JP2004088529A - 周波数シンセサイザ回路および無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】送信用および受信用の各ローカル信号の周波数を設定するために、外部から個別にデータを与えるようにした場合、データを伝送する制御線が2本必要になる。
【解決手段】受信系および送信系の各周波数設定回路12,22に対して単一の制御線34によって例えば受信用ローカル信号の周波数に対応したデータDATAを共通に与え、受信系では当該データDATAをそのまま用いて受信用ローカル信号の周波数を設定する一方、送信系ではデータDATAに一定周波数分のオフセットを付与して送信用ローカル信号の周波数を設定するようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】受信系および送信系の各周波数設定回路12,22に対して単一の制御線34によって例えば受信用ローカル信号の周波数に対応したデータDATAを共通に与え、受信系では当該データDATAをそのまま用いて受信用ローカル信号の周波数を設定する一方、送信系ではデータDATAに一定周波数分のオフセットを付与して送信用ローカル信号の周波数を設定するようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数シンセサイザ回路および無線通信装置に関し、特に送信部および受信部の各ローカル信号の周波数を設定するための周波数シンセサイザ回路およびこれを送信部および受信部の各ローカル信号の周波数設定のために用いた無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
送受信機を備えた無線通信装置、例えば携帯電話では、送信周波数と受信周波数とが異なるが故に、それぞれの周波数に対応したローカル信号を発生するローカル発振器および当該発振器の発振周波数を設定する周波数シンセサイザが送信部および受信部に個別に設けられている。そして、携帯電話においては、従来、送信用および受信用の各周波数シンセサイザ回路に対して外部から個別にデータを与えることで、送信用および受信用の各ローカル信号の周波数を設定する構成が採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、送信用および受信用の各ローカル信号の周波数を設定するために、外部から個別にデータを与える構成を採る従来例に係る無線通信装置、例えば携帯電話では、別々のデータを伝送するためには制御線が2本必要になる。特に、マルチバンド(複数の周波数帯域)対応の携帯電話の場合には、各バンドごとに送受信機を持つことになり、これに伴ってデータ伝送の制御線が2×バンド数分だけ必要になるため、実装基板の配線が非常に複雑になってしまう。
【0004】
また、個別にデータ設定を行うため、複雑な周波数コントロールを短時間で行うことが難しい。特に、シリアルコマンド等で周波数コントロールを行う場合には、各周波数シンセサイザ回路にデータを順に送ることになるため、設定時間が長くなってしまう。また、例えばW(Wide−band)−CDMA方式のように、送受信の各ローカル信号の周波数がある関係を保っている場合にも、個別にデータを設定する必要があるため、設定時間が長くなるだけでなく、データ量も膨大なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、単一の制御線で複数のローカル周波数のコントロールが可能な周波数シンセサイザ回路およびこれを用いた無線通信装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による周波数シンセサイザ回路は、設定されるデータに応じて異なる周波数のローカル信号をそれぞれ発生する複数のローカル信号発生手段と、前記複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する第1の周波数設定手段と、前記複数のローカル信号発生手段のうちの残りのローカル信号発生手段に対して、前記単一の制御線によって伝送される前記第1周波数に対応したデータを基に、当該第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを設定する第2の周波数設定手段とを備えた構成となっている。この周波数シンセサイザ回路は、送受信機を具備する携帯電話に代表される無線通信装置において、送信用ローカル信号発生手段および受信用ローカル信号発生手段の各ローカル信号の周波数を設定するのに用いられる。
【0007】
上記構成の周波数シンセサイザ回路、またはこれを用いた無線通信装置において、第1の周波数設定手段は、複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する。すると、1つのローカル信号発生手段は、この設定されたデータに基づいて第1周波数のローカル信号を発生する。第2の周波数設定手段は、外部から個別にデータが設定されるのではなく、第1の周波数設定手段に与えられる第1周波数に対応したデータを基に、当該第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを残りのローカル信号発生手段に設定する。すると、残りのローカル信号発生手段は、この設定されたデータに基づいて第1周波数と異なる第2周波数のローカル信号を発生する。ここで、残りのローカル信号発生手段としては1つに限らず、複数の場合もある。残りのローカル信号発生手段が複数の場合は、当然のことながら、第2周波数として異なる周波数が設定されることになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る周波数シンセサイザ回路の構成を示すブロック図である。
【0009】
図1から明らかなように、本実施形態に係る周波数シンセサイザ回路は、受信系周波数シンセサイザ回路10および送信系周波数シンセサイザ回路20からなり、データ入力端子31およびローカル信号出力端子32,33を有する構成となっている。受信系周波数シンセサイザ回路10は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路構成のローカル信号発生回路11と、このローカル信号発生回路11で発生される受信用ローカル信号の周波数を設定する周波数設定回路12とから構成されている。送信系周波数シンセサイザ回路20も同様に、ローカル信号発生回路21および周波数設定回路22から構成されている。
【0010】
周波数設定回路12,22には、データ入力端子31から入力され、単一の制御線34によって伝送されるデータDATAが共通に与えられる。このデータDATAは、受信用ローカル信号および送信用ローカル信号の一方、例えば受信用ローカル信号の周波数を設定するためのものである。したがって、周波数設定回路12は制御線34によって伝送されるデータDATAを受け、このデータDATAをそのままローカル信号発生回路11に設定する。すると、ローカル信号発生回路11はこの設定されたデータに応じた周波数の受信用ローカル信号を発生する。この受信用ローカル信号は、出力端子32を通して受信部の混合器(図示せず)に供給される。
【0011】
一方、周波数設定回路22は制御線34によって伝送されるデータDATAを受け、このデータDATAを基に受信用ローカル信号の周波数と異なる周波数、具体的には一定周波数だけ高い周波数もしくは低い周波数に対応したデータをローカル信号発生回路21に設定する。すると、ローカル信号発生回路21はこの設定されたデータに応じた周波数の送信用ローカル信号を発生する。この送信用ローカル信号は、出力端子33を通して送信部の混合器(図示せず)に供給される。
【0012】
上述したように、受信系および送信系の各周波数設定回路12,22に対して単一の制御線34によって例えば受信用ローカル信号の周波数に対応したデータDATAを共通に与え、受信系では当該データDATAをそのまま用いて受信用ローカル信号の周波数を設定する一方、送信系ではデータDATAに一定周波数分のオフセットを付与して送信用ローカル信号の周波数を設定することで、単一の制御線34で受信系および送信系の各周波数シンセサイザ回路10,20のコントロールが可能になる。これにより、従来2本必要であった制御線34を1本削減できるため、実装基板の配線の簡略化が可能になる。
【0013】
なお、本実施形態では、単一の制御線34によって伝送するデータDATAを受信用ローカル信号の周波数に対応したデータとしたが、送信用ローカル信号の周波数に対応したデータとしても良いことは勿論である。この場合には、送信系で当該データDATAをそのまま用いて送信用ローカル信号の周波数を設定する一方、受信系ではデータDATAに一定周波数分のオフセットを付与して受信用ローカル信号の周波数を設定するようにすれば良い。
【0014】
また、本実施形態では、1組の受信系および送信系を有する場合を例に挙げて説明したが、マルチバンド(複数の周波数帯域)対応の場合には、受信系および送信系がそのバンド数に対応して複数組設けられることになる。このように、複数組の受信系および送信系を有する場合にも本発明は適用可能である。
【0015】
例えば、Aバンド、Bバンドのデュアルバンドの場合を例に採ると、図2に示すように、Aバンド用周波数設定回路12A,22AおよびBバンド用周波数設定回路12B,22Bに対して単一の制御線34によってデータDATAを伝送するようにする。このとき、データDATAをAバンドの受信用、送信用ローカル信号の各周波数およびBバンドの受信用、送信用ローカル信号の各周波数の何れかに対応させる一方、他のローカル信号については当該データDATAを基にそれぞれ異なる周波数を設定するようにすれば良い。
【0016】
このように、マルチバンド対応の場合には、実装基板の配線の簡略化の効果がさらに大となる。すなわち、上述したデュアルバンドの場合を例に採ると、各周波数シンセサイザ回路ごとにデータを設定していた従来例の場合には制御線が4本必要であったのに対して、本発明によれば、1本の制御線で済み、制御線を3本削減できるため、実装基板の配線をさらに簡略化できる。
【0017】
受信系周波数シンセサイザ回路10および送信系周波数シンセサイザ回路20において、周波数設定回路12,22はその機能が若干異なるものの、ローカル信号発生回路11,21については全く同じ構成となっている。図3に、周波数シンセサイザ回路(受信系周波数シンセサイザ回路10/送信系周波数シンセサイザ回路20)の構成の一例を示す。
【0018】
本例に係るローカル信号発生回路11(21)は、固定発振器41、リファレンスカウンタ42、プログラマブルカウンタ43、位相比較器44、ループフィルタ45およびVCO(電圧制御発振器)46を有する構成となっている。固定発振器41は所定周波数で発振する。リファレンスカウンタ42は、固定発振器41の発振クロックを分周し、その分周クロックをリファレンス周波数fref のクロックとして位相比較器44の一方の入力に与える。
【0019】
プログラマブルカウンタ43は、VCO46の発振周波数fvco のクロックを1/n分周し、その分周クロック1/n*fvco を位相比較器44の他方の入力に与える。プログラマブルカウンタ43の分周比1/nは、周波数設定回路12(22)から与えられるデータによって設定される。位相比較器44は、リファレンス周波数fref のクロックとVCO発振周波数fvco の1/nのクロックとの位相を比較し、その位相差に応じた信号を出力する。
【0020】
ループフィルタ45は、位相比較器44から出力される位相差信号を平滑化してVCO46にその制御電圧として与える。VCO46は、ループフィルタ45から与えられる制御電圧に応じて発振周波数が変化し、その発振クロックfvco をプログラマブルカウンタ43に与える。以上により、1/n*fvco =fref となるように帰還をかけるPLLが構成される。
【0021】
このPLL構成のローカル信号発生回路11(21)において、プログラマブルカウンタ43の分周比1/nを、周波数設定回路12(22)を通して外部から与えるデータDATAによって設定することにより、VCO発振周波数fvco を変化させ、所望の周波数のローカル信号fLOを得ることができる。このローカル信号fLOは、受信部(送信部)の混合器(図示せず)に供給する。
【0022】
図4は、周波数設定回路12(22)の具体的な構成例を示すブロック図である。ここでは、ローカル信号の周波数として、異なるn個(nは任意の整数)の周波数を任意に設定できるものとし、またこれら周波数を設定するデータDATAとして、n個の周波数にそれぞれ対応したn個のシリアルデータが時系列で入力されるものとする。
【0023】
本例に係る周波数設定回路12(22)は、n個のシリアル(s)−パラレル(p)変換回路51−1〜51−n、n個のデータ保持回路52−1〜52−n、選択スイッチ53、加算器54およびオフセット周波数設定回路55を有する構成となっている。シリアル−パラレル変換回路51−1〜51−nは、時系列で入力されるn個のシリアルデータを順次パラレルデータに変換する。このシリアル−パラレル変換されたn個の周波数設定データは、n個のデータ保持回路52−1〜52−nにそれぞれ保持される。
【0024】
選択スイッチ53は、データ保持回路52−1〜52−nに保持されたn個の周波数設定データの中の1つを、例えば外部から与えられる選択情報に基づいて選択して出力する。この選択された周波数設定データは、加算器54にその一方の入力として与えられる。オフセット周波数設定回路55には、データ保持回路52−1〜52−nに保持されたn個の周波数設定データにそれぞれ付与するためのオフセットデータが予め格納されている。
【0025】
ここで、オフセットデータとは、データ保持回路52−1〜52−nに保持されたn個の周波数設定データで決まるn個の周波数の各々に対して、ある一定周波数分のオフセットを付与するために、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに対して加算または減算する一定周波数に対応したデータである。
【0026】
オフセット周波数設定回路55は、外部から与えられる選択情報に基づいて、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに対応したオフセットデータを選択して出力する。このオフセットデータは、加算器54にその他方の入力として与えられることにより、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに加算または減算される。すなわち、加算器54およびオフセット周波数設定回路55は、ローカル信号の周波数を設定する周波数設定データに対して一定周波数分のオフセットを付与するオフセット付与手段として機能する。
【0027】
ここで、オフセットデータが0の場合は、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに対してオフセットが付与されないことになり、これは上記オフセット付与手段が機能しないことを意味する。したがって、図4の回路構成の周波数設定回路を、受信系の周波数設定回路12および送信系の周波数設定回路22として用いるものとすると、先述した例の場合には、周波数設定回路12についてはオフセット周波数設定回路55に0のオフセットデータを設定するようにすれば良い。
【0028】
このことは、受信系の周波数設定回路12および送信系の周波数設定回路22として、別々の回路構成の周波数設定回路を設計しなくても、オフセット周波数設定回路55に対するオフセットデータの設定を変えるだけで、図4の回路構成の周波数設定回路を受信系の周波数設定回路12および送信系の周波数設定回路22に共通に使用できることを意味する。この共通使用により、コスト低減を図ることができる。
【0029】
上述したように、ローカル信号の周波数を設定する周波数設定回路12,22においては、複数のデータ保持回路52−1〜52−nを備えて複数の周波数設定データを予め保持しておき、その中から1つの周波数設定データを適宜選択することで、データ設定を予め行うことができ、また前の周波数設定データに戻ることも可能であるため、データ設定時間を短縮でき、またローカル信号の周波数の切り換え動作を迅速に行うことが可能になる。
【0030】
ここまで、周波数設定データが周波数情報のみを持つものとして説明したが、周波数設定データに各種の制御を行わせるためのコントロールビットを持たせることも可能である。以下、このコントロールビットについて説明する。
【0031】
周波数設定データにコントロールビットを持たせることにより、単一の制御線を通しての複数の周波数シンセサイザ回路についての同時コントロールあるいは個別コントロールが可能になる。具体的には、コントロールビットで複数の周波数シンセサイザ回路のうちのどの周波数シンセサイザ回路に対して周波数設定データを送るかなど、制御線を増やすことなく、複数の周波数シンセサイザ回路についてコントロールが可能になる。
【0032】
また、コントロールビットの設定により、複数の周波数シンセサイザ回路に同時に、または選択した周波数シンセサイザ回路のみにデータを送るようにすることも可能である。さらに、先述した周波数設定回路12,22の回路構成の説明においては、切り換えスイッチ53の切り換えおよびオフセット周波数設定回路55のオフセットデータの選択を外部から与えられる選択情報に基づいて行うとしたが、この選択情報をコントロールビットに持たせることことも可能である。これにより、選択情報を外部から取り込むための端子を削減できる。
【0033】
また、複数の周波数シンセサイザ回路については、同時または個別にコントロールする以外に、ある一定の周波数間隔foff を保ってコントロールするための情報をコントロールビットに持たせるようにすることも可能である。上述したコントロールビットによる機能に、周波数間隔foff による機能を付加することにより、例えば、無線端末の送受信周波数がある一定の周波数間隔を保ったシステムにおいて、周波数シンセサイザ回路の送受同時コントロールが可能になる。また、周波数間隔foff を可変にすることで、周波数間隔が異なるシステム、あるいは周波数間隔が変化するシステムにも対応可能になる。周波数間隔foffについては、周波数間隔データを与えることで任意に設定可能である。
【0034】
図5に、周波数同時コントロールの場合のコントロールビットとそのビット内容との関係を示す。この例では、送信(TX)周波数・受信(RX)周波数のどちらを基準にするかを設定するコントロールビット(control bit0)と、周波数間隔としてある一定値(例えば、190MHz)を与える場合と別のビットで設定した値を与える場合のコントロールビット(control bit1)と、周波数の同時送り機能の使用・不使用を設定するコントロールビット(control bit2)とを有している。図6に、送信(TX)周波数を基準にした場合の送信ローカル信号の周波数ftxと受信ローカル信号の周波数frxとの関係を示す。
【0035】
このように、周波数設定データにコントロールビットを持たせることにより、先述したように、複数の周波数シンセサイザ回路についての同時コントロールあるいは個別コントロールが可能になることに加えて、外部からデータ量、データ送り時間を増やすことなく、複雑な送受信の周波数コントロールが可能になる。これにより、最低限の設定データ量で、複数のデータへの遷移や、あらゆるコントロールモードに対応できるため、メモリの節約が可能になる。
【0036】
このコントロールビットを用いての周波数コントロールは、例えば、W−CDMA方式のコンプレスモード時に有効である。ここで、コンプレスモードについて、図7を用いて説明する。ある受信ch(受信ch1)での受信状態が悪いときに、受信周波数をずらして他のch(受信ch2)の電波状況を見て、一旦元のch(受信ch1)に戻ってから、どこのchで受信するかを決定する。
【0037】
このときのギャップ(gap)は、遷移前後の基地局送信電力を上げることによって埋める(compress)。このとき、遷移に許される時間は200μs以下である。また、受信chのみ動かすので送受信周波数間隔は変化する。このように、コンプレスモードでは周波数を切り換える時間が非常に短くなければならないという制約がある。これに対して、コンプレスモードで先述した周波数コントロールを用いれば、周波数設定データの切り換えだけで良いため、極めて短時間に周波数の切り換えを実現できる。
【0038】
ところで、携帯電話等の移動無線通信端末(装置)では、電池の持続時間も大きな課題である。そのため、送受信ICの低消費電力モードであるスリープ(Sleep)のON/OFFの切り換えを頻繁に行っている。そこで、周波数設定データ、またはコントロールビットを含む周波数設定データの複数の周波数シンセサイザ回路への設定については、送受信ICのスリープ期間に行うようにすれば良い。
【0039】
このように、送受信ICのスリープ期間を利用して周波数シンセサイザ回路に対するデータ設定を行い、またその設定したデータを保持しておくことにより、スリープ期間が終了して動作状態に戻った際のデータ再送出の必要がなくなるため、回路の立ち上がり時間の短縮が可能となる。
【0040】
[適用例]
以上説明した本発明の一実施形態に係る周波数シンセサイザ回路は、無線通信装置、例えばCDMA方式携帯電話におけるRFフロントエンド部を構成するのに用いられる。図8は、CDMA方式携帯電話におけるRFフロントエンド部の構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
図8において、アンテナ61で受信された受信波は、送信/受信に共用される帯域振分けフィルタ62を通過し、AGCアンプ63で信号レベルが一定にされた後混合器64に供給される。混合器64では、受信したRF信号に対して受信系周波数シンセサイザ回路65から供給される受信用ローカル信号が混合されることによって中間周波(IF)に変換された後、後段のベースバンドIC66に供給される。
【0042】
一方、送信側では、前段のベースバンドIC66から供給されるIF信号がミ混合器67に供給され、ここで送信系周波数シンセサイザ回路68から供給される送信用ローカル信号と混合されてRF信号に変換される。そして、このRF信号は、パワーアンプ69で増幅された後帯域振分けフィルタ92を経てアンテナ61に供給され、このアンテナ61から電波として送信される。
【0043】
上記構成のCDMA方式携帯電話のRFフロントエンド部において、受信系周波数シンセサイザ回路65および送信系周波数シンセサイザ回路68として、図1に示した周波数シンセサイザ回路が用いられる。なお、マルチバンド、例えばデュアルバンド対応の携帯電話の場合には、図2に示した周波数シンセサイザ回路が用いられる。
【0044】
このように、携帯電話に代表される無線通信装置におけるRFフロントエンド部において、受信部および送信部の各ローカル信号の周波数を設定する周波数シンセサイザ回路として、先述した実施形態に係る周波数シンセサイザ回路を用いることにより、当該周波数シンセサイザ回路は送受信ICの実装基板の配線を簡略化できるため、無線通信装置そのものの構成の簡略化に大きく寄与でき、特に携帯電話などの携帯型無線通信装置に適用した場合にその効果が大である。
【0045】
なお、上記適用例では、CDMA方式の携帯電話に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限定されるものではなく、送受信機を具備する無線通信装置全般に適用することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する一方、当該データを基に残りのローカル信号発生手段に第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを設定するようにしたことにより、単一の制御線で受信系および送信系の各周波数シンセサイザ回路のコントロールが可能になり、従来2本必要であった制御線を1本削減できるため、実装基板の配線の簡略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る周波数シンセサイザ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】一実施形態の変形例に係る周波数シンセサイザ回路の構成を示すブロック図である。
【図3】周波数シンセサイザ回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】周波数設定回路の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図5】周波数同時コントロールの場合のコントロールビットとそのビット内容との関係を示す図である。
【図6】送信周波数を基準にした場合の送信ローカル信号の周波数ftxと受信ローカル信号の周波数frxとの関係を示す図である。
【図7】W−CDMA方式のコンプレスモードの説明図である。
【図8】CDMA方式携帯電話におけるRFフロントエンド部の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…受信系周波数シンセサイザ回路、11,21…ローカル信号発生回路、12,22…周波数設定回路、20…送信系周波数シンセサイザ回路、34…制御線、51−1〜51−n…シリアル−パラレル変換回路、52−1〜52−n…データ保持回路、53…選択スイッチ、55…オフセット周波数設定回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数シンセサイザ回路および無線通信装置に関し、特に送信部および受信部の各ローカル信号の周波数を設定するための周波数シンセサイザ回路およびこれを送信部および受信部の各ローカル信号の周波数設定のために用いた無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
送受信機を備えた無線通信装置、例えば携帯電話では、送信周波数と受信周波数とが異なるが故に、それぞれの周波数に対応したローカル信号を発生するローカル発振器および当該発振器の発振周波数を設定する周波数シンセサイザが送信部および受信部に個別に設けられている。そして、携帯電話においては、従来、送信用および受信用の各周波数シンセサイザ回路に対して外部から個別にデータを与えることで、送信用および受信用の各ローカル信号の周波数を設定する構成が採られていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、送信用および受信用の各ローカル信号の周波数を設定するために、外部から個別にデータを与える構成を採る従来例に係る無線通信装置、例えば携帯電話では、別々のデータを伝送するためには制御線が2本必要になる。特に、マルチバンド(複数の周波数帯域)対応の携帯電話の場合には、各バンドごとに送受信機を持つことになり、これに伴ってデータ伝送の制御線が2×バンド数分だけ必要になるため、実装基板の配線が非常に複雑になってしまう。
【0004】
また、個別にデータ設定を行うため、複雑な周波数コントロールを短時間で行うことが難しい。特に、シリアルコマンド等で周波数コントロールを行う場合には、各周波数シンセサイザ回路にデータを順に送ることになるため、設定時間が長くなってしまう。また、例えばW(Wide−band)−CDMA方式のように、送受信の各ローカル信号の周波数がある関係を保っている場合にも、個別にデータを設定する必要があるため、設定時間が長くなるだけでなく、データ量も膨大なものとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、単一の制御線で複数のローカル周波数のコントロールが可能な周波数シンセサイザ回路およびこれを用いた無線通信装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による周波数シンセサイザ回路は、設定されるデータに応じて異なる周波数のローカル信号をそれぞれ発生する複数のローカル信号発生手段と、前記複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する第1の周波数設定手段と、前記複数のローカル信号発生手段のうちの残りのローカル信号発生手段に対して、前記単一の制御線によって伝送される前記第1周波数に対応したデータを基に、当該第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを設定する第2の周波数設定手段とを備えた構成となっている。この周波数シンセサイザ回路は、送受信機を具備する携帯電話に代表される無線通信装置において、送信用ローカル信号発生手段および受信用ローカル信号発生手段の各ローカル信号の周波数を設定するのに用いられる。
【0007】
上記構成の周波数シンセサイザ回路、またはこれを用いた無線通信装置において、第1の周波数設定手段は、複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する。すると、1つのローカル信号発生手段は、この設定されたデータに基づいて第1周波数のローカル信号を発生する。第2の周波数設定手段は、外部から個別にデータが設定されるのではなく、第1の周波数設定手段に与えられる第1周波数に対応したデータを基に、当該第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを残りのローカル信号発生手段に設定する。すると、残りのローカル信号発生手段は、この設定されたデータに基づいて第1周波数と異なる第2周波数のローカル信号を発生する。ここで、残りのローカル信号発生手段としては1つに限らず、複数の場合もある。残りのローカル信号発生手段が複数の場合は、当然のことながら、第2周波数として異なる周波数が設定されることになる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る周波数シンセサイザ回路の構成を示すブロック図である。
【0009】
図1から明らかなように、本実施形態に係る周波数シンセサイザ回路は、受信系周波数シンセサイザ回路10および送信系周波数シンセサイザ回路20からなり、データ入力端子31およびローカル信号出力端子32,33を有する構成となっている。受信系周波数シンセサイザ回路10は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路構成のローカル信号発生回路11と、このローカル信号発生回路11で発生される受信用ローカル信号の周波数を設定する周波数設定回路12とから構成されている。送信系周波数シンセサイザ回路20も同様に、ローカル信号発生回路21および周波数設定回路22から構成されている。
【0010】
周波数設定回路12,22には、データ入力端子31から入力され、単一の制御線34によって伝送されるデータDATAが共通に与えられる。このデータDATAは、受信用ローカル信号および送信用ローカル信号の一方、例えば受信用ローカル信号の周波数を設定するためのものである。したがって、周波数設定回路12は制御線34によって伝送されるデータDATAを受け、このデータDATAをそのままローカル信号発生回路11に設定する。すると、ローカル信号発生回路11はこの設定されたデータに応じた周波数の受信用ローカル信号を発生する。この受信用ローカル信号は、出力端子32を通して受信部の混合器(図示せず)に供給される。
【0011】
一方、周波数設定回路22は制御線34によって伝送されるデータDATAを受け、このデータDATAを基に受信用ローカル信号の周波数と異なる周波数、具体的には一定周波数だけ高い周波数もしくは低い周波数に対応したデータをローカル信号発生回路21に設定する。すると、ローカル信号発生回路21はこの設定されたデータに応じた周波数の送信用ローカル信号を発生する。この送信用ローカル信号は、出力端子33を通して送信部の混合器(図示せず)に供給される。
【0012】
上述したように、受信系および送信系の各周波数設定回路12,22に対して単一の制御線34によって例えば受信用ローカル信号の周波数に対応したデータDATAを共通に与え、受信系では当該データDATAをそのまま用いて受信用ローカル信号の周波数を設定する一方、送信系ではデータDATAに一定周波数分のオフセットを付与して送信用ローカル信号の周波数を設定することで、単一の制御線34で受信系および送信系の各周波数シンセサイザ回路10,20のコントロールが可能になる。これにより、従来2本必要であった制御線34を1本削減できるため、実装基板の配線の簡略化が可能になる。
【0013】
なお、本実施形態では、単一の制御線34によって伝送するデータDATAを受信用ローカル信号の周波数に対応したデータとしたが、送信用ローカル信号の周波数に対応したデータとしても良いことは勿論である。この場合には、送信系で当該データDATAをそのまま用いて送信用ローカル信号の周波数を設定する一方、受信系ではデータDATAに一定周波数分のオフセットを付与して受信用ローカル信号の周波数を設定するようにすれば良い。
【0014】
また、本実施形態では、1組の受信系および送信系を有する場合を例に挙げて説明したが、マルチバンド(複数の周波数帯域)対応の場合には、受信系および送信系がそのバンド数に対応して複数組設けられることになる。このように、複数組の受信系および送信系を有する場合にも本発明は適用可能である。
【0015】
例えば、Aバンド、Bバンドのデュアルバンドの場合を例に採ると、図2に示すように、Aバンド用周波数設定回路12A,22AおよびBバンド用周波数設定回路12B,22Bに対して単一の制御線34によってデータDATAを伝送するようにする。このとき、データDATAをAバンドの受信用、送信用ローカル信号の各周波数およびBバンドの受信用、送信用ローカル信号の各周波数の何れかに対応させる一方、他のローカル信号については当該データDATAを基にそれぞれ異なる周波数を設定するようにすれば良い。
【0016】
このように、マルチバンド対応の場合には、実装基板の配線の簡略化の効果がさらに大となる。すなわち、上述したデュアルバンドの場合を例に採ると、各周波数シンセサイザ回路ごとにデータを設定していた従来例の場合には制御線が4本必要であったのに対して、本発明によれば、1本の制御線で済み、制御線を3本削減できるため、実装基板の配線をさらに簡略化できる。
【0017】
受信系周波数シンセサイザ回路10および送信系周波数シンセサイザ回路20において、周波数設定回路12,22はその機能が若干異なるものの、ローカル信号発生回路11,21については全く同じ構成となっている。図3に、周波数シンセサイザ回路(受信系周波数シンセサイザ回路10/送信系周波数シンセサイザ回路20)の構成の一例を示す。
【0018】
本例に係るローカル信号発生回路11(21)は、固定発振器41、リファレンスカウンタ42、プログラマブルカウンタ43、位相比較器44、ループフィルタ45およびVCO(電圧制御発振器)46を有する構成となっている。固定発振器41は所定周波数で発振する。リファレンスカウンタ42は、固定発振器41の発振クロックを分周し、その分周クロックをリファレンス周波数fref のクロックとして位相比較器44の一方の入力に与える。
【0019】
プログラマブルカウンタ43は、VCO46の発振周波数fvco のクロックを1/n分周し、その分周クロック1/n*fvco を位相比較器44の他方の入力に与える。プログラマブルカウンタ43の分周比1/nは、周波数設定回路12(22)から与えられるデータによって設定される。位相比較器44は、リファレンス周波数fref のクロックとVCO発振周波数fvco の1/nのクロックとの位相を比較し、その位相差に応じた信号を出力する。
【0020】
ループフィルタ45は、位相比較器44から出力される位相差信号を平滑化してVCO46にその制御電圧として与える。VCO46は、ループフィルタ45から与えられる制御電圧に応じて発振周波数が変化し、その発振クロックfvco をプログラマブルカウンタ43に与える。以上により、1/n*fvco =fref となるように帰還をかけるPLLが構成される。
【0021】
このPLL構成のローカル信号発生回路11(21)において、プログラマブルカウンタ43の分周比1/nを、周波数設定回路12(22)を通して外部から与えるデータDATAによって設定することにより、VCO発振周波数fvco を変化させ、所望の周波数のローカル信号fLOを得ることができる。このローカル信号fLOは、受信部(送信部)の混合器(図示せず)に供給する。
【0022】
図4は、周波数設定回路12(22)の具体的な構成例を示すブロック図である。ここでは、ローカル信号の周波数として、異なるn個(nは任意の整数)の周波数を任意に設定できるものとし、またこれら周波数を設定するデータDATAとして、n個の周波数にそれぞれ対応したn個のシリアルデータが時系列で入力されるものとする。
【0023】
本例に係る周波数設定回路12(22)は、n個のシリアル(s)−パラレル(p)変換回路51−1〜51−n、n個のデータ保持回路52−1〜52−n、選択スイッチ53、加算器54およびオフセット周波数設定回路55を有する構成となっている。シリアル−パラレル変換回路51−1〜51−nは、時系列で入力されるn個のシリアルデータを順次パラレルデータに変換する。このシリアル−パラレル変換されたn個の周波数設定データは、n個のデータ保持回路52−1〜52−nにそれぞれ保持される。
【0024】
選択スイッチ53は、データ保持回路52−1〜52−nに保持されたn個の周波数設定データの中の1つを、例えば外部から与えられる選択情報に基づいて選択して出力する。この選択された周波数設定データは、加算器54にその一方の入力として与えられる。オフセット周波数設定回路55には、データ保持回路52−1〜52−nに保持されたn個の周波数設定データにそれぞれ付与するためのオフセットデータが予め格納されている。
【0025】
ここで、オフセットデータとは、データ保持回路52−1〜52−nに保持されたn個の周波数設定データで決まるn個の周波数の各々に対して、ある一定周波数分のオフセットを付与するために、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに対して加算または減算する一定周波数に対応したデータである。
【0026】
オフセット周波数設定回路55は、外部から与えられる選択情報に基づいて、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに対応したオフセットデータを選択して出力する。このオフセットデータは、加算器54にその他方の入力として与えられることにより、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに加算または減算される。すなわち、加算器54およびオフセット周波数設定回路55は、ローカル信号の周波数を設定する周波数設定データに対して一定周波数分のオフセットを付与するオフセット付与手段として機能する。
【0027】
ここで、オフセットデータが0の場合は、選択スイッチ53で選択された周波数設定データに対してオフセットが付与されないことになり、これは上記オフセット付与手段が機能しないことを意味する。したがって、図4の回路構成の周波数設定回路を、受信系の周波数設定回路12および送信系の周波数設定回路22として用いるものとすると、先述した例の場合には、周波数設定回路12についてはオフセット周波数設定回路55に0のオフセットデータを設定するようにすれば良い。
【0028】
このことは、受信系の周波数設定回路12および送信系の周波数設定回路22として、別々の回路構成の周波数設定回路を設計しなくても、オフセット周波数設定回路55に対するオフセットデータの設定を変えるだけで、図4の回路構成の周波数設定回路を受信系の周波数設定回路12および送信系の周波数設定回路22に共通に使用できることを意味する。この共通使用により、コスト低減を図ることができる。
【0029】
上述したように、ローカル信号の周波数を設定する周波数設定回路12,22においては、複数のデータ保持回路52−1〜52−nを備えて複数の周波数設定データを予め保持しておき、その中から1つの周波数設定データを適宜選択することで、データ設定を予め行うことができ、また前の周波数設定データに戻ることも可能であるため、データ設定時間を短縮でき、またローカル信号の周波数の切り換え動作を迅速に行うことが可能になる。
【0030】
ここまで、周波数設定データが周波数情報のみを持つものとして説明したが、周波数設定データに各種の制御を行わせるためのコントロールビットを持たせることも可能である。以下、このコントロールビットについて説明する。
【0031】
周波数設定データにコントロールビットを持たせることにより、単一の制御線を通しての複数の周波数シンセサイザ回路についての同時コントロールあるいは個別コントロールが可能になる。具体的には、コントロールビットで複数の周波数シンセサイザ回路のうちのどの周波数シンセサイザ回路に対して周波数設定データを送るかなど、制御線を増やすことなく、複数の周波数シンセサイザ回路についてコントロールが可能になる。
【0032】
また、コントロールビットの設定により、複数の周波数シンセサイザ回路に同時に、または選択した周波数シンセサイザ回路のみにデータを送るようにすることも可能である。さらに、先述した周波数設定回路12,22の回路構成の説明においては、切り換えスイッチ53の切り換えおよびオフセット周波数設定回路55のオフセットデータの選択を外部から与えられる選択情報に基づいて行うとしたが、この選択情報をコントロールビットに持たせることことも可能である。これにより、選択情報を外部から取り込むための端子を削減できる。
【0033】
また、複数の周波数シンセサイザ回路については、同時または個別にコントロールする以外に、ある一定の周波数間隔foff を保ってコントロールするための情報をコントロールビットに持たせるようにすることも可能である。上述したコントロールビットによる機能に、周波数間隔foff による機能を付加することにより、例えば、無線端末の送受信周波数がある一定の周波数間隔を保ったシステムにおいて、周波数シンセサイザ回路の送受同時コントロールが可能になる。また、周波数間隔foff を可変にすることで、周波数間隔が異なるシステム、あるいは周波数間隔が変化するシステムにも対応可能になる。周波数間隔foffについては、周波数間隔データを与えることで任意に設定可能である。
【0034】
図5に、周波数同時コントロールの場合のコントロールビットとそのビット内容との関係を示す。この例では、送信(TX)周波数・受信(RX)周波数のどちらを基準にするかを設定するコントロールビット(control bit0)と、周波数間隔としてある一定値(例えば、190MHz)を与える場合と別のビットで設定した値を与える場合のコントロールビット(control bit1)と、周波数の同時送り機能の使用・不使用を設定するコントロールビット(control bit2)とを有している。図6に、送信(TX)周波数を基準にした場合の送信ローカル信号の周波数ftxと受信ローカル信号の周波数frxとの関係を示す。
【0035】
このように、周波数設定データにコントロールビットを持たせることにより、先述したように、複数の周波数シンセサイザ回路についての同時コントロールあるいは個別コントロールが可能になることに加えて、外部からデータ量、データ送り時間を増やすことなく、複雑な送受信の周波数コントロールが可能になる。これにより、最低限の設定データ量で、複数のデータへの遷移や、あらゆるコントロールモードに対応できるため、メモリの節約が可能になる。
【0036】
このコントロールビットを用いての周波数コントロールは、例えば、W−CDMA方式のコンプレスモード時に有効である。ここで、コンプレスモードについて、図7を用いて説明する。ある受信ch(受信ch1)での受信状態が悪いときに、受信周波数をずらして他のch(受信ch2)の電波状況を見て、一旦元のch(受信ch1)に戻ってから、どこのchで受信するかを決定する。
【0037】
このときのギャップ(gap)は、遷移前後の基地局送信電力を上げることによって埋める(compress)。このとき、遷移に許される時間は200μs以下である。また、受信chのみ動かすので送受信周波数間隔は変化する。このように、コンプレスモードでは周波数を切り換える時間が非常に短くなければならないという制約がある。これに対して、コンプレスモードで先述した周波数コントロールを用いれば、周波数設定データの切り換えだけで良いため、極めて短時間に周波数の切り換えを実現できる。
【0038】
ところで、携帯電話等の移動無線通信端末(装置)では、電池の持続時間も大きな課題である。そのため、送受信ICの低消費電力モードであるスリープ(Sleep)のON/OFFの切り換えを頻繁に行っている。そこで、周波数設定データ、またはコントロールビットを含む周波数設定データの複数の周波数シンセサイザ回路への設定については、送受信ICのスリープ期間に行うようにすれば良い。
【0039】
このように、送受信ICのスリープ期間を利用して周波数シンセサイザ回路に対するデータ設定を行い、またその設定したデータを保持しておくことにより、スリープ期間が終了して動作状態に戻った際のデータ再送出の必要がなくなるため、回路の立ち上がり時間の短縮が可能となる。
【0040】
[適用例]
以上説明した本発明の一実施形態に係る周波数シンセサイザ回路は、無線通信装置、例えばCDMA方式携帯電話におけるRFフロントエンド部を構成するのに用いられる。図8は、CDMA方式携帯電話におけるRFフロントエンド部の構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
図8において、アンテナ61で受信された受信波は、送信/受信に共用される帯域振分けフィルタ62を通過し、AGCアンプ63で信号レベルが一定にされた後混合器64に供給される。混合器64では、受信したRF信号に対して受信系周波数シンセサイザ回路65から供給される受信用ローカル信号が混合されることによって中間周波(IF)に変換された後、後段のベースバンドIC66に供給される。
【0042】
一方、送信側では、前段のベースバンドIC66から供給されるIF信号がミ混合器67に供給され、ここで送信系周波数シンセサイザ回路68から供給される送信用ローカル信号と混合されてRF信号に変換される。そして、このRF信号は、パワーアンプ69で増幅された後帯域振分けフィルタ92を経てアンテナ61に供給され、このアンテナ61から電波として送信される。
【0043】
上記構成のCDMA方式携帯電話のRFフロントエンド部において、受信系周波数シンセサイザ回路65および送信系周波数シンセサイザ回路68として、図1に示した周波数シンセサイザ回路が用いられる。なお、マルチバンド、例えばデュアルバンド対応の携帯電話の場合には、図2に示した周波数シンセサイザ回路が用いられる。
【0044】
このように、携帯電話に代表される無線通信装置におけるRFフロントエンド部において、受信部および送信部の各ローカル信号の周波数を設定する周波数シンセサイザ回路として、先述した実施形態に係る周波数シンセサイザ回路を用いることにより、当該周波数シンセサイザ回路は送受信ICの実装基板の配線を簡略化できるため、無線通信装置そのものの構成の簡略化に大きく寄与でき、特に携帯電話などの携帯型無線通信装置に適用した場合にその効果が大である。
【0045】
なお、上記適用例では、CDMA方式の携帯電話に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこの適用例に限定されるものではなく、送受信機を具備する無線通信装置全般に適用することが可能である。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する一方、当該データを基に残りのローカル信号発生手段に第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを設定するようにしたことにより、単一の制御線で受信系および送信系の各周波数シンセサイザ回路のコントロールが可能になり、従来2本必要であった制御線を1本削減できるため、実装基板の配線の簡略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る周波数シンセサイザ回路の構成を示すブロック図である。
【図2】一実施形態の変形例に係る周波数シンセサイザ回路の構成を示すブロック図である。
【図3】周波数シンセサイザ回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】周波数設定回路の具体的な構成例を示すブロック図である。
【図5】周波数同時コントロールの場合のコントロールビットとそのビット内容との関係を示す図である。
【図6】送信周波数を基準にした場合の送信ローカル信号の周波数ftxと受信ローカル信号の周波数frxとの関係を示す図である。
【図7】W−CDMA方式のコンプレスモードの説明図である。
【図8】CDMA方式携帯電話におけるRFフロントエンド部の構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…受信系周波数シンセサイザ回路、11,21…ローカル信号発生回路、12,22…周波数設定回路、20…送信系周波数シンセサイザ回路、34…制御線、51−1〜51−n…シリアル−パラレル変換回路、52−1〜52−n…データ保持回路、53…選択スイッチ、55…オフセット周波数設定回路
Claims (8)
- 設定されるデータに応じて異なる周波数のローカル信号をそれぞれ発生する複数のローカル信号発生手段と、
前記複数のローカル信号発生手段のうちの1つのローカル信号発生手段に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する第1の周波数設定手段と、
前記複数のローカル信号発生手段のうちの残りのローカル信号発生手段に対して、前記単一の制御線によって伝送される前記第1周波数に対応したデータを基に、当該第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを設定する第2の周波数設定手段と
を備えたことを特徴とする周波数シンセサイザ回路。 - 前記第1の周波数設定手段は、前記単一の制御線によって伝送され、異なる周波数に対応した複数のデータを保持する第1のデータ保持手段と、前記第1のデータ保持手段に保持された前記複数のデータの中から1つを選択して前記1つのローカル信号発生手段に与える第1の選択手段とを有し、
前記第2の周波数設定手段は、前記単一の制御線によって伝送される前記複数のデータを保持する第2のデータ保持手段と、前記第2のデータ保持手段に保持された前記複数のデータの中から1つを選択する第2の選択手段と、前記第2の選択手段によって選択されたデータに一定周波数分のオフセットを付与して前記残りのローカル信号発生手段に与えるオフセット付与手段とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の周波数シンセサイザ回路。 - 前記第1,第2のデータ保持手段へのデータの設定は、低消費電力モードであるスリープ期間に行う
ことを特徴とする請求項2記載の周波数シンセサイザ回路。 - 前記単一の制御線によって伝送されるデータは、前記複数のローカル信号発生手段を同時にまたは個別にコントロールするためのコントロールビットを含む
ことを特徴とする請求項1記載の周波数シンセサイザ回路。 - 前記単一の制御線によって伝送されるデータは、前記複数のローカル信号発生手段をある一定の周波数間隔を保ってコントロールするためのコントロールビットを含む
ことを特徴とする請求項1記載の周波数シンセサイザ回路。 - 前記周波数間隔が可変である
ことを特徴とする請求項5記載の周波数シンセサイザ回路。 - 送信用ローカル信号発生手段と、受信用ローカル信号発生手段と、前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段でそれぞれ発生される各ローカル信号の周波数を設定する周波数設定手段とを具備し、
前記周波数設定手段が、
前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段の一方に対して、外部から単一の制御線によって伝送される第1周波数に対応したデータを設定する第1の設定手段と、
前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段の他方に対して、前記単一の制御線によって伝送される前記第1周波数に対応したデータを基に、当該第1周波数と異なる第2周波数に対応したデータを設定する第2の設定手段とを有する
ことを特徴とする無線通信装置。 - 前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段をマルチバンドのバンド数に対応して複数組有する無線通信装置において、
前記第1の設定手段は、前記複数組のうちの1組の前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段の一方に対して前記第1周波数に対応したデータを設定し、
前記第2の設定手段は、前記1組の前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段の他方および残りの組の前記送信用ローカル信号発生手段および前記受信用ローカル信号発生手段に対して、前記第1周波数に対応したデータを基に異なる周波数に対応したデータをそれぞれ設定する
ことを特徴とする請求項7記載の無線通信装置。
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