JP2004156672A - ホース - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属蛇腹管3の内側に内面樹脂層1を設ける。ホース内を流れる流体の圧力をこの内面樹脂層1で受けることにより、金属蛇腹管3に対する直接的な圧力の伝達を防止し、これにより金属蛇腹管3の疲労劣化ないし破壊を抑止することができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属蛇腹管により構成される高温高圧用低ガス透過性ホースに係り、特に二酸化炭素を冷媒として用いる自動車用冷房装置に装着される冷媒輸送用のホース、或いは燃料電池車用の水素供給用ホース等として好適なホースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二酸化炭素を冷媒として用いる自動車用冷房装置に装着される冷媒輸送用ホースには、高温(例えば、150℃程度或いはそれ以上)及び/又は高圧(例えば、10MPa程度或いはそれ以上)の条件下で、冷媒ガスに対する低透過性が要求される。このような高温高圧用低ガス透過性ホースとしては、従来、金属蛇腹管に金属ワイヤーを編組みした補強層を設けたホースが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
金属蛇腹管と金属補強層とを組み合わせた従来のホースでは、高温高圧の過酷な条件下でのガスバリア性は満足されるものの、使用時に金属蛇腹管の蛇腹の凸部や凹部に疲労が集中し、繰り返し加圧などに対する耐久性を満足することができないという欠点があった。
【0004】
金属蛇腹管の耐久性を向上させるために、金属蛇腹管の肉厚を大きくする方法もあるが、この場合には、ホースの柔軟性が劣るものとなり、組み付け性も悪いという欠点がある。
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、二酸化炭素等の冷媒輸送用ホースなどの高温高圧用低透過性ホースとしてのガスバリア性と柔軟性、組み付け性を確保した上で、耐久性に優れたホースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のホースは、金属蛇腹管と、該金属蛇腹管の内側に設けられた樹脂層とを有することを特徴とする。
【0007】
本発明では、金属蛇腹管の内側に樹脂層(以下「内面樹脂層」と称す場合がある。)を有するため、ホース内を流れる流体の圧力をこの内面樹脂層で受けることにより、金属蛇腹管に対する直接的な圧力の伝達を防止し、これにより金属蛇腹管の疲労劣化ないし破壊を抑止することができる。
【0008】
本発明において、内面樹脂層は融点200℃以上の、好ましくは耐熱性熱可塑性樹脂、例えば含フッ素樹脂やポリメチルペンテンで構成されることが好ましい。
【0009】
本発明においては、金属蛇腹管の外側や、金属蛇腹管と内面樹脂層との間に補強層を設けることが好ましい。また、外側補強層の更に外側に外面層を設けても良い。外側補強層、内側補強層は、金属線及び/又は有機繊維を編組み又はスパイラル巻きした層であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明のホースの実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1〜3は、本発明のホースの実施の形態を示す一部切り欠き側面図である。図1〜3において、同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
【0012】
図1のホースは、内面樹脂層1、内側補強層2、金属蛇腹管3、外側補強層4が順次積層された構造を有する。図2に示すホースは、内側補強層2が設けられていない点が図1に示すホースと異なり、その他は同様の構成とされている。図3に示すホースは、最外層に外面層5が設けられている点が図1に示すホースと異なり、その他は同様の構成とされている。
【0013】
内面樹脂層1を構成する樹脂としては、耐熱性の高いものが高温高圧の内部流体に耐え、十分な繰り返し加圧等に対する耐久性が得られることから好ましい。従って、内面樹脂層1を構成する樹脂は、融点200℃以上の樹脂、特に耐熱性熱可塑性樹脂であることが好ましい。融点200℃以上の耐熱性熱可塑性樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等が挙げられ、好ましくは、ポリアラミド、ナイロンMXD6、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、各種フッ素含有ポリオレフィン等の含フッ素樹脂、ポリメチルペンテン(TPX)等、特に好ましくは含フッ素樹脂、ポリメチルペンテンが挙げられる。なお、含フッ素樹脂の具体例としては次のようなものが挙げられる。
【0014】
PTFE :ポリテトラフルオロエチレン
ETFE :テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体
PFA :テトラフルオロエチレン/パーフルオロエチレン共重合体
PVdF :ポリビニリデンフルオライド
FEP :テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体
PCTFE:ポリクロロトリフルオロエチレン
【0015】
ただし、本発明に係る内面樹脂層1を構成する樹脂は、何らこれらに限定されるものではなく、使用温度等に応じて1種又は2種以上が組み合わされて使用される。
【0016】
この内面樹脂層1の厚さは、薄過ぎると、内面樹脂層1を設けたことによる本発明の改善効果を十分に得ることができず、厚過ぎても効果に差異はなく、ホース肉厚が厚くなり、好ましくない。従って、内面樹脂層1の厚さは0.3〜3mm、特に0.5〜2mmであることが好ましい。
【0017】
このような樹脂、好ましくは耐熱性熱可塑性樹脂よりなる直管状の内面樹脂層1をホースの最内層に設けることにより、金属蛇腹管3への内部流体による圧力の伝達を低減して、金属蛇腹管3の疲労劣化ないし破壊を効果的に防止することができる。
【0018】
なお、内面樹脂層1が厚さ1mm、或いはそれ以下の薄肉である場合、高温高圧条件下での使用中に、内面樹脂層1が金属蛇腹管3の凹凸に沿って変形し、耐久性が低下する恐れがある。このような場合には、図1に示す如く、内面樹脂層1と金属蛇腹管3との間に内面樹脂層1の変形を防止する目的で内側補強層2を設けることが好ましい。内側補強層2は、内面樹脂層1の厚さが1mmを超える場合にも設けても何ら支障はない。
【0019】
この内側補強層2の構成材料としては、金属線や有機繊維、例えば、鋼線、ステンレスワイヤー、ポリエチレンテレフタレート繊維(PET)、ポリエチレンナフタレート繊維(PEN)、ナイロン繊維、アラミド繊維、その他カーボン繊維等を用いることができ、これらを編組み又はスパイラル巻きして、編組層又は互いに対をなす方向に巻き付けられたスパイラル層として内側補強層2を形成することができる。
【0020】
金属蛇腹管3の金属材料としては、ガスバリア性を有するものであれば良く、例えば、ステンレス、アルミニウム合金や、銅、銀、金、あるいはこれらの合金等が挙げられるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0021】
金属蛇腹管3の構成、即ち、螺旋状、独立などの蛇腹形状、ピッチ、肉厚等には特に制限はないが、金属蛇腹管3の肉厚が厚いと柔軟性が損なわれることから、金属蛇腹管3の肉厚は0.5mm以下であることが好ましい。金属蛇腹管3の肉厚はホースの用途によっても異なるが、柔軟性を確保した上で金属蛇腹管3によるガスバリア性、耐久性を十分に得るために、金属蛇腹管3の肉厚は0.15〜0.35mmであることが好ましい。
【0022】
金属蛇腹管3の外側には外側補強層4が設けられており、このように金属蛇腹管3の外側に外側補強層4を設けることにより、耐久性をより向上させることができる。この外側補強層4は、前述の内側補強層4と同様の構成とすることができる。
【0023】
図3のホースは、この外側補強層4の外側に更に外面層5が設けられている。このように外面層5を形成して外側補強層4を保護することにより、ホースの耐久性を更に高めることができる。この外面層5の構成材料としては、ゴムや熱可塑性樹脂のような弾性材料、具体的には、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)等が挙げられるが、何らこれらに限定されず、目的に応じて適宜最適な材料を選ぶことができる。外面層5の厚さは、通常0.8〜2.0mm程度である。
【0024】
本発明のホースは、金属蛇腹管を備えることにより、高温高圧下でのガスバリア性に優れ、しかも、この金属蛇腹管の内側に内面樹脂層を設けることにより金属蛇腹管を保護し、ホースの柔軟性、組み付け性を確保した上で、繰り返し加圧に対する耐久性を大幅に高めることができる。このような本発明のホースは、二酸化炭素を冷媒として用いる自動車用冷房装置に装着される冷媒輸送用のホース、燃料電池車用の水素供給用ホース、その他の高温高圧用低ガス透過性ホースとして好適である。
【0025】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0026】
実施例1
以下の手順で図1に示す構造の本発明のホースを製造した。
【0027】
まず、樹脂材料としてETFEを用いて、内径6mm、肉厚1mmのチューブを成形した。次いで、0.3mmの太さのステンレスワイヤーを5本合糸し、24キャリアの編組機でピッチ28mmで編み上げて、ETFEチューブの外側を被覆した。この補強層の上にSUS304製の蛇腹管(蛇腹のピッチ2mm,内径9.5mm,外径13mm,肉厚0.2mm,独立タイプの蛇腹管)を被せた。更に、この蛇腹管の外側を、0.3mmの太さのステンレスワイヤーを5本合糸し、24キャリアの編組機でピッチ28mmで編み上げて被覆した。
【0028】
得られたホースの構成は、表1に示す通りである。
【0029】
このホースを600mmの自由長さとし、接続金具を取り付け、下記方法で柔軟性及び繰り返し加圧性能を調べ、結果を表1に示した。
【0030】
柔軟性:外径の5倍の半径に曲げる際の力とした。
繰返し加圧性能:600mmのホースを曲げ半径190mmでU字形に取り付け、内圧1〜16MPaを1サイクルとして、160℃の雰囲気中で35回/分で繰り返し加圧した。
【0031】
実施例2
実施例1において、内側補強層を設けず、内面樹脂層の厚さを2mmとしたこと以外は同様にして表1に示す構成のホースを製造し、同様に柔軟性及び繰り返し加圧性能を調べ、結果を表1に示した。
【0032】
比較例1
実施例2において、内側補強層を設けなかったこと以外は同様にして表1に示す構成のホースを製造し、同様に柔軟性及び繰り返し加圧性能を調べ、結果を表1に示した。
【0033】
比較例2
比較例1において、金属蛇腹管の肉厚を0.5mmとしたこと以外は同様にして表1に示す構成のホースを製造し、同様に柔軟性及び繰り返し加圧性能を調べ、結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】
表1より次のことが明らかである。
【0036】
即ち、内面樹脂層を設けた実施例1,2のホースは、同等の肉厚の金属蛇腹管を用い、内面樹脂層を設けていない従来のホースである比較例1に比べて柔軟性を損なうことなく、繰り返し加圧性能が飛躍的に向上し、実用性が著しく高い。なお、内面樹脂層を設けずに金属蛇腹管の肉厚を厚くして耐久性を向上させた比較例2では、柔軟性が大きく損なわれ、ホースとしての用途に不適当である。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、高温高圧下でのガスバリア性に優れたホースであって、繰り返し加圧等に対する耐久性が良好で、しかも柔軟性、組み付け性に優れたホースが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホースの実施の形態を示す一部切り欠き側面図である。
【図2】本発明のホースの他の実施の形態を示す一部切り欠き側面図である。
【図3】本発明のホースの別の実施の形態を示す一部切り欠き側面図である。
【符号の説明】
1 内面樹脂層
2 内側補強層
3 金属蛇腹管
4 外側補強層
5 外面層
Claims (9)
- 金属蛇腹管と、該金属蛇腹管の内側に設けられた樹脂層とを有することを特徴とするホース。
- 前記金属蛇腹管の外側に外側補強層を有することを特徴とする請求項1に記載のホース。
- 前記外側補強層が、金属線及び/又は有機繊維を編組み又はスパイラル巻きした層からなることを特徴とする請求項2に記載のホース。
- 前記樹脂層と金属蛇腹管との間に内側補強層を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のホース。
- 前記内側補強層が、金属線及び/又は有機繊維を編組み又はスパイラル巻きした層からなることを特徴とする請求項4に記載のホース。
- 前記外側補強層の外側に外面層を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のホース。
- 前記樹脂層を構成する樹脂の融点が200℃以上であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のホース。
- 前記樹脂層を構成する樹脂が耐熱性熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のホース。
- 前記耐熱性熱可塑性樹脂が含フッ素樹脂又はポリメチルペンテンであることを特徴とする請求項8に記載のホース。
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2002
- 2002-11-05 JP JP2002321387A patent/JP2004156672A/ja active Pending
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