【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はACモータを駆動するサーボ制御装置の電力変換を行うパワートランジスタをドライブ方法において、電流指令や電流フィードバックが変化した時、そこを基点に必要と思われる時間分スイッチングして、電流を流しモータを制御する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ACモータを駆動するサーボ制御装置の電力変換を行うパワートランジスタのスイッチングは図5のように三角波と電流指令を比較して、キャリア周波数であるPWMに変換して、それを上下のトランジスタに分けスイッチングして、電流を流し制御していた。
3相のACモータでは3相分の電流アンプの出力(指令)をそれぞれのPWMの電圧指令に変換してスイッチングしていた。
詳細に説明すると図6のようにキャリア周波数の1周期はU,V→Wに電流を流し、U→V,W…というようにスイッチングして変化する。図7は一定のトルク指令を加えた時の速度と電流の波形である。トルクが小さいと電流も歪み、余分な電流も多いことが分かる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の技術では、キャリア周波数に同期する為、短絡防止のオンディレイの為必要な時必要な電流が流せない、電流が歪む為トルクのリップルが発生する、ロスが発生する、スイッチングの回数が多いのと本来と直接関係ないところにも電流が流れるので、キャリア周波数による高調波と歪みが発生するという問題があった。
そこで本案は、電流を流す必要のない時は全てのトランジスタをオフして待機状態にし、電流指令や電流フィードバックが変化した時、必要と思われる時間分電流を流すことにより、キャリア周波数と関係なくなることにより応答を高める、電流の歪みをなくすことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、通常全てのパワートランジスタをオフして待機状態にし、電流指令や電流フィードバックが変化した時そこを基点に必要と思われる時間分スイッチングして電流を流し、その後全てのパワートランジスタをオフして待機状態とする。またはパワートランジスタをある時間オンしてその後オフして待機状態になった場合、強制的にある時間全てのパワートランジスタをオフして待機状態を設ける。そして3相ACモータを駆動する場合、電流を流す方向が同じ2相はパワートランジスタをオンする時間が重なるので、その時間分補正してスイッチングする。
上記手段により、必要な時トランジスタをスイッチングして適当な電流を即流せるので、電流の応答が早く、又キャリア周波数がないので電流の歪みがなくなる、PWMに相当するスイッチング回数が少なく歪みがないのでパワーロスが少ない、更に低電流時のトルクリップルがなく電流がきれいになる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的実施例を図1に示して説明する。
図1において1は電流アンプ、2はスイッチング変換回路、3はベースドライブ回路、4はパワートランジスタモジュール、5はモータ、6は電流観測器である。
以上のように構成された回路において、その動作を図3のタイミング図を用いて説明する。電流アンプ1は電流指令を受取り電流フィードバックで電流制御する。電流アンプ1の出力を、スイッチング変換回路2でスイッチング信号に変換する。このスイッチング信号で上下トランジスタのベースドライブ回路3を介してパワートランジスタ4をドライブし、モータ5を制御する。
図2はスイッチング変換回路の例である。各トランジスタ毎にカウンタを準備し、カウンタ動作中のみトランジスタがオンし終了したらオフするようにする。すると必要な時に必要な場所のみトランジスタをオンして、電流を流すことができる。上側と下側の判断は電流アンプの出力の方向で判断する。正の時は上側を負の時は下側を選択する。スイッチング時間は以下のように算出する。
スイッチング時間=電流アンプ出力/最大出力×最大スイッチング時間
ここで最大出力は電流アンプゲインで一義的に決まる。最大スイッチング時間は、スイッチングロス等で可能なスイッチング時間である。つまり最大電流を流した時、発生するロスをヒートシンク等で放熱可能なスイッチング時間である。時間が短いとスイッチング回数が増えてロスは大きくなる。但し、3相ACモータを駆動する場合電流を流す方向が同じ2相はパワートランジスタをオンする時間が重なるので、その時間分電流が半分になる。
そこで電流を流す方向が同じ2相は、重なる時間分を2倍にして補正する必要がある。そして残りの1相は重なる時間分を加算する。3相のスイッチング時間をまとめると以下のようになる。
スイッチング時間=電流アンプ出力/最大出力×最大スイッチング時間+電流を流す方向が同じ2相の重なる時間
まず電流観測器6は電流指令及びフィードバックを観測し、変化が発生すると電流アンプ1に 知らせる。そして電流アンプ1はその分のスイッチング時間を必要な指令より即算出し、パワートランジスタ4を図2のようなタイミングで位相とトルク(電流)でスイッチングする。例えばU相からV,W相へ電流を流す位相の時はU相の上側トランジスタオン、V,W相の下側のトランジスタをオンする。スイッチング時間は上記のような方法で算出し、それをスッチング変換2に設定する。そしてスッチング変換2でスイッチング時間分電流を流したら、次の変化する迄スイッチングを停止して準備する。つまり全トランジスタをオフして待機し待つ。そして次に変化が発生してスッチングを開始する場合、ある時間以上経過していればそのまま設定し、経過していない場合は待って設定する。この時間は指令が変化しトランジスタの上側がオンして下側がオンできる最小時間である。また変化が早ければ逐次変化し、停止中等のあまり変化がなければ待機時間も長く、電流は流れないので静かになる。更に停止中等の高調波対策にもなる。また電流の変化の観測は短い周期で電流アンプ1が、行っても良い。
図4は本案でのシミュレーションでの電流波形で、オンディレイの影響もなくまたキャリア周波数による歪みも少ないことが分かる。したがって余分な電流も少ないことが分かる。オンディレイがあると不感帯により電流が流れないので電流波形が歪む。
ここでオンディレイによる流れない電流からトルクリップルの発生を理論的に説明する。
まずオンディレイにより不感帯となる電流は
【0006】
【数1】
【0007】
ΔIu、ΔIv、ΔIw:不感帯となる電流
Δeu、Δev、Δew:指令されない電圧
R:モータ抵抗、L:モータインダクタンス
これにより発生するトルクΔτは
【0008】
【数2】
【0009】
Kt:トルク定数
Id:オンディレイ時間分の不感帯の電流
(2)式よりDC分とAC分のトルクリップルが発生することが分かる。
このうちDC分は一定のトルクになるので、電流アンプの積分等である程度打ち消すことができるが、AC分はリップルとして影響を与える。また高調波の成分として電流周波数の3倍の歪みが生じる。
次にキャリア周波数による影響を考えると、高調波の電流はスイッチングのオン/オフで、主にモータのリアクトル分により発生する。
スイッチングによる電流dIは以下のとおり。
dI=1/LΔedt …(3)
dt:スイッチング時間
従来のスイッチングでは、主回路の+の最大より−の最大へスイッチングすることがあるので、瞬間的に大きな高調波電流が発生する。1周期に6回ほぼ3相に影響を与えるようなスイッチングとなっていることが分かる。本案のように電流の流す方向のみ電圧をかけるようにしないと、スイッチングによる高調波が増えてしまう。
次にロスについて理論的に説明する。
例えばオンディレイでKtΔIcos3θのトルクリップルが速度Nで発生したとすると、パワ−ロスは|KtΔINcos3θ|となる。モータの回転数が高いと平均化されるので2KtΔIN/πがパワーロスとなる。オンディレイによる電流不感帯が大きくなるとその分のロスも増える。
次にスイッチングでのロスでキャリア周波数によるロスを考えてみる。
スイッチングでのロス=edIdtN×f=e/LΔedtdtN×f …(4)
N:キャリア周波数1周期での全体のスイッチング回数
(2相分電流が流れるとすると2回とする)
f:キャリア周波数
キャリア周波数が増えて、かつスイッチング回数が増えると、ロスが増えることが分かる。
【0010】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、必要な時適当な電流を即流せ又キャリア周波数がないので応答が早く電流の歪みがなくなる、PWMのスイッチング回数が少なく歪みがないのでロスが少ない、更に低電流のトルクリップルがなく電流がきれいになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御装置での具体的実施例の構成図である。
【図2】本発明でのスイッチング変換の詳細である。
【図3】本発明でのスイッチングのタイミング図である。
【図4】本発明でトルク指令をステップで加えた時の電流と速度のシミュレーションである。
【図5】従来の制御装置での実施例の構成図である。
【図6】従来の実施例の構成図である。
【図7】従来のPWM変換のスイッチング波形である。
【図8】従来でトルク指令をステップで加えた時の電流と速度のシミュレーションである。
【符号の説明】
1 電流アンプ
2 スイッチング変換回路
3 ベースドライブ回路
4 パワートランジスタモジュール
5 モータ
6 電流観測器
8 PWM変換回路
9 コンパレータ[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for driving a power transistor for performing power conversion of a servo control device for driving an AC motor. When a current command or a current feedback changes, the current is switched for a time considered necessary as a base point, and a current flows. The present invention relates to a method for controlling a motor.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, the switching of a power transistor that performs power conversion of a servo control device that drives an AC motor compares a triangular wave with a current command as shown in FIG. 5, converts it into a carrier frequency PWM, and converts it into upper and lower transistors. The current was controlled by dividing and switching.
In a three-phase AC motor, the outputs (commands) of the three-phase current amplifiers are converted into respective PWM voltage commands for switching.
More specifically, as shown in FIG. 6, one cycle of the carrier frequency changes by switching the current from U, V to W, and so on. FIG. 7 is a waveform of a speed and a current when a constant torque command is applied. It can be seen that when the torque is small, the current is distorted and the excess current is large.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional technology, since the current is synchronized with the carrier frequency, an on-delay to prevent a short circuit prevents the necessary current from flowing when necessary, the current is distorted, a torque ripple occurs, a loss occurs, and the number of switching times increases. Since there is a large amount of current flowing in a place not directly related to the original, there is a problem that harmonics and distortion due to the carrier frequency are generated.
Therefore, the present invention turns off all the transistors when it is not necessary to supply current, puts them in a standby state, and when the current command or current feedback changes, supplies current for the time necessary to eliminate the relationship with the carrier frequency. The purpose of the present invention is to improve response and eliminate current distortion.
[0004]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above-mentioned problem, normally, all the power transistors are turned off to be in a standby state, and when a current command or a current feedback changes, switching is performed for a time considered necessary as a base point, and a current is supplied. The transistor is turned off to enter a standby state. Alternatively, when the power transistors are turned on for a certain time and then turned off to enter a standby state, all the power transistors are forcibly turned off for a certain time to provide a standby state. When the three-phase AC motor is driven, the two phases in which the current flows in the same direction overlap with the time in which the power transistor is turned on.
By means of the above means, an appropriate current can flow immediately by switching the transistor when necessary, so that the current response is fast, and since there is no carrier frequency, the current distortion is eliminated. Since the number of switching equivalent to PWM is small and there is no distortion. There is little power loss, and there is no torque ripple at low current, and the current becomes clean.
[0005]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, a specific embodiment of the present invention will be described with reference to FIG.
In FIG. 1, 1 is a current amplifier, 2 is a switching conversion circuit, 3 is a base drive circuit, 4 is a power transistor module, 5 is a motor, and 6 is a current observer.
The operation of the circuit configured as described above will be described with reference to the timing chart of FIG. The current amplifier 1 receives a current command and performs current control by current feedback. The output of the current amplifier 1 is converted into a switching signal by a switching conversion circuit 2. The switching signal drives the power transistor 4 via the base drive circuit 3 of the upper and lower transistors to control the motor 5.
FIG. 2 is an example of a switching conversion circuit. A counter is prepared for each transistor, and the transistor is turned on only during the counter operation and turned off when the operation is completed. Then, when necessary, the transistor can be turned on only at a necessary place to allow a current to flow. The upper and lower sides are determined based on the direction of the output of the current amplifier. When positive, the upper side is selected, and when negative, the lower side is selected. The switching time is calculated as follows.
Switching time = current amplifier output / maximum output × maximum switching time Here, the maximum output is uniquely determined by the current amplifier gain. The maximum switching time is a switching time possible due to a switching loss or the like. In other words, it is a switching time during which a loss generated when the maximum current flows can be radiated by a heat sink or the like. If the time is short, the number of switching increases and the loss increases. However, when driving the three-phase AC motor, the two phases in which the current flows in the same direction overlap the time for turning on the power transistor, so that the current is reduced by half for that time.
Therefore, it is necessary to correct the two phases having the same current flowing direction by doubling the overlapping time. Then, the remaining one phase adds the overlapping time. The three-phase switching times are summarized as follows.
Switching time = current amplifier output / maximum output × maximum switching time + overlapping time of two phases in the same current flowing direction First, the current observer 6 observes a current command and feedback, and notifies the current amplifier 1 when a change occurs. Then, the current amplifier 1 immediately calculates the switching time corresponding to the required command, and switches the power transistor 4 with the phase and torque (current) at the timing shown in FIG. For example, when the current flows from the U phase to the V and W phases, the upper transistor of the U phase is turned on, and the lower transistor of the V and W phases is turned on. The switching time is calculated by the method described above, and is set in the switching conversion 2. Then, when a current for a switching time flows in the switching 2, the switching is stopped until the next change to prepare for the switching. In other words, all the transistors are turned off and wait and wait. Then, in the case where the next change occurs and the switching is started, the setting is made as it is if a certain time or more has elapsed, and the setting is made after waiting if the time has not elapsed. This time is the minimum time during which the command changes and the upper side of the transistor turns on and the lower side turns on. If the change is rapid, it changes sequentially, and if there is not much change, such as during stoppage, the standby time is long and the current does not flow, so the operation becomes quiet. In addition, it can be used as a countermeasure for harmonics during stoppage. The current change may be observed by the current amplifier 1 in a short cycle.
FIG. 4 shows the current waveform in the simulation according to the present invention, which shows that there is no influence of on-delay and there is little distortion due to the carrier frequency. Therefore, it can be seen that the excess current is small. If there is an on-delay, the current does not flow due to the dead zone, so that the current waveform is distorted.
Here, the generation of torque ripple from a current that does not flow due to the on-delay will be described theoretically.
First, the current that becomes a dead zone due to on-delay is [0006]
(Equation 1)
[0007]
ΔIu, ΔIv, ΔIw: currents in the dead zone Δeu, Δev, Δew: uncommanded voltage R: motor resistance, L: motor inductance The resulting torque Δτ is:
(Equation 2)
[0009]
Kt: Torque constant Id: Dead zone current for on-delay time From equation (2), it can be seen that DC ripple and AC ripple are generated.
Among them, the DC component has a constant torque and can be canceled to some extent by integration of the current amplifier, but the AC component has an effect as ripple. Also, a distortion of three times the current frequency occurs as a harmonic component.
Next, considering the influence of the carrier frequency, the harmonic current is generated mainly by the reactor component of the motor when switching is turned on / off.
The current dI due to switching is as follows.
dI = 1 / LΔedt (3)
dt: Switching time In conventional switching, the main circuit may switch from the maximum of + to the maximum of-, so that a large harmonic current is instantaneously generated. It can be seen that the switching is performed so as to affect three phases almost six times in one cycle. If voltage is not applied only in the direction of current flow as in the present invention, harmonics due to switching will increase.
Next, the loss will be described theoretically.
For example, assuming that torque ripple of KtΔIcos3θ occurs at the speed N in the on-delay, the power loss becomes | KtΔINcos3θ |. If the number of rotations of the motor is high, averaging is performed, so that 2KtΔIN / π becomes a power loss. The larger the dead zone due to the on-delay, the greater the loss.
Next, the loss due to the carrier frequency in the switching loss will be considered.
Loss in switching = edIdtN × f = e / LΔeddtdtN × f (4)
N: the total number of switching times in one cycle of the carrier frequency (assuming that two currents flow for two phases)
f: Carrier frequency As the carrier frequency increases and the number of times of switching increases, the loss increases.
[0010]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, an appropriate current can be supplied immediately when needed, and there is no carrier frequency, so that the response is quick and the current is not distorted. Since the number of PWM switching is small and there is no distortion, the loss is small. There is an effect that the current becomes clean without the low current torque ripple.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a configuration diagram of a specific example of a control device according to the present invention.
FIG. 2 shows details of switching conversion in the present invention.
FIG. 3 is a timing chart of switching in the present invention.
FIG. 4 is a simulation of current and speed when a torque command is applied in steps according to the present invention.
FIG. 5 is a configuration diagram of an embodiment using a conventional control device.
FIG. 6 is a configuration diagram of a conventional example.
FIG. 7 is a switching waveform of a conventional PWM conversion.
FIG. 8 is a simulation of current and speed when a torque command is applied in steps in the related art.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Current amplifier 2 Switching conversion circuit 3 Base drive circuit 4 Power transistor module 5 Motor 6 Current observer 8 PWM conversion circuit 9 Comparator