JP2004121558A - 超音波組織診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】補正部4が、1回目に送信された第1の超音波のエコー信号に対応する第1の受信信号と、2回目に第1の超音波と同一方位にかつ異なる波形で送信された第2の超音波のエコー信号に対応する第2の受信信号の少なくとも一方に対して補正を施し、補正信号として出力し、減算部6が、補正信号ともう一方の補正されていない受信信号との差分を演算し、差分信号として出力し、除算部9が、差分信号を補正信号により除算して、伝搬にともなう波形歪みを示す量、すなわち媒体の音響的な非線形性を示す信号を出力する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波により生体等の組織の性状を表示する超音波組織診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の超音波組織診断装置として、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波し、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を第1の超音波と同一の方位に送波し、送波した2種類の超音波エコーをそれぞれ受信し、受信した2つのエコーの差の信号を形成することで、2種類の超音波エコーに共通に含まれる基本波エコーを相殺してハーモニックスエコーを取り出すものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001―353155号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波組織診断装置においては、伝搬にともなう波形歪みの発生に関わる媒体の音響的な非線形性を表示できないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、その目的は、媒体の音響的な非線形性を表示可能な超音波組織診断装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明に係る超音波組織診断装置は、被検体に対して超音波を送受信する探触子と、探触子を駆動する波形が異なる複数の駆動パルスを生成する送信手段と、同一音線上で、送信手段により被検体内に複数の超音波がそれぞれ順次送信され、反射して探触子に返ってきた複数のエコー信号を複数の受信信号として順次取得する受信手段と、時間的に先に(1回目に)送信された超音波のエコー信号に対応する第1の受信信号(R(1))と、次に(2回目に)送信された超音波のエコー信号に対応する第2の受信信号(R(2))の少なくとも一方に対して補正を施し、補正信号として出力する補正手段と、補正信号ともう一方の補正されていない受信信号との差分を演算し、差分信号(ΔR)として出力する減算手段と、差分信号を補正されていない受信信号または補正信号により除算する除算手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成により、まず、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波し、次に、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を、第1の超音波と同一の方位に送波し、送波した2種類の超音波エコーをそれぞれ受信して第1および第2の受信信号を取得し、第1および第2の受信信号に対して補正を施して補正信号とし、補正されていない受信信号と補正信号との差分を演算して差分信号を得、差分信号を第2の受信信号により除算する。これにより、送波ビームの強度レベルの深さ依存や、受信信号に含まれる超音波の散乱特性を除去し、波形歪みの程度、すなわち媒体の音響的な非線形性に関わるパラメータを得ることができる。
【0008】
本発明に係る超音波組織診断装置において、補正手段は、複数の受信信号の振幅を同一にする利得制御手段として構成される。
【0009】
この構成によれば、等価的に同一の波形で送信したこととなり、非線形歪みを生じていない受信信号に対しては減算手段による差分信号が零となる。
【0010】
または、本発明に係る超音波組織診断装置において、補正手段は、複数の受信信号の時間幅を同一にする遅延加算手段として構成される。
【0011】
この構成によれば、等価的に同一の波形で送信したこととなり、非線形歪みを生じていない受信信号に対しては減算手段による差分信号が零となる。
【0012】
本発明に係る超音波組織診断装置において、除算手段は、補正されていない受信信号または補正信号の振幅を閾値と比較して、補正されていない受信信号または補正信号の振幅が閾値よりも小さい場合、閾値を出力し、補正されていない受信信号または補正信号の振幅が閾値以上である場合、補正されていない受信信号または補正信号を出力するリミッタと、リミッタの出力信号により差分信号を除算する除算器とを含む。
【0013】
この構成によれば、除算手段における除数である第2の補正信号が閾値以下になって、除算手段の出力信号が不安定になることを避けることが出来る。
【0014】
また、本発明に係る超音波組織診断装置は、差分信号の絶対値を求めて除算手段に出力する第1の検波器と、補正されていない受信信号または補正信号の絶対値を求めて除算手段に出力する第2の検波器とを備える。
【0015】
この構成によれば、受信信号がRF信号からベースバンド信号に変換され、除算手段における除数である補正されていない受信信号または補正信号が零となる確率を下げ、除算を安定して行うことが出来る。
【0016】
さらに、本発明に係る超音波組織診断装置は、除算手段の出力信号に対して深さ方向の微分演算を行う微分器を備える。
【0017】
この構成によれば、伝搬にともない深さ方向に蓄積される波形歪みを微分することにより、局所的な波形歪みの発生量、すなわち媒体の局所的な音響的非線形性に関わるパラメータを得ることとなる。
【0018】
さらに、本発明に係る超音波組織診断装置は、補正手段により補正された複数の受信信号から複素検波信号を求める位相検波器を備え、除算手段は、複素検波信号による複素除算を行う。
【0019】
この構成によれば、受信信号がRF信号からベースバンド信号に変換され、除算手段における除数である第2の補正信号が零となる確率を下げ、除算を安定して行うことが出来る。また、複素除算であるため、除算手段に入力される複素信号間の位相情報を得ることが出来る。
【0020】
さらに、本発明に係る超音波組織診断装置は、除算手段の出力信号に対応したカラーコードに応じてカラー画像を表示する表示手段を備える。
【0021】
この構成によれば、除算手段の出力信号である媒体の非線形性に関わるパラメータをカラー表示し、パラメータの微妙な差異を明確に表示することが可能となる。
【0022】
さらに、本発明に係る超音波組織診断装置は、複数の受信信号に対して二乗処理または整流処理を施し、キャリア信号を除去してBモード画像信号を出力するBモード処理手段と、除算手段からのカラー画像信号を、Bモード処理手段からのBモード画像信号と合成する合成手段とを備える。
【0023】
この場合、合成手段は、除算手段からのカラー画像信号を、Bモード処理手段からのBモード画像信号と加算する加算器か、または除算手段からのカラー画像信号により、Bモード処理手段からのBモード画像信号を色変調する色変調手段を含む。
【0024】
この構成によれば、除算手段の出力信号である媒体の非線形性に関わるパラメータをカラー表示し、パラメータの微妙な差異をBモード画像上に明確に表示することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0027】
図1において、送信回路1は、被検体(不図示)に対して超音波を送受信する探触子2を駆動する。受信回路3(受信手段)は、送信回路1により被検体内に複数の超音波がそれぞれ順次送信され、同一音線上で、反射して探触子2に返ってきた複数のエコー信号を複数の受信信号として順次取得する。補正部4(補正手段)は、受信回路3からの複数の受信信号のうちいずれかを任意の方法で補正し、補正された受信信号(補正信号)を生成する。なお、本実施の形態の場合、補正部4は利得制御手段により構成されている。メモリ5は、補正部4からの受信信号および補正信号を格納する。減算部6(減算手段)は、メモリ5からの補正されていない受信信号と補正部4からの補正信号との差分演算を行い、差分信号を出力する。検波器7(第1の検波器)は、減算部6からの差分信号を絶対値検波する。検波器8(第2の検波器)は、補正部4からの補正信号を絶対値検波する。除算部9(除算手段)は、検波器7の出力信号を検波器8の出力信号により除算する。Bモード処理部10(Bモード処理手段)は、受信回路3から出力される信号に対して二乗処理または整流処理(いわゆるBモード処理)を施し、Bモード画像信号を生成する。合成部11(合成手段)は、Bモード処理部10からのBモード画像信号と、除算部9からの信号を合成する。表示部12(表示手段)は、合成部11からの出力信号を断層像として表示する。
【0028】
図2は、除算部9の内部構成を示すブロック図である。
【0029】
図2において、リミッタ91は、設定された閾値と検波器8からの信号を比較し、検波器8からの信号が閾値よりも小さい場合は、閾値を出力する。除算器92は、検波器7からの信号をリミッタ91からの信号により除算する。
【0030】
次に、以上のように構成された超音波組織診断装置の動作について説明する。
【0031】
まず、第1回目の送信において、送信回路1は、探触子2が伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波する第1の駆動パルスを発生し、第2回目の送信において、送信回路1は、探触子2が、第1の超音波と同一の方位に、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を送波する第2の駆動パルスを発生する。ここで、第1の駆動パルスの振幅は2×A(第1の受信信号の振幅は2×B)であり、第2の駆動パルスの振幅はA(第2の受信信号の振幅はB)であるとする。また、探触子2が受信する受信信号R(i)(但し、i=1、2回目)は、以下の式(1)で表せるとする。
【0032】
R(i)=P(i)×N(i)×S …(1)
ここで、P(i)は超音波の送波音圧レベル、N(i)は伝搬にともなう波形歪みを示す量、Sは媒体における超音波の散乱特性である。
【0033】
次に、受信信号R(1)は受信回路3において受信され、補正部4を通過し、そのままメモリ5に格納される。受信信号R(2)は補正部4において振幅が2倍され、補正信号が得られる。減算部6において、受信信号R(1)と補正信号との差分信号ΔRが以下のように求められる。
【0034】
検波器7において、差分信号ΔRの絶対値|ΔR|が求められ、検波器8において、補正信号2×R(2)の絶対値|2×R(2)|が求められる。除算部9の出力信号は、以下の式(3)で表される。
【0035】
|ΔR/(2×R(2))|=|(N(1)−N(2))/N(2)|…(3)
従って、除算部9の出力信号は、伝搬にともなう波形歪みを示す量N(i)に関係し、すなわち媒体の音響的な非線形性を示す。
【0036】
図2において、検波器8の出力信号が閾値より小さい場合には、リミッタ91は閾値を出力し、除算器92において、検波器7の出力信号はリミッタ91の出力信号により除算される。このことにより、検波器8の出力信号が閾値以下になり、除算器92の出力信号が不安定になることを防止できる。
【0037】
除算部9の出力信号は、合成部11において、Bモード処理部10からのBモード画像信号と合成される。合成部11の出力信号は、表示部12において、断層像として表示される。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、送信回路1を制御して、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波し、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を第2の超音波と同一の方位に送波し、送波した2種類の超音波エコーをもとに除算を行うことにより、伝搬にともなう波形歪みを示す量、すなわち媒体の音響的な非線形性を表示することができる。
【0039】
なお、第1の実施の形態において、補正方法として、振幅を補正したが、遅延時間、位相特性など広くは周波数特性を変える補正であればよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る超音波組織診断装置における補正部4の内部構成を示すブロック図である。
【0041】
第1の実施の形態では、補正部4を利得制御手段として構成したが、本実施の形態では、補正部4は、図3に示すような遅延加算手段として構成される。その他の構成および機能については、第1の実施の形態と同一であるので説明を省略する。
【0042】
図3において、補正部4の遅延器41は、受信回路3からの受信信号を遅延する。スイッチ42は、オンの場合は、遅延器41の出力信号をそのまま出力し、オフの場合は、ゼロを出力する。加算器43は、受信回路3からの受信信号と、スイッチ42の出力信号とを加算する。このように、補正部4は遅延加算手段で構成されている。
【0043】
次に、以上のように構成された超音波組織診断装置の動作について説明する。
【0044】
まず、第1回目の送信において、送信回路1は、探触子2が伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波する第1の駆動パルスを発生し、第2回目の送信において、送信回路1は、探触子2が、第1の超音波と同一の方位に、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を送波する第2の駆動パルスを発生する。ここで、第1の駆動パルスのパルス幅は2×T(第1の受信信号の時間幅は2×T)であり、第2の駆動パルスのパルス幅はT(第2の受信信号の時間幅はT)であるとする。また、探触子2が受信する受信信号R(i)(但し、i=1、2回目)は、上記式(1)で表せるとする。
【0045】
次に、受信信号R(1)は受信回路3において受信され、受信信号R(1)は、補正部4において、スイッチ42がオフとされるので、そのまま出力されて、メモリ5に記憶される。一方、受信信号R(2)は、補正部4において、遅延器41で遅延時間Tだけ遅延され、スイッチ42がオンとなり、加算器43において、遅延器41を通過する前の信号と加算されて、補正信号R’(2)となり、
R’(2)=P(1)×N(2)×S …(4)
と近似することが出来る。
【0046】
減算部6において、上記式(2)に示すように、受信信号R(1)と補正信号R’(2)との差分信号ΔRが求められる。検波器7において、差分信号ΔRの絶対値|ΔR|が求められ、検波器8において、補正信号R’(2)の絶対値|R’(2)|が求められる。除算部9の出力信号は上記式(3)で表される。
【0047】
従って、除算部9の出力信号は、伝搬にともなう波形歪みを示す量N(i)に関係し、すなわち媒体の音響的な非線形性を示す。
【0048】
以上のように、本実施形態によれば、送信回路1を制御して、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波し、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を第1の超音波と同一の方位に送波し、送波した2種類の超音波エコーをもとに除算することにより、伝搬にともなう波形歪みを示す量、すなわち媒体の音響的な非線形性を表示することができる。
【0049】
(第3の実の施形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0050】
図4において、本実施の形態は、図1に示す構成に微分器18を追加した構成をとる。なお、その他の構成および機能については、図1と同一であるので説明を省略する。
【0051】
微分器18は、除算部9の出力信号を微分する。微分器18の出力信号は合成部11へ入力される。
【0052】
次に、このように構成された超音波組織診断装置の動作について説明する。
【0053】
除算器9の出力信号|(N(1)−N(2))/N(2)|は、微分器18において、深さ方向zに関して微分され、以下の微分出力βが得られる。
【0054】
β=d|(N(1)−N(2))/ N(2)|/dz …(5)
N(1)は深さ方向に蓄積された歪み量であるので、その深さ方向の微分であるβは局所的な歪み量、あるいは媒体の音響的な非線形性の局所的な分布を示す量とみなすことが出来る。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、微分器18を設けることにより、媒体の非線形性の局所的な分布を示す量を表示することができる。
【0056】
(第4の実施の形態)
図5は、本発明の第4の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0057】
第1の実施の形態では、検波器7、8により絶対値検波を行ったのに対して、本実施の形態では、位相検波器15により複素検波を行う。なお、図5において、第1の実施の形態と同じ構成および機能については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
図5において、位相検波器15は、補正部4からの信号を位相検波し、互いに直交関係にある複素信号としてIs信号およびQs信号を出力する。メモリ16は、位相検波器15からのIs信号およびQs信号を格納し、Im信号およびQm信号として減算部17に出力する。減算部17は、位相検波器15からのIs信号、Qs信号とメモリ16からのIm信号、Qm信号との差分演算を行い、差分信号を出力する。除算部95は、減算部17からの差分信号を位相検波器15からのIs信号およびQs信号により除算する。
【0059】
次に、以上のように構成された超音波組織診断装置の動作について説明する。
【0060】
まず、受信信号R(i)は位相検波器15において位相検波され、複素検波信号Is+jQs(但しjは虚数定数)となる。第1回目の送信において得られた複素検波信号はメモリ16に記憶され、メモリ16の出力信号はIm+jQmとなる。減算部17においては、まず、以下の式(6)で示すように、複素減算信号I+jQが求められる。
【0061】
I+jQ=(Im+jQm)−(Is+jQs) …(6)
次に、除算部95において、複素減算信号I+jQが複素検波信号Is+jQsにより除算されて、除算信号が出力される。除算部95の出力信号は上記式(3)に相当する量とみなすことが出来る。従って、除算部95の出力信号は伝搬にともなう波形歪みを示す量に関係し、すなわち媒体の音響的な非線形性を示す。
【0062】
除算部95の出力信号は、合成部11において、Bモード処理部10からのBモード画像信号と合成される。合成部11の出力信号は、表示部12において、断層像として表示される。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、送信回路1を制御して、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足る音圧を持つ第1の超音波を送波し、伝搬にともなう波形歪みを起こすに足りない音圧を持つ第2の超音波を、第1の超音波と同一の方位に送波し、送波した2種類の超音波エコーを複素検波信号に変換し、除算することにより、伝搬にともなう波形歪みを示す量、すなわち媒体の音響的な非線形性を表示することができる。
【0064】
(第5の実施の形態)
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図である。なお、図6において、第1の実施の形態と同じ構成および機能については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図6において、色発生部111は、除算部9からの出力信号をカラー画像信号に変換する。加算器112は、色発生部111からのカラー画像信号とBモード処理部10からのBモード画像信号とを加算する。色発生部111と加算器112とで合成部11が構成される。
【0066】
次に、以上のように構成された超音波組織診断装置の動作について説明する。
【0067】
まず、除算部9からの出力信号は、色発生部111において、予め用意されたカラーコードに基づき、レッド・グリーン・ブルー(RGB)の色信号成分RN、GN、BNに変換される。さらに、加算器112において、Bモード処理部10からの白黒画像信号であるBモード画像信号は、色信号成分R1、G1、B1に変換され、加算器112からは、以下の式(7)、式(8)、式(9)に示す色信号成分R、G、Bが出力される。
【0068】
R=RN+R1 …(7)
G=GN+G1 …(8)
B=BN+B1 …(9)
以上のように、本実施の形態によれば、色発生部111と加算器112を設けることにより、媒体の非線形性の局所的な分布を示す量をBモード処理部10からのBモード画像信号に重畳して、表示部12においてカラー表示を行うことができる。
【0069】
(第6の実施の形態)
図7は、本発明の第6の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0070】
本実施の形態が第5の実施の形態と異なるのは、合成部11の加算器112の代わりに、色変調部113を設けた点にある。なお、図7において、第5の実施の形態と同じ構成および機能については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
図7において、色変調部113は、Bモード処理部10からのBモード画像信号により色発生部111からのカラー画像信号を変調する。色発生部111と色変調部113とで合成部11が構成される。
【0072】
次に、以上のように構成された超音波組織診断装置の動作について説明する。
【0073】
まず、除算部9からの出力信号は、色発生部111において、予め用意されたカラーコードに基づき、RGBの色信号成分RN、GN、BNに変換される。さらに、色変調部113において、Bモード処理部10からの白黒画像信号であるBモード画像信号の輝度情報Lは、色信号成分RN、GN、BNにより変調され、以下の式(10)、式(11)、式(12)に示す色信号成分R、G、Bが出力される。
【0074】
R=RN×L …(10)
G=GN×L …(11)
B=BN×L …(12)
以上のように、本実施の形態によれば、色発生部111と色変調部113を設けることにより、媒体の非線形性の局所的な分布を示す量により、Bモード処理部4からのBモード画像信号を変調して、表示部12においてカラー表示を行うことができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、送波ビームの強度レベルの深さ依存や、受信信号に含まれる超音波の散乱特性を除去し、波形歪みの程度、すなわち媒体の音響的な非線形性に関わるパラメータを得ることができる、という格別な効果を奏する超音波組織診断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図
【図2】図1の除算部9の内部構成を示すブロック図
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る超音波組織診断装置における補正部4の内部構成を示すブロック図
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る超音波組織診断装置の構成例を示す機能ブロック図
【符号の説明】
1 送信回路(送信手段)
2 探触子
3 受信回路(受信手段)
4 補正部(補正手段)
5 メモリ
6 減算部(減算手段)
7 検波器(第1の検波器)
8 検波器(第2の検波器)
9 除算部(除算手段)
10 Bモード処理部(Bモード処理手段)
11 合成部(合成手段)
12 表示部(表示手段)
Claims (11)
- 被検体に対して超音波を送受信する探触子と、
前記探触子を駆動する波形が異なる複数の駆動パルスを生成する送信手段と、
同一音線上で、前記送信手段により被検体内に複数の超音波がそれぞれ順次送信され、反射して前記探触子に返ってきた複数のエコー信号を複数の受信信号として順次取得する受信手段と、
時間的に先に送信された超音波のエコー信号に対応する第1の受信信号と、次に送信された超音波のエコー信号に対応する第2の受信信号の少なくとも一方に対して補正を施し、補正信号として出力する補正手段と、
前記補正信号ともう一方の補正されていない受信信号との差分を演算し、差分信号として出力する減算手段と、
前記差分信号を前記補正されていない受信信号または前記補正信号により除算する除算手段とを備えたことを特徴とする超音波組織診断装置。 - 前記補正手段は、前記複数の受信信号の振幅を同一にする利得制御手段である請求項1記載の超音波組織診断装置。
- 前記補正手段は、前記複数の受信信号の時間幅を同一にする遅延加算手段である請求項1記載の超音波組織診断装置。
- 前記除算手段は、
前記補正されていない受信信号または前記補正信号の振幅を閾値と比較して、前記補正されていない受信信号または前記補正信号の振幅が前記閾値よりも小さい場合、前記閾値を出力し、前記前記補正されていない受信信号または前記補正信号の振幅が前記閾値以上である場合、前記前記補正されていない受信信号または前記補正信号を出力するリミッタと、
前記リミッタの出力信号により前記差分信号を除算する除算器とを含む請求項1記載の超音波組織診断装置。 - 前記超音波組織診断装置は、
前記差分信号の絶対値を求めて前記除算手段に出力する第1の検波器と、
前記補正されていない受信信号または前記補正信号の絶対値を求めて前記除算手段に出力する第2の検波器とを備えた請求項1記載の超音波組織診断装置。 - 前記超音波組織診断装置は、前記除算手段の出力信号に対して深さ方向の微分演算を行う微分器を備えた請求項1記載の超音波組織診断装置。
- 前記超音波組織診断装置は、前記補正手段により補正された複数の受信信号から複素検波信号を求める位相検波器を備え、前記除算手段は、前記複素検波信号による複素除算を行う請求項1記載の超音波組織診断装置。
- 前記超音波組織診断装置は、前記除算手段の出力信号に対応したカラーコードに応じてカラー画像を表示する表示手段を備えた請求項1記載の超音波組織診断装置。
- 前記超音波組織診断装置は、
前記複数の受信信号に対して二乗処理または整流処理を施し、キャリア信号を除去してBモード画像信号を出力するBモード処理手段と、
前記除算手段からのカラー画像信号を、前記Bモード処理手段からのBモード画像信号と合成する合成手段とを備えた請求項8記載の超音波組織診断装置。 - 前記合成手段は、前記除算手段からのカラー画像信号を、前記Bモード処理手段からのBモード画像信号と加算する加算器を含む請求項9記載の超音波組織診断装置。
- 前記合成手段は、前記除算手段からのカラー画像信号により、前記Bモード処理手段からのBモード画像信号を色変調する色変調手段を含む請求項9記載の超音波組織診断装置。
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