JP2004162203A - Modified carbon nanofiber, resin composition comprising the same and coating - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーで変性されたカーボンナノ繊維と、そのカーボンナノ繊維を含む樹脂組成物及び塗料に関する。
【0002】
【技術背景】
近年、中空体のカーボンナノチューブ、あるいは中空体ではないカーボンナノ繊維(本発明では、これらを纏めてカーボンナノ繊維と記す)は、その特異な性質、すなわち微細な繊維であること、アスペクト比が大きい(概ね、直径1〜200nmに対し、長さが10〜10000倍程度)こと、優れた導電特性を有すること等に着目され、各種の分野で様々な使用がなされている。
例えば、そのまま寄り合わせて電気・電子機器類のリード線として、集合させて水素吸収材料や不純物等の吸着・濾過材料として、合成樹脂に混合して優れた導電特性を有する合成樹脂等として、あるいはナノテクノロジーの分野において種々の用途が開発されている。
【0003】
ところで、カーボンナノ繊維は、アスペクト比が大きい微細な繊維であることから、一般には、カーボンナノ繊維同士が適宜に集合し、カーボンナノ繊維の塊が生じてしまい、所望の状態での寄り合わせ、集合、合成樹脂等への混合等が極めて困難な材料である。
【0004】
このような問題を解決するための研究が従来から多数なされており、例えば、無機多孔質体に金属活性成分を担時させた触媒を用いる気相法で得られるカーボンナノチューブにおいては、カーボンナノチューブ単独でも合成樹脂等との相溶性が良いとされており、これはカーボンナノチューブ表面の原子レベルでの凹凸によるアンカー効果によるものであるとされている。
また、カーボンナノチューブ表面を化学修飾する方法(例えば、特表2002−503204号)についての研究もあり、これらの化学的な修飾によっても、合成樹脂、溶剤、水との相溶性が向上すると報告されている。
【0005】
但し、上記の気相法によるカーボンナノチューブの場合も、表面を化学修飾したカーボンナノチューブの場合も、溶剤等への分散直後には良好な分散状態を示すものの、数時間経過すると溶剤と分離し沈降してしまう。
また、これらのカーボンナノチューブを合成樹脂に混練すると、一見均一に分散しているが、これをフィルム化したり、発泡すると、明白な分散ムラが生じ、カーボンナノチューブ混練による特性(帯電防止性、導電性、電波シールド性等)を良好に得ることができない。
【0006】
更に、特許2886935号公報では、直径が3.5〜70nm、長さが直径の5倍以上の極細炭素フィブリル(多層カーボンナノチューブ)の製造方法が提案されており、この公報では、極細炭素フィブリルの存在下で有機重合性単量体(重合性の2重結合を有する)を通常のラジカル重合(塊状、溶液、乳化、懸濁)させることで、成長ラジカルの一部が連鎖移動し、極細炭素フィブリルの表面に付加する旨が記載されている。
しかし、カーボンナノチューブは、一般には、両端の一部を除いて、表面は炭素原子が規則的に結合した一種のグラファイト構造であるため、通常のラジカル重合では、成長ラジカルがカーボンナノチューブに捕捉されてしまい、グラフトポリマーを成長させることが難しい。
【0007】
カーボンナノチューブ表面にポリマーをグラフト重合させるには、1)カーボンナノチューブの存在下で重合開始剤を用いてビニルモノマーの重合を行う方法、2)カーボンナノチューブ表面に導入した重合開始剤基からグラフト重合を開始する方法、3)カーボンナノチューブ表面に導入した官能基とポリマーとの高分子反応による方法、が考えられる。
【0008】
しかし、1)の方法では、開始剤ラジカルがカーボンナノチューブ表面に優先的に付加してしまうため、カーボンナノチューブ表面に低分子の開始剤切片が結合することはあっても、ポリマーがグラフト重合する可能性は極めて低く、一部がグラフト重合するとしても、グラフト重合率は極めて低い。
従って、上記の特許2886935号公報においては、成長ラジカルの一部が連鎖移動して極細炭素フィブリルの表面に付加すると言うよりは、ポリマーが、その重合の途上で、極細多層カーボンナノチューブ表面に強固に物理吸着されていると考えるのが妥当である。
【0009】
2)の方法は、カーボンナノチューブ表面に、カルボキシル基、フェノール性ヒドロキシル基、あるいはアゾ基を持つエステル、ペルオキシエステル、あるいはカルボン酸カリウム塩等を表面に化学的に導入し、そこを基点として重合を行う方法であるが、本来、これらの基が存在しないカーボンナノチューブ表面、特に化学的に安定なカーボンナノチューブの長手方向表面に、これらを導入することは極めて難しいため、ポリマーをグラフト重合させることができる位置がグラファイト構造の端部だけとなり、ポリマーのグラフト率を高くすることができない。
また、カーボンナノチューブの末端部(両端部)ではグラファイト構造が一部乱れており、この乱れ部分にこれらの基が導入される可能性もあるが、アスペクト比の高いカーボンナノチューブの末端部(両端部)では、導入される基の量が極めて少なく、従って、グラフト重合できるポリマーの量も限られたものとなる。
【0010】
3)の方法では、構造や分子量が明確なポリマーをグラフト重合できるという利点はあるが、ポリマーの末端を捉えるために、何らかの反応性基の導入が必須となり、上記2)の場合と同様の問題がある。
【0011】
僅かなポリマーであっても、ポリマーが付加された状態(多くは吸着された状態と推定される)の多層カーボンナノチューブは、未処理の多層カーボンナノチューブに比べて、見掛けの分散性は向上するものの、溶剤や水中での長期間に渡る分散安定性は得られず、またポリマーに分散させた場合であっても、薄いフィルムに成形したり、あるいは発泡させた場合においては、明らかに分散不良を来すことが確認されている。
【特許文献1】特表2002−503204号
【特許文献2】特許2886935号
【0012】
【発明の目的】
本発明は、多層、単層、中空体、非中空体、その他各種のカーボンナノ繊維であって、その両末端のみならず、長手方向の表面側にも、重合体が良好にグラフト重合されていて、溶剤、水、合成樹脂への長期に渡って安定した良好な分散状態を確保することができると共に、分子量や構造が既知の重合体を高いグラフト重合率でグラフト重合されている該カーボンナノ繊維と、このカーボンナノ繊維を含む樹脂組成物や塗料を提供することを目的とする。
【0013】
【発明の概要】
本発明者は上記目的を、長手方向表面に官能基が存在しないカーボンナノ繊維について達成するために検討を重ねた結果、カーボンナノ繊維の長手方向表面のラジカル捕捉性を利用すれば、各種のポリマーラジカルが結合できることを見い出した。
すなわち、本来、カーボンナノ繊維の長手方向表面には、化学反応の基点となるような官能基は存在しないが、ラジカル捕捉性を有している。このラジカル捕捉性に着目し、ポリマーラジカルがカーボンナノ繊維の長手方向表面にグラフト重合できるかを検討した。この結果、特定のポリマーラジカルであれば、高いグラフト重合率でグラフト重合できるとの結論に達した。
【0014】
本発明は、上記の結論に基づいてなされたもので、アゾ基又は/及びペルオキシ基を有するポリマーをラジカル分解させ、該ラジカル分解したポリマーを、カーボンナノ繊維のグラフェンシート表面に結合させることによって得られる変性カーボンナノ繊維を要旨とする。
また、本発明は、この変性カーボンナノ繊維が、樹脂中に分散されている樹脂組成物と、該変性カーボンナノ繊維に結合させたポリマーのSP値と溶媒のSP値の差が1以下である溶媒に分散されている塗料(すなわち該変性カーボンナノ繊維と溶媒のエマルジョン状態のもの)を要旨とする。
【0015】
本発明で使用するカーボンナノ繊維は、直径3.5〜150nm、アクセプト比100〜10000程度のものが好ましく、前述のように、中空体(いわゆる、カーボンナノチューブ)であってもよいし、非中空体であってもよく、また中空体は、単層のものであってもよいし、多層のものであってもよく、更にはコーン型のカーボンナノホーンと称されるものや、カップ型が多層に積層されたものとされるカップ積層型と称されるもの等であってよい。
また、ここでいう、カーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維は、両末端がエンドキャップであるもの、片方がエンドキャップで片方がオープンエンドであるもの、両方がオープンエンドであるものを含む。
【0016】
上記のカーボンナノ繊維にポリマーを(共有)結合させるために、本発明では、主鎖又は側鎖にアゾ基を持つアゾポリマーが分解されたポリマーラジカルや、主鎖又は側鎖にペルオキシ基を持つペルオキシポリマーがラジカル分解されたポリマーラジカルが用いられる。
これらのポリマーラジカルによれば、予め分子ふるい等の方法で精製し分子量や重合度等を揃えたポリマーに、アゾ基やペルオキシ基を導入し、ラジカル分解することによって得ることができるため、本発明では、分子量や重合度等のばらつきの少ないポリマーを結合した変性カーボンナノ繊維を得ることができるというメリットがある。
【0017】
ポリマーにペルオキシ基やアゾ基を導入させる方法としては、種々の方法があり、特に限定されない。
ペルオキシ基やアゾ基を有するポリマーは、例えば、ポリマーとペルオキシ基やアゾ基を有する分子と結合させたり、ポリマー末端の水酸基やカルボキシル基をペルオキシ基に変換したり、アミノ基やヒドラジル基等をアゾ基に変換することによって得ることができる。
【0018】
ペルオキシ基を有する分子としては、例えば、下に示すような単量体や二量体化合物が挙げられる。
Polymer−COOOX
(ただし、Xは水素、金属原子、炭化水素基等の結合可能な置換基)
Polymer−COOOOC−Polymer’
(ただし、PolymerとPolymer’は同一のポリマーでも異なるポリマーでもよい)
【0019】
アゾ基を有する分子としては、例えば、下に示すような単量体や二量体化合物が挙げられる。
Polymer−N=N
Polymer−N=N−Polymer’
(ただし、PolymerとPolymer’は同一のポリマーでも異なるポリマーでもよい)
【0020】
また、上記のポリマーは、モノマーが3つ以上結合したものであり、ポリマー部分の重合度は、5〜100程度が好ましい。重合度が高すぎると、樹脂中での変性カーボンナノ繊維の分散性が低下する場合があり、低すぎると、ポリマーを結合させていない未変性カーボンナノ繊維に比べて、樹脂や溶剤中での分散性等の性能の向上があまり見られない場合がある。
【0021】
そして、グラフトに供されるポリマーの分子量も相溶性に大きく関わり、一般に、他の樹脂との相溶性を向上させるためには、あるいは溶剤中での分散性を向上させるためには、グラフトさせるポリマーの分子量は比較的小さいものが優位な傾向にある。
本発明におけるペルオキシポリマーやアゾポリマーのポリマー部分の分子量は、特に限定しないが、分子量が大きすぎると、ラジカル分解反応時やカーボンナノ繊維への付加反応時のエネルギー源として熱を使用する場合に、これらの反応が生じ難くなり、小さすぎると、カーボンナノ繊維の溶剤や水等の溶媒への分散性、あるいは樹脂との相溶性を十分に改善できないため、一般には、500〜25000程度とすることが好ましい。
【0022】
これらのペルオキシポリマーやアゾポリマーのポリマーラジカルにおけるラジカル原子は、酸素ラジカル(化1に示す・O−CO〜〜〜〜〜)や、窒素ラジカル(化1に示す・N−C〜〜〜〜〜)であり、本発明では、これらの窒素ラジカルや酸素ラジカルを利用して、これらのポリマーラジカルをカーボンナノ繊維の長手方向表面に捕捉させ、共有結合させるものである。
このときの反応機構を模式的に示すと次のようになる。なお、化1におけるCNFはカーボンナノ繊維を示す。
【0023】
【化1】
1)ペルオキシポリマーの場合:
2)アゾポリマーの場合:
【0024】上記各ポリマーのラジカル分解反応を生起させる場合のエネルギー源としては、種々のものがあり、例えば、熱、光等が挙げられる。
本発明では、これらのどのエネルギー源を使用してもよいが、カーボンナノ繊維の存在下で上記のようなポリマーのラジカル分解反応、付加反応を生起させるため、光をエネルギー源とする場合は、カーボンナノ繊維の吸収により、ラジカル分解反応の対象であるポリマーへの到達が困難となることがある。よって、本発明では、実用の面から、熱をエネルギー源とすることが好ましい。
【0025】
このとき、溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)等が使用でき、該溶媒中に投入するアゾ基を有するポリマー(以下「アゾポリマー」という)やペルオキシ基を有するポリマー(以下「ペルオキシポリマー」という)の濃度は、高すぎれば上記のラジカル分解反応が生起し難くなり、延いてはカーボンナノ繊維への付加反応も生起し難くなり、低すぎれば生産効率が低下するため、10〜30重量%程度が適している。
また、反応溶媒中のカーボンナノ繊維の濃度も、高すぎれば上記のラジカル分解反応を阻害し、延いてはカーボンナノ繊維への付加反応をも阻害し、低すぎれば生産効率が低下するため、10〜30重量%程度が適している。
【0026】
本発明におけるグラフト重合率は、1〜200%であることが、上記の本発明の目的を達成する上で好ましい。
なお、このグラフト重合率は、次のようにして求められる。
【0027】
重合体がグラフト重合した変性カーボンナノ繊維は、当該重合体の良溶媒中で長期間に渡って良好な分散安定性を示す。また、遠心分離等の操作を行っても変性カーボンナノ繊維が沈降することもない。
そこで、本発明者は、この点に着目して、変性カーボンナノ繊維の分離手法を追求した。
この結果、次のような手法にて変性カーボンナノ繊維が分離できることを見い出した。
【0028】
先ず、変性カーボンナノ繊維を、該繊維を良好に分散する良溶媒中に分散し、ここにアゾポリマーやペルオキシポリマー(以下、これらをホモポリマーと呼ぶ)と、該繊維を良好に分散しない貧溶媒とを加える。すると、変性カーボンナノ繊維とホモポリマーの混合物が凝集沈降する。凝集沈降した変性カーボンナノ繊維とホモポリマーの混合物を取り出し、所定の温度で所定の時間加熱乾燥する。次に、この乾燥物に再び良溶媒を加える。すると、ホモポリマーは良溶媒に良く分散するが、変性カーボンナノ繊維は分散性が低下しており、良好な分散は不可能となる。
そこで、これを、所定の条件(グラフトしている重合体がペルオキシポリマーの場合は50,000回転で1時間)で遠心分離を行えば、変性カーボンナノ繊維が沈降し、ホモポリマーと分離することができる。
【0029】
そして、遠心分離後の沈殿物を精製するには、この沈殿物を加熱乾燥し、当該重合体の良溶媒中でソックスレー抽出を所定の時間行えばよいとの結論を得た。
【0030】
従って、本発明において、グラフト重合率を測定するには、先ず、重合体をグラフト重合させた変性カーボンナノ繊維を加熱乾燥後に当該重合体の良溶媒中に分散させ、遠心分離し、次いで、この沈降物を加熱乾燥し、再びこの良溶媒を使用して抽出を行い変性カーボンナノ繊維を取り出し、この重量を測定する。
この値と、重合体をグラフトさせる前のカーボンナノ繊維の重量とから、下式によりグラフト重合率が求められる。
【0031】
【数1】
グラフト重合率(%)=〔(変性カーボンナノ繊維の重量−カーボンナノ繊維の重量)/カーボンナノ繊維の重量〕×100
【0032】
上記のグラフト重合率を有する本発明の変性カーボンナノ繊維は、前記したカーボンナノ繊維と、ペルオキシポリマーと、アゾポリマーとを使用し、化1に示すような反応によって得ることができ、各反応条件(温度、圧力、時間等)を適宜調整することによって、上記範囲内において、所望のグラフト重合率を有する変性カーボンナノ繊維とすることができる。
【0033】
本発明の変性カーボンナノ繊維を樹脂と混合して使用する場合には、より均一な導電性等を得る目的から、変性カーボンナノ繊維と相溶性が優れた樹脂との混合が望ましい。
ここで、変性カーボンナノ繊維と相溶性に優れる樹脂は、グラフトに供せられるポリマーの構成単位であるモノマーと同一のモノマーの重合体か、これを含む共重合体の樹脂等である。
ただし、ポリスチレンやポリフェニレンエーテル等のように、樹脂の構成単位が、グラフトに供せられるポリマーの構成単位とは異なっていても完全に相溶する場合もある。この場合、グラフトに供されるポリマーと混合する樹脂を事前に(グラフトに供されるポリマーをカーボンナノ繊維に結合させる前に)混合することで、その相溶性を確認することができる。
【0034】
一方、樹脂の混合系において、混合する樹脂を適宜選択することで、海島等の構造をとる組み合わせも知られている。
導電性を有する変性カーボンナノ繊維と相溶性の樹脂及び非相溶性の樹脂の混合使用を想定する場合、海の部分に変性カーボンナノ繊維が含まれ、島の部分には変性カーボンナノ繊維が含まれないように樹脂の種類を選択すると、変性カーボンナノ繊維と相溶性の樹脂の混合使用の場合(すなわち、海のみで、島がなく、海に変性カーボンナノ繊維が含まれるもの)に比べて、変性カーボンナノ繊維の使用量を少なくしても、良好な導電性が保持できる等の特色を持たせることも可能である。
【0035】
また、本発明の塗料は、変性カーボンナノ繊維に結合しているポリマーのSP値と溶媒のSP値の差が1以内であることを特徴としている。
変性カーボンナノ繊維に結合しているポリマーのSP値と溶媒のSP値の差が1を超えると、時間の経過と共に変性カーボンナノ繊維が凝集し、沈殿してしまう。
なお、SP値の差の下限値は、特に限定しないが、ゼロ、すなわち変性カーボンナノ繊維に結合しているポリマーのSP値と溶媒のSP値が同じであっても、良好な分散性を維持することができる塗料となる。
SP値は、「溶剤ハンドブック」(松田種光ら著、昭和38年、産業図書(株)出版)の266〜268頁に記載されている通り、下記式で表される。
【0036】
【数2】
(SP)2=C.E.D.=(ΔE)/V=(ΔH−RT)/V=(C/M)(ΔH−RT)
ここで、C.E.D.:分子凝集エネルギー、
△E:蒸発エネルギー[cal/mol]、
V:分子容[cc/mol]、
△H:蒸発潜熱、
R:気体恒数[cal/mol]、
C:密度[g/cc]、
M:g分子量[g/mol]、
T:絶対温度[K]
【0037】
具体的なポリマーのSP値は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン:5.9、ポリイソブチレン:7.9、ポリエチレン:8.1、ポリイソプレン:8.2、ポリブタジエン:8.5、ポリスチレン:9.2、ポリメタクリル酸メチル:9.3、ポリ酢酸ビニル:9.6、ポリ塩化ビニル:9.7、ポリエチレンテレフタレート:10.7、ポリアクリロニトリル:12.4等である。
また、具体的な溶剤のSP値は、例えば、n−ペンタン:7.0、ジエチルエーテル:7.4、n−オクタン:7.6、シクロヘキサン:8.3、四塩化炭素:8.6、キシレン:8.8、トルエン:8.9、酢酸エチル:9.1、ベンゼン:9.2、メチルエチルケトン:9.3、クロロホルム:9.4、トリクロロエチレン:9.5、メチレンクロリド:9.6、アセトン:9.8、ジクロロエタン:9.9、ジオキサン:10.2、二硫化炭素:10.2、テトラクロロエタン:10.7、プロピオニトリルピリジン:10.7、イソプロパノール:11.5、ニトロエタン:11.9、アセトニトリル:11.9、ジメチルホルムアミド:12.1、エタノール:12.7、ニトロメタン:12.7、メタノール:14.5、水:23.4等である。混合溶剤の場合は、各溶剤のmol数の割合に各SP値を乗じた値とする。
なお、本発明において、SP値に幅がある場合は、その範囲の真ん中の値をSP値とする。
【0038】
【実施例】
実施例1
溶剤としてトルエンを300ml反応装置内に導入し、ここにペルオキシポリマーとして平均分子量20000の化2に示すペルオキシポリマーを25g投入し、100℃に加熱した後、レーザーアブレーション法により得られた直径が80nmの多層カーボンナノチューブ(アクセプト比:500〜1000)を5g投入し、6時間攪拌した。
【0039】
【化2】
ただし、polystyreneとpolystyrene’の重合度は同じでも異なっていてもよい。
【0040】
上記条件で6時間攪拌後の上記反応装置内には、カーボンナノチューブにグラフト重合していないペルオキシポリマーも共存していると考えられる。
そこで、上記のペルオキシポリマーがグラフト重合したカーボンナノチューブチューブ(変性カーボンナノ繊維)を分離するために、次の操作を行った。
【0041】
上記反応装置内の溶液を大量のメタノール溶液中に投じて、攪拌後、濾過した。
濾過残渣を100℃で24時間加熱乾燥して、変性カーボンナノチューブの分散性を喪失させると共に、残渣中に残っている溶媒を除去した。
この変性カーボンナノチューブを含む混合物にトルエンを加え、濾過した。残渣に再度トルエンを加え、濾過するという作業を3回行った。THFを用いて変性カーボンナノチューブについて、24時間のソックスレー抽出を行った後、重量を測定した。
【0042】
このソックスレー抽出後の変性カーボンナノチューブのグラフト率を上記の式により算出した結果、30%であった。
また、この変性カーボンナノチューブ0.5gを、34.3mlのトルエン中に分散させて、室温下に放置したところ、1カ月経過後にも良好な分散状態を保持していた。
【0043】
さらに、このスチレン樹脂変性カーボンナノチューブ10重量部と、スチレン樹脂90重量部とを、THF900重量に投入し、次のような試験を行った。
(1)上記分散液の調製直後、1時間経過後、1日経過後に観察し、この結果を表1に示す。
(2)上記分散液の1日経過後のものを50,000rpmで20分間の遠心分離を行った後の分散液の状態を観察し、この結果を表2に示す。
(3)上記分散液の1日経過後のものを攪拌して良好な分散状態にした後、ガラス板上にコーティングし、乾燥させて、厚さ30μmのフィルムに成形し、このフィルムを10倍のルーペで観察すると共に、該フィルムの電気抵抗値を測定し、この結果を表3に示す。
【0044】
また、次の試験を行なった。
(4)発泡ポリスチレンとしての評価のために、次の試験を行なった。純水180g、リン酸三石灰0.7g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ64mgを加え、苛性ソーダでpH7.5とし、350rpmで攪拌し、これにAIBN(アゾイソブチロニトリル)0.9g、TBPB(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート)0.2g、上記のスチレン樹脂変性カーボンナノチューブ75.6g、スチレンモノマー104.4gを加え、75℃で8時間重合させた後、これに、炭酸カルシウム0.43g、ポリビニルアルコール0.2g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ10mg、n−ペンタン20ml、ブチルステアレート0.18gを加え、90℃で1.5時間保持し、30分で110℃まで昇温し、この温度で10時間保持して、実施例1のスチレン樹脂変性カーボンナノチューブを含有する発泡ポリスチレン樹脂を得た。この発泡ポリスチレン樹脂の電気抵抗値を測定し、この結果を表4に示す。
なお、非発泡のスチレン樹脂変性カーボンナノチューブ(すなわち、上記配合においてn−ペンタン20mlを使用しないポリスチレン樹脂)の電気抵抗値をも測定し、この結果を表4に合わせて示す。
(5)実施例1のスチレン樹脂変性カーボンナノチューブについて、各種溶媒中での分散安定性を次の要領で比較し、結果を表5に示す。なお、上記のグラフトしたポリスチレンのSP値の範囲は8.6〜9.7(SP値:9.2)であった。
上記の変性カーボンナノチューブ0.5gを各種溶媒10mlにそれぞれ分散させ、各種溶媒中での分散安定性を1時間経過後に比較した。
【0045】
実施例2
溶剤としてトルエンを300ml反応装置内に導入し、ここにアゾポリマーとして平均分子量5000の化3に示すアゾポリマーを10g投入し、実施例1で使用したものと同じカーボンナノチューブ5gを投入し、60℃で10時間、攪拌した。
【0046】
【化3】
ただし、polystyreneとpolystyrene’の重合度は同じでも異なっていてもよい。
【0047】
上記反応装置内には、カーボンナノチューブにグラフト重合していないアゾポリマーも共存していると考えられる。
そこで、変性カーボンナノ繊維を分離するために、次の操作を行った。
【0048】
上記反応装置内の溶液を大量のメタノール溶液中に投じて、攪拌後、濾過した。
濾過残渣の一部を100℃で24時間加熱乾燥して、変性カーボンナノチューブの分散性を喪失させると共に、残渣中に残っている溶媒を除去した。
この変性カーボンナノチューブを含む混合物にトルエンを加え、濾過した。残渣に再度トルエンを加え、濾過するという作業を4回行った。THF(テトラヒドロフラン)を用い変性カーボンナノ繊維について、24時間のソックスレー抽出を行った後、重量を測定した。
【0049】
このソックスレー抽出後の変性カーボンナノチューブのグラフト率を上記の式により算出した結果、50%であった。
また、この変性カーボンナノチューブ0.5gを、34.3mlのトルエンに分散させて、室温下に放置したところ、1カ月経過後にも良好な分散状態を保持していた。
【0050】
比較例1
特許第2886935明細書の実施例2に記載の方法に沿って実施した。
すなわち、極細炭素フィブリル(JIS K 6221 6.1.2B法による吸油量が9.1ml/g)10gをAIBNの5%エタノール溶液中に2時間浸漬した後、該フィブリルのみを取り出し、0℃、減圧下で24時間乾燥してエタノールを除去し、該フィブリル表面にAIBNを付着させ、これをスチレン40gとアクリロニトリル40gとの混合液に加え、窒素雰囲気下、70℃で6時間重合させた。
【0051】
この重合後のフィブリルについて、実施例1と同様にしてグラフト重合率を求めたところ、1%未満であった。
また、このフィブリルについて、実施例1の(1)〜(3)と同様の試験を行い、結果を表1〜表3に合わせて示す。
【0052】
比較例2
実施例1で使用したポリマーを結合させていないカーボンナノチューブを使用して、実施例1の(4)と同様の試験を行い、結果を表4に合わせて示す。
ただし、カーボンナノチューブの濃度を同じにするため、カーボンナノチューブの添加量を12.6g、スチレンモノマーの添加量を167.4gとした。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、アスペクト比の大きいカーボンナノ繊維の長手方向表面の広い領域に渡って、種々の重合体をグラフト重合することができ、種々の優れた特性を有するカーボンナノ繊維の用途を広げることができる。
また、本発明の変性カーボンナノ繊維は、種々の溶媒中において、良好な分散性を安定して維持することができるため、カーボンナノ繊維の取扱性を大幅に向上させることができる。
さらに、本発明の変性カーボンナノ繊維は、予め分子ふるい等の方法で精製した分子量や重合度等の揃ったポリマーに、アゾ基やペルオキシ基を導入し、カーボンナノ繊維に結合させる場合には、分子量や重合度等にばらつきの少ないポリマーを有する変性カーボンナノ繊維とすることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a polymer-modified carbon nanofiber, and a resin composition and a paint containing the carbon nanofiber.
[0002]
[Technical background]
In recent years, hollow carbon nanotubes or non-hollow carbon nanofibers (in the present invention, collectively referred to as carbon nanofibers) have unique properties, that is, they are fine fibers and have a large aspect ratio. (Generally, about 10 to 10000 times the length of 1 to 200 nm in diameter), and has excellent conductive properties, and has been used in various fields.
For example, they can be brought together as a lead wire for electrical and electronic equipment, assembled and used as a material for adsorbing and filtering hydrogen-absorbing materials and impurities, mixed with synthetic resins as synthetic resins with excellent conductive properties, or Various applications have been developed in the field of nanotechnology.
[0003]
By the way, since carbon nanofibers are fine fibers having a large aspect ratio, in general, carbon nanofibers are appropriately aggregated with each other, and a lump of carbon nanofibers is generated. It is a material that is extremely difficult to assemble, mix with synthetic resins and the like.
[0004]
There have been many studies to solve such problems.For example, carbon nanotubes obtained by a gas phase method using a catalyst in which a metal active component is supported on an inorganic porous material include carbon nanotubes alone. However, the compatibility with synthetic resins and the like is considered to be good, and this is attributed to the anchor effect due to the irregularities at the atomic level on the carbon nanotube surface.
In addition, there is a study on a method of chemically modifying the carbon nanotube surface (for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2002-503204), and it is reported that the compatibility with synthetic resins, solvents, and water is improved by these chemical modifications. ing.
[0005]
However, even in the case of the carbon nanotube by the above-mentioned gas phase method and in the case of the carbon nanotube whose surface is chemically modified, a good dispersion state is exhibited immediately after dispersion in a solvent or the like, but after several hours, it separates from the solvent and precipitates. Resulting in.
When these carbon nanotubes are kneaded with a synthetic resin, they are apparently dispersed uniformly. However, when the carbon nanotubes are formed into a film or foamed, a distinct dispersion unevenness occurs, and the characteristics (antistatic property, conductivity , Radio wave shielding properties, etc.).
[0006]
Furthermore, Japanese Patent No. 2886935 proposes a method for producing ultrafine carbon fibrils (multi-walled carbon nanotubes) having a diameter of 3.5 to 70 nm and a length of at least 5 times the diameter. By subjecting an organic polymerizable monomer (having a polymerizable double bond) to normal radical polymerization (bulk, solution, emulsification, suspension) in the presence, a part of the growing radicals is chain-transferred to produce ultrafine carbon. It is described to be added to the surface of fibrils.
However, carbon nanotubes generally have a type of graphite structure in which the carbon atoms are regularly bonded except for a part of both ends, so in normal radical polymerization, growing radicals are trapped by the carbon nanotubes. As a result, it is difficult to grow the graft polymer.
[0007]
In order to graft-polymerize a polymer onto the surface of the carbon nanotube, 1) a method of polymerizing a vinyl monomer using a polymerization initiator in the presence of the carbon nanotube, 2) a graft polymerization from a polymerization initiator group introduced on the surface of the carbon nanotube. A method of starting the method and 3) a method of polymer reaction between a functional group introduced on the surface of the carbon nanotube and a polymer can be considered.
[0008]
However, in the method 1), the initiator radical is preferentially added to the surface of the carbon nanotube, so that even though a low-molecular-weight initiator fragment may be bonded to the surface of the carbon nanotube, the polymer can be graft-polymerized. The degree of graft polymerization is extremely low, and the graft polymerization rate is extremely low even if a part of the polymer is graft-polymerized.
Therefore, in the above-mentioned Japanese Patent No. 2886935, rather than chain-transferring a part of the growing radical and adding it to the surface of the ultrafine carbon fibril, the polymer is firmly attached to the surface of the ultrafine multi-walled carbon nanotube during the polymerization. It is reasonable to think that it is physically adsorbed.
[0009]
In the method 2), an ester, a peroxyester, or a potassium carboxylate having a carboxyl group, a phenolic hydroxyl group, or an azo group is chemically introduced into the surface of the carbon nanotube, and polymerization is carried out based on the ester. Although it is a method to carry out, it is extremely difficult to introduce them on the surface of carbon nanotubes where these groups are not present, especially on the longitudinal surface of chemically stable carbon nanotubes, so that the polymer can be graft-polymerized. The position is only the end of the graphite structure, and the graft ratio of the polymer cannot be increased.
In addition, the graphite structure is partially disturbed at the ends (both ends) of the carbon nanotube, and these groups may be introduced into the disordered portion. In (2), the amount of the group to be introduced is extremely small, and therefore, the amount of the polymer that can be graft-polymerized is also limited.
[0010]
The method 3) has an advantage that a polymer having a clear structure and molecular weight can be graft-polymerized, but it is necessary to introduce some reactive group in order to capture the terminal of the polymer, which is the same problem as in the case 2) above. There is.
[0011]
Even with a small amount of polymer, the multi-walled carbon nanotubes with the polymer added (mostly presumed to be in the adsorbed state) have improved apparent dispersibility compared to untreated multi-walled carbon nanotubes. However, long-term dispersion stability in a solvent or water cannot be obtained, and even when dispersed in a polymer, when formed into a thin film or when foamed, dispersion defects are clearly observed. It has been confirmed to come.
[Patent Document 1] JP-T-2002-503204
[Patent Document 2] Japanese Patent No. 2886935
[0012]
[Object of the invention]
The present invention is a multilayer, single-layer, hollow body, non-hollow body, and other various carbon nanofibers, and the polymer is favorably graft-polymerized not only at both ends but also on the surface in the longitudinal direction. In addition, it is possible to secure a stable and good dispersion state in a solvent, water, and a synthetic resin for a long period of time, and to obtain a polymer having a known molecular weight and structure at a high graft polymerization rate. It is an object to provide a fiber and a resin composition or paint containing the carbon nanofiber.
[0013]
Summary of the Invention
The present inventor has repeatedly studied to achieve the above object with respect to carbon nanofibers having no functional group on the longitudinal direction surface, and as a result, if the radical scavenging property of the longitudinal surface of carbon nanofibers is utilized, various polymers can be used. It has been found that radicals can bind.
That is, there is no functional group serving as a starting point of a chemical reaction on the surface of the carbon nanofiber in the longitudinal direction, but it has radical scavenging properties. Focusing on this radical scavenging property, it was examined whether polymer radicals can be graft-polymerized on the surface in the longitudinal direction of carbon nanofibers. As a result, it was concluded that a specific polymer radical can be graft-polymerized at a high graft polymerization rate.
[0014]
The present invention has been made based on the above conclusions, and is obtained by radically decomposing a polymer having an azo group or / and a peroxy group and bonding the radically decomposed polymer to a graphene sheet surface of carbon nanofibers. The modified carbon nanofibers to be obtained are summarized.
Further, according to the present invention, the difference between the SP value of the polymer and the SP value of the solvent bonded to the resin composition in which the modified carbon nanofiber is dispersed in the resin and the polymer bonded to the modified carbon nanofiber is 1 or less. The gist of the present invention is a paint dispersed in a solvent (that is, an emulsion of the modified carbon nanofibers and a solvent).
[0015]
The carbon nanofiber used in the present invention preferably has a diameter of 3.5 to 150 nm and an accept ratio of about 100 to 10000. As described above, the carbon nanofiber may be a hollow body (so-called carbon nanotube) or a non-hollow body. The hollow body may be a single-layered one or a multi-layered one, or a cone-shaped carbon nanohorn or a cup-shaped one. It may be a so-called cup laminated type which is laminated on the substrate.
The carbon nanotubes and carbon nanofibers herein include those having both ends end-cap, one having an end cap and one having an open end, and both having an open end.
[0016]
In order to bond (covalently) a polymer to the carbon nanofibers, in the present invention, a polymer radical obtained by decomposing an azo polymer having an azo group in a main chain or a side chain or a peroxy group having a peroxy group in a main chain or a side chain is used. A polymer radical in which a polymer is radically decomposed is used.
These polymer radicals can be obtained by introducing an azo group or a peroxy group into a polymer which has been purified in advance by a method such as molecular sieving and has a uniform molecular weight and a degree of polymerization, and is subjected to radical decomposition. Thus, there is an advantage that a modified carbon nanofiber can be obtained in which a polymer having a small variation in molecular weight, degree of polymerization and the like is bonded.
[0017]
There are various methods for introducing a peroxy group or an azo group into the polymer, and there is no particular limitation.
The polymer having a peroxy group or an azo group may be, for example, a polymer bonded to a molecule having a peroxy group or an azo group, a hydroxyl group or a carboxyl group at the polymer terminal converted to a peroxy group, or an amino group or a hydrazyl group. It can be obtained by converting to a group.
[0018]
Examples of the molecule having a peroxy group include a monomer and a dimer compound as shown below.
Polymer-COOOX
(Where X is a bondable substituent such as hydrogen, a metal atom, a hydrocarbon group, etc.)
Polymer-COOOOC-Polymer '
(However, Polymer and Polymer 'may be the same polymer or different polymers.)
[0019]
Examples of the molecule having an azo group include a monomer and a dimer compound as shown below.
Polymer-N = N
Polymer-N = N-Polymer '
(However, Polymer and Polymer 'may be the same polymer or different polymers.)
[0020]
Further, the above polymer is a polymer in which three or more monomers are bonded, and the degree of polymerization of the polymer portion is preferably about 5 to 100. If the degree of polymerization is too high, the dispersibility of the modified carbon nanofibers in the resin may be reduced.If the degree of polymerization is too low, compared to unmodified carbon nanofibers that have not bound the polymer, In some cases, performance such as dispersibility is not improved much.
[0021]
The molecular weight of the polymer to be grafted also has a large effect on the compatibility. Generally, in order to improve the compatibility with other resins or to improve the dispersibility in a solvent, the polymer to be grafted is used. Are relatively dominant in molecular weight.
The molecular weight of the polymer portion of the peroxy polymer or azo polymer in the present invention is not particularly limited, but if the molecular weight is too large, when using heat as an energy source during a radical decomposition reaction or an addition reaction to carbon nanofibers, these Reaction is difficult to occur, and if it is too small, the dispersibility of the carbon nanofibers in a solvent such as a solvent or water, or the compatibility with a resin cannot be sufficiently improved. preferable.
[0022]
The radical atoms in the polymer radicals of these peroxypolymers and azopolymers include oxygen radicals (O-CO ~~~~~ shown in Chemical Formula 1) and nitrogen radicals (NC ~~~~~~ shown in Chemical Formula 1). In the present invention, these polymer radicals are trapped on the longitudinal surface of the carbon nanofiber by utilizing these nitrogen radicals and oxygen radicals, and are covalently bonded.
The reaction mechanism at this time is schematically shown as follows. CNF in Chemical Formula 1 represents carbon nanofiber.
[0023]
Embedded image
1) In the case of peroxy polymer:
2) For azo polymer:
There are various energy sources for causing the radical decomposition reaction of each polymer described above, and examples thereof include heat and light.
In the present invention, any of these energy sources may be used.However, in order to cause a radical decomposition reaction of the polymer as described above in the presence of carbon nanofibers and an addition reaction, when light is used as the energy source, The absorption of carbon nanofibers may make it difficult to reach the polymer that is the target of the radical decomposition reaction. Therefore, in the present invention, it is preferable to use heat as an energy source from a practical viewpoint.
[0025]
At this time, tetrahydrofuran (THF) or the like can be used as a solvent, and the concentration of a polymer having an azo group (hereinafter referred to as “azo polymer”) or a polymer having a peroxy group (hereinafter referred to as “peroxy polymer”) to be charged into the solvent is used. Is too high, the above-mentioned radical decomposition reaction hardly occurs, and furthermore, the addition reaction to the carbon nanofibers hardly occurs. If too low, the production efficiency decreases. ing.
Also, the concentration of the carbon nanofibers in the reaction solvent is too high, which inhibits the above radical decomposition reaction, which in turn inhibits the addition reaction to the carbon nanofibers. About 10 to 30% by weight is suitable.
[0026]
The graft polymerization rate in the present invention is preferably from 1 to 200% in order to achieve the above object of the present invention.
In addition, this graft polymerization rate is calculated | required as follows.
[0027]
The modified carbon nanofiber to which the polymer has been graft-polymerized shows good dispersion stability in a good solvent for the polymer for a long period of time. In addition, even if an operation such as centrifugation is performed, the modified carbon nanofibers do not settle.
Therefore, the present inventor paid attention to this point and pursued a method for separating modified carbon nanofibers.
As a result, it has been found that the modified carbon nanofiber can be separated by the following method.
[0028]
First, the modified carbon nanofibers are dispersed in a good solvent that disperses the fibers well, and an azo polymer or a peroxy polymer (hereinafter, these are referred to as homopolymers) are mixed with a poor solvent that does not disperse the fibers well. Add. Then, the mixture of the modified carbon nanofibers and the homopolymer coagulates and precipitates. A mixture of the coagulated and precipitated modified carbon nanofibers and the homopolymer is taken out and dried by heating at a predetermined temperature for a predetermined time. Next, a good solvent is again added to the dried product. Then, the homopolymer is well dispersed in the good solvent, but the modified carbon nanofiber has a low dispersibility, and good dispersion becomes impossible.
Therefore, if this is centrifuged under predetermined conditions (50,000 rpm for 1 hour when the grafted polymer is a peroxy polymer), the denatured carbon nanofibers will sediment and separate from the homopolymer. Can be.
[0029]
Then, in order to purify the precipitate after centrifugation, it was concluded that the precipitate should be heated and dried, and Soxhlet extraction should be performed for a predetermined time in a good solvent for the polymer.
[0030]
Therefore, in the present invention, in order to measure the graft polymerization rate, first, the modified carbon nanofibers obtained by graft polymerization of the polymer are heated and dried, then dispersed in a good solvent for the polymer, centrifuged, and The precipitate is heated and dried, extracted again using the good solvent, and the modified carbon nanofiber is taken out and its weight is measured.
From this value and the weight of the carbon nanofiber before grafting the polymer, the graft polymerization rate is determined by the following equation.
[0031]
(Equation 1)
Graft polymerization rate (%) = [(weight of modified carbon nanofiber−weight of carbon nanofiber) / weight of carbon nanofiber] × 100
[0032]
The modified carbon nanofiber of the present invention having the above graft polymerization rate can be obtained by using the above-described carbon nanofiber, a peroxy polymer, and an azo polymer by a reaction shown in Chemical formula 1, and using various reaction conditions ( By appropriately adjusting the temperature, pressure, time, and the like, modified carbon nanofibers having a desired graft polymerization rate can be obtained within the above range.
[0033]
When the modified carbon nanofiber of the present invention is used by being mixed with a resin, it is desirable to mix the modified carbon nanofiber with a resin having excellent compatibility in order to obtain more uniform conductivity and the like.
Here, the resin having excellent compatibility with the modified carbon nanofiber is a polymer of the same monomer as a monomer which is a constituent unit of the polymer to be grafted, or a resin of a copolymer containing the same.
However, in some cases, such as polystyrene and polyphenylene ether, the constituent units of the resin are different from the constituent units of the polymer to be grafted, but are completely compatible. In this case, if the resin to be mixed with the polymer to be grafted is mixed in advance (before the polymer to be grafted is bonded to the carbon nanofibers), the compatibility can be confirmed.
[0034]
On the other hand, in a mixed system of resins, there is also known a combination in which a resin to be mixed is appropriately selected to form a structure such as a sea-island.
When assuming a mixed use of a resin compatible and incompatible with the modified carbon nanofiber having conductivity, the sea part includes the modified carbon nanofiber, and the island part includes the modified carbon nanofiber. When the type of resin is selected so that it is not mixed, the modified carbon nanofiber and the compatible resin are mixed (that is, only the sea, no island, and the sea contains the modified carbon nanofiber). Even if the amount of the modified carbon nanofibers used is reduced, it is possible to impart characteristics such as maintaining good conductivity.
[0035]
Further, the paint of the present invention is characterized in that the difference between the SP value of the polymer bound to the modified carbon nanofiber and the SP value of the solvent is within 1 or less.
If the difference between the SP value of the polymer bound to the modified carbon nanofibers and the SP value of the solvent exceeds 1, the modified carbon nanofibers aggregate and precipitate over time.
The lower limit of the difference between the SP values is not particularly limited. However, even when the SP value of the polymer bonded to the modified carbon nanofibers and the SP value of the solvent are the same, good dispersibility is maintained. A paint that can be made.
The SP value is represented by the following formula, as described in “Solvent Handbook” (Tanemitsu Matsuda et al., 1963, published by Sangyo Tosho Co., Ltd.), pages 266 to 268.
[0036]
(Equation 2)
(SP) 2 = C. E. FIG. D. = (ΔE) / V = (ΔH-RT) / V = (C / M) (ΔH-RT)
Here, C.I. E. FIG. D. : Molecular cohesion energy,
ΔE: evaporation energy [cal / mol],
V: molecular volume [cc / mol],
ΔH: latent heat of evaporation,
R: gas constant [cal / mol],
C: density [g / cc],
M: g molecular weight [g / mol],
T: Absolute temperature [K]
[0037]
Specific polymer SP values are, for example, polytetrafluoroethylene: 5.9, polyisobutylene: 7.9, polyethylene: 8.1, polyisoprene: 8.2, polybutadiene: 8.5, and polystyrene: 9. 2, polymethyl methacrylate: 9.3, polyvinyl acetate: 9.6, polyvinyl chloride: 9.7, polyethylene terephthalate: 10.7, polyacrylonitrile: 12.4, and the like.
The SP value of a specific solvent is, for example, 7.0 for n-pentane, 7.4 for diethyl ether, 7.6 for n-octane, 8.3 for cyclohexane, 8.6 for carbon tetrachloride, Xylene: 8.8, toluene: 8.9, ethyl acetate: 9.1, benzene: 9.2, methyl ethyl ketone: 9.3, chloroform: 9.4, trichloroethylene: 9.5, methylene chloride: 9.6, Acetone: 9.8, dichloroethane: 9.9, dioxane: 10.2, carbon disulfide: 10.2, tetrachloroethane: 10.7, propionitrile pyridine: 10.7, isopropanol: 11.5, nitroethane: 11.9, acetonitrile: 11.9, dimethylformamide: 12.1, ethanol: 12.7, nitromethane: 12.7, methanol: 14.5, water: 2 A .4, and the like. In the case of a mixed solvent, the value is obtained by multiplying the ratio of the number of moles of each solvent by each SP value.
In the present invention, when there is a range in the SP value, the middle value of the range is set as the SP value.
[0038]
【Example】
Example 1
300 ml of toluene was introduced into the reactor as a solvent, 25 g of a peroxy polymer represented by Chemical Formula 2 having an average molecular weight of 20,000 was added as a peroxy polymer, and heated to 100 ° C., and the diameter obtained by laser ablation was 80 nm. 5 g of multi-walled carbon nanotubes (accept ratio: 500 to 1000) were charged and stirred for 6 hours.
[0039]
Embedded image
However, the degree of polymerization of polystyrene and polystyrene 'may be the same or different.
[0040]
It is considered that a peroxy polymer not graft-polymerized to carbon nanotubes also coexists in the reactor after stirring for 6 hours under the above conditions.
Therefore, the following operation was performed to separate the carbon nanotube tube (modified carbon nanofiber) on which the above-described peroxy polymer was graft-polymerized.
[0041]
The solution in the reactor was poured into a large amount of a methanol solution, stirred, and filtered.
The filtration residue was dried by heating at 100 ° C. for 24 hours to lose the dispersibility of the modified carbon nanotubes and to remove the solvent remaining in the residue.
Toluene was added to the mixture containing the modified carbon nanotubes, and the mixture was filtered. The operation of adding toluene to the residue again and filtering was performed three times. The modified carbon nanotubes were subjected to Soxhlet extraction for 24 hours using THF, and then the weight was measured.
[0042]
As a result of calculating the graft ratio of the modified carbon nanotubes after the Soxhlet extraction by the above equation, it was 30%.
When 0.5 g of the modified carbon nanotubes was dispersed in 34.3 ml of toluene and allowed to stand at room temperature, a favorable dispersed state was maintained even after one month.
[0043]
Further, 10 parts by weight of the styrene resin-modified carbon nanotubes and 90 parts by weight of the styrene resin were added to 900 parts by weight of THF, and the following test was conducted.
(1) Immediately after preparation of the above-mentioned dispersion liquid, after 1 hour, 1 day, and observation, the results are shown in Table 1.
(2) The state of the dispersion after centrifugation at 50,000 rpm for 20 minutes after one day of the above dispersion was observed. The results are shown in Table 2.
(3) After one day of the above-mentioned dispersion liquid was stirred to obtain a good dispersion state, the dispersion liquid was coated on a glass plate, dried and formed into a film having a thickness of 30 μm. The film was observed with a loupe, and the electrical resistance of the film was measured. The results are shown in Table 3.
[0044]
Further, the following test was conducted.
(4) The following test was performed for evaluation as expanded polystyrene. 180 g of pure water, 0.7 g of tricalcium phosphate and 64 mg of sodium dodecylbenzenesulfonate were added, the pH was adjusted to 7.5 with caustic soda, and the mixture was stirred at 350 rpm, to which 0.9 g of AIBN (azoisobutyronitrile) and 0.9 g of TBPB (tarsha) was added. Butyl peroxybenzoate), 75.6 g of the styrene resin-modified carbon nanotubes described above, and 104.4 g of a styrene monomer, polymerized at 75 ° C. for 8 hours, and then added with 0.43 g of calcium carbonate and polyvinyl alcohol. 0.2 g, 10 mg of sodium dodecylbenzenesulfonate, 20 ml of n-pentane and 0.18 g of butyl stearate were added, and the mixture was kept at 90 ° C. for 1.5 hours, heated to 110 ° C. in 30 minutes, and then heated at this temperature for 10 hours. Hold and contain the styrene resin modified carbon nanotubes of Example 1. To give a foam polystyrene resin. The electrical resistance of the expanded polystyrene resin was measured, and the results are shown in Table 4.
In addition, the electric resistance value of the non-foamed styrene resin-modified carbon nanotube (that is, a polystyrene resin in which 20 ml of n-pentane is not used in the above composition) was also measured, and the results are shown in Table 4.
(5) The dispersion stability of the styrene resin-modified carbon nanotubes of Example 1 in various solvents was compared in the following manner, and the results are shown in Table 5. The range of the SP value of the grafted polystyrene was 8.6 to 9.7 (SP value: 9.2).
0.5 g of the above modified carbon nanotubes were dispersed in 10 ml of various solvents, respectively, and the dispersion stability in various solvents was compared after 1 hour.
[0045]
Example 2
300 ml of toluene was introduced into the reactor as a solvent, and 10 g of an azopolymer represented by Chemical Formula 3 having an average molecular weight of 5000 was added thereto as an azopolymer, and 5 g of the same carbon nanotube as that used in Example 1 was added thereto. Stirred for hours.
[0046]
Embedded image
However, the degree of polymerization of polystyrene and polystyrene 'may be the same or different.
[0047]
It is considered that an azo polymer not graft-polymerized to the carbon nanotubes also coexists in the reactor.
Therefore, the following operation was performed to separate the modified carbon nanofibers.
[0048]
The solution in the reactor was poured into a large amount of a methanol solution, stirred, and filtered.
A part of the filtration residue was heated and dried at 100 ° C. for 24 hours to lose the dispersibility of the modified carbon nanotubes and to remove the solvent remaining in the residue.
Toluene was added to the mixture containing the modified carbon nanotubes, and the mixture was filtered. The operation of adding toluene to the residue again and filtering was performed four times. The modified carbon nanofibers were subjected to Soxhlet extraction for 24 hours using THF (tetrahydrofuran) and then weighed.
[0049]
The graft ratio of the modified carbon nanotubes after the Soxhlet extraction was calculated by the above formula, and as a result, was 50%.
Further, when 0.5 g of the modified carbon nanotubes was dispersed in 34.3 ml of toluene and allowed to stand at room temperature, a good dispersion state was maintained even after one month.
[0050]
Comparative Example 1
It carried out according to the method of Example 2 of patent 2888635 specification.
That is, 10 g of ultrafine carbon fibrils (oil absorption according to JIS K 6221 6.1.2B method: 9.1 ml / g) were immersed in a 5% ethanol solution of AIBN for 2 hours, and only the fibrils were taken out. After drying under reduced pressure for 24 hours to remove ethanol, AIBN was adhered to the surface of the fibril, added to a mixed solution of 40 g of styrene and 40 g of acrylonitrile, and polymerized at 70 ° C. for 6 hours under a nitrogen atmosphere.
[0051]
When the degree of graft polymerization of the fibril after the polymerization was determined in the same manner as in Example 1, it was less than 1%.
In addition, the same tests as (1) to (3) of Example 1 were performed on this fibril, and the results are shown in Tables 1 to 3.
[0052]
Comparative Example 2
A test similar to (4) of Example 1 was performed using the carbon nanotubes to which the polymer used in Example 1 was not bonded, and the results are shown in Table 4.
However, in order to make the concentration of the carbon nanotube the same, the addition amount of the carbon nanotube was 12.6 g, and the addition amount of the styrene monomer was 167.4 g.
[0053]
[Table 1]
[0054]
[Table 2]
[0055]
[Table 3]
[0056]
[Table 4]
[0057]
[Table 5]
[0058]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the present invention, various polymers can be graft-polymerized over a wide area of the longitudinal surface of a carbon nanofiber having a large aspect ratio, and have various excellent properties. The use of carbon nanofibers can be expanded.
Further, the modified carbon nanofiber of the present invention can stably maintain good dispersibility in various solvents, so that the handling property of the carbon nanofiber can be greatly improved.
Furthermore, when the modified carbon nanofiber of the present invention is prepared by introducing a azo group or a peroxy group into a polymer having a uniform molecular weight or a degree of polymerization purified by a method such as a molecular sieve in advance, and bonded to the carbon nanofiber, A modified carbon nanofiber having a polymer with little variation in molecular weight, degree of polymerization, and the like can be obtained.
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