JP2004184356A - 原子炉制御棒非破壊水中検査装置 - Google Patents

原子炉制御棒非破壊水中検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、原子力発電プラントで使用されている制御棒の表面状態、および、制御棒を構成する中性子吸収材料の表面生成物や材料特性を測定するための装置を提供する。
【解決手段】原子炉制御棒非破壊水中検査装置は、原子炉制御棒のシース部分をパッドを介して挟み込むように該装置を固定するための固定機構と、原子炉制御棒の表面付着物、表面生成物、材料特性、形状を測定するためのセンサと、該装置を原子炉制御棒に固定した上で、該センサを測定対象物に押し当てるためのセンサ駆動機構から構成される。
上記水中検査装置により、遠隔操作で原子炉で使用されている制御棒の表面付着物、生成物、材料特性を簡便かつ精度良く測定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電プラントで使用されている制御棒の表面状態、および、制御棒を構成する中性子吸収材料の表面生成物や材料特性を測定するための装置を提供し、制御棒の健全性を評価する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントで使用されている制御棒の非破壊検査方法に関する代表的な公知例として特許文献1、特許文献2、特許文献3が挙げられる。特許文献1は制御棒の外観検査に超音波ビームを用いる方法に関し、専用の固定治具に制御棒を固定し、探傷器を固定治具上で走査させる事により、制御棒の外形の変化を測定している。特許文献2は制御棒の燃料案内ピンの健全性を評価する方法に関し、超音波ビームをある特定の方向から入射し、その反射波の評価方法を記載する。特許文献3は制御棒の構成部材の一つである制御棒駆動機構の検査方法に関し、駆動機構の検査のために全ての燃料集合体を取り除くのではなく、一部の燃料集合体を取り除き、燃料集合体を取り除いた部分に制御棒と同等の働きが期待される中性子吸収体を挿入し、その状態で制御棒の駆動機構の外観検査および機能検査を実施する発明を記載する。
【0003】
渦電流法を用いた材料劣化を評価する代表的な公知例として、特許文献4、特許文献5が挙げられる。特許文献4では燃料集合体の構成部材であるジルコニウムの導電率を測定し、その健全性を評価する方法を記載する。特許文献5はチタンまたはチタン合金の機械加工による表面変化を渦電流の出力変化から評価する方法を記載する。
【0004】
渦電流法と水中検査機構を組合わせた代表的な公知例として、特許文献6、特許文献7が挙げられる。特許文献6は回転体の外表面の傷の有無を検査するために渦電流を用いることを記載する。測定装置は回転体に固定するためのクランプ機構、クランプ後渦電流用のプローブを押し付ける機構から構成されている。特許文献7では燃料被覆管の酸化膜厚さを測定するために渦電流を用いることを記載する。測定装置は燃料被覆管に固定するためのクランプ機構、クランプ後渦電流用のプローブを押し付ける機構から構成されている。すなわち、特許文献7には、検査用センサを水中に沈潜させて、原子炉燃料部材の1つである燃料被覆管の材料検査、あるいは表面に生成される酸化皮膜厚さ等の測定を行う燃料被覆管の過電流検査装置において、該過電流検査装置に該燃料被覆管を保持させる上下一対のチャック部と、該検査用センサを前記燃料被覆管の中心にかつ垂直に押し当てるセンサホルダ部と、前記検査用センサの零校正用試験片部と、から構成される燃料被覆管の過電流検査装置が記載される。
【0005】
【特許文献1】
特許第2517458号公報
【特許文献2】
特許第3046926号公報
【特許文献3】
特公平6−100670号公報
【特許文献4】
特開平10−206394号公報
【特許文献5】
特表2001−524669号公報
【特許文献6】
特開平10−111278号公報
【特許文献7】
特開平11−326285号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
原子力プラントで使用されている制御棒の検査技術に関する従来技術は、制御棒自体の外観を検査することが主であり、中性子吸収体そのものを検査する手法に関しては報告例が見られない。中性子吸収体そのものを検査する場合には、制御棒の構造上、中性子吸収体を覆っているシースの孔から検査する必要がある。使用済み制御棒の場合には、構造部材の一部が放射化しているため検査は隔離された環境で遠隔操作によって行われる。このことを考慮すると、従来技術で中性子吸収体自体の検査を試みた場合、シースの孔を通して一部の外観検査は可能であるが、表面付着物および生成物、材料特性の変化を検査する場合には制御棒を分解して、中性子吸収体を取り出し、検査施設例えばホットラボに輸送した後、切断、研磨等の試料準備後に検査に供される事になる。これら一連の作業に要する費用、時間は膨大であり、同時に多量の廃棄物を産出する。
【0007】
渦電流を用いた材料劣化方法に関する従来技術においては、ジルコニウム合金、チタン合金等の検査方法に関して報告例が見られるが、中性子吸収体である例えばハフニウムの検査方法に関しての報告例は見られない。一般的にジルコニウムとハフニウムの材料特性はほぼ同じとされているが、過去に報告例が無い事から推測の域を出ないため従来技術を踏襲する事は困難である。
【0008】
渦電流法を用いた水中検査装置に関しては、回転体、燃料集合体の他に配管等の公知例が見られるが、制御棒に適用した例は見られない。水中検査装置の構成は、その対象物の形状、測定位置により装置の構成、作用が異なるため、従来技術を踏襲した検査装置では、制御棒を検査する事は困難である。
【0009】
本発明は、使用済み制御棒、特に制御棒を構成する中性子吸収体の表面付着物、表面生成物、材料特性を検査および評価する装置に適した原子炉制御棒非破壊水中検査装置およびこの装置を使用した水中検査方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
従来は制御棒を固定し、カメラを通して目視による外観検査、または超音波による制御棒の外観の検査が主であり、制御棒、特に中性子吸収体の表面付着物、表面生成物、材料特性の検査を実施する手段は見られなかった。本発明では原子力プラントで使用されている制御棒を対象とする。制御棒は断面が十字もしくはY字を成す形状をしている。制御棒のシース幅およびシース厚さより大き目の溝構成にした一対のパッドをシースの一端側から挿入し、シースの表面を一対のパッドを介して狭持し、他のシース表面を他のパッドをエア圧力で押し付けることにより検査装置を固定する。水中検査装置には制御棒の表面の付着物や生成物または材料特性を検査するための検査手段のプローブを具備させる。検査装置としては例えば渦電流測定用のプローブ、カメラ、レプリカ装置、超音波探傷用プローブ等が考えられる。その検査用プローブをエア圧力により測定対象部に一定圧力で押し付けるあるいは近接配置する。制御棒内のある特定の位置における付着物、生成物、材料特性を検査したい場合には、ある範囲で任意に駆動する事が可能な機能を水中検査装置が付帯させ検査手段を任意の位置に配置する事を可能にする。位置の同定には位置センサ、検査手段の位置を確認するためのカメラを水中検査装置に組み込むことができる。
上記の機能を有する装置を用いる事により、制御棒の任意の位置における表面付着物、生成物、材料特性を検査、評価することが可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を図1から図を使用して説明する。
図1から図3は原子力プラントで使用されている制御棒1の表面付着物、生成物、材料特性を渦電流法で測定する際の治具の一例を示している。図1は水中検査装置100を固定する制御棒1のシース2を側面から見た図、図2は固定されてシース2をシース中心方向に見た図、図3は原子炉制御棒1(以下、制御棒という。)の長手方向断面から見た図である。これらの図において、水中検査装置100の基本構成は制御棒1のシース2に固定するための支持パット110、(110A、110B、110C、110Dを含み、両者を総称して110で示す。以下、同じ。)支持パット110をシース2に押し付けるための固定用エアシリンダ111、測定対象のシース2に対向して配置された測定プローブ200、測定プローブ200をシース方向に押し付けるための測定用エアシリンダ210およびこれらを収納する本体101である。測定対象物が制御棒1の中性子吸収体である場合、シース2(2A、2B)に規則的に加工されている通気孔3である小孔から中性子吸収体の表面を観察を行う。この場合、測定プローブ200を任意の位置に配置するため、上記の基本構成の他に制御棒1の長手方向(Z方向)および幅方向(X方向)に測定プローブ200を駆動させる機構(駆動装置)が設けられる。Z方向に駆動させるためにZ方向ガイド120、Z方向ガイド120上を駆動するためのZ方向駆動モータ121、Z方向駆動モータ121からの力を伝達するためのZ方向ボールネジ122、Z方向の位置を決めるZ位置測定器123が水中検査装置100に組み込まれている。また、X方向に駆動させるためにX方向に駆動するためのX方向駆動モータ130、X方向駆動モータ130からの力を伝達するためのX方向ボールネジ131、X方向の位置を決めるX位置測定器132が水中検査装置100に組み込まれている。
【0012】
図3において、この例の場合、制御棒は四方向に伸びた十字形をしており、シース2Aに対して支持パッド110Aが接触し、シース2Bに対して支持パッド110Bが、他方側のシース2Cに対して支持パッド110Dが、さらにシース2Dに対して支持パッド110Cが接触する構成となる。
【0013】
支持パット110の特徴は、制御棒1のシース2に傷を付けないこと、固定用エアシリンダ111からの力をシース2に十分伝達すること、シース2と支持パット110の摩擦係数が十分大きく多少の振動では水中検査装置100の個定位置がずれないことである。また、支持パット110の配置は、シース2の板厚より大きく、シース2を両面から挟みこむような配置に、また、シース2の幅とほぼ同じ長さ位置に直交するシース面と接触するように配置することにより、作業性を損なうことなく、シース2に傷が付くのを防いで、測定プローブ200が位置決めされ、固定され測定のための準備が完了する。これは、制御棒1の形状が変化した場合、例えばY字形状の場合でも同様で、シース板厚よりもパットを大きく開口させ、シース2を両面から挟みこむような配置に、また、シースの幅とほぼ同じ長さ位置に直交するシース面と接触するように配置することにより、作業性を損なうことなく、シース2に傷が付くのを防ぐことが可能である。これらの機能を達成するために、支持パット110の材質としては例えば硬質のゴム等が考えられる。
【0014】
支持パット110をシース2に押し付けるための固定用エアシリンダ111はシース2に過大な負荷がかからないようにエア駆動が好ましい。固定用エアシリンダ111によって矢印206のように支持バット110Dは動き、測定プローブ200を制御棒100に固定する。この支持機構により制御棒1に水中検査装置100を確実に固定する事が可能になり、シース2表面、およびシース2に覆われた中性子吸収体に対して渦電流測定を適用する事が可能になる。支持パット110をシース2に押し付ける機構をモータ駆動にした場合、固定用エアシリンダの代わりに固定用モータを用いることも可能である。その場合には、シース2の変形を抑制するために、過荷重を検知するリミッタを取り付けることが望ましい。この機構でもエア駆動と同様の効果が得られる。
【0015】
図4から図6に水中検査装置100を制御棒1に配置するまでの相対的な位置関係、および支持パット110の動きを示す。汎用ポール504(図9)に水中検査装置100を取付け(図4A)、制御棒1の測定対象部まで水中検査装置100を配置する(図4B)。汎用ポール504を制御棒1の方向にスライドさせ、(図5A)水中検査装置100を制御棒1の測定対象部に挿入する(図5B)。その時、支持パット110は制御棒1のシース2の板幅より大きく開口125しているため、シース2の影響を受けることなく、水中検査装置100を制御棒1の目的とする位置に配置することが可能である。また、支持パット110が挿入するシース2と直交するシースに当たる位置にも配置されているため、水中検査装置100を制御棒1に配置する際に、制御棒1に傷を付ける事を防ぐことが可能である。所定の位置に水中検査装置100を配置した後、固定用エアシリンダ111をシース2を挟みこむ方向に駆動させることにより、(図6A)水中検査装置100を制御棒1に固定することが可能である(図6B)。
【0016】
以下に測定プローブ200として渦電流測定用のプローブに関して詳述するが、測定プローブ200として超音波測定プローブ(センサ)、磁気測定プローブ、レプリカヘッド等も渦電流プローブを取り付ける場合と同様な機構で使用することが可能である。
【0017】
一般に渦電流法で表面付着物の厚さや生成物の厚さを測定する場合には測定面に対して測定プローブ200が傾いたりすると、見かけ上、表面付着物の厚さや生成物の厚さとして信号を出力するため、精度を確保する上で測定プローブ200を測定面に対して完全に接触させ、かつ一定の押付け力である必要がある。図7および図8に制御棒1を測定する場合のプローブ形状の例を示す。測定プローブ200は、磁束を生成するためのコイル201、コイル201を巻きつけるためのコイル芯202、コイル芯202を円柱状の被測定物4に一定の強さで押付けるためのコイルばね203、コイル201、コイル芯202、コイルばね203を収納するコイルケース204から構成される。さらに測定プローブ200は測定用エアシリンダ210にプローブ固定ばね205で接続されている。
【0018】
コイル201は、測定環境の影響、特に温度の影響を小さくするために電気抵抗の温度依存性の材料を使用する。例えばコイル201の材質は銅線を用いる場合には、同様な電気抵抗で温度依存性の小さいマンガニン線を使用することで、温度変化による外乱を低減する事が可能である。測定対象が制御棒1の場合、被測定物4の相関配置、シース3と被測定物4の位置関係が表面付着物、生成物、材料特性の信号の外乱となる。被測定物4に対してコイル201の形状が大きい場合は、被測定物4以外の周りの構造物の信号を拾うため外乱が大きくなる。従ってコイル201の寸法は被測定物4の外径より小さいことが望ましい。
【0019】
コイル芯202が被測定物4と接触する先端部の形状は、被測定物4の形状に合せて任意に決める事ができる。例えば被測定物の形状が板状の場合、先端部の形状は一様の曲率を持った凸型、または平坦な形状が考えられる。また、例えば被測定物の形状がある曲率を持った円柱状の場合、先端部の形状はある一様の曲率を持った凸型、平坦型、被測定物の形状と同じ曲率またはその曲率より大きい曲率をもつ形状であることが考えられる。コイル芯202において、コイル201が巻かれている部分の材質は、測定対象範囲により非磁性材料、磁性材料を選択する。測定対象範囲が広い場合、コイル201により形成される磁束の領域は広いことが望ましいため非磁性材料である事が望ましい。一方、測定対象範囲が狭い場合、コイル201により形成される磁束の領域は狭い範囲で高密度であることが望ましいため磁性材料、例えばフェライトコアを用いる事が望ましい。コイル201が巻かれている部分の材質を磁性材料にし、磁束の密度を上げることは、測定対象が制御棒1の場合、被測定物4の相関配置、シース3と被測定物4の位置関係による外乱を低減する事にも寄与する。
コイルばね203を測定プローブ200に組込む事により、被測定物4に対してコイル芯202が一定の押付け力で接触する。コイルばね203の代用としてエアダンパー等も考えられる。
【0020】
測定用エアシリンダ210と測定プローブ200を接続するプローブ固定ばね205の効果は、被測定物4と測定プローブ200の接触角度がずれた場合でも、プローブ固定ばね205の柔軟な変形により常に被測定物4に対して測定プローブ200を垂直に接触させる。プローブ固定ばね205の代用として柱状、棒状のゴムが考えられる。
【0021】
測定対象物が制御棒1の中性子吸収体である場合、中性子吸収体を覆うシース2に規則的に加工されている通気孔3の位置に測定プローブ200を移動させる必要がある。そのための駆動機構(駆動装置)としては制御棒1の長手方向(Z方向)と幅方向(X方向)の任意の位置に測定プローブ200を移動させるためのガイド、駆動のためのモータが必要である。測定プローブ200が水中検査装置100のどの位置にあるのか把握するための各方向の位置測定器は、遠隔で被測定物を測定する場合に作業効率を上げる効果がある。また同様に作業効率を上げる方法として、測定プローブ200と被測定物の相対位置を確認できるように、水中検査装置100の他にカメラを併設する、または水中検査装置100に測定プローブ200の位置を確認するためのカメラを取り付ける事が考えられる。
【0022】
渦電流から表面付着物、生成物、材料特性を評価するためには、清浄な表面で材料特性が変化していない無垢の状態にある標準試験片が必要である。遠隔で操作する場合、決まった位置にその標準試験片が配置されている事が渦電流による検査の効率を上げる上で有効である。例えば、水中検査装置100のZ方向、X方向の駆動範囲内に標準試験片を固定配置しておく事は、短時間、また確実な標準測定が可能であることから、効率的で高精度な渦電流測定が可能になる。図1中の標準試験片124がその一例である。また例えば、形状の異なる複数の測定対象物がある場合、それぞれの形状と同じ標準試験片を水中検査装置100に取り付けておく。標準試験片の形状を被測定物と同じ形状とする他に、外乱と考えられる因子と同じ測定条件にする事により、渦電流測定結果に対する精度が向上する。例えば、制御棒1の中性子吸収体を測定する場合、中性子吸収体を覆うシース2からの信号は外乱となる。そこで、標準試験片にシース2と同じ形状のプレートを同様に配置した標準試験片形状とする事により、シース2による外乱因子をキャンセルする事が可能になる。
【0023】
以上のように、原子炉制御棒1を非破壊的に水中にて検査する検査装置において、原子炉制御棒1の表面付着物、表面生成物、材料特性の測定項目について測定し、原子炉制御棒1のシース2の表面に形成した小孔3を貫通し、シース内の原子炉制御棒1の一部の被測定物に接触もしくは近接接近する先端部を有する測定プローブ200を備え、かつ原子炉制御棒1のシース部分に押し当てる支持パッド110を備え、支持パッド110がシース部分に押し当てられることによって、測定プローブ200は原子炉制御棒1に固定され、そして自身は、原子炉制御棒に沿って上下動させる駆動装置に取り付けられる原子炉制御棒非破壊水中検査装置が構成される。
【0024】
また、原子炉制御棒1を非破壊的に水中にて検査する検査装置において、原子炉制御棒1の表面付着物、表面生成物、材料特性、形状などを測定する測定プローブ200を備え、原子炉制御棒1のシース2のシース部分を挟み込む一対の指示パッド110と、他方のシース部分に押し当てる他の支持パッド110を備え、自身は原子炉制御棒1に沿って上下動させる駆動装置に取り付けられる原子炉制御棒非破壊水中検査装置が構成される。
【0025】
前記測定プローブ200は、円筒状のコイルケース204と、円筒状のコイルケース204内に配置されるコイル芯202、コイル芯202に巻きつけたコイル201を備えて渦電測定を行なうことができる。
前記測定プローブ200の位置を確認するための位置検出手段を備えるようにしてもよい。
前記測定プローブ200は、超音波探傷プローブ、磁気測定プローブ、あるいはレプリカ機構プローブのいずれかとすることができる。
【0026】
水中検査装置100を用いて原子炉で使用された制御棒1の中性子吸収体の表面付着物、生成物、材料特性を渦電流測定する場合の模式図を図9に示す。また、その際の作業手順のフローを図10に示す。ここで仮定する水中検査装置100は、支持パッド110、測定プローブ200をエアにて駆動させ、Z方向、X方向の駆動をモータで駆動させる機能を有する。また測定プローブ200の位置を確認するための局所カメラ400は水中検査装置100、全体カメラ401は単独に制御棒1近傍に配置する。
【0027】
上記、水中検査装置100を用いて制御棒1を測定するのに必要な装置構成は、支持パッド110、測定プローブ200を駆動させるためのエア操作ユニット500、エア操作ユニット500から水中検査装置100までエアを伝達するエアホース501、エア操作ユニット500にエアを供給するコンプレッサー502、駆動装置としてのZ方向、X方向に測定プローブ200を駆動させるためのモータユニット510、およびモータユニット510からの信号を水中検査装置100のモータまで伝達するためのモータ信号ケーブル511、渦電流を発生、測定するための渦電流測定装置520、渦電流測定装置520からの信号を記録する測定結果記録装置530、渦電流測定装置520からの信号を測定プローブ200に伝達する、または測定プローブ200からの信号を渦電流測定装置520へ伝達するための渦電流信号ケーブル521、作業エリア601からプール600に配置した水中検査装置100を操作、支持するための汎用ポール530である。
【0028】
作業エリア601では最初にエアホース501、モータ信号ケーブル511、渦電流信号ケーブル531を水中検査装置100と各装置間で配線する(1000)。次に作業エリア601で水中検査装置100の動作確認を実施する(1001)。水中検査装置100の動作を確認した後、渦電流の出力を調整する(1002)。次に水中検査装置100に汎用ポール504を取付け、プール600に水中検査装置100を浸漬する。水中検査装置100がプール600に冠水した段階で、再度、水中検査装置100の駆動を確認する(1003)。プール600内での動作確認後、汎用ポール504をさらに接続し、予め配置されている制御棒1の測定対象部位に水中検査装置100を配置する。測定対象部は単独で予め挿入されている全体カメラ401を通して、概ねの測定位置を確認しながら水中検査装置を配置する。支持パッド110が開放された状態で、水中検査装置100の溝に制御棒1のシース2の一端が填まるように汎用ポール504を介して水中検査装置100を操作する。シース2が完全に水中検査装置100の溝に収まった段階で支持パッド110を閉じ、制御棒1に水中検査装置100を固定する(1004)。この段階で局所カメラ400を用いて被測定物に測定プローブ200を押し当てることが可能かどうか確認する。水中検査装置100に取り付けられた局所カメラ400と単独で予め挿入されている全体カメラ401、水中検査装置100のZ位置測定器123、X位置測定器132から測定対象位置となる中性子吸収体を見る事ができる通気孔3まで測定プローブ200を移動する。この取付け状態で測定対象物の測定が可能であることを確認した後(1005)、測定プローブ200を標準試験片700の位置まで移動させ、測定プローブ200を標準試験片700に押付け、渦電流測定のための基準(零点)を取る(1006)。零点の信号を測定結果記録装置530に記録し、測定プローブ200を制御棒1の測定対象の中性子吸収体が見える通気孔3まで移動する。測定対象物の中性子吸収体に測定プローブ200を押付け、その時の信号を測定結果記録装置530に記録する(1007)。再度、測定プローブ200を標準試験片700まで移動し、測定プローブ200を標準試験片700に押付け、零点を測定し、その結果を測定結果記録装置530に記録する(1008)。測定結果記録装置530では、測定前後の零点と中性子吸収体を測定した時の信号の差を計算し、測定前の出力調整結果と比較して、中性子吸収体の表面付着物、生成物、または材料特性を評価する(1009)。各々の出力成分は異なる位相を有する。したがって、ある特性値、例えば表面付着物と表面生成物の出力をある一方向(位相)に決定し、測定しようとした場合、その位相とは異なる成分の出力は材料特性の変化に起因する出力と判断される。インピーダンス平面上またはプログラム上でこれらの成分を分離し、目的とする、ここでは表面付着物と表面生成物の和が評価される。また、局所カメラ400を用いて外観を観察することにより、表面付着物の影響を取り除くことが可能になり、結果として表面生成物の評価が可能となる。同一制御棒1において測定対象が他にもある場合には、上記の作業を繰返す。制御棒1の測定が終了した後には、装置をプール600から引上げ作業エリア601で測定前後の出力に差が無い事を確認して(1010)一連の測定を終了する。
【0029】
以上のように原子炉制御棒非破壊水中検査装置を使用して原子炉制御棒1を非破壊的に水中にて検査する方法において、支持パッド110によって測定プローブを原子炉制御棒のシース部分に固定し、先端部を、原子炉制御棒のシース部に設けられた小孔を貫通せしめて原子炉制御棒内の一部の被測定物に前記先端部を押し当てるか、近接接近させ、測定項目について測定を行う原子炉制御棒非破壊水中検査方法が構成される。
【0030】
また、原子炉制御棒非破壊水中検査装置を使用して原子炉制御棒を非破壊的に水中にて検査する方法において、原子炉制御棒の一方のシース部を一対の支持パッドで挟み込むようにして固定し、他方のシース部分に他の支持パッドを押し当てて、位置決めした測定プローブの先端部を移動して原子炉制御棒に押し当てるか、近接接近させ、測定項目について測定を行う原子炉制御棒非破壊水中検査方法が構成される。
【0031】
【発明の効果】
本発明の水中検査装置により、遠隔操作で原子炉で使用されている制御棒の表面付着物、生成物、材料特性を簡便かつ精度良く測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水中検査装置側面図。
【図2】水中検査装置背面図。
【図3】水中検査装置断面図。
【図4】測定プローブ構成。
【図5】測定プローブ周り構成。
【図6】制御棒を測定する場合のプローブ形状の例を示す図。
【図7】制御棒を測定する場合のプローブ形状の例を示す図。
【図8】測定状況模式図。
【図9】測定状況模式図。
【図10】測定手順フロー。
【符号の説明】
1…制御棒、2…シース、3…通気孔、4…被測定対象物、100…水中検査装置、110…支持パッド、111…固定用エアシリンダ、120…Z方向ガイド、121…Z方向駆動モータ、122…Z方向ボールねじ、123…Z位置測定器、124…標準試験片、130…X方向駆動モータ、131…X方向ボールねじ、132…X位置測定器、200…測定プローブ、201…コイル、202…コイル芯、203…コイルばね、204…コイルケース、205…プローブ固定ばね、206…エアパッド駆動方向、210…測定用エアシリンダ、400…局所カメラ、401…全体カメラ、500…エア操作ユニット、501…エアホース、502…コンプレッサー、504…汎用ポール、510…モータユニット、511…モータ信号ケーブル、520…渦電流測定装置、521…渦電流測定ケーブル、530…測定結果記録装置、600…作業プール、601…作業エリア。

Claims (7)

  1. 原子炉制御棒を非破壊的に水中にて検査する検査装置において、原子炉制御棒の表面付着物、表面生成物、材料特性の測定項目について測定し、原子炉制御棒のシース表面に形成した小孔を貫通し、シース内の原子炉制御棒の一部の被測定物に接触もしくは近接接近する先端部を有する測定プローブを備え、かつ原子炉制御棒のシース部分に押し当てる支持パッドを備え、該支持パッドがシース部分に押し当てられることによって、前記測定プローブは原子炉制御棒に固定され、そして自身は、原子炉制御棒に沿って上下動させる駆動装置に取り付けられることを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査装置。
  2. 原子炉制御棒を非破壊的に水中にて検査する検査装置において、原子炉制御棒の表面付着物、表面生成物、材料特性、形状などを測定する測定プローブを備え、原子炉制御棒のシース部分を挟み込む一対の指示パッドと、他方のシース部分に押し当てる他の支持パッドを備え、自身は原子炉制御棒に沿って上下動させる駆動装置に取り付けられることを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査装置。
  3. 請求項1または2において、前記測定プローブは、円筒状のケースと、該円筒状のケース内に配置されるコイル芯、該コイル芯に巻きつけたコイルを備えて渦電測定することを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査装置。
  4. 請求項1または2において、前記測定プローブの位置を確認するための位置検出手段を備えることを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査装置。
  5. 請求項1または2において、前記測定プローブは、超音波探傷プローブ、磁気測定プローブ、あるいはレプリカ機構プローブのいずれかであることを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査装置。
  6. 原子炉制御棒非破壊水中検査装置を使用して原子炉制御棒を非破壊的に水中にて検査する方法において、支持パッドによって測定プローブを原子炉制御棒のシース部分に固定し、先端部を、原子炉制御棒のシース部分に設けられた小孔を貫通せしめて原子炉制御棒内の一部の被測定物に前記先端部を押し当てるか、近接接近させ、測定項目について測定を行うことを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査方法。
  7. 原子炉制御棒非破壊水中検査装置を使用して原子炉制御棒を非破壊的に水中にて検査する方法において、原子炉制御棒の一方のシース部を一対の支持パッドで挟み込むようにして固定し、他方のシース部分に他の支持パッドを押し当てて、位置決めした測定プローブの先端部を移動して原子炉制御棒に押し当てるか、近接接近させ、測定項目について測定を行うことを特徴とする原子炉制御棒非破壊水中検査方法。
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