JP2004144607A - 放射線位置検出器及び放射線位置検出方法 - Google Patents

放射線位置検出器及び放射線位置検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】単純な構造でコストを大幅に削減すると共に、高精度に放射線の入射位置や放射線画像を得ることができる放射線位置検出器を提供する。
【解決手段】放射線位置検出器10は、直方体形状であって、互いに対向する一対の電極2a、2bを有し、放射線3の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリア4a、4bを生じる半導体検出素子1と、前記半導体検出素子に接続された電荷有感型プリアンプ5と、前記半導体検出素子に入射した放射線により生じた前記2種類の電荷キャリアによる前記電荷有感型プリアンプの出力波形の波高がピークとなるパルス立ち上がり時間を測定するパルス立ち上り時間測定手段7と、前記パルス立ち上がり時間から放射線の入射位置を算出する入射位置演算手段8とを備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線、γ線、α線及びβ線などの放射線の入射位置を高精度に測定できる放射線位置検出器、または放射線画像検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線画像を得る技術として、X線フィルムが最も広く使われてきた。X線フィルムは医療の分野や非破壊検査などの工業分野で古くから広く用いられており、技術が蓄積され完成度も高く解像度も良い反面、フィルムの現像処理工程があるためリアルタイム画像が得られないことが最大の欠点である。また、X線フィルムは積分型の検出器であるため、入射放射線のエネルギーを区別することが不可能であり、エネルギー毎の画像が必要な分野には適用できない。
【0003】
このX線フィルムの問題を解決するため、従来、オンライン・リアルタイムで放射線画像を得るフラットパネルディテクタ(例えば、特許文献1参照)がある。このフラットパネルディテクタでは、多数の放射線の検出素子を二次元方向に並べてゲートドライブ回路とアナログマルチプレクサを制御して放射線画像を得ている。また、目的とするエネルギーのみの画像をオンラインで得るガンマカメラ(例えば、特許文献2参照)がある。このガンマカメラでは、ファンビームコリメータやパラレルビームコリメータで放射線の入射方向を限定してシンチレータと二次元方向に並べられた多数の光検出器を用いて放射線画像を得ている。上記いずれの場合にも、放射線画像を得るため多数の放射線位置検出器を用いている。
【0004】
さらに、多数の放射線位置検出器を用いる方法以外にも、単一のバルクで放射線入射位置を測定するシリコンドリフト検出器(例えば、非特許文献1参照)がある。この検出器は、薄いシリコン検出器の面に電極パターンを形成し、電極パターンにより素子内に電界をつくり、キャリアのドリフト(移動)時間を測定して放射線の入射位置を検出するものである。
【0005】
【特許文献1】
特表平11−510313号公報
【特許文献2】
特開2001−324568号公報
【非特許文献1】
IEEE Transaction on Nuclear Science Vol.42,No.5,pp1497−1504(1995)図1
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
個々の検出エリアが狭い多数の素子を用いて放射線画像を得ている場合には、検出エリアを広くしたり解像度を上げるには、さらに多くの素子が必要となり、素子数の増加に伴ってコストが増加する。また、素子の数が増えれば各素子の出力を処理する信号処理回路の数も増え、素子の実装や微細加工に関するコストもかかる。また、素子や処理回路の個数が多ければ部品点数が増えるため、必然的に故障率が上がる。また、多数の検出器素子を用いればそれぞれの特性にばらつきが生じるため、感度補正などの措置が必要になる。このように、多数の素子を用いた放射線画像検出器は莫大なコストがかかると共に、故障率の増加に対する対応が必要となる。
【0007】
またシリコンドリフト検出器では、シリコン検出器の面に多数の電極を形成しなければならず、製造コストが高くなる。さらに、キャリアの移動時間を高精度に測定するためには素子内の電界が一定であることが必要になるが、キャリアの移動方向に対して側面から電界を制御するため、電界強度に歪みが生じやすく電界の制御、すなわちキャリアの移動時間の精度制御が困難になる。このようにシリコンドリフト検出器では、放射線の入射位置を高精度に測定するためのコスト増加や、精度制御が困難となる問題点がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、単純な構造でコストを大幅に削減すると共に、高精度に放射線の入射位置や放射線画像を得ることができる放射線位置検出器を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る放射線位置検出器は、直方体形状であって、互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子と、
前記半導体検出素子に接続された電荷有感型プリアンプと、
前記半導体検出素子に入射した放射線により生じた前記2種類の電荷キャリアによる前記電荷有感型プリアンプの出力波形の波高がピークとなるパルス立ち上がり時間を測定するパルス立ち上り時間測定手段と、
前記パルス立ち上がり時間から放射線の入射位置を算出する入射位置演算手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
なお、パルス立ち上り時間測定手段に代えて、出力波形を解析し、該出力波形の傾きが変化する時間を測定するパルス波形解析手段を用いてもよい。
【0011】
本発明に係る放射線位置検出方法は、直方体形状であって、互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子を用いた放射線位置検出方法であって、
前記2種類の電荷キャリアによる出力波形の波高がピークとなるパルス立ち上り時間を測定し、該立ち上り時間から前記一対の電極の対向方向についての放射線の入射位置を測定することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る放射線位置検出器について、添付図面を用いて説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0013】
実施の形態1.
本発明に係る放射線位置検出器について図1から図4を用いて説明する。図1は、この放射線位置検出器10の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器10は、直方体状の半導体検出素子1と、該検出素子1の対向する一対の端面に形成された2つの電極2a、2bとの間に電位差を与える直流電源6と、該電極2aと接続されている電荷有感型前置増幅器(電荷有感型プリアンプ)5と、該増幅器5と接続されているパルス立ち上がり時間測定手段7と、該パルス立ち上り時間測定手段7と接続されている入射位置演算手段8とを備える。半導体検出素子1は、例えば、シリコン等からなり、直方体状であり、一対の電極面2a、2bは、長手方向の端面に対向してそれぞれ形成されている。上記検出素子1の両端の電極のうち、一方の電極2bは接地されており、他方の電極2aには直流電源6により電極2bに対して電位差が与えられている。そのため、この検出素子1の内部には、長手方向について一様な電界が生じている。
【0014】
次に、この放射線位置検出器10における放射線位置検出の動作機構について説明する。この半導体検出素子1の上面からX線、γ線、β線、α線などの電離放射線3が入射しエネルギーが付与されると、異なる2種類の電荷キャリアとして電子4aと正孔4bのが一対として生成される。この電子4aと正孔4bとは、半導体検出素子1の内部の電界によって、互いに反対方向の電極2a、2bに向って移動するので、半導体検出素子1内に電流が流れる。電極2aに接続された電荷有感型前置増幅器5において、流れた電荷量が電圧に変換、増幅され、電圧パルスの出力波形がパルス立ち上り時間測定手段7に出力される。この電圧パルスの波形は、放射線により生成した電荷キャリアである電子4a及び正孔4bの挙動に大きく依存する。出力波形の立ち上がりは流れた電荷量の時間変化を示す。即ち、波高がピークとなるパルス立ち上がり時間は、放射線の入射により電荷が生成してから一方の電荷キャリアが電極に到達するまでの時間に対応する。さらに、パルス立ち上り時間測定手段7の出力は入射位置演算手段8に出力され、測定されたパルス立ち上り時間から放射線の入射位置が算出される。
【0015】
図2の(a)は、この放射線位置検出器において、放射線が入射する位置A、B、Cを対向する一対の電極間2a、2bについて示した概略図であり、(b)は、(a)の放射線入射位置ごとの電圧パルスの出力波形を示すグラフである。グラフの横軸は時間であり、縦軸は電圧である。図2の(b)の出力波形を示すグラフA、B、Cは、それぞれ入射位置A、B、Cに対応するものである。またtAe、tBe、tCeは、電荷キャリアが生成してから、電荷キャリアのうち電子4aが電極2aに到達するまでの時間であり、電荷キャリア生成位置がそれぞれA、B、Cに対応する。同様に、tAh、tBh、tChはそれぞれキャリアが生成してから正孔4bが電極2bに到達するための時間を示す。このときの出力波形は、キャリアが生成してから電子4aまたは正孔4bのいずれかが電極2a、2bに到達するまでの間は、電子4aと正孔4bの両方の電荷が流れているため波形の傾きが急峻である。その後、一方のキャリアが電極に到達した後から他方のキャリアが電極に到達するまでの間は、他方のキャリアの電荷しか流れないため波形の傾きが緩やかになる。さらに、電子4aと正孔4bの両方のキャリアが電極に到達した後は、全電荷が電極に到達し、もはや新たな電荷が流れないため、波高は電荷q0に相当するピーク高さになり傾きはほぼゼロになる。その後、出力波形は電荷有感型前置増幅器5の減衰時定数にしたがって電圧が低下していく。なお、この減衰時定数は、通常、立ち上がり時間に比べて十分に長くしてある。よって図2からわかるように、出力波形の立ち上がり時間、すなわち波高がq0になるまでの時間は、放射線3の入射位置により異なることがわかる。また、その立ち上がり時間は、放射線の入射位置から、互いに対向する2つの電極2a、2bまでの距離のうちの長いほうを、キャリアの移動速度で割ったものになる。したがって、出力波形の立ち上がり時間をパルス立ち上がり時間測定器7で測定し、さらに、入射位置演算手段8によって、電荷キャリアの速度を用いて放射線の入射位置を算出することができる。また、測定する電圧パルスの計数率を測定することにより入射放射線の強度がわかるため、放射線の位置強度分布についても測定できる。なお、図2では、半導体検出素子1における電荷キャリアである電子4aの速度veと正孔4bの速度vhがほぼ同じ場合(ve≒vh)について示している。
【0016】
図3は、パルス立ち上り時間測定手段7の好ましい内部構成を示すブロック図である。パルス立ち上がり時間測定手段7は、測定を高速に行うためにはアナログ式が望ましいが、高精度に測定するためにはノイズをいかに低減して測定するかが重要になる。通常、電荷有感型前置増幅器5からの出力波形には、ノイズが重畳しており、このノイズがタイミングを測定する上で障害となる。そこで、電荷有感型前置増幅器5からの出力を2つに分岐させている。一方を反転フィルタアンプ12、すなわち目的とする信号の周波数付近のみを通過させるバンドパスフィルタを備えた反転アンプ12によりノイズ成分を除去し、次いで、コンスタント・フラクション・ディスクリミネータ16aに入力し、立ち上がり開始のタイミング信号を得る。また、電荷有感型前置増幅器5からの出力のもう一方を微分アンプ14に入力する。微分アンプ14では波形を微分するので、電荷有感型増幅器5の出力波形の立ち上がりが完了する時点にゼロをクロスするバイポーラ信号を出力する。このバイポーラ信号をコンスタント・フラクション・ディスクリミネータ16bに入力することにより、ゼロクロスのタイミングにおいてストップ信号を得る。なお、微分アンプ14は反転アンプ12と同様に、通常はフィルタリング機能も備えているため、ノイズが除去されたバイポーラパルスを出力し、結果として高精度なタイミング信号を得ることができる。そして、コンスタントフラクションディスクリミネータ16a及び16bは、それぞれスタートタイミング、ストップタイミングを出力するので、両者の時間差を時間差測定器18で測定することにより、波高のピークとなるパルス立ち上がり時間を高速かつ高精度に測定することができる。
【0017】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係る放射線位置検出器について、図4を用いて説明する。図4は、この放射線位置検出器20の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器20は、実施の形態1に係る放射線位置検出器と比較すると、パルス立ち上がり時間測定手段に代えてパルス波形解析手段22を備える点で相違する。半導体検出素子1からの出力パルスは、図2に示すように、出力波形に傾きの変化する変曲点tAe、tCh、tBe、tBh、tCe、tAhを持つ。そこで、この出力波形を解析するパルス波形解析手段22を用いて波形上での変曲点までの時間を求める。次いで、入射位置演算手段8によって、実施の形態1に係る放射線位置検出器における時間差測定の場合と同様にして、電荷キャリアの速度を用いて対向する一対の電極2a、2b間における放射線の入射位置を算出することができる。この場合、2つの変曲点を示す場合には、いずれを用いるかあらかじめ定めておく。なお、このパルス波形解析手段22は、微分回路などを用いたアナログ方式でも、波形をディジタルサンプリングして数値解析を行う方式でもよい。
【0018】
実施の形態3.
本発明の実施の形態3に係る放射線位置検出器について、図5を用いて説明する。図5の(a)は、この放射線位置検出器の半導体検出素子1に入射する放射線3の位置を示す概略図であり、(b)は、この放射線位置検出器による放射線位置検出時の出力波形を示すグラフである。この放射線位置検出器は、実施の形態1及び2に係る放射線位置検出器と比較すると、半導体検出素子1の電荷キャリア輸送特性が2種類の電荷キャリア(電子4a、正孔4b)によって異なる点で相違する。即ち、一方の電荷キャリアの移動速度が他方の電荷キャリアの移動速度に比べて十分大きい場合である。例えば、半導体検出素子1として、電子4aの移動速度veが正孔4bの移動速度vhに比べて十分大きな(ve>>vh)テルル化カドミウム、テルル化亜鉛カドミウム、ヨウ化第二水銀等を用いることができる。なお、ここで移動速度が十分大きいとは、一方の電荷キャリアの移動速度が他方の電荷キャリアの移動速度の概ね10倍以上の場合(ve>10×vh)をいう。
【0019】
この半導体検出素子1では、放射線の入射により発生した電荷キャリアのうち、電子4aは短時間に電極2aまで到達するのに対し、正孔4bは長時間かかって電極2bまで到達するか、あるいは移動の途中で捕獲中心に捕獲され停止してしまう。その結果、生じる出力波形は図5に示したとおり、電子4aと正孔4bが共に移動している間の傾きは大きいのに対して、正孔4bのみが移動している間の傾きは小さく実質的にゼロに近い。そのため、実質的に波高がピークとなる立ち上がり時間は電子の移動時間であるtAe、tBe、tCeとなり、これらは放射線の入射位置に比例する。したがって、放射線3の入射位置がパルス立ち上がり時間に比例するので、データの処理が簡単になる。またこれらの出力波形の傾きは印加電圧の値にも依存するが、パルス立ち上がりが実質的に電子4aの移動にほとんど依存するように、印加電圧を最適な値に調整することにより上記の目的を達成することができる。
【0020】
実施の形態4.
本発明の実施の形態4に係る放射線位置検出器30について、図6を用いて説明する。図6は、この放射線位置検出器30の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器30は、実施の形態1と比較すると、複数の半導体検出素子1a、1b、1c、1dを互いに平行に配列している点で相違する。また個々の半導体検出素子1a、1b、1c、1dは、それぞれ電荷有感型前置増幅器5a、5b、5c、5d及びパルス立ち上り時間測定手段7a、7b、7c、7dと並列に接続されている。さらに、各パルス立ち上り時間測定手段7a、7b、7c、7dは、一つの入射位置演算手段8に接続されており、その出力が一つのメモリ24に格納される。なお、各半導体検出素子1a、1b、1c、1dには、図1の場合と同様に直流電源により電圧が印加されているが、図6では省略している。また、図6中の矢印X、Yは二次元平面上の座標軸を示している。
【0021】
次に、この放射線位置検出器30における放射線位置検出の動作について説明する。この放射線位置検出30では、複数の半導体検出素子1a、1b、1c、1dは長手方向がx軸方向に平行になるようにして、y軸方向に並列に配列されている。一つの半導体検出素子1aに放射線が入射すると、入射位置演算手段8でx軸方向についての放射線の入射位置を測定することができる。一方、y軸方向に配列された複数の半導体検出素子1a、1b、1c、1dのいずれで検出されたかによって、y軸方向についての入射位置に関する情報を得ることができる。この出力はメモリ24においてy軸方向の位置に関するメモリに格納される。このようにして、X軸方向とY軸方向に対応する二次元平面上の放射線入射位置を測定できるので、二次元放射線位置検出器や放射線画像検出器を提供できる。
【0022】
実施の形態5.
本発明の実施の形態5に係る放射線位置検出器40について、図7を用いて説明する。図7は、この放射線位置検出器40の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器40は、実施の形態1に係る放射線位置検出器と比較すると、対向する一対の電極のうち、接地されていない電極が複数の分割電極32a、32b、32c、32dに分割されており、それぞれの分割電極32a、32b、32c、32dは個別に電荷有感型前置増幅器5a、5b、5c、5d及びパルス立ち上がり時間測定手段7a、7b、7c、7dと接続されている点で相違している。また、この放射線位置検出器40は、実施の形態4に係る放射線位置検出器と比較すると、xy平面にわたって一定面積を有する単一の半導体検出素子1が用いられ、一方の電極が複数の分割電極32a、32b、32c、32dに分割されている点で相違する。また、パルス立ち上がり時間測定手段7a、7b、7c、7dは、一つの入射位置演算手段8に接続され、算出された入射位置は一つのメモリ24に格納される。なお、各分割電極32a、32b、32c、32dには、図1と同様にそれぞれ直流電源により電圧が印加されているが、図7において直流電源は図示していない。この場合において、各分割電極32a、32b、32c、32dに印加されている電圧の値は全て同じである。また、図7中の矢印X、Yは二次元平面上の座標軸を示している。
【0023】
次に、この放射線位置検出器40の放射線位置検出の動作について説明する。xy平面に一定面積を有する半導体検出素子31に放射線が入射すると電子と正孔とが生成し、素子31内に印加されている電界により互いに反対方向へ移動する。X軸方向の放射線の入射位置については、上記実施の形態1で述べたような方法で測定できる。また、Y軸方向の放射線の入射位置については以下の方法で測定できる。この半導体検出素子31は単一の素子であるが、一方の電極が複数の分割電極に分割されており、もう一方の電極は同一で接地電極34になっている。それぞれの分割電極32a、32b、32c、32dと対向する電極34とに挟まれた領域は、それぞれ一つの素子として動作しうる。そこで、実施の形態4の場合と同様にして、x軸方向の入射位置だけでなくy軸方向の入射位置も測定することができる。この場合には、複数の素子を用いることなく、単一の素子31を用いて二次元の放射線入射位置を測定することができる。
【0024】
実施の形態6.
本発明の実施の形態6に係る放射線位置検出器50について、図8を用いて説明する。図8は、この放射線位置検出器50の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器50は、実施の形態1に係る放射線位置検出器と比較すると、対向する一対の電極のうち、一方の電極を抵抗性電極42としている点で相違する。この抵抗性電極42のy軸方向の一端には、電荷有感型前置増幅器44aを介してパルス波高測定手段45a及びパルス立ち上り時間測定手段46が接続されている。また、抵抗性電極のy軸方向の他端は接地されている。さらに、該抵抗性電極42と対向する他方の電極43には電荷有感型前置増幅器44bを介してパルス波高測定手段45bが接続されている。さらに、2つのパルス波高測定手段45a、45bは、波高除算手段47に接続されている。この波高除算手段47の出力は入射位置演算手段28bに入力される。また、パルス立ち上り時間測定手段46の出力は入射位置演算手段28aに入力される。入射位置演算手段28a、28bの各出力はメモリ48に入力される。なお、図8中の矢印X、Yは二次元平面上の座標軸を示している。また、入射した放射線による電荷キャリアへの付与エネルギーをEとする。さらに、放射線3の入射位置のY座標について、抵抗性電極42の電荷有感型前置増幅器44aに接続された方の一端からの距離をIYとする。
【0025】
次に、この放射線位置検出器50による放射線位置検出の動作について説明する。この放射線位置検出器50では、半導体検出素子41に放射線3が入射すると電子と正孔とが生成し、素子内に印加されている電界により互いに反対方向へ移動する。X軸方向の放射線入射位置については、上記実施の形態1で述べた方法で測定することができ、これについては電荷有感型前置増幅器44aの出力波形の波高がピークとなる立ち上がり時間を、パルス立ち上がり時間測定手段46で測定し、入射位置演算手段28aによってx軸方向の放射線入射位置を得ることができる。一方、Y軸方向の放射線入射位置については、以下のように測定することができる。この場合、抵抗性電極42の一端が電荷有感型前置増幅器44aに接続され、他端が接地されているため、電荷有感型前置増幅器44aの出力波形の波高は距離IYに比例すると共に、付与エネルギーEにも比例する。一方、電極43に接続された電荷有感型前置増幅器44bの出力波形は付与エネルギーEのみに比例した波高を有する。そこで、波高除算手段47で波高測定手段45aの出力を波高測定手段45bの出力で除算することにより、付与エネルギーに比例する部分を除去することができ、放射線の入射位置IYに比例する部分のみを得ることができる。次いで、入射位置演算手段28bによって、入射位置IYに比例する部分からy軸方向の放射線入射位置を算出することができる。このy軸方向の入射位置と、パルス立ち上り時間測定手段46から入射位置演算手段28aで算出されたx軸方向の入射位置とがメモリ48に記録される。以上により、単一の半導体検出素子41を用いて、二次元平面上の入射位置を測定することができ、二次元の放射線入射位置や二次元放射線画像を得ることができる。
【0026】
実施の形態7.
本発明の実施の形態7に係る放射線位置検出器60について、図9を用いて説明する。図9は、この放射線位置検出器60の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器60は、実施の形態6に係る放射線位置検出器と比較すると、回路部分では共通するが、半導体検出素子51に設けられた電極構成について相違する。即ち、この放射線位置検出器60では、抵抗性電極に代えてy軸方向について複数の分割された分割電極52a、52b、52c、52dを設けている点で相違する。また、この分割電極52a、52b、52c、52d同士が、それぞれ外部抵抗54a、54b、54cを介して接続されている点において相違する。さらに、分割電極52d側に電荷有感型前置増幅器44aが接続され、分割電極52a側が接地されている。これにより分割電極52a、52b、52c、52d及び外部抵抗54a、54b、54cとは、実施の形態6における抵抗性電極と同様の役割を果たすことになる。なお、図9中の矢印X、Yは二次元平面上の座標軸を示している。また、放射線3による付与エネルギーをEとする。さらに、放射線3の入射位置のY座標について、分割電極52dの一端からの距離をIYとする。以上により、単一の半導体検出素子41を用いて、二次元平面上の入射位置を測定することができ、二次元の放射線入射位置や二次元放射線画像を得ることができる。
【0027】
実施の形態8.
本発明の実施の形態8に係る放射線位置検出器について、図10から図14を用いて説明する。図10は、この放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器70は、実施の形態1に係る放射線位置検出器と比較すると、x軸方向で対向する一対の電極53a、53cに加えて、y軸方向で対向する一対の電極53b、53dを設けている点で相違する。また、x軸方向で対向する電極のうち、一方の電極53aには、電荷有感型前置増幅器44aを介してパルス波形測定手段55aが接続されている。さらに、y軸方向で対向する電極のうち、一方の電極53bには、電荷有感型前置増幅器44bを介してパルス波形測定手段55bが接続されている。2つのパルス波形測定手段55a、55bは、それぞれ入射位置演算手段28a、28bに接続されている。また、入射位置演算手段28a、28bの出力は,メモリ48に格納される。なお、電極53a、53b、53c、53dは、直流電源56a、56b、56c、56dにそれぞれ個別に接続されており、素子61内には電界が印加されている。また、図10中の矢印X、Yは二次元平面上の座標軸を示している。
【0028】
次に、この放射線位置検出器70による放射線位置検出の動作について、図11を用いて説明する。図11は、この半導体検出素子61をxy平面に垂直なz軸方向から見た概略平面図である。この検出素子61に入射した放射線により位置57に生成した電荷キャリアは、素子61内の電界にしたがって移動する。例えば、電荷キャリアが電子の場合、x軸方向の電界成分58aとy軸方向の電界成分58bを有する電界ベクトル58の方向に移動する。このとき、電荷有感型前置増幅器44aは、X軸方向の電界成分58aに相当する波形を出力する。一方、電荷有感型前置増幅器44bは、Y軸方向の電界成分58bに相当する波形を出力する。出力波形の波高のピークとなる立ち上がり時間と立ち上がり部分の傾きから、x軸方向及びy軸方向の入射位置を測定することができる。そこで、図10に示すパルス波形測定手段55aによってX軸方向の入射位置を出力し、パルス波形測定手段55bによってY軸方向の入射位置を出力する。メモリ48には二次元平面における放射線入射位置、または放射線画像が格納される。なお、パルス波形測定手段は、微分回路を用いたアナログ方式でも、デジタルサンプリングをおこない数値的に解析する方式のいずれであってもよい。以上のように、この放射線位置検出器70によれば、単一の半導体検出素子61を用いて、放射線の二次元平面上の入射位置及び放射線画像を測定できる。
【0029】
素子内にかかる電界、すなわち電気力線の方向や密度は、電荷キャリアが移動する方向と速度を決めるものであり、放射線の入射位置を測定する際の測定精度や位置分解能、測定画像の歪みを決める重要なパラメータとなる。高精度に測定するためには、素子内にかかる電界の方向と強度が一定であることが望ましい。
【0030】
なお、半導体検出素子において、任意の箇所の電位を調整してもよい。例えば、図12は、直方体形状の半導体検出素子の対角線にあたる一対の稜線部で電位を調整する場合(b(v)≒c(v))の概略平面図である。図13は、直方体形状の検出素子の内部で複数箇所において電位を調整する場合(b(v)≒c(v)、d(v)≒e(v)≒f(v)、g(v)≒h(v))の概略平面図である。図14は、直方体形状の検出素子の内部で一対の稜線部a及びoを結ぶ対角線と垂直な複数枚の電位調整用電極64を設けた場合の概略断面図である。このように検出素子の内部等に電位を調整する箇所や、電位調整用電極64を設けることにより、検出素子内の電界を一様にすることができる。そこで、電荷キャリアの移動について高精度な測定が可能となり、入射位置を高精度に検出できる。また、データ処理が容易にできるので、回路構成をシンプルにできる。
【0031】
実施の形態9.
本発明の実施の形態9に係る放射線位置検出器80について、図15を用いて説明する。図15は、この放射線位置検出器80の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器80は、実施の形態8に係る放射線位置検出器と比較すると、半導体検出素子71の中央に接地電極66が設けられ、同一の中心を持ち相似形であって一辺の長さがそれぞれ異なる矩形形状の電位調整用電極68が設けられている点で相違する。また、出力波形を測定する系統が各電極53a、53b、53c、53dごとに4系統設けられている点、および、パルス波形測定手段55a、55cの出力を比較する比較器67a、パルス波形測定手段55b、55dの出力を比較する比較器67bが設けられている点においても相違する。さらに、比較器67a、67bの出力はそれぞれ入射位置演算手段28a、28bに接続されている。なお、図15中の矢印X、Yは二次元平面上の座標軸を示している。
【0032】
次に、この放射線位置検出器80による放射線位置検出の動作について説明する。放射線が半導体検出素子71に入射すると電荷キャリアが生成し、該電荷キャリアは該検出素子71内に印加されている電界の方向に従って移動する。この場合において、検出素子71の中心には接地電極66が設けられていると共に、同一の中心を持つ相似形の矩形形状の電位調整用電極68が設けられているので、中心の接地電極66から周辺の各電極に向って電位が上がるように調節されている。そのため、生成した電荷キャリアのうち、例えば、電子は、生成位置が右辺の場合には電極53aに、上辺の場合には電極53bに、左辺の場合には電極53cに、下辺の場合には電極53dに向ってそれぞれ移動する。このとき、電子が右辺の電極53aに移動する場合を考えると、電荷有感型前置増幅器44aの出力波形は、電子の生成位置、即ち、放射線の入射位置のX方向成分であるX1を反映するパルス立ち上り時間を有する。また、電荷有感型前置増幅器44bからの出力波形は、放射線の入射位置のY方向成分であるY1を反映するパルス立ち上り時間を有する。電荷有感型前置増幅器44cの出力波形は、放射線の入射位置のX方向成分であるX2を反映するパルス立ち上り時間を有する。電荷有感型前置増幅器44dの出力波形は、放射線の入射位置のY方向成分であるY2を反映するパルス立ち上り時間を有する。この各電荷有感型前置増幅器の出力波形は、パルス波形測定手段55a、55b、55c、55dに入力され、波形測定される。このパルス波形測定手段55a、55cの出力は比較器67aによりX1とX2とが比較され、比較結果から入射位置演算手段28aによって、素子上のX座標が得られる。同様に、パルス波形測定手段55b、55dの出力は、比較器67bによりY1とY2とが比較され、比較結果から入射位置演算手段28bによって、素子上のY座標が得られる。入射位置演算手段28a、28bの各出力はメモリ48に格納される。以上の通り、電子の生成位置に応じて、そのX軸方向、Y軸方向の位置がわかるため、単一の放射線位置検出素子71を用いて、入射した放射線の二次元平面上の入射位置及び放射線画像を測定できる。
【0033】
なお、ここでは直方体形状の半導体検出素子71を用い、中心に接地電極を設け、4辺に電極を設けたが、直方体形状の場合に限られない。例えば、平面形状が多角形状の素子を用い、各辺に電極を設けてもよい。また、平面形状が円形状の素子を用いて複数の円弧状の電極を設けてもよい。
【0034】
実施の形態10.
本発明の実施の形態10に係る放射線位置検出器について、図16を用いて説明する。図16は、この放射線位置検出器90の構成を示すブロック図である。この放射線位置検出器90は、実施の形態6に係る放射線位置検出器と比較すると、抵抗性電極42を用いると共に、出力波形の波高を測定するパルス波高測定手段45a、45bを用いた回路構成を備える点で共通する。一方、パルス波高測定手段45bとメモリ48とが接続されており、パルス波高測定手段の出力をメモリ48内に格納することができる点で相違する。即ち、この放射線位置検出器90では、実施の形態6に係る放射線位置検出器と同様に、単一の半導体検出素子81によって放射線の入射位置を2次元平面で測定できると共に、パルス波高測定手段45bで得られるエネルギー値Eに比例する成分をメモリ48に記録できる。これにより、得られた二次元の放射線入射位置に加えて、入射した放射線のエネルギーEに関する情報も得ることができるので、エネルギー毎に弁別された放射線入射位置または放射線画像を得ることができる。
【0035】
なお、このように入射した放射線をエネルギーごとに弁別し、所定のエネルギー範囲にある放射線の入射位置を測定することはこの放射線位置検出器90の場合に限定されない。例えば、他の実施の形態1から9のいずれの放射線位置検出器において入射した放射線をエネルギーごとに弁別してもよい。また、エネルギー毎の放射線画像が得られれば、対象物から発する特定のエネルギーの放射線のみの画像を得ることができ、医療用の放射線画像検出器への応用が期待できる。さらに、対象物の元素組成に応じて放射線画像のコントラストを向上させることができ、逆に、得られた放射線画像のエネルギー分布を分析することによって対象物の元素組成を推定するなどの応用が期待できる。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る放射線位置検出器によれば、出力波形の波高のピークとなる立ち上がり時間を測定することにより、直方体形状の半導体検出素子の対向する一対の電極間の長手方向における放射線の入射位置を単一の検出素子で測定することができる。これにより、単純な構造でコストを低減させると共に、放射線入射位置を高精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る放射線位置検出器の出力波形の一例を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態1に係る放射線位置検出器を構成するパルス立ち上がり時間測定手段の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る放射線位置検出器の出力波形の一例を示すグラフである。
【図6】本発明の実施の形態4に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態5に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態6に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態7に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態8に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態8に係る放射線位置検出器を構成する半導体検出素子の概略平面図である。
【図12】本発明の実施の形態8に係る放射線位置検出器の半導体検出素子の電位調整の一例を示す概略図である。
【図13】本発明の実施の形態8に係る放射線位置検出器における半導体検出素子の電位調整の一例を示す概略図である。
【図14】本発明の実施の形態8に係る放射線位置検出器における半導体検出素子の電位調整の一例を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態9に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態10に係る放射線位置検出器の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c、1d 半導体検出素子、2a、2b 電極、3 放射線、4a 電荷キャリア(電子)、4b 電荷キャリア(正孔)、5、5a、5b、5c、5d 電荷有感型前置増幅器、6 直流電源、7、7a、7b、7c、7d パルス立ち上がり時間測定手段、8、28a、28b 入射位置演算手段、10、20、30、40、50、60、70、80、90 放射線位置検出器、12 反転フィルタアンプ、14:微分アンプ、16a、16b コンスタント・フラクション・ディスクリミネータ、18 時間差測定器、22 パルス波形解析手段、24 メモリ、31、41、51、61、71、81 半導体検出素子、32a、32b、32c、32d 分割電極、34 電極、42 抵抗性電極、43 導電性電極、44a、44b 電荷有感型前置増幅器、45a、45b パルス波高測定手段、46 パルス立ち上がり時間測定手段、47 波高除算手段、48 メモリ、52a、52b、52c、52d 分割電極、53 導電性電極、54a、54b、54c 電気抵抗、55a、55b、55c、55d パルス波形測定手段、56a、56b、56c、56d 直流電源、57放射線入射位置(電荷キャリア発生位置)、58 進行方向、58a X成分、58b Y成分、62 電気力線、64、68 電位調整用電極、66 接地電極、67a、67b 比較器

Claims (13)

  1. 直方体形状であって、互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子と、
    前記半導体検出素子に接続された電荷有感型プリアンプと、
    前記半導体検出素子に入射した放射線により生じた前記2種類の電荷キャリアによる前記電荷有感型プリアンプの出力波形の波高がピークとなるパルス立ち上がり時間を測定するパルス立ち上り時間測定手段と、
    前記パルス立ち上がり時間から放射線の入射位置を算出する入射位置演算手段と
    を備えることを特徴とする放射線位置検出器。
  2. 前記パルス立ち上がり時間測定手段は、
    前記出力波形の波高の変化の立ち上りを検出する第1検出器と、
    前記出力波形の波高の変化の終わりを検出する第2検出器と、
    前記第1及び第2検出器によって検出された変化の立ち上りと終わりとの間の時間差を測定する時間差測定器と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線位置検出器。
  3. 直方体形状であって、互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子と、
    前記半導体検出素子に接続された電荷有感型プリアンプと、
    前記半導体検出素子に入射した放射線により生じた前記2種類の電荷キャリアによる前記電荷有感型プリアンプの出力波形を解析し、傾きが変化する時間を測定するパルス波形解析手段と、
    前記パルスの傾きが変化する時間から放射線の入射位置を算出する入射位置演算手段と
    を備えることを特徴とする放射線位置検出器。
  4. 前記半導体検出素子は、極性の異なる2種類の電荷キャリアのうち、第1の極性の電荷キャリアの移動度が、第2の極性の電荷キャリアの移動度に比べて10倍以上大きいことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の放射線位置検出器。
  5. 前記半導体検出素子の互いに対向する一対の電極のうち一方の電極が複数の分割電極に分割されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の放射線位置検出器。
  6. 前記半導体検出素子における互いに対向する一対の電極のうち一方が抵抗性電極であって、前記抵抗性電極の一端が接地されており、
    前記抵抗性電極の他端に、第1電荷有感型前置増幅器を介して並列に接続されたパルス立ち上り時間測定手段と、出力波形の波高を測定する第1パルス波高測定手段と、
    前記一対の電極のうち他方の電極に、第2電荷有感型前置増幅器を介して接続された第2パルス波高測定手段と、
    前記第1及び第2パルス波高測定手段と接続されており、前記第1パルス波高測定手段の出力を前記第2パルス波高測定手段の出力で除算する波高除算手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線位置検出器。
  7. 互いに対向する一対の電極のうち、一方の電極は複数の分割電極に分割され、それぞれの前記分割電極は、外部抵抗を介して接続され、両端の前記分割電極のうち一端の前記分割電極が接地されており、
    他端の前記分割電極に、第1電荷有感型前置増幅器を介して並列に接続されたパルス立ち上り時間測定手段と、出力波形の波高を測定する第1パルス波高測定手段と、
    前記一対の電極の他方の電極に、第2電荷有感型前置増幅器を介して接続された第2パルス波高測定手段と、
    前記第1及び第2パルス波高測定手段と接続された波高除算手段と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線位置検出器。
  8. 前記半導体検出素子は、
    第1の互いに対向する一対の電極と、
    前記一対の電極の対向方向と直交する方向で互いに対向する第2の一対の電極と
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の放射線位置検出器。
  9. 前記半導体検出素子は、該検出素子内の電位を調節する電位調整用電極を備えることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の放射線位置検出器。
  10. 前記半導体検出素子の出力波形の波高を測定するパルス波高測定手段をさらに備え、
    入射した放射線のエネルギーごとに弁別して放射線入射位置を測定することを特徴とする請求項1に記載の放射線位置検出器。
  11. 直方体形状であって、第1の方向について互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子が、前記第1の方向と垂直な第2の方向に並列配置された複数の半導体検出素子と、
    それぞれの前記半導体検出素子の前記一対の電極のうち一方の電極に接続されており、前記2種類の電荷キャリアによる出力波形の波高がピークとなるパルス立ち上り時間を測定するパルス立ち上り時間測定手段が、それぞれの前記半導体検出素子と個々に接続されている複数のパルス立ち上り時間測定手段と、
    前記パルス立ち上り時間から放射線の入射位置を算出する入射位置演算手段とを備えることを特徴とする放射線位置検出器。
  12. 直方体形状であって、互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子を用いた放射線位置検出方法であって、
    前記2種類の電荷キャリアによる出力波形の波高がピークとなるパルス立ち上り時間を測定し、該立ち上り時間から前記一対の電極の対向方向についての放射線の入射位置を測定することを特徴とする放射線位置検出方法。
  13. 直方体形状であって、互いに対向する一対の電極を有し、放射線の入射によって極性の異なる2種類の電荷キャリアを生じる半導体検出素子を用いた放射線位置検出方法であって、
    前記一対の電極のうち一方が抵抗性電極であって、前記抵抗性電極の一端が接地されており、
    前記抵抗性電極の他端からの出力を、前記一対の電極のうち他方の電極からの出力で除算して、電極面に平行な方向についての放射線の入射位置を測定し、
    前記他方の電極又は前記抵抗性電極の他端からの出力波形の波高がピークとなる立ち上がり時間を測定し、該立ち上り時間から前記電極面に垂直な方向についての放射線の入射位置を測定し、
    前記半導体検出素子への放射線の二次元的な入射位置の測定を行うことを特徴とする放射線位置検出方法。
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