JP2004177258A - 検出センサー - Google Patents

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Seiji Murai
省二 村井
Nobuyoshi Aoki
信義 青木
Kota Kobayashi
幸太 小林
Toshinori Fujii
利宣 藤井
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Kanagawa Prefecture
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Abstract

【課題】大気中および液中に存在する環境汚染物質を、その場で簡易的に測定する。
【解決手段】特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーで、水晶振動子1と、水晶振動子1の両側に設けられる電極2と、電極2上に形成され被検知物質を検知する検知部3とを備える。検知部3は、シクロデキストリン誘導体をチオール化合物またはジスルフィド化合物によって固定してなる。シクロデキストリン誘導体は、化学修飾したものであるとよい。例えば、アミノ基で修飾したものがあり、モノ−6−アミノ−モノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン等がある。ジスルフィド化合物は、例えば、スクシンイミジル基を有するものがあり、3,3’−ジチオジプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジルエステル)等がある。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境汚染物質を検出するセンサー、特に、水晶振動子の共振周波数変化に基づき環境汚染物質を検出するものに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水晶振動子の振動部分を化学的あるいは物理的に処理して、その処理した表面が大気中あるいは液中に微量に存在する特定物質と化学的あるいは物理的に反応(吸着・付着・化学結合等)することにより、水晶振動子部分の表面処理物の重量が変化し、結果として水晶振動子の振動数が低下することにより、環境汚染物質存在の有無の検出若しくは存在量の定量を行うセンサーは種々提案されている。
【0003】
例えば、水晶振動子と抗原抗体反応を組み合わせて、抗原と抗体が反応した際、お互いが結合して凝集しその沈殿物が水晶振動子の表面に堆積することにより、水晶振動子の周波数が変化して硝化細菌の検出を行った研究がある。硝化細菌以外の菌体に対しては応答が認められず、目的の細菌を特異的に検出できたと報告している(非特許文献1)。
【0004】
上記抗原抗体反応を利用した水晶振動子バイオセンサーとして、病原性微生物の検知および濃度を測定する方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。これらは、あらかじめ発振周波数を測定しておいた水晶振動子バイオセンサーを微生物懸濁液に浸漬して、抗原抗体反応を行わせた後、再び周波数を測定し、この周波数の変化から、あらかじめ求めておいた検量線に従い、微生物濃度を求めるものである。
【0005】
また、水晶振動子バイオセンサーとして、水晶振動子表面に固定化した物質と個々の測定対象物間の吸着力の差を利用し、生体関連物質の成分を分析する方法を提案している(特許文献3)。
【0006】
さらに、複数の水晶振動子のうち、一つが固定化された物質を持たない水晶振動子をブランクにして溶液の伝導率や温度の影響による周波数のずれを取り除いている(特許文献4)。
【0007】
また、水晶振動子を用いた培養動物細胞の増殖モニタリングが報告されている。(非特許文献2)。ここでは、この増殖モニタリングの培地を利用して、環境ホルモンの検出を行っている。また、水晶振動子上にMCF−7細胞を培養した培地を作り、エストラジオール17βおよびビスフェノールAを加えた場合と何も加えないフリーの培地では、前者環境ホルモンを加えた培地の水晶振動子にはそれぞれ周波数変化が認められたが、フリーの培地を持つ水晶振動子は測定期間中大きな周波数変化が認められなかったことの報告もある(非特許文献3)。
【0008】
さらに、水晶振動子を用いた味センサーも提案されている(非特許文献4)。当該味センサーは、水晶振動子電極上に脂質高分子膜を塗布してなる。味物質として、NaCl、塩酸、ショ糖、グルタミン酸ナトリウム、およびキニーネ塩酸塩を用いている。センサーを浸漬した純水中にそれぞれの味覚物質を添加して水晶振動子の応答周波数に濃度依存性があることを確認している。
【0009】
また、水晶振動子にシクロデキストリンを固定化させて対象物質を検出するセンサーも提案されている。
【0010】
例えば、特許文献5は、水晶振動子上にβ―シクロデキストリンを真空蒸着法により薄膜を構成し、臭素分子等を検出する検知素子を提案している。
【0011】
特許文献6は、水晶振動子にシクロデキストリン誘導体および金属ポルフィリン誘導体のうち少なくとも一方を担持した有機分子膜にコートした臭気センサーを提案している。この発明に用いられるシクロデキストリンとしては、α、β、γ―シクロデキストリン、ジメチル―β―シクロデキストリン、ハイドロキシプロピル―β―シクロデキストリン、β―シクロデキストリンポリマー、ジエチル―β―シクロデキストリン、アンフェリックシクロデキストリンを挙げている。臭気物質としてはβ―ヨノンを用いて実施している。
【0012】
特許文献7は、水溶液中に存在するコレステロール、トリハロメタンなどの炭化水素系化合物を測定する方法として、シクロデキストリンをレジスト(光架橋性樹脂)や接着剤に混合して、この混合物を水晶振動子上に塗布してシクロデキストリンを分散させた有機膜を作製した水晶振動子センサーを提案している。
【0013】
特許文献8は、クロロホルム、アセトンなどに難溶なβ―シクロデキストリンをメトキシ化することにより前記有機溶媒に可溶化させて水晶振動子に塗布することにより匂い識別装置としての素子として提案している。
【0014】
【特許文献1】
特開昭62−64934号公報
【0015】
【特許文献2】
特開昭63−11835号公報
【0016】
【特許文献3】
特開昭62−288546号公報
【0017】
【特許文献4】
特開昭62−288547号公報
【0018】
【特許文献5】
特開平3−282348号公報
【0019】
【特許文献6】
特開平4−313047号公報
【0020】
【特許文献7】
特開平4−52546号公報
【0021】
【特許文献8】
特許第3199525号公報
【0022】
【非特許文献1】
遠藤英明等,平成11年度日本水産学会春季大会講演要旨集,1999,p39
【0023】
【非特許文献2】
篠原寛明,Annual Report of the Okayama Foundation for Science and Technology(1997)6,80
【0024】
【非特許文献3】
篠原寛明,Electrochemistry(1999)67,No3
【0025】
【非特許文献4】
江崎秀,飯山悟,電子情報通信学会,信学技報OME2000−65(2000−8)
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
近年、環境ホルモンと呼ばれる環境汚染物質が大気圏・水圏・土壌圏に蔓延する兆しが出ており、われわれの健康を脅かしつつある。世界的規模で対策が講じられつつあるが、現状ではその場(現場)で定量的に把握する手段がなく、しかも環境ホルモン関連の公定法に基づいた分析は、定量性は高いが、その場で測定することが不可能で、煩雑な前処理が必要であると同時に測定に時間がかかり、分析装置価格及び1検体当たりの分析コストも高価である。この問題に対して、現状の技術では、環境ホルモン類を簡易的に短時間で検出する手段がないため、その場での検出を行うことができなかった。したがって、公定法に基づく手段によってのみ環境評価を行わざるを得ず、短期間での第一次環境評価を行う手段には不向きである。
【0027】
また、水晶振動子を用いた検出センサーは安価で簡易計測用センサーとして注目されているが、前述の問題に適用可能な測定手段については提案されていない。また、環境汚染物質の中でも特に問題とされるダイオキシン類・ビスフェノールA・アルキルフェノール類に限ってみても、その場で簡易に、しかも短時間で測定する技術はない。
【0028】
さらに、水晶振動子で上記環境汚染物質のような特定な物質あるいは対象物質類に限って検出するためには、検出対象物質(ゲスト)と特異的に結合する物質(ホスト)を水晶振動子上に固定化することにより検出可能となるが、今日においては、前記汚染物質類に対して、水晶振動子を用いた検出センサーは見当たらない。
【0029】
また、水晶振動子上で対象物質を検出する手段には抗原抗体反応を用いる方法があるが、水晶振動子上に固定化する方法が煩雑でかつ検出センサーの保管方法にも注意を要するため、安価な簡易センサーに用いる手段としては適切であるとはいえない。
【0030】
一方、水晶振動子電極上にシクロデキストリンをホストとして用いて、臭気物質や匂いを識別するセンサー及び水溶液中に存在するコレステロールやトリハロメタンを測定する方法を提案しているが、環境汚染物質のダイオキシン類・ビスフェノールA・アルキルフェノール類を、その場で高感度に簡易検出センサーがない。
【0031】
また、シクロデキストリンを用いた臭気や臭いセンサーにおいて、検出対象物質(ゲスト)と化学的・物理的に結合する物質(ホスト)を水晶振動子電極上に固定化するための手段としては、高分子樹脂のような有機系の材料にホストを混合して、更に有機溶媒などを用いて溶液状にしたものをスピン法等により水晶振動子電極にコーティングした後、有機溶媒を揮発させ検出膜を形成している。この方式は検出面全体がゲストに感知する反応面にならず、検出表面あるいは表面近傍にあるホストのみがゲストの検知に寄与するだけである。そのため検出面全体がゲストとの反応面として働かず、結果として検出センサーの感度の低下に繋がっている。
【0032】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたもので、その目的は、大気中および液中に存在する環境汚染物質を、その場で簡易的に測定が可能な検出センサーの提供にある。
【0033】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下のことを特徴とする。
【0034】
請求項1記載の発明は、特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーであって、シクロデキストリン誘導体は、ジスルフィド化合物またはチオール化合物によって電極に固定したことを特徴とする。
【0035】
請求項2記載の発明は、特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーであって、
有機溶媒中で、シクロデキストリン誘導体をチオール化合物またはジスルフィド化合物と反応させた後、これを水晶振動子に設けられた電極上に滴下して、前記シクロデキストリン誘導体を固定した自己組織化膜を前記電極上に形成してなることを特徴とする。
【0036】
請求項3記載の発明は、特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーであって、
水晶振動子に電極を設け、この電極上にチオール化合物またはジスルフィド化合物を滴下して自己組織化膜を形成させた後、これにシクロデキストリン誘導体を溶解した有機溶媒を滴下して、前記自己組織化膜にシクロデキストリン誘導体を固定してなることを特徴とする。
【0037】
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の検出センサーにおいて、シクロデキストリン誘導体は、化学修飾したものであることを特徴とする。
【0038】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の検出センサーにおいて、シクロデキストリン誘導体は、アミノ基で修飾したことを特徴とする。
【0039】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の検出センサーにおいて、アミノ基で修飾したシクロデキストリン誘導体は、モノ−6−アミノ−モノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリンであることを特徴とする。
【0040】
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の検出センサーにおいて、ジスルフィド化合物は、スクシンイミジル基を有するものであることを特徴とする。
【0041】
請求項8記載の発明は、請求項7記載の検出センサーにおいて、ジスルフィド化合物は、3,3’−ジチオジプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジルエステル)であることを特徴とする。
【0042】
請求項9記載の発明は、請求項1から8のいずれか1項に記載の検出センサーにおいて、電極は、金、白金、銀、銅、またはチタンのいずれかを含んでなることを特徴とする。
【0043】
請求項10記載の発明は、請求項1から9のいずれか1項に記載の検出センサーにおいて、被検出物質は、フェノール類であることを特徴とする。
【0044】
請求項1から10記載の検出センサーは、水晶振動子に設けられた電極表面にフェノール類と特異的に結合するシクロデキストリン誘導体を固定化しているので、気相や液相に曝すことだけで、これらの相に含まれる環境汚染物質等の特定物質、特に問題となっているビスフェノールA・アルキルフェノール類等に代表されるフェノール類等の内分泌撹乱物質に対して、その場(現場)で高感度に検出することができる。
【0045】
特に、シクロデキストリン誘導体を、ジスルフィド化合物またはチオール化合物の自己組織化膜(自己組織化単分子膜)を介して、直接、水晶振動子の電極上に固定化しているので、電極の単位面積当りのシクロデキストリン誘導体固定量が従来のものよりも多くなることから、従来の検出センサーと比べて、感度良く被検出物質を検出できる。
【0046】
本発明において、チオール化合物としては、カルボン酸基を有するものが有効ある。当該チオール化合物は、適当な縮合剤の存在下でシクロデキストリン誘導体と結合するとで、シクロデキストリン誘導体を水晶振動子の電極上に固定させることができる。
【0047】
また、ジスルフィド化合物としては、スクシンイミジル基を有するものが有効である。特に、3,3’−ジチオジプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジルエステル)は、縮合剤を要しないで、アミノ基で化学修飾したシクロデキストリン誘導体と容易に結合するので、検出センサーの製造過程が簡略なものとなる。
【0048】
さらに、本発明の検出センサーは、エタノール等のアルコール類に浸漬することで、繰り返しの使用ができる。
【0049】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0050】
図1は、本発明の検出センサーの実施形態例を示した概略構成図で、(a)は正面の概略を、(b)は側面の概略を示したものである。尚、本発明の検出センサーは、この実施形態に限定されるものではない。
【0051】
本実施形態の検出センサーは、板状に形成された水晶振動子1と、この水晶振動子1の両側に設けられる電極2と、電極2上に形成され被検知物質を検知する検知部3とを備える。電極2には、図示省略された導体と接続するための電極端子21が接続されている。尚、図示省略されているが、当該検出センサーには、前記導体を介して接続される共振回路と、この共振回路から出力された信号が供給される周波数検出器とが具備される。
【0052】
水晶振動子1は、既知のものを採用すればよい。例えば、ATカット、振動周波数0.5〜125MHzのものがある。
【0053】
電極2及び電極端子21は、金、銀、白金、銅またはチタン等の金属材料を含んでなるものが挙げられる。特に、金電極は、チオール結合を形成するうえで有効である。
【0054】
検知部3は、シクロデキストリン誘導体をチオール化合物またはジスルフィド化合物によって固定してなる。すなわち、シクロデキストリン誘導体は、チオール化合物またはジスルフィド化合物のチオール結合やジスルフィド結合によって形成される自己組織化膜(自己組織化単分子膜)によって電極2に固定されている。
【0055】
そして、当該検出センサーは、電極2に固定されたシクロデキストリン誘導体と被検出物質との結合(包接)による水晶振動子1の共振周波数の変化(低下)に基づき、大気中あるいは液中に存在する被検出物質の同定、検出及び定量を行う。また、当該検出センサーは、測定に供した検知センサーの検知部3をエタノール等のアルコール類で洗浄してやれば、繰り返しの使用ができる。
【0056】
図2(a)は、シクロデキストリン誘導体の分子構造式を示す。
【0057】
シクロデキストリンは、D−グルコースが(1→4)−α−グルコシド結合で数個結合して、環状構造を成したオリゴ糖(図中R,RがOH)である。そして、グルコース6分子、7分子、8分子を有する誘導体を、それぞれα−、β−、γ−シクロデキストリンと呼んでいる。また、その他の誘導体としては、図2に示したように、R,Rが、OCOCH、OCH、OCHCHOHであるものがある。さらに、その他の誘導体としては、構造式中のRの一部をアミノ基に変換したものがある。このアミノ基の修飾は、既知の方法で得ればよい。アミノ基で修飾したシクロデキストリン誘導としては、例えば、モノ−6−アミノ−モノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリン(以下、ACDと呼称)等がある。
【0058】
前記チオール化合物としては、カルボン酸基を有するものがある。当該チオール化合物は、適合な縮合剤の存在下でアミノ化シクロデキストリン誘導体と反応させると、該アミノ化シクロデキストリン誘導体と結合させることができる。前記チオール化合物としては、例えば、メルカプト酢酸(チオグリコール酸)、メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸等が挙げられる。尚、メルカプトプロピオン酸及びチオリンゴ酸には、α体とβ体のものがある。
【0059】
前記ジスルフィド化合物としては、スクシンイミジル基を有するものがある。例えば、3,3’−ジチオプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジルエステル)(以下、DTDPDSIと呼称)等が挙げられる。DTDPDSIは、その分子端末にACD中のアミノ基と容易に結合を生成するので、縮合剤を用しないでACDと結合させることができる。
【0060】
図2(b)に、シクロデキストリン誘導体を電極に固定して検知部を形成させる工程の概略を示した。ここでは、シクロデキストリン誘導体にACDを、ジスルフィド化合物にDTDPDSIを採用した場合の検知部の形成工程を説明する。
【0061】
先ず、水晶振動子1の表面に設けられた電極2の表面に有機溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を滴下して、周波数が安定するまで静置する。次いで、DTDPDSIを溶解したDMFを電極2に滴下して、電極2上にDTDPDSIの自己組織化膜を形成する。そして、この電極にACD(図2(b)においてはR−NHと表記)を溶解したDMFを滴下して、ACDを前記自己組織化膜に結合させて、ACDを電極2上に固定する。このようにして、電極2上に検知部3が形成される。
【0062】
また、上記形成工程に代えて、DMF中で、ACDをDTDPDSIと反応させた後、これを水晶振動子1に設けられた電極2上に滴下して、ACDを固定したDTDPDSIの自己組織化膜を電極2上に形成させることで、ACDを電極2上に固定してもよい。
【0063】
従来は水晶振動子上に高分子樹脂のような有機系のバインダーにシクロデキストリン誘導体を混合して電極に固定化させているが(例えば、特開平4−52546号公報)、この方法はホストとなるシクロデキストリン誘導体の密度低下に繋がるため被検出物質の感度が低くなる。
【0064】
本発明の検出センサーは、前記した形成方法によってシクロデキストリン誘導体を、直接、水晶振動子電極上に固定化しているので、電極の単位面積当りのシクロデキストリン誘導体固定量が前記従来のものよりも多くなることから、従来の検出センサーよりも感度良く被検出物質を検出できる。
【0065】
本発明の検出センサーの実施例を以下に示した。
【0066】
(実施例1)カバーを付けて片面のみ露出させた10MHz水晶振動子金電極上にDMF200μl滴下して周波数が安定した後、予めDMF10mlにDTDPDSI0.1g及びACD0.35gを溶解したDMF溶液を200μl滴下して周波数が安定するまで静置してACDを固定したDTDPDSIの自己組織化膜を電極上に形成させて、本実施例の検出センサーを得た。本実施例では、3つの検出センサーを作成した。表1に、本実施例で得た検出センサー(S1〜S3)における水晶振動子の電極上へのDTDPDSIとACDの合計の固定量を示した。
【0067】
そして、本実施例に基づいて作製した検出センサーのビスフェノールA(BPA)及びp−ノニルフェノール(NP)に対する応答性を評価した。すなわち、それぞれ単独に1×10−10、1×10−8、1×10−6mol/lのNP水溶液及びBPA水溶液を調製した。次いで、これらの水溶液を各々ビーカーに採取した後、各水溶液に検出センサーを浸漬して、水晶振動子の共振周波数変化を調べた。図3に応答結果を示した。ここでは、NP水溶液に対するS1の共振周波数変化と、NP水溶液に対するS2の共振周波数変化と、BPA水溶液に対するS3の共振周波数変化を開示した。
【0068】
(実施例2)両面に金電極を設けた10MHz水晶振動子をDMF溶液に浸し、周波数が安定した後に取り出し、DMF溶液10ml当たりDTDPDSIを0.1g溶解したDMF溶液に浸して、水晶振動子の電極両面にDTDPDSIの自己組織化膜を形成させた。次いで、この水晶振動子を水洗・乾燥した後、一方の面の電極にカバーを取り付け、水200μlを滴下して周波数が安定した後に、ACD水溶液(250mg/10mlのDMF)を100または200μl滴下して他方の電極上にACDを結合させた。このとき、片面電極上へのACDの固定量は、76.91ngであった。そして、前記カバーを取り外した後、ACD水溶液(250mg/10mlのDMF)を100または200μl滴下して両面の電極上に形成された自己組織化膜にACDを結合させて、本実施例の検出センサーを得た。表2に、本実施例で得た検出センサーにおける水晶振動子の電極に固定されたDTDPDSI及びACDの固定量を示した。
【0069】
そして、本実施例に基づいて作製した検出センサーのビスフェノールA(BPA)に対する応答性を評価するため、BPAをそれぞれ単独に1×10−8、1×10−6mol/lの水溶液を調製して、これらの水溶液を各々ビーカーに採取した後、各水溶液に検出センサーを浸漬して、水晶振動子の共振周波数変化を調べた。図4に応答結果を示した。
【0070】
(実施例3)両面に金電極を設けた10MHz水晶振動子において、一方の電極にカバーを取り付けた。そして、カバーの取り付けられていない他方の電極面にN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200μlを滴下し、周波数が安定するまで静置した。その後、この電極にDMF溶液10ml当たりDTDPDSIを0.1g溶解したDMF溶液を200mlに滴下して、電極上にDTDPDSIの自己組織化膜を形成した。次いで、この電極にDMF溶液10ml当たりACD250mgを溶解したDMF200μlを滴下して、ACDを電極上の前記自己組織化膜に結合させて、本実施例の検出センサーを得た。表2に、本実施例で得た検出センサーにおける水晶振動子の電極上へのDTDPDSI及びACDの固定量を示した。
【0071】
【表1】
Figure 2004177258
【0072】
【表2】
Figure 2004177258
【0073】
図3及び図4に示された結果から明らかなように、検出対象物質の濃度が高くなるに従い共振周波数変化が大きく減少するため、ACDはNP及びBPAを検出するためのホストとして利用できることがわかる。
【0074】
また、表1と図3に示されたS1とS2の結果から、被検出物質の感度すなわち共振周波数変化はDTDPDSIとACDの固定量に依存することも確認できる。そして、この結果から、被検出物質と結合するホストの量を増やすことによって、検出センサーの感度をより一層向上できるものと考えられる。
【0075】
さらに、各実施例で得たいずれの検出センサーも、被検出物質を固定化した時点で、共振周波数が安定していることも確認された。
【0076】
尚、いずれのセンサーもエタノール等のアルコール類に浸漬することで、繰り返し使用することができる。
【0077】
以上のように本発明の検出センサーは、簡易的に短時間で高感度の検出を可能とするものである。したがって、例えばある場所における環境汚染物質の検出を行う際などには、本発明の検出センサーを用いることによって、その場(現場)での検出を可能とすることができ、さらにその場(現場)での連続的な検出(例えば一定時間内の検出量変化等)の実現をも示唆するものである。
【0078】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1から10記載の検出センサーによれば、被検出物質をその場で簡易的にしかも感度良く測定できる。
【0079】
すなわち、本発明の検出センサーでは、水晶振動子上に特定物質と特異的に結合するシクロデキストリン誘導体を固定化しているので、このセンサーを気相または液相に曝すことだけで、これらの相に含まれる特定物質、例えば環境汚染物質の中で特に問題となっているビスフェノールA・アルキルフェノール類等に代表されるフェノール類等の内分泌撹乱物質等に対して、その場で高感度に検出することができる。特に、シクロデキストリン誘導体を、直接、水晶振動子電極上に固定化しているので、電極の単位面積当りのシクロデキストリン誘導体固定量が従来のものよりも多くなることから、従来の検出センサーと比べて、感度良く被検出物質を検出できる。さらに、本発明の検出センサーは、エタノール等のアルコール類に浸漬することで、繰り返し使用ができる。このように、本発明は、被検出物質をその場で簡易的にしかも感度良く測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示した概略構成図で、(a)は正面の概略を示した図、(b)は側面の概略を示した図。
【図2】(a)はシクロデキストリンの分子構造式、(b)はシクロデキストリン誘導体の固定化工程を示した概略説明図。
【図3】ビスフェノールA及びp−ノニルフェノールに対する共振周波数変化。
【図4】ビスフェノールAに対する共振周波数変化。
【符号の説明】
1…水晶振動子
2…電極、21…電極端子
3…検知部

Claims (10)

  1. 特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーであって、
    シクロデキストリン誘導体は、ジスルフィド化合物またはチオール化合物によって電極に固定したこと
    を特徴とする検出センサー。
  2. 特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーであって、
    有機溶媒中で、シクロデキストリン誘導体をチオール化合物またはジスルフィド化合物と反応させた後、これを水晶振動子に設けられた電極上に滴下して、前記シクロデキストリン誘導体を固定した自己組織化膜を前記電極上に形成してなること
    を特徴とする検出センサー。
  3. 特定物質と結合するシクロデキストリン誘導体を水晶振動子に設けた電極に固定してなる検出センサーであって、
    水晶振動子に電極を設け、この電極上にチオール化合物またはジスルフィド化合物を滴下して自己組織化膜を形成させた後、これにシクロデキストリン誘導体を溶解した有機溶媒を滴下して、前記自己組織化膜にシクロデキストリン誘導体を固定してなること
    を特徴とする検出センサー。
  4. シクロデキストリン誘導体は、化学修飾したものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検出センサー。
  5. シクロデキストリン誘導体は、アミノ基で修飾したことを特徴とする請求項4記載の検出センサー。
  6. アミノ基で修飾したシクロデキストリン誘導体は、モノ−6−アミノ−モノ−6−デオキシ−β−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項5記載の検出センサー。
  7. ジスルフィド化合物は、スクシンイミジル基を有するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の検出センサー。
  8. ジスルフィド化合物は、3,3’−ジチオジプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジルエステル)であることを特徴とする請求項7記載の検出センサー。
  9. 電極は、金、白金、銀、銅、またはチタンのいずれかを含んでなることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の検出センサー。
  10. 被検出物質は、フェノール類であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の検出センサー。
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