JP2004119026A - High sensitivity supersonic speed molecule jet multiphoton absorption ionization mass spectroscopic apparatus - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温炉、燃焼炉から放出される極微量ガス、高沸点を有するガス、不安定ガスを高感度で検出する超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のダイオキシンの公定の測定・分析法は、厚生労働省のまとめた「ダイオキシン類の発生防止ガイドライン」の中で測定標準法として示されている。この方法は、ダイオキシン類を有機溶媒により抽出し、各種クロマトグラフィー法で濃縮・分離後、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)によって分析するものである。この試験分析工程は、多大な計測時間とコストを必要とする。
一方、ダイオキシンをはじめとする有機塩素系化合物の人体への影響が強く懸念されている現在、焼却炉の設計や操業管理に必要な情報を得るといった例を一つとっても、極微量有機塩素化合物を選択的かつ定量的にオンサイト実時間分析可能な新評価技術の開発が望まれている。
【0003】
一般に、有機分子は、その分子骨格に起因する電子状態を持ち、その状態に振動準位や回転準位などが複雑に相互作用していく。赤外線、紫外線等を利用した吸収分光法は、このような有機分子の分子骨格の違いによる光吸収を利用して、存在する分子種を特定する方法である。この分子固有の励起状態を利用して、リアルタイムに有機分子を選択、検出することを可能にすると期待されているのが、超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析(Jet−REMPI)法である。Jet−REMPI法は、公定法のような濃縮前処理技術を必要とせず、高感度かつ高化学種選択性をもって検出できる分析法として注目されつつある。この原理を簡単に述べる。
【0004】
Jet−REMPI法は、共鳴多光子吸収イオン化(REMPI)法と超音速分子ジェット(Jet)法を組み合わせた方法である。
共鳴多光子吸収イオン化(REMPI:Resonance Enhanced Multi−Photon Ionization)法とは、レーザ光で有機分子を励起する際、注目分子特有の励起準位にレーザ波長を同調させることで、特定分子種のみを選択的にイオン化(共鳴多光子吸収イオン化)させ、イオンを質量分析計を用いて検出する方法である。光吸収によって試料をイオン化するには、吸収断面積(吸収効率)の観点から、吸収スペクトルで観測されるピーク付近の波長を利用する。しかし、常温、常圧の有機化合物の吸収スペクトルのピーク幅は、振動・回転準位からの遷移が重なるために幅広くなり、構造が似通った異性体の吸収ピークを分離することはできない。一方、この分子を絶対零度付近(数K)まで冷却すると、振動や回転していない真の基底状態に電子が位置するようになり、また遷移の選択率によって特定の準位にのみ励起されるようになるため、数本の鋭いピークのみが観測されるようになる。ピーク幅は冷却された温度によって決まるが、通常0.01nm程度である。この程度のピーク幅であれば、波長可変レーザを用いることによって、構造が非常に似通った異性体でも選択的に励起、イオン化することができる。
【0005】
超音速分子ジェット(Jet)法とは、分子を極低温まで冷却する一つの方法である。この方法は、気化させた試料分子をヘリウムやアルゴンなどの希ガスと共にピンホールから真空中に噴出させて、断熱膨張冷却および希ガスとの衝突により、試料分子を絶対零度付近まで瞬時に冷却する方法である。分子の速度が音速の数十倍に達するため、超音速分子ジェット法と呼ばれている。
このように、超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析(Jet−REMPI)法とは、注目分子の振動・回転準位を凍結し、その注目分子の共鳴励起準位に波長可変レーザのエネルギーを同調させることで、特定分子のみ選択的にイオン化し、質量分析する方法である。
【0006】
一般的なJet−REMPI装置の概要を図1に示す。レーザイオン化領域5は、通常2枚メッシュを中心に置く平行平板型電極(押し出し電極(対向電極)7、引き出し電極1)に挟まれた空間に形成する。メッシュを置くのは、引き出し電極1において、発生したイオンを高い透過率で質量分析計に導入することができることと、平行平板型電極で形成される電場を乱さないためである。したがって正対する押し出し電極(対向電極)7もメッシュを有する平板電極となっている。
パルスバルブ10から噴出された粒子をレーザイオン化領域5に導入する。超音速分子ジェットは、スキマー8を介して得ることができる。スキマー8を介することで、装置の差動排気の効果を上げ、高真空化(パルスバルブ動作時で10−3Pa程度)を達成できるが、パルスバルブ先端とレーザイオン化領域を近づけることができない。
【0007】
色素レーザから発生した可視光(ω)を非線形光学結晶を用いて、注目する分子の選択励起波長である第2高調波(ω/2)を発生させ、レーザイオン化領域5に挿引する。これにより、注目分子のみの選択的なイオン化を起こさせることができる。発生したイオンは、平行平板型電極1、7により加速され、アインツェルレンズ4、ディフレクタ11、12を通して、収束され、偏向されて検出器13に到達する。検出されたイオン信号は、抵抗分割器14を通してプリアンプ15で増幅され、デジタルオシロスコープ16で計測される。あるいは、BOXCAR積分器17で信号積算される。また、積分信号強度のレーザ波長依存性をパーソナルコンピュータ18で観察する。
【0008】
このような特徴を持つJet−REMPI法を有害有機化合物のオンライン・リアルタイム分析法として利用する試みが近年活発に検討され始めており、Oserらにより、約10pptのジクロロダイオキシンを検出できることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
一方、ダイオキシンを初めとする有害有機化合物の規制濃度は、pptからppqレベルとなり、更なる高感度化を検討する必要がある。なお、上記のダイオキシンの分析に限らず、一般のガス分析においても高感度分析装置の開発が切望されている。
【0009】
【非特許文献1】
H. Oser, R. Thanner, H. H. Grotheer, B. K. Gillett, N. B. French, and D. Natscke, Proc. 16th Int. Conf. on Incineration and Thermal Treatment Technologies(1997)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記要望に応えるべく、Jet−REMPI法において、更なる高感度分析可能な超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述したように、ダイオキシンを初めとする有害有機化合物の規制濃度は、pptレベルからppqレベルとなり、更なる高感度化を検討する必要がある。しかしながら、従来の超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析(Jet−REMPI)装置では、特に、ダイオキシン類のような超微量成分の分析の際には、検出器に到達するのはパルスイオン化源でイオン化した全てのイオンであるため、注目する分子の信号が数え落とされる可能性が高く、また、これを避けるためにパルスイオン化源の出力を下げると超微量成分の信号が検出できないなどの問題があった。
【0012】
これに対して、本発明者らは、特願2001−207261号において、従来のJet−REMPI装置の問題点を解決すべく、発生したイオンを効率よく検出器に導入し、高いイオン検出効率を達成するシステムを提案している。即ち、該装置のイオン光学系が、発生したイオンを効率よく検出器に導く出鼻形状の引き出し電極を有し、その効率をより高く、かつノイズをより抑制するために設けた対向電極、静電メッシュ、ガイド電極を有する構成であり、発生したイオンを選択検出することで質量分析計の飽和を避け、より定量的かつ高感度に、注目するイオン粒子を検出する特徴を有するシステムである。
しかし、特願2001−207261号では、ガス噴射口の形状や位置についての検討は行われておらず、本発明者らが検討した結果、ガス噴射口の形状や位置によって噴射されたガスの冷却状態が大きく変化し、ガス噴射口の開口径をD(mm)、ガス噴射口とレーザイオン化領域の中心までの距離をX(mm)とすると、15≦X/D≦50である場合に、注目するイオン粒子を高感度で検出できるという知見を新たに得た。
【0013】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1) 試料ガスを装置内に導入するパルスバルブと、該パルスバルブから放出された試料ガスをイオン化するイオン化領域と、該イオン化領域にて発生したイオンを検出器に導入するイオン光学系と、該イオン光学系から引き出されたイオンを検出するイオン検出器を具備する超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置であって、前記イオン光学系の引き出し電極が出鼻型電極形状であり、引き出し電極の正対する位置に同一形状の対向電極を配置し、前記引き出し電極の後方に円筒状のポテンシャルスイッチを配置し、さらにその後方に前記検出器を配置し、かつ、前記引き出し電極および対向電極の孔、前記検出器を同一直線上に配置し、さらに、前記パルスバルブ噴射口の開口径をD(mm)、該パルスバルブ噴射口と前記イオン化領域の中心までの距離をX(mm)とすると、15≦X/D≦50、であることを特徴とする高感度超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置。
(2) 前記引き出し電極の内部のイオンの焦点付近に、オリフィスを設置することを特徴とする前記(1)に記載の高感度超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置。
(3) 前記X(mm)が、15≦X≦45であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の高感度超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置。
(4) 前記X(mm)が、15≦X≦25であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の高感度超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に説明する。なお、本発明はここで示した諸条件に限定されるものではない。
図2に、本発明に係わる超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析(Jet−REMPI)装置のイオン光学系の概略図を示す。該図は、ジェット流噴射方向から光学系を見た図、すなわち、紙面上方向のパルスバルブ10(図示していない)のジェット流噴射方向から見た図である。本発明に係るイオン化領域を構成する電極には、本発明者らが特願2001−207261号で提案した出鼻形状の電極を使用する。出鼻形状の電極は、従来型の平行平板型に比べ、イオン捕集効率をより高くすることができる。生成したイオンは、出鼻電極内部で焦点を結び、アインツェルレンズ4で平行ビームとなり、質量分析計に導入される。従って、出鼻形状の電極内部のイオンの焦点付近にイオンが十分通過できるオリフィス19を設置することで、イオン化領域と質量分析計の間で差動排気を行うことが可能となり、真空度を高く保持できる。従って、質量分析計への負荷も小さくなり、スキマーまたはオリフィスを利用した連続ガス導入システムにとって有利である。また、ノイズをより抑制するために、対向電極、静電メッシュ、および、ガイド電極を付帯し、さらに、発生したイオンを選択検出することにより、質量分析計の飽和が避けられ、定量的かつ高感度に注目する粒子を検出することができる。
【0015】
本発明に係る引き出し電極1は出鼻形状を持ち、その外側には引き出し電極1を同心円状に包囲する円筒状のガイド電極2を有する。そしてさらに、その外側を円筒状の静電メッシュ3が包囲している。また、引き出し電極1の後段には、アインツェルレンズ4が設置されている。レーザイオン化領域5を中心にして、引き出し電極部の左右対称の位置に引き出し電極部と共有する4本の支持棒6によって、対向電極7が設置されている。対向電極7は、引き出し電極1と同様に、ガイド電極2′、および静電メッシュ3′、アインツェルレンズ4′を有する。ここで、対向電極7のアインツェルレンズ4′は、イオン検出に関して寄与しないが、引き出し電極1の後段のアインツェルレンズ4の交換を行う際に、即座に行えるように付与しているものである。
これら1対の電極(引き出し電極1、対向電極7)は、レーザイオン化領域5を中心に完全に対称な位置に設置される必要があり、かつ両出鼻電極1、7中心のホールは、引き出し電極1の後段にあるアインツェルレンズ4のホールの中心、Y軸ディフレクタ11、X軸ディフレクタ12、ポテンシャルスィッチ9の中心と同一直線上にある。
【0016】
二つの静電メッシュ3、3′は、出鼻電極の大きさにもよるが、5〜100mm離しておくことが好ましい。より好ましくは5〜20mmであり、特に、レーザイオン化領域からイオンを最も効率よく取り込むには10mm程度が最適である。この中心に向かって、紙面上方向のパルスバルブ10より、超音速分子ジェット流が噴射される。二つの電極1、7のホール部は常に同一直線上にあり、ホール間距離の中点にレーザイオン化領域5が位置する。引き出し電極1と対向電極7は、レーザイオン化領域5を中心に1対の対称な構造を持ち、この構造が崩れると電場が崩れ、イオンを高い効率で検出器に到達させることができない。従って、支持棒6により、この2つの電極を保持した位置関係を保つ構造が必要である。
【0017】
図3に、本発明に係るJet−REMPI装置の概略図の一例を示す。該図は、ジェット流噴射方向から光学系を見た図、すなわち、紙面上方向のパルスバルブのジェット流噴射方向から見た図である。パルスバルブからHe等の不活性ガスとともに真空中に放出された有機分子に対して共鳴選択励起する紫外線レーザを照射し、多光子吸収過程を経由してイオン化する装置である。イオン化された有機分子は、飛行時間型質量分析計(Time−of−Flight Mass Spectrometry:TOF−MS)により質量分析され検出されるため、異性体などは共鳴波長の違いにより選別され、異なる質量数を持つ異なる有機分子は分離可能である。また、静電反射型TOF−MSを用いることで、パルスバルブ近傍や引き出し電極に衝突して発生したイオンなどを分離し、検出器に到達させずに雑音を低減することができる。
【0018】
本発明に係るレーザイオン化領域5の真空度は、レーザにより発生したイオンの検出器に到達するまでの生き残り確率を大きくするために、10−2Pa以下にする必要がある。また、隣接するTOF−MSに設置された検出器の雑音を軽減するためには、TOF−MS内において10−5Pa以下の真空度が必要となる。したがって、イオン化領域とTOF−MSとの間で差動排気を行ったとしても、レーザイオン化領域の真空度は10−5Pa程度が必要である。またさらに、レーザイオン化領域に導入する粒子数をより多くすることが、高感度化にとって重要である。したがって、レーザイオン化領域の真空度は、10−3Pa程度が最適である。
【0019】
本発明に係るアインツェルレンズ4の後段には、ポテンシャルスィッチ9が設置されている。ポテンシャルスィッチとは、円筒形状の電極である。ここで、一般的な測定条件である対向電極+2kV、引き出し電極−2kVを印加した場合について考えてみることにする。引き出し電極1から−2kVで引き出されたイオンは、ポテンシャルスィッチ9が接地されていると、反発電位を感じ、ポテンシャルスィッチ9の空洞内で彷徨い、TOF−MSの方に引き出されてこない。一方、ポテンシャルスィッチ9に−2kVが印加されていれば、イオンは引き出し電極1と同電位のポテンシャルスィッチ9の中を等速運動で通過していく。しかし、ポテンシャルスィッチ9の出口を出た瞬間、ほぼ無電位のディフレクタ11、12や、接地されているTOF−MSを感じ、やはり飛散して検出器に到達できない。
【0020】
そこで、本発明者らは、特願2001−207261号で、円筒形状のポテンシャルスイッチ9にパルス状の高電圧を印加する、つまり、注目する粒子が−2kVを印加したポテンシャルスィッチ9内に到達した時間に、ポテンシャルスイッチ9の電位をパルス状に接地電位まで昇圧することを提案しており、これにより、上述した問題は解決できる。即ち、ポテンシャルスィッチ9内に到達したイオンは、−2kVの電位で等速運動しているが、パルス状に接地電位まで昇圧される結果、ポテンシャルスィッチ9の出口では、ディフレクタ11、12、およびTOF−MSの接地電位を感じることなく等速運動を継続し、検出器に到達する。
【0021】
本発明に係る出鼻形状の電極は、外周部に接地された静電メッシュを有するため、パルスバルブをレーザイオン化領域の近傍に接近させることができる。さらに、本発明に係る出鼻形状の電極は、バルブの前方にスキマーを設置する必要がないため、自由分子流(Free jet)を利用することができる。従って、分子流を効率良く冷却できるとともに、バルブをイオン化領域に接近した位置に配置できる。これは、超音速分子流の最も密度の高いノズル直下数mmの位置での検出が可能となることを意味し、高感度化にとって非常に有利となる。
【0022】
本発明に係るJet−REMPI装置では、パルスバルブのノズル開口径をD、ノズル先端から分子流が最も冷却される状態に到達する距離をYとすると、Y/Dの最適設定値は、15≦Y/D≦50の範囲に存在する。
分子流中の分子濃度は、Yが大きくなるほど距離の二乗に反比例して減少するため最適範囲が存在する。また、分子流の冷却についても同様に最適範囲が存在し、例えば、冷却ガスにHeを使用した場合、分子流の冷却はY/D=40でほぼ完了する。しかし、分子流の冷却条件には、真空度、排気ポンプの排気速度、冷却ガス種類等に依存し、例えば空気等を用いた場合には冷却速度が低下する。したがって、Y/Dはある範囲を持たせることが好ましく、具体的には、Y/Dの上限は50であることが好ましい。Y/Dが、50超では分子流の冷却効果が飽和し、さらに分子流中の分子濃度が減少するため好ましくない。なお、Y/Dの下限は装置上の制約によるものである。
【0023】
パルスバルブ噴射口とレーザイオン化領域の中心までの距離をX(mm)とすると、本発明に係るJet−REMPI装置のレーザイオン化領域の中心は、ノズル先端から分子流が最も冷却される状態に到達する距離に形成することが好ましいためX=Yとなり、X/Dの最適設定値は、上記理由により、15≦X/D≦50の範囲に存在する。
【0024】
さらに、本発明に係るパルスバルブのノズル開口径Dは、パルスバルブの種類により異なるが、ノズル開口径Dを大きくしすぎると、チャンバの排気に大きな負荷がかかり現実的ではなく、逆にノズル開口径Dを小さくしすぎると噴出圧力がかかりすぎるため好ましくない。従って、ノズル開口径Dの好ましい範囲は、0.4mm≦D≦1.5mmである。前記パルスバルブのノズル開口径の適正範囲を考慮すると、パルスバルブ噴射口とレーザイオン化領域の中心までの距離X(mm)は、特に、15≦X≦45が好ましい。Xが45mm超では、分子ジェットが広がり、出鼻形状の電極に衝突した粒子によるノイズが発生するため好ましくなく、一方、Xの下限は装置上の制約によるものである。
なお、分子流は25mm超で冷却効果が飽和するため、15≦X≦25mmが高感度化検出にとって特に好ましい。
【0025】
【実施例】
以下に、本発明について、実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
図2に示す光学系で、図3に示すJet−REMPI装置を用いて、フェノールの共鳴多光子吸収イオン化(REMPI)スペクトル変化を観察した。パルスバルブ先端とレーザイオン化領域の中心までの距離は、25、45、65mmとした。なお、パルスバルブのノズル開口径は0.5mm、静電メッシュとレーザイオン化領域の中心までの距離は20mmとした。このため、パルスバルブ先端−レーザイオン化領域の中心までの距離は、25mm以下とすることができなかった。
【0026】
測定結果を図4に示す。パルスバルブ噴射口−レーザイオン化領域中心部間距離を変化させても、スペクトルの半値幅はほとんど変化しないことがわかる。得られたスペクトルの半値幅から超音速分子ジェットは6Kまで冷却されていることが確かめられ、レーザ波長を同調させることで分子選択性を十分確保できる条件となっていることを確認した。
これは、静電メッシュからレーザイオン化領域の中心まで20mmの距離があり、パルスバルブから噴出されたガス流は、既に十分冷却されているためであると考えられる。
【0027】
一方、パルスバルブ先端とレーザイオン化領域の中心までの距離を大きくとると、電極等に衝突するためスペクトルがテールを引く傾向が見られる。これは、ジェット中の分子の静電メッシュへの衝突が起こり、分子の冷却が妨げられること、分子が静電メッシュと衝突した際に、前もって静電メッシュに吸着していた分子が放出されてイオン化し、質量分析計に雑音が入ることなどが原因であると考えられる。
したがって、パルスバルブのノズル開口径を0.5mm、静電メッシュとレーザイオン化領域の中心までの距離を20mmとした場合、パルスバルブ噴射口−レーザイオン化領域中心部間距離は25mmが最適距離であることを確認した。
【0028】
(実施例2)
実施例1と同様の装置および条件で、パルスバルブ噴射口−レーザイオン化領域中心部間距離は実施例1で求めた最適距離である25mmに設定し、クロロベンゼンの信号強度の濃度依存性を測定した。また、比較例1として、本発明者らが特願2001−207261号で示したJet−REMPI装置を用い、さらに、パルスバルブ噴射口−レーザイオン化領域中心部間距離は実施例1で求めた最適距離範囲外で、同様の実験を行った。
図5にクロロベンゼン濃度と検出信号の相関を示す。図からわかるように、前記最適距離での測定は、比較例1よりも更に2〜5倍の検出感度で超微量ガスが測定でき、検出限界は約0.1pptである。
【0029】
【発明の効果】
本発明により、高温炉あるいは煙道内に存在する超微量ガス、高沸点ガス、不安定ガスの検出に優れた高感度超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平行平板型電極を用いた従来の超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置の概要図である。
【図2】本発明に係る超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置の光学系の概要図である。
【図3】本発明に係る超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置の概要図である。
【図4】本発明に係る出鼻形状の電極を用いて得られたフェノールのREMPI信号スペクトルのパルスバルブとレーザイオン化領域の距離依存性を示したものである。
【図5】本発明のJet−REMPI装置で得られたモノクロロベンゼンの検量線(実施例2)と、本発明者らが特願2001−207261号で示したJet−REMPI装置で得られた検量線(比較例1)の比較を示す図である。
【符号の説明】
1 : 引き出し電極 2、2′: ガイド電極
3、3′: 静電メッシュ 4、4′: アインツェルレンズ
5 : レーザイオン化領域 6 : 支持棒
7 : 対向電極 8 : スキマー
9 : ポテンシャルスィッチ 10 : パルスバルブ
11 : Y軸ディフレクタ 12 : X軸ディフレクタ
13 : 検出器 14 : 抵抗分割器
15 : プリアンプ
16 : ディジタルオシロスコープ
17 : BOXCAR積分器
18 : パーソナルコンピュータ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer for detecting a trace amount of gas, a gas having a high boiling point, and an unstable gas emitted from a high-temperature furnace or a combustion furnace with high sensitivity.
[0002]
[Prior art]
The conventional official measurement and analysis method of dioxin is shown as a standard measurement method in the "Guidelines for Prevention of Dioxins" compiled by the Ministry of Health, Labor and Welfare. In this method, dioxins are extracted with an organic solvent, concentrated and separated by various chromatographic methods, and then analyzed by gas chromatography / mass spectrometry (GC / MS). This test analysis process requires a great deal of measurement time and cost.
On the other hand, at present, there is a strong concern that the effects of organic chlorine compounds such as dioxins on the human body are insignificant. The development of a new evaluation technique that enables selective and quantitative on-site real-time analysis is desired.
[0003]
In general, an organic molecule has an electronic state due to its molecular skeleton, and a vibration level, a rotational level, and the like interact in a complicated manner in that state. Absorption spectroscopy using infrared rays, ultraviolet rays, or the like is a method of identifying existing molecular species by utilizing light absorption due to the difference in molecular skeleton of organic molecules. The supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometry (Jet-REMPI) method is expected to be able to select and detect an organic molecule in real time by utilizing the excited state inherent to the molecule. . The Jet-REMPI method is attracting attention as an analytical method that does not require a pretreatment method for concentration like the official method and can detect with high sensitivity and high chemical species selectivity. This principle will be briefly described.
[0004]
The Jet-REMPI method is a method that combines the resonance multiphoton absorption ionization (REMPI) method and the supersonic molecular jet (Jet) method.
Resonance enhanced multi-photon ionization (REMPI) is a technique in which, when an organic molecule is excited by laser light, only a specific molecular species is tuned by tuning a laser wavelength to an excitation level peculiar to a molecule of interest. In this method, ions are selectively ionized (resonant multiphoton absorption ionization) and ions are detected using a mass spectrometer. In order to ionize a sample by light absorption, a wavelength near a peak observed in an absorption spectrum is used from the viewpoint of an absorption cross section (absorption efficiency). However, the peak width of the absorption spectrum of an organic compound at normal temperature and normal pressure becomes wider due to the overlap of transitions from vibrational and rotational levels, and it is not possible to separate the absorption peaks of isomers having similar structures. On the other hand, when this molecule is cooled to near absolute zero (several K), the electrons are located in the true ground state without vibration or rotation, and are excited only to a specific level by the selectivity of transition. As a result, only a few sharp peaks are observed. The peak width is determined by the cooling temperature, but is usually about 0.01 nm. With this peak width, isomers having very similar structures can be selectively excited and ionized by using a wavelength tunable laser.
[0005]
The supersonic molecular jet (Jet) method is one method of cooling molecules to extremely low temperatures. In this method, vaporized sample molecules are ejected into a vacuum from a pinhole together with a rare gas such as helium or argon, and the sample molecules are instantaneously cooled to near absolute zero by adiabatic expansion cooling and collision with the rare gas. Is the way. Since the speed of molecules reaches several tens of times the speed of sound, it is called the supersonic molecular jet method.
As described above, the supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometry (Jet-REMPI) method freezes the vibration / rotation level of a molecule of interest and assigns the energy of a tunable laser to the resonance excitation level of the molecule of interest. This is a method in which only specific molecules are selectively ionized by tuning, and mass analysis is performed.
[0006]
FIG. 1 shows an outline of a general Jet-REMPI apparatus. The
The particles ejected from the
[0007]
Using a nonlinear optical crystal, a visible light (ω) generated from a dye laser is used to generate a second harmonic (ω / 2), which is a selective excitation wavelength of a molecule of interest, and is inserted into a
[0008]
Attempts to use the Jet-REMPI method having such characteristics as an on-line real-time analysis method for harmful organic compounds have been actively studied in recent years, and Oser et al. Report that about 10 ppt of dichlorodioxin can be detected. (For example, see Non-Patent Document 1).
On the other hand, the regulated concentration of harmful organic compounds such as dioxin is changed from ppt to ppq level, and it is necessary to consider further increasing the sensitivity. It should be noted that the development of a high-sensitivity analyzer is strongly desired not only for dioxin analysis but also for general gas analysis.
[0009]
[Non-patent document 1]
H. Oser, R .; Thanner, H .; H. Grotheer, B.S. K. Gillett, N.W. B. French, and D.C. Natscke, Proc. 16 th Int. Conf. on Inclusion and Thermal Treatment Technologies (1997)
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer capable of further high-sensitivity analysis in the Jet-REMPI method in order to meet the above demand.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
As described above, the regulated concentration of harmful organic compounds such as dioxin changes from the ppt level to the ppq level, and it is necessary to consider further increasing the sensitivity. However, in the conventional supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometry (Jet-REMPI) apparatus, particularly when analyzing ultratrace components such as dioxins, it is the pulse ionization source that reaches the detector. Since all ions are ionized, there is a high possibility that the signal of the molecule of interest will be counted down.In order to avoid this, if the output of the pulse ionization source is reduced, signals of ultra-trace components cannot be detected. there were.
[0012]
On the other hand, the present inventors have disclosed in Japanese Patent Application No. 2001-207261, in order to solve the problems of the conventional Jet-REMPI device, efficiently introduce generated ions into a detector, and achieve high ion detection efficiency. Propose a system to achieve. That is, the ion optical system of the device has a nose-shaped extraction electrode that efficiently guides generated ions to the detector, the efficiency is higher, and a counter electrode provided to further suppress noise, an electrostatic electrode, This system has a mesh and a guide electrode, and has a feature of avoiding the saturation of the mass spectrometer by selectively detecting the generated ions to detect the ion particles of interest more quantitatively and with high sensitivity.
However, in Japanese Patent Application No. 2001-207261, the shape and the position of the gas injection port are not examined. As a result of the investigation by the present inventors, the cooling of the gas injected by the shape and the position of the gas injection port is performed. When the state changes greatly and the opening diameter of the gas injection port is D (mm) and the distance between the gas injection port and the center of the laser ionization region is X (mm), when 15 ≦ X / D ≦ 50, We have newly obtained the knowledge that the ion particles of interest can be detected with high sensitivity.
[0013]
The present invention has been made based on the above findings, and the gist is as follows.
(1) a pulse valve for introducing a sample gas into the apparatus, an ionization region for ionizing the sample gas released from the pulse valve, and an ion optical system for introducing ions generated in the ionization region to a detector; A supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer comprising an ion detector for detecting ions extracted from the ion optical system, wherein the extraction electrode of the ion optical system has a nasal electrode shape, and the extraction electrode A counter electrode of the same shape is arranged at a position directly opposite to the above, a cylindrical potential switch is arranged behind the extraction electrode, the detector is arranged further behind the same, and holes of the extraction electrode and the counter electrode are arranged. , The detector is arranged on the same straight line, and the opening diameter of the pulse valve injection port is D (mm). A high-sensitivity supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer characterized by satisfying 15 ≦ X / D ≦ 50, where X (mm) is the distance to the center of the ionization region.
(2) The high-sensitivity supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer according to (1), wherein an orifice is provided near a focus of ions inside the extraction electrode.
(3) The high sensitivity supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer according to (1) or (2), wherein X (mm) satisfies 15 ≦ X ≦ 45.
(4) The high-sensitivity supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer according to (1) or (2), wherein X (mm) satisfies 15 ≦ X ≦ 25.
[0014]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
An embodiment of the present invention will be described below. Note that the present invention is not limited to the conditions shown here.
FIG. 2 shows a schematic diagram of an ion optical system of a supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer (Jet-REMPI) apparatus according to the present invention. This figure is a diagram of the optical system viewed from the jet flow jetting direction, that is, a diagram of the pulse valve 10 (not shown) viewed from the jet flow jetting direction in the upward direction on the paper surface. As an electrode constituting the ionization region according to the present invention, a nose-shaped electrode proposed by the present inventors in Japanese Patent Application No. 2001-207261 is used. The nasal electrode can increase the ion collection efficiency as compared with the conventional parallel plate type. The generated ions are focused inside the nasal exit electrode, converted into a parallel beam by the
[0015]
The
The pair of electrodes (the
[0016]
The two
[0017]
FIG. 3 shows an example of a schematic diagram of a Jet-REMPI apparatus according to the present invention. This figure is a diagram of the optical system viewed from the jet flow jetting direction, that is, a diagram viewed from the jet flow jetting direction of the pulse valve in the upward direction on the paper surface. This device irradiates an organic molecule released into a vacuum together with an inert gas such as He from a pulse valve with an ultraviolet laser for resonance selective excitation, and ionizes it through a multiphoton absorption process. The ionized organic molecules are mass-analyzed and detected by a time-of-flight mass spectrometry (TOF-MS), so that isomers and the like are selected based on the difference in resonance wavelength, and different mass numbers are used. Different organic molecules with are separable. In addition, by using the electrostatic reflection type TOF-MS, ions generated in the vicinity of the pulse valve or in collision with the extraction electrode can be separated, and noise can be reduced without reaching the detector.
[0018]
The degree of vacuum in the
[0019]
A
[0020]
Then, the present inventors applied a pulse-like high voltage to the cylindrical
[0021]
Since the nose-shaped electrode according to the present invention has the electrostatic mesh grounded on the outer peripheral portion, the pulse valve can be brought closer to the vicinity of the laser ionization region. Further, the nasal-shaped electrode according to the present invention does not require a skimmer to be provided in front of the bulb, so that a free molecular flow (Free jet) can be used. Therefore, the molecular flow can be efficiently cooled, and the valve can be arranged at a position close to the ionization region. This means that it is possible to detect a supersonic molecular flow at a position several millimeters immediately below the nozzle with the highest density, which is extremely advantageous for increasing the sensitivity.
[0022]
In the Jet-REMPI apparatus according to the present invention, assuming that the nozzle opening diameter of the pulse valve is D and the distance from the nozzle tip to the state where the molecular flow is most cooled is Y, the optimal setting value of Y / D is 15 ≦ It is in the range of Y / D ≦ 50.
Since the molecular concentration in the molecular flow decreases in inverse proportion to the square of the distance as Y increases, there is an optimum range. An optimum range similarly exists for cooling the molecular flow. For example, when He is used as the cooling gas, the cooling of the molecular flow is almost completed when Y / D = 40. However, the cooling condition of the molecular flow depends on the degree of vacuum, the evacuation speed of the evacuation pump, the type of cooling gas, and the like. For example, when air or the like is used, the cooling speed decreases. Therefore, it is preferable that Y / D has a certain range. Specifically, the upper limit of Y / D is preferably 50. When Y / D is more than 50, the cooling effect of the molecular flow is saturated, and the molecular concentration in the molecular flow is undesirably reduced. The lower limit of Y / D is due to restrictions on the device.
[0023]
Assuming that the distance between the pulse valve injection port and the center of the laser ionization region is X (mm), the center of the laser ionization region of the Jet-REMPI device according to the present invention reaches a state where the molecular flow is most cooled from the nozzle tip. Therefore, X = Y, and the optimal set value of X / D exists in the range of 15 ≦ X / D ≦ 50 for the above-described reason.
[0024]
Further, the nozzle opening diameter D of the pulse valve according to the present invention varies depending on the type of the pulse valve. However, if the nozzle opening diameter D is too large, a large load is imposed on the exhaust of the chamber, which is not realistic. If the diameter D is too small, the ejection pressure is too high, which is not preferable. Therefore, a preferable range of the nozzle opening diameter D is 0.4 mm ≦ D ≦ 1.5 mm. Considering an appropriate range of the nozzle opening diameter of the pulse valve, the distance X (mm) between the pulse valve injection port and the center of the laser ionization region is particularly preferably 15 ≦ X ≦ 45. If X is more than 45 mm, the molecular jet spreads and noise is generated by particles colliding with the nose-shaped electrode, which is not preferable. On the other hand, the lower limit of X is due to restrictions on the apparatus.
Since the cooling effect is saturated when the molecular flow exceeds 25 mm, 15 ≦ X ≦ 25 mm is particularly preferable for high sensitivity detection.
[0025]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described based on examples.
(Example 1)
Using the optical system shown in FIG. 2, the change in resonance multiphoton absorption ionization (REMPI) spectrum of phenol was observed using the Jet-REMPI apparatus shown in FIG. The distance from the pulse valve tip to the center of the laser ionization region was set to 25, 45, and 65 mm. The nozzle opening diameter of the pulse valve was 0.5 mm, and the distance between the electrostatic mesh and the center of the laser ionization region was 20 mm. For this reason, the distance from the tip of the pulse valve to the center of the laser ionization region could not be less than 25 mm.
[0026]
FIG. 4 shows the measurement results. It can be seen that even when the distance between the pulse valve injection port and the center of the laser ionization region is changed, the half width of the spectrum hardly changes. From the half width of the obtained spectrum, it was confirmed that the supersonic molecular jet was cooled to 6 K, and it was confirmed that the conditions were such that the molecular selectivity was sufficiently secured by tuning the laser wavelength.
This is probably because the distance from the electrostatic mesh to the center of the laser ionization region was 20 mm, and the gas flow ejected from the pulse valve was already sufficiently cooled.
[0027]
On the other hand, if the distance between the tip of the pulse valve and the center of the laser ionization region is increased, the spectrum tends to be tailed due to collision with an electrode or the like. This is because the molecules in the jet collide with the electrostatic mesh, preventing the cooling of the molecules, and when the molecules collide with the electrostatic mesh, the molecules previously adsorbed on the electrostatic mesh are released. This is considered to be due to ionization and noise entering the mass spectrometer.
Therefore, when the nozzle opening diameter of the pulse valve is 0.5 mm and the distance between the electrostatic mesh and the center of the laser ionization region is 20 mm, the optimal distance between the pulse valve injection port and the center of the laser ionization region is 25 mm. It was confirmed.
[0028]
(Example 2)
Under the same apparatus and conditions as in Example 1, the distance between the pulse valve injection port and the center of the laser ionization region was set to the optimum distance of 25 mm obtained in Example 1, and the concentration dependence of the signal intensity of chlorobenzene was measured. . Further, as Comparative Example 1, the Jet-REMPI apparatus disclosed by the present inventors in Japanese Patent Application No. 2001-207261 was used, and the distance between the pulse valve injection port and the center of the laser ionization region was determined by the optimum value obtained in Example 1. Similar experiments were performed outside the distance range.
FIG. 5 shows the correlation between the chlorobenzene concentration and the detection signal. As can be seen from the figure, in the measurement at the optimum distance, an ultra-trace gas can be measured with a
[0029]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to provide a high-sensitivity supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer that is excellent in detecting an ultra-trace gas, a high-boiling gas, and an unstable gas existing in a high-temperature furnace or a flue.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram of a conventional supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer using parallel plate electrodes.
FIG. 2 is a schematic diagram of an optical system of a supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer according to the present invention.
FIG. 3 is a schematic diagram of a supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer according to the present invention.
FIG. 4 shows the distance dependence of the REMPI signal spectrum of phenol obtained using the nasal electrode according to the present invention between the pulse valve and the laser ionization region.
FIG. 5 shows a calibration curve of monochlorobenzene obtained with the Jet-REMPI apparatus of the present invention (Example 2) and a calibration curve obtained with the Jet-REMPI apparatus shown in Japanese Patent Application No. 2001-207261 by the present inventors. It is a figure which shows the comparison of a line (comparative example 1).
[Explanation of symbols]
1:
Claims (4)
15≦X/D≦50
であることを特徴とする高感度超音速分子ジェット多光子吸収イオン化質量分析装置。A pulse valve for introducing a sample gas into the apparatus, an ionization region for ionizing the sample gas released from the pulse valve, an ion optical system for introducing ions generated in the ionization region to a detector, and the ion optics A supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer comprising an ion detector for detecting ions extracted from the system, wherein the extraction electrode of the ion optical system has a nasal electrode shape, and faces the extraction electrode. A counter electrode of the same shape is disposed at the position, a cylindrical potential switch is disposed behind the extraction electrode, and the detector is disposed further behind the extraction switch, and holes of the extraction electrode and the counter electrode are detected. Are arranged on the same straight line, and the opening diameter of the pulse valve injection port is D (mm). When the distance to the center of the area to X (mm),
15 ≦ X / D ≦ 50
A high sensitivity supersonic molecular jet multiphoton absorption ionization mass spectrometer characterized by the following.
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002276672A JP2004119026A (en) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | High sensitivity supersonic speed molecule jet multiphoton absorption ionization mass spectroscopic apparatus |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|---|
JP2007315847A (en) * | 2006-05-24 | 2007-12-06 | Nippon Steel Corp | Jet-rempi device for gas analysis |
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2002
- 2002-09-24 JP JP2002276672A patent/JP2004119026A/en active Pending
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