JP2004092208A - 耐摩耗複合切刃 - Google Patents

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永田 貴則
Masaharu Amano
天野 昌春
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Abstract

【課題】簡単な構成で掘削作業に要求される条件を満足できる機能を備えた耐摩耗複合切刃を提供する。
【解決手段】上面2と底面3および対向する側面4と、先端部に形成される刃先5と、基端部側に作業機に取付け得る嵌合部6とを有する、土砂・岩石などを掘削する切刃(リッパポイント1)であって、刃先5から少なくとも上面2と底面3の貫入限界長の範囲ほぼ全面と、前記上面2に連なる中央部分で延長して基端部までの中間位置とに、硬質耐摩耗層7,7a,8が形成されている。
【選択図】     図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主としてリッパポイントなどに使用される掘削用切刃に関するもので、貫入性にすぐれて寿命が長められる機能を備えた耐摩耗複合切刃に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ブルドーザなど土砂の掘削を行う建設機械において、例えばリッパ装置の先端部には掘削用の切刃、通称リッパポイントが着脱可能に装着されている。このような切刃は、地面や岩盤などに貫入させて掘削・破砕などの作業に用いられる。したがって、製品特性として、貫入性と長寿命であることが要求される。また、切刃先端は通常尖った形状をしているので使用の初期には貫入性はよいが、ある程度摩耗が進行すると先端が丸くなり、貫入性が低下して掘削効率が著しく低下する問題がある。土砂・岩石との摩擦も激しいため摩耗による損傷が著しく、数時間で使用できなくなることもある。そのために、頻繁に交換しなければならず、作業効率の低下と高額の部品代が発生することも問題である。そのため、貫入性が低下せず、寿命の長い切刃部品を開発する試みがなされている。
【0003】
このような掘削用切刃としての先行技術については、▲1▼低合金鋼を焼入れ焼戻ししてなる切刃がある。また、▲2▼特表平6−501076号公報にて開示されるものでは、低合金鋼を焼入れ焼戻しした切刃の刃先部の刃先から中間部に両側を残して幅方向の中間部分で硬化肉盛などによる耐摩耗層を配置した切刃が知られている。さらに、▲3▼特許第2596106号公報にて知られるように鋳造により刃先部に硬質材を鋳ぐるみにした切刃や特開昭57−160564号公報で開示された刃先部に硬質材の粒子を混入して鋳ぐるみにした切刃がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら先行技術にあっては多くの問題点がある。すなわち、前記▲1▼の技術の場合、製品として安価であるが、材料の改善による寿命向上は技術的に行き詰まりの状態にあり、対策として摩耗体積の増大により寿命の向上を図っている。しかし、摩耗体積を増大させるには、切刃全体の寸法を長くするか太くする必要があり、長くすると使用に際して折れやすくなり、また、太くすると貫入性を損なうことになる。このため摩耗体積増大にも限界がある。
【0005】
また、前記▲2▼の特表平6−501076号公報による技術では、硬化肉盛により表層に硬化層を配置して摩耗寿命の向上を図るに際し、その硬化層の配置が刃先から中間部にかけて刃幅の中央部にて、上面側に較べて下面側が広くされて、上下の硬化層の長さをほぼ等しく設けられているが、切刃の摩耗体積に較べ硬化層の体積が僅かであるから、摩耗体積の大きな切刃ほどその効果が目立たなくなる傾向にある。したがって、この公報記載のものでは、掘削性に優れた先端部が全幅に亙って強化されておらず、摩耗に対して両側が大きく損耗するので、貫入性は高められるが、寿命の向上を大きく期待することがでず、未だ改良しなければならない問題点を有している。
【0006】
前記▲3▼の特許第2596106号公報や特開昭57−160564号公報に記載の技術では、切刃を構成する材料において母材に硬質材を鋳ぐるむものであるが、母材−硬質材間に接合欠陥が生じることが多く、切刃に曲げ力が作用するとその接合欠陥が起因となって折損する危険性がある、という問題点がある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、簡単な構成で掘削作業に要求される条件を満足できる機能を備えた耐摩耗複合切刃を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、第1の発明による耐摩耗複合切刃は、
上面と底面および対向する側面と、先端部に形成される刃先と、基端部側に作業機に取付け得る嵌合部とを有する、土砂・岩石などを掘削する切刃であって、刃先から少なくとも上面と底面の貫入限界長の範囲ほぼ全面と、前記上面に連なる中央部分で延長して基端部までの中間位置とに、硬質耐摩耗層が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明によれば、刃先部を構成する少なくとも上面と底面の貫入限界長(すなわち、切刃が摩耗して貫入性が著しく悪くなる長さまで、以下同様)となる範囲の全面に硬質耐摩耗層を配置されることにより、貫入性の良好な先端部分の摩耗速度を遅延させることで、耐久性を向上させることができる。それ以後は、上面の中央部で基端部までの中間位置に所要幅で硬質耐摩耗層を配しておくことにより、耐摩耗層以外の部分を優先的に摩滅させて尖った摩耗形状とする。このことによって、切刃先端部の接地面積が小さくなり土砂・岩石に作用する面圧が大きくなるので、貫入性を確保できる。要するに、貫入限界長までは自己摩耗(セルフシャープ)特性は考慮せず、刃先部の全面的な強化により摩耗寿命の向上を図り、貫入限界長以降は貫入性維持のため自己摩耗特性を付与するという機能が二段階に切換わる構成とされている。したがって、切刃の交換頻度を低減させて作業性の向上並びに交換に伴う費用の削減を図ることができる。
【0010】
前記発明において、上面の貫入限界長以上に延長される硬質耐摩耗層の配置部分は、上面の幅方向における中央部の適宜幅で長さ方向には切刃部材の少なくとも摩耗限界長近傍とされるのがよい(第2発明)。こうすると、自己摩耗特性を制御して、使用許容限、すなわち摩耗限界長まで貫入性を確保して有効に使用できるという効果が得られる。
【0011】
前記発明において、上面の貫入限界長を超えて設けられる硬質耐摩耗層配置部分の幅寸法は、刃幅の1/4以上1/2以下で中央に配置されるのがよい(第3発明)。こうすることによって、硬質耐摩耗層の存在しない部分を優先的に摩耗させて、貫入限界長を過ぎてからの自己摩耗特性を制御するのに、1/4未満では全般的に摩耗するのが早まり形状の制御が不完全となり、1/2以上では中央部の非摩耗幅が広すぎるために尖った形状になり難く、貫入性が得られない。要するに前記刃幅の1/4以上1/2以下で中央に硬質耐摩耗層を配することで、摩耗限界まで貫入性が確保できる。
【0012】
また、第4の発明による耐摩耗複合切刃は、
上面と底面および対向する側面と、先端部に形成される刃先と、基端部側に作業機に取付け得る嵌合部とを有する、土砂・岩石などを掘削する切刃であって、その上面の中央部に刃先側から基端部に向けて適宜幅の窪みが形成され、底面の中央部に刃先側から基端側に向けて適宜幅の凸条が形成され、刃先から少なくとも上面と底面との貫入限界長の範囲ほぼ全面と、それに連なる上面の前記窪みおよび底面の前記凸条の部分に硬質耐摩耗層が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、その特徴的な切刃の形状により曲げ強度が向上し、その結果摩耗代を大幅に増大させることが可能になり、かつ硬質耐摩耗層の自己摩耗特性により最後まで尖った形状を維持できる。すなわち、上面中央部に硬質耐摩耗層を配置するので、両サイド部が肉厚になっても優先的に摩滅させることができるので、中央部よりも両サイド部を肉厚にすることが可能になり、このとき切刃は以下の5通りの断面形状となる構造を取り得る。
▲1▼上面側が凹状(サイドリブ)、底面側は凸状(センターリブ)
▲2▼上面側が凹状(サイドリブ)、底面側は凹凸なし(リブなし)
▲3▼上面側、底面側ともに凹状(サイドリブ)
▲4▼上面側が凹凸なし(リブなし)、底面側は凹状(サイドリブ)
▲5▼上面側が凸状(センターリブ)、底面側は凹状(サイドリブ)
これらのうち、上面側が凸状である▲5▼、および上面に凹凸のない▲4▼は、切刃に曲げ負荷がかかった際に、硬質耐摩耗層を配置する中央部に高い応力が作用するので好ましくない。一般的に硬質耐摩耗層は延性に乏しいので、掘削中に過大な曲げ負荷がかかると切刃の弾性変形に追従できず、割れが生じて、この割れが折損の起点になる恐れがあるためである。残りの▲1▼▲2▼▲3▼では、硬質耐摩耗層を配する中央部が窪んだ構造になるので、掘削時に過大な曲げ負荷が作用しても割れが生じ難く、折損の危険性を回避できる。さらに▲1▼▲2▼▲3▼の中では、▲1▼が最もリブが大きくなるので断面強度が大きく、かつ底面が凸状になっているので切刃を尖らせる効果も期待できる。
【0014】
以上のようなことから本発明では、▲1▼の構造を採用し、上面では中央部に窪みを長軸線方向に形成することで、いわゆるサイドリブとなり、底面では逆に中央部に長軸線方向の凸条部を形成することでセンターリブとなり、曲げ強度を大幅に向上させることができる。したがって、切刃を長くすることができ、その分摩耗代を増大することができ、長寿命化が可能になる。
【0015】
また、本発明の断面形状の切刃は、硬質耐摩耗層を配置しない場合、貫入限界長以降、肉厚なサイドリブが摩滅しにくいために貫入性を維持することはできないが、切刃本体の材料よりも十分に耐摩耗性の優れた硬質耐摩耗層を上面の窪み内に配置することによって、耐摩耗層以外の部分が優先的に摩耗するので、本来接地面積が増大して使用に耐えない断面形状の切刃であっても刃先は尖った形状となり貫入性を維持できる。すなわち、貫入性の維持と摩耗代の増加を両立することが可能になる。このほかに、貫入限界までの耐久性を向上させるためこの範囲ほぼ全面に硬質耐摩耗層が配されているのは、前記第1〜第3発明と同様である。
【0016】
このようなことから、本発明の耐摩耗複合切刃によれば、貫入性を損なうことなく耐久性をより一層向上させて、交換頻度を低減してコストダウンを図ることができるという効果を奏するのである。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明による耐摩耗複合切刃の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1には、第1実施形態のリッパポイントを示す側面図(a)上面図(b)および底面図(c)が示されている。
【0019】
本実施形態の耐摩耗複合切刃は、ブルドーザに付設されるリッパ装置のリッパポイントに用いられるものについて説明する。
【0020】
このリッパポイント1は、図1(a)〜(c)によって示されるように、その上面2と底面3と、その両側に対向する側面4と、上面2と底面3が交わって形成される刃先5と、その刃先5と反対側の基部にシャンクへの嵌合部6を形成される構造であり、その刃先5から、上面2の先端部の幅方向にほぼ全幅で所要範囲と、底面3の先端部の幅方向にほぼ全幅で所要範囲とに、それぞれ硬質耐摩耗層7,8が配置され、さらに、前記上面2の全幅に配された硬質耐摩耗層7に連接して基端側へ伸びる中央部に所要の区間で適宜幅の帯状に硬質耐摩耗層7aを配置されてなるものである。図中符号9は取付けピン孔である。
【0021】
前記硬質耐摩耗層7,7a,8は、例えばアーク電極による溶接材の溶融池に粒径0.5〜4mmのWC−7%Co粒子からなる硬質粒子を供給して肉盛りされる。この場合の硬質耐摩耗層7,7a,8の厚さは6mm程度となるように肉盛りされている。
【0022】
また、前記上面2および底面3における幅方向のほぼ全幅に配置される硬質耐摩耗層7,8の領域は、リッパポイント1として通常使用される場合の接地面に対する軸線aの傾斜角がほぼ45°で使用されているので、この状態での初期状態における被削面に対する貫入限界長に相当する位置までとなるように設定される。前記貫入限界長は、図1に示される形状のリッパポイント1において、その全長Lにおける刃先からほぼ1/5L程度である。ただし、刃先部(5A)の形状と押付力、すなわちブルドーザの車体重量により決まるものであるから、前記貫入限界長については、前記数値に特定されるものではない。
【0023】
前記貫入限界長を設定するにあたっては、例えば岩盤に貫入させるに際し、図2(a)の説明図で示されるように、リッパポイント1に与えられる貫入力は、
貫入力∝面圧=押付力/接地面積
の関係にあり、初期状態においては、その刃先の接地面積が極めて少ない状態にあるので、適度な押付力でもって貫入させることができ、刃先部の摩耗形状を制御する必要がない。図2(b)にリッパポイントの模式図および貫入時の面圧と摩耗長さの関係を表わすグラフが示されている。摩耗の初期段階では接地面積が小さいため貫入力が容易に得られる。この接地面への作用面圧が貫入限界面圧よりも高い範囲、すなわち摩耗形状の制御を要しない範囲を貫入限界長として設定する。本発明にあっては、この摩耗形状の制御が必要でない範囲に、特にその幅方向のほぼ全幅に亙って硬質耐摩耗層7,8を配置して、耐摩耗性を高めて寿命を長めるようにしたのである。
【0024】
このように設定される貫入限界長以降については、上面2の軸線に沿って中央部に所要幅で帯状に前記刃先部5Aと同様の硬質耐摩耗層7aが所要長配置されている。この上面2に帯状に配置されている硬質耐摩耗層7a部分の幅wは、刃幅Wの約1/4〜1/2の範囲であり、底面3には配置されない。
【0025】
このように上面の中央部にのみ帯状の硬質耐摩耗層を配することで、掘削作業時において前記硬質耐摩耗層が配される部分以外は早く摩耗され、次第に上面中央部を残して尖った形状になって、接地面積が硬質耐摩耗層を配さない場合よりも小さくなり、貫入性が確保される。言換えると、前記上面に帯状の硬質耐摩耗層を配置されることにより、摩耗形状の制御がなされるのである。もしも、その幅寸法が刃幅の1/4以下に形成されると周辺部が十分に摩滅する前にこの硬質耐摩耗層も摩耗してしまい摩耗形状の制御が不完全となる。またこれとは逆に、前記帯状の硬質耐摩耗層の幅を刃幅の1/2以上にすると、中央部での非摩耗部分の幅が広過ぎるために効果的に先端が尖らず貫入性が得られ難くなるという欠点がある。
【0026】
このようなことから、上面において貫入限界長以降に配される帯状の硬質耐摩耗層の幅wの寸法割合は、刃幅Wに対して1/4〜1/2とされるのがよい。また、その配置長さについては、このリッパポイントとしての摩耗限界長までの寸法とされる。その摩耗限界長は、リッパポイントを図示されないリッパシャンクの先端部に嵌合部を嵌め合わせて装着した状態で、掘削作業を行い、その嵌合部を形成する穴部の内底部が摩耗により露出する限界点に達するまでの長さとされる。
【0027】
そこで、本実施形態のリッパポイントと従来品(耐摩耗層を配されていない)とについて比較試験行った結果が、図3にグラフで示される通りである。このテストにあたっては、一般的なリッピング作業として行われている。なお、一回のリッピング作業距離は約30mである。
【0028】
本実施形態のリッパポイント1は、この比較テストからみて従来品に較べて、硬質耐摩耗層7,8が施されている刃先部5Aの摩耗速度が低下して、貫入限界長に達する摩耗速度(図3に示すa(従来品)に対してA(本発明品)参照)が、従来品に較べて約6倍の耐久性(耐摩耗性)が認められ、刃先部5Aの摩耗後は自己摩耗(セルフシャープ)特性を発揮したためあまり変わらない摩耗速度であるが、摩耗限界長(摩耗長さ160mm)に達するのに従来品が約3.6hrに対して本発明品が約7hrで、最終的には従来品の約2倍の耐久性(耐摩耗性)を有するものとなり、著しく良好であることが判る。
【0029】
また、リッパポイント1の上面2だけに前述の本実施形態のものと同様のパターンで硬質耐摩耗層を配したものと、前記同様に耐久性について比較した結果を、図4に摩耗長さと作業時間の関係を表わす図によって示す。この場合、上面2にだけ硬質耐摩耗層を配した本実施形態のものよりはかなり劣る。貫入限界長以降は硬質耐摩耗層を配した両者のポイントは同様に摩耗が進行するが、貫入限界長の範囲での摩耗速度の差が摩耗限界長に達するまで残る。この寿命差は単に硬質耐摩耗層の量の差に起因するものではない。
【0030】
前記耐摩耗テストの過程での耐摩耗層を上面2と底面3とに配した本実施形態のものAと上面2のみに耐摩耗層を配されたものBとでは、摩耗の状態変化を観察すると、図5に刃先部の摩耗の状態変化を模式的に記入された図で示されるように、貫入限界長に達するまでの両者A,Bの摩耗状態にかなりの差が生じているのが明瞭で、上面のみに耐摩耗層を配したものBにあっては貫入限界に到達する前に底面側が大きく摩耗して先鋭化することから、残留する上面側の耐摩耗層が薄く残り、やがて貫入時の作用力によってその先端部分が欠損し、耐摩耗性が大きく低下するという欠点が生じる。したがって、上面のみに硬質耐摩耗層を配する形式では、両面に硬質耐摩耗層を配する形式と比較して前記グラフによって示されるように、貫入限界長に達するまでの作業時間が短くなることが裏付けされた。
【0031】
ちなみに、第1の実施形態のリッパポイント1が掘削使用されて、摩耗する態様を図6(a)〜(d)によって順を追って例示する。この図において、(a)には貫入限界前の状態を、(b)には貫入限界直後の状態を、(c)には貫入限界後の状態を、(d)には摩耗限界に達した状態を、それぞれ表わしている。本実施形態のリッパポイント1では、このようにして刃先部5Aが摩耗され、またその貫入限界を過ぎると、自己摩耗性を活用して摩耗を制御し、接地面bの増大が抑制されて、貫入性を確保して耐久性を向上させることができるのである。
【0032】
次に、図7には第4発明に係る第2実施形態のリッパポイントを表わす側面図(a)と上面図(b)および底面図(c)が示されている。
【0033】
この実施形態のリッパポイント1Aは、前記実施形態のものと基本的構成においては同様であるが、刃先部から基端部側にかけての断面強度を高め、摩耗体積を大幅に増大させるように構成されたものである。したがって、前記実施形態のものと同一もしくは同様の部分については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0034】
この実施形態のリッパポイント1Aは、上面の刃先部5Aから基端部側に向ってその幅方向の中間部に、所要幅で適宜長さの窪み11が形成され、その窪み11の両側がサイドリブ12,12となるようにされ、また底面3には刃先部5Aから基端部側に向けて前記窪み11と同程度の幅の凸条部13が形成されている。その他は前記実施形態のものと同様の構造である。
【0035】
そして、上面2における刃先部5Aのほぼ全幅で貫入限界長までの範囲に硬質耐摩耗層7が、さらにこれに連接して前記窪み11における所要区間には硬質耐摩耗層7aが配置され、また底面3における刃先部5Aのほぼ全幅とこれに連なる凸条部13表面の所要区間に硬質耐摩耗層8,8aが配されている。なお、底面3の硬質耐摩耗層8,8aは、実質的に貫入限界長さの範囲に配されている。また、前記上面2の窪み11内に配される硬質耐摩耗層7aの配置長さは、丁度摩耗限界となる付近までとされている。
【0036】
このように構成されるリッパポイント1Aは、上面2に窪み11を設けサイドリブにするとともに、底面3に凸条部13を形成することによって、刃先部に続く中間部分の断面強度が高められるので、リッパポイント1Aを長くしても充分な強度が確保され、また、延性の乏しい硬質耐摩耗層7aが窪み11内に配置されているので、掘削中に過大な曲げ負荷が作用しても割れが生じ難く、摩耗代と耐折損性の確保が両立するのである。
【0037】
また、使用時には、全般的に前記実施形態のものと同様にして、貫入限界長までは何等摩耗形状を制御する必要がないので硬質耐摩耗層7,8,8aを配置することにより摩耗を遅らせ、貫入限界長を過ぎた後は、上面の窪み11に配されている硬質耐摩耗層7aのみが残留することになるので、周囲部分が自己摩耗することによって接地面積の増大を抑制し貫入性を維持することが可能となる。すなわち、図8(a)(b)および図9(c)(d)に例示される摩耗する態様説明図で示すように、貫入限界前の状態(a)では、両サイド部c,cを特に摩滅させなくても尖った形状であり、貫入限界直後の状態(b)では、上面2における刃先部5Aから後の窪み11に配された帯状の硬質耐摩耗層7aを残して両サイド部c,cが摩滅して尖った形状になり、さらに状態(c)まで摩耗が進行しても硬質耐摩耗層7aの効果により肉厚な両サイド部c,cが摩滅して、接地面bの増加が最小限に抑えられ、最終的に摩耗限界(d)の状態になり交換時期に到る。
【0038】
ところで、この実施形態のリッパポイント1Aは、図10に示されるように、硬質耐摩耗層が配置されない状態(符号1A’で表わす)で掘削使用された場合には、肉厚なサイドリブが摩滅しにくいため貫入性を維持することができず使用に耐えないものとなる。なお、図中各部位に対する符号は、前記第2実施形態のものと同様に付している。このときの摩耗する態様を図11(a)(b)および図12(c)(d)によって順を追って例示する。これらの図において、図11(a)には貫入限界前の状態を、図11(b)には貫入限界直後の状態を、図12(c)には貫入限界後の状態を、図12(d)には摩耗限界に達した状態を、それぞれ表わしている。前記図8(a)(b)および図9(c)(d)と比較して、貫入限界前の状態(a)では殆ど同じ形状で貫入性に問題はないが、貫入限界以降では肉厚な両サイド部c,cが摩滅しないため次第に接地面bが増大し、貫入限界後の状態(c)、さらに摩耗限界に達した状態(d)に到っては実作業に支障を来し、使用に耐えないものとなってしまう。
【0039】
以上のように、本実施形態のリッパポイント1Aによれば、前記第1の実施形態のものと同様に貫入限界を過ぎるまでは、全く摩耗形状を制御する必要がないので、この範囲に配された硬質耐摩耗層7,8および8aにより摩耗を遅らせることができる。また、刃先部5Aが摩耗されてその貫入限界を過ぎると、自己摩耗性を発揮して摩耗形状を制御し、貫入性が確保され、大幅に増大された摩耗代と相俟って耐久性を大幅に向上させることができるのである。
【0040】
ちなみに、従来品と前記第1実施形態のリッパポイント1(テスト品1と表示されている)とこの第2実施形態のリッパポイント1A(テスト品2と表示されている)とを、大型ブルドーザの従来公知のリッパ装置に装着して実車テストした結果が、図13にグラフでもって示されている。このテスト結果から見て、摩耗耐久性(図上上のグラフで表わされている)が従来品に較べて第1実施形態のものが効果的であり、さらに第2実施形態のものがより優っていることがわかる。また、第2実施形態のリッパポイント1Aは、断面強度を高めるため両サイド部を肉厚にして大きなリブを設けたにも関わらず、硬質耐摩耗層7aによる自己摩耗特性が巧を奏し、貫入性が維持され、前記実施形態のリッパポイント1と同等の作業効率を示し、さらに従来品に較べて終始優れた作業効率を示した。このテストから見て、第2実施形態のリッパポイント1Aでは、従来品の約2.5倍の耐久性を確保することができる。なお、このテストにおいて、平均作業効率(回/分)は、各作業時間区間の平均リッピング作業本数を表わし、1回あたりのリッピング作業距離は約30mである。
【0041】
上述したように、本発明の耐摩耗複合切刃によれば、リッパポイントとして有効であり、このようなリッパポイントのみならず、例えば図14に例示されるようなリッパバケット20の切刃21として使用することができる。あるいは、必要に応じて掘削バケットのツースに活用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1実施形態のリッパポイントを示す側面図(a)と上面図(b)および底面図(c)である。
【図2】図2は、リッパポイントの使用状況の説明図(a)および貫入限界長と摩耗限界長を説明する図(b)である。
【図3】図3は、従来品と本実施形態との比較テストを表わすグラフである。
【図4】図4は、摩耗長さと作業時間の関係を表わす図である。
【図5】図5は、刃先部の摩耗状態変化を模式的に記入された図である。
【図6】図6は、第1実施形態のリッパポイントの摩耗態様を順を追って表す図である。
【図7】図7は、第2実施形態のリッパポイントを表わす側面図(a)と上面図(b)および底面図(c)である。
【図8】図8は、第2実施形態のリッパポイントの摩耗態様説明図(1)である。
【図9】図9は、第2実施形態のリッパポイントの摩耗態様説明図(2)である。
【図10】図10は、第2実施形態のリッパポイントが硬質耐摩耗層なしの場合を表わす図である。
【図11】図11は、第2実施形態のリッパポイントが硬質耐摩耗層なしで使用された場合の摩耗態様を順を追って表わす図(1)である。
【図12】図12は、第2実施形態のリッパポイントが硬質耐摩耗層なしで使用された場合の摩耗態様を順を追って表わす図(2)である。
【図13】図13は、リッパポイントの実車テスト結果を表わすグラフである。
【図14】図14は、リッパバケットとその切刃を示す図である。
【符号の説明】
1,1A,1A’   リッパポイント
2          上面
3          底面
5          刃先
5A         刃先部
6          嵌合部
7,7a,8,8a  硬質耐摩耗層
11         窪み
13         凸条部
a          軸線
b          接地面

Claims (4)

  1. 上面と底面および対向する側面と、先端部に形成される刃先と、基端部側に作業機に取付け得る嵌合部とを有する、土砂・岩石などを掘削する切刃であって、刃先から少なくとも上面と底面の貫入限界長の範囲ほぼ全面と、前記上面に連なる中央部分で延長して基端部までの中間位置とに、硬質耐摩耗層が形成されていることを特徴とする耐摩耗複合切刃。
  2. 上面の貫入限界長以上に延長される硬質耐摩耗層の配置部分は、上面の幅方向における中央部の適宜幅で長さ方向には切刃部材の少なくとも摩耗限界長近傍とされる請求項1に記載の耐摩耗複合切刃。
  3. 上面の貫入限界長を超えて設けられる硬質耐摩耗層配置部分の幅寸法は、刃幅の1/4以上1/2以下で中央に配置される請求項1または2に記載の耐摩耗複合切刃。
  4. 上面と底面および対向する側面と、先端部に形成される刃先と、基端部側に作業機に取付け得る嵌合部とを有する、土砂・岩石などを掘削する切刃であって、その上面の中央部に刃先側から基端部に向けて適宜幅の窪みが形成され、底面の中央部に刃先側から基端側に向けて適宜幅の凸条が形成され、刃先から上面と底面との少なくとも貫入限界長までの範囲ほぼ全面と、それに連なる上面の前記窪みおよび底面の前記凸条の部分とに、硬質耐摩耗層が形成されていることを特徴とする耐摩耗複合切刃。
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