JP2004149808A - 2つの基材を接着する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 2つの基材を接着する方法であって、
(a)45mJ/m2未満の表面エネルギーを有する表面エネルギーの低いポリマー第1基材及び第2基材を供給する工程;
(b)(i)少なくとも1種の重合性アクリルモノマー;
(ii)有効量の、窒素原子とホウ素原子の比が1:1〜2:1である有機ホウ素アミン錯体;及び
(iii )前記少なくとも1種のアクリルモノマーの重合を開始するのに有効な量の酸;
を少なくとも第1基材に塗布する工程;
(c)第1基材と第2基材の間に工程(b)の各構成材料を使用して第1基材と第2基材とを貼り合わせる工程;次いで
(d)前記少なくとも1種のアクリルモノマーを重合させ、それによって第1基材と第2基材とを接着させる工程;
の各工程を含んでなる方法。
【選択図】 なし
Description
により表される構造を有する。前記錯体のアミン部分は、アンモニア、第1級アミン、第2級アミン、又は第1級アミン若しくは第2級アミンを含有するポリアミンであってもよい。有用なアミンには、n−オクチルアミン、1,6−ジアミノヘキサン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン及び1,2−プロピレンジアミンが含まれる。
有機酸活性剤は、アミン基を除去することにより、遊離の有機ホウ素化合物を不安定にさせるか又は遊離させ、それによって重合プロセスが開始される。好ましくは、有機酸は、一般式:R−COOH[式中、Rは、水素、1〜8個(好ましくは1〜4個)の炭素原子を有するアルキル基若しくはアルケニル基、又は6〜10個(好ましくは6〜8個)の炭素原子を有するアリール基である]により表される。
12種の有機ホウ素アミン錯体が実施例Iに関連して記述されている。ジアミン又はトリアミンに基づく錯体において、窒素原子とホウ素原子の比は2:1〜4:1におよぶ。ジエチルアミン及びn−オクチルアミンに基づく錯体において、窒素原子とホウ素原子の比は1.5:1である。
その接着剤組成物は、構造用及び半構造用接着、例えばスピーカーの磁石、金属と金属との接着、(自動車用の)ガラスと金属との接着、ガラスとガラスとの接着、印刷回路板の部品の接着、特定のプラスチックと金属、ガラス、木等及び電磁石との接着に特に有用であることが報告されている。
この重合性アクリル組成物は、基本的に、少なくとも1種のアクリルモノマー(好ましくはブチルアクリレートのようなアルキルアクリレート及び/又はメチルメタクリレートのようなアルキルメタクリレート)、有効量の有機ホウ素アミン錯体、及びアクリルモノマーの重合を開始するための有効量の有機又は無機酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はSnCl4 )を含んでなるか、又はより好ましくはこれらからなる。
有用な有機ホウ素アミン錯体は、下記一般式:
R2 及びR3 は、独立に、フェニル含有基及び1〜10個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれ、2〜5個の炭素原子を有するアルキル基が好ましい;
R4 は、CH2 CH2 OH及び(CH2 )X NH2 (式中、xは2以上の整数、好ましくは2〜6の整数であり、最も好ましくは6である)からなる群より選ばれる;
R5 は、水素(より好ましい)又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基である;及び
窒素原子とホウ素原子の比は約1:1〜2:1、より好ましくは約1:1〜1.5:1、そして最も好ましくは約1:1である]
により表される。
本発明に有用な重合開始剤システムは、基本的に、有効量の有機ホウ素アミン錯体、及び有機ホウ素を遊離させ、重合を開始するための有効量の酸を含んでなるか、又はより好ましくはこれらからなる。
本発明に有用な有機ホウ素アミン錯体は、下記式:
R2 及びR3 は、独立に、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基及びフェニル含有基から選ばれる]
により表される一般構造を有する。より好ましくはR1 、R2 及びR3 は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びペンチルである。概して、R1 ,R2 及びR3 基について炭素鎖長の短いものは空気中での錯体の安定性を高めるために、炭素鎖長の短いものが好ましい。同様に、大きく嵩高い基は接着性に悪影響を及ぼすために、より小さく、より嵩高くない置換基も好ましい。「独立に選ばれる」とは、R2 及びR3 が同一であっても異なっていてもよいことを意味する。R1 は、R2 又はR3 と同一であっても異なっていても良い。R1 、R2 及びR3 が同一であることが好ましい。トリプロピルアルキルボラン、トリイソプロピルアルキルボラン及びトリ−n−ブチルアルキルボランは特に有用であることが見出された。錯体のアミン成分は、モノエタノールアミン、第1級アルキルジアミン、又は第2級アルキルジアミンのいずれであってもよい。従って、R4 は、CH2 CH2 OH及び(CH2 )X NH2 (式中、xは2以上の整数である)からなる群より選ばれる。R5 は、水素又は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基のいずれかである。より好ましい錯体において、R5 は水素であり(錯体自体の形成を阻害しうる有機ホウ素アミン錯体内の立体障害を減少させるため)、そしてR4 はCH2 CH2 OH又は(CH2 )X NH2 (式中、xは2〜6の整数である)のいずれかである。しかしながら、R4 がCH2 CH2 OH(モノエタノールアミン)又は(CH2 )6 NH2 (1,6−ヘキサメチレンジアミン)である錯体が最も好ましい。
により表される一般構造を有する基を意味する。
により表される一般構造を有する重合性モノマーを意味する。アクリルモノマーの混合物を使用してもよい。重合性アクリルモノマーは、一価、多価又はこれらの組合せであってもよい。
重合性モノマーの他の有用な種類は、下記一般式:
重合開始剤システムに有用なアクリルモノマーには、エチレングリコール、ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジグリセロールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、並びに他のポリエーテルジアクリレート及びジメタクリレートが含まれる。
本発明に有用な他の重合性モノマーは下記一般式:
により表される。上式中、dの値は1〜4の整数である。
これらのモノマーは下記一般式:
により表される。
例1〜13は、種々の有機ホウ素及び有機ホウ素アミン錯体の発火性を示す。不活性アルゴン雰囲気中で冷却しながら有機ホウ素とアミンを化合させ、錯体を形成させることにより有機ホウ素アミンを調製した。種々の有機ホウ素及び有機ホウ素アミン錯体の発火性を「炭化時間」試験及び「発火時間」試験により評価した。
炭化時間は、有機ホウ素又は有機ホウ素アミン錯体の1滴を30mm×30mmの綿布帛片に滴下し、布帛が炭化又は発火し始めるまでの所要時間(いずれか最初に起こった方)を測定することにより決定した。発火時間は、不活性雰囲気中でもう一つの30mm×30mmの綿布帛片を有機ホウ素又は有機ホウ素アミン錯体に浸し、この布帛を空気に暴露し、次いで布帛が発火するまでの所要時間を測定することにより決定した。炭化又は発火が起こらない場合には、約24時間後に試験を中止した。試験結果を下記表1に示す。
これらの例に使用した用語は、下記表に従って定義されたものである。
用 語 定 義
Bu ブチル
i-Bu イソブチル
Et エチル
Pr プロピル
例14〜53は、重合開始剤システムを含む重合性アクリル接着剤組成物が使用されたときに可能な、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリエチレン(PE)のような表面エネルギーの低い基材に対する優れた接着性を示す。
以下に記載した場合を除き、各例において、必要ならば溶解を促進するための加熱を用いて、メタクリレートモノマー、アクリレートモノマー及び増粘剤が完全に溶解するまで攪拌した。次いで、酸、有機ホウ素アミン錯体、及び追加量の実質的に錯体を形成していない有機ホウ素を加え、そして混合した。組成物を調製してから約10分間以内にポリテトラフルオロエチレン及びポリエチレン基材に塗布し、次いで、(前)ソビエト連邦の国家規格(GOST)14759-69(金属の接着部における剪断強さを決定する方法)の方法に従って室温で重ね剪断強さを試験した。
より詳細には、他に記載がないかぎり、該組成物を寸法60mm×20mm×厚さ2mmの基材試験片に塗布した。試験片を貼り合わせ、200mm2 の重なり及び厚さ約0.1〜0.3mmの接着層を与えた。接着した試料は、引張試験機に取り付ける前に約24時間を要して普通に硬化させ、次いで20mm/分のクロスヘッド速度で評価した。記載されているデータは5つの試料の平均値である。メガパスカル(MPa )単位での試験結果を下記表2に示す。
ポリエチレンの接着に対し、約5MPa 以下の重ね剪断強さの値は一般に望ましくなく、約5〜8MPa の範囲の値は僅かに許容でき、そして約8MPa を超える値は優れているものと見なされる。ポリテトラフルオロエチレンの接着に対し、約3MPa 以下の重ね剪断強さは一般に望ましくなく、約3〜5MPa の範囲の値は僅かに許容でき、そして5MPa を超える値は優れているものと見なされる。
表2には、種々の接着された複合材料の破壊モードも記載されている。「A」は接着破壊(即ち、基材と接着剤の界面での破壊)を、「S」は基材破壊(即ち、基材の少なくとも一方の破壊又は破断)を、そして「M」は複合破壊(即ち、基材破壊と接着層内部の破壊との組合せ)を表す。最も好ましい破壊モードは、基材破壊及び複合破壊である。
以下に記載した場合を除き、各試料において、メタクリレートモノマーはメチルメタクリレートであり、アクリレートモノマーはn−ブチルアクリレートであり、有機ホウ素アミン錯体は、窒素原子とホウ素原子の比が1:1のトリプロピルボランとモノエタノールアミンの錯体であり、追加の有機ホウ素はトリプロピルボランであり、そして増粘剤はポリメチルメタクリレートである。
例43〜48は、有機ホウ素アミン錯体を含まない種々の接着剤組成物を調製することの効果を示す。ポリエチレン及びポリテトラフルオロエチレンに対する非常に僅かな接着性を得た。
例49は、モノエタノールアミンに基づく有機ホウ素アミン錯体が含まれるが、有機ホウ素の追加の供給源が供給されなかった場合に、ポリエチレンに対して許容可能な接着性が得られるが、ポリテトラフルオロエチレンに対して非常に僅かな接着性が認められることを示す。従って、実質的に錯体を形成していない有機ホウ素の追加の供給源の存在は、ポリテトラフルオロエチレンに対する優れた接着性に対しては必要であるが、錯体がモノエタノールアミンに基づくものである場合にはポリエチレンに対しては必要でない。錯体と共に上記有機ホウ素のいずれかによって有機ホウ素が供給されてもよい。錯体で使用することが好ましい有機ホウ素も追加の有機ホウ素の供給源としての使用に好ましい。実質的に錯体を形成していない有機ホウ素の量は、アクリル官能基のモル数に基づいて好ましくは約0.1〜7モル%、より好ましくは約0.2〜6モル%、そして最も好ましくは約1〜3モル%である。しかしながら、以下で示されるように、アミノを1,6−ヘキサメチレンジアミンに変えることにより、追加の有機ホウ素供給源が供給されない場合であっても、ポリテトラフルオロエチレンに対する優れた接着性が可能である。
例50及び51は、有機ホウ素アミン錯体及び酸並びに任意の増粘剤を含まない接着剤組成物(例50)、更に任意のアクリレートモノマーを含まない接着剤組成物(例51)を調製した結果を示す。ポリエチレン又はポリテトラフルオロエチレンのいずれに対しても接着性は得られなかった。これらの例の組成物はトリブチルボランを含んでいた。
例52及び53の組成物は、非常に少量の有機ホウ素を使用する効果(例52)及び非常に少量の増粘剤を使用する効果(例53)を示す。
上記例から、本発明に係る特に望ましい重合性組成物は、該組成物の合計重量に基づいて約5〜65重量%のアルキルアクリレートモノマー(好ましくはブチルアクリレート)、約0.5〜5重量%の有機ホウ素アミン錯体(好ましくはトリプロピルボラン−モノエタノールアミン錯体)、約0.1〜5重量%の追加の有機ホウ素(好ましくはトリプロピルボラン)、約0.5〜5重量%の酸、約20〜40重量%の増粘剤(好ましくはポリメチルメタクリレート)を含んでなり、残りがアルキルメタクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)であることが示される。
42.1重量%のメチルメタクリレート、18.4重量%のブチルアクリレート及び37.0重量%のポリメチルメタクリレート増粘剤を完全に溶解するまで混合することによって、フッ素化ポリマー及びポリエチレンを接着するのに特に適する接着剤組成物を調製した。次いで、0.5重量%の酸であるSnCl4 を加え、次いで、1.5重量%のトリプロピルボランと0.5重量%のモノエタノールアミンとの混合物を加えた。混合後、この組成物をポリエチレン基材及びポリテトラフルオロエチレン基材に塗布した。この2つの基材を貼り合わせ、周囲条件下24時間を要して硬化させ、次いで上記した方法と同様にGOST 14759-69 に従って重ね剪断強さを試験した。重ね剪断強さは5.1MPa であり、基材破壊を伴った。
例55〜75
下記表3に示される重量百分率を用い、メチルメタクリレートモノマー、n−ブチルアクリレートモノマー、及びポリメチルメタクリレート増粘剤が完全に溶解するまで混合することによって、本発明に係る一連の接着剤組成物を調製した。次いで、攪拌しながら酸に続き有機ホウ素アミン錯体を加えた。以下に記載した場合を除き、酸はメタクリル酸であり、有機ホウ素アミン錯体はトリプロピルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンに基づくものであった(窒素原子とホウ素原子との比は1:1)。上記のようなGOST 14759-69 に従い、ポリエチレン(PE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びポリ塩化ビニル基材を使用して接着された複合材料をを作製し、周囲条件下48時間を要して硬化させ、次いで重ね剪断強さの試験を実施し、下記表3に示される結果を得た。また、表3に示される接着された複合材料の破壊モードは上記定義の通りである。
例65〜70は、有機ホウ素アミン錯体、酸及び増粘剤を変化させた結果を示す。例65において、有機ホウ素アミン錯体は窒素原子とホウ素原子の比が1:1のトリ−イソブチルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンに基づくものである。例66において、酸はアクリル酸である。例67及び68は、異なる供給元からのポリメチルメタクリレート増粘剤を使用した。
例69は、トリ−n−ブチルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンに基づくアルキルボランアミン錯体(窒素原子とホウ素原子の比は1:1)を使用した。例70の有機ホウ素アミン錯体はトリプロピルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンに基づくものであるが、窒素原子とホウ素原子の比は2:1である。
例71及び72は、該組成物中に非常に少量又は多量の錯体及び非常に少量又は多量の酸を含ませる効果を示す。例73は、不十分な増粘剤が使用された場合に低接着性が得られることを示す。従って、例73の接着剤組成物は粘度が非常に低く、そして早期に酸化し始める。例73は、追加の有機ホウ素の存在によって早期酸化を克服した例15と対照をなす。例74は、比較的多量のアクリレートモノマーと共に比較的少量のメタクリレートモノマーを使用することを示す。例75はこれとは反対の関係を示す。
上記実施例から、本発明に係る特に望ましい重合性組成物は、該組成物の合計重量を基準にして、約10〜55重量%のアルキルアクリレート(好ましくはブチルアクリレート)、約10〜50重量%のアルキルメタクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)、約0.5〜7重量%の有機ホウ素アミン錯体(好ましくはトリプロピルボラン−1,6−ヘキサメチレンジアミン錯体)、約0.5〜5重量%の酸(好ましくはアクリル酸又はメタクリル酸)、及び約25〜40重量%の増粘剤(好ましくはポリメチルメタクリレート)を含んでなることが示される。
例76〜98は、本発明の重合開始剤システムが使用されるもう一つの好ましい方法を例示する。これらの例において、被着体である基材は、有機溶剤中に有機ホウ素アミン錯体を含んでなるプライマーにより前処理(例えば、吹付又ははけ塗り)されたものである。いったんプライマーが塗布されると、プライマーの溶剤は蒸発され、次いで重合性アクリル接着剤組成物が塗布される。次いで、基材は貼り合わされ、上記したようなGOST 14759-69 の方法に従う重ね剪断強さの試験前に、24〜48時間を要して硬化される。ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材を使用し、各基材を同一材料の第2基材に貼り合わさたこれらの試験結果を下記表4に記載した。「暴露時間」なる用語は、プライマーが基材に塗布された後、接着剤が塗布される前にプライマーが空気に暴露された時間を意味する。
より詳細には、以下で記載がないかぎり、有機ホウ素アミン錯体は窒素原子とホウ素原子の比(N:B)が1:1のトリプロピルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンに基づくものであり、この錯体はペンタン(溶剤)中に溶解され、10%溶液とされ、そして重合性組成物は39重量%のメチルメタクリレートモノマー、35重量%のブチルアクリレートモノマー、1重量%のメタクリル酸及び25重量%のポリメチルメタクリレート増粘剤を含んでなる。
例91及び92は、トリ−イソブチルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミンから有用な有機ホウ素アミン錯体を調製できることを示す。例93〜98は、本発明に係るプライマー組成物を調製する際に種々の有用な有機溶剤を使用してよいことを示す。
例99〜106
例99〜106は、本発明に係るプライマーの調製及び使用を例示する。プライマーは、例76〜98に関連して記載したように調製し、塗布した(ペンタン中のトリプロピルボラン及び1,6−ヘキサメチレンジアミン)。例99(N:B=4:1)及び例100(N:B=0.8:1)を除き、窒素原子とホウ素原子の比(N:B)は1:1であった。プライマー溶液の濃度、暴露時間、「硬化時間」(試験前に積層複合材料を硬化させる時間)、及び重ね剪断強さの試験結果は、全て下記表5に記載されている。
これらの例の接着剤組成物を使用し、例76〜98に関連して記載したように接着させた複合材料を作製した。
例101は、有機ホウ素アミン錯体の濃度が低いプライマーを使用した結果、接着性が低下することを示す。プライマー溶液の濃度が3%(例101)から15%(例102)に増加したときに接着性が著しく改良された。
例103〜106は、本発明のプライマー溶液は、その後に形成される接着層に悪影響を及ぼさずに少なくとも7時間は空気に暴露(基材に塗布後)してもよいことを示している。この接着層は、試験前に6か月間のエージングの後であっても、剪断強さに著しい低下を示さなかった。
例107〜110
例107〜110は、有機ホウ素アミン錯体も含む重合性アクリル組成物を含むプライマーを使用する効果を示す。
例107及び108において、ペンタン中にトリプロピルボラン−1,6−ヘキサメチレンジアミン錯体を含んでなる10%プライマー溶液を、例99〜106に関連して記載したようにポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)基材に塗布した。44.1重量%のメチルメタクリレートモノマー、29.4重量%のブチルアクリレートモノマー、3.0重量%のメタクリル酸、20重量%のポリメチルメタクリレート増粘剤、0.5重量%のトリプロピルボラン及び3.0重量%のトリプロピルボラン−モノエタノールアミン錯体(N原子:B原子=1:1)を含んでなる重合性アクリル接着剤を調製し、混合容器内に下記表6において「可使時間」と記載した時間放置した。次いで、下塗りされた基材にこのアクリル接着剤組成物を塗布した。各例において、プライマーを塗布してから10分後にアクリル接着剤を塗布した。次いで、接着させた複合材料を作製し、硬化させ、下記表6及びGOST 14759-69 に従って試験した。
プライマーを基材に塗布しなかったことを除き、同様にして例109及び110を作製し、次いで試験した。
例111〜114
例111〜114は、異なるプライマー及び異なる接着剤を使用したことを除き、例107〜110と同様である。これらの例のプライマー(例111及び112においてのみ塗布)は、窒素原子とホウ素原子の比が1.3:1であることを除き、例107及び108と同様である。暴露時間は60分間であった。重合性アクリル接着剤は、40.8重量%のメチルメタクリレートモノマー、27.2重量%のブチルアクリレートモノマー、1.0重量%のメタクリル酸、30.0重量%のポリメチルメタクリレート増粘剤、及び1.0重量%のトリプロピルボラン−1,6−ヘキサメチレンジアミン錯体(窒素原子:ホウ素原子=1:1)を含んでいた。例107〜110に記載したように接着させた複合材料を作製し、次いで試験した。この結果を下記表7に示す。
例115及び116
一連の重合性アクリルモノマー組成物を調製し、有機ホウ素アミン錯体を供給することに関する種々のアミンの有用性を評価した。各組成物は、19.2重量%のn−ブチルアクリレート、55.3重量%のメチルメタクリレート、22.4重量%のポリメチルメタクリレート増粘剤、0.8重量%のメタクリル酸、及び2.2重量%の窒素原子とホウ素原子の比が1:1のトリプロピルボランアミン錯体を含んでいた。ポリエチレン(PE)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に対する重ね剪断強さの試験結果(24時間硬化)と共に使用したアミンを下記表8に示す。
例117及び118
メタクリレートモノマーを含むがアクリレートモノマーを含まない2種の重合性組成物を下記表9のように調製した。各例において、メタクリレートモノマーはメチルメタクリレートであり、増粘剤はポリメチルメタクリレートであり、酸はメタクリル酸であり、そして有機ホウ素アミン錯体はヘキサメチレンジアミン及びトリプロピルボランに基づくもの(窒素原子とホウ素原子との比は1:1)であった。上記したようにポリエチレン及びポリテトラフルオロエチレンを使用した積層複合材料を作製し、下記表9に示されるような重ね剪断試験の前に周囲条件下24時間を要して硬化させた。
例119及び120
例119及び120は、本発明に係るプライマーが提供される追加の方法を説明する。例119は、0.5重量%のビス(トリ−ブチルペルオキシ)トリフェニルアンチモン、73.1重量%のメチルメタクリレートモノマー及び25.4重量%のブチルアクリレートモノマーを含んでなる。得られた組成物を脱気し、次いでこれに1.0重量%のトリプロピルボランを加えた。次いでポリテトラフルオロエチレン試験片をこの組成物を使用して下塗りし、ポリウレタン接着剤を使用して同様の試験片に接着させた。重ね剪断強さは6.3MPa であった。下塗りされなかった対照例は接着性を示さなかった。過酸化物は酸素源を与えるために、組成物を脱気した。組成物を脱気しない場合には、大気中の酸素が酸素源として十分であり、追加の過酸化物を必要としなかった。
例120において、ポリエチレン試験片は、39重量%のメチルメタクリレート、25重量%のn−ブチルアクリレート、30重量%のポリメチルメタクリレート、3重量%の有機ホウ素アミン錯体(窒素原子とホウ素原子の比が1:1の1,6−ヘキサメチレンジアミン及びトリプロピルボランに基づく)、及び3重量%のメタクリル酸を含んでなる組成物を使用して下塗りした。エポキシ接着剤を使用して同様な基材に接着させた場合に、接着された複合材料は6.0MPa の重ね剪断強さを示した。下塗りされなかった対照試料は接着性を示さなかった。
従って、アクリルモノマー、有機ホウ素及び酸素源を含んでなる組成物、又はアクリルモノマー、有機ホウ素アミン錯体及び酸を含んでなる組成物は、引き続き塗布される接着剤に対する接着性を改良するために、フッ素樹脂を下塗りするのに使用できる。
例121〜125
例121〜125は、窒素原子とホウ素原子の比(N:B)が本発明に係る重合性アクリル組成物に及ぼす効果を示す。窒素原子とホウ素原子の比が様々な1,6−ヘキサメチレンジアミン及びトリ−n−ブチルボランに基づく一連の有機ホウ素アミン錯体を調製した。0.186gの錯体を、78gのメチルメタクリレートモノマー、56gの2−ブチルアクリレートモノマー、60gの中程度の分子量のポリメチルメタクリレート増粘剤及び6gのメタクリル酸から調製された重合性アクリル組成物5gに加えた。
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をベースとし、161mm2 の重なり及び厚さ0.15mmの接着層を有する接着された複合材料を作製し、接着テープ及びバインダークリップにより固定し、次いで周囲条件下24時間を要して硬化させた。基材の寸法は約25mm×100mm×厚さ3mmであった。次いで、積層複合材料を引張試験機により2.5mm/分のクロスヘッド速度を用いて破壊するまで試験した。3つの試料の平均値を結果として下記表に示した。例121及び122は基材破壊を示した。他の試料は接着破壊であった。
添付の請求の範囲に定義される本発明の精神から離れることなく、上記明細書の範囲内で種々の変形及び修飾が可能である。
Claims (1)
- 2つの基材を接着する方法であって、
(a)45mJ/m2未満の表面エネルギーを有する表面エネルギーの低いポリマー第1基材及び第2基材を供給する工程;
(b)(i)少なくとも1種の重合性アクリルモノマー;
(ii)有効量の、窒素原子とホウ素原子の比が1:1〜2:1である有機ホウ素アミン錯体;及び
(iii )前記少なくとも1種のアクリルモノマーの重合を開始するのに有効な量の酸;
を少なくとも第1基材に塗布する工程;
(c)第1基材と第2基材の間に工程(b)の各構成材料を使用して第1基材と第2基材とを貼り合わせる工程;次いで
(d)前記少なくとも1種のアクリルモノマーを重合させ、それによって第1基材と第2基材とを接着させる工程;
の各工程を含んでなる方法。
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---|---|---|---|
JP2003420043A JP2004149808A (ja) | 2003-12-17 | 2003-12-17 | 2つの基材を接着する方法 |
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