JP2004118088A - オフ軸反射器、中性密度ウィンドー及び非球面補正された回転面を使用する小実像投射システムにおける映像画質向上及び収差補正の方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフ軸反射器、中性密度ウィンドー及び非球面補正された回転面を使用する小実像投射システムにおける映像画質向上及び収差補正の方法及び装置を提供する。
【解決手段】実像投射システムは二つの異なった光学的回転面を持つ単一の曲面ミラーを含んでおり、それら二つの回転面のうちの一方は凸面側に、そして他方は凹面側にある。一実施例においては、その凸面は反射性の光学被覆を施した球面又は放物面の回転面を持つ円錐曲面である。その凹面はManginミラーのそれに非常に似ているが、光学軸から離れたより広い領域にわたって球面収差を減少させるために最適化された非球面の回転面を持っている。そのシステムは、非球面の凹回転面を使用するManginミラーの方法が好ましい実施例ではあるが、選択的に収差の減少のために凹面上に単一の非球面を使用している。
【選択図】 図1
【解決手段】実像投射システムは二つの異なった光学的回転面を持つ単一の曲面ミラーを含んでおり、それら二つの回転面のうちの一方は凸面側に、そして他方は凹面側にある。一実施例においては、その凸面は反射性の光学被覆を施した球面又は放物面の回転面を持つ円錐曲面である。その凹面はManginミラーのそれに非常に似ているが、光学軸から離れたより広い領域にわたって球面収差を減少させるために最適化された非球面の回転面を持っている。そのシステムは、非球面の凹回転面を使用するManginミラーの方法が好ましい実施例ではあるが、選択的に収差の減少のために凹面上に単一の非球面を使用している。
【選択図】 図1
Description
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は小光学表示システムの分野に関している。さらに特に、本発明は収差減少方法のいくつかの組合せの使用による実像投射システムの画質向上の装置及び方法に関している。主要な画質向上は観察距離が比較的接近している小実像システムに共通なゴースト減少と非点収差の減少である。
【0002】
関連技術の説明
本発明は実像投射システム、特に、実際の対象物体の映像が空間に形成されるが、実際の対象物体は現実には存在しないのに空間の一点に存在するという幻影を作っているシステムに関している。実像投射システムは通常は映像形成用の球面又は放物面ミラーを組み込んでいる。観察者が観察される映像からかなりの距離に位置している大型システムにおいては、例えば球面収差や特に非点収差のような光学収差が、観察者が映像の近くに位置している小型システムにおけるような問題を持つことは少ない。非点収差は長時間映像を観察している時の眼の変形に起因しており、このことは小実像投射システムがゲームへの応用と同様にワークステーションへの応用に幅広く組み入れられていない主要な理由の一つとなっていた。
小実像システムが幅広く受け入れられていない今一つの理由は、接近した距離から表示物を観察する時に、システム内のゴーストが非常に顕著であることである。色付きビームスプリッターや円形偏光子を含む多くの方法がゴーストを減少させるために使用されてきたが、そのどれもが完全に効果的ではなかった。円形偏光ウィンドーの使用をもってしても、ゴーストはたとえかなり減少したとしてもやはり見えている。円形偏光ウィンドーは典型的には最大42%の透過率を持ち、このことは映像の明るさをかなり減少させる。かくして、明るく照明されたアーケード又は他の公共のエリアにおいて、実像は通常観察困難である。
【0003】
他の光学収差は実像投射システムに対して問題を提供している。例えば、小さいシステムでは典型的に焦点距離が短いので、小さいシステムほど視野湾曲ひずみが顕著な問題である。例えば、CRTスクリーン上に表示された長方形の形状はターゲット対象物の「魚眼」実像として投射される。長方形の像の縁は外側に反ったように見え、長方形の像の中央は縁に比べて膨らんで見える。これは球面ミラーの自然現象であり、光線路にかなりの数のレンズを追加することなしには通常補正することはできない。このことは表示システムを物理的にかなり大きいサイズにするとともにこのような表示システムの製造コストを法外なものにする。
光学体はこれらの収差の或物、例えば球面収差に対してManginミラーの使用により補償するようデザインされてきた。このミラーはより長い半径の反射用凹状球面とより短い半径の透過用凹状球面を持つ。しかしながら、この方法は実像投射システム用としては現実的ではない。なぜなら、映像ソース又はターゲットは、単一点映像システムにおけるように、ミラー湾曲面の焦点又は中心において一点ではないからである。実像投射システムにおいては、ターゲットは通常例えばモニタースクリーンのように長方形であり、その場合スクリーンの中心のみがミラーの軸上又は焦点上にある。Mangin式二重曲面補正ミラーは凹球面を非球面の回転面で置換することによりかなり改善することができ、そのことはミラー軸から離れた点の非点収差を減少させるであろう。かくして、二つの球面を組み合わせたManginミラーはオン軸システムの軸に沿った点に対して完全に効果的であるが、ターゲットの点がミラー曲面の軸から離れるに従って非点収差の問題は漸次悪化する。凹面上の非球面は補正を最適化し、軸又は焦点の周囲のより広い領域の非点収差を減少させるであろう。
小さいシステムが主流とならなかった別の理由は曲面光学体を合理的な量だけ生産することの困難性のためである。この問題は補正用光学曲面が組み合わされる時に構成される。
【0004】
発明の概要
本発明の実像投射システムは改良された作像を持つ小さい表示装置を生産し、従来のシステムに関するゴーストを減少させるいくつかの組合せにより成る方法を使用する。
本発明のシステムは、二つの異なった光学回転面を持ち、一つは凸面上に、他の一つは凹面上にある、単一の曲面ミラーを使用する。一つの実施例においては、その凸面は反射性光学被覆を施した球面又は放物面の回転面で成る円錐曲面である。凹面の方はManginミラーによく似ているが、光学軸から外れたより広い領域にわたる球面収差を減少させるために最適化された非球面の回転面を持つ。そのシステムは、非球面の回転凹面を使用するManginミラー式方法が好ましい実施例であるにせよ、選択的に収差の減少のため凹面上に単一の非球面の回転面を使用する。
最少の収差及び非点収差を備えたミラーを製造するのに二つの問題がある。回転面の質は非常に精密でなければならない。このことは典型的に表面の精密研磨を意味し、かくして与えられた時間内に生産し得るそのようなミラーの量を制限し、商業上の実像表示システムとして一般に受け入れられるコスト以上のコストを生み出す。また、非球面は生産が極度に困難であり、精密な曲面に仕上げるために手で研磨しなければならない。かくして、非球面の光学回転面の複雑性はミラーを大量生産することを妨げる。したがって製造の好ましい方法は射出成形である。
射出成形は、小さい光学体の製造方法としては普通であるが、直径5インチ以上の光学体用としては普通使用されていなかった。いくつかの技術によれば直径18インチまでの光学体の射出成形は成功裏に達成され得る。通常の実施手段よりも200%だけモールドゲートの寸法を増大させること及びモールドにゲート数を増大させることは均一な流れを確実にする。射出成形工程中の空気抜き用ポートの数を増大させることも重要である。必要な今一つのステップは標準必要量の150%で加圧トン数を計算することである。
【0005】
ミラーの表面精度はモールドの表面精度に直接関係する。精密な非球面を創成することは射出成形の仕事としては単純ではない。モールドは別々の挿入物又は小さ目のスチールブロックでデザインされなければならない。スチールブロックは完全な親光学体として又は大きなボウルとして非球面の回転面になるようにダイヤモンドターンされ、それにより光学体は丸く、そして対称的となる。ダイヤモンドターニングはあつらえの空気ベアリング旋盤で達成される。空気ベアリングは極度に精密な制度を確実にし、そういう精度は従来の旋盤では不可能である。非球面は単一の尖ったダイヤモンドで切られ、曲面精度は「CNC」つまりコンピュータ数値制御を使用して維持される。視覚光学システムに対しては、曲面の精度はインチ当たり5フリンジの曲率変化又はモールドの全表面にわたって直線インチ当たり表面偏差値0.000055インチ(すなわち1インチの百万分の一単位で55)に保持されるべきである。これはレーザー光学体又は望遠鏡光学体が要求するよりずっと寛大な公差であるが、それでもなお従来の加工技術の可能性を超えている。これらの公差は空気ベアリング付きダイヤモンドターニングによってのみ保持し得る。ダイヤモンドターンされた曲面の加工面は磨かれたように見え、手仕上げの必要性を最小にする。
ひとたび最終の曲面がスチールブロックに切られたら、光学体の最終形状はダイヤモンドワイヤ鋸で少しオーバーサイズ気味に荒削りされ、最後に、仕上げられる縁部の面はEDM加工すなわち電気放電加工される。次に主要なモールドハウジングは、挿入物が、溶融プラスチックが通り抜けるギャップより小さいギャップで、ハウジング中にはめ込まれる、又はほとんど継ぎ目なしにはめ込まれる公差に加工される。
ミラー面は応力や収差があってはならない。かくして取付けのデザインはきわめて重要である。アクリル製のミラーは取付け装置にしっかりと保持された時応力を発生させ、変形する。ミラーの裏面に何かを取り付けることはその前面に応力や光学的影響を伝達するであろう。応力が発生しない取付け方法は、ミラーが側面又は縁で保持されることを要し、取付けタブはどんなことがあってもミラーを変形させないように十分の隙間を保持して取付け溝の中に浮かせるようにしなければならない。
被写界の湾曲ひずみは光線路にいくつかの補正レンズを組み込むことなしには光学的に除去することができない。被写界の湾曲ひずみはターゲット対象物が「魚眼」レンズで見るような状態で投射される原因となる。映像の中心は拡大されたように見え、その縁は外側に湾曲する傾向にある。本発明はこのひずみの補正に対してユニークな方法を使用している。CRTの前面上のターゲット映像は「ピンクッション」され、すなわち魚眼ひずみに対して補償される。これはCRTにおいて電子工学的に、又はLCDパネル入力の場合にはソフトウェアにより達成される。
【0006】
小実像作像システムに付随する主要な問題は望まれざるゴースト映像の発生であり、それはオン軸投射システムでは典型的である。観察者が実像投射システムのアパーチャーを覗き込む時、観察者は表示ユニットの内部に浮かぶ自分自身の反射像をさかさまに見る。ウィンドーの覗き穴に入って来る、そのシステムの外側のすべての光源又は反射光はそのシステムの内側に像を結び、それは観察者に見える。本発明の装置はゴースト排除のための組み合わせ方法を使用している。曲面ミラーは好ましくは10〜20度の角度で入力光路に対しオフ軸で傾いている。最適の傾斜面は、これがゴーストを完全に排除するとともに「ピンクッション」された入力光源を使用して補正することのできる被写界の湾曲ひずみを最小に保つため、15度である。
「傾斜オフ軸ミラー」のコンフィギュレーションにおいて、本発明のシステムはターゲット対象物すなわち実際の対象物及びそのターゲット対象物と曲面ミラーとの間の光路に設けられるビームスプリッターを含んでおり、その曲面ミラーは法線方向の光路軸に対してオフ軸に設けられている。ビームスプリッターは実質的に曲面ミラーの光学軸に対して限定はされないが45度の角度に設けられている。ターゲット対象物からの光は分散光線として導かれ、フォールドミラーで反射し、ビームスプリッターを経由して曲面ミラーへ伝播する。ビームスプリッターから曲面ミラーへの主要な光路軸は曲線ミラーの光学軸とは一致しない或角度にある。その光は曲面ミラーの光学軸に関し主要な光路の角度に対し余角をなして収束光として曲面ミラーから反射する。次にその収束光路はビームスプリッターで反射し、視軸上の一点で交差しすなわち焦点に達し、光学構造物の前方の空間に実像を形成する。システムのウィンドーアパーチャーから入る光は下方へ導かれ、その観察用アパーチャー内で出ることを阻止される。したがってゴーストの像は観察者には見えない。
システム内部においてウィンドーアパーチャーの下方の面は好ましくは平らな黒面がよい。この面は、実像を見る時、非常に暗いウィンドー開口部を形成し、極度に高いコントラストを提供するウィンドーアパーチャーにおいて映し出される。
【0007】
小実像表示システムにおいては、観察者が推奨された視野すなわち「アイボックス」の外側で移動するチャンスがより多い。観察者が下から上方を見上げる角度でシステムを見る時、或ゴーストが見えるであろう。そのようなゴーストは中性密度のウィンドーを使用することにより減少する。中性密度の材料は可視光スペクトルにわたるすべての周波数に対して等量の光を伝播させ、又は反射させるものである。最適の中性密度の吸収率は約30%であるが、システムの使用方法及び要求される映像の明るさに依存して他の吸収率も同様にあり得る。ターゲットからの映像光は例えば30%だけ減少するのに対し、システムの外側のソースからの光は30%だけ強度を減らしながら中性密度ウィンドーを通過し、曲面ミラーで反射し、そして中性密度ウィンドーから出る時さらに30%だけ減少し、かくして非常に強度の少ないゴースト像を形成する。今一つの光学的コンフィギュレーションは中性密度ウィンドーと同じ機能を持つ中性密度ビームスプリッターである。
かくして、本発明においては、(1)精密二重曲面の非球面ミラー(ダイヤモンドターニング及び射出成形により製造可能)、(2)傾斜オフ軸コンフィギュレーション及び(3)中性密度ウィンドー又はビームスプリッターの組み合わせがより明るい映像、かなりのゴースト減少及びかなりの光学収差と変形の減少を持つすぐれた小実像投射システムを提供し、他の点では小さい表示装置に共通している。選択的にピンクッションされたCRT入力が組み入れられる時、システムの性能はより以上に改善さえされる。これらの改善のすべてを取り入れると小実像投射システムの性能をかなり改善する。
【0008】
発明の詳細な説明
図1は本発明のミクロの実像表示システム用の光学システムの一実施例を示す。映像のソースはスクリーンから選択的なフォールドミラー(3)へ光(1)を放射するLCDすなわちモニター(6)である。そのフォールドミラーは、LCD(6)のほぼ中心に位置するターゲットソース(1)からの光がそのフォールドミラー(3)の表面で反射して傾斜した曲面ミラー(5)の反射面(14)の物理的中心に向かうような角度に設けられた平らな反射器である。その分散光線はビームスプリッター(4)を貫通し、その曲面ミラー(5)の反射面に突き当たる。その曲面ミラーはオフ軸状態に傾斜している。好ましい実施例においてはその曲面ミラー(5)の光学軸(12)はターゲット軸(11)すなわち作像光線から外れて、表示装置の後方に向かって10〜20度傾斜している。その曲面ミラーの半径中心(10)からその表面までの仮想線はその曲面ミラー(5)の光学軸(12)を定義づける。図1に示すシステムにおいて、ターゲットソース(1)からの分散光線はその曲面ミラーの表面にぶつかり、その曲面ミラー(5)の光学軸(12)に関して余角をなす角度で収束光線(15)として反射する。その収束光線(15)はビームスプリッター(4)の表面に対して余角をなす角度でそのビームスプリッター(4)から反射し、そしてこの例では選択的な中性密度フィルターガラスを含む観察用アパーチャー(8)に向かう。その光はその中性密度のウィンドーを通過して、システム(2)の焦点に到達し、自由空間に実像を形成する。図1に示すシステムはまたビームスプリッター(4)の後方に設けられた選択的なより大きい背後LCDすなわちモニター(7)を有し、そのためその背後LCDスクリーン(7)は、ウィンドー(8)から見る時、背景として見える。
【0009】
図2は図1で述べたシステムの迷光のゴースト作像を示す。表示システムの外の外側ソース(21)からの光は中性密度ウィンドーから入り、ビームスプリッター(4)にぶつかり、傾斜した曲面ミラー(5)の表面に向かって反射する。その光はその曲面ミラー軸(12)に対して余角をなす角度でその曲面ミラーから反射し、次に再びビームスプリッター(4)の表面で反射する。その曲面ミラー(5)は傾斜したオフ軸であるため、ビームスプリッター(4)で反射した光線(22)はウィンドーアパーチャー(30)の下側へ向かい、システムから出て行かない。したがってゴースト映像は見えない。
【0010】
図3は観察レベル(70)の下方の光源から生まれるゴーストを示す。ウィンドーアパーチャー(30)から入る光(27)はビームスプリッターで反射し、次に傾斜曲面ミラー(5)で反射する。その反射した光は再びビームスプリッター表面(4)で反射し、下方に向かう。この反射光(28)はウィンドーを通過して外へ出るが上向きの角度で観察する時にのみ見ることができる。小さいシステムにおいては、大きいシステムよりこれらのゴーストを見ることが容易である。そこで中性密度ウィンドー(8)がゴーストの強度を低下させるため組み入れてある。そのウィンドー(8)から入る光(27)は明るさを30%だけ減少させ、ビームスプリッターと曲面ミラーで反射し、ビームスプリッターで再び反射し、そのウィンドーを再び通過し、ゴーストの明るさを再び30%だけ減少させる。中性密度ウィンドー(8)を使用する時、ビームスプリッター(14)を組み入れることは反射に対する伝播の比率を高めるので有利である。ターゲット作像光はビームスプリッターにより反射するとともに伝播するので、伝播に対する反射の比率は明るさに小さい影響を持つ。ゴースト作像光はビームスプリッター(4)で2回反射するので、伝播対反射の比率は低い方が望ましい。例えば、65R/35Tビームスプリッター(伝播率65%、反射率35%)の使用は22.7%の伝播率すなわち明るさに帰着する。次にそれは中性密度ウィンドー(8)を通過して出て行くので30%だけ減少し、その結果15.9%の映像明るさとなる。システムの外側からのゴースト作像光(8)は中性密度ウィンドー(8)を通過して70%の明るさとなり、ビームスプリッターで35%反射して24.5%となり、ビームスプリッター(4)で再び35%反射して8.57%となり、最後に中性密度ウィンドー(8)から出て行き、その結果、実像明るさ15.9%に比べてゴースト映像強度6%になる。この説明は曲面ミラー又はガラス面からの伝播損失を説明するものではないが、中性密度ウィンドーの使用によるゴースト減少の原理を説明しようとするものである。
【0011】
図4は小型の「マイクロシステム」用の実像投射システムハウジング(9)と取付けフランジ(32)の一例を示す。そのケースハウジングは高容積の射出成形機で成形するようデザインされており、取付けフランジの方は例えば自動販売機やATMマシンのようなDEM装置の中に装置が容易に組み込まれることを可能にする。
図5は本発明のマイクロシステムで使用される射出成形されたミラーの一実施例を示す。曲面ミラーはその縁に取付けタブ(43,44)を持ち、作像システムにおいて浮上りなしの無応力取付けを可能にしている。そのミラーは光学グレードのアクリル樹脂から作られる。材料の選択はシステムデザインにより要求される屈折率によって決定される。曲面ミラーは二つの別個の回転面を持ち、そのうちの一つは反射用被覆が施されている凸面(42)上に、他の一つは収差及び歪みの減少のための補正用レンズ要素として作用する凹面(41)上にある。
ミラーに組み入れられることのできる曲面又は回転面の組合せがいくつかある。しかしながら、最適の組合せは凸面(42)上の球面の回転面と凹面(41)上の非球面状回転面の組み合わせである。いくつかの場合において、二つの違った非球面の回転面を備えたミラーを持つことは有利である。しかしそれは、システムが如何に使用されるべきか、そしてその適用によって生じる収差の効果に依存する。
【0012】
図6,7及び8は、二つの回転面(41,42)が如何に光学システムの収差を補正することができるかを示す。図7においては標準的Manginミラーが示されている。そのManginミラーは二つの違った球面の回転面を持ち、そのうち凹面の球状曲面(42)は凹面の球状曲面(41)より長い半径を持っている。凹面(41)はシステムの焦点における光源(80)からの光線を視準された光線(81,82)にするよう反射する補正レンズとして作用する。示された例は単一放物回転面の機能を模写するために二つの球状曲面を使用している。
【0013】
図8においては、凹面(43)上に曲面状の反射性被覆を施された単一球面の回転面のミラーが示されている。曲率(焦点距離の2倍)の中心(50)からずれた点(45)から発散する光は球面(56)で反射し、一点(46)に焦点を結ぶ。球面の他の点(57,58,59)にぶつかった光は空間中の少しずつ違った点(47,48,49)に焦点を結ぶ。これは非点収差と呼ばれる球面作像システムの自然現象である。非点収差は長時間システムを観察する時かなり目に歪みをもたらす可能性がある。
小実像投射システムは通常上向きに接近して観察されるので、非点収差はかなりの問題である。非点収差のための補正の一つの方法は共通の焦点に反射光を向け直すために光学路中に一つの補正レンズを組み入れることである。本発明は収差と非点収差に対して補正するためにManginミラーの概念の一つの変形を使用している。丁度図7におけるManginミラーが光波を屈折させて視準された光線にすることができるように、本発明の二重面ミラーはここに述べたように、ミラー基質を通過した光を屈折させてシステムの非点収差を補正することができる。しかしながら、Manginミラーと違って、図9に示すように、二つの球面が効果的でなければ、凹面の非球面の回転面(41)は反射光線(60,61)を共通の焦点(52)に向けて反射するようデザインすることができる。大抵の場合、補正は一つの凹面(41)上の非球面の回転面の中に組み入れることができる。そのため標準的な球面の回転面が凸面の反射面(42)の方に使用されることができる。実像が典型的に比較的長時間にわたって観察されるビデオゲームの用途の場合のようなシステムにおいては、凸面(42)と凹面(41)の両方に非球面の回転面を組み入れることが必要かもしれない。このことは最小の収差で実像を作り出すために必要となり得る。そのことは目のひずみなしに観察時間を延長するために必要である。
【0014】
図10は実像への被写界湾曲歪みの効果を示す。これは球面光学体と視覚表示システムの自然現象であり、補正レンズの配列を使用することなしにはこれを補正する実用的方法はない。商業上の実像表示システムにおいては、これは実用的でもなく、コストの効果性もない。曲面ミラーの光学軸(50)からずれた点(64,65,66)の像を作る時、焦点すなわち実像形成点(67,68,69)は映像ソース点(44,45,46)を備えた一直線上又は一平面上にはない。被写界湾曲歪みの効果は映像対象物が少し曲がったり、映像の中心の近くで拡大されることである。実像の中心は実像(69)の縁よりも装置から外側へ離れて投射される。
【0015】
図11及び12図においては、被写界湾曲歪みの効果が示されている。図11は二つの長方形を表示する通常のCRTスクリーン映像を示す。図12はシステムにより作られた実像と実像への被写界湾曲歪みの効果を示す。長方形は少し曲がっており、スクリーンの中心付近の領域で拡大されている。
CRTスクリーン上に「ピンクッション」と呼ばれる状態を作り出すことは被写界視野湾曲歪みの効果に対する補償となり得る。これは電子工学的に、すなわちソフトウェアを使用して映像を歪曲することによりなし得る。球面ミラーシステムにおいては、その歪みは球面の回転面のために相応に対称的で丸みがある。CRTは、図13に示すように、「ピンクッション」映像を作り出すために調整することができる。図14に示すように、結果的映像は被写界湾曲歪みを介しての補正の結果であり、かくして歪曲に対して補償する。
図3の中性密度ウィンドーは違った光学コンフィギュレーションを使用する時、別の変形を可能にする。図15においては、曲面ミラー(5)はターゲット軸(17)よりむしろ視軸(16)に沿って設けられている。このコンフィギュレーションにおいては、ビームスプリッター被覆(18)は中性密度ガラス(19)すなわち基質に施されている。ビームスプリッター被覆(18)は曲面ミラー(5)に面したビームスプリッター(4)の面に施されている。ターゲット対象物(1)からの光は中性密度材料(19)を通過することなくビームスプリッター被覆(18)で反射する。システムの外側からの光は中性密度材料を2回通過する。したがって、ゴースト作像光の強度はかなり減少する。
【0016】
図16は中性密度ビームスプリッターの変形を示す。この場合、中性密度被覆(20)が汚れない基質(19)の表面に施され、それからその反対側表面にはビームスプリッター被覆(18)が施されている。いずれか一方のコンフィギュレーションにおいて非反射被覆が選択的に中性密度被覆(20)の全面に、すなわちビームスプリッター被覆(18)と反対側の中性密度基質(19)の側に施されている。
図17は20%吸収の中性密度基質(19)のビームスプリッター、60%反射40%伝播のビームスプリッター被覆(18)及び85%反射曲面ミラー(5)を使用するシステムの伝播特性を示す。その結果の実像(2)の強度は原対象物(1)の光の強度の16.3%である。
図18は図17に示したのと同じシステムの外側(33)から発散するゴースト作像光の伝播特性を示す。ゴースト像(34)は実像に対する16.3%と比べて8.7%の強度でシステムから出る。示された例は60R/40Tビームスプリッターと20%吸収の中性密度のビームスプリッターを含んでいる。他の組合せは異なった性能特性を提供する。
【0017】
図19はビームスプリッターと中性密度吸収の種々の組合せの効果を示すチャートである。そのチャートから分かるように、ゴースト減少は映像の明るさを犠牲にして達成され、これに対する均衡は特別の応用に基づいて維持されるべきである。ゴースト減少に対する要求に関する今一つの考慮は要求される視角である。傾斜ミラーシステムは、合理的な入射角の範囲内で垂直に見る時、完全にゴーストの作像を排除する。ゴースト作像は通常の視軸の下からシステムを見る時にのみ見える。
図20は35%の吸収率を持つ中性密度ウィンドーの分光特性を示す。吸収率は可視色スペクトルの範囲にわたって比較的均一であり、紫外線及び赤外線の領域に入ると降下し始める。中性密度ウィンドーの価値はすべての色は可視スペクトルの範囲にわたって均一に吸収され、したがって実像が原対象物の真の色彩を写すものであることである。
図21は非球面モールドの製造プロセスを示す。非球面(130)は鋼モールドブランク(131)の中でダイヤモンドターニングにより加工される。ひとたびその曲面が単点ダイヤモンドターニングを使用して切削されると、次に回転面(130)がカスタム研磨ヘッドを使用して完全に微細な仕上げ面にまで研磨される(図22参照)。次にその研磨されたモールド(131)はワイヤ鋸及び/又はEDMプロセスを使用してモールド挿入物(132)を形成する長方形のデザイン形状に切削される。
【0018】
図22は非球面の回転面の精密ラッピング及び研磨用スパイダー型研磨スピンドルの一例を示す。非球面の回転面は、均一に変化する傾斜を持たない。それは実質的に表面に沿った種々の点で変化させてよい。標準的な研磨技術は球面の回転面に対してのみ効果的であり、バー型研磨機は放物面に適している。非球面の回転面用として受け入れられる方法は一つもない。研磨ヘッドは個別の「フローティング」研磨ヘッド(104)で製造されなければならない。それらの研磨ヘッド(104)はユニバーサルカプラー(103)で駆動され、非球面に適合する。歯車駆動シリーズは各研磨ヘッド(104)を回転させるために使用され、組立物全体(102)を同時に回転させる。この方法は非球面の回転面の面全体にわたって均一な材料の除去を確実にし、精密射出成形されるミラー面を保証する。
図23は球面の回転面の品質の図式表示を示す。ダイヤモンドターニングで加工された面は、外観上完全に滑らかではあるが、実際上ダイヤモンド旋盤加工から来る回転リング(105)により構成される。その面は溝面を平滑面にするために(106)研磨合成物でのラッピングを必要とする。ラッピング加工の後は、その面は精密回転面(107)を創生するために酸化セリウム又は微細光学べんがらで研磨される。非球面湾曲面は標準球面加工工具では研磨することはできない。なぜなら、面接触は滑らかではなく(109)、結局望まれる曲面を受け入れられない面に変えてしまうであろう。図22に示すスパイダー型工具は非球面に適合し(108)、望まれる回転面に最小の変形をもたらす。
したがって、ここに述べられた本発明の実施例は本発明の原理の応用を単に説明するものであると理解されるべきである。ここで説明された実施例の詳細のための引用は請求項を制限することを意図するものではなく、請求項はそれ自身本発明に対して本質的なものであるとみなされる特徴を列挙するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実像投射システムの光学的要素の光学的コンフィギュレーション及び配置を示す。
【図2】図2は本発明のシステムの外側からの光のゴーストがどうして発生を阻止されるか、したがってどうして観察者にはゴーストが見えないかを示す。
【図3】図3はフロアレベルのソースからシステムのウィンドーに入る光がどうして通常の視野の外側に映し出されるかを示す。
【図4】図4は取付けフランジを備えた小さいシステムのための典型的な射出成形ハウジングを示す。
【図5】図5は二つの別個の回転面を持つ、射出成形された曲面ミラー及び応力の発生しない取付けのために必要な取付けタブを示す。
【図6】図6は本発明の曲面ミラーの二つの回転面を示す。
【図7】図7はManginミラーの原理を示す。
【図8】図8は通常の凹状球面の回転面における非点収差の効果を示す。
【図9】図9はManginミラーがどうして非点収差を補正できるかを示す。
【図10】図10はミラーの半径の中心以外の点に像を映し出す時の球面収差及び被写界視野湾曲ひずみの効果を示す。
【図11】図11は通常のモニター上の映像の一例を示す。
【図12】図12は図11に示すターゲットモニターから創出される映像の被写界視野湾曲ひずみの効果の一例を示す。
【図13】図13はモニター又はターゲット上のピンクッションされた光景がどうして被写界湾曲ひずみの効果に対抗するかを示す。
【図14】図14はモニター又はターゲット上のピンクッションされた光景がどうして被写界湾曲ひずみの効果に対抗するかを示す。
【図15】図15は本発明の傾斜オフ軸システムで使用される中性密度のビームスプリッターを示す。
【図16】図16はビームスプリッターの裏面上の選択的な中性密度の被覆を示す。
【図17】図17は傾斜中性密度システムの映像光線路及びその構成要素の対応する伝播率を示す。
【図18】図18は傾斜中性密度システムのゴースト光線路及びその構成要素の対応する伝播率を示す。
【図19】図19は種々の中性密度スプリッターの仕様に対する映像の明るさ対ゴーストの相対比率を示す。
【図20】図20は本発明のシステムで使用される中性密度材料のスペクトルグラフ及び可視色スペクトルの範囲での比較的平坦な伝播率を示す。
【図21】図21はミラーの精密研磨射出成形のための工具類挿入方法を示す。
【図22】図22はミラーモールドの非球面の回転面の精密研磨のための専門のラップ仕上げ及び光沢研磨仕上げヘッドを示す。
【図23】図23はスパイダー型研磨工具がどうして非球面の回転面を歪めることなくダイヤモンドターンされたモールドを研磨するかを示す。
【符号の説明】
1 光 2 システム 3 フォールドミラー
4,14 ビームスプリッター 5 曲面ミラー 6 モニター
7 モニター 8 ウィンドー 9 システムハウジング
10 半径中心 11 ターゲット軸 12 光学軸
15 収束光線
発明の背景
発明の分野
本発明は小光学表示システムの分野に関している。さらに特に、本発明は収差減少方法のいくつかの組合せの使用による実像投射システムの画質向上の装置及び方法に関している。主要な画質向上は観察距離が比較的接近している小実像システムに共通なゴースト減少と非点収差の減少である。
【0002】
関連技術の説明
本発明は実像投射システム、特に、実際の対象物体の映像が空間に形成されるが、実際の対象物体は現実には存在しないのに空間の一点に存在するという幻影を作っているシステムに関している。実像投射システムは通常は映像形成用の球面又は放物面ミラーを組み込んでいる。観察者が観察される映像からかなりの距離に位置している大型システムにおいては、例えば球面収差や特に非点収差のような光学収差が、観察者が映像の近くに位置している小型システムにおけるような問題を持つことは少ない。非点収差は長時間映像を観察している時の眼の変形に起因しており、このことは小実像投射システムがゲームへの応用と同様にワークステーションへの応用に幅広く組み入れられていない主要な理由の一つとなっていた。
小実像システムが幅広く受け入れられていない今一つの理由は、接近した距離から表示物を観察する時に、システム内のゴーストが非常に顕著であることである。色付きビームスプリッターや円形偏光子を含む多くの方法がゴーストを減少させるために使用されてきたが、そのどれもが完全に効果的ではなかった。円形偏光ウィンドーの使用をもってしても、ゴーストはたとえかなり減少したとしてもやはり見えている。円形偏光ウィンドーは典型的には最大42%の透過率を持ち、このことは映像の明るさをかなり減少させる。かくして、明るく照明されたアーケード又は他の公共のエリアにおいて、実像は通常観察困難である。
【0003】
他の光学収差は実像投射システムに対して問題を提供している。例えば、小さいシステムでは典型的に焦点距離が短いので、小さいシステムほど視野湾曲ひずみが顕著な問題である。例えば、CRTスクリーン上に表示された長方形の形状はターゲット対象物の「魚眼」実像として投射される。長方形の像の縁は外側に反ったように見え、長方形の像の中央は縁に比べて膨らんで見える。これは球面ミラーの自然現象であり、光線路にかなりの数のレンズを追加することなしには通常補正することはできない。このことは表示システムを物理的にかなり大きいサイズにするとともにこのような表示システムの製造コストを法外なものにする。
光学体はこれらの収差の或物、例えば球面収差に対してManginミラーの使用により補償するようデザインされてきた。このミラーはより長い半径の反射用凹状球面とより短い半径の透過用凹状球面を持つ。しかしながら、この方法は実像投射システム用としては現実的ではない。なぜなら、映像ソース又はターゲットは、単一点映像システムにおけるように、ミラー湾曲面の焦点又は中心において一点ではないからである。実像投射システムにおいては、ターゲットは通常例えばモニタースクリーンのように長方形であり、その場合スクリーンの中心のみがミラーの軸上又は焦点上にある。Mangin式二重曲面補正ミラーは凹球面を非球面の回転面で置換することによりかなり改善することができ、そのことはミラー軸から離れた点の非点収差を減少させるであろう。かくして、二つの球面を組み合わせたManginミラーはオン軸システムの軸に沿った点に対して完全に効果的であるが、ターゲットの点がミラー曲面の軸から離れるに従って非点収差の問題は漸次悪化する。凹面上の非球面は補正を最適化し、軸又は焦点の周囲のより広い領域の非点収差を減少させるであろう。
小さいシステムが主流とならなかった別の理由は曲面光学体を合理的な量だけ生産することの困難性のためである。この問題は補正用光学曲面が組み合わされる時に構成される。
【0004】
発明の概要
本発明の実像投射システムは改良された作像を持つ小さい表示装置を生産し、従来のシステムに関するゴーストを減少させるいくつかの組合せにより成る方法を使用する。
本発明のシステムは、二つの異なった光学回転面を持ち、一つは凸面上に、他の一つは凹面上にある、単一の曲面ミラーを使用する。一つの実施例においては、その凸面は反射性光学被覆を施した球面又は放物面の回転面で成る円錐曲面である。凹面の方はManginミラーによく似ているが、光学軸から外れたより広い領域にわたる球面収差を減少させるために最適化された非球面の回転面を持つ。そのシステムは、非球面の回転凹面を使用するManginミラー式方法が好ましい実施例であるにせよ、選択的に収差の減少のため凹面上に単一の非球面の回転面を使用する。
最少の収差及び非点収差を備えたミラーを製造するのに二つの問題がある。回転面の質は非常に精密でなければならない。このことは典型的に表面の精密研磨を意味し、かくして与えられた時間内に生産し得るそのようなミラーの量を制限し、商業上の実像表示システムとして一般に受け入れられるコスト以上のコストを生み出す。また、非球面は生産が極度に困難であり、精密な曲面に仕上げるために手で研磨しなければならない。かくして、非球面の光学回転面の複雑性はミラーを大量生産することを妨げる。したがって製造の好ましい方法は射出成形である。
射出成形は、小さい光学体の製造方法としては普通であるが、直径5インチ以上の光学体用としては普通使用されていなかった。いくつかの技術によれば直径18インチまでの光学体の射出成形は成功裏に達成され得る。通常の実施手段よりも200%だけモールドゲートの寸法を増大させること及びモールドにゲート数を増大させることは均一な流れを確実にする。射出成形工程中の空気抜き用ポートの数を増大させることも重要である。必要な今一つのステップは標準必要量の150%で加圧トン数を計算することである。
【0005】
ミラーの表面精度はモールドの表面精度に直接関係する。精密な非球面を創成することは射出成形の仕事としては単純ではない。モールドは別々の挿入物又は小さ目のスチールブロックでデザインされなければならない。スチールブロックは完全な親光学体として又は大きなボウルとして非球面の回転面になるようにダイヤモンドターンされ、それにより光学体は丸く、そして対称的となる。ダイヤモンドターニングはあつらえの空気ベアリング旋盤で達成される。空気ベアリングは極度に精密な制度を確実にし、そういう精度は従来の旋盤では不可能である。非球面は単一の尖ったダイヤモンドで切られ、曲面精度は「CNC」つまりコンピュータ数値制御を使用して維持される。視覚光学システムに対しては、曲面の精度はインチ当たり5フリンジの曲率変化又はモールドの全表面にわたって直線インチ当たり表面偏差値0.000055インチ(すなわち1インチの百万分の一単位で55)に保持されるべきである。これはレーザー光学体又は望遠鏡光学体が要求するよりずっと寛大な公差であるが、それでもなお従来の加工技術の可能性を超えている。これらの公差は空気ベアリング付きダイヤモンドターニングによってのみ保持し得る。ダイヤモンドターンされた曲面の加工面は磨かれたように見え、手仕上げの必要性を最小にする。
ひとたび最終の曲面がスチールブロックに切られたら、光学体の最終形状はダイヤモンドワイヤ鋸で少しオーバーサイズ気味に荒削りされ、最後に、仕上げられる縁部の面はEDM加工すなわち電気放電加工される。次に主要なモールドハウジングは、挿入物が、溶融プラスチックが通り抜けるギャップより小さいギャップで、ハウジング中にはめ込まれる、又はほとんど継ぎ目なしにはめ込まれる公差に加工される。
ミラー面は応力や収差があってはならない。かくして取付けのデザインはきわめて重要である。アクリル製のミラーは取付け装置にしっかりと保持された時応力を発生させ、変形する。ミラーの裏面に何かを取り付けることはその前面に応力や光学的影響を伝達するであろう。応力が発生しない取付け方法は、ミラーが側面又は縁で保持されることを要し、取付けタブはどんなことがあってもミラーを変形させないように十分の隙間を保持して取付け溝の中に浮かせるようにしなければならない。
被写界の湾曲ひずみは光線路にいくつかの補正レンズを組み込むことなしには光学的に除去することができない。被写界の湾曲ひずみはターゲット対象物が「魚眼」レンズで見るような状態で投射される原因となる。映像の中心は拡大されたように見え、その縁は外側に湾曲する傾向にある。本発明はこのひずみの補正に対してユニークな方法を使用している。CRTの前面上のターゲット映像は「ピンクッション」され、すなわち魚眼ひずみに対して補償される。これはCRTにおいて電子工学的に、又はLCDパネル入力の場合にはソフトウェアにより達成される。
【0006】
小実像作像システムに付随する主要な問題は望まれざるゴースト映像の発生であり、それはオン軸投射システムでは典型的である。観察者が実像投射システムのアパーチャーを覗き込む時、観察者は表示ユニットの内部に浮かぶ自分自身の反射像をさかさまに見る。ウィンドーの覗き穴に入って来る、そのシステムの外側のすべての光源又は反射光はそのシステムの内側に像を結び、それは観察者に見える。本発明の装置はゴースト排除のための組み合わせ方法を使用している。曲面ミラーは好ましくは10〜20度の角度で入力光路に対しオフ軸で傾いている。最適の傾斜面は、これがゴーストを完全に排除するとともに「ピンクッション」された入力光源を使用して補正することのできる被写界の湾曲ひずみを最小に保つため、15度である。
「傾斜オフ軸ミラー」のコンフィギュレーションにおいて、本発明のシステムはターゲット対象物すなわち実際の対象物及びそのターゲット対象物と曲面ミラーとの間の光路に設けられるビームスプリッターを含んでおり、その曲面ミラーは法線方向の光路軸に対してオフ軸に設けられている。ビームスプリッターは実質的に曲面ミラーの光学軸に対して限定はされないが45度の角度に設けられている。ターゲット対象物からの光は分散光線として導かれ、フォールドミラーで反射し、ビームスプリッターを経由して曲面ミラーへ伝播する。ビームスプリッターから曲面ミラーへの主要な光路軸は曲線ミラーの光学軸とは一致しない或角度にある。その光は曲面ミラーの光学軸に関し主要な光路の角度に対し余角をなして収束光として曲面ミラーから反射する。次にその収束光路はビームスプリッターで反射し、視軸上の一点で交差しすなわち焦点に達し、光学構造物の前方の空間に実像を形成する。システムのウィンドーアパーチャーから入る光は下方へ導かれ、その観察用アパーチャー内で出ることを阻止される。したがってゴーストの像は観察者には見えない。
システム内部においてウィンドーアパーチャーの下方の面は好ましくは平らな黒面がよい。この面は、実像を見る時、非常に暗いウィンドー開口部を形成し、極度に高いコントラストを提供するウィンドーアパーチャーにおいて映し出される。
【0007】
小実像表示システムにおいては、観察者が推奨された視野すなわち「アイボックス」の外側で移動するチャンスがより多い。観察者が下から上方を見上げる角度でシステムを見る時、或ゴーストが見えるであろう。そのようなゴーストは中性密度のウィンドーを使用することにより減少する。中性密度の材料は可視光スペクトルにわたるすべての周波数に対して等量の光を伝播させ、又は反射させるものである。最適の中性密度の吸収率は約30%であるが、システムの使用方法及び要求される映像の明るさに依存して他の吸収率も同様にあり得る。ターゲットからの映像光は例えば30%だけ減少するのに対し、システムの外側のソースからの光は30%だけ強度を減らしながら中性密度ウィンドーを通過し、曲面ミラーで反射し、そして中性密度ウィンドーから出る時さらに30%だけ減少し、かくして非常に強度の少ないゴースト像を形成する。今一つの光学的コンフィギュレーションは中性密度ウィンドーと同じ機能を持つ中性密度ビームスプリッターである。
かくして、本発明においては、(1)精密二重曲面の非球面ミラー(ダイヤモンドターニング及び射出成形により製造可能)、(2)傾斜オフ軸コンフィギュレーション及び(3)中性密度ウィンドー又はビームスプリッターの組み合わせがより明るい映像、かなりのゴースト減少及びかなりの光学収差と変形の減少を持つすぐれた小実像投射システムを提供し、他の点では小さい表示装置に共通している。選択的にピンクッションされたCRT入力が組み入れられる時、システムの性能はより以上に改善さえされる。これらの改善のすべてを取り入れると小実像投射システムの性能をかなり改善する。
【0008】
発明の詳細な説明
図1は本発明のミクロの実像表示システム用の光学システムの一実施例を示す。映像のソースはスクリーンから選択的なフォールドミラー(3)へ光(1)を放射するLCDすなわちモニター(6)である。そのフォールドミラーは、LCD(6)のほぼ中心に位置するターゲットソース(1)からの光がそのフォールドミラー(3)の表面で反射して傾斜した曲面ミラー(5)の反射面(14)の物理的中心に向かうような角度に設けられた平らな反射器である。その分散光線はビームスプリッター(4)を貫通し、その曲面ミラー(5)の反射面に突き当たる。その曲面ミラーはオフ軸状態に傾斜している。好ましい実施例においてはその曲面ミラー(5)の光学軸(12)はターゲット軸(11)すなわち作像光線から外れて、表示装置の後方に向かって10〜20度傾斜している。その曲面ミラーの半径中心(10)からその表面までの仮想線はその曲面ミラー(5)の光学軸(12)を定義づける。図1に示すシステムにおいて、ターゲットソース(1)からの分散光線はその曲面ミラーの表面にぶつかり、その曲面ミラー(5)の光学軸(12)に関して余角をなす角度で収束光線(15)として反射する。その収束光線(15)はビームスプリッター(4)の表面に対して余角をなす角度でそのビームスプリッター(4)から反射し、そしてこの例では選択的な中性密度フィルターガラスを含む観察用アパーチャー(8)に向かう。その光はその中性密度のウィンドーを通過して、システム(2)の焦点に到達し、自由空間に実像を形成する。図1に示すシステムはまたビームスプリッター(4)の後方に設けられた選択的なより大きい背後LCDすなわちモニター(7)を有し、そのためその背後LCDスクリーン(7)は、ウィンドー(8)から見る時、背景として見える。
【0009】
図2は図1で述べたシステムの迷光のゴースト作像を示す。表示システムの外の外側ソース(21)からの光は中性密度ウィンドーから入り、ビームスプリッター(4)にぶつかり、傾斜した曲面ミラー(5)の表面に向かって反射する。その光はその曲面ミラー軸(12)に対して余角をなす角度でその曲面ミラーから反射し、次に再びビームスプリッター(4)の表面で反射する。その曲面ミラー(5)は傾斜したオフ軸であるため、ビームスプリッター(4)で反射した光線(22)はウィンドーアパーチャー(30)の下側へ向かい、システムから出て行かない。したがってゴースト映像は見えない。
【0010】
図3は観察レベル(70)の下方の光源から生まれるゴーストを示す。ウィンドーアパーチャー(30)から入る光(27)はビームスプリッターで反射し、次に傾斜曲面ミラー(5)で反射する。その反射した光は再びビームスプリッター表面(4)で反射し、下方に向かう。この反射光(28)はウィンドーを通過して外へ出るが上向きの角度で観察する時にのみ見ることができる。小さいシステムにおいては、大きいシステムよりこれらのゴーストを見ることが容易である。そこで中性密度ウィンドー(8)がゴーストの強度を低下させるため組み入れてある。そのウィンドー(8)から入る光(27)は明るさを30%だけ減少させ、ビームスプリッターと曲面ミラーで反射し、ビームスプリッターで再び反射し、そのウィンドーを再び通過し、ゴーストの明るさを再び30%だけ減少させる。中性密度ウィンドー(8)を使用する時、ビームスプリッター(14)を組み入れることは反射に対する伝播の比率を高めるので有利である。ターゲット作像光はビームスプリッターにより反射するとともに伝播するので、伝播に対する反射の比率は明るさに小さい影響を持つ。ゴースト作像光はビームスプリッター(4)で2回反射するので、伝播対反射の比率は低い方が望ましい。例えば、65R/35Tビームスプリッター(伝播率65%、反射率35%)の使用は22.7%の伝播率すなわち明るさに帰着する。次にそれは中性密度ウィンドー(8)を通過して出て行くので30%だけ減少し、その結果15.9%の映像明るさとなる。システムの外側からのゴースト作像光(8)は中性密度ウィンドー(8)を通過して70%の明るさとなり、ビームスプリッターで35%反射して24.5%となり、ビームスプリッター(4)で再び35%反射して8.57%となり、最後に中性密度ウィンドー(8)から出て行き、その結果、実像明るさ15.9%に比べてゴースト映像強度6%になる。この説明は曲面ミラー又はガラス面からの伝播損失を説明するものではないが、中性密度ウィンドーの使用によるゴースト減少の原理を説明しようとするものである。
【0011】
図4は小型の「マイクロシステム」用の実像投射システムハウジング(9)と取付けフランジ(32)の一例を示す。そのケースハウジングは高容積の射出成形機で成形するようデザインされており、取付けフランジの方は例えば自動販売機やATMマシンのようなDEM装置の中に装置が容易に組み込まれることを可能にする。
図5は本発明のマイクロシステムで使用される射出成形されたミラーの一実施例を示す。曲面ミラーはその縁に取付けタブ(43,44)を持ち、作像システムにおいて浮上りなしの無応力取付けを可能にしている。そのミラーは光学グレードのアクリル樹脂から作られる。材料の選択はシステムデザインにより要求される屈折率によって決定される。曲面ミラーは二つの別個の回転面を持ち、そのうちの一つは反射用被覆が施されている凸面(42)上に、他の一つは収差及び歪みの減少のための補正用レンズ要素として作用する凹面(41)上にある。
ミラーに組み入れられることのできる曲面又は回転面の組合せがいくつかある。しかしながら、最適の組合せは凸面(42)上の球面の回転面と凹面(41)上の非球面状回転面の組み合わせである。いくつかの場合において、二つの違った非球面の回転面を備えたミラーを持つことは有利である。しかしそれは、システムが如何に使用されるべきか、そしてその適用によって生じる収差の効果に依存する。
【0012】
図6,7及び8は、二つの回転面(41,42)が如何に光学システムの収差を補正することができるかを示す。図7においては標準的Manginミラーが示されている。そのManginミラーは二つの違った球面の回転面を持ち、そのうち凹面の球状曲面(42)は凹面の球状曲面(41)より長い半径を持っている。凹面(41)はシステムの焦点における光源(80)からの光線を視準された光線(81,82)にするよう反射する補正レンズとして作用する。示された例は単一放物回転面の機能を模写するために二つの球状曲面を使用している。
【0013】
図8においては、凹面(43)上に曲面状の反射性被覆を施された単一球面の回転面のミラーが示されている。曲率(焦点距離の2倍)の中心(50)からずれた点(45)から発散する光は球面(56)で反射し、一点(46)に焦点を結ぶ。球面の他の点(57,58,59)にぶつかった光は空間中の少しずつ違った点(47,48,49)に焦点を結ぶ。これは非点収差と呼ばれる球面作像システムの自然現象である。非点収差は長時間システムを観察する時かなり目に歪みをもたらす可能性がある。
小実像投射システムは通常上向きに接近して観察されるので、非点収差はかなりの問題である。非点収差のための補正の一つの方法は共通の焦点に反射光を向け直すために光学路中に一つの補正レンズを組み入れることである。本発明は収差と非点収差に対して補正するためにManginミラーの概念の一つの変形を使用している。丁度図7におけるManginミラーが光波を屈折させて視準された光線にすることができるように、本発明の二重面ミラーはここに述べたように、ミラー基質を通過した光を屈折させてシステムの非点収差を補正することができる。しかしながら、Manginミラーと違って、図9に示すように、二つの球面が効果的でなければ、凹面の非球面の回転面(41)は反射光線(60,61)を共通の焦点(52)に向けて反射するようデザインすることができる。大抵の場合、補正は一つの凹面(41)上の非球面の回転面の中に組み入れることができる。そのため標準的な球面の回転面が凸面の反射面(42)の方に使用されることができる。実像が典型的に比較的長時間にわたって観察されるビデオゲームの用途の場合のようなシステムにおいては、凸面(42)と凹面(41)の両方に非球面の回転面を組み入れることが必要かもしれない。このことは最小の収差で実像を作り出すために必要となり得る。そのことは目のひずみなしに観察時間を延長するために必要である。
【0014】
図10は実像への被写界湾曲歪みの効果を示す。これは球面光学体と視覚表示システムの自然現象であり、補正レンズの配列を使用することなしにはこれを補正する実用的方法はない。商業上の実像表示システムにおいては、これは実用的でもなく、コストの効果性もない。曲面ミラーの光学軸(50)からずれた点(64,65,66)の像を作る時、焦点すなわち実像形成点(67,68,69)は映像ソース点(44,45,46)を備えた一直線上又は一平面上にはない。被写界湾曲歪みの効果は映像対象物が少し曲がったり、映像の中心の近くで拡大されることである。実像の中心は実像(69)の縁よりも装置から外側へ離れて投射される。
【0015】
図11及び12図においては、被写界湾曲歪みの効果が示されている。図11は二つの長方形を表示する通常のCRTスクリーン映像を示す。図12はシステムにより作られた実像と実像への被写界湾曲歪みの効果を示す。長方形は少し曲がっており、スクリーンの中心付近の領域で拡大されている。
CRTスクリーン上に「ピンクッション」と呼ばれる状態を作り出すことは被写界視野湾曲歪みの効果に対する補償となり得る。これは電子工学的に、すなわちソフトウェアを使用して映像を歪曲することによりなし得る。球面ミラーシステムにおいては、その歪みは球面の回転面のために相応に対称的で丸みがある。CRTは、図13に示すように、「ピンクッション」映像を作り出すために調整することができる。図14に示すように、結果的映像は被写界湾曲歪みを介しての補正の結果であり、かくして歪曲に対して補償する。
図3の中性密度ウィンドーは違った光学コンフィギュレーションを使用する時、別の変形を可能にする。図15においては、曲面ミラー(5)はターゲット軸(17)よりむしろ視軸(16)に沿って設けられている。このコンフィギュレーションにおいては、ビームスプリッター被覆(18)は中性密度ガラス(19)すなわち基質に施されている。ビームスプリッター被覆(18)は曲面ミラー(5)に面したビームスプリッター(4)の面に施されている。ターゲット対象物(1)からの光は中性密度材料(19)を通過することなくビームスプリッター被覆(18)で反射する。システムの外側からの光は中性密度材料を2回通過する。したがって、ゴースト作像光の強度はかなり減少する。
【0016】
図16は中性密度ビームスプリッターの変形を示す。この場合、中性密度被覆(20)が汚れない基質(19)の表面に施され、それからその反対側表面にはビームスプリッター被覆(18)が施されている。いずれか一方のコンフィギュレーションにおいて非反射被覆が選択的に中性密度被覆(20)の全面に、すなわちビームスプリッター被覆(18)と反対側の中性密度基質(19)の側に施されている。
図17は20%吸収の中性密度基質(19)のビームスプリッター、60%反射40%伝播のビームスプリッター被覆(18)及び85%反射曲面ミラー(5)を使用するシステムの伝播特性を示す。その結果の実像(2)の強度は原対象物(1)の光の強度の16.3%である。
図18は図17に示したのと同じシステムの外側(33)から発散するゴースト作像光の伝播特性を示す。ゴースト像(34)は実像に対する16.3%と比べて8.7%の強度でシステムから出る。示された例は60R/40Tビームスプリッターと20%吸収の中性密度のビームスプリッターを含んでいる。他の組合せは異なった性能特性を提供する。
【0017】
図19はビームスプリッターと中性密度吸収の種々の組合せの効果を示すチャートである。そのチャートから分かるように、ゴースト減少は映像の明るさを犠牲にして達成され、これに対する均衡は特別の応用に基づいて維持されるべきである。ゴースト減少に対する要求に関する今一つの考慮は要求される視角である。傾斜ミラーシステムは、合理的な入射角の範囲内で垂直に見る時、完全にゴーストの作像を排除する。ゴースト作像は通常の視軸の下からシステムを見る時にのみ見える。
図20は35%の吸収率を持つ中性密度ウィンドーの分光特性を示す。吸収率は可視色スペクトルの範囲にわたって比較的均一であり、紫外線及び赤外線の領域に入ると降下し始める。中性密度ウィンドーの価値はすべての色は可視スペクトルの範囲にわたって均一に吸収され、したがって実像が原対象物の真の色彩を写すものであることである。
図21は非球面モールドの製造プロセスを示す。非球面(130)は鋼モールドブランク(131)の中でダイヤモンドターニングにより加工される。ひとたびその曲面が単点ダイヤモンドターニングを使用して切削されると、次に回転面(130)がカスタム研磨ヘッドを使用して完全に微細な仕上げ面にまで研磨される(図22参照)。次にその研磨されたモールド(131)はワイヤ鋸及び/又はEDMプロセスを使用してモールド挿入物(132)を形成する長方形のデザイン形状に切削される。
【0018】
図22は非球面の回転面の精密ラッピング及び研磨用スパイダー型研磨スピンドルの一例を示す。非球面の回転面は、均一に変化する傾斜を持たない。それは実質的に表面に沿った種々の点で変化させてよい。標準的な研磨技術は球面の回転面に対してのみ効果的であり、バー型研磨機は放物面に適している。非球面の回転面用として受け入れられる方法は一つもない。研磨ヘッドは個別の「フローティング」研磨ヘッド(104)で製造されなければならない。それらの研磨ヘッド(104)はユニバーサルカプラー(103)で駆動され、非球面に適合する。歯車駆動シリーズは各研磨ヘッド(104)を回転させるために使用され、組立物全体(102)を同時に回転させる。この方法は非球面の回転面の面全体にわたって均一な材料の除去を確実にし、精密射出成形されるミラー面を保証する。
図23は球面の回転面の品質の図式表示を示す。ダイヤモンドターニングで加工された面は、外観上完全に滑らかではあるが、実際上ダイヤモンド旋盤加工から来る回転リング(105)により構成される。その面は溝面を平滑面にするために(106)研磨合成物でのラッピングを必要とする。ラッピング加工の後は、その面は精密回転面(107)を創生するために酸化セリウム又は微細光学べんがらで研磨される。非球面湾曲面は標準球面加工工具では研磨することはできない。なぜなら、面接触は滑らかではなく(109)、結局望まれる曲面を受け入れられない面に変えてしまうであろう。図22に示すスパイダー型工具は非球面に適合し(108)、望まれる回転面に最小の変形をもたらす。
したがって、ここに述べられた本発明の実施例は本発明の原理の応用を単に説明するものであると理解されるべきである。ここで説明された実施例の詳細のための引用は請求項を制限することを意図するものではなく、請求項はそれ自身本発明に対して本質的なものであるとみなされる特徴を列挙するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実像投射システムの光学的要素の光学的コンフィギュレーション及び配置を示す。
【図2】図2は本発明のシステムの外側からの光のゴーストがどうして発生を阻止されるか、したがってどうして観察者にはゴーストが見えないかを示す。
【図3】図3はフロアレベルのソースからシステムのウィンドーに入る光がどうして通常の視野の外側に映し出されるかを示す。
【図4】図4は取付けフランジを備えた小さいシステムのための典型的な射出成形ハウジングを示す。
【図5】図5は二つの別個の回転面を持つ、射出成形された曲面ミラー及び応力の発生しない取付けのために必要な取付けタブを示す。
【図6】図6は本発明の曲面ミラーの二つの回転面を示す。
【図7】図7はManginミラーの原理を示す。
【図8】図8は通常の凹状球面の回転面における非点収差の効果を示す。
【図9】図9はManginミラーがどうして非点収差を補正できるかを示す。
【図10】図10はミラーの半径の中心以外の点に像を映し出す時の球面収差及び被写界視野湾曲ひずみの効果を示す。
【図11】図11は通常のモニター上の映像の一例を示す。
【図12】図12は図11に示すターゲットモニターから創出される映像の被写界視野湾曲ひずみの効果の一例を示す。
【図13】図13はモニター又はターゲット上のピンクッションされた光景がどうして被写界湾曲ひずみの効果に対抗するかを示す。
【図14】図14はモニター又はターゲット上のピンクッションされた光景がどうして被写界湾曲ひずみの効果に対抗するかを示す。
【図15】図15は本発明の傾斜オフ軸システムで使用される中性密度のビームスプリッターを示す。
【図16】図16はビームスプリッターの裏面上の選択的な中性密度の被覆を示す。
【図17】図17は傾斜中性密度システムの映像光線路及びその構成要素の対応する伝播率を示す。
【図18】図18は傾斜中性密度システムのゴースト光線路及びその構成要素の対応する伝播率を示す。
【図19】図19は種々の中性密度スプリッターの仕様に対する映像の明るさ対ゴーストの相対比率を示す。
【図20】図20は本発明のシステムで使用される中性密度材料のスペクトルグラフ及び可視色スペクトルの範囲での比較的平坦な伝播率を示す。
【図21】図21はミラーの精密研磨射出成形のための工具類挿入方法を示す。
【図22】図22はミラーモールドの非球面の回転面の精密研磨のための専門のラップ仕上げ及び光沢研磨仕上げヘッドを示す。
【図23】図23はスパイダー型研磨工具がどうして非球面の回転面を歪めることなくダイヤモンドターンされたモールドを研磨するかを示す。
【符号の説明】
1 光 2 システム 3 フォールドミラー
4,14 ビームスプリッター 5 曲面ミラー 6 モニター
7 モニター 8 ウィンドー 9 システムハウジング
10 半径中心 11 ターゲット軸 12 光学軸
15 収束光線
Claims (25)
- 実像投射システムにおいて、
a)二つの異なった回転面を持つ、射出成形されたアクリル製のミラーを含み、そのミラーはその光学軸が前記システムの光学軸に対して傾斜した角度になるように取り付けられていること、
及び、
b)前記システムの作像軸に沿って設けられた中性密度ウィンドー又はビームスプリッターを含んでいること
を特徴とする実像投射システム。 - ターゲット対象物と前記ミラーの一面の概略の光学中心との間で仮想線を表わす主要な入力光線路又はターゲット軸をさらに含んでいることを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記ミラーの光学軸は前記システムのターゲット軸に対して10〜20度の角度で傾斜していること、及び前記システムの観察アパーチャーに最も近い前記ミラーの前縁は前記ミラーの後縁よりも前記システムの視軸に対して低いことを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- a)ターゲット対象物と前記ミラーとの間に設けられたビームスプリッター又は部分反射要素をさらに含み、そのビームスプリッター又は部分反射要素は前記ミラーの光学軸に対して約45度の傾斜角で取り付けられており、前記ミラーに最も近い前記ビームスプリッター又は部分傾斜要素の頂部は前記ターゲット対象物に最も近い位置に設けられた前記ビームスプリッター又は部分反射要素の底端よりも前記システムの観察アパーチャーから遠い距離に設けられていること、及び、
b)前記ミラー及び観察アパーチャーに面した前記ビームスプリッターの前面又は側面に部分反射被覆面をさらに含み、この場合前記ターゲット対象物から前記ミラーまでのターゲット軸又は光線路は前記ビームスプリッターの伝播に対して明るさのレベルで前記ビームスプリッターを貫いて伝播すること
を特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。 - a)ビームスプリッターを通過して10〜20度の角度で前記ミラーの前記光学軸とは一致しない角度で前記ミラーとぶつかる、ターゲット対象物からのターゲット軸又は発散作像光線路をさらに含んでいること、
及び、
b)前記ミラーの前記光学軸に関して前記ターゲット軸と余角をなす角度で前記ミラーの一面で反射する反射収束光線路又は作像軸をさらに含み、この場合、前記作像軸は前記システムの観察アパーチャーから離れる方向に、前記ターゲット軸に対して前記傾斜角の二倍に等しい角度で反射すること
を特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。 - ビームスプリッターの反射面にぶつかって前記ビームスプリッターから前記システムの観察アパーチャーに向かって余角となる角度で反射する仮想軸又は収束光線路を含んでおり、この場合、前記ビームスプリッターが前記ミラーの前記光学軸に対して45度の角度で設けられ、前記システムの前記視軸に平行であると仮定して、前記作像軸の一部はターゲット軸に対して90度の角度であることを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- もし前記ミラーが1倍倍率と仮定して放物面であり、又は前記ミラーの曲面の半径に等しい距離にあるなら、前記システムの焦点に、又は前記ミラーの焦点距離の2倍に等しい距離に前記システムの視軸に沿って設けられた実像を含んでおり、この場合、ターゲット対象物は前記ミラーの半径に等しい前記ミラーからの距離に位置していることを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記ターゲット対象物の一部は拡大された、又は縮小された実像を創成するため半径の中心点とは異なる位置にあることを特徴とする請求項7に記載されている実像投射システム。
- 前記システムの視軸に沿って実像の後方に設けられたビームスプリッターを介して観察される背景対象物又はモニター又は投射スクリーンをさらに含んでいる請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記背景対象物は光を発散させ、伝播させ又は反射させるすべての物であることを特徴とする請求項9に記載されている実像投射システム。
- 前記ミラーの凹面に非球面の回転面を含んでいることを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記凹面の回転面に反射用被覆を施していることを特徴とする請求項11に記載されている実像投射システム。
- 前記二つの異なる回転面のうちの一方は前記ミラーの凹面上にあり、前記二つの異なる回転面のうちの他方は前記ミラーの凸面上にあることを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記凹面上に非球面の回転面を含み、そして前記凸面上に標準的円錐面又は非球面の回転面を含んでおり、この場合、前記凸面は光学的に反射面で被覆されていることを特徴とする請求項13に記載されている実像投射システム。
- 前記凹面上には標準的円錐面又は非球面の回転面を含み、そして前記凸面上に非球面の回転面を含んでおり、この場合、前記凸面は光学的に反射面で被覆されていることを特徴とする請求項13に記載されている実像投射システム。
- 二次的ゴースト反射を減少させるためにさらに前記凹面の回転面上に非反射被覆を施されていることを特徴とする請求項13に記載されている実像投影システム。
- 前記二つの異なった回転面のうちの一方は前記ミラーの凹面上の非球面の回転面であり、また、前記二つの異なった回転面のうちの他方は前記ミラーの凸面上にあること、及び、前記ミラーの前記光学軸は前記システムの前記軸に対して10〜20度の角度に位置することを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記ミラーは精密回転面を含んでいること、前記二つの異なった回転面のうちの一方は前記ミラーの凹面上で標準的な円錐面又は非球面の回転面であるのに対して前記二つの異なった回転面のうちの他方は前記ミラーの凸面上で非球面の回転面であること、前記凸面は光学的に反射面で被覆されていること、及び前記ミラーは精密モールドを使用して射出成形プロセスにより成形されることを特徴とする請求項1に記載されている実像投影システム。
- a)単点ダイヤモンドターニング法により形成された高精度回転面を持つモールド挿入物、 及び、
b)多数のフローティングスピンドルを持つ研磨ヘッドで行われる精密研磨
を含んでいることを特徴とする請求項18に記載されているミラー成形用精密射出成形モールド。 - 前記ミラーの四つの側面の各中心に位置する、前記ミラーの各縁に取り付けられる取付けタブを含んでおり、この場合、前記ミラーは頂部取付けタブと底部取付けタブの両方に単点接触する、応力が発生しない方法で表示装置内に保持されることを特徴とする請求項18に記載されているミラー。
- ゴースト映像減少のために光線路内に中性密度フィルターを含んでいることを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
- 前記中性密度フィルターは中性密度材料又は中性密度被覆を含んでいること、及び、前記フィルターを貫いて伝播する光は可視光スペクトルの範囲にわたって部分的にほぼ等しい量だけ吸収されることを特徴とする請求項21に記載されている実像投射システム。
- 前記中性密度フィルターは中性密度材料又は中性密度被覆を持つビームスプリッターを含んでいること、及び、前記ビームスプリッターを貫いて伝播する光は可視光スペクトルの範囲にわたって部分的にほぼ等しい量だけ吸収されることを特徴とする請求項21に記載されている実像投射システム。
- 前記中性密度フィルターは、反射被覆の反対側の面に中性密度基質又は中性密度被覆を含んでおり、また、前記ミラー、ビームスプリッター及び実像は共通の光学軸上に、そしてターゲット対象物から前記ビームスプリッターまで延びるターゲット軸の一部に対して約90度の角度で設けられているというコンフィギュレーションを含んでいることを特徴とする請求項21に記載されている実像投射システム。
- ピンクッショニング効果で変形された入力スクリーン映像を含んでおり、この場合、前記スクリーン映像は被写界湾曲変形に起因する変形が反作用するというコンフィギュレーションで変形し、それによりビデオ映像が魚眼効果に対立する態様で変形することを可能にし、それにより表示される対象物の真実のスケールの、変形されていない実像を作り出すことを特徴とする請求項1に記載されている実像投射システム。
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---|---|---|---|
JP2002284236A JP2004118088A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | オフ軸反射器、中性密度ウィンドー及び非球面補正された回転面を使用する小実像投射システムにおける映像画質向上及び収差補正の方法及び装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009514016A (ja) * | 2005-10-25 | 2009-04-02 | ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. | 投影システム及び方法 |
US11226490B2 (en) | 2018-07-23 | 2022-01-18 | Jvckenwood Corporation | Virtual image display device |
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2002
- 2002-09-27 JP JP2002284236A patent/JP2004118088A/ja active Pending
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