JP2004129658A - 反芻動物用の消化促進剤および反芻動物の飼育方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】牛や羊等の反芻動物の反芻胃内での飼料の消化を促進させる消化促進剤、および、反芻動物を、消化促進作用を有する飲用水を付与して飼育する方法を提供する。
【解決手段】反芻動物の反芻胃中の飼料の消化を促進するための消化促進剤であり、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とする反芻動物用の消化促進剤。反芻動物に植物を飼料として与える反芻動物の飼育方法であって、飲用水として、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とする飲用水を採用する反芻動物の飼育方法。
【選択図】 図1
【解決手段】反芻動物の反芻胃中の飼料の消化を促進するための消化促進剤であり、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とする反芻動物用の消化促進剤。反芻動物に植物を飼料として与える反芻動物の飼育方法であって、飲用水として、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とする飲用水を採用する反芻動物の飼育方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、反芻動物用の消化促進剤、および、反芻動物の飼育方法に関する。
動物の飼育業者にとっては、目的とする動物を良好な体調で迅速に飼育して、動物の生産性を高めることは重要なことである。これに対処するために、従来から、動物の飼育に欠かせない飼料の面での研究がなされていて、相当の成果を挙げている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、飼料とともに動物の飼育に欠かせない飲用水の面からの研究については、未だ着手されていないのが実状である。
特開平6−153809号公報
本発明は、かかる実状に着目してなされたもので、その目的とするところは、動物を良好な体調で迅速に飼育してその生産性を高めることを、従来検討されている飼料の面からではなくて、検討が未だなされていない飲用の消化促進剤や飲用水の面から検討し、これに対処することにある。
本発明は、牛や羊等、反芻胃を有する反芻動物の飼育を対象とするものであり、本発明に係る第1の発明は、反芻動物の反芻胃中の飼料の消化を促進するための消化促進剤に関するものであり、本発明に係る消化促進剤は、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とすることを特徴とするものである。また、本発明に係る第2の発明は、反芻動物に植物を飼料として与える反芻動物の飼育方法に関するもので、本発明に係る飼育方法は、飲用水として、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とする飲用水を採用することを特徴とするものである。
反芻動物の反芻胃液(ルーメン液)を用いた生体外(試験管内:in vitro)での乾物消化実験(実施例1)の結果では、人工唾液の調製に弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(pH8.5〜10)を採用した場合には、人工唾液の調製に蒸留水を採用した場合に比較して、飼料の消化率が大きく増加していることを確認している。
また、反芻動物に、飲用水として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を与えた場合と一般水(井戸水)を与えた場合の、反芻動物のルーメン液を用いた生体外でのガス生産実験の結果では、飲用水に弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を採用した場合には、飲用水に一般水を採用した場合に比較して、ガス生産量およびガス生産速度共に増大していることを確認している。このガス生産実験におけるガス生産量およびガス生産速度の増加は、飼料の消化率の増加を意味している。
以上の生体外の実験結果は、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水が反芻動物の飼料の消化を促進する機能を有していることを認めているものである。これにより、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水は、反芻動物用の消化促進剤の有効な主要成分であるものと認められ、かつ、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水は、反芻動物の飼料の消化促進に有効な飲用水であるものと認められる。
また、当該生体外の実験結果を踏まえた生体内(in vivo)での実験(実施例2)結果では、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を飲用しつつ、同電解生成アルカリ性水を反芻胃内カニューレから反芻胃内に注入する飲用手段を採った場合には、井戸水にて同様の飲用手段を採った場合に比較して、飼料の消化率が高く、消化管での水分吸収量が高く、かつ、微生物体窒素の合成量および合成効率が有意に高いことを確認している。弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の上記した飲用および注入では、全消化管消化率は増加する傾向にあり、特に、反芻胃内消化率が増加したためと解される。弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水は、消化管からの吸収能による下痢防止等から、飲用に適しているものと解される。微生物体窒素の合成効率が増加すると、飼料中の窒素供給量を低減することが可能であり、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の飲用により、タンパク質に富む飼料の節約が期待できる。
また、当該生体外の実験結果を踏まえた生体内(in situ)での実験(実施例3)結果では、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を自由飲用させてナイロンバック法を採った場合、飼料(計測試料)としてアルカリ処理した稲藁(アンモニア処理稲藁,井戸水調製の尿素溶液処理稲藁,弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水調製の尿素溶液処理稲藁)については、潜在的に分解可能な分画および有効分解率が高いことを確認している。このことは、生体外(in vitro)実験においてガス生産量が増加していること、および、ガス生産速度が増大していることを裏付けしているものと解される。また、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の自由飲用では、反芻胃内でのプロトゾアが減少することを確認している。反芻胃内でのプロトゾアが減少すると、バクテリアが増加して微生物体窒素の合成効率を増加させることになる。
本発明者は、動物の植物質飼料の消化に関して種々研究した結果、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水が、牛や羊等の反芻動物の反芻胃内での飼料消化を促進する機能を有することを見出した。当該電解生成アルカリ性水は、水道水等の一般水を被電解水とする有隔膜電解にて、陰極側電解室で生成される電解生成アルカリ性水である。当該有隔膜電解では、通常、pH8.5〜10.0の範囲にある弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水が生成される。
反芻動物の飼料には、稲藁(一般的なイネ科飼料)、ネピアグラス(熱帯の代表的なイネ科牧草)、カロポニウムムクノイデス(熱帯の代表的なマメ科牧草)、チモシー(国内の代表的なイネ科牧草)、アルファルファヘイキューブ(国内の代表的なマメ科牧草)、大豆粕(一般的な濃厚飼料)等が存在する。本発明の実施例1においては、反芻動物として羊を選択して、上記した各飼料について、羊の反芻胃内容液を用いた生体外(in vitro)での乾物消化実験、および、羊の反芻胃内容液を用いた生体外でのガス生産実験を行っている。
羊の反芻胃液を用いた生体外での乾物消化実験では、人工唾液の調製に弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(pH9.8)を採用した場合には、人工唾液の調製に蒸留水を採用した場合に比較して、乾物消化率が大きく増加していることを確認している。
また、羊に飲用水として、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を与えた場合と井戸水を与えた場合の、羊の反芻胃内容液を用いた生体外でのガス生産実験の結果では、飲用水として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を採用した場合には、飲用水として井戸水を採用した場合に比較して、ガス生産量およびガス生産速度共に増大していることを確認している。ガス生産実験でのガス生産量およびガス生産速度の増加は、飼料の消化率の増加を意味している。
当該乾物消化実験および当該ガス生産実験は、いずれも生体外での実験ではあるが、実験雰囲気を反芻胃内に近い状態に調製して行っているもので、上記した実験結果は反芻胃内での飼料の消化促進傾向に当てはめることができ、また、牛や羊等の反芻動物の反芻胃内での飼料の消化促進傾向に当てはめることができるものである。
以上のことから、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水は、反芻動物の反芻胃内での飼料の消化促進させる有効な主要成分であることが確認され、かつ、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水は、反芻動物の反芻胃内での飼料の消化促進に有効な飲用水であることが確認される。弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の反芻胃内での飼料の消化を促進させる機序は定かではないが、飼料タンパク質の溶解度の増加、ヘミセルロースの分解率の増加、菌相変化等の要因が考えられる。
また、本発明の実施例2においては、反芻動物としてメン羊を選択して、チモシー、アルファルファヘイキューブ、大豆粕の各飼料について、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を自由飲用しつつ、同電解生成アルカリ性水を反芻胃内カニューレから反芻胃内に注入する飲用手段を採った場合の、反芻胃内性状、反芻胃内容物評価および反芻胃活動パラメータ、飼料摂取量および消化率、水分出納、糸球体濾過速度および腎細管からの水分再吸収割合、反芻胃内微生物供給量および窒素出納等を解明するための生体内(in vivo)の実験を行っている。
弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を飲用しつつ反芻胃内カニューレから反芻胃内に注入する飲用手段を採った場合には、井戸水に同様の飲用手段を採った場合に比較して、飼料の消化率が高く、消化管での水分吸収量が高く、かつ、微生物体窒素の合成量および合成効率が有意に高いことを確認している。弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の注入では、全消化管消化率は増加する傾向にあり、特に、反芻胃内消化率が増加したためと解される。弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水は、消化管からの吸収能による下痢防止等から、飲用に適しているものと解される。微生物体窒素の合成効率が増加すると、飼料中の窒素供給量を低減することが可能であり、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の飲用により、タンパク質に富む飼料の節約が期待できる。
また、本発明の実施例3においては、反芻動物としてメン羊を選択して、ナイロンバック法により、井戸水調製のアンモニア処理稲藁,井戸水調製の尿素溶液処理稲藁,弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水調製の尿素溶液処理稲藁を計測試料とし、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を自由飲用する手段を採った場合の、乾物(DM)、粗タンパク質(CP)、中性デタージェント繊維(NDF)の分解率の経時的変化、反芻胃内の分解パラメータ、プロトゾア数および種類等を解明するための生体内(in situ)の実験を行っている。
弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を自由飲用とする飲用手段を採った場合、計測試料(井戸水調製のアンモニア処理稲藁,井戸水調製の尿素溶液処理稲藁,弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水調製の尿素溶液処理稲藁)については、潜在的に分解可能な分画および有効分解率が高いことを確認している。このことは、生体外(in vitro)実験においてガス生産量が増加していること、および、ガス生産速度が増大していることを裏付けしているものと解される。また、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水の自由飲用では、反芻胃内でのプロトゾアが減少することを確認している。反芻胃内でのプロトゾアが減少すると、バクテリアが増加して微生物体窒素の合成効率を増加させることになる。このことは、生体内(in vivo)実験での各結果を裏付けしているものと解される。
本実施例では、反芻動物として羊を選択し、飼料として植物質である稲藁(一般的なイネ科飼料)、ネピアグラス(熱帯の代表的なイネ科牧草)、カロポニウムムクノイデス(熱帯の代表的なマメ科牧草)、チモシー(国内の代表的なイネ科牧草)アルファルファヘイキューブ(国内の代表的なマメ科牧草)、大豆粕(濃厚なタンパク質飼料)を採用し、供試水として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水、蒸留水、井戸水を採用して、生体外(in vitro)での乾物消化実験およびガス生産実験を試みた。供試水である弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水および井戸水の特性を表1に示す。但し、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水についてはBEWと簡略して表示し、井戸水についてはGWと簡略して表示している。
(実験1):本実験では、生体外(in vitro)での乾物消化実験を試みた。飼料として、稲藁(ワラ類)、ネピアグラス(イネ科牧草:以下ネピヤと称する)、カロポニウムムクノイデス(マメ科牧草:以下カロポと称する)を採用して、その約0.45gを供試飼料料とした。また、メン羊の反芻胃液(pH約6.25)を、装着したカニューレを通して採取するととともに、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)および蒸留水を使用して表2に示す組成のマクドウガル人工唾液を2種類調製した。これらの各人工唾液40mLに反芻胃液10mLを添加して人工的に反芻胃(培養液)を調製し、人工的反芻胃である各培養液中で各供試飼料料を、39℃で48時間培養した。
培養終了後、培養液を吸引濾過して濾液と残渣に分離し、残渣を135℃で2時間通風乾燥して乾物を得た。得られた乾物の重量(A)と培養前の供試飼料の重量(B)とから、乾物消化率〔(B−A)/B)×100〕%を算出した。人工唾液の組成を表2に、人工唾液および各培養液のpHを表3に、各供試料における乾物消化率(%)を表4に示す。
表3における「液の種類」の欄中、ブランク培養液1とは人工唾液と反芻胃液とにより調製された人工的反芻胃(培養液)であり、ネピア培養液とは調製直後の人工的反芻胃(培養液)にてネピアグラスを48時間培養した状態の培養液、稲藁培養液とは調製直後の人工的反芻胃(培養液)にて稲藁を48時間培養した状態の培養液、カポロ培養液とは調製直後の人工的反芻胃(培養液)にてカロポニウムムクノイデスを48時間培養した状態の培養液を意味する。また、ブランク培養液2とは、ブランク培養液1を培養時間48時間、培養条件と同一条件で放置した培養液を意味する。
表3を参照すると、調製液として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を採用した人工唾液と蒸留水を採用した人工唾液間には、pHに差は認められない。これらの人工唾液で調製された人工反芻胃(ブランク培養液)のうち、48時間経過後のブランク培養液2ではpHが高く、このpHは非生理的範囲である。反芻胃内性状が正常値からアルカリ側に移行することをアルカローシスといい、動物に対して悪影響を及ぼす。しかしながら、供試飼料を培養している3種類の各培養液(ネピア培養液、稲藁培養液、カロポ培養液)は、pH7に極めて近似する正常範囲にある。これは、培養液中の微生物が反芻胃内微生物と同様に炭水化物を分解して、発酵成分として揮発性脂肪酸、乳酸、メタン、炭酸ガスを発生させるためであると解される。
調製液として、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を採用した人工唾液にて調製された培養液においても、また、蒸留水を採用した人工唾液にて調製された培養液においても、反芻胃内発酵と同様の発酵が発生していることが認められる。カロポ培養液では、他の供試飼料の培養液に比較してよりアルカリ性側であるが、これは、カロポニウムムクノイデスがマメ科の牧草であってタンパク質含有量が高いため、pHがよりアルカリ性側に移行するものと推測される。これは、培養液中の微生物が反芻胃内微生物と同様にタンパク質分解酵素を有し、供試飼料中のタンパク質をアンモニア、ペプチド、アミノ酸に分解させるためと解される。
乾物(DM)消化率の結果を示す表4では、供試飼料中、ネピアはネピアグラスを意味し、カポロはカロポニウムムクノイデスを意味する。表4を参照すると、調製液として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を採用した人工唾液にて調製された培養液と、調製液として蒸留水を採用した人工唾液にて調製された培養液の間では、乾物消化率に大きな差がある。乾物消化率は、前者の培養液が後者の培養液に比較して有意的に大きい。
(実験2):本実験では、生体外(in vitro)でのガス生産実験を試みた。供試飼料として、チモシー(イネ科牧草)、アルファルファヘイキューブ(マメ科牧草:以下アルファルファと称する)、ネピアグラス(イネ科牧草:以下ネピアと称する)、カロポゴニウムムクノイデス(マメ科牧草:以下カロポと称する)、大豆粕(タンパク質添加飼料)を採用した。
ガス生産実験では、反芻動物としてメン羊を選択して、メンケ・ステインガス法(Menke & Steingass法)に基づく生体外でのガス生産実験を採用した。メン羊に対する飲用水である供試水として、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(pH9.8:BEW)と井戸水(GW)を採用し、各供試水を給与したメン羊の反芻胃内から、装着したカニューレを通して各メン羊の反芻胃液を採取し、採取した各反芻胃液を培養基(medium)に混合して各培養液を調製した。培養基と反芻胃液との混合比は、培養基:反芻胃液=2:1(60mL:30mL)とした。培養基は、表5に示す各試薬a〜eを混合して調製したもので、反芻胃液を採取する直前に、400mLの水に対して試薬aを0.1mL、試薬bを200mL、試薬cを200mL、試薬dを1.0mL、試薬eを40mLを混合し、炭酸ガスで還元することにより調製した。
各供試飼料の培養では、0.2gの各供試飼料を各培養液にて39℃で72時間培養した。この間、3時間、6時間、9時間、12時間、24時間、48時間、72時間経過した時点でのガス発生量を測定し、ガス生産パラメータを算出した。なお、本実験では、反芻胃内微生物が各培養液中で96時間程度生存して、これらの時間の経過中、各供試料が発酵可能な状態に保持している。また、ガス生産パラメータは、Neway programme(Chen,1997)に示されている算出式、すなわち、20=B(1−e-c(t-L))の式を用いて算出した。当該算出式において、Gはガス発生量、Bは潜在的ガス生産量(mL/200mgDM)、cはガス生産速度定数(%/h)、tは培養時間(h)、Lは発酵遅延時間(h)を意味している。
各供試飼料のガス生産実験における、ガス生産量と培養時間の関係に図1〜図5のグラフに示すとともに、ガス生産パラメータについては表6に示す。なお、各図のグラフ中、実線のグラフは、飲用水として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を採用した場合、破線グラフは、飲用水として井戸水を採用した場合の結果を示す。
図1に示すグラフはチモシーのガス生産実験の結果であり、図2に示すグラフはアルファルファのガス生産実験の結果であり、図3に示すグラフはネピアのガス生産実験の結果であり、図4に示すグラフはカロポのガス生産実験の結果であり、図5に示すグラフは大豆粕のガス生産実験の結果である。
これらのグラフを参照すると、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を飲用水とする場合は、井戸水(GW)を飲用水とする場合に比較して、ガス生産量が増大していることが認められる。ガス生産量が増大していることは、有機物の消化が促進されていることを意味し、飲用水である弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)が、各供試飼料の消化を促進させる機能を有することを示している。また、供試飼料の中では、マメ科植物に比較してイネ科植物の方が、ガス生産量が高いことを示している。
また、表6を参照すると、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を飲用水とする場合は、井戸水(GW)を飲用水とする場合に比較して、潜在的ガス生産量が高いことが認められる。ガス生産パラメータの潜在的ガス生産量(ガスパラメータB)は、有機物(OM)消化率に対応するもので、潜在的ガス生産量が高いことは有機物の消化が促進されていることを意味する。従って、飲用水である弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)は、各供試飼料の反芻胃内での消化を促進する機能を有することを示している。また、供試飼料の中では、マメ科植物に比較してイネ科植物の方が、潜在的ガス生産量が高いことを示している。
本実施例では、上記した実施例1における生体外(in vitro)実験での結果に鑑み、生体内(in vivo)での実験を試みた。本実施例では、反芻動物としてメン羊を選択し、飼料として植物質であるチモシー、アルファルファヘイキューブ、大豆粕を採用し、供試水として弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)および井戸水(GW)を採用した。メン羊として、内径40mmの反芻胃カニューレ装着のメン羊3頭(平均体重49±3kg)を準備し、各メン羊を代謝ゲージに個別に収容して温度25℃の環境下で、上記した3種類の各飼料を配合してなる供試飼料を、定期的(9時および17時)に等量給与した。
供試飼料は、タンパク質の含有量が低くて繊維含有量が高いチモシー(粗飼料)と、タンパク質の含有量が高くて繊維含有量が低いアルファルファヘイキューブおよび大豆粕(濃厚飼料)の各飼料を、設定量配合して調製されたものである。各飼料の配合比は、配合飼料のエネルギーおよびタンパク質含有量が、維持に要する代謝エネルギー要求量(MEm)の1.1倍、維持に要する代謝性タンパク質要求量(MPm)の1.7倍になるようにしている。なお、維持に要する代謝エネルギー要求量(MEm)、および、維持に要する代謝性タンパク質要求量は、AFRC(1993)および日本標準飼料成分表(2001)に準拠している。
供試水の一である弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)は、水道水を被電解水とする有隔膜電解にて生成されるもので、実施例1で採用している弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水に近似するものである。本実施例で採用している弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)と井戸水(GW)の特性を、当該電解生成アルカリ性水を生成するための原水(被電解水)である水道水の特性と併せて表7に示す。また、本実施例での実験期間中の作業内容を図6にフローチャトの形式で示す。
本実施例では、上記した実施例1に示す生体外(in vitro)実験の結果を踏まえて、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を自由飲水とした状態で同電解生成アルカリ性水(BEW)を反芻胃内カニューレを通してメン羊の反芻胃に注入する飲用手段、および、井戸水(GW)を自由飲水とした状態で同井戸水(GW)を反芻胃内カニューレを通してメン羊の反芻胃に注入する飲用手段を採った。弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)および井戸水(GW)の反芻胃内への注入は、ペリスタルティックポンプを使用して連続注入した(100mL/h)。但し、本実施例における実験では、給与する井戸水(GW)および弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)については、定期的(9時および17時)に新鮮な井戸水(GW)および弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)に交換している。本実験における分析項目は下記の項目とし、また、分析方法として下記の方法を採用している。
分析項目:(1)供試飼料,残食,糞…乾物(DM),有機物(OM),粗タンパク質(CP),粗脂肪(EE),中性デタージェント線維(NDF)。(2)尿…尿中窒素.プリン誘導体(アラントイン)。(3)反芻胃液…浸透圧,揮発性脂肪酸(VFA),アンモニア態窒素,Co含有量,pH。(4)糞…Yb含有量。
分析方法:乾物(DM),有機物(OM),粗タンパク質(CP)…A.O.A.C(1984)に基づく。粗脂肪(EE)…ソックスレー抽出法。尿中窒素…ケルダール法。プリン誘導体(アラントイン)…尿中のアラントイン含有量を測定し、Chenらの推定式に基づいて、微生物体窒素合成量および微生物体窒素の合成効率を算出。浸透圧…浸透圧計を用いて氷点降下法により測定。Zhaoらの推定式に基づいて反芻胃壁からの水分移行量を算出。揮発性脂肪酸(VFA)…酢酸、酪酸およびプロピオン酸をガスクロマトグラフィーで測定しこれらの合計した値(総VFA含有量)。アンモニア態窒素…水蒸気蒸留法。Yb,Co含有量…湿式灰化法によりサンプルを液状化し、ICP発光分光分析法によって測定。糞中Yb排泄量の経時的変化をKrysleらのモデルに当てはめ、反芻胃内固層通過速度定数を算出。反芻胃液中のCo含有量の経時的変化からUdenらの方法により液の液相通過速度定数および反芻胃液量を算出。血中尿素窒素…ウレアーゼ・インドフェノール法に基づく測定キットによる。血中クレアチン…蛍光法を用いた測定キットによる。
本実施例における実験結果を、供試飼料の化学成分については表8に、反芻胃内環境については表9に、反芻胃物評価および反芻胃活動パラメータについては表10に、飼料摂取量および消化率については表11に、水分出納、糸球体濾過速度(GFR)および腎細管からの水分再吸収割合(RAOW)については表12に、反芻胃内微生物供給量および窒素出納については表13に示す。
供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)と井戸水(GW)とでは、反芻胃内性状には大きな差は認められない。供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合にも、反芻胃内では、飼料は正常に発酵することが認められる。
供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)および井戸水(GW)である場合には、ルーメン液量は同程度の体重のメン羊に比較して多い。これは、水分摂取量が平常時よりも多いことによるものと解される。ルーメン液量は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合の方が多い。反芻胃内のアンモニア態窒素の濃度は、両供試水共略同等であることから、反芻胃内のアンモニア態窒素の総量は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合には多いものと認められる。
固相の下部消化管通過速度および反芻胃壁からの水分吸収量は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合の方が有意に高い。供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合に多く存在するアンモニア態窒素が、大量の胃壁から吸収されるものと解される。飼料の消化は、消化速度および消化管内容物の通過速度によって影響を受ける。反芻胃内容物は、反芻行動と胃運動、微生物の消化活動によって微細な粒子となり、下部へ流れていく。唾液流出量については、両供試水とも正常な値である。これは、反芻胃内性状が正常であることからも裏付けられる。
飼料摂取量は、両供試水共に差は認められず、メン羊の体重は実験期間を通して変動はなかった。成分消化率については、両供試水間では有意差は認められないが、生体外(in vitro)実験の結果と同様、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合の方が高い値となっている。生体内(in vivo)実験で両供試水間に有意差がなくなった原因としては、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合には、下部消化管の通過速度が高くて下部消化管消化率が低下し、結果として、全消化管消化率を低下させたものと推測される。エネルギー代謝率については、飼料設定が1.1×MEm,1.7×MPmであって、タンパク質を過剰に給与する設定であることから、反芻胃内でアンモニアが過剰に発生し、これを無毒化するためにエネルギーが動員され、エネルギー代謝率が低下したものと推測される。
水分摂取量は、両供試水間では大きな差は認められないが、総水分摂取量(非生理的状態)は同程度の体重のメン羊に比較すると多い。水分摂取量から水分排泄量を差し引いた見かけの水分保持率でも、両供試水間では差は認められない。また、糸球体濾過速度(GFR)および腎細管からの水分再吸収割合(RAOW)から、両供試水共、腎臓への大きな負担は認められない。
微生物体窒素は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である方がより生産されている。飼料からの窒素利用効率の良さを示唆している。ルーメン内性状に異常がない場合には、微生物体窒素が増加する原因としては、液相通過速度が高いこと、および、デファーネーション効果によるプロトゾアの減少等があるが、本実験では、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)を供試水とする場合には、液相通過速度が低い結果を得ていることから、微生物体窒素の生産性が向上している原因は、プロトゾアの減少にあるものと解される。
尿中窒素排泄量は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である方が高い値を示している。このため、蓄積窒素は、供試水が井戸水(GW)である場合に比較して低い値となっている。蓄積窒素が低いことは、微生物体窒素の損失を意味し、摂取タンパク質を組織に変化させる機能の低下を示唆している。反芻胃内のアンモニア総量および反芻胃の水分吸収量は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である方が高いことから、反芻胃内からのアンモニア吸収量は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合には多くなるものと解される。このため、アンモニア無毒化のためにエネルギーが動員され、窒素を蓄積するためのエネルギーが不足したものと解される。
本実施例では、実施例1の生体外(in vitro)の実験の結果、および、実施例2の生体内(in vivo)の実験の結果を踏まえて、第2の生体内実験である生体内(in situ)の実験を試みた。本実施例では、実施例2と同様の供試飼料を定期的に供与するとともに供試水を自由飲用とし、ナイロンバック法により測定試料をメン羊のルーメン内に吊し、これを所定時間後に取り出して測定に供した。ナイロンバック法では、メン羊のルーメン内から取り出したナイロンバック内の測定試料を温水で浸漬洗浄して乾燥後、秤量して測定用に供した。測定では、測定に供された測定試料における乾物(DM)分解率、粗タンパク質(CP)分解率、中性デタージェント繊維(NDF)分解率の測定、反芻胃内分解パラメータの算出、プロトゾア数および種類の測定を行った。
供試水は、水道水を被電解水とする有隔膜電解にて生成される弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)と井戸水(GW)を採用した。これらの供試水の特性を表14に示す。
稲藁は、家畜の通常の飼料に比較して、タンパク質の含有量が低く、かつ、細胞壁の含有量が高くて、家畜の嗜好にもあわないことから、家畜用飼料としての利用が低い。稲藁に飼料価値を付与する手段としては、アルカリ溶液を処理水とするアルカリ処理が広く知られており、アンモニアや尿素を処理液として使用することが多い。稲藁に当該アルカリ処理を施すと、稲藁には窒素成分が付与されてタンパク質の含有量が増加し、かつ、繊維質が可溶化されて消化性が向上する。
これを前提として、本実施例では、稲藁を井戸水で調製した25%アンモニア水溶液で処理して作成してなる3%アンモニア処理稲藁(ARS)、井戸水(GW)で調製した5%尿素溶液を稲藁に等量混ぜて作成してなるGW尿素溶液処稲理藁(GWURS)、弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)で調製した5%尿素溶液を稲藁に等量混ぜて作成してなるBEW尿素溶液処稲理藁(BEWURS)の3種類の飼料を準備し、これらの飼料を1ヶ月間貯蔵後、アンモニアを放散させて測定試料とした。
これらの測定試料のうち、ARSを測定試料1、GWURSを測定試料2、BEWURSを測定試料3とした。なお、供試飼料としては、細切乾草と濃厚飼料を4:6に配合したものとした。各測定試料の化学成分については表15に示す。
本実験における各測定試料に対する反芻胃内DM(乾物)の分解率の経時変化については、図7のグラフに示す。同図(a)のグラフは測定試料1(ARS)に対する結果、同図(b)のグラフは測定試料2(GWURS)に対する結果、同図(c)のグラフは測定試料3(BEWURS)に対する結果をそれぞれ示している。なお、各グラフの横軸は共通であって、経過時間を示している。全ての測定試料1〜3において、実験開始から約30時間経過した時点から、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合には、供試水が井戸水(GW)の場合よりも高い分解率を示していることが確認される。表16には、反芻胃内のDM分解パラメータを示している。
表のパラメータの欄中、Aは易分解性分画、Bは分解可能な分画、cはBの分解速度定数、Lは発酵遅延時間を示す。また、有効分解度はA,B,cの値から算出している。全ての測定試料1〜3において、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合には、供試水が井戸水(GW)の場合よりもAは低く、Bは高く、かつ、cは低いことが確認される。Lについては、両供試水共に大きな差は認められない。また、測定試料の尿素処理液の違いによる変化はほとんど認められない。
本実験における各測定試料に対する反芻胃内CP(粗タンパク質)の分解率の経時変化については、図8のグラフに示す。同図(a)のグラフは測定試料料1(ARS)に対する結果、同図(b)のグラフは測定試料2(GWURS)に対する結果、同図(c)のグラフは測定試料3(BEWURS)に対する結果をそれぞれ示している。なお、各グラフの横軸は共通であって、経過時間を示している。全ての測定試料1〜3において、指数関数的な消失パターンは認められず、分解パラメータは算出できない。実験の開始時点(培養0点)で、約50%のタンパク質が減少しているが、その理由は飼料の処理によって増加した非タンパク質体窒素が洗浄した際に水に溶け出したためであると推測される。また、洗浄後に残った窒素はアンモニアであると認められるので、培養による分解率も増加しなかったものと解され、培養初期の分解率の低下は測定試料に付着した微生物体窒素を測定したためであると解される。
本実験における各測定試料に対する反芻胃内NDF(中性デタージェント繊維)の分解率の経時変化については、図9のグラフに示す。同図(a)のグラフは測定試料1(ARS)に対する結果、同図(b)のグラフは測定試料2(GWURS)に対する結果、同図(c)のグラフは測定試料3(BEWURS)に対する結果をそれぞれ示している。なお、各グラフの横軸は共通であって、経過時間を示している。NDFの分解率では、DMの分解率と同様、実験開始から30時間(培養30時間)当たりから、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)である場合の方が、供試水が井戸水(GW)である場合よりも高い分解率を示すことが確認される。表17には、反芻胃内のDM分解パラメータを示している。
表17のパラメータの欄中、Aは易分解性分画、Bは分解可能な分画、cはBの分解速度定数、Lは発酵遅延時間を示す。また、有効分解度はA,B,cの値から算出している。全ての供試飼料1〜3において、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合には、供試水が井戸水(GW)の場合よりもAは低く、Bは高く、かつ、cは低いことが確認される。Lについては、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合の方が、供試水が井戸水(GW)の場合よりも高い。また、測定試料の尿素処理液の違いによる変化はほとんど認められない。
本実験においては、メン羊に弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)と井戸水(GW)を21日間自由飲用させた場合の、プロトゾア数と種類を測定した。供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合の方が、供試水が井戸水(GW)の場合よりも、微生物体窒素の合成量および微生物体窒素合成効率を増加させることの裏付けとなる結果得た。その結果を表18に示す。プロトゾアの総数は、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合の方が、供試水が井戸水(GW)の場合よりも少ない。また、供試水が弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水(BEW)の場合では、供試水が井戸水(GW)の場合とは異なり、貧毛虫が優先種であることが確認される。
Claims (2)
- 反芻動物の反芻胃中の飼料の消化を促進するための消化促進剤であり、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とすることを特徴とする反芻動物用の消化促進剤。
- 反芻動物に植物を飼料として与える反芻動物の飼育方法において、飲用水として、有隔膜電解にて生成された弱アルカリ性の電解生成アルカリ性水を主要成分とする飲用水を採用することを特徴とする反芻動物の飼育方法。
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JP2003325687A JP2004129658A (ja) | 2002-09-18 | 2003-09-18 | 反芻動物用の消化促進剤および反芻動物の飼育方法 |
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Publications (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2010071222A1 (ja) * | 2008-12-20 | 2010-06-24 | 味の素株式会社 | 反芻動物用メタン生成抑制剤および飼料組成物 |
EP3255735A1 (de) | 2016-03-08 | 2017-12-13 | Rosenberger Hochfrequenztechnik GmbH & Co. KG | Federkontaktstift |
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2003
- 2003-09-18 JP JP2003325687A patent/JP2004129658A/ja active Pending
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