JP2004101087A - 制御システム及びそれを備えたユーティリティ消費設備 - Google Patents
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- Y02T10/10—Internal combustion engine [ICE] based vehicles
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Abstract
【課題】本発明は、ガス、電力、及び水等のユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生する熱源設備等のユーティリティ消費設備に設けられている各駆動部Dの駆動条件を、自動的に、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合ったものに最適化して、一層の省エネ及び運転コスト削減を図ることができる制御システム70を実現することを目的とする。
【解決手段】ユーティリティ消費量から省エネルギに関する評価値を導出可能な評価値導出手段71と、各駆動部Dの駆動条件を変化させると共に評価値導出手段71で評価値を導出して、評価値が最適化される各駆動部Dの最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段72と、各駆動部Dの駆動条件を最適駆動条件に設定する設定手段73を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】ユーティリティ消費量から省エネルギに関する評価値を導出可能な評価値導出手段71と、各駆動部Dの駆動条件を変化させると共に評価値導出手段71で評価値を導出して、評価値が最適化される各駆動部Dの最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段72と、各駆動部Dの駆動条件を最適駆動条件に設定する設定手段73を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の駆動部においてユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備及びその制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備として、冷水更には温水を生成して室内の空調を行う空調設備、コジェネレーション設備、ボイラ設備等の、冷温熱を生成する熱源設備などがある。
上記空調設備の冷暖房方式としては、吸収剤の吸収作用を利用して冷媒蒸気を吸収し、その蒸発によって冷却を行う吸収式と、冷媒の圧縮及び膨張を繰り返すことにより低温部の熱を高温部に移動させる圧縮式がある。吸収式には、ガスなどの燃料を加熱源として冷温水をつくる吸収式冷温水機、蒸気や高温の水を加熱源として冷水をつくる吸収式冷凍機、低温の排熱を効率よく回収し高温で利用価値の高い熱の形に変換する吸収ヒートポンプ等があり、圧縮式には、ガスエンジンヒートポンプ等がある。
【0003】
このようなユーティリティ消費設備には、ガス、電力、又は、水等のユーティリティを消費して駆動する複数の駆動部が設けられている。例えば、上記熱源設備に設けられている駆動部としては、ガスを消費して熱源を得る燃焼部、電力を消費して上記冷水や上記冷却水等の作動流体を送出するポンプ、電力を消費して上記作動流体の放熱を行うファン、水を消費して冷却水の放熱を行うクーリングタワー等がある。
【0004】
近年、顧客側の工場やビル等の施設におけるガス、電力、水等の消費量を低下させる省エネルギ(以下、省エネと略称する。)に関する包括的なサービスを提供し、それまでの利便性や快適性を損なうことなく省エネを実現し、その顧客の省エネ対策の実施により削減された運転コスト等の省エネによる経済効果の一部を報酬(対価)として享受するESCO事業が知られている。
【0005】
このようなESCO事業における省エネ対策として、上記ユーティリティ消費設備などを効率的に運用するための管理を行う所謂BEMS(Building and Energy Management System)への取り組みが推進されており、経済産業省の諮問機関である総合資源エネルギ調査会の報告では、BEMSの導入を省エネ対策の一つとして挙げ、BEMSの普及により、原油換算で約160万kL(内ESCOによる普及拡大効果は100万kL)の省エネ効果が期待されるとしている。
このようなBEMSは、情報技術を活用して、中央監視室等のコンピュータにより、外気温度・湿度等に関する各種データを収集し、収集したデータに基づいて、上記ユーティリティ消費設備の出力負荷等を最適化することで、上記ユーティリティ諸費設備の出力負荷を熱需要や外気温度等に合った適切なものとして、省エネを図るように構成されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
【特許文献1】
特開2001−282889号公報(第11−14頁、第5−7図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のBEMS等の従来の制御システムでは、ユーティリティ消費設備の出力負荷、例えば、熱源設備の燃焼部における入熱量を、熱需要や外気温度等に合った適切なものとするが、その出力負荷に対して設定される作動流体搬送用のポンプや放熱用ファン等の駆動部の駆動条件をも最適化制御するようには構成されていない場合がある。そして、このようにポンプやファン等の駆動条件が最適化されていない場合には、そのポンプやファン等で消費される電力の料金が上記燃焼部において消費されるガスの料金と同様に無視することはできない程度の額であるため、全体的な省エネを達成できない場合がある。
即ち、このようなユーティリティ消費設備においては、一部の駆動部の駆動条件を、その駆動部におけるユーティリティ消費量が削減できるように最適化しても、他部の駆動部におけるユーティリティ消費量が増加し、省エネを達成できない場合がある。
【0008】
また、ユーティリティ消費設備としての熱源設備に設けられている上記ポンプやファン等の各駆動部の駆動条件は、一般的に、ユーティリティ消費設備の設計時にユーティリティ消費設備の外気温度湿度や使用様態等の環境条件が平均的な基準環境条件であると想定して省エネを目的として最適化した条件、又は、ユーティリティ消費設備の設置時に上記環境条件が設置時の初期環境条件であると想定して省エネを目的として最適化した条件に設定される。しかし、ユーティリティ消費設備の実際の環境条件が、上記基準環境条件や上記初期環境条件に対して乖離した場合には、上記各駆動部の駆動条件が、そのときの環境条件に合った最適なものではなくなり、十分な省エネが達成されない場合がある。
【0009】
従って、本発明は、上記の事情に鑑みて、ユーティリティ消費設備に設けられている各駆動部の駆動条件を、自動的に、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合ったものに最適化して、一層の省エネを達成することができる制御技術を実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る制御システムの第一特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、複数の駆動部においてユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備の制御システムであって、
前記複数の駆動部のユーティリティ消費量から前記ユーティリティ消費設備の省エネルギに関する評価値を導出可能な評価値導出手段と、
前記各駆動部の駆動条件を変化させると共に前記評価値導出手段で前記評価値を導出して、前記評価値が最適化される前記各駆動部の最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段と、
前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定する設定手段を備えた点にある。
【0011】
即ち、上記第一特徴構成によれば、上記評価値導出手段を設けることにより、最適化対象となる複数の駆動部における夫々のユーティリティ消費量、又は、そのユーティリティ消費量から算出される運転コストやCO2排出量等の、省エネに関する評価値を導出することができる。
【0012】
更に、上記最適駆動条件導出手段を設けることにより、ポンプやファン等の出力や燃焼部の燃焼量等である各駆動部の駆動条件を変化させる毎に、上記評価値導出手段により上記評価値を導出し、このようにして得られた各駆動部の駆動条件と評価値とに関する複数のデータを解析して、評価値が最適となるときの各駆動部の駆動条件を、最適駆動条件として導出することができる。そして、上記設定手段により、各駆動部の駆動条件を上記のように導出した最適駆動条件に設定することができる。
【0013】
従って、本発明に係る制御システムにより、ユーティリティ消費設備の系外への出力負荷を一定に維持したまま、自動的に、各駆動部の駆動条件を、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合った最適な最適駆動条件に設定して、一層の省エネを達成することができる。
【0014】
本発明に係る制御システムの第二特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した如く、上記第一特徴構成に加えて、前記ユーティリティが、ガス、電力、及び、水から選択される少なくとも1つである点にある。
【0015】
即ち、上記第二特徴構成によれば、ユーティリティ消費設備が、上記各駆動部等において、ガス、電力、水の少なくとも1つのユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するものである場合でも、上記各駆動部の駆動条件を、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に対して、ガス料金、電力料金、及び、水道料金の合計である運転コストを最小化するなど、上記省エネに関する評価値を最適化することができる最適駆動条件に自動的に設定することができる。
【0016】
本発明に係る制御システムの第三特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した如く、上記第一乃至第二特徴構成に加えて、前記ユーティリティ消費設備が前記ユーティリティを消費して、冷熱及び温熱の少なくとも一方を生成する熱源設備である点にある。
【0017】
即ち、上記第三特徴構成によれば、冷水更には温水を生成して室内の空調を行う空調設備、コジェネレーション設備、ボイラ設備等の、冷熱及び温熱の少なくとも一方を生成熱源設備に対しても、ガスを消費して熱源を得る燃焼部の燃焼量や、電力を消費して上記冷水や上記冷却水等の作動流体を送出するポンプの出力や、電力を消費して上記作動流体の放熱を行うファンの出力や、水を蒸発させて潜熱により冷却水の放熱を行うクーリングタワーの給水量等の、上記熱源設備に設けられている各駆動部の駆動条件を、上記評価値を最適化することができる最適駆動条件に自動的に設定することができる。
【0018】
本発明に係る制御システムの第四特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した如く、上記第一乃至第三の何れかの特徴構成に加えて、前記最適駆動条件導出手段が、前記出力負荷を維持するための前記各駆動部の駆動条件間における所定の従属関係を維持したまま、前記各駆動部の駆動条件を変化させるように構成されている点にある。
【0019】
即ち、上記第四特徴構成によれば、上記ユーティリティ消費設備に設けられている複数の最適化対象の駆動部が、ユーティリティ消費設備の出力負荷を一定に維持するために互いに従属して駆動条件が設定される複数の駆動部からなる駆動部群を少なくとも1つ含む場合には、上記最適駆動条件導出手段により、例えばユーティリティ消費設備の出力負荷を一定に維持するために、駆動部群内において設定された上記駆動条件間の従属関係を維持したまま、各駆動部の駆動条件を変化させて、各駆動部の駆動条件と評価値とに関する複数のデータを取得し、取得したデータを解析して、各駆動部の最適駆動条件を導出することができる。
【0020】
本発明に係る制御システムの第五特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載した如く、上記第一乃至第四の何れかの特徴構成に加えて、前記最適駆動条件導出手段で導出した前記最適駆動条件を認識可能な最適化情報を格納するデータベースを備えた点にある。
【0021】
即ち、上記第五特徴構成によれば、上記データベースを設けることにより、上記最適駆動条件導出手段で導出した各駆動部の最適駆動条件を認識可能な上記最適化情報を上記データベースに格納し、更に、ユーティリティ消費設備の出力負荷に対応した上記最適化情報を上記データベースに蓄積しておくことができる。よって、上記設定手段により各駆動部の駆動条件を設定するときに、そのときの出力負荷に対応する各駆動部の最適駆動条件を認識可能な最適化情報が上記データベースに格納されている場合には、上記最適条件導出手段を働かせずに、各駆動部の駆動条件を、即座に、上記データベースから抽出した最適化情報から認識した最適駆動条件に設定することができる。従って、ユーティリティ消費設備の運転状態の迅速な最適化を図ることができる。
【0022】
本発明に係る制御システムの第六特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載した如く、上記第五特徴構成に加えて、前記最適化情報が、前記最適駆動条件と共に、前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定したときの最適評価値を認識可能な情報であり、
前記設定手段で前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定した後に、前記評価値導出手段を働かせて実評価値を導出し、前記導出した実評価値が前記最適評価値に対して許容範囲内であるかを判定する判定手段を備え、
前記最適駆動条件導出手段が、前記判定手段で前記実評価値が前記最適評価値に対して許容範囲内でないと判定したときに、再び前記最適運転条件を導出するように構成されている点にある。
【0023】
ユーティリティ消費設備において、上記設定手段により、各駆動部の駆動条件をデータベースに格納した最適化情報から認識される最適駆動条件に設定した場合に、その最適化情報を上記データベースに格納したときのユーティリティ消費設備の環境条件が、現時点での環境条件と異なる場合には、ユーティリティ消費設備の運転状態が、その環境条件において運転コスト等の省エネに関する評価値を十分に最適化することができる状態でない場合がある。
【0024】
そこで、上記第六特徴構成によれば、上記データベースに格納される最適化情報を、上記最適駆動条件とそれに対応する上記最適評価値とを認識可能な情報とすると共に、上記判定手段を設けることにより、実際に評価値導出手段を働かせて導出した現時点での実評価値が、現時点で設定されている最適駆動条件を導出したときに導出した最適評価値に対して許容範囲内であるかを判定し、更に、許容範囲内でないと判定した場合には、各駆動部の駆動条件を、上記最適駆動条件導出手段を働かせて再び導出した各駆動部の最適駆動条件に再設定すると共に、上記データベースに格納されている最適化情報を新たに導出した最適駆動条件により更新することができる。
【0025】
従って、上記データベースに上記最適化情報を蓄積しておくことで迅速なユーティリティ消費設備の運転状態の最適化を図りながらも、上記ユーティリティ消費設備の運転状態が評価値を最適化する状態でないと判断した場合には、各駆動部の駆動条件を、そのときの環境条件に合った最適駆動条件を再設定して、ユーティリティ消費設備の運転状態を確実に最適化することができる。
【0026】
本発明に係る制御システムの第七特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項7に記載した如く、上記第一乃至第五の何れかの特徴構成に加えて、前記評価値が、運転コスト又はCO2排出量である点にある。
【0027】
即ち、上記第七特徴構成によれば、ユーティリティ消費量からユーティリティの供給事業者が設定するユーティリティの料金表等に従って算出できる運転コストや、ユーティリティ消費量からCO2排出量への換算式に従って算出できるCO2排出量を、省エネに関する評価値として用いることができ、ユーティリティ消費設備において、自動的に、これら運転コスト又はCO2排出量である評価値が最適化、即ち最小化される各駆動部の最適駆動条件が導出され、各駆動部の駆動条件がその最適駆動条件に設定されるので、運転コスト削減又はCO2排出量削減を自動的に達成することができる。
【0028】
この目的を達成するための本発明に係るユーティリティ消費設備の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項8に記載した如く、請求項1から7の何れか1項に記載の制御システムを備え、前記制御システムの前記設定手段が設定した駆動条件に従って前記複数の駆動部を駆動させて所定の出力を系外に対して発生するように構成された点にある。
【0029】
即ち、熱源設備等として構成される本発明に係るユーティリティ消費設備の特徴構成によれば、上記第一乃至第六特徴構成を備えた制御システムを備えるので、上記第一乃至第六特徴構成と同様の作用効果を発揮して、自動的に、各駆動部の駆動条件を、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合った最適な最適駆動条件に設定して、一層の省エネを図ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係るユーティリティ消費設備に設けられる制御システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
図1に示すユーティリティ消費設備(以下、本設備と略称する。)は、冷熱を生成する熱源装置として構成され、詳しくは、冷水を生成する吸収式冷凍機10を有し、室内に設けられるエアーハンドリングユニット(以下、AHUと略称する。)60において冷水により輸送された冷熱を放出して室内の空調を行う空調設備として構成されている。
【0032】
上記吸収式冷凍機10は、再生器において、供給路8から供給されたガスを燃焼させて駆動熱源を得ると共に、その駆動熱源により吸収剤の濃縮・再生を行い、蒸発器においては、冷媒を蒸発させてAHU60を循環する冷水の熱を奪い、吸収器においては、クーリングタワー(以下、CTと略称する。)20を循環する冷却水により冷媒蒸気を吸収剤に吸収したときに発生する凝縮潜熱及び混合熱を奪うように構成されている。
【0033】
上記冷却水は、冷却水往路13に設けられた冷却水ポンプ15により、吸収式冷凍機10、冷却水復路12、CT20、及び、冷却水往路13からなる冷却水循環経路Xを、記載の順に循環する。
【0034】
上記CT20は、散布した冷却水に対してCT用ファン21で送風するなどして、冷却水を冷却するように構成されている。また、給水路22に設けられた供給弁23が、CT20に貯留される冷却水の水位を検出するフロートセンサ(図示せず)と連動して開閉することにより、給水路22から水道水が供給され、蒸発して減少した分の冷却水が補給される。上記冷却水往路13には、CT20により冷却され吸収式冷凍機10に供給される冷却水の温度を検出する温度センサ16が設けられている。
【0035】
コンピュータシステムで構成される制御システム70は、温度センサ16の検出結果に基づいて、冷却水ポンプ15の出力、即ち、冷却水循環経路Xにおける冷却水流量を制御し、更には、CT用ファン21の出力、即ち、CT20の冷却能力を制御することにより、温度センサ16により検出される冷却水温度を所定の設定冷却水温度に設定可能に構成されている。
【0036】
尚、上記冷却水ポンプ15は、その冷却水ポンプ15に設けられたモータのインバータ電圧を調整することにより、冷却水ポンプ15の出力を調整可能に構成されている。よって、冷却水ポンプ15の出力を低下させ、冷却水流量を低下させると、冷却水ポンプ15の電力消費量は低下し、逆に、冷却水ポンプ15の出力を増加させ、冷却水流量を増加させると、冷却水ポンプ15の電力消費量は増加する。
【0037】
また、CT用ファン21は、間欠運転可能に構成され、その間欠運転における運転期間のデューティー比を調整することにより、CT用ファン21の出力、即ち、CT20の冷却能力を調整可能に構成されている。よって、CT用ファン21の出力を低下させ、CT20の冷却能力を低下させると、CT用ファン21の電力消費量は低下し、逆に、CT用ファン21の出力を増加させ、CT20の冷却能力を増加させると、CT用ファン21の電力消費量は増加する。
尚、CT用ファン21を、モータのインバータ電圧を調整することにより出力調整可能に構成しても構わない。
【0038】
更に、上記CT20への冷却水の補給水量は、上記CT20における放熱量が増加するほど、増加する。即ち、上記補給水量は、上記冷却水の温度が高くなるほど、又は、上記冷却水ポンプ15の出力が増加するほど、又は、上記CT用ファン21の出力が増加するほど、増加する。
【0039】
また、上記CT20が、地下水等の補給水を減少した分の冷却水以上に供給して上記冷却水を冷却するように構成されている場合や、上記CT20が地下水等の補給水との熱交換により上記冷却水を冷却するように構成されている場合には、上記補給水量を調整して、CT20の冷却能力を調整するように構成しても構わない。
【0040】
上記吸収式冷凍機10の蒸発器において冷却された上記冷水は、一次側冷水復路47に設けられた一次側ポンプ50を駆動することにより、吸収式冷凍機10、一次側冷水往路31、一次側冷水往ヘッダ35、バイパス路51、冷水復ヘッダ45、及び、一次側冷水復路47からなる一次側冷水循環経路Yを、記載の順に流通する。
【0041】
一次側冷水往路31には、吸収式冷凍機10により冷却された冷水の温度を検出する温度センサ33が設けられている。
そして、制御システム70は、温度センサ33の検出結果に基づいて、一次側ポンプ50の出力、即ち、一次側冷水循環経路Yにおける冷水流量を制御することにより、温度センサ33により検出される冷水温度を所定の設定冷水温度に設定可能に構成されている。
【0042】
尚、上記一次側ポンプ50は、上記冷却水ポンプ15と同様に、インバータ電圧を調整することにより、一次側ポンプの出力を調整可能に構成されている。よって、一次側ポンプ50の出力を低下させ、一次側冷水循環経路Yにおける冷水流量を低下させると、その一次側ポンプ50の電力消費量は低下し、逆に、一次側ポンプ50の出力を増加させ、一次側冷水循環経路Yにおける冷水流量を増加させると、一次側ポンプ50の電力消費量は増加する。
【0043】
更に、一次側冷水往ヘッダ35に到達した冷水は、上記一次側冷水往ヘッダ35と二次側冷水往ヘッダ39とを接続する複数のヘッダ間路36の夫々に設けられた各二次側ポンプ37を駆動することにより、一次側冷水往ヘッダ35、複数のヘッダ間路36、二次側冷水往ヘッダ39、二次側往路41、AHU60、二次側復路43、冷水復ヘッダ45、及び、バイパス路51からなる二次側冷水循環経路Zを、記載の順に流通する。二次側冷水往ヘッダ39には、冷水圧力を検出する圧力センサ40が設けられている。
【0044】
そして、制御システム70は、圧力センサ40の検出結果に基づいて、二次側ポンプ37の出力、即ち、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量を制御することにより、圧力センサ40により検出される冷水圧力を所定の設定冷水圧力に設定可能に構成されている。
【0045】
尚、上記二次側ポンプ37は、複数の二次側ポンプ37の内、駆動させる二次側ポンプ37の台数を調整することにより、二次側ポンプ37の出力を調整可能に構成されている。よって、二次側ポンプ37の出力を低下させ、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量を低下させると、その二次側ポンプ37の電力消費量は低下し、逆に、二次側ポンプ37の出力を増加させ、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量を増加させると、二次側ポンプ37の電力消費量は増加する。
尚、上記二次側ポンプ37の出力を上記冷却水ポンプ15及び上記一次側ポンプ50と同様に、インバータ電圧調整により調整しても構わない。
【0046】
更に、上記AHU60は、冷水により輸送された冷熱をAHU用ファン62により放出して、室内の冷房を行うように構成されている。また、二次側往路41のAHU60の直前には、AHU60への冷水流量を調整可能な流量調整弁61が設けられている。そして、制御システム70は、AHU60により冷房される室内に設けられた温度センサ63の検出結果に基づいて、流量調整弁61の開度、及び、AHU用ファン62の出力を制御することにより、室温を所定の設定室温に設定するように構成されている。
【0047】
また、室温調整のために流量調整弁61の開度を調整すると、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量が変化するに伴って上記圧力センサ40で検出される冷水圧力が設定冷水圧力から逸脱することを防止するために、二次側ポンプ37の出力が自動的に調整される。従って、上記流量調整弁61の開度を変化させることで、上記二次側ポンプ37の出力を変化させることができ、以下の説明において、流量調整弁61の開度を調整又は変化させることを、二次側ポンプ37の出力を調整又は変化させると記載することがある。
【0048】
また、AHU用ファン62は、上記CT用ファン21と同様に、間欠運転における運転期間のデューティー比を調整することにより、AHU用ファン62の出力、即ち、AHU60の放熱能力を調整可能に構成されている。よって、AHU用ファン62の出力を低下させ、AHU60の放熱能力を低下させると、AHU用ファン62の電力消費量は低下し、逆に、AHU用ファン62の出力を増加させ、AHU60の放熱能力を増加させると、AHU用ファン62の電力消費量は増加する。
尚、AHU用ファン62を、モータのインバータ電圧を調整することにより出力調整可能に構成しても構わない。
【0049】
尚、上記一次側冷水往ヘッダ35と上記冷水復ヘッダ45とを接続するバイパス路51には、上記一次側冷水往ヘッダ35から上記冷水復ヘッダ45へ向かう冷水流量を正とした場合に、上記一次側冷水循環経路Yの冷水流量(即ち、一次側ポンプ50出力)に対する上記二次側冷水循環経路Zの冷水流量(即ち、二次側ポンプ37の出力)の差分に相当する流量の冷水が流通することになる。
【0050】
制御システム70には、屋外又は本設備が設置されている場所等に設けられた温度計及び湿度計により計測された外気温度・湿度が入力される。
そして、制御システム70は、入力された外気温度・湿度及び各室の設定温度等から、上記吸収式冷凍機10の必要出力負荷を算出し、流量調整弁5により吸収式冷凍機10へのガス供給流量、即ち、吸収式冷凍機10の燃焼部における燃焼量及び冷媒流量等を、上記吸収式冷凍機10の出力負荷が必要出力負荷となるように設定する。
尚、上記必要出力負荷を、二次側往路41からAHU60に供給される冷水温度とAHU60から二次側復路43に排出される冷水温度との温度差と、AHU60を流通する冷水流量とから算出しても構わない。
【0051】
これまで説明してきたように、本設備においては、吸収式冷凍機10においてガス(ユーティリティの一例)が消費され、ファン21,62及び各ポンプ15,37,50において電力(ユーティリティの一例)が消費され、CT20において水道水(ユーティリティの一例)が消費される。そして、本設備には、ガス消費量を計測するガスメータ1、電力消費量を計測する電力メータ2、及び、水消費量(補給水量)を計測する水道メータ3が設けられており、これらガスメータ1、電力メータ2、及び水道メータ3の計測結果が、制御システム70に入力される。
【0052】
これまで説明してきた吸収式冷凍機10を備えた本設備において、上記一次側循環経路Y及び上記二次側循環経路Zを流通する熱輸送用の冷水の温度を上昇させて外気温度との差を小さくすると、熱輸送時における熱損失を抑制することができるので、吸収式冷凍機10におけるガス消費量及びガス料金を削減することができる。しかし、比較的高い温度の冷水により輸送される熱量を確保するために、冷水輸送用の一次側ポンプ50及び二次側ポンプ37の出力を増加させる必要があり、それらポンプ50,37における電力消費量及びその電力料金が増加し、全体的な運転コスト削減を実現できない場合がある。
また、吸収式冷凍機10において、上記冷却水循環経路Xを流通する放熱用の冷却水の温度を低下させて吸収式冷凍機10でガスを消費して生成される駆動熱源との温度差を充分に確保した場合には、駆動熱源を生成するためのガス消費量及びガス料金を削減することができる。しかし、冷却水の温度を低下させるために、CT20の放熱用の補給水量又はCT用ファン21の出力等を増加させる必要があり、CT20における補給水量又は電力消費量及びその料金が増加し、全体的な運転コスト削減を実現できない場合がある。
【0053】
そこで、本設備の制御システム70は、上記ユーティリティを消費する複数の駆動部Dとしての、冷却水循環経路Xの冷却水ポンプ15及びCT用ファン21、上記一次側冷水循環経路Yの一次側ポンプ50、二次側冷水循環経路Zの二次側ポンプ37及びAHU用ファン62の夫々の出力、即ち、上記ユーティリティを消費して駆動する各駆動部Dの駆動条件を、上記各ユーティリティを消費することで支払われる料金の合計である運転コストを省エネルギに関する評価値として、その運転コストが最適化、即ち最小化される最適駆動条件に自動的に設定することができ、その特徴構成について以下に説明する。
【0054】
制御システム70は、コンピュータシステムで構成されており、コンピュータシステムのハードウェア資源を利用しながら所定のコンピュータプログラムを実行することで、後述する各手段として機能するように構成されている。このコンピュータプログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体やインターネット等のデータ伝送媒体を介して、制御システム70をハードウェア的に構成するコンピュータシステムがアクセス可能な記録装置内にインストールされて実用に供される。
【0055】
制御システム70は、上記各駆動部Dにおけるユーティリティ消費量から運転コスト(評価値の一例)を導出可能な運転コスト導出手段(評価値導出手段の一例)71として機能する。即ち、運転コスト導出手段71は、ガス事業者が設定する上記ガスの料金表に従って、上記ガスメータ1で計測されたガス消費量からガス料金を導出し、電力事業者が設定する上記電力の料金表に従って、上記電力メータ2で計測された電力消費量から電力料金を導出し、更に、水道事業者が設定する上記水道水の料金表に従って、上記水道メータ3で計測された水道水消費量から水道料金を導出し、これら導出したガス料金と電力料金と水道料金との和を上記運転コストとして導出するように構成されている。
【0056】
尚、上記ガス、電力、及び、水の料金表に関する情報は、予め制御システム70に記憶させておくことができるが、これらの料金表が例えば頻繁に更新される場合には、インターネット等の通信ネットワークを介して、上記料金表に関する情報を収集するように、制御システム70を構成しても構わない。
【0057】
更に、制御システム70は、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持したまま、上記冷却水循環経路X、上記一次側冷水循環経路Y、及び、上記二次側冷水循環経路Zの夫々に設けられた各駆動部Dの駆動条件を変化させると共に、運転コスト導出手段71で運転コストを導出して、運転コストが最小化される上記各駆動部Dの最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段72として機能し、更に、上記各駆動部Dの駆動条件を上記最適駆動条件に設定する設定手段73として機能する。
【0058】
そして、制御システム70は、運転コスト導出手段71及び最適駆動条件導出手段72及び設定手段73を働かせて、運転コストが最小化される各駆動部Dの最適駆動条件を導出すると共に、各駆動部Dの駆動条件を当該最適駆動条件に設定する、所謂最適化処理を実行することができ、その最適化処理の処理フローについて図2に基づいて説明する。
【0059】
本設備に設けられた複数の駆動部Dは、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために、互いに駆動条件間において所定の従属関係が設定されている複数の駆動部群に分類されている。即ち、群内における複数の駆動部の内、ある駆動部の駆動条件を設定したときに、他の駆動部の駆動条件が、上記の出力負荷を一定に維持するための従属関係に従って設定される。
そして、制御システム70は、複数の駆動部Dを、冷却水循環経路Xに設けられた駆動部、一次側冷水循環経路Yに設けられた駆動部、及び、二次側冷水循環経路Zに設けられた駆動部の各駆動部群に分類して、各経路X,Y,Zの駆動部群を順次最適化対象に設定して最適化処理を行う。
【0060】
即ち、制御システム70は、上記冷却水循環経路Xに設けられた冷却水ポンプ15及びCT用ファン21からなる駆動部群を最適化対象として設定する(ステップ101)。
【0061】
そして、最適駆動条件導出手段72は、最適化対象に設定された冷却水ポンプ15及びCT用ファン21の駆動部群に対して、上記運転コストが最小化される最適駆動条件を導出する(ステップ102)。
【0062】
詳しくは、最適駆動条件導出手段72は、上記ステップ102において、各駆動部Dの駆動条件としての冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力を、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために各駆動条件間に設定されている所定の従属関係に従いながら、変化させる。具体的には、上記冷却ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力の一方の駆動条件を、例えば所定の範囲内において一定間隔で変化させると共に、他方の駆動条件を、上記従属関係を維持するように変化させる。そして、各駆動部Dの駆動条件を変化させる毎に、運転コストを導出して、上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力と運転コストとに関する複数の冷却水データを生成する。更に、この生成した複数の冷却水データから、上記運転コストが最小化される最適冷却水データを導出して、その最適冷却水データの上記冷却ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力を、上記最適駆動条件とする。
【0063】
よって、上記冷却ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力の夫々は、上記設定手段73により、上記最適冷却水データの最適駆動条件に設定され(ステップ103)、上記最適冷却水データを認識可能な冷却水最適化情報と、更に、その他の上記冷却水データは、吸収式冷凍機10の設定出力負荷に関連付けられて、ハードディスク等の記憶装置に構築されたデータベース75に格納され、登録される(ステップ104)。尚、上記設定出力負荷に対応する冷却水最適化情報が、予めデータベース75に格納されている場合には、その冷却水最適化情報が新たに導出した冷却水最適化情報により更新される。
尚、上記冷却水最適化情報としては、上記最適冷却水データそのものを利用することができるが、別に、上記最適冷却水データとその他の冷却水データとから導出した上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力と運転コストとの相関関係式を上記冷却水最適化情報として利用することもできる。
【0064】
尚、上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力との間に設定されている上記従属関係は、上記吸収式冷凍機10の出力負荷を維持すべく吸収式冷凍機10からCT20へ移動させる熱量を維持するため設定されている従属関係であり、その従属関係に従って上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力を変化させるには、一方を増加させた場合に他方を低下させることになる。
【0065】
また、上記複数の冷却水データから上記最適冷却水データを導出するに、上記複数の冷却水データの内の最も運転コストが最小化されたものを上記最適冷却水データとすることができるが、別に、上記複数の冷却水データから、上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力と運転コストとの相関関係式を導出し、その相関関係式から、運転コストが最小化される上記最適冷却水データを導出しても構わない。
【0066】
更に、制御システム70は、最適化対象を、上記一次側冷水循環経路Yに設けられた一次側ポンプ50に変更し(ステップ101)、上記ステップ102〜ステップ104と同様の処理を行う。
即ち、最適駆動条件導出手段72は、最適化対象に設定された一次側ポンプ50に対して、上記運転コストが最小化される最適駆動条件を導出する(ステップ102)。
【0067】
詳しくは、最適駆動条件導出手段72は、上記ステップ102において、駆動部Dの駆動条件としての一次側ポンプ50の出力を例えば所定の範囲内において一定間隔で変化させる。そして、一次側ポンプ50の出力を変化させる毎に、運転コストを導出して、上記一次側ポンプ50の出力と運転コストとに関する複数の一次側冷水データを生成する。更に、この生成した複数の一次側冷水データから、上記運転コストが最小化される最適一次側冷水データを導出して、その最適一次側冷水データの一次側ポンプ50の出力を、上記最適駆動条件とする。
【0068】
よって、上記一次側ポンプ50の出力は、上記設定手段73により、上記最適一次側冷水データの最適駆動条件に設定され(ステップ103)、上記最適一次側冷水データを認識可能な一次側冷水最適化情報と、更に、その他の上記最適一次側冷水データは、吸収式冷凍機10の設定出力負荷に関連付けられて、データベース75に格納され、登録される(ステップ104)。尚、上記設定出力負荷に対応する一次側冷水最適化情報が、予めデータベース75に格納されている場合には、その一次側冷水最適化情報が新たに導出した一次側冷水最適化情報により更新される。
尚、上記一次側冷水最適化情報としては、上記最適一次側冷水データを利用することができるが、上記最適一次側冷水データとその他の一次側冷水データとから導出した上記一次側ポンプ50の出力と運転コストとの相関関係式を上記一次側冷水最適化情報として利用することもできる。
【0069】
また、上記複数の一次側冷水データから上記最適一次側冷水データを導出するに、上記複数の一次側冷水データの内の最も運転コストが最小化されたものを上記最適一次側冷水データとすることができるが、別に、上記複数の一次側冷水データから、上記一次側ポンプ50の出力と運転コストとの相関関係式を導出し、その相関関係式から、運転コストが最小化される上記最適一次側冷水データを導出しても構わない。
【0070】
更に、制御システム70は、最適化対象を、上記二次側冷水循環経路Zに設けられた二次側ポンプ37及びAHU用ファン62からなる駆動部群に変更し、上記ステップ102〜ステップ104と同様の処理を行う。
即ち、最適駆動条件導出手段72は、最適化対象に設定された二次側ポンプ37及びAHU用ファン62に対して、上記運転コストが最小化される最適駆動条件を導出する(ステップ102)。
【0071】
詳しくは、最適駆動条件導出手段72は、上記ステップ102において、各駆動部Dの駆動条件としての二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力を、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために各駆動条件間に設定されている所定の従属関係に従いながら、変化させる。具体的には、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力の一方の駆動条件を、例えば所定の範囲内において一定間隔で変化させると共に、他方の駆動条件を、上記従属関係を維持するように変化させる。そして、各駆動部Dの駆動条件を変化させる毎に、運転コストを導出して、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力と運転コストとに関する複数の二次側冷水データを生成する。更に、この生成した複数の二次側冷水データから、上記運転コストが最小化される最適二次側冷水データを導出して、その最適二次側冷水データの二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力を、上記最適駆動条件とする。
【0072】
よって、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力は、上記設定手段73により、上記最適二次側冷水データの最適駆動条件に設定され(ステップ103)、上記最適二次側冷水データを認識可能な二次側冷水最適化情報と、更に、その他の上記最適二次側冷水データは、吸収式冷凍機10の設定出力負荷に関連付けられて、データベース75に格納され、登録される(ステップ104)。尚、上記設定出力負荷に対応する二次側冷水最適化情報が、予めデータベース75に格納されている場合には、その二次側冷水最適化情報が新たに導出した二次側冷水最適化情報により更新される。
尚、上記二次側冷水最適化情報としては、上記最適二次側冷水データそのものを利用することができるが、上記最適二次側冷水データとその他の二次側冷水データとから導出した上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力と運転コストとの相関関係式を上記二次側冷水最適化情報として利用することができる。
【0073】
尚、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力との間に設定されている上記従属関係は、上記吸収式冷凍機10の出力負荷を一定に維持して上記温度センサ63で検出される室温を所定の設定室温に維持するため設定されている従属関係であり、その従属関係に従って上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力を変化させるには、一方を増加させた場合に他方を低下させることになる。
【0074】
また、上記複数の二次側冷水データから上記最適二次側冷水データを導出するに、上記複数の二次側冷水データの内の最も運転コストが最小化されたものを上記最適二次側冷水データとすることができるが、別に、上記複数の二次側冷水データから、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力と運転コストとの相関関係式を導出し、その相関関係式から、運転コストが最小化される上記最適二次側冷水データを導出しても構わない。
【0075】
制御システム70に、これまで説明してきたような運転コスト導出手段71及び最適駆動条件導出手段72及び設定手段73を設けることで、本設備の出力負荷を一定に維持したまま、自動的に、各駆動部Dの駆動条件を、現状の環境条件に合った最適な最適駆動条件に設定することができ、一層の省エネ及び運転コスト削減を図ることができる。
【0076】
本設備において、各経路X,Y,Zの駆動部群の相互間では、上記のような出力負荷を一定にするための従属関係は設定されていないものの、例えば、ある駆動部群内の駆動部の駆動条件を設定したときに、他の駆動部群内の駆動部の駆動条件と運転コストとの関係に対して若干の影響を与える場合がある。
【0077】
そこで、制御システム70は、上記のような各駆動部群の相互間における影響を考慮して、各経路X,Y,Zの駆動部Dに対する最適駆動条件の導出及び設定を、複数回繰り返して行うように構成されている。このように上記最適化処理を複数回繰り返し行うことで、確実に運転コスト削減を図ることができる。
【0078】
制御システム70は、上記図2に示すような最適化処理を、本設備の設置時、及び、上記吸収式冷凍機10の出力負荷設定時等に実行するのであるが、過去にその設定出力負荷に対する最適化処理を実行したことがある場合には、その出力負荷設定時における最適化処理を一部省略することができる。
【0079】
即ち、制御システム70は、図3に示すように、吸収式冷凍機10の出力負荷を所定の設定出力負荷に設定し(ステップ201)、その後に、その設定出力負荷に対応する各駆動部Dの最適駆動条件に関する最適化情報が、上記データベース75に格納されているかを判定する(ステップ202)。
【0080】
そして、制御システム70は、データベース75に設定出力負荷に対応する最適化情報が存在しないと判定したときには、前述の図2に示す最適化処理を行い(ステップ203)、各駆動部Dの最適駆動条件を導出して、各駆動部Dの駆動条件を導出した最適駆動条件に設定する。
【0081】
一方、過去において、その設定出力負荷における最適化処理を実行して、そのときに導出した最適駆動条件に関する最適化情報が上記データベース75に存在すると判定したときには、データベース75から抽出した最適化情報から各駆動部Dの最適駆動条件を認識し、各駆動部Dの駆動条件をその認識した最適駆動条件に設定して(ステップ204)、迅速に本設備の運転状態の最適化、即ち、運転コスト削減を図ることができる。
【0082】
更に、制御システム70は、設定手段73により上記各駆動部Dの駆動条件を上記最適化情報から認識した最適駆動条件に設定してから例えば一定時間毎に、運転コスト導出手段71を働かせて、そのときの実際の実運転コストを導出し、その導出した実運転コストが、上記最適化情報から認識した最適運転コスト、即ち、現時点で設定されている最適駆動条件を導出したときに導出した最適運転コストに対して許容範囲内であるかを判定する(ステップ205)。尚、このように、上記実運転コストが上記最適運転コストに対して許容範囲内であるかを判定する手段を判定手段74と呼ぶ。
【0083】
そして、制御システム70の最適駆動条件導出手段72が、上記ステップ205において、判定手段74により実運転コストが最適運転コストに対して許容範囲内でないと判定したとき、具体的には、実運転コストが最適運転コストよりも許容量以上大きいと判定したときには、再び上記最適化処理を行って、そのときの実際の出力負荷に合った各駆動部Dの最適運転条件を導出するように構成されている。
【0084】
よって、上記実運転コストが上記最適運転コストに対して乖離している場合に、各駆動部Dの駆動条件を、上記最適駆動条件導出手段を働かせて再び導出した各駆動部の最適駆動条件に再設定すると共に、上記データベース75に格納されている最適化情報を新たに導出した最適駆動条件により更新することができ、迅速な運転コストの削減を図りながらも、上記本設備の運転状態が運転コストを最小化する状態でないと判断した場合には、各駆動部Dの駆動条件を再び最適化処理して得た最適駆動条件に再設定して、運転コスト削減を確実に達成することができる。
【0085】
〔別実施の形態〕
次に、本発明に係る制御システムの別の実施の形態を説明する。
〈1〉 上記実施の形態において、吸収式冷凍機10により空調用の冷水を生成する熱源設備に設けられた制御システム70について説明したが、本発明に係る制御システムは、上記のような吸収式の熱源設備以外に、コジェネレーション設備又はボイラ設備に設けることができ、更に、熱源設備以外の、ガス、電力、水等のユーティリティを消費する駆動部を駆動させて運転されるユーティリティ消費設備に設けることができる。
【0086】
〈2〉 上記実施の形態においては、本設備に設けられた複数の駆動部Dを、冷却水循環経路Xに設けられた駆動部、一次側冷水循環経路Yに設けられた駆動部、及び、二次側冷水循環経路Zに設けられた駆動部に分類して、各経路X,Y,Z毎に最適化処理を行うように構成したが、複数の駆動部Dを他の分類方法により分類してその分類毎に、又は、駆動部毎に、上記最適化処理を実行しても構わない。更に、制御システム70が複数回繰り返して最適化処理を行う場合には、例えば、各回における最適化処理において、上記各駆動部の分類を変更又は細分化しても構わない。
【0087】
〈3〉 上記実施の形態においては、省エネルギに関する評価値を、ガス料金、電気料金、及び、水道料金の合計である運転コストとし、各駆動部Dの駆動条件を、その運転コストが最小化される最適駆動条件に設定したが、別に、上記評価値としては、省エネルギの程度を評価するものであればよく、例えば、ガス消費量、電力消費量、及び、水道水消費量から、CO2排出量への換算式に従って算出されるCO2排出量を、上記省エネルギに関する評価値とし、各駆動部Dの駆動条件を、そのCO2排出量が最小化される最適駆動条件に設定しても構わない。
また、ユーティリティ消費設備の各駆動部Dにおいて消費されるユーティリティがガス、電力、又は、水等の1種である場合には、上記省エネルギに関する評価値を、そのユーティリティ消費量自身としても構わない。
また、上記省エネルギに関する評価値を、上記運転コスト及び上記CO2排出量以外の、例えば、ガス消費量及び電力消費量を熱量に換算した値である消費熱量や、上記ガス消費量、電力消費量、及び、水消費量から換算した一次エネルギ消費量(ガス、電力、水を製造するために消費される一次エネルギの消費量)等としても構わない。
【0088】
〈4〉 制御システム70により、上記吸収式冷凍機10の燃焼部における燃焼量及び冷媒流量等を、上記吸収式冷凍機10の出力負荷が必要出力負荷となるように設定するに、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量等の駆動条件をも最適化処理の対象とすることができる。即ち、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量を、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために各駆動条件間に設定されている所定の従属関係に従いながら変化させて、上記運転コストやCO2排出量等の評価値が最適化される上記吸収式冷凍機10の最適燃焼量及び最適冷媒流量を導出し、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量等をその最適燃焼量及び最適冷媒流量に設定することができる。
尚、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量との間に設定されている上記従属関係は、上記吸収式冷凍機10の出力負荷を一定に維持すべく設定されている従属関係であり、その従属関係に従って上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量を変化させるには、一方を増加させた場合に他方を低下させることになる。
【0089】
〈5〉 上記実施の形態においては、上記最適駆動条件導出手段72により各駆動部Dの最適駆動条件を導出するに、各駆動部Dの駆動条件を所定の範囲内において一定間隔で変化させて、複数の冷却水データ及び一次側冷水データ及び二次側冷水データを生成した後に、その各データから上記評価値としての運転コストが最小化された最適駆動条件を抽出したが、別に、下記のように上記最適駆動条件を導出しても構わない。
即ち、上記最適駆動条件導出手段72を、上記駆動部の駆動条件をある方向に変化させ、その変化前の評価値と変化後の評価値を比較して、変化後の評価値が変化前の評価値よりも最適である場合には、上記駆動条件を同じ方向に変化させて再び変化前後の評価値を比較し、逆に、変化後の評価値が変化前の評価値よりも最適でない場合には、上記駆動条件を反対の方向に変化させて、変化前後の評価値を比較するように構成する。そして、駆動条件を両方向に変化させても、変化前の評価値が変化後の評価値よりも最適となった場合に、その最終の駆動条件を、最適駆動条件とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱源設備及びそれに備えた制御システムの概略構成図
【図2】最適化処理の処理フロー図
【図3】出力負荷設定時における処理フロー図
【符号の説明】
1:ガスメータ
2:電力メータ
3:水道メータ
10:吸収式冷凍機
15:冷却水ポンプ
16:温度センサ
20:クーリングタワー(CT)
21:CT用ファン
33:温度センサ
37:二次側ポンプ
40:圧力センサ
50:一次側ポンプ
60:エアーハンドリングユニット(AHU)
61:流量調整弁
62:AHU用ファン
70:制御システム
71:運転コスト導出手段(評価値導出手段)
72:最適駆動条件導出手段
73:設定手段
74:判定手段
75:データベース
D:駆動部
X:冷却水循環経路
Y:一次側冷水循環経路
Z:二次側冷水循環経路
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の駆動部においてユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備及びその制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備として、冷水更には温水を生成して室内の空調を行う空調設備、コジェネレーション設備、ボイラ設備等の、冷温熱を生成する熱源設備などがある。
上記空調設備の冷暖房方式としては、吸収剤の吸収作用を利用して冷媒蒸気を吸収し、その蒸発によって冷却を行う吸収式と、冷媒の圧縮及び膨張を繰り返すことにより低温部の熱を高温部に移動させる圧縮式がある。吸収式には、ガスなどの燃料を加熱源として冷温水をつくる吸収式冷温水機、蒸気や高温の水を加熱源として冷水をつくる吸収式冷凍機、低温の排熱を効率よく回収し高温で利用価値の高い熱の形に変換する吸収ヒートポンプ等があり、圧縮式には、ガスエンジンヒートポンプ等がある。
【0003】
このようなユーティリティ消費設備には、ガス、電力、又は、水等のユーティリティを消費して駆動する複数の駆動部が設けられている。例えば、上記熱源設備に設けられている駆動部としては、ガスを消費して熱源を得る燃焼部、電力を消費して上記冷水や上記冷却水等の作動流体を送出するポンプ、電力を消費して上記作動流体の放熱を行うファン、水を消費して冷却水の放熱を行うクーリングタワー等がある。
【0004】
近年、顧客側の工場やビル等の施設におけるガス、電力、水等の消費量を低下させる省エネルギ(以下、省エネと略称する。)に関する包括的なサービスを提供し、それまでの利便性や快適性を損なうことなく省エネを実現し、その顧客の省エネ対策の実施により削減された運転コスト等の省エネによる経済効果の一部を報酬(対価)として享受するESCO事業が知られている。
【0005】
このようなESCO事業における省エネ対策として、上記ユーティリティ消費設備などを効率的に運用するための管理を行う所謂BEMS(Building and Energy Management System)への取り組みが推進されており、経済産業省の諮問機関である総合資源エネルギ調査会の報告では、BEMSの導入を省エネ対策の一つとして挙げ、BEMSの普及により、原油換算で約160万kL(内ESCOによる普及拡大効果は100万kL)の省エネ効果が期待されるとしている。
このようなBEMSは、情報技術を活用して、中央監視室等のコンピュータにより、外気温度・湿度等に関する各種データを収集し、収集したデータに基づいて、上記ユーティリティ消費設備の出力負荷等を最適化することで、上記ユーティリティ諸費設備の出力負荷を熱需要や外気温度等に合った適切なものとして、省エネを図るように構成されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0006】
【特許文献1】
特開2001−282889号公報(第11−14頁、第5−7図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のBEMS等の従来の制御システムでは、ユーティリティ消費設備の出力負荷、例えば、熱源設備の燃焼部における入熱量を、熱需要や外気温度等に合った適切なものとするが、その出力負荷に対して設定される作動流体搬送用のポンプや放熱用ファン等の駆動部の駆動条件をも最適化制御するようには構成されていない場合がある。そして、このようにポンプやファン等の駆動条件が最適化されていない場合には、そのポンプやファン等で消費される電力の料金が上記燃焼部において消費されるガスの料金と同様に無視することはできない程度の額であるため、全体的な省エネを達成できない場合がある。
即ち、このようなユーティリティ消費設備においては、一部の駆動部の駆動条件を、その駆動部におけるユーティリティ消費量が削減できるように最適化しても、他部の駆動部におけるユーティリティ消費量が増加し、省エネを達成できない場合がある。
【0008】
また、ユーティリティ消費設備としての熱源設備に設けられている上記ポンプやファン等の各駆動部の駆動条件は、一般的に、ユーティリティ消費設備の設計時にユーティリティ消費設備の外気温度湿度や使用様態等の環境条件が平均的な基準環境条件であると想定して省エネを目的として最適化した条件、又は、ユーティリティ消費設備の設置時に上記環境条件が設置時の初期環境条件であると想定して省エネを目的として最適化した条件に設定される。しかし、ユーティリティ消費設備の実際の環境条件が、上記基準環境条件や上記初期環境条件に対して乖離した場合には、上記各駆動部の駆動条件が、そのときの環境条件に合った最適なものではなくなり、十分な省エネが達成されない場合がある。
【0009】
従って、本発明は、上記の事情に鑑みて、ユーティリティ消費設備に設けられている各駆動部の駆動条件を、自動的に、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合ったものに最適化して、一層の省エネを達成することができる制御技術を実現することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る制御システムの第一特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載した如く、複数の駆動部においてユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備の制御システムであって、
前記複数の駆動部のユーティリティ消費量から前記ユーティリティ消費設備の省エネルギに関する評価値を導出可能な評価値導出手段と、
前記各駆動部の駆動条件を変化させると共に前記評価値導出手段で前記評価値を導出して、前記評価値が最適化される前記各駆動部の最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段と、
前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定する設定手段を備えた点にある。
【0011】
即ち、上記第一特徴構成によれば、上記評価値導出手段を設けることにより、最適化対象となる複数の駆動部における夫々のユーティリティ消費量、又は、そのユーティリティ消費量から算出される運転コストやCO2排出量等の、省エネに関する評価値を導出することができる。
【0012】
更に、上記最適駆動条件導出手段を設けることにより、ポンプやファン等の出力や燃焼部の燃焼量等である各駆動部の駆動条件を変化させる毎に、上記評価値導出手段により上記評価値を導出し、このようにして得られた各駆動部の駆動条件と評価値とに関する複数のデータを解析して、評価値が最適となるときの各駆動部の駆動条件を、最適駆動条件として導出することができる。そして、上記設定手段により、各駆動部の駆動条件を上記のように導出した最適駆動条件に設定することができる。
【0013】
従って、本発明に係る制御システムにより、ユーティリティ消費設備の系外への出力負荷を一定に維持したまま、自動的に、各駆動部の駆動条件を、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合った最適な最適駆動条件に設定して、一層の省エネを達成することができる。
【0014】
本発明に係る制御システムの第二特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載した如く、上記第一特徴構成に加えて、前記ユーティリティが、ガス、電力、及び、水から選択される少なくとも1つである点にある。
【0015】
即ち、上記第二特徴構成によれば、ユーティリティ消費設備が、上記各駆動部等において、ガス、電力、水の少なくとも1つのユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するものである場合でも、上記各駆動部の駆動条件を、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に対して、ガス料金、電力料金、及び、水道料金の合計である運転コストを最小化するなど、上記省エネに関する評価値を最適化することができる最適駆動条件に自動的に設定することができる。
【0016】
本発明に係る制御システムの第三特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載した如く、上記第一乃至第二特徴構成に加えて、前記ユーティリティ消費設備が前記ユーティリティを消費して、冷熱及び温熱の少なくとも一方を生成する熱源設備である点にある。
【0017】
即ち、上記第三特徴構成によれば、冷水更には温水を生成して室内の空調を行う空調設備、コジェネレーション設備、ボイラ設備等の、冷熱及び温熱の少なくとも一方を生成熱源設備に対しても、ガスを消費して熱源を得る燃焼部の燃焼量や、電力を消費して上記冷水や上記冷却水等の作動流体を送出するポンプの出力や、電力を消費して上記作動流体の放熱を行うファンの出力や、水を蒸発させて潜熱により冷却水の放熱を行うクーリングタワーの給水量等の、上記熱源設備に設けられている各駆動部の駆動条件を、上記評価値を最適化することができる最適駆動条件に自動的に設定することができる。
【0018】
本発明に係る制御システムの第四特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載した如く、上記第一乃至第三の何れかの特徴構成に加えて、前記最適駆動条件導出手段が、前記出力負荷を維持するための前記各駆動部の駆動条件間における所定の従属関係を維持したまま、前記各駆動部の駆動条件を変化させるように構成されている点にある。
【0019】
即ち、上記第四特徴構成によれば、上記ユーティリティ消費設備に設けられている複数の最適化対象の駆動部が、ユーティリティ消費設備の出力負荷を一定に維持するために互いに従属して駆動条件が設定される複数の駆動部からなる駆動部群を少なくとも1つ含む場合には、上記最適駆動条件導出手段により、例えばユーティリティ消費設備の出力負荷を一定に維持するために、駆動部群内において設定された上記駆動条件間の従属関係を維持したまま、各駆動部の駆動条件を変化させて、各駆動部の駆動条件と評価値とに関する複数のデータを取得し、取得したデータを解析して、各駆動部の最適駆動条件を導出することができる。
【0020】
本発明に係る制御システムの第五特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載した如く、上記第一乃至第四の何れかの特徴構成に加えて、前記最適駆動条件導出手段で導出した前記最適駆動条件を認識可能な最適化情報を格納するデータベースを備えた点にある。
【0021】
即ち、上記第五特徴構成によれば、上記データベースを設けることにより、上記最適駆動条件導出手段で導出した各駆動部の最適駆動条件を認識可能な上記最適化情報を上記データベースに格納し、更に、ユーティリティ消費設備の出力負荷に対応した上記最適化情報を上記データベースに蓄積しておくことができる。よって、上記設定手段により各駆動部の駆動条件を設定するときに、そのときの出力負荷に対応する各駆動部の最適駆動条件を認識可能な最適化情報が上記データベースに格納されている場合には、上記最適条件導出手段を働かせずに、各駆動部の駆動条件を、即座に、上記データベースから抽出した最適化情報から認識した最適駆動条件に設定することができる。従って、ユーティリティ消費設備の運転状態の迅速な最適化を図ることができる。
【0022】
本発明に係る制御システムの第六特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載した如く、上記第五特徴構成に加えて、前記最適化情報が、前記最適駆動条件と共に、前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定したときの最適評価値を認識可能な情報であり、
前記設定手段で前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定した後に、前記評価値導出手段を働かせて実評価値を導出し、前記導出した実評価値が前記最適評価値に対して許容範囲内であるかを判定する判定手段を備え、
前記最適駆動条件導出手段が、前記判定手段で前記実評価値が前記最適評価値に対して許容範囲内でないと判定したときに、再び前記最適運転条件を導出するように構成されている点にある。
【0023】
ユーティリティ消費設備において、上記設定手段により、各駆動部の駆動条件をデータベースに格納した最適化情報から認識される最適駆動条件に設定した場合に、その最適化情報を上記データベースに格納したときのユーティリティ消費設備の環境条件が、現時点での環境条件と異なる場合には、ユーティリティ消費設備の運転状態が、その環境条件において運転コスト等の省エネに関する評価値を十分に最適化することができる状態でない場合がある。
【0024】
そこで、上記第六特徴構成によれば、上記データベースに格納される最適化情報を、上記最適駆動条件とそれに対応する上記最適評価値とを認識可能な情報とすると共に、上記判定手段を設けることにより、実際に評価値導出手段を働かせて導出した現時点での実評価値が、現時点で設定されている最適駆動条件を導出したときに導出した最適評価値に対して許容範囲内であるかを判定し、更に、許容範囲内でないと判定した場合には、各駆動部の駆動条件を、上記最適駆動条件導出手段を働かせて再び導出した各駆動部の最適駆動条件に再設定すると共に、上記データベースに格納されている最適化情報を新たに導出した最適駆動条件により更新することができる。
【0025】
従って、上記データベースに上記最適化情報を蓄積しておくことで迅速なユーティリティ消費設備の運転状態の最適化を図りながらも、上記ユーティリティ消費設備の運転状態が評価値を最適化する状態でないと判断した場合には、各駆動部の駆動条件を、そのときの環境条件に合った最適駆動条件を再設定して、ユーティリティ消費設備の運転状態を確実に最適化することができる。
【0026】
本発明に係る制御システムの第七特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項7に記載した如く、上記第一乃至第五の何れかの特徴構成に加えて、前記評価値が、運転コスト又はCO2排出量である点にある。
【0027】
即ち、上記第七特徴構成によれば、ユーティリティ消費量からユーティリティの供給事業者が設定するユーティリティの料金表等に従って算出できる運転コストや、ユーティリティ消費量からCO2排出量への換算式に従って算出できるCO2排出量を、省エネに関する評価値として用いることができ、ユーティリティ消費設備において、自動的に、これら運転コスト又はCO2排出量である評価値が最適化、即ち最小化される各駆動部の最適駆動条件が導出され、各駆動部の駆動条件がその最適駆動条件に設定されるので、運転コスト削減又はCO2排出量削減を自動的に達成することができる。
【0028】
この目的を達成するための本発明に係るユーティリティ消費設備の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項8に記載した如く、請求項1から7の何れか1項に記載の制御システムを備え、前記制御システムの前記設定手段が設定した駆動条件に従って前記複数の駆動部を駆動させて所定の出力を系外に対して発生するように構成された点にある。
【0029】
即ち、熱源設備等として構成される本発明に係るユーティリティ消費設備の特徴構成によれば、上記第一乃至第六特徴構成を備えた制御システムを備えるので、上記第一乃至第六特徴構成と同様の作用効果を発揮して、自動的に、各駆動部の駆動条件を、現状のユーティリティ消費設備の環境条件に合った最適な最適駆動条件に設定して、一層の省エネを図ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係るユーティリティ消費設備に設けられる制御システムの実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
図1に示すユーティリティ消費設備(以下、本設備と略称する。)は、冷熱を生成する熱源装置として構成され、詳しくは、冷水を生成する吸収式冷凍機10を有し、室内に設けられるエアーハンドリングユニット(以下、AHUと略称する。)60において冷水により輸送された冷熱を放出して室内の空調を行う空調設備として構成されている。
【0032】
上記吸収式冷凍機10は、再生器において、供給路8から供給されたガスを燃焼させて駆動熱源を得ると共に、その駆動熱源により吸収剤の濃縮・再生を行い、蒸発器においては、冷媒を蒸発させてAHU60を循環する冷水の熱を奪い、吸収器においては、クーリングタワー(以下、CTと略称する。)20を循環する冷却水により冷媒蒸気を吸収剤に吸収したときに発生する凝縮潜熱及び混合熱を奪うように構成されている。
【0033】
上記冷却水は、冷却水往路13に設けられた冷却水ポンプ15により、吸収式冷凍機10、冷却水復路12、CT20、及び、冷却水往路13からなる冷却水循環経路Xを、記載の順に循環する。
【0034】
上記CT20は、散布した冷却水に対してCT用ファン21で送風するなどして、冷却水を冷却するように構成されている。また、給水路22に設けられた供給弁23が、CT20に貯留される冷却水の水位を検出するフロートセンサ(図示せず)と連動して開閉することにより、給水路22から水道水が供給され、蒸発して減少した分の冷却水が補給される。上記冷却水往路13には、CT20により冷却され吸収式冷凍機10に供給される冷却水の温度を検出する温度センサ16が設けられている。
【0035】
コンピュータシステムで構成される制御システム70は、温度センサ16の検出結果に基づいて、冷却水ポンプ15の出力、即ち、冷却水循環経路Xにおける冷却水流量を制御し、更には、CT用ファン21の出力、即ち、CT20の冷却能力を制御することにより、温度センサ16により検出される冷却水温度を所定の設定冷却水温度に設定可能に構成されている。
【0036】
尚、上記冷却水ポンプ15は、その冷却水ポンプ15に設けられたモータのインバータ電圧を調整することにより、冷却水ポンプ15の出力を調整可能に構成されている。よって、冷却水ポンプ15の出力を低下させ、冷却水流量を低下させると、冷却水ポンプ15の電力消費量は低下し、逆に、冷却水ポンプ15の出力を増加させ、冷却水流量を増加させると、冷却水ポンプ15の電力消費量は増加する。
【0037】
また、CT用ファン21は、間欠運転可能に構成され、その間欠運転における運転期間のデューティー比を調整することにより、CT用ファン21の出力、即ち、CT20の冷却能力を調整可能に構成されている。よって、CT用ファン21の出力を低下させ、CT20の冷却能力を低下させると、CT用ファン21の電力消費量は低下し、逆に、CT用ファン21の出力を増加させ、CT20の冷却能力を増加させると、CT用ファン21の電力消費量は増加する。
尚、CT用ファン21を、モータのインバータ電圧を調整することにより出力調整可能に構成しても構わない。
【0038】
更に、上記CT20への冷却水の補給水量は、上記CT20における放熱量が増加するほど、増加する。即ち、上記補給水量は、上記冷却水の温度が高くなるほど、又は、上記冷却水ポンプ15の出力が増加するほど、又は、上記CT用ファン21の出力が増加するほど、増加する。
【0039】
また、上記CT20が、地下水等の補給水を減少した分の冷却水以上に供給して上記冷却水を冷却するように構成されている場合や、上記CT20が地下水等の補給水との熱交換により上記冷却水を冷却するように構成されている場合には、上記補給水量を調整して、CT20の冷却能力を調整するように構成しても構わない。
【0040】
上記吸収式冷凍機10の蒸発器において冷却された上記冷水は、一次側冷水復路47に設けられた一次側ポンプ50を駆動することにより、吸収式冷凍機10、一次側冷水往路31、一次側冷水往ヘッダ35、バイパス路51、冷水復ヘッダ45、及び、一次側冷水復路47からなる一次側冷水循環経路Yを、記載の順に流通する。
【0041】
一次側冷水往路31には、吸収式冷凍機10により冷却された冷水の温度を検出する温度センサ33が設けられている。
そして、制御システム70は、温度センサ33の検出結果に基づいて、一次側ポンプ50の出力、即ち、一次側冷水循環経路Yにおける冷水流量を制御することにより、温度センサ33により検出される冷水温度を所定の設定冷水温度に設定可能に構成されている。
【0042】
尚、上記一次側ポンプ50は、上記冷却水ポンプ15と同様に、インバータ電圧を調整することにより、一次側ポンプの出力を調整可能に構成されている。よって、一次側ポンプ50の出力を低下させ、一次側冷水循環経路Yにおける冷水流量を低下させると、その一次側ポンプ50の電力消費量は低下し、逆に、一次側ポンプ50の出力を増加させ、一次側冷水循環経路Yにおける冷水流量を増加させると、一次側ポンプ50の電力消費量は増加する。
【0043】
更に、一次側冷水往ヘッダ35に到達した冷水は、上記一次側冷水往ヘッダ35と二次側冷水往ヘッダ39とを接続する複数のヘッダ間路36の夫々に設けられた各二次側ポンプ37を駆動することにより、一次側冷水往ヘッダ35、複数のヘッダ間路36、二次側冷水往ヘッダ39、二次側往路41、AHU60、二次側復路43、冷水復ヘッダ45、及び、バイパス路51からなる二次側冷水循環経路Zを、記載の順に流通する。二次側冷水往ヘッダ39には、冷水圧力を検出する圧力センサ40が設けられている。
【0044】
そして、制御システム70は、圧力センサ40の検出結果に基づいて、二次側ポンプ37の出力、即ち、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量を制御することにより、圧力センサ40により検出される冷水圧力を所定の設定冷水圧力に設定可能に構成されている。
【0045】
尚、上記二次側ポンプ37は、複数の二次側ポンプ37の内、駆動させる二次側ポンプ37の台数を調整することにより、二次側ポンプ37の出力を調整可能に構成されている。よって、二次側ポンプ37の出力を低下させ、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量を低下させると、その二次側ポンプ37の電力消費量は低下し、逆に、二次側ポンプ37の出力を増加させ、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量を増加させると、二次側ポンプ37の電力消費量は増加する。
尚、上記二次側ポンプ37の出力を上記冷却水ポンプ15及び上記一次側ポンプ50と同様に、インバータ電圧調整により調整しても構わない。
【0046】
更に、上記AHU60は、冷水により輸送された冷熱をAHU用ファン62により放出して、室内の冷房を行うように構成されている。また、二次側往路41のAHU60の直前には、AHU60への冷水流量を調整可能な流量調整弁61が設けられている。そして、制御システム70は、AHU60により冷房される室内に設けられた温度センサ63の検出結果に基づいて、流量調整弁61の開度、及び、AHU用ファン62の出力を制御することにより、室温を所定の設定室温に設定するように構成されている。
【0047】
また、室温調整のために流量調整弁61の開度を調整すると、二次側冷水循環経路Zにおける冷水流量が変化するに伴って上記圧力センサ40で検出される冷水圧力が設定冷水圧力から逸脱することを防止するために、二次側ポンプ37の出力が自動的に調整される。従って、上記流量調整弁61の開度を変化させることで、上記二次側ポンプ37の出力を変化させることができ、以下の説明において、流量調整弁61の開度を調整又は変化させることを、二次側ポンプ37の出力を調整又は変化させると記載することがある。
【0048】
また、AHU用ファン62は、上記CT用ファン21と同様に、間欠運転における運転期間のデューティー比を調整することにより、AHU用ファン62の出力、即ち、AHU60の放熱能力を調整可能に構成されている。よって、AHU用ファン62の出力を低下させ、AHU60の放熱能力を低下させると、AHU用ファン62の電力消費量は低下し、逆に、AHU用ファン62の出力を増加させ、AHU60の放熱能力を増加させると、AHU用ファン62の電力消費量は増加する。
尚、AHU用ファン62を、モータのインバータ電圧を調整することにより出力調整可能に構成しても構わない。
【0049】
尚、上記一次側冷水往ヘッダ35と上記冷水復ヘッダ45とを接続するバイパス路51には、上記一次側冷水往ヘッダ35から上記冷水復ヘッダ45へ向かう冷水流量を正とした場合に、上記一次側冷水循環経路Yの冷水流量(即ち、一次側ポンプ50出力)に対する上記二次側冷水循環経路Zの冷水流量(即ち、二次側ポンプ37の出力)の差分に相当する流量の冷水が流通することになる。
【0050】
制御システム70には、屋外又は本設備が設置されている場所等に設けられた温度計及び湿度計により計測された外気温度・湿度が入力される。
そして、制御システム70は、入力された外気温度・湿度及び各室の設定温度等から、上記吸収式冷凍機10の必要出力負荷を算出し、流量調整弁5により吸収式冷凍機10へのガス供給流量、即ち、吸収式冷凍機10の燃焼部における燃焼量及び冷媒流量等を、上記吸収式冷凍機10の出力負荷が必要出力負荷となるように設定する。
尚、上記必要出力負荷を、二次側往路41からAHU60に供給される冷水温度とAHU60から二次側復路43に排出される冷水温度との温度差と、AHU60を流通する冷水流量とから算出しても構わない。
【0051】
これまで説明してきたように、本設備においては、吸収式冷凍機10においてガス(ユーティリティの一例)が消費され、ファン21,62及び各ポンプ15,37,50において電力(ユーティリティの一例)が消費され、CT20において水道水(ユーティリティの一例)が消費される。そして、本設備には、ガス消費量を計測するガスメータ1、電力消費量を計測する電力メータ2、及び、水消費量(補給水量)を計測する水道メータ3が設けられており、これらガスメータ1、電力メータ2、及び水道メータ3の計測結果が、制御システム70に入力される。
【0052】
これまで説明してきた吸収式冷凍機10を備えた本設備において、上記一次側循環経路Y及び上記二次側循環経路Zを流通する熱輸送用の冷水の温度を上昇させて外気温度との差を小さくすると、熱輸送時における熱損失を抑制することができるので、吸収式冷凍機10におけるガス消費量及びガス料金を削減することができる。しかし、比較的高い温度の冷水により輸送される熱量を確保するために、冷水輸送用の一次側ポンプ50及び二次側ポンプ37の出力を増加させる必要があり、それらポンプ50,37における電力消費量及びその電力料金が増加し、全体的な運転コスト削減を実現できない場合がある。
また、吸収式冷凍機10において、上記冷却水循環経路Xを流通する放熱用の冷却水の温度を低下させて吸収式冷凍機10でガスを消費して生成される駆動熱源との温度差を充分に確保した場合には、駆動熱源を生成するためのガス消費量及びガス料金を削減することができる。しかし、冷却水の温度を低下させるために、CT20の放熱用の補給水量又はCT用ファン21の出力等を増加させる必要があり、CT20における補給水量又は電力消費量及びその料金が増加し、全体的な運転コスト削減を実現できない場合がある。
【0053】
そこで、本設備の制御システム70は、上記ユーティリティを消費する複数の駆動部Dとしての、冷却水循環経路Xの冷却水ポンプ15及びCT用ファン21、上記一次側冷水循環経路Yの一次側ポンプ50、二次側冷水循環経路Zの二次側ポンプ37及びAHU用ファン62の夫々の出力、即ち、上記ユーティリティを消費して駆動する各駆動部Dの駆動条件を、上記各ユーティリティを消費することで支払われる料金の合計である運転コストを省エネルギに関する評価値として、その運転コストが最適化、即ち最小化される最適駆動条件に自動的に設定することができ、その特徴構成について以下に説明する。
【0054】
制御システム70は、コンピュータシステムで構成されており、コンピュータシステムのハードウェア資源を利用しながら所定のコンピュータプログラムを実行することで、後述する各手段として機能するように構成されている。このコンピュータプログラムは、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体やインターネット等のデータ伝送媒体を介して、制御システム70をハードウェア的に構成するコンピュータシステムがアクセス可能な記録装置内にインストールされて実用に供される。
【0055】
制御システム70は、上記各駆動部Dにおけるユーティリティ消費量から運転コスト(評価値の一例)を導出可能な運転コスト導出手段(評価値導出手段の一例)71として機能する。即ち、運転コスト導出手段71は、ガス事業者が設定する上記ガスの料金表に従って、上記ガスメータ1で計測されたガス消費量からガス料金を導出し、電力事業者が設定する上記電力の料金表に従って、上記電力メータ2で計測された電力消費量から電力料金を導出し、更に、水道事業者が設定する上記水道水の料金表に従って、上記水道メータ3で計測された水道水消費量から水道料金を導出し、これら導出したガス料金と電力料金と水道料金との和を上記運転コストとして導出するように構成されている。
【0056】
尚、上記ガス、電力、及び、水の料金表に関する情報は、予め制御システム70に記憶させておくことができるが、これらの料金表が例えば頻繁に更新される場合には、インターネット等の通信ネットワークを介して、上記料金表に関する情報を収集するように、制御システム70を構成しても構わない。
【0057】
更に、制御システム70は、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持したまま、上記冷却水循環経路X、上記一次側冷水循環経路Y、及び、上記二次側冷水循環経路Zの夫々に設けられた各駆動部Dの駆動条件を変化させると共に、運転コスト導出手段71で運転コストを導出して、運転コストが最小化される上記各駆動部Dの最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段72として機能し、更に、上記各駆動部Dの駆動条件を上記最適駆動条件に設定する設定手段73として機能する。
【0058】
そして、制御システム70は、運転コスト導出手段71及び最適駆動条件導出手段72及び設定手段73を働かせて、運転コストが最小化される各駆動部Dの最適駆動条件を導出すると共に、各駆動部Dの駆動条件を当該最適駆動条件に設定する、所謂最適化処理を実行することができ、その最適化処理の処理フローについて図2に基づいて説明する。
【0059】
本設備に設けられた複数の駆動部Dは、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために、互いに駆動条件間において所定の従属関係が設定されている複数の駆動部群に分類されている。即ち、群内における複数の駆動部の内、ある駆動部の駆動条件を設定したときに、他の駆動部の駆動条件が、上記の出力負荷を一定に維持するための従属関係に従って設定される。
そして、制御システム70は、複数の駆動部Dを、冷却水循環経路Xに設けられた駆動部、一次側冷水循環経路Yに設けられた駆動部、及び、二次側冷水循環経路Zに設けられた駆動部の各駆動部群に分類して、各経路X,Y,Zの駆動部群を順次最適化対象に設定して最適化処理を行う。
【0060】
即ち、制御システム70は、上記冷却水循環経路Xに設けられた冷却水ポンプ15及びCT用ファン21からなる駆動部群を最適化対象として設定する(ステップ101)。
【0061】
そして、最適駆動条件導出手段72は、最適化対象に設定された冷却水ポンプ15及びCT用ファン21の駆動部群に対して、上記運転コストが最小化される最適駆動条件を導出する(ステップ102)。
【0062】
詳しくは、最適駆動条件導出手段72は、上記ステップ102において、各駆動部Dの駆動条件としての冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力を、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために各駆動条件間に設定されている所定の従属関係に従いながら、変化させる。具体的には、上記冷却ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力の一方の駆動条件を、例えば所定の範囲内において一定間隔で変化させると共に、他方の駆動条件を、上記従属関係を維持するように変化させる。そして、各駆動部Dの駆動条件を変化させる毎に、運転コストを導出して、上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力と運転コストとに関する複数の冷却水データを生成する。更に、この生成した複数の冷却水データから、上記運転コストが最小化される最適冷却水データを導出して、その最適冷却水データの上記冷却ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力を、上記最適駆動条件とする。
【0063】
よって、上記冷却ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力の夫々は、上記設定手段73により、上記最適冷却水データの最適駆動条件に設定され(ステップ103)、上記最適冷却水データを認識可能な冷却水最適化情報と、更に、その他の上記冷却水データは、吸収式冷凍機10の設定出力負荷に関連付けられて、ハードディスク等の記憶装置に構築されたデータベース75に格納され、登録される(ステップ104)。尚、上記設定出力負荷に対応する冷却水最適化情報が、予めデータベース75に格納されている場合には、その冷却水最適化情報が新たに導出した冷却水最適化情報により更新される。
尚、上記冷却水最適化情報としては、上記最適冷却水データそのものを利用することができるが、別に、上記最適冷却水データとその他の冷却水データとから導出した上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力と運転コストとの相関関係式を上記冷却水最適化情報として利用することもできる。
【0064】
尚、上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力との間に設定されている上記従属関係は、上記吸収式冷凍機10の出力負荷を維持すべく吸収式冷凍機10からCT20へ移動させる熱量を維持するため設定されている従属関係であり、その従属関係に従って上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力を変化させるには、一方を増加させた場合に他方を低下させることになる。
【0065】
また、上記複数の冷却水データから上記最適冷却水データを導出するに、上記複数の冷却水データの内の最も運転コストが最小化されたものを上記最適冷却水データとすることができるが、別に、上記複数の冷却水データから、上記冷却水ポンプ15の出力及びCT用ファン21の出力と運転コストとの相関関係式を導出し、その相関関係式から、運転コストが最小化される上記最適冷却水データを導出しても構わない。
【0066】
更に、制御システム70は、最適化対象を、上記一次側冷水循環経路Yに設けられた一次側ポンプ50に変更し(ステップ101)、上記ステップ102〜ステップ104と同様の処理を行う。
即ち、最適駆動条件導出手段72は、最適化対象に設定された一次側ポンプ50に対して、上記運転コストが最小化される最適駆動条件を導出する(ステップ102)。
【0067】
詳しくは、最適駆動条件導出手段72は、上記ステップ102において、駆動部Dの駆動条件としての一次側ポンプ50の出力を例えば所定の範囲内において一定間隔で変化させる。そして、一次側ポンプ50の出力を変化させる毎に、運転コストを導出して、上記一次側ポンプ50の出力と運転コストとに関する複数の一次側冷水データを生成する。更に、この生成した複数の一次側冷水データから、上記運転コストが最小化される最適一次側冷水データを導出して、その最適一次側冷水データの一次側ポンプ50の出力を、上記最適駆動条件とする。
【0068】
よって、上記一次側ポンプ50の出力は、上記設定手段73により、上記最適一次側冷水データの最適駆動条件に設定され(ステップ103)、上記最適一次側冷水データを認識可能な一次側冷水最適化情報と、更に、その他の上記最適一次側冷水データは、吸収式冷凍機10の設定出力負荷に関連付けられて、データベース75に格納され、登録される(ステップ104)。尚、上記設定出力負荷に対応する一次側冷水最適化情報が、予めデータベース75に格納されている場合には、その一次側冷水最適化情報が新たに導出した一次側冷水最適化情報により更新される。
尚、上記一次側冷水最適化情報としては、上記最適一次側冷水データを利用することができるが、上記最適一次側冷水データとその他の一次側冷水データとから導出した上記一次側ポンプ50の出力と運転コストとの相関関係式を上記一次側冷水最適化情報として利用することもできる。
【0069】
また、上記複数の一次側冷水データから上記最適一次側冷水データを導出するに、上記複数の一次側冷水データの内の最も運転コストが最小化されたものを上記最適一次側冷水データとすることができるが、別に、上記複数の一次側冷水データから、上記一次側ポンプ50の出力と運転コストとの相関関係式を導出し、その相関関係式から、運転コストが最小化される上記最適一次側冷水データを導出しても構わない。
【0070】
更に、制御システム70は、最適化対象を、上記二次側冷水循環経路Zに設けられた二次側ポンプ37及びAHU用ファン62からなる駆動部群に変更し、上記ステップ102〜ステップ104と同様の処理を行う。
即ち、最適駆動条件導出手段72は、最適化対象に設定された二次側ポンプ37及びAHU用ファン62に対して、上記運転コストが最小化される最適駆動条件を導出する(ステップ102)。
【0071】
詳しくは、最適駆動条件導出手段72は、上記ステップ102において、各駆動部Dの駆動条件としての二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力を、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために各駆動条件間に設定されている所定の従属関係に従いながら、変化させる。具体的には、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力の一方の駆動条件を、例えば所定の範囲内において一定間隔で変化させると共に、他方の駆動条件を、上記従属関係を維持するように変化させる。そして、各駆動部Dの駆動条件を変化させる毎に、運転コストを導出して、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力と運転コストとに関する複数の二次側冷水データを生成する。更に、この生成した複数の二次側冷水データから、上記運転コストが最小化される最適二次側冷水データを導出して、その最適二次側冷水データの二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力を、上記最適駆動条件とする。
【0072】
よって、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力は、上記設定手段73により、上記最適二次側冷水データの最適駆動条件に設定され(ステップ103)、上記最適二次側冷水データを認識可能な二次側冷水最適化情報と、更に、その他の上記最適二次側冷水データは、吸収式冷凍機10の設定出力負荷に関連付けられて、データベース75に格納され、登録される(ステップ104)。尚、上記設定出力負荷に対応する二次側冷水最適化情報が、予めデータベース75に格納されている場合には、その二次側冷水最適化情報が新たに導出した二次側冷水最適化情報により更新される。
尚、上記二次側冷水最適化情報としては、上記最適二次側冷水データそのものを利用することができるが、上記最適二次側冷水データとその他の二次側冷水データとから導出した上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力と運転コストとの相関関係式を上記二次側冷水最適化情報として利用することができる。
【0073】
尚、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力との間に設定されている上記従属関係は、上記吸収式冷凍機10の出力負荷を一定に維持して上記温度センサ63で検出される室温を所定の設定室温に維持するため設定されている従属関係であり、その従属関係に従って上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力を変化させるには、一方を増加させた場合に他方を低下させることになる。
【0074】
また、上記複数の二次側冷水データから上記最適二次側冷水データを導出するに、上記複数の二次側冷水データの内の最も運転コストが最小化されたものを上記最適二次側冷水データとすることができるが、別に、上記複数の二次側冷水データから、上記二次側ポンプ37の出力及びAHU用ファン62の出力と運転コストとの相関関係式を導出し、その相関関係式から、運転コストが最小化される上記最適二次側冷水データを導出しても構わない。
【0075】
制御システム70に、これまで説明してきたような運転コスト導出手段71及び最適駆動条件導出手段72及び設定手段73を設けることで、本設備の出力負荷を一定に維持したまま、自動的に、各駆動部Dの駆動条件を、現状の環境条件に合った最適な最適駆動条件に設定することができ、一層の省エネ及び運転コスト削減を図ることができる。
【0076】
本設備において、各経路X,Y,Zの駆動部群の相互間では、上記のような出力負荷を一定にするための従属関係は設定されていないものの、例えば、ある駆動部群内の駆動部の駆動条件を設定したときに、他の駆動部群内の駆動部の駆動条件と運転コストとの関係に対して若干の影響を与える場合がある。
【0077】
そこで、制御システム70は、上記のような各駆動部群の相互間における影響を考慮して、各経路X,Y,Zの駆動部Dに対する最適駆動条件の導出及び設定を、複数回繰り返して行うように構成されている。このように上記最適化処理を複数回繰り返し行うことで、確実に運転コスト削減を図ることができる。
【0078】
制御システム70は、上記図2に示すような最適化処理を、本設備の設置時、及び、上記吸収式冷凍機10の出力負荷設定時等に実行するのであるが、過去にその設定出力負荷に対する最適化処理を実行したことがある場合には、その出力負荷設定時における最適化処理を一部省略することができる。
【0079】
即ち、制御システム70は、図3に示すように、吸収式冷凍機10の出力負荷を所定の設定出力負荷に設定し(ステップ201)、その後に、その設定出力負荷に対応する各駆動部Dの最適駆動条件に関する最適化情報が、上記データベース75に格納されているかを判定する(ステップ202)。
【0080】
そして、制御システム70は、データベース75に設定出力負荷に対応する最適化情報が存在しないと判定したときには、前述の図2に示す最適化処理を行い(ステップ203)、各駆動部Dの最適駆動条件を導出して、各駆動部Dの駆動条件を導出した最適駆動条件に設定する。
【0081】
一方、過去において、その設定出力負荷における最適化処理を実行して、そのときに導出した最適駆動条件に関する最適化情報が上記データベース75に存在すると判定したときには、データベース75から抽出した最適化情報から各駆動部Dの最適駆動条件を認識し、各駆動部Dの駆動条件をその認識した最適駆動条件に設定して(ステップ204)、迅速に本設備の運転状態の最適化、即ち、運転コスト削減を図ることができる。
【0082】
更に、制御システム70は、設定手段73により上記各駆動部Dの駆動条件を上記最適化情報から認識した最適駆動条件に設定してから例えば一定時間毎に、運転コスト導出手段71を働かせて、そのときの実際の実運転コストを導出し、その導出した実運転コストが、上記最適化情報から認識した最適運転コスト、即ち、現時点で設定されている最適駆動条件を導出したときに導出した最適運転コストに対して許容範囲内であるかを判定する(ステップ205)。尚、このように、上記実運転コストが上記最適運転コストに対して許容範囲内であるかを判定する手段を判定手段74と呼ぶ。
【0083】
そして、制御システム70の最適駆動条件導出手段72が、上記ステップ205において、判定手段74により実運転コストが最適運転コストに対して許容範囲内でないと判定したとき、具体的には、実運転コストが最適運転コストよりも許容量以上大きいと判定したときには、再び上記最適化処理を行って、そのときの実際の出力負荷に合った各駆動部Dの最適運転条件を導出するように構成されている。
【0084】
よって、上記実運転コストが上記最適運転コストに対して乖離している場合に、各駆動部Dの駆動条件を、上記最適駆動条件導出手段を働かせて再び導出した各駆動部の最適駆動条件に再設定すると共に、上記データベース75に格納されている最適化情報を新たに導出した最適駆動条件により更新することができ、迅速な運転コストの削減を図りながらも、上記本設備の運転状態が運転コストを最小化する状態でないと判断した場合には、各駆動部Dの駆動条件を再び最適化処理して得た最適駆動条件に再設定して、運転コスト削減を確実に達成することができる。
【0085】
〔別実施の形態〕
次に、本発明に係る制御システムの別の実施の形態を説明する。
〈1〉 上記実施の形態において、吸収式冷凍機10により空調用の冷水を生成する熱源設備に設けられた制御システム70について説明したが、本発明に係る制御システムは、上記のような吸収式の熱源設備以外に、コジェネレーション設備又はボイラ設備に設けることができ、更に、熱源設備以外の、ガス、電力、水等のユーティリティを消費する駆動部を駆動させて運転されるユーティリティ消費設備に設けることができる。
【0086】
〈2〉 上記実施の形態においては、本設備に設けられた複数の駆動部Dを、冷却水循環経路Xに設けられた駆動部、一次側冷水循環経路Yに設けられた駆動部、及び、二次側冷水循環経路Zに設けられた駆動部に分類して、各経路X,Y,Z毎に最適化処理を行うように構成したが、複数の駆動部Dを他の分類方法により分類してその分類毎に、又は、駆動部毎に、上記最適化処理を実行しても構わない。更に、制御システム70が複数回繰り返して最適化処理を行う場合には、例えば、各回における最適化処理において、上記各駆動部の分類を変更又は細分化しても構わない。
【0087】
〈3〉 上記実施の形態においては、省エネルギに関する評価値を、ガス料金、電気料金、及び、水道料金の合計である運転コストとし、各駆動部Dの駆動条件を、その運転コストが最小化される最適駆動条件に設定したが、別に、上記評価値としては、省エネルギの程度を評価するものであればよく、例えば、ガス消費量、電力消費量、及び、水道水消費量から、CO2排出量への換算式に従って算出されるCO2排出量を、上記省エネルギに関する評価値とし、各駆動部Dの駆動条件を、そのCO2排出量が最小化される最適駆動条件に設定しても構わない。
また、ユーティリティ消費設備の各駆動部Dにおいて消費されるユーティリティがガス、電力、又は、水等の1種である場合には、上記省エネルギに関する評価値を、そのユーティリティ消費量自身としても構わない。
また、上記省エネルギに関する評価値を、上記運転コスト及び上記CO2排出量以外の、例えば、ガス消費量及び電力消費量を熱量に換算した値である消費熱量や、上記ガス消費量、電力消費量、及び、水消費量から換算した一次エネルギ消費量(ガス、電力、水を製造するために消費される一次エネルギの消費量)等としても構わない。
【0088】
〈4〉 制御システム70により、上記吸収式冷凍機10の燃焼部における燃焼量及び冷媒流量等を、上記吸収式冷凍機10の出力負荷が必要出力負荷となるように設定するに、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量等の駆動条件をも最適化処理の対象とすることができる。即ち、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量を、上記吸収式冷凍機10の設定出力負荷を一定に維持するために各駆動条件間に設定されている所定の従属関係に従いながら変化させて、上記運転コストやCO2排出量等の評価値が最適化される上記吸収式冷凍機10の最適燃焼量及び最適冷媒流量を導出し、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量等をその最適燃焼量及び最適冷媒流量に設定することができる。
尚、上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量との間に設定されている上記従属関係は、上記吸収式冷凍機10の出力負荷を一定に維持すべく設定されている従属関係であり、その従属関係に従って上記吸収式冷凍機10の燃焼量及び冷媒流量を変化させるには、一方を増加させた場合に他方を低下させることになる。
【0089】
〈5〉 上記実施の形態においては、上記最適駆動条件導出手段72により各駆動部Dの最適駆動条件を導出するに、各駆動部Dの駆動条件を所定の範囲内において一定間隔で変化させて、複数の冷却水データ及び一次側冷水データ及び二次側冷水データを生成した後に、その各データから上記評価値としての運転コストが最小化された最適駆動条件を抽出したが、別に、下記のように上記最適駆動条件を導出しても構わない。
即ち、上記最適駆動条件導出手段72を、上記駆動部の駆動条件をある方向に変化させ、その変化前の評価値と変化後の評価値を比較して、変化後の評価値が変化前の評価値よりも最適である場合には、上記駆動条件を同じ方向に変化させて再び変化前後の評価値を比較し、逆に、変化後の評価値が変化前の評価値よりも最適でない場合には、上記駆動条件を反対の方向に変化させて、変化前後の評価値を比較するように構成する。そして、駆動条件を両方向に変化させても、変化前の評価値が変化後の評価値よりも最適となった場合に、その最終の駆動条件を、最適駆動条件とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱源設備及びそれに備えた制御システムの概略構成図
【図2】最適化処理の処理フロー図
【図3】出力負荷設定時における処理フロー図
【符号の説明】
1:ガスメータ
2:電力メータ
3:水道メータ
10:吸収式冷凍機
15:冷却水ポンプ
16:温度センサ
20:クーリングタワー(CT)
21:CT用ファン
33:温度センサ
37:二次側ポンプ
40:圧力センサ
50:一次側ポンプ
60:エアーハンドリングユニット(AHU)
61:流量調整弁
62:AHU用ファン
70:制御システム
71:運転コスト導出手段(評価値導出手段)
72:最適駆動条件導出手段
73:設定手段
74:判定手段
75:データベース
D:駆動部
X:冷却水循環経路
Y:一次側冷水循環経路
Z:二次側冷水循環経路
Claims (8)
- 複数の駆動部においてユーティリティを消費して所定の出力を系外に対し発生するユーティリティ消費設備の制御システムであって、
前記複数の駆動部のユーティリティ消費量から前記ユーティリティ消費設備の省エネルギに関する評価値を導出可能な評価値導出手段と、
前記各駆動部の駆動条件を変化させると共に前記評価値導出手段で前記評価値を導出して、前記評価値が最適化される前記各駆動部の最適駆動条件を導出する最適駆動条件導出手段と、
前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定する設定手段を備えた制御システム。 - 前記ユーティリティが、ガス、電力、及び、水から選択される少なくとも1つである請求項1に記載の制御システム。
- 前記ユーティリティ消費設備が前記ユーティリティを消費して、冷熱及び温熱の少なくとも一方を生成する熱源設備である請求項1又は2に記載の制御システム。
- 前記最適駆動条件導出手段が、前記出力負荷を維持するための前記各駆動部の駆動条件間における所定の従属関係を維持したまま、前記各駆動部の駆動条件を変化させるように構成されている請求項1から3の何れか1項に記載の制御システム。
- 前記最適駆動条件導出手段で導出した前記最適駆動条件を認識可能な最適化情報を格納するデータベースを備えた請求項1から4の何れか1項に記載の制御システム。
- 前記最適化情報が、前記最適駆動条件と共に、前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定したときの最適評価値を認識可能な情報であり、
前記設定手段で前記各駆動部の駆動条件を前記最適駆動条件に設定した後に、前記評価値導出手段を働かせて実評価値を導出し、前記導出した実評価値が前記最適評価値に対して許容範囲内であるかを判定する判定手段を備え、
前記最適駆動条件導出手段が、前記判定手段で前記実評価値が前記最適評価値に対して許容範囲内でないと判定したときに、再び前記最適運転条件を導出するように構成されている請求項5に記載の制御システム。 - 前記評価値が、運転コスト又はCO2排出量である請求項1から6の何れか1項に記載の制御システム。
- 請求項1から7の何れか1項に記載の制御システムを備え、前記制御システムの前記設定手段が設定した駆動条件に従って前記複数の駆動部を駆動させて所定の出力を系外に対して発生するように構成されたユーティリティ消費設備。
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