JP2004162654A - カッター付渦巻ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】揚水性能が高く、ビニールひもや長繊維質状の夾雑物等の異物に対して処理能力が高く、使用中に性能低下の恐れもない渦巻ポンプを提供する。
【解決手段】渦巻ポンプ1の羽根車3に立設する複数枚の羽根10の表面10aには駆動軸2の方向から揚水液流路出口の外周端面10bに向って滑らかなR状に形成されるカッター刃ブレード11を突設する。カッター刃ブレード11は各羽根10毎に5枚平行に立設するもので隣接するブレード11の高さは交互に高低を繰返す凹凸段差構造となっている。異物12が混在する送水液6が流れ込んだ場合、刃ブレード11の凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ摩擦とせん断荷重によって小片13に切断処理され流体と共に荷重を与えられ渦巻室7へと送られ遠心させ加圧揚水される。
【選択図】 図1
【解決手段】渦巻ポンプ1の羽根車3に立設する複数枚の羽根10の表面10aには駆動軸2の方向から揚水液流路出口の外周端面10bに向って滑らかなR状に形成されるカッター刃ブレード11を突設する。カッター刃ブレード11は各羽根10毎に5枚平行に立設するもので隣接するブレード11の高さは交互に高低を繰返す凹凸段差構造となっている。異物12が混在する送水液6が流れ込んだ場合、刃ブレード11の凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ摩擦とせん断荷重によって小片13に切断処理され流体と共に荷重を与えられ渦巻室7へと送られ遠心させ加圧揚水される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、製紙プラント・原料調成設備や工場排水設備などで配管送水液を加圧揚水する渦巻ポンプに関し、特にビニールひもや長繊維質状の夾雑物を含む異物混在液を加圧揚水すると同時に夾雑物などの異物をポンプ内にて切断し、送水液の揚水と共に異物の処理を行なうカッター付渦巻ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
送水流体中に異物が混在しうる水処理設備ならびに工場排水設備、例をあげるとするならば、図5に示すような製紙プラント・原料調成設備では、コンベア101にて雑古紙102を移送し、古紙溶解を行うパルパー103に落として溶解していた。その溶解した古紙による紙原料を送液する工程において、配管104の途中に送液移送用として横軸片吸込渦巻ポンプ105を設け、内蔵する羽根車により揚水液に荷重を加え遠心エネルギーを与えて送液の加圧揚水をしていたが、パルパー103にて古紙溶解をおこなう時点では、機器自体による溶解精度や古紙溶解液の濃度・溶解能力などの設備上の問題により、溶解しきれないビニールひもや夾雑物などの異物が送液中に含まれるという溶解不良が起こる場合が度々あった。
【0003】
ところが従来の横軸片吸込遠心渦巻ポンプは、一般に夾雑物などの異物が含まない液体を揚水移送するのに用いられてきたため、流体中にビニールひもや夾雑物などの異物が混在する送液がこの渦巻ポンプに流れ込むと、送液と共にその異物が羽根車内に流れ込み、羽根車とのからみ付きが生じたり、ポンプ内部での異物の乱舞による接液部品の素材自体に損傷をあたえるという不具合があった。
【0004】
例えば羽根車にビニールひもや夾雑物がからみ付くという不具合が生ずると、ポンプ動力回転に外力による過負荷が加わり、それに伴い回転が低下し、揚水性能の低下と最終事態では回転停止、及びモータの能力の過度によるモータの炎上、それに付属し、周辺機器・建屋に多大な災害をあたえる恐れがあった。
【0005】
又部品素材の損傷という不具合においては、キャビテーションによる気泡が素材に損傷をおよぼす壊食現象と同等なものであると捉え、送液中に混在する夾雑物などの形状が大きくなるにつれて、接液部品の素材に壊食・侵食などの重度の損傷をあたえる箇所は多くなり、その損傷個所でのポンプ内部での流体の乱流、損傷部に突起がみえるならば、異物の固着やたまりが懸念されるものであった。
【0006】
このように異物を含む液体の揚水移送に適さない従来の横軸片吸込遠心渦巻ポンプに対し、送水液の揚水と送水液に含まれる異物の処理を同時に行なうカッター付渦巻ポンプとしては、例えば特許文献1に記載されるような縦軸渦巻ポンプや、特許文献2に記載されるスクリューカッターポンプ等があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−41904号公報
【特許文献2】
特開平4−54298号公報
【0008】
この内、前記縦軸渦巻ポンプは、断面略半円状の渦巻室に内接するポンプ羽根車に回転羽根を固着し、その先端に山型刃を設けると共に、機筐の内側に固定刃を突設し、この固定刃にも回転羽根の山型刃と一定間隔をもって対峙する山型刃を設ける構造であった。
【0009】
ポンプ羽根車を回転させることによって吸込口内の流体を旋回させながら渦巻室に搬入するもので、この時流体中の水よりも比重の大きい固形物は、旋回運動によって生ずる遠心力で渦巻室下方の機筐内面方向に移送され、前記固形物は回転及び固定双方の山型刃との間隙を通る構造で、このような従来の縦軸渦巻ポンプは、水よりも重い固形物を切断することを目的としていた。
【0010】
又、前記スクリューカッターポンプは、下部に流体の吸込口と上部に流体の吐出口を有する筐体内に、流体の吸込み作用を行うスクリュー羽根の回転軸を支承し、そのスクリュー羽根の上下端縁に回転羽根刃を備えると共に、これら回転羽根刃に対向する固定刃を設ける構成であって、スクリュー羽根を回転させると吸込口から流体が吸込まれ、流体中の夾雑物は先ず下部の固定刃と回転羽根刃に挟み込まれて切断され、更に上部の固定刃と回転羽根刃とにより細かく切断されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の縦軸渦巻ポンプは、ポンプ内に流体が送水され羽根車の羽根にて流体が荷重を受け、遠心エネルギーとして渦巻室へ送られ、遠心させて揚水するという、ポンプ内部での流体の流れ工程の中では、羽根車の羽根が流体におよぼす圧力荷重ならびに遠心エネルギーが強く、固形物・夾雑物は遠心エネルギーを与えられた流体ごと渦巻室に送られ、通常の遠心渦巻ポンプの揚水性能と類似した性能は達成されるものと考えられるが、山型刃の間隙を使用しての異物処理能力はビニールひもや長繊維質状の夾雑物に対して十分なものではなく、また水よりも軽い固形物は切断し難かった。更にケーシング内にある固定山型刃の側壁によって、流体液中に含まれる異物のたまりの蓄積により性能が低下する恐れもあった。
【0012】
又、従来のスクリューカッターポンプは、羽根車をスクリュー構造とし、軸流ポンプに似た形式となっており、スクリュー羽根に備えた回転刃によって流体中に混在する夾雑物の切断効果は得られたが、通常の遠心渦巻きポンプの揚水性能とはかけ離れて低いものであった。
【0013】
この発明は、従来の渦巻きポンプが有する上記問題点を解消すべくなされたものであり、揚水性能が高く、しかもビニールひもや長繊維質状の夾雑物等の異物に対してその処理能力が高く、使用中に性能低下の恐れもない渦巻きポンプを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明の渦巻ポンプは、揚水液に荷重を加え遠心エネルギーを与える羽根車の各羽根の表面に軸方向から外周端面に向って円弧状に高さが漸増するカッター刃ブレードを突設すると共に、このカッター刃ブレードは、各羽根毎に複数枚平行に立設する構成であって、隣接するブレードの高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造であることを特徴とするものである。
【0015】
この渦巻ポンプは、通常の遠心渦巻ポンプと同様の揚液仕様にて揚水性能を達成できることを前提とするもので、耐力性に優れた高さの異なる複数枚の刃ブレードを羽根車の各羽根に溶着する。例えば5枚の刃ブレードを立設する場合には、2段目・4段目の刃ブレードを低くして凹凸段差を設ける。
【0016】
ビニールひもや夾雑物等の異物が混在する送水液はポンプ内部へ流れ込み、分散されて羽根入口より羽根車に流入する。羽根車を通る送水液は、流れの相対速度にそって流れ、羽根車が回転することによって円周速度が発生し、羽根表面にそって荷重が加わる。
【0017】
この時、高位置の刃ブレード、即ち1段目・3段目・5段目の刃によって生ずるせん断圧力荷重と、低位置の刃ブレード、即ち2段目・4段目の刃によって生ずるせん断圧力荷重は異なるものとなり、異物に対し凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ、面長流れによる刃ブレードと異物との摩擦及び発生するせん断荷重によって、異物を接液部品の素材に損傷をあたえることのない形状に切断処理した後、流体と共に荷重をあたえ、渦巻室へと送り遠心させ加圧揚水排出する。
【0018】
【発明の実施の形態】
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は横軸片吸込遠心渦巻ポンプにおける渦巻室の配管方向断面図、図2は図1のII−II断面を示す断面図である。渦巻ポンプ1は、図示しないモータに直結する駆動軸2に取り付けた羽根車3の回転によって、ケーシング4の前面に接続する吸込口5から送水液6を吸込み、渦巻室7内で遠心エネルギーを与え、吐出口8から図示しない配管に送り出している。
【0019】
羽根車3は、駆動軸2に取り付ける板材9と、この板材前面に立設する複数枚の羽根10からなる。各羽根10は図2に示すように渦形に湾曲されており、その表面10aに駆動軸2の方向から揚水液流路出口の外周端面10bに向って、円弧状に高さが漸増し滑らかなR状に形成されるカッター刃ブレード11を突設する。このカッター刃ブレード11は、図1に示すように各羽根10毎に5枚平行に立設するもので、隣接するブレード11の高さは交互に高低を繰返す凹凸段差構造となっている。
【0020】
カッター刃ブレードの詳細を図3に示す。図3はカッター刃ブレードを取り付ける羽根の断面図である。第1段目、第3段目及び第5段目のカッター刃ブレード11a,11c,11eの刃先先端は高位置とし、第2段目及び第4段目のカッター刃ブレード11b,11dのそれは低位置とする。各刃ブレード11は耐力性に優れた素材を選択し、鋳抜き箇所を設けた羽根10に刃ブレード11をはめ込み、羽根10の表側面10aは開先溶接、裏面10cは隅肉溶接とし、その後肉盛り溶接にてその箇所を閉鎖して溶接強度を増加させ、両面ともに各刃ブレード施工箇所の羽根曲線R治具にあわせ溶接面を正規の羽根曲線になるごとく、滑らかな研磨仕上げとする。
【0021】
図1に示すように、渦巻ポンプ1において、ビニールひも・夾雑物などの異物12が混在する送水液6がポンプ内部へと流れ込んだ場合、羽根車3の各羽根10によって分散され、5枚の刃ブレード11によって、接液部品の素材に損傷をあたえることのない形状の小片13にまで切断処理され、流体と共に荷重を与えられ、渦巻室7へと送られ、遠心させ加圧揚水される。
【0022】
この切断処理の作用を図4に基づき説明する。図4は刃ブレード付羽根車のモーメンタム理論図である。羽根車3を通る流れのいくつかの分速度の関係は、速度ベクトル(速度三角形)を使って表される。速度三角形は、羽根車を通る流れの径路上のどこにでも描くことができる。ここで羽根車3に対しての流れの速度を相対速度ω(m/s)といい、ポンプケーシングに対しての速度を絶対速度ν(m/s)という。又、羽根車3上の任意の点は、回転の軸芯に対しての一つの円を描いており、次のような円周速度を持っている。
υ=πDn/60 (m/s)
【0023】
図4には羽根車3における入口端のそれぞれの速度(ω1,ν1,υ1)と出口端のそれぞれの速度(ω2,ν2,υ2)を示す。羽根車3を通る流体は、流れの相対速度ωにそって流れ、羽根車3が回転することによって円周速度υが発生し、羽根10の表面10aにそって荷重Fが加わり、流れの絶対速度νとなり、渦巻室に送られ遠心されて揚水される。
【0024】
図4におけるAは羽根車3内での流体と認識してもよい。図3に示すように羽根表面10aには、刃先高位置の刃ブレード11a,11c,11eと、刃先低位置の刃ブレード11b,11dが交互に配設されており、隣接する刃ブレード11のせん断圧力荷重は異なるものとなり、進入した異物に対し凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ、面長流れBによる刃ブレード11と異物との摩擦とせん断荷重によって異物の切断処理を行う。
【0025】
なおこの実施形態における渦巻きポンプ1は、各羽根10毎に高さが交互に高低を繰返す5枚のカッター刃ブレード11で異物の切断処理を行うものであるが、この枚数は5枚に限定されるものではなく隣接する刃ブレード11の高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造となるものであれば枚数は任意である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の渦巻きポンプは、羽根車の各羽根の表面に高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造のカッター刃ブレードを突設するので異物に接触する隣接刃ブレードのせん断圧力荷重は異なるものとなり、凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ、面長流れによる刃ブレードと異物との摩擦とせん断荷重によって異物の切断処理を行うことができる。これにより荷重を受けた揚液と刃ブレードによって接液部品の素材に重度の損傷を与えることのない大きさ形状に切断された異物が渦巻室に送られ、遠心させて加圧揚水することができる。従ってビニールひも・夾雑物などの異物が羽根車へとからみ付くことはなくなり、ポンプ回転に過度の過負荷をあたえることもなく、正常な回転にて長期におけるポンプ連続運転が可能となる。又、周辺機器や建屋におよぼす災害の懸念を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸片吸込遠心渦巻ポンプにおける渦巻室の配管方向断面図である。
【図2】図1のII−II断面を示す断面図である。
【図3】カッター刃ブレードを取り付ける羽根の断面図である。
【図4】刃ブレード付羽根車のモーメンタム理論図である。
【図5】製紙プラント・原料調成設備の概略説明図である。
【符号の説明】
1 渦巻ポンプ
2 駆動軸
3 羽根車
6 送水液
7 渦巻室
10 羽根
10a 表面
10b 外周端面
11 カッター刃ブレード
12 異物
13 小片
【発明の属する技術分野】
この発明は、製紙プラント・原料調成設備や工場排水設備などで配管送水液を加圧揚水する渦巻ポンプに関し、特にビニールひもや長繊維質状の夾雑物を含む異物混在液を加圧揚水すると同時に夾雑物などの異物をポンプ内にて切断し、送水液の揚水と共に異物の処理を行なうカッター付渦巻ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
送水流体中に異物が混在しうる水処理設備ならびに工場排水設備、例をあげるとするならば、図5に示すような製紙プラント・原料調成設備では、コンベア101にて雑古紙102を移送し、古紙溶解を行うパルパー103に落として溶解していた。その溶解した古紙による紙原料を送液する工程において、配管104の途中に送液移送用として横軸片吸込渦巻ポンプ105を設け、内蔵する羽根車により揚水液に荷重を加え遠心エネルギーを与えて送液の加圧揚水をしていたが、パルパー103にて古紙溶解をおこなう時点では、機器自体による溶解精度や古紙溶解液の濃度・溶解能力などの設備上の問題により、溶解しきれないビニールひもや夾雑物などの異物が送液中に含まれるという溶解不良が起こる場合が度々あった。
【0003】
ところが従来の横軸片吸込遠心渦巻ポンプは、一般に夾雑物などの異物が含まない液体を揚水移送するのに用いられてきたため、流体中にビニールひもや夾雑物などの異物が混在する送液がこの渦巻ポンプに流れ込むと、送液と共にその異物が羽根車内に流れ込み、羽根車とのからみ付きが生じたり、ポンプ内部での異物の乱舞による接液部品の素材自体に損傷をあたえるという不具合があった。
【0004】
例えば羽根車にビニールひもや夾雑物がからみ付くという不具合が生ずると、ポンプ動力回転に外力による過負荷が加わり、それに伴い回転が低下し、揚水性能の低下と最終事態では回転停止、及びモータの能力の過度によるモータの炎上、それに付属し、周辺機器・建屋に多大な災害をあたえる恐れがあった。
【0005】
又部品素材の損傷という不具合においては、キャビテーションによる気泡が素材に損傷をおよぼす壊食現象と同等なものであると捉え、送液中に混在する夾雑物などの形状が大きくなるにつれて、接液部品の素材に壊食・侵食などの重度の損傷をあたえる箇所は多くなり、その損傷個所でのポンプ内部での流体の乱流、損傷部に突起がみえるならば、異物の固着やたまりが懸念されるものであった。
【0006】
このように異物を含む液体の揚水移送に適さない従来の横軸片吸込遠心渦巻ポンプに対し、送水液の揚水と送水液に含まれる異物の処理を同時に行なうカッター付渦巻ポンプとしては、例えば特許文献1に記載されるような縦軸渦巻ポンプや、特許文献2に記載されるスクリューカッターポンプ等があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭52−41904号公報
【特許文献2】
特開平4−54298号公報
【0008】
この内、前記縦軸渦巻ポンプは、断面略半円状の渦巻室に内接するポンプ羽根車に回転羽根を固着し、その先端に山型刃を設けると共に、機筐の内側に固定刃を突設し、この固定刃にも回転羽根の山型刃と一定間隔をもって対峙する山型刃を設ける構造であった。
【0009】
ポンプ羽根車を回転させることによって吸込口内の流体を旋回させながら渦巻室に搬入するもので、この時流体中の水よりも比重の大きい固形物は、旋回運動によって生ずる遠心力で渦巻室下方の機筐内面方向に移送され、前記固形物は回転及び固定双方の山型刃との間隙を通る構造で、このような従来の縦軸渦巻ポンプは、水よりも重い固形物を切断することを目的としていた。
【0010】
又、前記スクリューカッターポンプは、下部に流体の吸込口と上部に流体の吐出口を有する筐体内に、流体の吸込み作用を行うスクリュー羽根の回転軸を支承し、そのスクリュー羽根の上下端縁に回転羽根刃を備えると共に、これら回転羽根刃に対向する固定刃を設ける構成であって、スクリュー羽根を回転させると吸込口から流体が吸込まれ、流体中の夾雑物は先ず下部の固定刃と回転羽根刃に挟み込まれて切断され、更に上部の固定刃と回転羽根刃とにより細かく切断されていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の縦軸渦巻ポンプは、ポンプ内に流体が送水され羽根車の羽根にて流体が荷重を受け、遠心エネルギーとして渦巻室へ送られ、遠心させて揚水するという、ポンプ内部での流体の流れ工程の中では、羽根車の羽根が流体におよぼす圧力荷重ならびに遠心エネルギーが強く、固形物・夾雑物は遠心エネルギーを与えられた流体ごと渦巻室に送られ、通常の遠心渦巻ポンプの揚水性能と類似した性能は達成されるものと考えられるが、山型刃の間隙を使用しての異物処理能力はビニールひもや長繊維質状の夾雑物に対して十分なものではなく、また水よりも軽い固形物は切断し難かった。更にケーシング内にある固定山型刃の側壁によって、流体液中に含まれる異物のたまりの蓄積により性能が低下する恐れもあった。
【0012】
又、従来のスクリューカッターポンプは、羽根車をスクリュー構造とし、軸流ポンプに似た形式となっており、スクリュー羽根に備えた回転刃によって流体中に混在する夾雑物の切断効果は得られたが、通常の遠心渦巻きポンプの揚水性能とはかけ離れて低いものであった。
【0013】
この発明は、従来の渦巻きポンプが有する上記問題点を解消すべくなされたものであり、揚水性能が高く、しかもビニールひもや長繊維質状の夾雑物等の異物に対してその処理能力が高く、使用中に性能低下の恐れもない渦巻きポンプを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、この発明の渦巻ポンプは、揚水液に荷重を加え遠心エネルギーを与える羽根車の各羽根の表面に軸方向から外周端面に向って円弧状に高さが漸増するカッター刃ブレードを突設すると共に、このカッター刃ブレードは、各羽根毎に複数枚平行に立設する構成であって、隣接するブレードの高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造であることを特徴とするものである。
【0015】
この渦巻ポンプは、通常の遠心渦巻ポンプと同様の揚液仕様にて揚水性能を達成できることを前提とするもので、耐力性に優れた高さの異なる複数枚の刃ブレードを羽根車の各羽根に溶着する。例えば5枚の刃ブレードを立設する場合には、2段目・4段目の刃ブレードを低くして凹凸段差を設ける。
【0016】
ビニールひもや夾雑物等の異物が混在する送水液はポンプ内部へ流れ込み、分散されて羽根入口より羽根車に流入する。羽根車を通る送水液は、流れの相対速度にそって流れ、羽根車が回転することによって円周速度が発生し、羽根表面にそって荷重が加わる。
【0017】
この時、高位置の刃ブレード、即ち1段目・3段目・5段目の刃によって生ずるせん断圧力荷重と、低位置の刃ブレード、即ち2段目・4段目の刃によって生ずるせん断圧力荷重は異なるものとなり、異物に対し凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ、面長流れによる刃ブレードと異物との摩擦及び発生するせん断荷重によって、異物を接液部品の素材に損傷をあたえることのない形状に切断処理した後、流体と共に荷重をあたえ、渦巻室へと送り遠心させ加圧揚水排出する。
【0018】
【発明の実施の形態】
次にこの発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。図1は横軸片吸込遠心渦巻ポンプにおける渦巻室の配管方向断面図、図2は図1のII−II断面を示す断面図である。渦巻ポンプ1は、図示しないモータに直結する駆動軸2に取り付けた羽根車3の回転によって、ケーシング4の前面に接続する吸込口5から送水液6を吸込み、渦巻室7内で遠心エネルギーを与え、吐出口8から図示しない配管に送り出している。
【0019】
羽根車3は、駆動軸2に取り付ける板材9と、この板材前面に立設する複数枚の羽根10からなる。各羽根10は図2に示すように渦形に湾曲されており、その表面10aに駆動軸2の方向から揚水液流路出口の外周端面10bに向って、円弧状に高さが漸増し滑らかなR状に形成されるカッター刃ブレード11を突設する。このカッター刃ブレード11は、図1に示すように各羽根10毎に5枚平行に立設するもので、隣接するブレード11の高さは交互に高低を繰返す凹凸段差構造となっている。
【0020】
カッター刃ブレードの詳細を図3に示す。図3はカッター刃ブレードを取り付ける羽根の断面図である。第1段目、第3段目及び第5段目のカッター刃ブレード11a,11c,11eの刃先先端は高位置とし、第2段目及び第4段目のカッター刃ブレード11b,11dのそれは低位置とする。各刃ブレード11は耐力性に優れた素材を選択し、鋳抜き箇所を設けた羽根10に刃ブレード11をはめ込み、羽根10の表側面10aは開先溶接、裏面10cは隅肉溶接とし、その後肉盛り溶接にてその箇所を閉鎖して溶接強度を増加させ、両面ともに各刃ブレード施工箇所の羽根曲線R治具にあわせ溶接面を正規の羽根曲線になるごとく、滑らかな研磨仕上げとする。
【0021】
図1に示すように、渦巻ポンプ1において、ビニールひも・夾雑物などの異物12が混在する送水液6がポンプ内部へと流れ込んだ場合、羽根車3の各羽根10によって分散され、5枚の刃ブレード11によって、接液部品の素材に損傷をあたえることのない形状の小片13にまで切断処理され、流体と共に荷重を与えられ、渦巻室7へと送られ、遠心させ加圧揚水される。
【0022】
この切断処理の作用を図4に基づき説明する。図4は刃ブレード付羽根車のモーメンタム理論図である。羽根車3を通る流れのいくつかの分速度の関係は、速度ベクトル(速度三角形)を使って表される。速度三角形は、羽根車を通る流れの径路上のどこにでも描くことができる。ここで羽根車3に対しての流れの速度を相対速度ω(m/s)といい、ポンプケーシングに対しての速度を絶対速度ν(m/s)という。又、羽根車3上の任意の点は、回転の軸芯に対しての一つの円を描いており、次のような円周速度を持っている。
υ=πDn/60 (m/s)
【0023】
図4には羽根車3における入口端のそれぞれの速度(ω1,ν1,υ1)と出口端のそれぞれの速度(ω2,ν2,υ2)を示す。羽根車3を通る流体は、流れの相対速度ωにそって流れ、羽根車3が回転することによって円周速度υが発生し、羽根10の表面10aにそって荷重Fが加わり、流れの絶対速度νとなり、渦巻室に送られ遠心されて揚水される。
【0024】
図4におけるAは羽根車3内での流体と認識してもよい。図3に示すように羽根表面10aには、刃先高位置の刃ブレード11a,11c,11eと、刃先低位置の刃ブレード11b,11dが交互に配設されており、隣接する刃ブレード11のせん断圧力荷重は異なるものとなり、進入した異物に対し凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ、面長流れBによる刃ブレード11と異物との摩擦とせん断荷重によって異物の切断処理を行う。
【0025】
なおこの実施形態における渦巻きポンプ1は、各羽根10毎に高さが交互に高低を繰返す5枚のカッター刃ブレード11で異物の切断処理を行うものであるが、この枚数は5枚に限定されるものではなく隣接する刃ブレード11の高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造となるものであれば枚数は任意である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の渦巻きポンプは、羽根車の各羽根の表面に高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造のカッター刃ブレードを突設するので異物に接触する隣接刃ブレードのせん断圧力荷重は異なるものとなり、凹凸段差の2段接触によって脈動をもたせ、面長流れによる刃ブレードと異物との摩擦とせん断荷重によって異物の切断処理を行うことができる。これにより荷重を受けた揚液と刃ブレードによって接液部品の素材に重度の損傷を与えることのない大きさ形状に切断された異物が渦巻室に送られ、遠心させて加圧揚水することができる。従ってビニールひも・夾雑物などの異物が羽根車へとからみ付くことはなくなり、ポンプ回転に過度の過負荷をあたえることもなく、正常な回転にて長期におけるポンプ連続運転が可能となる。又、周辺機器や建屋におよぼす災害の懸念を取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸片吸込遠心渦巻ポンプにおける渦巻室の配管方向断面図である。
【図2】図1のII−II断面を示す断面図である。
【図3】カッター刃ブレードを取り付ける羽根の断面図である。
【図4】刃ブレード付羽根車のモーメンタム理論図である。
【図5】製紙プラント・原料調成設備の概略説明図である。
【符号の説明】
1 渦巻ポンプ
2 駆動軸
3 羽根車
6 送水液
7 渦巻室
10 羽根
10a 表面
10b 外周端面
11 カッター刃ブレード
12 異物
13 小片
Claims (1)
- 揚水液に荷重を加え遠心エネルギーを与える羽根車の各羽根の表面に軸方向から外周端面に向って円弧状に高さが漸増するカッター刃ブレードを突設すると共に、このカッター刃ブレードは、各羽根毎に複数枚平行に立設する構成であって、隣接するブレードの高さが交互に高低を繰返す凹凸段差構造であることを特徴とするカッター付渦巻ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002331503A JP2004162654A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | カッター付渦巻ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002331503A JP2004162654A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | カッター付渦巻ポンプ |
Publications (1)
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JP2004162654A true JP2004162654A (ja) | 2004-06-10 |
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ID=32808846
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002331503A Ceased JP2004162654A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | カッター付渦巻ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004162654A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012077413A (ja) * | 2010-10-01 | 2012-04-19 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 古紙パルプ生産設備における粕取り装置 |
KR101151386B1 (ko) | 2008-11-27 | 2012-06-08 | 유은영 | 파쇄펌프 |
JP2012515070A (ja) * | 2009-01-13 | 2012-07-05 | バイオガソル・イピエァ・エピエス | 有機材料の切断、浸漬、および/または洗浄などの処理 |
JP2013180246A (ja) * | 2012-03-02 | 2013-09-12 | Nippon Paper Industries Co Ltd | 配管内の異物除去装置 |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002331503A patent/JP2004162654A/ja not_active Ceased
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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