JP2004156283A - 液体貯蔵システム、液体輸送システム、及び液体貯蔵方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】淡水の貯水、及び輸送を低コストで安定して行うことの可能な液体貯蔵システムを提供する。
【解決手段】本発明の液体貯蔵システム10aは、沖合の水中又は水底に設置され、液体16−5を貯蔵するためのフレキシブルタンク15と、基端14−iAにおいて前記フレキシブルタンク(15)に接続され、先端(14−iB)が海面又は水面まで伸びているホース(14−i)と、前記ホース(14−i)の前記先端(14−iB)に結合されたブイ(13−i)とを有する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の液体貯蔵システム10aは、沖合の水中又は水底に設置され、液体16−5を貯蔵するためのフレキシブルタンク15と、基端14−iAにおいて前記フレキシブルタンク(15)に接続され、先端(14−iB)が海面又は水面まで伸びているホース(14−i)と、前記ホース(14−i)の前記先端(14−iB)に結合されたブイ(13−i)とを有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、淡水を水中に貯水し、その貯水された淡水を供給するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、淡水を貯水するための施設(又は装置)として、ダム、溜池等、陸上に設置される施設の他に、水中に設置される施設(以下、「水中貯水施設」と記す)が知られている。従来の水中貯水施設としては、例えば特許文献1に例示される。この水中貯水装置は、特許文献1の図1に示される。また、この水中貯水装置は、水中に所在するフレキシブルタンク、フレキシブルタンクから水面上に突出している注入口、水面上に半没状態で位置され、水面下に設けられた取水孔の内側に濾材が充填された濾過器、濾材を通過した濾過器内の濾過水をフレキシブルタンクの注水口へ送るポンプの各々を具備している。
【0003】
また、淡水を貯水するための海中貯水施設として、非特許文献2に示されるものが例示される。この海中貯水施設の構成は、非特許文献2の図3.20に示され、陸上に設置される取水施設、水道への供給施設の各々、海底(50〜100m)に設置され、球状体の膜と補強ネットで構成される貯水タンク、及び海中の貯水タンクまでの送水用として用いられる鋼管の各々で構成される。
【0004】
また、淡水の貯水と共に、淡水を輸送するための方法に関しても考案されている。その例として、液体フレキシブルコンテナによる水輸送に関する技術が、非特許文献1に例示される。この液体フレキシブルコンテナによる水輸送のシステムは、ウォーターバッグ、曳航用タグ、揚げ地と積み地のそれぞれに設置された荷役ターミナルで構成される。このウォーターバッグは、非特許文献1の図1に例示され、容量30000トン、全長160メートル、ドラフト7メートル、フリーボード十数センチメートルであり、素材には安価な繊維材料(樹脂コーティングされた化学繊維)が用いられている。ウォーターバッグの最大の特徴はその柔軟性であり、ウォーターバッグに作用する、波浪及び海流による外力に応じて大きく変形する(この結果、大応力の発生が回避される)ことが可能な構成になっている。ウォーターバッグは揚げ荷の後、非特許文献1の図2に例示されるような曳航用タグのデッキに設置されたリール状の格納装置に巻き取られる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3180169号公報(第1−5頁、第1図)
【非特許文献1】
日本造船学会誌 864号、2001年11月、p.56−57
【非特許文献2】
土木学会誌 vol.78,No.3、1993、p.16−19
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、淡水の貯水、及び輸送を低コストで行うことの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、淡水の貯水、及び輸送を安定して行うことの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、大量の浄化水の貯水を低コストで行うことの可能な液体貯蔵システムを提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、貯水池(ダム、湖も含む)からの水面の蒸発量を低く抑えると共に、環境への悪影響を最小限に抑制することの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、淡水を含む複数のタンクを輸送する場合においても、タンク同士の衝突による、タンク損傷の可能性を従来と比較して低くすることの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付で用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明の液体貯蔵システム(10a)は、水中又は水底に設置され、液体(16−5)を貯蔵するためのフレキシブルタンク(15)と、基端(14−iA)において前記フレキシブルタンク(15)に接続され、先端(14−iB)が海面又は水面まで伸びているホース(14−i)と、前記ホース(14−i)の前記先端(14−iB)に結合されたブイ(13−i)とを具備する。
【0013】
本発明の液体貯蔵システム(10a)において、前記液体(16−5)は淡水(16−5)である。
【0014】
本発明の液体貯蔵システム(10a)において、前記フレキシブルタンク(15)は、下方が開放されており、前記液体(16−5)は、海水より比重が小さい。
【0015】
本発明の液体貯蔵システム(10a)は、前記フレキシブルタンク(15)に接続され、海底又は湖底に沿って設けられた供給ホース(16−3)と、陸上に設けられ、前記供給ホース(16−3)を介して前記液体(16−5)を前記フレキシブルタンク(15)に圧送する供給所(16−4)とを更に具備する。
【0016】
本発明の液体貯蔵システム(10a)は、前記フレキシブルタンク(15)を係留するための係留機構(20−i)を更に具備する。
【0017】
本発明の液体輸送システム(10A)は、上記の液体貯蔵システム(10a)と、輸送船(11−1)に結合された輸送タンク(12−i)とを具備している。前記液体(16−5)は、前記液体貯蔵タンク(15)から前記輸送タンク(12−i)に水圧(P2)を用いて無動力で移動される。前記輸送船(11−1)は、前記液体(16−5)で満たされた前記輸送タンク(12−i)を目的地に輸送する。
【0018】
本発明の液体輸送システム(10A)において、前記輸送タンク(12−i)は、前記輸送船(11−1)に曳航されている。
【0019】
本発明の液体輸送システム(10A)において、前記輸送タンク(12−i)は、輸送用フレキシブルタンク(12−i)である。
【0020】
本発明の液体輸送システム(10A)において、前記輸送用フレキシブルタンク(12−i)は、他の輸送用フレキシブルタンク(12−1,…,12−(i−1),12−(i+1)…,12−n)と結合されるための結合機構(11A−i)を有する。
【0021】
本発明の液体貯蔵システム(10b)は、水面に設置され、液体(16−5)を貯蔵するためのフレキシブルタンク(17)と、前記フレキシブルタンク(17)に接続され、前記液体(16−5)を浄化して前記フレキシブルタンク(17)に供給する浄化機構(18d)とを具備する。
【0022】
本発明の液体貯蔵システム(10b)において、前記液体(16−5)は、浄化水である。
【0023】
本発明の液体貯蔵方法は、水中又は水底に設置されるフレキシブルタンク(15)に液体(16−5)を貯蔵するステップ(S2a、S2c、S2d)と、ホース(14−i)の基端(14−iA)を前記フレキシブルタンク(15)に接続し、前記ホース(14−i)の先端(14−iB)をブイ(13−i)に結合するステップ(S1a、S1d)とを具備している。前記先端(14−iB)は、海面又は水面まで伸びている。
【0024】
本発明の液体貯蔵方法は、前記ホース(14−i)を、輸送船(11−1)に結合された輸送タンク(12−i)に接続するステップ(S3a、S3d)を具備する。前記貯蔵されている液体(16−5)は、前記フレキシブルタンク(15)から前記輸送タンク(12−i)に水圧(P2)を用いて無動力で移動される。また、本発明の液体貯蔵方法は、前記輸送船(11−1)が、前記液体(16−5)で満たされた前記輸送タンク(12−i)を目的地へ輸送するステップ(S4a、S4c、S4d)を更に具備する。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る液体貯蔵システムについて説明する。本発明の実施の形態1に係る液体貯蔵システム10aを用いた液体輸送システム10Aの構成を図1に示す。実施の形態1において、液体貯蔵システム10aは、曳航船11−1、輸送用フレキシブルタンク12−1、液体貯蔵システム10aの各々を具備している。液体貯蔵システム10aは、ブイ13−1、フレキシブルホース14−1、貯水用フレキシブルタンク15、鋼管16−3、取水施設16−4の各々を具備している。曳航船11−1、輸送用フレキシブルタンク12−1、ブイ13−1の各々は、海面16−1上から半没状態で位置している。
【0026】
曳航船11−1は、内部に淡水16−5の含まれる輸送用フレキシブルタンク12−1を輸送するための船舶であり、タンカー等の大型の船舶ではなく、小型の船舶が用いられる。輸送用フレキシブルタンク12−1は、樹脂コーティングされた化学繊維等、安価で(従って、製造コストを最小限に抑制することが可能である)柔軟性のある材料を用いて構成されている。淡水16−5が充填されたときの体積(充填可能な淡水16−5の体積)は、貯水用フレキシブルタンク15のそれと比較して小さい。従って、貯水用フレキシブルタンク15を船舶で輸送するときと比較すると、輸送用フレキシブルタンク12−1を輸送するための船舶は小型のもので済むことになり、輸送コストの抑制が可能となる。曳航船11−1と輸送用フレキシブルタンク12−1とは、荷役用インターフェース11A−1によって接続されている。
【0027】
曳航船11−1は、取水後に、淡水16−5の貯水された輸送用フレキシブルタンク12−1を任意の場所に誘導する。従って、淡水16−5を水不足地、又は災害発生地域等、その時々に応じて淡水16−5の供給を特に必要としている地域に対して輸送することが可能である(淡水16−5の供給可能な地域は、淡水16−5の取水施設16−4から貯水フレキシブルタンク15への供給、及び貯水フレキシブルタンク15から取水施設16−4への供給の双方を、鋼管16−3を用いて行う場合とは異なり、取水施設16−4の周辺部に限定されない)。また、陸地に取水施設16−4を設置することが不要となるため、取水施設16−4の新たな開設に伴う、用地不足、及びその周辺地域の環境破壊等の問題点についても解消されることになる。
【0028】
ブイ13−1は、海面16−1に浮遊可能な材質を用いて構成されており、フレキシブルホース14−1の先端14−1Bに結合されている(フレキシブルホース14−1の先端14−1Bは、取水時以外においては、結合されるブイ13−1によって閉じられている)。これにより、フレキシブルホース14−1は、貯水用フレキシブルタンク15からの取水時以外においても、海底16−2の方向ではなく、海面16−1の方向に伸びた状態で保管しておく(先端14−1Bを海面16−1の付近に浮かせた状態としておく)ことが可能となっている。フレキシブルホース14−1は、曳航船11−1の船員の作業によって、貯水用フレキシブルタンク15からの取水時に輸送用フレキシブルタンク12−1と接続され、取水終了後に輸送用フレキシブルタンク12−1から切り離される。貯水用フレキシブルタンク15は、フレキシブルホース14−1と基端14−1Aで接続されており、輸送用フレキシブルタンク12−1と同様に、樹脂コーティングされた化学繊維等、柔軟性のある材料を用いて構成されている。
【0029】
海水の比重は、淡水16−5と比較して大きい(淡水の比重=1としたとき、海水の比重=1.02〜1.03程度)。そのため、輸送用フレキシブルタンク12−1と貯水用フレキシブルタンク15とをフレキシブルホース14−1によって接続することで、海水圧P2により、内部に淡水16−5の貯水された貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5が供給される(淡水16−5の供給方向は、Y方向である)。従って、淡水16−5の供給時においてポンプ等の特別な動力装置は必要なく、災害時等でも確実に淡水16−5を取り出すことが可能となる。
【0030】
取水施設16−4は、陸上に設置されており、鋼管16−3は、海底16−2に沿って敷設されている(湖のときには、「海底16−2」は「湖底16−2」に読み替えられる)。取水施設16−4は、河川16−6から淡水16−5を取水し、その内部に貯水する。また、取水施設16−4は、その内部に貯水された淡水16−5を予め定められた時間毎に、鋼管16−3を介してX2の方向へ動力P1に基づいて流通させることで、貯水用フレキシブルタンク15に対し、貯水(充填)可能な体積(予め設定されている)まで淡水16−5を貯水させる。鋼管16−3には、逆流防止弁16−3A、16−3Bの各々が備えられており、淡水16−5の逆流(X2と反対の方向への流れ)を防止している。
【0031】
尚、図2に示される構成を用いて、曳航船11−1から輸送用フレキシブルタンク12−1を用いて淡水16−5を輸送し、更に、輸送された淡水16−5を、フレキシブルホース14を介して貯水用フレキシブルタンク15に供給して(この供給方向は、Y´方向である)貯水しておくことも可能である。この場合においても、貯水用フレキシブルタンク15からの取水は、上記の実施の形態1と同様にして行われる。また、この場合、貯水用フレキシブルタンク15は、海底16−2に固定される固定物15aに固定され、接続されている。
【0032】
図2に示す構成においては、図1とは異なり、貯水用フレキシブルタンク15と取水施設16−4とを接続する鋼管16−3は不要となり、液体輸送システム10Aに具備される構成要素の製造、及び運用に係るコストの削減が可能となる。また、貯水用フレキシブルタンク15を海岸部から比較的沖合いに設置するときに必要とされるような、長い鋼管16−3を設置することは不要となる(沿岸に近い箇所においては海上交通量が多く、貯水用フレキシブルタンク15の設置、及びそれを用いた液体輸送システム10A(又は、液体貯蔵システム10a)の運用には障害が多いため、貯水用フレキシブルタンク15は可能な限り沖合いに設置されることが望ましい)。
【0033】
次に、図3を用いて、本発明の実施の形態1に係る(後述の実施の形態2にも係る)液体貯蔵方法の処理の過程について説明する。
【0034】
鋼管16−3と貯水用フレキシブルタンク15との接続、貯水用フレキシブルタンク15とフレキシブルホース14−iとの接続、及びフレキシブルホース14−iとブイ13−iとの接続の各々の処理が行われる(ステップS1a)。取水施設16−5は、河川16−6から淡水16−5を取水して貯水し、貯水された淡水16−5を一定時間毎に、動力P1に基づいて鋼管16−3を介し、貯水用フレキシブルタンク15が貯水可能な体積に膨張するまで供給する(ステップS2a)。また、1個の輸送用フレキシブルタンク12−1を接続した曳航船11−1が船員の操舵に基づいて、ブイ13−1の浮遊する海域周辺部まで航行される。船員によって、輸送用フレキシブルタンク12−1とフレキシブルホース14−1とが接続され、海水圧P2によって、貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5が供給される(ステップS3a)。船員によって、輸送用フレキシブルタンク12−1とフレキシブルホース14−1とが切断され、フレキシブルホース14−1と切断された輸送用フレキシブルタンク12−1は、曳航船11−1に誘導されて淡水16−5の輸送の目的地(水不足地、又は災害発生地域等)まで輸送される(ステップS4a)。
【0035】
(実施の形態2)
図4に、本発明の実施の形態2に係る液体輸送システム10A(液体貯蔵システム10aも含む。以下同)の構成を示す。図4は、図1を用いて上述したように、取水施設16−4から鋼管16−3を介して貯水用フレキシブルタンク15に淡水16−5が供給される形態に相当する(この形態の詳細については実施の形態1で上述した通り)。但し、輸送用フレキシブルタンク12−i(i=1,2,…,n)からフレキシブルホース14−iを介して貯水用フレキシブルタンク15に淡水16−5が供給される形態であっても構わない。これについては、図3を用いて上述したので、その説明は省略する。
【0036】
実施の形態2に係る液体輸送システム10Aは、実施の形態1の液体輸送システム10Aとは異なり、複数の輸送用フレキシブルタンク12−iが曳航船11−1に接続されており、また、貯水用フレキシブルタンク15には、複数のフレキシブルホース14−iが接続されている。各々のフレキシブルホース14−iの先端14−iBにはブイ13−iが接続されており、各々のフレキシブルホース14−iの基端14−iAは、貯水用フレキシブルタンク15と接続されている。各々の輸送用フレキシブルタンク12−iへの淡水16−5の供給は、実施の形態1と同様にして行われるので、その詳細な説明は省略する。実施の形態2においては、曳航船11−1は、淡水16−5の供給された、複数の輸送用フレキシブルタンク12−iを接続しているため、複数の水不足地、又は災害発生地域等に淡水16−5を輸送することが可能となる。
【0037】
尚、輸送用フレキシブルタンク12−iの各々は、柔軟性のある材料で構成されているため、輸送用フレキシブルタンク12−i同士が衝突することで、損傷する危険性は少ない。また、図4においては、荷役用インターフェース11A−iによって1船の曳航船11−1に複数の輸送用フレキシブルタンク12−iが接続される形態になっているが、1船の曳航船11−1が複数の輸送用フレキシブルタンク12−iを輸送可能であれば、他の接続形態であっても構わない。更に、実施の形態2に係る液体貯蔵方法については、以下の(1)〜(3)を除き、実施の形態1の液体貯蔵方法と同様であるので、その説明は省略する。(1)ステップS3aにおいて、複数の輸送用フレキシブルタンク12−iが接続された曳航船11−1が航行される。(2)ステップS2aにおいて、各々の輸送用フレキシブルタンク12−iに淡水16−5が供給される。(3)ステップS4aにおいて、各々の輸送用フレキシブルタンク12−iが、必要に応じて異なる目的地へ輸送される(目的地に到着後、必要な輸送用フレキシブルタンク12−iの数に応じて荷役用インターフェース11A−iが切断される)。
【0038】
上記の実施の形態1,2において、海底面16−2の海面16−1からの深さの程度がそれ程大きくないとき(数十m程度以下)のときには、海洋深層水(海面16−1からの深さ=数百m程度以上の所に存在する海水)を貯水用フレキシブルタンク15に貯水すると、高い効果が得られる。これは、次の(a)の理由による。(a)仮に、海洋深層水を保管しておくためのタンクを陸上に建設するものとすると、そのタンクには構造上、貯水用フレキシブルタンク15と比較して大きな強度が必要とされるのが通常であり、従って建設・保守のためのコストも大きくなる。一方、貯水用フレキシブルタンク15は上記のように安価な材料を用いて製造されることから、陸上に建設されたタンクと比較して、建設・保守に係るコストも少ない。
【0039】
従って、図1、又は図2に示される構成要素の他に、実施の形態1,2において、深海に潜水して、海洋深層水を取水するための潜水艦(これに限らず、海洋深層水を採取可能な物であれば何でもよい)が液体貯蔵システム10Aに具備されてもよい。このとき、図3に示したステップS1aにおいて、潜水艦が深海に潜水して海洋深層水を取水するステップが行われる。
【0040】
(実施の形態3)
図5に、本発明の実施の形態3に係る液体貯蔵システム10bの構成を示す。実施の形態3に係る液体貯蔵システム10bは、湖18(但し、以下の実施の形態3において、「湖18」は「ダム18」、又は「貯水池18」に置き換えることが可能である)の水面上に浮かぶ貯水用フレキシブルタンク17、貯水用フレキシブルタンク17の周辺部17dと接続されるホース18a、ホース18aを介して貯水用フレキシブルタンク17と接続されるタンク18b(淡水16−5を貯水して陸上輸送するためのものであり、淡水16−5の取水中にはホース18aを介して貯水用フレキシブルタンク17と接続されており、取水終了後には、ホース18aとの接続は切断される)を具備している。また、液体貯蔵システム10bは、貯水用フレキシブルタンク17の周辺部17cと接続されるホース18c、及びホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17と接続される浄水施設18dを具備している。
【0041】
貯水用フレキシブルタンク17の上底部17a、及び下底部17bの各々は、硬質合成樹脂板等の硬質材料(日光を遮断する材料)によって構成されており、数人程度が上部に乗ってもその重みに耐えられるだけの強度を有していることが望ましい(従って、図3においては、上底部17a、及び下底部17bの厚さは、実際の厚さと比較して誇張して示されている)。これにより、点検作業(貯水用フレキシブルタンク17の破損の有無等を調べる)を行う者は、貯水用フレキシブルタンク17の点検作業時において、その上部に乗って目視等による細かな点検を行うことが可能となる。また、貯水用フレキシブルタンク16で覆われていない部分をボート等で渡り、貯水用フレキシブルタンク16の上底部17aを歩いて通行することで、貯水用フレキシブルタンク17を湖18の対岸に渡るための橋として利用することが可能である。更に、周辺部17c、17dは各々、実施の形態1における輸送用フレキシブルタンク12−1、貯水用フレキシブルタンク15と同様に、樹脂コーティングされた化学繊維等、安価な柔軟性のある材料(日光を遮断する材料)を用いて構成されている。従って、輸送用フレキシブルタンク12−1、貯水用フレキシブルタンク15の各々と同様に、製造に係るコストを抑制することが可能となる。
【0042】
また、貯水用フレキシブルタンク17の上底部17a、下底部17b、周辺部17c、17dの各々を構成する材料(上底部17a、下底部17b:硬質材料、周辺部17c、17d:上記の化学繊維等)は、日光を遮断する。従って、湖18の周辺地域における植物の異常繁殖を防止することが可能となる。更に、図6に示されるように、貯水用フレキシブルタンク17は、湖18の水面を、その一部を除き、完全に覆うようにして設置されている。従って、雨水の湖18への供給を妨げず、かつ、湖18からの淡水16−5の蒸発による悪影響を防止することが可能となる。この悪影響は、湖18の淡水16−5中に含まれる有害成分の濃度の上昇による、水質の悪化に例示される。
【0043】
貯水用フレキシブルタンク17の内部は、気相部AIRと液相部LIQがあり、それらは膜17eによって区分されている。液相部LIQには、淡水16−5が所定体積だけ供給され、貯水される。その所定体積は、貯水用フレキシブルタンク17の全容積(液相部LIQの体積と気相部AIRの体積との和)から、気相部AIRの体積を差し引いた値に相当する。これにより、淡水16−5の貯水された貯水用フレキシブルタンク17を湖18の水面上に浮かすことが可能となる(貯水用フレキシブルタンク17の内部が完全に淡水16−5で充填されたときと比較して、貯水用フレキシブルタンク17の自重が軽くなるため)。
【0044】
浄水施設18dは、河川16−6から取水した淡水16−5を、濾過装置、及び各種の消毒薬を用いて消毒した後、定期的に所定量を、ホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17に供給する。
【0045】
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態3に係る液体貯蔵システム10bを用いた、液体貯蔵方法について説明する。
【0046】
浄水施設18dは、河川16−6から淡水16−5を取水し、濾過装置、消毒液等を用いて浄水し、貯水しておく。また、浄水施設18dは、貯水された淡水16−5を一定時間毎に所定量、ホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17に供給する(ステップS1b)。タンク18bは、ホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17から淡水16−5を吸引して、その内部に貯水する。淡水16−5の貯水されたタンク18bは、トラック等によって、淡水16−5の供給を必要とする地域まで輸送される(ステップS2b)。
【0047】
(実施の形態4)
図7に、本発明の実施の形態4に係る液体輸送システム10A(液体貯蔵システム10aも含む。以下同)の構成を示す。実施の形態4に係る液体輸送システム10Aは、貯水用フレキシブルタンク15の周囲に設置された滑車20−i(i=1,2,…,n)、滑車20−iと一部が接触しているワイヤ34−iの各々を具備している。また、液体輸送システム10Aは、貯水用フレキシブルタンク15を支持し、ワイヤ34−iと接続される網26、滑車20−iに接続されるブイ19−iの各々を具備している。尚、図7においては、滑車20−iは2本のみ設置されるように示されているが、実際には網26の掛けられた貯水用フレキシブルタンク15の周囲に更に多くの本数が設置される。また、図示されていないが、貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1への淡水16−5の供給は、ホースを用いて行われる。尚、貯水用フレキシブルタンク15の係留が可能なものであれば、貯水用フレキシブルタンク15は、滑車20−i以外のもので係留されても構わない。
【0048】
ブイ19−iは、実施の形態1,2において上述したブイ13−1と同様の材質で構成されており、海面16−1から半没状態で浮遊している。貯水用フレキシブルタンク15には、図1、又は図2と同様の形態で淡水16−5が供給される。図7においては、図1と同様に、河川16−6から淡水16−5を取水し、鋼管16−3を介して貯水用フレキシブルタンク15に供給する取水施設16−4が備えられるように示されている。但し、この形態には限らず、取水施設16−4と鋼管16−3の代わりに、図2と同様に、輸送用フレキシブルタンク12−1から貯水用フレキシブルタンク15に淡水16−5を供給(貯水)するためのフレキシブルホース14−1が備えられていても構わない。
【0049】
滑車20−iは、曳航船11の船員11Aに携帯されるリモートコントローラ11Bから送信される電波を受信し、受信した電波に応答して、車輪23−i、25−iの各々を矢印方向に回転させる。この回転は、貯水用フレキシブルタンク15の上端部27aが海底面16−2から所定高さLの位置に上昇するまで続けられる。但し、滑車20−iの駆動方法(回転運動を開始させるための方法)は一例であり、この形態には限らない。その後、船員11Aの操作によって、貯水用フレキシブルタンク27からホース(図示せず)を介して輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5が供給される。
【0050】
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態4に係る、液体貯蔵方法(輸送の処理も含む)について説明する。
【0051】
取水施設16−4は、河川16−6から淡水16−5を取水して貯水し、貯水された淡水16−5を一定時間毎に、動力P3に基づいて鋼管16−3を介し、貯水フレキシブルタンク15が貯水可能な体積に膨張するまで供給する(ステップS1c)。輸送用フレキシブルタンク12−1を接続した曳航船11−1が船員の操舵に基づいて、ブイ19−iの浮遊する海域周辺部まで航行される。船員11Aは、リモートコントローラ11Bを用いて滑車20−iの車輪23−i、25−iを矢印方向(反時計方向)に回転させ、その結果、上端部27aの海面16−2からの高さが、所定高さLの位置となる(ステップS2c)。船員11Aは、ホースを用いて、貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5を供給する。淡水16−5の供給された輸送用フレキシブルタンク12−1は、淡水16−5の供給を必要とする地域まで輸送される(ステップS3c)。
【0052】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る液体輸送システム10A(液体貯蔵システム10aも含む。以下同)の構成を図9に示す。液体輸送システム10Aは、海面16−1上に半没状態で所在する曳航船11−1、輸送用フレキシブルタンク12−1の各々を具備している。また、液体輸送システム10Aは、貯水用フレキシブル膜28、フレキシブルホース14−1に加えて、淡水16−5を河川16−6から取水し、鋼管16−3を介してY1方向から貯水用フレキシブル膜28を通過させる(淡水16−5に、図7に示されるような海底方向への動力P3を供給する)ことで、膜内部(1L、2L、3L、4L)に淡水16−5を供給する取水施設16−4を具備している。貯水用フレキシブル膜28は、幅が数百m、高さが数十m程度(もしくはそれ以上)の大きさを有する巨大な膜である。
【0053】
膜内部の淡水16−5の濃度は、取水施設16−4からの淡水16−5の供給、及び膜内部からの海水の排出に伴って、徐々に上昇していく。一定時間の淡水16−5の供給の後、淡水16−5中の塩分濃度によって、層1L〜4Lが形成される(塩分濃度の高い水程、比重が大きいため)。淡水16−5の供給後一定時間が経過すると、膜内部の水の塩分濃度は均一となる(層1L〜4Lは消滅する)が、貯水用フレキシブル膜28は上述のように巨大な大きさを有する膜であるため、それには長時間が必要である。従って、膜内部に淡水16−5を供給した後、比較的短時間の間であれば、フレキシブルホース14−1を用いた、淡水16−5の取水を行うことが可能である。または、取水施設16−4から鋼管16−3を介して淡水16−5を供給すると共に、フレキシブルホース14−1等を用いた、淡水16−5の取水を行うことも可能である。
【0054】
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態5に係る液体貯蔵方法(輸送の処理も含む)について説明する。
【0055】
鋼管16−3と膜28との接続、膜28とフレキシブルホース14−1との接続、及びフレキシブルホース14−1とブイ13−1との接続の各々の処理が行われる(ステップS1d)。取水施設16−4から、鋼管16−3を介して淡水16−5を膜内部に一定時間の間、供給する(ステップS2d)。曳航船11−1の船員によって、フレキシブルホース14−1が輸送用フレキシブルタンク12−1に接続される。淡水16−5が海水圧P2によってフレキシブルホース14−1を介して、膜内部から輸送用フレキシブルタンク12−1に供給される(ステップS3d)。輸送用フレキシブルタンク12−1とフレキシブルホース14−1とが切断され、フレキシブルホース14−1と切断された輸送用フレキシブルタンク12−1は、曳航船11−1に誘導されて淡水16−5の輸送の目的地まで輸送される(ステップS4d)。
【0056】
尚、上記の実施の形態4,5の各々は、実施の形態2と組み合わせて用いることが可能である。即ち、図7、図9の各々において、曳航船11−1に複数の輸送用フレキシブルタンク12−iを接続し、輸送用フレキシブルタンク12−iの各々にブイ13−iとフレキシブルホース14−iとを接続する形態とすることも可能である。このとき、図7、図9の各々において、「輸送用フレキシブルタンク12−1」は「輸送用フレキシブルタンク12−i」、「ブイ13−1」は「ブイ13−i」、「フレキシブルホース14−1」は「フレキシブルホース14−i」にそれぞれ読み替えられる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の液体輸送システムにより、淡水の貯水、及び輸送を低コストで行うことが可能となる。
【0058】
本発明の液体輸送システムにより、淡水の貯水、及び輸送を安定して行うことが可能となる。
【0059】
本発明の液体貯蔵システムにより、大量の浄化水の貯水を低コストで行うことが可能となる。
【0060】
本発明の液体輸送システムにより、貯水池(ダム、湖も含む)からの水面の蒸発量を低く抑えると共に、環境への悪影響を最小限に抑制することが可能となる。
【0061】
本発明の液体輸送システムにより、淡水を含む複数のタンクを輸送する場合においても、タンク同士の衝突による、タンク損傷の可能性を従来と比較して低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体輸送システムの実施の形態1に係る構成を示す図である。
【図2】本発明の液体輸送システムの実施の形態1に係る構成を示す図である。
【図3】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態1、2に係る、処理の過程を示す図である。
【図4】本発明の液体輸送システムの実施の形態2に係る構成を示す図である。
【図5】本発明の液体輸送システムの実施の形態3に係る構成を示す図である。
【図6】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態3に係る、処理の過程を示す図である。
【図7】本発明の液体輸送システムの実施の形態4に係る構成を示す図である。
【図8】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態4に係る、処理の過程を示す図である。
【図9】本発明の液体輸送システムの実施の形態5に係る構成を示す図である。
【図10】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態5に係る、処理の過程を示す図である。
【符号の説明】
10A:液体輸送システム
10a:液体貯蔵システム
11−i(i=1,2,…,n):曳航船
12−i:輸送用フレキシブルタンク
13−i、19−i:ブイ
14−i:フレキシブルホース
14−iA:基端
14−iB:先端
15、17:貯水用フレキシブルタンク
16−1:海面
16−2:海底
16−3:鋼管
16−4:取水施設
16−5:淡水
16−6:河川
17a:上底部
17b:下底部
17c、17d:周辺部
18a、18c:ホース
18b:タンク
18d:浄水施設
20−i:滑車
23−i、25−i:車輪
26:網
27a:上端部
28:膜
34−i:ワイヤー
【発明の属する技術分野】
本発明は、淡水を水中に貯水し、その貯水された淡水を供給するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、淡水を貯水するための施設(又は装置)として、ダム、溜池等、陸上に設置される施設の他に、水中に設置される施設(以下、「水中貯水施設」と記す)が知られている。従来の水中貯水施設としては、例えば特許文献1に例示される。この水中貯水装置は、特許文献1の図1に示される。また、この水中貯水装置は、水中に所在するフレキシブルタンク、フレキシブルタンクから水面上に突出している注入口、水面上に半没状態で位置され、水面下に設けられた取水孔の内側に濾材が充填された濾過器、濾材を通過した濾過器内の濾過水をフレキシブルタンクの注水口へ送るポンプの各々を具備している。
【0003】
また、淡水を貯水するための海中貯水施設として、非特許文献2に示されるものが例示される。この海中貯水施設の構成は、非特許文献2の図3.20に示され、陸上に設置される取水施設、水道への供給施設の各々、海底(50〜100m)に設置され、球状体の膜と補強ネットで構成される貯水タンク、及び海中の貯水タンクまでの送水用として用いられる鋼管の各々で構成される。
【0004】
また、淡水の貯水と共に、淡水を輸送するための方法に関しても考案されている。その例として、液体フレキシブルコンテナによる水輸送に関する技術が、非特許文献1に例示される。この液体フレキシブルコンテナによる水輸送のシステムは、ウォーターバッグ、曳航用タグ、揚げ地と積み地のそれぞれに設置された荷役ターミナルで構成される。このウォーターバッグは、非特許文献1の図1に例示され、容量30000トン、全長160メートル、ドラフト7メートル、フリーボード十数センチメートルであり、素材には安価な繊維材料(樹脂コーティングされた化学繊維)が用いられている。ウォーターバッグの最大の特徴はその柔軟性であり、ウォーターバッグに作用する、波浪及び海流による外力に応じて大きく変形する(この結果、大応力の発生が回避される)ことが可能な構成になっている。ウォーターバッグは揚げ荷の後、非特許文献1の図2に例示されるような曳航用タグのデッキに設置されたリール状の格納装置に巻き取られる。
【0005】
【特許文献1】
特許第3180169号公報(第1−5頁、第1図)
【非特許文献1】
日本造船学会誌 864号、2001年11月、p.56−57
【非特許文献2】
土木学会誌 vol.78,No.3、1993、p.16−19
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、淡水の貯水、及び輸送を低コストで行うことの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、淡水の貯水、及び輸送を安定して行うことの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、大量の浄化水の貯水を低コストで行うことの可能な液体貯蔵システムを提供することにある。
【0009】
本発明の更に他の目的は、貯水池(ダム、湖も含む)からの水面の蒸発量を低く抑えると共に、環境への悪影響を最小限に抑制することの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0010】
本発明の更に他の目的は、淡水を含む複数のタンクを輸送する場合においても、タンク同士の衝突による、タンク損傷の可能性を従来と比較して低くすることの可能な液体輸送システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を括弧付で用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応を明らかにするために付加されたものであり、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明の液体貯蔵システム(10a)は、水中又は水底に設置され、液体(16−5)を貯蔵するためのフレキシブルタンク(15)と、基端(14−iA)において前記フレキシブルタンク(15)に接続され、先端(14−iB)が海面又は水面まで伸びているホース(14−i)と、前記ホース(14−i)の前記先端(14−iB)に結合されたブイ(13−i)とを具備する。
【0013】
本発明の液体貯蔵システム(10a)において、前記液体(16−5)は淡水(16−5)である。
【0014】
本発明の液体貯蔵システム(10a)において、前記フレキシブルタンク(15)は、下方が開放されており、前記液体(16−5)は、海水より比重が小さい。
【0015】
本発明の液体貯蔵システム(10a)は、前記フレキシブルタンク(15)に接続され、海底又は湖底に沿って設けられた供給ホース(16−3)と、陸上に設けられ、前記供給ホース(16−3)を介して前記液体(16−5)を前記フレキシブルタンク(15)に圧送する供給所(16−4)とを更に具備する。
【0016】
本発明の液体貯蔵システム(10a)は、前記フレキシブルタンク(15)を係留するための係留機構(20−i)を更に具備する。
【0017】
本発明の液体輸送システム(10A)は、上記の液体貯蔵システム(10a)と、輸送船(11−1)に結合された輸送タンク(12−i)とを具備している。前記液体(16−5)は、前記液体貯蔵タンク(15)から前記輸送タンク(12−i)に水圧(P2)を用いて無動力で移動される。前記輸送船(11−1)は、前記液体(16−5)で満たされた前記輸送タンク(12−i)を目的地に輸送する。
【0018】
本発明の液体輸送システム(10A)において、前記輸送タンク(12−i)は、前記輸送船(11−1)に曳航されている。
【0019】
本発明の液体輸送システム(10A)において、前記輸送タンク(12−i)は、輸送用フレキシブルタンク(12−i)である。
【0020】
本発明の液体輸送システム(10A)において、前記輸送用フレキシブルタンク(12−i)は、他の輸送用フレキシブルタンク(12−1,…,12−(i−1),12−(i+1)…,12−n)と結合されるための結合機構(11A−i)を有する。
【0021】
本発明の液体貯蔵システム(10b)は、水面に設置され、液体(16−5)を貯蔵するためのフレキシブルタンク(17)と、前記フレキシブルタンク(17)に接続され、前記液体(16−5)を浄化して前記フレキシブルタンク(17)に供給する浄化機構(18d)とを具備する。
【0022】
本発明の液体貯蔵システム(10b)において、前記液体(16−5)は、浄化水である。
【0023】
本発明の液体貯蔵方法は、水中又は水底に設置されるフレキシブルタンク(15)に液体(16−5)を貯蔵するステップ(S2a、S2c、S2d)と、ホース(14−i)の基端(14−iA)を前記フレキシブルタンク(15)に接続し、前記ホース(14−i)の先端(14−iB)をブイ(13−i)に結合するステップ(S1a、S1d)とを具備している。前記先端(14−iB)は、海面又は水面まで伸びている。
【0024】
本発明の液体貯蔵方法は、前記ホース(14−i)を、輸送船(11−1)に結合された輸送タンク(12−i)に接続するステップ(S3a、S3d)を具備する。前記貯蔵されている液体(16−5)は、前記フレキシブルタンク(15)から前記輸送タンク(12−i)に水圧(P2)を用いて無動力で移動される。また、本発明の液体貯蔵方法は、前記輸送船(11−1)が、前記液体(16−5)で満たされた前記輸送タンク(12−i)を目的地へ輸送するステップ(S4a、S4c、S4d)を更に具備する。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る液体貯蔵システムについて説明する。本発明の実施の形態1に係る液体貯蔵システム10aを用いた液体輸送システム10Aの構成を図1に示す。実施の形態1において、液体貯蔵システム10aは、曳航船11−1、輸送用フレキシブルタンク12−1、液体貯蔵システム10aの各々を具備している。液体貯蔵システム10aは、ブイ13−1、フレキシブルホース14−1、貯水用フレキシブルタンク15、鋼管16−3、取水施設16−4の各々を具備している。曳航船11−1、輸送用フレキシブルタンク12−1、ブイ13−1の各々は、海面16−1上から半没状態で位置している。
【0026】
曳航船11−1は、内部に淡水16−5の含まれる輸送用フレキシブルタンク12−1を輸送するための船舶であり、タンカー等の大型の船舶ではなく、小型の船舶が用いられる。輸送用フレキシブルタンク12−1は、樹脂コーティングされた化学繊維等、安価で(従って、製造コストを最小限に抑制することが可能である)柔軟性のある材料を用いて構成されている。淡水16−5が充填されたときの体積(充填可能な淡水16−5の体積)は、貯水用フレキシブルタンク15のそれと比較して小さい。従って、貯水用フレキシブルタンク15を船舶で輸送するときと比較すると、輸送用フレキシブルタンク12−1を輸送するための船舶は小型のもので済むことになり、輸送コストの抑制が可能となる。曳航船11−1と輸送用フレキシブルタンク12−1とは、荷役用インターフェース11A−1によって接続されている。
【0027】
曳航船11−1は、取水後に、淡水16−5の貯水された輸送用フレキシブルタンク12−1を任意の場所に誘導する。従って、淡水16−5を水不足地、又は災害発生地域等、その時々に応じて淡水16−5の供給を特に必要としている地域に対して輸送することが可能である(淡水16−5の供給可能な地域は、淡水16−5の取水施設16−4から貯水フレキシブルタンク15への供給、及び貯水フレキシブルタンク15から取水施設16−4への供給の双方を、鋼管16−3を用いて行う場合とは異なり、取水施設16−4の周辺部に限定されない)。また、陸地に取水施設16−4を設置することが不要となるため、取水施設16−4の新たな開設に伴う、用地不足、及びその周辺地域の環境破壊等の問題点についても解消されることになる。
【0028】
ブイ13−1は、海面16−1に浮遊可能な材質を用いて構成されており、フレキシブルホース14−1の先端14−1Bに結合されている(フレキシブルホース14−1の先端14−1Bは、取水時以外においては、結合されるブイ13−1によって閉じられている)。これにより、フレキシブルホース14−1は、貯水用フレキシブルタンク15からの取水時以外においても、海底16−2の方向ではなく、海面16−1の方向に伸びた状態で保管しておく(先端14−1Bを海面16−1の付近に浮かせた状態としておく)ことが可能となっている。フレキシブルホース14−1は、曳航船11−1の船員の作業によって、貯水用フレキシブルタンク15からの取水時に輸送用フレキシブルタンク12−1と接続され、取水終了後に輸送用フレキシブルタンク12−1から切り離される。貯水用フレキシブルタンク15は、フレキシブルホース14−1と基端14−1Aで接続されており、輸送用フレキシブルタンク12−1と同様に、樹脂コーティングされた化学繊維等、柔軟性のある材料を用いて構成されている。
【0029】
海水の比重は、淡水16−5と比較して大きい(淡水の比重=1としたとき、海水の比重=1.02〜1.03程度)。そのため、輸送用フレキシブルタンク12−1と貯水用フレキシブルタンク15とをフレキシブルホース14−1によって接続することで、海水圧P2により、内部に淡水16−5の貯水された貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5が供給される(淡水16−5の供給方向は、Y方向である)。従って、淡水16−5の供給時においてポンプ等の特別な動力装置は必要なく、災害時等でも確実に淡水16−5を取り出すことが可能となる。
【0030】
取水施設16−4は、陸上に設置されており、鋼管16−3は、海底16−2に沿って敷設されている(湖のときには、「海底16−2」は「湖底16−2」に読み替えられる)。取水施設16−4は、河川16−6から淡水16−5を取水し、その内部に貯水する。また、取水施設16−4は、その内部に貯水された淡水16−5を予め定められた時間毎に、鋼管16−3を介してX2の方向へ動力P1に基づいて流通させることで、貯水用フレキシブルタンク15に対し、貯水(充填)可能な体積(予め設定されている)まで淡水16−5を貯水させる。鋼管16−3には、逆流防止弁16−3A、16−3Bの各々が備えられており、淡水16−5の逆流(X2と反対の方向への流れ)を防止している。
【0031】
尚、図2に示される構成を用いて、曳航船11−1から輸送用フレキシブルタンク12−1を用いて淡水16−5を輸送し、更に、輸送された淡水16−5を、フレキシブルホース14を介して貯水用フレキシブルタンク15に供給して(この供給方向は、Y´方向である)貯水しておくことも可能である。この場合においても、貯水用フレキシブルタンク15からの取水は、上記の実施の形態1と同様にして行われる。また、この場合、貯水用フレキシブルタンク15は、海底16−2に固定される固定物15aに固定され、接続されている。
【0032】
図2に示す構成においては、図1とは異なり、貯水用フレキシブルタンク15と取水施設16−4とを接続する鋼管16−3は不要となり、液体輸送システム10Aに具備される構成要素の製造、及び運用に係るコストの削減が可能となる。また、貯水用フレキシブルタンク15を海岸部から比較的沖合いに設置するときに必要とされるような、長い鋼管16−3を設置することは不要となる(沿岸に近い箇所においては海上交通量が多く、貯水用フレキシブルタンク15の設置、及びそれを用いた液体輸送システム10A(又は、液体貯蔵システム10a)の運用には障害が多いため、貯水用フレキシブルタンク15は可能な限り沖合いに設置されることが望ましい)。
【0033】
次に、図3を用いて、本発明の実施の形態1に係る(後述の実施の形態2にも係る)液体貯蔵方法の処理の過程について説明する。
【0034】
鋼管16−3と貯水用フレキシブルタンク15との接続、貯水用フレキシブルタンク15とフレキシブルホース14−iとの接続、及びフレキシブルホース14−iとブイ13−iとの接続の各々の処理が行われる(ステップS1a)。取水施設16−5は、河川16−6から淡水16−5を取水して貯水し、貯水された淡水16−5を一定時間毎に、動力P1に基づいて鋼管16−3を介し、貯水用フレキシブルタンク15が貯水可能な体積に膨張するまで供給する(ステップS2a)。また、1個の輸送用フレキシブルタンク12−1を接続した曳航船11−1が船員の操舵に基づいて、ブイ13−1の浮遊する海域周辺部まで航行される。船員によって、輸送用フレキシブルタンク12−1とフレキシブルホース14−1とが接続され、海水圧P2によって、貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5が供給される(ステップS3a)。船員によって、輸送用フレキシブルタンク12−1とフレキシブルホース14−1とが切断され、フレキシブルホース14−1と切断された輸送用フレキシブルタンク12−1は、曳航船11−1に誘導されて淡水16−5の輸送の目的地(水不足地、又は災害発生地域等)まで輸送される(ステップS4a)。
【0035】
(実施の形態2)
図4に、本発明の実施の形態2に係る液体輸送システム10A(液体貯蔵システム10aも含む。以下同)の構成を示す。図4は、図1を用いて上述したように、取水施設16−4から鋼管16−3を介して貯水用フレキシブルタンク15に淡水16−5が供給される形態に相当する(この形態の詳細については実施の形態1で上述した通り)。但し、輸送用フレキシブルタンク12−i(i=1,2,…,n)からフレキシブルホース14−iを介して貯水用フレキシブルタンク15に淡水16−5が供給される形態であっても構わない。これについては、図3を用いて上述したので、その説明は省略する。
【0036】
実施の形態2に係る液体輸送システム10Aは、実施の形態1の液体輸送システム10Aとは異なり、複数の輸送用フレキシブルタンク12−iが曳航船11−1に接続されており、また、貯水用フレキシブルタンク15には、複数のフレキシブルホース14−iが接続されている。各々のフレキシブルホース14−iの先端14−iBにはブイ13−iが接続されており、各々のフレキシブルホース14−iの基端14−iAは、貯水用フレキシブルタンク15と接続されている。各々の輸送用フレキシブルタンク12−iへの淡水16−5の供給は、実施の形態1と同様にして行われるので、その詳細な説明は省略する。実施の形態2においては、曳航船11−1は、淡水16−5の供給された、複数の輸送用フレキシブルタンク12−iを接続しているため、複数の水不足地、又は災害発生地域等に淡水16−5を輸送することが可能となる。
【0037】
尚、輸送用フレキシブルタンク12−iの各々は、柔軟性のある材料で構成されているため、輸送用フレキシブルタンク12−i同士が衝突することで、損傷する危険性は少ない。また、図4においては、荷役用インターフェース11A−iによって1船の曳航船11−1に複数の輸送用フレキシブルタンク12−iが接続される形態になっているが、1船の曳航船11−1が複数の輸送用フレキシブルタンク12−iを輸送可能であれば、他の接続形態であっても構わない。更に、実施の形態2に係る液体貯蔵方法については、以下の(1)〜(3)を除き、実施の形態1の液体貯蔵方法と同様であるので、その説明は省略する。(1)ステップS3aにおいて、複数の輸送用フレキシブルタンク12−iが接続された曳航船11−1が航行される。(2)ステップS2aにおいて、各々の輸送用フレキシブルタンク12−iに淡水16−5が供給される。(3)ステップS4aにおいて、各々の輸送用フレキシブルタンク12−iが、必要に応じて異なる目的地へ輸送される(目的地に到着後、必要な輸送用フレキシブルタンク12−iの数に応じて荷役用インターフェース11A−iが切断される)。
【0038】
上記の実施の形態1,2において、海底面16−2の海面16−1からの深さの程度がそれ程大きくないとき(数十m程度以下)のときには、海洋深層水(海面16−1からの深さ=数百m程度以上の所に存在する海水)を貯水用フレキシブルタンク15に貯水すると、高い効果が得られる。これは、次の(a)の理由による。(a)仮に、海洋深層水を保管しておくためのタンクを陸上に建設するものとすると、そのタンクには構造上、貯水用フレキシブルタンク15と比較して大きな強度が必要とされるのが通常であり、従って建設・保守のためのコストも大きくなる。一方、貯水用フレキシブルタンク15は上記のように安価な材料を用いて製造されることから、陸上に建設されたタンクと比較して、建設・保守に係るコストも少ない。
【0039】
従って、図1、又は図2に示される構成要素の他に、実施の形態1,2において、深海に潜水して、海洋深層水を取水するための潜水艦(これに限らず、海洋深層水を採取可能な物であれば何でもよい)が液体貯蔵システム10Aに具備されてもよい。このとき、図3に示したステップS1aにおいて、潜水艦が深海に潜水して海洋深層水を取水するステップが行われる。
【0040】
(実施の形態3)
図5に、本発明の実施の形態3に係る液体貯蔵システム10bの構成を示す。実施の形態3に係る液体貯蔵システム10bは、湖18(但し、以下の実施の形態3において、「湖18」は「ダム18」、又は「貯水池18」に置き換えることが可能である)の水面上に浮かぶ貯水用フレキシブルタンク17、貯水用フレキシブルタンク17の周辺部17dと接続されるホース18a、ホース18aを介して貯水用フレキシブルタンク17と接続されるタンク18b(淡水16−5を貯水して陸上輸送するためのものであり、淡水16−5の取水中にはホース18aを介して貯水用フレキシブルタンク17と接続されており、取水終了後には、ホース18aとの接続は切断される)を具備している。また、液体貯蔵システム10bは、貯水用フレキシブルタンク17の周辺部17cと接続されるホース18c、及びホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17と接続される浄水施設18dを具備している。
【0041】
貯水用フレキシブルタンク17の上底部17a、及び下底部17bの各々は、硬質合成樹脂板等の硬質材料(日光を遮断する材料)によって構成されており、数人程度が上部に乗ってもその重みに耐えられるだけの強度を有していることが望ましい(従って、図3においては、上底部17a、及び下底部17bの厚さは、実際の厚さと比較して誇張して示されている)。これにより、点検作業(貯水用フレキシブルタンク17の破損の有無等を調べる)を行う者は、貯水用フレキシブルタンク17の点検作業時において、その上部に乗って目視等による細かな点検を行うことが可能となる。また、貯水用フレキシブルタンク16で覆われていない部分をボート等で渡り、貯水用フレキシブルタンク16の上底部17aを歩いて通行することで、貯水用フレキシブルタンク17を湖18の対岸に渡るための橋として利用することが可能である。更に、周辺部17c、17dは各々、実施の形態1における輸送用フレキシブルタンク12−1、貯水用フレキシブルタンク15と同様に、樹脂コーティングされた化学繊維等、安価な柔軟性のある材料(日光を遮断する材料)を用いて構成されている。従って、輸送用フレキシブルタンク12−1、貯水用フレキシブルタンク15の各々と同様に、製造に係るコストを抑制することが可能となる。
【0042】
また、貯水用フレキシブルタンク17の上底部17a、下底部17b、周辺部17c、17dの各々を構成する材料(上底部17a、下底部17b:硬質材料、周辺部17c、17d:上記の化学繊維等)は、日光を遮断する。従って、湖18の周辺地域における植物の異常繁殖を防止することが可能となる。更に、図6に示されるように、貯水用フレキシブルタンク17は、湖18の水面を、その一部を除き、完全に覆うようにして設置されている。従って、雨水の湖18への供給を妨げず、かつ、湖18からの淡水16−5の蒸発による悪影響を防止することが可能となる。この悪影響は、湖18の淡水16−5中に含まれる有害成分の濃度の上昇による、水質の悪化に例示される。
【0043】
貯水用フレキシブルタンク17の内部は、気相部AIRと液相部LIQがあり、それらは膜17eによって区分されている。液相部LIQには、淡水16−5が所定体積だけ供給され、貯水される。その所定体積は、貯水用フレキシブルタンク17の全容積(液相部LIQの体積と気相部AIRの体積との和)から、気相部AIRの体積を差し引いた値に相当する。これにより、淡水16−5の貯水された貯水用フレキシブルタンク17を湖18の水面上に浮かすことが可能となる(貯水用フレキシブルタンク17の内部が完全に淡水16−5で充填されたときと比較して、貯水用フレキシブルタンク17の自重が軽くなるため)。
【0044】
浄水施設18dは、河川16−6から取水した淡水16−5を、濾過装置、及び各種の消毒薬を用いて消毒した後、定期的に所定量を、ホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17に供給する。
【0045】
次に、図6を参照して、本発明の実施の形態3に係る液体貯蔵システム10bを用いた、液体貯蔵方法について説明する。
【0046】
浄水施設18dは、河川16−6から淡水16−5を取水し、濾過装置、消毒液等を用いて浄水し、貯水しておく。また、浄水施設18dは、貯水された淡水16−5を一定時間毎に所定量、ホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17に供給する(ステップS1b)。タンク18bは、ホース18cを介して貯水用フレキシブルタンク17から淡水16−5を吸引して、その内部に貯水する。淡水16−5の貯水されたタンク18bは、トラック等によって、淡水16−5の供給を必要とする地域まで輸送される(ステップS2b)。
【0047】
(実施の形態4)
図7に、本発明の実施の形態4に係る液体輸送システム10A(液体貯蔵システム10aも含む。以下同)の構成を示す。実施の形態4に係る液体輸送システム10Aは、貯水用フレキシブルタンク15の周囲に設置された滑車20−i(i=1,2,…,n)、滑車20−iと一部が接触しているワイヤ34−iの各々を具備している。また、液体輸送システム10Aは、貯水用フレキシブルタンク15を支持し、ワイヤ34−iと接続される網26、滑車20−iに接続されるブイ19−iの各々を具備している。尚、図7においては、滑車20−iは2本のみ設置されるように示されているが、実際には網26の掛けられた貯水用フレキシブルタンク15の周囲に更に多くの本数が設置される。また、図示されていないが、貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1への淡水16−5の供給は、ホースを用いて行われる。尚、貯水用フレキシブルタンク15の係留が可能なものであれば、貯水用フレキシブルタンク15は、滑車20−i以外のもので係留されても構わない。
【0048】
ブイ19−iは、実施の形態1,2において上述したブイ13−1と同様の材質で構成されており、海面16−1から半没状態で浮遊している。貯水用フレキシブルタンク15には、図1、又は図2と同様の形態で淡水16−5が供給される。図7においては、図1と同様に、河川16−6から淡水16−5を取水し、鋼管16−3を介して貯水用フレキシブルタンク15に供給する取水施設16−4が備えられるように示されている。但し、この形態には限らず、取水施設16−4と鋼管16−3の代わりに、図2と同様に、輸送用フレキシブルタンク12−1から貯水用フレキシブルタンク15に淡水16−5を供給(貯水)するためのフレキシブルホース14−1が備えられていても構わない。
【0049】
滑車20−iは、曳航船11の船員11Aに携帯されるリモートコントローラ11Bから送信される電波を受信し、受信した電波に応答して、車輪23−i、25−iの各々を矢印方向に回転させる。この回転は、貯水用フレキシブルタンク15の上端部27aが海底面16−2から所定高さLの位置に上昇するまで続けられる。但し、滑車20−iの駆動方法(回転運動を開始させるための方法)は一例であり、この形態には限らない。その後、船員11Aの操作によって、貯水用フレキシブルタンク27からホース(図示せず)を介して輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5が供給される。
【0050】
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態4に係る、液体貯蔵方法(輸送の処理も含む)について説明する。
【0051】
取水施設16−4は、河川16−6から淡水16−5を取水して貯水し、貯水された淡水16−5を一定時間毎に、動力P3に基づいて鋼管16−3を介し、貯水フレキシブルタンク15が貯水可能な体積に膨張するまで供給する(ステップS1c)。輸送用フレキシブルタンク12−1を接続した曳航船11−1が船員の操舵に基づいて、ブイ19−iの浮遊する海域周辺部まで航行される。船員11Aは、リモートコントローラ11Bを用いて滑車20−iの車輪23−i、25−iを矢印方向(反時計方向)に回転させ、その結果、上端部27aの海面16−2からの高さが、所定高さLの位置となる(ステップS2c)。船員11Aは、ホースを用いて、貯水用フレキシブルタンク15から輸送用フレキシブルタンク12−1に淡水16−5を供給する。淡水16−5の供給された輸送用フレキシブルタンク12−1は、淡水16−5の供給を必要とする地域まで輸送される(ステップS3c)。
【0052】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る液体輸送システム10A(液体貯蔵システム10aも含む。以下同)の構成を図9に示す。液体輸送システム10Aは、海面16−1上に半没状態で所在する曳航船11−1、輸送用フレキシブルタンク12−1の各々を具備している。また、液体輸送システム10Aは、貯水用フレキシブル膜28、フレキシブルホース14−1に加えて、淡水16−5を河川16−6から取水し、鋼管16−3を介してY1方向から貯水用フレキシブル膜28を通過させる(淡水16−5に、図7に示されるような海底方向への動力P3を供給する)ことで、膜内部(1L、2L、3L、4L)に淡水16−5を供給する取水施設16−4を具備している。貯水用フレキシブル膜28は、幅が数百m、高さが数十m程度(もしくはそれ以上)の大きさを有する巨大な膜である。
【0053】
膜内部の淡水16−5の濃度は、取水施設16−4からの淡水16−5の供給、及び膜内部からの海水の排出に伴って、徐々に上昇していく。一定時間の淡水16−5の供給の後、淡水16−5中の塩分濃度によって、層1L〜4Lが形成される(塩分濃度の高い水程、比重が大きいため)。淡水16−5の供給後一定時間が経過すると、膜内部の水の塩分濃度は均一となる(層1L〜4Lは消滅する)が、貯水用フレキシブル膜28は上述のように巨大な大きさを有する膜であるため、それには長時間が必要である。従って、膜内部に淡水16−5を供給した後、比較的短時間の間であれば、フレキシブルホース14−1を用いた、淡水16−5の取水を行うことが可能である。または、取水施設16−4から鋼管16−3を介して淡水16−5を供給すると共に、フレキシブルホース14−1等を用いた、淡水16−5の取水を行うことも可能である。
【0054】
次に、図10を参照して、本発明の実施の形態5に係る液体貯蔵方法(輸送の処理も含む)について説明する。
【0055】
鋼管16−3と膜28との接続、膜28とフレキシブルホース14−1との接続、及びフレキシブルホース14−1とブイ13−1との接続の各々の処理が行われる(ステップS1d)。取水施設16−4から、鋼管16−3を介して淡水16−5を膜内部に一定時間の間、供給する(ステップS2d)。曳航船11−1の船員によって、フレキシブルホース14−1が輸送用フレキシブルタンク12−1に接続される。淡水16−5が海水圧P2によってフレキシブルホース14−1を介して、膜内部から輸送用フレキシブルタンク12−1に供給される(ステップS3d)。輸送用フレキシブルタンク12−1とフレキシブルホース14−1とが切断され、フレキシブルホース14−1と切断された輸送用フレキシブルタンク12−1は、曳航船11−1に誘導されて淡水16−5の輸送の目的地まで輸送される(ステップS4d)。
【0056】
尚、上記の実施の形態4,5の各々は、実施の形態2と組み合わせて用いることが可能である。即ち、図7、図9の各々において、曳航船11−1に複数の輸送用フレキシブルタンク12−iを接続し、輸送用フレキシブルタンク12−iの各々にブイ13−iとフレキシブルホース14−iとを接続する形態とすることも可能である。このとき、図7、図9の各々において、「輸送用フレキシブルタンク12−1」は「輸送用フレキシブルタンク12−i」、「ブイ13−1」は「ブイ13−i」、「フレキシブルホース14−1」は「フレキシブルホース14−i」にそれぞれ読み替えられる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の液体輸送システムにより、淡水の貯水、及び輸送を低コストで行うことが可能となる。
【0058】
本発明の液体輸送システムにより、淡水の貯水、及び輸送を安定して行うことが可能となる。
【0059】
本発明の液体貯蔵システムにより、大量の浄化水の貯水を低コストで行うことが可能となる。
【0060】
本発明の液体輸送システムにより、貯水池(ダム、湖も含む)からの水面の蒸発量を低く抑えると共に、環境への悪影響を最小限に抑制することが可能となる。
【0061】
本発明の液体輸送システムにより、淡水を含む複数のタンクを輸送する場合においても、タンク同士の衝突による、タンク損傷の可能性を従来と比較して低くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体輸送システムの実施の形態1に係る構成を示す図である。
【図2】本発明の液体輸送システムの実施の形態1に係る構成を示す図である。
【図3】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態1、2に係る、処理の過程を示す図である。
【図4】本発明の液体輸送システムの実施の形態2に係る構成を示す図である。
【図5】本発明の液体輸送システムの実施の形態3に係る構成を示す図である。
【図6】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態3に係る、処理の過程を示す図である。
【図7】本発明の液体輸送システムの実施の形態4に係る構成を示す図である。
【図8】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態4に係る、処理の過程を示す図である。
【図9】本発明の液体輸送システムの実施の形態5に係る構成を示す図である。
【図10】本発明の液体貯蔵方法の実施の形態5に係る、処理の過程を示す図である。
【符号の説明】
10A:液体輸送システム
10a:液体貯蔵システム
11−i(i=1,2,…,n):曳航船
12−i:輸送用フレキシブルタンク
13−i、19−i:ブイ
14−i:フレキシブルホース
14−iA:基端
14−iB:先端
15、17:貯水用フレキシブルタンク
16−1:海面
16−2:海底
16−3:鋼管
16−4:取水施設
16−5:淡水
16−6:河川
17a:上底部
17b:下底部
17c、17d:周辺部
18a、18c:ホース
18b:タンク
18d:浄水施設
20−i:滑車
23−i、25−i:車輪
26:網
27a:上端部
28:膜
34−i:ワイヤー
Claims (13)
- 水中又は水底に設置され、液体を貯蔵するためのフレキシブルタンクと、
基端において前記フレキシブルタンクに接続され、先端が海面又は水面まで伸びているホースと、
前記ホースの前記先端に結合されたブイとを具備する液体貯蔵システム。 - 請求項1において、
前記液体は水である
液体貯蔵システム。 - 請求項1又は2において、
前記フレキシブルタンクは、下方が開放されており、
前記液体は、海水より比重が小さい
液体貯蔵システム。 - 請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記フレキシブルタンクに接続され、海底又は湖底に沿って設けられた供給ホースと、
陸上に設けられ、前記供給ホースを介して前記液体を前記フレキシブルタンクに圧送する供給所と
を更に具備する液体貯蔵システム。 - 請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記フレキシブルタンクを係留するための係留機構
を更に具備する液体貯蔵システム。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の液体貯蔵システムと、
輸送船に結合された輸送タンクとを具備し、
前記液体は、前記液体貯蔵タンクから前記輸送タンクに水圧を用いて無動力で移動され、前記輸送船は、前記液体で満たされた前記輸送タンクを目的地に輸送する
液体輸送システム。 - 請求項6において、
前記輸送タンクは、前記輸送船に曳航されている
液体輸送システム。 - 請求項6又は7において、
前記輸送タンクは、
輸送用フレキシブルタンクである
液体輸送システム。 - 請求項8において、
前記輸送用フレキシブルタンクは、他の輸送用フレキシブルタンクと結合されるための結合機構を有する
液体輸送システム。 - 水面に設置され、液体を貯蔵するためのフレキシブルタンクと、
前記フレキシブルタンクに接続され、前記液体を浄化して前記フレキシブルタンクに供給する浄化機構とを具備する
液体貯蔵システム。 - 請求項10において、
前記液体は、浄化水である
液体貯蔵システム。 - 水中又は水底に設置されるフレキシブルタンクに液体を貯蔵するステップと、
ホースの基端を前記フレキシブルタンクに接続し、前記ホースの先端をブイに結合するステップと
を具備し、
前記先端は、海面又は水面まで伸びている
液体貯蔵方法。 - 請求項12において、
前記ホースを、輸送船に結合された輸送タンクに接続するステップと、前記貯蔵されている液体は、前記フレキシブルタンクから前記輸送タンクに水圧を用いて無動力で移動され、
前記輸送船が、前記液体で満たされた前記輸送タンクを目的地へ輸送するステップとを更に具備する
液体貯蔵方法。
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JP2002322410A JP2004156283A (ja) | 2002-11-06 | 2002-11-06 | 液体貯蔵システム、液体輸送システム、及び液体貯蔵方法 |
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JP (1) | JP2004156283A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7736093B2 (en) | 2004-08-02 | 2010-06-15 | Peter John Tangney | Submarine water reservoir |
-
2002
- 2002-11-06 JP JP2002322410A patent/JP2004156283A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
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US7736093B2 (en) | 2004-08-02 | 2010-06-15 | Peter John Tangney | Submarine water reservoir |
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