JP2004098561A - 偽造防止カード - Google Patents
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Abstract
【課題】複数種の波長変換材料を利用した偽造防止効果が高く真偽判定が容易な偽造防止カードを提供する。
【解決手段】本発明の偽造防止カード1は、特定波長の光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて、カードの地紋またはパターンを印刷したことを特徴とする。
波長変換材料の1種類または2種類が、励起光よりも短波長の色光を発光するものとしても良く、地紋またはパターンが自然光下で不可視であるようにすることもできる。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の偽造防止カード1は、特定波長の光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて、カードの地紋またはパターンを印刷したことを特徴とする。
波長変換材料の1種類または2種類が、励起光よりも短波長の色光を発光するものとしても良く、地紋またはパターンが自然光下で不可視であるようにすることもできる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造防止カードに関する。詳しくは、カードが備える地紋またはパターンを、特定波長の励起光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて印刷したことを特徴とする偽造防止カードに関する。
したがって本発明の利用分野は、地紋またはパターンを備えた、キャッシュカード、クレジットカード、IDカードなどのカード類全般の製造や利用の分野に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のクレジットカードやプリペイドカードにも蛍光印刷等を使用した偽造防止技術が使用されているものがあるにもかかわらず、近年、これらの技術を模倣した偽造カードが作られており、より高度なセキュリティー性を付加して偽造防止することが求められている。
カードの偽造防止技術として特定の波長の光が照射されることにより発光する蛍光体をカードに設ける技術があり、そのような先行技術には、特許文献1があるが、本願のように、2種以上の波長変換材料を混合した印刷インキを用いたものとは相違している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−19345号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、印刷インキに2種類以上の波長変換材料を混合して使用することで、より高度なセキュリティー性を付加し得ることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、特定波長の励起光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて、カードの地紋またはパターンを印刷したことを特徴とする偽造防止カード、にある。
【0006】
上記において、波長変換材料の1種類または2種類が、励起光よりも短波長の色光を発光する、ようにすることができ、また、地紋またはパターンが自然光下で不可視である、ようにすることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、偽造防止カードにおいて、地紋またはパターンの印刷に、光の波長を変換する波長変換材料を2種類以上混合して使用することを特徴とする。
このように波長変換材料を2種類以上混合使用することで、異なる色光の励起光を照射した場合には、波長変換した異なる発光をするため、1種類の波長変換材料による場合よりも一層効果的に偽造カードを検出することができる。
【0008】
波長変換材料は、特定波長の励起光を照射した場合に特定波長の色光を発光する特徴を有し、材料の選択または設計により励起照射波長、発光波長共に任意に設定することができる。波長変換材料には、従来の蛍光材料も含まれるものであるが、顔料であっても染料であっても良く、また、無機物・有機物のいずれのものも含まれる。
【0009】
一般に、従来の蛍光材料と言われるものは、物質が光エネルギーを吸収して電子がより高い軌道に上がったのち、別の軌道に落ちてくるときにエネルギーが光として放出され蛍光を発するもので、短波長の励起光により、それよりは長波長の色光の発光をするものであるが、特殊な励起機構により励起光よりも短波長の光を発光するものも多数見出され、実用されている。
したがって、波長変換材料を類別すると、紫外光照射で可視光発光する材料、赤外光照射でより長波長の赤外発光する材料、紫外光照射で赤外光発光する材料、赤外光照射で可視光発光する材料、等となる。
【0010】
紫外光照射で可視光発光する材料は、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発光するスペクトルのピークが青、緑、赤等の可視波長領域にあるものであり従来から知られているように、硫化亜鉛やアルカリ土類金属の硫化物の蛍光体に、微量の金属(銅、銀、マンガン、鉛、ビスマス等)を付活剤として加え、高温焼成して得られる。母体結晶と付活剤の組合せにより、色相、明るさ等を調整できる。
【0011】
紫外線励起により発光する波長変換材料の例としては、ZnO:Zn、Zn2 SiO4 :Mn、Gd2 O2 S:Tb、Y2 O2 S:Eu、Y2 O3 :Eu、Y3 Al5 O12:Ce、SrAl2 O4 :Eu,Dy、ZnS:Ag等がある。
なお、波長変換材料は、その組成によって表記し、主成分である母体結晶とその中に分散した付活剤または発光中心に分け、(:)でつなぐ式で示している。
例えば、ZnS:Mnは、母体結晶がZnS、付活剤がMnであることを示す。
【0012】
波長800〜820nmの赤外光で励起し、より長波長(980〜1020nm)に発光する波長変換材料は、例えば、LiNd0.9 Yb0.1 P4 O12、LiBi0.2 Nd0.7 Yb0.1 P4 O12、Nd0.9 Yb0.1 Nd5 (MoO4 )4 、NaNd0.9 Yb0.1 P4 O12、Nd0.8 Yb0.2 Na5 (WO4 )4 、Nd0.9 Yb0.1 Al3 (BO3 )4 ,Nd0.9 Yb0.1 Al2.7 Cr0.3 (BO3 )4 、Nd0.6 Yb0.4 P5 O14、Nd0.4 P5 O4 等が使用できる。
【0013】
赤外光励起、可視光変換材料は、特殊な励起機構を有する変換材料であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個吸収することによって可視発光の励起を行う。これには、二つのタイプの機構があり、一方は付活剤イオンの中の多段階の励起によって、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達によって、それぞれ高い励起が可能になる。前者は、Er3+やHo3+を付活剤とする多くの母体結晶で観測され、後者は増感剤Yb3+が赤外線を吸収し、多段階のエネルギー伝達によって発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+等を高い凖位に励起する。
YF3 :Er,Yb、YF3 :Yb,Tm、BaFCl:Yb,Erなどが使用可能である。
【0014】
また、蛍光染料タイプの波長変換材料もある。可視光において無色の当該タイプの市販品には、EB−501(三井東圧染料社製、発光色:青色)、EG−302(三井東圧染料社製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井東圧染料社製、発光色:緑色)、ER−120(三井東圧染料社製、発光色:赤色)、ER−122(三井東圧染料社製、発光色:赤色)、ユビテックOB(チバガイギー社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ社製、発光色:赤橙色)等を挙げることができる。
このような波長変換材料を使用すれば、地紋またはパターンが自然光下で不可視なものとすることができる。
なお、可視光において着色している蛍光染料タイプの波長変換材料もあるが、発光色の多くは、当該着色光と同系色であるため、本発明の偽造防止カードに使用する場合には、発光色が区別できるものが好ましい。
【0015】
本発明に使用する波長変換材料を含む印刷インキや塗工材料は、ビヒクルに当該波長変換材料を分散し、さらに有機溶剤を加えて混練し塗料化したものである。印刷インキといっても塗工材料としては、同質であり、地紋やパターン印刷に用いるものを印刷インキと表現している。
【0016】
印刷インキや塗工材料のビヒクルとしては、ポリエチレン系〔ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体〕、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ビニル系〔ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルホルマール〕、アクリル系〔ポリメチルメタクリレート(PMMA)、MMA−スチレン共重合体〕、セルロース系〔エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピルセルロース、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロース〕、ポリエステル系〔ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート〕、石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ウレタン系等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂の添加量は、形成される印刷層の発光強度や印刷適性等を考慮して適宜決定することができる。
【0017】
添加する有機溶剤は、使用するビヒクルとの関係で相溶性の良い溶剤を、また乾燥速度等を考慮して使用することになる。
一般的に用いられるのは、トルエンやキシレン、イソプロピルアルコール、メタノール、エチルアルコール、ブタノール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等である。また、植物油等が用いられる場合もある。
【0018】
次に、本発明の偽造防止カードについて説明することとする。
図1、図2は、本発明の偽造防止カードの層構成の例を示す図である。
偽造防止カード1は、各種の層構成があり特定の層構成に限定されるものではないが、例えば、図1、図2の層構成とすることができる。
図1の場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるカード基材11の表面側に地紋印刷層12と絵柄印刷層13があり、最表面は保護層14となっている。カード基材11の裏面側には、磁気記録層15と磁気隠蔽層16が設けられている。このような構成のカードはテレフォンカード等の用途に多い。
絵柄印刷層13は特に制限はなく、一般的に公知のオフセット、グラビア、スクリーン印刷等の印刷法にて適宜印刷可能である。
【0019】
図2の偽造防止カード1の層構成は、厚み280μmの白色塩化ビニルコアシート211,212と、厚み100μmの透明塩化ビニルオーバーシート213,214からなる。オーバーシート213には転写した磁気層25が設けられている。
これらは、自己熱融着性の塩化ビニルシートを熱圧プレスして一体のカード基体にしたものである。プレス条件は、通常、150°C、25kg/cm 2、時間15分程度となる。このような構成のカードはクレジットカード、キャッシュカード等の用途に多い。
【0020】
本発明の偽造防止カードの特徴は、地紋印刷層12,22の印刷に波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを使用することにある。
波長変換材料はインキ固形分に対して、0.5%以上混合すれば、励起光照射時に目視で発光を確認できることが後述の実施例でも確認されている。また、励起光を照射しない状態では目視で当該材料の存在を認識することができない。
さらに、当該材料を分散したインキ自体が透明で不可視なものにすれば、より一層、高いセキュリティー性が得られる。
【0021】
地紋印刷層12,22の地紋は、特に限定されるものではないが、通常の証券や証紙、紙幣等に使用する彩紋や単色の地模様、あるいは微細な文字パターン、幾何学的パターン等を採用することができる。
【0022】
カード基材11は、使用目的に応じて選定されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的にはプラスチック基材が好ましい。
特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート−G(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリレート(PAr)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、ポリメタクリル酸メチル、各種生分解性プラスチック、天然樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、または上記より選択されて組み合わされた複合体等が知られており、使用目的に応じて適宜選択可能であり特に制限はない。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の各種実施例について説明する。
(実施例1)
図1図示の磁気カードの形態において、カード基材11として、厚み188μmの2軸延伸PETシートを使用し、裏面に磁気記録層15、磁気隠蔽層16を形成した。このカード基材11の磁気記録層塗工面と反対側の面に、下記組成の地紋印刷用インキを用いてオフセット印刷法により印刷して、地紋印刷層12を形成した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼ロジン変性フェノール樹脂 40重量部
▲4▼植物油 20重量部
▲5▼溶剤 適宜量
▲6▼添加剤 適宜量
上記において、Y2 O2 S:Euは、付活剤がEu(ユウロピウム)である紫外励起、赤外発光材料であり、YF3 :Er,Ybは、付活剤がEr(エルビウム)とYb(イッテルビウム)である、赤外線励起の緑色発光材料である。
【0024】
次に、通常のオフセット印刷法で絵柄印刷層13を形成したのち、下記組成の保護層用塗工液をオフセット印刷法により、乾燥時の厚さが1μmとなるように塗布し保護層14を形成した。
<保護層用塗工液>
▲1▼ポリエステル樹脂 50重量部
▲2▼石油樹脂ワニス 20重量部
▲3▼植物油 10重量部
▲4▼添加剤 適宜量
以上のようにして作製した磁気シート原反を、JISX6301のID1型の個々のカードサイズ(85.60×53.98mm)に打ち抜き加工をし、偽造防止磁気カードを得た。
【0025】
(実施例2)
地紋印刷用印刷インキに、実施例1の▲1▼,▲2▼の波長変換材料に代えて、下記波長変換材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
▲1▼波長変換材料(SrAl2 O4 :Eu,Dy)
▲2▼波長変換材料(Nd0.4 P5 O4 )
上記において、SrAl2 O4 :Eu,Dyは、付活剤がEu(ユウロピウム)とDy(ジスプロシウム)である、紫外励起、緑発光材料であり、Nd0.4 P5 O4 は、赤外線励起のより長波長の赤外発光材料である。
【0026】
(実施例3)
地紋印刷用印刷インキに、下記組成の地紋印刷用インキを用いた以外は、実施例1と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼顔料(黄) 8重量部
▲3▼ロジン変性フェノール樹脂 40重量部
▲4▼植物油 20重量部
▲5▼溶剤 適宜量
▲6▼添加剤 適宜量
【0027】
(実施例4)
図2図示の偽造防止磁気カードを作製した。
まず、抗磁力650エルステッドの磁気層が塗工された磁気転写用PETフィルムを、厚さ100μmの透明な塩化ビニルオーバーシート213の所定位置に、テープ状に熱転写し、PETフィルムを剥離することにより磁気層25を施した透明オーバーシートを得た。
次に、このオーバーシートを、図2のような基材構成の塩化ビニルからなる磁気カードの最上層の透明オーバーシート213として積層して使用し、熱圧プレスしてカード基体を作製した。
【0028】
次に、上記カード基体の磁気層25を設けた透明オーバーシート面に、下記組成の磁気隠蔽用塗工液をシルクスクリーン印刷法により、厚さ5μmに塗布して磁気隠蔽層26を形成した。
<磁気隠蔽用塗工液組成>
▲1▼アクリル系樹脂 15重量部
▲2▼酢酸ビニル系樹脂 15重量部
▲3▼アルミニュウム粉末 20重量部
▲3▼顔料 4重量部
▲4▼溶剤(シクロヘキサノン) 40重量部
【0029】
さらに磁気隠蔽層26上に地紋印刷層22を、下記組成の地紋印刷用インキを用いてシルクスクリーン印刷法により、厚さ1μmになるように印刷した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼アクリル系樹脂 20重量部
▲4▼酢酸ビニル系樹脂 20重量部
▲5▼溶剤(シクロヘキサノン) 50重量部
【0030】
次に、オフセット印刷法を用いて絵柄印刷層23を形成した後、保護層24を下記組成の保護用塗工液を用いてグラビア印刷法により塗布した。
<保護用塗工液組成>
▲1▼酢酸セルロース樹脂 10重量部
▲2▼ポリエステル樹脂 20重量部
▲3▼溶剤(メチルエチルケトン) 100重量部
最後に、JISX6301のID1型カードサイズ(85.60×53.98mm)に打ち抜き、偽造防止用磁気カードを作製した。
【0031】
(実施例5)
地紋印刷用インキに下記波長変換材料を用いた以外は、実施例4と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
▲1▼波長変換材料(SrAl2 O4 :Eu,Dy)
▲2▼波長変換材料(Nd0.4 P5 O4 )
【0032】
(実施例6)
地紋印刷用インキに下記印刷インキを用いた以外は、実施例4と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼顔料(緑) 8重量部
▲4▼アクリル系樹脂 20重量部
▲5▼酢酸ビニル系樹脂 20重量部
▲6▼溶剤(シクロヘキサノン) 50重量部
【0033】
(比較例1)
地紋印刷用インキに下記印刷インキの波長変換材料(Y2 O2 S:Eu)の混合量を下記割合に変更した以外は、実施例4と同様にして偽造防止磁気カードを作製した。
波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 0.2重量部
【0034】
(比較例2)
地紋印刷用インキに下記印刷インキの波長変換材料(Y2 O2 S:Eu)の混合量を下記割合に変更した以外は、実施例4と同様にして偽造防止磁気カードを作製した。
波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 0.1重量部
【0035】
実施例1〜実施例6、および比較例1〜2で作製した偽造防止磁気カードについて、ブラックライト(波長360nm)、および半導体レーザ(波長820nm)を地紋印刷部に照射して、目視で発光色を確認した。
さらに、分光器(日本分光株式会社製「CP25C」)を用いて発光特性を測定した。表1に測定結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
以上の目視および測定結果を評価すると次のことを結論することができる。
(1)実施例1の偽造防止磁気カードは、波長変換材料Y2 O2 S:Euが、ブラックライトにより励起されて、625nmの赤色発光をしており、波長変換材料YF3 :Er,Ybは、半導体レーザーの赤外光励起により、550nmの緑色発光をしている。これにより、検査光として、ブラックライトと赤色半導体レーザを用いれば、波長変換材料を含まない偽造カードや1種類の波長変換材料のみを含む偽造カードを明瞭に検出することができる。
【0038】
(2)実施例2の偽造防止磁気カードは、波長変換材料SrAl2 O4 :Eu,Dyが、ブラックライトにより励起されて、520nmの緑色発光をしており、波長変換材料Nd0.4 P5 O4 は、半導体レーザーの赤外光励起により、より長波長域の赤外域に発光をしているが、目視では色光を感じることはできない。
これにより、検査光として、ブラックライトと赤色半導体レーザを用いれば、波長変換材料を含まない偽造カードや1種類の波長変換材料のみを含む偽造カードを明瞭に検出することができる。
【0039】
(3)実施例3の偽造防止磁気カードは、地紋印刷インキの波長変換材料は、実施例1と同一であるが、黄色顔料が添加されている違いがある。
ブラックライトおよび半導体レーザーによる発光色は実施例1と同様であるが、本来黄色に地紋印刷されている部分からも発光するので、着色印刷されている偽造カードであっても明瞭に検出できることが示される。
(4)実施例4の偽造防止磁気カードは、カードの基材が塩化ビニルであるため、地紋印刷インキのビヒクルが実施例1と異なり、印刷もシルクスクリーン印刷であるが、波長変換材料は実施例1と同一であり、ブラックライトおよび半導体レーザー励起による発光色は実施例1と同一結果となることが示されている。
【0040】
(5)実施例5の偽造防止磁気カードは、カードの基材が塩化ビニルであるため、地紋印刷インキのビヒクルが実施例2と異なり、印刷もシルクスクリーン印刷であるが、波長変換材料は実施例2と同一であり、ブラックライトおよび半導体レーザー励起による発光色は実施例2と同一結果となることが示されている。
(6)実施例6の偽造防止磁気カードは、地紋印刷インキの波長変換材料は、実施例4と同一であるが、緑色顔料が添加されている違いがある。
ブラックライトおよび半導体レーザーによる発光色は実施例1と同様であるが、本来緑色に地紋印刷されている部分からも発行するので、着色印刷されている偽造カードであっても明瞭に検出できることが示されている。
【0041】
(7)比較例1は、波長変換材料であるY2 O2 S:Euの添加量が、実施例4の10分の1の0.2重量部に減少されているが、結果的に実施例4と同様の目視および測定結果を呈示することが示されている。
ちなみに、実施例4におけるY2 O2 S:Euの全固形分に対する添加量は、約4.55%、比較例1は、0.47%となる。
(8)一方、比較例2は、波長変換材料であるY2 O2 S:Euの添加量を、実施例4の20分の1の0.1重量部に減少した結果、赤色の発光を呈しないことが示されている。
比較例2のY2 O2 S:Euの全固形分に対する添加量は、約0.24%となる。
【0042】
(9)比較例1と比較例2の結果から、目視で発光を確認するためには、インキ固形分に対して波長変換材料が全固形分に対して、約0.5%混入されていれば、光照射時に目視で発光を確認することができ、また光を照射しない状態では目視で波長変換材料の存在を確認することができない。また、0.4%未満では発光が確認できず、不十分といえる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の偽造防止カードは、2種類以上の波長変換材料が地紋またはパターン印刷層のインキに混合されているので、複数種の励起光を照射して偽造カードを明瞭に識別することができる。
また、波長変換材料は全面印刷ではなく、地紋またはパターンという部分印刷部に使用されているので、コスト面でもインキ費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偽造防止カードの層構成の例を示す図である。
【図2】本発明の偽造防止カードの層構成の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 偽造防止カード
11,21 基材
12,22 地紋印刷層
13,23 絵柄印刷層
14,24 保護層
15 磁気記録層
16,26 磁気隠蔽層
25 磁気層
【発明の属する技術分野】
本発明は、偽造防止カードに関する。詳しくは、カードが備える地紋またはパターンを、特定波長の励起光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて印刷したことを特徴とする偽造防止カードに関する。
したがって本発明の利用分野は、地紋またはパターンを備えた、キャッシュカード、クレジットカード、IDカードなどのカード類全般の製造や利用の分野に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のクレジットカードやプリペイドカードにも蛍光印刷等を使用した偽造防止技術が使用されているものがあるにもかかわらず、近年、これらの技術を模倣した偽造カードが作られており、より高度なセキュリティー性を付加して偽造防止することが求められている。
カードの偽造防止技術として特定の波長の光が照射されることにより発光する蛍光体をカードに設ける技術があり、そのような先行技術には、特許文献1があるが、本願のように、2種以上の波長変換材料を混合した印刷インキを用いたものとは相違している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−19345号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、印刷インキに2種類以上の波長変換材料を混合して使用することで、より高度なセキュリティー性を付加し得ることを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の要旨は、特定波長の励起光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて、カードの地紋またはパターンを印刷したことを特徴とする偽造防止カード、にある。
【0006】
上記において、波長変換材料の1種類または2種類が、励起光よりも短波長の色光を発光する、ようにすることができ、また、地紋またはパターンが自然光下で不可視である、ようにすることもできる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、偽造防止カードにおいて、地紋またはパターンの印刷に、光の波長を変換する波長変換材料を2種類以上混合して使用することを特徴とする。
このように波長変換材料を2種類以上混合使用することで、異なる色光の励起光を照射した場合には、波長変換した異なる発光をするため、1種類の波長変換材料による場合よりも一層効果的に偽造カードを検出することができる。
【0008】
波長変換材料は、特定波長の励起光を照射した場合に特定波長の色光を発光する特徴を有し、材料の選択または設計により励起照射波長、発光波長共に任意に設定することができる。波長変換材料には、従来の蛍光材料も含まれるものであるが、顔料であっても染料であっても良く、また、無機物・有機物のいずれのものも含まれる。
【0009】
一般に、従来の蛍光材料と言われるものは、物質が光エネルギーを吸収して電子がより高い軌道に上がったのち、別の軌道に落ちてくるときにエネルギーが光として放出され蛍光を発するもので、短波長の励起光により、それよりは長波長の色光の発光をするものであるが、特殊な励起機構により励起光よりも短波長の光を発光するものも多数見出され、実用されている。
したがって、波長変換材料を類別すると、紫外光照射で可視光発光する材料、赤外光照射でより長波長の赤外発光する材料、紫外光照射で赤外光発光する材料、赤外光照射で可視光発光する材料、等となる。
【0010】
紫外光照射で可視光発光する材料は、紫外線により励起され、これよりも低いエネルギー準位に戻るときに発光するスペクトルのピークが青、緑、赤等の可視波長領域にあるものであり従来から知られているように、硫化亜鉛やアルカリ土類金属の硫化物の蛍光体に、微量の金属(銅、銀、マンガン、鉛、ビスマス等)を付活剤として加え、高温焼成して得られる。母体結晶と付活剤の組合せにより、色相、明るさ等を調整できる。
【0011】
紫外線励起により発光する波長変換材料の例としては、ZnO:Zn、Zn2 SiO4 :Mn、Gd2 O2 S:Tb、Y2 O2 S:Eu、Y2 O3 :Eu、Y3 Al5 O12:Ce、SrAl2 O4 :Eu,Dy、ZnS:Ag等がある。
なお、波長変換材料は、その組成によって表記し、主成分である母体結晶とその中に分散した付活剤または発光中心に分け、(:)でつなぐ式で示している。
例えば、ZnS:Mnは、母体結晶がZnS、付活剤がMnであることを示す。
【0012】
波長800〜820nmの赤外光で励起し、より長波長(980〜1020nm)に発光する波長変換材料は、例えば、LiNd0.9 Yb0.1 P4 O12、LiBi0.2 Nd0.7 Yb0.1 P4 O12、Nd0.9 Yb0.1 Nd5 (MoO4 )4 、NaNd0.9 Yb0.1 P4 O12、Nd0.8 Yb0.2 Na5 (WO4 )4 、Nd0.9 Yb0.1 Al3 (BO3 )4 ,Nd0.9 Yb0.1 Al2.7 Cr0.3 (BO3 )4 、Nd0.6 Yb0.4 P5 O14、Nd0.4 P5 O4 等が使用できる。
【0013】
赤外光励起、可視光変換材料は、特殊な励起機構を有する変換材料であり、エネルギーの小さな赤外線の光子を複数個吸収することによって可視発光の励起を行う。これには、二つのタイプの機構があり、一方は付活剤イオンの中の多段階の励起によって、他方は増感剤からの複数回の共鳴エネルギー伝達によって、それぞれ高い励起が可能になる。前者は、Er3+やHo3+を付活剤とする多くの母体結晶で観測され、後者は増感剤Yb3+が赤外線を吸収し、多段階のエネルギー伝達によって発光中心のEr3+、Tm3+、Ho3+等を高い凖位に励起する。
YF3 :Er,Yb、YF3 :Yb,Tm、BaFCl:Yb,Erなどが使用可能である。
【0014】
また、蛍光染料タイプの波長変換材料もある。可視光において無色の当該タイプの市販品には、EB−501(三井東圧染料社製、発光色:青色)、EG−302(三井東圧染料社製、発光色:黄緑色)、EG−307(三井東圧染料社製、発光色:緑色)、ER−120(三井東圧染料社製、発光色:赤色)、ER−122(三井東圧染料社製、発光色:赤色)、ユビテックOB(チバガイギー社製、発光色:青色)、ユーロピウム−テノイルトリフルオロアセトンキレート(シンロイヒ社製、発光色:赤橙色)等を挙げることができる。
このような波長変換材料を使用すれば、地紋またはパターンが自然光下で不可視なものとすることができる。
なお、可視光において着色している蛍光染料タイプの波長変換材料もあるが、発光色の多くは、当該着色光と同系色であるため、本発明の偽造防止カードに使用する場合には、発光色が区別できるものが好ましい。
【0015】
本発明に使用する波長変換材料を含む印刷インキや塗工材料は、ビヒクルに当該波長変換材料を分散し、さらに有機溶剤を加えて混練し塗料化したものである。印刷インキといっても塗工材料としては、同質であり、地紋やパターン印刷に用いるものを印刷インキと表現している。
【0016】
印刷インキや塗工材料のビヒクルとしては、ポリエチレン系〔ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体〕、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ビニル系〔ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルホルマール〕、アクリル系〔ポリメチルメタクリレート(PMMA)、MMA−スチレン共重合体〕、セルロース系〔エチルセルロース、酢酸セルロース、プロピルセルロース、酢酸・酪酸セルロース、硝酸セルロース〕、ポリエステル系〔ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート〕、石油樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ウレタン系等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂の添加量は、形成される印刷層の発光強度や印刷適性等を考慮して適宜決定することができる。
【0017】
添加する有機溶剤は、使用するビヒクルとの関係で相溶性の良い溶剤を、また乾燥速度等を考慮して使用することになる。
一般的に用いられるのは、トルエンやキシレン、イソプロピルアルコール、メタノール、エチルアルコール、ブタノール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等である。また、植物油等が用いられる場合もある。
【0018】
次に、本発明の偽造防止カードについて説明することとする。
図1、図2は、本発明の偽造防止カードの層構成の例を示す図である。
偽造防止カード1は、各種の層構成があり特定の層構成に限定されるものではないが、例えば、図1、図2の層構成とすることができる。
図1の場合、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるカード基材11の表面側に地紋印刷層12と絵柄印刷層13があり、最表面は保護層14となっている。カード基材11の裏面側には、磁気記録層15と磁気隠蔽層16が設けられている。このような構成のカードはテレフォンカード等の用途に多い。
絵柄印刷層13は特に制限はなく、一般的に公知のオフセット、グラビア、スクリーン印刷等の印刷法にて適宜印刷可能である。
【0019】
図2の偽造防止カード1の層構成は、厚み280μmの白色塩化ビニルコアシート211,212と、厚み100μmの透明塩化ビニルオーバーシート213,214からなる。オーバーシート213には転写した磁気層25が設けられている。
これらは、自己熱融着性の塩化ビニルシートを熱圧プレスして一体のカード基体にしたものである。プレス条件は、通常、150°C、25kg/cm 2、時間15分程度となる。このような構成のカードはクレジットカード、キャッシュカード等の用途に多い。
【0020】
本発明の偽造防止カードの特徴は、地紋印刷層12,22の印刷に波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを使用することにある。
波長変換材料はインキ固形分に対して、0.5%以上混合すれば、励起光照射時に目視で発光を確認できることが後述の実施例でも確認されている。また、励起光を照射しない状態では目視で当該材料の存在を認識することができない。
さらに、当該材料を分散したインキ自体が透明で不可視なものにすれば、より一層、高いセキュリティー性が得られる。
【0021】
地紋印刷層12,22の地紋は、特に限定されるものではないが、通常の証券や証紙、紙幣等に使用する彩紋や単色の地模様、あるいは微細な文字パターン、幾何学的パターン等を採用することができる。
【0022】
カード基材11は、使用目的に応じて選定されるものであり、特に限定されるものではないが、一般的にはプラスチック基材が好ましい。
特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレート−G(PET−G)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリレート(PAr)、トリアセチルセルロース(TAC)、ジアセチルセルロース(DAC)、ポリメタクリル酸メチル、各種生分解性プラスチック、天然樹脂、紙、合成紙などから単独で選択されたもの、または上記より選択されて組み合わされた複合体等が知られており、使用目的に応じて適宜選択可能であり特に制限はない。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の各種実施例について説明する。
(実施例1)
図1図示の磁気カードの形態において、カード基材11として、厚み188μmの2軸延伸PETシートを使用し、裏面に磁気記録層15、磁気隠蔽層16を形成した。このカード基材11の磁気記録層塗工面と反対側の面に、下記組成の地紋印刷用インキを用いてオフセット印刷法により印刷して、地紋印刷層12を形成した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼ロジン変性フェノール樹脂 40重量部
▲4▼植物油 20重量部
▲5▼溶剤 適宜量
▲6▼添加剤 適宜量
上記において、Y2 O2 S:Euは、付活剤がEu(ユウロピウム)である紫外励起、赤外発光材料であり、YF3 :Er,Ybは、付活剤がEr(エルビウム)とYb(イッテルビウム)である、赤外線励起の緑色発光材料である。
【0024】
次に、通常のオフセット印刷法で絵柄印刷層13を形成したのち、下記組成の保護層用塗工液をオフセット印刷法により、乾燥時の厚さが1μmとなるように塗布し保護層14を形成した。
<保護層用塗工液>
▲1▼ポリエステル樹脂 50重量部
▲2▼石油樹脂ワニス 20重量部
▲3▼植物油 10重量部
▲4▼添加剤 適宜量
以上のようにして作製した磁気シート原反を、JISX6301のID1型の個々のカードサイズ(85.60×53.98mm)に打ち抜き加工をし、偽造防止磁気カードを得た。
【0025】
(実施例2)
地紋印刷用印刷インキに、実施例1の▲1▼,▲2▼の波長変換材料に代えて、下記波長変換材料を用いた以外は、実施例1と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
▲1▼波長変換材料(SrAl2 O4 :Eu,Dy)
▲2▼波長変換材料(Nd0.4 P5 O4 )
上記において、SrAl2 O4 :Eu,Dyは、付活剤がEu(ユウロピウム)とDy(ジスプロシウム)である、紫外励起、緑発光材料であり、Nd0.4 P5 O4 は、赤外線励起のより長波長の赤外発光材料である。
【0026】
(実施例3)
地紋印刷用印刷インキに、下記組成の地紋印刷用インキを用いた以外は、実施例1と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼顔料(黄) 8重量部
▲3▼ロジン変性フェノール樹脂 40重量部
▲4▼植物油 20重量部
▲5▼溶剤 適宜量
▲6▼添加剤 適宜量
【0027】
(実施例4)
図2図示の偽造防止磁気カードを作製した。
まず、抗磁力650エルステッドの磁気層が塗工された磁気転写用PETフィルムを、厚さ100μmの透明な塩化ビニルオーバーシート213の所定位置に、テープ状に熱転写し、PETフィルムを剥離することにより磁気層25を施した透明オーバーシートを得た。
次に、このオーバーシートを、図2のような基材構成の塩化ビニルからなる磁気カードの最上層の透明オーバーシート213として積層して使用し、熱圧プレスしてカード基体を作製した。
【0028】
次に、上記カード基体の磁気層25を設けた透明オーバーシート面に、下記組成の磁気隠蔽用塗工液をシルクスクリーン印刷法により、厚さ5μmに塗布して磁気隠蔽層26を形成した。
<磁気隠蔽用塗工液組成>
▲1▼アクリル系樹脂 15重量部
▲2▼酢酸ビニル系樹脂 15重量部
▲3▼アルミニュウム粉末 20重量部
▲3▼顔料 4重量部
▲4▼溶剤(シクロヘキサノン) 40重量部
【0029】
さらに磁気隠蔽層26上に地紋印刷層22を、下記組成の地紋印刷用インキを用いてシルクスクリーン印刷法により、厚さ1μmになるように印刷した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼アクリル系樹脂 20重量部
▲4▼酢酸ビニル系樹脂 20重量部
▲5▼溶剤(シクロヘキサノン) 50重量部
【0030】
次に、オフセット印刷法を用いて絵柄印刷層23を形成した後、保護層24を下記組成の保護用塗工液を用いてグラビア印刷法により塗布した。
<保護用塗工液組成>
▲1▼酢酸セルロース樹脂 10重量部
▲2▼ポリエステル樹脂 20重量部
▲3▼溶剤(メチルエチルケトン) 100重量部
最後に、JISX6301のID1型カードサイズ(85.60×53.98mm)に打ち抜き、偽造防止用磁気カードを作製した。
【0031】
(実施例5)
地紋印刷用インキに下記波長変換材料を用いた以外は、実施例4と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
▲1▼波長変換材料(SrAl2 O4 :Eu,Dy)
▲2▼波長変換材料(Nd0.4 P5 O4 )
【0032】
(実施例6)
地紋印刷用インキに下記印刷インキを用いた以外は、実施例4と同様にして、偽造防止磁気カードを作製した。
<地紋印刷用インキ組成>
▲1▼波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 2重量部
▲2▼波長変換材料(YF3 :Er,Yb) 2重量部
▲3▼顔料(緑) 8重量部
▲4▼アクリル系樹脂 20重量部
▲5▼酢酸ビニル系樹脂 20重量部
▲6▼溶剤(シクロヘキサノン) 50重量部
【0033】
(比較例1)
地紋印刷用インキに下記印刷インキの波長変換材料(Y2 O2 S:Eu)の混合量を下記割合に変更した以外は、実施例4と同様にして偽造防止磁気カードを作製した。
波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 0.2重量部
【0034】
(比較例2)
地紋印刷用インキに下記印刷インキの波長変換材料(Y2 O2 S:Eu)の混合量を下記割合に変更した以外は、実施例4と同様にして偽造防止磁気カードを作製した。
波長変換材料(Y2 O2 S:Eu) 0.1重量部
【0035】
実施例1〜実施例6、および比較例1〜2で作製した偽造防止磁気カードについて、ブラックライト(波長360nm)、および半導体レーザ(波長820nm)を地紋印刷部に照射して、目視で発光色を確認した。
さらに、分光器(日本分光株式会社製「CP25C」)を用いて発光特性を測定した。表1に測定結果を示す。
【0036】
【表1】
【0037】
以上の目視および測定結果を評価すると次のことを結論することができる。
(1)実施例1の偽造防止磁気カードは、波長変換材料Y2 O2 S:Euが、ブラックライトにより励起されて、625nmの赤色発光をしており、波長変換材料YF3 :Er,Ybは、半導体レーザーの赤外光励起により、550nmの緑色発光をしている。これにより、検査光として、ブラックライトと赤色半導体レーザを用いれば、波長変換材料を含まない偽造カードや1種類の波長変換材料のみを含む偽造カードを明瞭に検出することができる。
【0038】
(2)実施例2の偽造防止磁気カードは、波長変換材料SrAl2 O4 :Eu,Dyが、ブラックライトにより励起されて、520nmの緑色発光をしており、波長変換材料Nd0.4 P5 O4 は、半導体レーザーの赤外光励起により、より長波長域の赤外域に発光をしているが、目視では色光を感じることはできない。
これにより、検査光として、ブラックライトと赤色半導体レーザを用いれば、波長変換材料を含まない偽造カードや1種類の波長変換材料のみを含む偽造カードを明瞭に検出することができる。
【0039】
(3)実施例3の偽造防止磁気カードは、地紋印刷インキの波長変換材料は、実施例1と同一であるが、黄色顔料が添加されている違いがある。
ブラックライトおよび半導体レーザーによる発光色は実施例1と同様であるが、本来黄色に地紋印刷されている部分からも発光するので、着色印刷されている偽造カードであっても明瞭に検出できることが示される。
(4)実施例4の偽造防止磁気カードは、カードの基材が塩化ビニルであるため、地紋印刷インキのビヒクルが実施例1と異なり、印刷もシルクスクリーン印刷であるが、波長変換材料は実施例1と同一であり、ブラックライトおよび半導体レーザー励起による発光色は実施例1と同一結果となることが示されている。
【0040】
(5)実施例5の偽造防止磁気カードは、カードの基材が塩化ビニルであるため、地紋印刷インキのビヒクルが実施例2と異なり、印刷もシルクスクリーン印刷であるが、波長変換材料は実施例2と同一であり、ブラックライトおよび半導体レーザー励起による発光色は実施例2と同一結果となることが示されている。
(6)実施例6の偽造防止磁気カードは、地紋印刷インキの波長変換材料は、実施例4と同一であるが、緑色顔料が添加されている違いがある。
ブラックライトおよび半導体レーザーによる発光色は実施例1と同様であるが、本来緑色に地紋印刷されている部分からも発行するので、着色印刷されている偽造カードであっても明瞭に検出できることが示されている。
【0041】
(7)比較例1は、波長変換材料であるY2 O2 S:Euの添加量が、実施例4の10分の1の0.2重量部に減少されているが、結果的に実施例4と同様の目視および測定結果を呈示することが示されている。
ちなみに、実施例4におけるY2 O2 S:Euの全固形分に対する添加量は、約4.55%、比較例1は、0.47%となる。
(8)一方、比較例2は、波長変換材料であるY2 O2 S:Euの添加量を、実施例4の20分の1の0.1重量部に減少した結果、赤色の発光を呈しないことが示されている。
比較例2のY2 O2 S:Euの全固形分に対する添加量は、約0.24%となる。
【0042】
(9)比較例1と比較例2の結果から、目視で発光を確認するためには、インキ固形分に対して波長変換材料が全固形分に対して、約0.5%混入されていれば、光照射時に目視で発光を確認することができ、また光を照射しない状態では目視で波長変換材料の存在を確認することができない。また、0.4%未満では発光が確認できず、不十分といえる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように、本発明の偽造防止カードは、2種類以上の波長変換材料が地紋またはパターン印刷層のインキに混合されているので、複数種の励起光を照射して偽造カードを明瞭に識別することができる。
また、波長変換材料は全面印刷ではなく、地紋またはパターンという部分印刷部に使用されているので、コスト面でもインキ費の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偽造防止カードの層構成の例を示す図である。
【図2】本発明の偽造防止カードの層構成の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 偽造防止カード
11,21 基材
12,22 地紋印刷層
13,23 絵柄印刷層
14,24 保護層
15 磁気記録層
16,26 磁気隠蔽層
25 磁気層
Claims (3)
- 特定波長の励起光を照射することで、特定波長の色光を発光する波長変換材料を2種類以上混合した印刷インキを用いて、カードの地紋またはパターンを印刷したことを特徴とする偽造防止カード。
- 波長変換材料の1種類または2種類が、励起光よりも短波長の色光を発光することを特徴とする請求項1記載の偽造防止カード。
- 地紋またはパターンが自然光下で不可視であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の偽造防止カード。
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