JP2004150743A - 膨張弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】膨張弁の樹脂製ボディのウェルド強度を高める。
【解決手段】冷凍サイクルにおいて蒸発器から低圧通路4を流れる冷媒の温度を感知する感温部と、感温部での感知結果に応じて高圧通路5における弁開度を調節し高圧冷媒を断熱膨張させて蒸発器へ流す冷媒の量を制御する弁体2が樹脂製のボディ3に内蔵されている弁部と、を有する膨張弁1のボディ3を、PPA樹脂を用いて形成する。TD,MD方向の応力に高い強度を示すなどの機械的性質に優れたPPA樹脂を用いることにより、ボディ3のウェルド強度が高められる。さらに、PPA樹脂は、腐食性ガスの発生量が少ないため、ウェルド部分でのボイドやバリの発生が抑制される。また、PPA樹脂を用いることにより、フロンや冷凍機油の存在下でも高い強度のボディ3を形成でき、膨張弁1の信頼性が向上する。
【選択図】 図1
【解決手段】冷凍サイクルにおいて蒸発器から低圧通路4を流れる冷媒の温度を感知する感温部と、感温部での感知結果に応じて高圧通路5における弁開度を調節し高圧冷媒を断熱膨張させて蒸発器へ流す冷媒の量を制御する弁体2が樹脂製のボディ3に内蔵されている弁部と、を有する膨張弁1のボディ3を、PPA樹脂を用いて形成する。TD,MD方向の応力に高い強度を示すなどの機械的性質に優れたPPA樹脂を用いることにより、ボディ3のウェルド強度が高められる。さらに、PPA樹脂は、腐食性ガスの発生量が少ないため、ウェルド部分でのボイドやバリの発生が抑制される。また、PPA樹脂を用いることにより、フロンや冷凍機油の存在下でも高い強度のボディ3を形成でき、膨張弁1の信頼性が向上する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は膨張弁に関し、特に自動車の空調システムなどの冷凍サイクルに利用され、そのボディが樹脂を用いて形成されている膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の空調システムなどの冷凍サイクルには、冷媒を断熱膨張させるための膨張弁が組み込まれている。例えば、自動車空調システムにおける冷房用の冷凍サイクルの場合、膨張弁は、圧縮器で圧縮されたガス冷媒が凝縮器での外気との熱交換によって凝縮された液冷媒を、断熱膨張して低温低圧の冷媒とする。膨張弁で断熱膨張された冷媒は、その後蒸発器に供給されて車室内の空気と熱交換されるとともに、蒸発器で蒸発したガス冷媒は、圧縮器に戻される。
【0003】
従来、このような膨張弁のボディには、耐冷媒/冷凍機油性、耐破壊圧強度、耐クリープ性、耐熱性が良く、また、アルミニウムなどの金属材料に比べて軽量で加工コストも安くなるなどの点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このPPS樹脂には、その耐圧を向上させるため、多くの場合その組成に針状のガラス繊維を含んでいる。このようなガラス繊維を含んだPPS樹脂が金型を用いて射出成形され、膨張弁のボディが形成される。しかし、樹脂成形時には、PPS樹脂から金型を腐食する性質を有するガス(以下「腐食性ガス」という)が発生する。この腐食性ガスは、金型内を異方向から流れてくる溶融したPPS樹脂どうしがぶつかって接合するウェルド部分に溜まってしまうと、そこにボイドが発生してボディ強度の低下を招くようになる。そのため、通常は、金型のウェルド部分となる位置にあらかじめガスベント孔を形成しておき、そこから樹脂成形時に発生する腐食性ガスが抜けるようにし、それによりボイドの発生を抑制して膨張弁のボディ強度を保つようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−89154号公報(段落番号[0027],[0046]、図1,図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PPS樹脂を用いた膨張弁のボディの形成には、以下に示すような問題点がある。
【0007】
まず、耐圧向上を目的として添加されるガラス繊維は、樹脂成形時のゲートの位置や形状、金型内でのPPS樹脂の流れ方によってその長軸方向の並びがほぼ決まるようになる。通常は、PPS樹脂の流れ方向にガラス繊維の長軸が大体並ぶようになる。PPS樹脂の流れ方向をMD、それに対して直角方向をTDとしたとき、樹脂成型体は、MD方向の引張りに対する強度がTD方向の引張りに対する強度に比べて強くなる。ウェルド部分では、互いにMD方向にガラス繊維が並んだ状態で流れてくるPPS樹脂がぶつかることで、このMD方向に対するTD方向にガラス繊維が並ぶような流れが生じるようになる。
【0008】
膨張弁のボディを形成する場合には、内圧に対する応力が発生する方向がMD方向となるようにPPS樹脂の流れを考慮した金型の設計が行われ、PPS樹脂の射出成形が行われる。しかし、樹脂成形時にできるウェルド部分は、PPS樹脂の流れが変わることにより、内圧に対して応力が発生する方向がウェルド部分におけるTD方向となってしまう。そのため、ウェルド部分の強度は弱まり、ウェルド部分ではガラス繊維を添加することによる引張り強度の向上を十分に活かすことができていない。ウェルド部分の強度(以下「ウェルド強度」という)は、PPS樹脂のベースポリマーであるPPSが純粋に有している強度そのものに大きく依存してくる。
【0009】
また、PPS樹脂から発生する腐食性ガスの影響を回避するために金型に形成するガスベント孔は、そのサイズを大きくすればウェルド部分における腐食性ガスの抜けが良くなり、その結果、ウェルド部分でのボイドの発生をより抑えることができるようになるとともに、金型の腐食を抑えてその寿命をのばすこともできるようになる。しかし、PPS樹脂は溶融時の流動性が比較的良く、ガスベント孔を大きくしすぎるとPPS樹脂がガスベント孔に入り込んでバリが発生し易くなる。そのため、ウェルド部分が膨張弁のシール部分とならないような金型設計をする必要が生じる。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、そのボディが樹脂を用いて形成されており、樹脂成形時のボイドやバリの発生が抑えられたウェルド強度の高いボディを有する膨張弁を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、冷凍システム内を循環する冷媒の温度を感知する感温部と、前記感温部にて感知された温度の変化に応じて弁開度を調節し高圧冷媒を断熱膨張させる量を制御する弁体がボディに内蔵された弁部と、を有する膨張弁において、前記ボディがポリフタルアミド(PPA)樹脂を用いて形成されていることを特徴とする膨張弁が提供される。
【0012】
このような膨張弁によれば、TD,MD方向にかかる応力に高い強度を示すなど主に機械的性質に優れたPPA樹脂をそのボディに用いることにより、ボディのウェルド強度を向上させることが可能になる。さらに、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて腐食性ガスの発生量が少なく、また、一般に樹脂成形時の流動性がPPS樹脂に比べて低いため、ボイドやバリの発生が抑えられ、ボディのウェルド強度を高めることができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動車空調システムの冷凍サイクルに組み込まれる膨張弁を例に、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は膨張弁の縦断側面図の一例である。図1に示す膨張弁1は、冷凍サイクル内を循環する冷媒の温度を感知する感温部と、その温度の変化に応じて弁開度が決定されるようにした弁体2が樹脂製のボディ3に内蔵されている弁部と、を有している。この膨張弁1のボディ3には、蒸発器からの冷媒を通す低圧通路4と、液冷媒を断熱膨張させて蒸発器へ流す高圧通路5とが設けられている。
【0015】
この膨張弁1において、感温部のアッパーハウジング6とロアハウジング7の間にはダイアフラム8が設けられており、このダイアフラム8とアッパーハウジング6からなる空間内には、例えば冷凍サイクル内を循環する冷媒などのガスが充填され、鋼球6aのスポット溶接などにより密閉されている。ダイアフラム8の下面にはディスク9が配置されており、このディスク9がロアハウジング7に当接することによってダイアフラム8のストロークが規制されるようになっている。ディスク9の下方には、ロアハウジング7に嵌挿されたガイド10内にあって、ダイアフラム8の変位を弁体2へ伝えるシャフト11が配置されている。ガイド10には、均圧穴12があけられており、ダイアフラム8の下側の空間を低圧通路4に開放している。弁体2は、ホルダ13を介してスプリング14により弁座15に着座して閉弁となる方向に付勢されている。アジャストスクリュー16は、そのスプリング14の付勢力を調節することができるよう配置されている。ボディ3は、感温部のアッパーハウジング6およびロアハウジング7の端部と金具17で挟まれ固定されている。また、膨張弁1内には、低圧通路4と高圧通路5の間あるいは膨張弁1と外部との間での冷媒漏れを防止する目的でシール部材が設けられている。
【0016】
このような構成の膨張弁1が組み込まれた冷凍サイクルにおいては、圧縮器で圧縮された高温高圧のガス冷媒が、凝縮器で外気との熱交換により凝縮され、その凝縮された液冷媒が膨張弁1に入る。膨張弁1に入った液冷媒は、高圧通路5を通って弁体2の方へと導入され、弁体2と弁座15の間にできている隙間をシャフト11の側へ通過する際に断熱膨張され、低温低圧の冷媒となる。この冷媒は、蒸発器に供給されて車室内の空気と熱交換され、これにより蒸発したガス冷媒が、低圧通路4を通って再び圧縮器へと戻される。その際、低圧通路4を通過するガス冷媒の一部は、均圧穴12を通ってダイアフラム8の下側の空間にも導入される。
【0017】
ここで、ダイアフラム8下側の空間に導入されたガス冷媒と、外気に曝されているアッパーハウジング6とダイアフラム8の空間内の充填ガスとの間に温度差がある場合、その温度差に応じてその充填ガスの圧力は変化する。この圧力変化は、ダイアフラム8、ディスク9およびシャフト11を介して弁体2に伝達される。例えば、低圧通路4を流れるガス冷媒の温度が充填ガスの温度よりも低い場合には、充填ガスの温度が低下して圧力が低下し、ダイアフラム8が上方に変位する。その結果、弁体2はスプリング14によって閉弁する方向に付勢され、高圧通路5を通過する冷媒の量が減少、あるいは弁体2が弁座15に着座して冷媒の流れが遮断される。また、低圧通路4を流れるガス冷媒の温度が充填ガスの温度よりも高い場合には、充填ガスの温度が上昇して圧力が上昇し、ダイアフラム8が下方に変位する。その結果、弁体2はスプリング14の付勢力に抗して開弁する方向に変位し、高圧通路5を通過する冷媒の量が増加するようになる。このように、膨張弁1では、感温部による温度の感知結果に応じて弁体2が作動し、高圧通路5を流れる冷媒量が調節されるようになっている。
【0018】
このような膨張弁1において、そのボディ3は、PPA樹脂の射出成形による樹脂成形で構成されている。ここでは、ボディ3は、PPAをベースポリマーとし更に樹脂成形体の耐圧向上を目的としてガラス繊維を含有させたPPA樹脂を用いて形成されている。なお、このようなPPA樹脂として、ここではソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製AMODEL(登録商標)の各グレードから選択されるPPA樹脂を用いている。
【0019】
PPA樹脂と従来のPPS樹脂との物性を比較した場合、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて、引張り強度(試験方法:ASTM−D638,以下同じ)、引張り伸び率(試験方法:ASTM−D638,以下同じ)、曲げ強度(試験方法:ASTM−D790,以下同じ)、曲げ弾性率(試験方法:ASTM−D790,以下同じ)およびノッチ付きアイゾット衝撃強度(試験方法:ASTM−D256,以下同じ)について一般に高い値を示し、膨張弁のボディの材料として良好な機械的性質を有している。さらに、PPA樹脂の熱変形温度(18.6kg/cm2)(試験方法:ASTM−D648)も、従来のPPS樹脂の熱変形温度に比べて一般に高くなる。
【0020】
さらに、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べ、樹脂成形時に発生する腐食性ガスの量が少ないという性質を有している。そのため、ボディをPPA樹脂で形成することにより、金型を用いて樹脂成形する際にできるウェルド部分にボイドが発生するのを抑制することができるとともに、金型の腐食を抑制することが可能になる。また、一般に、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べると樹脂成形時の流動性が低く、そのため、PPA樹脂が金型のガスベント孔に入り込みにくく、バリの発生を抑制することが可能になる。
【0021】
また、PPA樹脂は、その分子構造上分子鎖間に水が入り込むことでその強度が低下することがあるが、乾燥により強度を回復するという性質も有している。表1にPPA樹脂とPPS樹脂の主な特性を比較した結果を例示する。この表1には、PPA樹脂としてAMODEL(登録商標)のAS−1933HS(ガラス繊維含有量33%)を用い、また、PPS樹脂としてガラス繊維含有量40%のものを用いて、それぞれの樹脂についての耐疲労特性、耐候性およびウェルド強度を比較した結果を示している。ただし、表1に示したウェルド強度は、既に報告されている値を一例として載せたものである。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示した耐疲労特性は、PPA,PPS樹脂について温度25℃で湿度50%の環境下で1000万回の曲げ試験を行った後に測定したそれぞれの曲げ強度によって評価している。表1には、曲げ試験前の曲げ強度も併せて示している。試験前の曲げ強度は、PPA樹脂が約309MPa、PPS樹脂が約76MPaであり、PPA樹脂がPPS樹脂を大きく上回っている。曲げ試験後には、PPA樹脂の曲げ強度は約47MPaに低下し、一方、PPS樹脂の曲げ強度は約36MPaに低下する。このように、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて曲げ強度の低下率は大きいものの、試験後であっても依然PPS樹脂の曲げ強度を上回るという特性を有している。
【0024】
表1に示した耐候性は、PPA,PPS樹脂の耐候性試験前の引張り強度をそれぞれ100%とし、双方を同一環境下で6000時間放置した後に測定した引張り強度の保持率によって評価している。耐候性はPPA樹脂の保持率が95%であるのに対してPPS樹脂の保持率が91%であり、PPA樹脂は良好な耐候性を有している。
【0025】
表1に示したウェルド強度は、PPA,PPS樹脂に含まれるガラス繊維のTD,MD方向それぞれの引張り強度を測定した結果である。PPA樹脂の場合には、TD方向の引張り強度が125MPaで、MD方向の引張り強度が187MPaである。一方、PPS樹脂の場合には、TD方向の引張り強度が77MPaで、MD方向の引張り強度が156MPaである。これより、PPA樹脂は、TD,MD方向のいずれの引張りに対しても高い強度を有しており、特にTD方向の引張り強度がPPS樹脂の値を上回っていることから、ボディに用いた場合に従来に比べてより高いウェルド強度を実現することが可能になる。
【0026】
ところで、自動車空調システムの冷凍サイクルに組み込まれる膨張弁の場合、その冷媒には例えばHFC134aなどのフロンが用いられる。このような冷凍サイクルにおいて、膨張弁は、フロン存在下、あるいはフロンと圧縮器などに使用される冷凍機油とが共存した環境下において使用されることになる。さらに、自動車のエンジンルーム内で使用されることのあるフルードやオイルなど各種油性物質が付着するような環境下に膨張弁が配置される場合も想定される。そのため、膨張弁のボディを樹脂製とする場合には、そのボディが、フロン、フロン/冷凍機油、油性物質などの薬品に耐性を有することが要求される。
【0027】
まず、PPA樹脂の耐フロン性を検討した結果について述べる。表2にPPA樹脂についての耐フロン性試験の結果を例示する。この耐フロン性試験には、PPA樹脂としてAMODEL(登録商標)のA−1133HS(ガラス繊維含有量33%)を用いている。表2には、PPA樹脂を温度120℃のHFC134aに浸漬し、浸漬0時間(浸漬前),168時間,720時間におけるPPA樹脂の引張り強度(MPa)、引張り伸び率(%)、曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(MPa)の測定結果を示している。
【0028】
【表2】
【0029】
PPA樹脂の引張り強度は、浸漬0時間の204MPaから浸漬時間の増加に伴い低下する傾向が見られ、浸漬168時間,720時間での引張り強度はそれぞれ198MPa,197MPaとなる。引張り伸び率は浸漬0時間,168時間,720時間でそれぞれ2.2%,1.7%,1.7%であり、また、曲げ強度はそれぞれ304MPa,280MPa,282MPa、曲げ弾性率はそれぞれ12300MPa,12500MPa,12400MPaである。
【0030】
表2の結果より、PPA樹脂は、HFC134aに浸漬されることによってある程度の浸漬時間までは引張り強度、引張り伸び率および曲げ強度の低下を引き起こすが、浸漬時間が168時間を越える頃には既にそれぞれほぼ一定の値を保持するようになる。また、曲げ弾性率については、浸漬時間に依らずほぼ一定の値を示す。ここで、引張り強度、引張り伸び率、曲げ強度および曲げ弾性率の各物性について長時間の浸漬後に得られるこれらの値はいずれも、膨張弁のボディの材質を従来のPPS樹脂からPPA樹脂に置き換えても支障のない値であり、PPA樹脂はHFC134aに対して良好な耐性を有している。
【0031】
次に、PPA,PPS樹脂の耐フロン/冷凍機油性を検討した結果について述べる。表3にPPA,PPS樹脂についての耐フロン/冷凍機油試験の結果を例示する。この耐フロン/冷凍機油試験には、PPA樹脂としてAMODEL(登録商標)のAS−1133HS(ガラス繊維含有量33%)を用い、PPS樹脂にはガラス繊維含有量40%のものを用いている。また、フロンには株式会社ICI製KLEA66(HFC134a/32/125=51.5/23.1/25.4)を600cc使用し、冷凍機油にはJIS規格(K2213タービン油2種)ISO VG56を600cc使用している。表3には、PPA,PPS樹脂を、温度175℃のフロン/冷凍機油内に、168時間、圧力60kgf/cm2で浸漬した後、温度25℃で湿度50%の環境下に7日間放置してから引張り強度(MPa)、引張り伸び率(%)、曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)およびノッチ付きアイゾット衝撃強度(J/m)を測定した結果を示している。
【0032】
【表3】
【0033】
浸漬前と168時間浸漬後のPPA樹脂を比較すると、その引張り強度は224MPaから218MPaに低下し(保持率97%)、引張り伸び率は2.6%から1.9%に低下する(保持率72%)。曲げ強度は262MPaから265MPaとなり(保持率101%)、曲げ弾性率は11300MPaから11400MPaとなる(保持率101%)。ノッチ付きアイゾット衝撃強度は115J/mから98J/mに低下する(保持率86%)。
【0034】
一方、浸漬前と168時間浸漬後のPPS樹脂を比較すると、引張り強度は161MPaから150MPaに低下し(保持率93%)、引張り伸び率は0.9%から0.8%に低下する(保持率89%)。曲げ強度は223MPaから200MPaに低下し(保持率90%)、曲げ弾性率は14000MPaで変化しない(保持率100%)。ノッチ付きアイゾット衝撃強度は78J/mから69J/mに低下する(保持率89%)。
【0035】
表3の結果より、PPA樹脂は、ここで使用した組み合わせのフロン/冷凍機油に浸漬されることによって、曲げ強度および曲げ弾性率を除く、引張り強度、引張り伸び率およびノッチ付きアイゾット衝撃強度の低下を引き起こす。同様に、PPS樹脂は、このフロン/冷凍機油に浸漬されることによって、曲げ弾性率を除く、引張り強度、引張り伸び率、曲げ強度およびノッチ付きアイゾット衝撃強度の低下を引き起こす。しかし、PPA樹脂は、168時間の浸漬後においても、曲げ弾性率を除き、依然PPS樹脂よりも高い値を示し、また、浸漬後にクラックの発生などは見られず、PPA樹脂はこのフロン/冷凍機油について良好な耐性を有する。
【0036】
次に、PPA,PPS樹脂の油性物質に対する耐性について述べる。ここでは油性物質に、ブレーキ・フルード(BF)、エンジンオイル、オートマチック・トランスミッション・フルード(ATF)および無鉛ガソリンを用いている。PPA樹脂としては、BF、エンジンオイルおよびATFの耐性試験には、AMODEL(登録商標)のAS−1145HS(ガラス繊維含有量45%)を用い、無鉛ガソリンの耐性試験にはAS−1133HS(ガラス繊維含有量33%)を用いている。また、PPS樹脂にはガラス繊維含有量40%のものを用いている。
【0037】
図2は耐BF試験の結果を示す図、図3は耐エンジンオイル試験の結果を示す図、図4は耐ATF試験の結果を示す図、図5は耐無鉛ガソリン試験の結果を示す図である。これらの図2から図5では、横軸は浸漬時間(時間)、縦軸は引張り強度(MPa)を表しており、また、PPA樹脂についての測定結果を実線で、PPS樹脂についての測定結果を点線で、それぞれ示している。
【0038】
図2には、PPA,PPS樹脂を温度150℃のBFに大気圧下で浸漬し、浸漬後にそれぞれについて引張り強度を測定した結果を示している。図2より、PPA樹脂ではその引張り強度が浸漬前の約256MPaから浸漬2400時間で約221MPaへ約14%低下しているのに対し、PPS樹脂ではその引張り強度が浸漬前の約219MPaから浸漬2400時間で約201MPaへ約8%低下している。このように、引張り強度の保持率ではPPS樹脂の方がPPA樹脂よりも高くなる。しかし、PPA樹脂の引張り強度は、浸漬0時間から2400時間までの全測定範囲にわたってPPS樹脂の引張り強度を上回る。
【0039】
図3には、PPA,PPS樹脂を温度150℃のエンジンオイルに大気圧下で浸漬した後の引張り強度の測定結果を示している。図3より、エンジンオイルについても図2に示したBFの場合と同様に、PPA樹脂の引張り強度が浸漬0時間から1500時間までの全測定範囲でPPS樹脂の引張り強度を上回る。
【0040】
図4は、PPA,PPS樹脂を温度150℃のATFに大気圧下で浸漬した後の引張り強度の測定結果を示しており、図5は、PPA,PPS樹脂を温度60℃の無鉛ガソリンに大気圧下で浸漬した後の引張り強度の測定結果を示している。図4および図5に示したように、ATF、無鉛ガソリンの場合についても、上記のBF、エンジンオイルの場合と同様、PPA樹脂の引張り強度は、浸漬0時間からの全測定範囲でPPS樹脂の引張り強度を上回る。
【0041】
このように、PPA樹脂は、BF、エンジンオイル、ATFおよび無鉛ガソリンといった油性物質に対しても、膨張弁のボディに適用し得る十分な耐性を有している。
【0042】
なお、上記の説明においてはフロンとしてHFC134aを用い、フロン/冷凍機油としてKLEA66とVG56を組み合わせたものを用いたが、PPA樹脂はその他のフロンやフロン/冷凍機油にも膨張弁のボディとして使用可能な耐性を示す。また、PPA樹脂は、上記のBFなどの油性物質のほか、温度150℃のギアオイルに大気圧下で1000時間浸漬した場合、温度50℃のパワーステアリング用オイルに大気圧下で1000時間浸漬した場合、温度108℃のロング・ライフ・クーラント(LLC)に大気圧下で1008時間浸漬した場合、および温度60℃の軽油に大気圧下で1000時間浸漬した場合においても、それぞれ耐性を示す。
【0043】
さらに、PPA樹脂は、塩化亜鉛や食塩水などの薬品についても、例えば温度80℃の塩化亜鉛に1000時間浸漬した場合や温度22℃の食塩水に大気圧下で1000時間浸漬した場合などの条件下で、それぞれ耐性を示す。そのほか、PPA樹脂は、濃度35%で温度80℃の塩化カルシウムに200時間浸漬した場合にはクラックの発生は認められていない。
【0044】
また、上記のフロン、フロン/冷凍機油、油性物質などの耐性試験においては、PPA,PPS樹脂について、試験前後の寸法あるいは重量に関して大きな変化は認められていない。
【0045】
以上説明したように、PPA樹脂を膨張弁のボディに用いることにより、PPS樹脂に比べてPPA樹脂自体の機械的強度が高いため、ボディのウェルド強度が高い膨張弁が得られる。
【0046】
さらに、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて樹脂成形時の腐食性ガスの発生量が少なく、ウェルド部分でのボイドの発生が抑えられるので、ボディのウェルド強度が高い膨張弁を歩留り良く安定して製造することが可能となる。さらに、樹脂成形時におけるPPA樹脂の腐食性ガスの発生量が少なくまた流動性が比較的低いことで、金型に大きなガスベント孔を形成する必要がなく、樹脂成形時のバリの発生を抑えることができる。さらに、金型の腐食を抑制してその寿命をのばすことができるとともに、金型のメンテナンスも容易になるため、膨張弁製造の効率化を図ることが可能になる。
【0047】
また、PPA樹脂はフロン、フロン/冷凍機油、油性物質に耐性を有しているので、ボディにPPA樹脂を用いることにより、膨張弁の使用環境下においてもボディ強度、特にボディのウェルド強度が高い膨張弁を実現可能であり、これにより、膨張弁の信頼性が向上するようになる。
【0048】
また、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて安価で入手可能であり、さらに、従来の製造装置を用いて製造条件を大きく変更することなく樹脂成形が可能なため、上記の歩留り向上とともに、膨張弁の製造コスト低減を図れる。
【0049】
なお、以上の説明において、ガラス繊維の含有量は上記の例に限定されるものではない。ガラス繊維の含有量が上記の例と異なる場合であっても、PPA樹脂は良好な機械的・電気的性質を有し、また、フロン、フロン/冷凍機油、油性物質性などについても良好な耐性を有する。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、感温部と弁体がボディに内蔵されている弁部とを有している膨張弁のボディを、PPA樹脂を用いて形成する。これにより、ボディのウェルド強度を高めることができる。
【0051】
さらに、PPA樹脂は、腐食性ガスの発生量が少なく、ウェルド部分でのボイドやバリの発生が抑えられるので、ボディのウェルド強度が高い膨張弁を歩留り良く安定して製造することができる。さらに、金型の寿命がのび、そのメンテナンスも容易になるので、効率的な膨張弁の製造が可能になる。
【0052】
PPA樹脂を用いてボディを形成することにより、フロンや冷凍機油が存在するような膨張弁の使用環境下においてもボディ強度が高く信頼性の高い膨張弁を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膨張弁の縦断側面図の一例である。
【図2】耐BF試験の結果を示す図である。
【図3】耐エンジンオイル試験の結果を示す図である。
【図4】耐ATF試験の結果を示す図である。
【図5】耐無鉛ガソリン試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 膨張弁
2 弁体
3 ボディ
4 低圧通路
5 高圧通路
6 アッパーハウジング
6a 鋼球
7 ロアハウジング
8 ダイアフラム
9 ディスク
10 ガイド
11 シャフト
12 均圧穴
13 ホルダ
14 スプリング
15 弁座
16 アジャストスクリュー
17 金具
【発明の属する技術分野】
本発明は膨張弁に関し、特に自動車の空調システムなどの冷凍サイクルに利用され、そのボディが樹脂を用いて形成されている膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の空調システムなどの冷凍サイクルには、冷媒を断熱膨張させるための膨張弁が組み込まれている。例えば、自動車空調システムにおける冷房用の冷凍サイクルの場合、膨張弁は、圧縮器で圧縮されたガス冷媒が凝縮器での外気との熱交換によって凝縮された液冷媒を、断熱膨張して低温低圧の冷媒とする。膨張弁で断熱膨張された冷媒は、その後蒸発器に供給されて車室内の空気と熱交換されるとともに、蒸発器で蒸発したガス冷媒は、圧縮器に戻される。
【0003】
従来、このような膨張弁のボディには、耐冷媒/冷凍機油性、耐破壊圧強度、耐クリープ性、耐熱性が良く、また、アルミニウムなどの金属材料に比べて軽量で加工コストも安くなるなどの点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このPPS樹脂には、その耐圧を向上させるため、多くの場合その組成に針状のガラス繊維を含んでいる。このようなガラス繊維を含んだPPS樹脂が金型を用いて射出成形され、膨張弁のボディが形成される。しかし、樹脂成形時には、PPS樹脂から金型を腐食する性質を有するガス(以下「腐食性ガス」という)が発生する。この腐食性ガスは、金型内を異方向から流れてくる溶融したPPS樹脂どうしがぶつかって接合するウェルド部分に溜まってしまうと、そこにボイドが発生してボディ強度の低下を招くようになる。そのため、通常は、金型のウェルド部分となる位置にあらかじめガスベント孔を形成しておき、そこから樹脂成形時に発生する腐食性ガスが抜けるようにし、それによりボイドの発生を抑制して膨張弁のボディ強度を保つようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−89154号公報(段落番号[0027],[0046]、図1,図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、PPS樹脂を用いた膨張弁のボディの形成には、以下に示すような問題点がある。
【0007】
まず、耐圧向上を目的として添加されるガラス繊維は、樹脂成形時のゲートの位置や形状、金型内でのPPS樹脂の流れ方によってその長軸方向の並びがほぼ決まるようになる。通常は、PPS樹脂の流れ方向にガラス繊維の長軸が大体並ぶようになる。PPS樹脂の流れ方向をMD、それに対して直角方向をTDとしたとき、樹脂成型体は、MD方向の引張りに対する強度がTD方向の引張りに対する強度に比べて強くなる。ウェルド部分では、互いにMD方向にガラス繊維が並んだ状態で流れてくるPPS樹脂がぶつかることで、このMD方向に対するTD方向にガラス繊維が並ぶような流れが生じるようになる。
【0008】
膨張弁のボディを形成する場合には、内圧に対する応力が発生する方向がMD方向となるようにPPS樹脂の流れを考慮した金型の設計が行われ、PPS樹脂の射出成形が行われる。しかし、樹脂成形時にできるウェルド部分は、PPS樹脂の流れが変わることにより、内圧に対して応力が発生する方向がウェルド部分におけるTD方向となってしまう。そのため、ウェルド部分の強度は弱まり、ウェルド部分ではガラス繊維を添加することによる引張り強度の向上を十分に活かすことができていない。ウェルド部分の強度(以下「ウェルド強度」という)は、PPS樹脂のベースポリマーであるPPSが純粋に有している強度そのものに大きく依存してくる。
【0009】
また、PPS樹脂から発生する腐食性ガスの影響を回避するために金型に形成するガスベント孔は、そのサイズを大きくすればウェルド部分における腐食性ガスの抜けが良くなり、その結果、ウェルド部分でのボイドの発生をより抑えることができるようになるとともに、金型の腐食を抑えてその寿命をのばすこともできるようになる。しかし、PPS樹脂は溶融時の流動性が比較的良く、ガスベント孔を大きくしすぎるとPPS樹脂がガスベント孔に入り込んでバリが発生し易くなる。そのため、ウェルド部分が膨張弁のシール部分とならないような金型設計をする必要が生じる。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、そのボディが樹脂を用いて形成されており、樹脂成形時のボイドやバリの発生が抑えられたウェルド強度の高いボディを有する膨張弁を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、冷凍システム内を循環する冷媒の温度を感知する感温部と、前記感温部にて感知された温度の変化に応じて弁開度を調節し高圧冷媒を断熱膨張させる量を制御する弁体がボディに内蔵された弁部と、を有する膨張弁において、前記ボディがポリフタルアミド(PPA)樹脂を用いて形成されていることを特徴とする膨張弁が提供される。
【0012】
このような膨張弁によれば、TD,MD方向にかかる応力に高い強度を示すなど主に機械的性質に優れたPPA樹脂をそのボディに用いることにより、ボディのウェルド強度を向上させることが可能になる。さらに、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて腐食性ガスの発生量が少なく、また、一般に樹脂成形時の流動性がPPS樹脂に比べて低いため、ボイドやバリの発生が抑えられ、ボディのウェルド強度を高めることができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、自動車空調システムの冷凍サイクルに組み込まれる膨張弁を例に、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は膨張弁の縦断側面図の一例である。図1に示す膨張弁1は、冷凍サイクル内を循環する冷媒の温度を感知する感温部と、その温度の変化に応じて弁開度が決定されるようにした弁体2が樹脂製のボディ3に内蔵されている弁部と、を有している。この膨張弁1のボディ3には、蒸発器からの冷媒を通す低圧通路4と、液冷媒を断熱膨張させて蒸発器へ流す高圧通路5とが設けられている。
【0015】
この膨張弁1において、感温部のアッパーハウジング6とロアハウジング7の間にはダイアフラム8が設けられており、このダイアフラム8とアッパーハウジング6からなる空間内には、例えば冷凍サイクル内を循環する冷媒などのガスが充填され、鋼球6aのスポット溶接などにより密閉されている。ダイアフラム8の下面にはディスク9が配置されており、このディスク9がロアハウジング7に当接することによってダイアフラム8のストロークが規制されるようになっている。ディスク9の下方には、ロアハウジング7に嵌挿されたガイド10内にあって、ダイアフラム8の変位を弁体2へ伝えるシャフト11が配置されている。ガイド10には、均圧穴12があけられており、ダイアフラム8の下側の空間を低圧通路4に開放している。弁体2は、ホルダ13を介してスプリング14により弁座15に着座して閉弁となる方向に付勢されている。アジャストスクリュー16は、そのスプリング14の付勢力を調節することができるよう配置されている。ボディ3は、感温部のアッパーハウジング6およびロアハウジング7の端部と金具17で挟まれ固定されている。また、膨張弁1内には、低圧通路4と高圧通路5の間あるいは膨張弁1と外部との間での冷媒漏れを防止する目的でシール部材が設けられている。
【0016】
このような構成の膨張弁1が組み込まれた冷凍サイクルにおいては、圧縮器で圧縮された高温高圧のガス冷媒が、凝縮器で外気との熱交換により凝縮され、その凝縮された液冷媒が膨張弁1に入る。膨張弁1に入った液冷媒は、高圧通路5を通って弁体2の方へと導入され、弁体2と弁座15の間にできている隙間をシャフト11の側へ通過する際に断熱膨張され、低温低圧の冷媒となる。この冷媒は、蒸発器に供給されて車室内の空気と熱交換され、これにより蒸発したガス冷媒が、低圧通路4を通って再び圧縮器へと戻される。その際、低圧通路4を通過するガス冷媒の一部は、均圧穴12を通ってダイアフラム8の下側の空間にも導入される。
【0017】
ここで、ダイアフラム8下側の空間に導入されたガス冷媒と、外気に曝されているアッパーハウジング6とダイアフラム8の空間内の充填ガスとの間に温度差がある場合、その温度差に応じてその充填ガスの圧力は変化する。この圧力変化は、ダイアフラム8、ディスク9およびシャフト11を介して弁体2に伝達される。例えば、低圧通路4を流れるガス冷媒の温度が充填ガスの温度よりも低い場合には、充填ガスの温度が低下して圧力が低下し、ダイアフラム8が上方に変位する。その結果、弁体2はスプリング14によって閉弁する方向に付勢され、高圧通路5を通過する冷媒の量が減少、あるいは弁体2が弁座15に着座して冷媒の流れが遮断される。また、低圧通路4を流れるガス冷媒の温度が充填ガスの温度よりも高い場合には、充填ガスの温度が上昇して圧力が上昇し、ダイアフラム8が下方に変位する。その結果、弁体2はスプリング14の付勢力に抗して開弁する方向に変位し、高圧通路5を通過する冷媒の量が増加するようになる。このように、膨張弁1では、感温部による温度の感知結果に応じて弁体2が作動し、高圧通路5を流れる冷媒量が調節されるようになっている。
【0018】
このような膨張弁1において、そのボディ3は、PPA樹脂の射出成形による樹脂成形で構成されている。ここでは、ボディ3は、PPAをベースポリマーとし更に樹脂成形体の耐圧向上を目的としてガラス繊維を含有させたPPA樹脂を用いて形成されている。なお、このようなPPA樹脂として、ここではソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製AMODEL(登録商標)の各グレードから選択されるPPA樹脂を用いている。
【0019】
PPA樹脂と従来のPPS樹脂との物性を比較した場合、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて、引張り強度(試験方法:ASTM−D638,以下同じ)、引張り伸び率(試験方法:ASTM−D638,以下同じ)、曲げ強度(試験方法:ASTM−D790,以下同じ)、曲げ弾性率(試験方法:ASTM−D790,以下同じ)およびノッチ付きアイゾット衝撃強度(試験方法:ASTM−D256,以下同じ)について一般に高い値を示し、膨張弁のボディの材料として良好な機械的性質を有している。さらに、PPA樹脂の熱変形温度(18.6kg/cm2)(試験方法:ASTM−D648)も、従来のPPS樹脂の熱変形温度に比べて一般に高くなる。
【0020】
さらに、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べ、樹脂成形時に発生する腐食性ガスの量が少ないという性質を有している。そのため、ボディをPPA樹脂で形成することにより、金型を用いて樹脂成形する際にできるウェルド部分にボイドが発生するのを抑制することができるとともに、金型の腐食を抑制することが可能になる。また、一般に、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べると樹脂成形時の流動性が低く、そのため、PPA樹脂が金型のガスベント孔に入り込みにくく、バリの発生を抑制することが可能になる。
【0021】
また、PPA樹脂は、その分子構造上分子鎖間に水が入り込むことでその強度が低下することがあるが、乾燥により強度を回復するという性質も有している。表1にPPA樹脂とPPS樹脂の主な特性を比較した結果を例示する。この表1には、PPA樹脂としてAMODEL(登録商標)のAS−1933HS(ガラス繊維含有量33%)を用い、また、PPS樹脂としてガラス繊維含有量40%のものを用いて、それぞれの樹脂についての耐疲労特性、耐候性およびウェルド強度を比較した結果を示している。ただし、表1に示したウェルド強度は、既に報告されている値を一例として載せたものである。
【0022】
【表1】
【0023】
表1に示した耐疲労特性は、PPA,PPS樹脂について温度25℃で湿度50%の環境下で1000万回の曲げ試験を行った後に測定したそれぞれの曲げ強度によって評価している。表1には、曲げ試験前の曲げ強度も併せて示している。試験前の曲げ強度は、PPA樹脂が約309MPa、PPS樹脂が約76MPaであり、PPA樹脂がPPS樹脂を大きく上回っている。曲げ試験後には、PPA樹脂の曲げ強度は約47MPaに低下し、一方、PPS樹脂の曲げ強度は約36MPaに低下する。このように、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて曲げ強度の低下率は大きいものの、試験後であっても依然PPS樹脂の曲げ強度を上回るという特性を有している。
【0024】
表1に示した耐候性は、PPA,PPS樹脂の耐候性試験前の引張り強度をそれぞれ100%とし、双方を同一環境下で6000時間放置した後に測定した引張り強度の保持率によって評価している。耐候性はPPA樹脂の保持率が95%であるのに対してPPS樹脂の保持率が91%であり、PPA樹脂は良好な耐候性を有している。
【0025】
表1に示したウェルド強度は、PPA,PPS樹脂に含まれるガラス繊維のTD,MD方向それぞれの引張り強度を測定した結果である。PPA樹脂の場合には、TD方向の引張り強度が125MPaで、MD方向の引張り強度が187MPaである。一方、PPS樹脂の場合には、TD方向の引張り強度が77MPaで、MD方向の引張り強度が156MPaである。これより、PPA樹脂は、TD,MD方向のいずれの引張りに対しても高い強度を有しており、特にTD方向の引張り強度がPPS樹脂の値を上回っていることから、ボディに用いた場合に従来に比べてより高いウェルド強度を実現することが可能になる。
【0026】
ところで、自動車空調システムの冷凍サイクルに組み込まれる膨張弁の場合、その冷媒には例えばHFC134aなどのフロンが用いられる。このような冷凍サイクルにおいて、膨張弁は、フロン存在下、あるいはフロンと圧縮器などに使用される冷凍機油とが共存した環境下において使用されることになる。さらに、自動車のエンジンルーム内で使用されることのあるフルードやオイルなど各種油性物質が付着するような環境下に膨張弁が配置される場合も想定される。そのため、膨張弁のボディを樹脂製とする場合には、そのボディが、フロン、フロン/冷凍機油、油性物質などの薬品に耐性を有することが要求される。
【0027】
まず、PPA樹脂の耐フロン性を検討した結果について述べる。表2にPPA樹脂についての耐フロン性試験の結果を例示する。この耐フロン性試験には、PPA樹脂としてAMODEL(登録商標)のA−1133HS(ガラス繊維含有量33%)を用いている。表2には、PPA樹脂を温度120℃のHFC134aに浸漬し、浸漬0時間(浸漬前),168時間,720時間におけるPPA樹脂の引張り強度(MPa)、引張り伸び率(%)、曲げ強度(MPa)および曲げ弾性率(MPa)の測定結果を示している。
【0028】
【表2】
【0029】
PPA樹脂の引張り強度は、浸漬0時間の204MPaから浸漬時間の増加に伴い低下する傾向が見られ、浸漬168時間,720時間での引張り強度はそれぞれ198MPa,197MPaとなる。引張り伸び率は浸漬0時間,168時間,720時間でそれぞれ2.2%,1.7%,1.7%であり、また、曲げ強度はそれぞれ304MPa,280MPa,282MPa、曲げ弾性率はそれぞれ12300MPa,12500MPa,12400MPaである。
【0030】
表2の結果より、PPA樹脂は、HFC134aに浸漬されることによってある程度の浸漬時間までは引張り強度、引張り伸び率および曲げ強度の低下を引き起こすが、浸漬時間が168時間を越える頃には既にそれぞれほぼ一定の値を保持するようになる。また、曲げ弾性率については、浸漬時間に依らずほぼ一定の値を示す。ここで、引張り強度、引張り伸び率、曲げ強度および曲げ弾性率の各物性について長時間の浸漬後に得られるこれらの値はいずれも、膨張弁のボディの材質を従来のPPS樹脂からPPA樹脂に置き換えても支障のない値であり、PPA樹脂はHFC134aに対して良好な耐性を有している。
【0031】
次に、PPA,PPS樹脂の耐フロン/冷凍機油性を検討した結果について述べる。表3にPPA,PPS樹脂についての耐フロン/冷凍機油試験の結果を例示する。この耐フロン/冷凍機油試験には、PPA樹脂としてAMODEL(登録商標)のAS−1133HS(ガラス繊維含有量33%)を用い、PPS樹脂にはガラス繊維含有量40%のものを用いている。また、フロンには株式会社ICI製KLEA66(HFC134a/32/125=51.5/23.1/25.4)を600cc使用し、冷凍機油にはJIS規格(K2213タービン油2種)ISO VG56を600cc使用している。表3には、PPA,PPS樹脂を、温度175℃のフロン/冷凍機油内に、168時間、圧力60kgf/cm2で浸漬した後、温度25℃で湿度50%の環境下に7日間放置してから引張り強度(MPa)、引張り伸び率(%)、曲げ強度(MPa)、曲げ弾性率(MPa)およびノッチ付きアイゾット衝撃強度(J/m)を測定した結果を示している。
【0032】
【表3】
【0033】
浸漬前と168時間浸漬後のPPA樹脂を比較すると、その引張り強度は224MPaから218MPaに低下し(保持率97%)、引張り伸び率は2.6%から1.9%に低下する(保持率72%)。曲げ強度は262MPaから265MPaとなり(保持率101%)、曲げ弾性率は11300MPaから11400MPaとなる(保持率101%)。ノッチ付きアイゾット衝撃強度は115J/mから98J/mに低下する(保持率86%)。
【0034】
一方、浸漬前と168時間浸漬後のPPS樹脂を比較すると、引張り強度は161MPaから150MPaに低下し(保持率93%)、引張り伸び率は0.9%から0.8%に低下する(保持率89%)。曲げ強度は223MPaから200MPaに低下し(保持率90%)、曲げ弾性率は14000MPaで変化しない(保持率100%)。ノッチ付きアイゾット衝撃強度は78J/mから69J/mに低下する(保持率89%)。
【0035】
表3の結果より、PPA樹脂は、ここで使用した組み合わせのフロン/冷凍機油に浸漬されることによって、曲げ強度および曲げ弾性率を除く、引張り強度、引張り伸び率およびノッチ付きアイゾット衝撃強度の低下を引き起こす。同様に、PPS樹脂は、このフロン/冷凍機油に浸漬されることによって、曲げ弾性率を除く、引張り強度、引張り伸び率、曲げ強度およびノッチ付きアイゾット衝撃強度の低下を引き起こす。しかし、PPA樹脂は、168時間の浸漬後においても、曲げ弾性率を除き、依然PPS樹脂よりも高い値を示し、また、浸漬後にクラックの発生などは見られず、PPA樹脂はこのフロン/冷凍機油について良好な耐性を有する。
【0036】
次に、PPA,PPS樹脂の油性物質に対する耐性について述べる。ここでは油性物質に、ブレーキ・フルード(BF)、エンジンオイル、オートマチック・トランスミッション・フルード(ATF)および無鉛ガソリンを用いている。PPA樹脂としては、BF、エンジンオイルおよびATFの耐性試験には、AMODEL(登録商標)のAS−1145HS(ガラス繊維含有量45%)を用い、無鉛ガソリンの耐性試験にはAS−1133HS(ガラス繊維含有量33%)を用いている。また、PPS樹脂にはガラス繊維含有量40%のものを用いている。
【0037】
図2は耐BF試験の結果を示す図、図3は耐エンジンオイル試験の結果を示す図、図4は耐ATF試験の結果を示す図、図5は耐無鉛ガソリン試験の結果を示す図である。これらの図2から図5では、横軸は浸漬時間(時間)、縦軸は引張り強度(MPa)を表しており、また、PPA樹脂についての測定結果を実線で、PPS樹脂についての測定結果を点線で、それぞれ示している。
【0038】
図2には、PPA,PPS樹脂を温度150℃のBFに大気圧下で浸漬し、浸漬後にそれぞれについて引張り強度を測定した結果を示している。図2より、PPA樹脂ではその引張り強度が浸漬前の約256MPaから浸漬2400時間で約221MPaへ約14%低下しているのに対し、PPS樹脂ではその引張り強度が浸漬前の約219MPaから浸漬2400時間で約201MPaへ約8%低下している。このように、引張り強度の保持率ではPPS樹脂の方がPPA樹脂よりも高くなる。しかし、PPA樹脂の引張り強度は、浸漬0時間から2400時間までの全測定範囲にわたってPPS樹脂の引張り強度を上回る。
【0039】
図3には、PPA,PPS樹脂を温度150℃のエンジンオイルに大気圧下で浸漬した後の引張り強度の測定結果を示している。図3より、エンジンオイルについても図2に示したBFの場合と同様に、PPA樹脂の引張り強度が浸漬0時間から1500時間までの全測定範囲でPPS樹脂の引張り強度を上回る。
【0040】
図4は、PPA,PPS樹脂を温度150℃のATFに大気圧下で浸漬した後の引張り強度の測定結果を示しており、図5は、PPA,PPS樹脂を温度60℃の無鉛ガソリンに大気圧下で浸漬した後の引張り強度の測定結果を示している。図4および図5に示したように、ATF、無鉛ガソリンの場合についても、上記のBF、エンジンオイルの場合と同様、PPA樹脂の引張り強度は、浸漬0時間からの全測定範囲でPPS樹脂の引張り強度を上回る。
【0041】
このように、PPA樹脂は、BF、エンジンオイル、ATFおよび無鉛ガソリンといった油性物質に対しても、膨張弁のボディに適用し得る十分な耐性を有している。
【0042】
なお、上記の説明においてはフロンとしてHFC134aを用い、フロン/冷凍機油としてKLEA66とVG56を組み合わせたものを用いたが、PPA樹脂はその他のフロンやフロン/冷凍機油にも膨張弁のボディとして使用可能な耐性を示す。また、PPA樹脂は、上記のBFなどの油性物質のほか、温度150℃のギアオイルに大気圧下で1000時間浸漬した場合、温度50℃のパワーステアリング用オイルに大気圧下で1000時間浸漬した場合、温度108℃のロング・ライフ・クーラント(LLC)に大気圧下で1008時間浸漬した場合、および温度60℃の軽油に大気圧下で1000時間浸漬した場合においても、それぞれ耐性を示す。
【0043】
さらに、PPA樹脂は、塩化亜鉛や食塩水などの薬品についても、例えば温度80℃の塩化亜鉛に1000時間浸漬した場合や温度22℃の食塩水に大気圧下で1000時間浸漬した場合などの条件下で、それぞれ耐性を示す。そのほか、PPA樹脂は、濃度35%で温度80℃の塩化カルシウムに200時間浸漬した場合にはクラックの発生は認められていない。
【0044】
また、上記のフロン、フロン/冷凍機油、油性物質などの耐性試験においては、PPA,PPS樹脂について、試験前後の寸法あるいは重量に関して大きな変化は認められていない。
【0045】
以上説明したように、PPA樹脂を膨張弁のボディに用いることにより、PPS樹脂に比べてPPA樹脂自体の機械的強度が高いため、ボディのウェルド強度が高い膨張弁が得られる。
【0046】
さらに、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて樹脂成形時の腐食性ガスの発生量が少なく、ウェルド部分でのボイドの発生が抑えられるので、ボディのウェルド強度が高い膨張弁を歩留り良く安定して製造することが可能となる。さらに、樹脂成形時におけるPPA樹脂の腐食性ガスの発生量が少なくまた流動性が比較的低いことで、金型に大きなガスベント孔を形成する必要がなく、樹脂成形時のバリの発生を抑えることができる。さらに、金型の腐食を抑制してその寿命をのばすことができるとともに、金型のメンテナンスも容易になるため、膨張弁製造の効率化を図ることが可能になる。
【0047】
また、PPA樹脂はフロン、フロン/冷凍機油、油性物質に耐性を有しているので、ボディにPPA樹脂を用いることにより、膨張弁の使用環境下においてもボディ強度、特にボディのウェルド強度が高い膨張弁を実現可能であり、これにより、膨張弁の信頼性が向上するようになる。
【0048】
また、PPA樹脂は、PPS樹脂に比べて安価で入手可能であり、さらに、従来の製造装置を用いて製造条件を大きく変更することなく樹脂成形が可能なため、上記の歩留り向上とともに、膨張弁の製造コスト低減を図れる。
【0049】
なお、以上の説明において、ガラス繊維の含有量は上記の例に限定されるものではない。ガラス繊維の含有量が上記の例と異なる場合であっても、PPA樹脂は良好な機械的・電気的性質を有し、また、フロン、フロン/冷凍機油、油性物質性などについても良好な耐性を有する。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、感温部と弁体がボディに内蔵されている弁部とを有している膨張弁のボディを、PPA樹脂を用いて形成する。これにより、ボディのウェルド強度を高めることができる。
【0051】
さらに、PPA樹脂は、腐食性ガスの発生量が少なく、ウェルド部分でのボイドやバリの発生が抑えられるので、ボディのウェルド強度が高い膨張弁を歩留り良く安定して製造することができる。さらに、金型の寿命がのび、そのメンテナンスも容易になるので、効率的な膨張弁の製造が可能になる。
【0052】
PPA樹脂を用いてボディを形成することにより、フロンや冷凍機油が存在するような膨張弁の使用環境下においてもボディ強度が高く信頼性の高い膨張弁を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】膨張弁の縦断側面図の一例である。
【図2】耐BF試験の結果を示す図である。
【図3】耐エンジンオイル試験の結果を示す図である。
【図4】耐ATF試験の結果を示す図である。
【図5】耐無鉛ガソリン試験の結果を示す図である。
【符号の説明】
1 膨張弁
2 弁体
3 ボディ
4 低圧通路
5 高圧通路
6 アッパーハウジング
6a 鋼球
7 ロアハウジング
8 ダイアフラム
9 ディスク
10 ガイド
11 シャフト
12 均圧穴
13 ホルダ
14 スプリング
15 弁座
16 アジャストスクリュー
17 金具
Claims (3)
- 冷凍システム内を循環する冷媒の温度を感知する感温部と、前記感温部にて感知された温度の変化に応じて弁開度を調節し高圧冷媒を断熱膨張させる量を制御する弁体がボディに内蔵された弁部と、を有する膨張弁において、
前記ボディがポリフタルアミド樹脂を用いて形成されていることを特徴とする膨張弁。 - 前記ポリフタルアミド樹脂は、その耐圧がガラス繊維によって向上されていることを特徴とする請求項1記載の膨張弁。
- 前記ボディは、前記ポリフタルアミド樹脂の射出成形による樹脂成形で構成されていることを特徴とする請求項1記載の膨張弁。
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