JP2004157381A - 音声符号化装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のビットレート削減手法は再生音声品質を低下させてしまうという問題があったが、本発明は、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる音声符号化装置及びその方法を提供する。
【解決手段】パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択する音声符号化方装置及び方法を提供する。
【選択図】 図2
【解決手段】パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択する音声符号化方装置及び方法を提供する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル移動体通信に必要不可欠なディジタル音声圧縮処理における音声符号化方法及び音声符号化装置に係り、特に代数的符号励振予測方式による符号化において、再生音声品質の劣化を極力抑えつつディジタル音声圧縮効率を向上して伝送情報を低減し、伝送効率を向上できる音声符号化方法及び音声符号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的にディジタル音声情報を8kbps以下に圧縮する場合、基本方式としてACELP(Algebraic Code Excited Linear Prediction:代数的符号励振線形予測)が用いられている。ACELPは従来のCELP(Code Excited Linea Prediction)のように雑音励振源として予め符復号で既知の雑音符号帳を持たず、定められた音声バースト毎に定められた本数のパルスを、音声バースト区間中隙間無く探索することで、より正確に駆動音源を生成する方式である。この代数的に駆動音源を生成する手法により、従来のCELPで用いられてきた雑音励振源探索と比較して、より低演算量でより品質の良い音声符号化を実現することが可能となっている。
【0003】
例としてITU−T勧告G.729(以下CS−ACELP(Conjugate Structure ―ACELP:共益構造ACELP)と呼ぶ)の代数的符号帳探索処理の概要を以下に示す。
CS−ACELPはフレーム長10ms、サブフレーム長5msで構成されており、標本化周波数8kHzで5ms(40サンプル)の駆動音源を4本のパルスで表現する。CS−ACELPにおけるパルス発生候補位置を表1に示す。
【0004】
表1に示すように、40サンプル4本のパルスで隙間無く探索し、ターゲット信号と比較して最小歪みのパルス組み合わせを検出する。
表1に示すようにパルスNo.1〜3におけるパルス発生候補位置は8候補、パルスNo.4におけるパルス発生候補位置は16候補であり、これらに加えて各々のパルスの極性を示す情報として各1bitが必要となる。よってCS−ACELPにおける代数的符号帳分の情報は17bit/5ms(サブフレーム)、フレーム単位に換算すると34bit/frameとなる。
【0005】
【表1】
【0006】
次に従来行われてきたACELPのビットレート削減手法の一例について示す。
1つ目のビットレート削減手法として、パルスの本数を削減するという方法が考えられる。CS−ACELPにおいてサブフレーム中におけるパルス数を4本から2本に削減すると考えると、1本のパルス発生候補位置は8候補と32候補の2種類が生じる(1本当たりのパルス発生候補位置は2のべき乗とならなければならない)。これに加えて各パルスの極性にそれぞれ1bitが配分されるとして、合計で10bitとなり、フレーム当たりの削減ビット数は34−20=14bitとなる。
【0007】
上記のようにパルスの本数を削減する従来技術としては、平成10年11月24日公開の特開平10−312198号「音声符号化方法」(出願人:日本電信電話株式会社、発明者:林 伸ニ他)がある。
この従来技術は、雑音生成ベクトルの符号化において、各フレームを構成する2つのサブフレームに対し、2つのパルス#0、#1で表し、パルス#0は、16個の取りうる位置を4ビットにより表し、パルス#1は、24個の取りうる位置を5ビットにより表すこととし、それぞれのパルスに対して1ビットの極性ビットを与え、サブフレーム当たり4+5+2=11ビットで雑音成分ベクトルを表す音声符号化方法であり、これにより、ビットレートを低減できるものである(特許文献1参照)。
【0008】
2つ目のビットレート削減手法として、パルス発生候補位置を1サンプルおきに配置する方法が考えられる。よってパルス発生候補位置が8候補のパルスは4候補に、16候補のパルスは8候補に削減できる。この方法による削減効果は、フレーム当たり8bitとなる。
【0009】
上述2種類の一般的な情報削減手法である程度の削減効果は得られるが、1つ目の手法ではパルス数が減少することに起因して品質が大幅に劣化してしまう。また、2つ目の手法では探索されないサンプルが生じることによる不正確な最小歪み探索に起因して品質が若干劣化してしまうという問題点が生じる。
【0010】
上述1つ目のビットレート削減手法はITU−T勧告G.729付属資料Dで用いられており、これによる再生音声品質の劣化は、パルス分散をフィルタリングで実現することによりある程度回避している。また上述2つ目のビットレート削減手法は、標準化された数種類の低ビットレート音声符号化(例:ITU−T勧告G.723.1ACELP、AMR−NBの低ビットレートコーデックモードなど)にも使用されており、ビットレート低下に伴う品質劣化の許容範囲としてそのまま用いられることが多い。
【0011】
また、その他にビット数を削減しながら音声品質の向上を図る従来技術としては、平成11年8月31日公開の特開平11−237899号「音源信号符号化装置及びその方法、並びに音源信号符号化装置及びその方法」(出願人:松下電器産業株式会社、発明者:江原 宏幸他)がある。
この従来技術は、複数種類の代数的符号帳を有する構成とし、ピッチピークの位置に応じて複数の代数的符号帳を切り替える音源信号符号化装置及びその方法、並びに音源信号復号化装置及びその方法である。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−312198号公報(第5頁、図6)
【特許文献2】
特開平11−237899号公報(第20頁〜第24頁、図22〜図26)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、全体のビットレートをより多く削減することを考えると、上述2種類の削減手法を組み合わせて考える必要があり、それぞれの手法が抱える欠点が相乗効果を持って、より再生音声品質を低下させてしまうという問題があった。
【0014】
また、上述二つ目のビットレート削減手法の採用による品質劣化は許容されることが多いが、入力音声のピッチ周期値が小さい場合(女声や子供の声など)に劣化が顕著に観測されるという問題があった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ACELPにおける代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる音声符号化装置及び音声符号化方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための課題】
請求項1記載の音声符号化方法は、ACELP方式を用いた音声符号化方法であって、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、当該複数の探索結果の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の音声符号化装置は、ACELP方式を用いた音声符号化装置であって、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、前記代数的符号帳探索手段が、前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する歪探索部と、前記歪探索部の探索情報を格納する歪格納メモリと、前記歪格納メモリに格納された探索情報の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを探索する最小歪探索部と、前記最小歪探索部で探索された歪探索部の探索情報に切り替えを行う切替手段とを備え、前記切替手段の出力を基に代数的符号帳ベクトルを生成することを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の音声復号化装置は、請求項2記載の音声符号化装置で符号化された音声符号化データについて復号を行う音声復号化装置であって、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成部を備え、前記代数的符号帳ベクトル生成部が、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、前記複数の分割候補位置テーブルから符号化で用いられたものと同様の1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、前記選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また、機能の一部又は全部をソフトウエアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0020】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1、図2、図5、図6の各部との対応を示すと、代数的符号帳探索部は、固定符号帳探索部5に相当し、分割パルス候補位置テーブルは、パルスパターンテーブルA〜Dに相当し、切替手段は、切替スイッチ処理部61に相当し、代数的符号帳生成部が固定符号ベクトル出力部33に相当している。
【0021】
まず、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化装置の一般的な概略構成例について図1を使って説明する。図1は、本発明に係る音声符号化装置の概略構成ブロック図である。
【0022】
本実施の形態に係る音声符号化装置(本装置)は、図1に示すように、前処理部1と、LPC分析量子化補間処理部2と、聴覚重み付け処理部3と、適応符号帳探索部4と、固定符号帳探索部5と、利得算出部6と、LPC合成部7と、自乗誤差最小化部8と、多重化処理部9とから構成されている。
尚、図には示していないが、フレームタイミング、サブフレームタイミングに従って、各部の動作をトータルに制御するようなタイミング制御部が音声符号化装置全体を制御している。
【0023】
本装置の各部について簡単に説明する。
前処理部1は、信号のスケーリングと高域通過フィルタリングを行うものである。
LPC分析量子化補間処理部2は、1フレーム毎に線形予測(Linear Prediction:LP)分析を行ってLPフィルタ係数(LPC係数)の算出を行い、算出されたLPC係数を線スペクトル対(Linear Spectrum Pair:LSP)に変換して量子化し、LSP係数の符号(D)を出力すると共に、更に補間して、量子化及び補間結果に基づいて逆変換されたLPC係数を出力するものである。
【0024】
加算器20は、前処理が施された音声入力信号と、前フレームの再生音声信号との差分を取って、誤差信号を出力するものである。
聴覚重み付け処理部3は、入力される誤差信号に対し、サブフレーム単位でLPC係数を用いて聴覚重み付け処理(公知の技術)を行い、聴覚重み付け誤差信号を出力するものである。
【0025】
適応符号帳探索部4は、サブフレーム毎に、ピッチ周期成分を探索するもので、具体的には、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、過去の駆動音源信号に対してある遅延(ピッチ周期)だけさかのぼり、その点からサブフレーム長のサンプルを切り出して現サブフレームに充当し、これに基づいて作成された再生音声信号と入力音声信号との誤差が最小となるピッチ周期を検出し、検出されたピッチ周期の情報を適応符号(A)として自乗誤差最小化部8に出力すると共に、固定符号帳探索部5にも出力する。
また、検出されたピッチ周期を元に過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出し、適応符号ベクトルとして利得算出のために利得算出部6へ出力すると共に、過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0026】
固定符号帳探索部5は、サブフレーム毎に、ピッチ周期成分以外のランダムな成分(雑音成分とも言う)を探索するもので、入力音声信号から前記適応符号帳探索部4で検出されたピッチ周期及び後述する利得算出部6で算出された適応符号帳利得に基づく適応符号ベクトル寄与分を減算した目標信号(ターゲット信号)に対して雑音成分の探索を行う。
尚、適応符号ベクトルと固定符号ベクトルとの組み合わせも考慮した探索を行う場合には、ターゲット信号として、適応符号ベクトルと固定符号ベクトルを組み合わせて作られる駆動音源ベクトルから合成フィルタによって合成されるべきベクトルを用い、当該ターゲット信号に対して雑音成分の探索を行う。
【0027】
特に、ACELPでは、複数パルスの組み合わせにより雑音成分を表し、予め定めた複数のパルスグループについて、各パルスグループ毎に予め限定して定めておいた複数個のパルス候補位置の中から、パルスグループ毎に1つのパルス位置の最適な組み合わせを探索する処理を行うものである。
【0028】
具体的には、予め定めた複数のパルスグループに対に関して、それぞれの候補配置を定めた固定符号帳(ACELPでは代数的符号帳ともいう)を保持し、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、基本的には代数符号帳の内容に基づいて、各グループから1つのパルス位置を選び、全てのパルス位置の候補に対して総組合せで探索処理を行う。
探索処理は、選択された各グループのパルスに極性を与え、パルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力し、当該固定符号ベクトルに基づいて作成された再生音声信号と上記目標信号との自乗誤差が最小化されるようなパルスの組み合わせを探索する処理である。
【0029】
そして、検出された誤差が最小化されるパルスの組み合わせについて、各パルスグループ毎に極性とパルス位置を表すテーブルのインデックスとで構成される代数的符号を、固定符号(B)として自乗誤差最小化部8に出力する。
また、検出されたパルスの組み合わせからなるパルス波形信号を固定符号ベクトルとし、利得算出のために重み付けを行った重み付け固定符号ベクトルを利得算出部6へ出力すると共に、固定符号ベクトルを過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0030】
尚、本発明の固定符号帳探索部5では、予め定めた複数のパルスグループに関する候補位置の取扱いと、自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、パルスの組み合わせ探索を行う方法が従来とは異なっているが、詳細は後述する。
【0031】
利得算出部6は、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、適応符号帳探索部4から入力される適応符号ベクトルと固定符号帳探索部5からの(重み付け)固定符号ベクトルより、入力音声と再生音声との重み付け平均自乗誤差を最小にする適応符号帳利得および固定符号帳利得を求め、利得符号として自乗誤差最小化部8に出力する。
また、検出された適応符号帳利得および固定符号帳利得を過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0032】
自乗誤差最小化部8は、聴覚重み付け処理部3で重み付けされた聴覚重み付け誤差信号を入力し、聴覚重み付け誤差を最小にするような各符号を探索するように適応符号帳探索部4、固定符号帳探索部5、利得算出部6に制御信号を出力し、各々における探索結果である聴覚重み付け誤差を最小とするような適応符号帳のインデックスである適応符号(A)、固定符号帳のインデックスである固定符号(B)、適応符号利得及び固定符号利得からなる利得符号(C)を受け取って、励振パラメータとして多重化処理部9に出力するものである。
【0033】
乗算器21は、適応符号帳探索部4から出力される適応符号化ベクトルと、利得算出部6から出力される適応符号利得との乗算を行うものである。
乗算器22は、固定符号帳探索部5から出力される固定符号化ベクトルと、利得算出部6から出力される固定符号利得との乗算を行うものである。
加算器23は、乗算器21から出力される適応符号化ベクトルと適応符号利得との乗算結果と、乗算器22から出力される固定符号化ベクトルと固定符号利得との乗算結果とを加算して、駆動音源信号を出力するものである。
【0034】
LPC合成部7は、LPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数、及び加算器23から出力される駆動音源信号により音声信号を再生し、符号化側における再生音声信号を出力するものである。
【0035】
多重化処理部9は、自乗誤差最小化部8からの適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータと、LPC分析量子化補間処理部2からのLSP係数の符号(D)とが多重化されてビットストリーム化され、音声符号化データとして送信するものである。
【0036】
次に、本実施の形態に係る音声符号化装置(本装置)の基本動作について図1を使って説明する。
本装置では、送信する音声信号が入力されると、前処理部1でスケーリング及び高域通過フィルタリングの前処理が施され、LPC分析量子化補間処理部2でLPC分析され、LSP係数に変換されて量子化され、補間されて、LPC係数とLSP係数の符号(D)とが出力され、LPC係数の符号(D)は、多重化処理部9に出力されて、適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータと共に多重化されて、ビットストリーム化されて音声符号化データとして送信される。
【0037】
一方、前処理部1から出力された前処理後の音声信号は、加算器20で1フレーム前の符号化側における再生音声信号との差分が取られて誤差信号が出力され、聴覚重み付け処理部3において、LPC分析量子化補間処理部2からのLPC係数を用いて誤差信号に聴覚重み付けが為され、聴覚重み付け誤差信号が自乗誤差最小化部8に入力される。
【0038】
自乗誤差最小化部8では、まず適応符号帳探索部4に対して聴覚重み付け誤差を最小にするようなピッチ周期の適応符号を探索する指示の制御信号(図では点線矢印)を出力し、適応符号帳探索部4で誤差信号が最小となるピッチ周期が検出され、検出されたピッチ周期の情報が適応符号(A)として自乗誤差最小化部8に出力される。また、検出されたピッチ周期を元に過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の信号を切り出した適応符号ベクトルが出力される。
【0039】
そして、自乗誤差最小化部8では、利得算出部6に対して適応符号の利得算出を指示する制御信号(図では点線矢印)が出力され、利得算出部6で、適応符号帳探索部4から出力される適応符号ベクトルより、適応符号帳利得が求められて出力される。
【0040】
次に、自乗誤差最小化部8では、通常、固定符号帳探索部5に対して入力音声信号から適応符号ベクトル寄与分を減算した目標信号に対して聴覚重み付け誤差を最小にするような固定符号を探索する指示の制御信号(図では点線矢印)を出力し、固定符号帳探索部5で誤差信号が最小となる組み合わせの各パルスについて、その極性とパルス位置(インデックス)を示す代数的符号が固定符号(B)として自乗誤差最小化部8に出力される。また、固定符号帳探索部5からは、誤差信号が最小となる組み合わせの各パルスを有するパルス波形信号が固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)として出力される。
【0041】
そして、自乗誤差最小化部8では、利得算出部6に対して固定符号の利得算出を指示する制御信号(図では点線矢印)が出力され、利得算出部6では、固定符号帳探索部5から入力される重み付け固定符号ベクトルより、固定符号帳利得が求められ、既に求めた適応符号帳利得と固定符号帳利得とが利得符号として自乗誤差最小化部8に出力される。
【0042】
上記動作の結果、自乗誤差最小化部8では、サブフレーム毎に聴覚重み付け誤差を最小化する適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータが決定されて多重化処理部9に出力され、多重化処理部9ではフレーム毎にLPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数と、サブフレーム毎に自乗誤差最小化部8から出力される励振信号パラメータが多重化されて、ビットストリーム化されて送信される。
【0043】
そして、サブフレームにおける励振信号パラメータが決定されると、適応符号帳探索部4からの適応符号ベクトルと利得算出部6からの適応符号帳利得とが乗算器21で乗算され、固定符号帳探索部5からの固定符号ベクトルと利得算出部6からの固定符号帳利得とが乗算器22で乗算され、乗算器21の乗算結果と乗算器22の乗算結果とが加算器23で加算されて、1サブフレーム前の駆動音源信号として出力される。
【0044】
駆動音源信号は、適応符号帳探索部4に入力されて、次のサブフレームのピッチ周期検出に用いられると共に、LPC合成部7に入力され、LPC合成部7でLPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数と駆動音源信号により音声信号を再生され、符号化側における再生音声信号として出力され、加算器20で入力音声信号との差分が取られるようになっている。
【0045】
上記図1を用いて説明した構成及び動作が、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化装置の一般的な構成及び動作であるが、本発明の音声符号化装置では、固定符号帳探索部5の動作が従来のものとは異なっており、図2で詳細を説明する。
【0046】
図2は、図1の固定符号帳探索部5における本発明の詳細図を示したもので、パルスパターンテーブルA51、パルスパターンテーブルB52、パルスパターンテーブルC53、パルスパターンテーブルD54、最小歪み探索部A55、最小歪み探索部B56、最小歪み探索部C57、最小歪み探索部D58、歪格納メモリ59、最小歪探索部60、切替スイッチ処理部61から構成されている。
【0047】
パルスパターンテーブルA51は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表2のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0048】
【表2】
【0049】
パルスパターンテーブルB52は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表3のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0050】
【表3】
【0051】
パルスパターンテーブルB53は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表4のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0052】
【表4】
【0053】
パルスパターンテーブルD54は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表5のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0054】
【表5】
【0055】
歪探索部A55は、パルスパターンテーブルA1のパルス発生候補位置情報(b)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(f)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0056】
歪探索部B56は、パルスパターンテーブルA2のパルス発生候補位置情報(c)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(g)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(k)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0057】
歪探索部C57は、パルスパターンテーブルC3のパルス発生候補位置情報(d)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(h)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(l)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0058】
歪探索部D58は、パルスパターンテーブルD4のパルス発生候補位置情報(e)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(i)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(m)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0059】
歪格納メモリ59は、歪探索部A〜Dのそれぞのれ最小歪値(f)〜(i)を格納するメモリで、これらの格納情報(n)を最小歪探索部に出力する。
【0060】
最小歪探索部60は、歪格納メモリ59の格納情報(n)から最小歪値(f)〜(i)の内で最小値を検出して、その最小値に対応するパルスパターンインデックス(o)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0061】
切替スイッチ処理部61は、最小歪探索部から出力されたパルスパターンインデックス(o)を基に、歪探索部A〜Dからそれぞれ出力される最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)〜(m)に対応する情報に切替を行い、最終的に出力する代数的符号帳ベクトル(固定符号ベクトル)(p)を決定する処理が行われる処理部である。また、pの情報には、後述で解説する音声復号化装置で復号処理の速度を向上するため、音声符号化装置で選択されたパルスパターンテーブル情報を載せても構わない。具体的には、パルスパターンテーブルAが選択された場合は“00”、パルスパターンテーブルBが選択された場合は“01”、パルスパターンテーブルCが選択された場合は“10”、パルスパターンテーブルDが選択された場合は“11”というように復号化装置側で判別できるデータを載せる。本例では、2ビットのデータを付加するだけで、符号化装置側で使用したパルスパターンテーブルが、復号化装置側で判別することができる。
【0062】
次に、探索処理方法について説明する。
最初に、基本的な音声符号化方式であるACELP方式における代数的符号帳探索を行う際のターゲット信号(a)が、それぞれ歪探索部A〜Dに入力される。歪探索部A〜Dは、それそれパルスパターンテーブルA〜Dのパルス発生候補位置情報(b)〜(e)とターゲット信号(a)から、それぞれパルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、それぞれの最小歪値(f)〜(i)を歪格納メモリ59に、それぞれの最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)〜(m)を切替スイッチ処理部61に出力する。次に、歪格納メモリ59に格納されている最小歪値(f)〜(i)から、最小歪探索部60で最小歪値(f)〜(i)の内で最小値を検出して、その最小値に対応するパルスパターンインデックス(o)を切替スイッチ処理部61に出力する。切替スイッチ処理部61では、最小歪探索部から出力されたパルスパターンインデックス(o)を基に、歪探索部A〜Dからそれぞれ出力される最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)〜(m)に対応する情報に切替を行い、最終的に出力する代数的符号帳ベクトル(固定符号ベクトル)(p)を決定し、代数的符号帳ベクトルを出力する。
以上が、図2の処理動作である。
【0063】
従来のCS−ACELPに対して、本発明の音声符号化方法及び音声符号化装置では、代数的符号のデータ量が軽減できることを、図3〜図4を用いて具体例で説明する。図3は、本発明の各パルスの候補位置を示す模式図の一例であり、図4は、代数的符号帳のパルス探索位置を表す模式図の一例である。
【0064】
CS−ACELPの代数的符号帳は4チャンネルから構成され、各チャンネルからは振幅が+1か−1である1本のパルスが出力される。各チャンネルから出力されるパルスの位置には制限が加えられていて予め定められた範囲の位置にしかパルスが立てられる事はない。CS−ACELPでは40サンプル(5ms)のサブフレーム単位で励振信号の符号化が行われる。この1サブフレーム内の各サンプルパターンを表したのが図3(a)である。
【0065】
従来のCS−ACELPの代数的符号帳では、表1に示したように、この40サンプルパターンを4つのグループ(パルス番号1〜4)に分割する。
それに対して本発明の代数的符号帳では、この40サンプルパターンを例えば、4つのパルスパターンテーブルA〜Dに分割し、それぞれのパルスパターンテーブルA〜Dを4つのグループ(パルス番号1〜4)に分割する。
【0066】
図3(b)は、パルスパターンテーブルA、すなわち、表2で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
図3(c)は、パルスパターンテーブルB、すなわち、表3で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
図3(d)は、パルスパターンテーブルC、すなわち、表4で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
図3(e)は、パルスパターンテーブルD、すなわち、表5で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
【0067】
具体例として、パルスパターンテーブルAのパルス探索位置を図4を用いて説明する。
図4(a)は、図3(a)同様1サブフレーム内の各サンプルパターンを表したもので、太長線はパスルパターンテーブルAにおける最小歪であるパルスの組み合わせを示したものである。具体的な最小歪であるパルスの組み合わせ探索方法は後述で説明することにする。
図4(b)は、表2のパルス番号1のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号1でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
図4(c)は、表2のパルス番号2のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号2でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
図4(d)は、表2のパルス番号3のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号3でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
図4(e)は、表2のパルス番号4のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号4でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
【0068】
具体的な最小歪であるパルスの組み合わせ探索方法は、各パルス番号のグループに含まれるサンプルパターンの中から1箇所を選んで振幅が+1か−1のパルスを立てて探索を行い、全ての組合せの中で、各パルスグループについて図4(b)〜(e)に太長線で示すパルス位置が歪みを最小にするパルス位置であることが検出されたなら、当該4本のパルスを合わせた図4(a)に示すパルス波形信号が歪探索部Aから出力される。パルスパターンテーブルB〜Dの最小歪であるパルスの組み合わせ探索方法に関しては、パスルパターンテーブルAで探索した方法と同様な方法で、それぞれパルスパターンテーブルに対応した各パルス番号のグループに含まれるサンプルパターンの中から1箇所を選んで、振幅が+1か−1のパルスを立てて探索を行い、全ての組合せの中で、各パルスグループについてパルス位置が歪みを最小にするパルス位置を求めることで探索することが出来る。
【0069】
各パルスパターンテーブルに対応した最小歪であるパルスの組み合わせの探索が完了したら、それぞれの最小歪値を歪格納メモリ59に格納し、歪格納メモリ59に格納されているそれぞれの最小歪値から、最小歪探索部60でそれぞれの最小歪値の内で最小値を検出して、その最小値に対応するパルスパターンインデックスを切替スイッチ処理部61に出力し、パルスパターンインデックスを基に、歪探索部A〜Dからそれぞれ出力される最小歪パルス組み合わせパターンに対応する情報に切替を行い、最終的に出力する代数的符号帳ベクトル(固定符号ベクトル)を決定し、代数的符号帳ベクトルを出力する。
【0070】
次に、上記説明した本発明に係る代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化に対応する音声復号化装置の概略構成例について図5を使って説明する。図5は、本発明に係る音声復号化装置の概略構成ブロック図である。
本発明の音声復号化装置は、図5に示すように、分離部31と、適応符号ベクトル出力部32と、固定符号ベクトル出力部33と、利得ベクトル出力部34と、乗算器35と、乗算器36と、加算器37と、LPC合成部38と、ポストフィルタ39とから構成されている。
尚、図には示していないが、フレームタイミング、サブフレームタイミングに従って、各部の動作をトータルに制御するようなタイミング制御部が音声復号化装置全体を制御している。
【0071】
本発明の音声復号化装置の各部について簡単に説明する。
分離部31は、受信した音声符号化データを適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)、LSP係数の符号(D)に分離して出力するものである。
【0072】
適応符号ベクトル出力部32は、適応符号(A)を復号してピッチ周期を求め出力すると共に、ピッチ周期に基づき過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出し適応符号ベクトルとして出力するものである。
【0073】
固定符号ベクトル出力部33は、予め音声符号化側と同様の複数のパルスグループに関するパルス候補位置を記憶している固定符号帳(ACELPでは、代数的符号帳とも言う)を保持し、固定符号(B)に示されたパルス位置及び極性(±)の組み合わせに基づき、固定符号帳を用いてパルスを配置したパルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力するものである。
但し、本発明の固定符号ベクトル出力部33では、音声符号化側と同様の複数の固定符号帳(パルスパターンテーブルA〜D)を保持し、音声符号化装置側から送信されたパルスパターンテーブル選択情報に従って何れかの固定符号帳(パルスパターンテーブルA〜D)を選択し、選択された固定符号帳を用いて固定符号ベクトルを生成し出力する点が、従来とは異なっている。詳細は、後述する。
【0074】
利得ベクトル出力部34は、利得符号(C)に基づき適応符号帳利得及び固定符号帳利得を出力するものである。
【0075】
乗算器35は、適応符号ベクトル出力部32からの適応符号ベクトルに、利得ベクトル出力部34からの適応符号帳利得を乗算するものである。
乗算器36は、固定符号ベクトル出力部33からの固定符号ベクトルに利得ベクトル出力部34からの固定符号帳利得を乗算するものである。
加算器37は、乗算器35による乗算結果と、乗算器36による乗算結果とを加算して後述するLPC合成部38の駆動音源信号を出力するものである。
【0076】
LPC合成部38は、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数と加算器37から出力される駆動音源信号とにより音声信号を再生し、再生音声信号を出力するものである。
ポストフィルタ39は、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いて、LPC合成部38から出力される再生音声信号に対し、スペクトル整形等の処理を行い、音質が改善された再生音声を出力するものである。
【0077】
次に、本実施の形態に係る音声復号化装置の基本動作について図5を使って説明する。
本発明の音声復号化装置では、受信した音声符号化データが、分離部31で適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)、LSP係数の符号(D)に分離される。
【0078】
そして、適応符号(A)は、適応符号ベクトル出力部32で復号されてピッチ周期が求められ出力されると共に、ピッチ周期に基づき記憶されている過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出した適応符号ベクトルが出力される。
【0079】
一方、固定符号(B)は、固定符号ベクトル出力部33に入力され、固定符号(B)に示されたパルス位置及び極性(±)の組み合わせに基づきパルスを配置したパルス波形信号が固定符号ベクトルとして出力される。尚、詳細は、後述する。
【0080】
また、利得符号(C)は、利得ベクトル出力部34に入力されて適応符号帳利得及び固定符号帳利得が求められて出力される。
【0081】
そして、適応符号ベクトル出力部32からの適応符号ベクトルには乗算器35で利得ベクトル出力部34からの適応符号帳利得が乗算され、固定符号ベクトル出力部33からの固定符号ベクトルには乗算器36で利得ベクトル出力部34からの固定符号帳利得が乗算され、双方が加算器37により加算されてLPC合成部38の駆動音源信号として出力され、LPC合成部38に入力されると共に、適応符号ベクトル出力部32に入力されて過去の駆動音源信号として記憶される。
【0082】
加算器37から出力された駆動音源信号は、LPC合成部38で分離部31によって分離されたLSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いて音声信号が再生され、再生音声信号となり、ポストフィルタ39で、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いてスペクトル整形等の処理が行われ、音質が改善された再生音声が出力されるようになっている。
【0083】
上記図5を用いて説明した構成及び動作が、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声復号化装置の一般的な構成及び動作であるが、本発明の音声復号化装置では、固定符号ベクトル出力部33が動作が従来のものとは異なっており、図6で詳細を説明する。
【0084】
まず、本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部構成例について、図6を使って説明する。図6は、本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部構成を示すブロック図である。尚、図6の構成は、図2で説明した音声符号化側の固定符号帳探索部5に対応する構成であり、パルス候補位置を4つに分割した場合の構成例を示している。
【0085】
本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部は、図6に示すように、パルスパターンテーブルA71と、パルスパターンテーブルB72と、パルスパターンテーブルC73と、パルスパターンテーブルD74と、切替スイッチ処理部75と、代数的符号ベクトル生成部76とから構成されている。
【0086】
固定符号ベクトル出力部33の内部の各部について説明する。
パルスパターンテーブルA71は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルA51に対応し、表2に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報qを出力するものである。
パルスパターンテーブルB72は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルB52に対応し、表3に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報rを出力するものである。
パルスパターンテーブルC73は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルC53に対応し、表4に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報sを出力するものである。
パルスパターンテーブルD74は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルD54に対応し、表5に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報tを出力するものである。
【0087】
切替スイッチ処理部75は、音声符号化装置から送信されたパルスパターンテーブル情報uを基に、符号化装置側で使用されたパルスパターンテーブルに対応したパルスパターンテーブルを選択し、パルス候補位置情報vとして出力するものである。
【0088】
代数的符号ベクトル生成部76は、適応符号ベクトル出力部からのピッチ周期情報、分離部31からの固定符号(B)、切替スイッチ処理部75から入力されるパルス候補位置情報vを基に、パルス候補位置にパルスを立てた固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)を生成して出力するものである。
【0089】
本発明の固定符号ベクトル出力部33の動作について、図6を使って説明する。
本発明の固定符号ベクトル出力部33では、分離部31からの固定符号(B)をからパルスパターンテーブル情報uを読み出し、切替スイッチ処理部75に入力され、パルスパターンテーブル情報uを基に、符号化装置側で使用されたパルスパターンテーブルに対応したパルスパターンテーブルを選択し、パルス候補位置情報vとして代数的符号ベクトル生成部76に出力し、代数的符号ベクトル生成部76は、適応符号ベクトル出力部からのピッチ周期情報、分離部31からの固定符号(B)、切替スイッチ処理部75から入力されるパルス候補位置情報vを基に、パルス候補位置にパルスを立てた固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)を生成して出力する。
【0090】
従って、上述の処理を行うことで、符号化装置側から送信された音声情報を再生音声品質の劣化及び処理量の増量無しに再生することが可能となる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、複数の探索結果の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択する音声符号化方法を提供することで、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0092】
また、本発明によれば、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、代数的符号帳探索手段が、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する歪探索部と、歪探索部の探索情報を格納する歪格納メモリと、歪格納メモリに格納された探索情報の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを探索する最小歪探索部と、最小歪探索部で探索された歪探索部の探索情報に切り替えを行う切替手段とを備え、切替手段の出力を基に代数的符号帳ベクトルを生成する音声符号化装置を提供することで、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0093】
また、本発明によれば、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成部を備え、代数的符号帳ベクトル生成部が、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、複数の分割候補位置テーブルから符号化で用いられたものと同様の1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段を備えた音声復号化装置を提供することで、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0094】
更に、本発明を適用することにより従来の第2のビットレート削減手法で、これまではビットレート削減相当の劣化として許容されてきた品質劣化を回避し、かつビットレートの削減率は変わらない状態を確保でき、ビットレート削減効果は、実施例をITU−T標準G.729に適用した場合で6bit/5ms=12bit/frameとなり、8kbpsのビットレートを6.8kbpsに削減可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る音声符号化装置の概略構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の音声符号化装置における固定符号帳探索部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の各パルスの候補位置を示す模式図の一例を示す図である。
【図4】本発明の代数的符号帳のパルス探索位置を表す模式図の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る音声復号化装置の概略構成ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の音声復号化装置における固定ベクトル出力部の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…前処理部、 2…LPC分析量子化補間処理部、 3…聴覚重み付け処理部、 4…適応符号帳探索部、 5…固定符号帳探索部、 6…利得算出部、 7…LPC合成部、 8…自乗誤差最小化部、 9…多重化処理部、 20…加算器、 21…乗算器、 22…乗算器、 23…加算器、 31…分離部、 32…適応符号ベクトル出力部、 33…固定符号ベクトル出力部、 34…利得ベクトル出力部、 35…乗算器、 36…乗算器、 37…加算器、 38…LPC合成部、 39…ポストフィルタ、 51…パルスパターンテーブルA、 52…パルスパターンテーブルB、 53…パルスパターンテーブルC、 54…パルスパターンテーブルD、 55…歪探索部A、 56…歪探索部B、57…歪探索部C、 58…歪探索部D、 59…歪格納メモリ、 60…最小歪探索部、 61…切替スイッチ処理部、 71…パルスパターンテーブルA、 72…パルスパターンテーブルB、 73…パルスパターンテーブルC、 74…パルスパターンテーブルD、 75…切替スイッチ処理部、 76…代数的符号ベクトル生成部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル移動体通信に必要不可欠なディジタル音声圧縮処理における音声符号化方法及び音声符号化装置に係り、特に代数的符号励振予測方式による符号化において、再生音声品質の劣化を極力抑えつつディジタル音声圧縮効率を向上して伝送情報を低減し、伝送効率を向上できる音声符号化方法及び音声符号化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的にディジタル音声情報を8kbps以下に圧縮する場合、基本方式としてACELP(Algebraic Code Excited Linear Prediction:代数的符号励振線形予測)が用いられている。ACELPは従来のCELP(Code Excited Linea Prediction)のように雑音励振源として予め符復号で既知の雑音符号帳を持たず、定められた音声バースト毎に定められた本数のパルスを、音声バースト区間中隙間無く探索することで、より正確に駆動音源を生成する方式である。この代数的に駆動音源を生成する手法により、従来のCELPで用いられてきた雑音励振源探索と比較して、より低演算量でより品質の良い音声符号化を実現することが可能となっている。
【0003】
例としてITU−T勧告G.729(以下CS−ACELP(Conjugate Structure ―ACELP:共益構造ACELP)と呼ぶ)の代数的符号帳探索処理の概要を以下に示す。
CS−ACELPはフレーム長10ms、サブフレーム長5msで構成されており、標本化周波数8kHzで5ms(40サンプル)の駆動音源を4本のパルスで表現する。CS−ACELPにおけるパルス発生候補位置を表1に示す。
【0004】
表1に示すように、40サンプル4本のパルスで隙間無く探索し、ターゲット信号と比較して最小歪みのパルス組み合わせを検出する。
表1に示すようにパルスNo.1〜3におけるパルス発生候補位置は8候補、パルスNo.4におけるパルス発生候補位置は16候補であり、これらに加えて各々のパルスの極性を示す情報として各1bitが必要となる。よってCS−ACELPにおける代数的符号帳分の情報は17bit/5ms(サブフレーム)、フレーム単位に換算すると34bit/frameとなる。
【0005】
【表1】
【0006】
次に従来行われてきたACELPのビットレート削減手法の一例について示す。
1つ目のビットレート削減手法として、パルスの本数を削減するという方法が考えられる。CS−ACELPにおいてサブフレーム中におけるパルス数を4本から2本に削減すると考えると、1本のパルス発生候補位置は8候補と32候補の2種類が生じる(1本当たりのパルス発生候補位置は2のべき乗とならなければならない)。これに加えて各パルスの極性にそれぞれ1bitが配分されるとして、合計で10bitとなり、フレーム当たりの削減ビット数は34−20=14bitとなる。
【0007】
上記のようにパルスの本数を削減する従来技術としては、平成10年11月24日公開の特開平10−312198号「音声符号化方法」(出願人:日本電信電話株式会社、発明者:林 伸ニ他)がある。
この従来技術は、雑音生成ベクトルの符号化において、各フレームを構成する2つのサブフレームに対し、2つのパルス#0、#1で表し、パルス#0は、16個の取りうる位置を4ビットにより表し、パルス#1は、24個の取りうる位置を5ビットにより表すこととし、それぞれのパルスに対して1ビットの極性ビットを与え、サブフレーム当たり4+5+2=11ビットで雑音成分ベクトルを表す音声符号化方法であり、これにより、ビットレートを低減できるものである(特許文献1参照)。
【0008】
2つ目のビットレート削減手法として、パルス発生候補位置を1サンプルおきに配置する方法が考えられる。よってパルス発生候補位置が8候補のパルスは4候補に、16候補のパルスは8候補に削減できる。この方法による削減効果は、フレーム当たり8bitとなる。
【0009】
上述2種類の一般的な情報削減手法である程度の削減効果は得られるが、1つ目の手法ではパルス数が減少することに起因して品質が大幅に劣化してしまう。また、2つ目の手法では探索されないサンプルが生じることによる不正確な最小歪み探索に起因して品質が若干劣化してしまうという問題点が生じる。
【0010】
上述1つ目のビットレート削減手法はITU−T勧告G.729付属資料Dで用いられており、これによる再生音声品質の劣化は、パルス分散をフィルタリングで実現することによりある程度回避している。また上述2つ目のビットレート削減手法は、標準化された数種類の低ビットレート音声符号化(例:ITU−T勧告G.723.1ACELP、AMR−NBの低ビットレートコーデックモードなど)にも使用されており、ビットレート低下に伴う品質劣化の許容範囲としてそのまま用いられることが多い。
【0011】
また、その他にビット数を削減しながら音声品質の向上を図る従来技術としては、平成11年8月31日公開の特開平11−237899号「音源信号符号化装置及びその方法、並びに音源信号符号化装置及びその方法」(出願人:松下電器産業株式会社、発明者:江原 宏幸他)がある。
この従来技術は、複数種類の代数的符号帳を有する構成とし、ピッチピークの位置に応じて複数の代数的符号帳を切り替える音源信号符号化装置及びその方法、並びに音源信号復号化装置及びその方法である。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−312198号公報(第5頁、図6)
【特許文献2】
特開平11−237899号公報(第20頁〜第24頁、図22〜図26)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、全体のビットレートをより多く削減することを考えると、上述2種類の削減手法を組み合わせて考える必要があり、それぞれの手法が抱える欠点が相乗効果を持って、より再生音声品質を低下させてしまうという問題があった。
【0014】
また、上述二つ目のビットレート削減手法の採用による品質劣化は許容されることが多いが、入力音声のピッチ周期値が小さい場合(女声や子供の声など)に劣化が顕著に観測されるという問題があった。
【0015】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、ACELPにおける代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる音声符号化装置及び音声符号化方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための課題】
請求項1記載の音声符号化方法は、ACELP方式を用いた音声符号化方法であって、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、当該複数の探索結果の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択することを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の音声符号化装置は、ACELP方式を用いた音声符号化装置であって、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、前記代数的符号帳探索手段が、前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する歪探索部と、前記歪探索部の探索情報を格納する歪格納メモリと、前記歪格納メモリに格納された探索情報の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを探索する最小歪探索部と、前記最小歪探索部で探索された歪探索部の探索情報に切り替えを行う切替手段とを備え、前記切替手段の出力を基に代数的符号帳ベクトルを生成することを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の音声復号化装置は、請求項2記載の音声符号化装置で符号化された音声符号化データについて復号を行う音声復号化装置であって、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成部を備え、前記代数的符号帳ベクトル生成部が、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、前記複数の分割候補位置テーブルから符号化で用いられたものと同様の1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、前記選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段であることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下で説明する機能実現手段は、当該機能を実現できる手段であれば、どのような回路又は装置であっても構わず、また、機能の一部又は全部をソフトウエアで実現することも可能である。更に、機能実現手段を複数の回路によって実現してもよく、複数の機能実現手段を単一の回路で実現してもよい。
【0020】
尚、本発明の実施の形態における各手段と図1、図2、図5、図6の各部との対応を示すと、代数的符号帳探索部は、固定符号帳探索部5に相当し、分割パルス候補位置テーブルは、パルスパターンテーブルA〜Dに相当し、切替手段は、切替スイッチ処理部61に相当し、代数的符号帳生成部が固定符号ベクトル出力部33に相当している。
【0021】
まず、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化装置の一般的な概略構成例について図1を使って説明する。図1は、本発明に係る音声符号化装置の概略構成ブロック図である。
【0022】
本実施の形態に係る音声符号化装置(本装置)は、図1に示すように、前処理部1と、LPC分析量子化補間処理部2と、聴覚重み付け処理部3と、適応符号帳探索部4と、固定符号帳探索部5と、利得算出部6と、LPC合成部7と、自乗誤差最小化部8と、多重化処理部9とから構成されている。
尚、図には示していないが、フレームタイミング、サブフレームタイミングに従って、各部の動作をトータルに制御するようなタイミング制御部が音声符号化装置全体を制御している。
【0023】
本装置の各部について簡単に説明する。
前処理部1は、信号のスケーリングと高域通過フィルタリングを行うものである。
LPC分析量子化補間処理部2は、1フレーム毎に線形予測(Linear Prediction:LP)分析を行ってLPフィルタ係数(LPC係数)の算出を行い、算出されたLPC係数を線スペクトル対(Linear Spectrum Pair:LSP)に変換して量子化し、LSP係数の符号(D)を出力すると共に、更に補間して、量子化及び補間結果に基づいて逆変換されたLPC係数を出力するものである。
【0024】
加算器20は、前処理が施された音声入力信号と、前フレームの再生音声信号との差分を取って、誤差信号を出力するものである。
聴覚重み付け処理部3は、入力される誤差信号に対し、サブフレーム単位でLPC係数を用いて聴覚重み付け処理(公知の技術)を行い、聴覚重み付け誤差信号を出力するものである。
【0025】
適応符号帳探索部4は、サブフレーム毎に、ピッチ周期成分を探索するもので、具体的には、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、過去の駆動音源信号に対してある遅延(ピッチ周期)だけさかのぼり、その点からサブフレーム長のサンプルを切り出して現サブフレームに充当し、これに基づいて作成された再生音声信号と入力音声信号との誤差が最小となるピッチ周期を検出し、検出されたピッチ周期の情報を適応符号(A)として自乗誤差最小化部8に出力すると共に、固定符号帳探索部5にも出力する。
また、検出されたピッチ周期を元に過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出し、適応符号ベクトルとして利得算出のために利得算出部6へ出力すると共に、過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0026】
固定符号帳探索部5は、サブフレーム毎に、ピッチ周期成分以外のランダムな成分(雑音成分とも言う)を探索するもので、入力音声信号から前記適応符号帳探索部4で検出されたピッチ周期及び後述する利得算出部6で算出された適応符号帳利得に基づく適応符号ベクトル寄与分を減算した目標信号(ターゲット信号)に対して雑音成分の探索を行う。
尚、適応符号ベクトルと固定符号ベクトルとの組み合わせも考慮した探索を行う場合には、ターゲット信号として、適応符号ベクトルと固定符号ベクトルを組み合わせて作られる駆動音源ベクトルから合成フィルタによって合成されるべきベクトルを用い、当該ターゲット信号に対して雑音成分の探索を行う。
【0027】
特に、ACELPでは、複数パルスの組み合わせにより雑音成分を表し、予め定めた複数のパルスグループについて、各パルスグループ毎に予め限定して定めておいた複数個のパルス候補位置の中から、パルスグループ毎に1つのパルス位置の最適な組み合わせを探索する処理を行うものである。
【0028】
具体的には、予め定めた複数のパルスグループに対に関して、それぞれの候補配置を定めた固定符号帳(ACELPでは代数的符号帳ともいう)を保持し、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、基本的には代数符号帳の内容に基づいて、各グループから1つのパルス位置を選び、全てのパルス位置の候補に対して総組合せで探索処理を行う。
探索処理は、選択された各グループのパルスに極性を与え、パルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力し、当該固定符号ベクトルに基づいて作成された再生音声信号と上記目標信号との自乗誤差が最小化されるようなパルスの組み合わせを探索する処理である。
【0029】
そして、検出された誤差が最小化されるパルスの組み合わせについて、各パルスグループ毎に極性とパルス位置を表すテーブルのインデックスとで構成される代数的符号を、固定符号(B)として自乗誤差最小化部8に出力する。
また、検出されたパルスの組み合わせからなるパルス波形信号を固定符号ベクトルとし、利得算出のために重み付けを行った重み付け固定符号ベクトルを利得算出部6へ出力すると共に、固定符号ベクトルを過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0030】
尚、本発明の固定符号帳探索部5では、予め定めた複数のパルスグループに関する候補位置の取扱いと、自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、パルスの組み合わせ探索を行う方法が従来とは異なっているが、詳細は後述する。
【0031】
利得算出部6は、後述する自乗誤差最小化部8からの制御信号に従い、適応符号帳探索部4から入力される適応符号ベクトルと固定符号帳探索部5からの(重み付け)固定符号ベクトルより、入力音声と再生音声との重み付け平均自乗誤差を最小にする適応符号帳利得および固定符号帳利得を求め、利得符号として自乗誤差最小化部8に出力する。
また、検出された適応符号帳利得および固定符号帳利得を過去の駆動音源信号生成の為にも出力する。
【0032】
自乗誤差最小化部8は、聴覚重み付け処理部3で重み付けされた聴覚重み付け誤差信号を入力し、聴覚重み付け誤差を最小にするような各符号を探索するように適応符号帳探索部4、固定符号帳探索部5、利得算出部6に制御信号を出力し、各々における探索結果である聴覚重み付け誤差を最小とするような適応符号帳のインデックスである適応符号(A)、固定符号帳のインデックスである固定符号(B)、適応符号利得及び固定符号利得からなる利得符号(C)を受け取って、励振パラメータとして多重化処理部9に出力するものである。
【0033】
乗算器21は、適応符号帳探索部4から出力される適応符号化ベクトルと、利得算出部6から出力される適応符号利得との乗算を行うものである。
乗算器22は、固定符号帳探索部5から出力される固定符号化ベクトルと、利得算出部6から出力される固定符号利得との乗算を行うものである。
加算器23は、乗算器21から出力される適応符号化ベクトルと適応符号利得との乗算結果と、乗算器22から出力される固定符号化ベクトルと固定符号利得との乗算結果とを加算して、駆動音源信号を出力するものである。
【0034】
LPC合成部7は、LPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数、及び加算器23から出力される駆動音源信号により音声信号を再生し、符号化側における再生音声信号を出力するものである。
【0035】
多重化処理部9は、自乗誤差最小化部8からの適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータと、LPC分析量子化補間処理部2からのLSP係数の符号(D)とが多重化されてビットストリーム化され、音声符号化データとして送信するものである。
【0036】
次に、本実施の形態に係る音声符号化装置(本装置)の基本動作について図1を使って説明する。
本装置では、送信する音声信号が入力されると、前処理部1でスケーリング及び高域通過フィルタリングの前処理が施され、LPC分析量子化補間処理部2でLPC分析され、LSP係数に変換されて量子化され、補間されて、LPC係数とLSP係数の符号(D)とが出力され、LPC係数の符号(D)は、多重化処理部9に出力されて、適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータと共に多重化されて、ビットストリーム化されて音声符号化データとして送信される。
【0037】
一方、前処理部1から出力された前処理後の音声信号は、加算器20で1フレーム前の符号化側における再生音声信号との差分が取られて誤差信号が出力され、聴覚重み付け処理部3において、LPC分析量子化補間処理部2からのLPC係数を用いて誤差信号に聴覚重み付けが為され、聴覚重み付け誤差信号が自乗誤差最小化部8に入力される。
【0038】
自乗誤差最小化部8では、まず適応符号帳探索部4に対して聴覚重み付け誤差を最小にするようなピッチ周期の適応符号を探索する指示の制御信号(図では点線矢印)を出力し、適応符号帳探索部4で誤差信号が最小となるピッチ周期が検出され、検出されたピッチ周期の情報が適応符号(A)として自乗誤差最小化部8に出力される。また、検出されたピッチ周期を元に過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の信号を切り出した適応符号ベクトルが出力される。
【0039】
そして、自乗誤差最小化部8では、利得算出部6に対して適応符号の利得算出を指示する制御信号(図では点線矢印)が出力され、利得算出部6で、適応符号帳探索部4から出力される適応符号ベクトルより、適応符号帳利得が求められて出力される。
【0040】
次に、自乗誤差最小化部8では、通常、固定符号帳探索部5に対して入力音声信号から適応符号ベクトル寄与分を減算した目標信号に対して聴覚重み付け誤差を最小にするような固定符号を探索する指示の制御信号(図では点線矢印)を出力し、固定符号帳探索部5で誤差信号が最小となる組み合わせの各パルスについて、その極性とパルス位置(インデックス)を示す代数的符号が固定符号(B)として自乗誤差最小化部8に出力される。また、固定符号帳探索部5からは、誤差信号が最小となる組み合わせの各パルスを有するパルス波形信号が固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)として出力される。
【0041】
そして、自乗誤差最小化部8では、利得算出部6に対して固定符号の利得算出を指示する制御信号(図では点線矢印)が出力され、利得算出部6では、固定符号帳探索部5から入力される重み付け固定符号ベクトルより、固定符号帳利得が求められ、既に求めた適応符号帳利得と固定符号帳利得とが利得符号として自乗誤差最小化部8に出力される。
【0042】
上記動作の結果、自乗誤差最小化部8では、サブフレーム毎に聴覚重み付け誤差を最小化する適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)から成る励振信号パラメータが決定されて多重化処理部9に出力され、多重化処理部9ではフレーム毎にLPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数と、サブフレーム毎に自乗誤差最小化部8から出力される励振信号パラメータが多重化されて、ビットストリーム化されて送信される。
【0043】
そして、サブフレームにおける励振信号パラメータが決定されると、適応符号帳探索部4からの適応符号ベクトルと利得算出部6からの適応符号帳利得とが乗算器21で乗算され、固定符号帳探索部5からの固定符号ベクトルと利得算出部6からの固定符号帳利得とが乗算器22で乗算され、乗算器21の乗算結果と乗算器22の乗算結果とが加算器23で加算されて、1サブフレーム前の駆動音源信号として出力される。
【0044】
駆動音源信号は、適応符号帳探索部4に入力されて、次のサブフレームのピッチ周期検出に用いられると共に、LPC合成部7に入力され、LPC合成部7でLPC分析量子化補間処理部2から出力されるLPC係数と駆動音源信号により音声信号を再生され、符号化側における再生音声信号として出力され、加算器20で入力音声信号との差分が取られるようになっている。
【0045】
上記図1を用いて説明した構成及び動作が、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化装置の一般的な構成及び動作であるが、本発明の音声符号化装置では、固定符号帳探索部5の動作が従来のものとは異なっており、図2で詳細を説明する。
【0046】
図2は、図1の固定符号帳探索部5における本発明の詳細図を示したもので、パルスパターンテーブルA51、パルスパターンテーブルB52、パルスパターンテーブルC53、パルスパターンテーブルD54、最小歪み探索部A55、最小歪み探索部B56、最小歪み探索部C57、最小歪み探索部D58、歪格納メモリ59、最小歪探索部60、切替スイッチ処理部61から構成されている。
【0047】
パルスパターンテーブルA51は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表2のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0048】
【表2】
【0049】
パルスパターンテーブルB52は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表3のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0050】
【表3】
【0051】
パルスパターンテーブルB53は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表4のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0052】
【表4】
【0053】
パルスパターンテーブルD54は、表1で示されたパルス発生位置候補テーブルの内、パルスNo.1〜3の候補をそれぞれ2つ、パルスNO.4の候補を4つ選出したパルスパターンテーブルが格納されており、一例として表5のようなパルス発生位置候補マップが格納されている。
【0054】
【表5】
【0055】
歪探索部A55は、パルスパターンテーブルA1のパルス発生候補位置情報(b)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(f)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0056】
歪探索部B56は、パルスパターンテーブルA2のパルス発生候補位置情報(c)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(g)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(k)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0057】
歪探索部C57は、パルスパターンテーブルC3のパルス発生候補位置情報(d)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(h)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(l)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0058】
歪探索部D58は、パルスパターンテーブルD4のパルス発生候補位置情報(e)と、最適なパルス位置・極性を探索するためのターゲット信号(a)から、パルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、最小歪値(i)を歪格納メモリ59に、最小歪パルス組み合わせパターン情報(m)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0059】
歪格納メモリ59は、歪探索部A〜Dのそれぞのれ最小歪値(f)〜(i)を格納するメモリで、これらの格納情報(n)を最小歪探索部に出力する。
【0060】
最小歪探索部60は、歪格納メモリ59の格納情報(n)から最小歪値(f)〜(i)の内で最小値を検出して、その最小値に対応するパルスパターンインデックス(o)を切替スイッチ処理部61に出力する。
【0061】
切替スイッチ処理部61は、最小歪探索部から出力されたパルスパターンインデックス(o)を基に、歪探索部A〜Dからそれぞれ出力される最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)〜(m)に対応する情報に切替を行い、最終的に出力する代数的符号帳ベクトル(固定符号ベクトル)(p)を決定する処理が行われる処理部である。また、pの情報には、後述で解説する音声復号化装置で復号処理の速度を向上するため、音声符号化装置で選択されたパルスパターンテーブル情報を載せても構わない。具体的には、パルスパターンテーブルAが選択された場合は“00”、パルスパターンテーブルBが選択された場合は“01”、パルスパターンテーブルCが選択された場合は“10”、パルスパターンテーブルDが選択された場合は“11”というように復号化装置側で判別できるデータを載せる。本例では、2ビットのデータを付加するだけで、符号化装置側で使用したパルスパターンテーブルが、復号化装置側で判別することができる。
【0062】
次に、探索処理方法について説明する。
最初に、基本的な音声符号化方式であるACELP方式における代数的符号帳探索を行う際のターゲット信号(a)が、それぞれ歪探索部A〜Dに入力される。歪探索部A〜Dは、それそれパルスパターンテーブルA〜Dのパルス発生候補位置情報(b)〜(e)とターゲット信号(a)から、それぞれパルス発生候補位置に従ったパルス組み合わせの中から歪みが最も小さい組み合わせを探索し、それぞれの最小歪値(f)〜(i)を歪格納メモリ59に、それぞれの最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)〜(m)を切替スイッチ処理部61に出力する。次に、歪格納メモリ59に格納されている最小歪値(f)〜(i)から、最小歪探索部60で最小歪値(f)〜(i)の内で最小値を検出して、その最小値に対応するパルスパターンインデックス(o)を切替スイッチ処理部61に出力する。切替スイッチ処理部61では、最小歪探索部から出力されたパルスパターンインデックス(o)を基に、歪探索部A〜Dからそれぞれ出力される最小歪パルス組み合わせパターン情報(j)〜(m)に対応する情報に切替を行い、最終的に出力する代数的符号帳ベクトル(固定符号ベクトル)(p)を決定し、代数的符号帳ベクトルを出力する。
以上が、図2の処理動作である。
【0063】
従来のCS−ACELPに対して、本発明の音声符号化方法及び音声符号化装置では、代数的符号のデータ量が軽減できることを、図3〜図4を用いて具体例で説明する。図3は、本発明の各パルスの候補位置を示す模式図の一例であり、図4は、代数的符号帳のパルス探索位置を表す模式図の一例である。
【0064】
CS−ACELPの代数的符号帳は4チャンネルから構成され、各チャンネルからは振幅が+1か−1である1本のパルスが出力される。各チャンネルから出力されるパルスの位置には制限が加えられていて予め定められた範囲の位置にしかパルスが立てられる事はない。CS−ACELPでは40サンプル(5ms)のサブフレーム単位で励振信号の符号化が行われる。この1サブフレーム内の各サンプルパターンを表したのが図3(a)である。
【0065】
従来のCS−ACELPの代数的符号帳では、表1に示したように、この40サンプルパターンを4つのグループ(パルス番号1〜4)に分割する。
それに対して本発明の代数的符号帳では、この40サンプルパターンを例えば、4つのパルスパターンテーブルA〜Dに分割し、それぞれのパルスパターンテーブルA〜Dを4つのグループ(パルス番号1〜4)に分割する。
【0066】
図3(b)は、パルスパターンテーブルA、すなわち、表2で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
図3(c)は、パルスパターンテーブルB、すなわち、表3で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
図3(d)は、パルスパターンテーブルC、すなわち、表4で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
図3(e)は、パルスパターンテーブルD、すなわち、表5で示されたパルス候補位置のサンプルパターンを示した図で、パルス候補位置のサンプルパターンは黒く塗りつぶして表示を行っている。
【0067】
具体例として、パルスパターンテーブルAのパルス探索位置を図4を用いて説明する。
図4(a)は、図3(a)同様1サブフレーム内の各サンプルパターンを表したもので、太長線はパスルパターンテーブルAにおける最小歪であるパルスの組み合わせを示したものである。具体的な最小歪であるパルスの組み合わせ探索方法は後述で説明することにする。
図4(b)は、表2のパルス番号1のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号1でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
図4(c)は、表2のパルス番号2のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号2でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
図4(d)は、表2のパルス番号3のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号3でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
図4(e)は、表2のパルス番号4のパルス候補位置を表したもので、長太線はパルス番号4でのの最小歪のパルス探索位置を示している。
【0068】
具体的な最小歪であるパルスの組み合わせ探索方法は、各パルス番号のグループに含まれるサンプルパターンの中から1箇所を選んで振幅が+1か−1のパルスを立てて探索を行い、全ての組合せの中で、各パルスグループについて図4(b)〜(e)に太長線で示すパルス位置が歪みを最小にするパルス位置であることが検出されたなら、当該4本のパルスを合わせた図4(a)に示すパルス波形信号が歪探索部Aから出力される。パルスパターンテーブルB〜Dの最小歪であるパルスの組み合わせ探索方法に関しては、パスルパターンテーブルAで探索した方法と同様な方法で、それぞれパルスパターンテーブルに対応した各パルス番号のグループに含まれるサンプルパターンの中から1箇所を選んで、振幅が+1か−1のパルスを立てて探索を行い、全ての組合せの中で、各パルスグループについてパルス位置が歪みを最小にするパルス位置を求めることで探索することが出来る。
【0069】
各パルスパターンテーブルに対応した最小歪であるパルスの組み合わせの探索が完了したら、それぞれの最小歪値を歪格納メモリ59に格納し、歪格納メモリ59に格納されているそれぞれの最小歪値から、最小歪探索部60でそれぞれの最小歪値の内で最小値を検出して、その最小値に対応するパルスパターンインデックスを切替スイッチ処理部61に出力し、パルスパターンインデックスを基に、歪探索部A〜Dからそれぞれ出力される最小歪パルス組み合わせパターンに対応する情報に切替を行い、最終的に出力する代数的符号帳ベクトル(固定符号ベクトル)を決定し、代数的符号帳ベクトルを出力する。
【0070】
次に、上記説明した本発明に係る代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声符号化に対応する音声復号化装置の概略構成例について図5を使って説明する。図5は、本発明に係る音声復号化装置の概略構成ブロック図である。
本発明の音声復号化装置は、図5に示すように、分離部31と、適応符号ベクトル出力部32と、固定符号ベクトル出力部33と、利得ベクトル出力部34と、乗算器35と、乗算器36と、加算器37と、LPC合成部38と、ポストフィルタ39とから構成されている。
尚、図には示していないが、フレームタイミング、サブフレームタイミングに従って、各部の動作をトータルに制御するようなタイミング制御部が音声復号化装置全体を制御している。
【0071】
本発明の音声復号化装置の各部について簡単に説明する。
分離部31は、受信した音声符号化データを適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)、LSP係数の符号(D)に分離して出力するものである。
【0072】
適応符号ベクトル出力部32は、適応符号(A)を復号してピッチ周期を求め出力すると共に、ピッチ周期に基づき過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出し適応符号ベクトルとして出力するものである。
【0073】
固定符号ベクトル出力部33は、予め音声符号化側と同様の複数のパルスグループに関するパルス候補位置を記憶している固定符号帳(ACELPでは、代数的符号帳とも言う)を保持し、固定符号(B)に示されたパルス位置及び極性(±)の組み合わせに基づき、固定符号帳を用いてパルスを配置したパルス波形信号を固定符号ベクトルとして出力するものである。
但し、本発明の固定符号ベクトル出力部33では、音声符号化側と同様の複数の固定符号帳(パルスパターンテーブルA〜D)を保持し、音声符号化装置側から送信されたパルスパターンテーブル選択情報に従って何れかの固定符号帳(パルスパターンテーブルA〜D)を選択し、選択された固定符号帳を用いて固定符号ベクトルを生成し出力する点が、従来とは異なっている。詳細は、後述する。
【0074】
利得ベクトル出力部34は、利得符号(C)に基づき適応符号帳利得及び固定符号帳利得を出力するものである。
【0075】
乗算器35は、適応符号ベクトル出力部32からの適応符号ベクトルに、利得ベクトル出力部34からの適応符号帳利得を乗算するものである。
乗算器36は、固定符号ベクトル出力部33からの固定符号ベクトルに利得ベクトル出力部34からの固定符号帳利得を乗算するものである。
加算器37は、乗算器35による乗算結果と、乗算器36による乗算結果とを加算して後述するLPC合成部38の駆動音源信号を出力するものである。
【0076】
LPC合成部38は、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数と加算器37から出力される駆動音源信号とにより音声信号を再生し、再生音声信号を出力するものである。
ポストフィルタ39は、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いて、LPC合成部38から出力される再生音声信号に対し、スペクトル整形等の処理を行い、音質が改善された再生音声を出力するものである。
【0077】
次に、本実施の形態に係る音声復号化装置の基本動作について図5を使って説明する。
本発明の音声復号化装置では、受信した音声符号化データが、分離部31で適応符号(A)、固定符号(B)、利得符号(C)、LSP係数の符号(D)に分離される。
【0078】
そして、適応符号(A)は、適応符号ベクトル出力部32で復号されてピッチ周期が求められ出力されると共に、ピッチ周期に基づき記憶されている過去の駆動音源信号からサブフレームにおけるサンプル数分の波形信号を切り出した適応符号ベクトルが出力される。
【0079】
一方、固定符号(B)は、固定符号ベクトル出力部33に入力され、固定符号(B)に示されたパルス位置及び極性(±)の組み合わせに基づきパルスを配置したパルス波形信号が固定符号ベクトルとして出力される。尚、詳細は、後述する。
【0080】
また、利得符号(C)は、利得ベクトル出力部34に入力されて適応符号帳利得及び固定符号帳利得が求められて出力される。
【0081】
そして、適応符号ベクトル出力部32からの適応符号ベクトルには乗算器35で利得ベクトル出力部34からの適応符号帳利得が乗算され、固定符号ベクトル出力部33からの固定符号ベクトルには乗算器36で利得ベクトル出力部34からの固定符号帳利得が乗算され、双方が加算器37により加算されてLPC合成部38の駆動音源信号として出力され、LPC合成部38に入力されると共に、適応符号ベクトル出力部32に入力されて過去の駆動音源信号として記憶される。
【0082】
加算器37から出力された駆動音源信号は、LPC合成部38で分離部31によって分離されたLSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いて音声信号が再生され、再生音声信号となり、ポストフィルタ39で、LSP係数の符号(D)から求めたLPC係数を用いてスペクトル整形等の処理が行われ、音質が改善された再生音声が出力されるようになっている。
【0083】
上記図5を用いて説明した構成及び動作が、本発明の前提となる代数的符号励振予測方式(ACELP)の音声復号化装置の一般的な構成及び動作であるが、本発明の音声復号化装置では、固定符号ベクトル出力部33が動作が従来のものとは異なっており、図6で詳細を説明する。
【0084】
まず、本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部構成例について、図6を使って説明する。図6は、本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部構成を示すブロック図である。尚、図6の構成は、図2で説明した音声符号化側の固定符号帳探索部5に対応する構成であり、パルス候補位置を4つに分割した場合の構成例を示している。
【0085】
本発明の音声復号化装置における固定符号ベクトル出力部33の内部は、図6に示すように、パルスパターンテーブルA71と、パルスパターンテーブルB72と、パルスパターンテーブルC73と、パルスパターンテーブルD74と、切替スイッチ処理部75と、代数的符号ベクトル生成部76とから構成されている。
【0086】
固定符号ベクトル出力部33の内部の各部について説明する。
パルスパターンテーブルA71は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルA51に対応し、表2に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報qを出力するものである。
パルスパターンテーブルB72は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルB52に対応し、表3に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報rを出力するものである。
パルスパターンテーブルC73は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルC53に対応し、表4に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報sを出力するものである。
パルスパターンテーブルD74は、音声符号化装置側のパルスパターンテーブルD54に対応し、表5に示したパルス候補位置をテーブルに保持し、要求に応じて、保持しているパルス位置情報tを出力するものである。
【0087】
切替スイッチ処理部75は、音声符号化装置から送信されたパルスパターンテーブル情報uを基に、符号化装置側で使用されたパルスパターンテーブルに対応したパルスパターンテーブルを選択し、パルス候補位置情報vとして出力するものである。
【0088】
代数的符号ベクトル生成部76は、適応符号ベクトル出力部からのピッチ周期情報、分離部31からの固定符号(B)、切替スイッチ処理部75から入力されるパルス候補位置情報vを基に、パルス候補位置にパルスを立てた固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)を生成して出力するものである。
【0089】
本発明の固定符号ベクトル出力部33の動作について、図6を使って説明する。
本発明の固定符号ベクトル出力部33では、分離部31からの固定符号(B)をからパルスパターンテーブル情報uを読み出し、切替スイッチ処理部75に入力され、パルスパターンテーブル情報uを基に、符号化装置側で使用されたパルスパターンテーブルに対応したパルスパターンテーブルを選択し、パルス候補位置情報vとして代数的符号ベクトル生成部76に出力し、代数的符号ベクトル生成部76は、適応符号ベクトル出力部からのピッチ周期情報、分離部31からの固定符号(B)、切替スイッチ処理部75から入力されるパルス候補位置情報vを基に、パルス候補位置にパルスを立てた固定符号ベクトル(代数的符号帳ベクトル)を生成して出力する。
【0090】
従って、上述の処理を行うことで、符号化装置側から送信された音声情報を再生音声品質の劣化及び処理量の増量無しに再生することが可能となる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、複数の探索結果の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択する音声符号化方法を提供することで、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0092】
また、本発明によれば、パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、代数的符号帳探索手段が、候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する歪探索部と、歪探索部の探索情報を格納する歪格納メモリと、歪格納メモリに格納された探索情報の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを探索する最小歪探索部と、最小歪探索部で探索された歪探索部の探索情報に切り替えを行う切替手段とを備え、切替手段の出力を基に代数的符号帳ベクトルを生成する音声符号化装置を提供することで、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0093】
また、本発明によれば、パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成部を備え、代数的符号帳ベクトル生成部が、符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、複数の分割候補位置テーブルから符号化で用いられたものと同様の1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段を備えた音声復号化装置を提供することで、代数的符号帳探索処理の負荷を軽減し、簡単な処理によって、代数的符号帳情報に分配される情報を削減しつつ、再生音声品質の劣化を極力抑え、伝送効率を向上できる効果がある。
【0094】
更に、本発明を適用することにより従来の第2のビットレート削減手法で、これまではビットレート削減相当の劣化として許容されてきた品質劣化を回避し、かつビットレートの削減率は変わらない状態を確保でき、ビットレート削減効果は、実施例をITU−T標準G.729に適用した場合で6bit/5ms=12bit/frameとなり、8kbpsのビットレートを6.8kbpsに削減可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る音声符号化装置の概略構成ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の音声符号化装置における固定符号帳探索部の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の各パルスの候補位置を示す模式図の一例を示す図である。
【図4】本発明の代数的符号帳のパルス探索位置を表す模式図の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る音声復号化装置の概略構成ブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態の音声復号化装置における固定ベクトル出力部の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…前処理部、 2…LPC分析量子化補間処理部、 3…聴覚重み付け処理部、 4…適応符号帳探索部、 5…固定符号帳探索部、 6…利得算出部、 7…LPC合成部、 8…自乗誤差最小化部、 9…多重化処理部、 20…加算器、 21…乗算器、 22…乗算器、 23…加算器、 31…分離部、 32…適応符号ベクトル出力部、 33…固定符号ベクトル出力部、 34…利得ベクトル出力部、 35…乗算器、 36…乗算器、 37…加算器、 38…LPC合成部、 39…ポストフィルタ、 51…パルスパターンテーブルA、 52…パルスパターンテーブルB、 53…パルスパターンテーブルC、 54…パルスパターンテーブルD、 55…歪探索部A、 56…歪探索部B、57…歪探索部C、 58…歪探索部D、 59…歪格納メモリ、 60…最小歪探索部、 61…切替スイッチ処理部、 71…パルスパターンテーブルA、 72…パルスパターンテーブルB、 73…パルスパターンテーブルC、 74…パルスパターンテーブルD、 75…切替スイッチ処理部、 76…代数的符号ベクトル生成部
Claims (3)
- ACELP方式を用いた音声符号化方法であって、
パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索で、
前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割して、複数の分割候補位置テーブルを設け、
各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索し、
当該複数の探索結果の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを選択することを特徴とする音声符号化方法。 - ACELP方式を用いた音声符号化装置であって、
パルスの組み合わせで入力音声信号の音源信号を表し、パルスの候補位置をグループ分けし、各グループ毎にパルス候補位置の予め定められた候補位置テーブルに従って、最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する代数的符号帳探索手段を備え、
前記代数的符号帳探索手段が、
前記候補位置テーブルにおけるグループ内のパルス候補位置を複数に分割した、複数の分割候補位置テーブルと、
各々分割候補位置テーブルの最も歪が小さくなる各グループにおける1つのパルス位置の組み合わせを探索する歪探索部と、
前記歪探索部の探索情報を格納する歪格納メモリと、
前記歪格納メモリに格納された探索情報の内、歪が最も小さくなる分割候補テーブルのパルスの組み合わせを探索する最小歪探索部と、
前記最小歪探索部で探索された歪探索部の探索情報に切り替えを行う切替手段とを備え、
前記切替手段の出力を基に代数的符号帳ベクトルを生成することを特徴とする音声符号化装置。 - 請求項2記載の音声符号化装置で符号化された音声符号化データについて復号を行う音声復号化装置であって、
パルスの組み合わせで表された符号化データから音源信号を生成する代数的符号帳ベクトル生成部を備え、
前記代数的符号帳ベクトル生成部が、
符号化で用いたものと同様の複数の分割候補位置テーブルと、
前記複数の分割候補位置テーブルから符号化で用いられたものと同様の1つの分割候補位置テーブルを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された分割候補位置テーブルに従って、符号化データに対応するパルス位置のパルスを有する代数的符号帳ベクトルを生成するベクトル生成部と有する代数的符号帳ベクトル生成手段であることを特徴とする音声復号化装置。
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