JP2004138130A - Controller of power transmission - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車輪が滑った場合に、車輪に連結されている第1の回転部材と第2の回転部材との間の滑りを抑制することのできる動力伝達装置の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両に搭載される動力伝達装置には、摩擦伝動装置および歯車伝動装置などが用いられている。このような摩擦伝動装置を用いた動力伝達装置の一例として、ベルト式無段変速機が挙げられる。このベルト式無段変速機は、プライマリプーリおよびセカンダリプーリと、プライマリプーリおよびセカンダリプーリに巻き掛けられたベルトとを有している。このベルト式無段変速機においては、プライマリプーリとセカンダリプーリとの間で、摩擦力によりトルク伝達をおこなうために、ベルト式無段変速機のトルク容量を超えるトルクが、プライマリプーリまたはセカンダリプーリに入力された場合は、ベルトの滑りが生じる可能性がある。
【0003】
一方、ベルト式無段変速機のベルトの滑りを防止する制御装置が知られており、その制御装置の一例が、特許文献1(特許第2781902号公報)に記載されている。この特許文献1に記載されている車両は、エンジンのトルクが、前後進切換装置、ベルト式無段変速機、フロントデフ装置の車軸を経由して、前輪に伝達されるように構成されている。ベルト式無段変速機は、プライマリ軸およびセカンダリ軸を有し、プライマリ軸にプライマリプーリが設けられており、セカンダリ軸にセカンダリプーリが設けられている。プライマリプーリおよびセカンダリプーリは、固定プーリおよび可動プーリをそれぞれ有している。また、プライマリプーリおよびセカンダリプーリにエンドレスの駆動ベルトが掛け渡してある。
【0004】
このベルト式無段変速機の油圧制御系は、プライマリ軸およびセカンダリ軸に対応するシリンダを、それぞれ有している。さらに、ライン圧が変速比に応じて制御され、その油圧がセカンダリプーリのシリンダに作用するように構成されている。そして車輪のスリップが発生すると、ライン圧を高めて、セカンダリプーリにおけるベルトクランプ力を高く維持することにより、セカンダリプーリの急速な回転変化にともなうベルトスリップを防止し得るとされている。なお、車両の駆動輪のスリップに関連する技術としては、上記の特許文献1の他に、特許文献2(特許第2907537号公報)、特許文献3(特開2001−254814号公報)が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2781902号公報(第2頁右欄ないし第6頁右欄、第1図および第2図)
【特許文献2】
特許第2907537号公報
【特許文献3】
特開2001−254814号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1に記載されている制御装置においては、セカンダリプーリのシリンダに作用する油圧の上昇が遅れた場合、ベルトの滑りが発生する恐れがあった。
【0007】
この発明は上記事情を背景としてなされたものであって、車輪の滑りが発生した場合に、車輪に連結されている第1の回転部材と第2の回転部材との間の滑りを、可及的に抑制することのできる動力伝達装置の制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、第1の回転部材のトルクが第2の回転部材を経由して車輪に伝達されるように構成され、前記車輪の滑りによるトルクが前記第2の回転部材に伝達されて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間で滑りが発生した場合に、この滑りを抑制する制御を実行する動力伝達装置の制御装置において、前記車輪が滑る可能性の高低を判断する判断手段と、この判断手段により前記車輪が滑る可能性が高いと判断された場合は、前記車輪の滑りが発生する前に、前記滑りを抑制する制御の機能を高める準備制御を実行する準備手段と、前記準備制御が実行された後に、前記車輪の滑りが発生した場合は、前記滑りを抑制する制御を実行する滑り抑制制御実行手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項1の発明によれば、車輪が滑る可能性が高い場合は、車輪が滑る前に、第1の回転部材と第2の回転部材との間で発生する滑りを抑制する制御の機能が高められる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間の変速比を制御可能な変速機を有していることを特徴とするものである。
【0011】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間の変速比が制御される。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記第1の回転部材にはプライマリプーリが含まれており、前記第2の回転部材にはセカンダリプーリがまれているとともに、このプライマリプーリおよびセカンダリプーリに、環状のベルトが巻き掛けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の作用が生じる他に、プライマリプーリまたはセカンダリプーリとベルトとの間で発生する滑りを抑制する制御の機能が高められる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの構成に加えて、前記準備制御には、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間のトルク容量を増加する制御が含まれており、前記滑りを抑制する制御には、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間のトルク容量を、前記準備制御の場合における前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間のトルク容量よりも増加させる制御が含まれているとともに、前記判断手段により、前記車輪の滑る可能性が低いと判断された場合は、前記準備制御の実行を禁止する準備制御禁止手段を、更に備えていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の作用が生じる他に、車輪が滑る前に、第1の回転部材と第2の回転部材との間におけるトルク容量が増加される。このため、車輪が滑り、かつ、第1の回転部材と第2の回転部材との間におけるトルク容量を増加させる場合に、そのトルク容量を所定値まで早期に増加させられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
つぎに、この発明を具体例に基づいて説明する。図2には、この発明の動力伝達装置装置の制御装置を適用可能な車両Veのパワートレーンおよび制御系統の一例が、模式的に示されている。まず、車両Veのパワートレーンについて説明すれば、駆動力源1のトルクが、トルクコンバータ9および前後進切り換え機構8を介して、動力伝達装置としてのベルト式無段変速機4に伝達されるように構成されている。また、ベルト式無段変速機4のトルクが、デファレンシャル6を経由して前輪2に伝達されるように構成されている。
【0017】
前記駆動力源1としては、エンジンまたは電動機のうちの少なくとも一方を用いることができる。このエンジンとしては、例えば、内燃機関、具体的には、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどを用いることができる。以下、駆動力源1としてガソリンエンジンを用いる場合について説明し、便宜上、駆動力源1を“エンジン(E/G)1”と記す。
【0018】
前記トルクコンバータ9は、前記エンジン1と前後進切り換え機構8との間の動力伝達経路に設けられており、トルクコンバータ9は、エンジン1のクランクシャフト10と一体回転するポンプインペラ11と、ポンプインペラ11と対向するタービンランナ12とを有している。タービンランナ12はシャフト50と一体回転するように連結されている。これらのポンプインペラ11とタービンランナ12とには、多数のブレード(図示せず)が設けられており、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達をおこなうことができる。
【0019】
また、ポンプインペラ11とタービンランナ12との内周側の部分には、タービンランナ12から送り出されたフルードの流動方向を選択的に変化させてポンプインペラ11に流入させるステータ(図示せず)が配置されている。また、トルクコンバータ9と並列にロックアップクラッチ16が設けられている。ロックアップクラッチ16は、クランクシャフト10とシャフト50との間の動力伝達状態を制御するものである。さらに、ロックアップクラッチ16のトルク容量、具体的には、係合・解放・スリップが、油圧制御装置51により制御されるように構成されている。この油圧制御装置51にオイルを供給するオイルポンプ10Aは、エンジン1の動力により駆動される。
【0020】
前後進切り換え機構8は、エンジン1の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、シャフト50と、後述するプライマリシャフト51との間の動力伝達状態を切り換えるものである。具体的には、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を切り換える機能を備えている。なお、シャフト50とプライマリシャフト51とは同心状に配置されている。
【0021】
図2に示す例では、前後進切り換え機構8としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、シャフト50と一体回転するサンギヤ17と、サンギヤ17と同心状に配置されたリングギヤ18とが設けられ、これらのサンギヤ17とリングギヤ18との間に、サンギヤ17に噛合したピニオンギヤ19と、ピニオンギヤ19およびリングギヤ18に噛合した他のピニオンギヤ20とが配置され、ピニオンギヤ19,20がキャリヤ21によって、自転かつ公転自在に保持されている。
【0022】
さらに、サンギヤ17およびシャフト50と、キャリヤ21とを一体回転可能に連結する前進用クラッチ22が設けられている。またリングギヤ18を選択的に固定することにより、シャフト50の回転方向に対するプライマリシャフト51の回転方向を反転する後進用ブレーキ23が設けられている。上記前進用クラッチ22および後進用ブレーキ23の係合・解放は、油圧制御装置51により制御される。なお、プライマリシャフト51とキャリヤ21とが一体回転するように連結されている。
【0023】
前記ベルト式無段変速機4は、互いに平行に配置されたプライマリプーリ24とセカンダリプーリ25とを有する。まず、プライマリプーリ24は、プライマリシャフト51と一体回転するように構成されており、プライマリプーリ24は、固定シーブ52と、プライマリシャフト51の軸線方向に動作させられる可動シーブ53とを有している。また、可動シーブ53を軸線方向に動作させる油圧サーボ機構26が設けられている。そして、固定シーブ52と可動シーブ53との間に溝が形成されている。
【0024】
これに対して、セカンダリプーリ25は、セカンダリシャフト55と一体回転するように構成されており、セカンダリプーリ25は、固定シーブ54と、セカンダリシャフト55の軸線方向に動作させられる可動シーブ56とを有している。さらに、可動シーブ56を軸線方向に動作させる油圧サーボ機構27が設けられている。そして、固定シーブ54と可動シーブ56との間に溝が形成されている。さらに、プライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25には環状のベルト28が巻き掛けられている。
【0025】
さらにまた、上記油圧サーボ機構26,27の各シリンダに作用する油圧は、油圧制御装置51により制御される。さらに、セカンダリシャフト55には、歯車伝動装置29を経由してデファレンシャル6が連結されており、デファレンシャル6には、ドライブシャフト57を介して前輪2が連結されている。なお、前輪2の他に後輪(図示せず)が設けられており、エンジントルクは後輪には伝達されない。つまり、図2に示された車両Veは、F・F(フロントエンジン・フロントドライブ)形式の2輪駆動車である。
【0026】
つぎに、図2に示された車両Veの制御系統を説明する。まず、無段変速機用電子制御装置(CVT・ECU)58、エンジン用電子制御装置59、アンチロック・ブレーキ・システム用電子制御装置(ABS・ECU)60が設けられている。これらの電子制御装置58,59,60は、いずれも演算処理装置(CPUまたはMPU)と、記憶装置(RAMおよびROM)と、入出力インターフェースとを有するマイクロコンピュータにより構成されており、各電子制御装置58,59,60同士の間で相互に信号通信が可能である。
【0027】
無段変速機用電子制御装置58には、シフト装置61の操作により選択されるシフトポジションの信号、プライマリシャフト51の回転速度(Nin)を検知する入力回転速度センサ62の信号、セカンダリシャフト55の回転速度(Nout )を検知する出力回転速度センサ63の信号、前輪2の回転速度を検知する車輪回転速度センサ64の信号、シャフト50の回転速度を検出するセンサ65の信号などが入力される。
【0028】
エンジン用電子制御装置59には、エンジン回転速度(Ne)センサの信号、エンジン負荷センサの信号、スロットル開度センサの信号、アクセル開度センサの信号、ブレーキスイッチの信号などが入力される。アンチロック・ブレーキ・システム用電子制御装置60には、エンジン1のトルクが伝達されない車輪、具体的には後輪の回転速度を検知するセンサの信号などが入力される。なお、出力回転速度センサ63の信号または車輪回転速度センサの信号により、車速が演算される。
【0029】
これに対して、無段変速機用電子制御装置58から油圧制御装置51に対して、ロックアップクラッチ16、前進用クラッチ22、後進用ブレーキ23、油圧サーボ機構26,27などを制御する信号が出力される。また、エンジン用電子制御装置59からは、エンジン1の出力(回転速度×トルク)を制御する信号が出力される。アンチロック・ブレーキ・システム用電子制御装置60からは、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に、前輪2および後輪がロックすることを抑制する制御信号が出力される。
【0030】
上記のように構成された車両Veにおいて、エンジン出力は、例えば、燃料噴射時期、燃料噴射量、点火時期、吸入空気量などに基づいて制御される。エンジン1から出力されたトルクは、トルクコンバータ9またはロックアップクラッチ16を経由して前後進切り換え機構8に伝達される。前後進切り換え機構8から出力されるトルクは、ベルト式無段変速機4および歯車伝動装置29を経由して前輪2に伝達されて、駆動力が発生する。
【0031】
上記のトルク伝達時に、前記ロックアップクラッチ16が解放された場合は、ポンプインペラ11とタービンランナ12との間で、流体の運動エネルギにより動力伝達がおこなわれる。これに対して、ロックアップクラッチ16が係合された場合は、クランクシャフト10とシャフト50との間で、ロックアップクラッチ16の摩擦力により動力伝達がおこなわれる。
【0032】
一方、シフト装置61により、前進ポジションが選択された場合は、前後進切換機構8の前進用クラッチ22が係合され、かつ、後進用ブレーキ23が解放される。すると、シャフト50とキャリヤ21とプライマリシャフト51とが一体回転し、シャフト50のトルクがプライマリシャフト51に伝達される。このとき、シャフト50およびプライマリシャフト51が同方向に回転する。
【0033】
これに対して、シフト装置61により、後進ポジションが選択された場合は、前進用クラッチ22が解放され、かつ、後進用ブレーキ23が係合される。すると、エンジントルクがサンギヤ17に伝達された場合に、リングギヤ18が反力要素となって、サンギヤ17のトルクがキャリヤ21を経由してプライマリシャフト51に伝達される。この場合、シャフト50とプライマリシャフト51とは逆方向に回転する。
【0034】
上記のようにして、エンジントルクがプライマリシャフト51に伝達されるとともに、無段変速機用電子制御装置58に入力される各種の信号、および無段変速機用電子制御装置58に予め記憶されているデータに基づいて、ベルト式無段変速機4の制御が実行される。例えば、車速、アクセル開度、変速マップなどに基づいてベルト式無段変速機4の変速制御が実行される。すなわち、プライマリシャフト51の軸線方向における可動シーブ53の位置が制御されて、プライマリプーリ24の溝幅が調整される。
【0035】
すると、プライマリプーリ24に対するベルト28の巻掛け半径が連続的に変化し、変速比、すなわち、プライマリシャフト51の回転速度と、セカンダリシャフト55の回転速度との比が、無段階に変化する。また、セカンダリシャフト55の軸線方向における可動シーブ56の位置が制御されて、ベルト28に対するセカンダリプーリ25の挟圧力が調整される。このようにして、プライマリプーリ24とセカンダリプーリ25との間で、ベルト28を経由して伝達されるトルクの容量が制御される。
【0036】
上記のベルト式無段変速機4においては、ベルト28とプライマリプーリ24とセカンダリプーリ25との接触部分に発生する摩擦力により、プライマリプーリ24とセカンダリプーリ25との間で動力伝達がおこなわれる。このため、ベルト28の滑りが生じると、ベルト式無段変速機4で動力伝達効率が低下する可能性があるとともに、ベルト式無段変速機4を構成する部品であって、トルク伝達に関与する部品、例えば、ベルト28およびプライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25の摩耗や焼き付きが発生し、これらの部品の耐久性が損なわれる可能性がある。この不具合を回避するために、ベルト28に加えられる挟圧力は、ベルト式無段変速機4に入力されるトルクに基づいて決まる挟圧力、具体的には、ベルト28の滑り量を所定量以下に抑制できる挟圧力に制御される。
【0037】
なお、上記の“ベルト28の滑り”とは、“ベルト28に加えられる挟圧力に基づいて決まるベルト式無段変速機4のトルク容量よりも、ベルト式無段変速機4に入力されるトルクの方が高くなり、ベルト28と、プライマリプーリ24またはセカンダリプーリ25の少なくとも一方とが、接触部分で、回転方向に所定量以上の範囲で相対移動すること。”を意味する。
【0038】
ところで、図2に示す車両Veにおいては、エンジン1と前輪2との間の動力伝達経路にベルト式無段変速機4が配置されている。このため、エンジントルクがプライマリシャフト51を経由してベルト式無段変速機4に入力される場合(以下、正入力と呼ぶ)と、前輪2の運動エネルギに対応するトルクが、セカンダリシャフト55を経由してベルト式無段変速機4に入力される場合(以下、逆入力と呼ぶ)とがある。例えば、摩擦係数が所定値以下である路面(以下、「低μ路」と記す。)を車両Veが走行して、前輪2の滑りが発生した場合に、上記の逆入力が起きる。この逆入力により、ベルト28の滑りが発生することを抑制する制御例を説明する。
【0039】
(第1の制御例)
まず、第1の制御例を図1のフローチャートに基づいて説明すると、前輪2および後輪の回転速度の信号が読み込まれる(ステップS1)。このステップS1で読み込まれた前輪2の回転速度に基づいて、路面の摩擦状態を検出する処理がおこなわれる(ステップS2)。具体的には、前輪2の回転速度センサ64の信号の周波数変動を定量化する処理がおこなわれる。この処理により、車輪で発生する駆動力に対して、路面で発生する反力が求められる。
【0040】
このステップS2の処理の結果に基づいて、車両Veが低μ路を走行しているか否かが判断される(ステップS3)。具体的には、ステップS2で求められた反力と、予め記憶されている所定のしきい値とを比較して、車両Veが低μ路を走行しているか否かが判断される。このステップS3で肯定的に判断された場合は、路面状態モードを示すフラグFが判断される(ステップS4)。このステップS4において、フラグF=0(零)であることが判断された場合は、ステップS5に進む。このステップS5においては、タイヤスリップ判断に用いる検出しきい値として、“低μ路時タイヤスリップ用のしきい値”がセットされる。このステップS5についで、フラグF=1がセットされる(ステップS6)。
【0041】
一方、前記ステップS3で否定的に判断された場合は、路面状態モードを示すフラグFが判断される(ステップS7)。このステップS7において、フラグF=1であることが判断された場合は、ステップS8に進む。このステップS8においては、検出しきい値として、“通常μ路時タイヤスリップ用のしきい値”がセットされる。ステップS8で設定されるしきい値Δγ1は、ステップS5で設定されるしきい値Δγ2よりも大きい値である。このステップS8についで、フラグF=0がセットされる(ステップS9)。
【0042】
上記のステップS6またはステップS9についで、ステップS10の処理が実行される。また、ステップS4でフラグF=1であることが判断された場合、または、ステップS7でフラグF=0であることが判断された場合も、ステップS10に進む。このステップS10においては、前輪2の滑りが発生しているか否かが判断される。例えば、
▲1▼前輪2の回転速度と他の車輪の回転速度との差、または、前輪2の回転速度と他の車輪の回転速度との差の時間微分値と、
▲2▼ステップS5またはステップS8でセットされたしきい値と
に基づいて、前輪2の滑りが発生しているか否かを判断することができる。
【0043】
なお、ステップS4から、ステップS5を経由することなくステップS10に進んだ場合、またはステップS7からステップS8を経由することなくステップS10に進んだ場合であっても、フラグFが1または0に設定されていると言うことは、前回のルーチンにより、いずれかのしきい値がセットされている。
【0044】
そして、ステップS10で肯定的に判断された場合は、タイヤスリップ時制御を実行し(ステップS11)リターンする。ステップS11では、ベルト28の滑りを抑制する制御、例えば、セカンダリプーリ25からベルト25に加えられる挟圧力を増加する制御、または、エンジントルクを低下させる制御、ベルト式無段変速機4の変速比を小さくする制御のうち、少なくとも1つの制御がおこなわれる。なお、ステップS10で否定的に判断された場合は、そのままリターンする。
【0045】
つぎに、第1の制御例および比較例に対応するタイムチャート例を、図3に基づいて説明する。まず、図3では、時刻t1において、路面低摩擦状態検出信号が、オフからオンに切り換わっている。ここで、前記ステップS3で否定的に判断された場合は、路面低摩擦状態検出信号がオフであり、ステップS3で肯定判断された場合は、路面低摩擦状態検出信号がオンである。なお、“路面低摩擦状態”とは、前述の“低μ路”を意味する。
【0046】
また、タイヤ滑り検出値も、時刻t1以降は増加している。そして、第1の制御例では、時刻t2において、タイヤ滑り検出値が、前述のステップS5でセットしたしきい値Δγ2以上になると、タイヤ滑り信号がオフからオンに切り換えられる。すなわち、ステップS10で肯定判断される。
【0047】
これに対して、比較例では、時刻t2以後、タイヤ滑り検出値が更に増加して、タイヤ滑り検出値が所定のしきい値以上となる時刻t3において、タイヤ滑り信号がオンからオフに切り換えられる。ここでは、比較例のしきい値として、前述のしきい値Δγ1を用いている。
【0048】
その後、時刻t4で路面低摩擦状態検出信号がオンからオフに切り換わるとともに、タイヤ滑り検出値も減少している。そして、時刻t5において、第1の制御例および比較例のタイヤ滑り信号が、共にオンからオフに切り換わっている。このように、図3のタイムチャートにおいては、時刻t1から時刻t4の間、路面が低μ路であると判断されている。そして、時刻t2から時刻t3に至るまでの時間分、第1の制御例の方が比較例よりも早期に、タイヤ滑り検出信号がオンされている。
【0049】
つぎに、第1の制御例および比較例に対応する他のタイムチャート例を、図4に基づいて説明する。この図4のタイムチャートは、タイヤスリップ時制御として、ベルトに加える挟圧力を増加させる制御を実行する場合を示している。まず、図4では、時刻t6において、低μ路検出信号が、オフからオンに切り換わっている。そして、第1の制御例では、時刻t7において、タイヤ滑り信号がオフからオンに切り換えられるとともに、時刻t7から時刻t8に至る間に、ベルトに加えられる挟圧力が増加される。そして、時刻t9以降は所定のベルト挟圧力に制御されている。
【0050】
これに対して、比較例では、時刻t8以後の時刻t9において、タイヤ滑り信号がオフからオンに切り換えられるとともに、時刻t9から時刻t10に至る間に、ベルトに加えられる挟圧力が増加される。そして、時刻t10以降は所定のベルト挟圧力に制御されている。
【0051】
そして、時刻t11で低μ路検出信号がオンからオフに切り換わるとともに、第1の制御例および比較例のタイヤ滑り検出信号が、共にオンからオフに切り換えられている。その後、第1の制御例および比較例のベルト挟圧力が、共に低下させられている。このように、図4のタイムチャートにおいては、時刻t6から時刻t11の間、路面が低μ路であると判断されている。そして、ベルトに加えられる挟圧力が目標値まで増加される時期は、時刻t8から時刻t10に至るまでの時間Δs分、第1の制御例の方が比較例よりも早い。なお、図3のタイムチャートの時刻と、図4のタイムチャートの時刻とに、対応関係はない。
【0052】
このように、第1の制御例によれば、車両Veの走行する路面が低μ路であると判断された場合は、前輪2の滑りが発生する前に、低μ路時タイヤスリップ用のしきい値を選択する。このため、ステップS11でタイヤスリップ時制御を実行する場合に、ベルトの滑りに対する制御の遅れを回避できる。具体的には、前輪2の滑りが発生した場合に、
▲1▼ベルト28に加えられる挟圧力を、なるべく早期に目標値まで増加すること、
▲2▼ベルト式無段変速機4の変速比を小さくする制御をなるべく早期に完了させること、
▲3▼エンジントルクをなるべく早期に所定値まで低下させること、
のうちの少なくとも1つの制御を実行できる。
【0053】
したがって、第1の制御例によれば、ベルト28の滑りを抑制することができ、ベルト28およびプライマリプーリ24およびセカンダリプーリ25の耐久性が向上する。また、ベルト式無段変速機4における動力伝達効率の低下を抑制できる。さらに、ステップS3からステップS8に進んだ場合は、ステップS3からステップS5に進んだ場合に比べて、ベルトに加える挟圧力の増加時期が遅くなる。このため、ベルトに加える挟圧力の増加時期を遅らせた分、オイルポンプ10Aを駆動するエンジン1の動力損失を低減できる。
【0054】
(第2の制御例)
つぎに、第2の制御例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。図5のフローチャートの処理において、図1のフローチャートの処理と同じ処理については、同じステップ番号を付してある。図5のフローチャートにおいては、ステップS4でフラグF=0であると判断された場合に、ステップS12を経由してステップS5に進む。このステップS12においては、油圧サーボ機構27の油圧制御として、“低μ路時に対応する油圧制御”が選択される。
【0055】
一方、図5のフローチャートにおいては、ステップS7でフラグF=1であると判断された場合に、ステップS13を経由してステップS8に進む。このステップS13においては、油圧サーボ機構27の油圧制御として、“通常μ路時に対応する油圧制御”が選択される。ここで、“低μ路時に対応する油圧制御”により、油圧サーボ機構27のシリンダに作用する油圧は、“通常μ路時に対応する油圧制御”により、油圧サーボ機構27のシリンダに作用する油圧よりも高く設定される。
【0056】
この第2の制御例および比較例に対応するタイムチャート例を、図6に基づいて説明する。この図6のタイムチャートは、タイヤスリップ時制御として、ベルトに加える挟圧力を増加させる制御を実行する場合を示している。まず、図6では、時刻t12において、低μ路検出信号が、オフからオンに切り換わっている。また、タイヤ滑り検出信号は時刻t13でオフからオンに切り換わっている。この第2の制御例では、時刻t12から時刻t13の間で、ベルトに加えられる挟圧力が待機値まで高められるとともに、高められた挟圧力が時刻t13まで維持されている。
【0057】
ついで、時刻t13になると、第2の制御例では、ベルトに加えられる挟圧力が、時刻13よりも前の挟圧力よりも更に高められ、時刻t14以降は目標値力に維持されている。これに対して、比較例では、時刻t13よりも前には、ベルトに加えられる挟圧力を高める制御は実行されない。比較例では、時刻t13からベルトに加える挟圧力が高められるとともに、時刻t15以降は目標値に維持されている。
【0058】
その後、時刻t16で低μ路検出信号が、オンからオフに切り換わるととともに、タイヤ滑り信号がオンからオフに切り換わっている。ついで、ベルトに加えられる挟圧力が、第2の実施例および比較例で共に低下している。この図6のタイムチャートにおいては、時刻t12から時刻t16に至る間、路面が低μ路であると判断されている。
【0059】
このように、第2の制御例によれば、低μ路検出信号がオンされた場合は、タイヤ滑り信号がオンされる前に、ベルトに加える挟圧力を高める制御を実行する。このため、ベルトに加えられる挟圧力を目標値まで高める時期が、時刻t14から時刻t15に至る時間Δs2分、第2の実施例の方が比較例よりも早い。
【0060】
このように、第2の制御例によれば、車両Veの走行する路面が低μ路であると判断された場合は、前輪2の滑りが発生する前に、ベルト28に加えられる挟圧力を待機値まで高めている。このため、前輪2の滑りが発生した場合は、ベルト28に加えられる挟圧力を、なるべく早期に目標値まで高めることができる。したがって、ベルト28の滑りを一層確実に抑制することができる。
【0061】
なお、図5において、ステップS3からステップS13に進んだ場合は、ステップS3からステップS12に進んだ場合に比べて、ベルトに加える挟圧力が低い。このため、ベルトに加えられる挟圧力が低い分、オイルポンプ10Aを駆動するエンジン1の動力損失を低減できる。さらに、第2の制御例において、第1の制御例と同様の処理部分については、第1の制御例と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
上記の第1の制御例および第2の制御例において、低μ路としては、凹凸の激しい道路、積雪した道路、雹や霰が存在する道路、凍結した道路、油や水で濡れた道路などが挙げられる。さらに、図1および図5のステップS3において、公知のナビゲーションシステムから得られる情報に基づいて、路面が低μ路であるか否かを判断する制御ルーチンを実行することもできる。このような制御ルーチンを実行すれば、ナビゲーションシステムから得られる天候情報に基づいて、路面が低μ路であるか否かを、間接的に判断することもできる。このような制御ルーチンを実行すれば、車両が現在走行している道路の路面摩擦状態を判定できることに加えて、車両が、将来走行すると予測される道路(走行予定道路)の路面摩擦状態を、車両が走行予定道路に到達する前に判定することができ、ベルトの滑りを抑制する制御の機能を、一層高めることができる。
【0063】
さらに、第2の制御例においては、ステップS12で、低μ路時用のエンジントルク制御、または低μ路時用の変速比制御を実行することもできる。ここで、低μ路時用のエンジントルク制御としては、例えば、アクセル開度と、アクセル開度に対応するスロットル開度(言い換えれば、吸入空気量)との対応関係を調整する制御が挙げられる。具体的には、アクセル開度の増加にともなうエンジン回転速度の上昇程度は、低μ路時用のエンジントルク制御が選択された場合の方が、低μ路時用以外のエンジントルク制御が選択された場合よりも、少なく、言い換えれば、緩慢となるように、調整する制御を実行することができる。
【0064】
ここで、図1、図5に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、ステップS2およびステップS3が、この発明の判断手段に相当し、ステップS5およびステップS12が、この発明の準備手段に相当し、ステップS10およびステップS11が、この発明の滑り抑制制御実行手段に相当し、ステップS8が、この発明の準備制御禁止手段に相当する。
【0065】
また、ベルト28の滑りが、この発明の“第1の回転部材と第2の回転部材との間で生じる滑り”に相当し、ステップS11で実行される処理の少なくとも1つが、この発明の“第1回転部材と第2回転部材との間で生じる滑りを抑制する制御”に相当し、ステップS5でしきい値をセットする処理が、この発明の準備制御(言い換えれば、事前制御または待機制御)に相当する。また、滑りを抑制する制御の機能を高める準備制御とは、ベルト28の滑りが発生した時点から、ベルト28に加えられる挟圧力、またはベルト式無段変速機4の変速比、またはエンジントルクのうちの少なくとも1つが目標値に達するまでの時間を、可及的に短くすることのできる制御を意味する。さらに、油圧サーボ機構27に作用する油圧を高める制御、ベルト28に加えられる挟圧力を増加する制御が、この発明のトルク容量を増加する制御に相当する。
【0066】
つぎに、この実施例で述べた構成と、この発明の構成との対応関係を説明すれば、プライマリプーリ24がこの発明の第1の回転部材に相当し、セカンダリプーリ25がこの発明の第2の回転部材に相当する。また、ベルト式無段変速機4が、この発明の変速機および動力伝達装置に相当し、油圧制御装置51および無段変速機用電子制御装置58およびエンジン用電子制御装置59がこの発明の制御装置に相当する。
【0067】
なお、図2のパワートレーンでは、変速機として、変速比を連続的に制御することのできる無段変速機、具体的には、ベルト式無段変速機4が用いられているが、他の無段変速機、例えば、トロイダル式無段変速機を有する車両に対しても、この発明を適用可能である。トロイダル式無段変速機は、トロイダル面を有する入力ディスクおよび出力ディスクと、各ディスクに対して接触するパワーローラとを有する変速機である。各ディスクとパワーローラとの接触面には潤滑油が存在する。そして、パワーローラを、各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させて、パワーローラと各ディスクとの接触半径を調整することにより、入力ディスクと出力ディスクとの間の変速比が制御される。また、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整することにより、入力ディスクと出力ディスクとの間で伝達されるトルクの容量が制御される。
【0068】
すなわち、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を高圧にすると、潤滑油がガラス状になり、いわゆるトラクション伝動(せん断力)により、入力ディスクと出力ディスクとの間で動力の伝達がおこなわれる。このように、各ディスクとパワーローラとの接触面圧を調整するための油圧サーボ機構が設けられている。油圧サーボ機構は、ピストンと、各ピストンを動作させる第1の油圧室とを有している。また、パワーローラを各ディスクの軸線に直交する平面内で直線状に移動させる油圧サーボ機構が設けられている。この油圧サーボ機構は、第2の油圧室を有している。このトロイダル式無段変速機におけるトルク容量は、第1の油圧室の油圧に応じて、各ディスクに加えられる軸線方向の挟圧力により制御される。このトロイダル式無段変速機においては、車輪の滑りが発生すると、その滑りに対応するトルクが、出力ディスクからパワーローラを経由して入力ディスクに伝達される際に、パワーローラと出力ディスクまたは入力ディスクとの間で滑りが発生する可能性がある。
【0069】
このようなトロイダル式無段変速機に対して、請求項1ないし3の発明を適用することができる。この場合、入力ディスクがこの発明の第1の回転部材に相当し、出力ディスクがこの発明の第2の回転部材に相当する。
【0070】
さらに、駆動力源と車輪との間に、動力伝達装置としての摩擦式クラッチが設けられている車両に対しても、請求項1ないし3の発明を適用することができる。摩擦式クラッチの配置位置は、駆動力源と変速機との間の動力伝達経路、または、変速機と車輪との間の動力伝達経路、または有段変速機の一部のいずれであってもよい。この摩擦式クラッチは、例えば、第1の回転部材に設けられた摩擦材と、第2の回転部材に設けられた摩擦材とにより構成される。そして、油圧制御装置(図示せず)などにより、クラッチの係合圧が制御される。
【0071】
以上のように、各請求項の発明は、第1の回転部材と第2の回転部材とが直接接触する構造の動力伝達装置(例えば、摩擦式クラッチ)、または、第1の回転部材と第2の回転部材とが、中間部材(ベルト、パワーローラ)を介して動力伝達可能に連結される構造(例えば、ベルト式無段変速機、トロイダル式無段変速機)の動力伝達装置のいずれにも適用可能である。したがって、この発明の“第1の回転部材と第2の回転部材との間で発生する滑り”には、第1の回転部材と第2の回転部材との接触部分における滑りと、第1の回転部材または第2の回転部材と、中間部材との接触部分で生じる滑りとが含まれる。
【0072】
さらに、この発明は、二輪駆動車(前輪駆動車、後輪駆動車のいずれでもよい)、四輪駆動車のいずれにも適用できる。すなわち、前輪または後輪のうち、少なくとも一方の車輪の滑りが発生した場合に、この車輪に動力伝達可能に連結されている第1の回転部材と第2の回転部材との間の滑りを抑制する制御装置に適用できる。
【0073】
また、特許請求の範囲の各請求項に記載されている「判断手段」を、「判断器」または「判断コントローラ」と読み替えることもできる。この場合、実施例で説明した無段変速機用電子制御装置58、エンジン用電子制御装置59、アンチロック・ブレーキ・システム用電子制御装置60が、「判断器」および「判断コントローラ」に相当する。また、各請求項に記載されている「変速機」を「バリエータ」と読み替えることもできる。さらにまた、各請求項に記載されている「判断手段」を、「判断ステップ」と読み替え、「動力伝達装置の制御装置」を、「動力伝達装置の制御方法」と読み替えることもできる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、車輪が滑る可能性が高い場合は、車輪が滑る前に、第1の回転部材と第2の回転部材との間で発生する滑りを抑制する機能を高めることができる。したがって、車輪が実際に滑った場合は、その車輪の滑りに対して、第1の回転部材と第2の回転部材との間で滑りが発生することを抑制する制御の応答性の低下を抑制できる。
【0075】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる他に、第1の回転部材と第2の回転部材との間の変速比が制御される。
【0076】
請求項3の発明によれば、請求項2の発明と同様の効果を得ることができる他に、プライマリプーリまたはセカンダリプーリとベルトとの間で発生する滑りを抑制する機能を高めることができる。
【0077】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3のいずれかの発明と同様の効果を得ることができる他に、車輪が滑る前に、第1の回転部材と第2の回転部材との間におけるトルク容量を増加できる。このため、車輪が滑り、かつ、第1の回転部材と第2の回転部材との間におけるトルク容量を増加させる場合に、そのトルク容量を所定値まで早期に増加することができる。したがって、第1の回転部材と第2の回転部材との間で滑りが生じることを抑制する制御の応答性が、一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の制御装置の第1の実施例を示すフローチャートである。
【図2】この発明の制御装置を適用可能な車両のパワートレーンおよびその制御系統を示す概念図である。
【図3】図1のフローチャートに対応するタイムチャート例である。
【図4】図1のフローチャートに対応するタイムチャート例である。
【図5】この発明の制御装置の第2の実施例を示すフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートに対応するタイムチャート例である。
【符号の説明】
2…前輪、 4…ベルト式無段変速機、 24…プライマリプーリ、 25…セカンダリプーリ、 28…ベルト、 58…無段変速機用電子制御装置、 59…エンジン用電子制御装置、 60…アンチロック・ブレーキ・システム用電子制御装置。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
BACKGROUND OF THE
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a friction transmission, a gear transmission, and the like have been used as a power transmission device mounted on a vehicle. An example of a power transmission device using such a friction transmission device is a belt-type continuously variable transmission. This belt-type continuously variable transmission has a primary pulley and a secondary pulley, and a belt wound around the primary pulley and the secondary pulley. In this belt-type continuously variable transmission, torque exceeding the torque capacity of the belt-type continuously variable transmission is applied to the primary pulley or the secondary pulley because torque is transmitted between the primary pulley and the secondary pulley by frictional force. If input, belt slippage may occur.
[0003]
On the other hand, a control device for preventing a belt from slipping in a belt-type continuously variable transmission is known, and an example of the control device is described in Patent Literature 1 (Japanese Patent No. 2781902). The vehicle described in
[0004]
The hydraulic control system of the belt-type continuously variable transmission has cylinders corresponding to the primary shaft and the secondary shaft, respectively. Further, the line pressure is controlled according to the speed ratio, and the hydraulic pressure acts on the cylinder of the secondary pulley. When a wheel slip occurs, the line pressure is increased to maintain a high belt clamping force on the secondary pulley, thereby preventing a belt slip caused by a rapid change in rotation of the secondary pulley. In addition, as a technique related to the slip of the driving wheel of the vehicle, in addition to the above-mentioned
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Patent No. 2781902 (page 2 right column to
[Patent Document 2]
Japanese Patent No. 2957537
[Patent Document 3]
JP 2001-254814 A
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the control device described in
[0007]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and in a case where a wheel has slipped, a slip between a first rotating member and a second rotating member connected to the wheel can be reduced. It is an object of the present invention to provide a control device for a power transmission device that can be suppressed in terms of power.
[0008]
Means for Solving the Problems and Their Functions
In order to achieve the above object, the invention according to
[0009]
According to the invention of
[0010]
According to a second aspect of the present invention, in addition to the configuration of the first aspect, there is provided a transmission capable of controlling a speed ratio between the first rotating member and the second rotating member. Is what you do.
[0011]
According to the second aspect of the invention, in addition to the same effect as the first aspect of the invention, the speed ratio between the first rotating member and the second rotating member is controlled.
[0012]
According to a third aspect of the present invention, in addition to the configuration of the second aspect, the first rotating member includes a primary pulley, and the second rotating member includes a secondary pulley. An annular belt is wound around the pulley and the secondary pulley.
[0013]
According to the third aspect of the present invention, in addition to the same effect as that of the second aspect of the present invention, the control function for suppressing the slippage between the primary pulley or the secondary pulley and the belt is enhanced.
[0014]
According to a fourth aspect of the present invention, in addition to any one of the first to third aspects, the preparation control includes a control for increasing a torque capacity between the first rotating member and the second rotating member. The control to suppress the slip, the torque capacity between the first rotating member and the second rotating member, the first rotating member in the case of the preparation control and the first rotating member When the determination means determines that the possibility of slipping of the wheel is low, the control includes prohibiting execution of the preparation control. And a preparation control prohibiting unit that performs the preparation control.
[0015]
According to the invention of claim 4, in addition to the same effect as in any of the inventions of
[0016]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Next, the present invention will be described based on specific examples. FIG. 2 schematically shows an example of a power train and a control system of a vehicle Ve to which the control device of the power transmission device of the present invention can be applied. First, the power train of the vehicle Ve will be described. The torque of the driving
[0017]
As the driving
[0018]
The
[0019]
A stator (not shown) that selectively changes the flow direction of the fluid sent out from the
[0020]
The forward / reverse switching mechanism 8 is a mechanism that is employed in accordance with the fact that the rotation direction of the
[0021]
In the example shown in FIG. 2, a double pinion type planetary gear mechanism is employed as the forward / reverse switching mechanism 8. That is, a
[0022]
Further, a
[0023]
The belt-type continuously variable transmission 4 has a primary pulley 24 and a
[0024]
On the other hand, the
[0025]
Furthermore, the hydraulic pressure acting on each cylinder of the
[0026]
Next, a control system of the vehicle Ve shown in FIG. 2 will be described. First, an electronic control unit (CVT / ECU) 58 for a continuously variable transmission, an
[0027]
The
[0028]
The engine
[0029]
On the other hand, a signal for controlling the lock-up clutch 16, the
[0030]
In the vehicle Ve configured as described above, the engine output is controlled based on, for example, fuel injection timing, fuel injection amount, ignition timing, intake air amount, and the like. The torque output from the
[0031]
When the lock-up clutch 16 is disengaged during the torque transmission, power is transmitted between the
[0032]
On the other hand, when the forward position is selected by the
[0033]
On the other hand, when the reverse position is selected by the
[0034]
As described above, the engine torque is transmitted to the
[0035]
Then, the winding radius of the
[0036]
In the above-described belt-type continuously variable transmission 4, power is transmitted between the primary pulley 24 and the
[0037]
The above-mentioned “slip of the
[0038]
By the way, in the vehicle Ve shown in FIG. 2, a belt-type continuously variable transmission 4 is arranged in a power transmission path between the
[0039]
(First control example)
First, a first control example will be described with reference to the flowchart of FIG. 1. Signals of the rotational speeds of the front wheels 2 and the rear wheels are read (step S1). Based on the rotational speed of the front wheels 2 read in step S1, a process of detecting a friction state of the road surface is performed (step S2). Specifically, a process of quantifying the frequency fluctuation of the signal of the
[0040]
Based on the result of the process in step S2, it is determined whether or not the vehicle Ve is traveling on a low μ road (step S3). Specifically, the reaction force obtained in step S2 is compared with a predetermined threshold value stored in advance to determine whether or not vehicle Ve is traveling on a low μ road. If a positive determination is made in step S3, a flag F indicating the road surface mode is determined (step S4). If it is determined in step S4 that the flag F = 0 (zero), the process proceeds to step S5. In step S5, a "threshold for low- [mu] road tire slip" is set as a detection threshold used for tire slip determination. Following step S5, a flag F = 1 is set (step S6).
[0041]
On the other hand, if a negative determination is made in step S3, a flag F indicating the road surface mode is determined (step S7). If it is determined in step S7 that the flag F = 1, the process proceeds to step S8. In this step S8, a "threshold for normal μ road tire slip" is set as the detection threshold. The threshold value Δγ1 set in step S8 is a value larger than the threshold value Δγ2 set in step S5. Following step S8, a flag F = 0 is set (step S9).
[0042]
Subsequent to step S6 or step S9, the process of step S10 is executed. The process also proceeds to step S10 when it is determined in step S4 that the flag F = 1, or when it is determined in step S7 that the flag F = 0. In this step S10, it is determined whether or not the front wheel 2 has slipped. For example,
(1) The time differential value of the difference between the rotation speed of the front wheel 2 and the rotation speed of the other wheels, or the difference between the rotation speed of the front wheel 2 and the rotation speed of the other wheels,
(2) With the threshold value set in step S5 or step S8
, It can be determined whether or not the front wheel 2 is slipping.
[0043]
Note that the flag F is set to 1 or 0 even when the process proceeds from step S4 to step S10 without passing through step S5, or when the process proceeds from step S7 to step S10 without passing through step S8. This means that one of the thresholds has been set by the previous routine.
[0044]
If the determination in step S10 is affirmative, tire slip control is executed (step S11), and the routine returns. In step S11, control for suppressing the slippage of the
[0045]
Next, an example of a time chart corresponding to the first control example and the comparative example will be described with reference to FIG. First, in FIG. 3, at time t1, the road surface low friction state detection signal is switched from off to on. Here, if a negative determination is made in step S3, the road surface low friction state detection signal is off, and if an affirmative determination is made in step S3, the road surface low friction state detection signal is on. The “road surface low friction state” means the above-mentioned “low μ road”.
[0046]
In addition, the tire slip detection value also increases after time t1. Then, in the first control example, at time t2, when the detected tire slip value is equal to or larger than the threshold value Δγ2 set in step S5, the tire slip signal is switched from off to on. That is, a positive determination is made in step S10.
[0047]
On the other hand, in the comparative example, the tire slip detection value further increases after the time t2, and the tire slip signal is switched from on to off at the time t3 when the tire slip detection value becomes equal to or more than the predetermined threshold value. . Here, the above-described threshold value Δγ1 is used as the threshold value of the comparative example.
[0048]
Thereafter, at time t4, the road surface low friction state detection signal switches from on to off, and the tire slip detection value also decreases. Then, at time t5, the tire slip signals of the first control example and the comparative example are both switched from on to off. Thus, in the time chart of FIG. 3, it is determined that the road surface is a low μ road from the time t1 to the time t4. Then, the tire slip detection signal is turned on earlier in the first control example than in the comparative example for the time from time t2 to time t3.
[0049]
Next, another example of a time chart corresponding to the first control example and the comparative example will be described with reference to FIG. The time chart of FIG. 4 shows a case in which a control for increasing a squeezing force applied to the belt is executed as the tire slip control. First, in FIG. 4, at time t6, the low μ road detection signal switches from off to on. In the first control example, the tire slip signal is switched from off to on at time t7, and the clamping force applied to the belt is increased from time t7 to time t8. Then, after time t9, the pressure is controlled to a predetermined belt clamping pressure.
[0050]
On the other hand, in the comparative example, at time t9 after time t8, the tire slip signal is switched from off to on, and the clamping force applied to the belt is increased from time t9 to time t10. Then, after time t10, the pressure is controlled to a predetermined belt clamping pressure.
[0051]
Then, at time t11, the low μ road detection signal switches from on to off, and the tire slip detection signals of the first control example and the comparative example are both switched from on to off. Thereafter, the belt clamping pressures of the first control example and the comparative example are both reduced. Thus, in the time chart of FIG. 4, it is determined that the road surface is a low μ road from the time t6 to the time t11. Then, the timing at which the clamping pressure applied to the belt is increased to the target value is earlier in the first control example than in the comparative example by the time Δs from time t8 to time t10. Note that there is no correspondence between the time in the time chart of FIG. 3 and the time in the time chart of FIG.
[0052]
As described above, according to the first control example, when it is determined that the road surface on which the vehicle Ve travels is on a low μ road, the tire slip for low μ road tire slip is performed before the front wheels 2 slip. Select a threshold. For this reason, when executing the control at the time of tire slip in step S11, it is possible to avoid a control delay due to belt slippage. Specifically, when the front wheel 2 slips,
(1) increasing the clamping pressure applied to the
(2) to complete the control for reducing the gear ratio of the belt-type continuously variable transmission 4 as early as possible;
(3) reducing the engine torque to a predetermined value as early as possible;
At least one of the controls can be performed.
[0053]
Therefore, according to the first control example, the slip of the
[0054]
(Second control example)
Next, a second control example will be described based on the flowchart of FIG. In the process of the flowchart of FIG. 5, the same processes as those of the flowchart of FIG. 1 are denoted by the same step numbers. In the flowchart of FIG. 5, when it is determined in step S4 that the flag F = 0, the process proceeds to step S5 via step S12. In this step S12, “hydraulic control corresponding to a low μ road” is selected as the hydraulic control of the
[0055]
On the other hand, in the flowchart of FIG. 5, when it is determined in step S7 that the flag F = 1, the process proceeds to step S8 via step S13. In this step S13, "hydraulic control corresponding to a normal μ road" is selected as the hydraulic control of the
[0056]
An example of a time chart corresponding to the second control example and the comparative example will be described with reference to FIG. The time chart of FIG. 6 shows a case in which control for increasing the clamping force applied to the belt is executed as tire slip control. First, in FIG. 6, at time t12, the low μ road detection signal is switched from off to on. Further, the tire slip detection signal switches from off to on at time t13. In the second control example, between time t12 and time t13, the clamping force applied to the belt is increased to the standby value, and the increased clamping force is maintained until time t13.
[0057]
Next, at time t13, in the second control example, the clamping pressure applied to the belt is further increased from the clamping pressure before time 13, and is maintained at the target value force after time t14. On the other hand, in the comparative example, before time t13, the control for increasing the clamping force applied to the belt is not executed. In the comparative example, the clamping force applied to the belt is increased from time t13, and is maintained at the target value after time t15.
[0058]
Thereafter, at time t16, the low μ road detection signal switches from on to off, and the tire slip signal switches from on to off. Next, the squeezing pressure applied to the belt decreases in both the second embodiment and the comparative example. In the time chart of FIG. 6, it is determined that the road surface is a low μ road from time t12 to time t16.
[0059]
As described above, according to the second control example, when the low μ road detection signal is turned on, the control for increasing the clamping force applied to the belt is executed before the tire slip signal is turned on. For this reason, the timing for increasing the clamping pressure applied to the belt to the target value is earlier in the second embodiment than in the comparative example by the time Δs2 from time t14 to time t15.
[0060]
As described above, according to the second control example, when it is determined that the road surface on which the vehicle Ve runs is a low μ road, the clamping pressure applied to the
[0061]
In FIG. 5, when the process proceeds from step S3 to step S13, the clamping force applied to the belt is lower than when the process proceeds from step S3 to step S12. For this reason, the power loss of the
[0062]
In the above-described first control example and second control example, the low μ road includes a road with severe unevenness, a snow-covered road, a road with hail or hail, a frozen road, a road wet with oil or water, and the like. Is mentioned. Further, in step S3 of FIGS. 1 and 5, a control routine for determining whether or not the road surface is a low μ road can be executed based on information obtained from a known navigation system. By executing such a control routine, it is possible to indirectly determine whether or not the road surface is a low μ road based on weather information obtained from the navigation system. By executing such a control routine, in addition to being able to determine the road surface frictional state of the road on which the vehicle is currently traveling, the vehicle is also able to determine the road surface frictional state of a road that is predicted to travel in the future (planned road). The determination can be made before the vehicle reaches the planned road, and the function of control for suppressing the slippage of the belt can be further enhanced.
[0063]
Further, in the second control example, in step S12, engine torque control for a low μ road or gear ratio control for a low μ road may be executed. Here, as the engine torque control for the low μ road, for example, control for adjusting a correspondence relationship between an accelerator opening and a throttle opening corresponding to the accelerator opening (in other words, an intake air amount) can be mentioned. . Specifically, the degree of increase in the engine rotational speed due to the increase in the accelerator opening is selected when the engine torque control for the low μ road is selected, and the engine torque control other than for the low μ road is selected. It is possible to execute control for adjustment so that the control is performed less than in the case where the control is performed, in other words, the control is performed slowly.
[0064]
Here, the correspondence between the functional means shown in FIGS. 1 and 5 and the configuration of the present invention will be described. Steps S2 and S3 correspond to the determining means of the present invention. Step S12 corresponds to the preparation unit of the present invention, steps S10 and S11 correspond to the slip suppression control executing unit of the present invention, and step S8 corresponds to the preparation control prohibiting unit of the present invention.
[0065]
In addition, the slip of the
[0066]
Next, the correspondence between the configuration described in this embodiment and the configuration of the present invention will be described. The primary pulley 24 corresponds to the first rotating member of the present invention, and the
[0067]
In the power train of FIG. 2, a continuously variable transmission capable of continuously controlling the gear ratio, specifically, a belt-type continuously variable transmission 4 is used as the transmission. The present invention is also applicable to a vehicle having a continuously variable transmission, for example, a toroidal continuously variable transmission. A toroidal type continuously variable transmission is a transmission having an input disk and an output disk having a toroidal surface, and a power roller contacting each disk. Lubricating oil exists on the contact surface between each disk and the power roller. Then, by moving the power rollers linearly in a plane orthogonal to the axis of each disk, and adjusting the contact radius between the power rollers and each disk, the gear ratio between the input disk and the output disk is reduced. Controlled. Further, the capacity of the torque transmitted between the input disk and the output disk is controlled by adjusting the contact surface pressure between each disk and the power roller.
[0068]
That is, when the contact surface pressure between each disk and the power roller is set to a high pressure, the lubricating oil becomes glassy, and power is transmitted between the input disk and the output disk by so-called traction transmission (shear force). Thus, the hydraulic servo mechanism for adjusting the contact surface pressure between each disk and the power roller is provided. The hydraulic servo mechanism has a piston and a first hydraulic chamber for operating each piston. Further, a hydraulic servo mechanism for linearly moving the power roller in a plane perpendicular to the axis of each disk is provided. This hydraulic servo mechanism has a second hydraulic chamber. The torque capacity of the toroidal-type continuously variable transmission is controlled by an axial clamping force applied to each disk according to the oil pressure in the first hydraulic chamber. In this toroidal-type continuously variable transmission, when wheel slip occurs, when torque corresponding to the slip is transmitted from the output disk to the input disk via the power roller, the power roller and the output disk or the input disk Slip may occur with the disc.
[0069]
The inventions of
[0070]
Further, the invention of
[0071]
As described above, the invention of each claim relates to a power transmission device (for example, a friction clutch) having a structure in which the first rotating member and the second rotating member are in direct contact with each other, or the first rotating member and the second rotating member. Power transmission device having a structure (for example, a belt type continuously variable transmission, a toroidal type continuously variable transmission) in which the second rotating member is connected to be capable of transmitting power via an intermediate member (belt, power roller). Is also applicable. Therefore, the “sliding occurring between the first rotating member and the second rotating member” of the present invention includes the sliding at the contact portion between the first rotating member and the second rotating member, and the first sliding member. Includes slippage that occurs at the point of contact between the rotating member or the second rotating member and the intermediate member.
[0072]
Further, the present invention can be applied to any of a two-wheel drive vehicle (a front wheel drive vehicle or a rear wheel drive vehicle) and a four-wheel drive vehicle. That is, when at least one of the front wheels or the rear wheels slips, the slip between the first rotating member and the second rotating member that are connected to the wheels so that power can be transmitted is suppressed. The present invention can be applied to a control device.
[0073]
Further, “judgment means” described in each claim of the claims can be read as “judgment device” or “judgment controller”. In this case, the
[0074]
【The invention's effect】
As described above, according to the first aspect of the present invention, when there is a high possibility that the wheel slips, the slip generated between the first rotating member and the second rotating member before the wheel slips. The function of suppressing can be enhanced. Therefore, when the wheel actually slips, a decrease in the responsiveness of the control for suppressing the occurrence of the slip between the first rotating member and the second rotating member with respect to the sliding of the wheel is suppressed. it can.
[0075]
According to the second aspect of the invention, the same effect as that of the first aspect of the invention can be obtained, and in addition, the speed ratio between the first rotating member and the second rotating member is controlled.
[0076]
According to the third aspect of the invention, in addition to obtaining the same effects as the second aspect of the invention, it is possible to enhance the function of suppressing slippage occurring between the primary pulley or the secondary pulley and the belt.
[0077]
According to the invention of claim 4, in addition to obtaining the same effect as the invention of any of
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a flowchart showing a first embodiment of a control device according to the present invention.
FIG. 2 is a conceptual diagram showing a power train of a vehicle to which the control device of the present invention can be applied and a control system thereof.
FIG. 3 is a time chart example corresponding to the flowchart of FIG. 1;
FIG. 4 is a time chart example corresponding to the flowchart of FIG. 1;
FIG. 5 is a flowchart showing a second embodiment of the control device of the present invention.
6 is an example of a time chart corresponding to the flowchart of FIG.
[Explanation of symbols]
Reference numeral 2: front wheel, 4: belt type continuously variable transmission, 24: primary pulley, 25: secondary pulley, 28: belt, 58: electronic control unit for continuously variable transmission, 59: electronic control unit for engine, 60: antilock・ Electronic control device for brake system.
Claims (4)
前記車輪が滑る可能性の高低を判断する判断手段と、
この判断手段により前記車輪が滑る可能性が高いと判断された場合は、前記車輪の滑りが発生する前に、前記滑りを抑制する制御の機能を高める準備制御を実行する準備手段と、
前記準備制御が実行された後に、前記車輪の滑りが発生した場合は、前記滑りを抑制する制御を実行する滑り抑制制御実行手段と
を備えていることを特徴とする動力伝達装置の制御装置。The torque of the first rotating member is configured to be transmitted to the wheels via the second rotating member, and the torque due to the slip of the wheels is transmitted to the second rotating member, so that the first rotation is performed. When slippage occurs between the member and the second rotating member, in the control device of the power transmission device that executes control to suppress the slippage,
Determining means for determining the degree of possibility of the wheel slipping;
When the determination unit determines that the possibility of the wheel slipping is high, before the wheel slip occurs, a preparation unit that executes a preparation control that enhances a function of the control that suppresses the slip,
A control device for a power transmission device, comprising: a slip suppression control execution unit that executes a control to suppress the slip when the wheel slips after the preparation control is executed.
前記滑りを抑制する制御には、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間のトルク容量を、前記準備制御の場合における前記第1の回転部材と前記第2の回転部材との間のトルク容量よりも増加させる制御が含まれているとともに、前記判断手段により、前記車輪の滑る可能性が低いと判断された場合は、前記準備制御の実行を禁止する準備制御禁止手段を、更に備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の動力伝達装置の制御装置。The preparation control includes a control for increasing a torque capacity between the first rotating member and the second rotating member,
In the control for suppressing the slip, the torque capacity between the first rotating member and the second rotating member is reduced by changing the torque capacity between the first rotating member and the second rotating member in the case of the preparation control. When the determination means determines that the possibility of the wheels slipping is low, the control means includes a preparation control prohibition means for prohibiting the execution of the preparation control. The control device for a power transmission device according to any one of claims 1 to 3, further comprising:
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JP2010210059A (en) * | 2009-03-12 | 2010-09-24 | Toyota Motor Corp | Control device for automatic transmission |
JP2020006927A (en) * | 2018-07-12 | 2020-01-16 | ジヤトコ株式会社 | Vehicle control device and vehicle control method |
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2002
- 2002-10-16 JP JP2002302326A patent/JP2004138130A/en active Pending
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