JP2004156684A - アクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型、軽量且つ応答速度に優れたアクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、MEA1で行われる電気化学的な反応によりガス量を制御し、MEA1を備えるアクチュエータの駆動力を制御することを特徴とする。MEA1によれば、小型化及び軽量することができると共に、ガス量を制御するための電気化学的な反応を即座に行うことができるため、要求される駆動力に対して応答速度に優れたアクチュエータを提供することができる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、MEA1で行われる電気化学的な反応によりガス量を制御し、MEA1を備えるアクチュエータの駆動力を制御することを特徴とする。MEA1によれば、小型化及び軽量することができると共に、ガス量を制御するための電気化学的な反応を即座に行うことができるため、要求される駆動力に対して応答速度に優れたアクチュエータを提供することができる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法に関する。更に詳しくは、小型、軽量、且つ高速な応答が可能なアクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット(robot)」という。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
【0003】
最近では、イヌやネコのように4足歩行の動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボット、或いは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた「人間形」若しくは「人間型」のロボット(humanoid robot)など、脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。
【0004】
このように動物の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされたロボットは、介護支援、危険作業、エンターテイメント等の様々な方面で注目されており、動物のように多くの関節を有し、これら関節を連動させることにより複雑な動作を行うことを求められている。
【0005】
これら関節の如き可動部を駆動するためには、例えば、磁気回転モータの如き機械的な駆動機構を有するアクチュエータが用いることができる。このような機械的な駆動機構を有するアクチュエータにおいては、駆動機構を構成する各部は通常金属の如き比較的重量の大きい材料で形成される。
【0006】
また、金属の如き比較的重量の大きい材料により形成されるアクチュエータを可動部に組み込んだ場合には、可動部を駆動する際にアクチュエータ自身の重量が大きな負荷となる。このようなアクチュエータによれば、可動部を駆動させるために要求される駆動力が大きなものとなるだけでなく、要求される駆動力を発生させるためにさらに大型のアクチュエータを用いることになる。よって、駆動力を高めるためのアクチュエータの出力の向上と、アクチュエータ自身の重量の低減という両立させることが困難な問題を解消する技術が求められていた。
【0007】
さらにまた、駆動力の発生させるために磁気回転モータを用いる際には、要求される回転数及びトルクを調整するための減速器が必要となる。このような減速器に用いられるギヤは磨耗により徐々に性能が低下する問題がある。また、駆動力を発生させるために低速回転で高いトルクが得られる超音波モータを用いた場合、上述の如き減速器は不要となる。しかしながら、一般に超音波モータも金属で構成され、可動部を駆動させるために十分な駆動力を発生させるためには、超音波モータの大型化に伴う重量の増大を招く。
【0008】
そこで、このような磁気回転モータや超音波モータの如き機械的な駆動機構を有するアクチュエータに代わり、ガスや液体の如き流体の圧力を利用し、磁気回転モータや超音波モータの如き機械的な駆動機構を有しないアクチュエータも知られている。このようなアクチュエータによれば、ポンプにより圧力が制御された流体をシリンダ、ピストン又はバルーンの如き可動部に供給し、流体の圧力に応じてこれら可動部がスライド、或いは変形されることにより各関節を駆動することが可能となる。
【0009】
しかしながら、流体の圧力を利用したアクチュエータを備えるロボットに所要の動作を行わせる際には、各可動部で要求される駆動力を出力することができるポンプが必要とされる。特に、小型ロボットに所要の動作を行わせるための、軽量、且つ充分な十分な出力を提供することができるポンプが殆どなく、ロボットの装置本体の小型化が難しいものとされている。
【0010】
一方、ガスや液体の如き流体の圧力を制御するためのポンプに代わる圧力制御装置として、水素吸蔵合金から生成された水素ガスの圧力を利用して、アクチュエータを駆動する技術が知られている(例えば、特許文献1、又は特許文献2。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−176873号公報
【特許文献2】
特開平8−193286号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1又は特許文献2に開示された技術によれば、電解液中に浸漬された水素吸蔵合金と該水素吸蔵合金の対極とに電圧を印加し、水素吸蔵合金から発生する水素ガスを滞留させる高圧ガス部に供給する。そして、高圧ガス部で高い圧力状態とされた水素ガスの圧力により、アクチュエータを駆動することができる。
【0013】
しかしながら、水素吸蔵合金と水素ガスの圧力の平衡は水素吸蔵合金が電解液に触れている面において成立するので、高圧ガス部の水素ガスの圧力のみを挙げることは難しい。さらに、高圧ガス部の水素ガスの圧力だけでなく、電解液、対極及び水素吸蔵合金を含む電解セル内の全域の圧力が同時に上昇し、高圧ガス部の水素ガスの圧力のみを制御することによるアクチュエータの駆動が困難となる。
【0014】
また、電解液として酸性又はアルカリ性の強い液体を用いるため、酸やアルカリによるアクチュエータを構成する部材の劣化、アクチュエータを取扱う上での利便性も損なわれる。さらに、電解セルの密閉性の低下、酸やアルカリに対する安全性の確保及びアクチュエータのメンテナンスに問題が生じる。
【0015】
さらに、水素吸蔵合金の比重が比較的大きく、このような水素吸蔵合金を含むアクチュエータ自身の重量の増大を招く。従って、小型ロボットの駆動する際の負荷が大きくなり、アクチュエータに要求される出力も増大し、ロボットに所要の動作を行わせることが困難となる。特に、小型ロボットに搭載されるアクチュエータは軽量であることが要求され、アクチュエータの軽量化と十分な駆動力の供給とを両立することが難しい。
【0016】
また、電解液と水素吸蔵合金との界面で発生した水素ガスは、水素吸蔵合金中を拡散することにより高圧ガス部に移動し、その水素ガスの圧力によりアクチュエータを駆動させることができる。しかしながら、水素吸蔵合金中を水素ガスが拡散するガス拡散速度が遅いため、アクチュエータとして迅速に駆動力を供給する応答速度が遅くなり、速やかにロボットを動作させることが困難となる。
【0017】
よって、本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、小型、軽量且つ応答速度に優れたアクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクチュエータは、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じた駆動力を提供するアクチュエータであって、イオン伝導性を有する伝導体と、該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体を有し、駆動力は、接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガスのガス量に応じて可変とされることを特徴とする。伝導体と、伝導体を挟んで対峙するように接合された電極を含む接合体で電気化学的な反応に生成又は消費されるガスのガス量を制御することにより、ガス量に応じてアクチュエータから出力される駆動力を制御することができる。さらに、電解液を用いることなく、接合体の如き固体で電気化学的な反応が行われることによりアクチュエータの取扱も容易となる。
【0019】
また、このようなアクチュエータによれば、ガス量の制御は、電極に印加される電圧を制御するための電圧制御手段により行われることを特徴とする。アクチュエータに駆動力を生じさせるガス量を電圧制御手段により制御することにより、電圧を制御するだけで容易に駆動力を制御することが可能となる。
【0020】
さらにまた、このようなアクチュエータによれば、伝導体は、プロトン伝導性を有する固体高分子膜であることを特徴とする。伝導体がプロトン伝導性を有することにより、電気化学的な反応が迅速に行われ、接合体は、アクチュエータに要求される駆動力に応じて迅速にガスを生成又は消費することが可能となる。また、伝導体として固体高分子膜を用いることにより、アクチュエータの取扱いも容易となる。
【0021】
また、このようなアクチュエータによれば、固体高分子膜には水が供給されることを特徴とする。水を電気化学的に反応させることにより、酸やアルカリを反応させることなく安全に駆動力を出力することが可能となる。従って、安全性が確保されるだけでなく、アクチュエータの劣化を低減することができる。
【0022】
さらにまた、本発明のアクチュエータにおいては、電極はカーボン電極であることを特徴とする。このような電極によれば、装置本体を軽量化できるとともに、アクチュエータの駆動力を発生させるための電気化学的な反応効率良く行うことができる。
【0023】
また、本発明のアクチュエータによれば、電極は金属触媒を担持したカーボン電極であることを特徴とする。金属触媒を担持したカーボン電極を用いることにより伝導体に効率良く電圧を印加することができ、さらに接合体において電気化学的な反応が効率良く行われる。
【0024】
また、本発明のアクチュエータによれば、電極は、高吸水性材料を用いた電極であることを特徴とする。このような電極によれば、ガスを生成するための水が不足することを低減することが可能であり、長時間アクチュエータを駆動させることができる。
【0025】
また、このようなアクチュエータによれば、ガスは、水が接合体で電気分解されることにより生成される少なくとも水素又は酸素であることを特徴とする。ガスを生成するための原料として水を用いることにより、少量の水で多量のガスを発生させることができ、大きな駆動力を出力することが可能となる。
【0026】
さらにまた、このようなアクチュエータによれば、接合体で行われる電気分解に対する逆反応により水素及び酸素のガス量を減少させることを特徴とする。ガス量の制御を電気分解とその逆反応により制御することにより、迅速に駆動力を制御することが可能となる。
【0027】
また、このようなアクチュエータによれば、逆反応により得られる電力により電気分解が行われることを特徴とする。逆反応を行うことにより生じる電力を電気分解に用いることにより、アクチュエータを作動させるためのエネルギーを低減することができ、エネルギー効率が良好なアクチュエータを提供することができる。
【0028】
本発明のアクチュエータは、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じて可動部を変位させるアクチュエータであって、イオン伝導性を有する伝導体及び該伝導体を挟んで対峙する電極を備える接合体を備え、可動部は、接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガス量に応じて変位することを特徴とする。
【0029】
このようなアクチュエータによれば、可動部の変位量は、ガスを排出することにより制御されることを特徴とする。電気化学的な反応により、ガス量を制御するだけでなく、ガスをアクチュエータの外部に排出することにより駆動力に寄与するガスの圧力を制御することができる。
【0030】
また、このようなアクチュエータによれば、ガスは、弁を開閉することにより可動部から排出されることを特徴とする。弁の開閉により容易にガス量の制御することができ、駆動力を自在に制御することが可能となる。
【0031】
本発明のロボット装置は、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じた駆動力を提供するアクチュエータにより駆動されるロボット装置であって、アクチュエータは、イオン伝導性を有する伝導体及び該伝導体を挟んで対峙する電極を備える接合体を有し、接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガスのガス量に応じて可変とされる駆動力により駆動されることを特徴とする。
【0032】
このようなロボット装置によれば、ガスは、電気化学的な反応により水を電気分解して生成される少なくとも水素又は酸素であることを特徴とする。電気化学的な反応で生成又は消費されるガスにより駆動されることにより、ロボット装置は所要の動作を迅速に行うことができる。
【0033】
また、このようなロボット装置によれば、水はアクチュエータを備える装置本体に配設された供給口から供給され、ガスは、装置本体の外部に排出されることを特徴とする。したがって、ロボット装置を動作させる際に水を供給し、更に動作させることにより生じる水素ガス及び酸素ガスを空気中にそのまま排出することができるため、環境に悪影響を殆ど及ぼさないロボット装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明のロボット装置においては、酸素の体積変化及び/又は圧力変化に応じてアクチュエータを駆動させることを特徴とする。酸素のみによりアクチュエータを駆動させることにより、安全にロボット装置を作動させることができる。
【0035】
さらにまた、本発明のロボット装置は、電気化学的な反応に対する逆反応により取得される電力を蓄電する蓄電池、又は燃料電池を有することを特徴とする。このようなロボット装置によれば、水素及び酸素を生成する電気化学的な反応に対する逆反応を行うことにより発電することができ、発電により生じる電力が蓄電された蓄電池、又は燃料電池から電力を取り出すことにより、水の電気分解を行うことができる。
【0036】
また、このようなロボット装置によれば、水素は、燃料電池で酸素と反応させるための燃料とされることを特徴とする。したがって、ロボット装置を駆動させるためのエネルギー効率が飛躍的に向上すると共に、蓄電池への1回の充電によるロボット装置の稼働時間を大幅に延ばすことが可能となる。さらに、燃料電池を搭載しているにも関わらず、水素やアルコールの如き燃料物質の供給が不要となり、蓄電池への充電という簡便な方法によりロボット装置全体の稼動が可能となる。
【0037】
本発明の駆動力の制御方法は、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じてアクチュエータの駆動力を制御する駆動力の制御方法であって、イオン電気伝導性を有する伝導体と、該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体で行われる電気化学的な反応により前記ガス量を制御することを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアクチュエータ及びこれを用いたロボット装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1(a)及び(b)は、本発明のアクチュエータにおける駆動力の制御方法を説明するための図であって、膜接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと称す。)における電気化学的な反応による駆動力の制御方法を説明するための図である。
【0040】
MEA1は、プロトン伝導体としての固体高分子膜2と、固体高分子膜2の両面に接合された電極極3及び電極4により構成される。また、MEA1に電圧を供給する電源と電圧制御手段としてのコントローラからなる電圧供給部5が電極3及び電極4に接続されている。
【0041】
図1(a)及び(b)に示すMEA1は、例えば、所謂燃料電池として電気化学的な反応が行われる主要部として汎用とされるものであり、正極に供給される水素と、負極に供給される酸素若しくは酸素を含む空気から電気化学的な反応により水を生成する際に発生する起電力を取り出すことをできる膜接合体である。
【0042】
MEA1は、化学式1に示すように、水素と酸素から水を生成する際に起電力を取り出すことができるだけでなく、水を電気分解して水素と酸素を生成することが可能である。MEA1は、液体である水から気体である水素及び酸素を生成することができるだけでなく、水の電気分解の逆反応を行うことにより水素及び酸素から水を生成し、アクチュエータの駆動力を発生させる水素及び酸素のガス量を制御することができる。また、固体高分子膜2により空気中の水分を吸湿させても良い。
【0043】
【化1】
【0044】
固体高分子膜2は、プロトン伝導性を有する膜であり、水の電気分解による水素及び酸素の生成、又は水素及び酸素から水を生成する際に電極3,4間におけるプロトンの移動を媒介する。本例では、固体高分子膜2として、固体高分子型(PEFC)燃料電池に汎用とされるナフィオン(登録商標)を用いた。このような固体高分子膜2によれば、プロトンは電極3,4間で容易に移動することができる。また、固体高分子膜2に水が含浸された状態で水素及び酸素のガス量を制御するための電気化学的な反応が行われる。固体高分子膜2に供給される水量を制御することにより、生成される水素及び酸素のガス量を制御することが可能となる。また、電極3,4に印加する電圧を電圧供給部5で切り替えることにより水の電気分解を制御し、生成されるガス量を制御することもできる。さらに、固体高分子膜2として吸水性を有する材料を選択することにより、空気中の水分を吸湿することができ、高い効率で水素及び酸素を生成することが可能となる。
【0045】
電極3,4は、固体高分子膜2の両面にそれぞれ接合された状態で電圧供給部5に接続され、電圧供給部5から所要の電圧が印加される。本例では、電極3,4としてカーボン電極を用いるが、電極3,4を形成する電極材料はカーボンに限定されるものでない。また、電気化学的な反応を効率良く行わせるための触媒や、固体高分子膜2を電極3,4に接合するためのバインダを介して電極3,4と固体高分子膜2とが接合されていても良い。本例では、電気化学的な反応を効率良く行うために、電極3,4のそれぞれと固体高分子膜2との間に触媒としての図示しない白金微粒子を形成した。
【0046】
MEA1を形成する一例として、例えば固体高分子膜2を150℃のホットプレートで加熱した状態で白金微粒子が付着した電極3,4を固体高分子膜2に圧着させる。また、電極(面積が1cm2)3,4を固体高分子膜2に圧着させる際には、MEA1に5分間0、5トンの圧力を加えても良い。このようにして形成されたMEA1の重量は約0.05gであり、アクチュエータに用いるMEAとしては十分軽量なものである。
【0047】
また、MEA1は、酸素を含む空気が供給される際に効率良く電極3,4と固体高分子膜2との接合界面に空気を拡散させるための拡散層、又は水素と酸素から水を生成する際に生じる電力を回収するための集電体を備えていても良い。さらに、MEA1を複数のMEAからなる構造とし、それぞれのMEAを集電体としてのセパレータにより隔絶することもできる。また、MEA1には、水を電気分解することにより水素と酸素を生成する際に必要とされる電圧を供給するための電源が接続されていても良い。MEA1が複数のMEAにより形成されている場合には、1つのMEAのよる場合に比べて大量の水素及び酸素を反応させることが可能となり、より大きな駆動力を発生させることもできる。
【0048】
さらに、図1(a)及び(b)を参照しながら、駆動力の制御方法について詳細に説明する。図1(a)に示すように、MEA1に供給された水を電気分解することにより水素と酸素を生成する。
【0049】
水を電気分解する際には、電極3を負極とし、電極4を正極とした状態で、電極4に供給された水が化学式2に示すように、酸素(O2)、プロトン(H+)、電子(e−)に分解され、酸素(O2)が生成される。
【0050】
【化2】
【0051】
負極とされる電極3では、化学式3に示すように、固体高分子膜2を介して移動してきたプロトン(H+)が電子(e−)と結合し、水素が生成される。
【0052】
【化3】
【0053】
このように、負極とされる電極3で水素を生成し、正極とされる電極4で酸素を生成することにより、水(H2O)1molから、水素(H2)1mol及び酸素(O2)0.5molを生成することができ、水素のみを利用して駆動力を取得する場合に比べて効率良くガスを利用することができる。さらに、理想気体の状態方程式によれば、圧力が1atm、温度が298Kの下では、1mlの水(H2O)から水素及び酸素を2×103ml生成することができる。生成された水素及び酸素の体積は水の体積の約2000倍となり、生成されたガスの急激な体積増加、又はガス発生時の圧力変化を利用してアクチュエータを駆動することができる。つまり、簡単に説明すると、僅かな水分で大きな体積の気体を得ることができる。
【0054】
例えば、生成された水素及び酸素の如きガスは、アクチュエータの可動部とされるピストンが収納されたシリンダに逐次送り込まれ、シリンダ内におけるガス量の増加によりピストンが押圧される。また、シリンダに送り込まれるガスの圧力変化に伴ってピストンが押圧されても良い。また、アクチュエータの可動部はピストンに限定されず、生成されるガス量の増加に伴うガスの体積増加、又は圧力増加を利用可能な駆動機構を有するものであれば如何なるものでも良い。
【0055】
また、図1(b)に示すように、水素と酸素とを電気化学的に反応させて水を生成することにより、駆動力を得るために利用された水素及び酸素のガス量を減少させることができる。水を電気分解する反応に対して逆の反応を行わせることによりガス量を減少させ、図1(a)を参照しながら説明した場合と逆方向に可動部を駆動することが可能となる。
【0056】
水素及び酸素から水を生成する際には、電極3を正極とし、電極4を負極とするように電圧供給部5を切り替える。正極とされる電極3では、化学式4に示すように、水素(H)がプロトン(H+)と電子(e−)に電離される。
【0057】
【化4】
【0058】
負極とされる電極4では、固体高分子膜2を介して電極4に移動してきた電離されたプロトン(H+)が電子(e−)と酸素(O2)と結合し、化学式5に示すように、水(H20)が生成される。
【0059】
【化5】
【0060】
このようにして、水素及び酸素から水を生成することにより、可動部を駆動させたガス量を減少させ、水から水素及び酸素を生成した際とは逆方向に可動部を駆動させることが可能となる。例えば、シリンダに逐次送り込まれ、ピストンを押圧したガスのガス量をシリンダ内から減少させることにより、ピストンを押圧した場合とは逆方向にピストンを駆動することができる。
【0061】
従って、MEA1を構成する電極3,4に印加する電圧を切り替えることにより、水から水素及び酸素の如きガスの生成と、生成した水素及び酸素から水を生成することによるガスの消費を行わせ、ガスの生成又は消費を所要のタイミングで切り替えることにより、自在に駆動力を制御することができる。
【0062】
特に、プロトンが固体高分子膜2を伝導するため、水素及び酸素の如きガスの生成又は消費を行う際の反応速度が良好な状態とされ、速やかにガスの体積の増減を行うことができる。従って、MEA1に供給される水量や電極3,4に印加される電圧を制御することにより、アクチュエータが配設される装置に要求される動作に合わせて、駆動力の大きさ及びアクチュエータの応答性を制御することが可能となる。
【0063】
また、水を生成する際に生じる電力を取り出し、二次電池に充電することもできる。二次電池に充電された電力は、再度水から水素及び酸素を生成する際に電圧供給部5からMEA1に供給され、水の電気分解に利用され、高いエネルギー効率の下で上述の電気化学的な反応を行わせることができる。
【0064】
さらにまた、水素及び酸素をアクチュエータの外部に排出し、ガス量を減少させることにより、電気化学的な反応によらないアクチュエータの駆動を行うことも可能である。例えば、シリンダ内に送り込まれたガスを弁の開閉によりシリンダの外部に排出し、シリンダ内のガス量の減少に応じたピストンの駆動を行うことができる。
【0065】
また、MEA1は、所要の固体高分子膜及び電極を選択することにより軽量化することができる。例えば、電極3,4をカーボン電極とすることによりMEA1全体を炭素系材料に形成することが可能であり、これら比較的軽量な材料で形成されたMEA1の重量を、ガス量の制御により出力される駆動力に対して殆ど負荷とならない程度とすることができる。
【0066】
このようなMEA1によれば、MEA1を備えるアクチュエータが配設される装置本体を動作させる際に、装置本体の動作の応答性の低下を抑制することが可能となる。特に、小型ロボットを動作させる際には、軽量化されたアクチュエータを各関節部に配設することにより、各関節部を自在に且つ速やかに駆動することができる。また、MEA1を備えるアクチュエータは容易に小型化することができ、小型ロボットの関節部を駆動するには好適である。
【0067】
次に、上述の駆動力の制御方法を応用したアクチュエータについて説明する。以下で説明するアクチュエータは、何れもガス量を制御することにより駆動力を制御することができ、配設される装置本体の駆動機構に合わせて所要のアクチュエータが選択される。
【0068】
図2(a)乃至(c)は、ピストンを可動させるアクチュエータの駆動状態を説明する図であり、ピストンがガス量に応じて移動自在とされることにより、駆動力が制御される。
【0069】
図2(a)に示すように、アクチュエータ10は、電気化学的な反応によりガス量を制御するMEA11、電圧供給部18、MEA1の両側に配設されたシリンダ14,15、シリンダ14,15内に収納され移動自在とされるピストン12,13、及びガスリークバルブ16,17を有する。
【0070】
MEA11は、伝導体としての固体高分子膜の両側に電極が形成された構造を有し、それぞれの電極を臨むようにシリンダ14,15が配設されている。また、MEA11には、MEA11に電圧を印加するとともにこの電圧を制御する電圧供給部18が接続されている。尚、MEA11はMEA1と同様な構造を有するため、MEA11の構造についての詳細な説明は省略する。
【0071】
シリンダ14,15内にはそれぞれピストン12,13が収納されており、ピストン12,13が移動自在な状態とされるとともに、ピストン12,13の外縁とシリンダ14,15の内壁との間は、ガスがリークしないように密閉状態とされる。
【0072】
シリンダ14,15にそれぞれ配設されたガスリークバルブ16,17は、シリンダ14,15に蓄積されたガスをシリンダ14,15の外部に排出することができる。ガスリークバルブ16,17によれば、MEA11における電気化学的な反応によるガス量の制御に限らず、シリンダ14,15内のガス量を減少させることができる。また、ガスリークバルブ16,17としては、例えば可変流量弁、電磁弁、電動弁の如き汎用の弁を備えたバルブを用いることにより、排出されるガス量を制御することができる。
【0073】
図2(b)は、MEA11で生成されたガスによりピストン12,13が押圧され、ピストン12,13がシリンダ14,15の外側に向かって押し出された状態を示す図である。MEA11に供給された水を電気分解して生成される水素及び酸素がそれぞれシリンダ14,15に供給され、シリンダ14,15内に蓄積されたこれらガスの体積の増加によりピストン12,13が押し出される。
【0074】
また、生成される水素及び酸素のガス量は、電圧供給部18から印加される電圧又は供給される水量により制御することができる。これにより、シリンダ14,15に供給されるガス量を要求される駆動力に応じて調整することができ、ピストン12,13を押し出す駆動力を制御することが可能となる。
【0075】
また、MEA11により生成される水素及び酸素は、MEA11の一方の側面からそれぞれ別々に生成されるため、シリンダ14,15内で水素及び酸素が混合されることがなく、水素及び酸素ガスの混合ガスによる爆発的な反応が起きることがない。例えば、シリンダ14に水素が供給された場合には、シリンダ15には酸素のみがMEA11から供給されることになる。
【0076】
さらに、アクチュエータ10が小型サイズとされる場合には、ガスリークバルブ16,17を介して外部に排出される水素及び酸素は少量であり、爆発の危険性も低い。特に、小型ロボットにアクチュエータ10を用いる場合には、アクチュエータ10を安全に稼動させることができる。
【0077】
図2(c)は、MEA11により水素及び酸素から水が生成されることにより、押し出されたピストン12,13が引き戻された状態を示す図である。電圧供給部18は、MEA11に印加する電圧のプラスマイナスを切り替え、水を電気分解した場合とは逆の反応をMEA11に行わせることができる。
【0078】
このような逆反応によれば、シリンダ14,15内の水素及び酸素の如きガスから、電気化学的な反応により水が生成され、シリンダ14,15内のガス量が低減される。シリンダ14,15内のガス量の減少に伴ってピストン12,13が引き戻されることにより、アクチュエータ10はピストン12,13を押し出したときとは逆向きの駆動力を出力することができる。さらに、水を生成する際に発生する電力を二次電池の如き充電器に充電し、再度水の電気分解を行う際に必要とされる電力として使用することができる。
【0079】
このように、MEA11によるガス量の制御を行うことにより、ピストン12,13を自在に可動させることにより、アクチュエータ10は、例えばロボット装置の各関節部を駆動させることができる。また、これらガス量の制御は、MEA11で行われる電気化学的な反応を電圧又は水量により制御することにより行われるため、アクチュエータ10は、要求される駆動力を速やかに出力することができ、応答性にも優れている。
【0080】
次に、図3(a)乃至(c)を参照しながら、アクチュエータの別の例について説明する。図3(a)乃至(c)は、バルーンを膨張及び収縮させることができるアクチュエータの駆動状態を説明する図であり、バルーンの膨張及び収縮により駆動力が制御される。
【0081】
図3(a)に示すように、アクチュエータ20は、電気化学的な反応によりガス量を制御するMEA21、電圧供給部28、MEA21の両側に配設された配管24,25、配管24,25にそれぞれ取り付けられたバルーン22,23、及びガスリークバルブ26,27を有する。
【0082】
MEA21は、伝導体としての固体高分子膜の両側に電極が形成された構造を有し、それぞれの電極を臨むように配管24,25が配設されている。また、MEA21には、MEA21に電圧を印加するとともにこの電圧を制御する電圧制御部28が接続されている。
【0083】
MEA21によれば、水を電気分解して生成された水素および酸素は配管24,25を介してバルーン22,23に供給される。MEA21の側面では、それぞれ水素と酸素が別々に生成されるため、バルーン22,23にはそれぞれ水素又は酸素のいずれかが供給され、水素と酸素との混合ガスがバルーン22,23に供給されることがない。
【0084】
バルーン22,23は、伸縮自在な材質により形成され、供給されるガス量に応じて膨張及び収縮を自在に行うことが可能である。バルーン22,23を形成する材料としては、例えば、充分な強度を有する薄いゴムの如き伸縮自在な材料を用いることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0085】
図3(b)は、MEA21で生成されたガスによりバルーン22,23が膨張した状態を示す図である。MEA11に供給された水を電気分解して生成される水素及び酸素がそれぞれバルーン22,23に供給され、バルーン22,23に蓄積されたガスの体積の増加によりバルーン22,23は膨張する。アクチュエータ20が配設される各種装置は、バルーン22,23の膨張により押圧されることにより駆動されることになる。また、バルーン22,23の膨張は、電圧供給部28からMEA21に印加される電圧、又はMEA21に供給される水量により制御され、バルーン22,23が膨張する速度に合わせて駆動力を制御することが可能である。
【0086】
図3(c)は、MEA21により水素及び酸素から水が生成されることによりバルーン22,23内の水素及び酸素の如きガスが消費され、バルーン22,23が収縮した状態を示す図である。アクチュエータ20は、バルーン22,23が収縮することにより、バルーン22,23が膨張した場合に対して逆向きの駆動力を出力することができる。
【0087】
このように、アクチュエータ20は、バルーン22,23を膨張及び収縮させることにより、膨張及び収縮に応じた互いに逆向きの駆動力を出力することができる。従って、アクチュエータ20は、MEA21で行われる電気化学的な反応によりガス量が制御することにより駆動力を自在に制御することが可能となる。
【0088】
また、ガスリークバルブ26,27によれば、バルーン22,23に蓄積されたガスをバルーン22,23から排出することができ、MEA21で行われる電気化学的な反応によることなく駆動力の制御を行うことも可能である。
【0089】
次に、図4(a)乃至(c)を参照しながら、アクチュエータのさらに別の例について説明する。図4(a)乃至(c)は、横置型のMEA31から生成されるガスによりピストン32を駆動することができるアクチュエータの駆動状態を説明する図であり、MEA31から生成される1種類のガスにより駆動力が制御される。
【0090】
図4(a)に示すように、アクチュエータ30は、電気化学的な反応によりガス量を制御するMEA31、MEA31を収納するシリンダ33、シリンダ33に取り付けられ移動自在とされるピストン32、及びガスリークバルブ36,37を有する。さらに、アクチュエータ30は、図示しない電圧供給部から電圧が印加され、印加される電圧の切り替えの如き電圧制御が行われる。
【0091】
MEA31は、円筒状に形成された固体高分子膜の外側の表面と内側の表面にそれぞれ電極が形成された円筒状のMEAである。MEA31は、板状のMEAに比べて限られた空間でより多くの電極面積を有する構造とすることができ、効率良く電気化学的反応を行うことができる。また、固体高分子膜の外側の表面と内側の表面とに形成された電極との間には、リークを防止するためのギャップが設けられるとともに、MEA31の外側の表面がシリンダ33の内壁に接するように横置きとされた状態で、シリンダ33内に収納される。
【0092】
シリンダ33は、MEA31を収納するとともに、一方の端部にはピストン32に取り付けられている。また、ピストン32は、シリンダ33の長手方向に摺動可能な状態でシリンダ33に取り付けられている。
【0093】
ガスリークバルブ36,37は、シリンダ33に接続されており、ガスリークバルブ36は、MEA31の外側の表面から生成されるガスをシリンダ33の外部に排出することができる。また、ガスリークバルブ37は、MEA31とピストン32の間のシリンダ33内に蓄積されるガスを外部に排出することができる。
【0094】
図4(b)は、MEA31の内側に表面に形成された電極から生成されたガスによりピストン32が押圧され、ピストン32がシリンダ33の外側に向かって押し出された状態を示す図である。MEA31に供給された水を電気分解して生成される水素は、シリンダ33内に供給され、ピストン32を外側に押し出す。また、MEA31の外側の表面に形成された電極から生成される酸素は、ガスリークバルブ36を介して外部に排出される。本例では、水素がピストン32を押し出しているが、MEA31に形成された各電極に印加する電圧を切り替えることにより水素又は酸素のどちらによってもピストン32を押し出すことができるのは勿論である。
【0095】
図4(c)は、MEA31により水素及び酸素から水が生成されることにより、押し出されたピストン32が引き戻された状態を示す図である。MEA31に接続される電源のプラスマイナスを切り替えることにより、MEA11により水を電気分解した場合とは逆の反応を行うことができる。
【0096】
このような逆反応によれば、シリンダ33内の水素と、MEA31の外側から供給される酸素とをもとにして水が生成され、シリンダ33の水素が低減される。シリンダ33内のガス量の減少に伴ってピストン32が引き戻されることにより、アクチュエータ30はピストン32を押し出したときとは逆向きの駆動力を出力することができる。さらに、水を生成する際に発生する電力を二次電池の如き充電器に充電し、再度水の電気分解を行う際に必要とされる電力として使用することができる。
【0097】
また、本例のアクチュエータ30に使用されるMEA31は、電気化学的な反応を起こすための電極面積を限られた空間でより多くとることができ、アクチュエータ30を小型化することが可能となる。よって、アクチュエータ30は、小型ロボットの如き装置に好適なアクチュエータとされる。
【0098】
図5は、上述したMEAを有するアクチュエータが各関節部に配設されたロボットの一例の構成を示す概略構造図である。ロボット40は、例えば人間型ロボットであり、供給された水を貯蔵するタンク42を備える頭部43、胴体に相当する体幹部44、体幹部44と接続される腕部45及び脚部46、さらに、これら頭部43、腕部45及び脚部46と体幹部44とを接続することにより駆動自在とされる関節部を形成するアクチュエータ41を有する。
【0099】
アクチュエータ41は、上述したMEAを有するアクチュエータであり、小型且つ要求される駆動力に応じて即座に駆動力を出力することができ、例えば、図2乃至図4を参照しながら説明したアクチュエータを用いることができる。これらアクチュエータ41は、タンク42から水が供給され、頭部43、腕部45及び脚部46が体幹部44と接続される関節部を自在に駆動させるための駆動力を出力することができる。
【0100】
また、ロボット40の口からタンク42に水を補給することにより、人間や動物が水を飲むかの如き感覚を周囲に与えることができ、ロボット40に実際の人間や動物に近い動作を行わせることが可能となる。このようなロボット40は、例えば、エンターテイメントなどの分野でより表現力が豊かロボットとしてこれまでにはない役割を果たす可能性を秘めている。
【0101】
さらに、図6にロボットの別の例の構成を示す。ロボット50は、上述したロボット40と同様に、例えば人間型ロボットとされ、供給された水を貯蔵するタンク52を備える頭部53、胴体に相当する体幹部54、体幹部54と接続される腕部55及び脚部56、さらに、これら頭部53、腕部55及び脚部56と体幹部54とを接続することにより駆動自在とされる関節部を形成するアクチュエータ51を有する。
【0102】
アクチュエータ51は、駆動力を発生させるためのMEAをアクチュエータ51毎に有することなく、体幹部54に配設されたMEA57で制御されるガス量に応じて駆動される。また、MEA57と各アクチュエータ51とがガスをやり取りするための配管58は配設され、MEA57により全てのアクチュエータ51を駆動することができる。このようなMEA57により、全てのアクチュエータ51を駆動させると共に、アクチュエータ51の駆動状態を制御することにより、さらにアクチュエータ51を小型化することも可能であり、且つロボット50の構造を簡単なものとすることができる。
【0103】
また、ロボット装置50は、水素と酸素とを反応させることによりMEA57により発電を行うこともできる。さらに、発電によって発生した電力を図示しない蓄電池に蓄電することにより、再度水の電気分解による水素及び酸素を生成させる際に蓄電池から電力を供給することもできる。従って、MEA57における発電を行う際の燃料とされる水素を供給することなく、エネルギー効率の高い状態でロボットを稼動させることができる。さらに、電気分解で生成される水素を再度MEA57の燃料とすることも可能であり、エネルギー効率が良好な状態でロボットを稼動させることができる。また、本例のロボット50に適用可能なMEA57は、水、水素及び酸素の反応によりロボット50を駆動させるものに限定されず、アルコールのような有機材料を用いたMEAでも良いことは勿論である。
【0104】
【実施例】
続いて、本願発明者らがMEAにおけるガスの発生状況について調査した実験について説明する。
【0105】
[実施例1]
図1及び図7を参照しながら本願発明者が行った実験について説明する。本実験は、図1に示すMEA1に印加する電圧をパラメータとし、電圧の印加時間に対する水の電気分解により生じる電流の変化を測定したものである。また、本実験では、MEA1を1分間水に浸漬した後、電圧を印加し、電流値を測定した。
【0106】
図7は、電圧の印加時間に対する電流密度の変化を示すグラフである。図7に示すように、1.5V、2V、3Vの何れの電圧においても、MEA1に電圧を印加した直後に電流密度は最大となり、それぞれの電圧に対する電流密度の最大値は、0.895A/cm2、0.980A/cm2、2.06A/cm2であった。電圧を印加し始めた際に最大値となった電流密度は、電圧の印加時間が経過するに伴って減少した。
【0107】
図7に示す実験結果によれば、MEA1に電圧を印加し始めた瞬間に水の電気分解が瞬間的に行われ、水から水素及び酸素が瞬時に生成されていることがわかる。従って、MEA1に印加された電圧に対して即座に水素及び酸素を生成することができ、水素及び酸素のガス量をMEA1に印加する電圧に応じて高速に制御することが可能であると考察することができる。このようなMEA1で生成される水素及び酸素の瞬間的な体積変化をアクチュエータの駆動力として利用すれば、アクチュエータの駆動力を高速且つ自在に制御することができる。勿論、水素及び酸素から水を生成する電気化学的な反応に関しても電圧に応じて高速且つ自在に制御することができ、アクチュエータの駆動力の向きも自在に変えることが可能である。
【0108】
[実施例2]
次に、図1及び表1を参照しながら、本願発明者が行った別の実験について説明する。本実験は、MEA1を使用し、水の電気分解により生成されたガスのガス量を測定したものであり、MEA1に印加する電圧をパラメータとし、電圧の印加開始から1秒〜4秒の範囲で生成されたガスのガス量を測定した。また、MEA1に印加する電圧は、実施例1と同様に、2V、3Vの2水準とした。表1に測定結果を示す。尚、表1中、生成されたガス量の体積の単位はcm3である。
【0109】
【表1】
【0110】
表1によれば、電圧の印加時間が同じ場合には、MEA1に印加する電圧が大きくなるほど生成されるガス量の体積が増加する傾向にあり、生成されるガス量の体積を増加させるためには、MEA1に印加する電圧を大きくすれば良いことがわかる。すなわち、ガス量の体積を増加させることによりアクチュエータの駆動力を増大させるためには、ガスを生成するMEA1に印加する電圧を大きくすれば良いことがわかる。このような実験結果によれば、MEA1に印加する電圧を制御することにより、MEA1のサイズを変更することなく、さらに大きな駆動力を出力することが可能となることが考察される。このようなMEAを備えたアクチュエータは、小駆動される関節部が比較的小さな型ロボットの如き装置に対して好適である。
【0111】
[実施例3]
次に、図1、表1及び表2を参照しながら、本願発明者が行ったさらに別の実験について説明する。本実験は、MEA1の電極面積を大きくしたMEAを使用し、水の電気分解により生成されたガスのガス量を測定したものである。また、印加する電圧は3Vとし、電圧の印加開始から0.5秒〜4秒の範囲で生成されたガスのガス量を測定した。また、本実験で使用したMEAは、図1中のMEA1と同じ構造を有し、電極面積のみを1cm2から5cm2に変更したものを使用した。表2に測定結果を示す。尚、表2中、生成されたガス量の体積の単位はcm3である。
【0112】
【表2】
【0113】
表1及び表2を比較すると、同じ3Vの電圧で比べた場合、電圧の印加時間が同じときに生成されるガスのガス量は、MEA1に対して本実験のMEAでは約5倍となっている。これは、MEA1の電極面積1cm2に対して、本実験で使用したMEAの電極面積が5cm2であるためと考えられ、電極面積に応じて生成されるガス量も増大することがわかる。本実験によれば、許容される範囲内で電極面積を広げたMEAを使用すれば、同じ電圧でより多くのガスを生成することが可能であることがわかる。従って、アクチュエータの駆動力を増大させるためには、MEAに形成される電極の電極面積を許容される範囲内で広げれば良いことがわかる。つまり、大きな電極面積を有するMEAを備えたアクチュエータは、駆動される関節部が比較的小さな型ロボットの如き装置に対してもより大きな駆動力を出力することができると考えられる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアクチュエータによれば、電気化学的な反応により生成されるガス量を即座に制御することができ、ガス量に応じて出力される駆動力を高速で制御することが可能となる。よって、応答速度に優れたアクチュエータを提供することができる。
【0115】
また、本発明のアクチュエータによれば、燃料電池で汎用とされるMEAがガスの生成又は消費を行うことにより、要求される駆動力に対して十分な駆動力を発生させることができる。このようなガスとしては、水を電気分解して生成される水素及び酸素を使用することができ、少量の水から大きな体積を有するガスを生成することができる。また、酸やアルカリによりガスを生成する場合に比べて安全にアクチュエータを取り扱うことができるうえ、アクチュエータの劣化を低減することもできる。MEAの如き電気化学的な反応を行うための主要部は小型化且つ軽量化することが可能であり、アクチュエータを小型化すると共に、重量が低減されたアクチュエータを提供することができる。
【0116】
さらに、本発明のアクチュエータによれば、ガス量に応じて駆動力を発生することができるため、従来の磁気回転モータなどの機械的な駆動機構を有するアクチュエータに比べ、アクチュエータ自身の構造を簡単なものとすることが可能である。
【0117】
また、本発明のロボット装置によれば、ロボットの各関節部の如き駆動部を十分な動作性を確保しながら小型化することも可能であり、速やかに動作させることができる小型のロボットを提供することができる。さらに、エネルギー効率が良好な状態でロボットを稼動させることも可能となる。
【0118】
また、本発明の駆動力の制御方法によれば、アクチュエータは速やかに駆動力を発生させることができ、要求される駆動力に応じて即座に駆動力を制御することが可能である。さらに、本発明のアクチュエータ及び駆動力の制御方法は、ロボットに限定されず、駆動機構を有する何れの装置に対しても好適であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】MEAを用いた基本的な駆動力の制御方法を説明する図であって、(a)はガスを生成する工程を説明するための図、(b)はガスを消費する工程を説明する図である。
【図2】本発明のアクチュエータの一例における駆動状態を説明する図であって、(a)は、アクチュエータの概略構造を示す概略構造図、(b)はピストンを押し出した状態を示す図、(c)はピストンが引き戻された状態を示す図である。
【図3】本発明のアクチュエータの一例における駆動状態を説明する図であって、(a)は、アクチュエータの概略構造を示す概略構造図、(b)はバルーンを膨張させた状態を示す図、(c)はバルーンを収縮させた状態を示す図である。
【図4】本発明のアクチュエータの一例における駆動状態を説明する図であって、(a)は、アクチュエータの概略構造を示す概略構造図、(b)はピストンを押し出した状態を示す図、(c)はピストンが引き戻された状態を示す図である。
【図5】本発明のロボット装置の一例の構造を示す概略構造図である。
【図6】本発明のロボット装置の一例の構造を示す概略構造図である。
【図7】実施例1における実験結果を示す図であり、電圧印加時間に対する電流密度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1,11,21,31,57 MEA、2 固体高分子膜、3,4 電極、5 電源、10,20,30,41 アクチュエータ、12,13,32 ピストン、14,15,33 シリンダ、16,17,26,27,36,37 ガスリークバルブ、22,23 バルーン、24,25,58 配管、40,50 ロボット、42,52 タンク
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法に関する。更に詳しくは、小型、軽量、且つ高速な応答が可能なアクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気的若しくは磁気的な作用を用いて人間の動作に似せた運動を行う機械装置のことを「ロボット(robot)」という。わが国では、ロボットが普及し始めたのは1960年代末からであるが、その多くは、工場における生産作業の自動化・無人化などを目的としたマニピュレータや搬送ロボットなどの産業用ロボット(industrial robot)であった。
【0003】
最近では、イヌやネコのように4足歩行の動物の身体メカニズムやその動作を模したペット型ロボット、或いは、ヒトのような2足直立歩行を行う動物の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされた「人間形」若しくは「人間型」のロボット(humanoid robot)など、脚式移動ロボットに関する研究開発が進展し、実用化への期待も高まってきている。
【0004】
このように動物の身体メカニズムや動作をモデルにしてデザインされたロボットは、介護支援、危険作業、エンターテイメント等の様々な方面で注目されており、動物のように多くの関節を有し、これら関節を連動させることにより複雑な動作を行うことを求められている。
【0005】
これら関節の如き可動部を駆動するためには、例えば、磁気回転モータの如き機械的な駆動機構を有するアクチュエータが用いることができる。このような機械的な駆動機構を有するアクチュエータにおいては、駆動機構を構成する各部は通常金属の如き比較的重量の大きい材料で形成される。
【0006】
また、金属の如き比較的重量の大きい材料により形成されるアクチュエータを可動部に組み込んだ場合には、可動部を駆動する際にアクチュエータ自身の重量が大きな負荷となる。このようなアクチュエータによれば、可動部を駆動させるために要求される駆動力が大きなものとなるだけでなく、要求される駆動力を発生させるためにさらに大型のアクチュエータを用いることになる。よって、駆動力を高めるためのアクチュエータの出力の向上と、アクチュエータ自身の重量の低減という両立させることが困難な問題を解消する技術が求められていた。
【0007】
さらにまた、駆動力の発生させるために磁気回転モータを用いる際には、要求される回転数及びトルクを調整するための減速器が必要となる。このような減速器に用いられるギヤは磨耗により徐々に性能が低下する問題がある。また、駆動力を発生させるために低速回転で高いトルクが得られる超音波モータを用いた場合、上述の如き減速器は不要となる。しかしながら、一般に超音波モータも金属で構成され、可動部を駆動させるために十分な駆動力を発生させるためには、超音波モータの大型化に伴う重量の増大を招く。
【0008】
そこで、このような磁気回転モータや超音波モータの如き機械的な駆動機構を有するアクチュエータに代わり、ガスや液体の如き流体の圧力を利用し、磁気回転モータや超音波モータの如き機械的な駆動機構を有しないアクチュエータも知られている。このようなアクチュエータによれば、ポンプにより圧力が制御された流体をシリンダ、ピストン又はバルーンの如き可動部に供給し、流体の圧力に応じてこれら可動部がスライド、或いは変形されることにより各関節を駆動することが可能となる。
【0009】
しかしながら、流体の圧力を利用したアクチュエータを備えるロボットに所要の動作を行わせる際には、各可動部で要求される駆動力を出力することができるポンプが必要とされる。特に、小型ロボットに所要の動作を行わせるための、軽量、且つ充分な十分な出力を提供することができるポンプが殆どなく、ロボットの装置本体の小型化が難しいものとされている。
【0010】
一方、ガスや液体の如き流体の圧力を制御するためのポンプに代わる圧力制御装置として、水素吸蔵合金から生成された水素ガスの圧力を利用して、アクチュエータを駆動する技術が知られている(例えば、特許文献1、又は特許文献2。)。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−176873号公報
【特許文献2】
特開平8−193286号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献1又は特許文献2に開示された技術によれば、電解液中に浸漬された水素吸蔵合金と該水素吸蔵合金の対極とに電圧を印加し、水素吸蔵合金から発生する水素ガスを滞留させる高圧ガス部に供給する。そして、高圧ガス部で高い圧力状態とされた水素ガスの圧力により、アクチュエータを駆動することができる。
【0013】
しかしながら、水素吸蔵合金と水素ガスの圧力の平衡は水素吸蔵合金が電解液に触れている面において成立するので、高圧ガス部の水素ガスの圧力のみを挙げることは難しい。さらに、高圧ガス部の水素ガスの圧力だけでなく、電解液、対極及び水素吸蔵合金を含む電解セル内の全域の圧力が同時に上昇し、高圧ガス部の水素ガスの圧力のみを制御することによるアクチュエータの駆動が困難となる。
【0014】
また、電解液として酸性又はアルカリ性の強い液体を用いるため、酸やアルカリによるアクチュエータを構成する部材の劣化、アクチュエータを取扱う上での利便性も損なわれる。さらに、電解セルの密閉性の低下、酸やアルカリに対する安全性の確保及びアクチュエータのメンテナンスに問題が生じる。
【0015】
さらに、水素吸蔵合金の比重が比較的大きく、このような水素吸蔵合金を含むアクチュエータ自身の重量の増大を招く。従って、小型ロボットの駆動する際の負荷が大きくなり、アクチュエータに要求される出力も増大し、ロボットに所要の動作を行わせることが困難となる。特に、小型ロボットに搭載されるアクチュエータは軽量であることが要求され、アクチュエータの軽量化と十分な駆動力の供給とを両立することが難しい。
【0016】
また、電解液と水素吸蔵合金との界面で発生した水素ガスは、水素吸蔵合金中を拡散することにより高圧ガス部に移動し、その水素ガスの圧力によりアクチュエータを駆動させることができる。しかしながら、水素吸蔵合金中を水素ガスが拡散するガス拡散速度が遅いため、アクチュエータとして迅速に駆動力を供給する応答速度が遅くなり、速やかにロボットを動作させることが困難となる。
【0017】
よって、本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、小型、軽量且つ応答速度に優れたアクチュエータ、ロボット装置及び駆動力の制御方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のアクチュエータは、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じた駆動力を提供するアクチュエータであって、イオン伝導性を有する伝導体と、該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体を有し、駆動力は、接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガスのガス量に応じて可変とされることを特徴とする。伝導体と、伝導体を挟んで対峙するように接合された電極を含む接合体で電気化学的な反応に生成又は消費されるガスのガス量を制御することにより、ガス量に応じてアクチュエータから出力される駆動力を制御することができる。さらに、電解液を用いることなく、接合体の如き固体で電気化学的な反応が行われることによりアクチュエータの取扱も容易となる。
【0019】
また、このようなアクチュエータによれば、ガス量の制御は、電極に印加される電圧を制御するための電圧制御手段により行われることを特徴とする。アクチュエータに駆動力を生じさせるガス量を電圧制御手段により制御することにより、電圧を制御するだけで容易に駆動力を制御することが可能となる。
【0020】
さらにまた、このようなアクチュエータによれば、伝導体は、プロトン伝導性を有する固体高分子膜であることを特徴とする。伝導体がプロトン伝導性を有することにより、電気化学的な反応が迅速に行われ、接合体は、アクチュエータに要求される駆動力に応じて迅速にガスを生成又は消費することが可能となる。また、伝導体として固体高分子膜を用いることにより、アクチュエータの取扱いも容易となる。
【0021】
また、このようなアクチュエータによれば、固体高分子膜には水が供給されることを特徴とする。水を電気化学的に反応させることにより、酸やアルカリを反応させることなく安全に駆動力を出力することが可能となる。従って、安全性が確保されるだけでなく、アクチュエータの劣化を低減することができる。
【0022】
さらにまた、本発明のアクチュエータにおいては、電極はカーボン電極であることを特徴とする。このような電極によれば、装置本体を軽量化できるとともに、アクチュエータの駆動力を発生させるための電気化学的な反応効率良く行うことができる。
【0023】
また、本発明のアクチュエータによれば、電極は金属触媒を担持したカーボン電極であることを特徴とする。金属触媒を担持したカーボン電極を用いることにより伝導体に効率良く電圧を印加することができ、さらに接合体において電気化学的な反応が効率良く行われる。
【0024】
また、本発明のアクチュエータによれば、電極は、高吸水性材料を用いた電極であることを特徴とする。このような電極によれば、ガスを生成するための水が不足することを低減することが可能であり、長時間アクチュエータを駆動させることができる。
【0025】
また、このようなアクチュエータによれば、ガスは、水が接合体で電気分解されることにより生成される少なくとも水素又は酸素であることを特徴とする。ガスを生成するための原料として水を用いることにより、少量の水で多量のガスを発生させることができ、大きな駆動力を出力することが可能となる。
【0026】
さらにまた、このようなアクチュエータによれば、接合体で行われる電気分解に対する逆反応により水素及び酸素のガス量を減少させることを特徴とする。ガス量の制御を電気分解とその逆反応により制御することにより、迅速に駆動力を制御することが可能となる。
【0027】
また、このようなアクチュエータによれば、逆反応により得られる電力により電気分解が行われることを特徴とする。逆反応を行うことにより生じる電力を電気分解に用いることにより、アクチュエータを作動させるためのエネルギーを低減することができ、エネルギー効率が良好なアクチュエータを提供することができる。
【0028】
本発明のアクチュエータは、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じて可動部を変位させるアクチュエータであって、イオン伝導性を有する伝導体及び該伝導体を挟んで対峙する電極を備える接合体を備え、可動部は、接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガス量に応じて変位することを特徴とする。
【0029】
このようなアクチュエータによれば、可動部の変位量は、ガスを排出することにより制御されることを特徴とする。電気化学的な反応により、ガス量を制御するだけでなく、ガスをアクチュエータの外部に排出することにより駆動力に寄与するガスの圧力を制御することができる。
【0030】
また、このようなアクチュエータによれば、ガスは、弁を開閉することにより可動部から排出されることを特徴とする。弁の開閉により容易にガス量の制御することができ、駆動力を自在に制御することが可能となる。
【0031】
本発明のロボット装置は、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じた駆動力を提供するアクチュエータにより駆動されるロボット装置であって、アクチュエータは、イオン伝導性を有する伝導体及び該伝導体を挟んで対峙する電極を備える接合体を有し、接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガスのガス量に応じて可変とされる駆動力により駆動されることを特徴とする。
【0032】
このようなロボット装置によれば、ガスは、電気化学的な反応により水を電気分解して生成される少なくとも水素又は酸素であることを特徴とする。電気化学的な反応で生成又は消費されるガスにより駆動されることにより、ロボット装置は所要の動作を迅速に行うことができる。
【0033】
また、このようなロボット装置によれば、水はアクチュエータを備える装置本体に配設された供給口から供給され、ガスは、装置本体の外部に排出されることを特徴とする。したがって、ロボット装置を動作させる際に水を供給し、更に動作させることにより生じる水素ガス及び酸素ガスを空気中にそのまま排出することができるため、環境に悪影響を殆ど及ぼさないロボット装置を提供することができる。
【0034】
また、本発明のロボット装置においては、酸素の体積変化及び/又は圧力変化に応じてアクチュエータを駆動させることを特徴とする。酸素のみによりアクチュエータを駆動させることにより、安全にロボット装置を作動させることができる。
【0035】
さらにまた、本発明のロボット装置は、電気化学的な反応に対する逆反応により取得される電力を蓄電する蓄電池、又は燃料電池を有することを特徴とする。このようなロボット装置によれば、水素及び酸素を生成する電気化学的な反応に対する逆反応を行うことにより発電することができ、発電により生じる電力が蓄電された蓄電池、又は燃料電池から電力を取り出すことにより、水の電気分解を行うことができる。
【0036】
また、このようなロボット装置によれば、水素は、燃料電池で酸素と反応させるための燃料とされることを特徴とする。したがって、ロボット装置を駆動させるためのエネルギー効率が飛躍的に向上すると共に、蓄電池への1回の充電によるロボット装置の稼働時間を大幅に延ばすことが可能となる。さらに、燃料電池を搭載しているにも関わらず、水素やアルコールの如き燃料物質の供給が不要となり、蓄電池への充電という簡便な方法によりロボット装置全体の稼動が可能となる。
【0037】
本発明の駆動力の制御方法は、電気化学的な反応により制御されるガス量に応じてアクチュエータの駆動力を制御する駆動力の制御方法であって、イオン電気伝導性を有する伝導体と、該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体で行われる電気化学的な反応により前記ガス量を制御することを特徴とする。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアクチュエータ及びこれを用いたロボット装置について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1(a)及び(b)は、本発明のアクチュエータにおける駆動力の制御方法を説明するための図であって、膜接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと称す。)における電気化学的な反応による駆動力の制御方法を説明するための図である。
【0040】
MEA1は、プロトン伝導体としての固体高分子膜2と、固体高分子膜2の両面に接合された電極極3及び電極4により構成される。また、MEA1に電圧を供給する電源と電圧制御手段としてのコントローラからなる電圧供給部5が電極3及び電極4に接続されている。
【0041】
図1(a)及び(b)に示すMEA1は、例えば、所謂燃料電池として電気化学的な反応が行われる主要部として汎用とされるものであり、正極に供給される水素と、負極に供給される酸素若しくは酸素を含む空気から電気化学的な反応により水を生成する際に発生する起電力を取り出すことをできる膜接合体である。
【0042】
MEA1は、化学式1に示すように、水素と酸素から水を生成する際に起電力を取り出すことができるだけでなく、水を電気分解して水素と酸素を生成することが可能である。MEA1は、液体である水から気体である水素及び酸素を生成することができるだけでなく、水の電気分解の逆反応を行うことにより水素及び酸素から水を生成し、アクチュエータの駆動力を発生させる水素及び酸素のガス量を制御することができる。また、固体高分子膜2により空気中の水分を吸湿させても良い。
【0043】
【化1】
【0044】
固体高分子膜2は、プロトン伝導性を有する膜であり、水の電気分解による水素及び酸素の生成、又は水素及び酸素から水を生成する際に電極3,4間におけるプロトンの移動を媒介する。本例では、固体高分子膜2として、固体高分子型(PEFC)燃料電池に汎用とされるナフィオン(登録商標)を用いた。このような固体高分子膜2によれば、プロトンは電極3,4間で容易に移動することができる。また、固体高分子膜2に水が含浸された状態で水素及び酸素のガス量を制御するための電気化学的な反応が行われる。固体高分子膜2に供給される水量を制御することにより、生成される水素及び酸素のガス量を制御することが可能となる。また、電極3,4に印加する電圧を電圧供給部5で切り替えることにより水の電気分解を制御し、生成されるガス量を制御することもできる。さらに、固体高分子膜2として吸水性を有する材料を選択することにより、空気中の水分を吸湿することができ、高い効率で水素及び酸素を生成することが可能となる。
【0045】
電極3,4は、固体高分子膜2の両面にそれぞれ接合された状態で電圧供給部5に接続され、電圧供給部5から所要の電圧が印加される。本例では、電極3,4としてカーボン電極を用いるが、電極3,4を形成する電極材料はカーボンに限定されるものでない。また、電気化学的な反応を効率良く行わせるための触媒や、固体高分子膜2を電極3,4に接合するためのバインダを介して電極3,4と固体高分子膜2とが接合されていても良い。本例では、電気化学的な反応を効率良く行うために、電極3,4のそれぞれと固体高分子膜2との間に触媒としての図示しない白金微粒子を形成した。
【0046】
MEA1を形成する一例として、例えば固体高分子膜2を150℃のホットプレートで加熱した状態で白金微粒子が付着した電極3,4を固体高分子膜2に圧着させる。また、電極(面積が1cm2)3,4を固体高分子膜2に圧着させる際には、MEA1に5分間0、5トンの圧力を加えても良い。このようにして形成されたMEA1の重量は約0.05gであり、アクチュエータに用いるMEAとしては十分軽量なものである。
【0047】
また、MEA1は、酸素を含む空気が供給される際に効率良く電極3,4と固体高分子膜2との接合界面に空気を拡散させるための拡散層、又は水素と酸素から水を生成する際に生じる電力を回収するための集電体を備えていても良い。さらに、MEA1を複数のMEAからなる構造とし、それぞれのMEAを集電体としてのセパレータにより隔絶することもできる。また、MEA1には、水を電気分解することにより水素と酸素を生成する際に必要とされる電圧を供給するための電源が接続されていても良い。MEA1が複数のMEAにより形成されている場合には、1つのMEAのよる場合に比べて大量の水素及び酸素を反応させることが可能となり、より大きな駆動力を発生させることもできる。
【0048】
さらに、図1(a)及び(b)を参照しながら、駆動力の制御方法について詳細に説明する。図1(a)に示すように、MEA1に供給された水を電気分解することにより水素と酸素を生成する。
【0049】
水を電気分解する際には、電極3を負極とし、電極4を正極とした状態で、電極4に供給された水が化学式2に示すように、酸素(O2)、プロトン(H+)、電子(e−)に分解され、酸素(O2)が生成される。
【0050】
【化2】
【0051】
負極とされる電極3では、化学式3に示すように、固体高分子膜2を介して移動してきたプロトン(H+)が電子(e−)と結合し、水素が生成される。
【0052】
【化3】
【0053】
このように、負極とされる電極3で水素を生成し、正極とされる電極4で酸素を生成することにより、水(H2O)1molから、水素(H2)1mol及び酸素(O2)0.5molを生成することができ、水素のみを利用して駆動力を取得する場合に比べて効率良くガスを利用することができる。さらに、理想気体の状態方程式によれば、圧力が1atm、温度が298Kの下では、1mlの水(H2O)から水素及び酸素を2×103ml生成することができる。生成された水素及び酸素の体積は水の体積の約2000倍となり、生成されたガスの急激な体積増加、又はガス発生時の圧力変化を利用してアクチュエータを駆動することができる。つまり、簡単に説明すると、僅かな水分で大きな体積の気体を得ることができる。
【0054】
例えば、生成された水素及び酸素の如きガスは、アクチュエータの可動部とされるピストンが収納されたシリンダに逐次送り込まれ、シリンダ内におけるガス量の増加によりピストンが押圧される。また、シリンダに送り込まれるガスの圧力変化に伴ってピストンが押圧されても良い。また、アクチュエータの可動部はピストンに限定されず、生成されるガス量の増加に伴うガスの体積増加、又は圧力増加を利用可能な駆動機構を有するものであれば如何なるものでも良い。
【0055】
また、図1(b)に示すように、水素と酸素とを電気化学的に反応させて水を生成することにより、駆動力を得るために利用された水素及び酸素のガス量を減少させることができる。水を電気分解する反応に対して逆の反応を行わせることによりガス量を減少させ、図1(a)を参照しながら説明した場合と逆方向に可動部を駆動することが可能となる。
【0056】
水素及び酸素から水を生成する際には、電極3を正極とし、電極4を負極とするように電圧供給部5を切り替える。正極とされる電極3では、化学式4に示すように、水素(H)がプロトン(H+)と電子(e−)に電離される。
【0057】
【化4】
【0058】
負極とされる電極4では、固体高分子膜2を介して電極4に移動してきた電離されたプロトン(H+)が電子(e−)と酸素(O2)と結合し、化学式5に示すように、水(H20)が生成される。
【0059】
【化5】
【0060】
このようにして、水素及び酸素から水を生成することにより、可動部を駆動させたガス量を減少させ、水から水素及び酸素を生成した際とは逆方向に可動部を駆動させることが可能となる。例えば、シリンダに逐次送り込まれ、ピストンを押圧したガスのガス量をシリンダ内から減少させることにより、ピストンを押圧した場合とは逆方向にピストンを駆動することができる。
【0061】
従って、MEA1を構成する電極3,4に印加する電圧を切り替えることにより、水から水素及び酸素の如きガスの生成と、生成した水素及び酸素から水を生成することによるガスの消費を行わせ、ガスの生成又は消費を所要のタイミングで切り替えることにより、自在に駆動力を制御することができる。
【0062】
特に、プロトンが固体高分子膜2を伝導するため、水素及び酸素の如きガスの生成又は消費を行う際の反応速度が良好な状態とされ、速やかにガスの体積の増減を行うことができる。従って、MEA1に供給される水量や電極3,4に印加される電圧を制御することにより、アクチュエータが配設される装置に要求される動作に合わせて、駆動力の大きさ及びアクチュエータの応答性を制御することが可能となる。
【0063】
また、水を生成する際に生じる電力を取り出し、二次電池に充電することもできる。二次電池に充電された電力は、再度水から水素及び酸素を生成する際に電圧供給部5からMEA1に供給され、水の電気分解に利用され、高いエネルギー効率の下で上述の電気化学的な反応を行わせることができる。
【0064】
さらにまた、水素及び酸素をアクチュエータの外部に排出し、ガス量を減少させることにより、電気化学的な反応によらないアクチュエータの駆動を行うことも可能である。例えば、シリンダ内に送り込まれたガスを弁の開閉によりシリンダの外部に排出し、シリンダ内のガス量の減少に応じたピストンの駆動を行うことができる。
【0065】
また、MEA1は、所要の固体高分子膜及び電極を選択することにより軽量化することができる。例えば、電極3,4をカーボン電極とすることによりMEA1全体を炭素系材料に形成することが可能であり、これら比較的軽量な材料で形成されたMEA1の重量を、ガス量の制御により出力される駆動力に対して殆ど負荷とならない程度とすることができる。
【0066】
このようなMEA1によれば、MEA1を備えるアクチュエータが配設される装置本体を動作させる際に、装置本体の動作の応答性の低下を抑制することが可能となる。特に、小型ロボットを動作させる際には、軽量化されたアクチュエータを各関節部に配設することにより、各関節部を自在に且つ速やかに駆動することができる。また、MEA1を備えるアクチュエータは容易に小型化することができ、小型ロボットの関節部を駆動するには好適である。
【0067】
次に、上述の駆動力の制御方法を応用したアクチュエータについて説明する。以下で説明するアクチュエータは、何れもガス量を制御することにより駆動力を制御することができ、配設される装置本体の駆動機構に合わせて所要のアクチュエータが選択される。
【0068】
図2(a)乃至(c)は、ピストンを可動させるアクチュエータの駆動状態を説明する図であり、ピストンがガス量に応じて移動自在とされることにより、駆動力が制御される。
【0069】
図2(a)に示すように、アクチュエータ10は、電気化学的な反応によりガス量を制御するMEA11、電圧供給部18、MEA1の両側に配設されたシリンダ14,15、シリンダ14,15内に収納され移動自在とされるピストン12,13、及びガスリークバルブ16,17を有する。
【0070】
MEA11は、伝導体としての固体高分子膜の両側に電極が形成された構造を有し、それぞれの電極を臨むようにシリンダ14,15が配設されている。また、MEA11には、MEA11に電圧を印加するとともにこの電圧を制御する電圧供給部18が接続されている。尚、MEA11はMEA1と同様な構造を有するため、MEA11の構造についての詳細な説明は省略する。
【0071】
シリンダ14,15内にはそれぞれピストン12,13が収納されており、ピストン12,13が移動自在な状態とされるとともに、ピストン12,13の外縁とシリンダ14,15の内壁との間は、ガスがリークしないように密閉状態とされる。
【0072】
シリンダ14,15にそれぞれ配設されたガスリークバルブ16,17は、シリンダ14,15に蓄積されたガスをシリンダ14,15の外部に排出することができる。ガスリークバルブ16,17によれば、MEA11における電気化学的な反応によるガス量の制御に限らず、シリンダ14,15内のガス量を減少させることができる。また、ガスリークバルブ16,17としては、例えば可変流量弁、電磁弁、電動弁の如き汎用の弁を備えたバルブを用いることにより、排出されるガス量を制御することができる。
【0073】
図2(b)は、MEA11で生成されたガスによりピストン12,13が押圧され、ピストン12,13がシリンダ14,15の外側に向かって押し出された状態を示す図である。MEA11に供給された水を電気分解して生成される水素及び酸素がそれぞれシリンダ14,15に供給され、シリンダ14,15内に蓄積されたこれらガスの体積の増加によりピストン12,13が押し出される。
【0074】
また、生成される水素及び酸素のガス量は、電圧供給部18から印加される電圧又は供給される水量により制御することができる。これにより、シリンダ14,15に供給されるガス量を要求される駆動力に応じて調整することができ、ピストン12,13を押し出す駆動力を制御することが可能となる。
【0075】
また、MEA11により生成される水素及び酸素は、MEA11の一方の側面からそれぞれ別々に生成されるため、シリンダ14,15内で水素及び酸素が混合されることがなく、水素及び酸素ガスの混合ガスによる爆発的な反応が起きることがない。例えば、シリンダ14に水素が供給された場合には、シリンダ15には酸素のみがMEA11から供給されることになる。
【0076】
さらに、アクチュエータ10が小型サイズとされる場合には、ガスリークバルブ16,17を介して外部に排出される水素及び酸素は少量であり、爆発の危険性も低い。特に、小型ロボットにアクチュエータ10を用いる場合には、アクチュエータ10を安全に稼動させることができる。
【0077】
図2(c)は、MEA11により水素及び酸素から水が生成されることにより、押し出されたピストン12,13が引き戻された状態を示す図である。電圧供給部18は、MEA11に印加する電圧のプラスマイナスを切り替え、水を電気分解した場合とは逆の反応をMEA11に行わせることができる。
【0078】
このような逆反応によれば、シリンダ14,15内の水素及び酸素の如きガスから、電気化学的な反応により水が生成され、シリンダ14,15内のガス量が低減される。シリンダ14,15内のガス量の減少に伴ってピストン12,13が引き戻されることにより、アクチュエータ10はピストン12,13を押し出したときとは逆向きの駆動力を出力することができる。さらに、水を生成する際に発生する電力を二次電池の如き充電器に充電し、再度水の電気分解を行う際に必要とされる電力として使用することができる。
【0079】
このように、MEA11によるガス量の制御を行うことにより、ピストン12,13を自在に可動させることにより、アクチュエータ10は、例えばロボット装置の各関節部を駆動させることができる。また、これらガス量の制御は、MEA11で行われる電気化学的な反応を電圧又は水量により制御することにより行われるため、アクチュエータ10は、要求される駆動力を速やかに出力することができ、応答性にも優れている。
【0080】
次に、図3(a)乃至(c)を参照しながら、アクチュエータの別の例について説明する。図3(a)乃至(c)は、バルーンを膨張及び収縮させることができるアクチュエータの駆動状態を説明する図であり、バルーンの膨張及び収縮により駆動力が制御される。
【0081】
図3(a)に示すように、アクチュエータ20は、電気化学的な反応によりガス量を制御するMEA21、電圧供給部28、MEA21の両側に配設された配管24,25、配管24,25にそれぞれ取り付けられたバルーン22,23、及びガスリークバルブ26,27を有する。
【0082】
MEA21は、伝導体としての固体高分子膜の両側に電極が形成された構造を有し、それぞれの電極を臨むように配管24,25が配設されている。また、MEA21には、MEA21に電圧を印加するとともにこの電圧を制御する電圧制御部28が接続されている。
【0083】
MEA21によれば、水を電気分解して生成された水素および酸素は配管24,25を介してバルーン22,23に供給される。MEA21の側面では、それぞれ水素と酸素が別々に生成されるため、バルーン22,23にはそれぞれ水素又は酸素のいずれかが供給され、水素と酸素との混合ガスがバルーン22,23に供給されることがない。
【0084】
バルーン22,23は、伸縮自在な材質により形成され、供給されるガス量に応じて膨張及び収縮を自在に行うことが可能である。バルーン22,23を形成する材料としては、例えば、充分な強度を有する薄いゴムの如き伸縮自在な材料を用いることができるが、勿論これに限定されるものではない。
【0085】
図3(b)は、MEA21で生成されたガスによりバルーン22,23が膨張した状態を示す図である。MEA11に供給された水を電気分解して生成される水素及び酸素がそれぞれバルーン22,23に供給され、バルーン22,23に蓄積されたガスの体積の増加によりバルーン22,23は膨張する。アクチュエータ20が配設される各種装置は、バルーン22,23の膨張により押圧されることにより駆動されることになる。また、バルーン22,23の膨張は、電圧供給部28からMEA21に印加される電圧、又はMEA21に供給される水量により制御され、バルーン22,23が膨張する速度に合わせて駆動力を制御することが可能である。
【0086】
図3(c)は、MEA21により水素及び酸素から水が生成されることによりバルーン22,23内の水素及び酸素の如きガスが消費され、バルーン22,23が収縮した状態を示す図である。アクチュエータ20は、バルーン22,23が収縮することにより、バルーン22,23が膨張した場合に対して逆向きの駆動力を出力することができる。
【0087】
このように、アクチュエータ20は、バルーン22,23を膨張及び収縮させることにより、膨張及び収縮に応じた互いに逆向きの駆動力を出力することができる。従って、アクチュエータ20は、MEA21で行われる電気化学的な反応によりガス量が制御することにより駆動力を自在に制御することが可能となる。
【0088】
また、ガスリークバルブ26,27によれば、バルーン22,23に蓄積されたガスをバルーン22,23から排出することができ、MEA21で行われる電気化学的な反応によることなく駆動力の制御を行うことも可能である。
【0089】
次に、図4(a)乃至(c)を参照しながら、アクチュエータのさらに別の例について説明する。図4(a)乃至(c)は、横置型のMEA31から生成されるガスによりピストン32を駆動することができるアクチュエータの駆動状態を説明する図であり、MEA31から生成される1種類のガスにより駆動力が制御される。
【0090】
図4(a)に示すように、アクチュエータ30は、電気化学的な反応によりガス量を制御するMEA31、MEA31を収納するシリンダ33、シリンダ33に取り付けられ移動自在とされるピストン32、及びガスリークバルブ36,37を有する。さらに、アクチュエータ30は、図示しない電圧供給部から電圧が印加され、印加される電圧の切り替えの如き電圧制御が行われる。
【0091】
MEA31は、円筒状に形成された固体高分子膜の外側の表面と内側の表面にそれぞれ電極が形成された円筒状のMEAである。MEA31は、板状のMEAに比べて限られた空間でより多くの電極面積を有する構造とすることができ、効率良く電気化学的反応を行うことができる。また、固体高分子膜の外側の表面と内側の表面とに形成された電極との間には、リークを防止するためのギャップが設けられるとともに、MEA31の外側の表面がシリンダ33の内壁に接するように横置きとされた状態で、シリンダ33内に収納される。
【0092】
シリンダ33は、MEA31を収納するとともに、一方の端部にはピストン32に取り付けられている。また、ピストン32は、シリンダ33の長手方向に摺動可能な状態でシリンダ33に取り付けられている。
【0093】
ガスリークバルブ36,37は、シリンダ33に接続されており、ガスリークバルブ36は、MEA31の外側の表面から生成されるガスをシリンダ33の外部に排出することができる。また、ガスリークバルブ37は、MEA31とピストン32の間のシリンダ33内に蓄積されるガスを外部に排出することができる。
【0094】
図4(b)は、MEA31の内側に表面に形成された電極から生成されたガスによりピストン32が押圧され、ピストン32がシリンダ33の外側に向かって押し出された状態を示す図である。MEA31に供給された水を電気分解して生成される水素は、シリンダ33内に供給され、ピストン32を外側に押し出す。また、MEA31の外側の表面に形成された電極から生成される酸素は、ガスリークバルブ36を介して外部に排出される。本例では、水素がピストン32を押し出しているが、MEA31に形成された各電極に印加する電圧を切り替えることにより水素又は酸素のどちらによってもピストン32を押し出すことができるのは勿論である。
【0095】
図4(c)は、MEA31により水素及び酸素から水が生成されることにより、押し出されたピストン32が引き戻された状態を示す図である。MEA31に接続される電源のプラスマイナスを切り替えることにより、MEA11により水を電気分解した場合とは逆の反応を行うことができる。
【0096】
このような逆反応によれば、シリンダ33内の水素と、MEA31の外側から供給される酸素とをもとにして水が生成され、シリンダ33の水素が低減される。シリンダ33内のガス量の減少に伴ってピストン32が引き戻されることにより、アクチュエータ30はピストン32を押し出したときとは逆向きの駆動力を出力することができる。さらに、水を生成する際に発生する電力を二次電池の如き充電器に充電し、再度水の電気分解を行う際に必要とされる電力として使用することができる。
【0097】
また、本例のアクチュエータ30に使用されるMEA31は、電気化学的な反応を起こすための電極面積を限られた空間でより多くとることができ、アクチュエータ30を小型化することが可能となる。よって、アクチュエータ30は、小型ロボットの如き装置に好適なアクチュエータとされる。
【0098】
図5は、上述したMEAを有するアクチュエータが各関節部に配設されたロボットの一例の構成を示す概略構造図である。ロボット40は、例えば人間型ロボットであり、供給された水を貯蔵するタンク42を備える頭部43、胴体に相当する体幹部44、体幹部44と接続される腕部45及び脚部46、さらに、これら頭部43、腕部45及び脚部46と体幹部44とを接続することにより駆動自在とされる関節部を形成するアクチュエータ41を有する。
【0099】
アクチュエータ41は、上述したMEAを有するアクチュエータであり、小型且つ要求される駆動力に応じて即座に駆動力を出力することができ、例えば、図2乃至図4を参照しながら説明したアクチュエータを用いることができる。これらアクチュエータ41は、タンク42から水が供給され、頭部43、腕部45及び脚部46が体幹部44と接続される関節部を自在に駆動させるための駆動力を出力することができる。
【0100】
また、ロボット40の口からタンク42に水を補給することにより、人間や動物が水を飲むかの如き感覚を周囲に与えることができ、ロボット40に実際の人間や動物に近い動作を行わせることが可能となる。このようなロボット40は、例えば、エンターテイメントなどの分野でより表現力が豊かロボットとしてこれまでにはない役割を果たす可能性を秘めている。
【0101】
さらに、図6にロボットの別の例の構成を示す。ロボット50は、上述したロボット40と同様に、例えば人間型ロボットとされ、供給された水を貯蔵するタンク52を備える頭部53、胴体に相当する体幹部54、体幹部54と接続される腕部55及び脚部56、さらに、これら頭部53、腕部55及び脚部56と体幹部54とを接続することにより駆動自在とされる関節部を形成するアクチュエータ51を有する。
【0102】
アクチュエータ51は、駆動力を発生させるためのMEAをアクチュエータ51毎に有することなく、体幹部54に配設されたMEA57で制御されるガス量に応じて駆動される。また、MEA57と各アクチュエータ51とがガスをやり取りするための配管58は配設され、MEA57により全てのアクチュエータ51を駆動することができる。このようなMEA57により、全てのアクチュエータ51を駆動させると共に、アクチュエータ51の駆動状態を制御することにより、さらにアクチュエータ51を小型化することも可能であり、且つロボット50の構造を簡単なものとすることができる。
【0103】
また、ロボット装置50は、水素と酸素とを反応させることによりMEA57により発電を行うこともできる。さらに、発電によって発生した電力を図示しない蓄電池に蓄電することにより、再度水の電気分解による水素及び酸素を生成させる際に蓄電池から電力を供給することもできる。従って、MEA57における発電を行う際の燃料とされる水素を供給することなく、エネルギー効率の高い状態でロボットを稼動させることができる。さらに、電気分解で生成される水素を再度MEA57の燃料とすることも可能であり、エネルギー効率が良好な状態でロボットを稼動させることができる。また、本例のロボット50に適用可能なMEA57は、水、水素及び酸素の反応によりロボット50を駆動させるものに限定されず、アルコールのような有機材料を用いたMEAでも良いことは勿論である。
【0104】
【実施例】
続いて、本願発明者らがMEAにおけるガスの発生状況について調査した実験について説明する。
【0105】
[実施例1]
図1及び図7を参照しながら本願発明者が行った実験について説明する。本実験は、図1に示すMEA1に印加する電圧をパラメータとし、電圧の印加時間に対する水の電気分解により生じる電流の変化を測定したものである。また、本実験では、MEA1を1分間水に浸漬した後、電圧を印加し、電流値を測定した。
【0106】
図7は、電圧の印加時間に対する電流密度の変化を示すグラフである。図7に示すように、1.5V、2V、3Vの何れの電圧においても、MEA1に電圧を印加した直後に電流密度は最大となり、それぞれの電圧に対する電流密度の最大値は、0.895A/cm2、0.980A/cm2、2.06A/cm2であった。電圧を印加し始めた際に最大値となった電流密度は、電圧の印加時間が経過するに伴って減少した。
【0107】
図7に示す実験結果によれば、MEA1に電圧を印加し始めた瞬間に水の電気分解が瞬間的に行われ、水から水素及び酸素が瞬時に生成されていることがわかる。従って、MEA1に印加された電圧に対して即座に水素及び酸素を生成することができ、水素及び酸素のガス量をMEA1に印加する電圧に応じて高速に制御することが可能であると考察することができる。このようなMEA1で生成される水素及び酸素の瞬間的な体積変化をアクチュエータの駆動力として利用すれば、アクチュエータの駆動力を高速且つ自在に制御することができる。勿論、水素及び酸素から水を生成する電気化学的な反応に関しても電圧に応じて高速且つ自在に制御することができ、アクチュエータの駆動力の向きも自在に変えることが可能である。
【0108】
[実施例2]
次に、図1及び表1を参照しながら、本願発明者が行った別の実験について説明する。本実験は、MEA1を使用し、水の電気分解により生成されたガスのガス量を測定したものであり、MEA1に印加する電圧をパラメータとし、電圧の印加開始から1秒〜4秒の範囲で生成されたガスのガス量を測定した。また、MEA1に印加する電圧は、実施例1と同様に、2V、3Vの2水準とした。表1に測定結果を示す。尚、表1中、生成されたガス量の体積の単位はcm3である。
【0109】
【表1】
【0110】
表1によれば、電圧の印加時間が同じ場合には、MEA1に印加する電圧が大きくなるほど生成されるガス量の体積が増加する傾向にあり、生成されるガス量の体積を増加させるためには、MEA1に印加する電圧を大きくすれば良いことがわかる。すなわち、ガス量の体積を増加させることによりアクチュエータの駆動力を増大させるためには、ガスを生成するMEA1に印加する電圧を大きくすれば良いことがわかる。このような実験結果によれば、MEA1に印加する電圧を制御することにより、MEA1のサイズを変更することなく、さらに大きな駆動力を出力することが可能となることが考察される。このようなMEAを備えたアクチュエータは、小駆動される関節部が比較的小さな型ロボットの如き装置に対して好適である。
【0111】
[実施例3]
次に、図1、表1及び表2を参照しながら、本願発明者が行ったさらに別の実験について説明する。本実験は、MEA1の電極面積を大きくしたMEAを使用し、水の電気分解により生成されたガスのガス量を測定したものである。また、印加する電圧は3Vとし、電圧の印加開始から0.5秒〜4秒の範囲で生成されたガスのガス量を測定した。また、本実験で使用したMEAは、図1中のMEA1と同じ構造を有し、電極面積のみを1cm2から5cm2に変更したものを使用した。表2に測定結果を示す。尚、表2中、生成されたガス量の体積の単位はcm3である。
【0112】
【表2】
【0113】
表1及び表2を比較すると、同じ3Vの電圧で比べた場合、電圧の印加時間が同じときに生成されるガスのガス量は、MEA1に対して本実験のMEAでは約5倍となっている。これは、MEA1の電極面積1cm2に対して、本実験で使用したMEAの電極面積が5cm2であるためと考えられ、電極面積に応じて生成されるガス量も増大することがわかる。本実験によれば、許容される範囲内で電極面積を広げたMEAを使用すれば、同じ電圧でより多くのガスを生成することが可能であることがわかる。従って、アクチュエータの駆動力を増大させるためには、MEAに形成される電極の電極面積を許容される範囲内で広げれば良いことがわかる。つまり、大きな電極面積を有するMEAを備えたアクチュエータは、駆動される関節部が比較的小さな型ロボットの如き装置に対してもより大きな駆動力を出力することができると考えられる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアクチュエータによれば、電気化学的な反応により生成されるガス量を即座に制御することができ、ガス量に応じて出力される駆動力を高速で制御することが可能となる。よって、応答速度に優れたアクチュエータを提供することができる。
【0115】
また、本発明のアクチュエータによれば、燃料電池で汎用とされるMEAがガスの生成又は消費を行うことにより、要求される駆動力に対して十分な駆動力を発生させることができる。このようなガスとしては、水を電気分解して生成される水素及び酸素を使用することができ、少量の水から大きな体積を有するガスを生成することができる。また、酸やアルカリによりガスを生成する場合に比べて安全にアクチュエータを取り扱うことができるうえ、アクチュエータの劣化を低減することもできる。MEAの如き電気化学的な反応を行うための主要部は小型化且つ軽量化することが可能であり、アクチュエータを小型化すると共に、重量が低減されたアクチュエータを提供することができる。
【0116】
さらに、本発明のアクチュエータによれば、ガス量に応じて駆動力を発生することができるため、従来の磁気回転モータなどの機械的な駆動機構を有するアクチュエータに比べ、アクチュエータ自身の構造を簡単なものとすることが可能である。
【0117】
また、本発明のロボット装置によれば、ロボットの各関節部の如き駆動部を十分な動作性を確保しながら小型化することも可能であり、速やかに動作させることができる小型のロボットを提供することができる。さらに、エネルギー効率が良好な状態でロボットを稼動させることも可能となる。
【0118】
また、本発明の駆動力の制御方法によれば、アクチュエータは速やかに駆動力を発生させることができ、要求される駆動力に応じて即座に駆動力を制御することが可能である。さらに、本発明のアクチュエータ及び駆動力の制御方法は、ロボットに限定されず、駆動機構を有する何れの装置に対しても好適であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】MEAを用いた基本的な駆動力の制御方法を説明する図であって、(a)はガスを生成する工程を説明するための図、(b)はガスを消費する工程を説明する図である。
【図2】本発明のアクチュエータの一例における駆動状態を説明する図であって、(a)は、アクチュエータの概略構造を示す概略構造図、(b)はピストンを押し出した状態を示す図、(c)はピストンが引き戻された状態を示す図である。
【図3】本発明のアクチュエータの一例における駆動状態を説明する図であって、(a)は、アクチュエータの概略構造を示す概略構造図、(b)はバルーンを膨張させた状態を示す図、(c)はバルーンを収縮させた状態を示す図である。
【図4】本発明のアクチュエータの一例における駆動状態を説明する図であって、(a)は、アクチュエータの概略構造を示す概略構造図、(b)はピストンを押し出した状態を示す図、(c)はピストンが引き戻された状態を示す図である。
【図5】本発明のロボット装置の一例の構造を示す概略構造図である。
【図6】本発明のロボット装置の一例の構造を示す概略構造図である。
【図7】実施例1における実験結果を示す図であり、電圧印加時間に対する電流密度変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1,11,21,31,57 MEA、2 固体高分子膜、3,4 電極、5 電源、10,20,30,41 アクチュエータ、12,13,32 ピストン、14,15,33 シリンダ、16,17,26,27,36,37 ガスリークバルブ、22,23 バルーン、24,25,58 配管、40,50 ロボット、42,52 タンク
Claims (21)
- 電気化学的な反応により制御されるガス量に応じた駆動力を提供するアクチュエータであって、
イオン伝導性を有する伝導体と、該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体を有し、
前記駆動力は、前記接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガスのガス量に応じて可変とされること
を特徴とするアクチュエータ。 - 前記ガス量の制御は、前記電極に印加される電圧を制御するための電圧制御手段により行われること
を特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。 - 前記伝導体は、プロトン伝導性を有する固体高分子膜であること
を特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。 - 前記固体高分子膜には水が供給されること
を特徴とする請求項3記載のアクチュエータ。 - 前記電極は、カーボン電極であること
を特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。 - 前記電極は、金属触媒を担持したカーボン電極であること
を特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。 - 前記電極は、高吸水性材料を用いた電極であることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータ。
- 前記ガスは、前記水が前記接合体で電気分解されることにより生成される少なくとも水素又は酸素であること
を特徴とする請求項4記載のアクチュエータ。 - 前記水素及び前記酸素のガス量は、前記水の供給量に応じて制御されること
を特徴とする請求項8記載のアクチュエータ。 - 前記接合体で行われる電気分解に対する逆反応により前記水素及び前記酸素のガス量を減少させること
を特徴とする請求項8記載のアクチュエータ。 - 前記逆反応により得られる電力により前記電気分解が行われること
を特徴とする請求項10記載のアクチュエータ。 - 電気化学的な反応により制御されるガス量に応じて可動部を変位させるアクチュエータであって、
イオン伝導性を有する伝導体及び該伝導体を挟んで対峙する電極を備える接合体を備え、
前記可動部は、前記接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガス量に応じて変位すること
を特徴とするアクチュエータ。 - 前記可動部の変位量は、前記ガスを排出することにより制御されること
を特徴とする請求項12記載のアクチュエータ。 - 前記ガスは、弁を開閉することにより前記可動部から排出されること
を特徴とする請求項12記載のアクチュエータ。 - 電気化学的な反応により制御されるガス量に応じた駆動力を提供するアクチュエータにより駆動されるロボット装置であって、
前記アクチュエータは、イオン伝導性を有する伝導体及び該伝導体を挟んで対峙する電極を備える接合体を有し、
前記接合体で行われる電気化学的な反応により生成又は消費されるガスのガス量に応じて可変とされる駆動力により駆動されること
を特徴とするロボット装置。 - 前記ガスは、前記電気化学的な反応により水を電気分解して生成される少なくとも水素又は酸素であること
を特徴とする請求項15記載のロボット装置。 - 前記水は、前記アクチュエータを備える装置本体に配設された供給口から供給され、前記ガスは、前記装置本体の外部に排出されること
を特徴とする請求項15記載のロボット装置。 - 前記酸素の体積変化及び/又は圧力変化に応じて前記アクチュエータを駆動させること
を特徴とする請求項16記載のロボット装置。 - 前記電気化学的な反応に対する逆反応により取得される電力を蓄電する蓄電池、又は前記電力により前記電気化学的な反応を行う燃料電池を有すること
を特徴とする請求項16記載のロボット装置。 - 前記水素は、前記燃料電池で酸素と反応させるための燃料とされること
を特徴とする請求項19記載のロボット装置。 - 電気化学的な反応により制御されるガス量に応じてアクチュエータの駆動力を制御する駆動力の制御方法であって、
イオン伝導性を有する伝導体と、該伝導体を挟んで対峙する電極とを備える接合体で行われる電気化学的な反応により前記ガス量を制御すること
を特徴とする駆動力の制御方法。
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