JP2004116220A - 地下水位低下装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】地下水位を低下させる地下水位低下装置において、地下水位を低下させる際の産業廃棄物を発生させない、また、材料の再利用をすることでコスト削減を図ることができるようにする。
【解決手段】上端部3aを地上に露出させて地盤に埋設された井戸ケーシング管2,3の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置1であって、井戸ケーシング管2の下端部2bに、フィルター管6が接続され、該フィルター管6が、地下水を内部に流入させることが可能な第1のストレーナ部14aを有する外筒管11と、外筒管11の内壁面11cから径方向内方に所定の隙間を有して設けられ、内部に地下水を流入させることが可能な第2のストレーナ部12aを有する内筒管12と、隙間に保持され、地下水を濾過するフィルター13とを備えていることを特徴とする地下水位低下装置1を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】上端部3aを地上に露出させて地盤に埋設された井戸ケーシング管2,3の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置1であって、井戸ケーシング管2の下端部2bに、フィルター管6が接続され、該フィルター管6が、地下水を内部に流入させることが可能な第1のストレーナ部14aを有する外筒管11と、外筒管11の内壁面11cから径方向内方に所定の隙間を有して設けられ、内部に地下水を流入させることが可能な第2のストレーナ部12aを有する内筒管12と、隙間に保持され、地下水を濾過するフィルター13とを備えていることを特徴とする地下水位低下装置1を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下水を地上に排出し、地下水位を低下させる地下水位低下装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設工事の基礎工事におけるドライワークの実施等を目的として地下水位を低下させる方法としては、井戸を設置して揚水を行うディープウェル工法およびバキュームディープウェル工法がある(例えば、非特許文献1参照)。
ディープウェル工法では、図7(a)に示すように、はじめに、ボーリングマシン51等により穿孔する。この際には、穴の内壁52が崩れ落ちないように、ベントナイト等からなる孔壁安定剤を含んだ泥水を穴に注入している。
【0003】
次いで、図7(b)に示すように、この穴に所定の隙間を介した状態で、円筒状の井戸ケーシング管53を挿入する。この井戸ケーシング管53は、穴の深度に適合した長さとなるように、溶接やガス切断等の加工を施しながら穴に挿入される。この井戸ケーシング管53の周壁の一部には、網目状のスクリーン部54が形成されている。
そして、図7(c)に示すように、井戸ケーシング管53と穴との隙間に、地下水を濾過するフィルターとしてグラベル(硅砂)55を充填する。その後、図7(d)に示すように、井戸ケーシング管53の内部にサンドポンプ56を挿入し、井戸ケーシング管53内部の洗浄を行い、地下水の集水性を向上させる。
最後に、図7(e)に示すように、井戸ケーシング管53内部に流入した地下水を揚水ポンプ57により揚水して、穴周囲の地下水位を低下させる。
なお、ドライワーク等の終了後には、バイブロハンマーを使用して井戸ケーシング管を穴から引き抜く。
【0004】
【非特許文献1】
社団法人 日本ウェルポイント協会編、「ウェルポイント工法便覧」、改訂1版、1993年3月1日
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の地下水位低下工法においては、井戸ケーシング管53を設置して揚水を行うまでの工程数が多い。また、井戸ケーシング管53の設置の際には、井戸ケーシング管53等にガス切断や溶接等の加工を施していたため、これら加工の有資格者による作業が必要であった。
さらに、孔壁安定剤を含んだ泥水は、穿孔の終了後に産業廃棄物となるため、産業廃棄物処理業者による泥水処理を行う必要があった。また、穴と井戸ケーシング管53との隙間に充填されたグラベル55は、井戸ケーシング管53を引き抜く際に周囲の土砂と混合するため、再度使用することができない。
【0006】
また、井戸ケーシング管53内部に集水する方法が、地下水の自重によって導く、所謂重力排水であるため、穴近傍の水位のみが低下し、結果として、井戸ケーシング管53の設置本数が多く必要となる。
さらに、真空ポンプにより井戸ケーシング管53内部の圧力を減圧させ、周囲の地下水を集水する、所謂強制排水を行う方法があるが、この場合には、揚水ポンプの他に真空ポンプが必要となる。
以上のことから、地下水位低下工法に必要なコストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、井戸ケーシング管53を穴から引き抜く際には、バイブロハンマーを使用していたため、振動および騒音が発生し、周囲の住民に不快感を与えるという問題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、地下水位を低下させる際に、コスト削減を図ることができる地下水位低下装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、上端部を地上に露出させて地盤に埋設される井戸ケーシング管を備え、埋設された井戸ケーシング管の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置であって、前記井戸ケーシング管の下端部に、フィルター管が接続され、該フィルター管が、地下水を内部に流入させることが可能な第1のストレーナ部を有する外筒管と、該外筒管の内壁面から径方向内方に所定の隙間を有して設けられ、内部に地下水を流入させることが可能な第2のストレーナ部を有する内筒管と、前記隙間に保持され、前記地下水を濾過するフィルターとを備えていることを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0009】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、地下水位低下装置を地盤に設置するために、地盤に穴を形成して、この穴に井戸ケーシング管を挿入する。この際には、フィルターを備えたフィルター管も挿入されるため、穴と井戸ケーシング管との間にフィルターを充填するための隙間が不要となる。
そして、地下水位低下装置を地盤に設置した状態では、第1のストレーナ部からフィルターおよび第2のストレーナ部を介して、フィルター管の内筒管の内部に地下水が流入する。この地下水は、フィルターにおいて濾過されるため、揚水手段によって効率よく排出することができる。
そして、ドライワークが終了した際には、地下水位低下装置を穴から引き抜く。このときには、フィルターが井戸ケーシング管と共に回収されることになる。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の地下水位低下装置において、前記フィルター管の下端部に、液体を該フィルター管の下方に向けて噴出させるジェットノズルが少なくとも1つ設けられていることを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0011】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、液体をジェットノズルから噴出させて地盤に穿孔するため、この穿孔と同時に井戸ケーシング管を挿入できる。このため、地下水位低下装置の設置を少ない工程数にて行うことができると共に、穿孔の際に孔壁安定剤を使用する必要が無くなり、産業廃棄物の処理が不要となる。なお、この穿孔の際にジェットノズルから噴出した液体は、井戸ケーシング管と穴との隙間を通って地上に流出する。
また、井戸ケーシング管を穴から引き抜く際には、液体をジェットノズルから噴出させて、井戸ケーシング管を上方に移動させることができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の地下水位低下装置において、前記井戸ケーシング管の内部に、地下水を地上に排出する揚水手段を挿入した状態で、前記井戸ケーシング管の上端開口部を密封状態に閉塞する蓋体が設けられていることを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0013】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、蓋体により井戸ケーシング管の内部空間が地上の外方空間に対して密閉させると、揚水手段により井戸ケーシング管内部から地下水を排出した際に、内部空間の気圧が減少して負圧が発生する。そして、この負圧により井戸ケーシング管内部への地下水の流入が促進され、井戸ケーシング管を中心として地下水位の低下する範囲が拡大する。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、上端部を地上に露出させて地盤に埋設される円筒状の井戸ケーシング管を備え、埋設された井戸ケーシング管の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置であって、前記井戸ケーシング管の周壁に設けられ、地下水を内部に流入させることが可能な第3のストレーナ部と、前記井戸ケーシング管の下端部に設けられ、液体を該井戸ケーシング管の下方に向けて噴出させるジェットノズルと、前記井戸ケーシング管の内径と等しい直径を有し、ビニル樹脂、ビニル繊維からなるビニールホースとを備え、前記ビニールホースを前記井戸ケーシング管に挿入した状態で、前記液体を前記ビニールホース内部に供給した際に、前記ビニールホースが、前記井戸ケーシング管の内周壁面に密着することを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0015】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、地下水位低下装置を地盤に設置する際には、液体をジェットノズルから噴出させることにより地盤に穿孔して穴を形成するため、この穿孔と同時に井戸ケーシング管を挿入できる。このため、地下水位低下装置の設置を少ない工程数にて行うことができると共に、穿孔の際に孔壁安定剤を使用する必要が無くなり、産業廃棄物の処理が不要となる。
また、この際には、ビニールホース内部に液体を供給するため、ビニールホースを第3のストレーナ部の内周壁面に密着させて、第3のストレーナ部からの液体流出を防ぐことができる。したがって、ジェットノズルから噴出する液体の噴出圧力の低下を防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1から図5はこの発明に係る第1の実施形態を示す。この実施の形態に係る地下水位低下装置1は、図1に示すように、互いに接続された複数の井戸ケーシング管2,3と、井戸ケーシング管3の上端部3aに設けられた打設用ケーシング管4と、打設用ケーシング管4の上端部4aに設けられた蓋体5と、井戸ケーシング管2の下端部2bに接続されたフィルター管6と、フィルター管6の下端部6bに設けられたジェットノズル管7とを備えている。
【0017】
井戸ケーシング管2,3は、略円筒状に形成されており、その中心軸線L1方向に順次接続されている。井戸ケーシング管3の上端部3a、および打設用ケーシング管4の上端部4aおよび下端部4bには、それぞれフランジが形成されている。これらフランジの周縁部において、複数のボルトおよびナットにより、打設用ケーシング管4と、井戸ケーシング管3および蓋体5とをそれぞれ接続させるようになっている。
【0018】
蓋体5は、略円盤状に形成されており、打設用ケーシング管4のフランジ部分と同等の径寸法を有している。この蓋体5は、打設用ケーシング管4の上端開口部4cを閉塞するものである。また、この蓋体5には、貫通孔5aが形成されており、供給管9が貫通孔5aを密封するように設けられている。供給管9は、井戸ケーシング管2,3の内部に水を供給したり、地下水を地上に排出させたりするものである。さらに、この蓋体5の表面5bには、バルブ10aが設けられており、このバルブ10aを開いた状態で、打設用ケーシング管4の内部空間と外方空間とが連通することになる。
【0019】
フィルター管6は、地下水を外方から流入させると共に、濾過するものであり、外筒管11と、この外筒管11の内壁面11cから径方向内方に所定の隙間を有して設けられた内筒管12と、これら外筒管11と内筒管12と隙間に保持されたフィルター13とから構成されている。
外筒管11は、円筒状の周壁部14と、この周壁部14の軸方向の両端部から径方向内方に突出する一対の突出壁部15とから構成されている。周壁部14には、網目状に形成された第1のストレーナ部14aが設けられており、突出壁部15の中央部には、内筒管12を挿入するための穴17が形成されている。
突出壁部15には、フィルター13を出し入れする出入口15aが形成されており、この出入口15aは、図示しないプラグ等の閉塞部材により閉塞自在となっている。
【0020】
また、外筒管11の上端部11a側に形成された突出壁部15の上方には、穴17の周縁から内壁面11cまで拡径するテーパ部18が形成されている。
第1のストレーナ部14aは、フィルター管6を井戸ケーシング管2,3と共に地盤に埋設した状態で、地下水を外筒管11の内部に流入させると共に、フィルター管6周囲にある土砂の流入を防止するためのものである。
【0021】
内筒管12は、穴17周縁の突出壁部15に溶接されており、その下端部には網目状の第2のストレーナ部12aが形成されている。第2のストレーナ部12aは、外筒管11の内部に流入した地下水を内筒管12の内部に流入させるためのものである。
フィルター13は、グラベル(硅砂)からなり、外筒管11内部に流入する地下水と共に第1のストレーナ部14aを通過する微細な浮遊物を除去するものである。このフィルター13は、外筒管11の周壁部14、突出壁部15、および内筒管12により囲まれる領域内に保持されている。
【0022】
ジェットノズル管7は、図2に示すように、有底円筒状に形成されると共に、底壁部21aに複数の貫通孔21bが形成された管本体21と、噴出口22aから水を噴出させる複数の逆止弁付ジェットノズル22とから構成されている。
貫通孔21bには雄ねじ部材21cが溶接されており、この雄ねじ部材21cに逆止弁付ジェットノズル22の一端部に形成された雌ねじを螺着することで、逆止弁付ジェットノズル22が管本体21に固定される。
【0023】
この逆止弁付ジェットノズル22の内部には、ボール22bが挿入されており、このボールおよび雄ねじ部材21cにより、水が噴出口22aから管本体21内部に流入することを防止している。すなわち、管本体21内部の水圧が外部の水圧よりも低い場合には、ボール22bが雄ねじ部材21cに吸着して水の流入を防いでいる。
また、逆止弁付ジェットノズル22の先端部にはリブ22cが形成されており、このリブ22cは、ボール22bによる噴出口22aの閉塞を防止している。したがって、これら雄ねじ部材21c、ボール22bおよびリブ22cにより水の流れを一方向に規制する逆止弁が構成される。
この逆止弁付ジェットノズル22は、図3に示すように、底壁部21aの中央部に1つ配置されると共に、底壁部21aの周縁部に均等に離間させた状態で5つ配置されている。ただし、逆止弁付ジェットノズル22の数および配置は、これに限ることはなく、少なくとも1つの逆止弁付ジェットノズル22が配置されていればよい。
【0024】
各々の逆止弁付ジェットノズル22の周囲には、図2,3に示すように、粘土、シルト等の粘性土層に穿孔するための区画部材27と、固結シルト等の固結層に穿孔するための削岩部材28とが設けられている。
区画部材27は、断面L字状に形成された鉄等の金属板からなり、その一端部27aが尖った形状となっており、その他端部27bが底壁部21aに溶接されている。この区画部材27は、逆止弁付ジェットノズル22の長さよりも長く形成されており、各逆止弁付ジェットノズル22の周囲を囲むように、かつ、この周囲に隙間を有した状態で4つまたは2つずつ配されている。
削岩部材28は、円柱状に形成され、焼き入れした鋼等の金属棒からなり、一端部28aが尖った形状となっている。この削岩部材28は、各区画部材27に溶接され、その一端部28aが区画部材27の一端部27aから突出している。
【0025】
図2に示すように、これらフィルター管6とジェットノズル管7とは、薄板状に形成された接続部材8により接続されている。すなわち、フィルター管6とジェットノズル管7とを軸線方向に突き合わせた状態で、これらの外周面6e,7eにわたって接続部材8を配置する。そして、ボルト23によりフィルター管6およびジェットノズル管7と、接続部材8とを固定することにより、フィルター管6とジェットノズル管7とが接続されることになる。
【0026】
また、フィルター管6とジェットノズル管7との突き合わせ部分となる周壁部14,21dの端面14dと端面21eとの間には、Oリング25が配されており、この構成によってフィルター管6およびジェットノズル管7により形成される内部空間31が外方空間に対して密封されることになる。
なお、図1に示すように、井戸ケーシング管2およびフィルター管6、ならびに、井戸ケーシング管3および井戸ケーシング管2は、上述と同様にして、それぞれ互いに接続部材8により接続されている。
【0027】
以上のように構成された地下水位低下装置1を地盤に設置する方法について説明する。
はじめに、図4に示すように、この地下水位低下装置1の中心軸線L1が地上面GLに対して垂直になるように、かつ、逆止弁付ジェットノズル22が鉛直方向下方側に位置するように、地下水位低下装置1をクレーンCRにより吊す。
また、井戸ケーシング管2,3、フィルター管6およびジェットノズル管7を地盤Gに埋設する際には、供給管9とポンプP1とを接続する。このポンプP1は、地上に設けられた水槽T1の内部に設置されており、この水槽T1には水が満たされている。
【0028】
この状態で、ポンプP1を作動させて、井戸ケーシング管2,3、打設用ケーシング管4、フィルター管6、ジェットノズル管7の内部に水Lを流入すると、逆止弁付ジェットノズル22から地面GLに向けて水が噴出して、地面に穿孔する。なお、水を高い圧力にて逆止弁付ジェットノズル22から噴出させるためには、バルブ10aを閉じて地下水位低下装置1の内部空間を密閉することが好ましい。
そして、この穿孔と同時に、クレーンCRにより地下水位低下装置1を鉛直方向下方(A方向)に移動させることにより、ジェットノズル管7、フィルター管6および井戸ケーシング管2,3が、穿孔により形成される穴Hに順次挿入されることになる。この穿孔は、フィルター管6が地下水の自然水位よりも十分に深い位置に到達するまで行われる。
【0029】
この穿孔の際には、逆止弁付ジェットノズル22から噴出した水が、土砂と共に穴Hと井戸ケーシング管3,4との微小な隙間を通って地上に流出し、穴Hに隣接して形成された液体収容部T2に収容される。この液体収容部T2には、ポンプP2が設置されており、ポンプP2を作動することにより、水が水槽T1に回収されることになる。
【0030】
なお、地盤Gのうち、粘土、シルト等の粘性土層や固結シルト等の固結層に穿孔する場合には、以下のようにして行われる。
粘性土層に穿孔する場合には、各逆止弁付ジェットノズル22周囲の区画部材27が、逆止弁付ジェットノズル22に先行して粘性土層に突き刺さり、各逆止弁付ジェットノズル22近傍の粘性土層を区画する。それぞれ区画された粘性土層に水撃を与えた際には、粘性土層が容易に崩れ、逆止弁付ジェットノズル22から噴出される水と共に地上に排出されることになる。
また、固結層に穿孔する場合には、クレーンCRにより地下水位低下装置1を鉛直方向上方(B方向)に上昇させ、そこから落下させる。この際には、削岩部材28が固結層に衝突する。この衝突の衝撃により固結層が崩され、逆止弁付ジェットノズル22から噴出される水と共に地上に排出されることになる。
【0031】
穿孔が終了した際には、穴Hと井戸ケーシング管2,3との微小な隙間に、穿孔の際に穴Hから流出した土砂のうち、第1、第2のストレーナ部14a,12aの網目よりも大きい粗粒子を選択的に投入し、地下水位低下装置1を地盤Gに対して確実に固定する。
以上により、地下水位低下装置1が地盤Gに設置されることになる。
【0032】
なお、穿孔に使用した水を排出した場合には、地下水位低下装置1周囲の地下水が、第1のストレーナ部14aからフィルター13および第2のストレーナ部12aを介して、フィルター管6の内筒管12や井戸ケーシング管2,3の内部に流入する。内部に流入した地下水は、フィルター13において浮遊物を除去したものであるため、後述する揚水ポンプ(揚水手段)による地下水の排出が、効率よく行われることになる。
【0033】
次に、地盤Gに設置された地下水位低下装置1により地下水位を低下させる方法について説明する。
はじめに、打設用ケーシング管4を取り外す。次いで、図5に示すように、蓋材5および供給管9を打設用ケーシング管3の上端部3aに取り付けると共に、井戸ケーシング管2の内部空間に、揚水管30を介して供給管9に接続した揚水ポンプP3を挿入する。そして、水を井戸ケーシング管3の上端部3aまで満たした状態にして、バルブ10a,10bを閉じ、この内部空間を地上の外方空間に対して密封する。
【0034】
この揚水ポンプP3には、ホース35を介して小型のジェットノズル36が取り付けられており、このジェットノズル36は、第2のストレーナ部12aの下端部に配置されている。なお、ホース35およびジェットノズル36は、揚水ポンプP3を挿入する際に、テーパ部18により容易に内筒管12内部に案内されるようになっている。
【0035】
そして、揚水ポンプP3を作動させると共にバルブ10bを開けることにより、揚水ポンプP3の吸入口37に地下水が吸入され、揚水管30および供給管9を介して強制的に地上に排出される。この際には、井戸ケーシング管2,3の内部の水位が低下すると共に、周囲の地下水位が自然水位WL1から低下していく。また、この際には、内部空間の気圧が減少して負圧が発生するため、この負圧によりフィルター管6内部への地下水の流入が促進され、地下水位低下装置1を中心として地下水位の低下する範囲が拡大し、例えば、図5に示す地下水位WL2まで低下する。この地下水位WL2は、従来の重力排水による地下水位WL3よりも低い水位となる。
【0036】
また、揚水ポンプP3を作動させると、吸入口37から吸入された地下水の一部がホース35を介してジェットノズル36から噴出する。このため、第2のストレーナ部12a下端の水が攪拌・揚水され、浮遊物による第2のストレーナ部12aの目詰まり防止を図ることができるようになっている。
【0037】
所定の地下水位まで低下した際には、例えば、ドライワークを実施する。そして、このドライワーク終了後には、地下水位低下装置1を地盤Gから引き抜く。この際には、図4に示した構成として、クレーンCRにより地下水位低下装置1をB方向に引張りながら、水を逆止弁付ジェットノズル22から噴出させる。
【0038】
上記のように、この地下水位低下装置1によれば、地下水位低下装置1を地盤Gに設置する際には、穿孔と同時に地下水位低下装置1を挿入できるため、地下水位低下装置1の設置を少ない工程数にて行うと共に、産業廃棄物の処理が不要となる。
また、揚水ポンプP3により井戸ケーシング管2,3内部から地下水を排出した際には、地下水位低下装置1を中心として地下水位の低下する範囲が拡大するため、地下水位を低下させるべき領域に対して地下水位低下装置1の設置本数を少なくすることができる。
さらに、地下水位低下装置1を地盤Gから引き抜く際には、このフィルター13が井戸ケーシング管2,3と共に回収されるため、フィルター13を再利用することができる。
以上のことから、地下水位を低下させる際のコスト削減を図ることができる。
【0039】
また、フィルター13がフィルター管6の内部に保持されているため、地下水位低下装置1を設置する際に、穴Hと井戸ケーシング管2,3との間に隙間を形成する必要がなくなり、地盤Gに形成する穴径を小さくして穿孔時間の短縮を図ることができる。
さらに、地下水位低下装置1を地盤Gから引き抜く際に、水を逆止弁付ジェットノズル22から噴出させることにより、地下水位低下装置1を上方に移動させることができるため、振動および騒音を防止して、周囲の住民に不快感を与えることなく、引き抜くことができる。
【0040】
また、井戸ケーシング管2,3、フィルター管6がそれぞれ接続部材8およびボルトにより接続されるため、井戸ケーシング管2,3を地盤Gから引き抜いた後に分解して再度使用することができる。また、ガス切断や溶接等の有資格者による作業を要さずに、穴の深度に応じて地下水位低下装置1の長さ寸法を容易に変更することができる。
さらに、逆止弁付ジェットノズル22の周囲には、粘性土層や固結層に突き刺す区画部材27および削岩部材28が設けられているため、粘性土層や固結層にも容易に穿孔することができる。
【0041】
なお、上記の実施の形態においては、フィルター13は、グラベル(硅砂)からなるとしたが、これに限ることはなく、地下水に含まれる浮遊物を除去できる天然繊維、金属繊維、合成繊維から構成されるとしてもよい。
また、第2のストレーナ部12やジェットノズル管7の内部に揚水ポンプP3を設置する場合には、揚水ポンプP3により第2ストレーナ部近傍の水が攪拌・揚水されるため、揚水ポンプP3にホース35およびジェットノズル36を設けなくてもよい。
【0042】
さらに、区画部材27は、各逆止弁付ジェットノズル22の周囲に4つまたは2つずつ配されるとしたが、これに限ることはなく、各逆止弁付ジェットノズル22の周囲を囲むように、かつ、この周囲に隙間を有した状態で配置されていればよい。
また、断面L字状の区画部材27に限ることはなく、各逆止弁付ジェットノズル22近傍の粘性土層を区画することができる形状のものであればよい。
【0043】
図6はこの発明に係る第2の実施形態を示しており、この図に示す地下水位低下装置60は、前述した第1の実施形態の基本的構成が同一であるが、フィルター管の有無、および穿孔の際の構成が異なるため、図6において、この構成に関して説明し、図1から図5の構成要素と同一の部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
地下水位低下装置60は、井戸ケーシング管3,61、打設用ケーシング管4、蓋材5、ジェットノズル管7および供給管9を備えており、井戸ケーシング管61は、接続部材8により井戸ケーシング管3およびジェットノズル管7に接続されている。
この井戸ケーシング管61の周壁の一部には、網目状に形成された第3のストレーナ部62が形成されており、地下水が内部に流入できるようになっている。また、第3のストレーナ部62の下方には、井戸ケーシング管61の外周壁面61aから径方向外方に所定の隙間を有して設けられ、環状に形成されたリング63と、このリング63を井戸ケーシング管61に連結させるための複数のリブ64が設けられている。これらリング63およびリブ64は、穿孔の際に、穴Hを拡径させるためのものである。
【0045】
井戸ケーシング管3,61および打設用ケーシング管4の内部には、ビニールホース65が挿入されている。ビニールホース65は、ビニル樹脂やビニル繊維からなる、所謂ビニールホースであり、その直径が井戸ケーシング管3,61の内径と等しくなっている。このビニールホース65の一端部65aは供給管9に接続されており、他端部65bは、第3のストレーナ部62の下方側に位置している。
【0046】
このように構成された地下水位低下装置60を地盤Gに設置する際には、地下水位低下装置60をクレーンCRにより吊した状態にて、逆止弁付ジェットノズル22から水を噴出させることにより地面に穿孔を行うと同時に、ジェットノズル管7、井戸ケーシング管61,3を穴Hに順次挿入する。
【0047】
この穿孔の際には、ビニールホース65内部に水が供給され、ビニールホース65が第3のストレーナ部62を含む井戸ケーシング管61の内周壁面に密着する。このため、水が第3のストレーナ部62から流出することが無く、逆止弁付ジェットノズル22から噴出する水の噴出圧力の低下を防ぐことができる。
また、この穿孔の際には、リング63およびリブ64により穴Hの周壁部が崩されて穴Hが拡径することになる。この拡径された穴Hには、穿孔の終了後に、地下水を濾過するためのグラベル等のフィルター(図示せず)が投入される。
【0048】
上記のように、この地下水位低下装置60によれば、地下水位低下装置60を地盤に設置する際には、地盤への穿孔と同時に井戸ケーシング管3,61を挿入できるため、穿孔の際に孔壁安定剤を使用する必要が無くなり、産業廃棄物の処理が不要となる。したがって、地下水位低下装置60の設置のコスト削減を図ることができる。
また、地盤への穿孔の際には、逆止弁付ジェットノズル22から噴出する水の噴出圧力の低下を防ぐことができるため、穿孔の延長を容易に図ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、穴と井戸ケーシング管との間に隙間を形成する必要がないため、地盤に形成する穴径を小さくして穿孔時間の短縮を図ることができる。また、フィルターが井戸ケーシング管と共に回収されるため、フィルターを再利用することができる。したがって、地下水位を低下させる際のコスト削減を図ることができる。
【0051】
また、請求項2に係る発明によれば、地下水位低下装置の設置を少ない工程数にて行うと共に、産業廃棄物の処理が不要となるため、地下水位を低下させる際のコスト削減をさらに図ることができる。そして、地下水位低下装置を穴から引き抜く際にも、液体をジェットノズルから噴出させることにより、井戸ケーシング管を上方に移動させることができるため、振動および騒音を防止して、周囲の住民に不快感を与えることなく、引き抜くことができる。
【0052】
また、請求項3に係る発明によれば、井戸ケーシング管を中心として地下水位の低下する範囲が拡大するため、地下水位を低下させるべき領域に対して井戸ケーシング管の設置本数を減少させることができる。したがって、地下水位を低下させる際のコスト削減をさらに図ることができる。
【0053】
また、請求項4に係る発明によれば、産業廃棄物の処理が不要となるため、地下水位を低下させる際のコスト削減を図ることができる。また、穿孔の際には、ビニールホースが第3のストレーナ部の内周壁面に密着するため、ジェットノズルから噴出する液体の圧力低下を防ぎ、穿孔の延長を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る地下水位低下装置を示す半体切断断面図である。
【図2】図1の地下水位低下装置の要部を示す拡大断面図である。
【図3】図1の地下水位低下装置の要部を示す正面図である。
【図4】図1の地下水位低下装置により穿孔を行う状態を示す概略図である。
【図5】図1の地下水位低下装置により揚水を行う状態を示す概略図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る地下水位低下装置を示す半体切断断面図である。
【図7】従来のディープウェル工法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
1,60 地下水位低下装置
2,3 井戸ケーシング管
2b 下端部
4a 上端部
4c 上端開口部
5 蓋体
6 フィルター管
11 外筒管
11c 内壁面
12内筒管
12a 第2のストレーナ部
13 フィルター
14a 第1のストレーナ部
22 逆止弁付ジェットノズル
62 第3のストレーナ部
65 ビニールホース
P3 揚水ポンプ(揚水手段)
【発明の属する技術分野】
この発明は、地下水を地上に排出し、地下水位を低下させる地下水位低下装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設工事の基礎工事におけるドライワークの実施等を目的として地下水位を低下させる方法としては、井戸を設置して揚水を行うディープウェル工法およびバキュームディープウェル工法がある(例えば、非特許文献1参照)。
ディープウェル工法では、図7(a)に示すように、はじめに、ボーリングマシン51等により穿孔する。この際には、穴の内壁52が崩れ落ちないように、ベントナイト等からなる孔壁安定剤を含んだ泥水を穴に注入している。
【0003】
次いで、図7(b)に示すように、この穴に所定の隙間を介した状態で、円筒状の井戸ケーシング管53を挿入する。この井戸ケーシング管53は、穴の深度に適合した長さとなるように、溶接やガス切断等の加工を施しながら穴に挿入される。この井戸ケーシング管53の周壁の一部には、網目状のスクリーン部54が形成されている。
そして、図7(c)に示すように、井戸ケーシング管53と穴との隙間に、地下水を濾過するフィルターとしてグラベル(硅砂)55を充填する。その後、図7(d)に示すように、井戸ケーシング管53の内部にサンドポンプ56を挿入し、井戸ケーシング管53内部の洗浄を行い、地下水の集水性を向上させる。
最後に、図7(e)に示すように、井戸ケーシング管53内部に流入した地下水を揚水ポンプ57により揚水して、穴周囲の地下水位を低下させる。
なお、ドライワーク等の終了後には、バイブロハンマーを使用して井戸ケーシング管を穴から引き抜く。
【0004】
【非特許文献1】
社団法人 日本ウェルポイント協会編、「ウェルポイント工法便覧」、改訂1版、1993年3月1日
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の地下水位低下工法においては、井戸ケーシング管53を設置して揚水を行うまでの工程数が多い。また、井戸ケーシング管53の設置の際には、井戸ケーシング管53等にガス切断や溶接等の加工を施していたため、これら加工の有資格者による作業が必要であった。
さらに、孔壁安定剤を含んだ泥水は、穿孔の終了後に産業廃棄物となるため、産業廃棄物処理業者による泥水処理を行う必要があった。また、穴と井戸ケーシング管53との隙間に充填されたグラベル55は、井戸ケーシング管53を引き抜く際に周囲の土砂と混合するため、再度使用することができない。
【0006】
また、井戸ケーシング管53内部に集水する方法が、地下水の自重によって導く、所謂重力排水であるため、穴近傍の水位のみが低下し、結果として、井戸ケーシング管53の設置本数が多く必要となる。
さらに、真空ポンプにより井戸ケーシング管53内部の圧力を減圧させ、周囲の地下水を集水する、所謂強制排水を行う方法があるが、この場合には、揚水ポンプの他に真空ポンプが必要となる。
以上のことから、地下水位低下工法に必要なコストが高くなるという問題があった。
【0007】
また、井戸ケーシング管53を穴から引き抜く際には、バイブロハンマーを使用していたため、振動および騒音が発生し、周囲の住民に不快感を与えるという問題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、地下水位を低下させる際に、コスト削減を図ることができる地下水位低下装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、上端部を地上に露出させて地盤に埋設される井戸ケーシング管を備え、埋設された井戸ケーシング管の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置であって、前記井戸ケーシング管の下端部に、フィルター管が接続され、該フィルター管が、地下水を内部に流入させることが可能な第1のストレーナ部を有する外筒管と、該外筒管の内壁面から径方向内方に所定の隙間を有して設けられ、内部に地下水を流入させることが可能な第2のストレーナ部を有する内筒管と、前記隙間に保持され、前記地下水を濾過するフィルターとを備えていることを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0009】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、地下水位低下装置を地盤に設置するために、地盤に穴を形成して、この穴に井戸ケーシング管を挿入する。この際には、フィルターを備えたフィルター管も挿入されるため、穴と井戸ケーシング管との間にフィルターを充填するための隙間が不要となる。
そして、地下水位低下装置を地盤に設置した状態では、第1のストレーナ部からフィルターおよび第2のストレーナ部を介して、フィルター管の内筒管の内部に地下水が流入する。この地下水は、フィルターにおいて濾過されるため、揚水手段によって効率よく排出することができる。
そして、ドライワークが終了した際には、地下水位低下装置を穴から引き抜く。このときには、フィルターが井戸ケーシング管と共に回収されることになる。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の地下水位低下装置において、前記フィルター管の下端部に、液体を該フィルター管の下方に向けて噴出させるジェットノズルが少なくとも1つ設けられていることを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0011】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、液体をジェットノズルから噴出させて地盤に穿孔するため、この穿孔と同時に井戸ケーシング管を挿入できる。このため、地下水位低下装置の設置を少ない工程数にて行うことができると共に、穿孔の際に孔壁安定剤を使用する必要が無くなり、産業廃棄物の処理が不要となる。なお、この穿孔の際にジェットノズルから噴出した液体は、井戸ケーシング管と穴との隙間を通って地上に流出する。
また、井戸ケーシング管を穴から引き抜く際には、液体をジェットノズルから噴出させて、井戸ケーシング管を上方に移動させることができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の地下水位低下装置において、前記井戸ケーシング管の内部に、地下水を地上に排出する揚水手段を挿入した状態で、前記井戸ケーシング管の上端開口部を密封状態に閉塞する蓋体が設けられていることを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0013】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、蓋体により井戸ケーシング管の内部空間が地上の外方空間に対して密閉させると、揚水手段により井戸ケーシング管内部から地下水を排出した際に、内部空間の気圧が減少して負圧が発生する。そして、この負圧により井戸ケーシング管内部への地下水の流入が促進され、井戸ケーシング管を中心として地下水位の低下する範囲が拡大する。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、上端部を地上に露出させて地盤に埋設される円筒状の井戸ケーシング管を備え、埋設された井戸ケーシング管の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置であって、前記井戸ケーシング管の周壁に設けられ、地下水を内部に流入させることが可能な第3のストレーナ部と、前記井戸ケーシング管の下端部に設けられ、液体を該井戸ケーシング管の下方に向けて噴出させるジェットノズルと、前記井戸ケーシング管の内径と等しい直径を有し、ビニル樹脂、ビニル繊維からなるビニールホースとを備え、前記ビニールホースを前記井戸ケーシング管に挿入した状態で、前記液体を前記ビニールホース内部に供給した際に、前記ビニールホースが、前記井戸ケーシング管の内周壁面に密着することを特徴とする地下水位低下装置を提案している。
【0015】
この発明に係る地下水位低下装置によれば、地下水位低下装置を地盤に設置する際には、液体をジェットノズルから噴出させることにより地盤に穿孔して穴を形成するため、この穿孔と同時に井戸ケーシング管を挿入できる。このため、地下水位低下装置の設置を少ない工程数にて行うことができると共に、穿孔の際に孔壁安定剤を使用する必要が無くなり、産業廃棄物の処理が不要となる。
また、この際には、ビニールホース内部に液体を供給するため、ビニールホースを第3のストレーナ部の内周壁面に密着させて、第3のストレーナ部からの液体流出を防ぐことができる。したがって、ジェットノズルから噴出する液体の噴出圧力の低下を防ぐことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1から図5はこの発明に係る第1の実施形態を示す。この実施の形態に係る地下水位低下装置1は、図1に示すように、互いに接続された複数の井戸ケーシング管2,3と、井戸ケーシング管3の上端部3aに設けられた打設用ケーシング管4と、打設用ケーシング管4の上端部4aに設けられた蓋体5と、井戸ケーシング管2の下端部2bに接続されたフィルター管6と、フィルター管6の下端部6bに設けられたジェットノズル管7とを備えている。
【0017】
井戸ケーシング管2,3は、略円筒状に形成されており、その中心軸線L1方向に順次接続されている。井戸ケーシング管3の上端部3a、および打設用ケーシング管4の上端部4aおよび下端部4bには、それぞれフランジが形成されている。これらフランジの周縁部において、複数のボルトおよびナットにより、打設用ケーシング管4と、井戸ケーシング管3および蓋体5とをそれぞれ接続させるようになっている。
【0018】
蓋体5は、略円盤状に形成されており、打設用ケーシング管4のフランジ部分と同等の径寸法を有している。この蓋体5は、打設用ケーシング管4の上端開口部4cを閉塞するものである。また、この蓋体5には、貫通孔5aが形成されており、供給管9が貫通孔5aを密封するように設けられている。供給管9は、井戸ケーシング管2,3の内部に水を供給したり、地下水を地上に排出させたりするものである。さらに、この蓋体5の表面5bには、バルブ10aが設けられており、このバルブ10aを開いた状態で、打設用ケーシング管4の内部空間と外方空間とが連通することになる。
【0019】
フィルター管6は、地下水を外方から流入させると共に、濾過するものであり、外筒管11と、この外筒管11の内壁面11cから径方向内方に所定の隙間を有して設けられた内筒管12と、これら外筒管11と内筒管12と隙間に保持されたフィルター13とから構成されている。
外筒管11は、円筒状の周壁部14と、この周壁部14の軸方向の両端部から径方向内方に突出する一対の突出壁部15とから構成されている。周壁部14には、網目状に形成された第1のストレーナ部14aが設けられており、突出壁部15の中央部には、内筒管12を挿入するための穴17が形成されている。
突出壁部15には、フィルター13を出し入れする出入口15aが形成されており、この出入口15aは、図示しないプラグ等の閉塞部材により閉塞自在となっている。
【0020】
また、外筒管11の上端部11a側に形成された突出壁部15の上方には、穴17の周縁から内壁面11cまで拡径するテーパ部18が形成されている。
第1のストレーナ部14aは、フィルター管6を井戸ケーシング管2,3と共に地盤に埋設した状態で、地下水を外筒管11の内部に流入させると共に、フィルター管6周囲にある土砂の流入を防止するためのものである。
【0021】
内筒管12は、穴17周縁の突出壁部15に溶接されており、その下端部には網目状の第2のストレーナ部12aが形成されている。第2のストレーナ部12aは、外筒管11の内部に流入した地下水を内筒管12の内部に流入させるためのものである。
フィルター13は、グラベル(硅砂)からなり、外筒管11内部に流入する地下水と共に第1のストレーナ部14aを通過する微細な浮遊物を除去するものである。このフィルター13は、外筒管11の周壁部14、突出壁部15、および内筒管12により囲まれる領域内に保持されている。
【0022】
ジェットノズル管7は、図2に示すように、有底円筒状に形成されると共に、底壁部21aに複数の貫通孔21bが形成された管本体21と、噴出口22aから水を噴出させる複数の逆止弁付ジェットノズル22とから構成されている。
貫通孔21bには雄ねじ部材21cが溶接されており、この雄ねじ部材21cに逆止弁付ジェットノズル22の一端部に形成された雌ねじを螺着することで、逆止弁付ジェットノズル22が管本体21に固定される。
【0023】
この逆止弁付ジェットノズル22の内部には、ボール22bが挿入されており、このボールおよび雄ねじ部材21cにより、水が噴出口22aから管本体21内部に流入することを防止している。すなわち、管本体21内部の水圧が外部の水圧よりも低い場合には、ボール22bが雄ねじ部材21cに吸着して水の流入を防いでいる。
また、逆止弁付ジェットノズル22の先端部にはリブ22cが形成されており、このリブ22cは、ボール22bによる噴出口22aの閉塞を防止している。したがって、これら雄ねじ部材21c、ボール22bおよびリブ22cにより水の流れを一方向に規制する逆止弁が構成される。
この逆止弁付ジェットノズル22は、図3に示すように、底壁部21aの中央部に1つ配置されると共に、底壁部21aの周縁部に均等に離間させた状態で5つ配置されている。ただし、逆止弁付ジェットノズル22の数および配置は、これに限ることはなく、少なくとも1つの逆止弁付ジェットノズル22が配置されていればよい。
【0024】
各々の逆止弁付ジェットノズル22の周囲には、図2,3に示すように、粘土、シルト等の粘性土層に穿孔するための区画部材27と、固結シルト等の固結層に穿孔するための削岩部材28とが設けられている。
区画部材27は、断面L字状に形成された鉄等の金属板からなり、その一端部27aが尖った形状となっており、その他端部27bが底壁部21aに溶接されている。この区画部材27は、逆止弁付ジェットノズル22の長さよりも長く形成されており、各逆止弁付ジェットノズル22の周囲を囲むように、かつ、この周囲に隙間を有した状態で4つまたは2つずつ配されている。
削岩部材28は、円柱状に形成され、焼き入れした鋼等の金属棒からなり、一端部28aが尖った形状となっている。この削岩部材28は、各区画部材27に溶接され、その一端部28aが区画部材27の一端部27aから突出している。
【0025】
図2に示すように、これらフィルター管6とジェットノズル管7とは、薄板状に形成された接続部材8により接続されている。すなわち、フィルター管6とジェットノズル管7とを軸線方向に突き合わせた状態で、これらの外周面6e,7eにわたって接続部材8を配置する。そして、ボルト23によりフィルター管6およびジェットノズル管7と、接続部材8とを固定することにより、フィルター管6とジェットノズル管7とが接続されることになる。
【0026】
また、フィルター管6とジェットノズル管7との突き合わせ部分となる周壁部14,21dの端面14dと端面21eとの間には、Oリング25が配されており、この構成によってフィルター管6およびジェットノズル管7により形成される内部空間31が外方空間に対して密封されることになる。
なお、図1に示すように、井戸ケーシング管2およびフィルター管6、ならびに、井戸ケーシング管3および井戸ケーシング管2は、上述と同様にして、それぞれ互いに接続部材8により接続されている。
【0027】
以上のように構成された地下水位低下装置1を地盤に設置する方法について説明する。
はじめに、図4に示すように、この地下水位低下装置1の中心軸線L1が地上面GLに対して垂直になるように、かつ、逆止弁付ジェットノズル22が鉛直方向下方側に位置するように、地下水位低下装置1をクレーンCRにより吊す。
また、井戸ケーシング管2,3、フィルター管6およびジェットノズル管7を地盤Gに埋設する際には、供給管9とポンプP1とを接続する。このポンプP1は、地上に設けられた水槽T1の内部に設置されており、この水槽T1には水が満たされている。
【0028】
この状態で、ポンプP1を作動させて、井戸ケーシング管2,3、打設用ケーシング管4、フィルター管6、ジェットノズル管7の内部に水Lを流入すると、逆止弁付ジェットノズル22から地面GLに向けて水が噴出して、地面に穿孔する。なお、水を高い圧力にて逆止弁付ジェットノズル22から噴出させるためには、バルブ10aを閉じて地下水位低下装置1の内部空間を密閉することが好ましい。
そして、この穿孔と同時に、クレーンCRにより地下水位低下装置1を鉛直方向下方(A方向)に移動させることにより、ジェットノズル管7、フィルター管6および井戸ケーシング管2,3が、穿孔により形成される穴Hに順次挿入されることになる。この穿孔は、フィルター管6が地下水の自然水位よりも十分に深い位置に到達するまで行われる。
【0029】
この穿孔の際には、逆止弁付ジェットノズル22から噴出した水が、土砂と共に穴Hと井戸ケーシング管3,4との微小な隙間を通って地上に流出し、穴Hに隣接して形成された液体収容部T2に収容される。この液体収容部T2には、ポンプP2が設置されており、ポンプP2を作動することにより、水が水槽T1に回収されることになる。
【0030】
なお、地盤Gのうち、粘土、シルト等の粘性土層や固結シルト等の固結層に穿孔する場合には、以下のようにして行われる。
粘性土層に穿孔する場合には、各逆止弁付ジェットノズル22周囲の区画部材27が、逆止弁付ジェットノズル22に先行して粘性土層に突き刺さり、各逆止弁付ジェットノズル22近傍の粘性土層を区画する。それぞれ区画された粘性土層に水撃を与えた際には、粘性土層が容易に崩れ、逆止弁付ジェットノズル22から噴出される水と共に地上に排出されることになる。
また、固結層に穿孔する場合には、クレーンCRにより地下水位低下装置1を鉛直方向上方(B方向)に上昇させ、そこから落下させる。この際には、削岩部材28が固結層に衝突する。この衝突の衝撃により固結層が崩され、逆止弁付ジェットノズル22から噴出される水と共に地上に排出されることになる。
【0031】
穿孔が終了した際には、穴Hと井戸ケーシング管2,3との微小な隙間に、穿孔の際に穴Hから流出した土砂のうち、第1、第2のストレーナ部14a,12aの網目よりも大きい粗粒子を選択的に投入し、地下水位低下装置1を地盤Gに対して確実に固定する。
以上により、地下水位低下装置1が地盤Gに設置されることになる。
【0032】
なお、穿孔に使用した水を排出した場合には、地下水位低下装置1周囲の地下水が、第1のストレーナ部14aからフィルター13および第2のストレーナ部12aを介して、フィルター管6の内筒管12や井戸ケーシング管2,3の内部に流入する。内部に流入した地下水は、フィルター13において浮遊物を除去したものであるため、後述する揚水ポンプ(揚水手段)による地下水の排出が、効率よく行われることになる。
【0033】
次に、地盤Gに設置された地下水位低下装置1により地下水位を低下させる方法について説明する。
はじめに、打設用ケーシング管4を取り外す。次いで、図5に示すように、蓋材5および供給管9を打設用ケーシング管3の上端部3aに取り付けると共に、井戸ケーシング管2の内部空間に、揚水管30を介して供給管9に接続した揚水ポンプP3を挿入する。そして、水を井戸ケーシング管3の上端部3aまで満たした状態にして、バルブ10a,10bを閉じ、この内部空間を地上の外方空間に対して密封する。
【0034】
この揚水ポンプP3には、ホース35を介して小型のジェットノズル36が取り付けられており、このジェットノズル36は、第2のストレーナ部12aの下端部に配置されている。なお、ホース35およびジェットノズル36は、揚水ポンプP3を挿入する際に、テーパ部18により容易に内筒管12内部に案内されるようになっている。
【0035】
そして、揚水ポンプP3を作動させると共にバルブ10bを開けることにより、揚水ポンプP3の吸入口37に地下水が吸入され、揚水管30および供給管9を介して強制的に地上に排出される。この際には、井戸ケーシング管2,3の内部の水位が低下すると共に、周囲の地下水位が自然水位WL1から低下していく。また、この際には、内部空間の気圧が減少して負圧が発生するため、この負圧によりフィルター管6内部への地下水の流入が促進され、地下水位低下装置1を中心として地下水位の低下する範囲が拡大し、例えば、図5に示す地下水位WL2まで低下する。この地下水位WL2は、従来の重力排水による地下水位WL3よりも低い水位となる。
【0036】
また、揚水ポンプP3を作動させると、吸入口37から吸入された地下水の一部がホース35を介してジェットノズル36から噴出する。このため、第2のストレーナ部12a下端の水が攪拌・揚水され、浮遊物による第2のストレーナ部12aの目詰まり防止を図ることができるようになっている。
【0037】
所定の地下水位まで低下した際には、例えば、ドライワークを実施する。そして、このドライワーク終了後には、地下水位低下装置1を地盤Gから引き抜く。この際には、図4に示した構成として、クレーンCRにより地下水位低下装置1をB方向に引張りながら、水を逆止弁付ジェットノズル22から噴出させる。
【0038】
上記のように、この地下水位低下装置1によれば、地下水位低下装置1を地盤Gに設置する際には、穿孔と同時に地下水位低下装置1を挿入できるため、地下水位低下装置1の設置を少ない工程数にて行うと共に、産業廃棄物の処理が不要となる。
また、揚水ポンプP3により井戸ケーシング管2,3内部から地下水を排出した際には、地下水位低下装置1を中心として地下水位の低下する範囲が拡大するため、地下水位を低下させるべき領域に対して地下水位低下装置1の設置本数を少なくすることができる。
さらに、地下水位低下装置1を地盤Gから引き抜く際には、このフィルター13が井戸ケーシング管2,3と共に回収されるため、フィルター13を再利用することができる。
以上のことから、地下水位を低下させる際のコスト削減を図ることができる。
【0039】
また、フィルター13がフィルター管6の内部に保持されているため、地下水位低下装置1を設置する際に、穴Hと井戸ケーシング管2,3との間に隙間を形成する必要がなくなり、地盤Gに形成する穴径を小さくして穿孔時間の短縮を図ることができる。
さらに、地下水位低下装置1を地盤Gから引き抜く際に、水を逆止弁付ジェットノズル22から噴出させることにより、地下水位低下装置1を上方に移動させることができるため、振動および騒音を防止して、周囲の住民に不快感を与えることなく、引き抜くことができる。
【0040】
また、井戸ケーシング管2,3、フィルター管6がそれぞれ接続部材8およびボルトにより接続されるため、井戸ケーシング管2,3を地盤Gから引き抜いた後に分解して再度使用することができる。また、ガス切断や溶接等の有資格者による作業を要さずに、穴の深度に応じて地下水位低下装置1の長さ寸法を容易に変更することができる。
さらに、逆止弁付ジェットノズル22の周囲には、粘性土層や固結層に突き刺す区画部材27および削岩部材28が設けられているため、粘性土層や固結層にも容易に穿孔することができる。
【0041】
なお、上記の実施の形態においては、フィルター13は、グラベル(硅砂)からなるとしたが、これに限ることはなく、地下水に含まれる浮遊物を除去できる天然繊維、金属繊維、合成繊維から構成されるとしてもよい。
また、第2のストレーナ部12やジェットノズル管7の内部に揚水ポンプP3を設置する場合には、揚水ポンプP3により第2ストレーナ部近傍の水が攪拌・揚水されるため、揚水ポンプP3にホース35およびジェットノズル36を設けなくてもよい。
【0042】
さらに、区画部材27は、各逆止弁付ジェットノズル22の周囲に4つまたは2つずつ配されるとしたが、これに限ることはなく、各逆止弁付ジェットノズル22の周囲を囲むように、かつ、この周囲に隙間を有した状態で配置されていればよい。
また、断面L字状の区画部材27に限ることはなく、各逆止弁付ジェットノズル22近傍の粘性土層を区画することができる形状のものであればよい。
【0043】
図6はこの発明に係る第2の実施形態を示しており、この図に示す地下水位低下装置60は、前述した第1の実施形態の基本的構成が同一であるが、フィルター管の有無、および穿孔の際の構成が異なるため、図6において、この構成に関して説明し、図1から図5の構成要素と同一の部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
地下水位低下装置60は、井戸ケーシング管3,61、打設用ケーシング管4、蓋材5、ジェットノズル管7および供給管9を備えており、井戸ケーシング管61は、接続部材8により井戸ケーシング管3およびジェットノズル管7に接続されている。
この井戸ケーシング管61の周壁の一部には、網目状に形成された第3のストレーナ部62が形成されており、地下水が内部に流入できるようになっている。また、第3のストレーナ部62の下方には、井戸ケーシング管61の外周壁面61aから径方向外方に所定の隙間を有して設けられ、環状に形成されたリング63と、このリング63を井戸ケーシング管61に連結させるための複数のリブ64が設けられている。これらリング63およびリブ64は、穿孔の際に、穴Hを拡径させるためのものである。
【0045】
井戸ケーシング管3,61および打設用ケーシング管4の内部には、ビニールホース65が挿入されている。ビニールホース65は、ビニル樹脂やビニル繊維からなる、所謂ビニールホースであり、その直径が井戸ケーシング管3,61の内径と等しくなっている。このビニールホース65の一端部65aは供給管9に接続されており、他端部65bは、第3のストレーナ部62の下方側に位置している。
【0046】
このように構成された地下水位低下装置60を地盤Gに設置する際には、地下水位低下装置60をクレーンCRにより吊した状態にて、逆止弁付ジェットノズル22から水を噴出させることにより地面に穿孔を行うと同時に、ジェットノズル管7、井戸ケーシング管61,3を穴Hに順次挿入する。
【0047】
この穿孔の際には、ビニールホース65内部に水が供給され、ビニールホース65が第3のストレーナ部62を含む井戸ケーシング管61の内周壁面に密着する。このため、水が第3のストレーナ部62から流出することが無く、逆止弁付ジェットノズル22から噴出する水の噴出圧力の低下を防ぐことができる。
また、この穿孔の際には、リング63およびリブ64により穴Hの周壁部が崩されて穴Hが拡径することになる。この拡径された穴Hには、穿孔の終了後に、地下水を濾過するためのグラベル等のフィルター(図示せず)が投入される。
【0048】
上記のように、この地下水位低下装置60によれば、地下水位低下装置60を地盤に設置する際には、地盤への穿孔と同時に井戸ケーシング管3,61を挿入できるため、穿孔の際に孔壁安定剤を使用する必要が無くなり、産業廃棄物の処理が不要となる。したがって、地下水位低下装置60の設置のコスト削減を図ることができる。
また、地盤への穿孔の際には、逆止弁付ジェットノズル22から噴出する水の噴出圧力の低下を防ぐことができるため、穿孔の延長を容易に図ることができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明によれば、穴と井戸ケーシング管との間に隙間を形成する必要がないため、地盤に形成する穴径を小さくして穿孔時間の短縮を図ることができる。また、フィルターが井戸ケーシング管と共に回収されるため、フィルターを再利用することができる。したがって、地下水位を低下させる際のコスト削減を図ることができる。
【0051】
また、請求項2に係る発明によれば、地下水位低下装置の設置を少ない工程数にて行うと共に、産業廃棄物の処理が不要となるため、地下水位を低下させる際のコスト削減をさらに図ることができる。そして、地下水位低下装置を穴から引き抜く際にも、液体をジェットノズルから噴出させることにより、井戸ケーシング管を上方に移動させることができるため、振動および騒音を防止して、周囲の住民に不快感を与えることなく、引き抜くことができる。
【0052】
また、請求項3に係る発明によれば、井戸ケーシング管を中心として地下水位の低下する範囲が拡大するため、地下水位を低下させるべき領域に対して井戸ケーシング管の設置本数を減少させることができる。したがって、地下水位を低下させる際のコスト削減をさらに図ることができる。
【0053】
また、請求項4に係る発明によれば、産業廃棄物の処理が不要となるため、地下水位を低下させる際のコスト削減を図ることができる。また、穿孔の際には、ビニールホースが第3のストレーナ部の内周壁面に密着するため、ジェットノズルから噴出する液体の圧力低下を防ぎ、穿孔の延長を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る地下水位低下装置を示す半体切断断面図である。
【図2】図1の地下水位低下装置の要部を示す拡大断面図である。
【図3】図1の地下水位低下装置の要部を示す正面図である。
【図4】図1の地下水位低下装置により穿孔を行う状態を示す概略図である。
【図5】図1の地下水位低下装置により揚水を行う状態を示す概略図である。
【図6】この発明の第2の実施形態に係る地下水位低下装置を示す半体切断断面図である。
【図7】従来のディープウェル工法を工程順に示す断面図である。
【符号の説明】
1,60 地下水位低下装置
2,3 井戸ケーシング管
2b 下端部
4a 上端部
4c 上端開口部
5 蓋体
6 フィルター管
11 外筒管
11c 内壁面
12内筒管
12a 第2のストレーナ部
13 フィルター
14a 第1のストレーナ部
22 逆止弁付ジェットノズル
62 第3のストレーナ部
65 ビニールホース
P3 揚水ポンプ(揚水手段)
Claims (4)
- 上端部を地上に露出させて地盤に埋設される井戸ケーシング管を備え、埋設された井戸ケーシング管の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置であって、
前記井戸ケーシング管の下端部に、フィルター管が接続され、
該フィルター管が、地下水を内部に流入させることが可能な第1のストレーナ部を有する外筒管と、
該外筒管の内壁面から径方向内方に所定の隙間を有して設けられ、内部に地下水を流入させることが可能な第2のストレーナ部を有する内筒管と、
前記隙間に保持され、前記地下水を濾過するフィルターとを備えていることを特徴とする地下水位低下装置。 - 前記フィルター管の下端部に、液体を該フィルター管の下方に向けて噴出させると共に、ジェットノズルが少なくとも1つ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の地下水位低下装置。
- 前記井戸ケーシング管の内部に、地下水を地上に排出する揚水手段を挿入した状態で、前記井戸ケーシング管の上端開口部を密封状態に閉塞する蓋体が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地下水位低下装置。
- 上端部を地上に露出させて地盤に埋設される円筒状の井戸ケーシング管を備え、埋設された井戸ケーシング管の内側に流入した地下水を揚水手段により強制的に地上に排出して地下水位を低下させる地下水位低下装置であって、
前記井戸ケーシング管の周壁に設けられ、地下水を内部に流入させることが可能な第3のストレーナ部と、前記井戸ケーシング管の下端部に設けられ、液体を該井戸ケーシング管の下方に向けて噴出させるジェットノズルと、前記井戸ケーシング管の内径と等しい直径を有し、ビニル樹脂、ビニル繊維からなるビニールホースとを備え、
前記ビニールホースを前記井戸ケーシング管に挿入した状態で、前記液体を前記ビニールホース内部に供給した際に、前記ビニールホースが、前記井戸ケーシング管の内周壁面に密着することを特徴とする地下水位低下装置。
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JP2002283774A JP2004116220A (ja) | 2002-09-27 | 2002-09-27 | 地下水位低下装置 |
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JP (1) | JP2004116220A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008169622A (ja) * | 2007-01-11 | 2008-07-24 | Toho Chisui Kk | 揚水試験方法と揚水試験装置 |
CN108277807A (zh) * | 2018-04-09 | 2018-07-13 | 浙江乔兴建设集团有限公司 | 深基坑承压水突涌减压控水结构 |
CN110886304A (zh) * | 2019-11-08 | 2020-03-17 | 中国十七冶集团有限公司 | 高层建筑深基坑降水收集利用方法 |
-
2002
- 2002-09-27 JP JP2002283774A patent/JP2004116220A/ja active Pending
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