JP2004171231A - 凹凸パターンの特徴抽出装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】面の凹凸の特徴を抽出する方法を提供すること。
【解決手段】凹凸面に対して基線31を設け、基線31に沿って凹凸面の複数画像を撮像し、各画像の空間周波数スペクトルを算出し、算出した各空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出し、各空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調し、強調した各空間周波数スペクトルを逆変換し、特徴部分を強調した各強調画像を作成し、各強調画像を用いて、凹凸パターンを算出する、凹凸パターンの特徴抽出装置及びその特徴抽出方法。
【選択図】 図1
【解決手段】凹凸面に対して基線31を設け、基線31に沿って凹凸面の複数画像を撮像し、各画像の空間周波数スペクトルを算出し、算出した各空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出し、各空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調し、強調した各空間周波数スペクトルを逆変換し、特徴部分を強調した各強調画像を作成し、各強調画像を用いて、凹凸パターンを算出する、凹凸パターンの特徴抽出装置及びその特徴抽出方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、面表面の凹凸パターンの特徴抽出に関するものである。特に、トンネル岩盤切羽等の岩盤掘削面及び岩盤露頭の地質評価自動化における亀裂、岩盤風化などの特徴抽出の基礎技術となるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、施工中のトンネル切羽等の岩盤掘削面の地質評価は、地質技術者が目視及びハンマー打診により風化の程度、硬さ、亀裂の頻度などを把握して岩盤分類を行うことにより行われている。しかし、これらの地質評価を施工中に許された短時間に詳細かつ正確に行うこと及び全ての岩盤掘削面を地質技術者が観察することは困難であり、岩盤掘削面に対する地質評価の自動化技術は強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
<イ>本発明は、面の凹凸パターンの特徴を抽出する装置と方法を提供することにある。
<ロ>また、本発明は、面の凹凸パターンの特徴を自動的に抽出する装置と方法を提供することにある。
<ハ>また、本発明は、トンネル岩盤切羽などの岩盤掘削面及び岩盤露頭などの亀裂、脈などの状態を抽出する装置と方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、凹凸面の凹凸パターンの特徴抽出装置において、凹凸面を基線に沿って撮像する撮像装置と、撮像した画像から空間周波数スペクトルを算出するスペクトル算出手段と、算出した空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出する特徴部分抽出手段と、算出した空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調する特徴部分強調手段と、特徴部分を強調した空間周波数スペクトルを逆変換する逆変換手段と、逆変換して求めた強調画像から凹凸パターンを算出する凹凸算出手段とを備えていることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出装置にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出装置において、凹凸算出手段は、マルチプルベースラインステレオ法で行うことを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出装置にある。
本発明は、また、凹凸面の凹凸パターンの特徴抽出方法において、凹凸面に対して基線を設け、基線に沿って凹凸面の複数画像を撮像し、各画像の空間周波数スペクトルを算出し、算出した各空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出し、各空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調し、強調した各空間周波数スペクトルを逆変換して、特徴部分を強調した各強調画像を作成し、各強調画像を用いて、凹凸パターンを算出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出方法において、凹凸パターンをマルチプルベースラインステレオ法で求めることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出方法において、空間周波数スペクトルの半径方向のパワースペクトルの曲線を求め、高周波領域を強めることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出方法において、空間周波数スペクトル分布の半径方向のパワースペクトルの曲線を求め、この曲線が、特徴のない凹凸面の空間周波数スペクトルの半径方向のパワースペクトルの曲線からずれている部分を特徴部分として抽出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、凹凸パターンの特徴抽出方法において、トンネル切羽や岩盤の凹凸パターンの特徴を抽出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0006】
<イ>凹凸パターンの特徴抽出
凹凸パターンの特徴抽出は、トンネル岩盤切羽等の岩盤掘削面及び岩盤露頭などの凹凸測定対象物において、凹凸面の凹凸パターンの特徴、例えば、亀裂、脈などの性状を抽出する。そのために、先ず、凹凸面を基線に沿ってカメラなどの撮像装置で撮像して、実際の画像、即ち実画像を得る。次に、この実画像の空間周波数スペクトルをスペクトル算出手段で求める。求めた空間周波数スペクトルの特徴部分を特徴抽出手段で抽出する。これにより、特徴部分が分かるので、空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調する。次に、この強調された空間周波数スペクトルを逆変換手段で逆変換して、特徴部分を強調した画像、即ち強調画像を求める。この強調画像を用いて凹凸パターン(凹凸の距離画像)を求める。これらの操作により、特徴のない凹凸パターンは弱められ、特徴のある凹凸パターンが強調されることになる。
【0007】
凹凸パターンの特徴抽出装置は、例えば図1に示すように、スペクトル算出手段11、特徴部分抽出手段12、特徴部分強調手段13、逆変換手段14、凹凸算出手段15などを有し、全体を制御する演算処理装置1、凹凸対象物を撮像する撮像装置2、データを入力する入力装置21、データを記憶する記憶装置22、測定データや処理結果を表示する表示装置23と印刷装置24などを備えている。なお、演算処理装置1は、スペクトル算出装置、特徴部分抽出装置、特徴部分強調装置、逆変換装置、凹凸算出装置のように独立した装置から構成されていても良い。
【0008】
<ロ>凹凸対象物の撮像
凹凸対象物の撮像は、図2に示すように、凹凸測定対象物3の前面に鉛直に基線31を配置する。基線31の向きは、任意であるが、重力などの影響を少なくするために鉛直が好ましい。同一の基線上にCCDカメラなど撮像装置2を用いて、間隔を開けて、順に凹凸面の画像を複数枚撮影する。
【0009】
<ハ>空間周波数スペクトルの算出
撮像装置で写された複数枚の画像について、別々に空間周波数スペクトルをスペクトル算出手段11で求める。スペクトル算出手段11は、フーリエ変換のFFTを使用して求めることができる。各画像の空間周波数スペクトルを、図3のように、横軸を横方向の空間周波数Ωx、縦軸を縦方向の空間周波数Ωyとして求める。各軸で指定される平面上の位置は、パワースペクトルのスペクトル強度の強さを濃度で表示することができる。
【0010】
<ニ>特徴部分の抽出
算出されたパワースペクトルを特徴部分抽出手段12で処理して特徴部分を抽出する。例えば、全体の特徴を見るために、全方向に対する特徴を抽出する。そのために、図3において、円周方向にパワースペクトルの総和を取る。求めたパワースペクトルの曲線は、通常、自然界では低周波領域の強度が大きい1/f分布となる。そこで、一次関数を乗算して、低周波領域の強度を相対的に弱め、高周波領域は相対的に強める。
【0011】
パワースペクトルの特徴部分の抽出は、特徴部分の無い基準パワースペクトルと対比して求めるとよい。測定したパワースペクトルと基準パワーススペクトルを対比して、相違する個所を特徴部分とする。基準パワースペクトルとは、ランダムや自然界に存在する1/f分布のスペクトルなどがある。また、類似する多数の測定対象物に共通するパターンを取り出し、そのパワースペクトルを基準パワーススペクトルとして求めておくと良い。
【0012】
<ホ>特徴部分の強調
パワースペクトルの特徴部分が分かると、パワースペクトルの特徴部分を特徴部分強調手段13により強調処理する。特徴部分強調手段13は、例えば、空間周波数を増幅する利得フィルタを用いることができる。利得フィルタでパワースペクトルの特徴部分を相対的に強調することができる。
【0013】
<ヘ>特徴部分の逆変換
特徴部分を強調した空間周波数を逆変換手段14で逆変換して、特徴部分を強調した強調画像を得る。逆変換手段は、逆フーリエ変換のIFFTが使用できる。
【0014】
<ト>特徴部分が強調された凹凸パターンの算出
特徴部分を有する凹凸面の高低パターン(凹凸パターン、距離画像)は、強調画像から凹凸算出手段により算出する。凹凸算出装置は、例えば、マルチプルベースラインステレオ(Multiple−Baseline Stereo)法を用いる。複数の強調画像に対してマルチプルベースラインステレオ法を用いると、特徴部分が強調された凹凸パターンを算出することができる。この手法を用いると、比較的広域な面の凹凸パターンを測定することができる。
【0015】
<チ>マルチプルベースラインステレオ法
マルチプルベースラインステレオ法は、図5に示すように、同一基線31の上にある画像対において、対応点の位置の差を視差dとし、三角測量の原理に基づいて撮像装置2のレンズから凹凸対象物3までの絶対距離zを計算するものであり、その関係式は、式z=Bf/(d×γ)で示される。ここで、zはレンズから凹凸対象物までの絶対距離(mm)、dは視差(pixel)、Bは撮像装置間距離(基線長)(mm)、fはレンズの焦点距離(mm)、γは撮像素子の大きさに依存する係数(mm/pixel)である。
【0016】
同じ距離zに対して基線長Bは視差dに比例するため基線長Bが短いと視差dが小さくなり算出される距離zの精度が悪くなる。逆に、精度を高めるために、基線長Bを伸ばすと視差dも大きくなるが、測定対象である岩盤はフラクタル的特性を持ち、似た模様が繰り返されるため対応点の推定が困難な場合が多い。そこで、マルチプルベースラインステレオ法を用いる。これは共通の基準画像に対して基準線が異なる複数の画像について、各画素の視差ではなく距離zに対する評価値の関数を求め、この総和を求めることで各画像対での偽対応点による影響を軽減させて真の距離を求める。評価値には処理時間との関係上、3×3画素のテンプレートによる差分値を用いるため、真の距離での評価値の総和が最小となる。特に繰り返しパターンを含む対象物の形状測定に有効となる。
【0017】
以下に、本発明を岩盤に適用した例を説明する。
【0018】
<イ>岩盤の画像
岩盤の前面に基線を設け、同一の基線上に沿ってデジタルカメラを移動し、所定間隔毎に岩盤を撮像して、岩盤の画像を得る。カメラはデジタルカメラ(CONTAX N Digital(629万画素))を用い、カメラの設置距離は13mとして、基線は縦方向とし、カメラを基線上に移動して、岩盤を撮影した。
【0019】
<ロ>画像の空間周波数スペクトルとその特徴部分
撮影した画像に対してベクトルラディックス(Vector−Radix)FFTを用いた。全方向に対する特徴を抽出するため、円周方向にパワースペクトルの総和を取り、更に高周波成分を強調するために一次関数を乗算する。その結果を図4に示す。図4において、サンプル4(Sample4)は他のサンプルより、少しパワースペクトルの相対値が小さいが、全てのサンプルにおいて、ほぼ同様な曲線パターンを有している。この図4の曲線から、空間周波数成分1/110(lp/mm)近辺から1/3(lp/mm)にかけてパワースペクトルの相対値が大きく、増加傾向を示している。この帯域に岩盤の模様の特徴部分が含まれていることが分かる。なお、もし、画像に特徴部分が無い場合、1/fの分布のスペクトルのように、高周波の帯域ではパワースペクトルの相対値が小さい。
【0020】
<ハ>強調された凹凸パターンの作成
空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調するために、1/110(lp/mm)以上の空間周波数帯を増幅する利得フィルタを用いる。その出力を逆FFTで処理して強調画像を得る。図6は以上の処理によって作成した画像からマルチプルベースラインステレオ法で求めた凹凸パターン、即ち凹凸を表す距離画像である。凸部が白く凹部が黒く強調処理によって対応点が明確となり、より精度の高い凹凸パターンが得られている。
【0021】
広域となる岩盤の亀裂を抽出するにあたり、岩盤の空間周波数について、強調処理を施すことでマルチプルベースラインステレオ法による立体計測の精度の向上が図れた。
【0022】
<ニ>画像を用いた岩盤の亀裂及び脈の抽出について
岩盤などの画像を取り、色で亀裂及び脈などの色パターンで識別する方法と、上記の凹凸パターンを組み合わせることにより、より正確に岩盤などの亀裂及び脈を識別することが可能になる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、次のような効果を得ることができる。
<イ>本発明は、面の凹凸の特徴を抽出する装置と方法を提供することができる。
<ロ>また、本発明は、面の凹凸の特徴を自動的に抽出する装置と方法を提供することができる。
<ハ>また、本発明は、トンネル岩盤切羽等の岩盤掘削面及び岩盤露頭などの亀裂、脈などの状態を抽出する装置と方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸パターンの特徴抽出装置のブロック図
【図2】撮像装置による凹凸測定対象物の撮像図
【図3】画像の空間周波数スペクトルの説明図
【図4】複数の画像についてパワースペクトルの円周方向の強度曲線
【図5】マルチプルベースラインステレオ法の説明図
【図6】岩盤の強調処理された凹凸パターンの図
【符号の説明】
1・・・演算処理装置
2・・・撮像装置
3・・・凹凸測定対象物
31・・基線
【発明の属する技術分野】
本発明は、面表面の凹凸パターンの特徴抽出に関するものである。特に、トンネル岩盤切羽等の岩盤掘削面及び岩盤露頭の地質評価自動化における亀裂、岩盤風化などの特徴抽出の基礎技術となるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、施工中のトンネル切羽等の岩盤掘削面の地質評価は、地質技術者が目視及びハンマー打診により風化の程度、硬さ、亀裂の頻度などを把握して岩盤分類を行うことにより行われている。しかし、これらの地質評価を施工中に許された短時間に詳細かつ正確に行うこと及び全ての岩盤掘削面を地質技術者が観察することは困難であり、岩盤掘削面に対する地質評価の自動化技術は強く求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
<イ>本発明は、面の凹凸パターンの特徴を抽出する装置と方法を提供することにある。
<ロ>また、本発明は、面の凹凸パターンの特徴を自動的に抽出する装置と方法を提供することにある。
<ハ>また、本発明は、トンネル岩盤切羽などの岩盤掘削面及び岩盤露頭などの亀裂、脈などの状態を抽出する装置と方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、凹凸面の凹凸パターンの特徴抽出装置において、凹凸面を基線に沿って撮像する撮像装置と、撮像した画像から空間周波数スペクトルを算出するスペクトル算出手段と、算出した空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出する特徴部分抽出手段と、算出した空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調する特徴部分強調手段と、特徴部分を強調した空間周波数スペクトルを逆変換する逆変換手段と、逆変換して求めた強調画像から凹凸パターンを算出する凹凸算出手段とを備えていることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出装置にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出装置において、凹凸算出手段は、マルチプルベースラインステレオ法で行うことを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出装置にある。
本発明は、また、凹凸面の凹凸パターンの特徴抽出方法において、凹凸面に対して基線を設け、基線に沿って凹凸面の複数画像を撮像し、各画像の空間周波数スペクトルを算出し、算出した各空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出し、各空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調し、強調した各空間周波数スペクトルを逆変換して、特徴部分を強調した各強調画像を作成し、各強調画像を用いて、凹凸パターンを算出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出方法において、凹凸パターンをマルチプルベースラインステレオ法で求めることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出方法において、空間周波数スペクトルの半径方向のパワースペクトルの曲線を求め、高周波領域を強めることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、前記凹凸パターンの特徴抽出方法において、空間周波数スペクトル分布の半径方向のパワースペクトルの曲線を求め、この曲線が、特徴のない凹凸面の空間周波数スペクトルの半径方向のパワースペクトルの曲線からずれている部分を特徴部分として抽出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
本発明は、また、凹凸パターンの特徴抽出方法において、トンネル切羽や岩盤の凹凸パターンの特徴を抽出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法にある。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0006】
<イ>凹凸パターンの特徴抽出
凹凸パターンの特徴抽出は、トンネル岩盤切羽等の岩盤掘削面及び岩盤露頭などの凹凸測定対象物において、凹凸面の凹凸パターンの特徴、例えば、亀裂、脈などの性状を抽出する。そのために、先ず、凹凸面を基線に沿ってカメラなどの撮像装置で撮像して、実際の画像、即ち実画像を得る。次に、この実画像の空間周波数スペクトルをスペクトル算出手段で求める。求めた空間周波数スペクトルの特徴部分を特徴抽出手段で抽出する。これにより、特徴部分が分かるので、空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調する。次に、この強調された空間周波数スペクトルを逆変換手段で逆変換して、特徴部分を強調した画像、即ち強調画像を求める。この強調画像を用いて凹凸パターン(凹凸の距離画像)を求める。これらの操作により、特徴のない凹凸パターンは弱められ、特徴のある凹凸パターンが強調されることになる。
【0007】
凹凸パターンの特徴抽出装置は、例えば図1に示すように、スペクトル算出手段11、特徴部分抽出手段12、特徴部分強調手段13、逆変換手段14、凹凸算出手段15などを有し、全体を制御する演算処理装置1、凹凸対象物を撮像する撮像装置2、データを入力する入力装置21、データを記憶する記憶装置22、測定データや処理結果を表示する表示装置23と印刷装置24などを備えている。なお、演算処理装置1は、スペクトル算出装置、特徴部分抽出装置、特徴部分強調装置、逆変換装置、凹凸算出装置のように独立した装置から構成されていても良い。
【0008】
<ロ>凹凸対象物の撮像
凹凸対象物の撮像は、図2に示すように、凹凸測定対象物3の前面に鉛直に基線31を配置する。基線31の向きは、任意であるが、重力などの影響を少なくするために鉛直が好ましい。同一の基線上にCCDカメラなど撮像装置2を用いて、間隔を開けて、順に凹凸面の画像を複数枚撮影する。
【0009】
<ハ>空間周波数スペクトルの算出
撮像装置で写された複数枚の画像について、別々に空間周波数スペクトルをスペクトル算出手段11で求める。スペクトル算出手段11は、フーリエ変換のFFTを使用して求めることができる。各画像の空間周波数スペクトルを、図3のように、横軸を横方向の空間周波数Ωx、縦軸を縦方向の空間周波数Ωyとして求める。各軸で指定される平面上の位置は、パワースペクトルのスペクトル強度の強さを濃度で表示することができる。
【0010】
<ニ>特徴部分の抽出
算出されたパワースペクトルを特徴部分抽出手段12で処理して特徴部分を抽出する。例えば、全体の特徴を見るために、全方向に対する特徴を抽出する。そのために、図3において、円周方向にパワースペクトルの総和を取る。求めたパワースペクトルの曲線は、通常、自然界では低周波領域の強度が大きい1/f分布となる。そこで、一次関数を乗算して、低周波領域の強度を相対的に弱め、高周波領域は相対的に強める。
【0011】
パワースペクトルの特徴部分の抽出は、特徴部分の無い基準パワースペクトルと対比して求めるとよい。測定したパワースペクトルと基準パワーススペクトルを対比して、相違する個所を特徴部分とする。基準パワースペクトルとは、ランダムや自然界に存在する1/f分布のスペクトルなどがある。また、類似する多数の測定対象物に共通するパターンを取り出し、そのパワースペクトルを基準パワーススペクトルとして求めておくと良い。
【0012】
<ホ>特徴部分の強調
パワースペクトルの特徴部分が分かると、パワースペクトルの特徴部分を特徴部分強調手段13により強調処理する。特徴部分強調手段13は、例えば、空間周波数を増幅する利得フィルタを用いることができる。利得フィルタでパワースペクトルの特徴部分を相対的に強調することができる。
【0013】
<ヘ>特徴部分の逆変換
特徴部分を強調した空間周波数を逆変換手段14で逆変換して、特徴部分を強調した強調画像を得る。逆変換手段は、逆フーリエ変換のIFFTが使用できる。
【0014】
<ト>特徴部分が強調された凹凸パターンの算出
特徴部分を有する凹凸面の高低パターン(凹凸パターン、距離画像)は、強調画像から凹凸算出手段により算出する。凹凸算出装置は、例えば、マルチプルベースラインステレオ(Multiple−Baseline Stereo)法を用いる。複数の強調画像に対してマルチプルベースラインステレオ法を用いると、特徴部分が強調された凹凸パターンを算出することができる。この手法を用いると、比較的広域な面の凹凸パターンを測定することができる。
【0015】
<チ>マルチプルベースラインステレオ法
マルチプルベースラインステレオ法は、図5に示すように、同一基線31の上にある画像対において、対応点の位置の差を視差dとし、三角測量の原理に基づいて撮像装置2のレンズから凹凸対象物3までの絶対距離zを計算するものであり、その関係式は、式z=Bf/(d×γ)で示される。ここで、zはレンズから凹凸対象物までの絶対距離(mm)、dは視差(pixel)、Bは撮像装置間距離(基線長)(mm)、fはレンズの焦点距離(mm)、γは撮像素子の大きさに依存する係数(mm/pixel)である。
【0016】
同じ距離zに対して基線長Bは視差dに比例するため基線長Bが短いと視差dが小さくなり算出される距離zの精度が悪くなる。逆に、精度を高めるために、基線長Bを伸ばすと視差dも大きくなるが、測定対象である岩盤はフラクタル的特性を持ち、似た模様が繰り返されるため対応点の推定が困難な場合が多い。そこで、マルチプルベースラインステレオ法を用いる。これは共通の基準画像に対して基準線が異なる複数の画像について、各画素の視差ではなく距離zに対する評価値の関数を求め、この総和を求めることで各画像対での偽対応点による影響を軽減させて真の距離を求める。評価値には処理時間との関係上、3×3画素のテンプレートによる差分値を用いるため、真の距離での評価値の総和が最小となる。特に繰り返しパターンを含む対象物の形状測定に有効となる。
【0017】
以下に、本発明を岩盤に適用した例を説明する。
【0018】
<イ>岩盤の画像
岩盤の前面に基線を設け、同一の基線上に沿ってデジタルカメラを移動し、所定間隔毎に岩盤を撮像して、岩盤の画像を得る。カメラはデジタルカメラ(CONTAX N Digital(629万画素))を用い、カメラの設置距離は13mとして、基線は縦方向とし、カメラを基線上に移動して、岩盤を撮影した。
【0019】
<ロ>画像の空間周波数スペクトルとその特徴部分
撮影した画像に対してベクトルラディックス(Vector−Radix)FFTを用いた。全方向に対する特徴を抽出するため、円周方向にパワースペクトルの総和を取り、更に高周波成分を強調するために一次関数を乗算する。その結果を図4に示す。図4において、サンプル4(Sample4)は他のサンプルより、少しパワースペクトルの相対値が小さいが、全てのサンプルにおいて、ほぼ同様な曲線パターンを有している。この図4の曲線から、空間周波数成分1/110(lp/mm)近辺から1/3(lp/mm)にかけてパワースペクトルの相対値が大きく、増加傾向を示している。この帯域に岩盤の模様の特徴部分が含まれていることが分かる。なお、もし、画像に特徴部分が無い場合、1/fの分布のスペクトルのように、高周波の帯域ではパワースペクトルの相対値が小さい。
【0020】
<ハ>強調された凹凸パターンの作成
空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調するために、1/110(lp/mm)以上の空間周波数帯を増幅する利得フィルタを用いる。その出力を逆FFTで処理して強調画像を得る。図6は以上の処理によって作成した画像からマルチプルベースラインステレオ法で求めた凹凸パターン、即ち凹凸を表す距離画像である。凸部が白く凹部が黒く強調処理によって対応点が明確となり、より精度の高い凹凸パターンが得られている。
【0021】
広域となる岩盤の亀裂を抽出するにあたり、岩盤の空間周波数について、強調処理を施すことでマルチプルベースラインステレオ法による立体計測の精度の向上が図れた。
【0022】
<ニ>画像を用いた岩盤の亀裂及び脈の抽出について
岩盤などの画像を取り、色で亀裂及び脈などの色パターンで識別する方法と、上記の凹凸パターンを組み合わせることにより、より正確に岩盤などの亀裂及び脈を識別することが可能になる。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、次のような効果を得ることができる。
<イ>本発明は、面の凹凸の特徴を抽出する装置と方法を提供することができる。
<ロ>また、本発明は、面の凹凸の特徴を自動的に抽出する装置と方法を提供することができる。
<ハ>また、本発明は、トンネル岩盤切羽等の岩盤掘削面及び岩盤露頭などの亀裂、脈などの状態を抽出する装置と方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】凹凸パターンの特徴抽出装置のブロック図
【図2】撮像装置による凹凸測定対象物の撮像図
【図3】画像の空間周波数スペクトルの説明図
【図4】複数の画像についてパワースペクトルの円周方向の強度曲線
【図5】マルチプルベースラインステレオ法の説明図
【図6】岩盤の強調処理された凹凸パターンの図
【符号の説明】
1・・・演算処理装置
2・・・撮像装置
3・・・凹凸測定対象物
31・・基線
Claims (7)
- 凹凸面の凹凸パターンの特徴抽出装置において、
凹凸面を基線に沿って撮像する撮像装置と、
撮像した画像から空間周波数スペクトルを算出するスペクトル算出手段と、
算出した空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出する特徴部分抽出手段と、算出した空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調する特徴部分強調手段と、
特徴部分を強調した空間周波数スペクトルを逆変換する逆変換手段と、
逆変換して求めた強調画像から凹凸パターンを算出する凹凸算出手段とを備えていることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出装置。 - 請求項1に記載の凹凸パターンの特徴抽出装置において、
凹凸算出手段は、マルチプルベースラインステレオ法で行うことを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出装置。 - 凹凸面の凹凸パターンの特徴抽出方法において、
凹凸面に対して基線を設け、基線に沿って凹凸面の複数画像を撮像し、
各画像の空間周波数スペクトルを算出し、
算出した各空間周波数スペクトルから特徴部分を抽出し、
各空間周波数スペクトルの特徴部分を相対的に強調し、
強調した各空間周波数スペクトルを逆変換して、特徴部分を強調した各強調画像を作成し、
各強調画像を用いて、凹凸パターンを算出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法。 - 請求項3に記載の凹凸パターンの特徴抽出方法において、
凹凸パターンをマルチプルベースラインステレオ法で求めることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法。 - 請求項3に記載の凹凸パターンの特徴抽出方法において、
空間周波数スペクトルの半径方向のパワースペクトルの曲線を求め、高周波領域を強めることを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法。 - 請求項3に記載の凹凸パターンの特徴抽出方法において、
空間周波数スペクトル分布の半径方向のパワースペクトルの曲線を求め、この曲線が、特徴のない凹凸面の空間周波数スペクトルの半径方向のパワースペクトルの曲線からずれている部分を特徴部分として抽出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法。 - 請求項3に記載の凹凸パターンの特徴抽出方法において、
トンネル切羽や岩盤の凹凸パターンの特徴を抽出することを特徴とする、凹凸パターンの特徴抽出方法。
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2002
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