JP2004139339A - インターネットを利用した医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】医療機関のリスク管理を行うリスク管理システムは、医療機関の端末(100、110)と通信回線(150)を介して接続され、医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、当該医療事故情報に基づく分析結果を医療機関に通知することによりリスク管理を行うリスク管理センター(120)を備え、リスク管理センターが、医療機関の端末から送信され収集した医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療機関のリスク管理を行うリスク管理システムに関し、特に複数の医療機関のリスク管理を一括して行うことを可能とする医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、医療機関における医療事故の管理に関しては、報告者の責任追求の場になったり、報告をしたことで不利益な扱いをうけたりと、報告をすること自体を躊躇させる要因があった。
【0003】
しかし、昨今リスクマネジメントの考え方が浸透し、事の大小を問わずとにかく報告をあげることで今何が起こっているのかを正確に把握し、それを分析することで医療事故の予防につなげようとする環境となってきている。また、医療事故予防のポイントが個人の責任を追及することではなく、組織として医療事故を起こさないメカニズムを構築することに重点が移ってきたこともあげられる。
【0004】
また、大学病院等の大規模な医療機関においては、専門のリスク管理者を配置することによりリスクマネジメントを実施している病院も増えてきているが、規模の小さな病院等では専門のリスク管理者を配置するまで手がまわらないのが実態である。またリスクマネジメントを実施している医療機関でも、各医療機関で閉じた活動であり、他の医療機関との情報の共有はほとんど行われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の医療機関におけるリスク管理においては、以下に述べるような種々の問題点があった。
【0006】
第1の問題点は、医療機関ごとに独自の方法で管理方法が構築され、医療機関の間に管理レベルの格差が生まれたということである。
【0007】
その理由は、医療機関のリスク管理に対する意識の高低差によるものと、これらの情報を医療機関同士で共有する方法が確立できていないことにある。また、規模の小さな病院では経済的、人材的問題からリスク管理にまで手が回らないという実態もある。
【0008】
第2の問題点は、ある医療機関で立てた有効な事故防止策が、他の医療機関で生かされることがないということである。
【0009】
その理由は、医療機関が事故の情報を外部に公表することをためらう傾向があることと、あくまで医療機関内の独自の問題として処理してしまうためである。
【0010】
なお、従来、サーバが複数の医療機関から収集した経営に関するデータ分析して、他の医療機関が上記サーバから経営指標となるデータを取得できるようにした情報提供方法が、特開2001−312565号公報等に開示されているが、これは医療事故などに対するリスク管理に関するものではない。また、特開平10−105567号公報には、各機関において事故に関するデータの検索、報告書の作成、事故の分析や診断加えて対策の策定を支援する安全管理支援システムが開示されているが、これは複数の機関からの事故情報を収集して機関のリスク管理を統括して行うものではない。
【0011】
本発明の第1の目的は、複数の医療機関で医療事故情報やニアミス情報、あるいは業務改善事例等を共有することにより、類似の医療事故を未然に防ぐことができる医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法を提供することにある。
【0012】
本発明の第2の目的は、規模の小さな病院でも簡単にリスク管理を導入できる医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法を提供することにある。
【0013】
本発明の第3の目的は、医療従事者が医療事故情報の提供を簡単に行うことができる医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法を提供することにある。
【0014】
本発明の第4の目的は、より効果的な分析をおこなうため多数の情報を収集することができる医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法を提供することにある。
【0015】
本発明の第5の目的は、第三者の立場にたった、公平なリスク管理が可能である医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法を提供することにある。
【0016】
本発明の第6の目的は、医療機関において事故防止対策を遅滞なく検討することができる医療機関のリスク管理システム及びリスク管理方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明は、医療機関のリスク管理を行うリスク管理システムであって、前記医療機関の端末と通信回線を介して接続され、前記医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、当該医療事故情報に基づく分析結果を前記医療機関に通知することによりリスク管理を行うリスク管理センターを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項2の本発明のリスク管理システムは、前記リスク管理センターが、前記医療機関の端末から送信され収集した前記医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知することを特徴とする。
【0019】
請求項3の本発明のリスク管理システムは、前記医療機関は、通知された前記改善勧告に対する改善対策の内容を、前記リスク管理センターに送信することを特徴とする。
【0020】
請求項4の本発明のリスク管理システムは、前記リスク管理センターは、前記通信回線を介して複数の前記医療機関の端末と接続され、収集した前記医療事故情報に基づき前記複数の医療機関を一括して管理することを特徴とする。
【0021】
請求項5の本発明のリスク管理システムは、前記リスク管理センターは、収集した前記医療事故情報又は前記改善対策の内容を他の医療機関に対して公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により、前記公開情報を前記通信回線を介して他の医療機関に対して提供することを特徴とする。
【0022】
請求項6の本発明のリスク管理システムは、前記リスク管理センターは、前記医療機関の端末からのアクセスに対して、前記医療機関の利用者から入力される識別情報に基づいて、正当な権限を有する利用者であるかどうかの認証を行なうことを特徴とする。
【0023】
請求項7の本発明のリスク管理システムは、前記医療機関の医療行為のカテゴリ毎にアンケート形式で前記医療事故情報を入力する入力用テンプレートを前記リスク管理センターから前記医療機関の端末に送信し、前記医療機関の端末において前記入力用テンプレートに前記医療事故情報を入力して送信することを特徴とする。
【0024】
請求項8の本発明のリスク管理システムは、前記医療機関の端末が、前記入力用テンプレートに入力した前記医療事故情報を、当該医療機関内における報告書として出力する機能を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項9の本発明のリスク管理システムは、前記リスク管理センターが、前記医療機関の端末からのアクセスに対する認証、前記医療事故情報の収集と分析を行う機能を有する情報管理サーバと、収集した前記医療事故情報を格納する情報データベースと、前記医療事故情報及び前記改善対策の内容を公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により前記公開情報を提供する情報提供サーバと、分析結果に基づき前記改善勧告の指示を行う管理者用端末とを備えることを特徴とする。
【0026】
請求項10の本発明は、医療機関のリスク管理を行うリスク管理方法であって、前記医療機関の端末と通信回線を介して接続されるリスク管理センターが、前記医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、前記医療機関の端末から送信され収集した前記医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知することを特徴とする。
【0027】
請求項11の本発明のリスク管理方法は、前記医療機関が、通知された前記改善勧告に対する改善対策の内容を、前記リスク管理センターに送信することを特徴とする。
【0028】
請求項12の本発明のリスク管理方法は、前記リスク管理センターは、前記通信回線を介して接続される複数の前記医療機関から収集した前記医療事故情報に基づき前記複数の医療機関を一括して管理することを特徴とする。
【0029】
請求項13の本発明のリスク管理方法は、前記リスク管理センターは、収集した前記医療事故情報を他の医療機関に対して公開可能に編集すると共に、公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により、前記公開情報を前記通信回線を介して他の医療機関に対して提供することを特徴とする。
【0030】
請求項14の本発明のリスク管理方法は、前記リスク管理センターは、前記医療機関の端末からのアクセスに対して、前記医療機関の利用者から入力される識別情報に基づいて、正当な権限を有する利用者であるかどうかの認証を行なうことを特徴とする。
【0031】
請求項15の本発明のリスク管理方法は、前記医療機関の医療行為のカテゴリ毎にアンケート形式で前記医療事故情報を入力する入力用テンプレートを前記リスク管理センターから前記医療機関の端末に送信し、前記医療機関の端末において前記入力用テンプレートに前記医療事故情報を入力して送信することを特徴とする。
【0032】
請求項16の本発明は、医療機関のリスク管理を行うリスク管理センターであって、前記医療機関の端末と通信回線を介して接続され、前記医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、当該医療事故情報に基づく分析結果を前記医療機関に通知することによりリスク管理を行うことを特徴とする。
【0033】
請求項17の本発明のリスク管理センターは、前記医療機関の端末から送信され収集した前記医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知することを特徴とする。
【0034】
請求項18の本発明のリスク管理センターは、前記医療機関から送信される前記改善勧告に対する改善対策の内容を受信し、格納することを特徴とする。
【0035】
請求項19の本発明のリスク管理センターは、前記通信回線を介して複数の前記医療機関の端末と接続され、収集した前記医療事故情報に基づき前記複数の医療機関を一括して管理することを特徴とする。
【0036】
請求項20の本発明のリスク管理センターは、収集した前記医療事故情報又は前記改善対策の内容を他の医療機関に対して公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により、前記公開情報を前記通信回線を介して他の医療機関に対して提供することを特徴とする。
【0037】
請求項21の本発明のリスク管理センターは、前記医療機関の端末からのアクセスに対して、前記医療機関の利用者から入力される識別情報に基づいて、正当な権限を有する利用者であるかどうかの認証を行なうことを特徴とする。
【0038】
請求項22の本発明のリスク管理センターは、前記医療機関の医療行為のカテゴリ毎にアンケート形式で前記医療事故情報を入力する入力用テンプレートを前記リスク管理センターから前記医療機関の端末に送信し、前記医療機関の端末から送信される前記入力用テンプレートに入力された前記医療事故情報を受信することを特徴とする。
【0039】
請求項23の本発明のリスク管理センターは、前記医療機関の端末からのアクセスに対する認証、前記医療事故情報の収集と分析を行う機能を有する情報管理サーバと、収集した前記医療事故情報を格納する情報データベースと、前記医療事故情報及び前記改善対策の内容を公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により前記公開情報を提供する情報提供サーバと、分析結果に基づき前記改善勧告の指示を行う管理者用端末とを備えることを特徴とする。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
本発明は、医療機関における医療事故情報および医療事故に至らないまでも医療事故に至る可能性があった事象(以下、「ニアミス」と称する)の情報をインターネット等の通信回線を通じて医療機関よりリスク管理センターに収集し、当該情報をもとに事故の発生傾向を統計的に分析し、その結果特定の医療機関の医療事故の発生率が他の医療機関と比べて高い、あるいは発生件数が増加傾向にある、複数の医療機関で同様な事故が発生した等の異常を感知した場合、対象となる医療機関に対して改善勧告を行う構成を提供するものである。また、特定の医療機器、器材に関連した事故が多い等、メーカ側に改善勧告を行う必要がある場合にも、本発明は有効に機能する。
【0042】
本発明は、医療事故情報の分析を常時監視できるため、異常をほぼリアルタイムに検知できる特徴を持つ。
【0043】
また、本発明は、事故傾向の分析にあたって、コンピュータによる統計的分析だけでなく、リスク管理の専門家(以下、「リスク管理者」と称する)の関与によりより正確な分析ができるように、リスク管理者に対して的確な情報提供ができる構成を提供する。分析作業は複数医療機関を一括して管理する機関であるリスク管理センターのリスク管理者が行うので、従来の様に各医療機関が専門知識を要するリスク管理者を配置することなく、容易にリスク管理を実施することができる。
【0044】
また、本発明は、できるだけ多くの医療機関から医療事故情報およびニアミス情報を収集することで精度の良い分析が可能であり、情報提供をしやすくするために情報提供者の匿名性を確保するための方法を提供する。また、入力の手間を軽減するために、医療行為をカテゴリ分けし、そのカテゴリごとに入力用テンプレートを提供し、アンケート形式で入力できる構成を提供する。また、入力した情報から院内用の報告書を出力できる機能を提供することで、情報提供と院内報告書作成に要する手間を省くことができる。
【0045】
さらに、収集した医療事故情報、ニアミス情報、分析結果、改善対策事例を公表するために情報提供サーバを配置し、インターネットを通じて情報を参照できる構成を提供する。このとき、利用者の参照権限の確認を行い、参照できる情報の範囲を制限できる構成を提供する。これによって、情報の機密性の確保と不当な利用を防止する効果がある。これらの情報は複数病院共有できるため、他病院の事例に学んで自病院の事故発生を未然に防止したり、改善対策をたてる場合に他病院の事例を参考にできる。これまで、これらの情報は各医療機関内で管理されており、他病院と共有されることは少なかったので、非常に有効な情報となりうる。
【0046】
図1は本発明の好適な実施の形態によるインターネットを利用した医療機関のリスク管理システムの構成を示すブロック図である。
【0047】
図1において、本実施の形態によるリスク管理システムは、リスク管理センター120と、当該リスク管理センター120とインターネット等の通信回線150を介して接続される複数の病院や医療機器及び医療機材のメーカー等からなる医療機関100、110を備える。
【0048】
リスク管理センター120には、情報提供サーバ121と、医療事故情報データベース122と、医療事故情報管理サーバ123と、管理者用端末124が備えられている。
【0049】
医療機関(A)100、医療機関(B)110には、それぞれ医療機関用端末101、111と、プリンタ102、112、ディスプレイ103、113が備えられている。なお、本実施の形態では、医療機関100、110が2つの場合について説明するが、この医療機関の数についてはいくつであってもよい。
【0050】
医療機関(A)100、医療機関(B)110においては、それぞれ日常の看護活動において医療事故またはニアミスが発生した場合、医療従事者が医療機関用端末101、111より医療事故情報を入力する。
【0051】
入力された医療事故情報は、通信回線150を介してリスク管理センター120へ送られ、リスク管理センター120の医療事故情報データベース122に格納される。このとき、医療機関用端末101、111に接続されたプリンタ102、112より当該医療機関内用の医療事故情報の報告書を出力することができる。
【0052】
医療事故情報データベース122に蓄積された医療事故情報は、医療事故情報管理サーバ123の分析プログラムによって統計的分析が行われ、その結果が管理者用端末124に表示される。
【0053】
リスク管理者は、表示された分析結果を精査すると共に異常を検出した場合、事故情報分析結果と共に改善勧告内容を管理者用端末124の画面より入力し、その改善勧告内容を医療事故情報に関係する医療機関100、110に送信する。
【0054】
改善勧告を受けた医療機関100、110では、医療機関内の検討組織で検討し改善対策内容を作成する。作成した改善対策内容は、公開用として医療機関用端末101、111から医療事故情報管理サーバ123を介して、情報提供サーバ121に登録される。
【0055】
情報提供サーバ121には、医療事故情報、事故情報分析結果、改善勧告の内容、改善対策の内容を第三者に公開可能な形に変換して格納してある。これらの情報が通信回線150を通して参照できるので、多くの病院等の医療機関で情報を共有することができ、他医療機関の事例を参考にして事故の発生を未然に予防する効果が期待できる。
【0056】
次に、図2から図6のフローチャートを参照して本実施の形態によるリスク管理システム全体の動作について詳細に説明する。
【0057】
まず、図2のフローチャートを参照して、医療事故情報の登録手順について詳細に説明する。
【0058】
医療事故やニアミスが発生した場合、医療従事者は医療機関用端末101、111より、医療事故やニアミスに関する情報である医療事故情報の登録を行う。この場合、まず各医療機関の各医療従事者に予め付与されている利用者識別情報(IDとパスワード等)を医療機関用端末101、111から送信する(ステップ201)。
【0059】
医療事故情報管理サーバ120は、受信した利用者識別情報(IDとパスワード)によって利用者認証を行い、正当な医療従事者であることが確認できると、医療事故情報の入力を行うための医療従事者用の業務選択画面を送信する(ステップ202)。
【0060】
医療機関用端末101、111のディスプレイ103、113には、医療従事者用の業務選択画面が表示される(ステップ203)。
【0061】
医療従事者は、業務選択画面から、医療事故情報入力業務を選択し、これから入力する情報のカテゴリを選択する(ステップ204)。
【0062】
ここでは、医療従事者が従事する各種医療行為が予め複数のカテゴリに分けられており、医療従事者は医療事故情報入力業務の選択において、そのカテゴリを選択することになる。
【0063】
医療事故情報管理サーバ123は、選択されたカテゴリ用のテンプレートを含む医療事故情報入力画面を医療機関用端末101、111に送信する(ステップ205)。上記カテゴリごとに、医療事故情報をアンケート形式で入力できる入力用テンプレートが用意されており、この入力用テンプレートが各医療機関100、110の医療機関用端末101、111に提供される。
【0064】
医療機関用端末101、111のディスプレイ103、113には、医療事故情報入力画面が表示される(ステップ206)。
【0065】
医療従事者は、表示された医療事故情報入力画面より医療事故情報を入力する(ステップ207)。この医療事故情報の入力は、上記アンケート形式のテンプレートによって手間なく簡単に行うことができる。入力された医療事故情報は、通信回線150を介してリスク管理センター120に送信される。
【0066】
また、医療従事者は、必要に応じて画面に表示されている印刷ボタン等を押すことで、医療機関内用の医療事故情報の報告書をプリンタ102、112に出力することができる。
【0067】
リスク管理センター120の医療事故情報管理サーバ123は、送信された医療事故情報を医療事故情報データベース122へ登録する(ステップ208)。
【0068】
また、医療事故情報管理サーバ123は、入力された医療事故情報を公開可能な形に編集する(ステップ209)。ここで、公開可能な形への編集とは、情報提供者の匿名性の確保、特定の医療機関を限定できる様な情報の修正、参照権限による参照制限のための制限コードの付与、情報検索のためのキーワード付与等が含まれている。公開用に編集された医療事故情報は、情報提供サーバ121に登録される(ステップ210)。
【0069】
医療事故情報管理サーバ123は、医療機関100、110に対して医療事故情報の登録完了画面を送信する(ステップ211)。医療機関用端末101、111は、送信された登録完了画面をディスプレイ103、113に表示する(ステップ212)。
【0070】
医療従事者が他の医療事故情報を継続して入力する場合、ステップ203からの処理を繰り返す。業務を終了する場合は、ログオフを行う(ステップ213、214)。
【0071】
次に、図3のフローチャートを参照して、医療事故情報分析手順について詳細に説明する。
【0072】
リスク管理者は、利用者識別情報(IDとパスワード等)を管理者用端末124から送信する(ステップ301)。
【0073】
医療事故情報管理サーバ123は、受信した利用者識別情報(IDとパスワード等)によって利用者認証を行い、正当なリスク管理者であることが確認できると、管理者用の業務選択画面を送信する(ステップ302)。
【0074】
管理者用端末124は、管理者用の業務選択画面を表示する(ステップ303)。リスク管理者は、表示された業務選択画面から医療事故情報分析業務を選択する(ステップ304)。
【0075】
医療事故情報管理サーバ123は、選択された医療事故情報分析業務画面を送信する(ステップ305)。管理者用端末124は、医療事故情報分析業務画面を表示する(ステップ306)。
【0076】
リスク管理者は、医療事故情報分析画面より分析用パラメータを入力する(ステップ307)。医療事故情報管理サーバ123は、あらかじめ登録されている分析プログラムを起動し、分析処理を実行する(ステップ308)。この分析プログラムについては、従来より提供されている種々のものを利用することができる。
【0077】
医療事故情報管理サーバ123は、分析処理が終了すると、分析結果表示画面を送信する。(ステップ309)。
【0078】
管理者用端末124は、送信された分析結果表示画面を表示する(ステップ310)。
【0079】
リスク管理者は、管理者用端末124上で、分析結果へのコメント入力および公開指示入力を行う(ステップ311)。リスク管理者は、分析結果に基づいて公開する必要があると判断した場合に、当該分析結果に対して公開を指示する。
【0080】
医療事故情報管理サーバ123は、リスク管理者よりコメントが入力され、かつ公開指示がなされた分析結果を公開用に編集する(ステップ312)。
【0081】
医療事故情報管理サーバ123は、公開用に編集された分析結果を情報提供サーバ121に登録する(ステップ313)。
【0082】
また、リスク管理者が必要と判断した場合(ステップ314)、図4で説明する改善勧告手順が実施される。
【0083】
次に、図4のフローチャートを参照して、改善勧告手順について詳細に説明する。
【0084】
リスク管理者は、利用者識別情報(IDとパスワード)を管理者用端末124から送信する(ステップ401)。
【0085】
医療事故情報管理サーバ123は、受信した利用者識別情報(IDとパスワード)で利用者認証を行い、正当なリスク管理者であることが確認できると、管理者用の業務選択画面を送信する(ステップ402)。
【0086】
管理者用端末124は、送信された管理者用の業務選択画面を表示する(ステップ403)。
【0087】
リスク管理者は、表示された業務選択画面から改善勧告業務を選択する(ステップ404)。
【0088】
医療事故情報管理サーバ123は、選択された改善勧告業務画面を送信する(ステップ405)。
【0089】
管理者用端末124は、送信された改善勧告業務画面を表示する(ステップ406)。
【0090】
リスク管理者は、管理者用端末124を操作して改善勧告業務画面より改善勧告内容を入力する(ステップ407)。
【0091】
医療事故情報管理サーバ123は、入力された改善勧告内容を情報提供サーバ121に登録する(ステップ408)。
【0092】
医療事故情報管理サーバ123は、改善勧告を登録したこと医療機関側の医療従事者に対して自動的に電子メールで通知する(ステップ409)。
【0093】
医療事故情報管理サーバ123は、登録完了画面を送信する(ステップ410)。
【0094】
管理者用端末124は、登録完了画面を受信して表示する(ステップ411)リスク管理者が、他の改善勧告を継続して処理する場合、ステップ406からの処理を繰り返す。業務を終了する場合は、ログオフを行う(ステップ412、413)。
【0095】
次に、図5のフローチャートを参照して、改善対策アップロード手順について詳細に説明する。
【0096】
医療従事者は、利用者識別情報(IDとパスワード)を医療機関用端末101、111から送信する(ステップ501)。
【0097】
医療事故情報管理サーバ123は、受信した利用者識別情報(IDとパスワード)で利用者認証を行い、正当な医療従事者であることが確認できると、医療従事者用の業務選択画面を送信する(ステップ502)。
【0098】
医療機関用端末101、111は、ディスプレイ103、113に医療従事者用業務選択画面を表示する(ステップ503)。
【0099】
医療従事者は、業務選択画面から改善対策登録業務を選択する(ステップ504)。
【0100】
医療事故情報管理サーバ123は、選択された改善対策登録業務画面を送信する(ステップ505)。
【0101】
管理者用端末101、111は、送信された改善対策登録業務画面を表示する(ステップ506)。
【0102】
医療従事者は、改善対策を格納した電子媒体を医療機関用端末101、111の読み取り装置にセットし、ファイル名を指定し登録ボタンをクリックする(ステップ507)。
【0103】
医療事故情報管理サーバ123は、改善対策を情報提供サーバ121に登録する(ステップ508)。
【0104】
医療事故情報管理サーバ123は、登録完了画面を送信する(ステップ509)。
【0105】
医療従事者用端末50Aは、登録完了画面を表示する(ステップ510)
医療従事者がが他の改善対策を継続して登録する場合、ステップ506からの処理を繰り返す。業務を終了する場合は、ログオフを行う(ステップ511、512)。
【0106】
次に、図6のフローチャートを参照して、公開情報参照手順について詳細に説明する。
【0107】
参照者である各医療機関100、110の医療従事者は、利用者識別情報(IDとパスワード)を医療機関用端末101、111から送信する(ステップ601)。
【0108】
医療事故情報管理サーバ60Bは、受信した利用者識別情報(IDとパスワード)に基づいて利用者認証を行い、正当な医療従事者であることが確認できると、利用者が参照権限を有する情報の一覧画面を送信する(ステップ602)。
【0109】
医療機関用端末101、111は、参照可能情報一覧画面を表示する(ステップ603)。
【0110】
医療従事者は、情報一覧や検索機能を使用し参照したい情報を選択する(ステップ604)。
【0111】
医療事故情報管理サーバ123は、選択された情報を情報提供サーバ121から読み取り送信する(ステップ605)。
【0112】
医療従事者用端末101、111は、送信された情報を画面に表示する(ステップ606)。
【0113】
医療従事者が継続して情報を参照する場合、ステップ603からの処理を繰り返す。業務を終了する場合は、ログオフを行う(ステップ607、608)
以上好ましい実施の形態をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0114】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、以下に述べるような優れた効果が達成される。
【0115】
第1の効果は、類似の医療事故を未然に防ぐことができることにある。その理由は、複数の医療機関で医療事故情報やニアミス情報、あるいは業務改善事例等を共有することができるため、他病院の事例に学び自病院での事故を未然に防ぐための対策がたてられるためである。
【0116】
第2の効果は、規模の小さな病院でも簡単にリスク管理を導入できることにある。その理由は、専門的教育を受けたリスク管理者はまだ数も少なく、規模の小さな医療機関においては専門家がいないのが現状であり、当該方法によれば医療機関は医療事故情報の入力さえおこなえば、リスク管理センターで専門のリスク管理者が常に監視して、異常があれば警告を発してくれるので、病院内に専門知識を必要とするリスク管理者を配置しなくて済むためである。
【0117】
第3の効果は、医療従事者が医療事故情報の提供を容易にできることにある。その理由は、医療行為をカテゴリ分けして、そのカテゴリごとに入力用のテンプレートを用意することで、入力はアンケート形式で必要事項にチェックするだけで済むためである。また、入力した情報から、院内用の報告書を出力できるため報告作業の重複がなくなるためである。
【0118】
第4の効果は、より効果的な分析をおこなうため多数の情報を収集することができることにある。その理由は、インターネットを使って情報を集めるため、特定の医療機関、特定の地域にかたよることなく、全国的に情報収集することも可能であることにある。
【0119】
第5の効果は、第三者の立場にたった、公平は管理が可能である点である。その理由は、リスク管理センターという医療機関から独立した機関が管理することで、情報提供者にとって匿名性が確保することで報告しやすくなり、より多くの情報が収集できる点と、分析に統計的手法を取り入れることで、より公平な分析結果を得られることにある。
【0120】
第6の効果は、医療機関において事故防止対策を遅滞なく検討することができる点である。その理由は、リスク管理センターで医療事故発生状況を常に監視し、異常があればすぐに警告を発するため、医療機関が早期に異常に気づき対策の検討を行えることにある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による医療機関のリスク管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態による医療機関のリスク管理システムにおける医療事故情報の登録手順を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態による医療機関のリスク管理システムにおける医療事故情報分析手順を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態による医療機関のリスク管理システムにおける改善勧告手順を説明するフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態による医療機関のリスク管理システムにおける改善対策アップロード手順を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態による医療機関のリスク管理システムにおける公開情報参照手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
100、110 医療機関
101、111 医療機関用端末
102、112 プリンタ
103、113 ディスプレイ
120 リスク管理センター
121 情報提供サーバ
122 医療事故情報データベース
123 医療事故情報管理サーバ
124 管理者用端末
150 通信回線
Claims (23)
- 医療機関のリスク管理を行うリスク管理システムであって、
前記医療機関の端末と通信回線を介して接続され、前記医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、当該医療事故情報に基づく分析結果を前記医療機関に通知することによりリスク管理を行うリスク管理センターを備えることを特徴とする医療機関のリスク管理システム。 - 前記リスク管理センターが、前記医療機関の端末から送信され収集した前記医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知することを特徴とする請求項1に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記医療機関は、通知された前記改善勧告に対する改善対策の内容を、前記リスク管理センターに送信することを特徴とする請求項2に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記リスク管理センターは、前記通信回線を介して複数の前記医療機関の端末と接続され、収集した前記医療事故情報に基づき前記複数の医療機関を一括して管理することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記リスク管理センターは、収集した前記医療事故情報又は前記改善対策の内容を他の医療機関に対して公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により、前記公開情報を前記通信回線を介して他の医療機関に対して提供することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記リスク管理センターは、前記医療機関の端末からのアクセスに対して、前記医療機関の利用者から入力される識別情報に基づいて、正当な権限を有する利用者であるかどうかの認証を行なうことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記医療機関の医療行為のカテゴリ毎にアンケート形式で前記医療事故情報を入力する入力用テンプレートを前記リスク管理センターから前記医療機関の端末に送信し、前記医療機関の端末において前記入力用テンプレートに前記医療事故情報を入力して送信することを特徴とする請求項1から請求項6に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記医療機関の端末が、前記入力用テンプレートに入力した前記医療事故情報を、当該医療機関内における報告書として出力する機能を備えることを特徴とする請求項7に記載の医療機関のリスク管理システム。
- 前記リスク管理センターが、
前記医療機関の端末からのアクセスに対する認証、前記医療事故情報の収集と分析を行う機能を有する情報管理サーバと、
収集した前記医療事故情報を格納する情報データベースと、
前記医療事故情報及び前記改善対策の内容を公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により前記公開情報を提供する情報提供サーバと、
分析結果に基づき前記改善勧告の指示を行う管理者用端末とを備えることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理システム。 - 医療機関のリスク管理を行うリスク管理方法であって、
前記医療機関の端末と通信回線を介して接続されるリスク管理センターが、前記医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、
前記医療機関の端末から送信され収集した前記医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知することを特徴とする医療機関のリスク管理方法。 - 前記医療機関が、通知された前記改善勧告に対する改善対策の内容を、前記リスク管理センターに送信することを特徴とする請求項10に記載の医療機関のリスク管理方法。
- 前記リスク管理センターは、前記通信回線を介して接続される複数の前記医療機関から収集した前記医療事故情報に基づき前記複数の医療機関を一括して管理することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の医療機関のリスク管理方法。
- 前記リスク管理センターは、収集した前記医療事故情報を他の医療機関に対して公開可能に編集すると共に、公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により、前記公開情報を前記通信回線を介して他の医療機関に対して提供することを特徴とする請求項10から請求項12の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理方法。
- 前記リスク管理センターは、前記医療機関の端末からのアクセスに対して、前記医療機関の利用者から入力される識別情報に基づいて、正当な権限を有する利用者であるかどうかの認証を行なうことを特徴とする請求項10から請求項13の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理方法。
- 前記医療機関の医療行為のカテゴリ毎にアンケート形式で前記医療事故情報を入力する入力用テンプレートを前記リスク管理センターから前記医療機関の端末に送信し、
前記医療機関の端末において前記入力用テンプレートに前記医療事故情報を入力して送信することを特徴とする請求項10から請求項14に記載の医療機関のリスク管理方法。 - 医療機関のリスク管理を行うリスク管理センターであって、
前記医療機関の端末と通信回線を介して接続され、前記医療機関における医療事故や医療事故に至る可能性のある事象に関する情報である医療事故情報を収集し、当該医療事故情報に基づく分析結果を前記医療機関に通知することによりリスク管理を行うことを特徴とする医療機関のリスク管理センター。 - 前記医療機関の端末から送信され収集した前記医療事故情報を分析し、その分析結果に基づき必要に応じて該当する医療機関に対して改善勧告を通知することを特徴とする請求項16に記載の医療機関のリスク管理センター。
- 前記医療機関から送信される前記改善勧告に対する改善対策の内容を受信し、格納することを特徴とする請求項17に記載の医療機関のリスク管理センター。
- 前記通信回線を介して複数の前記医療機関の端末と接続され、収集した前記医療事故情報に基づき前記複数の医療機関を一括して管理することを特徴とする請求項16から請求項18の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理センター。
- 収集した前記医療事故情報又は前記改善対策の内容を他の医療機関に対して公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により、前記公開情報を前記通信回線を介して他の医療機関に対して提供することを特徴とする請求項16から請求項19の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理センター。
- 前記医療機関の端末からのアクセスに対して、前記医療機関の利用者から入力される識別情報に基づいて、正当な権限を有する利用者であるかどうかの認証を行なうことを特徴とする請求項16から請求項20の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理センター。
- 前記医療機関の医療行為のカテゴリ毎にアンケート形式で前記医療事故情報を入力する入力用テンプレートを前記リスク管理センターから前記医療機関の端末に送信し、前記医療機関の端末から送信される前記入力用テンプレートに入力された前記医療事故情報を受信することを特徴とする請求項16から請求項21に記載の医療機関のリスク管理センター。
- 前記医療機関の端末からのアクセスに対する認証、前記医療事故情報の収集と分析を行う機能を有する情報管理サーバと、
収集した前記医療事故情報を格納する情報データベースと、
前記医療事故情報及び前記改善対策の内容を公開可能に編集して公開情報として格納し、他の医療機関からの要求により前記公開情報を提供する情報提供サーバと、
分析結果に基づき前記改善勧告の指示を行う管理者用端末とを備えることを特徴とする請求項16から請求項22の何れか1項に記載の医療機関のリスク管理センター。
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2002
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