【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素吸収機能を有する樹脂成形物を得るためのマスターバッチ、及びこれを利用した成形物の製造方法に関する。詳しくは、安定した成形加工性を有し、かつ酸素吸収機能にばらつきがない樹脂成形物を得るためのマスターバッチ、及びこれを利用した成形物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
外部からの酸素の侵入を遮断し、内容物の保存性に優れる包装容器として従来使用されていた金属缶やガラス瓶は、加工性やコストの面から酸素バリア性熱可塑性樹脂を利用したプラスチック製の包装容器への代替がすすめられている。酸素バリア性熱可塑性樹脂としては、酸素や炭酸ガス等のガス状物質に対して低い透過性を有し、かつ加工が容易であり、更に透明で機械的な強度が十分であることから、特にエチレン−ビニルアルコール共重合体やメタキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分とアジピン酸を主成分とするジカルボン酸成分との重縮合反応から得られるポリアミド(以下ナイロンMXD6と略する)が広く利用されている。しかしながら金属やガラスで構成された包装容器が容器外部から容器内部へのガス透過が実質的にゼロであるのに対して、酸素バリア性熱可塑性樹脂を利用して構成された包装容器の場合は容器外部から容器内部へのガス透過が無視できないレベルで生じ、かつ包装容器が保存される環境によってはガス透過量が増大する傾向があるため、従来の金属缶やガラス瓶と比較して内容物の長期保存性については課題があった。
【0003】
近年、ナイロンMXD6やナイロン66等のポリアミド樹脂に対して、または前記ポリアミド樹脂やポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等に不飽和炭素結合を導入した変性樹脂に対して少量の遷移金属化合物を添加、混合して熱可塑性樹脂自体に酸素吸収機能を付与する技術が実用化されつつある。この熱可塑性樹脂を容器や包装材料を構成する材料として利用すると、容器外部から透過してくる酸素や容器内部に残存する酸素が該熱可塑性樹脂に吸収されるため、従来以上に内容物の保存性を高めることができる。
【0004】
上述のような酸素吸収機能を有する熱可塑性樹脂組成物の製造において、熱可塑性樹脂に対して遷移金属化合物を添加する方法については種々の方法が提案されている。例えば、酸化性を有する熱可塑性樹脂であるナイロンMXD6を含む熱可塑性樹脂ペレットと遷移金属化合物を含む溶液を混合、または還流した後に溶媒を揮発させることで熱可塑性樹脂ペレットに遷移金属化合物を付着させてマスターバッチを得る方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかしながら、本方法ではマスターバッチを得るために溶媒を揮発させる乾燥工程が必要となり、しかもその作業には危険が伴うため、溶媒を除去するためには特別な乾燥装置が必要となる。さらにこの乾燥工程を完結するには長い時間を要するため、結果としてコストが高くなる欠点を有する。また本方法では乾燥のために遷移金属化合物が付着した熱可塑性樹脂を長時間加熱するため、乾燥中に遷移金属化合物による熱可塑性樹脂の酸化反応が進行するため、マスターバッチの分子量は低下してその溶融粘度が低下する可能性がある。このようになると次の工程である成形加工において、成形不良等の悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
また、別の方法として、ナイロンMXD6を含む熱可塑性樹脂ペレットと遷移金属化合物を混合後、押し出し機等を用いて溶融混練してストランドを押し出し、ペレット化してマスターバッチを得る方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、本方法では熱可塑性樹脂が溶融した状態で金属化合物と混練するため、混練中に熱可塑性樹脂の酸化が進行して得られたマスターバッチの分子量は低下して溶融粘度が低下する傾向にあり、さらに溶融混練条件によっては、より分子量低下が大きくなる傾向にある。これを次の工程である成形加工に供すると、成形不良等の悪影響を及ぼす恐れがある。また、本方法ではマスターバッチを得る前に熱可塑性樹脂ペレットと遷移金属化合物を混合する工程があるが、この場合時間がたつにつれて熱可塑性樹脂ペレットと遷移金属化合物が分級し、製品中の遷移金属化合物濃度がばらつく可能性が高い。
【0006】
さらに、上述の方法に限らず、酸化性を有する熱可塑性樹脂中に遷移金属化合物を溶融混合して得たマスターバッチを利用して成形品を得る方法においては、マスターバッチが、酸素が存在する雰囲気下、例えば空気中に放置しておくと酸素を吸収し始めてその酸素吸収能力は徐々に低下する性質を持つため、成形加工を行う前までマスターバッチの保管は極力酸素に触れないようにするよう配慮する必要があった。
【0007】
【特許文献1】
特表平2−500846号公報
【特許文献2】
特表平3−505888号公報
【特許文献3】
特表平11−514385号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の課題を解消し、酸素に触れてもほとんど熱可塑性樹脂の酸化が進行せず、さらに熱可塑性樹脂の性質を生かしたまま成形加工に供することができ、かつ低コストで製造することが可能な、酸素吸収機能にばらつきのない酸素吸収性成形物を得るためのマスターバッチを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題の解決方法について鋭意検討した結果、酸化性を有する熱可塑性樹脂に粉体状の遷移金属化合物を、界面活性剤を介して展着させたマスターバッチを使用することにより、マスターバッチが酸素に触れてもほとんど熱可塑性樹脂の酸化が進行しないため、熱可塑性樹脂の性質を生かしたまま成形加工に供することができ、かつそのまま各種形状の成形品を製造する成形機に直接供給してもホッパー内で熱可塑性樹脂と遷移金属化合物が分級することなくほぼ一定の重量比で溶融混練装置内に供給できるため、得られた成形品の酸素吸収機能にばらつきがないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含み、粉末状の金属化合物(A)と、該金属化合物(A)の存在下で酸化反応を発現する熱可塑性樹脂(B)および金属化合物(A)100重量部に対して5〜50重量部の界面活性剤(C)を混合して得られる酸素吸収性成形物を得るためのマスターバッチに関する。
【0011】
また、本発明は、1台以上の溶融混練装置が設けられた成形装置を用い、そのうち少なくとも1台の溶融混練装置において、上述のマスターバッチを含む樹脂を供給し、直接各種形状の単層または多層成形物に加工することを特徴とする酸素吸収性成形物の製造方法、該製造方法により得られる酸素吸収性成形物、および該成形物を利用してなる包装容器に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳しく説明する。本発明で使用される金属化合物(A)は、元素周期律表の第VIII族の遷移金属、マンガン、銅及び亜鉛から選択された一種以上の金属原子を含む。酸素吸収性成形物中において、これらの金属原子を含む化合物が熱可塑性樹脂の酸化反応の触媒作用が高く、好ましい。より好ましくはコバルト、ロジウム、鉄および/または銅を含む金属化合物が用いられる。
【0013】
本発明で用いられる金属化合物(A)は、上述の金属を含む低価数の無機酸塩、有機酸塩又は錯塩の形で使用される。無機酸塩としては、塩化物や臭化物等のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩等が挙げられる。一方、有機酸塩としては、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩等が挙げられる。また、β−ジケトンまたはβ−ケト酸エステル等との遷移金属錯体も利用することができる。特に本発明では酸素吸収機能が良好に発現することから、上記金属原子を含むカルボン酸塩、炭酸塩、アセチルアセトネート錯体、酸化物およびハロゲン化物から選ばれる一種以上を使用することが好ましく、ステアリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩およびアセチルアセトネート錯体から選ばれる一種以上を使用することがより好ましい。
【0014】
本発明で用いられる金属化合物(A)は、ペレットに付着しやすいように粉末状のものが用いられる。その粒径は0.5mm以下が好ましく、0.1mm以下であればより好ましい。金属化合物の粒径が0.5mmよりも大きいと、熱可塑性樹脂と混合した際に全体に均一に金属化合物を分散させることができない場合がある。
【0015】
本発明で使用される熱可塑性樹脂(B)は、金属化合物(A)の存在下で酸化反応を発現する性質を有するものが使用される。具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン666、ナイロン610、ナイロン6T、ナイロンMXD6等のポリアミド樹脂、上述のポリアミド樹脂に炭素−炭素不飽和結合を導入した変性ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等に炭素−炭素不飽和結合を導入した変性ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等に炭素−炭素不飽和結合を導入した変性ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メタアクリル酸を含むポリマー、エチレン−ビニルアルコール共重合体等に炭素−炭素不飽和結合を導入した変性ポリビニル系樹脂、分子内に炭素−炭素不飽和結合を有するポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ABS樹脂等のポリエン等が挙げられる。これらの中でも本発明においては、元来ガスバリア性能に優れるポリアミド樹脂、または変性ポリアミド樹脂を使用することが、容器等の成形品を構成する上で、ガスバリア性樹脂層を省くことができるため好ましく用いられ、より好ましくはメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むジアミン成分とアジピン酸を50モル%以上含むジカルボン酸成分と重縮合して得られるポリアミド樹脂である。なおその形状は、ペレット形状のものが取り扱い性に優れるため、好ましく使用される。これらの樹脂は、単独使用でも2種以上の併用でも良い。併用する際には、2種以上の樹脂を溶融混練しても良いし、樹脂ペレットを混合しても良い。また、2種以上を溶融混練して得られたペレットに更に上記樹脂のペレットを混合しても良い。
【0016】
また、熱可塑性樹脂(B)には、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を併用することができる。併用に際しては、例えば、上述の熱可塑性樹脂に他の熱可塑性樹脂を溶融混練して得たペレットや、上述の熱可塑性樹脂からなるペレットに他の熱可塑性樹脂からなるペレットを混合したもの、さらには上述の熱可塑性樹脂に他の熱可塑性樹脂を溶融混練して得たペレットに他の熱可塑性樹脂からなるペレットを混合したもの等が利用できる。他の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、熱可塑性エラストマー等の各種ポリマーを例示することができる。
【0017】
さらに、熱可塑性樹脂(B)は、クレイ、マイカ、ガラス繊維、ゼオライト等の充填剤が加えられたものであってもよい。特に、層状珪酸塩が微分散した熱可塑性樹脂を利用することで、得られた成形品は強度やガスバリア性能に優れたものとすることができるため、好ましく利用される。また、本発明の効果を損なわない範囲で上記の充填剤以外に、顔料、染料、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等の充填剤を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、本発明で使用される熱可塑性樹脂(B)は種々の材料を混合することができる。
【0018】
本発明で使用される界面活性剤(C)は、熱可塑性樹脂(B)に金属化合物(A)を付着させる役割を有するものであって、液状または粘性を有する液状のものが使用される。界面活性剤(C)を添加することで、成形加工時に金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)が分級することがないため、ほぼ一定の割合で金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)が成形機内に供給され、得られる製品の品質も安定したものとなる。
【0019】
界面活性剤(C)としては、非イオン系界面活性剤が好ましく使用でき、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルやポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型の非イオン系界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステルやプロピレングリコール脂肪酸エステル等のエステル型の非イオン系界面活性剤が特に好ましく使用される。使用する界面活性剤(C)は上記のもののうち、成形時に発泡等の問題のないもの、成形品の外観に悪影響を与えないものを選定すればよい。
【0020】
本発明において、界面活性剤(C)の添加量は、金属化合物(A)100重量部に対して5〜50重量部の界面活性剤(C)が混合され、好ましくは10〜45重量部であり、より好ましくは15〜40重量部である。金属化合物(A)に対する界面活性剤(C)の添加量が1重量部未満であると、熱可塑性樹脂(B)に金属化合物(A)を均一に展着させることが困難であり、成形時に金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)が分級して成形品の品質が不安定になる。また50重量部より多いと、界面活性剤(C)による金属化合物(A)の展着効果に変化はなく、成形加工時に界面活性剤に起因する問題が起こりやすかったり、成形品の外観に悪影響を及ぼす可能性があるため好ましくない。
【0021】
本発明のマスターバッチを製造する際は、金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)と界面活性剤(C)をブレンダー、ミキサー、撹拌装置が設けられたバッチ式或いは連続式の混合機等、公知の混合機を利用して混合することができ、特に熱を加えたり、高い剪断力を加える必要もなく、常温で混合するだけでも問題なく製造することができる。なお、製造過程で各材料が吸湿することを防ぐために、乾燥した雰囲気下で上述の製造工程を実施することが本発明では好ましい。
【0022】
また、本発明のマスターバッチは、金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)の合計に対する金属化合物の割合が、金属原子濃度として10乃至5000ppmとなるようにすることが好ましく、より好ましくは50乃至3000ppmである。金属原子濃度が10ppm未満となるように金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合比を設定した場合、これを利用して得られる成形品の酸素吸収能力が十分でなく好ましくない。また、金属濃度が5000ppmより高くなるように金属化合物(A)と熱可塑性樹脂(B)の混合比を設定した場合、金属化合物(A)全量が熱可塑性樹脂(B)に展着できない場合が生じることがあるため好ましくない。
【0023】
本発明のマスターバッチは、上述のように熱可塑性樹脂(B)に金属化合物(A)が界面活性剤(C)を介して付着したものであり、その製造工程において熱が加えられたり、熱可塑性樹脂中に金属化合物が混合したものではない。そのため、マスターバッチの製造工程において、またマスターバッチの保管中において、さらには成形加工時の成形機ホッパー内において、酸素と触れる雰囲気下におかれても熱可塑性樹脂の酸化反応はほとんど生起することが無く、熱可塑性樹脂の物性を安定して保つことが可能である。よって、成形品の成形加工は熱可塑性樹脂(B)とほぼ同じ条件で実施でき、得られた成形品において熱可塑性樹脂の酸化劣化は、従来の酸化性を有する熱可塑性樹脂中に遷移金属化合物を溶融混合して得たマスターバッチを利用したものと比較して非常に小さく、酸素吸収性能や機械物性が良好な成形品を得ることができる。
【0024】
本発明のマスターバッチを使用して各種成形品を得る際には、公知の各種成形装置を使用することができる。例えば、1台以上の溶融混練装置が設けられた成形装置を用い、そのうち少なくとも1台の溶融混練装置において、本発明のマスターバッチを含む樹脂を供給して、直接各種形状の単層または多層成形物に加工する。成形物の形状は、例えば、フィルムやシート、またはチューブ状の包装材料、ボトルやトレイ、カップ等の包装容器が挙げられる。本発明のマスターバッチを利用して各種成形品を得る方法は、上述の製造方法によらず、様々な方法を利用することが可能である。
【0025】
【実施例】
以下に本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。尚、本実施例及び比較例で採用した評価法は以下の通りである。
(1)N−MXD6の相対粘度測定
N−MXD6を1g精秤し、96%硫酸100mlに20〜30℃で攪拌溶解した。完全に溶解した後、速やかにキャノンフェンスケ型粘度計に溶液5mlを取り、25℃の恒温漕中で10分間放置後、落下速度(t)を測定した。また、96%硫酸そのものの落下速度(t0)も同様に測定した。tおよびt0から次式(イ)により相対粘度を算出した。
相対粘度=t/t0 ・・・(イ)
(2)コバルト原子の定量
試料2gを白金るつぼに精秤し、予備燃焼後、電気炉で800℃、3時間の条件で灰化させた。冷却後、硝酸2mlを6回に分けて加え、300〜350℃のホットプレート上で完全に蒸発、乾固させた。次に塩酸3mlを加え、200〜250℃に加熱し、塩酸がるつぼの底に少量残る程度まで乾固させ、蒸留水で25mlにメスアップし、冷却装置により20℃に保って試料を作製した。この試料について、島津製作所(株)製、AA−6500を使用して原子吸光分析を行い、コバルト原子の定量を行った。
(3)フィルムのヘーズ測定
日本電色工業(株)製、色差・濁度測定器COH−300Aを使用し、ASTM D1003に準じて測定を行った。
(4)フィルムの酸素吸収量測定
10cm×10cmの正方形に裁断したフィルム1枚を、アルミ箔を積層した四方シール袋に入れ、袋内の空気が200mlとなるようにしてヒートシールにより密封し、40℃の恒温槽内に袋内の酸素濃度が変化しなくなるまで保管した。その後、シリンジを用いて保管容器内のガスをサンプリングし、東レ社製、ジルコニア式酸素濃度計にて袋内の残存酸素濃度を測定し、フィルム100cm2当たりの酸素吸収量を算出した。
【0026】
実施例1
アジピン酸とメタキシリレンジアミンを重縮合して得たポリメタキシリレンアジパミド(相対粘度;2.6、以下N−MXD6と略する)のペレット100kg、ステアリン酸コバルト400g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート100gを回転式のタンブラー内に投入し、20rpmの速度で10分間混合した。
次いで、これを30mmφの単軸押出機のホッパーに投入し、樹脂温度270℃、押し出し速度20kg/h、の条件にてストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーにてペレット化した。このペレットを押し出し開始から1時間ごとにサンプリングし、原子吸光分析によって、各サンプルのコバルト原子濃度の定量を行った。結果を表1に示す。
【0027】
実施例2
N−MXD6を100kg、ステアリン酸コバルトを2000g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを600gとした以外は実施例1と同様にして、回転式タンブラーで混合後、単軸押出機を用いてペレット化した。原子吸光分析によって各サンプルのコバルト原子濃度の定量を行った結果を表1に示す。
【0028】
実施例3
回転式タンブラーを使用して、実施例1で得たステアリン酸コバルトを展着させたN−MXD6とナイロン6を100:50(重量部)の割合で混合した。次に実施例1と同様にして、単軸押出機を用いてペレット化した。原子吸光分析によって各サンプルのコバルト原子濃度の定量を行った結果を表1に示す。
【0029】
比較例1
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、N−MXD6とステアリン酸コバルトを回転式タンブラーで混合後、単軸押出機を用いてペレット化した。原子吸光分析によって各サンプルのコバルト原子濃度の定量を行った結果を表1に示す。
【0030】
比較例2
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの添加量を15gとしたこと以外は実施例1と同様にして、N−MXD6とステアリン酸コバルトを回転式タンブラーで混合後、単軸押出機を用いてペレット化した。原子吸光分析によって各サンプルのコバルト原子濃度の定量を行った結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1乃至3に示したように、本発明の範囲内で各材料を配合した樹脂組成物は、製造工程におけるコバルト原子濃度の変化が非常に少ないものであり、安定した品質を有する製品を製造することができる。一方、界面活性剤を配合せずにN−MXD6とステアリン酸コバルトを混合して組成物を製造した比較例1では、回転式タンブラーで混合した時点で明らかに両材料の分級が見られ、これを溶融混合して得た製品においてもコバルト原子濃度は製造工程の中で大きく変化しており、安定した性質を有する製品を得ることが困難であった。また、界面活性剤の配合量が本発明の範囲よりも小さい比較例2では、界面活性剤を配合していない比較例1よりは製品中のコバルト原子濃度のばらつきはやや小さくなるものの、各実施例と比較してそのばらつきは大きいものであり、安定した製品を得ることはできなかった。
【0033】
実施例4
N−MXD6を100kg、酢酸コバルトを170g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを40gとした以外は実施例1と同様にして、回転式タンブラーで混合した。
次いで、4台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、引き取り機等からなる多層フィルム製造装置を用いて、第1の押出機からナイロン6ペレットを、第2の押出機から上記N−MXD6ペレットを、第3の押出機から無水マレイン酸変性ポリエチレン(以下、無水マレイン酸変性PEと略す)ペレットを、第4の押出機から直鎖状低密度ポリエチレン(以下、LLDPEと略す)を押し出して、ナイロン6/酸素吸収性N−MXD6/無水マレイン酸変性PE/LLDPEの層構成を有する、幅35cm、長さ1000mの多層フィルムを製造した。なお、このフィルムの厚み設定は、ナイロン6(10μm)/酸素吸収性N−MXD6(15μm)/無水マレイン酸変性PE(10μm)/LLDPE(50μm)とした。
次いで、得られたフィルムについて、幅方向において中央部、中央部から左右15cmの部分の3点について、長さ方向に0m、500m、1000mの部分での酸素吸収性N−MXD6層の厚みを測定した。また、フィルム長さ方向に0m、500m、1000mの部分における中央部のヘーズと酸素吸収量を測定した。結果を表2、及び表3に示す。
【0034】
実施例5
N−MXD6を100kg、アセチルアセトンコバルト(III)を240g、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを60gとした以外は実施例4と同様にして、回転式タンブラーで混合後、ナイロン6(10μm)/酸素吸収性N−MXD6(15μm)/無水マレイン酸変性PE(10μm)/LLDPE(50μm)の厚み設定、層構成を有する多層フィルムを製造し、酸素吸収性N−MXD6層の厚み測定、ヘーズ測定、酸素吸収量測定を行った。結果を表2、及び表3に示す。
【0035】
比較例3
酢酸コバルトとポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを添加せず、N−MXD6のみを使用してフィルムを製造したこと以外は実施例4と同様にして、ナイロン6(10μm)/N−MXD6(15μm)/無水マレイン酸変性PE(10μm)/LLDPE(50μm)の厚み設定、層構成を有する多層フィルムを製造し、N−MXD6層の厚み測定、ヘーズ測定、酸素吸収量測定を行った。結果を表2、及び表3に示す。
【0036】
比較例4
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートの添加量を120gとしたこと以外は実施例4と同様にして、回転式タンブラーで混合後、ナイロン6(10μm)/酸素吸収性N−MXD6(15μm)/無水マレイン酸変性PE(10μm)/LLDPE(50μm)の厚み設定、層構成を有する多層フィルムを製造し、酸素吸収性N−MXD6層の厚み測定、ヘーズ測定、酸素吸収量測定を行った。結果を表2、及び表3に示す。
【0037】
比較例5
実施例4において、回転式タンブラーで混合したものをそのまま用いずに、35mmφ同方向回転二軸押出機にて溶融混練してペレット化した後に第2の押出機に導入した以外は実施例4と同様にして、ナイロン6(10μm)/酸素吸収性N−MXD6(15μm)/無水マレイン酸変性PE(10μm)/LLDPE(50μm)の厚み設定、層構成を有する多層フィルムを製造し、酸素吸収性N−MXD6層の厚み測定、ヘーズ測定、酸素吸収量測定を行った。結果を表2、及び表3に示す。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
実施例4乃至5で示したように、本発明の範囲内で各材料を混合して直接フィルム成形に供し、フィルムを得た場合、比較例3に示したN−MXD6のみを押出成形した場合と同様、フィルムにおける酸素吸収性N−MXD6層の厚みは安定しているため、酸素吸収量やヘーズが安定した製品を得ることが可能であった。一方、界面活性剤の添加量が多い比較例4では、厚み及び酸素吸収量が安定した製品を得ることは可能であるものの、過剰の界面活性剤が影響して製品のヘーズが悪化した。また、予めN−MXD6と酢酸コバルトを溶融混練して得たペレットを成形に供した比較例5では、ペレット化においてN−MXD6の粘度低下が起こり、成形性が変化して中央部の酸素吸収性N−MXD6層の厚みが薄く、端部の酸素吸収性N−MXD6層の厚みが厚くなったため、酸素吸収量が部位によって変動し、安定した性質を有するフィルムを得ることができなかった。
【0041】
【発明の効果】
本発明の酸素吸収性成形物を得るためのマスターバッチは、その製造が容易かつ安価に行える上に、これを長期間保存してもポリマーの粘度低下等、物性の変化が無く成形加工が問題なく実施でき、さらにこれを利用して得られる成形品は安定した酸素吸収能力を発揮できるため、その商品価値は高く、工業的に優れたものである。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a masterbatch for obtaining a resin molded product having an oxygen absorbing function, and a method for producing a molded product using the same. More specifically, the present invention relates to a masterbatch for obtaining a resin molded product having stable molding processability and having no variation in oxygen absorption function, and a method for manufacturing a molded product using the same.
[0002]
[Prior art]
Metal cans and glass bottles that were conventionally used as packaging containers that block the intrusion of oxygen from the outside and have excellent preservation of the contents are made of plastic made of oxygen-barrier thermoplastic resin from the viewpoint of processability and cost. Alternatives to packaging containers are being promoted. As the oxygen-barrier thermoplastic resin, it has a low permeability to gaseous substances such as oxygen and carbon dioxide, and is easy to process, and furthermore, because it has sufficient transparent and mechanical strength, Widely used are polyamides (hereinafter abbreviated as nylon MXD6) obtained from a polycondensation reaction of a diamine component containing ethylene-vinyl alcohol copolymer or meta-xylylenediamine as a main component and a dicarboxylic acid component containing adipic acid as a main component. Have been. However, while the packaging container made of metal or glass has substantially zero gas permeation from the outside of the container to the inside of the container, in the case of the packaging container formed using the oxygen-barrier thermoplastic resin, Gas permeation from the outside of the container to the inside of the container occurs at a nonnegligible level, and the amount of gas permeation tends to increase depending on the environment in which the packaging container is stored. There was a problem with long-term storage.
[0003]
In recent years, a small amount of a transition metal compound has been added to a polyamide resin such as nylon MXD6 or nylon 66, or a modified resin obtained by introducing an unsaturated carbon bond into the polyamide resin, polyethylene terephthalate, polypropylene, or the like, and mixed. A technique for imparting an oxygen absorbing function to a plastic resin itself is being put to practical use. When this thermoplastic resin is used as a material constituting a container or a packaging material, oxygen permeating from the outside of the container or oxygen remaining inside the container is absorbed by the thermoplastic resin, so that the contents can be stored more than ever before. Can be enhanced.
[0004]
In the production of the thermoplastic resin composition having the oxygen absorbing function as described above, various methods have been proposed for adding a transition metal compound to the thermoplastic resin. For example, a thermoplastic resin pellet containing nylon MXD6, which is a thermoplastic resin having oxidizing properties, is mixed with a solution containing a transition metal compound, or after refluxing, the solvent is volatilized to attach the transition metal compound to the thermoplastic resin pellet. A method of obtaining a masterbatch by using a conventional method has been disclosed (for example, see Patent Documents 1 and 2). However, in this method, a drying step for volatilizing the solvent is required to obtain the master batch, and the operation involves danger. Therefore, a special drying device is required to remove the solvent. Further, it takes a long time to complete the drying step, and as a result, there is a disadvantage that the cost is increased. In addition, in this method, the thermoplastic resin to which the transition metal compound adheres is heated for a long time for drying, so that the oxidation reaction of the thermoplastic resin by the transition metal compound proceeds during drying, so that the molecular weight of the master batch decreases. Its melt viscosity may decrease. In this case, there is a possibility that adverse effects such as defective molding may be exerted in the next step of molding.
[0005]
Further, as another method, a method is disclosed in which a thermoplastic resin pellet containing nylon MXD6 and a transition metal compound are mixed, and then melt-kneaded using an extruder or the like to extrude a strand and pelletize to obtain a master batch. (See, for example, Patent Document 3). However, in this method, since the thermoplastic resin is kneaded with the metal compound in a molten state, the molecular weight of the master batch obtained by oxidizing the thermoplastic resin during kneading is reduced, and the melt viscosity tends to decrease. In addition, depending on the conditions of melt-kneading, the molecular weight tends to decrease more. If this is subjected to the next step of forming, there is a possibility that bad effects such as defective molding may be exerted. Further, in this method, there is a step of mixing the thermoplastic resin pellets and the transition metal compound before obtaining the master batch.In this case, the thermoplastic resin pellets and the transition metal compound are classified with time, and the transition metal in the product is classified. Compound concentrations are likely to vary.
[0006]
Further, not limited to the above-described method, in a method of obtaining a molded product using a master batch obtained by melt-mixing a transition metal compound in a thermoplastic resin having an oxidizing property, the master batch contains oxygen. Under the atmosphere, for example, if left in the air, it begins to absorb oxygen and its oxygen absorption capacity gradually decreases.Therefore, keep the master batch as little as possible before storing the master batch before performing molding. It was necessary to consider.
[0007]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Publication No. 2-500846
[Patent Document 2]
Japanese Patent Publication No. 3-505888
[Patent Document 3]
Japanese Patent Publication No. 11-514385
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The object of the present invention is to solve the above-mentioned problems, the oxidation of the thermoplastic resin hardly proceeds even when exposed to oxygen, and can be used for molding while further utilizing the properties of the thermoplastic resin, and at a low cost. The purpose of the present invention is to provide a masterbatch for obtaining an oxygen-absorbing molded product having an oxygen absorption function that does not vary with the oxygen-absorbing function.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies on a method for solving the above-mentioned problem, and as a result, using a masterbatch in which a powdery transition metal compound is spread on a thermoplastic resin having an oxidizing property via a surfactant. Owing to the fact that the thermoplastic resin hardly oxidizes even when the masterbatch is exposed to oxygen, it can be used for molding while making use of the properties of the thermoplastic resin, and can be used as it is to produce molded products of various shapes The thermoplastic resin and the transition metal compound can be fed into the melt-kneading device at a substantially constant weight ratio without being classified in the hopper even if they are directly fed to the hopper, so that there is no variation in the oxygen absorption function of the obtained molded product. And completed the present invention.
[0010]
That is, the present invention relates to a powdery metal compound (A) containing one or more metal atoms selected from the group VIII transition metals of the periodic table of elements, manganese, copper and zinc, and the metal compound (A). ) In which oxygen-absorbing molding is obtained by mixing 5 to 50 parts by weight of a surfactant (C) with respect to 100 parts by weight of a thermoplastic resin (B) that exhibits an oxidation reaction and 100 parts by weight of a metal compound (A). Master batches to get things.
[0011]
Further, the present invention uses a molding apparatus provided with one or more melt kneading apparatuses, and in at least one of the melt kneading apparatuses, supplies the resin including the master batch described above, and directly forms a single layer of various shapes or The present invention relates to a method for producing an oxygen-absorbing molded article characterized by being processed into a multilayer molded article, an oxygen-absorbing molded article obtained by the production method, and a packaging container using the molded article.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail. The metal compound (A) used in the present invention contains at least one metal atom selected from the group VIII transition metals of the periodic table of the elements, manganese, copper and zinc. In the oxygen-absorbing molded article, compounds containing these metal atoms are preferable because they have a high catalytic action for the oxidation reaction of the thermoplastic resin. More preferably, a metal compound containing cobalt, rhodium, iron and / or copper is used.
[0013]
The metal compound (A) used in the present invention is used in the form of a low-valent inorganic acid salt, organic acid salt or complex salt containing the above-mentioned metal. Examples of the inorganic acid salts include halides such as chlorides and bromides, sulfates, nitrates, phosphates, silicates, and the like. On the other hand, examples of the organic acid salts include carboxylate, sulfonate, phosphonate and the like. Further, a transition metal complex with β-diketone or β-keto acid ester can also be used. In particular, in the present invention, it is preferable to use at least one selected from the group consisting of carboxylate, carbonate, acetylacetonate complex, oxide and halide containing the metal atom, since the oxygen absorption function is favorably expressed, It is more preferable to use one or more selected from acid salts, acetates, carbonates and acetylacetonate complexes.
[0014]
The metal compound (A) used in the present invention is in the form of a powder so as to easily adhere to the pellet. The particle size is preferably 0.5 mm or less, more preferably 0.1 mm or less. If the particle size of the metal compound is larger than 0.5 mm, the metal compound may not be uniformly dispersed throughout when mixed with the thermoplastic resin.
[0015]
As the thermoplastic resin (B) used in the present invention, one having a property of exhibiting an oxidation reaction in the presence of the metal compound (A) is used. Specifically, polyamide resins such as nylon 6, nylon 66, nylon 666, nylon 610, nylon 6T, and nylon MXD6; modified polyamide resins obtained by introducing a carbon-carbon unsaturated bond into the above-mentioned polyamide resins; polyethylene terephthalate; Modified polyester resin with carbon-carbon unsaturated bond introduced into terephthalate, polyethylene naphthalate, polycarbonate, polyarylate, etc., modified polyolefin resin with carbon-carbon unsaturated bond introduced into polyethylene, polypropylene, etc., polystyrene, polymethyl methacrylate, methacrylate A polymer containing acrylic acid, a modified polyvinyl resin in which a carbon-carbon unsaturated bond is introduced into an ethylene-vinyl alcohol copolymer, a polybutadiene having a carbon-carbon unsaturated bond in the molecule, Puren, styrene - butadiene copolymer, a polyene such as ABS resin. Among these, in the present invention, it is preferable to use a polyamide resin originally having excellent gas barrier performance, or a modified polyamide resin, since a gas barrier resin layer can be omitted in forming a molded article such as a container. And more preferably a polyamide resin obtained by polycondensation with a diamine component containing at least 70 mol% of meta-xylylenediamine and a dicarboxylic acid component containing at least 50 mol% of adipic acid. In addition, the shape is preferably used because a pellet shape is excellent in handleability. These resins may be used alone or in combination of two or more. When used in combination, two or more resins may be melt-kneaded, or resin pellets may be mixed. Further, pellets of the above resin may be further mixed with pellets obtained by melt-kneading two or more kinds.
[0016]
Further, another thermoplastic resin can be used in combination with the thermoplastic resin (B) as long as the object of the present invention is not impaired. In the combined use, for example, a pellet obtained by melt-kneading another thermoplastic resin with the above-mentioned thermoplastic resin, a pellet obtained by mixing a pellet made of another thermoplastic resin with a pellet made of the above-described thermoplastic resin, and For example, pellets obtained by melting and kneading another thermoplastic resin with the above-mentioned thermoplastic resin and mixing pellets made of another thermoplastic resin can be used. Examples of other thermoplastic resins include various polymers such as polyesters such as polyethylene terephthalate and polybutylene terephthalate, polyolefins such as polyethylene and polypropylene, polycarbonate, polystyrene, and thermoplastic elastomers.
[0017]
Further, the thermoplastic resin (B) may be one to which a filler such as clay, mica, glass fiber, zeolite or the like is added. In particular, by using a thermoplastic resin in which layered silicate is finely dispersed, the obtained molded article is preferably used because it can have excellent strength and gas barrier performance. In addition, in addition to the above-mentioned fillers as long as the effects of the present invention are not impaired, pigments, dyes, lubricants, matting agents, heat stabilizers, weather stabilizers, ultraviolet absorbers, nucleating agents, plasticizers, flame retardants, and charging agents Fillers such as additives such as an inhibitor, a coloring inhibitor and an anti-gelling agent can be added, but the thermoplastic resin (B) used in the present invention is not limited to the above-mentioned ones. Can mix various materials.
[0018]
The surfactant (C) used in the present invention has a role of attaching the metal compound (A) to the thermoplastic resin (B), and is a liquid or a viscous liquid. By adding the surfactant (C), the metal compound (A) and the thermoplastic resin (B) are not classified at the time of molding, so that the metal compound (A) and the thermoplastic resin ( B) is supplied into the molding machine, and the quality of the obtained product is also stable.
[0019]
As the surfactant (C), a nonionic surfactant can be preferably used, and a nonionic surfactant of an ether ester type such as polyoxyethylene sorbitan fatty acid ester or polyoxyethylene sorbitol fatty acid ester, sorbitan fatty acid ester or the like can be used. Ester-type nonionic surfactants such as propylene glycol fatty acid esters are particularly preferably used. The surfactant (C) to be used may be selected from those described above, which have no problem such as foaming during molding and those which do not adversely affect the appearance of the molded product.
[0020]
In the present invention, the surfactant (C) is added in an amount of 5 to 50 parts by weight of the surfactant (C) based on 100 parts by weight of the metal compound (A), and preferably 10 to 45 parts by weight. And more preferably 15 to 40 parts by weight. When the amount of the surfactant (C) added to the metal compound (A) is less than 1 part by weight, it is difficult to uniformly spread the metal compound (A) on the thermoplastic resin (B), and the The metal compound (A) and the thermoplastic resin (B) are classified and the quality of the molded product becomes unstable. If the amount is more than 50 parts by weight, the spreading effect of the metal compound (A) by the surfactant (C) does not change, so that problems due to the surfactant tend to occur at the time of molding, and the appearance of the molded article is adversely affected. Is not preferred because it may cause
[0021]
When the masterbatch of the present invention is produced, the metal compound (A), the thermoplastic resin (B), and the surfactant (C) are mixed with a blender, a mixer, or a batch or continuous mixer equipped with a stirrer. Mixing can be carried out using a known mixer, and there is no need to apply heat or a high shearing force, and the mixture can be produced without any problem just by mixing at room temperature. In the present invention, it is preferable to perform the above-described manufacturing process in a dry atmosphere in order to prevent each material from absorbing moisture in the manufacturing process.
[0022]
Further, in the masterbatch of the present invention, the ratio of the metal compound to the total of the metal compound (A) and the thermoplastic resin (B) is preferably set to 10 to 5000 ppm as a metal atom concentration, and more preferably 50 to 50 ppm. To 3000 ppm. If the mixing ratio of the metal compound (A) and the thermoplastic resin (B) is set so that the metal atom concentration is less than 10 ppm, the oxygen absorption capacity of the molded article obtained by using this is not preferable because it is insufficient. Further, when the mixing ratio of the metal compound (A) and the thermoplastic resin (B) is set so that the metal concentration becomes higher than 5000 ppm, the total amount of the metal compound (A) may not spread to the thermoplastic resin (B). It is not preferable because it may occur.
[0023]
The masterbatch of the present invention is obtained by attaching the metal compound (A) to the thermoplastic resin (B) via the surfactant (C) as described above. It is not a mixture of a metal compound in a plastic resin. Therefore, during the masterbatch manufacturing process, during storage of the masterbatch, and in the molding machine hopper during molding, almost no oxidation reaction of the thermoplastic resin occurs even when exposed to oxygen. Therefore, the physical properties of the thermoplastic resin can be stably maintained. Therefore, the molding of the molded article can be carried out under almost the same conditions as the thermoplastic resin (B), and the oxidative deterioration of the thermoplastic resin in the obtained molded article is caused by the transition metal compound in the conventional oxidizable thermoplastic resin. Is extremely small as compared with the one using a masterbatch obtained by melt-mixing the above, and a molded article having excellent oxygen absorption performance and mechanical properties can be obtained.
[0024]
When various molded products are obtained using the masterbatch of the present invention, various known molding devices can be used. For example, using a molding apparatus provided with one or more melt-kneading apparatuses, and in at least one of the melt-kneading apparatuses, supplying the resin containing the masterbatch of the present invention, and directly forming a single-layer or multilayer molding of various shapes. Process into things. Examples of the shape of the molded product include a film or sheet, or a tubular packaging material, and a packaging container such as a bottle, a tray, or a cup. Various methods for obtaining various molded articles using the masterbatch of the present invention can be used without depending on the above-described production method.
[0025]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail. However, the present invention is not limited to the following examples. The evaluation methods adopted in the present example and comparative example are as follows.
(1) Measurement of relative viscosity of N-MXD6
1 g of N-MXD6 was precisely weighed and dissolved in 100 ml of 96% sulfuric acid with stirring at 20 to 30 ° C. After complete dissolution, 5 ml of the solution was promptly taken into a Cannon-Fenske viscometer, allowed to stand in a constant temperature bath at 25 ° C. for 10 minutes, and then the falling speed (t) was measured. Also, the falling speed (t0) of 96% sulfuric acid itself was measured in the same manner. The relative viscosity was calculated from t and t0 by the following equation (A).
Relative viscosity = t / t0 (a)
(2) Determination of cobalt atom
2 g of the sample was precisely weighed in a platinum crucible, and after pre-combustion, incinerated in an electric furnace at 800 ° C. for 3 hours. After cooling, 2 ml of nitric acid was added in six portions, and completely evaporated and dried on a hot plate at 300 to 350 ° C. Next, 3 ml of hydrochloric acid was added, and the mixture was heated to 200 to 250 ° C., dried until a small amount of hydrochloric acid remained at the bottom of the crucible, made up to 25 ml with distilled water, and kept at 20 ° C. by a cooling device to prepare a sample. . The sample was subjected to atomic absorption analysis using AA-6500 manufactured by Shimadzu Corporation to quantify cobalt atoms.
(3) Haze measurement of film
Using a color difference / turbidity meter COH-300A manufactured by Nippon Denshoku Industries Co., Ltd., the measurement was performed according to ASTM D1003.
(4) Measurement of oxygen absorption of film
One piece of the film cut into a square of 10 cm × 10 cm is put in a four-sided seal bag in which aluminum foil is laminated, and the air in the bag is sealed up by heat sealing so that the air in the bag becomes 200 ml. Was stored until the oxygen concentration of the sample no longer changed. Thereafter, the gas in the storage container was sampled using a syringe, and the residual oxygen concentration in the bag was measured with a zirconia oximeter manufactured by Toray Industries, Inc. 2 The amount of oxygen absorbed per unit was calculated.
[0026]
Example 1
100 kg of pellets of polymethaxylylene adipamide (relative viscosity; 2.6, hereinafter abbreviated as N-MXD6) obtained by polycondensation of adipic acid and meta-xylylenediamine, 400 g of cobalt stearate, polyoxyethylene sorbitan mono 100 g of laurate was put into a rotary tumbler and mixed at a speed of 20 rpm for 10 minutes.
Next, this was put into a hopper of a 30 mmφ single screw extruder, extruded into a strand at a resin temperature of 270 ° C. and an extrusion speed of 20 kg / h, cooled, and pelletized by a pelletizer. The pellet was sampled every hour from the start of extrusion, and the cobalt atomic concentration of each sample was quantified by atomic absorption analysis. Table 1 shows the results.
[0027]
Example 2
100 kg of N-MXD6, 2000 g of cobalt stearate, and 600 g of polyoxyethylene sorbitan monolaurate were mixed in a rotary tumbler in the same manner as in Example 1 and then pelletized using a single screw extruder. . Table 1 shows the results of quantification of the cobalt atom concentration of each sample by atomic absorption analysis.
[0028]
Example 3
Using a rotary tumbler, N-MXD6 on which cobalt stearate obtained in Example 1 was spread and nylon 6 were mixed at a ratio of 100: 50 (parts by weight). Next, pelletization was performed using a single screw extruder in the same manner as in Example 1. Table 1 shows the results of quantification of the cobalt atom concentration of each sample by atomic absorption analysis.
[0029]
Comparative Example 1
N-MXD6 and cobalt stearate were mixed in a rotary tumbler in the same manner as in Example 1 except that polyoxyethylene sorbitan monolaurate was not added, and then pelletized using a single screw extruder. Table 1 shows the results of quantification of the cobalt atom concentration of each sample by atomic absorption analysis.
[0030]
Comparative Example 2
N-MXD6 and cobalt stearate were mixed in a rotary tumbler in the same manner as in Example 1 except that the amount of polyoxyethylene sorbitan monolaurate was changed to 15 g, and then pelletized using a single screw extruder. . Table 1 shows the results of quantification of the cobalt atom concentration of each sample by atomic absorption analysis.
[0031]
[Table 1]
[0032]
As shown in Examples 1 to 3, the resin composition in which each material was blended within the scope of the present invention had a very small change in the cobalt atom concentration in the production process, and a product having stable quality was obtained. Can be manufactured. On the other hand, in Comparative Example 1 in which N-MXD6 and cobalt stearate were mixed without adding a surfactant to produce a composition, classification of both materials was clearly observed at the time of mixing with a rotary tumbler. In a product obtained by melt-mixing, the atomic concentration of cobalt greatly changes during the manufacturing process, and it is difficult to obtain a product having stable properties. In Comparative Example 2 in which the amount of the surfactant was smaller than the range of the present invention, the dispersion of the cobalt atom concentration in the product was slightly smaller than that in Comparative Example 1 in which the surfactant was not added. The variation was large compared to the examples, and a stable product could not be obtained.
[0033]
Example 4
The mixture was mixed with a rotary tumbler in the same manner as in Example 1 except that 100 kg of N-MXD6, 170 g of cobalt acetate, and 40 g of polyoxyethylene sorbitan monolaurate were used.
Next, using a multilayer film manufacturing apparatus including four extruders, a feed block, a T-die, a cooling roll, a take-off machine, and the like, nylon 6 pellets were obtained from the first extruder and the N- The MXD6 pellets are extruded with maleic anhydride-modified polyethylene (hereinafter abbreviated as maleic anhydride-modified PE) pellets from a third extruder, and the linear low-density polyethylene (hereinafter abbreviated as LLDPE) are extruded from a fourth extruder. Thus, a multilayer film having a width of 35 cm and a length of 1000 m having a layer structure of nylon 6 / oxygen-absorbing N-MXD6 / maleic anhydride-modified PE / LLDPE was produced. The thickness of this film was set as nylon 6 (10 μm) / oxygen-absorbing N-MXD6 (15 μm) / maleic anhydride-modified PE (10 μm) / LLDPE (50 μm).
Next, for the obtained film, the thickness of the oxygen-absorbing N-MXD6 layer was measured at 0 m, 500 m, and 1000 m in the length direction at three points at the center in the width direction and at 15 cm left and right from the center. did. In addition, the haze and the amount of oxygen absorption at the central portion at the portions of 0 m, 500 m and 1000 m in the film length direction were measured. The results are shown in Tables 2 and 3.
[0034]
Example 5
After mixing with a rotary tumbler in the same manner as in Example 4 except that 100 kg of N-MXD6, 240 g of acetylacetonate cobalt (III), and 60 g of polyoxyethylene sorbitan monolaurate, nylon 6 (10 μm) / oxygen absorption N-MXD6 (15 μm) / maleic anhydride-modified PE (10 μm) / LLDPE (50 μm) thickness setting, manufacture multilayer film having layer structure, thickness measurement of oxygen-absorbing N-MXD6 layer, haze measurement, oxygen An absorption measurement was performed. The results are shown in Tables 2 and 3.
[0035]
Comparative Example 3
Nylon 6 (10 μm) / N-MXD6 (15 μm) in the same manner as in Example 4 except that a film was produced using only N-MXD6 without adding cobalt acetate and polyoxyethylene sorbitan monolaurate. A multilayer film having a thickness setting and a layer structure of / maleic anhydride-modified PE (10 μm) / LLDPE (50 μm) was manufactured, and the thickness measurement, haze measurement, and oxygen absorption amount measurement of the N-MXD6 layer were performed. The results are shown in Tables 2 and 3.
[0036]
Comparative Example 4
After mixing with a rotary tumbler in the same manner as in Example 4 except that the addition amount of polyoxyethylene sorbitan monolaurate was 120 g, nylon 6 (10 μm) / oxygen-absorbing N-MXD6 (15 μm) / maleic anhydride A multilayer film having a thickness of acid-modified PE (10 μm) / LLDPE (50 μm) and a layer structure was manufactured, and the thickness measurement, haze measurement, and oxygen absorption amount measurement of six oxygen-absorbing N-MXD layers were performed. The results are shown in Tables 2 and 3.
[0037]
Comparative Example 5
Example 4 was repeated except that the mixture obtained in the rotary tumbler was not used as it was, but was melt-kneaded in a 35 mmφ co-rotating twin screw extruder, pelletized, and then introduced into the second extruder. Similarly, a multilayer film having a nylon 6 (10 μm) / oxygen-absorbing N-MXD6 (15 μm) / maleic anhydride-modified PE (10 μm) / LLDPE (50 μm) thickness and layer structure was manufactured, The thickness measurement, haze measurement, and oxygen absorption amount measurement of the N-MXD6 layer were performed. The results are shown in Tables 2 and 3.
[0038]
[Table 2]
[0039]
[Table 3]
[0040]
As shown in Examples 4 and 5, when the respective materials were mixed and directly subjected to film forming within the scope of the present invention to obtain a film, and only N-MXD6 shown in Comparative Example 3 was extruded. Similarly to the above, since the thickness of the oxygen-absorbing N-MXD6 layer in the film was stable, it was possible to obtain a product having stable oxygen absorption and haze. On the other hand, in Comparative Example 4 in which the amount of the surfactant added was large, although it was possible to obtain a product having a stable thickness and oxygen absorption amount, the haze of the product was deteriorated due to the influence of the excess surfactant. In Comparative Example 5 in which pellets obtained by previously melting and kneading N-MXD6 and cobalt acetate were subjected to molding, the viscosity of N-MXD6 was reduced in the pelletization, the moldability was changed, and the oxygen absorption in the center was changed. The thickness of the non-crystalline N-MXD6 layer was small and the thickness of the oxygen-absorbing N-MXD6 layer at the end portion was large, so that the amount of oxygen absorbed varied depending on the site, and a film having stable properties could not be obtained.
[0041]
【The invention's effect】
The masterbatch for obtaining the oxygen-absorbing molded article of the present invention can be easily and inexpensively manufactured, and even if stored for a long period of time, there is no change in physical properties such as a decrease in the viscosity of the polymer, and molding processing is problematic. The molded product obtained by using this can exhibit a stable oxygen absorbing ability, and therefore has high commercial value and is industrially excellent.