JP2004126406A - 歯科実習用模型歯植立装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】模型歯の着脱を繰り返しても模型歯の固定力がほとんど低下しない構造を有した模型歯植立装置を提供する。
【解決手段】模型歯台3に設けられた植立穴の部分に、植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部4が設けられており、この収容部内には、付勢手段6により歯根部側の方向に付勢されて移動可能な球体5が、その一部分が植立穴の内側壁面から突出した状態で収容され、模型歯1の歯根部1bの側壁部分に、球体の突出部に対応した窪み2が形成されていて、模型歯植立時には、球体の突出部が窪み内に収容されて模型歯が固定でき、模型歯を引き上げると、球体が付勢手段に対抗して後退し、模型歯の引き抜きが可能になっている。この際、付勢手段としてはコイルバネが好ましく、球体は、植立穴の内側壁面から球体の直径の1/10〜1/3に相当する部分が突出するようにして位置していることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】模型歯台3に設けられた植立穴の部分に、植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部4が設けられており、この収容部内には、付勢手段6により歯根部側の方向に付勢されて移動可能な球体5が、その一部分が植立穴の内側壁面から突出した状態で収容され、模型歯1の歯根部1bの側壁部分に、球体の突出部に対応した窪み2が形成されていて、模型歯植立時には、球体の突出部が窪み内に収容されて模型歯が固定でき、模型歯を引き上げると、球体が付勢手段に対抗して後退し、模型歯の引き抜きが可能になっている。この際、付勢手段としてはコイルバネが好ましく、球体は、植立穴の内側壁面から球体の直径の1/10〜1/3に相当する部分が突出するようにして位置していることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科実習後の模型歯を取り外すことによって繰り返し使用な植立固定装置(歯科実習用模型歯植立装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、歯科大学や歯科技工士学校等の教育分野においては歯科実習用模型が広く用いられており、模型歯が顎模型に植立固定された装置としては、例えば以下の特許文献に挙げられているものがある。
【0003】
【特許文献1】
特許第2506212号公報
【特許文献2】
特開2002−628号公報
【0004】
前記特許文献1には、歯根部より突き出したシャンクに設けた凹部に板バネを押しつけて模型歯と模型歯台となる顎模型を固定する構造の模型歯固定装置が開示されている。また、前記特許文献2には、歯根部に突起を設け、模型歯台となる顎模型に設けた窪みに歯根部の突起を整合させて固定を行う模型歯固定装置が開示されている。しかしながら、これら特許文献に開示されている模型歯固定装置の場合には、模型歯あるいは模型歯から突出したシャンクと模型歯台自体、あるいは板バネとの間に生じる摩擦力を利用して模型歯及び模型歯台を固定するため、模型歯の着脱を繰り返すとそれぞれの摩耗により模型歯の固定力が低下してくるという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明者等は、模型歯の着脱を繰り返しても模型歯の固定力が低下しない模型歯固定装置に関して鋭意検討を行った結果、模型歯台の植立穴の側壁部分に、一部分が植立穴側に突出するようにしてバネ付勢した状態で球体を配置し、この突出部分が、模型歯の歯根部に設けた窪みにはめ込まれるようにして模型歯の固定がなされ、模型歯を引き上げた際には球体が後退して模型歯の取り外しが行える構造とした場合に、模型歯の着脱を繰り返しても模型歯の固定力がほとんど低下しないことを見い出して本発明を達成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の模型歯植立装置は、歯牙の形状を模して造形された歯冠部と歯根部とを有する模型歯が、当該模型歯の歯根部が挿入可能な植立穴が設けられた模型歯台に取り外し可能に固定されたものであって、
前記模型歯台の植立穴の部分には、当該植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部が設けられており、前記球体収容部内では、前記植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に移動可能な球体が付勢手段によって前記歯根部側の方向に付勢されており、前記球体が、前記植立穴の内側壁面から当該球体の一部分が外側に突出して位置していること、及び、前記模型歯の歯根部の側壁部分に、前記球体の突出部に対応した窪みが形成されており、前記模型歯を前記植立穴に差し込んだ際には、前記球体の突出部が前記窪み内に収容されて当該窪みを前記球体が押圧することにより前記模型歯が前記模型歯台に固定され、前記模型歯台に固定された模型歯を引き上げた際には、前記球体が前記付勢手段に対抗して後退することにより前記球体収容部内に収容されて模型歯の引き抜きが可能となる構造であることを特徴とする。
【0007】
又、本発明は、前述の構造を有した歯科実習用模型歯植立装置において、前記付勢手段がコイルバネであり、前記球体が、前記植立穴の内側壁面から当該球体の直径の1/10〜1/3に相当する部分が突出するようにして位置することを特徴とするものである。
【0008】
更に本発明は、前述の構造を有した歯科実習用模型歯植立装置において、前記球体が前記模型歯の歯根部側壁に設けられた窪みを押圧する力が1N〜15Nであることを特徴とするものでもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を図面に示して本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を示す図(部分破断を含む)であり、図2(a)及び(b)は、本発明の装置における模型歯1の概略形状の例を示す図である。図2(a)及び(b)に示されるように、本発明における模型歯1は、天然歯を模して造形された単層あるいは多層構造の歯冠部1aと、人工的に造形された歯根部1bとからなり、歯根部1bの側壁面には、後述する球体の一部を収容するのに適した窪み2が設けられている。この窪み2は、歯根部1bの側壁面に単数個設けられても複数個設けられても良く、その形状についても特には限定されるものではなく、球面状、円筒内面状、円錐面状といった円形断面を有する局所的な窪み(図2(a))であっても良いし、あるいは歯根部側壁の一部あるいは全周に渡るような溝状の窪み(図2(b))であっても良いが、確実な固定力が得られる点では、球面状あるいは円錐面状の窪みがより望ましい。
【0010】
窪み2の寸法は、用いる模型歯の歯根部1bの大きさにより適宜決定され、たとえば、円形断面を有する局所的な窪みの場合、窪みの直径が大きすぎると模型歯台への模型歯の円滑な着脱が困難となり、また、窪み2の直径が小さすぎると十分な固定力が得られなくなる。そのため、窪み2の直径は、模型歯をほぼ垂直に立てた場合、窪み中心高さに相当する模型歯歯根部の幅の1/10ないしは1/2程度とすることが望ましい。また、図2(b)のようにして溝状の窪み2を設ける場合の溝幅も上記同様の値を用いる事が望ましい。
窪み2の深さは、前記した窪みの直径又は幅を基準に適宜決定され、ここでは、窪みの深さは、その直径又は幅の1/5ないしは1/2程度とすることが望ましい。窪みの深さが深すぎると模型歯台への模型歯の円滑な着脱が困難となり、逆に、窪みが浅すぎると十分な固定力が得られなくなる。
【0011】
本発明の模型歯植立装置における模型歯の歯根部1bに窪み2を形成させる手法は特に限定されないが、例えば、一般的に公知の合成樹脂材料を射出成形により成形した模型歯の場合、成形に用いる金型に窪みを形成させるようなキャビティを設けておき、成形と同時に模型歯歯根部1bに窪み2を付与しても良いし、窪みのない模型歯を成形した後に、ドリルやエンドミルなどの切削工具を用いて歯根部1bに窪み2をを付与しても良い。
【0012】
尚、本発明における模型歯の構成材料としては、一般的に公知のものを用いることが可能であり、例えば、セラミックス等の磁器あるいはアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルスチレンブタジエン(ABS)共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の熱可塑性やメラミン、ユリア、不飽和ポリエステル、フェノール、エポキシ等の熱硬化性等の合成樹脂材料、さらには、これらの主原料にガラス繊維、カーボン繊維、パルプ、合成樹脂繊維等の有機、無機の各種強化繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の各種充填材、顔料や染料等の着色剤、あるいは耐候剤や帯電防止剤等の各種添加剤を添加したものを用いることが出来る。
【0013】
そして、本発明の装置では、このような模型歯が、模型歯の歯根部1bが挿入可能な植立穴が設けられた模型歯台3に取り外し可能に固定できるようになっており、模型歯台3としては、図2に示されるような人間の顎構造を模して造形された顎模型の歯茎に相当するものや、あるいは、図3に示されるような模型歯の外形形状を測定するための形状測定用ホルダー(切削実習結果をレーザー光等を用いて評価するための角柱状の模型歯植立固定台で、この固定台を測定機にセットして測定が行われるもの)を一例とする各種ホルダー類などが挙げられる。
【0014】
この模型歯台3の植立穴の部分には、図1に示されるようにして、植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部4が設けられており、この球体収容部4内には、植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に移動できるようにして球体(可動小球)5が収容され、この球体5は付勢手段6によって歯根部側の方向(図1では右側方向)に付勢されている。本発明では、球体5が植立穴の内側壁面に対して略垂直方向に移動すること、言い換えれば植立穴の内側壁面から一部分だけが飛び出した球体が若干の回転運動を伴いながら出入りする方向に移動することによって、植立穴へ模型歯を挿入した際に、模型歯の歯根部1bと、歯根部の側壁部分に形成された窪み2が損傷するのを防ぐことができる。この際、歯根部1bと窪み2への損傷を少なくするには、植立穴の内側壁面より直径の1/10〜1/3が突出した状態となるようにして球体5が配置されていることが好ましい。もちろん、球体5の突出位置と、挿入された模型歯の歯根部1bの窪み2の設けられる位置とは一致している必要がある。
【0015】
尚、本発明では、球体5を埋没穴内壁に略垂直方向に移動させ、かつ適切な力を加える付勢手段6としては、球体5の背後に配置された金属やプラスチック等から成るコイルバネが一般的であるが、コイルバネの代わりにエアーシリンダーや油圧シリンダーなど流体の圧力を利用した付勢手段を利用しても良い。
球体5の材料としては、プラスチック、金属、セラミックなど一般的に公知の比較的硬度の高い材料を用いることができるが、ここでは、模型歯に用いる材料よりも硬度の高い材料を用いることが望ましい。
又、球体5の大きさは、球体の一部が前述の模型歯に設けた窪み2内に収容されるように、窪み2の直径あるいは溝幅よりも大きくする必要がある。本発明では、窪み2の直径あるいは溝幅の1.2倍〜5倍程度の大きさの球体5を設けることが望ましい。
本発明では、球体5を模型歯台3に設ける際の構造が図面に例示したものに限定されず、例えば、市販のボール付きスプリングプランジャーを模型歯台の植立穴の内側壁面に埋め込む事も可能である。
【0016】
本発明の装置は上述の構造を有することで、球体5に、植立穴の内側壁面から植立穴の中心方向に押し出すような力が加えられており、模型歯を植立穴に差し込んだ際には、球体5の突出部分が歯根部1bの窪み2内に収容されて当該窪み2を球体5が外側方向から押圧することにより模型歯が模型歯台3と確実に固定されるようになっており、歯科実習が終了した後に、模型歯台3に固定された模型歯を引き上げると、球体5が付勢手段6に対抗して後退することにより球体収容部4内に収容されて模型歯の引き抜きができるようになっている。
この際、球体5が歯根部の窪み2を押圧する力(押圧力)が強すぎると歯根部1bと窪み2を損傷させる可能性があり、逆に、この押圧力が弱すぎると十分な模型歯固定力が得られないため、本発明では、球体5の押圧力は1N〜15Nであることが望ましく、2N〜10Nであることが特に好ましい。
【0017】
【発明の効果】
上述の構造を有した本発明の歯科実習用模型歯植立装置は、模型歯の着脱を繰り返しても球体の磨耗がほとんどなく、模型歯の固定力の低下を来すことがなく、しかも模型歯が確実に固定ができ、歯科実習用に繰り返して使用できるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を示す図(部分破断を含む)であり、模型歯台が顎模型になっており、模型歯が植立穴に植立固定された状態が示されている。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の装置における模型歯の概略形状を示す図であり、それぞれ異なる形状の窪み2が設けられている。
【図3】本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を示す図(部分破断を含む)であり、模型歯台が歯牙形状計測用ホルダーになっており、模型歯が植立穴に植立固定された状態が示されている。
【符号の説明】
1 模型歯
1a 歯冠部
1b 歯根部
2 窪み
3 模型歯台
4 球体収容部
5 球体(可動小球)
6 付勢手段(コイルバネ)
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科実習後の模型歯を取り外すことによって繰り返し使用な植立固定装置(歯科実習用模型歯植立装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、歯科大学や歯科技工士学校等の教育分野においては歯科実習用模型が広く用いられており、模型歯が顎模型に植立固定された装置としては、例えば以下の特許文献に挙げられているものがある。
【0003】
【特許文献1】
特許第2506212号公報
【特許文献2】
特開2002−628号公報
【0004】
前記特許文献1には、歯根部より突き出したシャンクに設けた凹部に板バネを押しつけて模型歯と模型歯台となる顎模型を固定する構造の模型歯固定装置が開示されている。また、前記特許文献2には、歯根部に突起を設け、模型歯台となる顎模型に設けた窪みに歯根部の突起を整合させて固定を行う模型歯固定装置が開示されている。しかしながら、これら特許文献に開示されている模型歯固定装置の場合には、模型歯あるいは模型歯から突出したシャンクと模型歯台自体、あるいは板バネとの間に生じる摩擦力を利用して模型歯及び模型歯台を固定するため、模型歯の着脱を繰り返すとそれぞれの摩耗により模型歯の固定力が低下してくるという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、本発明者等は、模型歯の着脱を繰り返しても模型歯の固定力が低下しない模型歯固定装置に関して鋭意検討を行った結果、模型歯台の植立穴の側壁部分に、一部分が植立穴側に突出するようにしてバネ付勢した状態で球体を配置し、この突出部分が、模型歯の歯根部に設けた窪みにはめ込まれるようにして模型歯の固定がなされ、模型歯を引き上げた際には球体が後退して模型歯の取り外しが行える構造とした場合に、模型歯の着脱を繰り返しても模型歯の固定力がほとんど低下しないことを見い出して本発明を達成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の模型歯植立装置は、歯牙の形状を模して造形された歯冠部と歯根部とを有する模型歯が、当該模型歯の歯根部が挿入可能な植立穴が設けられた模型歯台に取り外し可能に固定されたものであって、
前記模型歯台の植立穴の部分には、当該植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部が設けられており、前記球体収容部内では、前記植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に移動可能な球体が付勢手段によって前記歯根部側の方向に付勢されており、前記球体が、前記植立穴の内側壁面から当該球体の一部分が外側に突出して位置していること、及び、前記模型歯の歯根部の側壁部分に、前記球体の突出部に対応した窪みが形成されており、前記模型歯を前記植立穴に差し込んだ際には、前記球体の突出部が前記窪み内に収容されて当該窪みを前記球体が押圧することにより前記模型歯が前記模型歯台に固定され、前記模型歯台に固定された模型歯を引き上げた際には、前記球体が前記付勢手段に対抗して後退することにより前記球体収容部内に収容されて模型歯の引き抜きが可能となる構造であることを特徴とする。
【0007】
又、本発明は、前述の構造を有した歯科実習用模型歯植立装置において、前記付勢手段がコイルバネであり、前記球体が、前記植立穴の内側壁面から当該球体の直径の1/10〜1/3に相当する部分が突出するようにして位置することを特徴とするものである。
【0008】
更に本発明は、前述の構造を有した歯科実習用模型歯植立装置において、前記球体が前記模型歯の歯根部側壁に設けられた窪みを押圧する力が1N〜15Nであることを特徴とするものでもある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を図面に示して本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を示す図(部分破断を含む)であり、図2(a)及び(b)は、本発明の装置における模型歯1の概略形状の例を示す図である。図2(a)及び(b)に示されるように、本発明における模型歯1は、天然歯を模して造形された単層あるいは多層構造の歯冠部1aと、人工的に造形された歯根部1bとからなり、歯根部1bの側壁面には、後述する球体の一部を収容するのに適した窪み2が設けられている。この窪み2は、歯根部1bの側壁面に単数個設けられても複数個設けられても良く、その形状についても特には限定されるものではなく、球面状、円筒内面状、円錐面状といった円形断面を有する局所的な窪み(図2(a))であっても良いし、あるいは歯根部側壁の一部あるいは全周に渡るような溝状の窪み(図2(b))であっても良いが、確実な固定力が得られる点では、球面状あるいは円錐面状の窪みがより望ましい。
【0010】
窪み2の寸法は、用いる模型歯の歯根部1bの大きさにより適宜決定され、たとえば、円形断面を有する局所的な窪みの場合、窪みの直径が大きすぎると模型歯台への模型歯の円滑な着脱が困難となり、また、窪み2の直径が小さすぎると十分な固定力が得られなくなる。そのため、窪み2の直径は、模型歯をほぼ垂直に立てた場合、窪み中心高さに相当する模型歯歯根部の幅の1/10ないしは1/2程度とすることが望ましい。また、図2(b)のようにして溝状の窪み2を設ける場合の溝幅も上記同様の値を用いる事が望ましい。
窪み2の深さは、前記した窪みの直径又は幅を基準に適宜決定され、ここでは、窪みの深さは、その直径又は幅の1/5ないしは1/2程度とすることが望ましい。窪みの深さが深すぎると模型歯台への模型歯の円滑な着脱が困難となり、逆に、窪みが浅すぎると十分な固定力が得られなくなる。
【0011】
本発明の模型歯植立装置における模型歯の歯根部1bに窪み2を形成させる手法は特に限定されないが、例えば、一般的に公知の合成樹脂材料を射出成形により成形した模型歯の場合、成形に用いる金型に窪みを形成させるようなキャビティを設けておき、成形と同時に模型歯歯根部1bに窪み2を付与しても良いし、窪みのない模型歯を成形した後に、ドリルやエンドミルなどの切削工具を用いて歯根部1bに窪み2をを付与しても良い。
【0012】
尚、本発明における模型歯の構成材料としては、一般的に公知のものを用いることが可能であり、例えば、セラミックス等の磁器あるいはアクリル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルスチレンブタジエン(ABS)共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の熱可塑性やメラミン、ユリア、不飽和ポリエステル、フェノール、エポキシ等の熱硬化性等の合成樹脂材料、さらには、これらの主原料にガラス繊維、カーボン繊維、パルプ、合成樹脂繊維等の有機、無機の各種強化繊維、タルク、シリカ、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ等の各種充填材、顔料や染料等の着色剤、あるいは耐候剤や帯電防止剤等の各種添加剤を添加したものを用いることが出来る。
【0013】
そして、本発明の装置では、このような模型歯が、模型歯の歯根部1bが挿入可能な植立穴が設けられた模型歯台3に取り外し可能に固定できるようになっており、模型歯台3としては、図2に示されるような人間の顎構造を模して造形された顎模型の歯茎に相当するものや、あるいは、図3に示されるような模型歯の外形形状を測定するための形状測定用ホルダー(切削実習結果をレーザー光等を用いて評価するための角柱状の模型歯植立固定台で、この固定台を測定機にセットして測定が行われるもの)を一例とする各種ホルダー類などが挙げられる。
【0014】
この模型歯台3の植立穴の部分には、図1に示されるようにして、植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部4が設けられており、この球体収容部4内には、植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に移動できるようにして球体(可動小球)5が収容され、この球体5は付勢手段6によって歯根部側の方向(図1では右側方向)に付勢されている。本発明では、球体5が植立穴の内側壁面に対して略垂直方向に移動すること、言い換えれば植立穴の内側壁面から一部分だけが飛び出した球体が若干の回転運動を伴いながら出入りする方向に移動することによって、植立穴へ模型歯を挿入した際に、模型歯の歯根部1bと、歯根部の側壁部分に形成された窪み2が損傷するのを防ぐことができる。この際、歯根部1bと窪み2への損傷を少なくするには、植立穴の内側壁面より直径の1/10〜1/3が突出した状態となるようにして球体5が配置されていることが好ましい。もちろん、球体5の突出位置と、挿入された模型歯の歯根部1bの窪み2の設けられる位置とは一致している必要がある。
【0015】
尚、本発明では、球体5を埋没穴内壁に略垂直方向に移動させ、かつ適切な力を加える付勢手段6としては、球体5の背後に配置された金属やプラスチック等から成るコイルバネが一般的であるが、コイルバネの代わりにエアーシリンダーや油圧シリンダーなど流体の圧力を利用した付勢手段を利用しても良い。
球体5の材料としては、プラスチック、金属、セラミックなど一般的に公知の比較的硬度の高い材料を用いることができるが、ここでは、模型歯に用いる材料よりも硬度の高い材料を用いることが望ましい。
又、球体5の大きさは、球体の一部が前述の模型歯に設けた窪み2内に収容されるように、窪み2の直径あるいは溝幅よりも大きくする必要がある。本発明では、窪み2の直径あるいは溝幅の1.2倍〜5倍程度の大きさの球体5を設けることが望ましい。
本発明では、球体5を模型歯台3に設ける際の構造が図面に例示したものに限定されず、例えば、市販のボール付きスプリングプランジャーを模型歯台の植立穴の内側壁面に埋め込む事も可能である。
【0016】
本発明の装置は上述の構造を有することで、球体5に、植立穴の内側壁面から植立穴の中心方向に押し出すような力が加えられており、模型歯を植立穴に差し込んだ際には、球体5の突出部分が歯根部1bの窪み2内に収容されて当該窪み2を球体5が外側方向から押圧することにより模型歯が模型歯台3と確実に固定されるようになっており、歯科実習が終了した後に、模型歯台3に固定された模型歯を引き上げると、球体5が付勢手段6に対抗して後退することにより球体収容部4内に収容されて模型歯の引き抜きができるようになっている。
この際、球体5が歯根部の窪み2を押圧する力(押圧力)が強すぎると歯根部1bと窪み2を損傷させる可能性があり、逆に、この押圧力が弱すぎると十分な模型歯固定力が得られないため、本発明では、球体5の押圧力は1N〜15Nであることが望ましく、2N〜10Nであることが特に好ましい。
【0017】
【発明の効果】
上述の構造を有した本発明の歯科実習用模型歯植立装置は、模型歯の着脱を繰り返しても球体の磨耗がほとんどなく、模型歯の固定力の低下を来すことがなく、しかも模型歯が確実に固定ができ、歯科実習用に繰り返して使用できるという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を示す図(部分破断を含む)であり、模型歯台が顎模型になっており、模型歯が植立穴に植立固定された状態が示されている。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の装置における模型歯の概略形状を示す図であり、それぞれ異なる形状の窪み2が設けられている。
【図3】本発明の歯科実習用模型歯植立装置の好ましい一例における内部構造を示す図(部分破断を含む)であり、模型歯台が歯牙形状計測用ホルダーになっており、模型歯が植立穴に植立固定された状態が示されている。
【符号の説明】
1 模型歯
1a 歯冠部
1b 歯根部
2 窪み
3 模型歯台
4 球体収容部
5 球体(可動小球)
6 付勢手段(コイルバネ)
Claims (3)
- 歯牙の形状を模して造形された歯冠部と歯根部とを有する模型歯が、当該模型歯の歯根部が挿入可能な植立穴が設けられた模型歯台に取り外し可能に固定された模型歯植立装置であって、
前記模型歯台の植立穴の部分には、当該植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に球体収容部が設けられており、前記球体収容部内では、前記植立穴の内側壁面に対して実質的に垂直な方向に移動可能な球体が付勢手段によって前記歯根部側の方向に付勢されており、前記球体が、前記植立穴の内側壁面から当該球体の一部分が外側に突出して位置していること、及び、前記模型歯の歯根部の側壁部分に、前記球体の突出部に対応した窪みが形成されており、前記模型歯を前記植立穴に差し込んだ際には、前記球体の突出部が前記窪み内に収容されて当該窪みを前記球体が押圧することにより前記模型歯が前記模型歯台に固定され、前記模型歯台に固定された模型歯を引き上げた際には、前記球体が前記付勢手段に対抗して後退することにより前記球体収容部内に収容されて模型歯の引き抜きが可能となる構造であることを特徴とする歯科実習用模型歯植立装置。 - 前記付勢手段がコイルバネであり、前記球体が、前記植立穴の内側壁面から当該球体の直径の1/10〜1/3に相当する部分が突出するようにして位置することを特徴とする請求項1記載の歯科実習用模型歯植立装置。
- 前記球体が前記模型歯の歯根部側壁に設けられた窪みを押圧する力が1N〜15Nであることを特徴とする請求項1又は2記載の歯科実習用模型歯植立装置。
Priority Applications (1)
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-
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