JP2004183127A - Modified carbon nanofiber, and resin composition and coating material containing the same - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーで変性されたカーボンナノ繊維と、そのカーボンナノ繊維を含む樹脂組成物及び塗料に関し、詳しくはカーボンナノ繊維の長手方向表面に合成樹脂がグラフトされてなる変性カーボンナノ繊維(本発明では、これを「変性カーボンナノ繊維」、あるいは「カーボンナノ繊維の変性体」と言う)と、この変性カーボンナノ繊維を含む樹脂組成物及び塗料に関する。
【0002】
【技術背景】
近年、中空体のカーボンナノチューブ、あるいは中空体ではないカーボンナノ繊維(本発明では、これらを纏めてカーボンナノ繊維と記すこともある)は、その特異な特性、すなわち微細な繊維であること、アスペクト比が大きい(概ね、直径1〜200nmに対し、長さが5〜10倍程度)こと、優れた導電特性を有すること等に着目され、各種の分野で様々な使用がなされている。
例えば、そのまま寄り合わせて電気・電子機器類のリード線として、集合させて水素吸収材料や不純物等の吸着・濾過材料として、合成樹脂に混合して優れた導電特性を有する合成樹脂等として、あるいはナノテクノロジーの分野において種々の用途が開発されている。
【0003】
ところで、カーボンナノ繊維は、アスペクト比が大きい微細な繊維であることから、一般には、カーボンナノ繊維同士が適宜に集合し、カーボンナノ繊維の塊が生じてしまい、所望の状態での寄り合わせ、集合、合成樹脂等への混合等が極めて困難な材料である。
【0004】
このような問題を解決するための研究が従来から多数なされており、例えば、気相法で得られるカーボンナノチューブにおいては、カーボンナノチューブ単独でも合成樹脂等との相溶性が良いとされており、これはカーボンナノチューブ表面の原子レベルでの凹凸によるアンカー効果によるものであるとされている。
また、カーボンナノチューブ表面を化学修飾する方法(例えば、特表2002−503204号)についての研究もあり、これらの化学的な修飾によっても、合成樹脂、溶剤、水との相溶性が向上すると報告されている。
【0005】
但し、気相法によるカーボンナノチューブの場合も、表面を化学修飾したカーボンナノチューブの場合も、溶剤等への分散直後には良好な分散状態を示すものの、数時間経過すると溶剤と分離し沈降してしまう。
また、これらのカーボンナノチューブを合成樹脂に混練すると、一見均一に分散しているが、これをフィルム化したり、発泡すると、明白な分散ムラが生じ、カーボンナノチューブ混練による特性(帯電防止性、導電性、電波シールド性等)を良好に得ることができない。
【0006】
更に、特許2886935号公報では、直径が3.5〜70nm、長さが直径の5倍以上の極細炭素フィブリル(多層カーボンナノチューブ)の製造方法が提案されており、この公報では、極細炭素フィブリルの存在下で有機重合性単量体(重合性の2重結合を有する)を通常のラジカル重合(塊状、溶液、乳化、懸濁)させることで、成長ラジカルの一部が連鎖移動し、極細炭素フィブリルの表面に付加する旨が記載されている。
しかし、多層カーボンナノチューブは、一般には、両端の一部を除いて、表面は炭素原子が規則的に結合した一種のグラファイト構造であるため、化学的に極めて安定であり、表面に成長ラジカルが捕捉され難い。
【0007】
成長ラジカルが捕捉される可能性は、多層カーボンナノチューブの両末端の一部にある結晶構造が乱れている部分にしかなく、アスペクト比が大きいカーボンナノチューブにあっては、その結合部分は極めて僅かである。
従って、上記の特許公報においては、成長ラジカルの一部が連鎖移動して極細炭素フィブリルの表面に付加すると言うよりは、合成樹脂が、その重合の途上で、極細多層カーボンナノチューブ表面に強固に物理吸着されていると考えるのが妥当である。
【0008】
僅かな合成樹脂であっても、合成樹脂が付加された状態(多くは吸着された状態と推定される)の多層カーボンナノチューブは、未処理の多層カーボンナノチューブに比べて、見掛けの分散性は向上するものの、溶剤や水中での長期間に渡る分散安定性は得られず、また合成樹脂に分散させた場合であっても、薄いフィルムに成形したり、あるいは発泡させた場合においては、明らかに分散不良を来すことが確認されている。
【特許文献1】特表2002−503204号
【特許文献2】特許2886935号
【0009】
【発明の目的】
本発明は、多層、単層、中空体、非中空体、その他各種のカーボンナノ繊維であって、その両末端のみならず、長手方向の表面側にも、合成樹脂が良好にグラフト重合されていて、溶剤、水、合成樹脂への長期に渡って安定した良好な分散状態を確保することができる該カーボンナノ繊維の変性体と、この変性カーボンナノ繊維を含む樹脂組成物や塗料を提供することを目的とする。
【0010】
【発明の概要】
本発明者は上記目的を達成するために検討を重ねた結果、先ず、カーボンナノ繊維の長手方向の表面に合成樹脂をグラフト重合させるには、カーボンナノ繊維の長手方向に、前記したような結晶構造の乱れが発生している部分が多数存在することが必要であるとの知見を得た。
次に、このような乱れが発生しているカーボンナノ繊維の検索途上で、グラファイト微結晶中に、ダングリングボンド(dangling bond)を有する炭素原子や、ダングリングボンドにアクセプターやドナー等の作用を有する原子や分子(以下、これらを纏めて「キャップ原子」と言う)が結合した炭素原子が存在することを知見した。
更に、このような炭素原子に対しては、合成樹脂が容易にグラフト重合することをも見い出した。
そこで、このような炭素原子が、両末端のみならず、長手方向表面にも多数存在するカーボンナノ繊維であれば、上記目的を充足する変性カーボンナノ繊維を提供できるとの結論に達した。
【0011】
本発明は、以上のような知見や結論に基づいてなされたもので、カーボンナノ繊維の長手方向表面に存在するグラフェンシートの端部に合成樹脂がグラフトされてなる変性カーボンナノ繊維を要旨とする。なお、本発明におけるグラフェンシートの端部とは、グラフェンシートのオープンエンドを言う。
すなわち、本発明では、ダングリングボンドを有する炭素原子又は/及びキャップ原子が結合した炭素原子が、長手方向表面にグラフェンシートの端部として表れるカーボンナノ繊維を使用し、これらの炭素原子に合成樹脂をグラフトして、該繊維を変性させるものである。
本発明における合成樹脂のグラフト率は1〜200%であることが好ましい。また、本発明は、上記の変性カーボンナノ繊維が、樹脂中に分散されている樹脂組成物と、該変性カーボンナノ繊維にグラフトさせた合成樹脂のSP値と溶媒のSP値の差が1以下である溶媒に分散されている塗料(すなわち該変性カーボンナノ繊維と溶媒のエマルジョン状態のもの)をも要旨とする。
【0012】
本発明で使用するカーボンナノ繊維は、直径3.5〜150nm、アクセプト比100〜10000程度のものが好ましく、前述のように、中空体(いわゆる、カーボンナノチューブ)であってもよいし、非中空体であってもよく、また中空体は、単層のものであってもよいし、多層のものであってもよく、更にはコーン型のカーボンナノホーンと称されるものや、カップ型が多層に積層されたものとされるカップ積層型と称されるもの等であってよい。
また、ここでいう、カーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維は、両末端がエンドキャップであるもの、片方がエンドキャップで片方がオープンエンドであるもの、両方がオープンエンドであるものを含む。
【0013】
このようなカーボンナノ繊維を、模式的に図示するなら、図1のようになる。すなわち、当該繊維の長手方向表面のグラフェンシート1を構成するグラファイト微結晶の一部が壊れてダングリングボンドDBを有する炭素原子11が、グラフェンシート1の端部として、当該繊維の長手方向表面に表れる。
12は、この炭素原子11のうちの一部の炭素原子111のダングリングボンドDBに結合したキャップ原子の一例を模式的に示しており、上記のダングリングボンドDBを有する炭素原子11と同様、グラフェンシート1の端部として、当該繊維の長手方向表面に表れる。
【0014】
これらダングリングボンドDBを持つ炭素原子11と、キャップ原子12が結合した炭素原子111とが混在する場合の混在割合は限定しないが、ダングリングボンドDBを持つ炭素原子11やキャップ原子12が結合した炭素原子111は、1本のカーボンナノ繊維の長手方向表面に表れるグラフェンシートに、少なくとも1%存在することが、本発明の目的を達成する上で好ましい。
上限は限定しないが、100%、すなわち長手方向表面に表れるグラフェンシートの全ての炭素原子が、ダングリングボンドDBを持つ炭素原子11及び/又はキャップ原子12が結合した炭素原子111、すなわち長手方向表面全面にグラフェンシート端部が表れるものであってよい。
好ましくは、上記のグラフト率が得られる程度のこれらの炭素原子が、1本のカーボンナノ繊維の長手方向表面に表れるグラフェンシートに存在することである。
【0015】
また、上記のキャップ原子は、種々のものがあり、例えば、水素(アクセプター)、リチウム、ナトリウム、フッ素(ドナー)、RO−(Rはアルキル基等)等が挙げられる。
【0016】
そして、上記ような炭素原子にグラフトさせる合成樹脂の種類は、特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。
【0017】
これらの合成樹脂のグラフト率は、1〜200%であることが、上記の本発明の目的を達成する上で好ましい。
なお、このグラフト率は、次のようにして求められる。
【0018】
合成樹脂がグラフトした変性カーボンナノ繊維は、当該合成樹脂の良溶媒中で長期間に渡って良好な分散安定性を示す。また、遠心分離等の操作を行っても変性カーボンナノ繊維が沈降することもない。
そこで、本発明者は、この点に着目し、変性カーボンナノ繊維の分離手法を追求した。
この結果、次のような手法にて変性カーボンナノ繊維が分離できることを見い出した。
【0019】
先ず、変性カーボンナノ繊維を、該繊維を良好に分散する良溶媒(グラフトしている合成樹脂がアクリル樹脂の場合はメチルエチルケトン)中に分散し、ここに合成樹脂(変性カーボンナノ繊維にグラフトしていない合成樹脂《以下、ホモポリマーと記すこともある》)と、該繊維を良好に分散しない貧溶媒(グラフトしている合成樹脂がアクリル樹脂の場合はメタノール等)とを加える。すると、変性カーボンナノ繊維が凝集沈降する。凝集沈降した変性カーボンナノ繊維とホモポリマーの混合物を取り出し、所定の温度で所定の時間(グラフトしている合成樹脂がアクリル樹脂の場合は80℃で8時間以上)加熱乾燥する。
次に、この乾燥物に再び良溶媒を加える。すると、ホモポリマーは良溶媒に良く分散するが、変性カーボンナノ繊維は分散性が低下しており、良好な分散は不可能となる。
そこで、これを、所定の条件(グラフトしている合成樹脂がアクリル樹脂の場合は50,000回転で1時間)で遠心分離を行えば、変性カーボンナノ繊維が沈降し、ホモポリマーと分離することができる。
【0020】
そして、遠心分離後の沈殿物を精製するには、この沈殿物を加熱乾燥し、当該合成樹脂の良溶媒中でソックスレー抽出を所定の時間(グラフトしている合成樹脂がアクリル樹脂の場合は24時間)行えばよいとの結論を得た。
【0021】
従って、本発明においてグラフト率を測定するには、先ず、反応溶液から変性カーボンナノ繊維とホモポリマーの混合物を貧溶媒を用いて分離し、この混合物を所定の時間、加熱乾燥した後、良溶媒に分散し、遠心分離する。次いで、この沈降物を加熱乾燥し、良溶媒で抽出を行って変性カーボンナノ繊維を取り出し、この重量を測定する。
この値と、合成樹脂をグラフトさせる前のカーボンナノ繊維の重量とから、下式によりグラフト率が求められる。
【0022】
【数1】
グラフト率(%)=〔(変性カーボンナノ繊維の重量−カーボンナノ繊維の重量)/カーボンナノ繊維の重量〕×100
【0023】
また、グラフトさせる合成樹脂の種類は、本発明の変性カーボンナノ繊維を使用する対象や用途によって異なり、例えば、ポリスチレンに添加して帯電防止機能を付与しようとするのであれば、ポリスチレンと相溶性の高い合成樹脂、例えば、ポリスチレンやスチレン−ブタジエン共重合樹脂等をグラフト重合させる。
【0024】
上記のグラフト率を有する本発明の変性カーボンナノ繊維は、種々の方法により得ることができる。
例えば、合成樹脂をグラフトさせるカーボンナノ繊維としては、種々の方法によって製造されるカーボンナノ繊維であって、この繊維が長手方向表面に、ダングリングボンドを有する炭素原子やキャップ原子を結合した炭素原子が、グラフェンシート端部として表れている場合は、そのまま使用し、これらの炭素原子がグラフェンシート端部として表れていない場合は、これらの炭素原子を種々の方法(酸化法によりダングリングボンドを生成する方法や、カーボンナノ繊維を溶解させた溶媒中に有機金属を加えて反応させ該繊維にキャップ原子として作用する金属を導入する方法等)で発生させ、グラフェンシート端部として表してから使用する。
【0025】
上記のダングリングボンドを有する炭素原子やキャップ原子を結合した炭素原子がグラフェンシート端部として、長手方向表面に表れているカーボンナノ繊維を、適宜の溶媒に分散させ、ここにグラフトさせる適宜のモノマーを加え、適宜の条件で該モノマーを重合させる。
この条件は、使用するモノマーやカーボンナノ繊維の種類、あるいは所望のグラフト率等によって異なり一概には決められないが、上記した合成樹脂をグラフトさせるためのモノマーを使用し、上記した範囲内のグラフト率を得るためには、溶媒としては、使用するカーボンナノ繊維が良好に分散し、かつ使用するモノマーが良好に溶解するものが好ましく使用できる。
また、空気中からの酸素や水分の移行を防ぐために、反応装置は、密閉状態にするか、あるいは不活性雰囲気下に置くことが好ましい。
【0026】
以上のようにして得られる本発明の変性カーボンナノ繊維を樹脂と混合して使用する場合には、より均一な導電性等を得る目的からは、変性カーボンナノ繊維と相溶性が優れた樹脂との混合が望ましい。
ここで、変性カーボンナノ繊維と相溶性に優れる樹脂は、グラフトに供せられる合成樹脂の構成単位であるモノマーと同一のモノマーの重合体か、これを含む共重合体の樹脂等である。
ただし、ポリスチレンやポリフェニレンエーテル等のように、樹脂の構成単位が、グラフトに供せられる合成樹脂の構成単位とは異なっていても完全に相溶する場合もある。この場合、グラフトに供される合成樹脂と混合する樹脂を事前に(グラフトに供される合成樹脂をカーボンナノ繊維に結合させる前に)混合することで、その相溶性を確認することができる。
【0027】
一方、樹脂の混合系において、混合する樹脂を適宜選択することで、海島等の構造をとる組み合わせも知られている。
導電性を有する変性カーボンナノ繊維と相溶性の樹脂及び非相溶の樹脂の混合使用を想定する場合、海の部分に変性カーボンナノ繊維が含まれ、島の部分には変性カーボンナノ繊維が含まれないように樹脂の種類を選択すると、変性カーボンナノ繊維と相溶性の樹脂の混合使用の場合(すなわち、海のみで、島がなく、海に変性カーボンナノ繊維が含まれるもの)に比べて、変性カーボンナノ繊維の使用量を少なくしても、良好な導電性が保持できる等の特色を持たせることも可能である。
【0028】
また、本発明の塗料は、変性カーボンナノ繊維に結合しているポリマーのSP値と溶媒のSP値の差が1以内であることを特徴としている。
変性カーボンナノ繊維に結合しているポリマーのSP値と溶媒のSP値の差が1を超えると、時間の経過と共に変性カーボンナノ繊維が凝集し、沈殿してしまう。
なお、SP値の差の下限値は、特に限定しないが、ゼロ、すなわち変性カーボンナノ繊維に結合しているポリマーのSP値と溶媒のSP値が同じであっても、良好な分散性を維持することができる塗料となる。
SP値は、「溶剤ハンドブック」(松田種光ら著、昭和38年、産業図書(株)出版)の266〜268頁に記載されている通り、下記式で表される。
【0029】
【数2】
(SP)2=C.E.D.=(ΔE)/V=(ΔH−RT)/V=(C/M)(ΔH−RT)
ここで、C.E.D.:分子凝集エネルギー、
△E:蒸発エネルギー[cal/mol]、
V:分子容[cc/mol]、
△H:蒸発潜熱、
R:気体恒数[cal/mol]、
C:密度[g/cc]、
M:g分子量[g/mol]、
T:絶対温度[K]
【0030】
具体的なポリマーのSP値は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン:5.9、ポリイソブチレン:7.9、ポリエチレン:8.1、ポリイソプレン:8.2、ポリブタジエン:8.5、ポリスチレン:9.2、ポリメタクリル酸メチル:9.3、ポリ酢酸ビニル:9.6、ポリ塩化ビニル:9.7、ポリエチレンテレフタレート:10.7、ポリアクリロニトリル:12.4等である。
また、具体的な溶剤のSP値は、例えば、n−ペンタン:7.0、ジエチルエーテル:7.4、n−オクタン:7.6、シクロヘキサン:8.3、四塩化炭素:8.6、キシレン:8.8、トルエン:8.9、酢酸エチル:9.1、ベンゼン:9.2、メチルエチルケトン:9.3、クロロホルム:9.4、トリクロロエチレン:9.5、メチレンクロリド:9.6、アセトン:9.8、ジクロロエタン:9.9、ジオキサン:10.2、二硫化炭素:10.2、テトラクロロエタン:10.7、プロピオニトリルピリジン:10.7、イソプロパノール:11.5、ニトロエタン:11.9、アセトニトリル:11.9、ジメチルホルムアミド:12.1、エタノール:12.7、ニトロメタン:12.7、メタノール:14.5、水:23.4等である。混合溶剤の場合は、各溶剤のmol数の割合に各SP値を乗じた値とする。
なお、本発明において、SP値に幅がある場合は、その範囲の真ん中の値をSP値とする。
【0031】
【実施例】
実施例1
大谷らの方法(D.Huliclva,F.Sato,K.Okabe,M.Koishi and A.Oya,39,1438(2001))で得られたカーボンナノチューブ(長手方向表面に、ダングリングボンドを有する炭素原子が、グラフェンシート端部として表れている)を十分に脱水したものを100重量部と、やはり十分に脱水したテトラヒドロフラン(THF)4,000重量部とを、反応装置に仕込み、該反応装置に、乾燥窒素雰囲気下で、n−ブチルリチウムの15重量%ヘキサン溶液を加え、室温、常圧で1時間反応させて、上記のカーボンナノチューブの長手方向表面にキャップ原子としてのリチウムを導入した。
【0032】
この後、上記の反応装置に脱水したメチルメタクリル酸メチル200重量部を添加し、常温、常圧で1時間重合させたところ、上記のリチウムを基点とし、上記のカーボンナノチューブの長手方向表面の外側に向かってポリメチルメタクリル酸メチルが成長し、グラフト重合した。
【0033】
なお、上記反応装置内の未反応のn−ブチルリチウムによってもメチルメタクリル酸メチルの重合が開始されて、溶液中にもポリメチルメタクリル酸メチルが生成していると考えられる。
そこで、上記のポリメチルメタクリル酸メチルがグラフトした変性カーボンナノチューブ(以下、MMA変性カーボンナノチューブと記す)を分離するために、次の操作を行った。
【0034】
上記反応装置内の溶液を大量のメタノール溶液中に投じて、攪拌後、濾過して、メタノール溶液に溶解する未反応のn−ブチルリチウムとモノマーを除去した。
濾過残渣の一部を100℃で24時間加熱乾燥して、MMA変性カーボンナノチューブの分散性を喪失させると共に、残渣中に残っている溶媒を除去した。
このMMA変性カーボンナノチューブについて、THFを用いて、24時間のソックスレー抽出を行った後、重量を測定した。
【0035】
このソックスレー抽出後のMMA変性カーボンナノチューブのグラフト率を上記の式により算出した結果、30%であった。
【0036】
実施例2
平均分子量700のポリエチレングリコール100重量部に、実施例1で使用したものと同じカーボンナノチューブ5重量部と、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル10重量部を加え、常圧、90℃で7時間反応させた。
カーボンナノチューブの長手方向表面に存在するダングリングボンドを有する炭素原子を基点とし、長手方向表面にポリエチレングリコールがグラフト重合した。
【0037】
なお、上記のカーボンナノチューブは、ポリエーテルポリオール中で直ぐに沈降するため、反応開始前から反応終了後まで攪拌を続行した。
反応終了後は、攪拌を停止しても、ポリエチレングリコールがグラフト重合した変性カーボンナノチューブ(以下、PEG変性カーボンナノチューブと記す)は、ポリエーテルポリオール中に良好に分散していた。
【0038】
このPEG変性カーボンナノチューブについて、実施例1と同様にしてグラフト率を求めたところ、35%であった。
また、このPEG変性カーボンナノチューブ0.5gをポリエチレングリコール15mLに分散させて、室温下に放置したところ、1カ月経過後にも良好な分散状態を保持していた。
【0039】
実施例3
反応装置に、THF400重量部、カップ積層型カーボンナノチューブ100重量部、スチレンモノマー100重量部を仕込み、窒素雰囲気下85℃に保ち、重合開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)を反応開始前に1重量部、それ以降1時間毎に1重量部づつ添加しつつ、10時間の反応を行った。
カーボンナノチューブの長手方向表面に、スチレン樹脂がグラフト重合した変性カーボンナノチューブ(以下、PS変性カーボンナノチューブ)が得られた。
【0040】
このPS変性カーボンナノチューブについて、実施例1と同様にしてグラフト率を求めたところ、30%であった。
【0041】
また、このPS変性カーボンナノチューブ10重量部と、スチレン樹脂90重量部とを、THF900重量に投入し、次のような試験を行った。
(1)上記分散液の調製直後、1時間経過後、1日経過後に観察し、この結果を表1に示す。
(2)上記分散液の1日経過後のものを50,000rpmで20分間の遠心分離を行った後の分散液の状態を観察し、この結果を表2に示す。
(3)上記分散液の1日経過後のものを攪拌して良好な分散状態にした後、ガラス板上に薄くコーティングし、乾燥させて、厚さ30μmのフィルムに成形し、このフィルムを10倍のルーペで観察すると共に、該フィルムの電気抵抗値を測定し、この結果を表3に示す。
(4)純水1800g、リン酸三石灰7.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ640mgを加え、苛性ソーダでpH7.5とし、350rpmで攪拌し、スチレンモノマー溶液1450g、スチレンモノマー溶液100重量部に対してAIBN0.6重量部とTBPB(ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート)0.2重量部、上記のスチレン樹脂グラフトCNチューブ350gを加え、75℃で24時間重合させた後、これに、炭酸カルシウム4.3g、ポリビニルアルコール2.0g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ100mg、n−ペンタン200ml、ブチルステアレート1.8gを加え、90℃で1.5時間保持し、30分で110℃まで昇温し、この温度で10時間保持して、上記のPS変性カーボンナノチューブを含有する発泡ポリスチレン樹脂(カーボンナノ繊維の割合10重量%)を得た。この発泡ポリスチレン樹脂の電気抵抗値を測定し、この結果を表4に示す。
なお、PS変性カーボンナノチューブを含有する非発泡のポリスチレン樹脂(すなわち、上記配合においてn−ペンタン200mlを使用しないポリスチレン樹脂)の電気抵抗値をも測定し、この結果を表4に合わせて示す。
(5)上記のPS変性カーボンナノチューブについて、各種溶媒中での分散安定性を次の要領で比較し、結果を表5に示す。なお、上記のグラフトしたポリスチレンのSP値の範囲は8.6〜9.7(SP値:9.2)であった。
上記のPS変性カーボンナノチューブ0.5gを各種溶媒10mlにそれぞれ分散させ、各種溶媒中での分散安定性を1時間経過後に比較した。
【0042】
比較例1
特許第2886935号明細書の実施例2に記載の方法に沿って実施した。
すなわち、極細炭素フィブリル(JISK6221 6.1.2B法による吸油量が9.1ml/g)10gをAIBNの5%エタノール溶液中に2時間浸漬した後、該フィフリルのみを取り出し、0℃、減圧下で24時間乾燥してエタノールを除去し、該フィブリル表面にAIBNを付着させ、これをスチレン40gとアクリロニトリル40gとの混合液に加え、窒素雰囲気下、60℃で重合させた。
このときの重合収率は17%であった(カーボンナノ繊維の割合10重量%)。
【0043】
この重合後のフィブリルについて、実施例1と同様にしてグラフト率を求めたところ、1%未満であった。
また、このフィブリルについて、実施例3の(1)〜(5)と同様の試験を行い、結果を表1〜表4に合わせて示す。
【0044】
比較例2
実施例3で使用したカップ積層型カーボンナノチューブをそのまま使用して、実施例の(1)〜(4)と同様の試験を行い、結果を表1〜表4に合わせて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】
以上の詳述したように、本発明によれば、アスペクト比の大きいカーボンナノ繊維の長手方向表面の広い領域に渡って、種々の合成樹脂をグラフト重合することができ、種々の優れた特性を有するカーボンナノ繊維の用途を広げることができる。
また、本発明による変性カーボンナノ繊維は、種々の溶媒中において、良好な分散性を安定して維持することができるため、カーボンナノ繊維の取扱性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するカーボンナノ繊維の長手方向表面に表れるグラフェンシート端部を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 グラフェンシート
11 ダングリングボンドを有する炭素原子
12 炭素原子のダングリングボンドに結合したキャップ原子
DB ダングリングボンド[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a polymer-modified carbon nanofiber, and a resin composition and a paint containing the carbon nanofiber. More specifically, the present invention relates to a modified carbon nanofiber (the present invention) in which a synthetic resin is grafted on a longitudinal surface of the carbon nanofiber. In the invention, this is referred to as “modified carbon nanofiber” or “modified carbon nanofiber”), and relates to a resin composition and a paint containing the modified carbon nanofiber.
[0002]
[Technical background]
In recent years, hollow carbon nanotubes or non-hollow carbon nanofibers (which may be collectively referred to as carbon nanofibers in the present invention) have unique properties, namely, fine fibers, Attention has been paid to a large ratio (approximately 5 to 10 times as long as a diameter of 1 to 200 nm) and to excellent conductive properties, and various uses have been made in various fields.
For example, they can be brought together as a lead wire for electrical and electronic equipment, assembled and used as a material for adsorbing and filtering hydrogen-absorbing materials and impurities, mixed with synthetic resins as synthetic resins with excellent conductive properties, or Various applications have been developed in the field of nanotechnology.
[0003]
By the way, since carbon nanofibers are fine fibers having a large aspect ratio, in general, carbon nanofibers are appropriately aggregated with each other, and a lump of carbon nanofibers is generated. It is a material that is extremely difficult to assemble, mix with synthetic resins and the like.
[0004]
There have been many studies to solve such problems.For example, carbon nanotubes obtained by a gas phase method are said to have good compatibility with synthetic resins and the like even when used alone. Is attributed to the anchor effect due to irregularities at the atomic level on the carbon nanotube surface.
In addition, there is a study on a method of chemically modifying the carbon nanotube surface (for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2002-503204), and it is reported that the compatibility with synthetic resins, solvents, and water is improved by these chemical modifications. ing.
[0005]
However, even in the case of carbon nanotubes by the gas phase method, even in the case of carbon nanotubes whose surfaces are chemically modified, although they show a good dispersion state immediately after dispersion in a solvent, etc., they are separated from the solvent and settle out after several hours. I will.
When these carbon nanotubes are kneaded with a synthetic resin, they are apparently dispersed uniformly. However, when the carbon nanotubes are formed into a film or foamed, a distinct dispersion unevenness occurs, and the characteristics (antistatic property, conductivity , Radio wave shielding properties, etc.).
[0006]
Furthermore, Japanese Patent No. 2886935 proposes a method for producing ultrafine carbon fibrils (multi-walled carbon nanotubes) having a diameter of 3.5 to 70 nm and a length of at least 5 times the diameter. By subjecting an organic polymerizable monomer (having a polymerizable double bond) to normal radical polymerization (bulk, solution, emulsification, suspension) in the presence, a part of the growing radicals is chain-transferred to produce ultrafine carbon. It is described to be added to the surface of fibrils.
However, multi-walled carbon nanotubes are generally very stable chemically, except for a part of both ends, because the surface is a kind of graphite structure in which carbon atoms are regularly bonded, and the growing radicals are trapped on the surface. It is hard to be.
[0007]
The possibility of trapping the growing radical is only in the part where the crystal structure is disturbed at both ends of the multi-walled carbon nanotube, and in the carbon nanotube with a large aspect ratio, the bonding part is extremely small. is there.
Therefore, in the above-mentioned patent publication, rather than the fact that a part of the growing radicals is chain-transferred and added to the surface of the ultrafine carbon fibril, the synthetic resin is strongly physically attached to the surface of the ultrafine carbon nanotube during the polymerization. It is reasonable to think that it is adsorbed.
[0008]
Even with a small amount of synthetic resin, the apparent dispersibility of multi-walled carbon nanotubes with added synthetic resin (mostly presumed to be adsorbed) is improved compared to untreated multi-walled carbon nanotubes. However, long-term dispersion stability in a solvent or water is not obtained, and even when dispersed in a synthetic resin, when formed into a thin film or when foamed, It has been confirmed that poor dispersion occurs.
[Patent Document 1] JP-T-2002-503204 [Patent Document 2] Patent 2888635 [0009]
[Object of the invention]
The present invention is a multilayer, single-layer, hollow body, non-hollow body, and other various carbon nanofibers, and the synthetic resin is favorably graft-polymerized not only on both ends but also on the surface in the longitudinal direction. To provide a modified carbon nanofiber capable of securing a stable and good dispersion state in a solvent, water and a synthetic resin for a long period of time, and a resin composition and a paint containing the modified carbon nanofiber. The purpose is to:
[0010]
Summary of the Invention
As a result of repeated studies to achieve the above object, the present inventor first found that, in order to graft-polymerize a synthetic resin on the surface of the carbon nanofiber in the longitudinal direction, the crystal as described above was applied in the longitudinal direction of the carbon nanofiber. It has been found that it is necessary to have a large number of portions where the structural disorder occurs.
Next, in the process of searching for the carbon nanofibers in which such disorder has occurred, the action of a carbon atom having a dangling bond or an acceptor or donor on the dangling bond in the graphite microcrystals. It has been found that there is a carbon atom to which an atom or molecule (hereinafter collectively referred to as a “cap atom”) is bonded.
Furthermore, it has been found that the synthetic resin easily graft-polymerizes to such carbon atoms.
Thus, it has been concluded that a modified carbon nanofiber that satisfies the above object can be provided if such a carbon atom is present not only at both ends but also in a large number on the surface in the longitudinal direction.
[0011]
The present invention has been made based on the above findings and conclusions, and has a gist of a modified carbon nanofiber obtained by grafting a synthetic resin to an end of a graphene sheet present on a longitudinal surface of a carbon nanofiber. . The end of the graphene sheet in the present invention means the open end of the graphene sheet.
That is, in the present invention, a carbon atom having a dangling bond and / or a carbon atom to which a cap atom is bonded is used as a carbon nanofiber that appears as an end portion of a graphene sheet on a longitudinal surface, and a synthetic resin is used for these carbon atoms. To modify the fiber.
The graft ratio of the synthetic resin in the present invention is preferably from 1 to 200%. Further, the present invention provides a resin composition in which the modified carbon nanofiber is dispersed in a resin, and a difference between the SP value of the synthetic resin grafted on the modified carbon nanofiber and the SP value of the solvent is 1 or less. A paint dispersed in a solvent (that is, an emulsion of the modified carbon nanofibers and a solvent) is also included in the gist.
[0012]
The carbon nanofiber used in the present invention preferably has a diameter of 3.5 to 150 nm and an accept ratio of about 100 to 10000. As described above, the carbon nanofiber may be a hollow body (so-called carbon nanotube) or a non-hollow body. The hollow body may be a single-layered one or a multi-layered one, or a cone-shaped carbon nanohorn or a cup-shaped one. It may be a so-called cup laminated type which is laminated on the substrate.
The carbon nanotubes and carbon nanofibers herein include those having both ends end-cap, one having an end cap and one having an open end, and both having an open end.
[0013]
FIG. 1 is a schematic diagram of such a carbon nanofiber. That is, the carbon atoms 11 having a dangling bond DB are partially broken on the longitudinal surface of the fiber and constitute the
12 schematically shows an example of a cap atom bonded to the dangling bond DB of some of the carbon atoms 111 of the carbon atoms 11, and like the carbon atom 11 having the dangling bond DB described above, It appears on the surface in the longitudinal direction of the fiber as an end of the
[0014]
The mixing ratio when the carbon atom 11 having the dangling bond DB and the carbon atom 111 to which the cap atom 12 is bonded is not limited, but the carbon atom 11 and the cap atom 12 having the dangling bond DB are bonded. In order to achieve the object of the present invention, it is preferable that at least 1% of the carbon atoms 111 be present in the graphene sheet appearing on the longitudinal surface of one carbon nanofiber.
Although the upper limit is not limited, 100%, that is, all the carbon atoms of the graphene sheet appearing on the longitudinal surface are carbon atoms 111 to which the carbon atom 11 having the dangling bond DB and / or the cap atom 12 are bonded, that is, the longitudinal surface. The graphene sheet edge may appear on the entire surface.
Preferably, these carbon atoms to such an extent that the above-mentioned graft ratio is obtained are present in the graphene sheet appearing on the longitudinal surface of one carbon nanofiber.
[0015]
There are various types of the cap atom, and examples thereof include hydrogen (acceptor), lithium, sodium, fluorine (donor), RO- (R is an alkyl group, and the like).
[0016]
The kind of the synthetic resin to be grafted to the carbon atom is not particularly limited, and examples thereof include a styrene resin, an acrylic resin, a urethane resin, an olefin resin, a polyamide resin, a polyester resin, and a polyether resin. Resins, vinyl chloride resins and the like.
[0017]
The graft ratio of these synthetic resins is preferably from 1 to 200% in order to achieve the above object of the present invention.
The graft ratio is determined as follows.
[0018]
The modified carbon nanofibers grafted with the synthetic resin exhibit good dispersion stability in a good solvent of the synthetic resin for a long period of time. In addition, even if an operation such as centrifugation is performed, the modified carbon nanofibers do not settle.
Therefore, the present inventor paid attention to this point and pursued a method for separating modified carbon nanofibers.
As a result, it has been found that the modified carbon nanofiber can be separated by the following method.
[0019]
First, the modified carbon nanofibers are dispersed in a good solvent (methyl ethyl ketone when the synthetic resin to be grafted is an acrylic resin) which disperses the fibers well, and the synthetic resin (grafted onto the modified carbon nanofibers) is dispersed therein. No synthetic resin (hereinafter sometimes referred to as a homopolymer)) and a poor solvent that does not disperse the fibers well (eg, methanol if the grafted synthetic resin is an acrylic resin). Then, the modified carbon nanofibers coagulate and settle. The mixture of the coagulated and precipitated modified carbon nanofibers and the homopolymer is taken out and dried by heating at a predetermined temperature for a predetermined time (at 80 ° C. for 8 hours or more when the grafted synthetic resin is an acrylic resin).
Next, a good solvent is again added to the dried product. Then, the homopolymer is well dispersed in the good solvent, but the modified carbon nanofiber has a low dispersibility, and good dispersion becomes impossible.
Therefore, if this is centrifuged under predetermined conditions (50,000 rpm for 1 hour when the synthetic resin to be grafted is an acrylic resin), the denatured carbon nanofibers will sediment and separate from the homopolymer. Can be.
[0020]
Then, in order to purify the precipitate after centrifugation, this precipitate is dried by heating and subjected to Soxhlet extraction in a good solvent of the synthetic resin for a predetermined time (24 hours when the synthetic resin to be grafted is an acrylic resin). Time) I concluded that we should do it.
[0021]
Therefore, in order to measure the graft ratio in the present invention, first, a mixture of the modified carbon nanofibers and the homopolymer is separated from the reaction solution using a poor solvent, and the mixture is dried by heating for a predetermined period of time. And centrifuged. Next, the precipitate is dried by heating and extracted with a good solvent to take out the modified carbon nanofiber, and its weight is measured.
From this value and the weight of the carbon nanofiber before the grafting of the synthetic resin, the graft ratio is determined by the following equation.
[0022]
(Equation 1)
Graft ratio (%) = [(weight of modified carbon nanofiber−weight of carbon nanofiber) / weight of carbon nanofiber] × 100
[0023]
In addition, the type of synthetic resin to be grafted differs depending on the target and application of the modified carbon nanofiber of the present invention. For example, if it is intended to add an antistatic function by adding to polystyrene, it is compatible with polystyrene. Graft polymerization of high synthetic resin, for example, polystyrene or styrene-butadiene copolymer resin.
[0024]
The modified carbon nanofiber of the present invention having the above graft ratio can be obtained by various methods.
For example, carbon nanofibers to be grafted with a synthetic resin include carbon nanofibers produced by various methods, and the carbon nanofibers having carbon atoms having dangling bonds or cap atoms bonded to the longitudinal surface thereof. However, if it appears as the end of the graphene sheet, it is used as it is. If these carbon atoms do not appear as the end of the graphene sheet, these carbon atoms are used in various methods (dangling bonds are formed by an oxidation method). Or a method in which an organic metal is added to a solvent in which carbon nanofibers are dissolved to cause a reaction, and a metal that acts as a cap atom is introduced into the fibers, etc.), and used as a graphene sheet end. .
[0025]
The carbon atoms having the dangling bonds and the carbon atoms bonded to the cap atoms serve as graphene sheet edges, and the carbon nanofibers appearing on the surface in the longitudinal direction are dispersed in an appropriate solvent, and an appropriate monomer to be grafted here is dispersed. And the monomer is polymerized under appropriate conditions.
This condition varies depending on the type of the monomer or the carbon nanofiber used, or the desired graft ratio, etc., and cannot be unconditionally determined. However, a monomer for grafting the above synthetic resin is used, and the grafting within the above range is performed. In order to obtain a ratio, a solvent in which the carbon nanofibers used are well dispersed and the monomers used are well dissolved can be preferably used.
Further, in order to prevent the transfer of oxygen and moisture from the air, it is preferable that the reaction apparatus is sealed or placed under an inert atmosphere.
[0026]
When the modified carbon nanofiber of the present invention obtained as described above is used by mixing with a resin, for the purpose of obtaining more uniform conductivity and the like, a resin having excellent compatibility with the modified carbon nanofiber is used. Is desirable.
Here, the resin having excellent compatibility with the modified carbon nanofiber is a polymer of the same monomer as the monomer which is a constituent unit of the synthetic resin to be subjected to grafting, or a resin of a copolymer containing the same.
However, in some cases, such as polystyrene and polyphenylene ether, the structural units of the resin are different from the structural units of the synthetic resin used for grafting, but are completely compatible. In this case, the compatibility can be confirmed by mixing the resin to be mixed with the synthetic resin to be grafted in advance (before the synthetic resin to be grafted is bonded to the carbon nanofibers).
[0027]
On the other hand, in a mixed system of resins, there is also known a combination in which a resin to be mixed is appropriately selected to form a structure such as a sea-island.
When assuming a mixed use of a resin that is compatible with and incompatible with conductive modified carbon nanofibers, the sea part contains modified carbon nanofibers, and the island part contains modified carbon nanofibers. When the type of resin is selected so that it is not mixed, the modified carbon nanofiber and the compatible resin are mixed (that is, only the sea, no island, and the sea contains the modified carbon nanofiber). Even if the amount of the modified carbon nanofibers is reduced, it is possible to impart characteristics such as maintaining good conductivity.
[0028]
Further, the paint of the present invention is characterized in that the difference between the SP value of the polymer bound to the modified carbon nanofiber and the SP value of the solvent is within 1 or less.
If the difference between the SP value of the polymer bound to the modified carbon nanofibers and the SP value of the solvent exceeds 1, the modified carbon nanofibers aggregate and precipitate over time.
The lower limit of the difference between the SP values is not particularly limited. However, even when the SP value of the polymer bonded to the modified carbon nanofibers and the SP value of the solvent are the same, good dispersibility is maintained. A paint that can be made.
The SP value is represented by the following formula, as described in “Solvent Handbook” (Tanemitsu Matsuda et al., 1963, published by Sangyo Tosho Co., Ltd.), pages 266 to 268.
[0029]
(Equation 2)
(SP) 2 = C. E. FIG. D. = (ΔE) / V = (ΔH-RT) / V = (C / M) (ΔH-RT)
Here, C.I. E. FIG. D. : Molecular cohesion energy,
ΔE: evaporation energy [cal / mol],
V: molecular volume [cc / mol],
ΔH: latent heat of evaporation,
R: gas constant [cal / mol],
C: density [g / cc],
M: g molecular weight [g / mol],
T: Absolute temperature [K]
[0030]
Specific polymer SP values are, for example, polytetrafluoroethylene: 5.9, polyisobutylene: 7.9, polyethylene: 8.1, polyisoprene: 8.2, polybutadiene: 8.5, and polystyrene: 9. 2, polymethyl methacrylate: 9.3, polyvinyl acetate: 9.6, polyvinyl chloride: 9.7, polyethylene terephthalate: 10.7, polyacrylonitrile: 12.4, and the like.
The SP value of a specific solvent is, for example, 7.0 for n-pentane, 7.4 for diethyl ether, 7.6 for n-octane, 8.3 for cyclohexane, 8.6 for carbon tetrachloride, Xylene: 8.8, toluene: 8.9, ethyl acetate: 9.1, benzene: 9.2, methyl ethyl ketone: 9.3, chloroform: 9.4, trichloroethylene: 9.5, methylene chloride: 9.6, Acetone: 9.8, dichloroethane: 9.9, dioxane: 10.2, carbon disulfide: 10.2, tetrachloroethane: 10.7, propionitrile pyridine: 10.7, isopropanol: 11.5, nitroethane: 11.9, acetonitrile: 11.9, dimethylformamide: 12.1, ethanol: 12.7, nitromethane: 12.7, methanol: 14.5, water: 2 A .4, and the like. In the case of a mixed solvent, the value is obtained by multiplying the ratio of the number of moles of each solvent by each SP value.
In the present invention, when there is a range in the SP value, the middle value of the range is set as the SP value.
[0031]
【Example】
Example 1
Carbon nanotubes obtained by the method of Otani et al. 100 parts by weight of fully dehydrated atoms (shown as graphene sheet edges) and 4,000 parts by weight of sufficiently dehydrated tetrahydrofuran (THF) are charged into a reaction apparatus, and the reaction apparatus is charged. Under a dry nitrogen atmosphere, a 15% by weight hexane solution of n-butyllithium was added, and the mixture was reacted at room temperature and normal pressure for 1 hour to introduce lithium as a cap atom on the surface of the carbon nanotube in the longitudinal direction.
[0032]
Thereafter, 200 parts by weight of dehydrated methyl methacrylate was added to the reactor, and the mixture was polymerized for 1 hour at normal temperature and normal pressure. Polymethyl methacrylate grew toward the surface and graft-polymerized.
[0033]
It is considered that unreacted n-butyllithium in the reactor also started polymerization of methyl methacrylate, and polymethyl methacrylate was generated in the solution.
Then, the following operation was performed in order to separate the modified carbon nanotubes grafted with the above-mentioned polymethyl methyl methacrylate (hereinafter referred to as MMA-modified carbon nanotubes).
[0034]
The solution in the reactor was poured into a large amount of a methanol solution, stirred, and then filtered to remove unreacted n-butyllithium and monomers dissolved in the methanol solution.
A part of the filtration residue was dried by heating at 100 ° C. for 24 hours to lose the dispersibility of the MMA-modified carbon nanotubes and to remove the solvent remaining in the residue.
This MMA-modified carbon nanotube was subjected to Soxhlet extraction for 24 hours using THF, and then its weight was measured.
[0035]
As a result of calculating the graft ratio of the MMA-modified carbon nanotubes after the Soxhlet extraction by the above equation, it was 30%.
[0036]
Example 2
5 parts by weight of the same carbon nanotubes as used in Example 1 and 10 parts by weight of benzoyl peroxide as a polymerization initiator were added to 100 parts by weight of polyethylene glycol having an average molecular weight of 700, and reacted at 90 ° C. for 7 hours under normal pressure. I let it.
Starting from a carbon atom having a dangling bond existing on the longitudinal surface of the carbon nanotube, polyethylene glycol was graft-polymerized on the longitudinal surface.
[0037]
Since the carbon nanotubes settled immediately in the polyether polyol, stirring was continued from before the start of the reaction to after the end of the reaction.
After the completion of the reaction, even when the stirring was stopped, the modified carbon nanotubes on which the polyethylene glycol was graft-polymerized (hereinafter referred to as PEG-modified carbon nanotubes) were well dispersed in the polyether polyol.
[0038]
When the graft ratio of this PEG-modified carbon nanotube was determined in the same manner as in Example 1, it was 35%.
When 0.5 g of this PEG-modified carbon nanotube was dispersed in 15 mL of polyethylene glycol and allowed to stand at room temperature, a good dispersion state was maintained even after one month.
[0039]
Example 3
In a reactor, 400 parts by weight of THF, 100 parts by weight of cup-walled carbon nanotubes, and 100 parts by weight of styrene monomer were charged and maintained at 85 ° C. under a nitrogen atmosphere, and azoisobutyronitrile (AIBN) was used as a polymerization initiator before the reaction was started. The reaction was carried out for 10 hours while adding 1 part by weight and 1 part by weight every hour thereafter.
A modified carbon nanotube obtained by graft polymerization of a styrene resin (hereinafter, PS-modified carbon nanotube) was obtained on the surface of the carbon nanotube in the longitudinal direction.
[0040]
When the graft ratio of this PS-modified carbon nanotube was determined in the same manner as in Example 1, it was 30%.
[0041]
Further, 10 parts by weight of the PS-modified carbon nanotube and 90 parts by weight of the styrene resin were added to 900 parts by weight of THF, and the following test was conducted.
(1) Immediately after preparation of the above-mentioned dispersion liquid, after 1 hour, 1 day, and observation, the results are shown in Table 1.
(2) The state of the dispersion after centrifugation at 50,000 rpm for 20 minutes after one day of the above dispersion was observed. The results are shown in Table 2.
(3) After one day of the above dispersion, the dispersion is stirred to obtain a good dispersion state, then thinly coated on a glass plate, dried and formed into a film having a thickness of 30 μm. And the electrical resistance of the film was measured. The results are shown in Table 3.
(4) 1800 g of pure water, 7.0 g of tricalcium phosphate and 640 mg of sodium dodecylbenzenesulfonate were added, the pH was adjusted to 7.5 with sodium hydroxide, and the mixture was stirred at 350 rpm. 0.6 parts by weight of AIBN, 0.2 parts by weight of TBPB (tertiary butyl peroxybenzoate) and 350 g of the above-mentioned styrene resin grafted CN tube were added, polymerized at 75 ° C. for 24 hours, and 4.3 g of calcium carbonate was added thereto. Then, 2.0 g of polyvinyl alcohol, 100 mg of sodium dodecylbenzenesulfonate, 200 ml of n-pentane, and 1.8 g of butyl stearate were added, the mixture was kept at 90 ° C. for 1.5 hours, and heated to 110 ° C. in 30 minutes. For 10 hours, and the above PS modified carbon nanotubes It was obtained containing the expanded polystyrene resin (ratio 10 percent by weight of carbon nanofibers). The electrical resistance of the expanded polystyrene resin was measured, and the results are shown in Table 4.
The electrical resistance of a non-foamed polystyrene resin containing PS-modified carbon nanotubes (ie, a polystyrene resin not using 200 ml of n-pentane in the above formulation) was also measured, and the results are shown in Table 4.
(5) The dispersion stability of the PS-modified carbon nanotubes in various solvents was compared in the following manner, and the results are shown in Table 5. The range of the SP value of the grafted polystyrene was 8.6 to 9.7 (SP value: 9.2).
0.5 g of the PS-modified carbon nanotubes was dispersed in 10 ml of various solvents, and the dispersion stability in various solvents was compared after 1 hour.
[0042]
Comparative Example 1
It carried out according to the method of Example 2 of patent 2888635 specification.
That is, 10 g of ultrafine carbon fibrils (oil absorption of 9.1 ml / g according to JIS K6221 6.1.2B method) was immersed in a 5% ethanol solution of AIBN for 2 hours, and only the fifurils were taken out at 0 ° C. under reduced pressure. For 24 hours to remove ethanol, and to attach AIBN to the surface of the fibril. This was added to a mixture of 40 g of styrene and 40 g of acrylonitrile, and polymerized at 60 ° C. under a nitrogen atmosphere.
The polymerization yield at this time was 17% (10% by weight of carbon nanofibers).
[0043]
The degree of grafting of the fibrils after the polymerization was determined in the same manner as in Example 1, and found to be less than 1%.
In addition, the same tests as (1) to (5) of Example 3 were performed on this fibril, and the results are shown in Tables 1 to 4.
[0044]
Comparative Example 2
The same tests as in Examples (1) to (4) were performed using the cup-walled carbon nanotubes used in Example 3 as they were, and the results are shown in Tables 1 to 4.
[0045]
[Table 1]
[0046]
[Table 2]
[0047]
[Table 3]
[0048]
[Table 4]
[0049]
[Table 5]
[0050]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the present invention, various synthetic resins can be graft-polymerized over a wide area of the longitudinal surface of the carbon nanofiber having a large aspect ratio, and various excellent properties can be obtained. The use of the carbon nanofiber can be expanded.
In addition, the modified carbon nanofiber according to the present invention can stably maintain good dispersibility in various solvents, so that the handleability of the carbon nanofiber can be significantly improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram for explaining an end portion of a graphene sheet appearing on a longitudinal surface of a carbon nanofiber used in the present invention.
[Explanation of symbols]
Claims (4)
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Publications (1)
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