JP2004120864A - 導体配列構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】漏洩磁束密度が小さい導体配列構造を提供するものである。
【解決手段】本発明に係る導体配列構造10は、複数本の導体を平行に配列する際、各導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2で構成される2つの導体群14a,14bを形成し、一方の導体群14aの極配列と他方の導体群14bの極配列とが反対となるように、一方の導体群14aと他方の導体群14bとを並行に配置したものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る導体配列構造10は、複数本の導体を平行に配列する際、各導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2で構成される2つの導体群14a,14bを形成し、一方の導体群14aの極配列と他方の導体群14bの極配列とが反対となるように、一方の導体群14aと他方の導体群14bとを並行に配置したものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導体配列構造に係り、特に、ブスバーやバスダクトなどの導体の配列構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
交流の送電方式の内、小さな断面積で大きな送電電力が得られるタイプとして、3相3線式がある。この3相3線式に用いられるブスバー導体の最も一般的な導体配列構造としては、図9に示すように、3本の導体R,S,Tを中心間の間隔をcとして平行に配列してなる導体部で構成されるものが挙げられる。この導体配列構造90における導体部の各導体R,S,Tに、それぞれ位相が異なる3相の電流を通電した場合、電流の磁気作用によって、導体部の周囲に磁界が生じる。
【0003】
この磁界が、各種の電子機器に障害を与えることは周知であり、最も身近な例では、高圧架空線近くにおいてラジオに雑音が生じたり、テレビ又はモニタ画面にちらつき等が生じたりする。また、電気用導体と並設された通信線においては誘導電圧が生じ、通信に障害が出ることも知られている。
【0004】
近年、半導体技術の進展に伴って、各種の製造装置や測定装置においても外部磁界を嫌うものが増えていることから、電気用導体から漏洩する磁束密度を可能な限り小さくすることが、強く要求されるようになっている。
【0005】
図9の導体配列構造90の導体部に相電流を通電すると、任意の点A4における各磁束密度B4は、以下の▲1▼式で与えられる。
【0006】
B=μ0H(Wb/m2)…▲1▼
(μ0:大気中の透磁率(H/m),H:電流が作る磁界の強さ(A/m))
また、磁界の強さHは、通電電流をI(A)とすれば以下の▲2▼式で与えられる。
【0007】
H=I/2πd…▲2▼
(d:導体中心と点A4との距離(m))
任意の点A4の磁束密度B4は、磁束密度BR、BS、BT(任意の点A4における各導体R,S,Tによる磁束密度)の合成となる。ここで、通電電流Iはベクトルであり、導体Rの電流をI1、導体Sの電流をI2、導体Tの電流をI3とし、Iを電流の絶対値とすれば、3相電流の場合、I1=I、I2=I×(−1−31/2j)/2、I3=I×(−1+31/2j)/2となる。I1、I2、I3の総和は0であることから、仮に、導体の大きさが無限に小さく、3つの導体R,S,Tが同じ位置にあるとすれば、距離d4,d5,d6は全て等しくなり、点A4における合成された磁束密度B4も0となる。しかし、現実には、各導体R,S,Tは必ずある一定の大きさを持つことから、距離d4,d5,d6に差が生じ、通電導体の周囲に磁界が生じることは避けられない。
【0008】
磁束密度B4を小さくする一の方法として、各導体R,S,Tの間の距離cを小さくする方法が挙げられる。これによって、各距離d4,d5,d6の差が小さくなり、点A4における磁束密度B4がより小さくなる。このような導体配列構造を体現したバスダクトとして、図10に示すように、導体本体101を絶縁体102で被覆してなる各導体103を、それぞれ密着させて設けて導体群104を形成し、その導体群104をダクト105内に配置した絶縁導体密着型絶縁バスダクト100が知られている。
【0009】
また、磁束密度B4を小さくする他の方法として、各導体R,S,Tを撚り合わせ、各導体R,S,Tの中心と任意の点A4との平均距離を極力小さくする方法が挙げられる。このような導体配列構造を体現したケーブルとして、トリプレックス形CVケーブル(架橋ポリエチレン電力ケーブル)が知られている。
【0010】
また、磁束密度B4を小さくする他の方法として、各導体の磁束を打ち消すべく、ダクト内に上下2列に並行配置された導体群における導体の相配置(極配列)を、上下の導体群でずらして相配置したバスダクトがある(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−182260号公報(第3頁
【0012】、第7図)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図10に示したバスダクト100においても、各導体103に大電流を流した場合、その周囲に相当の磁界が生じてしまう。具体的には、各導体本体101のサイズを厚さ10mm、幅175mm、絶縁体102の層厚を1mm、導体群104における各導体103の中心間隔を12mmとし、各導体103に2000Aの大電流を通電した時、バスダクト100におけるある導体103の周囲の磁束密度は、前述した式▲1▼,▲2▼により計算される。その計算値を表1に、表1の計算値を基にしたグラフを図11に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
その結果、表1及び図11に示すように、例えば、バスダクト100におけるある導体103の中心からX方向に1m、Y方向に1m離れた地点における漏洩磁束密度は、約30×10−7(Wb/m2)であった。一般に、テレビ画面などにちらつき等の影響が出始める磁束密度は、10×10−7(Wb/m2)と言われている。よって、この場合、ちらつき等が生じないようにするには、テレビを導体群104から3m程度も離さなければならなくなるが、配置上の問題又は設置スペースの問題から困難であることが多い。
【0015】
また、特開平9−182260号公報に記載されたバスダクトでは、両導体群における導体の相配置を上下の導体群でずらして相配置しているが、相配置を単にずらしただけでは、各導体の磁束を略完全に打ち消すことはできない。近年、半導体関連の加工装置などは、ますます高精度化していることから、外部磁界をますます嫌うようになってきており、漏洩磁束密度を1×10−7(Wb/m2)程度に抑えることが要求されている。このバスダクトにおいても、漏洩磁束密度をこのレベルまで抑えることができないため、加工装置自体を電磁遮蔽物で囲むことによって、磁界の影響を防いでいた。
【0016】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、漏洩磁束密度が小さい導体配列構造を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る導体配列構造は、複数本の導体を平行に配列する際、各導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したものである。また、複数本の導体を平行に配列する際、各導体を配列方向とは垂直な幅方向に2分割して2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したものである。
【0018】
また、請求項3に示すように、上下に並行配置された各導体群の、配列方向一方端側の導体に平行に、中性極導体を配列してもよい。
【0019】
また、請求項4に示すように、左右に並行配置された各導体群間に、中性極導体を配列してもよい。
【0020】
また、請求項5に示すように、一方の導体群の分岐位置近傍で、各導体群の極性が同じ導体同士を連結導体で接続してもよい。
【0021】
これによって、上下又は左右に並行に配置された導体群で構成される導体部において、各導体群の導体と導体部の周囲の任意の点との離間距離を、同極の導体における離間距離の合計値で比較した場合、略同じ値となる。その結果、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が小さくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0023】
本発明者らは、導体部を構成する各導体と導体部周囲の任意の点との各離間距離をできるだけ等しくすることで、導体部の各導体に位相の異なる電流を通電した時の磁束密度のベクトル総和をゼロに近づけることを意図し、鋭意研究を行った。
【0024】
第1の実施の形態に係る導体配列の断面構造を図1に示す。
【0025】
本実施の形態に係る導体配列構造は、極性の異なる複数本の導体を平行に配列する際、複数本の導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列(相配列)と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したものである。
【0026】
具体的には、図1に示すように、複数本(図1中では3本)の導体を中心間の間隔をcとして平行に配列すると共に、配列方向(図1中では左右方向)とは垂直な幅方向(図1中では上下方向)に2分割して2つの導体群14a,14bを形成する。導体群14aは導体R1,S1,T1で構成され、導体群14bは導体T2,S2,R2で構成される。R1とR2、S1とS2、及びT1とT2には、それぞれ同位相の電流が通電され、それぞれが同極となる。一方の導体群14aの極配列(図1中では左からRの極,Sの極,Tの極)と他方の導体群14bの極配列(図1中では左からTの極,Sの極,Rの極)とが反対となるように、一方の導体群14aの下(又は上)に所定隙間Dを有して他方の導体群14bを並行に配置することで導体部が構成され、本実施の形態に係る導体配列構造10が得られる。
【0027】
また、上下二列に並行配置された各導体群14a,14bの、配列方向一方端側(図1中では右側)の導体T1,R2に平行に、中性極導体N1,N2を配列してもよい。中性極導体N1,N2については、他の導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2のように極配列を反対にする必要はない。これは、多極回路において、各極の導体の、電流の絶対値が等しい場合、基本的には中性極導体に電流が流れることはないため、中性極導体による磁界が生じないためである。中性極導体は、各極の導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2の帰線を1本の導体で兼用する中性線であり、一般に接地されている。尚、図1中においては、中性極導体もN1,N2に二分割した場合について説明を行ったが、中性極導体に限っては、中性極導体N1,N2に分割する前の状態のもの(つまり、1本の中性極導体)を用いてもよい。
【0028】
また、図1に示した本実施の形態に係る導体配列構造10において、各導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2の周囲を、図2に示すように、絶縁体22で被覆すると共に、それぞれを密着させて導体群24a,24bを形成し、その導体群24a,24bで構成される導体部を、ダクト25内に上下2列に並行配置することで、絶縁導体密着型絶縁バスダクト20が得られる。
【0029】
次に、本実施の形態の作用を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
導体群14aの各導体R1,S1,T1と任意の点A1との離間距離をd1,d2,d3、導体群14bの各導体T2,S2,R2と任意の点A1との離間距離をd3’,d2’,d1’とすると、導体群14aにおいてはd1>d2>d3となり、導体群14bにおいてはd1’<d2’<d3’となる。よって、並行に配置された導体群14a,14bで構成される導体部において、同極の導体R1とR2、S1とS2、及びT1とT2の離間距離を合わせた平均値(以下、合算離間距離の平均値と表す)は、(d1+d1’)/2、(d2+d2’)/2、及び(d3+d3’)/2)で表される。これらの合算離間距離の平均値の差は著しく小さく、略同じ値となる。
【0031】
ここで、前述した特開平9−182260号公報に記載されたバスダクトのように、両導体群における導体の極配列を上下で単にずらしただけでは、合算離間距離の平均値を略同じにすることはできない。そこで、これを達成するために、並行に配置された導体群14a,14bで構成される導体部において、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とを完全に反対とすることが必要となる。
【0032】
より具体的には、図2に示したバスダクト20において、各導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2のサイズを厚さ10mm、幅87.5mm、絶縁体22の層厚を1mm、導体群24a,24bにおける各導体の中心間隔cを12mm、導体群24a,24bにおける上下の間隔Dを60mmとし、各導体に2000Aの大電流を通電した時、バスダクト20におけるある導体の周囲の磁束密度は、前述した式▲1▼,▲2▼により計算される。その計算値を表2に、表2の計算値を基にしたグラフを図6に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
その結果、表2及び図6に示すように、例えば、バスダクト20におけるある導体の中心からX方向に1m、Y方向に1m離れた地点における漏洩磁束密度は、約3×10−7(Wb/m2)であった。つまり、導体の合計断面積、各導体の中心間の間隔c、及び各導体に通電させる電流値は、表1及び図11で用いた従来のバスダクトの導体部と全く同じまま、漏洩磁束密度を数百分の一〜数分の一に、特に導体部近傍における漏洩磁束密度を約1/10〜1/2とすることができた。
【0035】
本実施の形態に係る導体配列構造10においては、複数本の導体で構成される導体群14a,14bの内、一方の導体群14aの極配列と他方の導体群14bの極配列とが反対となるように、一方の導体群14aと他方の導体群14bとを並行に配置している。これによって、並行に配置された導体群14a,14bで構成される導体部において、同極の導体R1とR2、S1とS2、及びT1とT2の離間距離を合わせた平均値を略同じにすることができる。その結果、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が、図9に示した従来の導体配列構造90の導体部のそれと比較して大幅に小さくなる。したがって、導体部の周辺に存在する電子機器への障害、導体部と並行して布設される通信線への障害、及び磁界を利用する(又は磁界の影響を嫌う)各種の加工装置や計測装置に及ぼす影響を低減することができる。
【0036】
また、従来は、導体部の周辺に存在する電子機器への障害を低減するために、導体部からできる限り離して電子機器を配置していたが、本実施の形態に係る導体配列構造においては、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が小さいことから、従来と比較して、より導体部の近くに電子機器を配置することが可能となり、配置上の自由度が増すと共に狭隘な設置スペースにも配置可能となる。
【0037】
また、従来は、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が、各種の加工装置や計測装置に及ぼす影響を低減するために、装置自体を電磁遮蔽物で覆っていた(囲んでいた)が、本実施の形態に係る導体配列構造においては、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が小さいことから、電磁遮蔽設備を簡素にすることができる(又は電磁遮蔽設備が不要となる)。その結果、電磁遮蔽に関するコストの低減を図ることができる。
【0038】
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0039】
第2の実施の形態に係る導体配列の構造を図3に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0040】
前実施の形態に係る導体配列構造10は、一方の導体群14aの下(又は上)に所定隙間Dを有して他方の導体群14bを並行に配置し、導体部を構成したものであった(図1参照)。これに対して、本実施の形態に係る導体配列構造30は、図3に示すように、一方の導体群14aの右(又は左)に他方の導体群14bを並行に配置することで導体部を構成したものである。
【0041】
ここで、横一列(図3中では左右方向に一列)に並行配置された各導体群14a,14b間に、図1に示した中性極導体N1(又はN2)を配列してもよい。また、各導体群14a,14b間に、図1に示した中性極導体N1,N2を横一列に並べて配列してもよい。
【0042】
また、図3に示した本実施の形態に係る導体配列構造30において、各導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2の周囲を、図4に示すように、絶縁体22で被覆すると共に、それぞれを密着させて導体群44を形成し、その導体群44で構成される導体部を、ダクト45内に上下2列に並行配置することで、絶縁導体密着型絶縁バスダクト40が得られる。
【0043】
第3の実施の形態に係る導体配列の構造を図5に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0044】
前実施の形態に係る導体配列構造10は、3相3線式の導体配列構造であった。これに対して、本実施の形態に係る導体配列構造50は、図5に示すように、直流2線式又は単相2線式の導体配列構造である。具体的には、2本の導体を中心間の間隔をcとして平行に配列すると共に、配列方向(図5中では左右方向)とは垂直な幅方向(図5中では上下方向)に2分割して2つの導体群54a,54bを形成する。導体群54aは導体R1,S1で構成され、導体群54bは導体S2,R2で構成される。R1とR2及びS1とS2には、それぞれ直流電流(又は同位相の交流電流)が通電され、それぞれが同極となる。一方の導体群54aの極配列(図5中では左から+極(陽極),−極(負極))と他方の導体群54bの極配列(図5中では左から−極(負極),+極(陽極))とが反対となるように、一方の導体群54aの下(又は上或いは右若しくは左)に所定隙間Dを有して他方の導体群54bを並行に配置することで導体部が構成され、本実施の形態に係る導体配列構造50が得られる。
【0045】
第2及び第3の実施の形態に係る導体配列構造30,50においても、第1の実施の形態に係る導体配列構造10と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0046】
第4の実施の形態に係る導体配列の構造を図7に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施の形態に係る導体配列構造は、極性の異なる複数本の導体を平行に配列する際、複数本の導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置し、一方の導体群の分岐位置近傍で、各導体群の極性が同じ導体同士を連結導体で接続したものである。
【0048】
具体的には、図7(a)〜図7(c)に示すように、図1に示した導体配列構造10と同様の配列構造を形成し、その内、一方の導体群(図7中では導体群14a)の各導体に分岐導体76をそれぞれ接続し、各分岐導体76の接続位置(以下、分岐位置と表す)77の近傍で、各導体群14a,14bの極性が同じ導体同士(R1とR2、S1とS2、及びT1とT2)を連結導体75R,75S,75Tで接続し、本実施の形態に係る導体配列構造70が得られる。配列方向(図7(b)中では左右方向)両端の導体であるR1とR2及びT1とT2は、断面略S字状の連結導体75R,75Tで接続され、また、配列方向中央部の導体であるS1とS2は、導体S1,S2と略同形状の連結導体75Sで接続される。
【0049】
次に、本実施の形態の作用を添付図面に基づいて説明する。
【0050】
導体配列構造70における連結導体75R,75S,75Tがない状態の導体配列構造80(前述した導体配列構造10における一方の導体群の各導体に分岐導体76をそれぞれ接続したもの)を図8に示すように、分岐位置77の上流側(図8(a)中では左側)においては、各導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びR2,S2,T2を流れる電流はいずれも等しい(I1)。
【0051】
ところが、導体群14aの導体R1,S1,T1については、分岐位置77において電流が分岐され、各分岐導体76に電流I2が、分岐位置77の下流側(図8(a)中では右側)の導体R1,S1,T1に電流I4(=I1−I2)が流れる。つまり、分岐位置77の下流側では、導体群14bの導体R2,S2,T2を流れる電流はI1、導体群14aの導体R1,S1,T1を流れる電流はI4となり、各導体群14a,14bにおいて、分岐電流I2の分だけ差が生じる。この差が、導体配列構造80の分岐位置77の下流側における漏洩磁束密度を高めてしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態の導体配列構造70においては、分岐位置77の近傍で、各導体群14a,14bの極性が同じ導体同士を連結導体75R,75S,75Tで接続している。
【0053】
その結果、導体群14aの導体R1,S1,T1を、分岐位置77において電流を分岐する際、連結導体75R,75S,75Tを通じて、導体群14bの導体R2,S2,T2側から導体群14aの導体R1,S1,T1側に電流が流れ込むようになり、各導体の、分岐位置77の下流側を流れる電流が均等化される。つまり、分岐位置77の上流側では、導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びR2,S2,T2を流れる電流はI1、各分岐導体76を流れる電流はI2、分岐位置77の下流側では、導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びR2,S2,T2を流れる電流はI3(=I1−I2/2)となり、各導体群14a,14bの全長に亘って、導体を流れる電流に差はない。よって、導体配列構造70においては、特に分岐位置77の下流側において、導体配列構造80よりも更に漏洩磁束密度を小さくすることができる。
【0054】
本実施の形態に係る導体配列構造70においても、第1の実施の形態に係る導体配列構造10と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0055】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、複数本の導体を平行に配列する際、各導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したことで、両導体群で構成される導体部の周囲に漏洩する磁束密度を小さくすることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る導体配列の断面構造である。
【図2】第1の実施の形態に係る導体配列構造をバスダクトに適用した際の断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る導体配列の構造である。
【図4】第2の実施の形態に係る導体配列構造をバスダクトに適用した際の断面図であるである。
【図5】第3の実施の形態に係る導体配列の構造である。
【図6】表2の計算値を基にしたグラフである。ここで、図6中の横軸はX方向の距離(m)、縦軸は磁束密度(×10−7(Wb/m2))を示している。
【図7】第4の実施の形態に係る導体配列の構造である。ここで、図7(b)は、図7(a)の7b−7b線断面図、図7(c)は、図7(a)の7c−7c線断面図を示している。
【図8】第1の実施の形態に係る導体配列の変形例である。ここで、図8(b)は、図8(a)の8b−8b線断面図を示している。
【図9】従来の3相3線式導体配列の断面構造である。
【図10】である。
【図11】表1の計算値を基にしたグラフである。ここで、図11中の横軸はX方向の距離(m)、縦軸は磁束密度(×10−7(Wb/m2))を示している。
【符号の説明】
10,30,50,70,80 導体配列構造
14a,14b 導体群
54a,54b 導体群
75R,75S,75T 連結導体
77 分岐位置
R1,R2 導体
S1,S2 導体
T1,T2 導体
N1,N2 中性極導体
【発明の属する技術分野】
本発明は、導体配列構造に係り、特に、ブスバーやバスダクトなどの導体の配列構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
交流の送電方式の内、小さな断面積で大きな送電電力が得られるタイプとして、3相3線式がある。この3相3線式に用いられるブスバー導体の最も一般的な導体配列構造としては、図9に示すように、3本の導体R,S,Tを中心間の間隔をcとして平行に配列してなる導体部で構成されるものが挙げられる。この導体配列構造90における導体部の各導体R,S,Tに、それぞれ位相が異なる3相の電流を通電した場合、電流の磁気作用によって、導体部の周囲に磁界が生じる。
【0003】
この磁界が、各種の電子機器に障害を与えることは周知であり、最も身近な例では、高圧架空線近くにおいてラジオに雑音が生じたり、テレビ又はモニタ画面にちらつき等が生じたりする。また、電気用導体と並設された通信線においては誘導電圧が生じ、通信に障害が出ることも知られている。
【0004】
近年、半導体技術の進展に伴って、各種の製造装置や測定装置においても外部磁界を嫌うものが増えていることから、電気用導体から漏洩する磁束密度を可能な限り小さくすることが、強く要求されるようになっている。
【0005】
図9の導体配列構造90の導体部に相電流を通電すると、任意の点A4における各磁束密度B4は、以下の▲1▼式で与えられる。
【0006】
B=μ0H(Wb/m2)…▲1▼
(μ0:大気中の透磁率(H/m),H:電流が作る磁界の強さ(A/m))
また、磁界の強さHは、通電電流をI(A)とすれば以下の▲2▼式で与えられる。
【0007】
H=I/2πd…▲2▼
(d:導体中心と点A4との距離(m))
任意の点A4の磁束密度B4は、磁束密度BR、BS、BT(任意の点A4における各導体R,S,Tによる磁束密度)の合成となる。ここで、通電電流Iはベクトルであり、導体Rの電流をI1、導体Sの電流をI2、導体Tの電流をI3とし、Iを電流の絶対値とすれば、3相電流の場合、I1=I、I2=I×(−1−31/2j)/2、I3=I×(−1+31/2j)/2となる。I1、I2、I3の総和は0であることから、仮に、導体の大きさが無限に小さく、3つの導体R,S,Tが同じ位置にあるとすれば、距離d4,d5,d6は全て等しくなり、点A4における合成された磁束密度B4も0となる。しかし、現実には、各導体R,S,Tは必ずある一定の大きさを持つことから、距離d4,d5,d6に差が生じ、通電導体の周囲に磁界が生じることは避けられない。
【0008】
磁束密度B4を小さくする一の方法として、各導体R,S,Tの間の距離cを小さくする方法が挙げられる。これによって、各距離d4,d5,d6の差が小さくなり、点A4における磁束密度B4がより小さくなる。このような導体配列構造を体現したバスダクトとして、図10に示すように、導体本体101を絶縁体102で被覆してなる各導体103を、それぞれ密着させて設けて導体群104を形成し、その導体群104をダクト105内に配置した絶縁導体密着型絶縁バスダクト100が知られている。
【0009】
また、磁束密度B4を小さくする他の方法として、各導体R,S,Tを撚り合わせ、各導体R,S,Tの中心と任意の点A4との平均距離を極力小さくする方法が挙げられる。このような導体配列構造を体現したケーブルとして、トリプレックス形CVケーブル(架橋ポリエチレン電力ケーブル)が知られている。
【0010】
また、磁束密度B4を小さくする他の方法として、各導体の磁束を打ち消すべく、ダクト内に上下2列に並行配置された導体群における導体の相配置(極配列)を、上下の導体群でずらして相配置したバスダクトがある(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開平9−182260号公報(第3頁
【0012】、第7図)
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図10に示したバスダクト100においても、各導体103に大電流を流した場合、その周囲に相当の磁界が生じてしまう。具体的には、各導体本体101のサイズを厚さ10mm、幅175mm、絶縁体102の層厚を1mm、導体群104における各導体103の中心間隔を12mmとし、各導体103に2000Aの大電流を通電した時、バスダクト100におけるある導体103の周囲の磁束密度は、前述した式▲1▼,▲2▼により計算される。その計算値を表1に、表1の計算値を基にしたグラフを図11に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
その結果、表1及び図11に示すように、例えば、バスダクト100におけるある導体103の中心からX方向に1m、Y方向に1m離れた地点における漏洩磁束密度は、約30×10−7(Wb/m2)であった。一般に、テレビ画面などにちらつき等の影響が出始める磁束密度は、10×10−7(Wb/m2)と言われている。よって、この場合、ちらつき等が生じないようにするには、テレビを導体群104から3m程度も離さなければならなくなるが、配置上の問題又は設置スペースの問題から困難であることが多い。
【0015】
また、特開平9−182260号公報に記載されたバスダクトでは、両導体群における導体の相配置を上下の導体群でずらして相配置しているが、相配置を単にずらしただけでは、各導体の磁束を略完全に打ち消すことはできない。近年、半導体関連の加工装置などは、ますます高精度化していることから、外部磁界をますます嫌うようになってきており、漏洩磁束密度を1×10−7(Wb/m2)程度に抑えることが要求されている。このバスダクトにおいても、漏洩磁束密度をこのレベルまで抑えることができないため、加工装置自体を電磁遮蔽物で囲むことによって、磁界の影響を防いでいた。
【0016】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、漏洩磁束密度が小さい導体配列構造を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る導体配列構造は、複数本の導体を平行に配列する際、各導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したものである。また、複数本の導体を平行に配列する際、各導体を配列方向とは垂直な幅方向に2分割して2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したものである。
【0018】
また、請求項3に示すように、上下に並行配置された各導体群の、配列方向一方端側の導体に平行に、中性極導体を配列してもよい。
【0019】
また、請求項4に示すように、左右に並行配置された各導体群間に、中性極導体を配列してもよい。
【0020】
また、請求項5に示すように、一方の導体群の分岐位置近傍で、各導体群の極性が同じ導体同士を連結導体で接続してもよい。
【0021】
これによって、上下又は左右に並行に配置された導体群で構成される導体部において、各導体群の導体と導体部の周囲の任意の点との離間距離を、同極の導体における離間距離の合計値で比較した場合、略同じ値となる。その結果、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が小さくなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0023】
本発明者らは、導体部を構成する各導体と導体部周囲の任意の点との各離間距離をできるだけ等しくすることで、導体部の各導体に位相の異なる電流を通電した時の磁束密度のベクトル総和をゼロに近づけることを意図し、鋭意研究を行った。
【0024】
第1の実施の形態に係る導体配列の断面構造を図1に示す。
【0025】
本実施の形態に係る導体配列構造は、極性の異なる複数本の導体を平行に配列する際、複数本の導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列(相配列)と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したものである。
【0026】
具体的には、図1に示すように、複数本(図1中では3本)の導体を中心間の間隔をcとして平行に配列すると共に、配列方向(図1中では左右方向)とは垂直な幅方向(図1中では上下方向)に2分割して2つの導体群14a,14bを形成する。導体群14aは導体R1,S1,T1で構成され、導体群14bは導体T2,S2,R2で構成される。R1とR2、S1とS2、及びT1とT2には、それぞれ同位相の電流が通電され、それぞれが同極となる。一方の導体群14aの極配列(図1中では左からRの極,Sの極,Tの極)と他方の導体群14bの極配列(図1中では左からTの極,Sの極,Rの極)とが反対となるように、一方の導体群14aの下(又は上)に所定隙間Dを有して他方の導体群14bを並行に配置することで導体部が構成され、本実施の形態に係る導体配列構造10が得られる。
【0027】
また、上下二列に並行配置された各導体群14a,14bの、配列方向一方端側(図1中では右側)の導体T1,R2に平行に、中性極導体N1,N2を配列してもよい。中性極導体N1,N2については、他の導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2のように極配列を反対にする必要はない。これは、多極回路において、各極の導体の、電流の絶対値が等しい場合、基本的には中性極導体に電流が流れることはないため、中性極導体による磁界が生じないためである。中性極導体は、各極の導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2の帰線を1本の導体で兼用する中性線であり、一般に接地されている。尚、図1中においては、中性極導体もN1,N2に二分割した場合について説明を行ったが、中性極導体に限っては、中性極導体N1,N2に分割する前の状態のもの(つまり、1本の中性極導体)を用いてもよい。
【0028】
また、図1に示した本実施の形態に係る導体配列構造10において、各導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2の周囲を、図2に示すように、絶縁体22で被覆すると共に、それぞれを密着させて導体群24a,24bを形成し、その導体群24a,24bで構成される導体部を、ダクト25内に上下2列に並行配置することで、絶縁導体密着型絶縁バスダクト20が得られる。
【0029】
次に、本実施の形態の作用を添付図面に基づいて説明する。
【0030】
導体群14aの各導体R1,S1,T1と任意の点A1との離間距離をd1,d2,d3、導体群14bの各導体T2,S2,R2と任意の点A1との離間距離をd3’,d2’,d1’とすると、導体群14aにおいてはd1>d2>d3となり、導体群14bにおいてはd1’<d2’<d3’となる。よって、並行に配置された導体群14a,14bで構成される導体部において、同極の導体R1とR2、S1とS2、及びT1とT2の離間距離を合わせた平均値(以下、合算離間距離の平均値と表す)は、(d1+d1’)/2、(d2+d2’)/2、及び(d3+d3’)/2)で表される。これらの合算離間距離の平均値の差は著しく小さく、略同じ値となる。
【0031】
ここで、前述した特開平9−182260号公報に記載されたバスダクトのように、両導体群における導体の極配列を上下で単にずらしただけでは、合算離間距離の平均値を略同じにすることはできない。そこで、これを達成するために、並行に配置された導体群14a,14bで構成される導体部において、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とを完全に反対とすることが必要となる。
【0032】
より具体的には、図2に示したバスダクト20において、各導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2のサイズを厚さ10mm、幅87.5mm、絶縁体22の層厚を1mm、導体群24a,24bにおける各導体の中心間隔cを12mm、導体群24a,24bにおける上下の間隔Dを60mmとし、各導体に2000Aの大電流を通電した時、バスダクト20におけるある導体の周囲の磁束密度は、前述した式▲1▼,▲2▼により計算される。その計算値を表2に、表2の計算値を基にしたグラフを図6に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
その結果、表2及び図6に示すように、例えば、バスダクト20におけるある導体の中心からX方向に1m、Y方向に1m離れた地点における漏洩磁束密度は、約3×10−7(Wb/m2)であった。つまり、導体の合計断面積、各導体の中心間の間隔c、及び各導体に通電させる電流値は、表1及び図11で用いた従来のバスダクトの導体部と全く同じまま、漏洩磁束密度を数百分の一〜数分の一に、特に導体部近傍における漏洩磁束密度を約1/10〜1/2とすることができた。
【0035】
本実施の形態に係る導体配列構造10においては、複数本の導体で構成される導体群14a,14bの内、一方の導体群14aの極配列と他方の導体群14bの極配列とが反対となるように、一方の導体群14aと他方の導体群14bとを並行に配置している。これによって、並行に配置された導体群14a,14bで構成される導体部において、同極の導体R1とR2、S1とS2、及びT1とT2の離間距離を合わせた平均値を略同じにすることができる。その結果、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が、図9に示した従来の導体配列構造90の導体部のそれと比較して大幅に小さくなる。したがって、導体部の周辺に存在する電子機器への障害、導体部と並行して布設される通信線への障害、及び磁界を利用する(又は磁界の影響を嫌う)各種の加工装置や計測装置に及ぼす影響を低減することができる。
【0036】
また、従来は、導体部の周辺に存在する電子機器への障害を低減するために、導体部からできる限り離して電子機器を配置していたが、本実施の形態に係る導体配列構造においては、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が小さいことから、従来と比較して、より導体部の近くに電子機器を配置することが可能となり、配置上の自由度が増すと共に狭隘な設置スペースにも配置可能となる。
【0037】
また、従来は、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が、各種の加工装置や計測装置に及ぼす影響を低減するために、装置自体を電磁遮蔽物で覆っていた(囲んでいた)が、本実施の形態に係る導体配列構造においては、導体部の周囲に漏洩する磁束密度が小さいことから、電磁遮蔽設備を簡素にすることができる(又は電磁遮蔽設備が不要となる)。その結果、電磁遮蔽に関するコストの低減を図ることができる。
【0038】
次に、本発明の他の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0039】
第2の実施の形態に係る導体配列の構造を図3に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0040】
前実施の形態に係る導体配列構造10は、一方の導体群14aの下(又は上)に所定隙間Dを有して他方の導体群14bを並行に配置し、導体部を構成したものであった(図1参照)。これに対して、本実施の形態に係る導体配列構造30は、図3に示すように、一方の導体群14aの右(又は左)に他方の導体群14bを並行に配置することで導体部を構成したものである。
【0041】
ここで、横一列(図3中では左右方向に一列)に並行配置された各導体群14a,14b間に、図1に示した中性極導体N1(又はN2)を配列してもよい。また、各導体群14a,14b間に、図1に示した中性極導体N1,N2を横一列に並べて配列してもよい。
【0042】
また、図3に示した本実施の形態に係る導体配列構造30において、各導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びT2,S2,R2の周囲を、図4に示すように、絶縁体22で被覆すると共に、それぞれを密着させて導体群44を形成し、その導体群44で構成される導体部を、ダクト45内に上下2列に並行配置することで、絶縁導体密着型絶縁バスダクト40が得られる。
【0043】
第3の実施の形態に係る導体配列の構造を図5に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0044】
前実施の形態に係る導体配列構造10は、3相3線式の導体配列構造であった。これに対して、本実施の形態に係る導体配列構造50は、図5に示すように、直流2線式又は単相2線式の導体配列構造である。具体的には、2本の導体を中心間の間隔をcとして平行に配列すると共に、配列方向(図5中では左右方向)とは垂直な幅方向(図5中では上下方向)に2分割して2つの導体群54a,54bを形成する。導体群54aは導体R1,S1で構成され、導体群54bは導体S2,R2で構成される。R1とR2及びS1とS2には、それぞれ直流電流(又は同位相の交流電流)が通電され、それぞれが同極となる。一方の導体群54aの極配列(図5中では左から+極(陽極),−極(負極))と他方の導体群54bの極配列(図5中では左から−極(負極),+極(陽極))とが反対となるように、一方の導体群54aの下(又は上或いは右若しくは左)に所定隙間Dを有して他方の導体群54bを並行に配置することで導体部が構成され、本実施の形態に係る導体配列構造50が得られる。
【0045】
第2及び第3の実施の形態に係る導体配列構造30,50においても、第1の実施の形態に係る導体配列構造10と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0046】
第4の実施の形態に係る導体配列の構造を図7に示す。尚、図1と同様の部材には同じ符号を付しており、これらの部材については詳細な説明を省略する。
【0047】
本実施の形態に係る導体配列構造は、極性の異なる複数本の導体を平行に配列する際、複数本の導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置し、一方の導体群の分岐位置近傍で、各導体群の極性が同じ導体同士を連結導体で接続したものである。
【0048】
具体的には、図7(a)〜図7(c)に示すように、図1に示した導体配列構造10と同様の配列構造を形成し、その内、一方の導体群(図7中では導体群14a)の各導体に分岐導体76をそれぞれ接続し、各分岐導体76の接続位置(以下、分岐位置と表す)77の近傍で、各導体群14a,14bの極性が同じ導体同士(R1とR2、S1とS2、及びT1とT2)を連結導体75R,75S,75Tで接続し、本実施の形態に係る導体配列構造70が得られる。配列方向(図7(b)中では左右方向)両端の導体であるR1とR2及びT1とT2は、断面略S字状の連結導体75R,75Tで接続され、また、配列方向中央部の導体であるS1とS2は、導体S1,S2と略同形状の連結導体75Sで接続される。
【0049】
次に、本実施の形態の作用を添付図面に基づいて説明する。
【0050】
導体配列構造70における連結導体75R,75S,75Tがない状態の導体配列構造80(前述した導体配列構造10における一方の導体群の各導体に分岐導体76をそれぞれ接続したもの)を図8に示すように、分岐位置77の上流側(図8(a)中では左側)においては、各導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びR2,S2,T2を流れる電流はいずれも等しい(I1)。
【0051】
ところが、導体群14aの導体R1,S1,T1については、分岐位置77において電流が分岐され、各分岐導体76に電流I2が、分岐位置77の下流側(図8(a)中では右側)の導体R1,S1,T1に電流I4(=I1−I2)が流れる。つまり、分岐位置77の下流側では、導体群14bの導体R2,S2,T2を流れる電流はI1、導体群14aの導体R1,S1,T1を流れる電流はI4となり、各導体群14a,14bにおいて、分岐電流I2の分だけ差が生じる。この差が、導体配列構造80の分岐位置77の下流側における漏洩磁束密度を高めてしまう。
【0052】
そこで、本実施の形態の導体配列構造70においては、分岐位置77の近傍で、各導体群14a,14bの極性が同じ導体同士を連結導体75R,75S,75Tで接続している。
【0053】
その結果、導体群14aの導体R1,S1,T1を、分岐位置77において電流を分岐する際、連結導体75R,75S,75Tを通じて、導体群14bの導体R2,S2,T2側から導体群14aの導体R1,S1,T1側に電流が流れ込むようになり、各導体の、分岐位置77の下流側を流れる電流が均等化される。つまり、分岐位置77の上流側では、導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びR2,S2,T2を流れる電流はI1、各分岐導体76を流れる電流はI2、分岐位置77の下流側では、導体群14a,14bの導体R1,S1,T1及びR2,S2,T2を流れる電流はI3(=I1−I2/2)となり、各導体群14a,14bの全長に亘って、導体を流れる電流に差はない。よって、導体配列構造70においては、特に分岐位置77の下流側において、導体配列構造80よりも更に漏洩磁束密度を小さくすることができる。
【0054】
本実施の形態に係る導体配列構造70においても、第1の実施の形態に係る導体配列構造10と同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0055】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0056】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、複数本の導体を平行に配列する際、各導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したことで、両導体群で構成される導体部の周囲に漏洩する磁束密度を小さくすることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態に係る導体配列の断面構造である。
【図2】第1の実施の形態に係る導体配列構造をバスダクトに適用した際の断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る導体配列の構造である。
【図4】第2の実施の形態に係る導体配列構造をバスダクトに適用した際の断面図であるである。
【図5】第3の実施の形態に係る導体配列の構造である。
【図6】表2の計算値を基にしたグラフである。ここで、図6中の横軸はX方向の距離(m)、縦軸は磁束密度(×10−7(Wb/m2))を示している。
【図7】第4の実施の形態に係る導体配列の構造である。ここで、図7(b)は、図7(a)の7b−7b線断面図、図7(c)は、図7(a)の7c−7c線断面図を示している。
【図8】第1の実施の形態に係る導体配列の変形例である。ここで、図8(b)は、図8(a)の8b−8b線断面図を示している。
【図9】従来の3相3線式導体配列の断面構造である。
【図10】である。
【図11】表1の計算値を基にしたグラフである。ここで、図11中の横軸はX方向の距離(m)、縦軸は磁束密度(×10−7(Wb/m2))を示している。
【符号の説明】
10,30,50,70,80 導体配列構造
14a,14b 導体群
54a,54b 導体群
75R,75S,75T 連結導体
77 分岐位置
R1,R2 導体
S1,S2 導体
T1,T2 導体
N1,N2 中性極導体
Claims (5)
- 複数本の導体を平行に配列する際、各導体で構成される2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したことを特徴とする導体配列構造。
- 複数本の導体を平行に配列する際、各導体を配列方向とは垂直な幅方向に2分割して2つの導体群を形成し、一方の導体群の極配列と他方の導体群の極配列とが反対となるように、一方の導体群と他方の導体群とを並行に配置したことを特徴とする導体配列構造。
- 上下に並行配置された各導体群の、配列方向一方端側の導体に平行に、中性極導体を配列した請求項1又は2記載の導体配列構造。
- 左右に並行配置された各導体群間に、中性極導体を配列した請求項1又は2記載の導体配列構造。
- 一方の導体群の分岐位置近傍で、各導体群の極性が同じ導体同士を連結導体で接続した請求項1から4いずれかに記載の導体配列構造。
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CN105379036A (zh) * | 2013-07-08 | 2016-03-02 | 绿色Elmf电缆有限公司 | 用于衰减磁场的电力分配单元的设计和结构 |
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2002
- 2002-09-25 JP JP2002279186A patent/JP2004120864A/ja not_active Withdrawn
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