JP2004101271A - 液体試料のサンプリング装置及びその吸引ノズル並びに液体試料の撹拌方法及びサンプリング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な撹拌機構でもって、小径の試料容器に入っている液体試料をサンプリングすることができ、かつ液体試料を確実ないし十分に撹拌することを可能にする手段を提供する。
【解決手段】サンプリング装置1は、吸引ノズル2と、吸引ノズル2を昇降させる昇降機構3と、一端が吸引ノズル2の上端部に接続された接続チューブ4と、接続チューブ4の他端に接続された吸引ポンプ5と、接続チューブ4に介設されたサンプル受け部6とを備えている。サンプリング装置1は、比較的小径のサンプル容器7内の液体サンプル8をサンプリングする。吸引ノズル2の吸引口2aのやや上側には、撹拌翼9が、同心状ないし同軸状に設けられている。サンプリング時に、撹拌翼9は、吸引ノズル2が昇降するときに、サンプル容器7内の液体サンプル8に対流を生じさせ、液体サンプル8を有効に撹拌する。
【選択図】図1
【解決手段】サンプリング装置1は、吸引ノズル2と、吸引ノズル2を昇降させる昇降機構3と、一端が吸引ノズル2の上端部に接続された接続チューブ4と、接続チューブ4の他端に接続された吸引ポンプ5と、接続チューブ4に介設されたサンプル受け部6とを備えている。サンプリング装置1は、比較的小径のサンプル容器7内の液体サンプル8をサンプリングする。吸引ノズル2の吸引口2aのやや上側には、撹拌翼9が、同心状ないし同軸状に設けられている。サンプリング時に、撹拌翼9は、吸引ノズル2が昇降するときに、サンプル容器7内の液体サンプル8に対流を生じさせ、液体サンプル8を有効に撹拌する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸引により試料容器内の液体試料をサンプリングするサンプリング装置及びその吸引ノズル並びに該サンプリング装置における液体試料の撹拌方法及びサンプリング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料容器内の液体試料の一部を採取してその分析等を行うために、試料容器内の液体試料を自動的にサンプリングするようにしたサンプリング装置は、一般に知られている。かかるサンプリング装置は、普通、吸引ノズルと、負圧を供給することにより吸引ノズルに液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えている。そして、昇降機構で吸引ノズルを下降させて吸引ノズルの先端部の吸引口を試料容器内の液体試料中に差し込んだ後、吸引機構から吸引ノズルに負圧を供給して吸引ノズルに液体試料を吸引させるようにしている。
【0003】
ところで、このようなサンプリング装置でサンプリングを行う場合、試料容器内の液体試料が均一でないとき、例えば懸濁物質あるいは沈降性の物質を含むときは、サンプリングを行う際に又はサンプリングを行う前に、液体試料を撹拌するなどして均一化ないし均質化する必要がある。そこで、試料容器内の液体試料を均一化するための手段を備えた種々のサンプリング装置等が提案されている。具体的には、例えば、次のようなものが提案されている。
【0004】
(1)吸引ノズルと平行な別体の撹拌機を備えたサンプリング装置が提案されている(特許文献1参照)。
(2)液体試料の吸引ないし吐出により液体試料を撹拌するようにしたサンプリング装置が提案されている(特許文献2参照)。さらに、このような撹拌に加えて、吸引ノズルの回転による撹拌を併用するサンプリング装置も提案されている(特許文献3参照)。
(3)気体のバブリングにより液体試料を撹拌するようにしたサンプリング装置が提案されている(特許文献4参照)。
(4)撹拌機自体ないし試料容器を、超音波により振動させるようにしたサンプリング装置が提案されている(特許文献5参照)。
(5)なお、サンプリング装置とは技術分野は異なるが、カップ式自動販売機では、吐出ノズルと撹拌機とを同軸にした上で撹拌器を回転させて液体を撹拌するようにしたもの(特許文献6参照)、先端切欠部を備えたストローの回転により液体を撹拌するようにしたもの(特許文献7参照)、あるいは切断されたストローの回転により液体を撹拌するようにしたもの(特許文献8参照)が提案されている。
(6)また、サンプリング装置用のものではないが、液体の混合撹拌装置として、水圧により翼が回転する撹拌棒を備えたもの(特許文献9参照)、あるいは撹拌棒内部から粉体を投入して液体を撹拌するようにしたもの(特許文献10参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−132717号公報(段落[0013]、図3)
【特許文献2】
特開平9−85071号公報(段落[0007]、図1)
【特許文献3】
特開平11−142414号公報(段落[0016]、図1)
【特許文献4】
特開2000−146785号公報(段落[0009]、図1)
【特許文献5】
特開平8−113300号公報(段落[0014]、図1)
【特許文献6】
特開平4−49492号公報(第4頁左下欄第12行目〜同頁右下欄
第2行目、第1図)
【特許文献7】
特開平3−290794号公報(第2頁右上欄第3行目〜同欄第15
行目、第1図)
【特許文献8】
特開平5−233949号公報(段落[0014]、図1)
【特許文献9】
実開昭55−95828号公報(第1頁左欄、図面)
【特許文献10】
特公昭51−31615号公報(第1頁右欄第21行目〜同欄第34
行目、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたサンプリング装置では、ノズルと撹拌機とを別体で設ける必要があるので、大径の(広い)試料容器を必要とし、サンプリング装置が全体的に大きくなるといった問題がある。特許文献2、3に記載されたサンプリング装置では、ノズルやノズルにつながる配管中に残った液体試料により汚染が生じるおそれがあるといった問題がある。特許文献4に記載されたサンプリング装置では、液体試料が、粘度の高いものである場合、あるいは界面活性剤を含む場合は、泡が発生するおそれがあるといった問題がある。また、特許文献5〜10に記載されたサンプリング装置、カップ式自動販売機又は混合撹拌装置では、いずれも、撹拌機構が非常に複雑であるといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、吸引により液体試料をサンプリングするようにしたサンプリング装置に対して、簡単な撹拌機構でもって試験管などの小径の(狭い)試料容器に入っている液体試料をサンプリングすることができ、かつ液体試料を確実ないし十分に撹拌することを可能にする手段を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる液体試料のサンプリング装置は、吸引ノズル(あるいは、中空部材、パイプ、チューブ等)と、試料容器内の液体試料を吸引ノズルに吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えた液体試料のサンプリング装置であって、吸引ノズルの吸引口近傍部(すなわち、先端近傍部ないしは下端近傍部)に、吸引ノズルの昇降により試料容器内の液体試料を撹拌する撹拌翼(あるいは、撹拌部材、撹拌板等)が設けられていることを特徴とするものである。
この液体試料のサンプリング装置においては、撹拌時における液体試料の対流を促進するため、撹拌翼に、吸引ノズル昇降時に液体試料が上下方向に通り抜ける穴部(あるいは、開口部、切欠部等)を設けてもよい。
【0009】
本発明にかかるサンプリング装置の吸引ノズルは、昇降機構によって昇降させられる一方、吸引機構によって試料容器内の液体試料を吸引させられるようになっている、サンプリング装置の吸引ノズルであって、吸引口近傍部に、吸引ノズルの昇降により試料容器内の液体試料を撹拌する撹拌翼が設けられていることを特徴とするものである。
このサンプリング装置の吸引ノズルにおいては、撹拌時における液体試料の対流を促進するため、撹拌翼に、吸引ノズル昇降時に液体試料が上下方向に通り抜ける穴部を設けてもよい。
【0010】
本発明にかかる液体試料の撹拌方法は、吸引ノズルと、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えたサンプリング装置における液体試料の撹拌方法であって、吸引口近傍部に撹拌翼が設けられた吸引ノズルを用いて、該吸引ノズルを昇降させることにより撹拌翼で試料容器内の液体試料を撹拌することを特徴とするものである。
【0011】
本発明にかかる液体試料のサンプリング方法は、吸引ノズルと、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えたサンプリング装置における液体試料のサンプリング方法であって、吸引口近傍部に撹拌翼が設けられた吸引ノズルを用いて、吸引ノズルを昇降させることにより撹拌翼で試料容器内の液体試料を撹拌しつつ、又は撹拌した後で、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、主としてサンプリング装置ないしその吸引ノズルについて説明するが、本発明は、かかるサンプリング装置を用いたサンプル容器(試料容器)内の液体サンプル(液体試料)の撹拌方法ないしサンプリング方法も含むことはもちろんである。
【0013】
図1に示すように、本発明にかかる自動式のサンプリング装置1は、細長い直管状のSUS製の吸引ノズル2と、上下方向の所定の移動範囲内で吸引ノズル2を昇降(上下移動)させる昇降機構3と、一端が吸引ノズル2の上端部に接続されたテフロン(登録商標)等の可撓性材料からなる接続チューブ4と、接続チューブ4の他端に接続されたアスピレータあるいは真空ポンプ等の吸引ポンプ5(吸引機構)と、接続チューブ4に介設されたサンプル受け部6とを備えている。そして、このサンプリング装置1は、比較的小径のサンプル容器7(例えば、試験管)内の液体サンプル8の一部(適量)をサンプリング(採取)するようになっている。
【0014】
ここで、吸引ノズル2が昇降機構3によって上記移動範囲の最高位置まで上昇させられたときには、吸引ノズル2の先端部(下端部)に位置する吸引口2aは、サンプル容器7の上端部よりも上方に位置する。すなわち、吸引ノズル2は、サンプル容器7から完全に抜去された状態となる。この状態において、吸引ノズル2は、図示していない吸引ノズル移動機構によって、水平方向に2次元的に移動させられることができる。したがって、2次元的に配列された複数のサンプル容器7のうちの任意のものから、液体サンプル8を自在にサンプリングすることができる。なお、昇降機構3は、吸引ノズル2を、随時、何回でも自在に昇降させることができる。
【0015】
他方、吸引ノズル2が昇降機構3によって上記移動範囲の最低位置まで下降させられたときには、吸引ノズル2の下部はサンプル容器7内に挿入され、サンプル容器7内の液体サンプル8に浸漬される。このとき、吸引口2aは、サンプル容器7の底部7aのやや上方に位置する。この状態で、吸引ポンプ5から接続チューブ4を介して吸引ノズル2に負圧がかけられたときには、サンプル容器7内の液体サンプル8が吸引ノズル2内に吸引される。吸引ノズル2内に吸引された液体サンプル8は、この後接続チューブ4を通してサンプル受け部6に導入される。つまり、サンプル容器7内の液体サンプル8の一部がサンプリングされる。なお、サンプル受け部6に導入された液体サンプル8は、自動的に又は手動で分析機器等に送られる。
【0016】
このサンプリング装置1において、吸引ノズル2の吸引口2aのやや上側、すなわち吸引ノズル2の先端部ないしは下端部のやや上側には、SUS製の撹拌翼9が、吸引ノスル2と同心状ないし同軸状に設けられている。この撹拌翼9は、吸引ノズル2が昇降するときに、サンプル容器7内の液体サンプル8に対流を生じさせ、液体サンプル8を有効に撹拌する。すなわち、サンプル容器7内の液体サンプル8をサンプリングする際には、サンプリング時又はサンプリング直前に、昇降機構3に吸引ノズル2を所望の回数だけ昇降させることにより、サンプル容器7内の液体サンプル8を確実にないし十分に撹拌することができる。したがって、液体サンプル8が懸濁物あるいは沈降性の物質を含んでいるときには、該液体サンプル8の組成を有効に均一化ないし均質化することができる。
【0017】
一般に、この種の従来のサンプリング装置では、大抵、吸引ノズルの昇降機構が備わっている。したがって、本発明にかかるサンプリング装置1は、このような従来のサンプリング装置において、吸引ノズルに撹拌翼を付設するだけで実現することができる。つまり、本発明にかかるサンプリング装置1では、撹拌機構は、もともと備わっている昇降機構3と、吸引ノズル2の吸引口近傍部に設けられた撹拌翼9とで構成されるので、極めて簡素な構造となる。
【0018】
また、このサンプリング装置1においては、吸引ノズル2に撹拌翼9が同心状ないし同軸状に設けられるので、装置形状としては撹拌翼部分が大きくなるのみである。そして、吸引ノズル2に同心状ないし同軸状に設けられる撹拌翼9の直径は、サンプル容器7の内径ないし寸法に応じて任意に設定することができる。したがって、このサンプリング装置1は、用いられるサンプル容器7の内径ないし寸法に応じて撹拌翼9の直径を適切に設定することにより、試験管等の小径のサンプル容器7に対しても支障なく用いることができる。
つまり、このサンプリング装置1によれば、簡単な撹拌機構でもって、試験管などの小径の(狭い)サンプル容器7に入っている液体サンプルをサンプリングすることができ、かつ液体サンプルを確実ないし十分に撹拌することができる。
【0019】
以下、サンプリング装置1の吸引ノズル2に設けられる撹拌翼9のより具体的な構造ないし機能を説明する。なお、以下では、便宜状、サンプル容器7としてマルエム製A30試験管(内径30mmφ、管長200mm)を用いて、該試験管内に液体サンプル8を試験管底面から120mm〜150mm程度の高さの位置まで入れた場合を例として説明する。しかしながら、本発明にかかるサンプリング装置1は、試験管以外の種々のサンプル容器7に対しても同様に用いることができるのはもちろんである。
【0020】
図2(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2には、吸引口2a(先端部、下端部)から若干の距離H(例えば、0〜5mm)だけ上側の部位に、薄い(例えば、厚みが0.5mm)略円板状の撹拌翼9が、同心状ないし同軸状に取り付けられている。ここで、吸引ノズル2としては、例えば、管長Lが300mm、外径D1が4mmφ、内径D2が3mmφのSUS製の管が用いられる。他方、略円板状の撹拌翼9には、これを厚み方向に貫通する、吸引ノズル2に嵌合させるための円形孔部9aと、吸引ノズル2の昇降時に液体サンプル8の対流を促進するために該液体サンプル8を上下方向に通り抜けさせる穴部9bとが設けられている。この撹拌翼9においては、外径d1は例えば16mmに設定される。また、撹拌翼9の穴部9bの円弧状の外縁部の直径d2及び円弧状の内縁部の直径d3は、それぞれ、例えば12mm及び8mmに設定される。
【0021】
かくして、撹拌翼翼9を備えた吸引ノズル2は、昇降装置3によって、例えば次のような手順で昇降させられ、このとき撹拌翼9は試験管内の液体サンプル8を有効に撹拌する。すなわち、かかる撹拌操作(ないし昇降操作)を行なう際には、まず、吸引ノズル2は、例えば上記上下移動範囲の最高位置から、5cm/秒の移動速度で下降させられ、液体サンプル8中に挿入された後、吸引口2aが試験管底面より10mm上方となる位置で停止させられる。この後直ちに、吸引ノズル2は、5cm/秒の移動速度で上昇させられ、吸引口2aが試験管底面より100mm上方となる位置で停止させられる。なお、吸引ノズル2の移動開始直後又は停止直前は、移動速度が低減される(スローアップ・スローダウン)。
【0022】
このような撹拌操作が合計で3回半繰り返される。すなわち、(1回目の下降)→(1回目の上昇)→(2回目の下降)→(2回目の上昇)→(3回目の下降)→(3回目の上昇)→(4回目の下降)といった撹拌操作が行なわれる。このとき、吸引口2aは、試験管底面より10mm上方に位置している。この直後に、吸引ポンプ5から吸引ノズル2に負圧を供給し、試験管内の液体サンプル8をサンプリングする。このような撹拌操作を行なうことにより、液体サンプル8に時間とともに沈降する懸濁物質が含まれている場合でも、該液体サンプル8を確実にないし十分に撹拌して均一化ないし均一化することができる。
【0023】
この撹拌操作の有効性を検証するために、撹拌翼9を有する吸引ノズル2を備えた本発明にかかるサンプリング装置と、撹拌翼を有しない普通の吸引ノズルを備えた従来のサンプリング装置とについて、上記撹拌操作(ないしは昇降操作)を実際に行なった。この実験では、液体サンプル(標準試料)としてJIS K0101で規定されている濁度測定用の100度カオリン標準液を用いた。そして、前記試験管に、この液体サンプルを試験管底面から120mmの高さの位置まで入れ、30分間静置した。この試験管内の液体サンプルに対して、本発明にかかるサンプリング装置1と上記従来のサンプリング装置とを用いて、上記撹拌操作を行なった。
【0024】
そして、本発明にかかるサンプリング装置を用いて撹拌操作を行なった直後に、試験管内の液体サンプルをサンプリングして、その濁度を濁度計(倉敷紡績株式会社製「ウォーターライザー(Waterlyzer:登録商標) RD−310」)を用いて測定したところ、濁度測定値は濁度102であった。この値は、液体サンプル内に懸濁物質がほぼ均一に分布している場合とほぼ同一の値である。したがって、本発明にかかるサンプリング装置1では、液体サンプルがほぼ均一化されているといえる。他方、上記従来のサンプリング装置を用いて撹拌操作を行なった直後に、試験管内の液体サンプルをサンプリングして、その濁度を該濁度計を用いて測定したところ、濁度測定値は濁度683であった。これは、液体サンプルの撹拌が十分でないため、沈降したカオリン成分を平均値より多くサンプリングしたことによる。
【0025】
上記撹拌操作では、吸引ノズル2の移動速度を5cm/秒に設定しているが、移動速度はこの値に限定されるものではない。吸引ノズル2が試験管内の液体サンプルに突入したときに、液体サンプル8が試験管外に飛散しなければ、5cm/秒より高速で移動させてもよい。また、十分な撹拌が行なわれれば、5cm/秒より低速で移動させてもよい。
【0026】
上記撹拌操作では、吸引ノズル2の昇降ないし撹拌は3回半行なっているが、撹拌の回数はこれに限定されるものではない。撹拌効率を高めるために、撹拌回数を3回半より多くしてもよい。また、サンプリング時には、吸引ノズル2を、吸引口2aが試験管底面より10mm上方となる位置に停止させているが、吸引ノズル2の停止位置はこれに限られるものではない。一般的には、吸引口2aは試験管底面に近いところに位置することが望ましい。しかし、吸引により液体サンプルが減少して吸引口2aが液体サンプル外に出るといったことが起こらない限り、吸引ノズル2をどのような位置で停止させてサンプリングを行なってもよい。
【0027】
上記撹拌操作における吸引ノズル2の上下移動範囲も上記範囲に限定されるものではない。この具体例では、試験管の底部が半球状であるため、吸引ノズル2の下側の停止位置をあまり試験管底面に近づけると、撹拌翼9が試験管に接触するおそれがある。そこで、上記昇降操作では、吸引ノズル2を、吸引口2aが試験管底面の10mm上方となる位置で停止させるようにしているが、この位置はサンプル容器の形状に応じて適切に設定すればよい。また、上記昇降操作では、吸引ノズル2の上側の停止位置は、液体サンプルの飛散防止の観点から、吸引口2aが液体サンプルの表面(上面)から出ない位置に設定している。しかし、吸引ノズル2を液体サンプル8の飛散を防止することができる速度で移動させる場合は、吸引口2aが液体サンプル8の表面から外に出ても差し支えない。
【0028】
上記実施の形態では、撹拌翼9は、吸引ノズル2の吸引口2aから若干上側(0〜5mm)の部位に設けられている。これは、撹拌翼9が吸引ノズル2の先端部に近い方が吸引ノズル2を試験管底面により近いところまで下降させることができ、撹拌性能を高めることができるからである。しかし、撹拌翼9はこれより上側の位置(先端部ないし吸引口2aと離間した位置)に設けてもよい。
【0029】
上記実施の形態では、吸引ノズル2ないし撹拌翼9の昇降時に液体サンプル8を流通させてその対流を促進するために、あるいは液体サンプル8の液垂れを防止するために、撹拌翼9に図2(b)に示す形状の穴部9bを設けている。しかし、穴部9bの形状は、このような形状に限定されるものではなく、どのような形状のものであってもよい。また、穴部9bを設けていない撹拌翼9を用いてもよい。また、上記実施の形態では、サンプル容器7が円筒形であるため、撹拌翼9はサンプル容器7ないし試験管の管壁に接触しない範囲で、可能な限り大きくするのが望ましい。しかし、撹拌翼9の形状ないし寸法は、どのようなものであってもよい。
【0030】
図1又は図2(a)、(b)に示す実施の形態では、吸引ノズル2に撹拌翼9が1つだけ設けられている。
しかし、図3(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2に、同一形状ないし寸法の複数(複層)の撹拌翼9を設けてもよい。なお、図4(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2に、互いに異なる形状ないし寸法の複数(複層)の撹拌翼9を設けてもよい。図4(a)、(b)に示す撹拌翼9は、底面側ほど小径となる(狭くなる)サンプル容器、例えばスピッツ管等に用いるのに適している。また、図5(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2にスクリュー形状の撹拌翼9を設けてもよい。
さらには、図6に示すように、吸引ノズル2に螺旋形状の撹拌翼9を設けてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、簡単な撹拌機構でもって、試験管などの小径の(狭い)試料容器に入っている液体試料をサンプリングすることができ、かつ液体試料を確実ないし十分に撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるサンプリング装置の模式的な一部断面立面図である。
【図2】(a)は本発明にかかる1つの撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図3】(a)は本発明に同一形状の複数の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図4】(a)は本発明にかかる異なる形状の複数の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図5】(a)は本発明にかかるスクリュー形状の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図6】本発明にかかる螺旋形状の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図である。
【符号の説明】
1 サンプリング装置、2 吸引ノズル、2a 吸引口、3 昇降機構、4 接続チューブ、5 吸引ポンプ、6 サンプル受け部、7 サンプル容器、7a底面、8 液体サンプル、9 撹拌翼、9a 円形孔部、9b 穴部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸引により試料容器内の液体試料をサンプリングするサンプリング装置及びその吸引ノズル並びに該サンプリング装置における液体試料の撹拌方法及びサンプリング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試料容器内の液体試料の一部を採取してその分析等を行うために、試料容器内の液体試料を自動的にサンプリングするようにしたサンプリング装置は、一般に知られている。かかるサンプリング装置は、普通、吸引ノズルと、負圧を供給することにより吸引ノズルに液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えている。そして、昇降機構で吸引ノズルを下降させて吸引ノズルの先端部の吸引口を試料容器内の液体試料中に差し込んだ後、吸引機構から吸引ノズルに負圧を供給して吸引ノズルに液体試料を吸引させるようにしている。
【0003】
ところで、このようなサンプリング装置でサンプリングを行う場合、試料容器内の液体試料が均一でないとき、例えば懸濁物質あるいは沈降性の物質を含むときは、サンプリングを行う際に又はサンプリングを行う前に、液体試料を撹拌するなどして均一化ないし均質化する必要がある。そこで、試料容器内の液体試料を均一化するための手段を備えた種々のサンプリング装置等が提案されている。具体的には、例えば、次のようなものが提案されている。
【0004】
(1)吸引ノズルと平行な別体の撹拌機を備えたサンプリング装置が提案されている(特許文献1参照)。
(2)液体試料の吸引ないし吐出により液体試料を撹拌するようにしたサンプリング装置が提案されている(特許文献2参照)。さらに、このような撹拌に加えて、吸引ノズルの回転による撹拌を併用するサンプリング装置も提案されている(特許文献3参照)。
(3)気体のバブリングにより液体試料を撹拌するようにしたサンプリング装置が提案されている(特許文献4参照)。
(4)撹拌機自体ないし試料容器を、超音波により振動させるようにしたサンプリング装置が提案されている(特許文献5参照)。
(5)なお、サンプリング装置とは技術分野は異なるが、カップ式自動販売機では、吐出ノズルと撹拌機とを同軸にした上で撹拌器を回転させて液体を撹拌するようにしたもの(特許文献6参照)、先端切欠部を備えたストローの回転により液体を撹拌するようにしたもの(特許文献7参照)、あるいは切断されたストローの回転により液体を撹拌するようにしたもの(特許文献8参照)が提案されている。
(6)また、サンプリング装置用のものではないが、液体の混合撹拌装置として、水圧により翼が回転する撹拌棒を備えたもの(特許文献9参照)、あるいは撹拌棒内部から粉体を投入して液体を撹拌するようにしたもの(特許文献10参照)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−132717号公報(段落[0013]、図3)
【特許文献2】
特開平9−85071号公報(段落[0007]、図1)
【特許文献3】
特開平11−142414号公報(段落[0016]、図1)
【特許文献4】
特開2000−146785号公報(段落[0009]、図1)
【特許文献5】
特開平8−113300号公報(段落[0014]、図1)
【特許文献6】
特開平4−49492号公報(第4頁左下欄第12行目〜同頁右下欄
第2行目、第1図)
【特許文献7】
特開平3−290794号公報(第2頁右上欄第3行目〜同欄第15
行目、第1図)
【特許文献8】
特開平5−233949号公報(段落[0014]、図1)
【特許文献9】
実開昭55−95828号公報(第1頁左欄、図面)
【特許文献10】
特公昭51−31615号公報(第1頁右欄第21行目〜同欄第34
行目、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されたサンプリング装置では、ノズルと撹拌機とを別体で設ける必要があるので、大径の(広い)試料容器を必要とし、サンプリング装置が全体的に大きくなるといった問題がある。特許文献2、3に記載されたサンプリング装置では、ノズルやノズルにつながる配管中に残った液体試料により汚染が生じるおそれがあるといった問題がある。特許文献4に記載されたサンプリング装置では、液体試料が、粘度の高いものである場合、あるいは界面活性剤を含む場合は、泡が発生するおそれがあるといった問題がある。また、特許文献5〜10に記載されたサンプリング装置、カップ式自動販売機又は混合撹拌装置では、いずれも、撹拌機構が非常に複雑であるといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、吸引により液体試料をサンプリングするようにしたサンプリング装置に対して、簡単な撹拌機構でもって試験管などの小径の(狭い)試料容器に入っている液体試料をサンプリングすることができ、かつ液体試料を確実ないし十分に撹拌することを可能にする手段を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる液体試料のサンプリング装置は、吸引ノズル(あるいは、中空部材、パイプ、チューブ等)と、試料容器内の液体試料を吸引ノズルに吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えた液体試料のサンプリング装置であって、吸引ノズルの吸引口近傍部(すなわち、先端近傍部ないしは下端近傍部)に、吸引ノズルの昇降により試料容器内の液体試料を撹拌する撹拌翼(あるいは、撹拌部材、撹拌板等)が設けられていることを特徴とするものである。
この液体試料のサンプリング装置においては、撹拌時における液体試料の対流を促進するため、撹拌翼に、吸引ノズル昇降時に液体試料が上下方向に通り抜ける穴部(あるいは、開口部、切欠部等)を設けてもよい。
【0009】
本発明にかかるサンプリング装置の吸引ノズルは、昇降機構によって昇降させられる一方、吸引機構によって試料容器内の液体試料を吸引させられるようになっている、サンプリング装置の吸引ノズルであって、吸引口近傍部に、吸引ノズルの昇降により試料容器内の液体試料を撹拌する撹拌翼が設けられていることを特徴とするものである。
このサンプリング装置の吸引ノズルにおいては、撹拌時における液体試料の対流を促進するため、撹拌翼に、吸引ノズル昇降時に液体試料が上下方向に通り抜ける穴部を設けてもよい。
【0010】
本発明にかかる液体試料の撹拌方法は、吸引ノズルと、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えたサンプリング装置における液体試料の撹拌方法であって、吸引口近傍部に撹拌翼が設けられた吸引ノズルを用いて、該吸引ノズルを昇降させることにより撹拌翼で試料容器内の液体試料を撹拌することを特徴とするものである。
【0011】
本発明にかかる液体試料のサンプリング方法は、吸引ノズルと、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えたサンプリング装置における液体試料のサンプリング方法であって、吸引口近傍部に撹拌翼が設けられた吸引ノズルを用いて、吸引ノズルを昇降させることにより撹拌翼で試料容器内の液体試料を撹拌しつつ、又は撹拌した後で、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、以下の実施の形態では、主としてサンプリング装置ないしその吸引ノズルについて説明するが、本発明は、かかるサンプリング装置を用いたサンプル容器(試料容器)内の液体サンプル(液体試料)の撹拌方法ないしサンプリング方法も含むことはもちろんである。
【0013】
図1に示すように、本発明にかかる自動式のサンプリング装置1は、細長い直管状のSUS製の吸引ノズル2と、上下方向の所定の移動範囲内で吸引ノズル2を昇降(上下移動)させる昇降機構3と、一端が吸引ノズル2の上端部に接続されたテフロン(登録商標)等の可撓性材料からなる接続チューブ4と、接続チューブ4の他端に接続されたアスピレータあるいは真空ポンプ等の吸引ポンプ5(吸引機構)と、接続チューブ4に介設されたサンプル受け部6とを備えている。そして、このサンプリング装置1は、比較的小径のサンプル容器7(例えば、試験管)内の液体サンプル8の一部(適量)をサンプリング(採取)するようになっている。
【0014】
ここで、吸引ノズル2が昇降機構3によって上記移動範囲の最高位置まで上昇させられたときには、吸引ノズル2の先端部(下端部)に位置する吸引口2aは、サンプル容器7の上端部よりも上方に位置する。すなわち、吸引ノズル2は、サンプル容器7から完全に抜去された状態となる。この状態において、吸引ノズル2は、図示していない吸引ノズル移動機構によって、水平方向に2次元的に移動させられることができる。したがって、2次元的に配列された複数のサンプル容器7のうちの任意のものから、液体サンプル8を自在にサンプリングすることができる。なお、昇降機構3は、吸引ノズル2を、随時、何回でも自在に昇降させることができる。
【0015】
他方、吸引ノズル2が昇降機構3によって上記移動範囲の最低位置まで下降させられたときには、吸引ノズル2の下部はサンプル容器7内に挿入され、サンプル容器7内の液体サンプル8に浸漬される。このとき、吸引口2aは、サンプル容器7の底部7aのやや上方に位置する。この状態で、吸引ポンプ5から接続チューブ4を介して吸引ノズル2に負圧がかけられたときには、サンプル容器7内の液体サンプル8が吸引ノズル2内に吸引される。吸引ノズル2内に吸引された液体サンプル8は、この後接続チューブ4を通してサンプル受け部6に導入される。つまり、サンプル容器7内の液体サンプル8の一部がサンプリングされる。なお、サンプル受け部6に導入された液体サンプル8は、自動的に又は手動で分析機器等に送られる。
【0016】
このサンプリング装置1において、吸引ノズル2の吸引口2aのやや上側、すなわち吸引ノズル2の先端部ないしは下端部のやや上側には、SUS製の撹拌翼9が、吸引ノスル2と同心状ないし同軸状に設けられている。この撹拌翼9は、吸引ノズル2が昇降するときに、サンプル容器7内の液体サンプル8に対流を生じさせ、液体サンプル8を有効に撹拌する。すなわち、サンプル容器7内の液体サンプル8をサンプリングする際には、サンプリング時又はサンプリング直前に、昇降機構3に吸引ノズル2を所望の回数だけ昇降させることにより、サンプル容器7内の液体サンプル8を確実にないし十分に撹拌することができる。したがって、液体サンプル8が懸濁物あるいは沈降性の物質を含んでいるときには、該液体サンプル8の組成を有効に均一化ないし均質化することができる。
【0017】
一般に、この種の従来のサンプリング装置では、大抵、吸引ノズルの昇降機構が備わっている。したがって、本発明にかかるサンプリング装置1は、このような従来のサンプリング装置において、吸引ノズルに撹拌翼を付設するだけで実現することができる。つまり、本発明にかかるサンプリング装置1では、撹拌機構は、もともと備わっている昇降機構3と、吸引ノズル2の吸引口近傍部に設けられた撹拌翼9とで構成されるので、極めて簡素な構造となる。
【0018】
また、このサンプリング装置1においては、吸引ノズル2に撹拌翼9が同心状ないし同軸状に設けられるので、装置形状としては撹拌翼部分が大きくなるのみである。そして、吸引ノズル2に同心状ないし同軸状に設けられる撹拌翼9の直径は、サンプル容器7の内径ないし寸法に応じて任意に設定することができる。したがって、このサンプリング装置1は、用いられるサンプル容器7の内径ないし寸法に応じて撹拌翼9の直径を適切に設定することにより、試験管等の小径のサンプル容器7に対しても支障なく用いることができる。
つまり、このサンプリング装置1によれば、簡単な撹拌機構でもって、試験管などの小径の(狭い)サンプル容器7に入っている液体サンプルをサンプリングすることができ、かつ液体サンプルを確実ないし十分に撹拌することができる。
【0019】
以下、サンプリング装置1の吸引ノズル2に設けられる撹拌翼9のより具体的な構造ないし機能を説明する。なお、以下では、便宜状、サンプル容器7としてマルエム製A30試験管(内径30mmφ、管長200mm)を用いて、該試験管内に液体サンプル8を試験管底面から120mm〜150mm程度の高さの位置まで入れた場合を例として説明する。しかしながら、本発明にかかるサンプリング装置1は、試験管以外の種々のサンプル容器7に対しても同様に用いることができるのはもちろんである。
【0020】
図2(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2には、吸引口2a(先端部、下端部)から若干の距離H(例えば、0〜5mm)だけ上側の部位に、薄い(例えば、厚みが0.5mm)略円板状の撹拌翼9が、同心状ないし同軸状に取り付けられている。ここで、吸引ノズル2としては、例えば、管長Lが300mm、外径D1が4mmφ、内径D2が3mmφのSUS製の管が用いられる。他方、略円板状の撹拌翼9には、これを厚み方向に貫通する、吸引ノズル2に嵌合させるための円形孔部9aと、吸引ノズル2の昇降時に液体サンプル8の対流を促進するために該液体サンプル8を上下方向に通り抜けさせる穴部9bとが設けられている。この撹拌翼9においては、外径d1は例えば16mmに設定される。また、撹拌翼9の穴部9bの円弧状の外縁部の直径d2及び円弧状の内縁部の直径d3は、それぞれ、例えば12mm及び8mmに設定される。
【0021】
かくして、撹拌翼翼9を備えた吸引ノズル2は、昇降装置3によって、例えば次のような手順で昇降させられ、このとき撹拌翼9は試験管内の液体サンプル8を有効に撹拌する。すなわち、かかる撹拌操作(ないし昇降操作)を行なう際には、まず、吸引ノズル2は、例えば上記上下移動範囲の最高位置から、5cm/秒の移動速度で下降させられ、液体サンプル8中に挿入された後、吸引口2aが試験管底面より10mm上方となる位置で停止させられる。この後直ちに、吸引ノズル2は、5cm/秒の移動速度で上昇させられ、吸引口2aが試験管底面より100mm上方となる位置で停止させられる。なお、吸引ノズル2の移動開始直後又は停止直前は、移動速度が低減される(スローアップ・スローダウン)。
【0022】
このような撹拌操作が合計で3回半繰り返される。すなわち、(1回目の下降)→(1回目の上昇)→(2回目の下降)→(2回目の上昇)→(3回目の下降)→(3回目の上昇)→(4回目の下降)といった撹拌操作が行なわれる。このとき、吸引口2aは、試験管底面より10mm上方に位置している。この直後に、吸引ポンプ5から吸引ノズル2に負圧を供給し、試験管内の液体サンプル8をサンプリングする。このような撹拌操作を行なうことにより、液体サンプル8に時間とともに沈降する懸濁物質が含まれている場合でも、該液体サンプル8を確実にないし十分に撹拌して均一化ないし均一化することができる。
【0023】
この撹拌操作の有効性を検証するために、撹拌翼9を有する吸引ノズル2を備えた本発明にかかるサンプリング装置と、撹拌翼を有しない普通の吸引ノズルを備えた従来のサンプリング装置とについて、上記撹拌操作(ないしは昇降操作)を実際に行なった。この実験では、液体サンプル(標準試料)としてJIS K0101で規定されている濁度測定用の100度カオリン標準液を用いた。そして、前記試験管に、この液体サンプルを試験管底面から120mmの高さの位置まで入れ、30分間静置した。この試験管内の液体サンプルに対して、本発明にかかるサンプリング装置1と上記従来のサンプリング装置とを用いて、上記撹拌操作を行なった。
【0024】
そして、本発明にかかるサンプリング装置を用いて撹拌操作を行なった直後に、試験管内の液体サンプルをサンプリングして、その濁度を濁度計(倉敷紡績株式会社製「ウォーターライザー(Waterlyzer:登録商標) RD−310」)を用いて測定したところ、濁度測定値は濁度102であった。この値は、液体サンプル内に懸濁物質がほぼ均一に分布している場合とほぼ同一の値である。したがって、本発明にかかるサンプリング装置1では、液体サンプルがほぼ均一化されているといえる。他方、上記従来のサンプリング装置を用いて撹拌操作を行なった直後に、試験管内の液体サンプルをサンプリングして、その濁度を該濁度計を用いて測定したところ、濁度測定値は濁度683であった。これは、液体サンプルの撹拌が十分でないため、沈降したカオリン成分を平均値より多くサンプリングしたことによる。
【0025】
上記撹拌操作では、吸引ノズル2の移動速度を5cm/秒に設定しているが、移動速度はこの値に限定されるものではない。吸引ノズル2が試験管内の液体サンプルに突入したときに、液体サンプル8が試験管外に飛散しなければ、5cm/秒より高速で移動させてもよい。また、十分な撹拌が行なわれれば、5cm/秒より低速で移動させてもよい。
【0026】
上記撹拌操作では、吸引ノズル2の昇降ないし撹拌は3回半行なっているが、撹拌の回数はこれに限定されるものではない。撹拌効率を高めるために、撹拌回数を3回半より多くしてもよい。また、サンプリング時には、吸引ノズル2を、吸引口2aが試験管底面より10mm上方となる位置に停止させているが、吸引ノズル2の停止位置はこれに限られるものではない。一般的には、吸引口2aは試験管底面に近いところに位置することが望ましい。しかし、吸引により液体サンプルが減少して吸引口2aが液体サンプル外に出るといったことが起こらない限り、吸引ノズル2をどのような位置で停止させてサンプリングを行なってもよい。
【0027】
上記撹拌操作における吸引ノズル2の上下移動範囲も上記範囲に限定されるものではない。この具体例では、試験管の底部が半球状であるため、吸引ノズル2の下側の停止位置をあまり試験管底面に近づけると、撹拌翼9が試験管に接触するおそれがある。そこで、上記昇降操作では、吸引ノズル2を、吸引口2aが試験管底面の10mm上方となる位置で停止させるようにしているが、この位置はサンプル容器の形状に応じて適切に設定すればよい。また、上記昇降操作では、吸引ノズル2の上側の停止位置は、液体サンプルの飛散防止の観点から、吸引口2aが液体サンプルの表面(上面)から出ない位置に設定している。しかし、吸引ノズル2を液体サンプル8の飛散を防止することができる速度で移動させる場合は、吸引口2aが液体サンプル8の表面から外に出ても差し支えない。
【0028】
上記実施の形態では、撹拌翼9は、吸引ノズル2の吸引口2aから若干上側(0〜5mm)の部位に設けられている。これは、撹拌翼9が吸引ノズル2の先端部に近い方が吸引ノズル2を試験管底面により近いところまで下降させることができ、撹拌性能を高めることができるからである。しかし、撹拌翼9はこれより上側の位置(先端部ないし吸引口2aと離間した位置)に設けてもよい。
【0029】
上記実施の形態では、吸引ノズル2ないし撹拌翼9の昇降時に液体サンプル8を流通させてその対流を促進するために、あるいは液体サンプル8の液垂れを防止するために、撹拌翼9に図2(b)に示す形状の穴部9bを設けている。しかし、穴部9bの形状は、このような形状に限定されるものではなく、どのような形状のものであってもよい。また、穴部9bを設けていない撹拌翼9を用いてもよい。また、上記実施の形態では、サンプル容器7が円筒形であるため、撹拌翼9はサンプル容器7ないし試験管の管壁に接触しない範囲で、可能な限り大きくするのが望ましい。しかし、撹拌翼9の形状ないし寸法は、どのようなものであってもよい。
【0030】
図1又は図2(a)、(b)に示す実施の形態では、吸引ノズル2に撹拌翼9が1つだけ設けられている。
しかし、図3(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2に、同一形状ないし寸法の複数(複層)の撹拌翼9を設けてもよい。なお、図4(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2に、互いに異なる形状ないし寸法の複数(複層)の撹拌翼9を設けてもよい。図4(a)、(b)に示す撹拌翼9は、底面側ほど小径となる(狭くなる)サンプル容器、例えばスピッツ管等に用いるのに適している。また、図5(a)、(b)に示すように、吸引ノズル2にスクリュー形状の撹拌翼9を設けてもよい。
さらには、図6に示すように、吸引ノズル2に螺旋形状の撹拌翼9を設けてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、簡単な撹拌機構でもって、試験管などの小径の(狭い)試料容器に入っている液体試料をサンプリングすることができ、かつ液体試料を確実ないし十分に撹拌することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるサンプリング装置の模式的な一部断面立面図である。
【図2】(a)は本発明にかかる1つの撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図3】(a)は本発明に同一形状の複数の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図4】(a)は本発明にかかる異なる形状の複数の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図5】(a)は本発明にかかるスクリュー形状の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図であり、(b)は(a)に示す撹拌翼の平面図である。
【図6】本発明にかかる螺旋形状の撹拌翼を備えた吸引ノズルの立面図である。
【符号の説明】
1 サンプリング装置、2 吸引ノズル、2a 吸引口、3 昇降機構、4 接続チューブ、5 吸引ポンプ、6 サンプル受け部、7 サンプル容器、7a底面、8 液体サンプル、9 撹拌翼、9a 円形孔部、9b 穴部。
Claims (6)
- 吸引ノズルと、試料容器内の液体試料を吸引ノズルに吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えた液体試料のサンプリング装置であって、
吸引ノズルの吸引口近傍部に、吸引ノズルの昇降により試料容器内の液体試料を撹拌する撹拌翼が設けられていることを特徴とする液体試料のサンプリング装置。 - 撹拌翼に、吸引ノズル昇降時に液体試料が上下方向に通り抜ける穴部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体試料のサンプリング装置。
- 昇降機構によって昇降させられる一方、吸引機構によって試料容器内の液体試料を吸引させられるようになっている、サンプリング装置の吸引ノズルであって、
吸引口近傍部に、該吸引ノズルの昇降により試料容器内の液体試料を撹拌する撹拌翼が設けられていることを特徴とするサンプリング装置の吸引ノズル。 - 撹拌翼に、吸引ノズル昇降時に液体試料が上下方向に通り抜ける穴部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載のサンプリング装置の吸引ノズル。
- 吸引ノズルと、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えたサンプリング装置における液体試料の撹拌方法であって、
吸引口近傍部に撹拌翼が設けられた吸引ノズルを用いて、該吸引ノズルを昇降させることにより撹拌翼で試料容器内の液体試料を撹拌することを特徴とする液体試料の撹拌方法。 - 吸引ノズルと、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させる吸引機構と、吸引ノズルを昇降させる昇降機構とを備えたサンプリング装置における液体試料のサンプリング方法であって、
吸引口近傍部に撹拌翼が設けられた吸引ノズルを用いて、該吸引ノズルを昇降させることにより撹拌翼で試料容器内の液体試料を撹拌しつつ、又は撹拌した後で、吸引ノズルに試料容器内の液体試料を吸引させることを特徴とする液体試料のサンプリング方法。
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