JP2004143220A - 導電性樹脂部材およびその製造方法 - Google Patents

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Hiroyuki Hagano
波賀野 博之
Masayuki Nakagawa
中川 正幸
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Abstract

【課題】樹脂部材は、アース経路とする導電性を有し、かつ表示部をレーザー照射により形成できること。
【解決手段】蓋体40の表面には、表示部DPが形成されている。表示部DPは、レーザー照射により形成されている。また、蓋体は、アース経路の一部となるように作用する。蓋体は、ポリアミドなどから形成されるとともに、この中に金属フィラーを添加するとともに、0.01〜3重量%のカーボン粒子を添加する。このような導電性樹脂材料にレーザー照射すると、表示部DPが着色して形成される。
【選択図】    図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー照射により表示部を形成する導電性樹脂部材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
導電性樹脂材料を用いた一例として、自動車の燃料キャップが知られている(例えば、特許文献1)。燃料キャップは、蓋体を手により開閉操作する部材であり、この開閉操作の際に、乾燥した雰囲気で帯電量の大きい人が手で触れたときにアースして、不快感を生じないようにすることが望ましい。このため、上記従来の技術では、蓋体にカーボンなどを添加した導電性材料を用いて、蓋体からフィラーネックを通じて車体に接続することによりアース経路を確保している。
【特許文献1】
特願平9−367334号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
燃料キャップは、その操作上の注意事項などを表示するための表示部を必要とする場合がある。こうした場合に、蓋体の表面にレーザーを照射すると、削り込みによる凹凸が形成されるけれども、十分に発色しないために表示として意匠性に優れたものが形成することができないという問題があった。
【0004】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、レーザー照射により表示部を形成することができる導電性樹脂部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するためになされた本発明は、表面に表示部を形成するための導電性樹脂部材において、導電性とするための金属フィラーまたはカーボン繊維と、レーザー照射により上記表示部を形成するためのカーボン粒子とを有し、上記カーボン粒子は、0.01〜3重量%であることを特徴とする。
【0006】
本発明の導電性部材は、樹脂材料中に、金属フィラーまたはカーボン繊維と、カーボン粒子とを含有している。ここで、樹脂材料としては、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などを用いることができる。
【0007】
金属フィラーは、樹脂材料に導電性を付与するために用いられている。このような導電性は、樹脂部材にアース経路として作用する材質および含有量を加えることが望ましい。金属フィラーとしては、ステンレス、ニッケル、クロム、亜鉛、銅、アルミニウム、金、銀、マグネシウム、チタン、またはそれを組み合わせた合金、表面処理物、または金属酸化物、またはそれらを組み合わせたフィラーなどを用いることができる。また、金属フィラーまたはカーボン繊維の含有量としては、1〜30重量%であることが好ましい。これは、1重量%を下回ると、導電性が得られないからであり、30重量%を越えると、樹脂射出成形するのに樹脂の粘度が高くなり、金属フィラーの詰まりや溜まりが発生し、射出成形に不具合を生じるからである。また、カーボン繊維は、その太さ(径)が5〜30μm、さらに好ましくは10〜20μmの範囲であり、長さが10mm以下で、好ましくは50〜200μmである。これは、カーボン繊維が大きすぎると、レーザーのエネルギを吸収して表示部との境界を不明確にするから、それ以下であることが好ましく、または小さすぎると、導電性に寄与しないからである。また、カーボン粒子の粒径は、10〜100nmである。これは、10nm未満であると、発色のエネルギを吸収しないからであり、100nmを越えると、発色ムラを生じるからである。
【0008】
また、樹脂部材の表面には、このようなレーザー照射を行なうために、カーボン粒子が0.01〜3重量%添加されている。これは、0.01重量%を下回ると、レーザー照射により表示に十分なマーキングが行なわれないからであり、一方、3重量%を越えると、レーザーのエネルギが樹脂部材の全体に吸収され、表示部への部分的な着色ができないからである。特に好ましいカーボン粒子の量は、0.1〜0.3重量%である。
【0009】
本発明の好適な態様として、自動車の燃料キャップの蓋体に用いることができる。蓋体は、燃料キャップの開閉時に手が触れ、静電気をアースする必要性があり、また、機能の説明文、注意事項、説明の線、説明のイラスト、履歴、バーコードなどの表示する箇所として適切であるからである。また、蓋体をアース経路とする場合には、金属フィラーの添加により、アース経路となる蓋体からフィラーネックまでの抵抗値が1013Ω以上に設定することが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0011】
(1) 燃料キャップ10の概略構成
図1は本発明の一実施の形態にかかる燃料キャップ10(キャップ)を備えたキャップ装置を一部破断して示す図である。図1において、燃料キャップ10は、図示しない燃料タンクに燃料を補給するための注入口FNb(タンク開口)を有するフィラーネックFNに装着されており、ポリアセタール等の合成樹脂材料から形成されたケーシング本体20(閉止体)と、ケーシング本体20の上部開口を閉じて弁室24を形成する内蓋30と、弁室24に収納された調圧弁35と、ケーシング本体20の上部に装着されナイロン等の合成樹脂材料から形成された蓋体40と、蓋体40の上面に装着された操作ハンドル45と、クラッチ機構60およびトルク伝達機構80(連結機構)と、テザー機構100と、ケーシング本体20の上部外周に装着されてケーシング本体20とフィラーネックFNとの間をシールするガスケットGSとを備えている。
【0012】
上記燃料キャップ10の構成において、図2に示すように、操作ハンドル45を指で掴んで引き起こして回転操作するとともに、燃料キャップ10をフィラーネックFNから挿脱することにより、注入口FNbを開閉することができる。また、燃料キャップ10の上部である蓋体40や操作ハンドル45に開き方向への外力が加わっても空回りして、燃料キャップ10がフィラーネックFNから外れるのを防止している。
【0013】
(2) 各部品の構成
次に、本実施の形態にかかる燃料キャップ10の各部の構成について詳細に説明する。
【0014】
(2)−1 ケーシング本体20
図1において、ケーシング本体20は、ほぼ円筒状の外管体21と、外管体21の内側に一体に設けられた弁室形成体22とを備えている。弁室形成体22は、調圧弁35として作用する正圧弁及び負圧弁を収納している。上記内蓋30は、弁室形成体22の上部に超音波溶着法を用いて溶着されることにより弁室24を形成している。
【0015】
ケーシング本体20の上部のフランジ21bの下面には、ガスケットGSが外装されている。すなわち、ガスケットGSは、フランジ21bのシール保持部21aとフィラーネックFNの注入口FNbとの間に介在して、燃料キャップ10を注入口FNbに締め込むと、フィラーネックFNのシート面に対して押しつけられてシール作用を果たす。
【0016】
図3はケーシング本体20のケーシング側係合部20aとフィラーネックFNとの関係を説明する説明図である。外管体21の外周下部には、ケーシング側係合部20aが形成されている。一方、フィラーネックFNの内周部には、開口側係合部FNcが形成されている。この開口側係合部FNcの内周側の一部には、ケーシング側係合部20aを軸方向に挿入可能なネック側挿入切欠FNdが形成されている。したがって、ケーシング側係合部20aをネック側挿入切欠FNdに位置合わせして、燃料キャップ10をフィラーネックFNの注入口FNbに挿入した状態にて、燃料キャップ10を所定角度(約90゜)回転すれば、ケーシング側係合部20aが開口側係合部FNcに係合することにより、燃料キャップ10がフィラーネックFNに装着される。
【0017】
(2)−2 内蓋30
図1に示すように、内蓋30は、その外周部にフランジ32が形成されており、このフランジ32の下端で弁室形成体22の上部に、超音波溶着により接合されている。
【0018】
(2)−3 蓋体40の構成
蓋体40は、上壁41と、上壁41の外周部に形成された側壁43とを備え、カップ形状に一体成形されている。側壁43の下部内側には、支持突部43aが突設されている。支持突部43aは、側壁43の周方向に沿って等間隔で6カ所突設されている。支持突部43aは、トルク伝達機構80のトルク部材90の外周部に係合することにより、蓋体40がトルク部材90を介してケーシング本体20に回転可能に組み付けられている。なお、蓋体40の組付構造については、後に詳細に説明する。
【0019】
図4(A)は蓋体40を示す平面図である。蓋体40は、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)から形成されている。また、図2の2点鎖線に示すようにアース経路の一部を構成するために、蓋体40は導電性樹脂材料から形成されている。導電性樹脂材料としては、上記樹脂材料に、金属フィラー(例えば、ステンレス、ニッケル、クロム、亜鉛、銅、アルミニウム、金、銀、マグネシウム、チタン、またはそれを組み合わせたフィラー)またはカーボン繊維などを添加することにより導電性を付与している。金属フィラーまたはカーボン繊維の含有量としては、1〜30重量%である。これは、1重量%を下回ると、導電性が得られないからであり、30重量%を越えると、蓋体40を射出成形するに樹脂の粘度を高くし、金属フィラーの詰まりや溜まりが発生し、射出成形に不具合を生じるからである。
【0020】
また、蓋体40の上壁41の表面には、表示部DPが形成されている。この表示部DPは、機能の説明文、注意事項、説明の線、履歴、バーコードなどの表示であり、レーザー照射によりマーキングされている。このようなレーザー照射を行なうために、カーボン粒子が0.01〜3重量%添加されている。これは、0.01重量%を下回ると、レーザー照射によりマーキングが行なわれないからであり、一方、3重量%を越えると、レーザーのエネルギが蓋体40の全体に吸収され、表示部DPへの部分的な着色ができないからである。
図4(B)は蓋体40に含まれるカーボン繊維および金属フィラーと、カーボン粒子との配合状態を模式的に説明する説明図である。カーボン繊維とカーボン粒子とは、ほぼ均一に分散混合している。図4(C)はレーザー照射の様子を説明する説明図である。樹脂部材の表面にレーザーを照射すると、レーザーのエネルギを、上記表面にあるカーボン粒子が吸収して発熱し、周辺の樹脂が発泡して微少な凹凸が形成される。この凹凸は、白く反射して表示部として視認される。
【0021】
(2)−4 操作ハンドル45の構成
図5は燃料キャップの上部の部品を分解して示す斜視図である。操作ハンドル45は、コーナーを面取りされた矩形のハンドル本体46を備えている。ハンドル本体46は、その外周中央部を凹ませた操作用凹所46aを有する半円形状に形成されている。上記操作用凹所46aは、操作ハンドル45が倒れた収納姿勢(図1参照)にあるときに操作しやすいように指を入れるための凹所である。
【0022】
(2)−5 軸支機構50
操作ハンドル45は、蓋体40の上壁41に軸支機構50により回動可能に装着されている。軸支機構50は、蓋体40の上壁41から突設された軸支持部51,52と、操作ハンドル45に形成されかつ上記軸支持部51,52に回動自在に軸支される軸被支持部55,56とを備えている。
【0023】
(2)−5−1 軸支持部51,52
図6は操作ハンドル45を蓋体40から外した状態を示す正面図である。軸支持部51,52は、操作ハンドル45を回転自在に支持するための部材であり、蓋体40を中心に1対設けられている。軸支持部51は、脚部51aと、この脚部51aの側部から突設された軸部51bとを備え、上記軸部51bを中心に操作ハンドル45を回動可能に支持する。また、軸支持部52は、脚部52aと、この脚部52aの上部に軸部52bを備えている。軸部52bの側部には、軸穴52fが形成されている。
【0024】
(2)−5−2 軸被支持部55,56
軸被支持部55,56は、操作ハンドル45の下部から中央部にかけて形成されており、蓋体40の軸支持部51,52を介して、操作ハンドル45を支持する作用を備えている。軸被支持部55は、操作ハンドル45の下部および一方の側部が開放された開口部55aと、この開口部55aに軸方向に繋がった断面円形の軸孔55bとを備えている。この開口部55aおよび軸孔55bは、軸支持部51の軸部51bを軸支するように形成されている。
【0025】
また、軸被支持部56は、開口部56aを備えるとともに、この開口部56aに接続されるピン装着孔56gが形成されている。図7は図6の軸被支持部56の付近を拡大して示す正面図、図8は図7の矢印8方向から見た図である。開口部56aの側部には、開口部56aに繋がったピン装着孔56gが形成されている。ピン装着孔56gは、操作ハンドル45の側部に貫通している。また、ピン装着孔56gには、ピン56hが嵌合される。ピン56hの先端には、軸穴52fに挿入される挿入支持部56iが形成されている。
【0026】
(2)−5−3 操作ハンドル45の組付
図9は操作ハンドル45を蓋体40に組み付ける作業を説明する説明図である。操作ハンドル45を軸支機構50によって蓋体40に組み付けるには、軸支持部51を軸被支持部55に嵌合した後に、軸支持部52を軸被支持部56の開口部56aに挿入して、ピン56hをピン装着孔56gに挿入し、さらに挿入支持部56iを軸穴52fに嵌合する。これにより、操作ハンドル45が軸支機構50を介して蓋体40に回動自在に組み付けられる。
【0027】
(2)−5−4 付勢機構57
図10は図7の10−10線に沿った断面図、図11は図10の操作ハンドル45を組み付ける前の状態を示す断面図である。操作ハンドル45は、付勢機構57により、収納姿勢の方向に付勢されている。付勢機構57は、軸支持部52の側部に突設されたカム58と、操作ハンドル45に設けられたカム支持部59とを備えている。図11において、カム58のカム面58aは、軸心O1、半径r1のほぼ半円状の円弧面58bと、軸心O1から偏心した中心O2、半径r2の湾曲凸面58cとにより形成されている。カム支持部59は、カム支持弾性片59aとカム支持突条59bとによりカム面58aを挟持するように二股に形成されている。カム支持弾性片59aは、操作ハンドル45の回動に伴ってカム面58aに倣うときに、弾性的に撓むように片持ち片になっている。カム支持弾性片59aの内側には、円弧面58bに倣った形状のカムガイド面59cが形成されている。一方、カム支持突条59bは、ハンドル本体46と一体に形成されており、カム支持弾性片59aとほぼ平行に配置されている。
【0028】
図12は操作ハンドル45の回動操作を説明する説明図である。操作ハンドル45は、軸支機構50によって90゜の範囲で回動するように支持されており、つまり、図12(A)に示す蓋体40の上壁41に押し付けられている収納姿勢から、図12(B)の経過を経て、図12(C)に示す起立した操作姿勢をとる。操作ハンドル45は、収納姿勢にないときには、付勢機構57により、収納姿勢に向かう方向に付勢されている(図12(B)の矢印方向)。すなわち、操作ハンドル45が操作姿勢から収納姿勢の間の角度にあるときには、カム支持弾性片59aがカム58の円弧面58bをスプリング力で押圧するから、カム支持弾性片59aは中心O2に向けた押圧力を生じる。押圧力は、操作ハンドル45の回動中心である軸心O1に対して偏心しているので、反時計方向にモーメントM1を生じる。このモーメントM1は、操作ハンドル45を、軸心O1を中心に回動させる力となる。したがって、操作ハンドル45は、操作姿勢から収納姿勢にわたって、収納姿勢に向かうように反時計方向に付勢されている。
【0029】
(2)−6 クラッチ機構60
図13は燃料キャップ10を分解して示す斜視図、図14はクラッチ機構60の非連結状態を説明する説明図、図15は連結状態を説明する説明図である。クラッチ機構60は、操作ハンドル45に加わる回転トルクを、トルク伝達機構80に伝達または非伝達するための機構であり、クラッチ部材70と、トルク部材90に形成されたクラッチスプリング92およびクラッチアーム93と、操作ハンドル45の両側の下面に形成されたカム面62と、を備えている。
【0030】
(2)−6−1 クラッチ部材70
図13において、クラッチ部材70は、射出成形により一体成形されており、クラッチ本体71を備えている。クラッチ本体71は、円板形状の上壁72と、72の外周部から下方に延設された側壁73とを備え、上壁72と側壁73とにより囲まれた内側が収納凹所71a(図14参照)になっている。
【0031】
上壁72には、環状突起72aが突設されている。この環状突起72aは、図14に示すように、両者が密着するのを防止して、クラッチ部材70の上下動を容易にしている。また、図13に示す上壁72には、クラッチ部材70の中心に対して180゜の位置にボタン74,74が突設されている。ボタン74,74は、蓋体40に形成された貫通孔41aに出没可能に配置されている。
【0032】
(2)−6−2 クラッチ付勢部61
トルク部材90の上面には、3つのクラッチスプリング92が周方向に120゜の位置に形成されている。クラッチスプリング92は、クラッチ部材70に対して上下方向のスプリング力を与えるものである。クラッチスプリング92は、トルク部材90の上面と同一面でありかつ周方向に延設されたアーム92aと、アーム92aの先端でトルク部材90の上面より突出した押圧突起92bとを備えている。クラッチスプリング92は、片持ち片であり、トルク部材90の上面の切欠92c内で一端が傾動するように形成されており、これにより、クラッチ部材70に対して上方に付勢するように作用する。
【0033】
図16は操作ハンドル45とクラッチ部材70のボタン74の関係を説明する説明図である。クラッチ部材70のボタン74の上面は、傾斜した押圧面74aになっている。操作ハンドル45の両側方の下面には、押圧面74aを押圧するカム面62が形成されている。カム面62は、操作ハンドル45が操作姿勢にあるときにクラッチ部材70のボタン74を押し込み、収納姿勢にあるときに該ボタン74を押し込まないように形成されている。
【0034】
このようなクラッチ付勢部61の構成により、操作ハンドル45を図14に示す収納姿勢から図15に示す操作姿勢に回動すると、カム面62がボタン74,74の押圧面74aを押して、クラッチ部材70は、クラッチスプリング92の付勢力に抗して押し下げて下方位置に移動し、一方、収納姿勢に戻すと、クラッチ部材70は、ボタン74,74に加わる力が解除されるので、クラッチスプリング92により元の上方位置に戻る。
【0035】
(2)−6−3 第1クラッチ部63
図17は図15の17−17線に沿った付近の断面図、図18は第1クラッチ部63の動作を説明する説明図である。第1クラッチ部63は、操作ハンドル45から加えられる閉じ方向への回転トルクを操作姿勢および収納姿勢のいずれの姿勢であっても伝達状態にする機構である。
【0036】
クラッチ部材70の側壁73の内周部には、全周にわたって第1クラッチ歯体75が形成されている。第1クラッチ歯体75は、半径方向に沿いかつ直角面に形成された係合面75aと、この係合面75aに対して所定角度傾斜した斜面75bとを備え、断面でほぼ直角三角形に形成されている。
【0037】
一方、トルク部材90の外周部には、第1クラッチ歯体75に係合するクラッチアーム93が形成されている。クラッチアーム93は、トルク部材90の上部外周に、周方向に120゜の位置に、それぞれ配置されている。クラッチアーム93は、周方向に沿って設けられたアーム93aと、アーム93aの先端に設けられた係合端93bとを備えている。係合端93bは、係合面75aに噛み合うように径方向に沿った面で形成されている。係合面75aは、クラッチ部材70がトルク部材90に対して上方位置(図18(A))または下方位置(図18(B))にあっても、常時、噛み合っている関係を維持するように、係合端93bより厚く形成されている。
【0038】
図18(A)(B)に示すようにクラッチ部材70は、時計方向に回転すると、係合面75aと係合端93bとの係合により、トルク部材90を時計方向に一体に回転させるトルク伝達状態になる。このトルク伝達状態は、操作ハンドル45が図18(A)の操作姿勢または図18(B)の操作姿勢のいずれの姿勢であっても、クラッチ部材70の係合面75aが係合端93bに当たるので維持される。
【0039】
一方、図18(C)に示すように、クラッチ部材70が反時計方向に回転すると、第1クラッチ歯体75の斜面75bがアーム93aの外面に倣う非係合状態になり、トルク部材90を回転させない。このように、第1クラッチ歯体75およびクラッチアーム93は、時計方向(閉じ方向)には常時噛み合って回転トルクを伝達し、一方、反時計方向(開き方向)には回転トルクを伝達しない一方向クラッチを構成している。
【0040】
(2)−6−4 第2クラッチ部65
図19は第2クラッチ部65を説明する説明図である。第2クラッチ部65は、操作ハンドル45から加わる開き方向への回転トルクを操作姿勢のときだけ伝達する機構である。
【0041】
クラッチ部材70の上壁72の下面外周には、全周にわたって第2クラッチ歯体76が形成されている。第2クラッチ歯体76は、ほぼ垂直面に形成された係合面76aと、係合面76aに対して所定角度傾斜した斜面76bとを備え、断面でほぼ直角三角形に形成されている。
【0042】
一方、トルク部材90の上面には、第2クラッチ歯体76に係合する第2クラッチ係合部94が形成されている。第2クラッチ係合部94は、トルク部材90の上部に、周方向に120゜の位置にそれぞれ配置されている。第2クラッチ係合部94は、上記係合面76aに噛み合う垂直の係合面94aと、斜面76bに当たる傾斜した斜面94bとにより爪に形成されている。
【0043】
図20は第2クラッチ部65の動作を説明する説明図である。図20(A)に示すように、クラッチ部材70がクラッチ機構60のクラッチスプリング92のスプリング力で上方に位置していると、クラッチ部材70の係合面76aが第2クラッチ係合部94の係合面94aに係合しない。よって、クラッチ部材70が回転しても、トルク部材90は回転しない。
【0044】
図20(B)に示すように、クラッチ部材70がクラッチ機構60のクラッチスプリング92のスプリング力に抗して、下方に位置すると、第2クラッチ歯体76の係合面76aが第2クラッチ係合部94の係合面94aに係合する。そして、クラッチ部材70が半時計方向(開き方向)へ回転すると、トルク部材90も同じ方向に一体に回転する。このように、第2クラッチ歯体76および第2クラッチ係合部94は、トルク部材90の下方位置にあるときだけ反時計方向への回転トルクを伝達し、一方、時計方向には回転トルクを伝達しない一方向クラッチを構成している。
【0045】
(2)−7 トルク部材90の構成
図21はトルク部材90を示す斜視図である。トルク部材90は、樹脂から形成された2段の円板に、中央の凸部および係合部を形成したものである。すなわち、トルク部材90は、トルクプレート本体91を備えている。トルクプレート本体91は、上円部91aと、上円部91aの外側下方に配置された外環部91bと、外環部91bを3カ所で接続する連結部91cとを備えている。上円部91aには、上述したクラッチ機構60を構成するクラッチスプリング92が設けられ、さらにその外周側にクラッチアーム93が設けられている。
【0046】
(2)−7−1 トルク部材90の取付構造
図22に示すように、トルク部材90の外環部91bの内周側に、係合爪97が形成されている。係合爪97は、トルク部材90の中心方向に形成された舌片であり、軸方向に弾性変形可能に形成されている。図23はケーシング本体20の上部の付近を示す断面図である。ケーシング本体20の外管体21の上部外周には、係合凹所21cが形成されている。係合爪97を係合凹所21cに圧入することにより、トルク部材90がケーシング本体20の上部外周で回転可能に装着されている。
【0047】
また、外環部91bの外周には、係合凹所91dが形成されており、この係合凹所91dに、蓋体40の側壁43の内壁の支持突部43a(図1参照)が係合することにより、トルク部材90に蓋体40が回転可能に支持されている。
【0048】
(2)−7−2 トルク伝達機構80
図1に示すトルク伝達機構80は、燃料キャップ10で注入口FNbを閉じる動作の際に、操作ハンドル45に所定以上の回転トルクを与えたときに節度感を与えて、燃料キャップ10が所定の回転トルクでフィラーネックFNに装着したことを確認できる機構である。
【0049】
図24はトルク伝達機構80を示す斜視図、図25はトルク伝達機構80を示す平面図である。外管体21の上部内周部には、後述するトルク伝達機構80の一部を構成する本体側係合部25が形成されている。本体側係合部25は、外管体21の全内周にわたって形成されており、ほぼ周方向に傾いた第1係合面25aと、ほぼ径方向に沿って形成された第2係合面25bとにより山形に形成されている。
【0050】
トルク部材90の上円部91aの下部には、円筒状の内環部91eが形成されており、この内環部91eの外周であって周方向に120゜の位置に3つの弾性トルク片95が形成されている。図25に示すように、弾性トルク片95は、支持端部95aを支点としたアーチ状の片持ちで形成されており、外周側にトルク片側係合部96が突設され、トルク片側係合部96の内周側にスペース95cが形成されている。トルク片側係合部96は、一方の面が第1係合面96aに形成され、他方の面が第2係合面96bに形成されている。第1係合面96aは、本体側係合部25の第1係合面25aにトルク部材90の時計方向の回転に対して垂直面で当たるように形成され、本体側係合部25により中心から半径方向へ向けて押圧されると、図26に示すようにトルク片側係合部96がスペース95cを狭くするように弾性変形する。一方、図27に示すように第2係合面96bは、本体側係合部25の第2係合面25bに対して反時計方向の回転により当たるように形成され、トルク部材90とケーシング本体20とを一体に回転するように係合する。
【0051】
(2)−7−3 トルク部材90の破断機構
図28(A)に示すように、トルク部材90の上円部91aの外周部であって、連結部91cとの間には、脆弱部98の一部を構成する脆弱溝98aが形成されている。脆弱溝98aは、周方向に沿って3カ所に形成されており、これらの脆弱溝98aは、連結部91cの間の切欠きを周方向に接続する円周に沿って設けられている。
【0052】
いま、図28(B)に示すように、車両の衝突などにより大きな外力が蓋体40や操作ハンドル45に加わると、脆弱部98を起点として、蓋体40を支持している脆弱部98の外周部が分離するか、係合爪97が係合凹所21cから離脱する。このとき、ガスケットGSを支持しているケーシング本体20のシール保持部21aに損傷を与えないので、シール性を損なうことがない。しかも、トルク部材90に脆弱部98を形成することは、ケーシング本体20の上部に脆弱部を形成するより、シール保持部21aなどの形状に制約することなく、種々の外力の方向に対して、破断荷重を設定するための最適化も容易である。
【0053】
(2)−8 テザー機構100
図29はテザー機構100の付近を示す断面図、図30はテザー機構100を示す平面図、図31はテザー機構100の斜視図である。テザー機構100は、給油時に燃料キャップ10の紛失や脱落を防止するためのものであり、テザー回転支持体101と、連結部材110と、支持端120とを備えている。図29に示すように、テザー回転支持体101は、トルク部材90の支持壁部99の一端に回転可能に支持されている。すなわち、テザー回転支持体101は、支持壁部99の全周に沿って環状に形成されており、外環壁102と、底壁103と、内環壁104とにより断面コ字形に形成され、その間を環状凹所101aとしている。外環壁102は、内環壁104より高く形成されている。外環壁102の内壁には、係合突起102aが突設されている。図30に示すように、係合突起102aは、周方向に等間隔で6カ所突設されており、図29に示すように、支持壁部99の係合爪99aが環状凹所101aに突入したときに、係合突起102aに係合することにより、テザー回転支持体101がトルク部材90に回転可能に支持される。
【0054】
テザー機構100は、熱可塑性エラストマー(TPEE)または熱可塑性樹脂(PPなど)から射出成形により一体成形されている。図30に示すように、連結部材110の一端は、テザー回転支持体101に対して所定角度α(5゜〜180゜)で傾斜して連結されている。連結部材110は、連結部材本体112と折曲部114とを備えている。折曲部114は、連結部材110の一端である第1接続端110aに近接して形成されている。折曲部114は、U字形の形状を逆向きに連結することにより、ほぼS字形で、テザー回転支持体101と同一面上に形成されており、図32に示す矢印d1方向への力を受けたときに、連結部材本体112を蓋体40の外周に沿わせるように折曲する。
【0055】
また、図31において、連結部材110の他端である第2接続端110bには、支持端120が形成されている。支持端120は、先端に向けて扇形に拡がっている板状であり、連結部材110の面に対して直角方向、つまり90゜捻られて形成されている。支持端120には、係止突部122が突設されている。図34に示すように、係止突部122は、給油蓋FLの裏面側に形成された支持部FLaに回動可能に支持されている。燃料キャップ10は、給油蓋FLを開けてフィラーネックFNから外されたときに、支持端120に固定された連結部材110を介して吊るされる。この状態において、燃料キャップ10を手から離すと、支持端120がテザー回転支持体101に対して90゜捻られているので、燃料キャップ10の蓋体40を車両の外板に向けて、車体パネルから離れた位置で垂れ下がって、この状態にて、給油を行うことができる。つまり、給油時に燃料キャップ10を車体パネルから離れた位置に配置することができるので、給油ガンと干渉することもなく、ケーシング本体20に付着した燃料が車体パネルを汚すこともない。
【0056】
また、燃料キャップ10を外した状態から、燃料キャップ10のフィラーネックFNの注入口FNbに挿入して、図32に示すように操作ハンドル45を閉じ方向に回転すると、テザー回転支持体101がトルク部材90(図29)に対して回転自在にあり、また、連結部材110が給油蓋FLや燃料キャップ10から大きな力をうけておらず、ほぼ直線上で弛みのない状態にあるから、燃料キャップ10は、その開閉動作に支障がない。このとき、連結部材110は、折曲部114で折り曲げられて、連結部材本体112が蓋体40の外周に沿うようになる。
【0057】
続いて、給油蓋FL(図34)を締めると、給油蓋FLに連動して図32の状態から連結部材本体112が長手方向に押される。そして、連結部材本体112に対して長手方向の力は、テザー回転支持体101を反時計方向に回転させる方向d1の力に変換されて、テザー回転支持体101がスムーズに回転し、図33に示すように連結部材本体112が蓋体40を取り囲む。このように、連結部材本体112は、蓋体40を取り囲むように給油蓋FLの内側スペースに収納され、給油蓋FLの開閉に支障がない。
【0058】
さらに、図29に示すように、テザー機構100のテザー回転支持体101は、ポリアセタールにより表面円滑に形成されたトルク部材90により支持されているので、トルク部材90の外周で円滑に回動し、燃料キャップ10の開閉動作に支障にならない。また、トルク部材90は、耐膨潤性に優れたポリアセタールから形成されているので、その外径が大きくなるような形状変化が小さく、テザー回転支持体101の回転性能を低下させることがない。さらに、テザー回転支持体101は、可撓性を有する熱可塑性エラストマー(TPEE)または熱可塑性樹脂(PP)から形成されているので、折曲部114における折曲なども確実に行なうことができる。
【0059】
(3) 燃料キャップ10の組付作業
燃料キャップ10を組み付けるには、まず、図9に示すように蓋体40に操作ハンドル45を組み付ける。一方、図1に示すように、ケーシング本体20の弁室24に調圧弁35を組み付け、内蓋30のフランジ32を弁室形成体22の上部に超音波溶着する。続いて、図23に示すように、トルク部材90の係合爪97を、ケーシング本体20の係合凹所21cに圧入して、トルク部材90をケーシング本体20に組み付ける。さらに、クラッチ部材70のボタン74を蓋体40の貫通孔41aに位置合わせしてクラッチ部材70を蓋体40に組み付けた後、蓋体40の支持突部43aを係合凹所91dに係合させることにより、蓋体40をトルク部材90に組み付ける。その後、図29に示すように、テザー機構100のテザー回転支持体101を支持壁部99の係合爪99aに圧入することにより、テザー機構100をトルク部材90に組み付ける。これにより燃料キャップ10が完成する。
【0060】
(4) 燃料キャップ10の動作
次に、フィラーネックFNの注入口FNbを燃料キャップ10で開閉する操作を行なったときの開閉動作について説明する。
【0061】
(4)−1 燃料キャップ10の閉じ操作
燃料キャップ10で注入口FNbが開いた状態にて、図14に示すように、操作ハンドル45を指で掴んで引き起こすと、操作ハンドル45は、付勢機構57(図10参照)およびクラッチスプリング92(図20参照)のスプリング力に抗して、図14に示す軸支持部51,52を中心に回動する。操作ハンドル45の回転により、カム面62がクラッチ部材70のボタン74の押圧面74aを押す。クラッチ部材70は、図15に示すように、トルク部材90のクラッチスプリング92の付勢力に抗して下方へ移動する。
【0062】
続いて、図3に示すように、ケーシング本体20のケーシング側係合部20aをフィラーネックFNのネック側挿入切欠FNdに位置合わせして軸方向へ挿入する。そして、操作ハンドル45に時計方向の力を加えて燃料キャップ10を回転する。操作ハンドル45の回転方向の力は、蓋体40、蓋体40の貫通孔41aとクラッチ部材70のボタン74を介して、クラッチ部材70に伝わって回転させる。そして、図18(A)に示すように、クラッチ部材70の第1クラッチ歯体75の係合面75aは、常時、トルク部材90のクラッチアーム93の係合端93bに係合しているから、クラッチ部材70の回転に伴ってトルク部材90が回転する。なお、使用者が操作ハンドル45を操作姿勢に移行させなくても、つまり収納姿勢のままでも、図18(B)に示すように、係合端93bが係合面75aに係合しているから、クラッチ部材70から、トルク部材90に回転トルクが伝達される。
【0063】
このトルク部材90の回転に伴って、図25の係合位置にて、トルク部材90のトルク片側係合部96の第1係合面96aがケーシング本体20の本体側係合部25の第1係合面25aを押す。これにより、操作ハンドル45、蓋体40、クラッチ部材70、トルク部材90、ケーシング本体20が一体に回転して、注入口FNbを閉じる方向へ進み、ケーシング側係合部20a(図3参照)が開口側係合部FNcに係合する力が増大する。そして、この係合する力によって生じる反力が所定回転トルク以上になると、図26の状態を経てトルク片側係合部96が本体側係合部25を乗り越える。
【0064】
このとき、トルク片側係合部96の第1係合面96aが第1係合面25aからの反力で半径方向に押圧されて弾性トルク片95はスペース95cの幅を狭めるように弾性変形して、トルク片側係合部96が本体側係合部25を乗り越える。これにより、使用者は節度感を確認することができる。この状態にて、燃料キャップ10は、注入口FNbに所定の締付トルクで閉じられている状態になる。
【0065】
そして、操作ハンドル45から指を離すと、操作ハンドル45は、カム58(図36参照)を挟持しているカム支持弾性片59aによるスプリング力およびクラッチスプリング92のスプリング力を、ボタン74を介して受けて、軸支持部51,52を中心に回転して収納位置に戻される。
【0066】
(4)−2 燃料キャップ10の閉じ状態
図1の状態にて、操作ハンドル45、蓋体40、クラッチ部材70は、開き方向(反時計方向)に対して、トルク部材90およびケーシング本体20に拘束されず、空回り可能な状態になる。したがって、蓋体40や操作ハンドル45が衝突などに伴う開き方向に外力を受けても、空回りし、トルク伝達機構80を通じて回転トルクをケーシング本体20に伝達しないから、シール性を損なうことがない。
【0067】
(4)−3 燃料キャップ10の開き操作
一方、燃料キャップ10の開き操作をするには、図15に示すように、操作ハンドル45を指で摘んで引き起こす。これにより、操作ハンドル45の中央下部のカム面62がクラッチ部材70のボタン74の押圧面74aを押し、クラッチ部材70が下方に移動する。この状態にて、操作ハンドル45を反時計方向に回転すると、図20(B)に示すように、第2クラッチ歯体76の係合面76aが第2クラッチ係合部94の係合面94aに当たって、クラッチ部材70の反時計方向の回転に伴ってトルク部材90が同方向に回転する。
【0068】
この状態では、図27に示すように、トルク片側係合部96の第2係合面96bが本体側係合部25の第2係合面25bに係合する。第2係合面96bと第2係合面25bとは、ほぼ径方向で当たって、弾性トルク片95をスペース95cの間隔を狭めるような中心方向への力を生じないから、トルク片側係合部96は、本体側係合部25を乗り越えないで、操作ハンドル45に加わる回転トルクをケーシング本体20に伝達する。これにより、操作ハンドル45、蓋体40、クラッチ部材70、トルク部材90、ケーシング本体20が一体に反時計方向へ回転する。
【0069】
そして、ケーシング側係合部20aがフィラーネックFNの開口側係合部FNcから外れて、ケーシング本体20は、フィラーネックFNに対する拘束力から解放される。そして、燃料キャップ10を軸方向へ引き抜くことによりフィラーネックFNから外すことができる。
【0070】
(4)−4 操作ハンドル45の付勢機構57の動作
図35は操作ハンドル45をクラッチスプリング92により戻す動作を説明する説明図、図36は操作ハンドル45を付勢機構57により戻す動作を説明する説明図である。燃料キャップ10を開閉操作するには、操作ハンドル45を収納姿勢から操作姿勢へ回動させるが、このとき、付勢機構57およびクラッチスプリング92によるスプリング力により、操作ハンドル45を収納姿勢へ復帰させる方向への回転トルクに抗して行なわれる。このような復帰させる方向への回転トルクが常に付勢されるのは、以下の理由による。
▲1▼ 車両の走行時に、操作ハンドル45を倒して蓋体40からの突出高さを小さくすることにより、操作ハンドル45が外力を受け難くしている。
▲2▼ 車両の走行時に、操作ハンドル45のバタツキを抑制し、異音の発生を抑制している。
【0071】
また、上述した復帰させる方向への回転トルクを付勢機構57とクラッチスプリング92との2つの樹脂製のスプリングを用いているのは、以下の理由による。
【0072】
図37は操作ハンドルに加わる回転トルクと回転角度との関係を説明するグラフである。図37において、破線が付勢機構57による回転トルクを、1点鎖線がクラッチスプリング92による回転トルクを、そして実線が操作ハンドル45に加わる合計の回転トルクをそれぞれ示す。図37から分かるように、付勢機構57は、45゜以下の小さい角度で回転トルクを大きく設定し、クラッチスプリング92は、45゜から90゜の大きい角度で回転トルクを大きく設定している。
【0073】
このように回転トルクの値を設定しているのは、以下の理由による。付勢機構57によるスプリング力は、カム58のカム面58aの形状によっているので、広い操作範囲にわたって大きな回転トルクを生じるカムの形状を作成するのが難しい。また、クラッチスプリング92は、広い操作範囲で回転トルクを生じるために、トルク部材90を大きなストロークで移動させる必要がある。さらに、広い操作範囲で回転トルクを発生させるのに、1つの樹脂スプリングだけを用いた場合には、樹脂スプリングを大きく撓ませる必要があり、経年変化により折れ易い。したがって、2つの樹脂スプリングを用いることにより、0〜90゜までの広い範囲にわたって安定した復帰のための回転トルクを得ることができる。
【0074】
(5) 燃料キャップ10の他の作用、効果
上記燃料キャップ10によれば、上述した作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0075】
(5)−1 燃料キャップ10を閉じる操作過程において、図25および図26に示すように、トルク部材90のトルク片側係合部96がケーシング本体20の本体側係合部25を乗り越えたときに節度感を確認でき、燃料キャップ10が所定トルクで締め付けられていることが分かるから、ガスケットGSなどの弾性にかかわらず、一定トルクで締め付けることができる。
【0076】
(5)−2 図1に示すように燃料キャップ10が注入口FNbを閉じている状態では、クラッチ部材70は、クラッチ機構60により、開き方向にケーシング本体20と連動しない状態になっているので、操作ハンドル45は、不測の外力により開き方向への力を受けた場合にも、ケーシング本体20に対して空回りする。よって、ケーシング本体20は、操作ハンドル45に加わった外力を回転力として受けず、注入口FNbを閉めている状態を維持することができる。したがって、燃料キャップ10は、不測の外力が加わっても緩むことなく、シールを維持することができる。
【0077】
(5)−3 図1に示すように、燃料キャップ10がフィラーネックFNに装着している状態では、操作ハンドル45は、スプリングの力により収納位置になり、開閉操作時の起立した操作位置から戻されるので、車両の衝突時等に外力を受け難く、燃料キャップ10に緩むような力を加えない。しかも、操作ハンドル45を大きくしても収納姿勢では蓋体40の上壁41に倒れた位置であるので、給油口の周辺の収納スペースも小さくできる。
【0078】
(5)−4 図24に示すように、トルク伝達機構80の本体側係合部25は、内蓋30の全周にわたって等間隔に形成されているので、操作ハンドル45の位置を変更することなく、直ぐに回転トルクをケーシング本体20に伝達することができ、しかも、トルク片側係合部96の位置にかかわらず、均一な回転トルクを伝えることができる。
【0079】
(5)−5 燃料キャップ10の閉じ状態では、操作ハンドル45は開き方向に空回り状態にあり、使用者は、操作ハンドル45を好みの位置に回転させることができるので、開閉操作性が向上する。
【0080】
(5)−6 図1に示すように、操作ハンドル45は、燃料キャップ10の閉じ状態では収納位置に倒れている状態を視認でき、これを起こせば開閉動作ができることが容易に分かるから、従来の技術で説明したボタン操作の構成より操作性に優れている。
【0081】
(5)−7 図18に示すように、第1クラッチ部63は、操作ハンドル45が操作姿勢にならなくても回転トルクを伝達するから、使用者が操作ハンドル45を操作姿勢に移行させるのを怠っても、ケーシング本体20でタンク開口を閉じることができる。また、第1クラッチ部63(図18)および第2クラッチ部65(図20)は、操作ハンドル45が収納姿勢にあるときに、開き方向に空回りをするので、外力によりケーシング本体20が回転することがなく、シール性を損なうことがない。
【0082】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0083】
上記実施の形態では、図20に示すクラッチ部材70を非係合状態にするクラッチスプリング92は、トルク部材90に一体に形成したが、この構成に限らず、トルク部材90とケーシング本体20との間に付勢する構成であれば、コイルスプリングなどの各種の手段を用いることができ、また、一体に形成するほか、別体に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる燃料キャップ10を備えたキャップ装置を一部破断して示す説明図である。
【図2】操作ハンドル45を指で掴んで引き起こして回転操作しているキャップ装置を一部破断して示す説明図である。
【図3】ケーシング本体20のケーシング側係合部20aとフィラーネックFNとの関係を説明する説明図である。
【図4】蓋体40を説明する説明図である。
【図5】燃料キャップの上部の部品を分解して示す斜視図である。
【図6】操作ハンドル45を蓋体40から外した状態を示す正面図である。
【図7】図6の軸被支持部56の付近を拡大して示す正面図である。
【図8】図7の矢印8方向から見た図である。
【図9】操作ハンドル45を蓋体40に組み付ける作業を説明する説明図である。
【図10】図7の10−10線に沿った断面図である。
【図11】図10の操作ハンドル45を軸支持部52に組み付ける前の状態を示す断面図である。
【図12】操作ハンドル45の回動操作を説明する説明図である。
【図13】燃料キャップ10を分解して示す斜視図である。
【図14】クラッチ機構60の非連結状態を説明する説明図である。
【図15】クラッチ機構60の連結状態を説明する説明図である。
【図16】操作ハンドル45とクラッチ部材70のボタン74の関係を説明する説明図である。
【図17】図15の17−17線に沿った付近の断面図である。
【図18】第1クラッチ部63の動作を説明する説明図である。
【図19】第2クラッチ部65を説明する説明図である。
【図20】第2クラッチ部65の動作を説明する説明図である。
【図21】トルク部材90を示す斜視図である。
【図22】トルク部材90の要部を拡大して示す斜視図である。
【図23】ケーシング本体20の上部の付近を示す断面図である。
【図24】トルク伝達機構を示す斜視図である。
【図25】トルク伝達機構を示す平面図である。
【図26】図25に続く動作を説明する説明図である。
【図27】図26に続く動作を説明する説明図である。
【図28】トルク部材90の脆弱部98を説明する説明図である。
【図29】テザー機構の付近を示す断面図である。
【図30】テザー機構を示す平面図である。
【図31】テザー機構を説明する斜視図である。
【図32】テザー機構の動作を説明する説明図である。
【図33】図32に続く動作を説明する説明図である。
【図34】燃料キャップ10をフィラーネックFNから外して給油している自動車の後部を示す斜視図である。
【図35】操作ハンドル45の作用を説明する説明図である。
【図36】操作ハンドル45の作用を説明する説明図である。
【図37】操作ハンドルに加わる回転トルクと回転角度との関係を説明するグラフである。
【符号の説明】
10...燃料キャップ
20...ケーシング本体(閉止体)
20a...ケーシング側係合部
21...外管体
21a...シール保持部
21b...フランジ
21c...係合凹所
22...弁室形成体
24...弁室
25...本体側係合部
25a...第1係合面
25b...第2係合面
30...内蓋
32...フランジ
35...調圧弁
40...蓋体
41...上壁
41a...貫通孔
41b...下面
43...側壁
43a...支持突部
45...操作ハンドル
46...ハンドル本体
46a...操作用凹所
50...軸支機構
51...軸支持部
51...軸支持部
51a...脚部
51b...軸部
52...軸支持部
52a...脚部
52b...軸部
52f...軸穴
55...軸被支持部
55a...開口部
55b...軸孔
56...軸被支持部
56a...開口部
56g...ピン装着孔
56h...ピン
56i...挿入支持部
57...付勢機構
58...カム
58a...カム面
58b...円弧面
58c...湾曲凸面
59...カム支持部
59a...カム支持弾性片
59b...カム支持突条
59c...カムガイド面
60...クラッチ機構
61...クラッチ付勢部
62...カム面
63...第1クラッチ部
65...第2クラッチ部
70...クラッチ部材
71...クラッチ本体
71a...収納凹所
72...上壁
72a...環状突起
73...側壁
74...ボタン
74a...押圧面
75...第1クラッチ歯体
75a...係合面
75b...斜面
76...第2クラッチ歯体
76a...係合面
76b...斜面
80...トルク伝達機構
90...トルク部材
91...トルクプレート本体
91a...上円部
91b...外環部
91c...連結部
91d...係合凹所
91e...内環部
92...クラッチスプリング
92a...アーム
92b...押圧突起
92c...切欠
93...クラッチアーム
93a...アーム
93b...係合端
94...第2クラッチ係合部
94a...係合面
94b...斜面
95...弾性トルク片
95a...支持端部
95c...スペース
96...トルク片側係合部
96a...第1係合面
96b...第2係合面
97...係合爪
98...脆弱部
98a...脆弱溝
99...支持壁部
99a...係合爪
100...テザー機構
101...テザー回転支持体
101a...環状凹所
102...外環壁
102a...係合突起
103...底壁
104...内環壁
110...連結部材
110a...第1接続端
110b...第2接続端
112...連結部材本体
114...折曲部
120...支持端
122...係止突部
DP...表示部
FL...給油蓋
FLa...支持部
FN...フィラーネック
FNb...注入口(タンク開口)
FNc...開口側係合部
FNd...ネック側挿入切欠
GS...ガスケット

Claims (3)

  1. 表面に表示部を形成するための導電性樹脂部材において、
    導電性とするための金属フィラーまたはカーボン繊維と、レーザー照射により上記表示部を形成するためのカーボン粒子とを有し、
    上記カーボン粒子は、0.01〜3重量%含有していることを特徴とする導電性樹脂部材。
  2. 請求項1の導電性樹脂部材において、
    上記金属フィラーまたはカーボン繊維は、1〜30重量%含有している導電性樹脂部材。
  3. 請求項1または請求項2の導電性樹脂部材を用い、該導電性樹脂部材の表面にレーザーを照射して、表示部を形成する製造方法。
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JP2008068779A (ja) * 2006-09-15 2008-03-27 Honda Motor Co Ltd 車両用燃料タンクの誤給油防止構造

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