JP2004173579A - 鮮度保持シート - Google Patents

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Abstract

【課題】臭いの少ない茶カテキンを使用することにより、生鮮食材に対して好適条件の鮮度保持力を発揮し得るようにする。
【解決手段】鮮度食材用の鮮度保持シートとして、吸水量が170mL/m以上のパルプシートを使用することにより、生鮮食材から滲出するドリップを多量に吸収できるようにするとともに、該パルプシートに臭いの少ない茶カテキンを添加することで、生鮮食材への移り香を極力少なくしつつ、生鮮食材に対する抗菌作用及び酸化防止作用を付与できるようにする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、食肉や魚介類等の生鮮食材の鮮度を長く保持させるための鮮度保持シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
食肉や魚介類等の生鮮食材を保管するには、過乾燥の防止、酸化の防止、雑菌による腐敗防止、変色防止等に注意することが必要である。生鮮食材の鮮度を保持する方法としては、生鮮食材を包装材料で包んで保管する方法が従来からよく行われている。
【0003】
この種の鮮度保持用の包装材料として、プラスチックフィルム、不織布シート、パルプシート等が従来からよく使用されている。これらのフィルム状あるいはシート状の包装材料は、比較的安価であって、1回切りの使い捨てにできるので便利である。
【0004】
プラスチックフィルム製の包装材料では、外気を遮断できるので、生鮮食材に対して過乾燥の防止と酸化の防止とに効果が高いが、吸水性がないので生鮮食材から滲出するドリップを吸収することができない。ところで、生鮮食材から滲出するドリップは、腐敗の進行を助長する性質があり、生鮮食材の表面にドリップが付着したままであると、そこに雑菌が繁殖し易く且つ表面が変色し易くなるという難点がある。従って、プラスチックフィルム製の包装材料は、ドリップが出る食肉や魚介類等の生鮮食材の包装材料としては不適である。
【0005】
また、不織布製の包装材料では、生鮮食材から滲出するドリップの吸収性は高いものの、保水性に難点があり、乾燥防止や酸化防止等の機能が乏しいという性質がある。従って、不織布製の包装材料では、食肉や魚介類等の生鮮食材を長時間保存する場合には、保水性の点でやや難点がある。
【0006】
また、上記プラスチックフィルムや不織布は、土と同化しないので、そのまま廃棄すると環境汚染の問題も生ずる。
【0007】
他方、パルプシート製の包装材料は、吸水性及び保水性の両方に優れた機能を有し、しかも天然素材(パルプ)で製造されているのでそのまま廃棄しても環境にやさしいという性質を有している。そして、この種のパルプシート製の包装材料は、キッチンペーパーで代表されるように、生鮮食材用の包装材料として多用されている。なお、市販品のキッチンペーパーは、吸水量が100〜140mL/m程度(坪量が20〜46g/m程度)である。
【0008】
上記したパルプシート製の包装材料は、吸水性と保水性との両方に優れた機能を有するところから、ドリップの滲出する生鮮食材用の包装材料として今後大いに普及することが予想される。ところが、市販品のキッチンペーパーは、吸水量が100〜140mL/m程度であるため、ドリップを大量に滲出する生鮮食材用に使用する場合には、滲出したドリップを十分に吸収できず、十分な鮮度保持力を確保できない場合がある。
【0009】
また、本願発明者等は、吸水量の異なる数種類のパルプシートを使用して、それぞれ生鮮食材の鮮度保持試験を行った。なお、鮮度保持試験は、刺し身用のハマチを使用し、冷蔵庫内で行った。その結果、吸水量の多いパルプシートほどドリップ吸収量が多くなって、ドリップ吸収による鮮度保持力が向上することを知見できたが、例えば吸水量を180mL/m程度まで多くしたパルプシートを使用したものでも、36時間後には生鮮食材として使用に耐えない程度の臭気を発生し、48時間後には生鮮食材として使用に耐えない程度の変色を呈していた。なお、臭気の発生及び変色の原因としては、雑菌の繁殖による腐敗や酸化によるものと考えられる。
【0010】
ところで、近年の研究でカテキンに抗酸化作用や抗菌作用があることが知られており、又、貝殻(例えば牡蛎殻)にも抗菌作用があることが知られている。
【0011】
上記したカテキンの抗酸化作用及び抗菌作用に着目した生鮮食材用包装材料としては、天然パルプ主体の紙の表面に茶抽出物のカテキンと孟宗竹抽出物のキノンとを成分とする抗菌剤を0.2〜3.0g/m塗工した食品用抗菌紙(例えば、特許文献1参照)や、抗酸化能を具備したカテキン等の植物組織の粉砕物又は抽出物が含まれている微小粒状再生キトサンをセルロース再生繊維中に分散含有させた食品包装材料に好適な改質セルロース再生繊維(例えば、特許文献2参照)がある。
【0012】
【特許文献1】
特開2000−110099公報
【特許文献2】
特開平11−1820号公報。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、カテキン類は茶や柿などの植物から抽出、精製することによって得られるが、その精製処理の違いにより残存する各種香気成分物質の濃度に違いを生じ、その結果、カテキンの製造履歴によりその臭いの強さに差を生じる。茶カテキンにおいては、その臭いは「茶臭」となり、臭いの強い茶カテキンをある量以上添加したパルプシート製の包装材料を使用すると、生鮮食材にカテキンの移り香(茶臭)が生じるという不具合が生じるおそれがある。上記特許文献1及び2には、このような不具合(即ち、茶臭の移り香)を解消する手立てについては開示されていない。
【0014】
また、本願発明者等も、上記カテキンの抗酸化作用や抗菌作用、及び貝殻の抗菌作用等に着目して、生鮮食材に対する鮮度保持力を高めることができる鮮度保持シートの研究・開発を行ってきた。ところが、市販のキッチンペーパー(吸水量100〜140mL/m程度)にカテキン及び貝殻(粉末)を添加したものでは、それらを添加しないキッチンペーパーより鮮度保持力がいくらか向上したものの、十分に満足できるものではなかった。即ち、試験例では、吸水量100mL/mのパルプシートにカテキンを2.0重量%と牡蛎殻粉末を1.5重量%とを添加した包装材料を使用し、上記同様に刺し身用ハマチを包装して試験した。その結果、36時間後には臭気及び変色について何れも生鮮食材としてまだ許容できる範囲であったが、48時間後には臭気及び変色について何れも生鮮食材として使用不可になっていた。
【0015】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、臭いの少ない茶カテキンを使用することにより、生鮮食材に対して好適条件の鮮度保持力を発揮する鮮度保持シートを提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、吸水量が170mL/m以上のパルプシートに臭いの少ない茶カテキンを添加している。
【0017】
上記のように構成したことにより、生鮮食材から滲出するドリップを十分に吸収するとともに、抗菌作用を有し且つ生鮮食材への移り香の極めて少ない鮮度保持シートが得られる。
【0018】
パルプシートとしては、パルプ100%のものが好ましい。また、このパルプシートには、耐水性を付与するために耐水剤を混合させてもよい。
【0019】
このパルプシートは、吸水量が170mL/m以上のものを使用することを要件とする。吸水量が170mL/mより少ないパルプシートを使用すると、生鮮食材から滲出するドリップ量が多い場合には、そのドリップ量を十分に吸収しきれない(飽和状態になる)ことがあり、鮮度保持力を十分に達成できないことがある(後述の試験例1又は試験例2を参照)。なお、吸水量が170mL/m以上のパルプシートであれば、通常の食肉や魚介類等から滲出するドリップ量をほぼ吸収できる。また、パルプシートは、吸水量の多いものほど生鮮食材から滲出するドリップ量を多く吸収できて鮮度保持機能がよくなるが、吸水量が多くなるほどシートの坪量が重くなり、過剰機能排除及び経済性の点を考慮すると、パルプシートとしては吸水量が170mL/m〜350mL/m程度のものが好ましい。
【0020】
なお、茶カテキンには、抗酸化作用及び抗菌作用があるが、臭いの少ない茶カテキンを使用することにより、目的とする鮮度保持シートの機能を損うことなく茶カテキンの添加量を増加することができ、上記の作用を増強することができる。
【0021】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた鮮度保持シートにおいて、前記茶カテキン中の香気成分リナロール,2−フェニルエタノール及び5,6−エポキシ−β−ヨノンのそれぞれの換算濃度を重量ppmで表した3つの数値の積が30以下となるようにすることもでき、そのように構成した場合、茶カテキン中の香気成分リナロール,2−フェニルエタノール及び5,6−エポキシ−β−ヨノンの濃度が低く抑えられることとなり、生鮮食材への移り香を可及的に少なくすることができる。臭いの少ない茶カテキンは、以下のようにして選択することができる。
【0022】
後述する茶カテキン類の香気分析試験に供した商品名テアフラン30A、テアフラン30E、テアフランW及びテアフラン90Sの官能試験の結果、それぞれの茶カテキンの「茶臭」は、テアフラン30Aが「強い」、テアフラン30E及びテアフランWが「弱い」、テアフラン90Sが「微香あり」であった。そこで、後述する分析結果(表1参照)の質量分析ピーク強度が上記官能試験の傾向と一致し、かつ比較的ピーク強度の大きい香気成分としてリナロール、2−フェニルエタノール及び5,6−エポキシ−β−ヨノンを選択した。このうち、リナロールは「すずらん系の花香」、2−フェニルエタノールは「やや古くなったばらの花香」及び5,6−エポキシ−β−ヨノンは「青苦い香り」とされるものである(山西貞著「お茶の科学」(裳華堂発行)参照)。これらの香気成分の換算濃度を香気分析試験で内部標準として用いたシクロヘキサノール換算で計算すると、表2のようになる。
【0023】
これらの結果より、茶カテキン類から上記の3種類の香気成分のそれぞれの換算濃度を重量ppmで表した数値の積が30以下のものを選定すれば、目的とする鮮度保持シートに好適な臭いの少ない茶カテキンを得ることができる。
【0024】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた鮮度保持シートにおいて、前記茶カテキンの添加量を前記パルプシートに対して5〜12重量%とすることもでき、そのように構成した場合、生鮮食材への移り香を生ずることのない鮮度保持シートが得られる。ここで、茶カテキンの添加量は、パルプシートに対して5〜12重量%の範囲とするのが好ましい。即ち、茶カテキン添加量がパルプシートに対して5重量%より少ないと、パルプシートの吸水量が170mL/m以上であっても、鮮度に関する要素のうち臭気や変色の点で目標を達成できないことがあり、逆に、茶カテキン添加量がパルプシートに対して12重量%を超えると、生鮮食材に茶カテキン特有の香りが移る(品質が低下する)おそれがある。
【0025】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1又は第2の手段を備えた鮮度保持シートにおいて、前記茶カテキンの添加量を前記パルプシートに対して3.3〜7.8g/mとすることもでき、そのように構成した場合、生鮮食材への移り香を生ずることのない鮮度保持シートが得られる。ここで使用されているパルプシートにおいては、その単位面積当たり重量は65g/mであるため、前述の第3の手段における茶カテキン添加量5〜12重量%は、3.3〜7.8g/mに相当する。
【0026】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えた鮮度保持シートにおいて、前記パルプシートにさらに貝殻粉末を添加することもでき、そのように構成した場合、貝殻粉末にも抗菌作用があるところから、鮮度保持機能がより向上するが、茶カテキンより安価な貝殻粉末を使用することで、コストダウンを図ることができる。ここで使用できる貝殻は、代表例として牡蛎殻があるが、そのほかにアサリ、ハマグリ、サザエ、アワビ、ムール貝等の殻も利用できる。この貝殻粉末の添加量は、特に限定するものではないが、パルプシートに対して重量比で1〜2%(好ましくは、1.5%程度)が適当である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施形態を説明する。本願発明の鮮度保持シートは、基本的に、吸水量が170mL/m以上のパルプシートに臭いの少ない茶カテキン(例えば、テアフラン30E:商品名)を5〜12重量%(パルプシート比)を添加したものであるが、本実施形態では、抗菌剤として茶カテキンのほかに牡蛎殻粉末も添加している。
【0028】
この鮮度保持シートは、次のようにして製造できる。
【0029】
即ち、パルプスラリー中に予め牡蛎殻粉末を所定割合だけ混入しておき、その牡蛎殻粉末を混入させたパルプスラリーから抄紙機により抄紙し、そのウェットシートを走行させながら該ウェットシートに液状の茶カテキン(例えば、テアフラン30E:商品名)を所定量ずつスプレー添加した後、プレスロールに供給して乾燥させる。なお、この鮮度保持シートは、所定幅のロール状に巻き取ったり、所定寸法の矩形に切断して製品化される。
【0030】
この鮮度保持シートは、食肉や魚介類等の生鮮食材の包装材料として使用される。そして、この鮮度保持シートで生鮮食材を包装すると、パルプシートが吸水性と保水性との両方に優れた機能を有しているので、該パルプシート部分で生鮮食材から滲出したドリップを吸収するとともに、吸収したドリップを保水する。その際、パルプシートの吸水量が170mL/m以上とされているので、生鮮食材からのドリップを十分に吸収できるとともに、パルプシートの保水力により生鮮食材が乾燥するのを防止できる。また、この鮮度保持シートでは、パルプシートに臭いの少ない茶カテキン(例えば、テアフラン30E:商品名)を添加しているので、該茶カテキンの抗菌作用により、包装している生鮮食材の食中毒菌を殺菌したり繁殖を抑制したりし得るとともに、茶カテキンの酸化抑制作用により、生鮮食材の腐敗進行を抑制(遅延)させることができるし、生鮮食材への移り香も極めて少なくなる。
【0031】
ところで、お茶から精製される茶カテキンには、テアフラン30A(商品名)で代表される臭いの強い茶カテキンと、テアフラン30E(商品名)で代表される臭いの少ない茶カテキンとがあり、本実施形態においては、テアフラン30Eを使用している。
【0032】
ちなみに、テアフラン30A(TF30A)、テアフラン30E(TF30E)、テアフランW(TFW)及びテアフラン90S(TF90S)の香気分析試験を次の要領で行った。
【0033】
香気試験方法
2%テアフラン溶液10mLをヘッドスペースバイアルに入れ、スターラーバー固相抽出法(SBSE)により、1時間撹拌し香気成分を捕集した。分析及び化合物の固定は加熱脱着装置付きガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)装置により行った。香気成分量の比較のため、シクロヘキサノールの0.1%溶液10μLを上記テアフラン溶液に加えて内部標準とした。
【0034】
加熱脱着装置:Gerstel TDS
脱着温度:20ど(1min)〜60℃/min〜180℃(4min)
GS:Agilent GC6890
カラム:DB−WAX(0.25mml.D.×60m×0.50μm) J&W
オーブン温度:40℃(3min)to230℃(15min)at4℃/min
ガス流量:He、1.0mL/min
注入口:CIS注入口(solvent vent mode)
−50℃(0.5min)〜12℃/sec〜240℃(5min)
MS:Agilent MS5973N
温度:150℃
電圧:70eV
上記した香気試験の結果を図1〜図4に示す。図1〜図4において、I.S.は内部標準のピークを、また、A、B及びCはそれぞれお茶の香気成分リナロール、2−フェニルエタノール及び5,6−エポキシ−β−ヨノンのピークを示す。
【0035】
また、上記4種類の茶カテキンの香気試験結果から、各ピークに対応する香気成分の分析データを表1にまとめた。さらに、内部標準の濃度(50ppm)を基準として、3種類の香気成分A:リナロール、B:2−フェニルエタノール及びC:5,6−エポキシ−β−ヨノンの換算濃度を表1のピークデータ(Target
Res)より求め、A×B×Cの積を求めた。結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2004173579
【0037】
【表2】
Figure 2004173579
【0038】
官能試験の結果を考慮すると、上記の重量ppmで表した積A×B×Cの値が30以下であれば、臭いの少ない茶カテキンとして本発明の鮮度保持シートに使用することができる。したがって、臭いの少ない茶カテキンとしては、商品名テアフラン30E、テアフランW及びテアフラン90Sなどから選定することができる。
【0039】
次に、吸水量の異なる3種類のパルプシートを使用し、茶カテキンとしてテアフラン30A及びテアフラン30Eを使用した場合の鮮度保持機能を比較する試験を行った。
【0040】
試験例1−1では吸水量150mL/mのパルプシートにテアフラン30Aを添加したものを使用し、試験例1−2では吸水量150mL/mのパルプシートにテアフラン30Eを添加したものを使用し、試験例2−1では吸水量170mL/mのパルプシートにテアフラン30Aを添加したものを使用し、試験例2−2では吸水量170mL/mのパルプシートにテアフラン30Eを添加したものを使用し、試験例3−1では吸水量220mL/mのパルプシートにテアフラン30Aを添加したものを使用し、試験例3−2では吸水量220mL/mのパルプシートにテアフラン30Eを添加したものを使用している。また、各試験例1−1〜3−2では、吸水量の異なる3種類のパルプシートに対して、それぞれテアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率(パルプシートに対する重量%)が1.0、5.0、8.0、10.0、12.0及び14.0の6種類のものについて行い、他方、牡蛎殻添加率は、パルプシートに対して全て1.5重量%に統一して行った。なお、試験用の生鮮食材としては刺し身用のイカを使用した。そして、それぞれの鮮度保持シートで生鮮食材を包装し、冷蔵庫の中で24時間保管した後、冷蔵庫から取り出して、抗菌試験を行うとともに、変色、臭気、食感、移り香の各項目について15人による官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
Figure 2004173579
【0042】
上記表3において、抗菌作用項目は、JIS L 1902抗菌試験に基づいて行ったもので、○が「良」、△が「やや良」、×が従来品のキッチンペーパーで行ったものと「同じ」を示す。なお、抗菌試験は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、O−157、カンビロバクターについて静菌活性値を計測して行った。又、変色、臭気、食感の3項目の評価は、吸水量が130mL/m程度の従来品のキッチンペーパーで包装したものと比較し、○は8割(12人)以上の人が「良」と回答したもの、△は「良」より少し評価が下がるが8割以上の人が従来品の場合より「やや良」と回答したもの、×は「やや良」に達しない「従来品と同じ」と回答したものである。又、移り香項目は、茶カテキン特有の香りが生鮮食材にどの程度付着したかを評価するもので、○は8割以上の人が「良」(ほとんど移り香を感じない)と回答し、△は8割以上の人が「許容範囲内」(移り香が少しあるが気になる程でない)と回答し、×は「移り香が気になる」と回答したものである。
【0043】
上記表3の試験結果において、試験例1−1及び1−2(吸水量150mL/mのパルプシート使用)では、変色項目及び食感項目については、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が1.0重量%では「従来品と同じ」の評価(×の評価)で、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が5.0重量%〜12.0重量%になっても「やや良」の評価(△の評価)に留まった。また、移り香項目については、試験例1−1(即ち、テアフラン30A使用)では8.0重量%で「許容範囲内」の評価(△の評価)が得られるが、10.0重量%以上で「移り香が気になる」の評価(×の評価)が得られ、試験例1−2(即ち、テアフラン30E使用)では10.0重量%及び12.0重量%で「許容範囲内」の評価(△の評価)が得られるが、14.0重量%で「移り香が気になる」の評価(×の評価)が得られた。つまり、テアフラン30Eを使用したものの方が、テアフラン30Aを使用したものに比べて移り香項目の評価において優っていることが分かるのである。
【0044】
上記表3の試験例2−1及び2−2(吸水量170mL/mのパルプシート使用)では、変色項目について、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が1.0重量%で「やや良」の評価(△の評価)、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が5.0重量%以上では「良」の評価(○の評価)の各評価を得た。また、臭気項目及び食感項目については、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が1.0重量%では「従来品と同じ」の評価(×の評価)、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が5.0重量%以上では「良」の評価(○の評価)の各評価を得た。また、移り香項目については、試験例2−1(即ち、テアフラン30A使用)では、8.0重量%で「許容範囲内」の評価(△の評価)が得られるが、10.0重量%以上では「移り香が気になる」の評価(×の評価)が得られ、試験例2−2(即ち、テアフラン30E使用)では、10.0重量%及び12.0重量%で「許容範囲内」の評価(△の評価)が得られるが、14.0重量%で「移り香が気になる」の評価(×の評価)が得られた。つまり、テアフラン30Eを使用したものの方が、テアフラン30Aを使用したものに比べて移り香項目の評価において優っていることが分かるのである。
【0045】
また、表3の試験例3−1(吸水量220mL/mのパルプシート使用)では、変色項目については、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が1.0重量%で「やや良」の評価(△の評価)、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が5.0重量%以上では「良」の評価(○の評価)の各評価を得た。また、臭気項目については、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が1.0重量%では「従来品と同じ」の評価(×の評価)であるが、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が5.0重量%以上では「良」の評価(○の評価)の各評価を得た。さらに、食感項目については、テアフラン30A及びテアフラン30Eの添加率が1.0重量%以上では「良」の評価(○の評価)を得た。さらにまた、移り香項目については、試験例3−1(即ち、テアフラン30A使用)では、8.0重量%で「許容範囲内」の評価(△の評価)が得られるが、10.0重量%以上では「移り香が気になる」の評価(×の評価)が得られ、試験例3−2(即ち、テアフラン30E使用)では10.0重量%及び12.0重量%で「許容範囲内」の評価(△の評価)が得られるが、14.0重量%で「移り香が気になる」の評価(×の評価)が得られた。つまり、テアフラン30Eを使用したものの方が、テアフラン30Aを使用したものに比べて移り香項目の評価において優っていることが分かるのである。
【0046】
上記試験例から、変色、臭気、食感の3項目については、パルプシートの吸水量が多いもの程、良好な結果が得られることが理解できる。即ち、吸水量の多いパルプシートほど生鮮食材の鮮度低下を抑制できるものと推定できる。
【0047】
他方、上記試験例において、移り香項目については、テアフラン30Eの添加率が8.0重量%までは移り香を感じない「良」の評価(○の評価)で、テアフラン30Eの添加率が10.0重量%〜12.0重量%では「許容範囲内」の評価(△の評価)で、テアフラン30Eの添加率が14.0重量%になると「移り香が気になる」の評価(×の評価)とされる。
【0048】
そして、表3の各種試験結果から、各種評価項目をそれぞれ満足できるものは、パルプシートの吸水量が170mL/m以上で、パルプシートへのテアフラン30Eの添加量がパルプシート重量に対して5.0〜12.0重量%であることが理解できる。
【0049】
【発明の効果】
本願発明のの鮮度保持シートによれば次のような効果がある。
(1)パルプシートとして、吸水量170mL/m以上のものを使用しているので、従来の包装材料(吸水量が100〜140mL/m程度のキッチンペーパー)より生鮮食材からのドリップを多量に吸収でき、それによって生鮮食材の腐敗及び変色の進行を抑制できる。
(2)パルプシートに臭いの少ない茶カテキンを添加しているので、この鮮度保持シートを使用すると、茶カテキンの抗菌作用により生鮮食材の食中毒菌を殺菌したり、繁殖を防止したりできるとともに、茶カテキンの酸化抑制作用により変色の進行を遅延させることができる。なお、パルプシートとして吸水量が170mL/m以上のものを使用した場合には、茶カテキン添加量をパルプシートに対して重量比で5〜12重量%の範囲にすれば、抗菌機能及び酸化抑制機能を十分に確保しつつ、生鮮食材に対する茶カテキンの移り香を防止することができる。
(3)パルプシートに茶カテキンとは別に貝殻粉末を添加すると、該貝殻粉末による抗菌作用を付加できるとともに、貝殻粉末は安価に入手できるので、高価な茶カテキンの量を少なくでき、鮮度保持シートを安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の茶カテキン(テアフラン30A)の香気分析結果を示す特性図である。
【図2】本願発明の鮮度保持シートに使用された茶カテキン(テアフラン30E)の香気分析結果を示す特性図である。
【図3】本願発明の鮮度保持シートに使用可能な茶カテキン(テアフランW)の香気分析結果を示す特性図である。
【図4】本願発明の鮮度保持シートに使用可能な茶カテキン(テアフラン90S)の香気分析結果を示す特性図である。

Claims (5)

  1. 吸水量が170mL/m以上のパルプシートに臭いの少ない茶カテキンを添加したことを特徴とする鮮度保持シート。
  2. 前記茶カテキン中の香気成分リナロール,2−フェニルエタノール及び5,6−エポキシ−β−ヨノンのそれぞれの換算濃度を重量ppmで表した3つの数値の積が30以下であることを特徴とする前記請求項1記載の鮮度保持シート。
  3. 前記茶カテキンの添加量が前記パルプシートに対して5〜12重量%であることを特徴とする前記請求項1及び2のいずれか一項記載の鮮度保持シート。
  4. 前記茶カテキンの添加量が前記パルプシートに対して3.3〜7.8g/mであることを特徴とする前記請求項1及び2のいずれか一項記載の鮮度保持シート。
  5. 前記パルプシートにさらに貝殻粉末を添加したことを特徴とする前記請求項1、2、3及び4のいずれか一項記載の鮮度保持シート。
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