JP2004184895A - 立体画像表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】立体画像表示装置における画面横方向視差数が不足し、画面縦方向と横方向の解像度バランスが悪い。
【解決手段】画像表示パネルと、スリットアレイなどの光学的画像選択手段との間に、光学的な画素シフト手段として、複屈折性を有する複屈折フィルム積層体を設けることにより、2行を1行にして表示して、横視差情報を倍増させる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
2次元平面表示装置を用いて立体画像を表示する手法として、多数の視線方向からの画像を画像表示面に合成表示し、観測者の視点位置に応じて対応する画像を選択的に視認させる光学的画像選択手段を設けたインテグラルフォトグラフィ法(以下IP法)が提案されている。
【0003】
図16にIP法の表示原理を示す。ここで、表示装置から観測者1502方向に向かってz軸、表示面内における横(左右)方向をx軸、縦(上下)方向をy軸にとることにする。即ち、図16はy軸方向から見た上面図である。
【0004】
立体画像表示装置1500は、光学的画像選択手段として画素ピッチにほぼ等しい開口部をアレイ状に設けたスリットアレイ102を表示面の前面(観測者側)に配置した構造となっている。
【0005】
画素104からスリットアレイ102の開口部を通過する光線を出射させ、仮想的に配置された表示オブジェクト1501の観測者に最も近い表面との交点を表示すべきオブジェクト位置1503として求め、表示オブジェクトの表面テクスチャを画素の表示情報1504として生成する。図16においては、表示オブジェクトの交点と対応する表示情報を同じ記号で模式的に示した。
【0006】
観測者1502は、スリットアレイ102越しに画素104を観察するため、視認できる画素104は一部に限定され、視点方向から見た画像のみが選択的に視認できる。
【0007】
IP法による立体画像表示方式では、観測者が立体像を視認する視点範囲(視域)において、単位角あたりの視差数が多いほど、表示オブジェクトの視差情報を滑らかに表現できるため立体表示品位が向上する。一方、光学的画像選択手段のピッチ、例えばスリットピッチが細かいほど、ある視点において観測できる画像の解像度が高くなり、画像の表示品位が向上する。従って、スリットに割り当てることのできる画像枚数、即ち画素数が多く、スリットピッチが細かいことが望ましい。言い換えると、画像表示面における画素数が多く、且つ画素ピッチが細かいことが望ましい。
【0008】
ところで、複屈折板を用いて、解像度の高い表示装置を提供するものがある。(特許文献1)ここでは、偏光を利用して表示装置からの光を複屈折板に通すことにより、右目用、左目用の光を選択的に出射させるものが立体用の画像表示装置の例として示されている。この他、光学ローパスフィルタとしての例が示される。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−152572号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
立体画像表示装置における視差数は、画像表示面に対して縦(上下)方向よりも横(左右)方向の視差数の多さが重視される。その理由は、縦方向の視差情報は観測者の上下方向の運動視差に対応するために設けられるのに対し、横方向の視差情報は左右方向の運動視差に加えて、左右の眼に生じる両眼視差にも対応する必要があるためである。また、一般に観測者の運動範囲は上下方向よりも左右方向に広いという点も横方向の視差数の多さが重視される所以である。
【0011】
しかるに、画像表示手段として用いられる画像表示パネルの精細度は、製造プロセスにより限界が生じる。また、通常の画像表示パネルにおいては、画像表示面縦方向と横方向において画素を等ピッチ、あるいはRGB三原色画素として縦横寸法比を3:1として形成されるため、画面縦方向と横方向の視差数を異なる値に設定すると、1画面あたりの画素数は縦方向と横方向において著しい差が生じてしまう。
【0012】
例えば、横方向画素数1600、縦方向画素数1200、画面アスペクト比4:3の液晶パネルを画像表示手段に用いる場合において、横方向視差数を16、縦方向視差数を4に設定すると1画面あたりの画素数は横方向画素数=1600/16=100、縦方向画素数=1200/4=300となる。そのため、画面横方向に表示可能な空間周波数は、画面縦方向に対し1/4となってしまう。通常、2次元表示においては画面縦方向と横方向の表示空間周波数を一致させた画像フォーマット、あるいは横方向に空間周波数の高い画像フォーマットが採用されており、上記のように画面横方向と縦方向の空間周波数に著しい差が生じると、通常の2次元表示を立体表示に変換する場合などにおいてもサブサンプリングによる表示画像の劣化が生じ不都合である。
このように、従来の構成では画面縦方向の画素数に比べ、画面横方向の画素数が不足していた。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明の実施の形態は、複数の画素を複数行配列した画像表示手段と、前記画像表示手段上に離間して設けられ、前記画像表示手段上の画素を複数組に分け、前記画素からの光を選択的に透過させる画素選択手段と、前記画像表示手段と前記画素選択手段との間に設けられ、複屈折性を有し、前記画素の一部を光学的にシフトさせて、前記画像表示手段上の2つの前記行を対として1つの行とする画素シフト手段とを有することを特徴とする立体画像表示装置を提供する。
【0014】
前記画素選択手段は、ピンホールアレイまたはレンズアレイであってもよい。
【0015】
前記画素選択手段は、スリットまたはレンチキュラーレンズアレイであっても良い。
【0016】
前記画素の前記複数組の境界部に位置する画素を黒表示とすることができる。
【0017】
前記画像表示手段上の前記画素は、三原色デルタ配列をなし、縦方向には三原色を順次循環させて配置し、隣接するが前記対を成さない前記行同士では同色を隣接させてもよい。
【0018】
前記画像表示手段上の前記画素は、三原色正方配列をなし、縦方向には三原色を順次循環させて配置し、同色同士を斜めストライプ配列としても良い。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に基づく立体画像表示装置について詳細に説明する。但し、本発明の構成は以下に述べる実施形態にとどまるものではなく、発明の実施形態および実施例において述べた構成の各部をさまざまに組み合わせた形態をとることが可能であることはいうまでもない。また、説明の簡略化のため、複数の図に渡って同一部材については同一の番号を付与した。
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の概要を説明するための図である。なお、図においては、表示装置から観測者方向に向かってz軸、表示面内における横(左右)方向をx軸、縦(上下)方向をy軸にとることにする。
【0021】
立体画像表示装置は、画像表示手段、例えば、液晶表示装置101と、光学的画像選択手段として画素ピッチにほぼ等しい開口部をアレイ状に設けたスリットアレイ102を表示面の前面(観測者側)に配置した構造を基本とするが、これらの間に光学的画素位置シフト手段109を設けている。
【0022】
画素104からスリットアレイ102の開口部を通過する光線を出射させ、表示オブジェクトの表面テクスチャを画素の表示情報として生成する。
【0023】
図2は、光学的画素位置シフト手段の概要を示す図である。光源(図示省略)側を紙面左、観測者(図示省略)側を紙面右として、立体画像表示装置をx軸方向の側面からみた断面図である。本実施形態では、画像表示手段である透過型液晶パネル101と、光学的画像選択手段であるスリットアレイ102の間に、複屈折フィルム積層体103が光学的画素位置シフト手段として設けられた構造となっている。
【0024】
透過型液晶パネル101の構造は、光透過基板105間に液晶層が挟持された画素104が形成され、基板の前後に偏光板106a、106bが設けられている。画素104では、画像情報に応じて電荷が画素毎に書き込み、保持されており、液晶の配向状態が電荷により制御されている。
【0025】
複屈折フィルム積層体103は、偏光回転層108および複屈折フィルム109から成る。
【0026】
複屈折フィルム109は、所定の方向に屈折率主軸を有する1軸性複屈折フィルムである。ポリカーボネートやJSR(株)製のアートン、高分子液晶ポリマー層を延伸配向処理することで、所望の光学特性を得ることができる。複屈折フィルム109の光学特性については後述するが、複屈折フィルム109の有する複屈折性により、入射光の偏光方向によって光の進行方向に差が生じる
複屈折フィルム109の液晶パネル101側には、偏光回転層108が設けられている。この偏光回転層108は、液晶パネル101の画素行に対応して、1行おきに設けられている。例えば、偏光回転層108は、液晶パネル101の偶数行目に対応する部分に設けられ、奇数行目にはない。
【0027】
偏光回転層108はいわゆるλ/2波長フィルム層であり、可視光の1/2波長となる200〜300nmのリタデーションを有する複屈折層が、xy軸を2分する45°方向に位相軸を有する光学層である。
【0028】
このような光学層は高分子ポリマー液晶など、複屈折性を有する光学ポリマーを光学的に等方的な透明基板上にずらし応力などによって配向処理することで複屈折性を持たせ、UV照射や熱的、パターニング処理によりストライプ状に複屈折層を残すよう加工することで形成することができる。
【0029】
非偏光状態にある光源光111は入射側偏光板の偏光透過軸であるy軸方向成分のみが透過し、画素104に入射する。偏光光は画素104を透過する際に、液晶層の配向状態に従って偏光状態が変化し、出射側に設けられた偏光板106bの偏光透過軸であるx軸方向の偏光成分113のみが出射する。液晶層の配向変化は出射偏光成分113の透過強度を制御していることに他ならない。
【0030】
偏光板106bを出射した偏光113のうち、画素i+1行とi+3行を出射した偏光成分113bは、複屈折フィルム積層体103の光入射面に画素1行おきに設けられた偏光回転層108を透過し、偏光軸がx軸からy軸方向に90°回転する。
【0031】
画素i行、i+2行を出射した光の偏光軸はx軸方向であり、複屈折フィルム109の常光線屈折率方位に一致しているため、入射光114aは常光線として直進する。一方、偏光回転層108により90°の回転操作を受けた画素i+1行、i+3行の出射成分はy軸方向に偏光軸を有している。このため、複屈折フィルム109内で、異常光線として光の進行方位がy軸方向にシフトする。即ち、複屈折フィルム109は、この入射偏光成分に対し光路を位置的にシフトさせて出射する光学シフト層の機能を有する。
【0032】
2つの偏光成分は複屈折フィルム109を出射後、再びz軸方向に直進する。このため画素のi行とi+1行、i+2行とi+3行の出射光が各々合成され、スリットアレイ102に設けられた開口部を出射する。
【0033】
この例では、スリットアレイ102と複屈折フィルム積層体103を支持するため、光学的に等方であるガラス基板(又はPMMA、アートンなどのプラスチック基板)110が設けられている。
【0034】
図3は、複屈折フィルム109の光学配置を示した図である。
【0035】
複屈折フィルム109は1軸性の複屈折性を有しており、屈折率楕円体と屈折率の主軸を、常光線屈折率をn、異常光線屈折率をnとして図中に示した。異常光線屈折率nの方位は、yz平面内にあり、z軸に対して角度θを成している。ここで、フィルム厚をdとする。
【0036】
複屈折フィルム109に対して垂直に入射した光のうち、x軸方向の偏光成分は屈折率nとなるため、常光線として電気変位ベクトルDと電場ベクトルE(図示省略)方位は一致し、直進する。一方、y軸方向の偏光成分は電気変位ベクトルDは直進するのに対し、電場ベクトルEの方向は、電気変位ベクトルDを法線とする波面平面と屈折率楕円体との接点と楕円体中心を結ぶ方位、yz平面内にありz軸に対して角度αを成す方向に進行する。
θとαの関係は、
【0037】
【数1】
Figure 2004184895
で表される。従って、フィルム厚dにおける異常光線のシフト量pは、
【0038】
【数2】
Figure 2004184895
となる。
【0039】
図4は、画素104の配列と画素の光学シフト方向をz軸方向、即ち、観察者から見た図である。
【0040】
本実施形態においては、画素は1行おきに半画素x軸方向にずれたデルタ配列構造を用いている。
【0041】
複屈折フィルム積層体により、i+1行、i+3行の画素が光学的にy軸方向へ1画素分シフトする。即ち、i行目とi+1行目が重なり、i+2行目とi+3行目が重なって見える。画素構造がデルタ配列となっているため、1軸方向の画素ずらし操作により、それぞれi行、i+2行の画素間に下の行の画素を重ね、補間表示することが可能となる。
【0042】
図5は、本実施例における画素と画像情報の割り当て方法を模式的に示した図である。
【0043】
比較のために、まず、図14に従来の画素と画像情報の割り当て方法を示した。図14においては、横方向視差数を4、縦方向視差数を0に設定した場合を示している。
【0044】
IP方式においては、図14の例では、対応する1つのスリットを通して4つの画素を見ることができるようにし、4画素を1組とする。この4つの画素は、4つの方向から見たときの映像情報の各1ドットに相当している。
【0045】
i行j列、i+2行j列の画素については第1の視差画像(番号1とする)に基づく画像情報を割り当て、以下列方向に4つの画像情報を割り当てている(番号1〜4)。これらの番号1〜4の画素が1組となり、4つの視差に対応する。
【0046】
また、i+1行j+1列、i+3行j+1列の画素についてはi行j列から半画素ずれた視線方向からの画像に基づく情報(1’)を割り当てている。画素の表示位置は変化しないので、それぞれの画素に表示する画像情報は各々の画素に割り当てられた画像について、画素の位置に相当する箇所をサンプリングした値である。
【0047】
一方、図5においては、i+1、i+3行の画素はそれぞれi、i+2行の位置にシフトするため、シフト後の画素位置において画像情報をサンプリングしなくてはならない。例えば、i+1行j+1列の位置において表示される画像情報2は、i行j列とi行j+2列の画素境界位置においてサンプリングされた画像情報である。
【0048】
即ち、番号1〜8の8つの画素を1組として、8つの視差に対応する画像を表示する。従って、図5において、i行j列〜i+1行j+7列が1組を成し、i+1行j+9列〜i行j+16列が1組を成す。
【0049】
ここで、j+8列に存在する画素401は、j列からj+7列の画素群を用いて視差番号を割り当てたk番目の視差画像群と、j+9列以降から始まるk+1番目の視差画素群の境界中央部に位置している。そのため、例えば画素401に第k視差画像群に属する視差情報を与えると、第k+1視差画像群に対応するスリットアレイ開口部から画素401を観測した場合に、誤った画像情報(偽像)が表示されてしまう。このため、画素401に相当する視差画像境界部の画素列は図5に示したように黒表示とすることができる。
【0050】
図6は、本実施例における透過型液晶パネルの表示駆動タイミング例を示した図である。
【0051】
行方向の順次走査に対しては、i行とi+1行、i+2行とi+3行が表示面では同一行に表示されるため、同時刻に走査されることが望ましい。ここでは、図に示すように、2ライン同時駆動を行なうために、i行とi+1行、i+2行とi+3行には同一の走査開始信号が印加される。さらに、画素列方向に点順次走査を行なう場合には、i行とi+2行、i+1行とi+3行は半画素ずれているため、クロックCLKとその反転クロックを1組として用いることでクロック周波数の増大を防ぐことが可能となる。
【0052】
本実施形態の構成において、スリットアレイ102を出射する光線の様子を図7に示す。また、従来の構成における様子を図15に示す。ここでは、簡単のため、画素構造以外の液晶パネルの構成部材、複屈折フィルム積層体等は図示省略している。本実施例においては縦方向視差を設けていないため、光学的画像選択手段は開口部をスリット状としたスリットアレイであり、図16と同様、開口部601が視線方向番号を割り当てた1組の画素群の中央部に位置している。
【0053】
図15は、やはり4画素を1組とし、横方向のみに視差を与えた例である。即ち、観察者が横方向に移動すると、4方向からの像を見ることができるが、縦方向には視差はなく、観察者が縦方向に移動しても画像に変化がない。
【0054】
この場合、各行から出射した光が、各々、スリット102を通して観察者に届くことになる。4画素が1組となるので、4つの方向から見た場合の画像が表示される。
【0055】
これに対して、図7に示すように、本実施形態によると、やはり横方向に4画素を1組とするが、画像シフト手段により、2つの行が重なるので、8つの画素を1組とすることができる。即ち、8方向の視線方向に対応した画像(1〜8)が、画素とスリット開口部を結ぶ線分上に光線として出射している。図15と比較すると、縦方向の出射密度が1/2に減少するものの、i行、1+2行における横方向の光線本数が倍増していることが分かる。
【0056】
図15(従来例)の場合と図7(本実施形態)との表示精細度を比較すると、従来例の横方向視差数は1行あたり4であるが、上下の画素が1/2画素ずれており、視差情報が入れ子になっているため、実効的な視差数、画面上下方向の空間周波数は実効的にほぼ等しい。しかしながら、これらデルタ配列の画素にRGB三原色のカラー情報を与えた場合、従来の構成では画素が完全分離配置しているため、色が分離して見え易い。これに対し、本実施形態においては、RGB三原色画素が重なり合って表示されるため、色の分離が認識されにくい、という利点が生じる。
【0057】
図8に、本実施形態における望ましいカラーフィルタ配列の例を示す。
【0058】
図8においては、i+1行とi+2行のように、隣接する画素の色配列を一致させている(701)。また、縦方向には、カラー配列がRGBとしてある(702)。
【0059】
このような配列とすることで、シフト後の横方向カラー配列はRGB、RGBと入れ子構造になる。同時に、同一の視線方向における画像情報を表示する、縦方向画素のカラー配列もRGB、RGBと順次配列される。従って、行方向、列方向どちらの方向においてもカラーバランスに優れており、色の分離やカラーシフトを認識しにくくすることが可能となる。
【0060】
以上、上記の説明においては、液晶パネル101の偏光板透過軸をx、y軸方向としたが、実際には液晶の視野角依存性のため、偏光板透過軸をxy軸に対し45°方位とする例が多く見られる。この場合、出射側偏光板106bと複屈折フィルム積層体103間に、λ/2層を新たに設け、λ/2層の位相軸を出射側偏光板106bの偏光透過軸とx軸を2分する方位に配置することで、λ/2の出射偏光軸をx軸方向とすることができ、以降は上記と同じ構成で同様の効果が得られる。λ/2層は複屈折フィルム109と同様、ポリカーボネート、アートンなどを材質とする複屈折フィルムを用いることができる。
(実施形態2)
本発明の第2の実施形態について図9〜図13を用いて説明する。
【0061】
図9は、第1の実施形態における図2と同様、立体画像表示装置をx軸方向の側面からみた部分断面図である。本実施形態では、画像表示手段として自発光型の有機ELパネル801を、光学的画像選択手段としてレンチキュラーレンズアレイ802を用いている。有機ELパネル801と、光学的画像選択手段であるレンチキュラーレンズアレイ802の間に、複屈折フィルム積層体103が光学的画素位置シフト手段として設けられている。複屈折フィルム積層体103において、実施形態1に示した機能を有する複屈折フィルム層が803、806の2層構造になっていることを特徴としている。
【0062】
複屈折フィルム803、806は、屈折率主軸の向きが異なっており、y軸方向に偏光軸を持つ1段目の複屈折フィルム803によりx軸方向の光学シフト、2段目の複屈折フィルム806によりy軸方向への光学シフトが生じる。
【0063】
複屈折フィルム803と806の間にはλ/2複屈折フィルム804、805が2層設けられており、波長分散を低減するために、偏光回転操作を2回行なうことで90°の偏光回転操作を行なう。
【0064】
有機ELパネル801は、発光層となる画素104を有しており、画像情報に応じて所定の光強度、色を有する光807を発光する。発光光807は非偏光であるので、基板の光出射側にx軸方向に偏光透過軸を有する偏光板106bが設けられており、出射光113はx軸方向に偏光軸を有する偏光光となる。
【0065】
出射光113は、光学的画素位置シフト手段である複屈折フィルム積層体103に入射する。
【0066】
i行、i+2行の画素を出射した偏光113a、113cは、第1の実施形態と同様に、偏光回転層108によって90°の偏光回転操作を受け、偏光軸がy軸方向に変換される。次段の複屈折フィルム803、806は、y軸方向に偏光軸を持つ1段目の複屈折フィルム803によりx軸方向の光学シフト、2段目の複屈折フィルム806によりy軸方向への光学シフトが生じる。
【0067】
複屈折フィルム803と806間にあるλ/2複屈折フィルム804、805の2層を用いた偏光回転操作の合成により90°の偏光回転操作を行なう。
【0068】
位相軸の方位はxy軸面内において、x軸から67.5°、22.5°の方位に設置することで、x軸方向の偏光軸は光入射時に0°から複屈折フィルム803出射時に135°、複屈折フィルム806出射時に−90°となり、y軸方向の偏光軸は光入射時に90°から45°を経て0°に変換され、偏光軸方位の交換が行なわれる。このように、λ/2複屈折フィルム層を多段構成として90°偏光回転操作を行なうことで、λ/2条件から外れた波長成分の位相補償が行なわれるため、λ/2層1段構成、45°配置による偏光軸90°回転操作よりも広帯域とすることができる。
【0069】
図10は、本実施形態における複屈折フィルム積層体103の複屈折フィルム803、806の光学配置を示した図である。
【0070】
複屈折フィルム803では、x軸方向の光学シフトを行なうために、異常光線屈折率ne1の方位は、xz平面内にあり、z軸に対して角度θを成している。一方、複屈折フィルム806においては、実施例1と同様y軸方向の光学シフトを行なうため、異常光線屈折率ne2の方位は、yz平面内にあり、z軸に対して角度θを成している。
【0071】
図11は、本実施形態における画素と視線情報の割り当て方法を模式的に示した図である。
【0072】
ここでは、説明の簡単のため、横方向視差数を4、縦方向視差数を0とする例を示す。また、画素配列は格子状をなしており、いわゆる正方配列を用いる。
【0073】
i+1行、i+3行における画素は、複屈折フィルム803、806による2段階の画素シフトを受け、i行、i+2行の画素間に移動して見える。即ち、i行j列の画素において表示される視線方向の画像情報1と、i行j+1列の画素において表示される画像情報3の間に、i+1行j列の画素において表示される画像情報2が重なり挿入される。従って、i+1行j列の画素に表示するべき画像情報2は、i行j列とi行j+1列との画素境界においてサンプリングされた画像情報を表示することになる。
【0074】
図12は、レンチキュラーレンズアレイ802を出射する光線の様子を示した図である。簡単のため、図7と同様、画素構造以外の有機ELパネルの構成部材、複屈折フィルム積層体等は図示省略している。
【0075】
ここでは縦方向視差を設けていないため、光学的画像選択手段はレンチキュラーレンズアレイであり、レンズ中心が視差番号を割り当てた画素群の中央部に位置している。
【0076】
8方向の視線方向に対応した画像(1〜8)が、画素とレンズ中心を結ぶ線分上に光線として出射している。
【0077】
これを、画素シフトを行なわない従来例と比べると、視線方向1枚当たりの縦解像度は1/2となっているが、視線本数は4本から8本に倍増していることが分かる。
【0078】
例えば、有機ELパネルの横方向画素数を1600、縦方向画素数を1200とすると、従来構成では、横方向視差数4、視線方向あたりの表示画素数は400×1200となり、アスペクト比4:3のパネルについて横対縦の解像度比は1:4であるのに対し、本実施例では、横方向視差数が8に増加し、視線方向あたりの表示画素数は400×600、横対縦解像度比は1:2と、横方向と縦方向の解像度バランスが向上していることが分かる。
【0079】
なお、実施形態1において述べたように、画素群の境界に位置する画素401には黒表示を行い、偽像の発生を防止できる。
【0080】
図13は、カラー画素を用いた場合における望ましいカラー配列を示した図である。
【0081】
格子状にカラー配列が形成される場合、横方向の画素幅と縦方向の画素長を1:3として、縦ストライプ型の構造を取る場合が多い。本実施形態においては、i+1行の画素がi行の画素間に配置されるため、例えばi行j列、i+1行j列、i行j+1列、i+1行j+1列の順にRGB三原色が入れ子構造を取ることが望ましい。また、列方向においても、i行、i+2行、i+4行の順にRGB三原色が入れ子構造となっていることが望ましい。従って、このような画素配列は、図13に示すような、行方向、列方向に隣接する画素の色が異なる、いわゆる斜めストライプ構造を取っていることが望ましい。
【0082】
なお、以上の説明においては、説明の簡単のために縦方向の視差数を0としたため、光学的画像選択手段としてスリットアレイとレンチキュラーレンズアレイを挙げたが、縦方向に視差数を設けた場合は、これらはそれぞれピンホールアレイとレンズアレイとすれば良い。
【0083】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の実施の形態によれば、立体画像表示装置において重要な横方向視差数を増大させ、視線あたりの画像における縦方向と横方向の解像度バランスを向上させることで、高品位な立体画像を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に関わる構成を側面から見た断面図
【図2】本発明の第1の実施形態に関わる構成を側面から見た断面図
【図3】本発明の第1の実施形態における複屈折フィルムの光学配置を示した図
【図4】本発明の第1の実施例において画素配列と画素の光学シフト方向をz軸方向から見た図
【図5】本発明の第1の実施例において画素と画像情報の割り当て方法を模式的に示した図
【図6】本発明の第1の実施例において透過型液晶パネルの表示駆動タイミング例を示した図
【図7】本発明の第1の実施例においてスリットアレイを出射する光線の様子を示した図
【図8】本発明の第1の実施形態における望ましいカラーフィルタ配列の例を示した図
【図9】本発明の第2の実施形態に関わる構成を側面から見た断面図
【図10】本発明の第2の実施形態において複屈折フィルム積層体の複屈折フィルムの光学配置を示した図
【図11】本発明の第2の実施形態において画素と視線情報の割り当て方法を模式的に示した図
【図12】本発明の第2の実施形態においてレンチキュラーレンズアレイを出射する光線の様子を示した図
【図13】本発明の第2の実施形態における望ましいカラーフィルタ配列の例を示した図
【図14】従来の構成において、画素と画像情報の割り当て方法を示した図
【図15】従来の構成において、スリットアレイを出射する光線の様子を示した図
【図16】IP法の表示原理を説明する図
【符号の説明】
101・・・透過型液晶パネル
102・・・スリットアレイ
103・・・複屈折フィルム積層体
104、401・・・画素
105・・・光透過基板
106a、106b・・・偏光板
108、804、805・・・λ/2波長フィルム(偏光回転層)
109、803、806・・・複屈折フィルム(光学シフト層)
110・・・ガラス基板
111・・・光源光
112、113a、113b、113c、113d・・・偏光光
114a、114b・・・入射光
115・・・出射光
601・・・開口部
701・・・隣接画素の組
702・・・カラー配列の組
801・・・有機ELパネル
802・・・レンチキュラーレンズアレイ
807・・・発光光
1500・・・立体画像表示装置
1501・・・表示オブジェクト
1502・・・観測者
1503、1505・・・表示すべきオブジェクト位置
1504・・・表示情報
1506a、1506b、1506c、1506d・・・視線方向
1507a、1507b、1507c、1507d・・・表示画面上におけるオブジェクト情報表示位置

Claims (5)

  1. 複数の画素を複数行配列した画像表示手段と、
    前記画像表示手段上に離間して設けられ、前記画像表示手段上の画素を複数組に分け、前記画素からの光を選択的に透過させる画素選択手段と、
    前記画像表示手段と前記画素選択手段との間に設けられ、複屈折性を有し、前記画素の一部を光学的にシフトさせて、前記画像表示手段上の2つの前記行を対として1つの行とする画素シフト手段と
    を有することを特徴とする立体画像表示装置。
  2. 前記画素選択手段は、ピンホールアレイまたはレンズアレイであることを特徴とする請求項1記載の立体画像表示装置。
  3. 前記画素の前記複数組の境界部に位置する画素を黒表示とすることを特徴とする請求項1記載の立体画像表示装置。
  4. 前記画像表示手段上の前記画素は、三原色デルタ配列をなし、縦方向には三原色を順次循環させて配置し、隣接するが前記対を成さない前記行同士では同色が隣接することを特徴とする請求項1記載の立体画像表示装置。
  5. 前記画像表示手段上の前記画素は、三原色正方配列をなし、縦方向には縦方向には三原色を順次循環させて配置し、同色同士が斜めストライプ配列であることを特徴とする請求項1記載の立体画像表示装置。
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