JP2004144515A - 流動物の粘度評価方法及び粘度評価装置 - Google Patents
流動物の粘度評価方法及び粘度評価装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡便で精度がよく、製造コスト、ランニングコストが安価であり、測定者によって結果にばらつきが少なく、工場における工程管理に好適に使用できる流動物の粘度の評価方法及び評価装置を提供すること。
【解決手段】底部に所定径の孔が穿設された容器に流動物を貯留し、貯留した流動物を前記所定径の孔より連続的に流下し、流下した流動物の流下速度を測定し、測定した流下速度の大小によって流動物の粘度を評価することを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】底部に所定径の孔が穿設された容器に流動物を貯留し、貯留した流動物を前記所定径の孔より連続的に流下し、流下した流動物の流下速度を測定し、測定した流下速度の大小によって流動物の粘度を評価することを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動物の粘度評価方法及び評価装置に関する。詳しくは、本発明は、溶融チーズに代表される各種の流動物について、その粘度を、簡便に、しかも手軽に評価するための安価な評価方法及び評価装置に関する。本発明は、特に温度によって粘度が変化するような流動物に好適である。
【0002】
【従来の技術】
食品産業においては、各種の流動物の粘度を評価する必要があることが多い。例えば、チーズの製造工場においては、溶融したチーズの粘度を迅速に評価することが必要とされる。
【0003】
従来、食品産業において、流動物の粘度を測定、評価する技術としては、次のような原理を利用する技術が実用化されていた。
【0004】
(1)毛細管の内部に流動物を流し、毛細管の長さと流動物の圧力より流動物の粘度を測定する技術、
(2)流動物の内部に回転する円筒を挿入し、円筒の回転抵抗から流動物の粘度を測定する技術、
(3)流動物の内部で球体を落下させ、球体の落下速度から流動物の粘度を測定する技術、
(4)回転円板と固定円板との間隙に流動物を入れ、回転円板の回転抵抗から流動物の粘度を測定する技術(以上、非特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】
種谷真一著,「食品の物理」,初版,槇書店,1989年8月30日,p.52
【0006】
(5)流動物を堰で仕切った傾斜面に貯留しておき、堰を外し、所定時間に傾斜面を流出する流動物の流出した距離を測定し、粘度を評価する技術。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)〜(5)の技術においては、状況によって粘度が変化してしまう流動物については適用することが困難であった。例えば、溶融チーズの場合においては、チーズの温度に応じて粘度の値が変化してしまうため、測定誤差の原因となりやすく、とくに、前記(2)の回転円筒を利用した粘度測定技術の場合には、円筒によって溶融チーズが冷却されてしまい、チーズが円筒に付着したり、チーズが円筒の周囲で固化してスリップしたりして、測定誤差の要因となりやすかった。
【0008】
また、(5)の傾斜面を利用する技術も同様であり、温度によって粘度が変化してしまう流動物の場合には、流動物が傾斜面を流出している間に外気温や傾斜面の熱容量の影響をうけて温度が変化してしまうため、正確に粘度を評価することが困難であった。
【0009】
更に、従来、粘度の測定においては、測定の手順が煩雑であり、しかも測定にある程度の熟練を要するため、測定者の腕前によって結果がばらつくことがあり、特に、食品、医薬品工場の工程管理に利用するためには、好適とはいえなかった。
【0010】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡便で精度がよく、製造コスト、ランニングコストが安価であり、測定者によって結果にばらつきが少なく、工場における工程管理に好適な粘度の評価方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、そのような方法を実施するための評価装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための本発明の第一の発明は、底部に所定径の孔が穿設された容器に流動物を貯留し、貯留した流動物を前記所定径の孔より連続的に流下し、流下した流動物の流下速度を測定し、測定した流下速度の大小によって流動物の粘度を評価することを特徴とする流動物の粘度評価方法、である。
【0013】
この第一の発明は、流下速度の測定が、流下した流動物の重量を計測し、計測した重量の値から単位時間あたりの重量の変化を算出することにより行われることが望ましい。
【0014】
また、以上の課題を解決するための本発明の第二の発明は、底部に所定径の孔が穿設されるとともに保温手段を有し流動物を貯留保温する容器と、前記容器を空中の任意位置に固定する固定部材と、前記固定部材によって空中に固定された容器の下方に配置され前記容器の孔より流下する流動物を受け止める受け止め皿と、前記受け止め皿に設置され当該受け止め皿の重量又は単位時間あたりの重量変化を検出する重量計とを備えたことを特徴とする流動物の粘度評価装置、である。
【0015】
この第二の発明では、重量計は、検出した重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値を電気信号として出力する出力線を有しており、出力線の末端は演算手段に結線されており、前記演算手段は、出力された重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値より流動物の流下速度を算出するとともに流動物の粘度を評価することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
説明の順序を逆にし、最初に、本発明の装置について説明する。なお、以下の説明において、本発明の要素には、後記実施例の符号をカッコ付きで付記することがある。このように実施の形態の説明において、後記実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであって、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。図1は、本発明の装置の一実施形態の要部の斜視図である。
【0017】
本発明の装置(1)においては、流動物を貯留する容器(2)を備えている。この容器(2)の底部には、孔(図示せず。2e。)が穿設されている。孔(2e)は、あらかじめ対象となる流動物にあわせた所定の径に調整されている。なお、孔(2e)には、開閉自在のバルブなどを設けてもよい。
【0018】
この容器(2)は、保温手段(2b〜d)を備えていることが好ましい。保温手段(2b〜d)としては、容器(2)の外側を覆うジャケット(2b)を容器(2)の外壁に形成し、このジャケット(2b)に熱媒を流す態様や、容器(2)の外側に電熱線を巻き、その上から保温材で被覆する態様を例示することができる。
【0019】
容器(2)は、空中に固定されるが、このために自立型の固定部材(3)を備えており、容器(2)はこの固定部材(3)に固定されて空中に配置されるのである。固定部材(2)の形状や、構造、材質等は、このように容器(2)を所定の空中位置に固定できるものであれば、いかなるものでもよく、特に限定はされない。
【0020】
容器(2)の下側には、受け止め皿(4)が配置される。この受け止め皿(4)は、容器(2)から流下する流動物を保持できるものであればいかなるものでもよく、「皿」とはいっても皿の形態に限定されるわけではない。即ち、容器(2)から流下する流動物を受け止めて保持できるものであれば、形状、材質等は問わない。
【0021】
この受け止め皿(4)には、重量計(5)が配設されている。重量計(5)は、受け止め皿(4)に保持された流動物の重量を検出できるものであればいかなるものでもよいが、検出結果を電気信号の形態で送信できるもの、例えば、ロードセル、信号出力付上皿電子天秤等を用いたものが望ましい。なお、受け止め皿(4)と重量計(5)とは、一体に構成されても別体に構成されても、いずれでもよい。
【0022】
以上のような粘度評価装置(1)は、好ましくは、重量計(5)が検出した重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値を電気信号として出力する出力線(5a)を有していることが好ましい。この出力線(5a)は、末端が、演算手段(6)に結線される。
【0023】
演算手段(6)としては、パーソナルコンピューター、コントローラー、その他のものを採用することができる。この演算手段(6)には、重量計(5)が検出した流動物の重量又は単位時間あたりの重量変化の値が入力される。
【0024】
演算手段(6)は、流動物の重量の値が入力された場合には、その入力値より単位時間あたりの重量の変化を計算し、流動物の流下速度を算出する。ただし、単位時間あたりの重量変化の値が入力された場合には、そのままの値を流動物の流下速度とすればよいだけとなる。
【0025】
演算手段(6)は、流動物の流下速度より、流動物の粘度を評価する。例えば、流動物が容器より流下しはじめてから所定の時間経過した時点において、受け止め皿が保持している流動物の重量が所定のしきい値よりも少なければ、流動物の粘度が高すぎると判定し、流動物の重量が所定のしきい値よりも多ければ、流動物の粘度が低すぎると判定することが可能である。
【0026】
また、流動物が容器より流下しはじめてから所定の時間経過した時点において、流動物の流下速度がどの程度であるか、によって判定することもできる。
【0027】
更に、単に粘度の評価にとどまらず、あらかじめ検量線から相関式を作成しておくことによって、単位時間あたりの重量の変化の値から、流動物の粘度の値を算出することもできる。
【0028】
以上のような本発明の装置の発明を使用した、本発明の粘度の評価方法の発明は、次の手順で行う。
【0029】
最初に、底部に所定径の孔(2e)が穿設された容器(2)に流動物を貯留する。前記のように、容器(2)は保温手段(2b〜d)を有していることが好ましい。保温手段(2b〜d)を有している場合には、流動物が所定の温度に保たれるように保温する。
【0030】
容器(2)の孔(2e)には、開閉自在のバルブを設けておき、測定開始時にバルブを開けて流動物を流下させ始める態様が好ましいといえる。
【0031】
流動物を流下させた後は、流下速度を測定する。この流下速度の測定は、流下した流動物の重量(積算重量)を計測して行うことが好ましい。即ち、積算重量を計測し、この値の単位時間あたりの変化を算出すれば、流下速度を算出することができる。
【0032】
このように流下速度を算出すれば、この流下速度は、流動物の粘度と相関しているため、あらかじめ定めたしきい値と比較して、その大小によって粘度が適正であるか否かを判別することができる。
【0033】
この場合、しきい値は、一つに限られるものではなく、複数であっても良い。即ち、例えば二つのしきい値で囲まれた所定範囲に、流動物の粘度が入っているか否かを判別することもできる。
【0034】
本発明を適用できる流動物は、流動性があり、孔から流下させることができるものであれば、いかなるものでも良いが、特に食品、医薬品には好適であり、なかでも、温度、その他の条件によって粘度が変化してしまうような流動性食品・医薬品には好適である。
【0035】
【実施例】
次に、実施例を例示して本発明を詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1は、本発明の装置の一実施形態の要部の斜視図である。図1において、本発明の装置1は、容器2を備えている。この容器2は、内筒2aを有しており、この内筒2aの外側にはジャケット2bが設けられており、全体は2重筒の形態になっている。
【0036】
ジャケット2bには、温水(熱媒)入口2cと、温水(熱媒)出口2dとが設けられている。この温水入口2cと温水出口2dには、図示しない温水循環ポンプ、温水温度維持熱源などが軟質チューブによって接続されているが、これらの部材の図示は全て省略している。即ち、ジャケット2bには、温水入口2cと温水出口2dとを介して一定温度の温水が循環されているのである。
【0037】
容器2の底部には、所定径の孔2eが穿設されている。この孔2eは、内筒2aを貫通して穿設されているのであるが、図1では、詳細な図示は省略している。なお、孔2eには、図示しないバタフライバルブが装着されており、自在に開閉可能となっている。
【0038】
このような容器2は、固定部材3に固定されており、空中に配置されている。固定部材3は、基台3aから直立しており、固定部材3と基台3aとは一体化されて形成されている。
【0039】
容器2の下方には、受け止め皿4が配置されており、この受け止め皿4は、基台3aの上に載置された重量計5の上に載せられている。
【0040】
重量計5は、ロードセル式の重量計であり、重量計5には出力線5aが設けられており、重量を計測した結果を、電気信号として出力することができる。この出力線5aの末端は、パーソナルコンピューター6に結線されている。なお、パーソナルコンピュータ6は、表示手段としてのディスプレイと、印刷手段としてのプリンターを備えているが、図示は省略している。
【0041】
実施例2
以上のように構成された本発明の流動物の粘度評価装置1を利用し、次のように溶融チーズの粘度評価を行った。
【0042】
原料用ナチュラルチーズ(オーストラリア製)1kgを、チーズクッカーにより80℃で溶融し、市販の溶融塩を加え、攪拌混合してチーズを溶融した。
【0043】
このようにして作成した溶融チーズを試料とした。この溶融チーズを、図1の装置1の容器2に貯留した。 ジャケット2bに流出入する温水の温度を調節し、溶融チーズの温度は80℃に保持した。
【0044】
ここで、容器2の孔2eに装着されたバタフライバルブを開け、溶融チーズを受け止め皿4に流下させた。
【0045】
受け止め皿4に流下された溶融チーズの重量を、重量計5によって経時的に計測し、計測結果をパーソナルコンピュータ6に出力した。
【0046】
出力した結果を図2に示す。図2は、流下した溶融チーズの重量の経時変化を示す図である。図2において、横軸は経過時間T(秒)、縦軸は重量W(g)を示す。また、図2(ア)は、粘度が1000mPa・sである低粘度の場合であり、図2(イ)は、粘度が3000mPa・sである高粘度の場合である。
【0047】
図2において、図2(ア)では、流下を開始した後の10秒後には、流下速度は19g/sであるのに対し、図2(イ)では、流下速度は3g/sであることから、両者の粘度の程度を簡便に評価することができる。
【0048】
このように、ある一定時間の経過後における流下速度によって、粘度を判定することが可能である。
【0049】
以上のように、本発明によれば、溶融チーズのように、温度に応じて粘度が変化してしまいやすい流動物について、好適に粘度を評価することができる。
【0050】
また、単に試料を容器2より流下させるだけの簡便な作業であるため、測定者による結果のばらつきが少なく、工場における工程管理には好適である。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法又は装置は、簡便で精度がよく、製造コスト、ランニングコストが安価であり、測定者によって結果にばらつきが少なく、工場における工程管理に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の装置の一実施形態の要部の斜視図である。
【図2】図2は、流下した溶融チーズの重量の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 流動物の粘度評価装置
2 容器
2e 孔
3 固定部材
4 受け止め皿
5 重量計
6 演算手段(パーソナルコンピューター)
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動物の粘度評価方法及び評価装置に関する。詳しくは、本発明は、溶融チーズに代表される各種の流動物について、その粘度を、簡便に、しかも手軽に評価するための安価な評価方法及び評価装置に関する。本発明は、特に温度によって粘度が変化するような流動物に好適である。
【0002】
【従来の技術】
食品産業においては、各種の流動物の粘度を評価する必要があることが多い。例えば、チーズの製造工場においては、溶融したチーズの粘度を迅速に評価することが必要とされる。
【0003】
従来、食品産業において、流動物の粘度を測定、評価する技術としては、次のような原理を利用する技術が実用化されていた。
【0004】
(1)毛細管の内部に流動物を流し、毛細管の長さと流動物の圧力より流動物の粘度を測定する技術、
(2)流動物の内部に回転する円筒を挿入し、円筒の回転抵抗から流動物の粘度を測定する技術、
(3)流動物の内部で球体を落下させ、球体の落下速度から流動物の粘度を測定する技術、
(4)回転円板と固定円板との間隙に流動物を入れ、回転円板の回転抵抗から流動物の粘度を測定する技術(以上、非特許文献1参照)。
【0005】
【非特許文献1】
種谷真一著,「食品の物理」,初版,槇書店,1989年8月30日,p.52
【0006】
(5)流動物を堰で仕切った傾斜面に貯留しておき、堰を外し、所定時間に傾斜面を流出する流動物の流出した距離を測定し、粘度を評価する技術。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記(1)〜(5)の技術においては、状況によって粘度が変化してしまう流動物については適用することが困難であった。例えば、溶融チーズの場合においては、チーズの温度に応じて粘度の値が変化してしまうため、測定誤差の原因となりやすく、とくに、前記(2)の回転円筒を利用した粘度測定技術の場合には、円筒によって溶融チーズが冷却されてしまい、チーズが円筒に付着したり、チーズが円筒の周囲で固化してスリップしたりして、測定誤差の要因となりやすかった。
【0008】
また、(5)の傾斜面を利用する技術も同様であり、温度によって粘度が変化してしまう流動物の場合には、流動物が傾斜面を流出している間に外気温や傾斜面の熱容量の影響をうけて温度が変化してしまうため、正確に粘度を評価することが困難であった。
【0009】
更に、従来、粘度の測定においては、測定の手順が煩雑であり、しかも測定にある程度の熟練を要するため、測定者の腕前によって結果がばらつくことがあり、特に、食品、医薬品工場の工程管理に利用するためには、好適とはいえなかった。
【0010】
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、簡便で精度がよく、製造コスト、ランニングコストが安価であり、測定者によって結果にばらつきが少なく、工場における工程管理に好適な粘度の評価方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、そのような方法を実施するための評価装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための本発明の第一の発明は、底部に所定径の孔が穿設された容器に流動物を貯留し、貯留した流動物を前記所定径の孔より連続的に流下し、流下した流動物の流下速度を測定し、測定した流下速度の大小によって流動物の粘度を評価することを特徴とする流動物の粘度評価方法、である。
【0013】
この第一の発明は、流下速度の測定が、流下した流動物の重量を計測し、計測した重量の値から単位時間あたりの重量の変化を算出することにより行われることが望ましい。
【0014】
また、以上の課題を解決するための本発明の第二の発明は、底部に所定径の孔が穿設されるとともに保温手段を有し流動物を貯留保温する容器と、前記容器を空中の任意位置に固定する固定部材と、前記固定部材によって空中に固定された容器の下方に配置され前記容器の孔より流下する流動物を受け止める受け止め皿と、前記受け止め皿に設置され当該受け止め皿の重量又は単位時間あたりの重量変化を検出する重量計とを備えたことを特徴とする流動物の粘度評価装置、である。
【0015】
この第二の発明では、重量計は、検出した重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値を電気信号として出力する出力線を有しており、出力線の末端は演算手段に結線されており、前記演算手段は、出力された重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値より流動物の流下速度を算出するとともに流動物の粘度を評価することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
説明の順序を逆にし、最初に、本発明の装置について説明する。なお、以下の説明において、本発明の要素には、後記実施例の符号をカッコ付きで付記することがある。このように実施の形態の説明において、後記実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであって、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。図1は、本発明の装置の一実施形態の要部の斜視図である。
【0017】
本発明の装置(1)においては、流動物を貯留する容器(2)を備えている。この容器(2)の底部には、孔(図示せず。2e。)が穿設されている。孔(2e)は、あらかじめ対象となる流動物にあわせた所定の径に調整されている。なお、孔(2e)には、開閉自在のバルブなどを設けてもよい。
【0018】
この容器(2)は、保温手段(2b〜d)を備えていることが好ましい。保温手段(2b〜d)としては、容器(2)の外側を覆うジャケット(2b)を容器(2)の外壁に形成し、このジャケット(2b)に熱媒を流す態様や、容器(2)の外側に電熱線を巻き、その上から保温材で被覆する態様を例示することができる。
【0019】
容器(2)は、空中に固定されるが、このために自立型の固定部材(3)を備えており、容器(2)はこの固定部材(3)に固定されて空中に配置されるのである。固定部材(2)の形状や、構造、材質等は、このように容器(2)を所定の空中位置に固定できるものであれば、いかなるものでもよく、特に限定はされない。
【0020】
容器(2)の下側には、受け止め皿(4)が配置される。この受け止め皿(4)は、容器(2)から流下する流動物を保持できるものであればいかなるものでもよく、「皿」とはいっても皿の形態に限定されるわけではない。即ち、容器(2)から流下する流動物を受け止めて保持できるものであれば、形状、材質等は問わない。
【0021】
この受け止め皿(4)には、重量計(5)が配設されている。重量計(5)は、受け止め皿(4)に保持された流動物の重量を検出できるものであればいかなるものでもよいが、検出結果を電気信号の形態で送信できるもの、例えば、ロードセル、信号出力付上皿電子天秤等を用いたものが望ましい。なお、受け止め皿(4)と重量計(5)とは、一体に構成されても別体に構成されても、いずれでもよい。
【0022】
以上のような粘度評価装置(1)は、好ましくは、重量計(5)が検出した重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値を電気信号として出力する出力線(5a)を有していることが好ましい。この出力線(5a)は、末端が、演算手段(6)に結線される。
【0023】
演算手段(6)としては、パーソナルコンピューター、コントローラー、その他のものを採用することができる。この演算手段(6)には、重量計(5)が検出した流動物の重量又は単位時間あたりの重量変化の値が入力される。
【0024】
演算手段(6)は、流動物の重量の値が入力された場合には、その入力値より単位時間あたりの重量の変化を計算し、流動物の流下速度を算出する。ただし、単位時間あたりの重量変化の値が入力された場合には、そのままの値を流動物の流下速度とすればよいだけとなる。
【0025】
演算手段(6)は、流動物の流下速度より、流動物の粘度を評価する。例えば、流動物が容器より流下しはじめてから所定の時間経過した時点において、受け止め皿が保持している流動物の重量が所定のしきい値よりも少なければ、流動物の粘度が高すぎると判定し、流動物の重量が所定のしきい値よりも多ければ、流動物の粘度が低すぎると判定することが可能である。
【0026】
また、流動物が容器より流下しはじめてから所定の時間経過した時点において、流動物の流下速度がどの程度であるか、によって判定することもできる。
【0027】
更に、単に粘度の評価にとどまらず、あらかじめ検量線から相関式を作成しておくことによって、単位時間あたりの重量の変化の値から、流動物の粘度の値を算出することもできる。
【0028】
以上のような本発明の装置の発明を使用した、本発明の粘度の評価方法の発明は、次の手順で行う。
【0029】
最初に、底部に所定径の孔(2e)が穿設された容器(2)に流動物を貯留する。前記のように、容器(2)は保温手段(2b〜d)を有していることが好ましい。保温手段(2b〜d)を有している場合には、流動物が所定の温度に保たれるように保温する。
【0030】
容器(2)の孔(2e)には、開閉自在のバルブを設けておき、測定開始時にバルブを開けて流動物を流下させ始める態様が好ましいといえる。
【0031】
流動物を流下させた後は、流下速度を測定する。この流下速度の測定は、流下した流動物の重量(積算重量)を計測して行うことが好ましい。即ち、積算重量を計測し、この値の単位時間あたりの変化を算出すれば、流下速度を算出することができる。
【0032】
このように流下速度を算出すれば、この流下速度は、流動物の粘度と相関しているため、あらかじめ定めたしきい値と比較して、その大小によって粘度が適正であるか否かを判別することができる。
【0033】
この場合、しきい値は、一つに限られるものではなく、複数であっても良い。即ち、例えば二つのしきい値で囲まれた所定範囲に、流動物の粘度が入っているか否かを判別することもできる。
【0034】
本発明を適用できる流動物は、流動性があり、孔から流下させることができるものであれば、いかなるものでも良いが、特に食品、医薬品には好適であり、なかでも、温度、その他の条件によって粘度が変化してしまうような流動性食品・医薬品には好適である。
【0035】
【実施例】
次に、実施例を例示して本発明を詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
図1は、本発明の装置の一実施形態の要部の斜視図である。図1において、本発明の装置1は、容器2を備えている。この容器2は、内筒2aを有しており、この内筒2aの外側にはジャケット2bが設けられており、全体は2重筒の形態になっている。
【0036】
ジャケット2bには、温水(熱媒)入口2cと、温水(熱媒)出口2dとが設けられている。この温水入口2cと温水出口2dには、図示しない温水循環ポンプ、温水温度維持熱源などが軟質チューブによって接続されているが、これらの部材の図示は全て省略している。即ち、ジャケット2bには、温水入口2cと温水出口2dとを介して一定温度の温水が循環されているのである。
【0037】
容器2の底部には、所定径の孔2eが穿設されている。この孔2eは、内筒2aを貫通して穿設されているのであるが、図1では、詳細な図示は省略している。なお、孔2eには、図示しないバタフライバルブが装着されており、自在に開閉可能となっている。
【0038】
このような容器2は、固定部材3に固定されており、空中に配置されている。固定部材3は、基台3aから直立しており、固定部材3と基台3aとは一体化されて形成されている。
【0039】
容器2の下方には、受け止め皿4が配置されており、この受け止め皿4は、基台3aの上に載置された重量計5の上に載せられている。
【0040】
重量計5は、ロードセル式の重量計であり、重量計5には出力線5aが設けられており、重量を計測した結果を、電気信号として出力することができる。この出力線5aの末端は、パーソナルコンピューター6に結線されている。なお、パーソナルコンピュータ6は、表示手段としてのディスプレイと、印刷手段としてのプリンターを備えているが、図示は省略している。
【0041】
実施例2
以上のように構成された本発明の流動物の粘度評価装置1を利用し、次のように溶融チーズの粘度評価を行った。
【0042】
原料用ナチュラルチーズ(オーストラリア製)1kgを、チーズクッカーにより80℃で溶融し、市販の溶融塩を加え、攪拌混合してチーズを溶融した。
【0043】
このようにして作成した溶融チーズを試料とした。この溶融チーズを、図1の装置1の容器2に貯留した。 ジャケット2bに流出入する温水の温度を調節し、溶融チーズの温度は80℃に保持した。
【0044】
ここで、容器2の孔2eに装着されたバタフライバルブを開け、溶融チーズを受け止め皿4に流下させた。
【0045】
受け止め皿4に流下された溶融チーズの重量を、重量計5によって経時的に計測し、計測結果をパーソナルコンピュータ6に出力した。
【0046】
出力した結果を図2に示す。図2は、流下した溶融チーズの重量の経時変化を示す図である。図2において、横軸は経過時間T(秒)、縦軸は重量W(g)を示す。また、図2(ア)は、粘度が1000mPa・sである低粘度の場合であり、図2(イ)は、粘度が3000mPa・sである高粘度の場合である。
【0047】
図2において、図2(ア)では、流下を開始した後の10秒後には、流下速度は19g/sであるのに対し、図2(イ)では、流下速度は3g/sであることから、両者の粘度の程度を簡便に評価することができる。
【0048】
このように、ある一定時間の経過後における流下速度によって、粘度を判定することが可能である。
【0049】
以上のように、本発明によれば、溶融チーズのように、温度に応じて粘度が変化してしまいやすい流動物について、好適に粘度を評価することができる。
【0050】
また、単に試料を容器2より流下させるだけの簡便な作業であるため、測定者による結果のばらつきが少なく、工場における工程管理には好適である。
【0051】
【発明の効果】
本発明の方法又は装置は、簡便で精度がよく、製造コスト、ランニングコストが安価であり、測定者によって結果にばらつきが少なく、工場における工程管理に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の装置の一実施形態の要部の斜視図である。
【図2】図2は、流下した溶融チーズの重量の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 流動物の粘度評価装置
2 容器
2e 孔
3 固定部材
4 受け止め皿
5 重量計
6 演算手段(パーソナルコンピューター)
Claims (4)
- 底部に所定径の孔が穿設された容器に流動物を貯留し、貯留した流動物を前記所定径の孔より連続的に流下し、流下した流動物の流下速度を測定し、測定した流下速度の大小によって流動物の粘度を評価することを特徴とする流動物の粘度評価方法。
- 流下速度の測定が、流下した流動物の重量を計測し、計測した重量の値から単位時間あたりの重量の変化を算出することにより行われる請求項1に記載の流動物の粘度評価方法。
- 底部に所定径の孔が穿設されるとともに保温手段を有し流動物を貯留保温する容器と、前記容器を空中の任意位置に固定する固定部材と、前記固定部材によって空中に固定された容器の下方に配置され前記容器の孔より流下する流動物を受け止める受け止め皿と、前記受け止め皿に設置され当該受け止め皿の重量又は単位時間あたりの重量変化を検出する重量計とを備えたことを特徴とする流動物の粘度評価装置。
- 重量計は、検出した重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値を電気信号として出力する出力線を有しており、出力線の末端は演算手段に結線されており、前記演算手段は、出力された重量の値又は単位時間あたりの重量変化の値より流動物の流下速度を算出するとともに流動物の粘度を評価する請求項3に記載の流動物の粘度評価装置。
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JP2002307081A JP2004144515A (ja) | 2002-10-22 | 2002-10-22 | 流動物の粘度評価方法及び粘度評価装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016519307A (ja) * | 2013-05-09 | 2016-06-30 | ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ | 染毛剤の非液だれ特性を実証する方法 |
KR20180004519A (ko) * | 2016-07-04 | 2018-01-12 | 한국항공우주산업 주식회사 | 도료의 점도 측정 장치 |
-
2002
- 2002-10-22 JP JP2002307081A patent/JP2004144515A/ja active Pending
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WO2018008892A3 (ko) * | 2016-07-04 | 2018-08-09 | 한국항공우주산업 주식회사 | 도료의 점도 측정 장치 |
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