【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット輪転印刷用塗工紙に関するものであり、さらに詳しくはオフセット輪転印刷の熱乾燥工程におけるヒジワの発生を抑制し、かつ印刷ムラの少ないオフセット輪転印刷用塗工紙に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、オフセット印刷およびその印刷物の分野では、印刷操業性および印刷品質への要望がますます厳しくなっている。特に、強制熱風乾燥工程を有する輪転式印刷機においては、印刷機器の改良に伴い、印刷速度が年を追う毎に上昇しており、これに伴ってトラブルとして問題となる、いわゆるピッキング、ヒジワ、およびブリスターなどに対する紙の耐性は印刷作業の生産性を高めるために常に強く要求されている。
【０００３】
これらの発生要因については、これまで多くの研究がなされている。ブリスターは、印刷後の高温での強制乾燥時に、紙層内の水分が急激に蒸発する際、重色ベタ印刷部では蒸気の揮散経路が十分ではないために、行き場を失った蒸気が紙層の抵抗に打ち勝って、紙層を剥離して膨張させる。ブリスターの発生に関わる要因は多数存在するが、塗工紙の水蒸気透過性や紙層の剥離抵抗力などが関連することが知られている。
【０００４】
一方、ヒジワについては、大別して２つの考え方がある。一つは、テンションジワであり、オフ輪印刷時に用紙にテンションが加わるために発生したシワが、オフセットインキにより固定化すると考え方である。もう一つは、オフ輪印刷の乾燥工程において、印刷部と非印刷部の乾燥収縮量の差によりシワが発生する考え方である。
【０００５】
この様な現象を抑えるために、具体的手段としていくつかの手法が提案されている。使用する原紙のパルプのフリーネスを特定範囲に保持すると共に、当該原紙の透気度も通気性良い領域に規制する手法が提案されている。しかし、フリーネスと透気度は逆相関することから、生産コスト内での操業性を考慮すると調節は困難である（例えば、特許文献１参照）。
【０００６】
また、巻取り水分と原紙の内部層間強度を規定する方法を提案しているが、内部層間強度を下げることは、ブリスターの発生を促進する。これを防ぐには、塗工層水分を低くする必要があるが、これに伴い、塗工層の表面が割れる現象が発生しやすくなる（例えば、特許文献２参照）。
【０００７】
また、オフ輪印刷時に横目（ＣＤ方向）における乾燥収縮率の小さい紙を使用する方法を提案しており、その方法として、ポリビニルアルコール（以下、ＰＶＡと略す。）などの樹脂皮膜を使用する方法を提案している。これらの樹脂は、オフ輪ジワ抑制に効果的であるが、反面、吸油着肉の悪化に伴い印刷ムラが発生しやすくなる。特に、ＰＶＡでは上塗り層に特徴的な空孔が発生し、印刷時の商品性がさらに損なわれる（例えば、特許文献３参照）。
【０００８】
また、加熱条件下での印刷用塗被紙を一定の熱機械分析機に掛けて一定の手法で測定した場合の乾燥収縮力を規定し、オフ輪ジワとの相関性を記載する例がある。その手法として、ＰＶＡならびにＳＢＲラテックスに対しての記述もあるが、ラテックスの種類については限定されていない（例えば、特許文献４参照）。
【０００９】
【特許文献１】
特開昭５８−１８６７００号公報
【特許文献２】
特開平９−２９１４９６号公報
【特許文献３】
特開平１１−１５０７５５号公報
【特許文献４】
特開２０００−４５１９９号公報
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、オフセット輪転印刷の熱乾燥工程におけるヒジワの発生を抑制し、かつ印刷ムラの少ないオフセット輪転印刷用塗工紙を提供するものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意検討した結果、本発明のオフセット輪転印刷用塗工紙を発明するに至った。
【００１２】
すなわち、本発明のオフセット輪転印刷用塗工紙は、原紙上に顔料および接着剤を主成分とする塗工層を設けたオフセット輪転印刷用塗工紙において、原紙上に、スチレン、ブタジエンを主成分とするＳＢＲラテックスで、該ＳＢＲラテックス組成中のブタジエン含有率が４４質量％以下、かつアクリロニトリル含有率が９質量％以下であるＳＢＲラテックスを下塗り塗工液として片面当たり０．５〜４ｇ／ｍ２（乾燥質量）塗工してなることを特徴とするものである。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のオフセット輪転印刷用塗工紙について詳細に説明する。
【００１４】
一般に、ＳＢＲラテックスを使用する場合には、用途により、組成、ゲル量、粒子径の最適化をおこなう。例えば、ゲル量の低いＳＢＲラテックスを顔料と伴に塗工すると、塗工層の通気性が向上するが、一方でピック強度が低下することが知られている。また、平均粒子径が小さいほどピッキング強度が向上し、耐ブリスター性は低下する。ＳＢＲラテックスは、スチレンおよびブタジエンを主構成モノマーとするが、変性を目的として各種のコモノマー、例えば、メチルメタクリレート（以下、ＭＭＡと略す。）、高級アクリレート、アクリトニトリル、アクリルアミド、ヒドロシキエチルアクリレート、ならびにイタコン酸、マレイン酸、アクリル酸、およびメタクリル酸などの各種不飽和カルボン酸、などの組合せが可能である。
【００１５】
本発明に使用されるＳＢＲラテックスとしては、アクリロニトリルの組成含有量が、１０質量％以下であるＳＢＲラテックスを用いる必要がある。ＳＢＲラテックスへのアクリロニトリルの添加は、親油性の向上により印刷適性の向上、耐アルカリ性の向上、ガラス転移温度Ｔｇの低下を目的とするものである。成分自体は、スチレンおよびＭＭＡへの内部可塑剤として働くことから、軟質成分であり、添加量が増えるほどＳＢＲラテックスの引っ張り強度は低下し、伸びは向上する。本発明においては、組成量がおおむね９質量％以下である時、オフ輪ジワの発生を抑制する効果が発現する。
【００１６】
また、ＳＢＲラテックスの軟質成分としては、ブタジエンが挙げられる。ブタジエン自体はラテックスの主構成モノマーであり、ラテックスの弾性や耐摩耗性に寄与している。本発明においては、ブタジエンとアクリロニトリルの合計組成量が４４質量％以下である時、オフ輪ジワの発現を抑制する効果が発現する。
【００１７】
本発明に用いられるＳＢＲラテックスは、原紙上に下塗り塗工液として、片面当たり０．５ｇ〜４ｇ／ｍ２（乾燥質量）塗工することが必要である。これらの塗工量は、塗工方法にも依存する。例えば、同じオフ輪ジワ抑制効果を発現するＳＢＲラテックスの塗工量は、ブレード塗工方式の方が、サイズプレス方式より少なくてすむ。これは、塗工方式が異なることにより、ＳＢＲラテックスの濃度調整範囲が異なり、結果として、原紙への浸透性が異なることに起因する。浸透性が異なるため、紙層でのＳＢＲラテックスの分布が異なることがオフ輪ジワ抑制効果の差となると推測される。なお、塗工量が片面当たり０．５ｇ／ｍ２未満では、オフ輪ジワ抑制効果は多少発現するが、ブリスターが発生しやすくなる。一方、塗工量が片面当たり４ｇ／ｍ２を超えて多い場合には、原紙層と塗工層との接着力が樹脂皮膜により低下し、ミクロブリスターの発生が顕著となる。
【００１８】
本発明において、上塗り層としての上塗り塗工液に用いられる顔料は、特に限定されるものではなく、例えば、各種カオリン、タルク、粉砕炭酸カルシウムなどの精製した天然鉱物顔料、サチンホワイト、リトホンなどの複合合成顔料、酸化チタン、沈降性炭酸カルシウム、水酸化アルミナなどの半合成顔料、プラスチック顔料などの合成顔料が挙げられる。
【００１９】
上塗り塗工液に用いられる澱粉としては、通常の澱紛、酸化澱紛、エーテル化澱紛、エステル化澱紛、酵素変性澱紛やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉が挙げられる。
【００２０】
また、上塗り塗工液に用いられる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カゼイン、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子、ポリアクリル酸塩、スチレンマレイン酸無水共重合体などの合成重合体、珪酸塩などの無機重合体などが挙げられる。
【００２１】
上塗り塗工液に用いられる澱粉以外のバインダーとしては、スチレン−ブタジエン系、アクリル系、酢酸ビニル系などの各種共重合体ＳＢＲラテックス、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ユリアまたはメラミン／ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン／エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。
【００２２】
また、必要に応じて、分散剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤などの通常使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をカチオン化したものが好適に用いられる。
【００２３】
本発明に用いられる原紙としては、ＬＢＫＰ、ＮＢＫＰなどの化学パルプ、ＧＰ、ＰＧＷ、ＲＭＰ、ＴＭＰ、ＣＴＭＰ、ＣＧＰなどの機械パルプ、および故紙パルプなどの各種パルプを含み、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などの各種配合剤を好適に配合し、酸性、中性、アルカリ性のいずれかでも抄造できる。本発明の原紙においては、ノーサイズプレス原紙、澱紛、ポリビニルアルコールなどでサイズプレスされた原紙などを用いることができる。また、必要とする原紙の密度、平滑度を得るために各種カレンダー処理を施す場合も有る。
【００２４】
一連の操業で、塗工、乾燥された塗工紙は、必要に応じて各種カレンダー処理が施される。
【００２５】
本発明において、原紙へ本発明に用いられるＳＢＲラテックスを塗工するに際し、その水溶液の濃度は塗工装置と操業性に依存する。例えば、特に限定するものではないが、一般の塗工紙製造分野で使用されるブレードコーターでは、ＳＢＲラテックスの乾燥に注意すれば５０質量％付近の原液濃度でも塗工可能であり、塗工に適した液性となるように希釈する事も可能である。また、２ロールサイズプレスコーター、ゲートロールサイズプレスコーターでは、トランスファーロール上の皮膜性を考慮する必要があるため、３０質量％以下で塗工することが望ましい。
【００２６】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、これらの例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および％はそれぞれ質量部および質量％を示す。
【００２７】
実施例１
＜原紙配合＞
ＬＢＫＰ（濾水度４４０ｍｌｃｓｆ） ７０部
ＮＢＫＰ（濾水度４９０ｍｌｃｓｆ） ３０部
【００２８】
＜内添薬品＞
軽質炭酸カルシウム（＊原紙中灰分で表示） ＊８部
市販カチオン化澱粉 １．０部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留まり向上剤 ０．０３部
パルプ、内添薬品を上記の配合で調整し、坪量７０ｇ／ｍ２の原紙を抄造した。
【００２９】
＜下塗り塗工液＞
市販ＳＢＲラテックスバインダー（ケ゛ル含有量３６％、平均粒径１０８ｎｍ） １００部
【００３０】
＜上塗り塗工液＞
市販中空顔料（粒子径１μｍ） ５部
市販微粒カオリンクレー ４５部
市販一級カオリンクレー ２０部
市販重質炭酸カルシウム ３０部
市販ポリアクリル酸系分散剤 ０．１部
ＳＢＲラテックスバインダー １０部
市販燐酸エステル澱粉 ５部
水酸化ナトリウム ｐＨ９．６に調製
【００３１】
上記により得られた原紙に対して、下塗り塗工液を２ロールサイズプレスコーターを用いて、塗工速度８００ｍ／分で塗工液を片面２ｇ／ｍ２塗工し、乾燥して下塗り塗工紙を得た。また、上塗り塗工液を上記の配合により調整し、ファウンテンアプリケーション／ブレード方式塗工機を用いて、塗工速度１６００ｍ／分で塗工液を片面１５ｇ／ｍ２塗工し、乾燥して塗工紙を得た。
【００３２】
得られた塗工紙に対し、オフラインでスーパーカレンダー装置（段数：１０段、剛性ロール：外径４００ｍｍのチルドロール、弾性ロール：外径４００ｍｍのコットンロール、線圧：２２０ｋｇ／ｃｍ）を用いてカレンダリング処理を施し、実施例１のオフセット輪転印刷用塗工紙を製造した。
【００３３】
実施例２
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン４０％、アクリロニトリル３．５％）に変更した以外は実施例１と同様にして実施例２のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００３４】
実施例３
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン４４％、アクリロニトリル３．５％）に変更した以外は実施例１と同様にして実施例３のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００３５】
実施例４
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン３５％、アクリロニトリル９％）に変更した以外は実施例１と同様にして実施例４のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００３６】
実施例５
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン４０％、アクリロニトリル０％）に変更した以外は実施例１と同様にして実施例５のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００３７】
実施例６
実施例１において、ＳＢＲラテックスの塗工量を１ｇ／ｍ２に変更した以外は実施例１と同様にして実施例６のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００３８】
実施例７
実施例１において、ＳＢＲラテックスの塗工量を２ｇ／ｍ２に変更した以外は実施例１と同様にして実施例７のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００３９】
実施例８
実施例１において、ＳＢＲラテックスの塗工量を８ｇ／ｍ２に変更した以外は実施例１と同様にして実施例８のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４０】
比較例１
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン４０％、アクリロニトリル１０％）に変更した以外は実施例１と同様にして比較例１のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４１】
比較例２
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン３１％、アクリロニトリル１５％）に変更した以外は実施例１と同様にして比較例２のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４２】
比較例３
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン３９％、アクリロニトリル１５％）に変更した以外は実施例１と同様にして比較例３のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４３】
比較例４
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン４５％、アクリロニトリル１５％）に変更した以外は実施例１と同様にして比較例４のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４４】
比較例５
実施例１において、ＳＢＲラテックスの種類を変更し（ブタジエン４５％、アクリロニトリル５％）に変更した以外は実施例１と同様にして比較例５のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４５】
比較例６
実施例１において、ＳＢＲラテックスの塗工量を０．８ｇ／ｍ２に変更した以外は実施例１と同様にして比較例６のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４６】
比較例７
実施例１において、ＳＢＲラテックスの塗工量を１０ｇ／ｍ２に変更した以外は実施例１と同様にして比較例７のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４７】
比較例８
実施例１において、ＳＢＲラテックスを酸化澱粉に変更した以外は実施例１と同様にして比較例８のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４８】
比較例９
実施例１において、ＳＢＲラテックスをＰＶＡに変更した以外は実施例１と同様にして比較例９のオフ輪印刷用塗工紙を製造した。
【００４９】
上記実施例１〜８および比較例１〜９により得られたオフセット輪転印刷用塗工紙について、下記の評価方法により評価し、その結果を表１に示した。
【００５０】
＜ヒジワ＞
オフセット輪転印刷機（三菱重工（株）製、リソピアＢＴ−２−６００型）を用い、オフセット輪転用印刷インキ（大日本インキ（株）製、ウェブワールドテラスＮの、黒、藍、紅、黄の各色）を使用し、ベタ印刷部分の流れ方向のヒジワ（しわ）を目視評価した。ヒジワの評価は以下のように記した。◎：ほとんど発生しない、○：わずかに発生する、△：発生する、×：発生が著しい。
【００５１】
＜耐ブリスター性＞
１５０℃〜２００℃のオイルバスにアルミで包装した塗工紙を一定時間浸漬して、発生するブリスターの数と大きさで採点した（１０点満点）耐ブリスター性の評価は以下のように記した。
◎（非常に良好）：１０点
○（良好） ：７〜９点
△（普通） ：４〜６点
×（不良） ：５点以下
【００５２】
＜印刷ムラ＞
オフセット輪転印刷機（三菱重工（株）製、リソピアＢＴ−２−６００型）を用い、オフセット輪転用印刷インキ（大日本インキ（株）製、ウェブワールドテラスＮの、黒、藍、紅、黄の各色）を使用し、ベタ印刷部分を目視評価した。
◎（非常に良好）：１０点
○（良好） ：７〜９点
△（普通） ：４〜６点
×（不良） ：５点以下
【００５３】
【表１】
【００５４】
評価結果
実施例１〜５では、適切な組成のＳＢＲラテックスバインダーを用いることで、また、実施例６〜８では塗工量を変更した場合でも、良好な耐ブリスター性、オフ輪ジワの抑制、ムラのない印刷を実現している。ただし、組成の境界付近では、オフ輪ジワの評価が下がる傾向が見受けられる。比較例１〜５では、オフ輪ジワの抑制に問題があり、比較例６、８では、塗工量が適切でないために耐ブリスター性に問題がある。また、比較例８では、耐ブリスター性、オフ輪ジワの両者とも問題があること、比較例９では、オフ輪ジワ、耐ブリスター性は良好であるが、印刷ムラに問題があることがわかる。
【００５５】
【発明の効果】
本発明により、原紙上に、特定のＳＢＲラテックスを下塗り塗工液として片面当たり０．５〜４ｇ／ｍ２（乾燥質量）塗工することにより、オフセット輪転印刷の熱乾燥工程におけるヒジワの発生を抑制し、かつ印刷ムラの少ないオフセット輪転印刷用塗工紙を得ることができる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to coated web for offset rotary printing, and more particularly, to coated web for offset rotary printing which suppresses occurrence of wrinkles in a heat drying step of offset rotary printing, and has less printing unevenness. .
[0002]
[Prior art]
In recent years, in the field of offset printing and its printed matter, demands for print operability and print quality have become increasingly severe. In particular, in a rotary printing press having a forced hot air drying step, with the improvement of printing equipment, the printing speed is increasing every year, and this is a problem as a problem, so-called picking, hijiwa, And the resistance of paper to blisters and the like is always strongly required to increase the productivity of the printing operation.
[0003]
Many studies have been conducted on these factors. When water in the paper layer evaporates rapidly at the time of forced drying at high temperature after printing, the blister loses its place because the vaporization path of the vapor is not enough in the solid color solid printing part. The paper layer is peeled and expanded by overcoming the resistance. Although there are many factors related to the generation of blisters, it is known that the water vapor permeability of the coated paper and the peeling resistance of the paper layer are related.
[0004]
On the other hand, hijiwa has two main ideas. One is a tension wrinkle, which is based on the idea that wrinkles generated due to the application of tension to paper during off-press printing are fixed by offset ink. The other is that wrinkles are generated due to a difference in drying shrinkage between a printed portion and a non-printed portion in a drying process of web offset printing.
[0005]
In order to suppress such a phenomenon, several methods have been proposed as specific means. A method has been proposed in which the freeness of the pulp of the base paper used is kept within a specific range, and the air permeability of the base paper is restricted to a region having good air permeability. However, since freeness and air permeability are inversely correlated, adjustment is difficult in consideration of operability within production costs (for example, see Patent Document 1).
[0006]
In addition, a method has been proposed for defining the winding moisture and the internal interlayer strength of the base paper. However, lowering the internal interlayer strength promotes the generation of blisters. In order to prevent this, it is necessary to lower the water content of the coating layer, but with this, the phenomenon that the surface of the coating layer is cracked tends to occur (for example, see Patent Document 2).
[0007]
Also, there has been proposed a method of using paper having a small dry shrinkage in the horizontal direction (CD direction) at the time of off-wheel printing, and as a method of using a resin film such as polyvinyl alcohol (hereinafter abbreviated as PVA). Has been proposed. These resins are effective in suppressing off-wheel wrinkles, but on the other hand, printing unevenness is likely to occur due to deterioration of oil absorption. In particular, in the case of PVA, characteristic voids are generated in the overcoat layer, and the merchantability during printing is further impaired (for example, see Patent Document 3).
[0008]
In addition, there is an example in which the drying shrinkage force when a printing coated paper under a heating condition is measured by a certain method by applying it to a certain thermomechanical analyzer and the correlation with an off-ring wrinkle is described. . As a technique, there is a description about PVA and SBR latex, but the type of latex is not limited (for example, see Patent Document 4).
[0009]
[Patent Document 1]
JP-A-58-186700 [Patent Document 2]
JP-A-9-291496 [Patent Document 3]
JP-A-11-150755 [Patent Document 4]
JP 2000-45199 A
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a coated paper for offset rotary printing that suppresses the occurrence of wrinkles in a heat drying step of offset rotary printing and has less printing unevenness.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The present inventor has made intensive studies in view of the above, and as a result, has come to invent the coated paper for rotary offset printing of the present invention.
[0012]
That is, the coated paper for offset rotary printing of the present invention is a coated paper for offset rotary printing in which a coating layer mainly composed of a pigment and an adhesive is provided on base paper, and styrene and butadiene are mainly provided on the base paper. An SBR latex having a butadiene content of 44% by mass or less and an acrylonitrile content of 9% by mass or less in the composition of the SBR latex as an undercoat coating liquid of 0.5 to 4 g / m2 per side. 2 (dry mass) coating.
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the coated paper for offset rotary printing of the present invention will be described in detail.
[0014]
Generally, when SBR latex is used, the composition, the amount of gel, and the particle size are optimized depending on the application. For example, it is known that when SBR latex having a low gel amount is applied together with a pigment, the air permeability of the coating layer is improved, but the pick strength is reduced. Further, as the average particle size is smaller, the picking strength is improved, and the blister resistance is reduced. SBR latex has styrene and butadiene as main constituent monomers, but various comonomers for the purpose of modification, for example, methyl methacrylate (hereinafter abbreviated as MMA), higher acrylate, acritonitrile, acrylamide, hydroxyethyl acrylate, And combinations of various unsaturated carboxylic acids such as itaconic acid, maleic acid, acrylic acid, and methacrylic acid, and the like.
[0015]
As the SBR latex used in the present invention, it is necessary to use an SBR latex having an acrylonitrile composition content of 10% by mass or less. The purpose of adding acrylonitrile to the SBR latex is to improve printability by improving lipophilicity, improve alkali resistance, and lower the glass transition temperature Tg. Since the component itself acts as an internal plasticizer for styrene and MMA, it is a soft component, and as the amount of addition increases, the tensile strength of the SBR latex decreases and elongation improves. In the present invention, when the composition amount is approximately 9% by mass or less, an effect of suppressing generation of off-ring wrinkles is exhibited.
[0016]
The soft component of the SBR latex includes butadiene. Butadiene itself is a main constituent monomer of the latex and contributes to the elasticity and abrasion resistance of the latex. In the present invention, when the total composition of butadiene and acrylonitrile is 44% by mass or less, an effect of suppressing the appearance of off-ring wrinkles is exhibited.
[0017]
The SBR latex used in the present invention needs to be coated on a base paper as an undercoating liquid at 0.5 g to 4 g / m 2 (dry mass) per one side. These coating amounts also depend on the coating method. For example, the coating amount of the SBR latex exhibiting the same off-ring wrinkle suppressing effect is smaller in the blade coating method than in the size press method. This is due to the difference in the range of adjusting the concentration of the SBR latex due to the difference in the coating method, and as a result, the difference in the permeability to the base paper. It is presumed that the difference in the distribution of SBR latex in the paper layer due to the difference in permeability results in a difference in the effect of suppressing the off-ring wrinkles. If the amount of coating is less than 0.5 g / m 2 per side, the effect of suppressing off-ring wrinkles is somewhat exhibited, but blisters are easily generated. On the other hand, when the coating amount is more than 4 g / m 2 per one side, the adhesive strength between the base paper layer and the coating layer is reduced by the resin film, and the generation of micro blisters becomes remarkable.
[0018]
In the present invention, the pigment used in the top coating liquid as the top coating layer is not particularly limited, for example, various kaolin, talc, refined natural mineral pigments such as pulverized calcium carbonate, satin white, lithophone and the like Examples include composite synthetic pigments, semi-synthetic pigments such as titanium oxide, precipitated calcium carbonate, and alumina hydroxide, and synthetic pigments such as plastic pigments.
[0019]
Examples of the starch used in the overcoat liquid include ordinary starch, oxidized starch, etherified starch, esterified starch, enzyme-modified starch, and cold-water-soluble starch obtained by flash-drying them.
[0020]
Examples of the thickener used in the overcoating liquid include water-soluble polymers such as carboxymethylcellulose, sodium alginate, methylcellulose, hydroxyethylcellulose, casein, and sodium polyacrylate, polyacrylates, and styrene maleic anhydride. Examples thereof include synthetic polymers such as coalescing and inorganic polymers such as silicates.
[0021]
As a binder other than starch used in the overcoating liquid, various copolymer SBR latex such as styrene-butadiene-based, acrylic-based and vinyl acetate-based, polyvinyl alcohol, sodium polyacrylate, polyethylene oxide, polyacrylamide, urea or Examples include water-soluble compounds such as melamine / formalin resin, polyethyleneimine, polyamide polyamine / epichlorohydrin, natural products such as wax, casein, soybean protein, and cations thereof.
[0022]
If necessary, various commonly used auxiliaries such as a dispersant, an antifoaming agent, a waterproofing agent, and a coloring agent, and cations of these auxiliaries are preferably used.
[0023]
The base paper used in the present invention includes various types of pulp such as chemical pulp such as LBKP and NBKP, mechanical pulp such as GP, PGW, RMP, TMP, CTMP and CGP, and various types of pulp such as waste paper pulp. Various fillers such as calcium, talc, clay, kaolin and the like, various compounding agents such as a sizing agent, a fixing agent, a retention agent, a paper strength enhancer and the like can be suitably blended, and the paper can be made any of acidic, neutral and alkaline. As the base paper of the present invention, a base paper that has been size-pressed with a no-size press base paper, starch, polyvinyl alcohol, or the like can be used. In some cases, various calendering processes are performed to obtain the required density and smoothness of the base paper.
[0024]
In a series of operations, the coated and dried coated paper is subjected to various calender treatments as necessary.
[0025]
In the present invention, when applying the SBR latex used in the present invention to base paper, the concentration of the aqueous solution depends on the coating apparatus and operability. For example, although not particularly limited, a blade coater used in a general coated paper manufacturing field can apply even a stock solution concentration of around 50% by mass if attention is paid to drying of SBR latex. It is also possible to dilute so as to have a suitable liquid property. Further, in the case of a two-roll size press coater or a gate roll size press coater, it is necessary to consider the film properties on the transfer roll.
[0026]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples. Unless otherwise specified, parts and% in the examples indicate parts by mass and% by mass, respectively.
[0027]
Example 1
<Base paper mix>
LBKP (freeness: 440 mlcsf) 70 parts NBKP (freeness: 490 mlcsf) 30 parts
<Internal medicine>
Light calcium carbonate (* represented by ash content in base paper) * 8 parts Commercially available cationized starch 1.0 part Commercially available cationic polyacrylamide retention aid 0.03 parts Pulp and internal additives are adjusted by the above blending, and basis weight is 70 g. / M 2 of base paper.
[0029]
<Undercoat coating liquid>
100 parts of commercially available SBR latex binder (kernel content 36%, average particle size 108 nm)
<Overcoat coating liquid>
Commercially available hollow pigment (particle size: 1 μm) 5 parts Commercially available fine kaolin clay 45 parts Primary grade kaolin clay 20 parts Commercial heavy calcium carbonate 30 parts Commercially available polyacrylic acid-based dispersant 0.1 part SBR latex binder 10 parts Commercially available phosphate ester starch 5 Part sodium hydroxide adjusted to pH 9.6
The base paper obtained as described above is coated with a coating solution of 2 g / m 2 on one side at a coating speed of 800 m / min using a two-roll size press coater, and dried to obtain a base coating. I got the paper. In addition, the top coating liquid was adjusted according to the above composition, and the coating liquid was coated at 15 g / m 2 on one side at a coating speed of 1600 m / min using a fountain application / blade type coating machine, followed by drying and coating. Obtained paper.
[0032]
The obtained coated paper was used off-line using a super calender device (number of stages: 10 stages, rigid roll: chilled roll having an outer diameter of 400 mm, elastic roll: cotton roll having an outer diameter of 400 mm, linear pressure: 220 kg / cm). The calendering treatment was performed to produce a coated paper for offset rotary printing of Example 1.
[0033]
Example 2
A coated paper for web offset printing of Example 2 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of SBR latex was changed (butadiene 40%, acrylonitrile 3.5%).
[0034]
Example 3
A coated paper for web offset printing of Example 3 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (butadiene 44%, acrylonitrile 3.5%).
[0035]
Example 4
A coated paper for web printing of Example 4 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (butadiene 35%, acrylonitrile 9%).
[0036]
Example 5
A coated paper for web offset printing of Example 5 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (butadiene 40%, acrylonitrile 0%).
[0037]
Example 6
A coated paper for web offset printing of Example 6 was produced in the same manner as in Example 1 except that the coating amount of the SBR latex was changed to 1 g / m 2 .
[0038]
Example 7
A coated paper for web offset printing of Example 7 was produced in the same manner as in Example 1 except that the coating amount of the SBR latex was changed to 2 g / m 2 .
[0039]
Example 8
A coated paper for web offset printing of Example 8 was produced in the same manner as in Example 1 except that the coating amount of the SBR latex was changed to 8 g / m 2 .
[0040]
Comparative Example 1
A coated paper for web printing of Comparative Example 1 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (butadiene 40%, acrylonitrile 10%).
[0041]
Comparative Example 2
A coated paper for web printing of Comparative Example 2 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (31% of butadiene and 15% of acrylonitrile).
[0042]
Comparative Example 3
A coated paper for web printing of Comparative Example 3 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of SBR latex was changed to (butadiene 39%, acrylonitrile 15%).
[0043]
Comparative Example 4
A coated paper for web printing of Comparative Example 4 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (butadiene 45%, acrylonitrile 15%).
[0044]
Comparative Example 5
A coated paper for web offset printing of Comparative Example 5 was produced in the same manner as in Example 1 except that the type of the SBR latex was changed to (butadiene 45%, acrylonitrile 5%).
[0045]
Comparative Example 6
A coated paper for web printing of Comparative Example 6 was produced in the same manner as in Example 1 except that the coating amount of the SBR latex was changed to 0.8 g / m 2 .
[0046]
Comparative Example 7
A coated paper for web printing of Comparative Example 7 was produced in the same manner as in Example 1 except that the coating amount of the SBR latex was changed to 10 g / m 2 .
[0047]
Comparative Example 8
A coated paper for web offset printing of Comparative Example 8 was produced in the same manner as in Example 1 except that the SBR latex was changed to oxidized starch.
[0048]
Comparative Example 9
A coated paper for web offset printing of Comparative Example 9 was produced in the same manner as in Example 1 except that the SBR latex was changed to PVA.
[0049]
The coated paper for web offset printing obtained in Examples 1 to 8 and Comparative Examples 1 to 9 was evaluated by the following evaluation methods. The results are shown in Table 1.
[0050]
<Hijiwa>
Using a web offset printing press (Mitsubishi Heavy Industries, Ltd., Risopia BT-2-600), a printing ink for web offset printing (Dai Nippon Ink Co., Ltd., Web World Terrace N, black, indigo, red, yellow) Of each solid color) was visually evaluated for wrinkles in the flow direction of the solid printing portion. The evaluation of hijiwa was described as follows. ◎: almost no occurrence, ：: slight occurrence, Δ: occurrence, ×: significant occurrence.
[0051]
<Blister resistance>
The coated paper wrapped with aluminum was immersed in an oil bath at 150 ° C. to 200 ° C. for a certain period of time, and scored based on the number and size of the generated blisters (out of 10 points). did.
◎ (very good): 10 points （(good): 7 to 9 points △ (normal): 4 to 6 points x (bad): 5 points or less
<Print unevenness>
Using a web offset printing press (Mitsubishi Heavy Industries, Ltd., Risopia BT-2-600), a printing ink for web offset printing (Dai Nippon Ink Co., Ltd., Web World Terrace N, black, indigo, red, yellow) ), And the solid printed portion was visually evaluated.
◎ (very good): 10 points （(good): 7 to 9 points △ (normal): 4 to 6 points x (bad): 5 points or less
[Table 1]
[0054]
Evaluation results In Examples 1 to 5, by using an SBR latex binder having an appropriate composition, and in Examples 6 to 8, even when the coating amount was changed, good blister resistance, suppression of off-ring wrinkles, Printing without unevenness is realized. However, in the vicinity of the boundary of the composition, there is a tendency that the evaluation of the off-ring wrinkle decreases. In Comparative Examples 1 to 5, there is a problem in suppression of off-ring wrinkles, and in Comparative Examples 6 and 8, there is a problem in blister resistance because the coating amount is not appropriate. In addition, Comparative Example 8 shows that both the blister resistance and the off-ring wrinkle have problems, and Comparative Example 9 shows that the off-ring wrinkles and the blister resistance are good, but there is a problem with printing unevenness.
[0055]
【The invention's effect】
According to the present invention, a specific SBR latex is coated on a base paper as an undercoating liquid in an amount of 0.5 to 4 g / m 2 (dry mass) per one side, so that generation of a wrinkle in a heat drying process of offset rotary printing is prevented. It is possible to obtain a coated paper for offset rotary printing that suppresses the printing and has less printing unevenness.
