JP2004184104A - 中性子線検出器 - Google Patents

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Kazuyuki Hayashi
和志 林
Takeshi Tachibana
武史 橘
Yoshihiro Yokota
嘉宏 横田
Junichi Kaneko
純一 金子
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Abstract

【課題】ダイヤモンドを使用して、携帯性が優れていると共に、中性子線の検出効率が高い中止線検出器を提供する。
【解決手段】中性子を吸収して2次粒子を放出する物質からなる中性子吸収部としての酸化ガドリニウム粉膜5を、検出層としてのダイヤモンド膜4と素子台1との間に配置し、銀ペースト6によりダイヤモンド層4と素子台1とを接合する。そして、シリコン基板3の裏面に接続された金線8bを端子2bに接続し、銀ペースト6と端子2aとを金線8aにより接続する。これにより、中性子線の照射により発生した電子により、ダイヤモンド膜4内で電子−正孔対が生成し、端子2a、2b間に電流が流れる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力発電所、放射線利用施設、又は加速器施設において、個人被ばく管理に利用される携帯可能な中線子線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電所、放射線利用設備、加速器施設及びその周辺区域では、作業に従事する作業員及び日常的に出入りする人々の安全及び健康を守るため、各個人レベルでの被ばく量の測定及び管理が必要である。
【0003】
放射線設備から放出される種々の放射線のうち、中性子は電荷を持たないため、通常の電離を利用する放射線検出器では検出できない。このため、通常、中性子を他の物質と作用させて、その荷電粒子を検出することにより間接的に中性子を検出する。このような物質は、中性子コンバータといわれ、中性子コンバータに照射された中性子をα線、β線、γ線等に変換する。なお、この中性子コンバータは、中性子に対する核反応断面積が大きいGd(ガドリニウム)、Li(リチウム)等の物質を含む層を有し、この層に中性子を吸収して、α粒子、β粒子等の2次粒子に変換するものである。
【0004】
このような中性子線検出器には、コンバータにより変換された放射線を受けると、その量に比例して充電電位が低下する電離箱の原理を利用した所謂ポケット線量計といわれる検知器がある。また、中性子線検出器には、コンバータ一物質に10Bを使用し、その背後に半導体検出器を備えた中性子線検知器(例えば、特願平11−3786(特許文献1)、特願平4−83665(特許文献2))と、コンバータ物質にGdを使用した検出器(T.Aoyama et al.:Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A314(1992)p.590(非特許文献1))等もある。
【0005】
【特許文献1】
特願平11−3786号公報
【特許文献2】
特願平4−83665号公報
【特許文献3】
特願平10一357384号公報
【非特許文献1】
T.Aoyama et al.:Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A314(1992)p.590
【非特許文献2】
J.Phys.D5,43(1972)
【非特許文献3】
T.Tachibana et al.: Appl. Phys. Lett., Vol.68, No.11 (1996), p.1491.
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、中性子線のビームには一般にγ線が含まれることが多い。上記中性子線検知器に使用する半導体検出器は、γ線と中性子線を区別することができないため、従来技術では、電離によって発生する電気パルスのうち、所定の波高パルスをマルチチャンネルアナライザー(波高弁別回路)で選別したり、γ線検知器を平行に設けて影響をキャンセルしたり(T.Aoyama et al.:Nuclear lnstruments and Methods in Physics Research A314 (1992)p.590)、複雑な演算処理により補正を行ったり(特願平10一357384(特許文献3))しており、製造コストが高くなると共に、信頼性が低いという難点がある。
【0007】
一方、ポケット線量計は、その動作原理が電離箱であり、被ばく量のリアルタイムモニターができず、また、その構造上、衝撃等にも弱い等、必ずしも満足できるものではなかった。また、ポケット線量計は、その使用に際し充電が必要で、利便性という意味では劣っている。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、ダイヤモンドを使用して、携帯性が優れていると共に、中性子線の検出効率が高い中性子線検出器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る中性子線検出器は、中性子を吸収して2次粒子を放出する物質からなる中性子吸収部と、この中性子吸収部に接し信号取り出し用の電極を具備するダイヤモンドからなる検知層とを有し、前記検知層内に発生した電荷量を読みとることで中性子線の線量を測定することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る他の中性子線検出器は、中性子を吸収して2次粒子を放出する物質からなる中性子吸収部と、この中性子吸収部を挟むように前記中性子吸収部に接して設けられ信号取り出し用の電極を具備するダイヤモンドからなる第1及び第2検知層とを有し、前記第1及び第2検知層内に発生した電荷量を読みとることで中性子線の線量を測定することを特徴とする。
【0011】
これらの中性子線検出器において、前記中性子を吸収して2次粒子を放出する物質は、例えば、6Li、10B、Gd、Cd、In、Sm、Eu、Dy及びRhからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする。それらの中でも、特に6Liと10BおよびGdが好適に用いられ得る。6Liは中性子を吸収して2.05MeVのα粒子及び2.74MeVの3H粒子を放出し、10Bは中性子を吸収して1.47MeVのα粒子及び0.83MeVの7Li粒子を放出する。Gdは中性子を吸収して72keVの電子線を放出する。このような反応は、原子核との相互作用に基づくので、単体でも酸化物でも化合物でも同様の効果を発揮する。
【0012】
前記ダイヤモンドは気相合成によって形成された多結晶ダイヤモンドであることが好ましく、これにより、製作コストを低減できる。
【0013】
また、前記ダイヤモンドは気相合成によって形成された高配向性ダイヤモンドであることが好ましい。即ち、前記ダイヤモンドが(001)面が軸方向にも平面内でも一定方向に配向しているいわゆる高配向性ダイヤモンドであることが、感度を高め、安定性を増すという観点でさらに好ましい。このような高配向性ダイヤモンドは、結晶の品質が高く、欠陥が少ない。なお、前記ダイヤモンドは基材上に形成された後、化学エッチング又は物理的加工等により基材を除去することにより制作される所謂ダイヤモンド自立膜としてもよく、このダイヤモンド自立膜を使用すると、中性子場に必ず存在するγ線によって生じるコンプトン電子の影響を避けることができ、より低ノイズ化することができる。
【0014】
ダイヤモンド検知層上に配置される信号取り出し用の電極は、公知の電極作製方法を使用して形成することができる。例えば、導電性の銀ペースト等を使用して金属又はシリコン基板等の導電体へ固定する方法及び金属板等を圧力印加により密着させる方法等も利用可能である。また、ダイヤモンド表面上への薄膜形成も好適である。この場合、スパッタリング、真空蒸着又は化学気相合成等の公知の方法も適応可能である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る中性子線検出器を示す断面図である。基板3はp型低抵抗シリコンウエハからなり、基板3の下面上にダイヤモンド膜4が形成されている。このダイヤモンド膜4の形成方法は例えば以下のとおりである。このシリコン基板3に対し、数10μm径のダイヤモンド粉末のエタノール混濁液中で超音波を印加することにより、核発生促進処理を行う。次いで、上記ダイヤモンド粒子を洗い流した後、ステンレス製の反応容器を持つマイクロ波プラズマCVD装置を使用してダイヤモンド膜4を成膜する。このとき、マイクロ波プラズマCVDの原料ガスは、例えば、メタン濃度1%、水素を99%であり、例えば、6時間の成膜で、厚さが20μmの多結晶ダイヤモンド膜4を得ることできる。
【0016】
次に、ダイヤモンド膜4をクロム酸硫酸飽和溶液中で200℃、更に、王水中で100℃の表面クリーニングを行い、その後、以下の手順で素子を作製する。先ず、素子台1(TO−8:ハーメチックシール)上にカーボンテープ9を貼り付け、更に中性子吸収部としての酸化ガドリニウムの粉末5を貼り付ける。このカーボンテープ9及び粉末5上に、シリコン基板3をダイヤモンド膜4を下方にして配置し、ダイヤモンド膜4とカーボンテープ9とを銀ペースト6により接着して固定する。更に、シリコン基板3の裏面(上面)に銀ペースト7により金線8bを接続し、更にこの金線8bと素子台1の端子2bとを接続する。また、銀ペースト6と素子台1上の他の端子2aとを金線8aにより接続する。このようにして、酸化ガドリニウムの粉末5をコンバータ金属とする中性子線検出器が得られる。
【0017】
次に、本実施形態の中性子線検出器の動作について説明する。先ず、入射した中性子が酸化ガドリニウム粉末5のGd(ガドリニウム原子)にあたると、72keVの電子が発生する。これは、Kanaya−Okayamaの式(J.Phys.D5,43(1972)(非特許文献2))によると、電子の飛程約24μmに相当する。つまり、Gdから発生した電子は発生点を中心に24μmの範囲に広がり、電子と相互作用を起こしてダイヤモンド膜4内に電子−正孔対を形成する。
【0018】
一方、ダイヤモンド膜4内で1組の電子−正孔対をつくるために必要なエネルギーは、ダイヤモンドのバンドギャップの約3倍なので、10000個程度の電荷が発生する。従って、1個の中性子が入射し、全ての反応が100%の確率で起こるとすれば、1.6×10―15C(クーロン)の電荷が発生する。
【0019】
この電荷の量は、端子2a、2b間にチャージセンシティブアンプ及び電荷収集用のバイアス用直流電源を接続し、ダイヤモンド膜4内で発生した電荷によって減少した蓄積電荷の量から、発生した電子−正孔対の量を計測することにより、入射した中性子線の線量を測定できる。
【0020】
なお、1個の中性子線が1秒間に1回入射するたびに、「1.6fA(フェムトアンペア)」の電流が流れることから、入射する中性子線の強度が大きい場合では、通常の高インピーダンス入力のFET初段を持つ電流アンプを使用しても計測が可能である。この場合では、更に、コストが低い検知器を実現可能となる。
【0021】
図2は本発明の第2実施形態に係る中性子線検出器を示す図である。シリコン基板13,15は、n型低抵抗シリコンウエハからなる。このシリコン基板13,15の一面に、ダイヤモンド膜14,16が形成されている。このダイヤモンド膜14,16の形成方法は以下のとおりである。
【0022】
先ず、シリコン基板13,15に対し、数10μm径のダイヤモンド粉末のエタノール混濁液中で超音波を印加することにより、核発生促進処理を行う。基板13,15に付着しているダイヤモンド粒子を洗い流した後、基板13,15をマイクロ波プラズマCVD装置のステンレス製の反応容器内に装入し、マイクロ波プラズマCVDにより、ダイヤモンド膜を成膜する。このとき、例えば、原料ガスはメタンを1%、水素を99%含むものとし、8時間の成膜で厚さ25μmの多結晶膜を得る。
【0023】
次に、ダイヤモンド膜14,16を200℃のクロム酸硫酸飽和溶液中で表面洗浄し、次に100℃の王水中で表面洗浄する。その後、以下の手順で素子を作製する。
【0024】
先ず、素子台1(TO−8)上に、ダイヤモンド膜16を上方にしてシリコン基板15を配置し、このシリコン基板15と素子台1とを銀ペーストにより固定する。次に、中性子吸収部としてのガドリニウム板17をダイヤモンド膜16から一方向に延出するようにして配置し、ガドリニウム板17をダイヤモンド膜16に銀ペーストで固定する。更に、ダイヤモンド膜14を下方にしてシリコン基板13をガドリニウム板17上に配置し、ダイヤモンド膜14とガドリニウム板17とを銀ペーストにより固定する。次に、シリコン基板13の裏面(上面)に金線19aを銀ペースト18により接続し、更にこの金線19aと素子台1上の端子2cとを接続する。また、この端子2dと素子台1とを金線19bにより接続し、更に、ガドリニウム板17のダイヤモンド膜16から外方に延出している部分と、素子台1上の端子2bとを金線19cにより接続する。端子2cと端子2dとは、絶縁分離されており、更に、端子2b、2c及び2dと素子台1とは絶縁分離されている。よって、端子2bはガドリニウム板17とのみ接続され、端子2cはシリコン基板13とのみ接続され、端子2dは導電性の又は表面が導電成膜で被覆された素子台1を介してシリコン基板15と接続されている。
【0025】
本実施形態においては、通常の使用では端子2cと端子2dは接続され、端子2bと、端子2c、2dとの間に、ダイヤモンド膜14、16における電荷の移動を検出する検出器(チャージセンシティブアンプ又は電流アンプ)と、電荷収集用のバイアス電圧用直流電源とを接続する。これにより、各ダイヤモンド膜14,16における電荷の移動の総量を測定する。
【0026】
本実施形態においては、ガドリニウム板17に接触しつつこれを挟むようにしてダイヤモンド膜14,16を配置したので、中性子線をより高効率で検出することができる。即ち、中性子線の入射によりガドリニウム板17から発生する電子は、前述のように入射点から球状に広がるため、図2に示すように、中性子コンバータであるガドリニウム板17を、検出層であるダイヤモンド膜14,16で挟むことにより、更に効率がよい中性子線の検知が可能となる。ダイヤモンドはバンドギャップが大きいため、従来の半導体検出器とは異なり、その非照射時における漏れ電流(リーク電流)が小さい。例えば、後述するように、ダイヤモンド膜による検知の場合では、漏れ電流は数pA程度である。従って、本実施形態により、従来困難であった中性子線の検出が容易になる。また、端子2c、2dを接続せずに、端子2bと端子2cとの間に、ダイヤモンド膜14における電荷の移動を検出する検出器(チャージセンシティブアンプ又は電流アンプ)とバイアス電源を接続し、端子2bと端子2dとの間に、ダイヤモンド膜16における電荷の移動を検出する検出器(チャージセンシティブアンプ又は電流アンプ)とバイアス電源を接続し、その出力を比較することで、入射する中性子線の入射方向を推定することも可能となる。
【0027】
次に、図3を参照して本発明の第3実施形態について説明する。基板21は、p型低抵抗シリコン(001)ウエハからなる。この基板21上にダイヤモンド膜22が成膜されている。この基板21上にダイヤモンド膜22を成膜する方法は、例えば、文献「T.Tachibana et al.: Appl. Phys. Lett., Vol.68, No.11 (1996), p.1491.」(非特許文献3)に示された無機材研型マイクロ波プラズマCVD装置を使用したものがある。この方法においては、先ず、基板表面をメタンプラズマで炭化した後、バイアス印加法により核形成を行い、その後、(001)面優先成長により、膜厚15〜25μm、(001)面のファセットの大きさ(粒径)が数十μmのダイヤモンド膜22を得る。次に、表面の非ダイヤモンド成分の除去と、表面に存在する水素に起因する伝導層の除去を目的に、ダイヤモンド膜22を硫酸及びクロム酸を使用して洗浄し、引き続き、王水により洗浄し、更に純水を使用してリンスする。洗浄後、フォトリソグラフィによりダイヤモンド膜22上にレジストによる電極パターンを形成し、マグネトロンスパッタリングにより中性子吸収部としてのGd膜23を形成した後、リフトオフ法によりGd膜23をパターニングして、電極を形成した。この電極の膜厚は典型的には約200nmであった。
【0028】
電極形成後、素子台1(TO−8)上に、電極面を上にしてシリコン基板21を銀ペーストにより固定する。更に、金線25aを銀ペースト24によりGd膜23に接続し、この金線25aと素子台1上の端子2aとを接続した。また、素子台1上の端子2bと導電性の素子台1とを金線25bにより接続する。
【0029】
このように構成された中性子線検出器においては、中性子線吸収層としてのGd膜23に中性子線が入射すると、発生する電子が、検出層としてのダイヤモンド膜22内で電子−正孔対を発生させる。これにより、端子25aと端子25bとの間で電荷量の移動を測定することにより、ダイヤモンド層22で発生した電荷量を検出することができ、中性子線量を検出することができる。
【0030】
ダイヤモンド膜は、リーク電流を低く抑制するために、気相合成によるダイヤモンド膜が適しているが、この気相合成によるダイヤモンド膜の中でも、欠陥が少ない高配向性ダイヤモンド膜を使用すると、更に良好な特性が得られる。このため、中性子線検出器としては、高配向性ダイヤモンド膜を使用することが好ましい。
【0031】
第2の実施形態に係る中性子線検出器において、合成時間を延長することより、ダイヤモンドの厚さを70μmと厚くして、ダイヤモンド層をシリコン基板上に合成した後、弗硝酸によりシリコン基板を除去し、ダイヤモンド層を自立膜とし、その後、前述と同様にして、素子を制作することにより、図2に示す素子構造において、シリコン基板が存在しない素子を製造することができる。このようなダイヤモンド自立膜を使用した中性子線検出器により中性子線を測定すると、γ線が存在する環境においても、影響を受けることがなく、低ノイズの測定が可能となる。
【0032】
以上の各実施形態は、中性子線を吸収して2次粒子を放出する物質層として、Gdを例に示したが、その他の材料においても、中性子線の吸収により、α線等の2次粒子を放出することができる。例えば、このような中性子線吸収層として、Li、10B、Gd、Cd、In、Sm、Eu、Dy及びRhがある。
【0033】
【実施例】
次に、本発明の実施例を本発明の範囲から外れる比較例と比較して、その効果について説明する。
【0034】
[実施例1]
図1に示す実施形態の中性子線検出器について、端子2a、2b間の暗電流を測定すると、10pA以下であった。得られた素子を交流駆動のチャージ保存型の増幅器に接続し、中性子を照射したところ、線量に比例した出力が得られた。
【0035】
[実施例2]
図2に示す実施形態の中性子線検出器において、端子2b、2c間、及び端子2b、2d間の暗電流を測定すると、10pA以下であった。そして、端子2cと端子2dとを接続し、素子の端子2b及び端子2c、2d間にバイアス電圧を印加し、そのうちの1端子に初段にFET(電界効果トランジスタ)を持つオペアンプからなる高インピーダンス増幅器を接続し、照射により発生した電流を前記オペアンプで増幅することにより回路に流れる電流値をモニターしたところ、線量に比例した電流が得られた。
【0036】
[実施例3]
図3に示す実施形態の中性子線検出器において、端子2a、2b間の暗電流を測定すると、lpA以下であった。得られた素子を交流駆動のチャージ保存型の増幅器に接続し、中性子を照射したところ、線量に比例した出力が得られた。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、ダイヤモンド膜を検出層に使用して、携帯性が優れ、かつ中性子線の検出効率が高い中性子線検出器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る中性子線検出器を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る中性子検出器を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る中性子線検出器を示す図である。
【符号の説明】
1:素子台
2a、2b、2c、2d:端子
3、13,15,21:シリコン基板
4、14,16,22:ダイヤモンド膜
5:酸化ガドリニウム粉末
17:ガドリニウム板
23:Gd膜(ガドリニウム薄膜電極)

Claims (6)

  1. 中性子を吸収して2次粒子を放出する物質からなる中性子吸収部と、この中性子吸収部に接し信号取り出し用の電極を具備するダイヤモンドからなる検知層とを有し、前記検知層内に発生した電荷量を読みとることで中性子線の線量を測定することを特徴とする中性子線検出器。
  2. 中性子を吸収して2次粒子を放出する物質からなる中性子吸収部と、この中性子吸収部を挟むように前記中性子吸収部に接して設けられ信号取り出し用の電極を具備するダイヤモンドからなる第1及び第2検知層とを有し、前記第1及び第2検知層内に発生した電荷量を読みとることで中性子線の線量を測定することを特徴とする中性子線検出器。
  3. 前記中性子を吸収して2次粒子を放出する物質は、6Li、10B、Gd、Cd、In、Sm、Eu、Dy及びRhからなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の中性子線検出器。
  4. 前記ダイヤモンドは気相合成によって形成された多結晶ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の中性子線検出器。
  5. 前記ダイヤモンドは気相合成によって形成された高配向性ダイヤモンドであることを特徴とする請求項4に記載の中性子線検出器。
  6. 前記ダイヤモンドは基材上に形成した後、基材を除去することにより形成された自立膜であることを特徴とする請求項4又は5に記載の中性子線検出器。
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KR101893849B1 (ko) * 2017-03-02 2018-08-31 한국원자력연구원 고속중성자와 열중성자 동시 검출장치 및 그를 이용한 검출방법

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