JP2004134154A - 有機el素子の製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発光層6を形成する工程と、発光層6の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを光源3及び検出部4により測定することにより、発光層6におけるホスト材料とドーパント材料の混合比(ドーパント濃度)を検出し評価する工程とを備えることを特徴としている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセント(EL)素子の製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報機器の多様化に伴い、一般に使用されているCRT(陰極線管)に比べて、消費電力が少ない平面表示素子に対する要求が高まっている。平面表示素子の1つとして、高効率・薄型・軽量・低視野角依存性等の特徴を有するエレクトロルミネッセント(EL)素子が注目され、このEL素子を用いたディスプレイの開発が活発に行われている。
【0003】
EL素子は蛍光性化合物に電場を加えることで発光する自己発光型の素子であり、硫化亜鉛などの無機化合物を発光層として用いた無機EL素子と、ジアミン類などの有機化合物を発光層として用いた有機EL素子とに大別される。
【0004】
有機EL素子はカラー化が容易で、無機EL素子より遥かに低電圧の直流電流で動作するなどの利点から、近年特に携帯端末の表示装置などへの応用が期待されている。
【0005】
有機EL素子は、電子注入電極(陰電極)とホール注入電極(陽電極)からそれぞれ電子とホールを発光層に注入し、注入された電子とホールとを発光中心で再結合させて、発光中心が励起状態から基底状態へ戻るときに蛍光を発光させる。
【0006】
発光層として、ホスト材料にドーパント材料を混合した発光層を用いることにより、発光効率を高めることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−264692号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、ホスト材料とドーパント材料の混合物から発光層を形成する場合、発光層におけるドーパント濃度により、素子の色度及び発光効率が変化するため、発光層におけるドーパント濃度を所定の範囲内に設定する必要がある。
【0009】
従来は、素子を作製した後、素子に通電することにより所望のドーパント濃度の発光層が形成されているか否かを確認しているため、発光層の上に電極を形成する必要があり、材料及び時間が無駄になるという問題があった。また、有機EL素子をマルチカラー、フルカラー等の表示装置として用いる場合、R、G、及びBの3色の発光層を形成する必要があり、既にいずれかの発光層で不良が生じている場合にも、全ての発光層を形成する必要があり、さらに材料と時間が無駄になるという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、発光層におけるドーパント濃度を所定の範囲内に精度良く制御することができ、有機EL素子を無駄なく効率良く製造することができる有機EL素子の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の製造方法は、ホスト材料とドーパント材料を所定の混合比となるように混合した発光層を形成する有機EL素子の製造方法であり、発光層を形成する工程と、発光層の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定することにより、発光層の混合比を検出し評価する工程とを備えることを特徴としている。
【0012】
蛍光スペクトルを測定する場合には、蛍光スペクトルの最大蛍光強度を示す波長を測定することにより、ホスト材料に対するドーパント材料の混合比(ドーパント濃度)を求めることができる。また、光吸収スペクトルを測定する場合には、ホスト材料の吸光度とドーパント材料の吸光度の比率を測定することにより、ホスト材料に対するドーパント材料の混合比(ドーパント濃度)を求めることができる。
【0013】
混合比を算出するための標準試料としては、ホスト材料とドーパント材料を種々の混合比で混合した複数の溶液を作製し、これらの溶液を塗布することにより混合比の異なる膜を作製し、これらを標準試料とすることができる。また、ドーパント濃度が既知の標準試料を作成する別の方法として、ホスト材料とドーパント材料が混合された蒸着膜を用いてもよい。この場合には、予め液体クロマトグラフィなどの分析方法を用いて、膜中のドーパント濃度を求めておく。これらの膜の蛍光スペクトルの最大蛍光強度、または光吸収スペクトルにおけるホスト材料とドーパント材料の吸光度の比率を測定し、ドーパント濃度との関係を求めることができる。
【0014】
本発明の製造方法においては、混合比の評価結果をフィードバックし、発光層の形成条件を制御することができる。
また、測定対象となる発光層は、最終製品とならない測定管理用の発光層であることが好ましい。すなわち、スペクトル測定のため励起光を照射すると、発光層に劣化を生じるおそれがあるため、測定対象とした発光層は、最終製品として用いないことが好ましい。従って、ロット内にある複数の発光層のうちの1つの発光層を測定対象とし、該発光層についてのみ測定することが好ましい。
【0015】
本発明においては、上記のようにして評価した結果の混合比が、所定の範囲内であるロットについてのみ次工程に進めてもよい。例えば、発光層が所定の混合比であったものについてのみ、次の電極形成の工程を行うようにしてもよい。また、R、G及びBの各発光層を形成するものについては、発光層の混合比が所定の範囲内であったものについてのみ、次の色の発光層の形成工程に進めるようにしてもよい。
【0016】
本発明の製造装置は、上記本発明の製造方法を実施することができる製造装置であり、ホスト材料とドーパント材料を所定の混合比となるように混合した発光層を形成する有機EL素子の製造装置であり、基板上に発光層を形成するための成膜室と、発光層の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定することにより発光層の混合比を検出し評価するための光源及び検出部とを備えることを特徴としている。
【0017】
蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定するための光源及び検出部は、成膜室内に設けられていてもよい。従って、発光層を形成した後にその蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定してもよいし、発光層の形成途中において、その蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定してもよい。発光層の形成中にスペクトルを測定する場合には、その測定結果に応じて、その後の薄膜形成条件を制御し、所定のドーパント濃度となるように調整してもよい。
【0018】
また、光源及び検出部は、基板を挟み発光層と反対側に設けられていてもよい。発光層と反対側に設けることにより、光源及び検出部が、発光層形成のためのホスト材料及びドーパント材料などにより、汚染されるのを防止することができる。
【0019】
また、本発明の製造装置においては、光源及び検出部が、成膜室とは別の測定室内に設けられていてもよい。すなわち、成膜室で基板上に発光層を形成した後、基板を測定室に移動させ、該測定室内で発光層の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定してもよい。
【0020】
また、成膜室と測定室の間には、発光層を形成した基板を搬送するための搬送室が設けられていることが好ましい。すなわち、発光層を形成した基板を、搬送室を通り搬送することにより、測定室に供給されることが好ましい。また、測定後の基板は、再び搬送室を通り、製造ラインに戻されることが好ましい。この場合、同じ成膜室に戻されてもよいし、製造ラインにおける異なる成膜室に戻されてもよい。
【0021】
搬送室においては、複数の基板が同時に搬送されることが好ましい。また、一般に成膜室内は減圧雰囲気であるので、搬送室及び測定室も同様に減圧雰囲気であることが好ましい。
【0022】
本発明の製造装置においては、混合比の評価結果をフィードバックして発光層の形成条件を制御する制御機構が設けられていることが好ましい。このような制御機構を設けることにより、混合比の測定結果に応じて、発光層の形成条件を変えることができ、所定のドーパント濃度となるように発光層の形成条件を制御し、所定のドーパント濃度の発光層を形成することができる。
【0023】
また、本発明の製造装置においては、評価結果の混合比が所定の範囲内でない場合、その発光層が含まれているロットを次の工程に進めることなく製造ラインから外してもよく、このための排除機構が設けられていてもよい。このような排除機構を設けることにより、不良品となるロットについて、それ以降の製造工程を省略することができ、材料及び時間が無駄に消費されるのを防止することができる。従って、効率良く有機EL素子を生産することができる。
【0024】
本発明の製造装置においては、混合比の評価結果を表示するための表示部が設けられていてもよい。表示部で表示された混合比の評価結果に基づき、発光層の形成条件が調整されてもよい。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に従う一実施例の製造装置の成膜室を示す模式的断面図である。成膜室1内には、基板5が配置されており、蒸着源2により、基板5の上に発光層6が形成されている。発光層6は、例えばマスクなどを用いることにより所定の場所に形成されている。
【0026】
発光層6と反対側に、光源3及び検出部4が設けられている。光源3から出射された光が発光層6に照射され、これによって発光層6から発生した蛍光が検出部4に検出され、これによって発光層6の蛍光スペクトルが測定される。予め標準試料を用いて蛍光スペクトルの最大蛍光強度を示す波長と、ドーパント濃度との関係を求めておき、測定した蛍光スペクトルの最大蛍光強度を示す波長を求めることにより、ドーパント濃度を算出することができる。
【0027】
図2は、本発明の他の実施例の製造装置における成膜室を示す模式的断面図である。図2においては、光源3と検出部4が基板を挟み互いに反対側に設けられており、光源3から出射された光が発光層6を通り、検出部4で検出される。従って、発光層4の光吸収スペクトルを測定することができる。予め標準試料を用いて、ホスト材料の吸光度とドーパント材料の吸光度の比率と、ドーパント濃度の関係を求めておき、測定した光吸収スペクトルにおけるホスト材料の吸光度とドーパント材料の吸光度の比率を求め、ドーパント濃度を算出することができる。
【0028】
図3は、本発明の実施例の製造装置を示す平面図である。成膜室1の前には、前工程の成膜室22が設けられている。前工程の成膜室22と成膜室1との間には搬送室23が設けられている。前工程の成膜室22の前には搬送室21が設けられている。
【0029】
成膜室1の後には後工程の成膜室25が設けられている。成膜室1と後工程の成膜室25の間には搬送室24が設けられている。後工程の成膜室25の後には搬送室26が設けられている。
【0030】
前工程の成膜室22では、例えば、発光層の下に設けられる第1の電極、または成膜室1とは異なる色の発光層が形成される。
後工程の成膜室25では、例えば、第1の成膜室とは異なる色の発光層、または第2の電極が形成される。
【0031】
搬送室21、23、24及び26においては、図4に断面図で示すような複数の基板5が搬送される枚葉式の容器30で基板が搬送されることが好ましい。
図3に示す製造装置の成膜室1では、図1または図2に示すように、発光層6の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定するための光源3及び検出部4が、成膜室1内に設けられている。従って、成膜直後の発光層6について、蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定し、発光層6のドーパント濃度を評価することができる。評価結果に応じて、次の発光層の形成の際の薄膜形成条件を調整することができる。また、評価結果のドーパント濃度が所定の範囲内でないものについては、次の工程に進めることなく、製造ラインから外すことができる。
【0032】
また、薄膜形成中の発光層6の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定してもよい。この場合、測定結果に応じて、その後の薄膜形成条件を調整してもよい。
【0033】
図1及び図2に示すように、発光層6の形成を、蒸着源2を用いて行う場合、ホスト材料用の蒸着源とドーパント材料用の蒸着源を、それぞれ移動させながら発光層6を形成する。図13の平面図に示すように、基板5の上には、複数の発光層6が形成される。ホスト材料用蒸着源とドープ材料用蒸着源を基板5上を一定方向に移動させながら発光層6を形成する場合には、それぞれの蒸着源の移動速度を制御することにより発光層6におけるドーパント濃度を制御することができる。また、それぞれの蒸着源における温度、開口などを変化させることによってドーパント濃度を制御してもよい。
【0034】
また、蛍光スペクトル及び光吸収スペクトルの測定対象となる発光層6は、測定のためだけに形成される発光層であってもよい。すなわち、測定対象になる発光層は、最終製品とならない測定管理用の発光層であってもよい。
【0035】
図5は、本発明のさらに他の実施例の製造装置を示す平面図である。図5に示す装置においては、成膜室20及び、搬送室11を介して測定室10が設けられている。図8は、成膜室20を示す模式的断面図である。図8に示すように、成膜室20には、蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトル測定用の光源及び検出部が設けられておらず、蒸着源2による発光層6の形成のみが行われる。
【0036】
図9は、測定室10を示す模式的断面図である。図9に示すように、測定室10においては、成膜室20で形成された発光層6の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定するための光源3及び検出部4が設けられている。図9においては、光源3及び検出部4が基板5を挟むように基板5の両側に設けられているが、図1に示すように、基板5の一方側に光源及び検出部を設けてもよい。
【0037】
搬送室11においては、他の搬送室と同様に、図4に示すような枚葉式の容器30を用いて、複数の基板5が同時に搬送される。
図5に示すように、測定室10で測定された発光層のドーパント濃度の評価結果を、制御機構12により、成膜室20にフィードバックし、成膜室20における発光層の形成条件を制御することができる。図10は、ドーパント濃度測定の評価結果を発光層形成の工程にフィードバックし、発光層形成の形成条件を制御するフローを示す図である。
【0038】
図5に示す装置においては、測定室10で発光層のスペクトルを測定した後、基板は搬送室11を通り再び成膜室20に戻され、次に搬送室22を通り次工程に搬送される。
【0039】
図6は、本発明のさらに他の実施例の製造装置を示す平面図である。図6に示す装置においては、成膜室20及び、搬送室11を介して測定室10が設けられており、測定室10には、搬送室13を介して廃棄室14が設けられている。廃棄室14は、測定室10で測定されたドーパント濃度が、所定の範囲内でないものについて、製造ラインから外し廃棄するためのものである。ドーパント濃度が所定の範囲内でないものについては、搬送室13を通り、廃棄室14に廃棄される。ドーパント濃度が所定の範囲内であるものについては、再び搬送室11を通り成膜室20に戻され、搬送室22を通り次工程に搬送される。
【0040】
図11は、図6に示す製造装置のフローを示す図である。図11に示すように、ドーパント濃度の測定でドーパント濃度が所定の範囲内でないものについては廃棄され、所定の範囲内であるものについては次工程に搬送される。
【0041】
図7は、本発明のさらに他の実施例の製造装置を示す平面図である。図7に示す装置においては、図5に示す制御機構12が設けられるとともに、図6に示す廃棄室14が設けられている。測定室10で測定された評価結果に基づき、制御機構12より、成膜室20の薄膜形成条件が制御される。また、測定室10で測定された評価結果に基づき、ドーパント濃度が所定の範囲内でないものについては廃棄室14に搬送され製造ラインから外される。またドーパント濃度が所定の範囲内であるものについては、成膜室20に戻され、次工程に搬送される。
【0042】
図12は、成膜室20、搬送室11及び測定室10を示す側面図である。図12に示すように、搬送室11においては、複数の基板が収納される枚葉式の容器30を移動させることにより、複数の基板を成膜室20と測定室10の間で移動させる。測定室10には、測定結果を表示する表示部10aが設けられている。表示部10aに表示された測定結果に基づき、成膜室20における成膜条件を調整してもよい。
【0043】
【実施例】
以下、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の発光層におけるドーパント濃度と蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルとの関係を具体的に示す。
【0044】
(実施例1)
ホスト材料としてAl錯体(Alq)を用い、ドーパント材料としてキノン系色素を用いて、赤色の発光層を形成した。それぞれを、表1に示すドーパント/ホスト重量比(ドーパント濃度)となるように混合して、クロロホルムに溶解し、これを塗布することにより発光層の塗膜を形成した。形成した塗膜について、蛍光スペクトルを測定した。蛍光スペクトルは、波長390nmの励起光を照射することにより測定した。
【0045】
表1に、蛍光スペクトルの強度最大波長と、ドーパント/ホスト重量比との関係を示す。
【0046】
【表1】
【0047】
図14は、蛍光スペクトルの強度最大波長とドーパント/ホスト重量比との関係を示す図である。強度最大波長をy、ドーパント/ホスト重量比をxとすると、
y=9.6968Ln(x)+674.41
R2=0.9844
の関係になることがわかる。
【0048】
本発明に従い、成膜した発光層の蛍光スペクトルを測定し、例えば、強度最大波長が636nmであった場合、ドーパント/ホスト重量比(ドーパント濃度)は、0.01(1%)であることがわかる。例えば、ドーパント濃度の目標値が0.02(2%)である場合、ドーパント濃度が2倍になるように、発光層形成条件を変更する。
【0049】
(実施例2)
ホスト材料としてAl錯体(Alq)を用い、ドーパント材料としてクマリン色素を用いて、緑色の発光層を形成した。表2に示すドーパント/ホスト重量比となるように、それぞれをクロロホルムに溶解し、得られた溶液を塗布することにより、発光層の塗膜を形成した。形成した塗膜に、波長390nmの励起光を照射し、蛍光スペクトルを測定した。ドーパント/ホスト重量比(ドーパント濃度)と、蛍光スペクトルにおける強度最大波長との関係を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
図15は、強度最大波長とドーパント/ホスト重量比との関係を示す図である。強度最大波長をy、ドーパント/ホスト重量比(ドーパント濃度)をxとすると、
y=200.25x+520.6
R2=0.9988
の関係が成立することがわかる。
【0052】
例えば、ドーパント濃度の目標値が0.01(1%)である場合、強度最大波長は522.6nmとなる。測定対象である発光層の強度最大波長が521.6nmである場合、ドーパント濃度は0.005(0.5%)であるので、ドーパント濃度を目標の値とするためには、ドーパント濃度を2倍となるように、発光層の形成条件を変更する必要がある。
【0053】
(実施例3)
ホスト材料としてスチルベン化合物を用い、ドーパント材料としてアミン系色素材料を用いて、青色の発光層を形成した。具体的には、それぞれの材料を、表3に示すドーパント/ホスト重量比(ドーパント濃度)となるように混合し、これを、クロロホルムに溶解して溶液とし、これを塗布して発光層の塗膜を形成した。
【0054】
形成した塗膜について、紫外可視吸収スペクトルを測定し、ホスト材料の吸光度とドーパント材料の吸光度を求め、これらの吸光度の比率(ドーパント/ホスト)を測定した。測定結果を表3に示す。なお、ホスト材料の吸光度については波長378nmの吸光度を測定し、ドーパント材料の吸光度については、ベースラインを挿引した後、波長443nmの吸光度より求めた。
【0055】
【表3】
【0056】
吸光度の比率(ドーパント/ホスト)と、ドーパント/ホスト重量比(ドーパント濃度)との関係を図16に示す。吸光度の比率をy、ドーパント/ホスト重量比をxとすると、
y=0.4056x
R2=0.9765
の関係が成立することがわかる。
【0057】
ドーパント濃度の目標値が0.02(2%)である場合、吸光度の比率は0.008である。形成した発光層の吸光度の比率が例えば0.004である場合、ドーパント濃度は0.01(1%)となるので、ドーパント濃度が2倍になるように、発光層の形成条件を変更する必要がある。
【0058】
以上のように、発光層の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定することにより、ドーパント濃度を求めることができる。従って、本発明によれば、発光層におけるドーパント濃度を容易に測定することができ、ドーパント濃度を所定の範囲内とするように制御することができる。従って、有機EL素子を無駄なく効率良く製造することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、形成した発光層におけるドーパント濃度を容易に測定することができる。従って、発光層におけるドーパント濃度を所定の範囲内となるように精度良く制御することができ、有機EL素子を効率良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の製造装置における成膜室を示す模式的断面図。
【図2】本発明の他の実施例の製造装置における成膜室を示す模式的断面図。
【図3】本発明の一実施例の製造装置を示す平面図。
【図4】搬送室内を移動する枚葉式の容器を示す断面図。
【図5】本発明のさらに他の実施例の製造装置を示す平面図。
【図6】本発明のさらに他の実施例の製造装置を示す平面図。
【図7】本発明のさらに他の実施例の製造装置を示す平面図。
【図8】図5〜図7に示す製造装置における成膜室を示す模式的断面図。
【図9】図5〜図7に示す製造装置における測定室を示す模式的断面図。
【図10】本発明において、ドーパント濃度測定の評価結果を発光層形成にフィードバックするフローを示す図。
【図11】本発明において、ドーパント濃度測定の評価結果に応じて、廃棄または次工程への搬送が行われるフローを示す図。
【図12】図5〜図7に示す製造装置における成膜室、搬送室及び測定室を示す側面図。
【図13】基板上の発光層を示す平面図。
【図14】赤色発光層における蛍光強度最大波長とドーパント/ホスト重量比との関係を示す図。
【図15】緑色発光層における蛍光強度最大波長とドーパント/ホスト重量比との関係を示す図。
【図16】青色発光層における吸光度の比率とドーパント/ホスト重量比との関係を示す図。
【符号の説明】
1,20…成膜室
2…蒸着源
3…光源
4…検出部
5…基板
6…発光層
10…測定室
11,21,23,24,26…搬送室
22…前工程における成膜室
25…次工程における成膜室
30…枚葉式容器
Claims (15)
- ホスト材料とドーパント材料を所定の混合比となるように混合した発光層を形成する有機EL素子の製造方法であって、
発光層を形成する工程と、
前記発光層の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定することにより、前記発光層の前記混合比を検出し評価する工程とを備えることを特徴とする有機EL素子の製造方法。 - 前記混合比の標準試料として、ホスト材料とドーパント材料を混合した溶液を塗布することにより形成した膜を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記混合比の標準試料として、ホスト材料とドーパント材料が混合された蒸着膜を用いることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記混合比の評価結果をフィードバックして発光層の形成条件を制御する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
- 測定対象となる発光層が、最終製品とならない測定管理用の発光層であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
- 前記評価結果の混合比が所定の範囲内であるロットについてのみ、次工程に進める工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造方法。
- ホスト材料とドーパント材料を所定の混合比となるように混合した発光層を形成する有機EL素子の製造装置であって、
基板上に発光層を形成するための成膜室と、
前記発光層の蛍光スペクトルまたは光吸収スペクトルを測定することにより前記発光層の前記混合比を検出し評価するための光源及び検出部とを備えることを特徴とする有機EL素子の製造装置。 - 前記光源及び前記検出部が、前記成膜室内に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記光源及び前記検出部が、前記基板を挟み前記発光層と反対側に設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記光源及び前記検出部が、前記成膜室とは別の測定室内に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記成膜室と前記測定室の間に、発光層を形成した基板を搬送するための搬送室が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記搬送室において、複数の基板が同時に搬送されることを特徴とする請求項11に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記混合比の評価結果をフィードバックして発光層の形成条件を制御する制御機構が設けられていることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記評価結果の混合比が所定の範囲内でないロットを次工程に進めることなく製造ラインから外すための排除機構が設けられていることを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造装置。
- 前記混合比の評価結果を表示するための表示部が設けられていることを特徴とする請求項7〜14のいずれか1項に記載の有機EL素子の製造装置。
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