JP2004121634A - 頬部脂肪牽引用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】人体の頬の頬部脂肪を持ち上げるための手術に使用する。
【解決手段】使用時にループを形成すべき牽引用糸1の両端に一対の挿通用針2、2を連結すると共に、使用時に上記牽引用糸と相まって二重ループを形成すべき切断用糸3の両端を、上記の一対の挿通用針を連結し、上記牽引用糸の中途にはプレジェット4を設け、このプレジェットには使用時に牽引用糸と対向する位置に延長されるべき誘導用糸7を設ける。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は人体の頬の頬部脂肪を持ち上げるための手術に使用する用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
人体の中顔面の頬部には頬部脂肪と呼ばれる比較的限局したパッド状の脂肪の塊が存在し、この頬部脂肪は年齢と共に下がってくる傾向がある。そこで、外科手術により老化により下がってきたこの頬部脂肪を持ち上げて若い頃の位置に戻すことにより、中顔面の若返りを図ることが可能となる。
【0003】
従来、前記の手術として糸により頬部脂肪を上方に牽引する手法が公知であり、この手術は頬部脂肪の最内側にあたる鼻唇溝に1mm程度の切開を加え、そこからル−プ状に曲げた牽引用糸を頬部脂肪内に貫通させてループ端を頬部脂肪端に掛止させて牽引することにより行われていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記手法においては第1に、牽引用糸のループ端は皮膚表面から頬部脂肪端に到達する過程において皮下脂肪層及び皮下組織層を通過するので、通過の過程においてこれらもループ端により牽引されてしまい、それにつられて鼻唇溝に開けた切開箇所がエクボ状に陥凹してしまう問題があった。
【0005】
第2に、糸(ループ端)を頬部脂肪に掛止して牽引するので、牽引の力具合によってはループ端により頬部脂肪が切断されて貫通してしまう問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、以上の問題点を生じることなく頬部脂肪を持ち上げるための手術を行うことを可能とする頬部脂肪牽引用具を提供することを目的として創作されたものであり、ここでは次の4つの発明を開示する。
【0007】
第1発明の頬部脂肪牽引用具は、使用時にループを形成すべき牽引用糸の両端に一対の挿通用針を連結すると共に、使用時に上記牽引用糸と相まって二重ループを形成すべき切断用糸の両端を、上記の一対の挿通用針に連結したことを特徴とする。
【0008】
第2発明の頬部脂肪牽引用具は、使用時にループを形成すべき牽引用糸の両端に一対の挿通用針を連結すると共に、上記牽引用糸の中途にプレジェットを設けたことを特徴とする。
【0009】
第3発明の頬部脂肪牽引用具は、前記の第1発明と第2発明の特徴を兼ね備えたものであり、使用時にループを形成すべき牽引用糸の両端に一対の挿通用針を連結すると共に、使用時に上記牽引用糸と相まって二重ループを形成すべき切断用糸の両端を上記の一対の挿通用針に連結し、上記牽引用糸の中途にはプレジェットを設けたことを特徴とする。
【0010】
第4発明の頬部脂肪牽引用具は、前記の第1発明から第3発明の頬部脂肪牽引用具において、牽引用糸の中途に設けたプレジェットに使用時に牽引用糸と対向する位置に延長されるべき誘導用糸を設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。図1はこの発明の牽引用具の具体例を示す図であり、ここでは前記の第3発明と第4発明を実施した牽引用具を例示する。図中符号1は頬部脂肪を牽引するための牽引用糸であり、この牽引用糸の両端は人体に挿通可能な一対の挿通用針2、2に連結される。
【0012】
上記牽引用糸1の中途にはプレジェット(布片)4が設けられる。ここではプレジェット4は図2に示すように、左右端に設けられた一対の孔5、5に牽引用糸1を挿通することにより牽引用糸に固定されるが、固定の手段はこれに限られないことは勿論である。
【0013】
図中符号3は皮下脂肪層及び皮下組織層を切断するための切断用糸であり、この切断用糸の両端は前記の牽引用糸1と同様に一対の挿通用針2、2に連結される。従って、図1に示すようにこれらの糸を折り返すように折り曲げた際には両者が相まって二重ループが形成されることとなる。尚、この実施例においては挿通用針2、2の上端を中空状として、この中に牽引用糸1及び切断用糸3を挿入して挿通用針をかしめることにより糸と挿通用針の固定手段としているが、固定の手段はこれに限られないことは勿論である。
【0014】
図中符号7は牽引用糸1による牽引操作を支援するための誘導用糸であり、使用時に牽引用糸1と対向する位置に延長されるよう、牽引用糸の中途に設けたプレジェット7に設けられる。ここでは誘導用糸7は図2に示すように、プレジェット7の前後端に設けられた一対の孔6、6に挿通されることによりプレジェットに固定されるが、固定の手段はこれに限られないことは勿論である。
【0015】
次にこの発明の牽引用具を使用して手術を行う場合を説明することにより、この発明の作用を明らかにする。図3乃至図9は鼻唇溝の皺とり手術の際に、同時にこの発明の牽引用具を使用して頬部脂肪を持ち上げる過程を示す図である。
(1) 先ず、鼻唇溝上、鼻翼基底部より1〜1.5cmの部位の皮膚11に1mmの切開1を入れる。
(2) 眼窩骨外縁より1〜1.5cmの部位と前記の切開10との延長線上の側頭毛髪内に1〜2cmの切開20を行い、皮膚を側頭筋膜まで剥離する。
(3) 切開10よりこの発明の牽引用具Aの挿通用針2、2の内の1本を頬骨方向に挿入して頬部脂肪14を貫通させ頬骨上を通し、側頭筋膜21上で切開20より引き出す。
(4) 同様な方法で、切開10よりもう1本の挿通用針2を挿入し、切開部20より引き出す(図3及び図8参照)。
(5) 切断用糸3の両端を引き、しごく感じで皮下脂肪層12、皮下組織層13を切るようにして通過させる。この途中で皮膚11の切開10箇所にエクボ状の陥凹を来すが、切断用糸3のループ端が皮下脂肪層12、皮下組織層13を少しずつ切断しながらその中を通過するに従って陥凹は扁平となるので、最後に全く陥凹が無くなった時点で切断用糸を引き抜く(図4及び図5参照)。
(6) 次に、プレジェット4付きの牽引用糸1を引き、切開10からプレジェットを切断用糸3が通過したところまで引き入れる。この際、プレジェット4を頬部脂肪14の中央に固定させるために、プレジェットに連結された誘導用糸7を反対側に軽く引きながらプレジェットの誘導を行う。牽引用糸1は既に切断用糸3が皮下脂肪12、皮下組織13を切断しながら通過した箇所を通過するので引き入れは抵抗なく容易に行え、プレジェット4は頬部脂肪端に到達する(図6参照)。
(7) プレジェット4が頬部脂肪14に到達した事を確認した時点で誘導用糸7を引き抜く。更に誘導用糸1を引っ張り、頬部脂肪14を意図する位置まで引き上げた後、糸の先端を深側頭筋膜21に縫合固定する。その際、固定を強固なものにするためプレジェット8を間に置いて固定する(図7及び図9参照)。
【0016】
尚、この発明の牽引用具Aを使用した頬部脂肪を持ち上げるための手術は単独で行ってもよいことは勿論である(図10及び図11参照)。
【0017】
【実施例】
この発明の牽引用具の材質及び寸法の実施例を下記する。尚、これらはあくまでも例示であり、この発明はこれらに限定されないことはいうまでもない。
○牽引用糸1/長さ75cmのポリテトラフルオロエチレン又はポリプロピレン製
これらの素材は抗張力保持期間が長く、本術式に適している。また、心臓血管外科で長期間使用されており、体内に残した時の安全性が確認されている。
○挿通用針2/長さ12cmの金属製
○切断用糸3/長さ60cmのテトロン製
この素材は皮下脂肪を切るのに、硬度と表面の性状が丁度良い。
○誘導用糸7/長さ14cmのナイロン製
この素材は引き抜く時の滑りがよい。
○プレジェット4/縦3mm、横6mmのポリテトラフルオロエチレン製
前記したようにこの素材は心臓血管外科で長期間使用されており、体内に残した時の安全性が確認されている。
【0018】
【発明の効果】
以上の構成よりなるこの発明の牽引用具によれば、顔面にエクボ状の陥凹を生じさせることなく、しかも頬部脂肪を抜けてしまうという失敗のおそれがなく確実に頬部脂肪の牽引を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の牽引用具の正面図(誘導用糸及び切断用糸は丁弱なので中間の図示を省略している)。
【図2】同上プレジェット箇所の斜視図。
【図3】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の断面図。
【図4】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の断面図。
【図5】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の断面図。
【図6】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の断面図。
【図7】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の断面図。
【図8】鼻唇溝の皺とり手術の際に、同時にこの発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げを行う過程を示す人体の側面図。
【図9】鼻唇溝の皺とり手術の際に、同時にこの発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げを行う過程を示す人体の側面図。
【図10】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の側面図。
【図11】この発明の牽引用具を使用した頬部脂肪の持ち上げの手術の過程を示す人体の側面図。
【符号の説明】
1     牽引用糸
2     挿通用針
3     切断用糸
4     プレジェット
7     誘導用糸
14    頬部脂肪

Claims (4)

  1. 使用時にループを形成すべき牽引用糸の両端に一対の挿通用針を連結すると共に、使用時に上記牽引用糸と相まって二重ループを形成すべき切断用糸の両端を、上記の一対の挿通用針に連結したことを特徴とする頬部脂肪牽引用具。
  2. 使用時にループを形成すべき牽引用糸の両端に一対の挿通用針を連結すると共に、上記牽引用糸の中途にプレジェットを設けたことを特徴とする頬部脂肪牽引用具。
  3. 使用時にループを形成すべき牽引用糸の両端に一対の挿通用針を連結すると共に、使用時に上記牽引用糸と相まって二重ループを形成すべき切断用糸の両端を、上記の一対の挿通用針を連結し、上記牽引用糸の中途にはプレジェットを設けたことを特徴とする頬部脂肪牽引用具。
  4. 牽引用糸の中途に設けたプレジェットに、使用時に牽引用糸と対向する位置に延長されるべき誘導用糸を設けた請求項から1から3の何れかに記載の頬部脂肪牽引用具。
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