JP2004136759A - 薄膜展開構造物、そのための薄膜展開方法、並びに薄膜展開ユニット及び薄膜展開システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】巻取り部材3に巻き取られている薄膜筒6の最外周部6aを押さえ具4によって押圧可能とし、押さえ具4による押圧の解放状態で薄膜5の巻取り又は巻戻しをする。押さえ具4による薄膜5の押圧状態で巻取り部材3から延びている薄膜を展開薄膜2として保持する。押さえ具4による押圧状態のまま巻取り部材3と押さえ具4とを巻取り部材3の中心回りに同期して回動することにより、展開薄膜2の展開姿勢を可変にすることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に太陽光集光鏡や通信用アンテナ等の、宇宙での大型展開構造物への適用が可能な薄膜展開構造物、そうした薄膜展開構造物を得るための薄膜展開方法、並びに薄膜展開構造物を得るために利用される薄膜展開ユニット、及び薄膜展開ユニットを組み込んだ薄膜展開システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、有害な電磁波や宇宙線に曝される宇宙環境下で使用される薄膜を用いた大型展開物として、例えば太陽光発電衛星における太陽光集光膜や、通信・データ衛星における電波受信用集束膜が開発されている。これらの大型展開物においては、微弱な光や電波を集束するために極めて大きな集束面積が要求されている。宇宙環境のような汚染環境下に置かれる薄膜は、紫外線や原子状酸素等に曝されることに起因して、時間経過と共に表面状態が劣化することが避け難い。こうした表面劣化を回避するため、薄膜の表面にコーティングを施して劣化を遅らせることが考えられる。
【0003】
大集束面積を有する大型展開物については、使用開始前等の未使用時には、衛星内又は衛星外であっても付随した収容部に高収納率に格納する必要がある。そこで、ゴムのような弾性のある膜面に気体による圧力を加えて回転放物面を形成する気体膨脹式の集束膜が提案されている(例えば、非特許文献1)。しかしながら、この気体膨脹式の集束膜では、本来十分な精度で回転放物面を形成することができない。また、気体を密閉させるために反射面とは別に透明膜が必要であり、電磁波は、反射面に到達する前に1回、反射面で反射した後に1回の計2回、その透明膜を透過することになり、これら透過時での損失が少なくない。更に宇宙用の場合、宇宙デブリが衝突して密封用の透明膜に穴が開くと気体の漏出が起こり、印加圧力を維持できなくなり、ひいては回転放物面を維持できなくなるという虞がある。
【0004】
そこで、気体膨脹式によらない方法として、別の形態を有する電磁波集束装置が本発明者らによって提案されている(特願2001−147202、又は特願2001−320563)。特願2001−147202では、同一の放物線の断面形状を有する線焦点型の一次反射鏡と二次反射鏡からなる鏡群を備え、太陽光線を一点に集束させる。線焦点型の鏡を採用しているので、薄く軽量化が可能であり、小型に折り曲げ可能とした太陽光集光装置を提供している。特願2001−320563では、母線に垂直な断面形状が放物線又はこれを模した曲線である線焦点型の反射鏡から成り、鏡の両端又はその近傍に曲げモーメント又は軸力を負荷させることで、断面形状を変更することによって、焦点距離を可変とした電磁波集束装置を提供している。
【0005】
しかしながら、汚染環境下での反射面劣化は課題として残存しており、その反射面劣化に対処するには、反射面にコーティングを施すことによって劣化を遅らせる上記の対処が考えられている。反射面にコーティングを施すと反射面の反射率が低下し、集束効率を低下させることになって、その低下分を補うだけの面積を当初より用意する必要があり、余分な重量が増加し、コストが上昇する。また、表面劣化した薄膜については、新しい薄膜に交換することが求められる。その場合、宇宙環境のような状況では早急な人的対応が不可能であるので、取り換え用の薄膜を予め備えておく必要がある。しかしながら、現状では、超軽量で且つ柔軟性に富む薄膜を効率的に収納し、且つ劣化した薄膜を必要なときに迅速且つ効率良く新しい薄膜と交換することまでは実現されていない。交換用の薄膜を頻繁に輸送し人手にて交換するという手法に頼ることなく、薄膜を自律的・定期的に交換されることが望まれる。
【0006】
【非特許文献1】
デヴィッド・リコジージュースキー(David Lichodziejewski)、コスタス・キャサパキス(Coatas Cassapakis) 、「膨張式パワーアンテナ技術(Inflatable Power Antenna Technology) 」、「第37回アメリカ航空宇宙学会 航空宇宙の科学会議と展示会/ネバダ州リノ)(37th AIAA Aerospace Sciences Meeting and Exhibit/ Reno,NV) 」論文集、アメリカ航空宇宙学会(AIAA[AmericanInstitute of Aeronautics and Astronautics]) 、1999年1月、99−1074、(図1、図7、表1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、汚染環境下に曝されることがある暴露表面を持つ軽量且つ高品質な薄膜から構成される薄膜展開構造物について、交換用の薄膜を未使用時に不必要な面積又はスペースを占有することなく高収納率で収納した状態で用意しておき、必要なとき又は定期的に、自律的に定期交換可能にして、低コストで常時、暴露面を高品質状態に維持する点に解決すべき課題がある。また、その薄膜によって電磁波集束装置を実現する場合、暴露表面の形状を可変にすることが求められることがある。
【0008】
この発明の目的は、これらの要求に応えるため、巻き取られた薄膜筒から展開用の薄膜を繰り出したり巻き取る際に、薄膜筒や展開薄膜の弛みを回避しつつ薄膜を保持可能とし、展開薄膜の姿勢を平坦状態や弛み状態に変更可能とし、また、展開薄膜を交換して、しかも電磁波反射装置や電磁波集束装置として適用可能な薄膜展開構造体、そのための薄膜展開方法、並びに薄膜展開ユニット及び薄膜展開システムを提供することである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
上記課題を解決するため、この発明による薄膜展開方法は、巻取り部材に巻き取られている薄膜の最外周部を押さえ具によって押圧可能とし、前記押さえ具による押圧の解放状態で前記薄膜の巻取り又は巻戻しをし、前記押さえ具による前記薄膜の押圧状態で前記巻取り部材から延びている前記薄膜を展開状態に保持し、前記押さえ具による前記押圧状態のまま前記巻取り部材と前記押さえ具とを前記巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、前記薄膜の展開姿勢を可変にすることから成っている。
【0010】
この薄膜展開方法によれば、巻取り部材に巻き取られている薄膜から成る薄膜筒の最外周部を押さえ具によって押圧可能としておき、押さえ具による押圧を解放した状態で巻取り部材を回転することで薄膜の巻取り又は巻戻しをすることができる。このとき、巻取り又は巻戻し量を調節することにより、薄膜には、圧縮や引っ張りを負荷することができる。薄膜の巻戻し状態のときに押さえ具によって薄膜を押圧することで、薄膜筒から延びている展開薄膜の端部分が押さえ具によって薄膜筒の最外周部に押されて支持される状態となり、巻取り部材に巻き取られている薄膜や展開されている薄膜が弛むことなく安定保持することができる。また、押さえ具による押圧状態のまま巻取り部材と押さえ具とを巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、巻取り部材に巻き取られている薄膜筒から延びる展開薄膜の角度を変えることができ、薄膜の展開姿勢が可変になる。
【0011】
この薄膜展開方法において、展開されている前記薄膜は、前記押さえ具による前記押圧状態において、前記巻取り部材と前記押さえ具との同期回転量に応じて、平坦状態又は撓み状態に展開することができる。
また、前記薄膜の両端側で、前記巻取り部材による前記薄膜の巻取り又は巻戻しと、前記押さえ具による前記薄膜の押圧と押圧の解放とを行い、一方の前記巻取り部材から延びている前記薄膜を他方の前記巻取り部材へ巻き取ることにより、前記両巻取り部材間で展開される前記薄膜の交換をすることができる。
更に、前記両巻取り部材を互いに接近・離間可能とし、互いに離間させることで前記薄膜を展開し、互いに接近するときに前記薄膜は少なくとも一方の前記巻取り部材に巻き取ることができる。
【0012】
また、この発明による薄膜展開ユニットは、薄膜の巻取りと巻戻しとが可能な巻取り部材、及び前記巻取り部材に巻き取られている前記薄膜の最外周部を押圧可能な押さえ具を備え、前記最外周部から延びる前記薄膜の展開姿勢を可変にするため、前記押さえ具による前記押圧状態で前記巻取り部材と前記押さえ具とを前記巻取り部材の中心回りに同期して回動可能としたことから成っている。
【0013】
この薄膜展開ユニットによれば、押さえ具は巻取り部材に巻き取られて形成されている薄膜筒の最外周部を押圧可能であり、巻取り部材は押さえ具による押圧を解放した状態で回転することで薄膜の巻取り又は巻戻しをすることができる。このとき、巻取り又は巻戻し量を調節することにより、薄膜には、圧縮や引っ張りを負荷することができる。薄膜の巻戻し状態のときに押さえ具が薄膜を押圧することで、巻取り部材から巻き戻されて延びている展開薄膜の端部分は押さえ具によって薄膜筒の最外周部に押されて支持される状態となり、巻取り部材に巻き取られている薄膜や展開されている薄膜は、押さえ具という簡単な構造で且つ弛むことなく展開状態に安定保持することができる。押さえ具による押圧状態のまま巻取り部材と押さえ具とを巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、巻取り部材に巻き取られた薄膜筒から延びる展開薄膜の角度を変えることができ、薄膜の展開姿勢を可変とすることができる。
【0014】
この薄膜展開ユニットにおいて、前記巻取り部材に回転自在に係合する支持部材を設け、前記押さえ具を、前記支持部材に前記巻取り部材の径方向に進退可能に支持することで前記薄膜の最外周部を押圧可能とし、前記巻取り部材は、単独で又は前記支持部材の回動と同期して回転可能とすることができる。押さえ具については、巻取り部材と回転自在に係合する支持部材に巻取り部材の径方向に進退可能に支持させることができる。巻取り部材を単独で回転させることで、薄膜の巻取りと巻戻しとを行うことができる。巻取り部材を支持部材の回動と同期して回転させることで、薄膜筒から延びる展開薄膜の角度、即ち展開姿勢を変えることができる。
【0015】
この薄膜展開ユニットにおいて、前記支持部材は前記巻取り部材を回転駆動する駆動軸に回転自在に嵌合されたスリーブとし、前記押さえ具は、前記スリーブ上に保持された直動体の直動運動を前記直動体に連結されたリンク機構を介して変換することにより、前記巻取り部材の径方向に進退させることができる。スリーブは巻取り部材を回転駆動する駆動軸の単独の回転を許容し、また、駆動軸と同期して回動することができる。スリーブとリンク機構とは、薄膜筒を軸方向に挟んで対に設けることができる。
【0016】
この薄膜展開ユニットにおいて、前記巻取り部材を第1モータの駆動軸で回転駆動し、前記支持部材を前記駆動軸を回転自在に係合し且つ第2モータで駆動される筒体とし、前記押さえ具を、前記筒体に設けられたアクチュエータによって前記巻取り部材の径方向に進退させることができる。筒体は巻取り部材を回転駆動する第1モータの駆動軸の単独の回転を許容し、また、第2モータによって第1モータの駆動軸と同期して回動することができる。押さえ具が長尺である場合、アクチュエータは押さえ具に沿って複数個並べて配置することができる。
【0017】
また、この発明による薄膜展開システムは、上記の薄膜展開ユニットが前記薄膜の繰出し側と巻取り側とに配設されており、前記薄膜の一部が常時少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットに巻き取られており、前記薄膜の残る一部が前記両薄膜展開ユニット間において前記薄膜の移動に伴って交換可能に展開されていることから成っている。
【0018】
この薄膜展開システムによれば、薄膜の繰出し側と巻取り側とに配設した二つの薄膜展開ユニットの少なくとも一方に、薄膜の一部を常時巻き取っておき、薄膜の残る一部を両薄膜展開ユニット間において展開される。一方の薄膜展開ユニットにおいて薄膜の巻取りをするときに、他方の薄膜展開ユニットにおいて薄膜の巻き戻しを行うことにより、巻取り又は巻戻し量を調節することで薄膜に圧縮や引っ張りを負荷することができ、また、両薄膜展開ユニット間に展開される薄膜の展開広さを変えたり、外部に曝される薄膜の交換をする等の、柔軟性を持って薄膜を取り扱うことができる。
【0019】
この薄膜展開システムにおいて、少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットは、前記押さえ具による前記薄膜の最外周部における押圧位置が変動するのを防止するため、前記薄膜の移動量に応じて前記巻取り部材の位置を調整可能とすることができる。
また、一方の薄膜展開ユニットから他方の薄膜展開ユニットへの薄膜の移動によって巻取り部材から見た薄膜筒の最外周部の位置は変動する。薄膜の移動量に応じて前記巻取り部材の位置を調整することにより、押さえ具による薄膜の最外周部における押圧位置を変えることがなく、薄膜の展開状態を一定に維持することができる。
更に、少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットは他方の前記薄膜展開ユニットに対して接近・離間可能であり、前記両薄膜展開ユニットの接近状態では、前記薄膜は少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットに巻取り可能とすることができる。
【0020】
この薄膜展開システムにおいて、前記両薄膜展開ユニットに、別の前記薄膜展開システムの前記薄膜展開ユニットを対応させて巻取り軸線方向に順次、多段に接続することにより、展開面積を拡大化可能とすることができる。薄膜展開ユニットを巻取り軸線方向に順次、多段に接続することで、薄膜展開システムを巻取り軸線方向にも拡大し、展開面積を拡大化することができる。展開薄膜の暴露表面が電磁波反射性を備える場合には、より大きな面積で電磁波の反射や受信が可能となり、或いは複数の焦点距離を持つ多焦点型電磁波集束装置として機能させることができる。
【0021】
更に、この発明による薄膜展開構造物は、薄膜を巻取り又は巻戻し可能とする巻取り部材、前記巻取り部材に巻き取られている前記薄膜の最外周部を押圧可能とする押さえ具、及び前記巻取り部材から延びる前記薄膜の一部から成り前記押さえ具による押圧状態で展開状態に保持された展開薄膜部を備え、前記押さえ具による前記薄膜の押圧状態で前記巻取り部材と前記押さえ具とを、巻き取られた前記薄膜と共に前記巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、前記展開薄膜部の展開姿勢が可変にされたことから成っている。
【0022】
この薄膜展開構造物によれば、巻取り部材に巻き取られた薄膜筒から延びる薄膜の一部は、展開薄膜部として展開される。展開薄膜部は、端部が押さえ具によって薄膜筒の最外周部に押圧状態で保持されるので、巻取り部材に巻き取られている薄膜や展開されている薄膜は、押さえ具という簡単な構造で且つ弛むことなく展開状態に安定保持される。また、巻取り部材への薄膜の巻取り又は巻戻しによって、展開薄膜部の展開広さが可変であり、巻取り又は巻戻し量を調節することで薄膜に圧縮や引っ張りを負荷することもできる。更に、押さえ具による薄膜の押圧状態で、巻取り部材と押さえ具とを薄膜筒と共に巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、展開薄膜部の展開姿勢の変更が容易である。
【0023】
この薄膜展開構造物において、前記展開薄膜部の両端を前記巻取り部材と前記押さえ具とによって支持し、前記両巻取り部材間で展開される前記展開薄膜部を、前記押さえ具による前記押圧状態において、前記巻取り部材と前記押さえ具との同期回転量に応じて、平坦状態又は撓み状態に展開することができる。
また、繰出し側の前記巻取り部材から前記薄膜を繰り出し、巻取り側の前記巻取り部材によって前記薄膜を巻き取ることにより、前記両巻取り部材間で展開される前記展開薄膜部を未使用の展開薄膜部に交換することできる。
【0024】
この薄膜展開構造物において、前記薄膜の暴露表面を平坦な太陽光反射面又は電波反射面とした電磁波反射装置、或いは前記薄膜の暴露表面を断面放物線状曲面を持つ太陽光反射集光面又は電波反射集光面とした電磁波反射集束装置として適用されている。平坦にする場合、弛み無く張られた薄膜平面を実現することができる。暴露表面を電磁波反射面とすれば、この薄膜展開構造物は平面電磁波反射装置として機能する。暴露表面の両端に負荷をかけて撓ませることによって薄膜形状を放物線筒又はこれを模する曲線筒とすれば、線焦点型電磁波集束装置として機能させることもできる。
【0025】
上記薄膜展開方法及び薄膜展開構造物においては、展開薄膜は、巻取り部材と押さえ具との同期回転量がゼロで押さえ具による展開薄膜への曲げ負荷がないときに平坦状態に展開されており、巻取り部材と押さえ具とを回転したときには、その同期回転量に応じて展開薄膜に曲げ負荷が生じ、例えば、断面放物線状曲面等の撓み状態に展開される。
【0026】
この薄膜展開方法及び薄膜展開構造物においては、薄膜の両端側で、巻取り部材による薄膜の巻取り又は巻戻しと、押さえ具による薄膜の押圧と押圧の解放とを行うことで、展開された薄膜が例えば汚染環境下で劣化するような場合、劣化した使用済みの展開薄膜を巻取ると同時に、他方の巻取り部材上の薄膜筒から使用済みの展開薄膜に連続する未使用の薄膜を巻き戻して展開薄膜とすることにより、劣化した使用済み薄膜を未劣化の新しい薄膜と置き換えることで交換することができる。交換回数については、薄膜筒での収容量に応じて複数回の展開薄膜部の交換が可能である。
【0027】
上記薄膜展開方法、薄膜展開システム及び薄膜展開構造物においては、少なくとも一方の巻取り部材又は薄膜展開ユニットを他方の巻取り部材又は薄膜展開ユニットに対して接近・離間可能とすることにより、巻取り部材に巻き付けられていた薄膜を巻き戻して、展開したり、展開薄膜の広さを任意に調節することができることができる。また、未使用時等の場合のように、両巻取り部材又は両薄膜展開ユニットを互いに接近させるときには、展開していた薄膜を少なくとも一方の巻取り部材に又は薄膜展開ユニットにおいて巻き取ることによって、薄膜の暴露面長さを可及的に短くし、薄膜の展開を閉じることができると共に、全体をコンパクトに畳むことができ、高収納率を実現することができる。従って、薄膜の展開前、閉じた後において、特に、宇宙用として積載荷物の一つとしてロケットで打ち上げるときに、収納や運搬において高い利便性を発揮することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
この発明による薄膜展開構造物、薄膜展開方法、並びに薄膜展開ユニット及び薄膜展開システムの実施例を、図面を参照して説明する。図1はこの発明による薄膜展開方法及び薄膜展開ユニットの一実施例を示す概略断面図であり、(A)は薄膜の支持状態を示す概略図、(B)は薄膜の姿勢変更の様子を示す概略図である。薄膜展開ユニット1は、図1(A)に示すように、薄膜5を薄膜筒6として巻取り可能な巻取り部材3と、薄膜筒6の最外周部6aを押さえることが可能な押さえ具4とを備えている。巻取り部材3は、この実施例では、巻取り軸の形態を有している。巻取り部材3の回りに筒状に巻き取られた薄膜5は、薄膜筒6の最外周部6aから接線状に繰り出されて延びており、繰り出される直前の部分が押さえ具4によって薄膜筒6の最外周部6a上の一箇所で押さえられることで、薄膜5の支持状態が得られている。薄膜5の他端は、適宜の支持手段によって支持されている。押さえ具4によって薄膜5を薄膜筒6に押圧状態とすることによって、薄膜筒6の弛みや、展開されている薄膜(展開薄膜、以下同じ)2の弛みを防止している。展開薄膜2の表面は暴露表面2aであり、目的に応じて使用される。
【0029】
巻取り部材3を回転することによって、薄膜5の支持状態、即ち、基準面7に対する傾斜角度を変えることができる。即ち、巻取り部材3、薄膜筒6及び押さえ具4は一体となって回転可能であり、図1(B)に示すように、薄膜5は押さえ具4によって薄膜筒6の最外周部6aに押さえ付けられた押圧状態のまま巻取り部材3の中心回りに角度ψだけ回転することによって、基準面7に対する展開薄膜2の支持姿勢(傾斜角度ψ)が変更される。展開薄膜2の端部には曲げモーメントが作用し、薄膜5の暴露表面2aを目的に応じて任意に傾斜・湾曲させることが可能となる。
【0030】
図2は、図1に示す薄膜展開ユニットによる薄膜の繰出しを説明する概略図であり、(A)は薄膜の繰出し前の支持状態を示す概略図、(B)は(A)に示す状態から薄膜の繰出し状態を示す概略図である。図2(A)は、図1(A)と同様、薄膜展開ユニット1において押さえ具4による薄膜5の支持状態を示す図である。図2(B)に示すように、巻取り部材3の周囲に巻き取られていた薄膜筒6に薄膜5を押さえていた押さえ具4を最外周部6aから離間することによって、巻取り部材3がフリーな状態で回転可能となり、薄膜筒6から未使用の薄膜5を巻き戻すことができる。このとき、押さえ具4は巻取り部材3と共には回転しない。既に使用されていた薄膜5の暴露表面2aが外部汚染環境によって劣化してしまった場合、薄膜5の繰り出しによって、薄膜筒6から劣化していない新たな暴露表面2aを持つ薄膜5が送り出され、展開薄膜2として使用に供される。繰り出しが終了すれば、押さえ具4は再び、図2(A)に示すように薄膜筒6の最外周部6a上の一点を押さえて、薄膜5を支持する。
【0031】
図3は、この発明による薄膜展開システムの一実施例を示しており、(A)は薄膜展開システムの一例を示す概念図、(B)は展開薄膜を撓ませた状態の薄膜展開システムの一例を示す概念図、(C)は展開薄膜を非対称に置いた薄膜展開システムの一例を示す概念図である。図3(A)に示す薄膜展開システム10aは、1組の薄膜展開ユニット1a,1bと、一方の薄膜展開ユニット(例えば、1a)から他方の薄膜展開ユニット(例えば、1b)へと連続して掛け渡された展開薄膜2とを有している。薄膜展開ユニット1aにおいては未使用の薄膜5が薄膜筒6として巻き取られており、薄膜展開ユニット1bにおいては使用済みの薄膜8が薄膜筒9として巻き取られている。図3に示す薄膜展開システム10aにおいて、左側を繰出し側の薄膜展開ユニット1aとし、右側を巻取り側の薄膜展開ユニット1bと定義する。両者共、押さえ具4によって薄膜5を薄膜筒6,9の最外周部6a,9a上に押圧状態に保持することで、薄膜筒6 ,9や展開薄膜2の弛みの発生を防止することができる。巻取り部材3の位置及び回転角を適宜調節することで、両薄膜展開ユニット1a,1b間に張り渡された展開薄膜2を緊張状態に置き、展開薄膜2は平坦状態に維持される。
【0032】
図3(B)に示すように、両薄膜展開ユニット1a,1bにおいて、巻取り部材3の位置と回転角を適宜調節することで、展開薄膜2を撓ませることが可能である。一例として、巻取り部材3及び押さえ具4を互いに内向きに角度ψだけ回転させることで、暴露表面2aの形状を両薄膜展開ユニット1a,1b間で対称な放物線状の湾曲面又はこれを模する曲面とすることができる。同様に、巻取り部材3の位置と回転角を適宜調節することで、展開薄膜2の暴露表面2aを非対称に撓ませることも可能である。一例として、図3(C)に示すように、巻取り側の薄膜展開ユニット1bを繰出し側の薄膜展開ユニット1aに対して持ち上げ且つ薄膜展開ユニット1aの巻取り部材3及び押さえ具4を薄膜8の押圧状態で内向きに角度ψで回転させることにより、展開薄膜2の暴露表面2の形状を非対称な放物線状の湾曲面又はこれを模した曲面とすることができる。
【0033】
図3に示す薄膜展開システムは、電磁波反射機能がある薄膜を用いた電磁波反射装置に適用されている。図3(B)の場合は、対称型の線焦点型電磁波集束装置となり、準平行に入射して展開薄膜2の暴露表面2aで反射された電磁波を、巻取り部材3間の中心の空間上のある地点で線集光させることができる。また、図3(C)は、非対称型の線焦点型電磁波集束装置となり、準平行に入射して薄膜暴露面2で反射された電磁波は、巻取り部材3間の中心以外の空間上のある地点で線集光される。図3に示す薄膜展開システムにおいては、展開薄膜2の両端側共に薄膜展開ユニット1a,1bを配置したが、薄膜展開ユニットの配置はこれに限るものではなく、展開薄膜2の一端側にのみ薄膜展開ユニット1を配置し、展開薄膜2の他端側は任意の支持機構で支持することもできる。
【0034】
図4は、この発明による薄膜展開システムにおける暴露表面を交換する概念図であり、図4(A)は暴露表面の交換前の状態を示す概略図、図4(B)は暴露表面の交換後を示す概略図である。図4に示す薄膜展開システム20は、薄膜5の供給状態が異なる以外は、図3に示した薄膜展開システム10a(10b,10c)と同じ構造を有しているので、同じ部材及び部位には同じ符号を付すことでその構造についての再度の説明を省略する。薄膜展開システム20も、電磁波反射装置として適用されている。図4(A)と図4(B)とにおいて薄膜5上の点Aの移動に示すように、繰出し側の薄膜展開ユニット1aによって繰り出された一部の薄膜5は、その表面において新しい暴露表面2aを提供する。それに伴って古い薄膜は、使用済薄膜8として巻取り側の薄膜展開ユニット1bにおいて巻き取られる。従って、薄膜展開ユニット1aにおける未使用の薄膜5の薄膜筒6の外径は減少し、薄膜展開ユニット1bにおける使用済の薄膜8の薄膜筒9の外径は増大する。このとき、暴露表面2aを基準面7に対して一定の配置とするためには、両薄膜展開ユニット1a,1bの巻取り部材3a,3bの位置を調整する必要がある。位置調整の一例として、薄膜展開ユニット1aの巻取り部材3aの中心を通る基準面7aに対して、薄膜展開ユニット1bの巻取り部材3bの中心を通る基準面7bの高さ位置を調整する方式がある。基準面7aと基準面7bとの間隔Dは、使用済薄膜8の巻取り量に応じて変化する。
【0035】
図5は、この発明による薄膜展開システムの格納状態と展開状態を示す概略図であり、図5(A)は薄膜展開システムの格納状態を示す概略図、図5(B)は薄膜展開システムの展開中の状態を示す概略図である。図5に示す薄膜展開システム30は、薄膜5の供給状態が異なる以外、図3に示した電磁波反射装置10a(10b,10c)と同じ構造を有しているので、同じ部材及び部位には同じ符号を付すことで、その構造についての再度の説明を省略する。薄膜展開システム30についても、電磁波反射装置として適用可能である。図5(A)に示す薄膜展開システム30の使用開始前の格納状態では、薄膜5は繰出し側の薄膜展開ユニット1aにフルに巻取り状態にあり、巻取り側の薄膜展開ユニット1bには巻き取られていない。格納状態では、一組の薄膜展開ユニット1a,1bの巻取り部材3a,3bの間隔は最小とされるので、展開薄膜2の暴露表面2aの暴露長さが最短となり、高い収納性を示している。
【0036】
図5(B)に示すように、巻取り側の薄膜展開ユニット1bを繰出し側の薄膜展開ユニット1aから遠ざかる方向に移動させて、両薄膜展開ユニット1a,1bの間隔を広げる。繰出し側の薄膜展開ユニット1aの巻取り部材3aに巻き取られている薄膜5は、図5(A)と図5(B)とにおいて薄膜5上の点Aが移動したのを示すように、巻取り側の薄膜展開ユニット1bの巻取り部材3bによる引っ張りによって引き出して、両薄膜展開ユニット1a,1b間で掛け渡した展開薄膜2とすることができる。また、一旦展開された暴露表面2aを目的に応じて再収納する場合には、展開薄膜2を、繰出し側の薄膜展開ユニット1aと巻取り側の薄膜展開ユニット1bの一方又は両方で巻き取り、再び展開薄膜2の長さを最小として収納することも可能である。
【0037】
図5に示す例において、展開薄膜2の両端側共に両薄膜展開ユニット1a,1bを配置したが、配置はこれに限るものではなく、展開薄膜2の一端(例えば、繰出し側)にのみ薄膜展開ユニット1aを配置し、もう一端は任意の支持機構で支持しても良い。
【0038】
図6は、この発明による大暴露表面を持つ薄膜展開システムの一例を概念的に示す斜視図である。図6に示す薄膜展開システム40は、図3に示す薄膜展開システム10a(10b,10c)を、薄膜5の幅方向(巻取り軸線方向)に複数接続して構成されている。薄膜展開システム10を接続可能にするため、両薄膜展開ユニット1a,1bにおいて、巻取り部材41は、一端側において接続用軸42が設けられると共に他端側において接続用穴43が形成されており、接続機能を持つ接続型巻取り部材として構成されている。両薄膜展開ユニット1a,1bにおいて、接続用軸42を接続用穴43に挿入することによって接続型巻取り部材41が次々に長手方向に接続される。その結果、複数の薄膜展開システム10が展開薄膜2の幅方向に並べられ、各展開薄膜2が並んで配置されることによって、大きな暴露表面44を示す薄膜展開システム40が得られる。薄膜展開システム40は、他のシステムと同様に、電磁波反射装置に適用可能である。
【0039】
図6において、薄膜展開ユニット1a同士及び1b同士の接続に、接続用軸42と接続用穴43との嵌合い構造を持つ接続型支持部材41を用いたが、接続機構はこの嵌合い構造に限るものではなく、薄膜展開ユニット1a,1bの他の部品に同様の機能を持たせたものでも良いし、或いは接続にのみ用いられる部品や機構を、薄膜展開ユニット1a,1bに取り付けたのでも良い。
【0040】
図6に示す薄膜展開システム40は、複数の薄膜展開システム10の接続によって得られたより大きな面積の暴露表面44を持つが、各薄膜展開システム10が連動して同じ挙動を示し、同じ焦点距離を有する単焦点の線焦点型電磁波集束装置として機能することができる。あるいは、各薄膜展開システム10が独立して異なった挙動を示し、異なる焦点距離を有する複焦点の線焦点型電磁波集束装置として機能してもよい。また、必ずしも全ての暴露表面2aが電磁波反射面である必要は無く、目的に応じて多様な面特性を有するのでもよい。
【0041】
図2〜図6に基づく説明では、この発明による薄膜展開システムとして説明したが、その手順に着目することにより薄膜展開方法としても、また得られた展開物に着目することにより薄膜展開構造物としても認識可能であることは明らかである。
【0042】
図7は、この発明による薄膜展開ユニットの実施例を示す断面図である。図7(A)は非同軸型の薄膜展開ユニットの断面図であり、(B)は同軸型の薄膜展開ユニットの断面図である。図7に示す薄膜展開ユニット50a,50bは、巻取り軸回転用の第1駆動軸55と支持部材回転用の第2駆動軸56とを備えている。第1駆動軸55は、その周囲に巻き取られた薄膜筒6又は9の外周から押さえ具4が離れている場合に駆動されて、薄膜を巻き戻し又は巻き取るために用いられる。また、第2回転軸55は、押さえ具4の回転角を変えるために用いられる。第1駆動軸55と第2り駆動軸56との中心が一致していない場合を図7(A)に示す非同軸型、中心が一致している場合を図7(B)に示す同軸型と定義する。
【0043】
図7(A)に示す非同軸型の薄膜展開ユニット50aは電動機のような駆動装置51によって駆動される。非同軸型の場合、駆動装置51の出力は切替器52によって、第1駆動軸55と第2駆動軸56とに選択して伝達される。第1駆動軸55が駆動される場合には、薄膜筒6又は9が直接に駆動され、薄膜5又は8が繰り出され又は巻き取られる。第2駆動軸56はその両端部において軸受53,53によって回転自在に支持されており、第2駆動軸56に薄膜筒6又は9の両端から離れた位置において取り付けられている歯車54,54が、第1駆動軸55に回転自在に嵌合されたスリーブ歯車57に噛み合っている。駆動装置51の出力が切替器52によって第2駆動軸56に伝達される場合、スリーブ歯車57の回転に伴って、押さえ具4が第1駆動軸55の回りに回動され、同時にスリーブ歯車57に組み合わされた直動装置58が第1駆動軸55の軸線方向に平行に進退する。直動装置58の進退する直線運動はリンク機構59を介して押さえ具4に伝達され、押さえ具4を薄膜筒6又は9の径方向に駆動し、押さえ具4を薄膜筒6又は9の最外周部に対して接近・当接、又は離間させることができる。なお、このとき、第1駆動軸55も、同じ回転角度だけ回転される。
【0044】
図7(B)に示す同軸型の薄膜展開ユニット50bにおいては、第1モータ60の出力は第1駆動軸55に直接に伝達されて巻取り部材を駆動し、薄膜を繰り出すか又は巻き取る。第1駆動軸55は、第2駆動軸56に対して軸受53,53によって相対回転自在である。第2モータ61の出力は第2駆動軸56に伝達され、支持部材である筒体62を回転駆動する。筒体62は第1駆動軸55と相対回転自在であるが、各モータ60,61内の磁極の作用によって、盲動が防止されている。筒体62にはアクチュエータの形式を取る複数個の直動装置68が並べて取り付けられており、第1駆動軸55に巻き取られている薄膜筒6又は9の外周の法線方向に駆動し、押さえ具4を薄膜筒6又は9の最外周部に対して接近・当接、又は離間させることができる。
【0045】
【発明の効果】
この発明による薄膜展開方法によれば、巻取り部材に巻き取られている薄膜から成る薄膜筒の最外周部は押さえ具によって押圧可能であり、押さえ具による押圧を解放した状態で巻取り部材を回転することで薄膜の巻取り又は巻戻しをし、このとき、巻取り又は巻戻し量を調節することで、薄膜には、圧縮や引っ張りを負荷することができる。薄膜の巻戻し状態のときに押さえ具によって薄膜を押圧することで、薄膜筒から延びている展開薄膜の端部分が押さえ具によって薄膜筒の最外周部に押されて支持される状態となり、巻取り部材に巻き取られている薄膜や展開されている薄膜が弛むことなく安定保持することができる。また、押さえ具による押圧状態のまま巻取り部材と押さえ具とを巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、巻取り部材に巻き取られている薄膜筒から延びる展開薄膜の角度を変えることができ、薄膜の展開姿勢が可変になる。
【0046】
この発明による薄膜展開ユニットによれば、薄膜の少なくとも一端側で薄膜を繰り出すか巻き取ることができ、巻き取られた薄膜筒を外方から押圧する押さえ具で薄膜筒や展開薄膜の弛みを防止することができ、更に巻取り部材と押さえ具とを共に回転することで、展開薄膜に負荷を与えて薄膜の展開姿勢を変更することができる。
【0047】
この発明による薄膜展開システムによれば、薄膜の両端において薄膜展開ユニットを備え、薄膜展開ユニット間の距離、基準面からの高さ、巻取り部材と押さえ具との回転角度を変更することにより、使用開始前の収納状態から展開状態まで薄膜展開に関して幅広い柔軟なシステムを提供することができる。
【0048】
この発明による薄膜展開構造物によれば、得られた構造物として、多様な電磁波反射装置や電磁波集束装置に適用可能である。しかも、薄膜等の物資の頻繁な補給や人的対応に頼ることなく、大面積の薄膜展開物を実現すること、薄膜展開物の薄膜を自主的・定期的に交換すること、そして薄膜展開物の機能や品質を低コストで常に維持することができる。また、薄膜展開物に負荷をかけることや、その負荷により薄膜展開物の展開形態を任意に変化し、制御することが可能となる。本薄膜展開構造物を複数接続することにより、上記機能を有した、より大面積の薄膜展開物を実現することもできる。更に、上記機能によって、太陽光発電衛星に要求される、極めて大きな面積を有する太陽光集光装置を、低コストで実現し、また運用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による薄膜展開方法及び薄膜展開ユニットの一実施例を示す概略断面図であり、(A)は薄膜の支持状態を示す概略図、(B)は薄膜の姿勢変更の様子を示す概略図である。
【図2】図1に示す薄膜展開ユニットによる薄膜の繰出しを説明する概略図であり、(A)は薄膜の繰出し前の支持状態を示す概略図、(B)は(A)に示す状態から薄膜の繰出し状態を示す概略図である。
【図3】この発明による薄膜展開システムの一実施例を示す図であり、(A)は薄膜展開システムの一例を示す概念図、(B)は展開薄膜を撓ませた状態の薄膜展開システムの一例を示す概念図、(C)は展開薄膜を非対称に置いた薄膜展開システムの一例を示す概念図である。
【図4】この発明による薄膜展開システムにおける暴露表面を交換する概念図であり、(A)は暴露表面の交換前の状態を示す概略図、(B)は暴露表面の交換後を示す概略図である。
【図5】この発明による薄膜展開システムの格納状態と展開状態を示す概略図であり、(A)は薄膜展開システムの格納状態を示す概略図、(B)は薄膜展開システムの展開中の状態を示す概略図である。
【図6】この発明による大暴露表面を持つ薄膜展開システムの一例を概念的に示す斜視図である。
【図7】この発明による薄膜展開ユニットの実施例を示す断面図であり、(A)は非同軸型の薄膜展開ユニットの断面図であり、(B)は同軸型の薄膜展開ユニットの断面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b,50a,50b 薄膜展開ユニット
2 展開薄膜
2a 暴露表面
3 巻取り部材
4 押さえ具
5 薄膜(未使用、交換用)
6,9 薄膜筒
7 基準面
8 使用済薄膜
10a,10b,10c,20,30,40 薄膜展開システム
Claims (17)
- 巻取り部材に巻き取られている薄膜の最外周部を押さえ具によって押圧可能とし、前記押さえ具による押圧の解放状態で前記薄膜の巻取り又は巻戻しをし、前記押さえ具による前記薄膜の押圧状態で前記巻取り部材から延びている前記薄膜を展開状態に保持し、前記押さえ具による前記押圧状態のまま前記巻取り部材と前記押さえ具とを前記巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、前記薄膜の展開姿勢を可変にすることから成る薄膜展開方法。
- 展開されている前記薄膜は、前記押さえ具による前記押圧状態において、前記巻取り部材と前記押さえ具との同期回転量に応じて、平坦状態又は撓み状態に展開されることから成る請求項1に記載の薄膜展開方法。
- 前記薄膜の両端側で、前記巻取り部材による前記薄膜の巻取り又は巻戻しと、前記押さえ具による前記薄膜の押圧と押圧の解放とを行い、一方の前記巻取り部材から延びている前記薄膜を他方の前記巻取り部材へ巻き取ることにより、前記両巻取り部材間で展開される前記薄膜の交換をすることから成る請求項1に記載の薄膜展開方法。
- 前記両巻取り部材を互いに接近・離間可能とし、互いに離間させることで前記薄膜を展開し、互いに接近するときに前記薄膜は少なくとも一方の前記巻取り部材に巻き取ることから成る請求項3に記載の薄膜展開方法。
- 薄膜の巻取りと巻戻しとが可能な巻取り部材、及び前記巻取り部材に巻き取られている前記薄膜の最外周部を押圧可能な押さえ具を備え、前記最外周部から延びる前記薄膜の展開姿勢を可変にするため、前記押さえ具による前記押圧状態で前記巻取り部材と前記押さえ具とを前記巻取り部材の中心回りに同期して回動可能としたことから成る薄膜展開ユニット。
- 前記巻取り部材に回転自在に係合する支持部材が設けられており、前記押さえ具は、前記支持部材に前記巻取り部材の径方向に進退可能に支持されることで前記薄膜の最外周部を押圧可能であり、前記巻取り部材は、単独で又は前記支持部材の回動と同期して回転可能であることから成る請求項5に記載の薄膜展開ユニット。
- 前記支持部材は前記巻取り部材を回転駆動する駆動軸に回転自在に嵌合されたスリーブであり、前記押さえ具は、前記スリーブ上に保持された直動体の直動運動が前記直動体に連結されたリンク機構を介して変換されることにより、前記巻取り部材の径方向に進退されることから成る請求項6に記載の薄膜展開ユニット。
- 前記巻取り部材は第1モータの駆動軸で回転駆動され、前記支持部材は前記駆動軸を回転自在に支持し且つ第2モータで駆動される筒体であり、前記押さえ具は、前記筒体に設けられたアクチュエータによって前記巻取り部材の径方向に進退されることから成る請求項6に記載の薄膜展開ユニット。
- 請求項5〜8のいずれか1項に記載の薄膜展開ユニットが前記薄膜の繰出し側と巻取り側とに配設されており、前記薄膜の一部が常時少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットに巻き取られており、前記薄膜の残る一部が前記両薄膜展開ユニット間において前記薄膜の移動に伴って交換可能に展開されていることから成る薄膜展開システム。
- 少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットは、前記押さえ具による前記薄膜の最外周部における押圧位置が変動するのを防止するため、前記薄膜の移動量に応じて前記巻取り部材の位置を調整可能としたことから成る請求項9に記載の薄膜展開システム。
- 少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットは他方の前記薄膜展開ユニットに対して接近・離間可能であり、前記両薄膜展開ユニットの接近状態では、前記薄膜は少なくとも一方の前記薄膜展開ユニットに巻取り可能であることから成る請求項9に記載の薄膜展開システム。
- 前記両薄膜展開ユニットに、別の前記薄膜展開システムの前記薄膜展開ユニットを対応させて巻取り軸線方向に順次、多段に接続することにより、展開面積を拡大化可能であることからなる請求項9に記載の薄膜展開システム。
- 薄膜を巻取り又は巻戻し可能とする巻取り部材、前記巻取り部材に巻き取られている前記薄膜の最外周部を押圧可能とする押さえ具、及び前記巻取り部材から延びる前記薄膜の一部から成り前記押さえ具による押圧状態で展開状態に保持された展開薄膜部を備え、前記押さえ具による前記薄膜の押圧状態で前記巻取り部材と前記押さえ具とを、巻き取られた前記薄膜と共に前記巻取り部材の中心回りに同期して回動することにより、前記展開薄膜部の展開姿勢が可変にされたことから成る薄膜展開構造物。
- 前記展開薄膜部の両端が前記巻取り部材と前記押さえ具とによって支持され、前記両巻取り部材間で展開される前記展開薄膜部は、前記押さえ具による前記押圧状態において、前記巻取り部材と前記押さえ具との同期回転量に応じて、平坦状態又は撓み状態に展開されていることから成る請求項13に記載の薄膜展開構造物。
- 繰出し側の前記巻取り部材から前記薄膜を繰り出し、巻取り側の前記巻取り部材によって前記薄膜を巻き取ることにより、前記両巻取り部材間で展開される前記展開薄膜部が未使用の展開薄膜部に交換可能であることから成る請求項14記載の薄膜展開構造物。
- 前記両巻取り部材を互いに接近・離間可能とし、互いに接近状態では前記薄膜を少なくとも一方の前記巻取り部材に巻き取ることによって、高収納率を実現したことから成る請求項14に記載の薄膜展開構造物。
- 前記薄膜の暴露表面を平坦な太陽光反射面又は電波反射面とした電磁波反射装置、或いは前記薄膜の暴露表面を断面放物線状曲面を持つ太陽光反射集光面又は電波反射集光面とした電磁波反射集束装置として適用されていることから成る請求項14に記載の薄膜展開構造物。
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2002
- 2002-10-17 JP JP2002302695A patent/JP3944571B2/ja not_active Expired - Lifetime
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