公報には、軸受内部空間に充填された潤滑油又はグリースによって潤滑を行うとともに、接触形シール部材やラビリンスシールによって水等が軸受内部へ侵入することを防止した転動装置が記載されている。
【0003】
また、特公平8−26891号公報及び特許第2709119号公報には、耐食性材料製の軌道輪と、硬質カーボン製の転動体と、自己潤滑性材料製の保持器と、を備えた転動装置が記載されている。そして、特公平8−26891号公報に記載の転動装置が備える保持器は、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)で構成されており、特許第2709119号公報に記載の転動装置が備える保持器は、直径が2μm以下のチタン酸カリウムウィスカーを含有するエチレンテトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)で構成されている。このような転動装置においては、転動体と保持器との摩擦接触により、保持器を構成する自己潤滑性材料が転動体や軌道輪に移着し薄い潤滑膜を形成し、該潤滑膜によって潤滑が行われる。
【0004】
一方、転動装置には、従来から、その転動体をセラミックで構成したものがある。
セラミック製転動体は、通常は、セラミック粉末を加圧し高温下で焼結成形することにより製造されている。そして、機械的強度が高くなるように、焼結成形時に内部に気孔、すなわちポアが形成されないように製造される。
【0005】
例えば、特開昭63−101519号公報には、窒化ケイ素を主成分とする材料を焼結して製造したセラミック製転動体が記載されている。このセラミック製転動体は、以下のような手順で製造される。まず、窒化ケイ素粉末及び焼結助剤を、例えば平均粒径1.0μm以下に粉砕して混合し、それに溶剤を加えて混練して平均粒径100〜150μmに造粒する。そして、この造粒粉を金型に充填しプレスすることにより成形体を得る。この成形体を脱脂した後、常圧焼結処理、さらには等方加圧焼結処理(HIP法)を施し、得られた焼結体にバレル研磨等を施して表面を仕上げる。
【0006】
また、特開2000−9146号公報には、ある程度大きなポアが存在するセラミック製(窒化ケイ素製)転動体が記載されている。このセラミック製転動体の製造手順は、上記のものとほぼ同様であるが、常圧焼結処理とHIP法の代わりに、窒素ガス雰囲気下,約1800℃,10気圧未満の圧力,処理時間4時間という条件の焼結処理を施す。
【0007】
【特許文献1】
実開昭55−34002号公報
【特許文献2】
実開昭57−56218号公報
【特許文献3】
特公平8−26891号公報
【特許文献4】
特許第2709119号公報
【特許文献5】
特開昭63−101519号公報
【特許文献6】
特開2000−9146号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開昭55−34002号公報に記載の転動装置は、軸受の作動に伴ってシールリップ部の摩耗が進行するので、軸受内部に水等が侵入し潤滑剤(グリース)が軟化,劣化して、潤滑剤の潤滑性が著しく低下するおそれがあった。この転動装置は保持器が自己潤滑性を有さない金属材料で構成されているため、前述のように潤滑性が低下すると、保持器と転動体等との接触面において金属材料同士の直接接触が生じて、軸受の寿命が極端に短くなる場合があるという問題があった。
【0009】
また、前述のように軸受内部に水等が侵入してグリースが軟化すると軸受外部への漏出や飛散が著しく増加するため、転動装置の外部環境を汚染するという問題点を有していた。特に、前記半導体等の製造工程においては、ウエハ,ガラス基板,アルミ基板に、軸受から漏出したグリース等のゴミや不純物が付着すると、欠陥,短絡等の不良の原因となるおそれがある。
【0010】
また、実開昭57−56218号公報に記載の転動装置はラビリンスシールを備えているが、ラビリンスシールのすきま空間から水等が侵入してグリースが軟化,劣化して、実開昭55−34002号公報の場合と同様の問題を生じるおそれがあった。
さらに、特公平8−26891号公報や特許第2709119号公報に記載の転動装置は潤滑油又はグリースを使用していないから、転動装置の外部環境を汚染するという心配はない。しかしながら、特公平8−26891号公報に記載の転動装置は、2つの軌道輪の間の転動体が備えられた空間に水を導入する開口部を備えており、また、特許第2709119号公報に記載の転動装置は、非接触形のシールド板を備えているので、水,各種洗浄液あるいは微細なゴミ,研磨粉,摩耗粉等は、前記開口部や前記シールド板とこれに対向する面との間を通って軸受内部に侵入するおそれがある。
【0011】
この両転動装置の転動体は硬質カーボン製であり、硬質カーボンの硬さは軌道輪の1.5倍以上であるが、硬質カーボンは強度が低いので、軽荷重条件(動等価荷重が基本動定格荷重の10%以下となるような荷重条件)以外の場合、例えば、衝撃的な荷重が負荷した場合や微細なゴミ,研磨粉,摩耗粉等が侵入した場合等には、硬質カーボン製の転動体が破損するおそれがある。破損が生じるとその破片を噛み込んでしまい、軸受の寿命が極端に短くなるおそれがある。
【0012】
また、水や各種洗浄液が軸受内部に侵入すると、転動体と保持器との摩擦接触によって保持器の構成材料が転動体等へ移着することが阻害されて、潤滑膜が十分に形成されないので、比較的短時間で軸受のトルクや振動が増大して寿命に至る場合があるという問題があった。
さらに、特公平8−26891号公報に記載の転動装置が備える保持器はポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)で構成されているので、保持器の強度が低く、耐摩耗性に劣る。よって、保持器が異常に摩耗して転動装置から外部環境に大量の粒子が飛散したり、転動装置のトルクが著しく上昇して寿命に至るおそれがあった。
【0013】
一方、特開昭63−101519号公報に記載の方法によれば、内部にほとんどポアを有さない、高強度・高品質なセラミック製転動体を製造できる。しかしながら、1000気圧程度の非常な高圧を負荷するHIP法により製造するので、製造コストが極めて高い。よって、高荷重が負荷され高い信頼性が要求される工作機械等のような用途に、使用が限定されている。
【0014】
これに対して、前記半導体等の製造工程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等に組み込まれる転動装置には、耐摩耗性は要求されるものの、荷重条件が比較的低いので高い耐荷重性は要求されない。したがって、物性的には、HIP法により製造されたセラミック製転動体を使用する必要はなく、しかも、前述のようにHIP法によるセラミック製転動体は高価であるため、前述の各種洗浄装置や食品用機械等のような用途にはほとんど使用されていない。
【0015】
また、特開2000−9146号公報に記載のセラミック製(窒化ケイ素製)転動体は、その表面及び内部に相当円直径3〜30μmのポアを1mm2 当たり100個以上有している。しかし、特開2000−9146号公報には、ポアの個数の上限,ポアの形態と耐摩耗性,潤滑剤の保持性との関連性に関しては何ら記載されていない。相当円直径3〜30μmのポアの1mm2 当たりの個数が100個以上という条件を満たしていたとしても、ポアの個数が多すぎるとセラミック製転動体の表面で微細な脱落や摩耗が生じるため、転動装置の外部環境を汚染するおそれがある。
【0016】
そこで、本発明は、上記のような従来技術が有する問題点を解決し、水又は各種洗浄溶液と接触するような環境下や潤滑不良が生じやすい厳しい潤滑条件下においても摩耗が生じにくく長寿命で、容易に製造可能な転動装置を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転動装置は、回転運動可能又は直線運動可能な可動子と、該可動子を回転運動可能又は直線運動可能に支持する支持体と、前記可動子と前記支持体との間に転動自在に配設されたセラミック製の転動体の複数と、を備えるとともに、動等価荷重が基本動定格荷重の10%以下となるような荷重条件下において使用される転動装置において、前記可動子及び前記支持体の少なくとも一方は、耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物で構成され、前記転動体は1mm2 当たり500〜10000個のポアを有し、全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上であることを特徴とする。
【0018】
なお、本発明においては、相当円直径とは、画像解析等によって求めたポアの断面積Sから、下記式によって求めた直径Dを意味するものである。
D=√(4S/π)
全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上であれば、水や各種洗浄溶液が転動装置の内部に侵入して潤滑条件が厳しくなる環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜や潤滑剤として作用する周囲の水分を、前記ポアに効果的に保持することができる。また、ドライ環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜を、前記ポアに効果的に保持することができる。よって、本発明の転動装置は、前述のような2つの厳しい潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命であり、長期間にわたって安定して作動することができる。
【0019】
全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%未満であると、前述の潤滑膜や水分を保持するポアの数が不十分となるため、転動装置のトルクや振動が短期間で増大し寿命に至るおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合は60%以上であることがより好ましい。
【0020】
また、転動体が1mm2 当たり500〜10000個のポアを有していれば、前述と同様に、水や各種洗浄溶液が転動装置の内部に侵入して潤滑条件が厳しくなる環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜や潤滑剤として作用する周囲の水分を、前記ポアに効果的に保持することができる。また、ドライ環境下においても、可動子,支持体から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜を、前記ポアに効果的に保持することができる。よって、本発明の転動装置は、前述のような2つの厳しい潤滑環境下においても摩耗が生じにくく長寿命であり、長期間にわたって安定して作動することができる。
【0021】
転動体が有するポアの個数が1mm2 当たり500個未満であると、前述の潤滑膜や水分を効果的に保持するポアの数が不十分となるので、転動装置のトルクや振動が短期間で増大し寿命に至るおそれがある。一方、10000個超過であると、クラックが伝播しやすくなるため、摩耗粉が多量に発生したり割れが生じたりして、転動装置が極端に短寿命となったり、摩耗粉により外部環境を汚染したりするおそれがある。
【0022】
以上のように、本発明の転動装置は、実用上十分な耐荷重性を有しており、また、前記半導体等の製造工程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等のような、水又は各種洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような環境下や、ドライ環境下おいても摩耗が生じにくく長寿命である。なお、水又は各種洗浄溶液と接触するような環境とは、例えば、水又は各種洗浄溶液中に浸漬された場合、水又は各種洗浄溶液のミスト中に置かれた場合、あるいは水又は各種洗浄溶液の飛沫が飛散してくるような環境下に置かれた場合等がある。
【0023】
また、本発明に係る請求項2の転動装置は、請求項1記載の転動装置において、前記可動子と前記支持体との間に前記転動体を転動自在に保持する樹脂組成物製の保持器を備えることを特徴とする。
このような構成であれば、可動子,支持体から転動体の表面に樹脂組成物が移着することに加えて、保持器を構成する自己潤滑性に優れる樹脂組成物も転動体の表面に効果的に移着するので、該転動装置の潤滑性がより向上して、より長期にわたって安定して作動可能となる。
【0024】
さらに、本発明に係る請求項3の転動装置は、請求項1又は請求項2に記載の転動装置において、前記転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が15μmを超えるポアの割合が1%以下であり、且つ、前記転動体が有する全てのポアのうち最大のポアの相当円直径が70μm以下であることを特徴とする。
このような構成であれば、クラック発生の起点となりやすい大きなポアの数が少ないので、前記転動体の表面の摩耗や脱落が生じにくい。このことに加えて、樹脂組成物で構成された可動子,支持体,保持器をポアのエッジにより摩耗させることが抑制される。よって、このような転動装置は、転動装置から生じる摩耗粉により外部環境を汚染することが非常に少ないので、前記半導体等の製造工程において使用される各種洗浄装置や食品用機械等に組み込まれる転動装置として特に好適である。
【0025】
前記転動体が有する全てのポアのうち相当円直径が15μmを超えるポアの割合が1%を超えたり、最大のポアの相当円直径が70μmを超える場合には、大きなポアを起点としてクラックが発生,伝播しやすくなり、また、樹脂組成物で構成された可動子,支持体,保持器を大きなポアのエッジにより摩耗させやすい。よって、摩耗粉が多量に発生したり割れが生じたりして、転動装置が極端に短寿命となったり、摩耗粉により外部環境を汚染したりするおそれがある。
【0026】
なお、本発明の転動装置は、転動体をセラミックで構成しているので、耐食性及び耐熱性に優れ、剛性が高い。
また、本発明は、種々の転動装置に適用することができ、例えば、転がり軸受,ボールねじ,リニアガイド装置,直動ベアリング等があげられる。
本発明における前記可動子とは、転動装置が転がり軸受の場合には回転輪、同じくボールねじの場合にはナット、同じくリニアガイド装置の場合にはスライダ、同じく直動ベアリングの場合には外筒をそれぞれ意味する。また、前記支持体とは、転動装置が転がり軸受の場合には固定輪、同じくボールねじの場合にはねじ軸、同じくリニアガイド装置の場合には案内レール、同じく直動ベアリングの場合には軸をそれぞれ意味する。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に係る転動装置の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
この玉軸受1(呼び番号6000,内径10mm,外径26mm,幅8mm)は、内輪2と、外輪3と、内輪2と外輪3との間に転動自在に配設された複数の玉(転動体)4と、複数の玉4を転動自在に保持する樹脂組成物製の保持器5と、を備えている。なお、内輪2が本発明の構成要件たる可動子に相当し、外輪3が本発明の構成要件たる支持体に相当する。
この内輪2及び外輪3は表1に示すような耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物で構成されており、玉4は表1に示すような窒化ケイ素で構成されている。
【0028】
【表1】
【0029】
表1の窒化ケイ素は、それぞれ下記のような方法によって製造されたものである。窒化ケイ素1は常圧焼結法(窒素ガス雰囲気下)により製造されたものであり、窒化ケイ素2は、反応焼結法によって得られた焼結体に焼結助剤の塩溶液を含浸させた後、窒素ガス雰囲気中で8気圧程度の圧力で焼結処理することにより製造されたものである。また、窒化ケイ素3は常圧焼結法(窒素ガス雰囲気下)により製造されたものであり、焼結条件(温度と時間)が窒化ケイ素1とは異なっている。さらに、窒化ケイ素4は窒素ガス雰囲気中で8気圧程度の圧力で焼結処理することにより製造されたものであり、窒化ケイ素5は1000気圧程度のHIP法によって製造されたものであり、ポアの個数が非常に少なく高強度である。
【0030】
このような方法により製造した窒化ケイ素1〜5製の玉について、表面及び内部に存在するポアの相当円直径と個数とを、以下の方法により測定した。
玉の断面を金属顕微鏡を用いて200倍の視野で観察し、その観察面の画像にパーソナルコンピュータを用いて白黒の2値化処理を施した(ポアの部分が白色となるように処理する)。そして、画面上の各ポアの面積を測定し、各々のポアの面積と同じ面積を有する円の直径、すなわち相当円の直径を算出する。このようにして、各玉の断面のポアの相当円直径及び個数を評価した。
【0031】
その結果を表2に示す。表2から分かるように、窒化ケイ素1製の玉及び窒化ケイ素2製の玉は、ポアに関する本発明の前述の条件を全て満たしている。それに対して、窒化ケイ素3製の玉は内部の組織が不均一であり、ポアに関する本発明の前述の条件(1mm2 当たりのポアの個数,相当円直径が15μmを超えるポアの割合,及び最大のポアの相当円直径)を満たしていない。また、窒化ケイ素4製の玉及び窒化ケイ素5製の玉はポアの個数が非常に少なく、ポアに関する本発明の前述の条件(1mm2 当たりのポアの個数)を満たしていない。
【0032】
【表2】
【0033】
次に、内輪2及び外輪3を構成している耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物について説明する。まず、該樹脂組成物の原材料である耐熱性樹脂,繊維状充填材等を一括して示す。
(1)ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS):フィリップスペトローリアム社製ライトンR−6
(2)ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF):呉羽工業株式会社製クレハKFポリマーT−#1000
(3)熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI):三井化学株式会社製オーラム 400
(4)ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK):ビクトレックス社製ビクトレックスPEEK 150G
(5)PEEKとポリベンゾイミダゾール樹脂(PBI)とのブレンド物:ヘキスト−セラニーズ社製セラゾール TU−60
(6)ポリエーテルニトリル樹脂(PEN):出光マテリアル社製ID300
(7)炭素繊維:呉羽化学工業株式会社製クレカチョップM−102S、直径14.5μm,長さ0.2mm
(8)チタン酸カリウムウィスカー:大塚化学株式会社製ティスモD−101、直径0.3〜0.6μm,長さ10〜20μm
(9)アラミド繊維:群栄化学工業株式会社製カイノール繊維KF02BT、直径14μm,長さ0.2mm
(10)微細炭素繊維:昭和電工株式会社製気相法炭素繊維VGCF、直径100〜200nm,長さ10〜20μm
(11)黒鉛:株式会社中越黒鉛工業所製CLX、平均粒径4.5μm
これらの原材料を表1に示すように組み合わせて、慣用の方法で混合し樹脂組成物を得た。配合比率は表1に示す通りである。そして、得られた樹脂組成物を溶融成形することにより、玉軸受の内輪及び外輪を製造した。
【0034】
なお、保持器5は、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)(80質量%)にチタン酸カリウムウィスカー(20質量%)を配合した樹脂組成物で構成された冠形保持器であり、射出成形により製造されたものである。ただし、軸受に組み込まれる保持器の種類は特に限定されるものではなく、例えば、かご形保持器,つの形保持器,波形保持器等でもよい。
【0035】
このような軸受について、水又は各種洗浄溶液(酸,アルカリ)と接触するような環境下における耐久性を評価した。すなわち、図2に示すような日本精工株式会社製の軸受回転試験機を用いて、純水噴霧環境下において回転試験を行った。回転試験の条件は、回転速度=1000min−1,ラジアル荷重=49N,温度=常温である。このラジアル荷重(動等価荷重)は、各軸受の基本動定格荷重の10%以下となるような数値である。
【0036】
また、軸受の耐久性は回転試験時の振動値によって評価し、振動値が初期値の3倍に上昇した時点を軸受の寿命とした。各軸受の耐久性の評価結果を、表1にまとめて示す。なお、表1の耐久性の数値は、比較例1の軸受の耐久性を1とした場合の相対値で示してある。
表1から分かるように、実施例1〜8は、比較例1〜4と比べて格段に長寿命であった。これは、ある程度の数のポアが玉の表面に存在した方が、自己潤滑性に優れる樹脂組成物が内外輪や保持器から十分に転移し、玉の表面に潤滑膜が形成されたり、潤滑剤として作用する周囲の水分がポアに効果的に保持されたりして、潤滑性が向上するためであると考えられる。比較例1,2が短寿命であるのは、窒化ケイ素3は最大ポアの相当円直径が70μmを超えるために、樹脂組成物で構成された内輪,外輪,保持器の摩耗が促進されることが原因であると考えられる。また、比較例3,4が短寿命であるのは、窒化ケイ素4,5は全ポアのうちの相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%未満であるため、内輪,外輪,保持器と玉との摩擦接触による内輪,外輪,保持器を構成する樹脂組成物の玉への移着が不十分であることが原因であると考えられる。
【0037】
図3に、玉が有する全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合と、1mm2 当たりのポアの個数とを、窒化ケイ素製の玉の製造方法(焼結の方法及び条件)を変えることによって種々変更した場合の、玉軸受の耐久性(寿命)を示す。なお、図3における寿命は、前述の比較例1の寿命を1とした場合の相対値で示していて、寿命(相対値)が12以上の場合を◎印で、8以上12未満の場合を●印で、5以上8未満の場合を◇印で、1以上5未満の場合を○印で示している。
【0038】
この場合の玉軸受の耐久性の評価方法と保持器については、前述のものと同様であるが、内輪及び外輪はPVDF(80質量%)に炭素繊維(20質量%)を配合した樹脂組成物で構成した。
図3から、玉が有する全てのポアの個数が1mm2 当たり500〜10000個であり、且つ全てのポアのうち相当円直径が2〜15μmであるポアの割合が50%以上である場合に(図3において斜線を付した領域)、軸受が特に長寿命であることが分かる。
【0039】
よって、この結果からも、ある程度の数のポアが転動体の表面に存在した方が、自己潤滑性に優れる樹脂組成物が内外輪及び保持器から十分に転移して、転動体の表面に潤滑膜が形成されるので、その結果、潤滑性が向上して寿命が向上することがわかる。
表1及び図3に示されるように、本実施形態の玉軸受は、従来の玉軸受と比較して、潤滑条件が厳しい環境下においても、保持器等から自己潤滑性に優れる樹脂組成物が移着して形成される潤滑膜や潤滑剤として作用する周囲の水分を、ポアに効果的に保持することができる。よって、本実施形態の玉軸受は、潤滑条件が厳しい環境下においても耐摩耗性が優れていて長寿命である。
【0040】
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、転動装置の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
【0041】
また、本実施形態においては、転動装置として転がり軸受を例示して説明したが、本発明は他の様々な種類の転動装置に対して適用することができる。例えば、リニアガイド装置,ボールねじ,直動ベアリング等の他の転動装置にも好適に適用可能である。
さらに、転動体を構成するセラミックの種類は、前述の条件を満たすようなポアを有していれば特に限定されるものではなく、窒化ケイ素(Si3 N4 )系, 炭化ケイ素(SiC)系,窒化アルミニウム(AlN)系,炭化ホウ素(B4 C)系, ホウ化チタン(TiB2 )系,窒化ホウ素(BN)系, 炭化チタン(TiC)系, 窒化チタン(TiN)系、あるいは、これらのうち2種以上を複合させたセラミック系複合材料などを例示できる。
【0042】
また、セラミック製転動体は、上記のセラミックから雰囲気加圧焼結法,常圧焼結法,反応焼結法によって製造することができる。
まず、雰囲気加圧焼結法,常圧焼結法による製造方法について説明する。窒化ケイ素粉末及び焼結助剤を、例えば平均粒径1.0μm以下に粉砕して混合し、それに溶剤を加えて混練して平均粒径100〜150μmに造粒する。この造粒粉を金型に充填しプレスすることにより成形体を得て、脱脂した後に焼結処理を施す。そして、得られた焼結体にバレル研磨等を施して、形状を整えつつ表面を仕上げる。
【0043】
この焼結処理は、雰囲気加圧焼結法の場合は窒素ガス雰囲気中、10気圧未満の圧力下において、常圧焼結法の場合は窒素ガス雰囲気中、常圧下において行われ、温度は例えば1450〜1900℃で、処理時間は0.5〜5時間程度である。
次に、反応焼結法による製造方法について説明する。水素を5〜10体積%含有する窒素ガス雰囲気中で、Si粉末の圧粉体を例えば1200〜1400℃に加熱し、Siを窒化して窒化ケイ素焼結体を得る。
【0044】
この反応焼結体には、さらに再焼結を施してもよい。この場合には、圧粉体を製造する際にSi粉末に焼結助剤を混合して、前述の反応焼結処理を施すとよい。あるいは、前述の反応焼結体に焼結助剤の塩溶液を含浸させた後に、窒素ガス雰囲気中で雰囲気加圧焼結(10気圧未満の圧力下)又は常圧焼結(窒素ガス雰囲気中)を施してもよい。なお、反応焼結法によって製造する場合には、上記のセラミックのうち窒化ケイ素系や炭化ケイ素系のセラミックを用いることができる。
【0045】
さらに、内輪及び外輪を構成する樹脂組成物(耐熱性樹脂を含有する樹脂組成物)の種類は特に限定されるものではないが、PPSに代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂,PEEK,PEEKとポリベンゾイミダゾールとのブレンド物,PEN,芳香族ポリイミド樹脂(PI),TPI,ポリアミドイミド樹脂(PAI),芳香族ポリエステル樹脂,及び各種含フッ素樹脂等を含有する樹脂組成物が好ましい。
【0046】
この含フッ素樹脂としては、PTFE,テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),ETFE,PVDF,テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE),クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)等を例示できる。
【0047】
さらに、保持器を構成する樹脂組成物の種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレン樹脂(PE),ポリプロピレン樹脂(PP),ポリアセタール樹脂(POM),PPSに代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂,PEEK,PEEKとポリベンゾイミダゾールとのブレンド物,PEN,PI,TPI,PAI,芳香族ポリエステル樹脂,及び各種含フッ素樹脂等を含有する樹脂組成物が好ましい。含フッ素樹脂は、前述と同様である。
【0048】
内外輪を構成する樹脂組成物及び保持器を構成する樹脂組成物には、機械的強度,耐摩耗性,寸法安定性,耐熱性等を向上させるために、繊維状充填材を配合することができる。繊維状充填材の種類は特に限定されるものではないが、ホウ酸アルミニウムウィスカー,チタン酸カリウムウィスカー,カーボンウィスカー,アラミド繊維,芳香族ポリイミド繊維,液晶性ポリエステル繊維,グラファイトウィスカー,ガラス繊維,炭素繊維,気相法による微細炭素繊維,カーボンナノファイバー,ボロン繊維,炭化ケイ素ウィスカー,窒化ケイ素ウィスカー,アルミナウィスカー,窒化アルミニウムウィスカー,ウォラストナイト等を例示できる。
【0049】
また、この繊維状充填材のアスペクト比は、3以上200以下であることが好ましい。アスペクト比が3未満であると樹脂の補強効果が不十分となり、200超過であると、樹脂と混合した際に均一に分散させることが困難となる。
さらに、繊維状充填材の添加量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物全体の40質量%以下であることが好ましい。40質量%を超えて添加しても、機械的強度のさらなる向上が期待できないばかりでなく、樹脂組成物の溶融流動性が著しく低下する。このような不都合がより生じにくくするためには、繊維状充填材の添加量は30質量%以下とすることがより好ましい。
【0050】
さらに、前記両樹脂組成物には、PTFE粉末,黒鉛,六方晶窒化ホウ素(hBN),フッ素雲母,メラミンシアヌレート(MCA),層状の結晶構造を有するアミノ酸化合物(N−ラウロ−L−リジン),フッ化黒鉛,フッ化ピッチ,二硫化モリブデン(MoS2 )等の固体潤滑剤を適量添加してもよい。
そうすれば、内外輪及び保持器自身の潤滑性がより向上し、保持器と転動体との接触面又は内外輪と転動体との接触面に発生する摩擦力が低下するため、内外輪及び保持器を形成する母材(樹脂)とともに固体潤滑剤が転動体に移着して、軸受の潤滑に寄与する。それとともに、前記接触面に発生する摩擦力が低下するため、転動体に形成された潤滑膜や内外輪,保持器の摩耗が低減される。
【0051】
固体潤滑剤の添加量は特に限定されるものではないが、樹脂組成物全体の40質量%以下であることが好ましい。40質量%を超えて添加しても、潤滑性のさらなる向上が期待できないばかりでなく、樹脂組成物の機械的強度が低下して内外輪及び保持器の摩耗が増加し、軸受の寿命が短くなるおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、固体潤滑剤の添加量は30質量%以下とすることがより好ましい。
【0052】
また、固体潤滑剤の平均粒径は、0.1〜60μmであることが好ましい。平均粒径が0.1μm未満の小さい粒子では、母材である樹脂と混合した際に凝集が起こりやすく、粒子の分散が不均一となるおそれがある。一方、平均粒径が60μmを超える大きい粒子では、内外輪及び保持器の表面の平滑性が低下するとともに強度が低下するために、軸受の寿命が短くなるおそれがある。
【0053】
このような不都合がより生じにくくするためには、固体潤滑剤の平均粒径は0.1〜20μmであることがより好ましく、0.1〜10μmであることがさらに好ましい。
さらに、繊維状充填材及び固体潤滑剤の合計の添加量は、樹脂組成物全体の60質量%以下であることが好ましい。繊維状充填材及び固体潤滑剤のそれぞれの添加量が40質量%以下であっても、前記両者の合計が60質量%を超えると、溶融成形時の流動性と樹脂組成物の機械的強度とが著しく低下するおそれがある。このような不都合がより生じにくくするためには、繊維状充填材及び固体潤滑剤の合計の添加量は、樹脂組成物全体の50質量%以下であることがより好ましい。
【0054】
なお、本発明の目的を損わない範囲内であれば、前記両樹脂組成物には各種添加剤を配合してもよい。例えば、酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,光保護剤,難燃剤,帯電防止剤,流動性改良剤,非粘着性付与剤,結晶化促進剤,増核剤,顔料,染料等を例示することができる。
これらの樹脂,繊維状充填材,固体潤滑剤等を混合して樹脂組成物とする方法は特に限定されるものではなく、慣用の混合方法を問題なく採用することができる。例えば、両者を各々別々に溶融混練機に供給して混合することも可能であるし、また、予め全ての原料をヘンシェルミキサー,タンブラー,リボンミキサー,ボールミル等の混合機で予備混合した後に、溶融混合機へ供給して混合することもできる。溶融混合機としては、単軸又は二軸押出機,混練ロール,加圧ニーダ,バンバリーミキサー,ブラベンダープラストグラフ等の公知の溶融混練装置が使用できる。溶融混練する際の温度は特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂の溶融が十分進行し、且つ熱分解しない程度の温度範囲内で適宜選択する。
【0055】
さらに、内外輪及び保持器の製造方法は特に限定されるものではなく、慣用の方法を問題なく採用することができる。例えば、射出成形法,圧縮成形法,トランスファー成形法等の通常の方法で成形することができる。この中でも射出成形法は、生産性に優れ、安価な内外輪及び保持器を製造できるため好ましい。
さらに、本発明の転動装置を構成する部材のうち、セラミックで構成される転動体及び前記両樹脂組成物で構成される部材以外の部材の材質は、特に限定されるものではなく、転がり軸受を構成する材料として通常使用されるものを問題なく使用することができる。ただし、耐食材料を用いることがより好ましく、例えば、ステンレス鋼系金属材料(SUS440C,SUS304,SUS630等),チタン合金,セラミック材料(窒化ケイ素,ジルコニア,アルミナ,炭化ケイ素等)があげられる。そして、これらのうち1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、本発明の転動装置は、セラミック製の転動体が所定のポアを有しているので、水又は各種洗浄溶液と接触するような環境下や潤滑不良が生じやすい厳しい潤滑条件下においても摩耗が生じにくく長寿命で、容易に製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転動装置の一実施形態である深溝玉軸受の構造を示す部分縦断面図である。
【図2】軸受の耐久性を評価する軸受回転試験機の構造を示す概略図である。
【図3】転動体が有するポアと玉軸受の耐久性との相関を示すグラフである。
【符号の説明】
1 玉軸受
2 内輪
3 外輪
4 玉
5 保持器[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a rolling device including a ceramic rolling element, and in particular, to various cleaning devices and food machines used in a manufacturing process of semiconductors, liquid crystal panels, hard disks, and the like (hereinafter, referred to as “semiconductors, etc.”). The present invention relates to a rolling device suitably used in an environment where it comes into contact with water or various cleaning solutions (acids, alkalis) or in a dry environment, such as a rolling device incorporated in the like.
[0002]
[Prior art]
Lubrication of rolling devices such as rolling bearings, linear guide devices, and ball screws is generally performed by a method such as sealing a lubricant such as lubricating oil or grease inside the rolling devices.
For example, Japanese Unexamined Utility Model Publication No. 55-34002 and Japanese Unexamined Utility Model Publication No. 57-56218 have disclosed that lubricating oil or grease filled in a bearing internal space is used for lubrication, and water or the like is formed by a contact type seal member or a labyrinth seal. A rolling device is described which prevents penetration into the interior of the bearing.
[0003]
Japanese Patent Publication No. Hei 8-26891 and Japanese Patent No. 2709119 disclose a rolling device including a raceway made of a corrosion-resistant material, a rolling element made of hard carbon, and a cage made of a self-lubricating material. Is described. The retainer provided in the rolling device described in Japanese Patent Publication No. 8-268911 is made of a fluororesin (polytetrafluoroethylene resin), and is provided in the rolling device described in Japanese Patent No. 2709119. The vessel is made of ethylene tetrafluoroethylene resin (ETFE) containing potassium titanate whiskers having a diameter of 2 μm or less. In such a rolling device, the self-lubricating material constituting the cage is transferred to the rolling elements and the raceway by frictional contact between the rolling elements and the cage to form a thin lubricating film. Lubrication is performed.
[0004]
On the other hand, there is a rolling device in which the rolling element is made of ceramics.
The ceramic rolling element is usually manufactured by pressing ceramic powder and sintering it at a high temperature. And it is manufactured so that pores, that is, pores may not be formed inside during sintering and molding so as to increase the mechanical strength.
[0005]
For example, JP-A-63-101519 discloses a ceramic rolling element manufactured by sintering a material containing silicon nitride as a main component. This ceramic rolling element is manufactured by the following procedure. First, the silicon nitride powder and the sintering aid are ground and mixed to, for example, an average particle size of 1.0 μm or less, and a solvent is added and kneaded to granulate to an average particle size of 100 to 150 μm. Then, the granulated powder is filled in a mold and pressed to obtain a molded body. After degreased, the compact is subjected to a normal pressure sintering process and further an isotropic pressure sintering process (HIP method), and the obtained sintered body is subjected to barrel polishing or the like to finish the surface.
[0006]
Further, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-9146 describes a ceramic (silicon nitride) rolling element having large pores to some extent. The manufacturing procedure of this ceramic rolling element is almost the same as that described above, but instead of the normal pressure sintering and the HIP method, a nitrogen gas atmosphere, about 1800 ° C., a pressure of less than 10 atmospheres, and a processing time of 4 hours. Sintering is performed under the condition of time.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Utility Model Publication No. 55-34002
[Patent Document 2]
Japanese Utility Model Publication No. 57-56218
[Patent Document 3]
Japanese Patent Publication No. 8-26891
[Patent Document 4]
Japanese Patent No. 2709119
[Patent Document 5]
JP-A-63-101519
[Patent Document 6]
JP-A-2000-9146
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the rolling device described in Japanese Utility Model Laid-Open No. 55-34002, the wear of the seal lip portion progresses with the operation of the bearing, so that water or the like enters the inside of the bearing and the lubricant (grease) is softened. There is a possibility that the lubrication property of the lubricant deteriorates and the lubricity of the lubricant is remarkably reduced. In this rolling device, since the cage is made of a metal material having no self-lubricating property, if the lubricating property is reduced as described above, direct contact between the metal materials at the contact surface between the cage and the rolling element is performed. There has been a problem that contact may occur and the life of the bearing may be extremely shortened.
[0009]
Further, as described above, when water or the like enters the inside of the bearing and the grease is softened, the leakage or scattering to the outside of the bearing is significantly increased, so that there is a problem that the external environment of the rolling device is contaminated. In particular, in the process of manufacturing semiconductors and the like, if dusts or impurities such as grease leaked from bearings adhere to wafers, glass substrates, or aluminum substrates, they may cause defects such as defects and short circuits.
[0010]
The rolling device described in Japanese Utility Model Application Laid-Open No. 57-56218 is provided with a labyrinth seal. However, grease is softened and deteriorated due to water or the like entering from the clearance space of the labyrinth seal. There is a possibility that the same problem as in the case of JP-A-34002 may occur.
Furthermore, since the rolling devices described in Japanese Patent Publication No. 8-26891 and Japanese Patent No. 2709119 do not use lubricating oil or grease, there is no concern that the external environment of the rolling devices will be contaminated. However, the rolling device described in Japanese Patent Publication No. Hei 8-26891 has an opening for introducing water into a space provided with a rolling element between two races, and Japanese Patent No. 2709119. Since the rolling device described in (1) is provided with a non-contact type shield plate, water, various cleaning liquids or fine dust, abrasive powder, abrasion powder, etc., are exposed to the opening and the shield plate and the surface facing the same. And may enter the interior of the bearing.
[0011]
The rolling elements of the two rolling devices are made of hard carbon, and the hardness of hard carbon is 1.5 times or more that of the bearing ring. However, since hard carbon has low strength, light load conditions (dynamic equivalent load is basically required) If the load condition is such that the load is 10% or less of the dynamic load rating), for example, if an impact load is applied, or fine dust, abrasive powder, wear powder, or the like enters, hard carbon Rolling elements may be damaged. If breakage occurs, the fragments may be caught and the life of the bearing may be extremely shortened.
[0012]
In addition, when water or various cleaning liquids enter the bearing, frictional contact between the rolling elements and the cage prevents transfer of constituent materials of the cage to the rolling elements and the like, and a lubricating film is not sufficiently formed. However, there has been a problem that the torque and vibration of the bearing may increase in a relatively short time and the life may be extended.
Further, since the cage provided in the rolling device described in Japanese Patent Publication No. 8-26891 is made of polytetrafluoroethylene resin (PTFE), the strength of the cage is low and the wear resistance is poor. Therefore, the cage may be abnormally worn, a large amount of particles may be scattered from the rolling device to the external environment, or the torque of the rolling device may be significantly increased to reach the end of its life.
[0013]
On the other hand, according to the method described in JP-A-63-101519, a high-strength, high-quality ceramic rolling element having few pores inside can be manufactured. However, since it is manufactured by the HIP method in which a very high pressure of about 1000 atm is applied, the manufacturing cost is extremely high. Therefore, its use is limited to applications such as machine tools that require a high load and require high reliability.
[0014]
On the other hand, although rolling devices incorporated in various washing devices and food machines used in the manufacturing process of the semiconductors and the like are required to have abrasion resistance, the load conditions are relatively low, and therefore, high rolling resistance is required. No loadability is required. Therefore, in terms of physical properties, it is not necessary to use a ceramic rolling element manufactured by the HIP method. Further, as described above, the ceramic rolling element manufactured by the HIP method is expensive. It is hardly used for applications such as industrial machinery.
[0015]
Further, a ceramic (silicon nitride) rolling element described in Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-9146 has a pore having an equivalent circular diameter of 3 to 30 μm of 1 mm on its surface and inside. 2 It has more than 100 pieces. However, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-9146 does not disclose the relationship between the upper limit of the number of pores, the form of the pores, the wear resistance, and the retention of the lubricant. Equivalent circular diameter 1mm of 3 ~ 30μm pore 2 Even if the condition that the number of hits is 100 or more is satisfied, if the number of pores is too large, fine falling or abrasion occurs on the surface of the ceramic rolling element, which may contaminate the external environment of the rolling device. is there.
[0016]
Therefore, the present invention solves the problems of the prior art as described above, and hardly causes abrasion even under an environment such as contact with water or various cleaning solutions or under severe lubrication conditions in which poor lubrication is likely to occur. Accordingly, it is an object to provide a rolling device that can be easily manufactured.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problem, the present invention has the following configuration. That is, the rolling device of claim 1 according to the present invention includes a movable element capable of rotating or linear movement, a support member that supports the movable element capable of rotating or linear movement, the movable element and the movable element. And a plurality of ceramic rolling elements disposed so as to be freely rotatable between the support and the support, and is used under a load condition such that the dynamic equivalent load is 10% or less of the basic dynamic rated load. In the rolling device, at least one of the movable element and the support is formed of a resin composition containing a heat-resistant resin, and the rolling element has a thickness of 1 mm. 2 It has 500 to 10,000 pores per hole, and the proportion of pores having an equivalent circular diameter of 2 to 15 μm among all the pores is 50% or more.
[0018]
In the present invention, the equivalent circular diameter means a diameter D obtained by the following equation from a pore cross-sectional area S obtained by image analysis or the like.
D = √ (4S / π)
If the proportion of pores having an equivalent circular diameter of 2 to 15 μm among all pores is 50% or more, even in an environment where water and various cleaning solutions enter the inside of the rolling device and lubrication conditions become severe, The pores can effectively retain the surrounding water acting as a lubricant or a lubricant formed by transferring a resin composition having excellent self-lubricating properties from the mover and the support. Further, even in a dry environment, a lubricating film formed by transferring a resin composition having excellent self-lubricating properties from the mover and the support can be effectively retained in the pores. Therefore, the rolling device of the present invention is hardly abraded even in the two severe lubricating environments as described above, has a long life, and can operate stably for a long period of time.
[0019]
If the proportion of pores having an equivalent circular diameter of 2 to 15 μm among all pores is less than 50%, the number of pores for retaining the lubricating film and moisture described above becomes insufficient. Vibration may increase in a short period of time, leading to the end of life. In order to make such inconvenience less likely to occur, it is more preferable that the proportion of pores having an equivalent circular diameter of 2 to 15 μm among all pores of the rolling element is 60% or more.
[0020]
The rolling element is 1 mm 2 If the number of pores is from 500 to 10000 per unit, as described above, even in an environment in which water and various cleaning solutions enter the inside of the rolling device and lubrication conditions are severe, the movable element and the support may be used. The pores can effectively retain the surrounding water acting as a lubricant or a lubricant formed by transferring a resin composition having excellent self-lubricating properties. Further, even in a dry environment, a lubricating film formed by transferring a resin composition having excellent self-lubricating properties from the mover and the support can be effectively retained in the pores. Therefore, the rolling device of the present invention is hardly abraded even in the two severe lubricating environments as described above, has a long life, and can operate stably for a long period of time.
[0021]
The number of pores in the rolling element is 1 mm 2 If the number is less than 500, the number of pores for effectively retaining the lubricating film and the moisture described above becomes insufficient, so that the torque and vibration of the rolling device may increase in a short period of time, leading to a life expectancy. On the other hand, when the number exceeds 10,000, cracks are easily propagated, so that a large amount of wear powder is generated or cracks are generated. There is a risk of contamination.
[0022]
As described above, the rolling device of the present invention has a sufficient load resistance for practical use, and also includes various cleaning devices and food machines used in the manufacturing process of the semiconductor and the like. Even in an environment where it comes into contact with water or various cleaning solutions (acid, alkali) or in a dry environment, abrasion hardly occurs and a long life is provided. The environment that comes into contact with water or various cleaning solutions is, for example, immersed in water or various cleaning solutions, placed in a mist of water or various cleaning solutions, or water or various cleaning solutions. May be placed in an environment where water droplets may scatter.
[0023]
A rolling device according to a second aspect of the present invention is the rolling device according to the first aspect, further comprising a resin composition that rotatably holds the rolling element between the mover and the support. Is provided.
With such a configuration, in addition to the transfer of the resin composition from the mover and the support to the surface of the rolling element, the resin composition having excellent self-lubricating properties constituting the cage is also applied to the surface of the rolling element. Since the transfer is performed effectively, the lubricity of the rolling device is further improved, and the rolling device can operate stably for a longer period of time.
[0024]
Further, in the rolling device according to claim 3 of the present invention, in the rolling device according to claim 1 or 2, a ratio of a pore whose equivalent circular diameter exceeds 15 μm among all pores of the rolling element is provided. Is 1% or less, and the equivalent circular diameter of the largest pore among all the pores of the rolling element is 70 μm or less.
With such a configuration, the number of large pores that are likely to be the starting points of crack generation is small, so that the surface of the rolling element is less likely to be worn or dropped. In addition to this, wear of the mover, the support, and the retainer made of the resin composition by the edges of the pores is suppressed. Therefore, such a rolling device is very unlikely to contaminate the external environment with wear powder generated from the rolling device, and thus is incorporated in various cleaning devices and food machinery used in the manufacturing process of the semiconductor and the like. It is particularly suitable as a rolling device to be used.
[0025]
When the proportion of pores having an equivalent circular diameter of more than 15 μm exceeds 1% of all the pores of the rolling element or the equivalent circular diameter of the largest pore exceeds 70 μm, cracks occur starting from the large pores. In addition, the movable member, the support, and the retainer made of the resin composition are easily worn by the edge of the large pore. Therefore, there is a possibility that a large amount of wear powder is generated or cracks are generated, the rolling device has an extremely short life, and the external environment is contaminated by the wear powder.
[0026]
The rolling device of the present invention has excellent corrosion resistance and heat resistance and high rigidity because the rolling elements are made of ceramic.
Further, the present invention can be applied to various rolling devices, and examples thereof include rolling bearings, ball screws, linear guide devices, and linear motion bearings.
The mover in the present invention is a rotating wheel when the rolling device is a rolling bearing, a nut when the ball screw is the same, a slider when the linear guide device is the same, and an external when the linear bearing is the same. Each means a tube. In addition, the support is a fixed ring when the rolling device is a rolling bearing, a screw shaft when the ball screw is the same, a guide rail when the linear guide device is the same, when the linear bearing is the same. Each axis means.
[0027]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
An embodiment of a rolling device according to the present invention will be described in detail with reference to the drawings. FIG. 1 is a partial longitudinal sectional view showing the structure of a deep groove ball bearing which is an embodiment of the rolling device of the present invention.
The ball bearing 1 (nominal number 6000, inner diameter 10 mm, outer diameter 26 mm, width 8 mm) includes an inner ring 2, an outer ring 3, and a plurality of balls (rollably disposed between the inner ring 2 and the outer ring 3). Rolling elements) 4 and a resin composition retainer 5 for rollingably holding the plurality of balls 4. Note that the inner ring 2 corresponds to a movable element that is a constituent element of the present invention, and the outer ring 3 corresponds to a support that is a constituent element of the present invention.
The inner ring 2 and the outer ring 3 are made of a resin composition containing a heat-resistant resin as shown in Table 1, and the balls 4 are made of silicon nitride as shown in Table 1.
[0028]
[Table 1]
[0029]
Each of the silicon nitrides in Table 1 was manufactured by the following method. Silicon nitride 1 is manufactured by a normal pressure sintering method (under a nitrogen gas atmosphere), and silicon nitride 2 is obtained by impregnating a sintered body obtained by a reaction sintering method with a salt solution of a sintering aid. After that, it is manufactured by sintering at a pressure of about 8 atm in a nitrogen gas atmosphere. The silicon nitride 3 is manufactured by a normal pressure sintering method (under a nitrogen gas atmosphere), and sintering conditions (temperature and time) are different from those of the silicon nitride 1. Further, the silicon nitride 4 is manufactured by sintering at a pressure of about 8 atm in a nitrogen gas atmosphere, and the silicon nitride 5 is manufactured by a HIP method at about 1000 atm. Very few and high strength.
[0030]
With respect to the balls made of silicon nitride 1 to 5 manufactured by such a method, the equivalent circular diameter and the number of pores existing on the surface and inside were measured by the following method.
The cross section of the ball was observed with a 200 × field of view using a metallographic microscope, and the image on the observed surface was subjected to black and white binarization processing using a personal computer (processing so that the pores became white). . Then, the area of each pore on the screen is measured, and the diameter of a circle having the same area as the area of each pore, that is, the diameter of an equivalent circle is calculated. Thus, the equivalent circular diameter and the number of pores in the cross section of each ball were evaluated.
[0031]
Table 2 shows the results. As can be seen from Table 2, the balls made of silicon nitride 1 and the balls made of silicon nitride 2 satisfy all the above-mentioned conditions of the present invention relating to the pores. On the other hand, the ball made of silicon nitride 3 has a non-uniform internal structure, and the above-described condition (1 mm 2 (The number of pores per hole, the proportion of pores having an equivalent circular diameter exceeding 15 μm, and the equivalent circular diameter of the largest pore). In addition, the balls made of silicon nitride 4 and the balls made of silicon nitride 5 have a very small number of pores. 2 (The number of pores per hit).
[0032]
[Table 2]
[0033]
Next, the resin composition containing the heat-resistant resin constituting the inner ring 2 and the outer ring 3 will be described. First, a heat-resistant resin, a fibrous filler, and the like, which are raw materials of the resin composition, are collectively shown.
(1) Polyphenylene sulfide resin (PPS): Ryton R-6 manufactured by Philippe Pertrolium
(2) Polyvinylidene fluoride resin (PVDF): Kureha KF Polymer T- # 1000 manufactured by Kureha Industries Co., Ltd.
(3) Thermoplastic polyimide resin (TPI): Aurum 400 manufactured by Mitsui Chemicals, Inc.
(4) Polyetheretherketone resin (PEEK): Victrex PEEK 150G manufactured by Victrex
(5) Blend of PEEK and polybenzimidazole resin (PBI): Cerazole TU-60 manufactured by Hoechst-Celanese Corporation
(6) Polyether nitrile resin (PEN): ID300 manufactured by Idemitsu Material Co., Ltd.
(7) Carbon fiber: Kureka chop M-102S manufactured by Kureha Chemical Industry Co., Ltd., diameter 14.5 μm, length 0.2 mm
(8) Potassium titanate whisker: Tismo D-101 manufactured by Otsuka Chemical Co., Ltd., diameter: 0.3 to 0.6 μm, length: 10 to 20 μm
(9) Aramid fiber: Kynol fiber KF02BT manufactured by Gunei Chemical Industry Co., Ltd., diameter 14 μm, length 0.2 mm
(10) Fine carbon fiber: Vapor-grown carbon fiber VGCF manufactured by Showa Denko KK, diameter 100 to 200 nm, length 10 to 20 μm
(11) Graphite: CLX manufactured by Chuetsu Graphite Industry Co., Ltd., average particle size 4.5 μm
These raw materials were combined as shown in Table 1 and mixed by a conventional method to obtain a resin composition. The compounding ratio is as shown in Table 1. Then, the inner ring and the outer ring of the ball bearing were manufactured by melt-molding the obtained resin composition.
[0034]
The retainer 5 is a crown-shaped retainer made of a resin composition in which potassium titanate whisker (20% by mass) is mixed with ethylene tetrafluoroethylene copolymer (ETFE) (80% by mass). It is manufactured by molding. However, the type of the retainer incorporated in the bearing is not particularly limited, and for example, a cage retainer, a single retainer, a waveform retainer, and the like may be used.
[0035]
The durability of such a bearing in an environment where it comes into contact with water or various cleaning solutions (acids and alkalis) was evaluated. That is, a rotation test was performed in a pure water spray environment using a bearing rotation tester manufactured by NSK Ltd. as shown in FIG. The condition of the rotation test is as follows: rotation speed = 1000 min -1 , Radial load = 49N, temperature = normal temperature. This radial load (dynamic equivalent load) is a numerical value that is 10% or less of the basic dynamic rated load of each bearing.
[0036]
The durability of the bearing was evaluated based on the vibration value during the rotation test, and the time when the vibration value increased to three times the initial value was defined as the life of the bearing. Table 1 summarizes the evaluation results of the durability of each bearing. Note that the durability values in Table 1 are shown as relative values when the durability of the bearing of Comparative Example 1 is set to 1.
As can be seen from Table 1, Examples 1 to 8 had a significantly longer life than Comparative Examples 1 to 4. This is because when a certain number of pores are present on the surface of the ball, the resin composition having excellent self-lubricating properties is sufficiently transferred from the inner and outer rings and the cage, and a lubricating film is formed on the surface of the ball, It is considered that this is because the surrounding water acting as an agent is effectively retained in the pores, and the lubricity is improved. The short life of Comparative Examples 1 and 2 is that silicon nitride 3 has an equivalent circular diameter of the maximum pore of more than 70 μm, so that the wear of the inner ring, the outer ring, and the retainer made of the resin composition is promoted. Is thought to be the cause. Comparative Examples 3 and 4 have a short life because silicon nitrides 4 and 5 have less than 50% of pores having an equivalent circular diameter of 2 to 15 μm of all pores. This is considered to be due to insufficient transfer of the resin composition constituting the inner ring, the outer ring, and the cage to the ball due to frictional contact between the cage and the ball.
[0037]
FIG. 3 shows the ratio of the pore having an equivalent circular diameter of 2 to 15 μm among all the pores of the ball and 1 mm 2 The durability (life) of the ball bearing is shown when the number of pores per contact is variously changed by changing the manufacturing method (sintering method and conditions) of the silicon nitride ball. In addition, the life in FIG. 3 is indicated by a relative value when the life of Comparative Example 1 is 1 and the life (relative value) is 12 or more by ◎, and when the life (relative value) is 8 or more and less than 12, In the case of ●, 5 or more and less than 8 are indicated by Δ, and in the case of 1 or more and less than 5 is indicated by ○.
[0038]
The ball bearing durability evaluation method and the cage in this case are the same as those described above, but the inner ring and the outer ring are resin compositions in which PVDF (80% by mass) and carbon fibers (20% by mass) are blended. It consisted of.
From FIG. 3, the number of all pores of the ball is 1 mm. 2 When the number of pores is 500 to 10000 per one and the equivalent circular diameter of all pores is 2 to 15 μm is 50% or more (shaded area in FIG. 3), the bearing has a particularly long life. It turns out that it is.
[0039]
Therefore, from this result, when a certain number of pores are present on the surface of the rolling element, the resin composition having excellent self-lubricating properties is sufficiently transferred from the inner and outer rings and the cage, and the surface of the rolling element is lubricated. Since the film is formed, it can be seen that as a result, the lubricity is improved and the life is improved.
As shown in Table 1 and FIG. 3, the ball bearing of the present embodiment has a resin composition having excellent self-lubricating properties from a cage or the like even in an environment where lubrication conditions are severe, as compared with a conventional ball bearing. The pores can effectively retain the moisture formed in the transfer and the surrounding moisture acting as a lubricant. Therefore, the ball bearing of the present embodiment has excellent wear resistance and a long life even under an environment in which lubrication conditions are severe.
[0040]
Note that the present embodiment is an example of the present invention, and the present invention is not limited to the present embodiment. For example, in the present embodiment, a deep groove ball bearing has been described as an example of the rolling device, but the present invention can be applied to various types of rolling bearings. For example, radial rolling bearings such as angular ball bearings, self-aligning ball bearings, cylindrical roller bearings, tapered roller bearings, needle roller bearings, self-aligning roller bearings, and thrust types such as thrust ball bearings and thrust roller bearings. Rolling bearing.
[0041]
Further, in the present embodiment, a rolling bearing has been described as an example of a rolling device, but the present invention can be applied to various other types of rolling devices. For example, the present invention can be suitably applied to other rolling devices such as a linear guide device, a ball screw, and a linear motion bearing.
Further, the type of ceramic constituting the rolling element is not particularly limited as long as it has pores satisfying the above-described conditions. 3 N 4 ) Type, silicon carbide (SiC) type, aluminum nitride (AlN) type, boron carbide (B 4 C), titanium boride (TiB) 2 ) -Based, boron nitride (BN) -based, titanium carbide (TiC) -based, titanium nitride (TiN) -based, or a ceramic-based composite material obtained by combining two or more of these.
[0042]
Further, the ceramic rolling element can be manufactured from the above ceramics by an atmospheric pressure sintering method, a normal pressure sintering method, or a reaction sintering method.
First, a manufacturing method using an atmospheric pressure sintering method and a normal pressure sintering method will be described. The silicon nitride powder and the sintering aid are pulverized to, for example, an average particle size of 1.0 μm or less, mixed, and a solvent is added and kneaded to granulate to an average particle size of 100 to 150 μm. The granulated powder is filled in a mold and pressed to obtain a molded body, which is degreased and then subjected to a sintering treatment. Then, the obtained sintered body is subjected to barrel polishing or the like to finish the surface while adjusting the shape.
[0043]
This sintering process is performed under a pressure of less than 10 atm in a nitrogen gas atmosphere in the case of the atmospheric pressure sintering method, and is performed under a normal pressure in a nitrogen gas atmosphere in the case of the normal pressure sintering method. At 1450-1900 ° C., the processing time is about 0.5-5 hours.
Next, a production method by a reaction sintering method will be described. In a nitrogen gas atmosphere containing 5 to 10% by volume of hydrogen, a green compact of Si powder is heated to, for example, 1200 to 1400 ° C., and Si is nitrided to obtain a silicon nitride sintered body.
[0044]
The reaction sintered body may be further re-sintered. In this case, when the green compact is manufactured, the sintering aid may be mixed with the Si powder, and the above-described reactive sintering may be performed. Alternatively, after the above-described reaction sintered body is impregnated with a salt solution of a sintering aid, it is subjected to atmospheric pressure sintering (under a pressure of less than 10 atm) or normal pressure sintering (under a nitrogen gas atmosphere) in a nitrogen gas atmosphere. ) May be applied. In the case of manufacturing by a reaction sintering method, among the above ceramics, a silicon nitride ceramic or a silicon carbide ceramic can be used.
[0045]
Further, the type of the resin composition (the resin composition containing a heat-resistant resin) constituting the inner ring and the outer ring is not particularly limited, but polyarylene sulfide resin represented by PPS, PEEK, PEEK, and polybenzo. A resin composition containing a blend with imidazole, PEN, aromatic polyimide resin (PI), TPI, polyamideimide resin (PAI), aromatic polyester resin, and various fluorine-containing resins is preferred.
[0046]
Examples of the fluorine-containing resin include PTFE, tetrafluoroethylene / perfluoroalkyl vinyl ether copolymer (PFA), ETFE, PVDF, tetrafluoroethylene / hexafluoropropylene copolymer (FEP), and polychlorotrifluoroethylene (PCTFE). , Chlorotrifluoroethylene / ethylene copolymer (ECTFE) and the like.
[0047]
Further, the kind of the resin composition constituting the retainer is not particularly limited, but a polyethylene resin (PE), a polypropylene resin (PP), a polyacetal resin (POM), a polyarylene sulfide resin represented by PPS, A resin composition containing PEEK, a blend of PEEK and polybenzimidazole, PEN, PI, TPI, PAI, an aromatic polyester resin, and various fluorine-containing resins is preferred. The fluororesin is the same as described above.
[0048]
In order to improve mechanical strength, abrasion resistance, dimensional stability, heat resistance, etc., fibrous fillers may be added to the resin composition forming the inner and outer rings and the resin composition forming the cage. it can. The type of the fibrous filler is not particularly limited, but aluminum borate whisker, potassium titanate whisker, carbon whisker, aramid fiber, aromatic polyimide fiber, liquid crystalline polyester fiber, graphite whisker, glass fiber, carbon fiber And fine carbon fibers, carbon nanofibers, boron fibers, silicon carbide whiskers, silicon nitride whiskers, alumina whiskers, aluminum nitride whiskers, wollastonite, etc., obtained by a gas phase method.
[0049]
The fibrous filler preferably has an aspect ratio of 3 or more and 200 or less. If the aspect ratio is less than 3, the reinforcing effect of the resin becomes insufficient, and if it exceeds 200, it becomes difficult to uniformly disperse the resin when mixed with the resin.
Further, the addition amount of the fibrous filler is not particularly limited, but is preferably 40% by mass or less based on the entire resin composition. Even if it is added in excess of 40% by mass, further improvement in mechanical strength cannot be expected, and also the melt fluidity of the resin composition is significantly reduced. In order to make such inconvenience less likely to occur, the amount of the fibrous filler added is more preferably 30% by mass or less.
[0050]
Further, both resin compositions include PTFE powder, graphite, hexagonal boron nitride (hBN), fluoromica, melamine cyanurate (MCA), and an amino acid compound having a layered crystal structure (N-lauro-L-lysine). , Graphite fluoride, pitch fluoride, molybdenum disulfide (MoS 2 ) May be added in an appropriate amount.
By doing so, the lubricating properties of the inner and outer rings and the cage itself are further improved, and the frictional force generated on the contact surface between the cage and the rolling elements or the contact surface between the inner and outer rings and the rolling elements is reduced. The solid lubricant is transferred to the rolling elements together with the base material (resin) forming the cage and contributes to lubrication of the bearing. At the same time, the frictional force generated on the contact surface is reduced, so that the wear of the lubricating film, the inner and outer rings, and the cage formed on the rolling elements is reduced.
[0051]
The amount of the solid lubricant to be added is not particularly limited, but is preferably 40% by mass or less of the entire resin composition. Even if it is added in excess of 40% by mass, further improvement in lubricity cannot be expected, but also the mechanical strength of the resin composition decreases, and the wear of the inner and outer rings and the cage increases, shortening the life of the bearing. Could be. In order to make such inconveniences less likely to occur, the amount of the solid lubricant to be added is more preferably 30% by mass or less.
[0052]
The average particle size of the solid lubricant is preferably 0.1 to 60 μm. In the case of small particles having an average particle diameter of less than 0.1 μm, aggregation tends to occur when mixed with a resin as a base material, and the dispersion of the particles may be non-uniform. On the other hand, in the case of large particles having an average particle diameter of more than 60 μm, the smoothness of the surfaces of the inner and outer rings and the cage is reduced and the strength is reduced, so that the life of the bearing may be shortened.
[0053]
In order to make such inconveniences less likely to occur, the average particle size of the solid lubricant is more preferably 0.1 to 20 μm, and further preferably 0.1 to 10 μm.
Further, the total amount of the fibrous filler and the solid lubricant is preferably not more than 60% by mass of the entire resin composition. Even if the addition amount of each of the fibrous filler and the solid lubricant is 40% by mass or less, if the sum of the two exceeds 60% by mass, the fluidity during melt molding and the mechanical strength of the resin composition are reduced. May be significantly reduced. In order to make such inconveniences less likely to occur, the total amount of the fibrous filler and the solid lubricant is more preferably 50% by mass or less based on the entire resin composition.
[0054]
In addition, various additives may be added to the two resin compositions as long as the object of the present invention is not impaired. For example, antioxidants, heat stabilizers, ultraviolet absorbers, light protectants, flame retardants, antistatic agents, fluidity improvers, non-tackifiers, crystallization accelerators, nucleating agents, pigments, dyes, etc. Examples can be given.
The method of mixing these resins, fibrous fillers, solid lubricants and the like to form a resin composition is not particularly limited, and a conventional mixing method can be employed without any problem. For example, it is also possible to supply each of them separately to a melt kneader and mix them. Alternatively, after preliminarily mixing all raw materials with a mixer such as a Henschel mixer, a tumbler, a ribbon mixer, a ball mill, etc. It can also be supplied to a mixer and mixed. As the melt mixer, a known melt kneader such as a single-screw or twin-screw extruder, a kneading roll, a pressure kneader, a Banbury mixer, and a Brabender plastograph can be used. The temperature at the time of melt-kneading is not particularly limited, but is appropriately selected within a temperature range in which the melting of the thermoplastic resin sufficiently proceeds and does not cause thermal decomposition.
[0055]
Furthermore, the method for manufacturing the inner and outer rings and the retainer is not particularly limited, and a conventional method can be employed without any problem. For example, it can be molded by a usual method such as an injection molding method, a compression molding method, and a transfer molding method. Among these, the injection molding method is preferable because it is excellent in productivity and can manufacture inexpensive inner and outer rings and cages.
Further, among the members constituting the rolling device of the present invention, the materials of the members other than the rolling member made of ceramic and the member made of both resin compositions are not particularly limited, and the rolling bearing is not particularly limited. Can be used without any problem as a material composing. However, it is more preferable to use a corrosion-resistant material, and examples thereof include stainless steel-based metal materials (SUS440C, SUS304, SUS630, etc.), titanium alloys, and ceramic materials (silicon nitride, zirconia, alumina, silicon carbide, etc.). One of these may be used, or two or more of them may be used in combination.
[0056]
【The invention's effect】
As described above, in the rolling device of the present invention, since the ceramic rolling element has predetermined pores, the lubricating condition is liable to occur in an environment such as contact with water or various cleaning solutions or poor lubrication is likely to occur. Even underneath, wear is less likely to occur, has a long life, and can be easily manufactured.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a partial longitudinal sectional view showing a structure of a deep groove ball bearing which is an embodiment of a rolling device according to the present invention.
FIG. 2 is a schematic view showing the structure of a bearing rotation tester for evaluating the durability of a bearing.
FIG. 3 is a graph showing a correlation between pores of a rolling element and durability of a ball bearing.
[Explanation of symbols]
1 Ball bearing
2 inner ring
3 Outer ring
4 balls
5 cage