JP2004120710A - 動画像符号化方法、動画像符号化装置、動画像符号化プログラム、及び動画像符号化データ構造 - Google Patents
動画像符号化方法、動画像符号化装置、動画像符号化プログラム、及び動画像符号化データ構造 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードによってスライス同期パターンが変更され、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する動画像符号化方法において、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出する。
【解決手段】動画像符号化方法は、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをスライスごとに設定する動画像符号化方法である。この動画像符号化方法は以下のステップを備えている。
◎グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に決定するエフコード決定ステップ
◎エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップ
◎エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップ
◎動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化ステップ
【選択図】 図2
【解決手段】動画像符号化方法は、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをスライスごとに設定する動画像符号化方法である。この動画像符号化方法は以下のステップを備えている。
◎グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に決定するエフコード決定ステップ
◎エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップ
◎エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップ
◎動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化ステップ
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像符号化方法、特に、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをスライスごとに設定する動画像符号化方法に関する。本発明は、さらに、動画像符号化装置、動画像符号化プログラム、及び動画像符号化データ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、音声,画像,その他の画素値を統合的に扱うマルチメディア時代を迎え、従来からの情報メディア,つまり新聞,雑誌,テレビ,ラジオ,電話等の情報を人に伝達する手段がマルチメディアの対象として取り上げられるようになってきた。一般に、マルチメディアとは、文字だけでなく、図形、音声、特に画像等を同時に関連づけて表すことをいうが、上記従来の情報メディアをマルチメディアの対象とするには、その情報をディジタル形式にして表すことが必須条件となる。
【0003】
ところが、上記各情報メディアの持つ情報量をディジタル情報量として見積もってみると、文字の場合1文字当たりの情報量は1〜2バイトであるのに対し、音声の場合1秒当たり64Kbits(電話品質)、さらに動画については1秒当たり100Mbits(現行テレビ受信品質)以上の情報量が必要となり、上記情報メディアでその膨大な情報をディジタル形式でそのまま扱うことは現実的では無い。例えば、テレビ電話は、64Kbit/s〜1.5Mbits/sの伝送速度を持つサービス総合ディジタル網(ISDN : Integrated Services Digital Network)によってすでに実用化されているが、テレビ・カメラの映像をそのままISDNで送ることは不可能である。
【0004】
そこで、必要となってくるのが情報の圧縮技術であり、例えば、テレビ電話の場合、ITU−T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)で勧告されたH.261やH.263規格の動画圧縮技術が用いられている。また、MPEG−1規格の情報圧縮技術によると、通常の音楽用CD(コンパクト・ディスク)に音声情報とともに画像情報を入れることも可能となる。
【0005】
ここで、MPEG(Moving Picture Experts Group)とは、動画像信号圧縮の国際規格であり、MPEG−1は、動画像信号を1.5Mbpsまで、つまりテレビ信号の情報を約100分の1にまで圧縮する規格である。また、MPEG−1規格を対象とする伝送速度が主として約1.5Mbpsに制限されていることから、さらなる高画質化の要求をみたすべく規格化されたMPEG−2では、動画像信号を2〜15MbpsでTV放送品質を実現する。さらに現状では、MPEG−1,MPEG−2と標準化を進めてきた作業グループ(ISO/IEC JTC1/SC29/WG11) によって、MPEG−1,MPEG−2を上回る圧縮率を達成し、更に物体単位で符号化・復号化・操作を可能とし、マルチメディア時代に必要な新しい機能を実現するMPEG−4が規格化された。MPEG−4では、当初、低ビットレートの符号化方法の標準化を目指して進められたが、現在はインタレース画像も含む高ビットレートも含む、より汎用的な符号化に拡張されている。
【0006】
上記のMPEG方式では、図4に示すように、符号化データであるビットストリームは以下のような階層構造を有している。ビットストリームの最も大きなまとまりはシーケンスであり、シーケンスは複数のグループ・オブ・ピクチャ(Group Of Picture)から構成されており、これを符号化処理の基本単位とすることで動画像の編集やランダムアクセスが可能になっている。グループ・オブ・ピクチャは、複数のピクチャ(フレーム)から構成され、各ピクチャは、Iピクチャ(Intra coded picture )、Pピクチャ(Predictive coded picture)又はBピクチャ(Bidirectionally predictive coded picture)のいずれかである。各ピクチャはさらに複数のスライスから構成されている。スライスは、各ピクチャ内の帯状の領域であり、複数のマクロブロックから構成されている。
【0007】
MPEGの符号化モードには、画面内符号化と画面間予測符号化の2つがある。画面内符号化は、フレーム画像をそのフレーム内の情報だけで符号化するモードであり、Iピクチャの符号化に用いられる。また、画面間予測符号化とは、フレーム画像をそのフレーム内の情報と他のフレームの情報との両方を用いて符号化するモードであり、Pピクチャ又はBピクチャの符号化に用いられる。より詳細には、画面間予測符号化とは、当該フレームの各画素値と、他のピクチャ(以下、参照ピクチャという)から予測した予測値との差分値をとり、その差分値を符号化することによりデータ量を減らす符号化方式である。
【0008】
実際のPピクチャ又はBピクチャの符号化には、動き補償画面間予測符号化が用いられている。動き補償画面間予測符号化とは、画面間予測符号化に動き補償を適用した符号化方式である。動き補償とは、単純に参照フレームの画素値から予測するのではなく、フレーム内の各部の動き量(以下、これを動きベクトルと呼ぶ)を検出し、当該動き量を考慮した予測を行うことにより予測精度を向上すると共に、データ量を減らす方式である。例えば、図11に示すように、符号化対象ピクチャの動きベクトルを検出し、その動きベクトルの分だけシフトした予測値と符号化対象ピクチャとの予測残差を符号化することによりデータ量を減している。この方式の場合には、復号化の際に動きベクトルの情報が必要になるため、動きベクトルも符号化されて記録又は伝送される。
【0009】
動きベクトルはマクロブロック単位で検出されており、具体的には、符号化対象ピクチャ側のマクロブロックを固定しておき、参照ピクチャ側のマクロブロックを探索範囲内で移動させ、基準ブロックと最も似通った参照ブロックの位置を見つけることにより、動きベクトルを検出する。
ところで、動きベクトルを検出する探索範囲は、一般的には、符号化対象ピクチャから参照ピクチャまでの距離に応じて変わるようになっている。それは、符号化対象ピクチャと参照ピクチャとの画像間距離が大きくなるにつれて動きベクトルも大きくなるからである。具体的には参照距離が短い場合は探索範囲が小さく、参照距離が長い場合は探索範囲が大きくなる。
【0010】
そして、符号化対象のフレーム画像がPピクチャやBピクチャの場合には動きベクトルも符号化されるが、実際には動きベクトルそのものを符号化するのではなく、上述した動きベクトルの探索範囲を示すエフコード(f_code)と、そのエフコードを使用して表した動きベクトルの大きさを表すパラメータである基本ベクトル成分(motion_code)及び残差ベクトル成分(motion_residual)とを符号化する。基本ベクトル成分は可変長符号コードとして与えられ、その具体例を図12の表に示す。図12に示すエフコードが1の場合の符号語を表している。したがって、エフコードが2の場合は、動きベクトルを2で除算したものに対応する表の符号を基本ベクトルとし、対応する表の符号に2をかけたものと動きベクトルの差を残差ベクトルとする。さらに、エフコードが3の場合は、動きベクトルを4で除算したものに対応する表の符号を基本ベクトルとし、対応する表の符号に4をかけたものと動きベクトルの差を残差ベクトルとする。このように残差ベクトル成分は、エフコード−1の値の示すビット数の符号により符号化されるため、残差ベクトル成分の大きさはエフコードの値によって変化する。
【0011】
このように、エフコード,基本ベクトル成分,及び残差ベクトル成分により、動きベクトル(差分値)を広い範囲にわたって符号化することができる。例えば、図13はエフコードと許容動きベクトル範囲との関係を示したものであり、この図に示すように、エフコードの値によって表現可能な動きベクトル(差分値)の範囲を変化させることができる。
【0012】
ところで、大きな動きの画像を首尾よく符号化するためには、大きな動きの範囲まで符号化できる可変長符号化方法が必要であり、エフコードの値を大きくすることになる。動きがほとんど無い画像では、小さな動きを効率良く符号化できるよう小さな動きの範囲だけ符号化できる可変長符号化方法で十分であり、エフコードの値を小さくすることになる。一方、大きな動きの範囲まで符号化するには、小さな動きを効率良く符号化することよりも、大きな動きの範囲までの全ての動きについて平均的に圧縮率が悪くならないように符号化することが重要である。
【0013】
そこで、MPEG−2やMPEG−4ではピクチャ単位でエフコードを変更可能となっており、それによって再生画像の劣化を招くことなく、動きベクトルの符号化に必要なビット数を抑えて圧縮効率を高めている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−217116号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2002−209216号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
MPEG−2やMPEG−4では、ビットストリームにおいて、各ピクチャの先頭やスライスの先頭には、ビットストリーム中でその開始位置を簡単に見つけるための特別なビットパターンが挿入されており、それを同期パターン(SYNC)という。同期パターンは、エラーが生じるなどしてデータを途中から再生する場合の再生開始位置として機能している。そして、ビットストリーム中で同期パターンが簡単にみつけられるように、同期パターンと同じパターンは、同期位置外に絶対に現れないような仕組みになっている。
【0017】
またMPEG−4では、スライスの同期パターンに最も短いパターンを使用して、シーケンス全体の同期パターンのビット長を減らし、符号化の圧縮率を高めている。
さらに、MPEG−4では、ピクチャ単位で、エフコードの変化に合わせてスライス同期パターンの長さを変更するような仕組みになっている。これは、圧縮率を向上させるためであり、さらには動きベクトルの一部のパターンが同期パターンと一致してしまう事態を防ぐためである。なぜなら、エフコードが大きくなると、それに合わせて動きベクトルの符号化に必要なビット数が多くなり、このため、符号化された動きベクトルの一部のパターンがスライス同期パターンと一致しやすくなるからである。その問題を解決するため、エフコードが大きくなった場合にはスライス同期パターンを長くして、符号化された動きベクトルの一部のパターンがスライス同期パターンと一致するのを防止している。
【0018】
以上の結果、異なるピクチャではスライス同期パターンが変化して異なった長さになることがある。図14では、同じグループ・オブ・ピクチャ内のピクチャnとピクチャn+1の境界が示されている。スライス同期パターンはエフコードにしたがって長さが異なるようになっており、さらにエフコードはピクチャごとに決定されているため、ピクチャnのスライスn,pの同期パターンとピクチャn+1のスライスn+1,1の同期パターンとは長さが異なっている。このようにピクチャごとにスライス同期パターンが異なると、仮に伝送エラーによってピクチャnとピクチャn+1の区切り(図14のA’部分)が消失したときに、次のピクチャn+1のスライス同期パターンを検出することが困難になる。つまり、伝送エラーが発生する環境下では、スライス同期パターンすなわちスライスの区切りを検出することが困難になり、符号化動画像を正しく復号化できなくなる。
【0019】
本発明の課題は、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードによってスライス同期パターンが変更され、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する動画像符号化方法において、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の動画像符号化方法は、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化方法である。この動画像符号化方法は以下のステップを備えている。
【0021】
◎グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に決定するエフコード決定ステップ
◎エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップ
◎エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップ
◎動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化ステップ
この動画像符号化方法では、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップによってグループ・オブ・ピクチャ単位で決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0022】
請求項2に記載の動画像符号化方法では、請求項1において、同期パターン作成ステップでは、エフコードの値に対応して、スライス同期パターンの長さを変化させる。
この動画像符号化方法では、エフコードの値が大きくなるとスライス同期パターンの長さが長くなり、エフコードの値が小さくなるとスライス同期パターンの長さが短くなる。
【0023】
請求項3に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定する。
この動画像符号化方法では、前のグループ・オブ・ピクチャにおいて大きな動きが続いている場合はエフコードを大きくし、小さな動きが続いている場合はエフコードを小さくする。このように前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を減らすことができ、さらに符号化速度が向上する。
【0024】
請求項4に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定する。
この動画像符号化方法では、グループ・オブ・ピクチャごとに圧縮率を確かめながら、エフコードを決定することができる。このように当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を最も減らすことができる。
【0025】
請求項5に記載の動画像符号化装置では、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する装置において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化装置である。この動画像符号化装置は、グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを決定するエフコード決定手段と、エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化手段と、エフコードに従ってスライス同期パターンを作成する同期パターン作成手段と、動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化手段とを備えている。
【0026】
この動画像符号化装置では、同期パターン作成手段がエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定手段によってグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0027】
請求項6に記載の動画像符号プログラムは、コンピュータにより、動画像符号化を行うためのプログラムであって、上記プログラムはコンピュータに以下の動画像符号化方法を行わせるものである。この動画像符号化方法は、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化方法であって、以下のステップを備えている。
【0028】
◎グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に決定するエフコード決定ステップ
◎エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップ
◎エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップ
◎動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化ステップ
この動画像符号化プログラムでは、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによって、スライス同期パターンが変化してスライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップにおいてグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0029】
請求項7に記載の動画像符号化データ構造は、グループ・オブ・ピクチャ、ピクチャ、スライス、マクロブロックの順番で階層を構成する動画像符号化データ構造である。スライスは、スライス同期パターンと、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードと、複数の符号化マクロブロックとを含んでいる。スライス同期パターンはエフコードに従って作成されている。エフコードはグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されていることを特徴とする。
【0030】
この画像復号化データ構造では、エフコードに従ってスライス同期パターンが作成されているため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同じになっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明が適用される動画像符号化装置1のブロック構成図である。この動画像符号化装置1は、MPEGの原理に基づいて形成された符号化装置であり、特に、MPEG−4の原理に基づいている。
【0032】
動画像符号化装置1は、主に、動き推定/補償部(ME/MC)2と、減算器3と、DCT符号化部4と、ローカルデコーダ5と、加算器6と、可変長符号化器(VLC)7と、エフコード検出器8とから構成されている。入力画像データPicInは、具体的には、入力された各ピクチャに対応する画像データをブロック化器によって符号化処理の単位としての16×16画素からなるブロック(マクロブロック)に対応するよう分割した後の各ブロックに対応する画像データである。
【0033】
動き推定/補償部2は、入力画像データPicInを受け、符号化対象ピクチャにおける符号化対象ブロックに対する予測ブロックのデータを生成する。動き推定/補償部2は、動き検出器(ME)11と、動き補償器(MC)と、ピクチャメモリ13とから構成されている。
動き検出器11は、入力画像PicInが入力され、ピクチャメモリ13内の再構成画像に対する入力画像PicInの動きである動きベクトルMVを算出する。動き検出器11は、動きベクトルMVを、動き補償器12とピクチャメモリ13と可変長符号化器7とエフコード検出器8に出力する。動き補償器12は、動き検出器11からの動きベクトルMVに基づいて、ピクチャメモリ13に格納されている再構成画像から動きに対応する画像データを参照画像として作成し(動き補償)、それを減算器3と加算器6とに出力する。ピクチャメモリ13は、再構成画像を貯え、動き検出器11や動き補償器12によって再構成画像を読み出される。
【0034】
減算器3は、入力画像PicInの対象データと、動き補償器12からの参照画像との差分値を求め、その差分値である差分データをDCT符号化部4に出力する。
DCT符号化部4は、減算器3からの差分データにデータ圧縮処理を施して、圧縮データを出力する。DCT符号化部4は直交変換器14と量子化器15とから構成されている。直交変換器14は、減算器3からの差分データに対して、直交変換処理の一種である空間領域のデータを周波数領域のデータに変換する離散コサイン変換処理(DCT処理)を施し、そのデータを量子化器15に出力する。量子化器15は、直交変換器14からのDCTデータを所定の量子化ステップでもって量子化して、量子化係数をローカルデコーダ5と可変長符号化器(VLC)7に出力する。
【0035】
ローカルデコーダ5は、DCT符号化部4からの出力にデータ伸長処理を施して伸長データを出力する。ローカルデコーダ5は逆量子化器16と逆直交変換器17とから構成されている。逆量子化器16は、DCT符号化部4からの出力を上記量子化ステップでもって逆量子化し、それを逆直交変換器17に出力する。逆直交変換器17は、逆量子化器16からの出力に対して、周波数領域のデータを空間領域のデータに変換する逆離散コサイン変換処理(IDCT処理)を施して、伸長データを予測残差信号として加算器6に出力する。
【0036】
加算器6は、当該マクロブロックの符号化モードによって加算処理を切り替える。例えば、当該マクロブロックが画面内符号化されている場合は、予測残差信号をそのまま再構成画像として出力する。一方、加算器6は、当該マクロブロックが画面間動き補償予測符号化されている場合は、ローカルデコーダ5からの予測残差信号と動き補償器12からの参照画像とを加算した画像データを再構成画像としてピクチャメモリ13に出力する。
【0037】
エフコード検出器8は、動き検出器11からの動きベクトルMVによってエフコード(f_code)を検出する。また、エフコード検出器8には、画像情報のグループ・オブ・ピクチャ情報を知らせる情報が入力される。
可変長符号化器7は、DCT符号化部4からの量子化されたDCT後のデータに対して可変長符号化処理(エントロピー符号化)を施す。さらに、可変長符号化器7は、エフコード検出器8からのエフコードに基づいて動き検出器11からの動きベクトルMVを可変長符号化し、それら符号化データを多重化した後にビットストリームStrを出力する。さらに、可変長符号化器7内にはスライス同期パターンを生成するための同期パターン生成器が設けられている。
【0038】
以下、図2のフローチャートを用いて、動画像符号化装置1の動作、すなわち動画像符号化方法を概略的に説明する。
ステップS1では、動き検出器11が、入力画像PicInとピクチャメモリ13からの再構成画像とから、動きベクトルMVを検出する。より詳細には、動き検出器11は探索範囲内で水平及び垂直方向の各動きベクトルMVをマクロブロックごとに検出する。そして動き検出器11はその検出した各動きベクトルMVを動き補償器12と可変長符号化器7とエフコード検出器8とに出力する。
【0039】
ステップS2では、エフコード検出器8は、グループ・オブ・ピクチャ情報に基づいて、各グループ・オブ・ピクチャにおける最初のピクチャであるか否かを判断する。最初のピクチャである場合はステップS3に移行してエフコードの検出を行い、最初のピクチャでない場合はステップS3をスキップしてステップS4に移行する。
【0040】
ステップS3では、エフコード検出器8は、現在の符号化対象であるグループ・オブ・ピクチャに共通となるエフコードを検出する。このときのエフコード検出器8の検出動作を図3に示す。最初にステップS9において、動き検出器11から送られてきた動きベクトルMVの絶対値|MV|を取得する。次にステップS10において、絶対値|MV|が16未満であるか否かを判断する。16未満である場合はステップS11に移行してエフコードを1とし、16未満でない場合はステップS12に移行し、絶対値|MV|が32未満であるか否かを判断する。32未満である場合はステップS13に移行してエフコードを2とし、32未満でない場合はステップS13に移行してエフコードを3とする。以上に述べたように、検出範囲に応じて定められている最小のエフコードを検出することで、符号化効率を向上させている。
【0041】
なお、エフコードの検出方法(基準)としては、下記のものも考えられる。
▲1▼当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定することができる。この場合は、例えば、前のグループ・オブ・ピクチャにおいて大きな動きが続いている場合はエフコードを大きくし、小さな動きが続いている場合はエフコードを小さくする。このように前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を減らすことができ、さらに符号化速度が向上する。したがって、撮影した画像をリアルタイムで配信する場合のように順次画像データを符号化しながら送信している場合に最適である。
【0042】
▲2▼当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定することができる。この場合は、例えば、グループ・オブ・ピクチャごとに圧縮率を確かめながら、エフコードを決定することができる。このように当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を最も減らすことができる。
【0043】
ステップS4では、動き補償器12は、動き検出器11からの動きベクトルMVに基づいて、ピクチャメモリ13に格納されている再構成画像から動きに対応する画像データを参照画像として作成し(動き補償)、それを減算器3と加算器6とに出力する。次に、例えば入力画像データがPピクチャに対応するものであれば、減算器3がそのピクチャ内の画像データと2つ隣のピクチャの画像データから予測した予測値との予測残差を求め、さらに直交変換器14、量子化器15が当該予測残差を圧縮していく。
【0044】
ステップS5では、可変長符号化器7の同期パターン生成器がスライスごとに同期パターンを付与する。この動画像符号化装置1では、スライス同期パターンは可変長となっており、符号化動きベクトルのパターンの一部と一致しないように、エフコードの値に従ってビット長を変更するようになっている。しかし、この動画像符号化装置1では前述のようにグループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に設定しているため、各グループ・オブ・ピクチャ内ではスライス同期パターンの長さは同一になる。
【0045】
ステップS6では、可変長符号化器7が、量子化器15からの画素データを可変長符号化する。さらに、可変長符号化器7は、動き検出器11から送られてきた動きベクトルMVを、すでに検出されたエフコードによって符号化する。その際、可変長符号化器7は動きベクトルMVそのものを符号化するのではなく、エフコード検出器8から得たエフコードと、そのエフコードを使用して表した動きベクトルMVの大きさを表す基本ベクトル及び残差ベクトル成分とを符号化する。なお、エフコードの検出はグループ・オブ・ピクチャの最初のピクチャの場合のみ行われており、そのときに検出されたエフコードがそのグループ・オブ・ピクチャの残りのピクチャの動きベクトルMVを符号化するのに用いられる。
【0046】
ステップS7では、グループ・オブ・ピクチャが終了したか否かを判断する。グループ・オブ・ピクチャが終了した場合には処理を終了し、それ以外の場合はステップS1に戻り処理を続ける。
可変長符号化器7は、このような符号化処理によって得た各データをMPEGフォーマットで規定される所定順序に合わせて配列し、ビットストリームStrとして出力する。図4に示すように、ビットストリームStrの配列は階層的構造を有し、大別するとシーケンス層、GOP層、ピクチヤ層、スライス層、マクロブロック層及びブロック層に分かれている。上述したエフコードに関しては、スライス層のスライスヘッダ領域に格納されている。また符号化された動きベクトル情報に関してはマクロブロック層に格納し、予測残差に関してはブロック層に格納される。
【0047】
以上の結果、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間であってもスライス同期パターン同一であり同じ長さになっている。図5では、同じグループ・オブ・ピクチャ内のピクチャnとピクチャn+1の境界が示されている。スライス同期パターンはエフコードにしたがって長さが異なるようになっているが、エフコードはグループ・オブ・ピクチャごとに共通に決定されているため、ピクチャnのスライスn,pの同期パターンとピクチャn+1のスライスn+1,1の同期パターンとは長さが同じになっている。このようにピクチャごとにスライス同期パターンが同じであるため、仮に伝送エラーによってピクチャnとピクチャn+1の区切り(図5のA部分)が消失したときに、次のピクチャn+1のスライス同期パターンを検出することが容易になる。つまり、伝送エラーが発生する環境下であっても、スライス同期パターンすなわちスライスの区切りを検出することが容易になり、エラーの無いスライスから符号化動画像を正しく復号化できる。
【0048】
(実施の形態2)
さらに、上記各実施の形態で示した動画像符号化を実現するためのプログラムを、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録するようにすることにより、上記各実施の形態で示した処理を、独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。
【0049】
図6は、上記上記各実施の形態の動画像符号化を、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録されたプログラムを用いて、コンピュータシステムにより実施する場合の説明図である。
図6(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示し、図6(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示している。フレキシブルディスクFDはケースF内に内蔵され、該ディスクの表面には、同心円状に外周からは内周に向かって複数のトラックTrが形成され、各トラックは角度方向に16のセクタSeに分割されている。従って、上記プログラムを格納したフレキシブルディスクでは、上記フレキシブルディスクFD上に割り当てられた領域に、上記プログラムが記録されている。
【0050】
また、図6(c)は、フレキシブルディスクFDに上記プログラムの記録再生行うための構成を示す。動画像符号化を実現する上記プログラムをフレキシブルディスクFDに記録する場合は、コンピュータシステムCsから上記プログラムをフレキシブルディスクドライブを介して書き込む。また、フレキシブルディスク内のプログラムにより動画像符号化を実現する上記動画像符号化をコンピュータシステム中に構築する場合は、フレキシブルディスクドライブによりプログラムをフレキシブルディスクから読み出し、コンピュータシステムに転送する。
【0051】
なお、上記説明では、記録媒体としてフレキシブルディスクを用いて説明を行ったが、光ディスクを用いても同様に行うことができる。また、記録媒体はこれに限らず、ICカード、ROMカセット等、プログラムを記録できるものであれば同様に実施することができる。
(実施の形態3)
さらにここで、上記実施の形態で示した動画像符号化の応用例とそれを用いたシステムを説明する。
【0052】
図7は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示すブロック図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex107〜ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、例えば、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex107〜ex110を介して、コンピュータex111、PDA(personaldigital assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、カメラ付きの携帯電話ex115などの各機器が接続される。
【0053】
しかし、コンテンツ供給システムex100は図7のような組合せに限定されず、いずれかを組み合わせて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex107〜ex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話は、PDC(Personal Digital Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)方式、若しくはGSM(Global System for Mobile Communications)方式の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0054】
また、ストリーミングサーバex103は、カメラex113から基地局ex109、電話網ex104を通じて接続されており、カメラex113を用いてユーザが送信する符号化処理されたデータに基づいたライブ配信等が可能になる。撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするサーバ等で行ってもよい。また、カメラex116で撮影した動画データはコンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信されてもよい。カメラex116はデジタルカメラ等の静止画、動画が撮影可能な機器である。この場合、動画データの符号化はカメラex116で行ってもコンピュータex111で行ってもどちらでもよい。また、符号化処理はコンピュータex111やカメラex116が有するLSIex117において処理することになる。なお、画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な記録媒体である何らかの蓄積メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込んでもよい。さらに、カメラ付きの携帯電話ex115で動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex115が有するLSIで符号化処理されたデータである。
【0055】
このコンテンツ供給システムex100では、ユーザがカメラex113、カメラex116等で撮影しているコンテンツ(例えば、音楽ライブを撮影した映像等)を上記実施の形態同様に符号化処理してストリーミングサーバex103に送信する一方で、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して上記コンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114等がある。このようにすることでコンテンツ供給システムex100は、符号化されたデータをクライアントにおいて受信して再生することができ、さらにクライアントにおいてリアルタイムで受信して復号化し、再生することにより、個人放送をも実現可能になるシステムである。
【0056】
このシステムを構成する各機器の符号化には上記各実施の形態で示した画像符号化装置1を用いるようにすればよい。
その一例として携帯電話について説明する。
図8は、上記実施の形態で説明した動画像符号化を用いた携帯電話ex115を示す図である。携帯電話ex115は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex201、CCDカメラ等の映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex203、カメラ部ex203で撮影した映像、アンテナex201で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex202、操作キーex204群から構成される本体部、音声出力をするためのスピーカ等の音声出力部ex208、音声入力をするためのマイク等の音声入力部ex205、撮影した動画もしくは静止画のデータ、受信したメールのデータ、動画のデータもしくは静止画のデータ等、符号化されたデータまたは復号化されたデータを保存するための記録メディアex207、携帯電話ex115に記録メディアex207を装着可能とするためのスロット部ex206を有している。記録メディアex207はSDカード等のプラスチックケース内に電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)の一種であるフラッシュメモリ素子を格納したものである。
【0057】
さらに、携帯電話ex115について図9を用いて説明する。携帯電話ex115は表示部ex202及び操作キーex204を備えた本体部の各部を統括的に制御するようになされた主制御部ex311に対して、電源回路部ex310、操作入力制御部ex304、画像符号化部ex312、カメラインターフェース部ex303、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex302、画像復号化部ex309、多重分離部ex308、記録再生部ex307、変復調回路部ex306及び音声処理部ex305が同期バスex313を介して互いに接続されている。
【0058】
電源回路部ex310は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することによりカメラ付ディジタル携帯電話ex115を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex115は、CPU、ROM及びRAM等でなる主制御部ex311の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex205で集音した音声信号を音声処理部ex305によってディジタル音声データに変換し、これを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。また携帯電話機ex115は、音声通話モード時にアンテナex201で受信した受信信号を増幅して周波数変換処理及びアナログディジタル変換処理を施し 変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、音声処理部ex305によってアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208を介して出力する。
【0059】
さらに、データ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キーex204の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex304を介して主制御部ex311に送出される。主制御部ex311は、テキストデータを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して基地局ex110へ送信する。
【0060】
データ通信モード時に画像データを送信する場合、カメラ部ex203で撮像された画像データをカメラインターフェース部ex303を介して画像符号化部ex312に供給する。また、画像データを送信しない場合には、カメラ部ex203で撮像した画像データをカメラインターフェース部ex303及びLCD制御部ex302を介して表示部ex202に直接表示することも可能である。
【0061】
画像符号化部ex312は、本願発明で説明した画像符号化装置を備えた構成であり、カメラ部ex203から供給された画像データを上記実施の形態で示した画像符号化装置に用いた符号化方法によって圧縮符号化することにより符号化画像データに変換し、これを多重分離部ex308に送出する。また、このとき同時に携帯電話機ex115は、カメラ部ex203で撮像中に音声入力部ex205で集音した音声を音声処理部ex305を介してディジタルの音声データとして多重分離部ex308に送出する。
【0062】
多重分離部ex308は、画像符号化部ex312から供給された符号化画像データと音声処理部ex305から供給された音声データとを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。
【0063】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、アンテナex201を介して基地局ex110から受信した受信信号を変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、その結果得られる多重化データを多重分離部ex308に送出する。
また、アンテナex201を介して受信された多重化データを復号化するには、多重分離部ex308は、多重化データを分離することにより符号化画像データと音声データとに分け、同期バスex313を介して当該符号化画像データを画像復号化部ex309に供給すると共に当該音声データを音声処理部ex305に供給する。
【0064】
次に、画像復号化部ex309は、符号化画像データを上記実施の形態で示した符号化方法に対応した復号化方法で復号することにより再生動画像データを生成し、これをLCD制御部ex302を介して表示部ex202に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる動画データが表示される。このとき同時に音声処理部ex305は、音声データをアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まる音声データが再生される。
【0065】
なお、上記システムの例に限られず、最近は衛星、地上波によるディジタル放送が話題となっており、図10に示すようにディジタル放送用システムにも上記実施の形態の少なくとも画像符号化装置または画像復号化装置のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex409では映像情報の符号化ビットストリームが電波を介して通信または放送衛星ex410に伝送される。これを受けた放送衛星ex410は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送受信設備をもつ家庭のアンテナex406で受信し、テレビ(受信機)ex401またはセットトップボックス(STB)ex407などの装置により符号化ビットストリームを復号化してこれを再生する。また、記録媒体である蓄積メディアex402に記録した符号化ビットストリームを読み取り、復号化する再生装置ex403にも上記実施の形態で示した画像復号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex404に表示される。また、ケーブルテレビ用のケーブルex405または衛星/地上波放送のアンテナex406に接続されたセットトップボックスex407内に画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex408で再生する構成も考えられる。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に画像符号化装置を組み込んでも良い。また、アンテナex411を有する車ex412で衛星ex410からまたは基地局ex107等から信号を受信し、車ex412が有するカーナビゲーションex413等の表示装置に動画を再生することも可能である。
【0066】
更に、画像信号を上記実施の形態で示した画像符号化装置で符号化し、記録媒体に記録することもできる。具体例としては、DVDディスクex421に画像信号を記録するDVDレコーダや、ハードディスクに記録するディスクレコーダなどのレコーダex420がある。更にSDカードex422に記録することもできる。レコーダex420が上記実施の形態で示した画像復号化装置を備えていれば、DVDディスクex421やSDカードex422に記録した画像信号を再生し、モニタex408で表示することができる。
【0067】
なお、カーナビゲーションex413の構成は例えば図9に示す構成のうち、カメラ部ex203とカメラインターフェース部ex303を除いた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111やテレビ(受信機)ex401等でも考えられる。また、上記携帯電話ex114等の端末は、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型の端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末の3通りの実装形式が考えられる。
【0068】
このように、上記実施の形態で示した動画像符号化を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】
請求項1に記載の動画像符号化方法では、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップによってグループ・オブ・ピクチャ単位で決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0070】
請求項2に記載の動画像符号化方法では、請求項1において、同期パターン作成ステップでは、エフコードの値に対応して、スライス同期パターンの長さを変化させているため、エフコードの値が大きくなるとスライス同期パターンの長さが長くなり、エフコードの値が小さくなるとスライス同期パターンの長さが短くなる。
【0071】
請求項3に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を減らすことができ、さらに符号化速度が向上する。請求項4に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を最も減らすことができる。
【0072】
請求項5に記載の動画像符号化装置では、では、同期パターン作成手段がエフコードに従ってスライス同期パターンを作成しているため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定手段によってグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0073】
請求項6に記載の動画像符号プログラムでは、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによって、スライス同期パターンが変化してスライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップにおいてグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0074】
請求項7に記載の動画像符号化データ構造では、エフコードに従ってスライス同期パターンが作成されているため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同じになっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動画像符号化装置のブロック図(実施の形態1)
【図2】本発明の動画像符号化方法の動作フローチャート(実施の形態1)
【図3】本発明の動画像符号化方法のエフコード検出の動作フローチャート(実施の形態1)
【図4】本発明の動画像符号化データの階層構造を示す図(実施の形態1)
【図5】本発明の動画像符号化データの一部を示す図(実施の形態1)
【図6】上記各実施の形態の動画像符号化をコンピュータシステムにより実現するためのプログラムを格納するための記録媒体についての説明図(実施の形態2)
【図7】コンテンツ供給システムの全体構成を示すブロック図(実施の形態3)
【図8】動画像符号化を用いた携帯電話の例(実施の形態3)
【図9】携帯電話のブロック図(実施の形態3)
【図10】ディジタル放送用システムの例(実施の形態3)
【図11】画面間動き補償動作を説明するための図(従来例)
【図12】動きベクトルを表すための基本ベクトル成分に割り当てられる可変長符号を示す図(従来例)
【図13】エフコードと動きベクトルの探索範囲との関係を示す表(従来例)
【図14】動画像符号化データの一部を示す図(従来例)
【符号の説明】
1 動画像符号化装置
2 動き推定/補償部(ME/MC)
3 減算器
4 DCT符号化部
5 ローカルデコーダ
6 加算器
7 可変長符号化器(VLC)
8 エフコード検出器
11 動き検出器(ME)
12 動き補償器(MC)
13 ピクチャメモリ
14 直交変換器
15 量子化器
16 逆量子化器
17 逆直交変換器
Cs コンピュータ・システム
FD フレキシブルディスク
FDD フレキシブルディスクドライブ
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像符号化方法、特に、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをスライスごとに設定する動画像符号化方法に関する。本発明は、さらに、動画像符号化装置、動画像符号化プログラム、及び動画像符号化データ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、音声,画像,その他の画素値を統合的に扱うマルチメディア時代を迎え、従来からの情報メディア,つまり新聞,雑誌,テレビ,ラジオ,電話等の情報を人に伝達する手段がマルチメディアの対象として取り上げられるようになってきた。一般に、マルチメディアとは、文字だけでなく、図形、音声、特に画像等を同時に関連づけて表すことをいうが、上記従来の情報メディアをマルチメディアの対象とするには、その情報をディジタル形式にして表すことが必須条件となる。
【0003】
ところが、上記各情報メディアの持つ情報量をディジタル情報量として見積もってみると、文字の場合1文字当たりの情報量は1〜2バイトであるのに対し、音声の場合1秒当たり64Kbits(電話品質)、さらに動画については1秒当たり100Mbits(現行テレビ受信品質)以上の情報量が必要となり、上記情報メディアでその膨大な情報をディジタル形式でそのまま扱うことは現実的では無い。例えば、テレビ電話は、64Kbit/s〜1.5Mbits/sの伝送速度を持つサービス総合ディジタル網(ISDN : Integrated Services Digital Network)によってすでに実用化されているが、テレビ・カメラの映像をそのままISDNで送ることは不可能である。
【0004】
そこで、必要となってくるのが情報の圧縮技術であり、例えば、テレビ電話の場合、ITU−T(国際電気通信連合 電気通信標準化部門)で勧告されたH.261やH.263規格の動画圧縮技術が用いられている。また、MPEG−1規格の情報圧縮技術によると、通常の音楽用CD(コンパクト・ディスク)に音声情報とともに画像情報を入れることも可能となる。
【0005】
ここで、MPEG(Moving Picture Experts Group)とは、動画像信号圧縮の国際規格であり、MPEG−1は、動画像信号を1.5Mbpsまで、つまりテレビ信号の情報を約100分の1にまで圧縮する規格である。また、MPEG−1規格を対象とする伝送速度が主として約1.5Mbpsに制限されていることから、さらなる高画質化の要求をみたすべく規格化されたMPEG−2では、動画像信号を2〜15MbpsでTV放送品質を実現する。さらに現状では、MPEG−1,MPEG−2と標準化を進めてきた作業グループ(ISO/IEC JTC1/SC29/WG11) によって、MPEG−1,MPEG−2を上回る圧縮率を達成し、更に物体単位で符号化・復号化・操作を可能とし、マルチメディア時代に必要な新しい機能を実現するMPEG−4が規格化された。MPEG−4では、当初、低ビットレートの符号化方法の標準化を目指して進められたが、現在はインタレース画像も含む高ビットレートも含む、より汎用的な符号化に拡張されている。
【0006】
上記のMPEG方式では、図4に示すように、符号化データであるビットストリームは以下のような階層構造を有している。ビットストリームの最も大きなまとまりはシーケンスであり、シーケンスは複数のグループ・オブ・ピクチャ(Group Of Picture)から構成されており、これを符号化処理の基本単位とすることで動画像の編集やランダムアクセスが可能になっている。グループ・オブ・ピクチャは、複数のピクチャ(フレーム)から構成され、各ピクチャは、Iピクチャ(Intra coded picture )、Pピクチャ(Predictive coded picture)又はBピクチャ(Bidirectionally predictive coded picture)のいずれかである。各ピクチャはさらに複数のスライスから構成されている。スライスは、各ピクチャ内の帯状の領域であり、複数のマクロブロックから構成されている。
【0007】
MPEGの符号化モードには、画面内符号化と画面間予測符号化の2つがある。画面内符号化は、フレーム画像をそのフレーム内の情報だけで符号化するモードであり、Iピクチャの符号化に用いられる。また、画面間予測符号化とは、フレーム画像をそのフレーム内の情報と他のフレームの情報との両方を用いて符号化するモードであり、Pピクチャ又はBピクチャの符号化に用いられる。より詳細には、画面間予測符号化とは、当該フレームの各画素値と、他のピクチャ(以下、参照ピクチャという)から予測した予測値との差分値をとり、その差分値を符号化することによりデータ量を減らす符号化方式である。
【0008】
実際のPピクチャ又はBピクチャの符号化には、動き補償画面間予測符号化が用いられている。動き補償画面間予測符号化とは、画面間予測符号化に動き補償を適用した符号化方式である。動き補償とは、単純に参照フレームの画素値から予測するのではなく、フレーム内の各部の動き量(以下、これを動きベクトルと呼ぶ)を検出し、当該動き量を考慮した予測を行うことにより予測精度を向上すると共に、データ量を減らす方式である。例えば、図11に示すように、符号化対象ピクチャの動きベクトルを検出し、その動きベクトルの分だけシフトした予測値と符号化対象ピクチャとの予測残差を符号化することによりデータ量を減している。この方式の場合には、復号化の際に動きベクトルの情報が必要になるため、動きベクトルも符号化されて記録又は伝送される。
【0009】
動きベクトルはマクロブロック単位で検出されており、具体的には、符号化対象ピクチャ側のマクロブロックを固定しておき、参照ピクチャ側のマクロブロックを探索範囲内で移動させ、基準ブロックと最も似通った参照ブロックの位置を見つけることにより、動きベクトルを検出する。
ところで、動きベクトルを検出する探索範囲は、一般的には、符号化対象ピクチャから参照ピクチャまでの距離に応じて変わるようになっている。それは、符号化対象ピクチャと参照ピクチャとの画像間距離が大きくなるにつれて動きベクトルも大きくなるからである。具体的には参照距離が短い場合は探索範囲が小さく、参照距離が長い場合は探索範囲が大きくなる。
【0010】
そして、符号化対象のフレーム画像がPピクチャやBピクチャの場合には動きベクトルも符号化されるが、実際には動きベクトルそのものを符号化するのではなく、上述した動きベクトルの探索範囲を示すエフコード(f_code)と、そのエフコードを使用して表した動きベクトルの大きさを表すパラメータである基本ベクトル成分(motion_code)及び残差ベクトル成分(motion_residual)とを符号化する。基本ベクトル成分は可変長符号コードとして与えられ、その具体例を図12の表に示す。図12に示すエフコードが1の場合の符号語を表している。したがって、エフコードが2の場合は、動きベクトルを2で除算したものに対応する表の符号を基本ベクトルとし、対応する表の符号に2をかけたものと動きベクトルの差を残差ベクトルとする。さらに、エフコードが3の場合は、動きベクトルを4で除算したものに対応する表の符号を基本ベクトルとし、対応する表の符号に4をかけたものと動きベクトルの差を残差ベクトルとする。このように残差ベクトル成分は、エフコード−1の値の示すビット数の符号により符号化されるため、残差ベクトル成分の大きさはエフコードの値によって変化する。
【0011】
このように、エフコード,基本ベクトル成分,及び残差ベクトル成分により、動きベクトル(差分値)を広い範囲にわたって符号化することができる。例えば、図13はエフコードと許容動きベクトル範囲との関係を示したものであり、この図に示すように、エフコードの値によって表現可能な動きベクトル(差分値)の範囲を変化させることができる。
【0012】
ところで、大きな動きの画像を首尾よく符号化するためには、大きな動きの範囲まで符号化できる可変長符号化方法が必要であり、エフコードの値を大きくすることになる。動きがほとんど無い画像では、小さな動きを効率良く符号化できるよう小さな動きの範囲だけ符号化できる可変長符号化方法で十分であり、エフコードの値を小さくすることになる。一方、大きな動きの範囲まで符号化するには、小さな動きを効率良く符号化することよりも、大きな動きの範囲までの全ての動きについて平均的に圧縮率が悪くならないように符号化することが重要である。
【0013】
そこで、MPEG−2やMPEG−4ではピクチャ単位でエフコードを変更可能となっており、それによって再生画像の劣化を招くことなく、動きベクトルの符号化に必要なビット数を抑えて圧縮効率を高めている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0014】
【特許文献1】
特開2000−217116号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2002−209216号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
MPEG−2やMPEG−4では、ビットストリームにおいて、各ピクチャの先頭やスライスの先頭には、ビットストリーム中でその開始位置を簡単に見つけるための特別なビットパターンが挿入されており、それを同期パターン(SYNC)という。同期パターンは、エラーが生じるなどしてデータを途中から再生する場合の再生開始位置として機能している。そして、ビットストリーム中で同期パターンが簡単にみつけられるように、同期パターンと同じパターンは、同期位置外に絶対に現れないような仕組みになっている。
【0017】
またMPEG−4では、スライスの同期パターンに最も短いパターンを使用して、シーケンス全体の同期パターンのビット長を減らし、符号化の圧縮率を高めている。
さらに、MPEG−4では、ピクチャ単位で、エフコードの変化に合わせてスライス同期パターンの長さを変更するような仕組みになっている。これは、圧縮率を向上させるためであり、さらには動きベクトルの一部のパターンが同期パターンと一致してしまう事態を防ぐためである。なぜなら、エフコードが大きくなると、それに合わせて動きベクトルの符号化に必要なビット数が多くなり、このため、符号化された動きベクトルの一部のパターンがスライス同期パターンと一致しやすくなるからである。その問題を解決するため、エフコードが大きくなった場合にはスライス同期パターンを長くして、符号化された動きベクトルの一部のパターンがスライス同期パターンと一致するのを防止している。
【0018】
以上の結果、異なるピクチャではスライス同期パターンが変化して異なった長さになることがある。図14では、同じグループ・オブ・ピクチャ内のピクチャnとピクチャn+1の境界が示されている。スライス同期パターンはエフコードにしたがって長さが異なるようになっており、さらにエフコードはピクチャごとに決定されているため、ピクチャnのスライスn,pの同期パターンとピクチャn+1のスライスn+1,1の同期パターンとは長さが異なっている。このようにピクチャごとにスライス同期パターンが異なると、仮に伝送エラーによってピクチャnとピクチャn+1の区切り(図14のA’部分)が消失したときに、次のピクチャn+1のスライス同期パターンを検出することが困難になる。つまり、伝送エラーが発生する環境下では、スライス同期パターンすなわちスライスの区切りを検出することが困難になり、符号化動画像を正しく復号化できなくなる。
【0019】
本発明の課題は、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードによってスライス同期パターンが変更され、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する動画像符号化方法において、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の動画像符号化方法は、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化方法である。この動画像符号化方法は以下のステップを備えている。
【0021】
◎グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に決定するエフコード決定ステップ
◎エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップ
◎エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップ
◎動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化ステップ
この動画像符号化方法では、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップによってグループ・オブ・ピクチャ単位で決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0022】
請求項2に記載の動画像符号化方法では、請求項1において、同期パターン作成ステップでは、エフコードの値に対応して、スライス同期パターンの長さを変化させる。
この動画像符号化方法では、エフコードの値が大きくなるとスライス同期パターンの長さが長くなり、エフコードの値が小さくなるとスライス同期パターンの長さが短くなる。
【0023】
請求項3に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定する。
この動画像符号化方法では、前のグループ・オブ・ピクチャにおいて大きな動きが続いている場合はエフコードを大きくし、小さな動きが続いている場合はエフコードを小さくする。このように前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を減らすことができ、さらに符号化速度が向上する。
【0024】
請求項4に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定する。
この動画像符号化方法では、グループ・オブ・ピクチャごとに圧縮率を確かめながら、エフコードを決定することができる。このように当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を最も減らすことができる。
【0025】
請求項5に記載の動画像符号化装置では、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する装置において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化装置である。この動画像符号化装置は、グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを決定するエフコード決定手段と、エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化手段と、エフコードに従ってスライス同期パターンを作成する同期パターン作成手段と、動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化手段とを備えている。
【0026】
この動画像符号化装置では、同期パターン作成手段がエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定手段によってグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0027】
請求項6に記載の動画像符号プログラムは、コンピュータにより、動画像符号化を行うためのプログラムであって、上記プログラムはコンピュータに以下の動画像符号化方法を行わせるものである。この動画像符号化方法は、動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化方法であって、以下のステップを備えている。
【0028】
◎グループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に決定するエフコード決定ステップ
◎エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップ
◎エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップ
◎動きベクトルで動き補償を行って動画像信号を符号化する画像符号化ステップ
この動画像符号化プログラムでは、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによって、スライス同期パターンが変化してスライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップにおいてグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0029】
請求項7に記載の動画像符号化データ構造は、グループ・オブ・ピクチャ、ピクチャ、スライス、マクロブロックの順番で階層を構成する動画像符号化データ構造である。スライスは、スライス同期パターンと、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードと、複数の符号化マクロブロックとを含んでいる。スライス同期パターンはエフコードに従って作成されている。エフコードはグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されていることを特徴とする。
【0030】
この画像復号化データ構造では、エフコードに従ってスライス同期パターンが作成されているため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同じになっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明が適用される動画像符号化装置1のブロック構成図である。この動画像符号化装置1は、MPEGの原理に基づいて形成された符号化装置であり、特に、MPEG−4の原理に基づいている。
【0032】
動画像符号化装置1は、主に、動き推定/補償部(ME/MC)2と、減算器3と、DCT符号化部4と、ローカルデコーダ5と、加算器6と、可変長符号化器(VLC)7と、エフコード検出器8とから構成されている。入力画像データPicInは、具体的には、入力された各ピクチャに対応する画像データをブロック化器によって符号化処理の単位としての16×16画素からなるブロック(マクロブロック)に対応するよう分割した後の各ブロックに対応する画像データである。
【0033】
動き推定/補償部2は、入力画像データPicInを受け、符号化対象ピクチャにおける符号化対象ブロックに対する予測ブロックのデータを生成する。動き推定/補償部2は、動き検出器(ME)11と、動き補償器(MC)と、ピクチャメモリ13とから構成されている。
動き検出器11は、入力画像PicInが入力され、ピクチャメモリ13内の再構成画像に対する入力画像PicInの動きである動きベクトルMVを算出する。動き検出器11は、動きベクトルMVを、動き補償器12とピクチャメモリ13と可変長符号化器7とエフコード検出器8に出力する。動き補償器12は、動き検出器11からの動きベクトルMVに基づいて、ピクチャメモリ13に格納されている再構成画像から動きに対応する画像データを参照画像として作成し(動き補償)、それを減算器3と加算器6とに出力する。ピクチャメモリ13は、再構成画像を貯え、動き検出器11や動き補償器12によって再構成画像を読み出される。
【0034】
減算器3は、入力画像PicInの対象データと、動き補償器12からの参照画像との差分値を求め、その差分値である差分データをDCT符号化部4に出力する。
DCT符号化部4は、減算器3からの差分データにデータ圧縮処理を施して、圧縮データを出力する。DCT符号化部4は直交変換器14と量子化器15とから構成されている。直交変換器14は、減算器3からの差分データに対して、直交変換処理の一種である空間領域のデータを周波数領域のデータに変換する離散コサイン変換処理(DCT処理)を施し、そのデータを量子化器15に出力する。量子化器15は、直交変換器14からのDCTデータを所定の量子化ステップでもって量子化して、量子化係数をローカルデコーダ5と可変長符号化器(VLC)7に出力する。
【0035】
ローカルデコーダ5は、DCT符号化部4からの出力にデータ伸長処理を施して伸長データを出力する。ローカルデコーダ5は逆量子化器16と逆直交変換器17とから構成されている。逆量子化器16は、DCT符号化部4からの出力を上記量子化ステップでもって逆量子化し、それを逆直交変換器17に出力する。逆直交変換器17は、逆量子化器16からの出力に対して、周波数領域のデータを空間領域のデータに変換する逆離散コサイン変換処理(IDCT処理)を施して、伸長データを予測残差信号として加算器6に出力する。
【0036】
加算器6は、当該マクロブロックの符号化モードによって加算処理を切り替える。例えば、当該マクロブロックが画面内符号化されている場合は、予測残差信号をそのまま再構成画像として出力する。一方、加算器6は、当該マクロブロックが画面間動き補償予測符号化されている場合は、ローカルデコーダ5からの予測残差信号と動き補償器12からの参照画像とを加算した画像データを再構成画像としてピクチャメモリ13に出力する。
【0037】
エフコード検出器8は、動き検出器11からの動きベクトルMVによってエフコード(f_code)を検出する。また、エフコード検出器8には、画像情報のグループ・オブ・ピクチャ情報を知らせる情報が入力される。
可変長符号化器7は、DCT符号化部4からの量子化されたDCT後のデータに対して可変長符号化処理(エントロピー符号化)を施す。さらに、可変長符号化器7は、エフコード検出器8からのエフコードに基づいて動き検出器11からの動きベクトルMVを可変長符号化し、それら符号化データを多重化した後にビットストリームStrを出力する。さらに、可変長符号化器7内にはスライス同期パターンを生成するための同期パターン生成器が設けられている。
【0038】
以下、図2のフローチャートを用いて、動画像符号化装置1の動作、すなわち動画像符号化方法を概略的に説明する。
ステップS1では、動き検出器11が、入力画像PicInとピクチャメモリ13からの再構成画像とから、動きベクトルMVを検出する。より詳細には、動き検出器11は探索範囲内で水平及び垂直方向の各動きベクトルMVをマクロブロックごとに検出する。そして動き検出器11はその検出した各動きベクトルMVを動き補償器12と可変長符号化器7とエフコード検出器8とに出力する。
【0039】
ステップS2では、エフコード検出器8は、グループ・オブ・ピクチャ情報に基づいて、各グループ・オブ・ピクチャにおける最初のピクチャであるか否かを判断する。最初のピクチャである場合はステップS3に移行してエフコードの検出を行い、最初のピクチャでない場合はステップS3をスキップしてステップS4に移行する。
【0040】
ステップS3では、エフコード検出器8は、現在の符号化対象であるグループ・オブ・ピクチャに共通となるエフコードを検出する。このときのエフコード検出器8の検出動作を図3に示す。最初にステップS9において、動き検出器11から送られてきた動きベクトルMVの絶対値|MV|を取得する。次にステップS10において、絶対値|MV|が16未満であるか否かを判断する。16未満である場合はステップS11に移行してエフコードを1とし、16未満でない場合はステップS12に移行し、絶対値|MV|が32未満であるか否かを判断する。32未満である場合はステップS13に移行してエフコードを2とし、32未満でない場合はステップS13に移行してエフコードを3とする。以上に述べたように、検出範囲に応じて定められている最小のエフコードを検出することで、符号化効率を向上させている。
【0041】
なお、エフコードの検出方法(基準)としては、下記のものも考えられる。
▲1▼当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定することができる。この場合は、例えば、前のグループ・オブ・ピクチャにおいて大きな動きが続いている場合はエフコードを大きくし、小さな動きが続いている場合はエフコードを小さくする。このように前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を減らすことができ、さらに符号化速度が向上する。したがって、撮影した画像をリアルタイムで配信する場合のように順次画像データを符号化しながら送信している場合に最適である。
【0042】
▲2▼当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定することができる。この場合は、例えば、グループ・オブ・ピクチャごとに圧縮率を確かめながら、エフコードを決定することができる。このように当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいてエフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を最も減らすことができる。
【0043】
ステップS4では、動き補償器12は、動き検出器11からの動きベクトルMVに基づいて、ピクチャメモリ13に格納されている再構成画像から動きに対応する画像データを参照画像として作成し(動き補償)、それを減算器3と加算器6とに出力する。次に、例えば入力画像データがPピクチャに対応するものであれば、減算器3がそのピクチャ内の画像データと2つ隣のピクチャの画像データから予測した予測値との予測残差を求め、さらに直交変換器14、量子化器15が当該予測残差を圧縮していく。
【0044】
ステップS5では、可変長符号化器7の同期パターン生成器がスライスごとに同期パターンを付与する。この動画像符号化装置1では、スライス同期パターンは可変長となっており、符号化動きベクトルのパターンの一部と一致しないように、エフコードの値に従ってビット長を変更するようになっている。しかし、この動画像符号化装置1では前述のようにグループ・オブ・ピクチャ単位でエフコードを共通に設定しているため、各グループ・オブ・ピクチャ内ではスライス同期パターンの長さは同一になる。
【0045】
ステップS6では、可変長符号化器7が、量子化器15からの画素データを可変長符号化する。さらに、可変長符号化器7は、動き検出器11から送られてきた動きベクトルMVを、すでに検出されたエフコードによって符号化する。その際、可変長符号化器7は動きベクトルMVそのものを符号化するのではなく、エフコード検出器8から得たエフコードと、そのエフコードを使用して表した動きベクトルMVの大きさを表す基本ベクトル及び残差ベクトル成分とを符号化する。なお、エフコードの検出はグループ・オブ・ピクチャの最初のピクチャの場合のみ行われており、そのときに検出されたエフコードがそのグループ・オブ・ピクチャの残りのピクチャの動きベクトルMVを符号化するのに用いられる。
【0046】
ステップS7では、グループ・オブ・ピクチャが終了したか否かを判断する。グループ・オブ・ピクチャが終了した場合には処理を終了し、それ以外の場合はステップS1に戻り処理を続ける。
可変長符号化器7は、このような符号化処理によって得た各データをMPEGフォーマットで規定される所定順序に合わせて配列し、ビットストリームStrとして出力する。図4に示すように、ビットストリームStrの配列は階層的構造を有し、大別するとシーケンス層、GOP層、ピクチヤ層、スライス層、マクロブロック層及びブロック層に分かれている。上述したエフコードに関しては、スライス層のスライスヘッダ領域に格納されている。また符号化された動きベクトル情報に関してはマクロブロック層に格納し、予測残差に関してはブロック層に格納される。
【0047】
以上の結果、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間であってもスライス同期パターン同一であり同じ長さになっている。図5では、同じグループ・オブ・ピクチャ内のピクチャnとピクチャn+1の境界が示されている。スライス同期パターンはエフコードにしたがって長さが異なるようになっているが、エフコードはグループ・オブ・ピクチャごとに共通に決定されているため、ピクチャnのスライスn,pの同期パターンとピクチャn+1のスライスn+1,1の同期パターンとは長さが同じになっている。このようにピクチャごとにスライス同期パターンが同じであるため、仮に伝送エラーによってピクチャnとピクチャn+1の区切り(図5のA部分)が消失したときに、次のピクチャn+1のスライス同期パターンを検出することが容易になる。つまり、伝送エラーが発生する環境下であっても、スライス同期パターンすなわちスライスの区切りを検出することが容易になり、エラーの無いスライスから符号化動画像を正しく復号化できる。
【0048】
(実施の形態2)
さらに、上記各実施の形態で示した動画像符号化を実現するためのプログラムを、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録するようにすることにより、上記各実施の形態で示した処理を、独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。
【0049】
図6は、上記上記各実施の形態の動画像符号化を、フレキシブルディスク等の記録媒体に記録されたプログラムを用いて、コンピュータシステムにより実施する場合の説明図である。
図6(b)は、フレキシブルディスクの正面からみた外観、断面構造、及びフレキシブルディスクを示し、図6(a)は、記録媒体本体であるフレキシブルディスクの物理フォーマットの例を示している。フレキシブルディスクFDはケースF内に内蔵され、該ディスクの表面には、同心円状に外周からは内周に向かって複数のトラックTrが形成され、各トラックは角度方向に16のセクタSeに分割されている。従って、上記プログラムを格納したフレキシブルディスクでは、上記フレキシブルディスクFD上に割り当てられた領域に、上記プログラムが記録されている。
【0050】
また、図6(c)は、フレキシブルディスクFDに上記プログラムの記録再生行うための構成を示す。動画像符号化を実現する上記プログラムをフレキシブルディスクFDに記録する場合は、コンピュータシステムCsから上記プログラムをフレキシブルディスクドライブを介して書き込む。また、フレキシブルディスク内のプログラムにより動画像符号化を実現する上記動画像符号化をコンピュータシステム中に構築する場合は、フレキシブルディスクドライブによりプログラムをフレキシブルディスクから読み出し、コンピュータシステムに転送する。
【0051】
なお、上記説明では、記録媒体としてフレキシブルディスクを用いて説明を行ったが、光ディスクを用いても同様に行うことができる。また、記録媒体はこれに限らず、ICカード、ROMカセット等、プログラムを記録できるものであれば同様に実施することができる。
(実施の形態3)
さらにここで、上記実施の形態で示した動画像符号化の応用例とそれを用いたシステムを説明する。
【0052】
図7は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示すブロック図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex107〜ex110が設置されている。
このコンテンツ供給システムex100は、例えば、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex107〜ex110を介して、コンピュータex111、PDA(personaldigital assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、カメラ付きの携帯電話ex115などの各機器が接続される。
【0053】
しかし、コンテンツ供給システムex100は図7のような組合せに限定されず、いずれかを組み合わせて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex107〜ex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話は、PDC(Personal Digital Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband−Code Division Multiple Access)方式、若しくはGSM(Global System for Mobile Communications)方式の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0054】
また、ストリーミングサーバex103は、カメラex113から基地局ex109、電話網ex104を通じて接続されており、カメラex113を用いてユーザが送信する符号化処理されたデータに基づいたライブ配信等が可能になる。撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするサーバ等で行ってもよい。また、カメラex116で撮影した動画データはコンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信されてもよい。カメラex116はデジタルカメラ等の静止画、動画が撮影可能な機器である。この場合、動画データの符号化はカメラex116で行ってもコンピュータex111で行ってもどちらでもよい。また、符号化処理はコンピュータex111やカメラex116が有するLSIex117において処理することになる。なお、画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な記録媒体である何らかの蓄積メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込んでもよい。さらに、カメラ付きの携帯電話ex115で動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex115が有するLSIで符号化処理されたデータである。
【0055】
このコンテンツ供給システムex100では、ユーザがカメラex113、カメラex116等で撮影しているコンテンツ(例えば、音楽ライブを撮影した映像等)を上記実施の形態同様に符号化処理してストリーミングサーバex103に送信する一方で、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して上記コンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114等がある。このようにすることでコンテンツ供給システムex100は、符号化されたデータをクライアントにおいて受信して再生することができ、さらにクライアントにおいてリアルタイムで受信して復号化し、再生することにより、個人放送をも実現可能になるシステムである。
【0056】
このシステムを構成する各機器の符号化には上記各実施の形態で示した画像符号化装置1を用いるようにすればよい。
その一例として携帯電話について説明する。
図8は、上記実施の形態で説明した動画像符号化を用いた携帯電話ex115を示す図である。携帯電話ex115は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex201、CCDカメラ等の映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex203、カメラ部ex203で撮影した映像、アンテナex201で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex202、操作キーex204群から構成される本体部、音声出力をするためのスピーカ等の音声出力部ex208、音声入力をするためのマイク等の音声入力部ex205、撮影した動画もしくは静止画のデータ、受信したメールのデータ、動画のデータもしくは静止画のデータ等、符号化されたデータまたは復号化されたデータを保存するための記録メディアex207、携帯電話ex115に記録メディアex207を装着可能とするためのスロット部ex206を有している。記録メディアex207はSDカード等のプラスチックケース内に電気的に書換えや消去が可能な不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)の一種であるフラッシュメモリ素子を格納したものである。
【0057】
さらに、携帯電話ex115について図9を用いて説明する。携帯電話ex115は表示部ex202及び操作キーex204を備えた本体部の各部を統括的に制御するようになされた主制御部ex311に対して、電源回路部ex310、操作入力制御部ex304、画像符号化部ex312、カメラインターフェース部ex303、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex302、画像復号化部ex309、多重分離部ex308、記録再生部ex307、変復調回路部ex306及び音声処理部ex305が同期バスex313を介して互いに接続されている。
【0058】
電源回路部ex310は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することによりカメラ付ディジタル携帯電話ex115を動作可能な状態に起動する。
携帯電話ex115は、CPU、ROM及びRAM等でなる主制御部ex311の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex205で集音した音声信号を音声処理部ex305によってディジタル音声データに変換し、これを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。また携帯電話機ex115は、音声通話モード時にアンテナex201で受信した受信信号を増幅して周波数変換処理及びアナログディジタル変換処理を施し 変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、音声処理部ex305によってアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208を介して出力する。
【0059】
さらに、データ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キーex204の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex304を介して主制御部ex311に送出される。主制御部ex311は、テキストデータを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して基地局ex110へ送信する。
【0060】
データ通信モード時に画像データを送信する場合、カメラ部ex203で撮像された画像データをカメラインターフェース部ex303を介して画像符号化部ex312に供給する。また、画像データを送信しない場合には、カメラ部ex203で撮像した画像データをカメラインターフェース部ex303及びLCD制御部ex302を介して表示部ex202に直接表示することも可能である。
【0061】
画像符号化部ex312は、本願発明で説明した画像符号化装置を備えた構成であり、カメラ部ex203から供給された画像データを上記実施の形態で示した画像符号化装置に用いた符号化方法によって圧縮符号化することにより符号化画像データに変換し、これを多重分離部ex308に送出する。また、このとき同時に携帯電話機ex115は、カメラ部ex203で撮像中に音声入力部ex205で集音した音声を音声処理部ex305を介してディジタルの音声データとして多重分離部ex308に送出する。
【0062】
多重分離部ex308は、画像符号化部ex312から供給された符号化画像データと音声処理部ex305から供給された音声データとを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変復調回路部ex306でスペクトラム拡散処理し、送受信回路部ex301でディジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex201を介して送信する。
【0063】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、アンテナex201を介して基地局ex110から受信した受信信号を変復調回路部ex306でスペクトラム逆拡散処理し、その結果得られる多重化データを多重分離部ex308に送出する。
また、アンテナex201を介して受信された多重化データを復号化するには、多重分離部ex308は、多重化データを分離することにより符号化画像データと音声データとに分け、同期バスex313を介して当該符号化画像データを画像復号化部ex309に供給すると共に当該音声データを音声処理部ex305に供給する。
【0064】
次に、画像復号化部ex309は、符号化画像データを上記実施の形態で示した符号化方法に対応した復号化方法で復号することにより再生動画像データを生成し、これをLCD制御部ex302を介して表示部ex202に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる動画データが表示される。このとき同時に音声処理部ex305は、音声データをアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex208に供給し、これにより、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まる音声データが再生される。
【0065】
なお、上記システムの例に限られず、最近は衛星、地上波によるディジタル放送が話題となっており、図10に示すようにディジタル放送用システムにも上記実施の形態の少なくとも画像符号化装置または画像復号化装置のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex409では映像情報の符号化ビットストリームが電波を介して通信または放送衛星ex410に伝送される。これを受けた放送衛星ex410は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送受信設備をもつ家庭のアンテナex406で受信し、テレビ(受信機)ex401またはセットトップボックス(STB)ex407などの装置により符号化ビットストリームを復号化してこれを再生する。また、記録媒体である蓄積メディアex402に記録した符号化ビットストリームを読み取り、復号化する再生装置ex403にも上記実施の形態で示した画像復号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex404に表示される。また、ケーブルテレビ用のケーブルex405または衛星/地上波放送のアンテナex406に接続されたセットトップボックスex407内に画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex408で再生する構成も考えられる。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に画像符号化装置を組み込んでも良い。また、アンテナex411を有する車ex412で衛星ex410からまたは基地局ex107等から信号を受信し、車ex412が有するカーナビゲーションex413等の表示装置に動画を再生することも可能である。
【0066】
更に、画像信号を上記実施の形態で示した画像符号化装置で符号化し、記録媒体に記録することもできる。具体例としては、DVDディスクex421に画像信号を記録するDVDレコーダや、ハードディスクに記録するディスクレコーダなどのレコーダex420がある。更にSDカードex422に記録することもできる。レコーダex420が上記実施の形態で示した画像復号化装置を備えていれば、DVDディスクex421やSDカードex422に記録した画像信号を再生し、モニタex408で表示することができる。
【0067】
なお、カーナビゲーションex413の構成は例えば図9に示す構成のうち、カメラ部ex203とカメラインターフェース部ex303を除いた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111やテレビ(受信機)ex401等でも考えられる。また、上記携帯電話ex114等の端末は、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型の端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末の3通りの実装形式が考えられる。
【0068】
このように、上記実施の形態で示した動画像符号化を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】
請求項1に記載の動画像符号化方法では、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップによってグループ・オブ・ピクチャ単位で決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0070】
請求項2に記載の動画像符号化方法では、請求項1において、同期パターン作成ステップでは、エフコードの値に対応して、スライス同期パターンの長さを変化させているため、エフコードの値が大きくなるとスライス同期パターンの長さが長くなり、エフコードの値が小さくなるとスライス同期パターンの長さが短くなる。
【0071】
請求項3に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を減らすことができ、さらに符号化速度が向上する。請求項4に記載の動画像符号化方法では、請求項1又は2において、エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、エフコードを決定しているため、再生画像の劣化を招かない範囲で符号発生量を最も減らすことができる。
【0072】
請求項5に記載の動画像符号化装置では、では、同期パターン作成手段がエフコードに従ってスライス同期パターンを作成しているため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定手段によってグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では、異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であればそれ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0073】
請求項6に記載の動画像符号プログラムでは、同期パターン作成ステップではエフコードに従ってスライス同期パターンが作成されるため、エフコードが変化することによって、スライス同期パターンが変化してスライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはエフコード決定ステップにおいてグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同一になっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【0074】
請求項7に記載の動画像符号化データ構造では、エフコードに従ってスライス同期パターンが作成されているため、エフコードが変化することによってスライス同期パターンが変化して、スライス同期パターン同士が互いに異なる可能性がある。しかし、エフコードはグループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されているため、各グループ・オブ・ピクチャ内では異なるピクチャ間でもエフコードの値は必ず同一になっており、さらにスライス同期パターンも同じになっている。この結果、伝送エラーによってピクチャの区切りが消失したとしても、各グループ・オブ・ピクチャ内であれば、それ以後のスライス同期パターンを検出することができる。この結果、伝送エラーが発生する環境下でも、スライス同期パターンをより確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の動画像符号化装置のブロック図(実施の形態1)
【図2】本発明の動画像符号化方法の動作フローチャート(実施の形態1)
【図3】本発明の動画像符号化方法のエフコード検出の動作フローチャート(実施の形態1)
【図4】本発明の動画像符号化データの階層構造を示す図(実施の形態1)
【図5】本発明の動画像符号化データの一部を示す図(実施の形態1)
【図6】上記各実施の形態の動画像符号化をコンピュータシステムにより実現するためのプログラムを格納するための記録媒体についての説明図(実施の形態2)
【図7】コンテンツ供給システムの全体構成を示すブロック図(実施の形態3)
【図8】動画像符号化を用いた携帯電話の例(実施の形態3)
【図9】携帯電話のブロック図(実施の形態3)
【図10】ディジタル放送用システムの例(実施の形態3)
【図11】画面間動き補償動作を説明するための図(従来例)
【図12】動きベクトルを表すための基本ベクトル成分に割り当てられる可変長符号を示す図(従来例)
【図13】エフコードと動きベクトルの探索範囲との関係を示す表(従来例)
【図14】動画像符号化データの一部を示す図(従来例)
【符号の説明】
1 動画像符号化装置
2 動き推定/補償部(ME/MC)
3 減算器
4 DCT符号化部
5 ローカルデコーダ
6 加算器
7 可変長符号化器(VLC)
8 エフコード検出器
11 動き検出器(ME)
12 動き補償器(MC)
13 ピクチャメモリ
14 直交変換器
15 量子化器
16 逆量子化器
17 逆直交変換器
Cs コンピュータ・システム
FD フレキシブルディスク
FDD フレキシブルディスクドライブ
Claims (7)
- 動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、前記動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化方法であって、
グループ・オブ・ピクチャ単位で前記エフコードを共通に決定するエフコード決定ステップと、
前記エフコードを用いて動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップと、
前記エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップと、
前記動きベクトルで動き補償を行って前記動画像信号を符号化する画像符号化ステップと、
を備えた動画像符号化方法。 - 前記同期パターン作成ステップでは、前記エフコードの値に対応して、前記スライス同期パターンの長さを変化させる、請求項1に記載の動画像符号化方法。
- 前記エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャより前のグループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、前記エフコードを決定する、請求項1又は2に記載の動画像符号化方法。
- 前記エフコード決定ステップでは、当該グループ・オブ・ピクチャの情報に基づいて、前記エフコードを決定する、請求項1又は2に記載の動画像符号化方法。
- 動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する装置において、前記動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化装置であって、
グループ・オブ・ピクチャ単位で前記エフコードを共通に決定するエフコード決定手段と、
前記エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化手段と、
前記エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成手段と、
前記動きベクトルで動き補償を行って前記動画像信号を符号化する画像符号化手段と、
を備えた動画像符号化装置。 - コンピュータにより、動画像符号化を行うためのプログラムであって、
上記プログラムはコンピュータに、
動きベクトルを用いた動き補償を行って動画像信号を符号化する方法において、前記動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードをピクチャもしくはスライスごとに設定する動画像符号化方法であって、
グループ・オブ・ピクチャ単位で前記エフコードを共通に決定するエフコード決定ステップと、
前記エフコードが示す可変長符号化方法で動きベクトルを符号化する動きベクトル符号化ステップと、
前記エフコードに従って、スライス同期パターンを作成する同期パターン作成ステップと、
前記動きベクトルで動き補償を行って前記動画像信号を符号化する画像符号化ステップと、
を備えた動画像符号化方法
を、行わせるものである動画像符号化プログラム。 - グループ・オブ・ピクチャ、ピクチャ、スライス、マクロブロックの順番で階層を構成する動画像符号化データ構造であって、
前記スライスは、スライス同期パターンと、動きベクトルの符号化に使用する可変長符号化方法を示すエフコードと、複数の符号化マクロブロックとを含み、
前記スライス同期パターンはエフコードに従って作成されており、
前記エフコードは前記グループ・オブ・ピクチャ単位で共通に決定されていることを特徴とする、画像符号化データ構造。
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JP2002285262A JP2004120710A (ja) | 2002-09-30 | 2002-09-30 | 動画像符号化方法、動画像符号化装置、動画像符号化プログラム、及び動画像符号化データ構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012110054A (ja) * | 2006-04-27 | 2012-06-07 | Canon Inc | 画像符号化装置、画像符号化方法、プログラム及び記憶媒体 |
US10334262B2 (en) | 2013-10-24 | 2019-06-25 | Renesas Electronics Corporation | Moving-picture decoding processing apparatus, moving-picture coding processing apparatus, and operating method of the same |
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2002
- 2002-09-30 JP JP2002285262A patent/JP2004120710A/ja active Pending
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