JP2004161620A - 動物のサルモネラ感染症予防・治療剤 - Google Patents

動物のサルモネラ感染症予防・治療剤 Download PDF

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Abstract

【課題】腸管内からサルモネラを効果的に排除するための動物のサルモネラ感染症予防・治療剤を提供する。
【解決手段】木を乾留して得られた粗木酢液から有害物質を除去した木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した軟質炭素粉末とを、含有してなる添加粉剤を、家畜飼料に配合して成る動物のサルモネラ感染症予防・治療剤により課題を解決した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、腸管内からサルモネラを効果的に排除するための動物のサルモネラ感染症予防・治療剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、サルモネラによる汚染が急増している。特に、家禽類や家畜類を扱う養鶏業や畜産業等の分野では、深刻な問題となっており、生産現場においてサルモネラ保菌率の減少につながる新たな方策が急務となっている。
【0003】
サルモネラに汚染された動物は、例えば、腸チフス、パラチフス、サルモネラ腸炎等による下痢、敗血症などの症状が起き、これらの症状が重い場合には、死に至る。
【0004】
サルモネラによるこれらの病気は伝染病であるため、一旦発生すると次々に感染する。例えば、家禽類や家畜類は、通常、閉鎖空間内に入れられた集団飼育形態を採るため、サルモネラによる汚染が拡がり易い環境にあり、大きな被害も生じる危険性がある。
【0005】
家禽類や家畜類の分野で問題とされているサルモネラ菌の血清型としては、サルモネラ・ティフィムリウム(ST)、サルモネラ・ダブリン(SD)、サルモネラ・エンテリティデス(SE)が代表的である。特に、STは牛の汚染菌としては、最も多く分離されている。SDは、STに比較し発生牛数は少ないものの、腸管内から門脈を経て全身性の感染症になる確率が高く、敗血症、他臓器への侵襲を起こし死亡するケースがある。SD発生後は、糞便中から完全に排除されない限り、出荷の許可が得られず、出荷時期を逸するケースや排菌を確認する前に死亡するケースが多く、酪農経営上特に留意すべき菌種である。SEは、牛よりもブロイラー、採卵鶏で問題になっており、環境汚染源として注意を要する菌種である。我が国ではこの数年来、SEを原因とする食中毒がとくにクローズアップされている。
【0006】
なお、鶏サルモネラ症は、鶏の急性敗血症性の消化器系伝染病である。感染はほとんど腸管に限られ、日齢の進んだものほど自然に回復する傾向が強いが、菌は内蔵、特に卵巣に潜伏し持続感染を起こす。そのため健康保菌鶏が多く、それにより汚染された食品(卵や肉など)がサルモネラ食中毒の原因となり、公衆衛生上重要な問題となっている。
【0007】
サルモネラ感染症の予防や治療に当たっては、従来、禽舎や畜舎の飼育環境の消毒、抗生物質の投与、合成医薬の投与、不活化したサルモネラと特定の抗生物質の同時投与などがなされている。
【0008】
しかし、消毒による方法は、有機物の混在による消毒力の低下などにより消毒漏れを招き易い。また、動物がサルモネラ感染症から運よく回復した場合であっても、感染した動物が保菌動物となって排菌し続けることが多いため、感染経路を完全に断つことは困難である。
【0009】
また、抗生物質や合成医薬などの薬物の投与は、病気の予防や治療に効果的な感受性を有する有効な薬物の種類が限定される上に、耐性を生じ易く、またそれらの薬物が動物の体内に残留する結果、動物の肉などを摂取する人体への影響も心配されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−192126号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平11−12184号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平11−225688号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述の問題を解決するため、ワクチンによる免疫学的な方法が、色々検討され、使用されている。
【0014】
しかし、サルモネラに対するワクチンは、動物の腸管内から体内へのサルモネラの移行を阻止することができるが、サルモネラの腸管内の定着・増殖を防止することができず、腸管内にサルモネラが残留してしまうという問題があった。
【0015】
一方、食肉の製品市場では、低価格の輸入製品が流通しており、厳しい価格競争にさらされている。もし、家禽類や家畜類の腸管内にサルモネラが残留していれば、食肉として売ることができず、産業廃棄物となってしまう。それ故、腸管内にサルモネラが残留した家禽類や家畜類の発生を効果的に抑制することができなければ、国内の食肉の価格が上昇してしまい、海外との価格競争に敗れることになる。
【0016】
本願発明の目的とするところは、腸管内からサルモネラを効果的に排除するための動物のサルモネラ感染症予防・治療剤を提供するものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、上記目的を達成すべく様々な検討を重ねた結果、木を乾留して得られた粗木酢液から有害物質を分離して精製した木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した軟質炭素粉末とを、含有してなる添加粉剤を、家畜飼料に配合したものが上記目的を達成することを見い出し、本願発明をするに至った。
【0018】
即ち、本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤は、木を乾留して得られた粗木酢液から有害物質を分離して精製した木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した軟質炭素粉末とを、含有してなる添加粉剤を、家畜飼料に配合して成る。
【0019】
この発明の好適形態においては、前記木は、広葉樹の樹皮を含む木片であり、さらに、前記広葉樹は、カシ、タブ、サクラ、カエデ、シイ、クス、イス、ナラ、キハダ、ヤマモモ、カシワ、ケヤキ、クワ、キリ、ミズキ、ソヤのいずれか一種を含有する。また、前記木酢精製液と前記軟質炭素粉末の含有重量比が1:4である。さらに、前記添加粉剤を、前記家畜飼料に対し、1重量%〜3重量%配合して成る。
【0020】
【発明の実施の形態】
本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤は、木酢精製液と軟質炭素粉末を含有してなる添加粉剤を、家畜飼料に配合して成る。
【0021】
本願発明に用いる添加粉剤の製造方法の一例を示す概略図を図1に示す。
【0022】
木としては、発明の効果の観点から、広葉樹の樹皮を含む木片であるのが好ましいが、森林保護、廃物の有効活用という観点から、従来有効な用途が考えられなかったスギ、ヒノキ、カラマツなどの間伐材を用いることもできる。なお、処理熱効率などの観点から、樹皮を細かく砕いたバーグ材が好ましい。さらに、昔より漢方薬の原料として使用されていたという理由から、広葉樹は、カシ、タブ、サクラ、カエデ、シイ、クス、イス、ナラ、キハダ、ヤマモモ、カシワ、ケヤキ、クワ、キリ、ミズキ、ソヤのいずれか一種を含有するのがより好ましい。
【0023】
乾留処理方法は、特に限定されないが、例えば、200〜380℃で乾留処理する方法を例示することができる。
【0024】
乾留の際にはガスが発生するが、そのガスを集めて冷却すると、粗木酢液を得ることができる。
【0025】
この粗木酢液は3ヶ月以上放置すると、上層の軽質油、中間層の木酢液、下層の有害なタール分の三層に分離するため、この三層から中間層の木酢液を分離する。
【0026】
分離された木酢液は、有害物質を含むため、蒸留して精製する。蒸留方法としては、120℃以下で反復蒸留する方法を挙げることができるが、これに限定されない。木酢液から有害物質を除去すると、木酢精製液が得られる。なお、有害物質としては、3−4ベンツピレンを例示することができる。
【0027】
上述の製造方法により得られた木酢精製液の性質の一例を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 2004161620
【0029】
乾留した後には残留炭素も発生する。この残留炭素は、粉砕して篩過する。篩過すると、軟質炭素粉末が得られる。軟質炭素粉末の粒子の大きさは、発明の効果の点から、1000マイクロメートル以下が95%以上であることが好ましい。
【0030】
上述の製造方法により得られた軟質炭素粉末の性質の一例を表2に示す。
【0031】
【表2】
Figure 2004161620
【0032】
添加粉剤は、例えば、軟質炭素粉末に木酢精製液を少量ずつ加え、日本薬局方、製剤総則の散剤の項に従い、均等に混和することにより得られるが、特にこれに限定されない。
【0033】
ここで、木酢精製液と軟質炭素粉末の含有重量比は、動物の飼料要求率が最良であるという理由から、1:4であることが好ましい。
【0034】
上述の製造方法により得られた添加粉剤の性質の一例を表3に示す。
【0035】
【表3】
Figure 2004161620
【0036】
家畜飼料は一般に市販されている家畜飼料を用いることができ、その他、養鶏業や畜産業で用いられることがある飼料のいずれでも使用可能である。
【0037】
家畜飼料に配合する添加粉剤の重量は、特に限定されないが、添加粉剤は、家畜飼料に対し、1重量%〜3重量%配合するのが好ましい。添加粉剤の重量が1重量%未満であっても、腸管内からサルモネラを排除する効果を得ることができるが、発現するまでに時間がかかるため、特に効果の即効性が要求されるブロイラーには適さないことから、好ましくないからであり、逆に、3重量%を超えても、腸管内からサルモネラを排除する効果は変わらないため、サルモネラ感染症予防・治療剤の製造コストの面から不利に働くことから、好ましくないからである。さらに、費用対効果という点で、添加粉剤は、家畜飼料に対し、1.5重量%〜2.5重量%配合するのがより好ましい。
【0038】
なお、本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤を動物に投与した場合におけるサルモネラ感染防御のメカニズムは、まだ不明な点が多いが、(1)軟質炭素粉末によるサルモネラの吸着効果、(2)木酢精製液のサルモネラに対する増殖抑制効果及び(3)木酢精製液の乳酸産生菌に対する増殖効果の結果としてのプロバイオティクス効果が相加的又は相乗的に作用しているものと考えられる。
【0039】
【実施例】
(1)木酢精製液及び軟質炭素粉末の作成
(実施例1)
新鮮なカシ、シイ、タブ、サクラ及びカエデの樹皮を含む乾燥木片25トンを原料として乾留炉に投入し、350℃で、168時間乾留を行った。
【0040】
乾留の際に発生したガスを収集し、自然冷却により粗木酢液1aを得た。
【0041】
得られた粗木酢液1aを分離槽に3ヶ月以上静置し、上層の軽質油、中間層の木酢液、下層の有害なタール分の三層に分離した分離粗木酢液1bを得た。
【0042】
分離粗木酢液から中間層の木酢液を分離し、木酢液1cを得た。
【0043】
この木酢液1cから有害物質が検出されなくなるまで120℃以下で反復蒸留して精製し、約1トンの木酢精製液1dを得た。
【0044】
この木酢精製液1dは、無色透明の液体で、特異な焦臭と酸味があり、18℃におけるpHをデジタルpHメーターで測定したところ、3.7であった。また、5mlの木酢精製液1dに硫酸1mlを加えて加熱したところ、酢酸のにおいを発した。さらに、5mlの木酢精製液1dに水酸化ナトリウム試液を加えて中和し、塩化第二鉄試液を滴加したところ、液は赤褐色を呈し、煮沸したところ、赤褐色の沈殿を生じた。
【0045】
一方、前記の乾留終了後、乾留残留物として残留炭素1eを得た。
【0046】
残留炭素1eは、スイグハンマー式粉砕機で粉砕粒度篩過(42号)し、粒子の大きさが350マイクロメートルである約5トンの軟質炭素粉末1fを得た。
【0047】
この軟質炭素粉末1fは、黒色の粉末で、臭い及び味はなかった。また、0.5gの軟質炭素粉末1fを試験管に入れ、送風しながら直火で加熱したところ、火炎を生じないで燃焼し、発生するガスを水酸化カルシウム試液中に通じたところ、白濁が生じた。
【0048】
(2)動物のサルモネラ感染症予防・治療剤の作成
(実施例2)
軟質炭素粉末1fに木酢精製液1dを少量ずつ加え、日本薬局方、製剤総則の散剤の項に従い、均等に混和して添加粉剤2aを得た。
【0049】
添加粉剤2aは、しっとりとした黒色粉末で、臭い及び味はなく、18℃におけるpHをデジタルpHメーターで測定したところ、7.90であった。また、1gの添加粉剤2aを105℃で4時間放置し、乾燥減量を赤外線じん速水分計で測定したところ、16.2%であり、1gの添加粉剤2aを強く熱し続け、強熱残分を測定したところ、3.8%であった。さらに、20gの添加粉剤2aに水30mlを加えて振り、これをろ過したろ液に水酸化ナトリウム試液を加えて中和し、塩化第二鉄試液を滴加したところ、液は赤褐色を呈し、煮沸したところ、赤褐色の沈殿を生じた。0.5gの添加粉剤2aを試験管に入れ、送風しながら直火で加熱したところ、火炎を生じないで燃焼し、発生するガスを水酸化カルシウム試液中に通じたところ、白濁が生じた。
【0050】
2gの添加粉剤2aと100gの家畜飼料2b(ジェイエイ西日本くみあい飼料株式会社製くみあい配合飼料旭マッシュIP後期春秋II)を混合して本願発明となる動物のサルモネラ感染症予防・治療剤2を得た。
【0051】
(3)サルモネラに対する木酢精製液の増殖抑制効果試験
(試験例1)
木酢精製液のサルモネラに対する効果を明らかにするため、サルモネラ・エンテリティデス(SE)を1016個接種した培地を5つ用意し、この5つの培地のそれぞれに、木酢精製液1d:0重量%、木酢精製液1d:1重量%、木酢精製液1d:2重量%、酢酸:1重量%、酢酸:2重量%を加え、その後、それぞれのpHを7にして菌の増殖を調べた。その結果を図2に示す。
【0052】
木酢精製液はサルモネラの増殖を抑制し、添加量の増加につれて、サルモネラの増殖抑制効果も増大したが、酢酸はサルモネラの増殖抑制に何らの影響を与えなかった。
【0053】
これより、木酢精製液は、サルモネラに対して優れた増殖抑制効果を示すことが明らかとなった。
【0054】
(4)乳酸産生菌に対する木酢精製液の増殖促進効果試験
(試験例2)
木酢液の正常細菌叢(乳酸産生菌)に対する影響を明らかにするため、E.faeciumを10個接種した培地を13個用意し、これを9個と4個の2つのグループに分けた。9個の培地のそれぞれに、木酢精製液1d:0重量%、木酢精製液1d:0.25重量%、木酢精製液1d:0.5重量%、木酢精製液1d:1重量%、木酢精製液1d:2重量%、酢酸:0.25重量%、酢酸:0.5重量%、酢酸:1重量%、酢酸:2重量%を加え、その後、それぞれのpHを7にして乳酸産生菌の増殖を調べた。また、4個の培地のそれぞれに、酢酸:0.25重量%、酢酸:0.5重量%、酢酸:1重量%、酢酸:2重量%を加え、pHを調整せずに乳酸産生菌の増殖を調べた。その結果を図3に示す。
【0055】
木酢精製液の添加量が増加するにつれて、乳酸産生菌の増殖が促進されたが、酢酸は乳酸産生菌の増殖に何ら影響を与えず、むしろ増殖抑制効果を示した。
【0056】
これより、木酢精製液は、乳酸産生菌に対して増殖促進効果を示すことが明らかとなった。
【0057】
(5)サルモネラ感染に対する防御効果試験
(試験例3)
サルモネラ感染に対する防御効果を明らかにするため、鶏の糞便中における菌の状態を調べた。
【0058】
即ち、動物のサルモネラ感染症予防・治療剤2を与えた鶏A(本願発明投与)、市販のサルモネラワクチンを接種し、サルモネラに対し十分免疫応答を誘導した鶏B(市販ワクチン接種)、家畜飼料2bのみを与えた鶏C(無処理)の三種類のそれぞれにサルモネラ菌(サルモネラ・エンテリティデス(SE):1×10個)を経口接種し、5日目、10日目、15日目についての糞便中の菌の数を調べた。その結果を図4に示す。
【0059】
動物のサルモネラ感染症予防・治療剤2を与えた鶏Aについては、菌接種後5日目には糞便1g当たり数十個の菌が認められ、10日目には糞便1g当たり十数個の菌が認められたものの、15日目には糞便中に菌は認められず、サルモネラの検出率は0%であった。
【0060】
これに対し、市販のサルモネラワクチンを接種し、サルモネラに対し十分免疫応答を誘導した鶏Bについては、菌接種後5日目には糞便1g当たり数万個の菌が認められ、10日目には糞便1g当たり数千個の菌が認められた。15日目にも依然として糞便1g当たり数百個の菌が認められ、サルモネラの検出率は50%であった。
【0061】
また、家畜飼料2bのみを与えた鶏Cについては、菌接種後5日目には糞便1g当たり数万個の菌が認められ、10日目には糞便1g当たり数千個の菌が認められた。15日目には、10日目と同様、糞便1g当たり数千個の菌が認められ、サルモネラの検出率は100%であった。
【0062】
以上の結果から、本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤は、サルモネラ感染に対して十分な防御効果を発揮するが、市販のサルモネラワクチンは、サルモネラ感染に対して十分な防御効果を発揮しないといえることがわかった。
【0063】
(6)腸管内のサルモネラ排除効果試験
(試験例4)
試験例1に用いた、鶏A(本願発明投与)、鶏B(市販ワクチン接種)、鶏C(無処理)のそれぞれについて、さらに菌分離同定を行った。その結果を図5に示す。
【0064】
鶏Aについては、十二指腸、小腸、盲腸、直腸のいずれにおいても菌は分離されなかった。これに対し、鶏Bについては、盲腸において100%の確率でサルモネラが分離され、直腸において50%の確率でサルモネラが分離された。また、鶏Cについては、盲腸において100%の確率でサルモネラが分離され、直腸において100%の確率でサルモネラが分離された。
【0065】
以上の結果から、本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤は、腸管内からサルモネラを100%排除することができる能力を持つと考えられるが、市販のサルモネラワクチンでは、腸管内にサルモネラ菌が残留してしまうことがわかった。
【0066】
なお、本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤を投与した鶏は、体内からサルモネラを完全に排除することができるため、この鶏が産生する卵は100%サルモネラが含まれていないと推察されるが、市販のサルモネラワクチンを接種した鶏は、腸管内にサルモネラ菌が残留してしまうため、この鶏が産生する卵はサルモネラ汚染の危険性があると考えられる。
【0067】
【発明の効果】
本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤を動物に投与すれば、動物の腸管内からサルモネラを効果的に排除することができるため、サルモネラによる汚染を未然に防止することができ、サルモネラによる汚染の拡大を効果的に抑制することができる。
【0068】
また、本願発明の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤を動物に投与すれば、家禽類や家畜類の腸管内からサルモネラを効果的に排除することができるため、食肉として販売しても安全であり、食肉の生産コストの上昇防止にも寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に用いる添加粉剤の製造方法の一例を示す概略図。
【図2】サルモネラに対する木酢精製液の増殖抑制効果試験の結果を示すグラフ。
【図3】乳酸産生菌に対する木酢精製液の増殖促進効果試験の結果を示すグラフ。
【図4】サルモネラ感染に対する防御効果試験の結果を示すグラフ。
【図5】腸管内のサルモネラ排除効果試験の結果を示すグラフ。

Claims (5)

  1. 木を乾留して得られた粗木酢液から有害物質を分離して精製した木酢精製液と、木を乾留して発生した残留炭素を粉砕して篩過した軟質炭素粉末とを、含有してなる添加粉剤を、家畜飼料に配合して成ることを特徴とする動物のサルモネラ感染症予防・治療剤。
  2. 木は、広葉樹の樹皮を含む木片であることを特徴とする請求項1に記載の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤。
  3. 広葉樹は、カシ、タブ、サクラ、カエデ、シイ、クス、イス、ナラ、キハダ、ヤマモモ、カシワ、ケヤキ、クワ、キリ、ミズキ、ソヤのいずれか一種を含有することを特徴とする請求項2に記載の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤。
  4. 前記木酢精製液と前記軟質炭素粉末の含有重量比は、1:4であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤。
  5. 前記添加粉剤を、前記家畜飼料に対し、1重量%〜3重量%配合して成ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の動物のサルモネラ感染症予防・治療剤。
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