JP2004105741A - 超音波探触子 - Google Patents

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JP2004105741A JP2003336550A JP2003336550A JP2004105741A JP 2004105741 A JP2004105741 A JP 2004105741A JP 2003336550 A JP2003336550 A JP 2003336550A JP 2003336550 A JP2003336550 A JP 2003336550A JP 2004105741 A JP2004105741 A JP 2004105741A
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大村 正由
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Abstract

【課題】ビーム幅が細く、焦域の長い遠方での感度低下を抑えたビームを形成して、分解能を改善した超音波探触子を提供すること。
【解決手段】前方又は後方にそれぞれ少なくとも1つの実効的・仮想的円環状音源部を形成する超音波探触子であって、前記音源部は平面形状又は曲面形状の圧電素子を備え、前記圧電素子から放射された超音波の出射端側を構成するレンズ表面に曲率半径Rのレンズ面を複数設け、前記曲率半径Rと、レンズ中心軸から前記レンズ面の曲面を形成する中心までの距離rとの間に、2<R/r<4の関係を有する。
【選択図】図18

Description

 本発明は、超音波のエコーを利用して生体内の断層を画像化する超音波診断装置に用いられる超音波探触子に関する。
 近年、超音波探触子或いは超音波振動子から超音波を生体に照射し、生体における音響インピーダンスの変化部分で反射された反射超音波を受信して電気信号に変換し、画像化することにより、超音波断層像を得る超音波診断装置が広く用いられるようになった。
 従来の超音波探触子は、中心軸上に幾何学的焦点をもつように振動子の放射面を凹状若しくは凸状の曲面としたものや振動子の中心軸上に幾何学的焦点をもつ集束型音響レンズを設けたものであった。
 しかし、このような超音波探触子においては、超音波ビームの焦点近傍ではビーム幅が細く絞られているが、焦点から外れた位置では超音波ビームは広がるため、広範囲にわたって分解能の高い画像を得ることができなかった。
 この問題点を解決するため、特開昭51−60491号公報には超音波探触子の前方又は後方にそれぞれ実効的・仮想的円環状音源を形成する超音波探触子が開示されている。
 しかし、この仮想円環状音源を形成する超音波探触子は、広範囲にわたってビーム幅の細い主ビームを得ることができるが、到達点が遠方に行くほどすなわち測定深度が深くなるほど感度が低下する。このため、このビームでは測定深度によっては診断に十分な分解能を有する超音波診断画像を得ることができなかった。
 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、ビーム幅が細く、焦域の長い遠方での感度低下を抑えたビームを形成して、分解能を改善した超音波探触子を提供することを目的にしている。
 本発明の第1の超音波探触子は、前方又は後方にそれぞれ少なくとも1つの実効的・仮想的円環状音源部を形成する超音波探触子であって、前記音源部は平面形状又は曲面形状の圧電素子を備え、前記圧電素子から放射された超音波の出射端側を構成するレンズ表面に曲率半径Rのレンズ面を複数設け、前記曲率半径Rと、レンズ中心軸から前記レンズ面の曲面を形成する中心までの距離rとの間に、2<R/r<4の関係を有することを特徴とする。
 本発明の第2の超音波探触子は、前方又は後方にそれぞれ少なくとも1つの実効的・仮想的円環状音源部を形成する超音波探触子であって、前記音源部は曲面形状を呈し、音軸の中心から周辺にいくにしたがって分極強度を小さくする重み付けがされた圧電素子を備えることを特徴とする。
 本発明によれば、ビーム幅が細く、焦域の長い遠方での感度低下を抑えたビームを形成して、分解能を改善した超音波探触子を提供することができる。
 以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
 図1及び図2は本発明の第1実施形態に係り、図1は超音波探触子の概略構成を示す斜視図、図2は図1のA−A面での断面図である。
 図1に示すように本実施形態の超音波探触子(超音波振動子ともいう)1は、超音波変換素子として圧電特性を有する平板で略円形状の圧電素子2と、超音波を放射する或いは超音波を送受する超音波放射面或いは超音波送受面(単に前面とも記す)に設けた前面電極3a及びこの圧電素子2の超音波放射面とは反対側の面(前面に対して後面と記す)に形成した後面電極3bと、前記圧電素子2の前面電極3aを介して積層された圧電素子2の音響インピーダンスと生体の音響インピーダンスとの間の隔たりをなくすように音の効率を上げる音響整合層4及び前記圧電素子2から放射された超音波を超音波探触子1の中心軸OO′に集束させて焦域の長い細い超音波ビームを出射させる集束手段となる仮想リング型組合せレンズ(以下組合せレンズと略記する)5と、前記圧電素子2の後面電極3bを介して設けることによって後方側への超音波を減衰させるフェライト入りゴムなどで形成したバッキング材6と、前記圧電素子2,前面電極3a,後面電極3b,音響整合層4,組合せレンズ5及びバッキング材6の一部のそれぞれ表面を覆う耐水性、耐薬品性に優れたパリレン(ポリパラキシリレン)等で形成された保護膜7とで主に構成されている。なお、前記中心軸OO′は圧電素子2の実効面中心軸すなわち超音波の音軸になっている。
 図2に示すように前記組合せレンズ5は、2つの音響レンズ5a,5bを組み合わせて構成されるものであり、先端側に配置されて出射端側のレンズを構成するシリコンゴム、ポリエーテルブロックアミド等を用いて音速をv1 、音響インピーダンスをZ1 に設定する第1レンズ部材で中心側先端が周辺面より凸出する曲面形状に形成した第1音響レンズ5aと、この第1音響レンズ5aの下層側に配置されて超音波入射側になるポリメチルペンテン等を用いて音速をv2 、音響インピーダンスをZ2 に設定する第2レンズ部材で周辺部に対して中央部を凹ました曲面形状で形成した第2音響レンズ5bとを組み合わせている。
 そして、前記音速v1 と音速v2 との間に
   v2 >v1
 の関係を設定している。
 また、前記第1レンズ材の音響インピーダンスZ1 と第2レンズ材の音響インピーダンスZ2 との間には
   Z1 ≒Z2 ≒Zb(生体の有する音響インピーダンス)
の関係を設定して2つのレンズを介して生体に出射されていく超音波の感度が低下することを防止している。
 なお、前記音響整合層4は、前記圧電素子2の超音波放射面側に配置された厚み寸法がλ/4(λは超音波の動作周波数の波長、以下同様)で円板形状のガラスで形成された第1整合層4aと、この第1整合層4aに積層される厚み寸法がλ/4で円板形状のエポキシ樹脂製の第2整合層4bとで構成されている。また、前記前面電極3aにはアース線8が前記後面電極3bには信号線9がそれぞれ接続されており、これら電線8,9をひとまとめにしたリード線10を介して図示しない観測装置の信号端子及びアース端子に接続されている。
 このように、圧電素子の前面電極側に音の効率を上げる音響整合層及び音速が異なる2種類のレンズ部材を組み合わせて構成した仮想リング型組合せレンズを配置したことにより、この圧電素子から放射された超音波のビームパターンを第2レンズと第1レンズとを通過させることによって絞って、圧電素子の中心軸である図中中心軸OO′に沿って生体の深部まで感度を低下することなく到達することが可能な焦域の長い細いビームを得ることができる。このことによって、超音波探触子の配置されている部分から遠方まで感度低下が少なく焦域の長い分解能の改善された超音波ビームを放射して精度の良い超音波画像が得られる。
 図3及び図4は本発明の第2実施形態に係り、図3は超音波探触子の他の構成を示す斜視図、図4は図3のB−B面での断面図である。
 図3及び図4に示すように本実施形態の超音波探触子1Aにおいては前記第1実施形態で2種類の音速の異なる音響レンズ5a,5bを組み合わせることによって組合せレンズ5を構成した代わりに、3種類の音速の異なる音響レンズ5c,5d,5eを組み合わせることによって組合せレンズ5Aを構成している。
 図4に示すように構成されている前記組合せレンズ5Aは、先端側に配置されて出射端側のレンズを構成するシリコンゴム、ポリエーテルブロックアミド等を用いて音速をv1 、音響インピーダンスをZ1 に設定する第1レンズ部材で中心側先端が周辺面より凸出する曲面形状に形成した第1音響レンズ5cと、この第1音響レンズ5cの下層に配置される前記第1音響レンズ5cと同様にシリコンゴム、ポリエーテルブロックアミド等を用いて音速をv2 、音響インピーダンスをZ2 に設定する第2レンズ部材で形成した第2音響レンズ5dと、超音波入射側を構成するポリメチルペンテン等を用いて音速をv3 、音響インピーダンスをZ3 に設定する第3レンズ部材で周辺部に対して中央部を凹ました曲面形状に形成した第3音響レンズ5eとを組み合わせている。すなわち、この第3音響レンズ5eの中央凹部に前記第2音響レンズ5dが充填されたようになっている。
 そして、前記音速v1 と音速v2 と音速v3 との間に
   v3 >v2 >v1 又は
   v3 >v1 >v2
 の関係を設定している。
 また、前記第1レンズ材の音響インピーダンスZ1 と第2レンズ材の音響インピーダンスZ2 と第3レンズ材の音響インピーダンスZ3 との間には
   Z1 ≒Z2 ≒Z3 ≒Zb(生体の有する音響インピーダンス)
の関係を設定して3つのレンズを介して生体に出射されていく超音波の感度が低下することを防止している。その他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
 このように、圧電素子の前面電極側に音の効率を上げる音響整合層及び音速が異なる3種類のレンズ部材を組み合わせて構成した仮想リング型組合せレンズを配置したことにより、この圧電素子から放射される超音波のビームパターンを第3レンズ,第2レンズ及び第1レンズを通過させて絞ることにより、圧電素子の中心軸である図中中心軸OO′に沿って生体の深部まで感度を低下することなく到達することが可能な焦域の長い細いビームを得ることができる。このことによって、超音波探触子の配置されている部分から遠方まで感度低下が少なく焦域の長い分解能の改善された超音波ビームを放射して精度の良い超音波画像が得られる。その他の作用及び効果は前記第1実施形態と同様である。
 なお、上述した第1実施形態及び第2実施形態の超音波探触子を構成する圧電素子に送信信号を印加した場合に分極強度が大きい中央部側での超音波強度(振幅あるいは音圧)を大きく、周辺部側で小さくなる振幅重み付け機能あるいは手段を形成することによって、さらに効果的にサイドローブをおさえてこの圧電素子から放射される超音波ビームを超音波探触子の中心軸OO′に沿って生体の深部まで焦域の長い細いビームを放射することができる。
 また、出射端側のレンズの形状を例えば周辺部に対して中央部を凹ました曲面形状に形成し、そのレンズから出射する超音波ビームを焦域の長い細いビームにする場合には、レンズ同士の音速の関係を上述の関係とは異なる。
 図5及び図6は本発明の第3実施形態に係り、図5は超音波探触子の別の構成を示す斜視図、図6は図5のC−C面での断面図である。
 図5に示すように本実施形態の超音波探触子1Bにおいては、前記第1実施形態及び第2実施形態で用いた平板円形状の圧電素子の代わりに、中央付近の厚みが薄く周辺部にいくにしたがって厚みを厚く形成して重み付けを行った圧電素子2Bを使用している。このことにより、中央部から周波数成分の高い超音波が出力されて、周辺部から周波数成分の低い超音波が出力される。
 また、上述のように圧電素子2Bを形成したことによって、図6に示すように超音波探触子1Bの圧電素子2Bの前面電極3aを介して積層される音の効率を上げる音響整合層4Bを、重み付けを行った前記圧電素子2Bから出力される周波数成分に合わせて図に示すように中央付近の厚みが薄く周辺部にいくにしたがって厚みが厚くなるように厚みに変化をつけて形成している。そして、この厚みを変化させた音響整合層4Bに対して前記圧電素子2から放射される超音波を超音波探触子1Bの中心軸OO′に集束して焦域の長い細い超音波ビームを出射するように組み合わせレンズ5Bを配置している。
 前記組合せレンズ5Bは、2つの音速の異なるレンズ部材によってそれぞれ形成された第1音響レンズ5fと第2音響レンズ5gとを組み合わせて構成されるものであり、先端側に配置される出射端側を形成する第1音響レンズ5fを音速をv1 、音響インピーダンスをZ1 に設定する第1レンズ部材であるシリコンゴム、ポリエーテルブロックアミド等を用いて中心側先端が周辺面より凸出する曲面形状に形成している。この第1音響レンズ5fの下層側の超音波入射側には前記圧電素子2B及び音響整合層4Bの特性に合わせて音速をv2 、音響インピーダンスをZ2 に設定する第2レンズ部材であるポリメチルペンテン等を用いて周辺部に凸状の曲面を形成し中央部を凹ました周辺の面に対して中心が低くなるように形成した連続的曲面形状の第2音響レンズ5gとの組み合わせになっている。
 そして、前記音速v1 と音速v2 との間には
   v2 >v1
 の関係を設定している。
 また、前記第1レンズ材の音響インピーダンスZ1 と第2レンズ材の音響インピーダンスZ2 との間には
   Z1 ≒Z2 ≒Zb(生体の有する音響インピーダンス)
の関係を設定して2つのレンズを介して生体に出射されていく超音波の感度が低下することを防止している。その他の構成は前記第1実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
 このように、圧電素子に中央付近の厚みが薄く周辺部にいくにしたがって厚みを厚く形成する重み付けを行って、圧電素子から出力される超音波の主成分を遠距離での生体減衰の少ない低周波成分にするとともに、この圧電素子の前面電極側に周波数特性に合わせて音の効率を上げる音響整合層及び音速が異なる2種類のレンズ部材を組み合わせて構成した仮想リング型組合せレンズを配置したことにより、この圧電素子から放射される低周波成分が主成分の超音波ビームパターンを第2レンズと第1レンズとを通過させて絞って圧電素子の中心軸である図中中心軸OO′に沿って生体の深部まで感度を低下することなく到達することが可能な焦域の長い細いビームを得ることができる。その他の作用及び効果は第1実施形態と同様である。
 図7及び図8は本発明の第4実施形態に係り、図7は超音波探触子のまた他の構成を示す斜視図、図8は図7のD−D面での断面図である。
 図7及び図8に示すように本実施形態の超音波探触子1Cにおいては前記第3実施形態で2種類の音速の異なる音響レンズ5f,5gを組み合わせて組合せレンズ5Bを構成した代わりに、3種類の音速の異なる音響レンズ5h,5j,5kを組み合わせることによって組合せレンズ5Cを構成している。
 図8に示すように本実施形態の組合せレンズ5Cは、先端側に配置されて出射端側のレンズを構成する音速をv1 、音響インピーダンスをZ1 に設定する第1レンズ部材であるシリコンゴム、ポリエーテルブロックアミド等を用いて中心側先端が周辺面より凸出する曲面形状に形成した第1音響レンズ5hと、この第1音響レンズ5hの下層に配置される前記第1音響レンズ5hと同様にシリコンゴム、ポリエーテルブロックアミド等を用いて音速をv2 、音響インピーダンスをZ2 に設定する第2レンズ部材で形成した第2音響レンズ5jと、超音波入射側を構成する音速をv3 、音響インピーダンスをZ3 に設定する第3レンズ部材であるポリメチルペンテン等を用いて周辺部に凸状の曲面を形成し中央部を凹ました周辺の面に対して中心が低くなるように形成した連続的曲面形状の第3音響レンズ5kとの組み合わせになっている。すなわち、この第3音響レンズ5kの中央凹部に前記第2音響レンズ5jが充填されたようになっている。
 そして、前記音速v1 と音速v2 と音速v3 との間には
   v3 >v2 >v1 又は
   v3 >v1 >v2
 の関係を設定している。
 また、前記第1レンズ材の音響インピーダンスZ1 と第2レンズ材の音響インピーダンスZ2 と第3レンズ材の音響インピーダンスZ3 との間には
   Z1 ≒Z2 ≒Z3 ≒Zb(生体の有する音響インピーダンス)
の関係を設定して3つのレンズを介して生体に出射されていく超音波の感度が低下することを防止している。その他の構成は前記第3実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
 このように、圧電素子の前面電極側に音の効率を上げる音響整合層及び音速が異なる3種類のレンズ部材を組み合わせて構成した仮想リング型組合せレンズを配置したことにより、この圧電素子から放射される超音波のビームパターンを第3レンズ,第2レンズ及び第1レンズを通過させることによって絞って圧電素子の中心軸である図中中心軸OO′に沿って生体の深部まで感度を低下することなく到達することが可能な焦域の長い細いビームを得ることができる。その他の作用及び効果は前記第3実施形態と同様である。
 ところで、超音波内視鏡の先端部に配置される超音波探触子は、一般的に前面が凹面形状の凹面形音響レンズ付き振動子であり、生体の音響インピーダンスに近いポリエチレンなどで形成された先端キャップに覆われ、この先端キャップの中には音響媒体として水などが注入されている。この凹面形音響レンズ付き振動子では超音波焦点が固定されていたので、遠方での感度低下を抑えられて焦域が長く細い超音波ビームを放射する分解能の改善された超音波内視鏡が望まれていた。
 図9及び図10は凸面音響レンズ付き振動子を有する超音波内視鏡に係り、図9は仮想リング型レンズを配置した超音波探触子の概略構成を示す図、図10は図9のE−E面での断面図である。
 図9及び図10に示すように本実施形態の凸面音響レンズ付き振動子である超音波探触子11は、中央付近の厚みが薄く周辺部にいくにしたがって厚みを厚くして前面を凹面形状に形成した中央部の分極が大きく、周辺部の分極が小さくなるように重み付けした圧電素子12と、この圧電素子12の前面電極13側に配置され音響整合層を兼ね生体と同じ音響インピーダンスを有する音響媒体である水の音速v5 よりレンズ音速v4 が高速になるように設定可能なレンズ部材であるエポキシ樹脂でレンズ面を凸状曲面にして中心軸近傍がこれらレンズ周辺面より低くなるように形成した仮想リング型レンズ(以下仮想レンズと略記する)14とで主に構成されており、この圧電素子12の後面電極15側には超音波を減衰させるフェライト入りゴム製のバッキング材16が設けられている。また、前面電極13及び後面電極15にはアース線17及び信号線18が接続され、これら電線17,18をひとまとめにしたリード線19を介して図示しない観測装置の信号端子及びアース端子に接続されている。そして、この超音波探触子11の周囲には音響媒体として音速v5 の水が充満している。
 前記仮想レンズ14は、表面に複数の凸状曲面を形成してレンズ中央部14aが凹んで形成されており、このレンズ中央部14aに当たる中心軸上の仮想レンズ14の厚み寸法をλ/4に設定し、複数のレンズ曲面の曲率半径がそれぞれR1 で一律に形成している。
 このように、圧電素子に振幅重み付けを行い、この圧電素子の凹面形状の前面に超音波媒体の音速より高速なレンズ部材を用いて表面に複数の凸状曲面を形成した仮想リング型レンズを配置することによって、遠方での感度低下を抑え焦域の長い細い超音波ビームを出射する超音波探触子を提供することができる。
 図11及び図12は凹面音響レンズ付き振動子を有する超音波内視鏡に係り、図11は仮想リング型レンズを配置した超音波探触子の概略構成を示す図、図12は図11のF−F面での断面図である。
 図11及び図12に示すように本実施形態の凹面音響レンズ付き振動子である超音波探触子11Aは、前面を凹面形状に形成した中央部の分極が大きく、周辺部の分極が小さくなるように重み付けした圧電素子12と、この圧電素子12の前面電極13側に配置された厚み寸法がλ/4のガラスで形成された第1整合層20aと、この第1整合層20aに積層される厚み寸法がλ/4のエポキシ樹脂製の第2整合層20bとからなる音響整合層20と、音響媒体である水の音速v5 よりレンズ音速v6 が低速になるように設定可能なレンズ部材であるシリコンゴムでレンズ面を凹状曲面にして中心軸近傍がこれらレンズ周辺面より高くなるように形成した仮想レンズ14Aと、この仮想レンズ14Aの表面を覆う耐水性、耐薬品性に優れたパリレン(ポリパラキシリレン)等で形成された保護膜21とで構成されている。そして、この超音波探触子11の周囲には音響媒体として音速v5 の水が充満している。
 前記仮想レンズ14Aは、表面に複数の凹状曲面を設けてレンズ中央部14aが凸出した形状に形成されており、複数のレンズ曲面の曲率半径をそれぞれR2 で一律に形成している。その他の構成は前記図9及び図10に示した凸面音響レンズ付き振動子と同様である。
 このように、圧電素子に振幅重み付けを行い、この圧電素子の凹面形状の前面に超音波媒体の音速より低速なレンズ部材を用いて表面に複数の凹状曲面を形成した仮想リング型レンズを配置することによって、遠方での感度低下をさらに抑え焦域の長い細い超音波ビームを出射する超音波探触子を提供することができる。
 なお、上述したような形状の音響レンズは、所望のレンズ形状に対応した凸型(若しくは凹型)のテフロン型を圧電素子又は音響整合層に対して配置し、型内にエポキシ樹脂やシリコンゴム等の音響レンズ用部材を注入して硬化させることによって所望の形状に形成されるものである。
 ところで、遠方での感度低下を抑えて焦域が長く細い超音波ビームを放射して超音波内視鏡の分解能を改善するため、先端キャップに対して音響レンズ効果を持たせることが考えられる。
 図13及び図14は凸面音響レンズを設けた先端キャップを有する超音波内視鏡に係り、図13は超音波内視鏡の先端部の概略構成を示す説明図、図14は超音波振動子部の構成を示す説明図である。
 図13に示すように超音波内視鏡先端部30は、挿入部31と、この挿入部31の先端に設けられた先端キャップ32と、前記挿入部31内を挿通して先端キャップ32内の所定の位置に配置される超音波振動子部33とで主に構成されており、前記挿入部31及び先端キャップ32内には音響媒体として音速がv5 の水が34が注入されている。なお、図中矢印Gは超音波内視鏡先端部30の挿入方向を示している。
 前記先端キャップ32は、略パイプ形状で、音響媒体である水の音速v5 より音速v4 が高速になるように設定可能なキャップ部材であるポリエチレン、ポリメチルペンテン等の樹脂で、挿入方向又はその直交する方向の外表面側に所望の曲率で凸状曲面のレンズ面32aを複数設け中心軸近傍がこれらレンズ周辺面より低くなるように形成した、いわゆる凸型仮想レンズ付き先端キャップとして構成されている。このことにより、前記超音波振動子部33から放射された超音波を、レンズ中央部32bを通過する中心軸OO′に集束して焦域の長い細い超音波ビームを出射するようにしている。
 図14に示すように前記超音波振動子部33は、中央の分極を周辺部より大きくなるように振幅重み付けした平板形状の圧電素子35と、超音波を放射する或いは超音波を送受する超音波放射面或いは超音波送受面(単に前面とも記す)に設けた前面電極36及びこの圧電素子35の超音波放射面とは反対側の面に形成した後面電極37と、前記圧電素子35の前面電極36を介して前面に積層されて音の効率を上げる厚み寸法がλ/4で平板形状のエポキシ樹脂製の音響整合層38と、前記圧電素子35の後面電極37を介して設けられて後方側への超音波を減衰させるフェライト入りゴム製のバッキング材39と、前記前面電極36に接続されるアース線40と、前記後面電極37に接続される信号線41と、これら電線40,41をひとまとめにしたリード線42とで構成されている。なお、前記リード線42を介して前記アース線40,信号線41が図示しない観測装置のアース端子及び信号端子に接続されている。
 このように、先端キャップに音響媒体である水の音速v5 より音速v4 が高速になる樹脂で形成した凸状曲面のレンズ面を複数設けた凸型仮想レンズを、中央の分極を周辺部より大きくなるように振幅重み付けした平板形状の圧電素子に対して設けることによって、遠方での感度低下をさらに抑え焦域の長い細い超音波ビームを出射する超音波内視鏡を提供することができる。
 また、圧電素子から放射された超音波が先端キャップの内周面に入射した段階から先端キャップに設けた凸型仮想レンズがレンズ効果を始まるので、先端キャップ内径寸法の半分だけ焦点が移動した状態になって遠方での感度低下を改善することができる。
 図15及び図16は凹面音響レンズを設けた先端キャップを有する超音波内視鏡に係り、図15は超音波内視鏡の先端部の概略構成を示す説明図仮想リング型レンズを配置した超音波探触子の概略構成を示す図、図16は超音波振動子部の構成を示す説明図である。
 図15に示すように超音波内視鏡先端部30は、挿入部31と、この挿入部31の先端に設けられた先端キャップ43と、前記挿入部31内を挿通して先端キャップ43内の所定の位置に配置される超音波振動子部44とで主に構成されており、前記挿入部31及び先端キャップ43内には音響媒体として音速がv5 の水が34が注入されている。
 前記先端キャップ43は、略パイプ形状で、音響媒体である水の音速v5 より音速v6 が低速になるように設定可能なキャップ部材であるシリコンゴムで、挿入方向又はその直交する方向の外表面側に所望の曲率で凹状曲面のレンズ面43aを複数設け中心軸近傍がこれらレンズ周辺面より高くなるように形成した、いわゆる凹型仮想レンズ付き先端キャップとして構成されている。このことにより、前記超音波振動子部44から放射された超音波を、レンズ中央部43bを通過する中心軸OO′に集束して焦域の長い細い超音波ビームを出射するようにしている。
 図16に示すように前記超音波振動子部44は、中央の分極を周辺部より大きくなるように振幅重み付けした凸型曲面形状の圧電素子45と、この圧電素子45の前面に設けた前面電極46及びこの圧電素子45の後面に形成した後面電極47と、前記圧電素子45の前面電極46を介して前面に積層されて音の効率を上げる厚み寸法がλ/4で平板形状のエポキシ樹脂製の音響整合層48と、前記圧電素子45の後面電極47を介して設けられて後方側への超音波を減衰させるフェライト入りゴム製のバッキング材49と、前記前面電極46に接続されるアース線50と、前記後面電極47に接続される信号線51と、これら電線50,51をひとまとめにしたリード線52とで構成されている。なお、前記リード線52を介して前記アース線50,信号線51が図示しない観測装置のアース端子及び信号端子に接続されている。
 このように、先端キャップに音響媒体である水の音速v5 より音速v4 が低速になるシリコンゴムで形成した凹状曲面のレンズ面を複数設けた凹型仮想レンズを、中央の分極を周辺部より大きくなるように振幅重み付けした凸型曲面形状の圧電素子に対して設けることによって、見かけ上の振動子部の開口を大きくして遠方での感度低下をさらに抑え焦域の長い細い超音波ビームを出射する超音波内視鏡を提供することができる。
 なお、上述した先端キャップを超音波内視鏡の先端部に対して着脱自在に構成するとともに、前記先端キャップの直径あるいは内径寸法やレンズ曲面の曲率半径を変化させて形成した複数種類の先端キャップを用意しておくことにより、先端キャップを適宜交換するだけの簡単な作業で焦域の異なる超音波内視鏡を提供することが可能になる。
 ところで、従来の音響レンズ集束型探触子では焦点位置におけるビーム幅を細くすることができても焦点以外の位置ではビーム幅が太くなっていた。また、上述したような仮想リング型音響レンズを配置した仮想リング型探触子では近場から離れた場まで略均一なビーム幅の超音波ビームを得ることができるが仮想リング型音響レンズのレンズ曲面の曲率半径と仮想リング半径との間の関係によっては近場から離れた場まで略均一なビーム幅になるが、このビーム幅が幅広な状態で近場から離れた場まで放射されるだけのものもあった。このため、ビーム幅を確実に細く絞って、超音波ビームを近場から離れた場まで分解能の高いビームを放射することを可能にする超音波探触子の仮想リング型音響レンズの構成が望まれていた。
 図17及び図18は仮想リング型音響レンズを設けた超音波探触子の構成に係り、図17は凸型の仮想リング型音響レンズを備えた超音波探触子の概略構成を示す説明図、図18は図17のH−H面での断面図で、仮想リング型音響レンズの曲率半径Rと圧電素子実効面中心軸からレンズの曲面を形成する中心までの距離rとの関係を説明する図である。
 図17及び図18に示すように本実施形態の超音波探触子61は、中央の分極を周辺部より大きくなるようにBessel型の分極重み付けを行った平板形状の圧電素子62と、この圧電素子62の前面電極63側に配置された厚み寸法がλ/4のエポキシ樹脂製の音響整合層64と、生体の有する音速v7 よりレンズ音速v8 が高速なエポキシ樹脂等で凸型に形成したレンズ面を有する仮想リング型音響レンズ65と、この圧電素子62の後面電極66側に設けられて超音波を減衰させるフェライト入りゴム製のバッキング材67と、前面電極63に接続されたアース線68と、後面電極66に接続された信号線69と、これら電線68,69をひとまとめにしたリード線70とで構成されている。なお、前記電線68,69はリード線70を介して図示しない観測装置の信号端子及びアース端子に接続されている。
 図18に示すように前記仮想リング型音響レンズ65の中心軸は前記圧電素子62の実効面中心軸に一致しており、この仮想リング型音響レンズ65の表面には一律な曲率半径の複数の凸状曲面のレンズ面が形成され、中心軸近傍がこれらレンズ周辺面より低くなるように、レンズ中央部65aが凹んだ形状に形成されている。そして、この表面形状において、レンズ曲面の曲率半径をR、中心軸からレンズの曲面を形成する中心までの距離をrとしたとき、Rとrとの間に以下の関係を設定している。
 2<R/r<4
 このことにより、図の実線及び一点鎖線、二点鎖線に示すようにBessel型の分極重み付けを行った平板形状の圧電素子62から放射される超音波を、中心軸OO′に集束して焦域の長い細い超音波ビームを出射することができる。なお、R/rの値が例えば6のときにはビーム幅が幅広な状態で近場から離れた場まで放射される。
 図19及び図20は仮想リング型音響レンズを設けた超音波探触子の構成に係り、図19は凹型の仮想リング型音響レンズを備えた超音波探触子の概略構成を示す説明図、図20は図19のI−I面での断面図で、仮想リング型音響レンズの曲率半径Rと圧電素子実効面中心軸からレンズの曲面を形成する中心までの距離rとの関係を説明する図である。
 図19及び図20に示すように本実施形態の超音波探触子61Aは、中央の分極を周辺部より大きくなるようにBessel型の分極重み付けを行った平板形状の圧電素子62と、この圧電素子62の前面電極63側に配置された厚み寸法がλ/4のエポキシ樹脂製の音響整合層64と、生体の有する音速v7 よりレンズ音速v9 が低速なシリコンゴム等で凹型に形成したレンズ面を有する仮想リング型音響レンズ65Aとで構成されている。その他の構成は前記図17及び図18に示した仮想リング型音響レンズを設けた超音波探触子の構成と同様であり同部材には同符号を付して説明を省略する。
 図20に示すように前記仮想リング型音響レンズ65Aの中心軸は前記圧電素子62の実効面中心軸に一致しており、この仮想リング型音響レンズ65Aの表面には一律な曲率半径の複数の凹状曲面のレンズ面が形成され、中心軸近傍がこれらレンズ周辺面より高くなるように、レンズ中央部65aが凸出した形状に形成されている。そして、この表面形状において、レンズ曲面の曲率半径をR、中心軸からレンズの曲面を形成する中心までの距離をrとしたとき、Rとrとの間に以下の関係を設定している。
 2<R/r<4
 このことにより、図の実線及び一点鎖線、二点鎖線に示すようにBessel型の分極重み付けを行った平板形状の圧電素子62から放射される超音波を、中心軸OO′に集束して焦域の長い細い超音波ビームを出射することができる。なお、R/rの値が例えば6のときにはビーム幅が幅広な状態で近場から離れた場まで放射される。
 なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
 [付記]
 以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
(1)前方又は後方にそれぞれ少なくとも1つの実効的・仮想的円環状音源を形成する超音波探触子において、
 音源部は、平板形状又は曲面形状の圧電素子と、
 音速の異なるレンズ部材で形成した複数の音響レンズと、
  を具備することを特徴とする超音波探触子。
(2)前記曲面形状の圧電素子の厚み寸法は、音軸から周囲にいくにしたがって変化する付記1記載の超音波探触子。
(3)前記複数の音響レンズの1つを超音波内視鏡を構成する先端キャップに形成した付記1又は付記2記載の超音波探触子。
(4)前記圧電素子から放射された超音波の出射端側を構成するレンズ表面に所望の曲率半径のレンズ面を複数設け、
 このレンズ面の曲面を形成する曲率半径(Rと記載)と、レンズ中心軸からレンズ面の曲面を形成する中心までの距離(rと記載)との間に
   2<R/r<4
 の関係を設定した付記1ないし付記3の1つに記載の超音波探触子。
(5)前記圧電素子に音軸の中心から周辺にいくにしたがって分極強度を小さくする重み付けを行った付記1ないし付記4の1つに記載の超音波探触子。
図1及び図2は本発明の第1実施形態に係り、図1は     超音波探触子の概略構成を示す斜視図 図1のA−A面での断面図 図3及び図4は本発明の第2実施形態に係り、図3は超音波探触子の他の構成を示す斜視図 図3のB−B面での断面図 図5及び図6は本発明の第3実施形態に係り、図5は超音波探触子の別の構成を示す斜視図 図5のC−C面での断面図 図7及び図8は本発明の第4実施形態に係り、図7は超音波探触子のまた他の構成を示す斜視図 図7のD−D面での断面図 図9及び図10は凸面音響レンズ付き振動子を有する超音波内視鏡に係り、図9は仮想リング型レンズを配置した超音波探触子の概略構成を示す図 図9のE−E面での断面図 図11及び図12は凹面音響レンズ付き振動子を有する超音波内視鏡に係り、図11は仮想リング型レンズを配置した超音波探触子の概略構成を示す図 図11のF−F面での断面図 図13及び図14は凸面音響レンズを設けた先端キャップを有する超音波内視鏡に係り、図13は超音波内視鏡の先端部の概略構成を示す説明図 超音波振動子部の構成を示す説明図 図15及び図16は凹面音響レンズを設けた先端キャップを有する超音波内視鏡に係り、図15は超音波内視鏡の先端部の概略構成を示す説明図仮想リング型レンズを配置した超音波探触子の概略構成を示す図 超音波振動子部の構成を示す説明図 図17及び図18は仮想リング型音響レンズを設けた超音波探触子の構成に係り、図17は凸型の仮想リング型音響レンズを備えた超音波探触子の概略構成を示す説明図 図17のH−H面での断面図で、仮想リング型音響レンズの曲率半径Rと圧電素子実効面中心軸からレンズの曲面を形成する中心までの距離rとの関係を説明する図 図19及び図20は仮想リング型音響レンズを設けた超音波探触子の構成に係り、図19は凹型の仮想リング型音響レンズを備えた超音波探触子の概略構成を示す説明図 図19のI−I面での断面図で、仮想リング型音響レンズの曲率半径Rと圧電素子実効面中心軸からレンズの曲面を形成する中心までの距離rとの関係を説明する図
符号の説明
 1…超音波探触子
 2…圧電素子
 5a…第1音響レンズ
 5b…第2音響レンズ
 OO′…中心軸
 代理人  弁理士  伊藤 進

Claims (3)

  1.  前方又は後方にそれぞれ少なくとも1つの実効的・仮想的円環状音源部を形成する超音波探触子であって、
     前記音源部は平面形状又は曲面形状の圧電素子を備え、前記圧電素子から放射された超音波の出射端側を構成するレンズ表面に曲率半径Rのレンズ面を複数設け、
     前記曲率半径Rと、レンズ中心軸から前記レンズ面の曲面を形成する中心までの距離rとの間に、
     2<R/r<4
     の関係を有することを特徴とする超音波探触子。
  2.  前方又は後方にそれぞれ少なくとも1つの実効的・仮想的円環状音源部を形成する超音波探触子であって、
     前記音源部は曲面形状を呈し、音軸の中心から周辺にいくにしたがって分極強度を小さくする重み付けがされた圧電素子を備えることを特徴とする超音波探触子。
  3.  前記音源部は音速の異なる複数の音響レンズを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の超音波探触子。
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