JP2004185565A - 運動特定装置、電子楽器、および入力デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】対象の運動を正確に特定すること。
【解決手段】イメージャ1は、所定のサイズの画素領域を有する撮像素子11と、所定の指定情報により指定された撮像素子11の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路12とを有する。演算処理部2は、少なくともイメージャから出力されたあるフレームの部分領域の画像データに基づいて、部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算する。後処理部3は、演算手段により演算された画像特徴量に基づいて運動特定対象の運動を特定する。
【選択図】 図1
【解決手段】イメージャ1は、所定のサイズの画素領域を有する撮像素子11と、所定の指定情報により指定された撮像素子11の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路12とを有する。演算処理部2は、少なくともイメージャから出力されたあるフレームの部分領域の画像データに基づいて、部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算する。後処理部3は、演算手段により演算された画像特徴量に基づいて運動特定対象の運動を特定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、視野内の対象の運動を特定する運動特定装置、並びにその運動特定装置を使用した電子楽器および入力デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、物体、ユーザの手などを対象物として撮像し、その対象物の運動を特定し、その運動に応じて各種処理を行う装置が提案されている。
【0003】
そのような従来の装置には、ユーザを撮影し、ユーザの映像と仮想楽器とをディスプレイ上で合成し、ユーザがその映像を見ながら動くと、その楽器の楽音を出力する仮想楽器演奏装置(例えば特許文献1参照)、音楽に合わせて踊る人の映像を撮影し、その映像に基づいてその踊る人の各箇所の基準位置からの変化量に応じて強調された踊りを行うコンピュータグラフィックスによる仮想ダンサーの映像を表示する踊り映像強調合成装置(例えば特許文献2参照)などがある。
【0004】
また、その他にも、従来の装置として、移動体を撮影し、その移動体の移動量に応じて、その移動体に対応付けられたアニメーション画像を移動させて表示するアニメーション画像による実況中継システム(例えば特許文献3参照)などがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−41038号公報(要約書)
【特許文献2】
特開2002−42168号公報(要約書)
【特許文献3】
特開2002−163674号公報(要約書)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置において、対象を撮像する際の高空間解像度と高速リアルタイム性の両立が困難であるため、空間解像度および/または時間解像度の観点から対象の運動を正確に特定することが困難である。ひいては、対象の運動に対応して正確な楽音を発生したり、その運動に対応した処理や動作を正確に行うが困難である。
【0007】
すなわち、例えばNTSC(National Television System Committee)方式といった従来の撮像方式では、約1秒間に30フレームのレートで対象が撮像されるため、このフレームレートの場合、例えば時速300キロメートルで走行する新幹線鉄道は、あるフレームから次のフレームまでの間に約2.7メートルも走行してしまう。また同様に、時速200キロメートルで飛んでくるサーブ時のテニスボールは、フレーム間で約1.9メートルも進む。そのため、従来の撮像方式では、対象の運動を正確に特定することは困難である。
【0008】
一方、例えば100万画素の画素回路を用いて高解像度としたままで、毎秒1000フレームのレートで撮影すると、撮像素子から画像処理装置への通信路として、毎秒1ギガバイト以上のデータ転送レートのものが必要になり、画像処理装置には同様に毎秒1ギガバイト以上のデータ処理能力が要求されることとなる。このため、運動する対象を十分な解像度で撮像しその運動を特定する場合、リアルタイム性が不足してしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、対象の運動を正確に特定することができる運動特定装置、並びに、その運動に対応した処理や動作を正確に行うができる電子楽器および入力デバイスを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の運動特定装置は、所定のサイズの画素領域を有する撮像素子と、所定の指定情報により指定された撮像素子の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路とを有するイメージャと、少なくともイメージャから出力されたあるフレームの部分領域の画像データに基づいて、部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算する演算手段と、演算手段により演算された画像特徴量に基づいて運動特定対象の運動を特定する運動特定手段とを備える。
【0011】
この運動特定装置を利用すると、対象の運動を正確に特定することができる。
【0012】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置に加え、演算手段が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、画像特徴量の演算の際または前に部分領域に対して座標変換を行うようにしたものである。
【0013】
この運動特定装置を利用すると、対象が部分領域内で一定姿勢で捕捉し続けられるため、部分領域内での対象の位置のゆらぎがなくなり、より正確に対象の運動を特定することができる。
【0014】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、演算手段が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、部分領域の画像データとともに座標変換に基づいて次フレーム用の指定情報を演算するようにしたものである。
【0015】
この運動特定装置を利用すると、視野内での対象の姿勢変化を考慮して、次フレームでの位置を予測するため、部分領域で対象を捕捉し続けることができる。
【0016】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、演算手段が、あるフレームについての部分領域の画素値の重心位置に基づいて次フレーム用の指定情報を演算するようにしたものである。
【0017】
この運動特定装置を利用すると、対象の画像データと周辺の画像データとの画素値の違いを利用して対象の移動量を簡単に得ることができる。
【0018】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、演算手段が、運動特定対象の像が部分領域から外れないフレームレートで指定情報を繰り返しイメージャに供給するようにしたものである。
【0019】
この運動特定装置を利用すると、高フレームレートで正確に運動特定対象を追尾することができる。
【0020】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段が、各フレームについての画像特徴量から運動特定対象の位置を特定するようにしたものである。
【0021】
この運動特定装置を利用すると、現実での運動特定対象の位置を正確に特定することができる。
【0022】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の速度を特定するようにしたものである。
【0023】
この運動特定装置を利用すると、現実での運動特定対象の速度を正確に特定することができる。
【0024】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の加速度を特定するようにしたものである。
【0025】
この運動特定装置を利用すると、現実での運動特定対象の加速度を正確に特定することができる。
【0026】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段により特定された運動特定対象の運動に基づいて、運動特定対象の動きを予測する予測手段を備えるものである。
【0027】
この運動特定装置を利用すると、現在および過去の運動が正確に特定されるため、運動特定対象の動きの予測を正確に行うことができる。
【0028】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置に加え、予測手段により予測された運動特定対象の動きに応じて、運動特定対象に対応した所定の処理または動作を行う反応手段を備える。
【0029】
この運動特定装置を利用すると、運動特定対象の動きの正確な予測に応じて処理や動作を行うため、対象の動きを非接触で認知しその対象に対して何らかの行為を行う場合に、正確にその行為を行うことができる。
【0030】
本発明の電子楽器は、上記発明の運動特定装置のいずれかと、その運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた楽音信号を出力する楽音出力手段とを備える。
【0031】
この電子楽器を利用すると、奏者やバチなどの運動を非接触で正確に特定して、奏者による演奏に合った楽音を電子的に得て出力することができる。
【0032】
本発明の入力デバイスは、上記発明の運動特定装置のいずれかと、その運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた信号を出力する信号出力手段とを備える。
【0033】
この入力デバイスを利用すると、ユーザの身体の運動を非接触で正確に特定して、ユーザの入力操作(入力動作)に合った信号を出力することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。図1において、イメージャ1は、視野内の対象を撮像し、撮像した対象の画像データを出力する装置であって、所定のサイズの画素領域(画素数が縦横M×Nの領域)を有する撮像素子11と、所定の指定情報により指定された撮像素子11の画素領域の一部である部分領域の画像データI(X,Y)を出力させる制御回路12とを有する。なお、撮像素子11としては、各画素にランダムアクセス可能な撮像素子が使用される。それにより、任意形状の部分領域のみをスキャンする、いわゆるエリアスキャンが実行可能となる。そのような撮像素子としては、所定の画素数(例えば、縦横1024×1024)を有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサなどがある。
【0036】
なお、部分領域の広さは、予測される対象の最大運動速度、フレーム間の時間間隔などを考慮して決定され、撮像素子11の画素領域上でのフレーム間における対象の最大移動距離(最大運動速度×フレーム間の時間間隔)だけ移動しても部分領域の外側とならないように設定される。また、例えば、部分領域の広さを64×64画素として画素領域全体の100分の1以下とする。
【0037】
また、演算処理部2は、少なくともイメージャ1から出力されたあるフレームについての部分領域の画像データに基づいて、その部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算する演算手段として機能する回路群である。この演算処理部2は、イメージャ1の撮像素子11とは別体の集積回路などとして実装される。すなわち、イメージャ1の撮像素子11と演算処理部2の演算器21とは、LSIチップ間に設けられた通信路を介して互いに接続される。なお、画像特徴量とは、部分領域の画像に所定の演算を施して得られる物理量であり、例えば、画素値で重み付けした部分領域の重心位置、対象の画像の重心位置などの位置情報(全画素領域内での位置を示す情報)である。
【0038】
演算処理部2における演算器21は、イメージャ1からの部分領域の画像データI(X,Y)を、画素数が縦横m×nの矩形領域(m<M、n<N)の画像データI’(x,y)とし、例えば式(1)に従って、その部分領域の画像データI’(x,y)(x=1,・・・,m、y=1,・・・,n)の画像特徴量ζkを演算するとともに、例えば式(2)に従って、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレームにおける部分領域の位置および形状に対応する座標変換を示す座標変換パラメータρk+1 を生成する回路または装置である。
【0039】
ζk=G(I’(x,y),ρk) ・・・(1)
【0040】
ここで、kは、フレームの番号であり、Gは、画像データから画像特徴量を導出するための関数であり、ρk は、第kフレームについての1または複数の画像変換パラメータである。
【0041】
ρk+1=H(I’(x,y),ρk) ・・・(2)
【0042】
ここで、kは、フレームの番号であり、Hは、次フレームについての1または複数の座標変換パラメータρk+1 を導出するための関数である。
【0043】
この実施の形態1においては、その座標変換として、2次元のアフィン変換が使用される。なお、アフィン変換を使用することで、2次元画像に対して拡大/縮小、回転、並進移動、及び剪断変形を施すことができる。ただし、座標変換は、アフィン変換に限定されるものではなく、極座標変換、射影変換などの、対象の運動に対して適切な他の座標変換を使用してもよい。
【0044】
また、この実施の形態1においては、演算器21は、あるフレームについての部分領域の画像データおよび座標変換パラメータから、そのフレームについての部分領域の画像特徴量および次フレームの座標変換パラメータを演算する。なお、座標変換パラメータとしては、例えば式(3)に示すアフィン変換における変換行列の各要素a,b,c,dおよび定数ベクトルの各要素e,fが使用される。
【0045】
【数1】
【0046】
演算処理部2における座標変換回路22は、例えば式(4)に従って、演算器21により生成された座標変換パラメータに基づいて次フレーム用の部分領域の指定情報を演算する回路である。なお、この座標変換回路22は、コンピュータで実現してもよいし、専用LSIで実現するようにしてもよい。実施の形態1では、部分領域の指定情報としては、部分領域内の各画素についての全画素領域内での位置の情報(X,Y)が使用される。
【0047】
(Xk,Yk)=F((x,y),ρk) ・・・(4)
【0048】
ここで、(Xk,Yk)は、第kフレームにおける、部分領域内のある画素についての、撮像素子11の画素領域における位置を示す画素位置情報であり、(x,y)は、演算器21に記憶される際の、その部分領域に対応する矩形領域でのその画素の位置を示す画素位置情報である。
【0049】
また、後処理器3は、演算処理部2により演算された1または複数の画像特徴量ζkに基づいて運動特定対象の運動を特定する運動特定手段として機能する回路または装置である。なお、後処理器3は、特定した対象の運動を示すパラメータ(後述の各フレーム時点での位置、速度、加速度など)を必要に応じて出力する。
【0050】
実施の形態1では、後処理器3は、例えば式(5)に従って、あるフレームについて、演算処理部2からの画像特徴量により示される部分領域の位置から、そのフレームの時点での現実の運動特定の対象の位置を計算し、対象の運動を特定する。
【0051】
Pk=P(ζk) ・・・(5)
【0052】
ここで、Pk は、部分領域(または対象)の位置を示す位置ベクトルであり、Pは、画像特徴量から位置ベクトルPk を計算するための関数である。
【0053】
なお、後処理器3は、あるフレームについて、そのフレームの時点での運動特定の対象の位置に基づいて、その位置の差分からそのフレームの時点での対象の速度を計算し、その速度を含めて対象の運動を特定するようにしてもよい。例えば、後処理器3は、式(6)に従って、第kフレームの時点での対象の速度ベクトルVk を計算する。ただし、Δtは、フレーム間の時間間隔である。
【0054】
Vk=(Pk−Pk−1)/Δt ・・・(6)
【0055】
また、後処理器3は、あるフレームについて、そのフレームの時点での運動特定の対象の位置に基づいて、その位置の2次差分からそのフレームの時点での対象の加速度を計算し、その加速度を含めて対象の運動を特定するようにしてもよい。例えば、後処理器3は、式(7)に従って、第kフレームの時点での対象の加速度ベクトルAkを計算する。
【0056】
Ak=(Pk−2Pk−1+Pk−2)/(Δt×Δt) ・・・(7)
【0057】
なお、対象の速度を計算する場合、速度の絶対値と方向を計算し、対象の加速度を計算する場合、加速度の絶対値と方向を計算するようにしてもよいし、速度や加速度の絶対値のみを計算するようにしてもよい。また、式(6),(7)以外の式に基づいて上述の速度や加速度を計算するようにしても勿論よい。
【0058】
図2は、実施の形態1に係る運動特定装置における演算器21の構成例を示すブロック図である。演算器21は、いわゆるコンピュータとして実現される。この演算器21には、各種のマイクロプロセッサを使用すればよい。
【0059】
図2において、CPU31は、ROM32やRAM33に記憶されたプログラムを実行し、各種処理を行う装置である。また、ROM32は、プログラムやデータを予め書き込まれた不揮発性のメモリである。また、RAM33は、プログラムやデータを一時的に記憶するメモリである。この実施の形態1では、ROM32には、演算器21が実行すべき処理を記述したプログラムが記憶される。
【0060】
また、インタフェース34は、イメージャ1に接続されたインタフェース回路である。インタフェース35は、座標変換回路22に接続されたインタフェース回路である。インタフェース36は、後処理器3に接続されたインタフェース回路である。
【0061】
次に、上記装置の動作について説明する。図3は、実施の形態1に係る運動特定装置の動作について説明するフローチャートである。
【0062】
まず、イメージャ1の全画素領域のうちの対象を含む部分領域の初期位置の情報が、手動または従前の画像処理方式によって、座標変換回路22に入力される(ステップS1)。
【0063】
最初(k=1)のフレームについては、座標変換回路22は、入力された情報に基づいて、部分領域を指定する指定情報をイメージャ1の制御回路12に供給する(ステップS2)。その際、座標変換回路22は、部分領域内の画素を指定するための画素位置情報(X1,Y1)を、転送後の領域における画素(x,y)ごとに順番に制御回路12に供給する。
【0064】
そして、イメージャ1の制御回路12は、順番に、供給された画素位置情報に対応する撮像素子11の画素から部分領域の画像データI(X1,Y1)を出力させる(ステップS3)。イメージャ1から出力された画像データI(X1,Y1)は、演算器21に転送され、部分領域に対応する矩形領域の画像データI’(x,y)として順番に記憶されていく。
【0065】
そして、部分領域内の全画素の画像データの転送が完了すると、演算器21は、その部分領域の画像データI(x,y)(x=1,・・・,m、y=1,・・・,n)からその部分領域の画像についての画像特徴量ζ1 を演算し、後処理器3に出力する(ステップS4)。後処理器3は、その画像特徴量ζ1 または時系列に沿った複数の画像特徴量ζ1 からその部分領域内の対象の運動を特定する(ステップS4)。
【0066】
また、演算器21は、その部分領域の画像データI’(x,y)から、次フレーム用の座標変換パラメータρk+1 (今の場合、ρ2 )の値を演算し、座標変換回路22に供給する(ステップS5)。
【0067】
このようにして、まず最初(k=1)のフレームについての画像特徴量ζk の演算処理および対象の運動の特定処理を行う。
【0068】
次にステップS2に戻り、次フレーム(k=2)についての処理を開始する。
座標変換回路22は、演算器21から供給された座標変換パラメータρ2 に基づいて部分領域を座標変換し、部分領域内の各画素の、座標変換後の画素位置情報(X2,Y2)を、順番にイメージャの制御回路12に供給する(ステップS2)。
【0069】
イメージャ1の制御回路12は、順番に、供給された画素位置情報に対応する撮像素子11の画素から画像データI(X2,Y2)を出力させる(ステップS3)。イメージャ1から出力された部分領域の画像データI(X2,Y2)は、演算器21に転送され、演算器21において画像データI’(x,y)として順番に記憶されていく。図4は、実施の形態1に係る運動特定装置における撮像素子11の全画素領域の画像データ41からの部分領域の画像データ41aの切り出しを説明する図である。図4に示すように、撮像素子11の全画素領域の画像データ41のうちの部分領域の画像データ41aが、演算器21に転送され、画像データ42として記憶される。
【0070】
そして、部分領域内の全画素の画像データの転送が完了すると、演算器21は、その部分領域の画像データI’(x,y)および本フレーム用の座標変換パラメータρ2 に基づいてその部分領域の画像についての画像特徴量ζ2 を演算し、後処理器3に出力する(ステップS4)。後処理器3は、その画像特徴量ζ2または時系列に沿った複数の画像特徴量ζ2 からその部分領域内の対象の運動を特定する(ステップS4)。
【0071】
その際、後処理器3は、そのフレームの時点の画像特徴量ζ2 、または時系列に沿った複数の画像特徴量ζ1,ζ2から、対象の位置、速度、加速度などを演算し、それらの値を出力する。
【0072】
また、演算器21は、その部分領域の画像データI’(x,y)および本フレーム用の座標変換パラメータρ2 に基づいて、次フレーム用の座標変換パラメータρ3 の値を演算し、座標変換回路22に供給する(ステップS5)。
【0073】
その際、演算器21は、対象のトラッキングのための座標変換処理、および画像データI’(x,y)内の対象の画像が同一姿勢になるようにする座標変換処理を行う。
【0074】
図5は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキング処理での2値化処理を説明する図である。実施の形態1に係る運動特定装置におけるトラッキング処理では、座標変換前の部分領域の画像データI’(x,y)を、図5に示すように所定の閾値で2値化し、2値化後の画素値(0または1)を重みとして、各画素位置に重み付けをした場合の部分領域の2値化画像の重心位置を演算し、その重心位置の基準位置からの変位に応じて部分領域を変位させる。
【0075】
また、図6は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行される座標変換処理を説明する図である。実施の形態1に係る運動特定装置における姿勢一定のための座標変換処理では、対象の基準画像と本フレームの画像とを比較して、画像データI’(x,y)内の対象の画像が同一姿勢になる座標変換を特定する。
【0076】
そして、上述のトラッキングおよび姿勢一定のための座標変換の両方を満たすアフィン変換などの座標変換パラメータの値を演算する。
【0077】
以下、同様にして、第3フレーム以降(k>2)、ステップS2からステップS5までの処理を繰り返すことで、移動する対象を追跡して時系列に沿った対象の画像が得られ、時系列に沿って後処理器3により対象の運動が特定される。図7は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキングの一例を示す図である。すなわち、図7に示すように、時系列に沿って、全画素領域内で部分領域の位置や形状を変更していき、その部分領域の画像特徴量として部分領域の位置を対象の位置として、対象が一定姿勢である状態で検出していき、対象の運動を特定する。
【0078】
なお、その際、フレーム間の時間間隔は、部分領域の広さ、撮像素子11から演算器21へのデータ転送速度、および演算処理部2の演算速度に応じて決定される。部分領域は、全画素領域より少なくて済むため、フレーム間の時間間隔を、全画素領域の画像データを転送する場合に比べ短く設定される。例えば、全画素数が1024×1024である場合に、部分領域の画素数を64×64とすると、転送すべき画像データが256分の1となり、その分だけフレーム間の時間間隔を短く(例えば1000分の1秒以下に)設定することができる。
【0079】
なお、上記実施の形態1においては、説明の便宜上、部分領域を1つとして説明しているが、(後述の実施の形態2,3のように)複数の対象を含む複数の部分領域について、並行して同様に運動を特定することができる。その場合、各対象についての処理を並列に実行するようにしてもよい。
【0080】
以上のように、上記実施の形態1によれば、イメージャ1は、所定のサイズの画素領域を有する撮像素子11と、所定の指定情報により指定された、撮像素子11の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路12とを有し、演算処理部2は、少なくともイメージャ1から出力されたあるフレームの部分領域の画像データに基づいて、部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算し、後処理器3は、演算処理部2により演算された画像特徴量に基づいて運動特定対象の運動を特定する。
【0081】
これにより、対象の運動を正確に特定することができる。すなわち、撮像素子11の全画素から得られる画像データのうちの運動特定対象を含む一部の領域の画像データをイメージャ1から演算処理部2に転送して処理することで、一定のデータ転送速度および処理速度を有する装置において、高レートかつ高解像度で、移動する対象を追尾しつつ撮影することができ、その結果、その対象の運動を正確に特定することができる。
【0082】
また、対象の移動に合わせて撮像素子11の画素領域内の部分領域を移動させるようにしたので、電子的フィードバック制御により対象の追尾が行われる。これにより、アクチュエータを機械的に動かす機械式フィードバック制御と比較して、対象の運動に対する応答を非常に速くすることができる。
【0083】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、画像特徴量の演算の際(または前)に部分領域に対して座標変換を行う。
【0084】
これにより、対象が部分領域内で一定姿勢で捕捉し続けられるため、部分領域内での対象の位置のゆらぎがなくなり、より正確に対象の運動を特定することができる。
【0085】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、部分領域の画像データとともにその座標変換に基づいて次フレーム用の指定情報を演算する。これにより、視野内での対象の姿勢変化を考慮して、次フレームでの位置を予測するため、部分領域で対象を捕捉し続けることができる。
【0086】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、あるフレームについての部分領域の画素値の重心位置に基づいて次フレーム用の指定情報を演算する。
これにより、対象の画像データと周辺の画像データとの画素値の違いを利用して対象の移動量を簡単に得ることができる。
【0087】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、運動特定対象の像が部分領域から外れないフレームレートで指定情報を繰り返しイメージャに供給する。これにより、高フレームレートで正確に運動特定対象を追尾することができる。
【0088】
さらに、上記実施の形態1によれば、後処理器3が、各フレームについての画像特徴量から運動特定対象の位置を特定する。これにより、現実での運動特定対象の位置を正確に特定することができる。
【0089】
さらに、上記実施の形態1によれば、後処理器3が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の速度を特定する。これにより、現実での運動特定対象の速度を正確に特定することができる。
【0090】
さらに、上記実施の形態1によれば、後処理器3が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の加速度を特定する。これにより、現実での運動特定対象の加速度を正確に特定することができる。
【0091】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る電子楽器は、上述の実施の形態1に係る運動特定装置によりバチの運動を特定し、その運動に応じて楽音を出力する電子木琴である。
【0092】
図8において、楽音出力器51は、上述の運動特定装置により特定される対象の運動に応じた楽音信号を出力する楽音出力手段として機能する装置である。また、スピーカ52は、楽音出力器51に接続され、楽音信号を供給されるとそれに対応する楽音を出力するスピーカである。
【0093】
なお、図8におけるその他の構成要素については、実施の形態1によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0095】
図9は、実施の形態2に係る電子楽器において使用される、木琴を模して描画した絵53および運動特定の対象となる2つのバチの先端部54L,54Rを示す斜視図である。なお、バチの先端部54L,54Rの色は、背景を異なる色とされる。
【0096】
この実施の形態2では、イメージャ1により絵53およびバチの先端部54L,54Rが撮影される。そして、バチの先端部54L,54Rの運動が後処理器3により特定され、時系列に沿って、各時点での運動のパラメータ(位置、速度、加速度など)が楽音出力器51に供給される。なお、イメージャ1および演算処理部2の動作については、実施の形態1の場合と同様である。
【0097】
そして、楽音出力器51は、各バチの先端部54L,54Rの位置などから、絵53に描かれた鍵盤が打鍵されたか否か、どの鍵が打たれたかを特定し、打鍵されたと判断した場合には、その鍵に割り当てられた楽音データから楽音信号を再生し、スピーカ52から出力させる。
【0098】
なお、おもちゃの木琴のように、正確な音色を必要としない場合には、各バチの先端部54L,54Rの位置のみで音色を選択するようにしてもよい。また、実際の木琴と同じような正確な音色を必要とする場合には、各バチの先端部54L,54Rの位置の他に、速度および/または加速度を考慮して音色を選択して実際の木琴の楽音により近づくようにしてもよい。
【0099】
このようにすることで、ユーザが紙などに描かれた木琴の絵53に対して打鍵することで、スピーカ52から木琴の楽音が出力される。
【0100】
以上のように、上記実施の形態2によれば、楽音出力器51が、運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた楽音信号を出力するので、奏者やバチなどの運動を非接触で正確に特定して、奏者による演奏に合った楽音を電子的に得て出力することができる。
【0101】
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る入力デバイスの構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る入力デバイスは、上述の実施の形態1に係る運動特定装置によりユーザの指の運動を特定し、その運動に対応した処理を行い、その処理結果をディスプレイに表示するものである。この実施の形態3に係る入力デバイスは、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、測定機器などといった電子情報機器用の入力デバイスである。
【0102】
図10において、信号出力器71は、運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じて、所定の既存入力デバイス(マウス、タブレットなど)の信号形式に従った信号を出力する信号出力手段として機能する回路または装置である。なお、信号出力器71を設ける代わりに、運動特定装置をコンピュータ72に直接接続し、信号出力器71と同様の機能を有するプログラム(例えばデバイスドライバ)をコンピュータ72で実行するようにしてもよい。
【0103】
また、コンピュータ72は、各種アプリケーションプログラムを実行可能なパーソナルコンピュータといった装置である。ディスプレイ73は、コンピュータ72に接続され、各種画像を表示する装置である。
【0104】
なお、図10におけるその他の構成要素については、実施の形態1によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
図11は、実施の形態3に係る入力デバイスにおいて使用される、ユーザに着用されたグローブ81を示す図である。図11に示すグローブ81において、人差し指の先端部82−1、薬指の先端部82−2、および小指の先端部82−3の色は、他の部分や背景とは異なる色とされる。
【0106】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0107】
この実施の形態3では、イメージャ1によりユーザの手に嵌められたグローブ81が撮影される。そして、3つの指の先端部82−1〜82−3の運動が後処理器3により特定され、時系列に沿って、各時点での各指の運動のパラメータが信号出力器71に供給される。なお、イメージャ1および演算処理部2の動作については、実施の形態1の場合と同様である。
【0108】
そして、信号出力器71は、その3つの指の運動が所定の運動である場合に、既存の入力デバイス(マウス、タブレットなど)に対して所定の操作を行った場合に出力される信号を出力する。コンピュータ72は、その信号を受信し、既存の入力デバイスからの信号と同様に処理し、その信号に応じた処理を行う。
【0109】
以上のように、上記実施の形態3によれば、信号出力器71が、運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた信号を出力するので、ユーザの身体の運動を非接触で正確に特定して、ユーザの入力操作(入力動作)に合った信号を出力することができる。
【0110】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係るゲーム装置は、実施の形態3に係る入力デバイスを使用したゲーム装置である。
【0111】
実施の形態3に係る入力デバイスを使用し、かつユーザがグローブを装着することで、例えばじゃんけんゲームを実施することができる。その場合、実施の形態4に係るゲーム装置により、先端部の動きから、ユーザがグー、チョキおよびパーのいずれを出したかを判別し、ユーザが出したものとゲーム装置側で選択したグー、チョキおよびパーのいずれかとの間で勝敗を判定し、勝敗の表示を、ゲーム装置側の選択したもののコンピュータグラフィクス表示とともに行う。
【0112】
その他、実施の形態3に係る入力デバイスを使用し、かつユーザがモーションキャプチャ用のマーカーを手首、肘、膝、足首などの必要に応じた身体の各部を装着することで、モーションキャプチャシステムを構築することができる。その場合にも、例えば、マーカーの位置の他にマーカーの速度や加速度を計算することで、それらの物理量に基づいてユーザの運動がより正確に特定される。さらに、そのシステムを応用して、例えばギターシミュレーション、ドラムシミュレーション、ダンスシミュレーションなどといった擬似体験型シミュレーションゲームを実施することができる。その場合、実施の形態4に係るゲーム装置により、装着されたマーカーの動きから、ユーザの動きを特定し、ユーザの動きに合わせてゲームを進行させていく。なお、このモーションキャプチャシステムは、ゲーム装置以外の用途にも勿論使用することができる。
【0113】
以上のように、上記実施の形態4によれば、実施の形態3に係る入力デバイスを使用することで、ユーザに装着された対象の運動が正確に特定されるため、ゲーム中にユーザが激しい動きをしても正確にゲームを進行させることができる。
【0114】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係るコンピュータシステムは、入力デバイスとして実施の形態3に係る入力デバイスを使用したものである。
【0115】
すなわち、コンピュータ72が、実施の形態3に係る入力デバイスにより、所定の入力動作に対応して入力された信号に応じてフォルダやファイルの選択、プログラムの起動、プログラム実行中の各種指令の入力などを行う。
【0116】
実施の形態6.
本発明の実施の形態6に係る運動特定装置は、実施の形態1〜5のいずれかに係る運動特定装置に、後処理器3により特定された運動特定対象の運動に基づいて、運動特定対象の動きを予測する予測装置を追加したものである。
【0117】
図12は、本発明の実施の形態6に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。図12において、予測装置91は、後処理器3により特定された運動特定対象の運動に基づいて、運動特定対象の動きを予測する予測手段として機能する装置である。この予測装置91は、演算回路やコンピュータにより実現される。
【0118】
また、反応装置92は、予測装置91により予測された運動特定対象の動きに応じて、運動特定対象に対応した所定の処理または動作を行う反応手段として機能する装置である。反応装置92は、運動特定対象に対して直接関与する機械的な装置や、予測結果に応じた音や表示で報知を行う装置などとされる。
【0119】
なお、図12におけるその他の構成要素については実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0120】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0121】
予測装置91は、後処理器3から得られる現在の位置並びに速度および/または加速度からある時間後の対象の位置や速度を予測したり、現在および過去の位置、速度、加速度などの履歴に基づいてある時間後の対象の位置や速度を予測し、その予測結果を出力する。
【0122】
そして、その出力先の一例である反応装置92は、予測装置91による予測結果に基づいて、機械的な動作や電気的な処理を行う。例えば、対象である落下物を機械的に受け止めたり、ある物体を駆動して、対象である飛行物体に接触させたりする。
【0123】
以上のように、上記実施の形態6によれば、現在および過去の運動が正確に特定されるため、予測装置91により運動特定対象の動きの予測を正確に行うことができる。
【0124】
また、上記実施の形態6によれば、運動特定対象の動きの正確な予測に応じて処理や動作を行うため、反応装置92により、対象の動きを非接触で認知しその対象に対して何らかの行為を行う場合に、正確にその行為を行うことができる。
【0125】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0126】
例えば、本発明を適用した電子楽器としては上述の木琴のほか、ギター、ピアノなどの他の電子楽器も同様にして実現可能である。また、それらの複数の楽器を1台の装置で実現し、ユーザが選択した楽器を模擬してその楽器の楽音を出力するようにしてもよい。そのようにすると1台の装置で複数の楽器を簡単に楽しむことができる。
【0127】
その他、本発明の運動特定装置は、上述の電子楽器および入力デバイスの他にも、工場での製造工程において、材料、部品、製品などを撮影し、その位置などを運動特定装置で測定し、その測定結果に応じて各種ロボットを制御して、部品の取り付けや組み立てを行うようにしたり、また、製造工程を監視して事故や不具合を予測し報知したりすることも可能である。
【0128】
また、本発明の入力デバイスにより、パーソナルコンピュータなどに使用されるキーボードを擬似的に実現することも可能である。その場合、例えばキーボードを模した紙などをユーザが打鍵することで、文字が入力される。
【0129】
また、本発明を交通関連システムに適用して、車両や歩行者などを撮影し、その位置などを運動特定装置で測定し、その測定結果に応じて、交通の係る情報(渋滞情報、事故情報など)を警察へ送信したり、信号機や道路標識の表示を制御することも可能である。
【0130】
また、対象の運動を正確に特定できるため、陸上競技、競馬、競輪、競艇、オートレースなどの写真判定などにも本発明を応用することができる。その場合には、例えば、各競技者を対象としてトラッキングしていき、競技者の画像がゴールラインに到達した順番を特定する。
【0131】
また、イメージャ1および演算処理部2には、プロセッサ内蔵型のカメラヘッドを使用することができる。そのようなカメラヘッドには、FastCom社製のiMVS−155などがある。iMVS−155は、1024×1024画素の白黒の撮像素子を有し、その撮像素子に対して毎秒2.5メガ画素にランダムアクセスが可能である。また、外部インタフェースとしてRS232Cのインタフェース回路を有する。
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、対象の運動を正確に特定することができる運動特定装置、並びに、その運動に対応した処理や動作を正確に行うができる電子楽器および入力デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る運動特定装置における演算器21の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係る運動特定装置の動作について説明するフローチャートである。
【図4】図4は、実施の形態1に係る運動特定装置における撮像素子の全画素領域の画像データからの部分領域の画像データの切り出しを説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキング処理での2値化処理を説明する図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行される座標変換処理を説明する図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキングの一例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施の形態2に係る電子楽器において使用される、木琴を模して描画した絵および運動特定の対象となる2つのバチの先端部を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態3に係る入力デバイスの構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施の形態3に係る入力デバイスにおいて使用される、ユーザに着用されたグローブを示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態6に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 イメージャ
2 演算処理部(演算手段)
3 後処理部(運動特定手段)
11 撮像素子
12 制御回路
51 楽音出力器(楽音出力手段)
71 信号出力器(信号出力手段)
91 予測装置(予測手段)
92 反応装置(反応手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、視野内の対象の運動を特定する運動特定装置、並びにその運動特定装置を使用した電子楽器および入力デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、物体、ユーザの手などを対象物として撮像し、その対象物の運動を特定し、その運動に応じて各種処理を行う装置が提案されている。
【0003】
そのような従来の装置には、ユーザを撮影し、ユーザの映像と仮想楽器とをディスプレイ上で合成し、ユーザがその映像を見ながら動くと、その楽器の楽音を出力する仮想楽器演奏装置(例えば特許文献1参照)、音楽に合わせて踊る人の映像を撮影し、その映像に基づいてその踊る人の各箇所の基準位置からの変化量に応じて強調された踊りを行うコンピュータグラフィックスによる仮想ダンサーの映像を表示する踊り映像強調合成装置(例えば特許文献2参照)などがある。
【0004】
また、その他にも、従来の装置として、移動体を撮影し、その移動体の移動量に応じて、その移動体に対応付けられたアニメーション画像を移動させて表示するアニメーション画像による実況中継システム(例えば特許文献3参照)などがある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−41038号公報(要約書)
【特許文献2】
特開2002−42168号公報(要約書)
【特許文献3】
特開2002−163674号公報(要約書)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置において、対象を撮像する際の高空間解像度と高速リアルタイム性の両立が困難であるため、空間解像度および/または時間解像度の観点から対象の運動を正確に特定することが困難である。ひいては、対象の運動に対応して正確な楽音を発生したり、その運動に対応した処理や動作を正確に行うが困難である。
【0007】
すなわち、例えばNTSC(National Television System Committee)方式といった従来の撮像方式では、約1秒間に30フレームのレートで対象が撮像されるため、このフレームレートの場合、例えば時速300キロメートルで走行する新幹線鉄道は、あるフレームから次のフレームまでの間に約2.7メートルも走行してしまう。また同様に、時速200キロメートルで飛んでくるサーブ時のテニスボールは、フレーム間で約1.9メートルも進む。そのため、従来の撮像方式では、対象の運動を正確に特定することは困難である。
【0008】
一方、例えば100万画素の画素回路を用いて高解像度としたままで、毎秒1000フレームのレートで撮影すると、撮像素子から画像処理装置への通信路として、毎秒1ギガバイト以上のデータ転送レートのものが必要になり、画像処理装置には同様に毎秒1ギガバイト以上のデータ処理能力が要求されることとなる。このため、運動する対象を十分な解像度で撮像しその運動を特定する場合、リアルタイム性が不足してしまう。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、対象の運動を正確に特定することができる運動特定装置、並びに、その運動に対応した処理や動作を正確に行うができる電子楽器および入力デバイスを得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の運動特定装置は、所定のサイズの画素領域を有する撮像素子と、所定の指定情報により指定された撮像素子の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路とを有するイメージャと、少なくともイメージャから出力されたあるフレームの部分領域の画像データに基づいて、部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算する演算手段と、演算手段により演算された画像特徴量に基づいて運動特定対象の運動を特定する運動特定手段とを備える。
【0011】
この運動特定装置を利用すると、対象の運動を正確に特定することができる。
【0012】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置に加え、演算手段が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、画像特徴量の演算の際または前に部分領域に対して座標変換を行うようにしたものである。
【0013】
この運動特定装置を利用すると、対象が部分領域内で一定姿勢で捕捉し続けられるため、部分領域内での対象の位置のゆらぎがなくなり、より正確に対象の運動を特定することができる。
【0014】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、演算手段が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、部分領域の画像データとともに座標変換に基づいて次フレーム用の指定情報を演算するようにしたものである。
【0015】
この運動特定装置を利用すると、視野内での対象の姿勢変化を考慮して、次フレームでの位置を予測するため、部分領域で対象を捕捉し続けることができる。
【0016】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、演算手段が、あるフレームについての部分領域の画素値の重心位置に基づいて次フレーム用の指定情報を演算するようにしたものである。
【0017】
この運動特定装置を利用すると、対象の画像データと周辺の画像データとの画素値の違いを利用して対象の移動量を簡単に得ることができる。
【0018】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、演算手段が、運動特定対象の像が部分領域から外れないフレームレートで指定情報を繰り返しイメージャに供給するようにしたものである。
【0019】
この運動特定装置を利用すると、高フレームレートで正確に運動特定対象を追尾することができる。
【0020】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段が、各フレームについての画像特徴量から運動特定対象の位置を特定するようにしたものである。
【0021】
この運動特定装置を利用すると、現実での運動特定対象の位置を正確に特定することができる。
【0022】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の速度を特定するようにしたものである。
【0023】
この運動特定装置を利用すると、現実での運動特定対象の速度を正確に特定することができる。
【0024】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の加速度を特定するようにしたものである。
【0025】
この運動特定装置を利用すると、現実での運動特定対象の加速度を正確に特定することができる。
【0026】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置のいずれかに加え、運動特定手段により特定された運動特定対象の運動に基づいて、運動特定対象の動きを予測する予測手段を備えるものである。
【0027】
この運動特定装置を利用すると、現在および過去の運動が正確に特定されるため、運動特定対象の動きの予測を正確に行うことができる。
【0028】
さらに、本発明の運動特定装置は、上記発明の運動特定装置に加え、予測手段により予測された運動特定対象の動きに応じて、運動特定対象に対応した所定の処理または動作を行う反応手段を備える。
【0029】
この運動特定装置を利用すると、運動特定対象の動きの正確な予測に応じて処理や動作を行うため、対象の動きを非接触で認知しその対象に対して何らかの行為を行う場合に、正確にその行為を行うことができる。
【0030】
本発明の電子楽器は、上記発明の運動特定装置のいずれかと、その運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた楽音信号を出力する楽音出力手段とを備える。
【0031】
この電子楽器を利用すると、奏者やバチなどの運動を非接触で正確に特定して、奏者による演奏に合った楽音を電子的に得て出力することができる。
【0032】
本発明の入力デバイスは、上記発明の運動特定装置のいずれかと、その運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた信号を出力する信号出力手段とを備える。
【0033】
この入力デバイスを利用すると、ユーザの身体の運動を非接触で正確に特定して、ユーザの入力操作(入力動作)に合った信号を出力することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。図1において、イメージャ1は、視野内の対象を撮像し、撮像した対象の画像データを出力する装置であって、所定のサイズの画素領域(画素数が縦横M×Nの領域)を有する撮像素子11と、所定の指定情報により指定された撮像素子11の画素領域の一部である部分領域の画像データI(X,Y)を出力させる制御回路12とを有する。なお、撮像素子11としては、各画素にランダムアクセス可能な撮像素子が使用される。それにより、任意形状の部分領域のみをスキャンする、いわゆるエリアスキャンが実行可能となる。そのような撮像素子としては、所定の画素数(例えば、縦横1024×1024)を有するCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )イメージセンサなどがある。
【0036】
なお、部分領域の広さは、予測される対象の最大運動速度、フレーム間の時間間隔などを考慮して決定され、撮像素子11の画素領域上でのフレーム間における対象の最大移動距離(最大運動速度×フレーム間の時間間隔)だけ移動しても部分領域の外側とならないように設定される。また、例えば、部分領域の広さを64×64画素として画素領域全体の100分の1以下とする。
【0037】
また、演算処理部2は、少なくともイメージャ1から出力されたあるフレームについての部分領域の画像データに基づいて、その部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算する演算手段として機能する回路群である。この演算処理部2は、イメージャ1の撮像素子11とは別体の集積回路などとして実装される。すなわち、イメージャ1の撮像素子11と演算処理部2の演算器21とは、LSIチップ間に設けられた通信路を介して互いに接続される。なお、画像特徴量とは、部分領域の画像に所定の演算を施して得られる物理量であり、例えば、画素値で重み付けした部分領域の重心位置、対象の画像の重心位置などの位置情報(全画素領域内での位置を示す情報)である。
【0038】
演算処理部2における演算器21は、イメージャ1からの部分領域の画像データI(X,Y)を、画素数が縦横m×nの矩形領域(m<M、n<N)の画像データI’(x,y)とし、例えば式(1)に従って、その部分領域の画像データI’(x,y)(x=1,・・・,m、y=1,・・・,n)の画像特徴量ζkを演算するとともに、例えば式(2)に従って、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレームにおける部分領域の位置および形状に対応する座標変換を示す座標変換パラメータρk+1 を生成する回路または装置である。
【0039】
ζk=G(I’(x,y),ρk) ・・・(1)
【0040】
ここで、kは、フレームの番号であり、Gは、画像データから画像特徴量を導出するための関数であり、ρk は、第kフレームについての1または複数の画像変換パラメータである。
【0041】
ρk+1=H(I’(x,y),ρk) ・・・(2)
【0042】
ここで、kは、フレームの番号であり、Hは、次フレームについての1または複数の座標変換パラメータρk+1 を導出するための関数である。
【0043】
この実施の形態1においては、その座標変換として、2次元のアフィン変換が使用される。なお、アフィン変換を使用することで、2次元画像に対して拡大/縮小、回転、並進移動、及び剪断変形を施すことができる。ただし、座標変換は、アフィン変換に限定されるものではなく、極座標変換、射影変換などの、対象の運動に対して適切な他の座標変換を使用してもよい。
【0044】
また、この実施の形態1においては、演算器21は、あるフレームについての部分領域の画像データおよび座標変換パラメータから、そのフレームについての部分領域の画像特徴量および次フレームの座標変換パラメータを演算する。なお、座標変換パラメータとしては、例えば式(3)に示すアフィン変換における変換行列の各要素a,b,c,dおよび定数ベクトルの各要素e,fが使用される。
【0045】
【数1】
【0046】
演算処理部2における座標変換回路22は、例えば式(4)に従って、演算器21により生成された座標変換パラメータに基づいて次フレーム用の部分領域の指定情報を演算する回路である。なお、この座標変換回路22は、コンピュータで実現してもよいし、専用LSIで実現するようにしてもよい。実施の形態1では、部分領域の指定情報としては、部分領域内の各画素についての全画素領域内での位置の情報(X,Y)が使用される。
【0047】
(Xk,Yk)=F((x,y),ρk) ・・・(4)
【0048】
ここで、(Xk,Yk)は、第kフレームにおける、部分領域内のある画素についての、撮像素子11の画素領域における位置を示す画素位置情報であり、(x,y)は、演算器21に記憶される際の、その部分領域に対応する矩形領域でのその画素の位置を示す画素位置情報である。
【0049】
また、後処理器3は、演算処理部2により演算された1または複数の画像特徴量ζkに基づいて運動特定対象の運動を特定する運動特定手段として機能する回路または装置である。なお、後処理器3は、特定した対象の運動を示すパラメータ(後述の各フレーム時点での位置、速度、加速度など)を必要に応じて出力する。
【0050】
実施の形態1では、後処理器3は、例えば式(5)に従って、あるフレームについて、演算処理部2からの画像特徴量により示される部分領域の位置から、そのフレームの時点での現実の運動特定の対象の位置を計算し、対象の運動を特定する。
【0051】
Pk=P(ζk) ・・・(5)
【0052】
ここで、Pk は、部分領域(または対象)の位置を示す位置ベクトルであり、Pは、画像特徴量から位置ベクトルPk を計算するための関数である。
【0053】
なお、後処理器3は、あるフレームについて、そのフレームの時点での運動特定の対象の位置に基づいて、その位置の差分からそのフレームの時点での対象の速度を計算し、その速度を含めて対象の運動を特定するようにしてもよい。例えば、後処理器3は、式(6)に従って、第kフレームの時点での対象の速度ベクトルVk を計算する。ただし、Δtは、フレーム間の時間間隔である。
【0054】
Vk=(Pk−Pk−1)/Δt ・・・(6)
【0055】
また、後処理器3は、あるフレームについて、そのフレームの時点での運動特定の対象の位置に基づいて、その位置の2次差分からそのフレームの時点での対象の加速度を計算し、その加速度を含めて対象の運動を特定するようにしてもよい。例えば、後処理器3は、式(7)に従って、第kフレームの時点での対象の加速度ベクトルAkを計算する。
【0056】
Ak=(Pk−2Pk−1+Pk−2)/(Δt×Δt) ・・・(7)
【0057】
なお、対象の速度を計算する場合、速度の絶対値と方向を計算し、対象の加速度を計算する場合、加速度の絶対値と方向を計算するようにしてもよいし、速度や加速度の絶対値のみを計算するようにしてもよい。また、式(6),(7)以外の式に基づいて上述の速度や加速度を計算するようにしても勿論よい。
【0058】
図2は、実施の形態1に係る運動特定装置における演算器21の構成例を示すブロック図である。演算器21は、いわゆるコンピュータとして実現される。この演算器21には、各種のマイクロプロセッサを使用すればよい。
【0059】
図2において、CPU31は、ROM32やRAM33に記憶されたプログラムを実行し、各種処理を行う装置である。また、ROM32は、プログラムやデータを予め書き込まれた不揮発性のメモリである。また、RAM33は、プログラムやデータを一時的に記憶するメモリである。この実施の形態1では、ROM32には、演算器21が実行すべき処理を記述したプログラムが記憶される。
【0060】
また、インタフェース34は、イメージャ1に接続されたインタフェース回路である。インタフェース35は、座標変換回路22に接続されたインタフェース回路である。インタフェース36は、後処理器3に接続されたインタフェース回路である。
【0061】
次に、上記装置の動作について説明する。図3は、実施の形態1に係る運動特定装置の動作について説明するフローチャートである。
【0062】
まず、イメージャ1の全画素領域のうちの対象を含む部分領域の初期位置の情報が、手動または従前の画像処理方式によって、座標変換回路22に入力される(ステップS1)。
【0063】
最初(k=1)のフレームについては、座標変換回路22は、入力された情報に基づいて、部分領域を指定する指定情報をイメージャ1の制御回路12に供給する(ステップS2)。その際、座標変換回路22は、部分領域内の画素を指定するための画素位置情報(X1,Y1)を、転送後の領域における画素(x,y)ごとに順番に制御回路12に供給する。
【0064】
そして、イメージャ1の制御回路12は、順番に、供給された画素位置情報に対応する撮像素子11の画素から部分領域の画像データI(X1,Y1)を出力させる(ステップS3)。イメージャ1から出力された画像データI(X1,Y1)は、演算器21に転送され、部分領域に対応する矩形領域の画像データI’(x,y)として順番に記憶されていく。
【0065】
そして、部分領域内の全画素の画像データの転送が完了すると、演算器21は、その部分領域の画像データI(x,y)(x=1,・・・,m、y=1,・・・,n)からその部分領域の画像についての画像特徴量ζ1 を演算し、後処理器3に出力する(ステップS4)。後処理器3は、その画像特徴量ζ1 または時系列に沿った複数の画像特徴量ζ1 からその部分領域内の対象の運動を特定する(ステップS4)。
【0066】
また、演算器21は、その部分領域の画像データI’(x,y)から、次フレーム用の座標変換パラメータρk+1 (今の場合、ρ2 )の値を演算し、座標変換回路22に供給する(ステップS5)。
【0067】
このようにして、まず最初(k=1)のフレームについての画像特徴量ζk の演算処理および対象の運動の特定処理を行う。
【0068】
次にステップS2に戻り、次フレーム(k=2)についての処理を開始する。
座標変換回路22は、演算器21から供給された座標変換パラメータρ2 に基づいて部分領域を座標変換し、部分領域内の各画素の、座標変換後の画素位置情報(X2,Y2)を、順番にイメージャの制御回路12に供給する(ステップS2)。
【0069】
イメージャ1の制御回路12は、順番に、供給された画素位置情報に対応する撮像素子11の画素から画像データI(X2,Y2)を出力させる(ステップS3)。イメージャ1から出力された部分領域の画像データI(X2,Y2)は、演算器21に転送され、演算器21において画像データI’(x,y)として順番に記憶されていく。図4は、実施の形態1に係る運動特定装置における撮像素子11の全画素領域の画像データ41からの部分領域の画像データ41aの切り出しを説明する図である。図4に示すように、撮像素子11の全画素領域の画像データ41のうちの部分領域の画像データ41aが、演算器21に転送され、画像データ42として記憶される。
【0070】
そして、部分領域内の全画素の画像データの転送が完了すると、演算器21は、その部分領域の画像データI’(x,y)および本フレーム用の座標変換パラメータρ2 に基づいてその部分領域の画像についての画像特徴量ζ2 を演算し、後処理器3に出力する(ステップS4)。後処理器3は、その画像特徴量ζ2または時系列に沿った複数の画像特徴量ζ2 からその部分領域内の対象の運動を特定する(ステップS4)。
【0071】
その際、後処理器3は、そのフレームの時点の画像特徴量ζ2 、または時系列に沿った複数の画像特徴量ζ1,ζ2から、対象の位置、速度、加速度などを演算し、それらの値を出力する。
【0072】
また、演算器21は、その部分領域の画像データI’(x,y)および本フレーム用の座標変換パラメータρ2 に基づいて、次フレーム用の座標変換パラメータρ3 の値を演算し、座標変換回路22に供給する(ステップS5)。
【0073】
その際、演算器21は、対象のトラッキングのための座標変換処理、および画像データI’(x,y)内の対象の画像が同一姿勢になるようにする座標変換処理を行う。
【0074】
図5は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキング処理での2値化処理を説明する図である。実施の形態1に係る運動特定装置におけるトラッキング処理では、座標変換前の部分領域の画像データI’(x,y)を、図5に示すように所定の閾値で2値化し、2値化後の画素値(0または1)を重みとして、各画素位置に重み付けをした場合の部分領域の2値化画像の重心位置を演算し、その重心位置の基準位置からの変位に応じて部分領域を変位させる。
【0075】
また、図6は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行される座標変換処理を説明する図である。実施の形態1に係る運動特定装置における姿勢一定のための座標変換処理では、対象の基準画像と本フレームの画像とを比較して、画像データI’(x,y)内の対象の画像が同一姿勢になる座標変換を特定する。
【0076】
そして、上述のトラッキングおよび姿勢一定のための座標変換の両方を満たすアフィン変換などの座標変換パラメータの値を演算する。
【0077】
以下、同様にして、第3フレーム以降(k>2)、ステップS2からステップS5までの処理を繰り返すことで、移動する対象を追跡して時系列に沿った対象の画像が得られ、時系列に沿って後処理器3により対象の運動が特定される。図7は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキングの一例を示す図である。すなわち、図7に示すように、時系列に沿って、全画素領域内で部分領域の位置や形状を変更していき、その部分領域の画像特徴量として部分領域の位置を対象の位置として、対象が一定姿勢である状態で検出していき、対象の運動を特定する。
【0078】
なお、その際、フレーム間の時間間隔は、部分領域の広さ、撮像素子11から演算器21へのデータ転送速度、および演算処理部2の演算速度に応じて決定される。部分領域は、全画素領域より少なくて済むため、フレーム間の時間間隔を、全画素領域の画像データを転送する場合に比べ短く設定される。例えば、全画素数が1024×1024である場合に、部分領域の画素数を64×64とすると、転送すべき画像データが256分の1となり、その分だけフレーム間の時間間隔を短く(例えば1000分の1秒以下に)設定することができる。
【0079】
なお、上記実施の形態1においては、説明の便宜上、部分領域を1つとして説明しているが、(後述の実施の形態2,3のように)複数の対象を含む複数の部分領域について、並行して同様に運動を特定することができる。その場合、各対象についての処理を並列に実行するようにしてもよい。
【0080】
以上のように、上記実施の形態1によれば、イメージャ1は、所定のサイズの画素領域を有する撮像素子11と、所定の指定情報により指定された、撮像素子11の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路12とを有し、演算処理部2は、少なくともイメージャ1から出力されたあるフレームの部分領域の画像データに基づいて、部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が部分領域に含まれるように次フレーム用の指定情報を演算し、後処理器3は、演算処理部2により演算された画像特徴量に基づいて運動特定対象の運動を特定する。
【0081】
これにより、対象の運動を正確に特定することができる。すなわち、撮像素子11の全画素から得られる画像データのうちの運動特定対象を含む一部の領域の画像データをイメージャ1から演算処理部2に転送して処理することで、一定のデータ転送速度および処理速度を有する装置において、高レートかつ高解像度で、移動する対象を追尾しつつ撮影することができ、その結果、その対象の運動を正確に特定することができる。
【0082】
また、対象の移動に合わせて撮像素子11の画素領域内の部分領域を移動させるようにしたので、電子的フィードバック制御により対象の追尾が行われる。これにより、アクチュエータを機械的に動かす機械式フィードバック制御と比較して、対象の運動に対する応答を非常に速くすることができる。
【0083】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、画像特徴量の演算の際(または前)に部分領域に対して座標変換を行う。
【0084】
これにより、対象が部分領域内で一定姿勢で捕捉し続けられるため、部分領域内での対象の位置のゆらぎがなくなり、より正確に対象の運動を特定することができる。
【0085】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、座標変換後の運動特定対象が部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、部分領域の画像データとともにその座標変換に基づいて次フレーム用の指定情報を演算する。これにより、視野内での対象の姿勢変化を考慮して、次フレームでの位置を予測するため、部分領域で対象を捕捉し続けることができる。
【0086】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、あるフレームについての部分領域の画素値の重心位置に基づいて次フレーム用の指定情報を演算する。
これにより、対象の画像データと周辺の画像データとの画素値の違いを利用して対象の移動量を簡単に得ることができる。
【0087】
さらに、上記実施の形態1によれば、演算処理部2が、運動特定対象の像が部分領域から外れないフレームレートで指定情報を繰り返しイメージャに供給する。これにより、高フレームレートで正確に運動特定対象を追尾することができる。
【0088】
さらに、上記実施の形態1によれば、後処理器3が、各フレームについての画像特徴量から運動特定対象の位置を特定する。これにより、現実での運動特定対象の位置を正確に特定することができる。
【0089】
さらに、上記実施の形態1によれば、後処理器3が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の速度を特定する。これにより、現実での運動特定対象の速度を正確に特定することができる。
【0090】
さらに、上記実施の形態1によれば、後処理器3が、複数フレームについての画像特徴量から運動特定対象の加速度を特定する。これにより、現実での運動特定対象の加速度を正確に特定することができる。
【0091】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る電子楽器は、上述の実施の形態1に係る運動特定装置によりバチの運動を特定し、その運動に応じて楽音を出力する電子木琴である。
【0092】
図8において、楽音出力器51は、上述の運動特定装置により特定される対象の運動に応じた楽音信号を出力する楽音出力手段として機能する装置である。また、スピーカ52は、楽音出力器51に接続され、楽音信号を供給されるとそれに対応する楽音を出力するスピーカである。
【0093】
なお、図8におけるその他の構成要素については、実施の形態1によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0095】
図9は、実施の形態2に係る電子楽器において使用される、木琴を模して描画した絵53および運動特定の対象となる2つのバチの先端部54L,54Rを示す斜視図である。なお、バチの先端部54L,54Rの色は、背景を異なる色とされる。
【0096】
この実施の形態2では、イメージャ1により絵53およびバチの先端部54L,54Rが撮影される。そして、バチの先端部54L,54Rの運動が後処理器3により特定され、時系列に沿って、各時点での運動のパラメータ(位置、速度、加速度など)が楽音出力器51に供給される。なお、イメージャ1および演算処理部2の動作については、実施の形態1の場合と同様である。
【0097】
そして、楽音出力器51は、各バチの先端部54L,54Rの位置などから、絵53に描かれた鍵盤が打鍵されたか否か、どの鍵が打たれたかを特定し、打鍵されたと判断した場合には、その鍵に割り当てられた楽音データから楽音信号を再生し、スピーカ52から出力させる。
【0098】
なお、おもちゃの木琴のように、正確な音色を必要としない場合には、各バチの先端部54L,54Rの位置のみで音色を選択するようにしてもよい。また、実際の木琴と同じような正確な音色を必要とする場合には、各バチの先端部54L,54Rの位置の他に、速度および/または加速度を考慮して音色を選択して実際の木琴の楽音により近づくようにしてもよい。
【0099】
このようにすることで、ユーザが紙などに描かれた木琴の絵53に対して打鍵することで、スピーカ52から木琴の楽音が出力される。
【0100】
以上のように、上記実施の形態2によれば、楽音出力器51が、運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた楽音信号を出力するので、奏者やバチなどの運動を非接触で正確に特定して、奏者による演奏に合った楽音を電子的に得て出力することができる。
【0101】
実施の形態3.
図10は、本発明の実施の形態3に係る入力デバイスの構成を示すブロック図である。実施の形態3に係る入力デバイスは、上述の実施の形態1に係る運動特定装置によりユーザの指の運動を特定し、その運動に対応した処理を行い、その処理結果をディスプレイに表示するものである。この実施の形態3に係る入力デバイスは、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、測定機器などといった電子情報機器用の入力デバイスである。
【0102】
図10において、信号出力器71は、運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じて、所定の既存入力デバイス(マウス、タブレットなど)の信号形式に従った信号を出力する信号出力手段として機能する回路または装置である。なお、信号出力器71を設ける代わりに、運動特定装置をコンピュータ72に直接接続し、信号出力器71と同様の機能を有するプログラム(例えばデバイスドライバ)をコンピュータ72で実行するようにしてもよい。
【0103】
また、コンピュータ72は、各種アプリケーションプログラムを実行可能なパーソナルコンピュータといった装置である。ディスプレイ73は、コンピュータ72に接続され、各種画像を表示する装置である。
【0104】
なお、図10におけるその他の構成要素については、実施の形態1によるものと同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
図11は、実施の形態3に係る入力デバイスにおいて使用される、ユーザに着用されたグローブ81を示す図である。図11に示すグローブ81において、人差し指の先端部82−1、薬指の先端部82−2、および小指の先端部82−3の色は、他の部分や背景とは異なる色とされる。
【0106】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0107】
この実施の形態3では、イメージャ1によりユーザの手に嵌められたグローブ81が撮影される。そして、3つの指の先端部82−1〜82−3の運動が後処理器3により特定され、時系列に沿って、各時点での各指の運動のパラメータが信号出力器71に供給される。なお、イメージャ1および演算処理部2の動作については、実施の形態1の場合と同様である。
【0108】
そして、信号出力器71は、その3つの指の運動が所定の運動である場合に、既存の入力デバイス(マウス、タブレットなど)に対して所定の操作を行った場合に出力される信号を出力する。コンピュータ72は、その信号を受信し、既存の入力デバイスからの信号と同様に処理し、その信号に応じた処理を行う。
【0109】
以上のように、上記実施の形態3によれば、信号出力器71が、運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた信号を出力するので、ユーザの身体の運動を非接触で正確に特定して、ユーザの入力操作(入力動作)に合った信号を出力することができる。
【0110】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係るゲーム装置は、実施の形態3に係る入力デバイスを使用したゲーム装置である。
【0111】
実施の形態3に係る入力デバイスを使用し、かつユーザがグローブを装着することで、例えばじゃんけんゲームを実施することができる。その場合、実施の形態4に係るゲーム装置により、先端部の動きから、ユーザがグー、チョキおよびパーのいずれを出したかを判別し、ユーザが出したものとゲーム装置側で選択したグー、チョキおよびパーのいずれかとの間で勝敗を判定し、勝敗の表示を、ゲーム装置側の選択したもののコンピュータグラフィクス表示とともに行う。
【0112】
その他、実施の形態3に係る入力デバイスを使用し、かつユーザがモーションキャプチャ用のマーカーを手首、肘、膝、足首などの必要に応じた身体の各部を装着することで、モーションキャプチャシステムを構築することができる。その場合にも、例えば、マーカーの位置の他にマーカーの速度や加速度を計算することで、それらの物理量に基づいてユーザの運動がより正確に特定される。さらに、そのシステムを応用して、例えばギターシミュレーション、ドラムシミュレーション、ダンスシミュレーションなどといった擬似体験型シミュレーションゲームを実施することができる。その場合、実施の形態4に係るゲーム装置により、装着されたマーカーの動きから、ユーザの動きを特定し、ユーザの動きに合わせてゲームを進行させていく。なお、このモーションキャプチャシステムは、ゲーム装置以外の用途にも勿論使用することができる。
【0113】
以上のように、上記実施の形態4によれば、実施の形態3に係る入力デバイスを使用することで、ユーザに装着された対象の運動が正確に特定されるため、ゲーム中にユーザが激しい動きをしても正確にゲームを進行させることができる。
【0114】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係るコンピュータシステムは、入力デバイスとして実施の形態3に係る入力デバイスを使用したものである。
【0115】
すなわち、コンピュータ72が、実施の形態3に係る入力デバイスにより、所定の入力動作に対応して入力された信号に応じてフォルダやファイルの選択、プログラムの起動、プログラム実行中の各種指令の入力などを行う。
【0116】
実施の形態6.
本発明の実施の形態6に係る運動特定装置は、実施の形態1〜5のいずれかに係る運動特定装置に、後処理器3により特定された運動特定対象の運動に基づいて、運動特定対象の動きを予測する予測装置を追加したものである。
【0117】
図12は、本発明の実施の形態6に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。図12において、予測装置91は、後処理器3により特定された運動特定対象の運動に基づいて、運動特定対象の動きを予測する予測手段として機能する装置である。この予測装置91は、演算回路やコンピュータにより実現される。
【0118】
また、反応装置92は、予測装置91により予測された運動特定対象の動きに応じて、運動特定対象に対応した所定の処理または動作を行う反応手段として機能する装置である。反応装置92は、運動特定対象に対して直接関与する機械的な装置や、予測結果に応じた音や表示で報知を行う装置などとされる。
【0119】
なお、図12におけるその他の構成要素については実施の形態1のものと同様であるので、その説明を省略する。
【0120】
次に、上記装置の動作について説明する。
【0121】
予測装置91は、後処理器3から得られる現在の位置並びに速度および/または加速度からある時間後の対象の位置や速度を予測したり、現在および過去の位置、速度、加速度などの履歴に基づいてある時間後の対象の位置や速度を予測し、その予測結果を出力する。
【0122】
そして、その出力先の一例である反応装置92は、予測装置91による予測結果に基づいて、機械的な動作や電気的な処理を行う。例えば、対象である落下物を機械的に受け止めたり、ある物体を駆動して、対象である飛行物体に接触させたりする。
【0123】
以上のように、上記実施の形態6によれば、現在および過去の運動が正確に特定されるため、予測装置91により運動特定対象の動きの予測を正確に行うことができる。
【0124】
また、上記実施の形態6によれば、運動特定対象の動きの正確な予測に応じて処理や動作を行うため、反応装置92により、対象の動きを非接触で認知しその対象に対して何らかの行為を行う場合に、正確にその行為を行うことができる。
【0125】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0126】
例えば、本発明を適用した電子楽器としては上述の木琴のほか、ギター、ピアノなどの他の電子楽器も同様にして実現可能である。また、それらの複数の楽器を1台の装置で実現し、ユーザが選択した楽器を模擬してその楽器の楽音を出力するようにしてもよい。そのようにすると1台の装置で複数の楽器を簡単に楽しむことができる。
【0127】
その他、本発明の運動特定装置は、上述の電子楽器および入力デバイスの他にも、工場での製造工程において、材料、部品、製品などを撮影し、その位置などを運動特定装置で測定し、その測定結果に応じて各種ロボットを制御して、部品の取り付けや組み立てを行うようにしたり、また、製造工程を監視して事故や不具合を予測し報知したりすることも可能である。
【0128】
また、本発明の入力デバイスにより、パーソナルコンピュータなどに使用されるキーボードを擬似的に実現することも可能である。その場合、例えばキーボードを模した紙などをユーザが打鍵することで、文字が入力される。
【0129】
また、本発明を交通関連システムに適用して、車両や歩行者などを撮影し、その位置などを運動特定装置で測定し、その測定結果に応じて、交通の係る情報(渋滞情報、事故情報など)を警察へ送信したり、信号機や道路標識の表示を制御することも可能である。
【0130】
また、対象の運動を正確に特定できるため、陸上競技、競馬、競輪、競艇、オートレースなどの写真判定などにも本発明を応用することができる。その場合には、例えば、各競技者を対象としてトラッキングしていき、競技者の画像がゴールラインに到達した順番を特定する。
【0131】
また、イメージャ1および演算処理部2には、プロセッサ内蔵型のカメラヘッドを使用することができる。そのようなカメラヘッドには、FastCom社製のiMVS−155などがある。iMVS−155は、1024×1024画素の白黒の撮像素子を有し、その撮像素子に対して毎秒2.5メガ画素にランダムアクセスが可能である。また、外部インタフェースとしてRS232Cのインタフェース回路を有する。
【0132】
【発明の効果】
本発明によれば、対象の運動を正確に特定することができる運動特定装置、並びに、その運動に対応した処理や動作を正確に行うができる電子楽器および入力デバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施の形態1に係る運動特定装置における演算器21の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態1に係る運動特定装置の動作について説明するフローチャートである。
【図4】図4は、実施の形態1に係る運動特定装置における撮像素子の全画素領域の画像データからの部分領域の画像データの切り出しを説明する図である。
【図5】図5は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキング処理での2値化処理を説明する図である。
【図6】図6は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行される座標変換処理を説明する図である。
【図7】図7は、実施の形態1に係る運動特定装置において実行されるトラッキングの一例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態2に係る電子楽器の構成を示すブロック図である。
【図9】図9は、実施の形態2に係る電子楽器において使用される、木琴を模して描画した絵および運動特定の対象となる2つのバチの先端部を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態3に係る入力デバイスの構成を示すブロック図である。
【図11】図11は、実施の形態3に係る入力デバイスにおいて使用される、ユーザに着用されたグローブを示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態6に係る運動特定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 イメージャ
2 演算処理部(演算手段)
3 後処理部(運動特定手段)
11 撮像素子
12 制御回路
51 楽音出力器(楽音出力手段)
71 信号出力器(信号出力手段)
91 予測装置(予測手段)
92 反応装置(反応手段)
Claims (12)
- 所定のサイズの画素領域を有する撮像素子と、所定の指定情報により指定された上記撮像素子の画素領域の一部である部分領域の画像データを出力させる制御回路とを有するイメージャと、
少なくとも上記イメージャから出力されたあるフレームの上記部分領域の画像データに基づいて、上記部分領域の画像データの画像特徴量を演算するとともに、運動特定対象が上記部分領域に含まれるように次フレーム用の上記指定情報を演算する演算手段と、
上記演算手段により演算された上記画像特徴量に基づいて上記運動特定対象の運動を特定する運動特定手段と、
を備えることを特徴とする運動特定装置。 - 前記演算手段は、座標変換後の前記運動特定対象が前記部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、前記画像特徴量の演算の際または前に前記部分領域に対して上記座標変換を行うことを特徴とする請求項1記載の運動特定装置。
- 前記演算手段は、座標変換後の前記運動特定対象が前記部分領域内で一定の姿勢になる座標変換を特定し、前記部分領域の画像データとともに上記座標変換に基づいて次フレーム用の前記指定情報を演算することを特徴とする請求項1または請求項2記載の運動特定装置。
- 前記演算手段は、あるフレームについての前記部分領域の画素値の重心位置に基づいて次フレーム用の前記指定情報を演算することを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の運動特定装置。
- 前記演算手段は、前記運動特定対象の像が前記部分領域から外れないフレームレートで前記指定情報を繰り返し前記イメージャに供給することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の運動特定装置。
- 前記運動特定手段は、各フレームについての前記画像特徴量から前記運動特定対象の位置を特定することを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の運動特定装置。
- 前記運動特定手段は、複数フレームについての前記画像特徴量から前記運動特定対象の速度を特定することを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載の運動特定装置。
- 前記運動特定手段は、複数フレームについての前記画像特徴量から前記運動特定対象の加速度を特定することを特徴とする請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載の運動特定装置。
- 前記運動特定手段により特定された前記運動特定対象の運動に基づいて、前記運動特定対象の動きを予測する予測手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の運動特定装置。
- 前記予測手段により予測された前記運動特定対象の動きに応じて、前記運動特定対象に対応した所定の処理または動作を行う反応手段を備えることを特徴とする請求項9記載の運動特定装置。
- 請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の運動特定装置と、
前記運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた楽音信号を出力する楽音出力手段と、
を備えることを特徴とする電子楽器。 - 請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の運動特定装置と、
前記運動特定装置により特定された運動特定対象の運動に応じた信号を出力する信号出力手段と、
を備えることを特徴とする入力デバイス。
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2002
- 2002-12-06 JP JP2002355180A patent/JP2004185565A/ja active Pending
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