JP2004152539A - 固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する構成を有する固体酸化物形燃料電池システムを安定して作動させる。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する構成を有する固体酸化物形燃料電池システムにおいて、固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流の経路に入口が一つで出口が二つある分岐管(80)を備え、分岐管(80)の入口と2つの出口で圧力計測を行うことで高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を得、さらに燃料ガス経路に流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を備え、前記の流量に関する情報に基づいて流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を制御することにより燃料リサイクル流量を制御する方法を提供し、固体酸化物形燃料電池システムを安定して作動させる。
【選択図】 図1
【解決手段】固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する構成を有する固体酸化物形燃料電池システムにおいて、固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流の経路に入口が一つで出口が二つある分岐管(80)を備え、分岐管(80)の入口と2つの出口で圧力計測を行うことで高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を得、さらに燃料ガス経路に流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を備え、前記の流量に関する情報に基づいて流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を制御することにより燃料リサイクル流量を制御する方法を提供し、固体酸化物形燃料電池システムを安定して作動させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタン等の炭化水素系ガスを燃料として発電する固体酸化物形燃料電池システムを安定して運転するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物型燃料電池は、酸化物イオンを伝導する固体電解質の両側に燃料ガスおよび空気中の酸素をそれぞれ酸化、還元する機能を有する電極を取り付けたものである。電解質の材料としては一般的にはイットリアをドープしたジルコニアが用いられており(例えば、特開平11−329464)、700℃から1000℃の高温で、燃料ガス中の水素、一酸化炭素、炭化水素と酸化剤ガス中の酸素を電気化学反応させて発電が行われる。
メタン等を燃料として発電を行う場合、一般的には燃料電池反応の前段でメタンを水蒸気で代表される酸素源との改質反応により、水素と一酸化炭素に変換する。吸熱反応であるメタンの水蒸気改質反応を工学的に十分な速度で進行させるためには500℃以上、望ましくは700℃以上の熱が必要である。そのため、作動温度が500℃以下の燃料電池では、燃料ガスの燃焼によりその熱をまかなう必要があり、燃料電池反応に直接用いることができる燃料ガスの比率が低くなり、システム全体としての発電効率が十分に高くできない。一方、固体酸化物形燃料電池は燃料電池反応の排熱をメタンの水蒸気改質反応に用いることができるため、高い発電効率が期待される。
【0003】
改質反応を行うためには水蒸気、酸素や二酸化炭素で代表される酸素源をメタン等の原燃料を混ぜる必要がある。リン酸形燃料電池や固体高分子形燃料電池では、ボイラーで水蒸気を発生させ、この水蒸気をメタン等の原燃料と混合している。固体酸化物形燃料電池でも同じ方法も行われているが、固体酸化物形燃料電池の燃料極側排気には水蒸気、二酸化炭素が含まれているため、固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスの一部をリサイクルしてメタン等の原燃料と混合する方法も用いられる。リサイクルする方法ではボイラーによる水蒸気添加が不要であるという利点がある。
【0004】
固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスをリサイクルする方法としては、原燃料ガスを高圧で供給しエゼクタノズルを通すことで、リサイクルするガスを引き込み混合するという方法が用いられる。
【0005】
メタン等の炭化水素の改質反応は、反応流路が閉塞したり、改質反応の速度が低下するのを防ぐため、炭素が析出しない条件で行う必要がある。改質反応器(30)もしくは固体酸化物形燃料電池(22)の入口で炭素析出が起こらないように、ガス中の二酸化炭素、水蒸気の分圧を一定以上するという条件によってリサイクルするガス流量の下限が決まる。一方、リサイクルガス流量が多くなるとリサイクルするためのエゼクタ駆動のための燃料昇圧機の動力が大きくなり、システムの発電効率を低下させるという問題があり、適正なリサイクルするガス量を設定する必要がある。
【特許文献1】特開平11−329464
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスを下流でさらに利用する場合、例えば特願2001−336121記載の燃料電池システムのように、固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスを、一酸化炭素変成器を通してから低温で作動する燃料電池でさらに発電する場合においては、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス出口の下流に反応器、低温燃料電池などの設置物が存在する。それらの設置物の圧力損特性は経時的、または固体酸化物形燃料電池システムの発電出力を定格から下げた場合に必ずしも安定していない。
【0007】
前記設置物の圧力損失特性が変化する原因としては、反応器内の触媒の一部が粉状になって圧力損失が大きくなることや低温燃料電池の燃料側の発電に伴う生成水の水詰まりがある。特に後者は燃料電池システムの発電出力を定格値よりも下げた場合に生じることが多い。燃料ガス出口の下流設置物の圧力損失が変化すると、固体酸化物形燃料電池における燃料極側反応ガスのリサイクル流量が変化するという問題が生じ、特に少なくなった場合改質反応器(30)や固体酸化物形燃料電池(22)での炭素析出を引き起こし、固体酸化物形燃料電池システムの発電が継続できなくなる。
【0008】
リサイクル流量を運転中に制御することが必要であるが、リサイクルするガスの温度は700〜950℃程度と高温であるため、リサイクルするガスの経路に流量計を設置することは経済的に困難である。また、ガスクロマトグラフでエゼクタの下流側のガス組成を分析することで、高温のリサイクルガスの流量を算定することができるが、測定設備、測定時間を要するため、即時に検知する必要のある制御には用いることができない。もちろん、リサイクル経路の途中を冷却すると、熱式流速計などが利用可能であるが、この冷却によって燃料電池システムの発電効率が低下するため、適用できない。そのため、信頼性高く、簡便にリサイクルするガスの量に関する情報を運転中に得て、制御する経済的な方法が不可欠となっている。
【0009】
本発明の効果はメタン等の炭化水素系ガスを燃料とする固体酸化物形燃料電池において、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いてリサイクル流量を制御する方法を提供し、固体酸化物形燃料電池システムを安定して作動させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記特許請求の範囲の各請求項に記載された発明であり、具体的には以下の通りである。
本発明は、炭化水素を含む原燃料ガスを、固体酸化物形燃料電池(22)で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスの一部をリサイクルしたガスと混合し、固体酸化物形燃料電池(22)もしくは固体酸化物形燃料電池(22)と固体酸化物形燃料電池(22)の前段に設置した改質反応器(30)の両方において固体酸化物形燃料電池(22)での燃料電池発電反応に伴う熱を用いて炭化水素の改質反応を行いつつ、固体酸化物形燃料電池(22)で燃料電池発電を行う構成を有する燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流の経路に入口が一つで出口が二つある分岐管(80)を備え、さらにリサイクルせず下流に流す経路に流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を備えており、
分岐管(80)入口に固体酸化物形燃料電池(22)で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスを流入させ、出口の一方を前記リサイクルするガス経路へ接続し、もう一方の出口をリサイクルせず下流に流す経路に接続し、分岐管(80)の2つの出口および出口近傍、および分岐管(80)入口から分岐管(80)内でガスが分岐する位置までの間の3点の圧力もしくは3点間の差圧を計測した値を用いて前記流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機の動力を変化させることで、前記リサイクルするガスの流量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムである。
【0011】
本発明により、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いてリサイクル流量を適正な範囲に制御することができ、固体酸化物形燃料電池システムを幅広い発電出力条件および長期的にも安定して運転することができる。
【0012】
圧力測定に際しては、圧力計測する箇所から感圧のための管を引き出せばよく、圧力検知手段は必ずしも高温部に置く必要がない。そのため、測定の簡便さ、コストに関して優れている。また、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス流路のガス温度やガス組成は、経時的にあるいは固体酸化物形燃料電池システムの発電出力を定格から変化させた際などに変動するが、本発明の前記分岐管での圧力測定による方法は、こうした温度や組成変化の影響を受けにくく、安定した計測が可能であり、信頼性についても優れている。
【0013】
また、本発明は、リサイクルせず下流に流す経路に設置していた流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を、リサイクルするガスの経路に設置することを特徴とする。リサイクルするガスの経路に設置するには高温の燃料ガス雰囲気中で作動できる流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機が必要になるが、リサイクル流量の制御には適している。高温の燃料ガス雰囲気中で作動できる制御弁としては、特開2002−139159記載の高温高圧流体の制御弁、送風機としては日本工業出版「ターボ機械」第20巻第3号P42−48記載の高温用セラミックスファンに記載のものが知られている。
【0014】
また、本発明では、リサイクルせず下流にながすガスの経路に一酸化炭素変成器(32)もしくは一酸化炭素変成器(32)および一酸化炭素酸化反応器(66)を設置し、そのさらに下流にリン酸形燃料電池、もしくは固体高分子形電池(62)を設置することを特徴とする。本発明に従えば、リン酸形燃料電池、もしくは固体高分子形電池(62)での発電も合わせておこなう燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0015】
また、本発明では、リサイクルせず下流に流すガスをガスエンジンに供給することを特徴としている。本発明に従えば、ガスエンジンでの発電も合わせておこなう燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0016】
また、本発明では、請求項3〜4のシステムで固体酸化物形燃料電池(22)での燃料利用率が65〜80%であることを特徴としている。これは高発電効率と経済性が両立し、かつ安定した固体酸化物形燃料電池システムの運転を可能とならしめる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1に第一の実施形態の燃料電池システムを簡略的に示すシステムブロック図である。なお、分岐管(80)、流量制御弁(81)を除く全体構成は特願2001−336121記載の燃料電池システムにも説明されている。
【0018】
天然ガスで代表される炭化水素燃料は、脱硫装置(26)によって含有する硫黄成分が除去された後、エゼクタノズルを通して改質反応器に供給する。エゼクタノズルを通すまでに燃料ガスは燃料昇圧器(82)で昇圧される。燃料昇圧器(82)は脱硫装置の上流側・下流側のいずれかに設置することができる。
【0019】
エゼクタの吸引効果により固体酸化物形燃料電池反応を行った後の燃料ガスの一部を引き込み混合する。この固体酸化物形燃料電池の発電時に、このエゼクタ(28)の下流の混合状態での酸素と炭素の元素比が2.0〜2.5の範囲になるようにエゼクタ(28)および燃料昇圧器(82)圧力は調整されている。混合された燃料ガスは改質反応器(30)で一部改質された後、固体酸化物形燃料電池(22)のセル内に導入され、発電反応と改質反応が同時に進行する。
【0020】
改質反応器側に引き込まれたガスを除く残りの反応後の燃料ガスは熱交換器を経て一酸化炭素変成器へと導入される。70℃〜80℃まで冷却したのち固体高分子酸形燃料電池の燃料側に導入し、発電反応に用いる。
【0021】
固体酸化物形燃料電池(22)に供給する空気は、空気送風機(40)によって供給される。空気送風機(40)から出た空気は一酸化炭素変成器(32)およびその前後で燃料ガスと熱交換し、さらに再生器において固体酸化物形燃料電池で用いられた後の高温排気によって予熱され、さらに固体酸化物形燃料電池内部での熱交換された後、固体酸化物形燃料電池での燃料電池反応に供される。なお、一酸化炭素変成器およびその前後で燃料ガスとの熱交換は省略することができる。一方、空気送風機(50)から固体高分子形燃料電池に空気が供給される。
【0022】
固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流部の経路に分岐管(80)が設置される。分岐管(80)および前後の構成を図2に示す。分岐管(80)の2つの出口それぞれ、もしくは分岐管の2つの出口前後の配管経路および、ガスが分岐する位置の合計3箇所でガスの圧力を計測する。なお、ガスが分岐する位置もしくはその上流部の圧力と、分岐管の2つの出口との差圧として測定してもよい。
【0023】
これらの圧力計測値信号は制御信号入出力部に入力する。制御信号入出力部には固体酸化物形燃料電池の発電電流、燃料電池システムの入口ガス流量値も入力されている。固体高分子形燃料電池の前に流量制御弁(81)が設置され、圧力損失を変化させることができる。この流量制御弁(81)は制御部の出力によって開度が制御される。
【0024】
次に、上記構成燃料電池システムにおける固体酸化物形燃料電池の燃料リサイクル流量の制御について説明する。
【0025】
まず、燃料電池システム入口におけるガス流量値と固体酸化物形燃料電池の発電電流値が設定される。エゼクタの下流における酸素と炭素の元素比が所定の値になるように、リサイクル流量とリサイクルさせずに下流に流す流量との比率を決める。天然ガスの場合、エゼクタの下流における酸素と炭素の元素比が2.0〜2.5の範囲が目標値である。
【0026】
固体酸化物形燃料電池での燃料利用率によって分岐比率は変化する。例えば、固体酸化物形燃料電池の燃料利用率が75%の時には、リサイクルガス流量/下流へのガス流量を2.0にすれば、エゼクタの下流の混合状態での酸素と炭素の元素比が天然ガス燃料の場合に2.1になる。
【0027】
分岐管(80)の2つの出口それぞれ、もしくは分岐管(80)の2つの出口前後の配管経路および、ガスが分岐する位置の合計3箇所でガスの圧力を計測し、分岐管でのガス分岐比率を得る。
【0028】
予め3箇所でのガスの圧力と分岐比との関係を測定しておいたマップに基づいて、運転中の分岐比を3箇所でのガスの圧力値から算出する。この際には、制御信号入出力部に入力されている固体酸化物形燃料電池の発電電流、燃料電池システムの入口ガス流量値も前記マップによる分岐比の算出含めてもよい。そして分岐管(80)でのガス分岐比率が適正な範囲に収まるように、流量制御弁(81)開度を制御する。
【0029】
以上、本実施形態のリサイクル流量制御方法によれば、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス出口の下流に反応器、低温燃料電池などを設置した場合においても、固体酸化物形燃料電池の燃料リサイクル流量を適正な範囲に制御でき、安定した固体酸化物形燃料電池システムの運転が可能となる。
【0030】
(他の実施形態)また、上記実施形態では流量制御弁(81)を固体高分子形燃料電池(62)と一酸化炭素酸化反応器の間に設置したが、燃料ガスをリサイクルせず下流に流す経路およびリサイクルするガスの経路のいずれに設置してもよい。
【0031】
さらに、上記実施形態では流量制御弁を用いたが、代わりに送風機もしくは圧縮機を設置してもよく、設置した流路の圧力損失を正あるいは負に変化させることができるものであれば、広く適用可能であり、リサイクルするガスの経路に設置してもよい。
【0032】
なお、固体高分子形燃料電池の代わりにリン酸形燃料電池を設置してもよい。この場合は一酸化炭素酸化反応器(66)を省略することができる。
【0033】
なお、固体高分子形燃料電池の代わりにガスエンジンを設置してもよい。この場合は、一酸化炭素変成器(32)、一酸化炭素酸化反応器(66)を省略することができる。
【0034】
【実施例および比較例】
実施例として、図1に示した構成を備えた燃料電池システム(固体酸化物形燃料電池と固体高分子形燃料電池とを備えたシステム)を用いた。分岐管(80)前後の3点間の差圧を測定して、図1に設置した送風機(81)を制御することができる。なお、送風機(81)の設置位置における燃料ガス温度は約70℃であり、特に高価な送風機は必要でない。比較例としては分岐管(80)前後の3点間の差圧を測定、および図1の送風機を制御する機能を備えていない同システムを用いた。
【0035】
実施例および比較例では、原燃料ガスとして、以下に示すガス組成(容量%)を用いた。
【0036】
CH4 91% C2H6 6% C3H8 3%
原燃料ガスは、燃料電池反応を行った後の燃料ガスとエゼクタで混合された。燃料電池システムの定格作動時に、この混合状態での酸素と炭素の元素比(以下O/C値と記す。)が2.1〜2.2の範囲になるようにエゼクタの仕様と原燃料の圧力を決めた。高温のため、リサイクルガス流量は直接測定できなかったが、O/C値はエゼクタ出口ガスをサンプリングしガスクロマトグラフにより分析することでわかる。
【0037】
実施例では、分岐管(80)入口部とリサイクルするガス経路側の分岐管(80)出口部との間の差圧(差圧1)、分岐管(80)入口部とリサイクルせず下流に流す経路側の分岐管(80)出口部との間の差圧(差圧2)を、発電出力値を定格から定格の1/3まで変化させながら予め測定した。この際、送風機でリサイクルせず下流に流す側の圧力損失を調整しながら、O/C値とその時の差圧1、差圧2の値を記録した。O/C値はエゼクタ出口ガスをサンプリングしガスクロマトグラフで分析することにより定量化した。
【0038】
このようにして記録した固体酸化物形燃料電池での燃料利用率が75%の条件でO/C値が2.1になったときの差圧1、差圧2の値を表1に示す。実施例においてはO/C値2.0〜2.5、固体酸化物形燃料電池の燃料利用率65〜80%の範囲で表1に示したような関係を記録し、制御マップとして燃料電池システムの制御に用いた。
【0039】
【表1】
【0040】
定格より燃料電池システムの発電出力を下げた際のエゼクタで混合された後のガスの酸素と炭素の元素比の関係を表2に示す。実施例では表1に代表例を示した差圧1、差圧2とO/C値との関係を用いて、差圧1、差圧2の値が表1の関係になるように、送風機(81)を制御した。比較例では、差圧1、差圧2の測定、および送風機(81)は設置されない。
【0041】
実施例と比較例において、エゼクタ出口ガスをサンプリングしガスクロマトグラフで分析することによりO/C値を定量化した結果を表2に示す。
【0042】
比較例においては、出力が定格の35%の場合に酸素と炭素の元素比が1.7になり、改質器およびSOFCでの炭素析出がおこる条件となり、発電の継続が不可能であった。
【0043】
【表2】
【0044】
一方、実施例では安定したO/C値であることが確認された。実施例の燃料電池システムでは、差圧1、差圧2を発電運転時に測定できるので、その値と予め測定された表1の関係から、2.0〜2.2の範囲からずれないように、送風機出力を制御することができた。これにより、実施例においては幅広い出力範囲で適正なリサイクルガス、原燃料ガスの混合状態を維持することが可能となった。
【0045】
なお、上記は本発明により発電出力幅が広がることを示したが、運転時間経過後の下流の固体酸化物形燃料電池前後での圧力損失変化に対しても、上流の固体酸化物形燃料電池側のリサイクルガス、原燃料ガスの混合状態を維持することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の請求項1の固体酸化物形燃料電池システムによれば、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いてリサイクル流量を適正な範囲に制御することができ、固体酸化物形燃料電池システムを幅広い発電出力条件および長期的にも安定して運転することができる。
【0047】
また、本発明の請求項2の固体酸化物形燃料電池システムによれば、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いて請求項1とは異なる場所での制御でリサイクル流量を適正な範囲に制御することができ、固体酸化物形燃料電池システムを幅広い発電出力条件および長期的にも安定して運転することができる。
【0048】
また、本発明の請求項3の固体酸化物形燃料電池システムによれば、リン酸形燃料電池(9)、もしくは固体高分子形電池(10)での発電も合わせておこなう高発電効率な燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0049】
また、本発明の請求項4の固体酸化物形燃料電池システムによれば、ガスエンジンでの発電も合わせておこなう高発電効率な燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0050】
更に、本発明の請求項3の固体酸化物形燃料電池システムによれば、リン酸形燃料電池(9)、もしくは固体高分子形電池(10)、もしくはガスエンジンでの発電も合わせておこなう固体酸化物形燃料電池システムの発電効率と経済性との関係が両立する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う固体酸化物形燃料電池システムの実施形態を簡略的に示すシステムブロック図である。
【図2】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の分岐管部分の構成を簡略的に示す図である。
【符号の説明】
22 固体酸化物形燃料電池
62 固体高分子形燃料電池
28 燃料エゼクタ
40,50 空気ブロア
80 分岐管
81 流量制御弁、または送風機
82 燃料圧縮機
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタン等の炭化水素系ガスを燃料として発電する固体酸化物形燃料電池システムを安定して運転するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物型燃料電池は、酸化物イオンを伝導する固体電解質の両側に燃料ガスおよび空気中の酸素をそれぞれ酸化、還元する機能を有する電極を取り付けたものである。電解質の材料としては一般的にはイットリアをドープしたジルコニアが用いられており(例えば、特開平11−329464)、700℃から1000℃の高温で、燃料ガス中の水素、一酸化炭素、炭化水素と酸化剤ガス中の酸素を電気化学反応させて発電が行われる。
メタン等を燃料として発電を行う場合、一般的には燃料電池反応の前段でメタンを水蒸気で代表される酸素源との改質反応により、水素と一酸化炭素に変換する。吸熱反応であるメタンの水蒸気改質反応を工学的に十分な速度で進行させるためには500℃以上、望ましくは700℃以上の熱が必要である。そのため、作動温度が500℃以下の燃料電池では、燃料ガスの燃焼によりその熱をまかなう必要があり、燃料電池反応に直接用いることができる燃料ガスの比率が低くなり、システム全体としての発電効率が十分に高くできない。一方、固体酸化物形燃料電池は燃料電池反応の排熱をメタンの水蒸気改質反応に用いることができるため、高い発電効率が期待される。
【0003】
改質反応を行うためには水蒸気、酸素や二酸化炭素で代表される酸素源をメタン等の原燃料を混ぜる必要がある。リン酸形燃料電池や固体高分子形燃料電池では、ボイラーで水蒸気を発生させ、この水蒸気をメタン等の原燃料と混合している。固体酸化物形燃料電池でも同じ方法も行われているが、固体酸化物形燃料電池の燃料極側排気には水蒸気、二酸化炭素が含まれているため、固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスの一部をリサイクルしてメタン等の原燃料と混合する方法も用いられる。リサイクルする方法ではボイラーによる水蒸気添加が不要であるという利点がある。
【0004】
固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスをリサイクルする方法としては、原燃料ガスを高圧で供給しエゼクタノズルを通すことで、リサイクルするガスを引き込み混合するという方法が用いられる。
【0005】
メタン等の炭化水素の改質反応は、反応流路が閉塞したり、改質反応の速度が低下するのを防ぐため、炭素が析出しない条件で行う必要がある。改質反応器(30)もしくは固体酸化物形燃料電池(22)の入口で炭素析出が起こらないように、ガス中の二酸化炭素、水蒸気の分圧を一定以上するという条件によってリサイクルするガス流量の下限が決まる。一方、リサイクルガス流量が多くなるとリサイクルするためのエゼクタ駆動のための燃料昇圧機の動力が大きくなり、システムの発電効率を低下させるという問題があり、適正なリサイクルするガス量を設定する必要がある。
【特許文献1】特開平11−329464
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスを下流でさらに利用する場合、例えば特願2001−336121記載の燃料電池システムのように、固体酸化物形燃料電池の燃料極側反応ガスを、一酸化炭素変成器を通してから低温で作動する燃料電池でさらに発電する場合においては、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス出口の下流に反応器、低温燃料電池などの設置物が存在する。それらの設置物の圧力損特性は経時的、または固体酸化物形燃料電池システムの発電出力を定格から下げた場合に必ずしも安定していない。
【0007】
前記設置物の圧力損失特性が変化する原因としては、反応器内の触媒の一部が粉状になって圧力損失が大きくなることや低温燃料電池の燃料側の発電に伴う生成水の水詰まりがある。特に後者は燃料電池システムの発電出力を定格値よりも下げた場合に生じることが多い。燃料ガス出口の下流設置物の圧力損失が変化すると、固体酸化物形燃料電池における燃料極側反応ガスのリサイクル流量が変化するという問題が生じ、特に少なくなった場合改質反応器(30)や固体酸化物形燃料電池(22)での炭素析出を引き起こし、固体酸化物形燃料電池システムの発電が継続できなくなる。
【0008】
リサイクル流量を運転中に制御することが必要であるが、リサイクルするガスの温度は700〜950℃程度と高温であるため、リサイクルするガスの経路に流量計を設置することは経済的に困難である。また、ガスクロマトグラフでエゼクタの下流側のガス組成を分析することで、高温のリサイクルガスの流量を算定することができるが、測定設備、測定時間を要するため、即時に検知する必要のある制御には用いることができない。もちろん、リサイクル経路の途中を冷却すると、熱式流速計などが利用可能であるが、この冷却によって燃料電池システムの発電効率が低下するため、適用できない。そのため、信頼性高く、簡便にリサイクルするガスの量に関する情報を運転中に得て、制御する経済的な方法が不可欠となっている。
【0009】
本発明の効果はメタン等の炭化水素系ガスを燃料とする固体酸化物形燃料電池において、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いてリサイクル流量を制御する方法を提供し、固体酸化物形燃料電池システムを安定して作動させることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記特許請求の範囲の各請求項に記載された発明であり、具体的には以下の通りである。
本発明は、炭化水素を含む原燃料ガスを、固体酸化物形燃料電池(22)で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスの一部をリサイクルしたガスと混合し、固体酸化物形燃料電池(22)もしくは固体酸化物形燃料電池(22)と固体酸化物形燃料電池(22)の前段に設置した改質反応器(30)の両方において固体酸化物形燃料電池(22)での燃料電池発電反応に伴う熱を用いて炭化水素の改質反応を行いつつ、固体酸化物形燃料電池(22)で燃料電池発電を行う構成を有する燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流の経路に入口が一つで出口が二つある分岐管(80)を備え、さらにリサイクルせず下流に流す経路に流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を備えており、
分岐管(80)入口に固体酸化物形燃料電池(22)で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスを流入させ、出口の一方を前記リサイクルするガス経路へ接続し、もう一方の出口をリサイクルせず下流に流す経路に接続し、分岐管(80)の2つの出口および出口近傍、および分岐管(80)入口から分岐管(80)内でガスが分岐する位置までの間の3点の圧力もしくは3点間の差圧を計測した値を用いて前記流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機の動力を変化させることで、前記リサイクルするガスの流量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システムである。
【0011】
本発明により、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いてリサイクル流量を適正な範囲に制御することができ、固体酸化物形燃料電池システムを幅広い発電出力条件および長期的にも安定して運転することができる。
【0012】
圧力測定に際しては、圧力計測する箇所から感圧のための管を引き出せばよく、圧力検知手段は必ずしも高温部に置く必要がない。そのため、測定の簡便さ、コストに関して優れている。また、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス流路のガス温度やガス組成は、経時的にあるいは固体酸化物形燃料電池システムの発電出力を定格から変化させた際などに変動するが、本発明の前記分岐管での圧力測定による方法は、こうした温度や組成変化の影響を受けにくく、安定した計測が可能であり、信頼性についても優れている。
【0013】
また、本発明は、リサイクルせず下流に流す経路に設置していた流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機を、リサイクルするガスの経路に設置することを特徴とする。リサイクルするガスの経路に設置するには高温の燃料ガス雰囲気中で作動できる流量制御弁(81)もしくは送風機もしくは圧縮機が必要になるが、リサイクル流量の制御には適している。高温の燃料ガス雰囲気中で作動できる制御弁としては、特開2002−139159記載の高温高圧流体の制御弁、送風機としては日本工業出版「ターボ機械」第20巻第3号P42−48記載の高温用セラミックスファンに記載のものが知られている。
【0014】
また、本発明では、リサイクルせず下流にながすガスの経路に一酸化炭素変成器(32)もしくは一酸化炭素変成器(32)および一酸化炭素酸化反応器(66)を設置し、そのさらに下流にリン酸形燃料電池、もしくは固体高分子形電池(62)を設置することを特徴とする。本発明に従えば、リン酸形燃料電池、もしくは固体高分子形電池(62)での発電も合わせておこなう燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0015】
また、本発明では、リサイクルせず下流に流すガスをガスエンジンに供給することを特徴としている。本発明に従えば、ガスエンジンでの発電も合わせておこなう燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0016】
また、本発明では、請求項3〜4のシステムで固体酸化物形燃料電池(22)での燃料利用率が65〜80%であることを特徴としている。これは高発電効率と経済性が両立し、かつ安定した固体酸化物形燃料電池システムの運転を可能とならしめる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、図1に第一の実施形態の燃料電池システムを簡略的に示すシステムブロック図である。なお、分岐管(80)、流量制御弁(81)を除く全体構成は特願2001−336121記載の燃料電池システムにも説明されている。
【0018】
天然ガスで代表される炭化水素燃料は、脱硫装置(26)によって含有する硫黄成分が除去された後、エゼクタノズルを通して改質反応器に供給する。エゼクタノズルを通すまでに燃料ガスは燃料昇圧器(82)で昇圧される。燃料昇圧器(82)は脱硫装置の上流側・下流側のいずれかに設置することができる。
【0019】
エゼクタの吸引効果により固体酸化物形燃料電池反応を行った後の燃料ガスの一部を引き込み混合する。この固体酸化物形燃料電池の発電時に、このエゼクタ(28)の下流の混合状態での酸素と炭素の元素比が2.0〜2.5の範囲になるようにエゼクタ(28)および燃料昇圧器(82)圧力は調整されている。混合された燃料ガスは改質反応器(30)で一部改質された後、固体酸化物形燃料電池(22)のセル内に導入され、発電反応と改質反応が同時に進行する。
【0020】
改質反応器側に引き込まれたガスを除く残りの反応後の燃料ガスは熱交換器を経て一酸化炭素変成器へと導入される。70℃〜80℃まで冷却したのち固体高分子酸形燃料電池の燃料側に導入し、発電反応に用いる。
【0021】
固体酸化物形燃料電池(22)に供給する空気は、空気送風機(40)によって供給される。空気送風機(40)から出た空気は一酸化炭素変成器(32)およびその前後で燃料ガスと熱交換し、さらに再生器において固体酸化物形燃料電池で用いられた後の高温排気によって予熱され、さらに固体酸化物形燃料電池内部での熱交換された後、固体酸化物形燃料電池での燃料電池反応に供される。なお、一酸化炭素変成器およびその前後で燃料ガスとの熱交換は省略することができる。一方、空気送風機(50)から固体高分子形燃料電池に空気が供給される。
【0022】
固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流部の経路に分岐管(80)が設置される。分岐管(80)および前後の構成を図2に示す。分岐管(80)の2つの出口それぞれ、もしくは分岐管の2つの出口前後の配管経路および、ガスが分岐する位置の合計3箇所でガスの圧力を計測する。なお、ガスが分岐する位置もしくはその上流部の圧力と、分岐管の2つの出口との差圧として測定してもよい。
【0023】
これらの圧力計測値信号は制御信号入出力部に入力する。制御信号入出力部には固体酸化物形燃料電池の発電電流、燃料電池システムの入口ガス流量値も入力されている。固体高分子形燃料電池の前に流量制御弁(81)が設置され、圧力損失を変化させることができる。この流量制御弁(81)は制御部の出力によって開度が制御される。
【0024】
次に、上記構成燃料電池システムにおける固体酸化物形燃料電池の燃料リサイクル流量の制御について説明する。
【0025】
まず、燃料電池システム入口におけるガス流量値と固体酸化物形燃料電池の発電電流値が設定される。エゼクタの下流における酸素と炭素の元素比が所定の値になるように、リサイクル流量とリサイクルさせずに下流に流す流量との比率を決める。天然ガスの場合、エゼクタの下流における酸素と炭素の元素比が2.0〜2.5の範囲が目標値である。
【0026】
固体酸化物形燃料電池での燃料利用率によって分岐比率は変化する。例えば、固体酸化物形燃料電池の燃料利用率が75%の時には、リサイクルガス流量/下流へのガス流量を2.0にすれば、エゼクタの下流の混合状態での酸素と炭素の元素比が天然ガス燃料の場合に2.1になる。
【0027】
分岐管(80)の2つの出口それぞれ、もしくは分岐管(80)の2つの出口前後の配管経路および、ガスが分岐する位置の合計3箇所でガスの圧力を計測し、分岐管でのガス分岐比率を得る。
【0028】
予め3箇所でのガスの圧力と分岐比との関係を測定しておいたマップに基づいて、運転中の分岐比を3箇所でのガスの圧力値から算出する。この際には、制御信号入出力部に入力されている固体酸化物形燃料電池の発電電流、燃料電池システムの入口ガス流量値も前記マップによる分岐比の算出含めてもよい。そして分岐管(80)でのガス分岐比率が適正な範囲に収まるように、流量制御弁(81)開度を制御する。
【0029】
以上、本実施形態のリサイクル流量制御方法によれば、固体酸化物形燃料電池の燃料ガス出口の下流に反応器、低温燃料電池などを設置した場合においても、固体酸化物形燃料電池の燃料リサイクル流量を適正な範囲に制御でき、安定した固体酸化物形燃料電池システムの運転が可能となる。
【0030】
(他の実施形態)また、上記実施形態では流量制御弁(81)を固体高分子形燃料電池(62)と一酸化炭素酸化反応器の間に設置したが、燃料ガスをリサイクルせず下流に流す経路およびリサイクルするガスの経路のいずれに設置してもよい。
【0031】
さらに、上記実施形態では流量制御弁を用いたが、代わりに送風機もしくは圧縮機を設置してもよく、設置した流路の圧力損失を正あるいは負に変化させることができるものであれば、広く適用可能であり、リサイクルするガスの経路に設置してもよい。
【0032】
なお、固体高分子形燃料電池の代わりにリン酸形燃料電池を設置してもよい。この場合は一酸化炭素酸化反応器(66)を省略することができる。
【0033】
なお、固体高分子形燃料電池の代わりにガスエンジンを設置してもよい。この場合は、一酸化炭素変成器(32)、一酸化炭素酸化反応器(66)を省略することができる。
【0034】
【実施例および比較例】
実施例として、図1に示した構成を備えた燃料電池システム(固体酸化物形燃料電池と固体高分子形燃料電池とを備えたシステム)を用いた。分岐管(80)前後の3点間の差圧を測定して、図1に設置した送風機(81)を制御することができる。なお、送風機(81)の設置位置における燃料ガス温度は約70℃であり、特に高価な送風機は必要でない。比較例としては分岐管(80)前後の3点間の差圧を測定、および図1の送風機を制御する機能を備えていない同システムを用いた。
【0035】
実施例および比較例では、原燃料ガスとして、以下に示すガス組成(容量%)を用いた。
【0036】
CH4 91% C2H6 6% C3H8 3%
原燃料ガスは、燃料電池反応を行った後の燃料ガスとエゼクタで混合された。燃料電池システムの定格作動時に、この混合状態での酸素と炭素の元素比(以下O/C値と記す。)が2.1〜2.2の範囲になるようにエゼクタの仕様と原燃料の圧力を決めた。高温のため、リサイクルガス流量は直接測定できなかったが、O/C値はエゼクタ出口ガスをサンプリングしガスクロマトグラフにより分析することでわかる。
【0037】
実施例では、分岐管(80)入口部とリサイクルするガス経路側の分岐管(80)出口部との間の差圧(差圧1)、分岐管(80)入口部とリサイクルせず下流に流す経路側の分岐管(80)出口部との間の差圧(差圧2)を、発電出力値を定格から定格の1/3まで変化させながら予め測定した。この際、送風機でリサイクルせず下流に流す側の圧力損失を調整しながら、O/C値とその時の差圧1、差圧2の値を記録した。O/C値はエゼクタ出口ガスをサンプリングしガスクロマトグラフで分析することにより定量化した。
【0038】
このようにして記録した固体酸化物形燃料電池での燃料利用率が75%の条件でO/C値が2.1になったときの差圧1、差圧2の値を表1に示す。実施例においてはO/C値2.0〜2.5、固体酸化物形燃料電池の燃料利用率65〜80%の範囲で表1に示したような関係を記録し、制御マップとして燃料電池システムの制御に用いた。
【0039】
【表1】
【0040】
定格より燃料電池システムの発電出力を下げた際のエゼクタで混合された後のガスの酸素と炭素の元素比の関係を表2に示す。実施例では表1に代表例を示した差圧1、差圧2とO/C値との関係を用いて、差圧1、差圧2の値が表1の関係になるように、送風機(81)を制御した。比較例では、差圧1、差圧2の測定、および送風機(81)は設置されない。
【0041】
実施例と比較例において、エゼクタ出口ガスをサンプリングしガスクロマトグラフで分析することによりO/C値を定量化した結果を表2に示す。
【0042】
比較例においては、出力が定格の35%の場合に酸素と炭素の元素比が1.7になり、改質器およびSOFCでの炭素析出がおこる条件となり、発電の継続が不可能であった。
【0043】
【表2】
【0044】
一方、実施例では安定したO/C値であることが確認された。実施例の燃料電池システムでは、差圧1、差圧2を発電運転時に測定できるので、その値と予め測定された表1の関係から、2.0〜2.2の範囲からずれないように、送風機出力を制御することができた。これにより、実施例においては幅広い出力範囲で適正なリサイクルガス、原燃料ガスの混合状態を維持することが可能となった。
【0045】
なお、上記は本発明により発電出力幅が広がることを示したが、運転時間経過後の下流の固体酸化物形燃料電池前後での圧力損失変化に対しても、上流の固体酸化物形燃料電池側のリサイクルガス、原燃料ガスの混合状態を維持することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の請求項1の固体酸化物形燃料電池システムによれば、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いてリサイクル流量を適正な範囲に制御することができ、固体酸化物形燃料電池システムを幅広い発電出力条件および長期的にも安定して運転することができる。
【0047】
また、本発明の請求項2の固体酸化物形燃料電池システムによれば、固体酸化物形燃料電池の燃料側排ガスをリサイクルして原燃料と混合して改質する際の高温燃料排ガスのリサイクル流量に関する情報を運転中に入手し、それを用いて請求項1とは異なる場所での制御でリサイクル流量を適正な範囲に制御することができ、固体酸化物形燃料電池システムを幅広い発電出力条件および長期的にも安定して運転することができる。
【0048】
また、本発明の請求項3の固体酸化物形燃料電池システムによれば、リン酸形燃料電池(9)、もしくは固体高分子形電池(10)での発電も合わせておこなう高発電効率な燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0049】
また、本発明の請求項4の固体酸化物形燃料電池システムによれば、ガスエンジンでの発電も合わせておこなう高発電効率な燃料電池システムを安定して作動させることが容易になる。
【0050】
更に、本発明の請求項3の固体酸化物形燃料電池システムによれば、リン酸形燃料電池(9)、もしくは固体高分子形電池(10)、もしくはガスエンジンでの発電も合わせておこなう固体酸化物形燃料電池システムの発電効率と経済性との関係が両立する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う固体酸化物形燃料電池システムの実施形態を簡略的に示すシステムブロック図である。
【図2】本発明に従う固体酸化物形燃料電池の分岐管部分の構成を簡略的に示す図である。
【符号の説明】
22 固体酸化物形燃料電池
62 固体高分子形燃料電池
28 燃料エゼクタ
40,50 空気ブロア
80 分岐管
81 流量制御弁、または送風機
82 燃料圧縮機
Claims (5)
- 炭化水素を含む原燃料ガスを、固体酸化物形燃料電池で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスの一部をリサイクルしたガスと混合し、固体酸化物形燃料電池もしくは固体酸化物形燃料電池と固体酸化物形燃料電池の前段に設置した改質反応器の両方において固体酸化物形燃料電池での燃料電池発電反応に伴う熱を用いて炭化水素の改質反応を行いつつ、固体酸化物形燃料電池で燃料電池発電を行う構成を有する燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流の経路に入口が一つで出口が二つある分岐管を備え、さらにリサイクルせず下流に流す経路に流量制御弁もしくは送風機もしくは圧縮機を備えており、
分岐管入口に固体酸化物形燃料電池で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスを流入させ、出口の一方を前記リサイクルするガス経路へ接続し、もう一方の出口をリサイクルせず下流に流す経路に接続し、分岐管の2つの出口および出口近傍、および分岐管入口から分岐管内でガスが分岐する位置までの間の3点の圧力もしくは3点間の差圧を計測した値を用いて前記流量制御弁もしくは送風機もしくは圧縮機の動力を変化させることで、前記リサイクルするガスの流量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。 - 炭化水素を含む原燃料ガスを、固体酸化物形燃料電池で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスの一部をリサイクルしたガスと混合し、固体酸化物形燃料電池もしくは固体酸化物形燃料電池と固体酸化物形燃料電池の前段に設置した改質反応器の両方において固体酸化物形燃料電池での燃料電池発電反応に伴う熱を用いて炭化水素の改質反応を行いつつ、固体酸化物形燃料電池で燃料電池発電を行う構成を有する燃料電池システムにおいて、
固体酸化物形燃料電池の燃料極側下流の経路に入口が一つで出口が二つある分岐管を備え、さらに前記リサイクルするガスの経路に流量制御弁もしくは送風機もしくは圧縮機を備えており、
分岐管入口に固体酸化物形燃料電池で燃料電池反応を行った後の反応燃料ガスを流入させ、出口の一方を前記リサイクルするガス経路へ接続し、もう一方の出口をリサイクルせず下流に流す経路に接続し、分岐管の2つの出口および出口近傍、および分岐管入口から分岐管内でガスが分岐する位置までの間の3点の圧力もしくは3点間の差圧を計測した値を用いて前記流量制御弁もしくは送風機もしくは圧縮機の動力を変化させることで、前記リサイクルするガスの流量を制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池システム。 - 前記燃料電池システムにおいて、リサイクルせず下流にながすガスの経路に一酸化炭素変成器もしくは一酸化炭素変成器および一酸化炭素酸化反応器を設置し、そのさらに下流にリン酸形燃料電池、もしくは固体高分子形電池を設置することを特徴とする請求項1、2記載の固体酸化物形燃料電池システム。
- 前記燃料電池システムにおいて、リサイクルせず下流にながすガスをガスエンジンに供給することを特徴とする請求項1、2記載の固体酸化物形燃料電池システム。
- 前記固体酸化物形燃料電池での燃料利用率が65〜80%であることを特徴とする請求項3,4記載の固体酸化物形燃料電池システム。
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