JP2004097907A - バイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法 - Google Patents

バイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法 Download PDF

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竹内 美緒
Takeshi Tanaka
田中 武
Hisashi Nirei
楡井 久
Kenji Nanba
難波 謙二
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    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

Abstract

【課題】バイオレメディエーションは汚染浄化効率が低く、汚染浄化の完了までに長期間を要する欠点があった。また、単一の細菌を高密度に注入するバイオオーグメンテーションを実施すると、生態系へ悪影響を及ぼす心配があるので、公衆受容が得られがたかった。
【解決手段】バイオレメディエーションに活用する微生物の浄化機能を活性促進する条件として、微生物を含む流体に微生物の種類に応じた所定範囲の圧力を加えるか、あるいは所定の噴射対象および環境を設定して噴射するようにした。さらに、バイオオーグメンテーションで活用する微生物の代謝活性を維持したまま増殖能を失わせる条件として、微生物を含む流体に微生物の種類に応じた所定範囲の圧力を加えるか、あるいは所定の噴射対象および環境を設定して噴射するようにした。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する利用分野】
本発明は、細菌などの微生物の自然分解能力を利用して環境汚染を浄化、無害化するバイオレメディエーション(Bioremediation)の効率化方法と、そのなかでも汚染現場に浄化微生物が生息していない場合に、培養した微生物を導入して浄化するバイオオーグメンテーション(Bioaugmetation)の安全性の高い手法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、微生物に対する高圧技術は主に食品分野で、微生物を死滅させる殺菌を目的に用いられてきた。しかし、微生物の種類と圧力条件によっては微生物の活性が促進されることに着目し、圧力制御で微生物による効率的な汚染浄化を行う。
【0003】
周知の重金属の他、揮発性有機塩素系化学物質(以下、「VOCs」とも称す)、例えばトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの有機溶剤による地層や地下水の汚染は、近年の深刻な社会問題となっている。これら重金属やVOCsなど(以下、「汚染物質」とも称す)を有効且つ効率的に除去し無害化する処置として、物理・化学的手法の他、微生物の生分解反応を利用する(バイオレメディエーション)ことにより、汚染地層や地下水を掘削あるいは揚水して、または原位置において浄化しようとする汚染地層浄化方法が実用化されつつある。
【0004】
バイオレメディエーションは、工場排水または掘削あるいは揚水した土壌・地層・地下水に対してリアクター内もしくは地上で行う場合と、原位置で行う場合とがある。原位置で行う場合、微生物の活用法により2つに分類される。一つは、バイオスティミュレーションといわれ、汚染した土壌・地下水に窒素、リン等の無機栄養塩類、メタン、堆肥等の微生物の増殖に必要な炭素源エネルギー源としての有機物、さらに空気、酸素や過酸化水素等を注入し、現場に生息している微生物を増殖させて浄化活性を高める方法であり、もう一つはバイオオーグメンテーションとよばれ、汚染現場に浄化微生物が生息していない場合に、培養した汚染物質分解能の高い微生物を導入して浄化する方法である。
【0005】
また、先行技術の一例として土壌中に生息する汚染物質を分解可能な微生物を活性化することにより、効果的に汚染土壌を浄化することが可能な汚染土壌の浄化方法及び浄化システム(例えば、特許文献1を参照)があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−10752号公報(要約書、第1図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
第1の課題として、バイオレメディエーションは汚染浄化効率が低く、汚染浄化の完了までに長期間を要するという欠点があった。
【0008】
第2の課題として、環境汚染浄化の目的に沿うように、単一または限られた種類から選ばれた微生物を、通常の生態系内ではあり得ない異常な高密度で浄化対象に注入するバイオオーグメンテーションを実施すると、生態系へ悪影響を及ぼす心配がある。
【0009】
第3の課題として、掘削した汚染土壌および/または揚水した汚染地下水あるいは汚染地層の原位置での浄化を人畜無害に低コストかつ短期間で効率良く汚染浄化する。しかも、従来技術の延長により、既存設備なども有効利用可能にする。
【0010】
第4の課題として、既存技術を交えたプラント設備の有効利用を図る。
【0011】
第5の課題として、汚染物質分解能を持つ細菌を活性化して分解活性を最高に効率良く利用する。
【0012】
第6の課題として、汚染物質分解能を持つ細菌を活性増加させるパラメーターとして、前記流体の温度、pHおよび/または浸透圧を制御する。
【0013】
第7の課題として、汚染された工場排水あるいは地下水を前記微生物により、リアクター内でも浄化処理する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明では、バイオレメディエーションに活用する微生物の浄化機能を促進する条件として、前記微生物を含む流体に微生物の種類に応じた所定範囲の圧力を加えるか、または所定の噴射対象および環境を設定するようにしたので、微生物の種類に応じて最適の圧力を加えると活性促進作用を呈し、当該微生物による汚染浄化機能が増加するので、バイオレメディエーションの汚染浄化効率を高められる。
【0016】
請求項2に係る発明では、バイオオーグメンテーションで活用する微生物の代謝活性を維持したまま増殖能を失わせる条件として、前記微生物を含む流体に微生物の種類に応じた所定範囲の圧力を加えるか、あるいは所定の噴射対象および環境を設定して噴射するようにしたので、環境汚染浄化の目的に沿うように、単一または限られた種類に選ばれた微生物を、通常の生態系内ではあり得ない異常な高密度で浄化対象に注入するバイオオーグメンテーションを実施しても、生態系へ悪影響を及ぼす心配も無くなる。
【0017】
請求項3に係る発明では、掘削した汚染土壌および/または揚水した汚染地下水あるいは汚染地層の原位置での浄化を行う方法であって、前記環境汚染を浄化する洗浄媒体である流体に微生物の種類に応じて活性促進作用を呈し、当該微生物による汚染浄化機能が増加する、あるいは代謝活性を維持したまま増殖機能を失わせる範囲の圧力を加えるか、または所定の噴射対象および環境を設定して噴射するようにしたので、当該微生物による汚染浄化機能が増加し、バイオレメディエーションの汚染浄化効率を高められる。また、バイオオーグメンテーションを実施しても、生態系へ悪影響を及ぼす心配もないので、公衆受容が得られ易く、汚染浄化の期間も短縮できる。
【0018】
請求項4に係る発明では、汚染された地層中に、物理作用と化学反応と高圧洗浄の何れかに加えて、微生物の代謝とそれらの促進による浄化機能を具備した流体を圧入する圧入井戸を形成し、前記圧入井戸の壁面または底部に設けられた噴射口から、前記流体を物理作用と化学反応と高圧洗浄の何れかの浄化機能の制御と同時に、前記微生物の代謝活性と増殖機能を制御する圧力で噴射し、噴射された前記流体が前記地層中を撹拌、洗浄し、汚染物質を分離または分解させ、前記地層中における未分解の汚染物質を含む流体を回収井戸から回収することにより前記汚染物質を除去する。
【0019】
このようにしたので、流体が浸透し難い粘土またはシルトあるいは泥岩質の汚染地層であっても20〜500MPaの範囲に加圧された液体により、粘土またはシルトあるいは泥岩層をフレーク状に破壊して、均一な微粒子を形成するので、流体を浸透し、撹拌、洗浄できる。
【0020】
また、VOCs汚染地層の場合には、0.1〜1.0MPaの範囲に加圧された気体であれば、当該地層中の地下水などに混じって気泡となり、スパーシングを伴って、浸透、撹拌、洗浄の効果が高められ、当該気泡は未処理汚染物質を前記液体と共に地上に向けて持ち上げるので、無害化処理を施すことが容易になる。
なお、前記物理作用と化学反応と微生物の代謝と高圧洗浄の何れかの機能を促進させるために気体を混入している。
【0021】
請求項5に係る発明では、前記流体としての水に、前記微生物としてメタン資化細菌を添加し、前記メタン資化細菌に含まれて汚染物質分解能を担う酵素を活性維持する30〜50MPaの範囲に加圧して前記圧入井戸内から前記汚染地層中に高圧噴射するようにした。
【0022】
このようにすれば、圧力に対する微生物の反応は種類によって、また対象とする酵素によって、また噴射対象及び環境によって固有であるものの、メタン資化細菌の汚染物質分解能を担う酵素については40MPaの大気に対する高圧噴射で約2倍の活性増加、40MPaで5分間の静水圧で1.3倍の活性増加が認められる。このように、メタン資化細菌の場合は、40MPa程度の圧力が活性増加に有効である。当該微生物は、その細胞膜を前記40MPa程度の圧力により傷つけることで増殖能は抑制されるが、細胞内の酵素は無傷であり、さらに細胞膜の透過性が向上し、汚染物質と酵素の接触も良くなることによりメタン資化細菌の分解活性を最大に効率良くできる。
【0023】
請求項6に係る発明では、前記流体の温度、pHおよび/または浸透圧を活性増加のパラメーターとして、前記メタン資化細菌の分解活性を最大ならしめるように制御する。
【0024】
請求項7に係る発明では、汚染された工場排水あるいは地下水を前記微生物を含む溶液と混合し、リアクター内で当該微生物による汚染浄化機能が増加する、あるいは代謝活性を維持したまま増殖機能を失わせる範囲の圧力を加えるか、または所定の噴射対象および環境を設定して噴射することを特徴とする。
【0025】
このようにしたので、汚染された工場排水あるいは地下水を前記微生物を、リアクター内でも浄化処理できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は本実施の基本形態を説明する汚染地層による断面模式図である。汚染地層1中に、後述する物理作用と化学反応や微生物の代謝による浄化機能を具備した流体2を圧入する圧入井戸3および流体2を回収する回収井戸4を、所定の間隔(図3参照)で削孔により形成する。流体2は主に水と空気の2相であり、第1の洗浄媒体である水と、第2の洗浄媒体である空気の他に、第3の洗浄媒体を添加するような、汚染地層1の浄化方法と装置が開発されている。
なお、図1中、汚染地下水22は、通常の地下水位22aは、圧入井戸3からの噴射圧により、水位22bまで押し下げられる。
【0028】
圧入井戸3内の壁面に設けられた噴射口5から、流体2を物理作用と化学反応や微生物の代謝機能を制御する圧力で噴射し、汚染地層1中に浸透させることにより汚染地層1中を撹拌、洗浄し、汚染物質6を汚染地層1から分離させると共に活性が高められた微生物による分解を促す。超高圧ポンプ7により20〜200MPaに加圧された60〜210L(リットル)/minの水と、0.5〜0.5MPaに加圧された300m/hの空気が流体2を構成し、その流体2がその圧力によって圧入井戸3へ圧入されることにより、汚染地層1が粘土やシルトあるいは泥岩であっても目的を達成する。これらの流体2の圧力と量に関しては、汚染地層1の物性すなわち構成粒子・固結度および地下水と、汚染物質6の種類により適切に設定する。
【0029】
すなわち、通常なら流体2が浸透できない粘土やシルトあるいは泥岩層であっても、超高圧噴射水20による撹拌と洗浄の作用により、組織が破壊されて緩められた汚染地層1中に、流体2を浸透させることができる。さらに、VOCs地層汚染などの場合には、流体2を物理作用と化学反応や微生物の代謝機能を制御したり、前述の空気のスパーシング効果が発揮する圧力で噴射すると、浄化が促進する。
【0030】
また、圧入井戸3の地上部分に位置する注入孔30には、超高圧ポンプ7の高圧送出管が気密接続されている。そして、超高圧ポンプ7の圧力や流体2の含有成分などは図示せぬ制御盤などにより適宜に加減できる。なお、圧入井戸3の内側にある金属管のロッド31はボーリング削孔では周知であり、噴射口5のついたロッド31のきりもみ回転に伴って噴射口5を回転させ、スプリンクラー作用により、超高圧噴射水20の撹拌と洗浄の効果が高められる。
【0031】
そして、汚染物質6のうち無害化されていない成分を含む流体2を回収井戸4から回収することにより汚染物質6を除去する。圧入井戸3のロッド31の地中側壁に開口した噴射口5から超高圧噴射水20を噴射し、汚染地層1中を撹拌、洗浄することにより、物理作用と化学反応や微生物の代謝による浄化洗浄機能を支援し制御する。ここで、汚染物質6のうち無害化されていない成分を含む流体2を回収井戸4から回収することにより汚染物質6を汚染地層1中から除去し、後述する地上設備(図4)で有害物質と無害物質を分別することができる。
【0032】
図2は本実施に好適な汚染地層1による断面模式図である。メタンガスを含む地層には周知のメタン資化細菌21が生息しており、メタン資化細菌21の代謝作用により、表層の汚染土壌10を含む汚染地層1に存在する有害物質6を無害化する。メタン資化細菌21に限らず、ある種の微生物にはその代謝作用により有害物質6を無害化することが知られている。例えば、熱帯魚などを飼育する水槽(図示せず)の飼育水にある種の微生物を添加し、その微生物の代謝機能により飼育水を浄化する方法や、微生物利用の汚水浄化層と類似の原理で汚染物質6を無害化処理する方法が周知であり、浄化の原理は同様である。
【0033】
また、メタン資化細菌21をはじめ、他の微生物や動植物の生態系を含んだ地球規模の自然浄化システムが正常に機能していることにより、人類が健康に生息できることは自明であるが、地球規模の自然浄化システムを局所的な汚染地層1に限定して、その浄化を効率良く実施するようにしたのが本発明の要旨でもある。
【0034】
ここで超高圧ポンプ7(図1参照)により、メタン資化細菌21の代謝機能を適切に制御する圧力に流体2を加圧し、圧入井戸3から超高圧噴射水20として汚染地層1に浸透し、汚染地層1を撹拌し、メタン資化細菌21の増殖および代謝を支援するように噴射し、浸透させて、浄化効率を高める。超高圧噴射水20の圧力が、請求項4で定義する「前記流体を物理作用と化学反応、そして微生物の代謝とその促進と高圧洗浄の何れかの機能を制御する圧力」を意味する。
【0035】
図2では洗浄媒体である流体2には、汚染地層1中に含まれる汚染地下水22を回収井戸4で回収してそのまま循環させている。当該汚染地下水22には天然のメタン資化細菌21が含まれていることをそのまま利用しているが、もし天然のメタン資化細菌21では不足ならば人工的にメタン資化細菌21を流体2に添加すれば良い。また、メタン資化細菌21の増殖を促進させて代謝を促すような気体や栄養を流体2に添加しても良い。図2は天然状態で既に備わっている自然浄化システムを局所的な汚染地層1に限定し、その浄化を加速して効率良く実施するようにした形態であり、メタン資化細菌21の増殖を適宜に促進させるような周知の手段を追加して実用に供する。
【0036】
図3は圧入井戸3および回収井戸4の配置を示す模式図である。地面100から削孔(ボーリングなど)により圧入井戸3および回収井戸4を、適宜間隔を有して形成する。また、圧入井戸3および回収井戸4にはそれぞれの注入孔30および抽出孔40が地上に通じ、図示せぬ地上設備(図4参照)に接続されている。また、圧入井戸3を構成する金属管のロッド31(図1,4参照)の壁面または底部に設けられた噴射口5から、回収井戸4の壁面または底部に設けられた吸収口8までの距離Dを0.5〜5.0mの範囲に設定している。距離Dは汚染地層1に対する流体2の浸透性により適宜に加減する。すなわち、浸透性の良い砂の地層ならば距離Dを長く、しかも流体2の圧力も比較的低くする。逆に、浸透性の低い粘土やシルトあるいは泥岩の地層ならば距離Dを短く、しかも流体2の圧力を相当に高く設定する。
【0037】
流体2が水と空気であるならば、それぞれが加圧された状態で噴射口5まで供給され、噴射口5で適宜に混合されるノズル形状(図示せず)にすることにより、気泡を含む超高圧噴射水20(図1,図2)を発生するので、スパーシング現象を伴う地層破壊作用があり、浸透性に乏しい粘土やシルトあるいは泥岩の地層に対しても高い洗浄効果を発揮し、また活性が高められた微生物を地中に浸透させることができる。
【0038】
図4はプラント構成を示す模式図であり、汚染地層1の所在地にプラントを構成し、浄化の目的を達成したら当該プラントを撤去し、他の現場に移動してプラントの反復利用する車載可搬プラントである。以下に、その構成、作用および効果を合わせて説明する。
【0039】
圧入井戸3と回収井戸4はボーリング装置50により金属管を使って削孔される。圧入井戸3を金属管で構成するロッド31は図1で説明した通り、地中できりもみ状に回転し、地中の噴射口5から噴射される超高圧水20によるスプリンクラー作用で、汚染地層1への撹拌と洗浄の効果を与える。
【0040】
回収井戸4は地上の抽出孔40を開放せずに、切換接続自在のバルブ42を介して回収母管41に接続され、測定器(図示せず)を接続すれば、汚染程度を計測する事もできる。回収母管41は真空ポンプ51で吸引されることにより、複数の回収井戸4から洩れなく回収された流体2を、蓋付きの(図4では省略)ノッチタンク52へと汲み上げる。洗浄作用により汚染物質6(図1)が取り込まれた汚染水とVOCsなどの汚染気体を含んだ流体2のうち、汚染水に対しては二槽式のノッチタンク52において汚染物質6及び微生物細胞を沈殿させて除去することもできる。汚染物質6及び微生物細胞第一槽で荒く沈殿させた後に、第一槽からV字型切り欠き部を通過してあふれた上澄みを第二槽に溜めて同様に沈殿させ、第二槽の上澄みを曝気装置53に送るようにしても良い。その場合はノッチタンク52に適切な沈殿剤などを加えればさらに効果的である。
【0041】
ノッチタンク52では、VOCsなどの有害物質含む水溶液は曝気装置53に連続的に送り込まれ、曝気装置53により、無害化処理される。無害化処理の際に曝気装置53で分離されたVOCsなどを含む有害な気体は活性炭吸着塔55で無害化処理された後で大気中に放出される。VOCs汚染の場合などには、曝気装置53で無害化処理された水は二槽式の水槽54で一時蓄積され、循環利用に供される。
なお、二槽式のノッチタンク52において汚染物質6を沈殿させて除去した沈殿処理もしくは、さらに高度の浄化作用のある沈殿処理を二槽式の水槽54で行うこともできる。
【0042】
水槽54で一時蓄積され、連続作業を継続するのに必要な量を確保された水は超高圧ポンプ7により微生物機能を制御する圧力に加圧され、同時に超高圧ポンプ7により0.5MPa前後に加圧された空気と混合され、微生物活性の高められた流体2が、ボーリング装置50を介し、圧入井戸3の地上部にある注入孔30から圧入される。そして、圧入井戸3の地中側壁に開口した噴射口5から汚染地層1へ噴射される。噴射口5では水と空気のそれぞれが加圧された状態で噴射口5まで供給され、噴射口5のノズル(図示せず)で適宜に混合されることにより高圧洗浄効果を生ずると共に微生物による分解が生じる。
【0043】
続いて、微生物の活動と死滅する様子について説明する。
図5は細胞膜の一部拡大断面図であり、代謝する物質が細胞膜60を透過するように細胞膜タンパク質61が存在し、その細胞膜タンパク質61を汚染物質62が外部から内部に向かって入り込む。このとき、プロトン起動力を用いる場合がある。また、汚染物質62にタンパクが結合した汚染物質・タンパク複合体63を通して細胞内に浸入する場合もある。
【0044】
高圧環境においては、図5に示した汚染物質62の細胞膜60の透過性が高められるとともに細胞内での化学反応が活性化されることにより、汚染浄化効率が向上するものと考えられる。
【0045】
図6は高圧により細胞膜が破壊されて死滅する説明図であり、通常圧力環境において、同図(a)の形状であった細菌細胞70に、加圧していくに従って、細胞膜71に亀裂72が生じ(b)、亀裂72から細胞質などが膨出し(c)、ついには破裂して(d)、細菌細胞70は死滅する。
【0046】
図5に示した代謝とともに化学反応が活性化するための最適環境を付与すべく、温度の制御はヒーター、pH調整は水酸化ナトリウムや塩酸などを添加して行う。
また最適pHに調整してから、pH緩衝剤を添加し、pHの変化を抑制することで最適環境の保持が可能である。
さらに、細胞膜60の浸透圧については、塩化ナトリウム等で最適な浸透圧調整する。
【0047】
ちなみに現在、超高圧による微生物の活性増加については、1例が報告されているのみである。それは、Lactobacilluss plantarumという食品を腐敗させる菌であり、250MPa,10−120minの静水圧条件でFOF1ATPaseの活性が最大1.7倍増加した。今回汚染分解に用いるメタン資化細菌もLactobacilluss plantarumも細菌を大きく2つに分けた場合グラム陰性(対するのは陽性)菌に属するものであり、この「活性増加」の特徴はグラム陰性菌に特徴的なものである可能性が有る。超高圧の影響はこれまで食品高圧滅菌を目的に行われたものがほとんどであり、食品に関して,腐敗を起こすものはグラム陽性菌が多く、これらが主に研究されてきたため、グラム陰性菌についての研究例は少ないのが現状である。
【0048】
なお、本実施形態においては、汚染地層に掘削した井戸から洗浄水を超高圧噴射により圧入して回収する、原位置での汚染浄化方法およびそのプラント設備を利用しているが、本発明のバイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法によれば、原位置での汚染浄化方法およびそのプラント設備に限定する必要はなく、あらゆる応用実施形態に適用可能である。
【0049】
以下に、本発明をバイオリアクターとして応用実施した形態を説明する。バイオリアクターは生物を利用して、物質を地上で連続的に生産または処理する技術であり、生物を生きたまま触媒に利用する手法である。
ここでは、一例として揚水した地下水や工場排水などに対する浄化処理設備を取り上げる。
【0050】
図7は第1のバイオリアクター対応の概略図であり、静水圧で分解効果が増加する微生物を用いる場合を示している。図7において、混合された細菌溶液76と汚染水77はポンプ75により、超高圧タンクである反応槽78に送られ、分解活性を増加させる圧力が所定時間かけられ、汚染物質の分解が行われる。反応終了後は、反応槽78の圧力を細菌が死滅する圧力にし、殺菌した後排出する。なお、反応槽78を超高圧に加圧する方法はポンプのほか、加圧シリンダーなど何でも構わないので、図示していない。
【0051】
図8は第2のバイオリアクター対応の概略図であり、高圧噴射で分解効果が増加する微生物を用いる場合を示している。混合された細菌溶液76と汚染水77は超高圧ポンプから、分解活性が増加する圧力で噴射され、反応漕で分解が行われる。反応終了後は、超高圧タンク80を通して、細菌が死滅する圧力を加え、殺菌した後排出する。
【0052】
このように、対象となる汚染物質に対する分解能を持つ細菌溶液76と汚染水77をそれぞれ別個に用意しておき、これらは通常圧力で送液するポンプ75または超高圧ポンプ7により反応槽78,79へと導入され、浄化処理される。対象とする微生物によって、前述した静水圧で分解効果が増加する微生物ならば第1のバイオリアクター対応とし、圧力をかけて噴射した方が分解効果が増加する微生物の種ならば第2のバイオリアクター対応とするように2通りのバイオリアクター対応を使い分ける。
【0053】
【発明の効果】
以上、説明したように請求項1に係る発明によれば、微生物の種類に応じて最適の圧力を加えると活性促進作用を呈し、当該微生物による汚染浄化機能が増加するので、バイオレメディエーションの汚染浄化効率を高められる。
【0054】
請求項2に係る発明によれば、環境汚染浄化の目的に沿うように、単一または限られた種類に選ばれた微生物を、通常の生態系内ではあり得ない異常な高密度で浄化対象に注入するバイオオーグメンテーションを実施しても、生態系へ悪影響を及ぼす心配もないので、公衆受容が得られやすく、汚染浄化に要する期間も短縮できる。
【0055】
請求項3に係る発明によれば、前記環境汚染を浄化する洗浄媒体である流体に添加した微生物による汚染浄化機能が増加し、バイオレメディエーションの汚染浄化効率を高められる。また、バイオオーグメンテーションを実施しても、生態系へ悪影響を及ぼす心配もないので、公衆受容が得られ易く、汚染浄化の期間も短縮できる。
【0056】
請求項4に係る発明によれば、流体が浸透し難い粘土またはシルトあるいは泥岩質の汚染地層であっても20〜500MPaの範囲に加圧された液体は、粘土またはシルトあるいは泥岩質を加熱しながらフレーク状に破壊し、浸透し、撹拌、洗浄できる。また、VOCs汚染地層の場合には、0.1〜1.0MPaの範囲に加圧された気体であれば、当該地層中の地下水などに混じってスパーシングによる微小気泡となり、撹拌、洗浄の効果が高められ、当該気泡は未処理汚染物質を前記液体と共に地上に向けて持ち上げるので、活性が高められた微生物による分解と併せて無害化処理を施すことが容易になる。
【0057】
請求項5に係る発明によれば、メタン資化細菌の細胞膜を前記40MPa程度の圧力により傷つけることで増殖能は抑制されるが、細胞内の酵素は無傷であり、あるいは細胞膜の透過性が向上し、汚染物質と酵素の接触が良くなることによりメタン資化細菌の分解活性を最大に効率良くできる。
【0058】
請求項6に係る発明によれば、前記流体の温度、pHおよび/または浸透圧を活性増加のパラメーターとして制御することにより、前記メタン資化細菌の分解活性を最大ならしめる。
【0059】
請求項7に係る発明によれば、汚染された工場排水あるいは地下水を前記微生物により、リアクター内でも浄化処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の基本形態を説明する汚染地層による断面模式図である。
【図2】本実施に好適な汚染地層による断面模式図である。
【図3】圧入井戸および回収井戸の配置を示す模式図である。
【図4】プラント構成を示す模式図である。
【図5】細胞膜の一部拡大断面図である。
【図6】高圧により細胞膜が破壊されて死滅する説明図である。
【図7】第1のバイオリアクター対応の概略図である。
【図8】第2のバイオリアクター対応の概略図である。
【符号】
1 汚染地層
2 流体
3 圧入井戸
4 回収井戸
5 噴射口
6 汚染物質
7 超高圧ポンプ
8 吸収口
10 汚染土壌
11 粘土層
20 超高圧噴射水
21 メタン資化細菌
22 汚染地下水
22a 通常の地下水位
22b 押し下げられた地下水位
30 注入孔
31 ロッド
40 抽出孔
42 バルブ
50 ボーリング装置
51 真空ポンプ
52 ノッチタンク
53 曝気装置
54 水槽
55 活性炭吸着塔
60,71 細胞膜
61 細胞膜タンパク質
62 汚染物質
63 汚染物質・タンパク複合体
70 細菌細胞
72 亀裂
75 ポンプ
76 細菌溶液
77 汚染水
78 反応槽
80 超高圧タンク
D 噴射口5から吸収口8までの距離

Claims (7)

  1. バイオレメディエーションに活用する微生物の浄化機能を活性促進する条件として、
    前記微生物を含む流体に微生物の種類に応じた所定範囲の圧力を加えるか、または所定の噴射対象および環境を設定することを特徴とするバイオレメディエーションの効率化方法。
  2. バイオオーグメンテーションで活用する微生物の代謝活性を維持したまま増殖能を失わせる条件として、
    前記微生物を含む流体に微生物の種類に応じた所定範囲の圧力を加えるか、あるいは所定の噴射対象および環境を設定して噴射することを特徴とする安全性の高いバイオオーグメンテーション方法。
  3. 汚染された工場排水または掘削した汚染土壌および/または揚水した汚染地下水あるいは汚染地層の原位置での浄化を行う方法であって、
    前記環境汚染を浄化する洗浄媒体である流体に微生物の種類に応じて活性促進作用を呈し、当該微生物による汚染浄化機能が増加する、あるいは代謝活性を維持したまま増殖機能を失わせる範囲の圧力を加えるか、または所定の噴射対象および環境を設定して噴射することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法。
  4. 汚染された地層中に、物理作用と化学反応と高圧洗浄の何れかに加えて、微生物の代謝とそれらの促進による浄化機能を具備した流体を圧入する圧入井戸を形成し、
    前記圧入井戸の壁面または底部に設けられた噴射口から、前記流体を物理作用と化学反応と高圧洗浄の何れかの浄化機能の制御と同時に、前記微生物の代謝活性と増殖機能を制御する圧力で噴射し、
    噴射された前記流体が前記地層中を撹拌、洗浄し、汚染物質を分離または分解させ、
    前記地層中における未分解の汚染物質を含む流体を回収井戸から回収することにより前記汚染物質を除去することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか1項に記載のバイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法。
  5. 前記流体としての水に、前記微生物としてメタン資化細菌を添加し、
    前記メタン資化細菌に含まれて汚染物質分解能を担う酵素の活性を増加させる30〜50MPaの範囲に加圧して前記圧入井戸内から前記汚染地層中に高圧噴射することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちの何れか1項に記載のバイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法。
  6. 前記流体の温度、pHおよび/または浸透圧を活性増加のパラメーターとして、前記メタン資化細菌の分解活性を最大ならしめるように制御することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちの何れか1項に記載のバイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法。
  7. 汚染された工場排水あるいは地下水を前記微生物を含む溶液と混合し、リアクター内で当該微生物による汚染浄化機能が増加する、あるいは代謝活性を維持したまま増殖機能を失わせる範囲の圧力を加えるか、または所定の噴射対象および環境を設定して噴射することを特徴とする請求項1〜請求項6のうちの何れか1項に記載のバイオレメディエーションの効率化方法および/または安全性の高いバイオオーグメンテーション方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN108339847A (zh) * 2018-01-25 2018-07-31 共同科技开发有限公司 一种保护草坪的土壤修复装置
CN112474761A (zh) * 2020-11-16 2021-03-12 中国人民大学 一种分段组合式注药井系统

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