JP2004086117A - 和太鼓 - Google Patents
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Abstract
【課題】くり抜き胴型太鼓に比べ品質の優れた樽胴型和太鼓を得ることを目的とする。
【解決手段】所定の幅寸法に設定した薄板材を重貼した芯材に表面材を重貼して細幅材を形成し、この細幅材をその長手方向に沿って所定の曲率で湾曲加工し、前記湾曲加工した細幅材の長手方向両側縁に沿って設けた臍溝とこれに嵌合する臍材とからなる連結手段を介して複数の細幅材を相互に連結することにより胴部形成部材を形成し、ついでこの胴部形成部材を前記と同様の連結手段を介して周方向に連結して多角筒形の樽型胴部を形成し、さらに前記多角筒形の樽型胴部の外側面を仕上げ加工したのち、その開口部に皮を張設して打面を形成する。この和太鼓によれば、音質が優れ、耐久性も格段に向上させることができるものである。
【選択図】 図2
【解決手段】所定の幅寸法に設定した薄板材を重貼した芯材に表面材を重貼して細幅材を形成し、この細幅材をその長手方向に沿って所定の曲率で湾曲加工し、前記湾曲加工した細幅材の長手方向両側縁に沿って設けた臍溝とこれに嵌合する臍材とからなる連結手段を介して複数の細幅材を相互に連結することにより胴部形成部材を形成し、ついでこの胴部形成部材を前記と同様の連結手段を介して周方向に連結して多角筒形の樽型胴部を形成し、さらに前記多角筒形の樽型胴部の外側面を仕上げ加工したのち、その開口部に皮を張設して打面を形成する。この和太鼓によれば、音質が優れ、耐久性も格段に向上させることができるものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、和太鼓に関するものであり、一層詳細には、樽胴型の和太鼓に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、和太鼓は篠笛などと共に演奏される伝統的な音楽や神社の神楽などを舞う場合における打楽器として使用されており、また、最近では組太鼓や西洋音楽と融合する新しい演奏方法が編み出されたり、さらには義務教育の場でも和楽器の利用が広まっているため和太鼓の需要が増加してきている。
【0003】
ところで、この種の和太鼓は、一般に大径の欅材やブビンガなどをくり抜いて形成した筒形胴部を数年から10年以上に亘って自然乾燥させた後、両側開口部(歌口)に皮材を張設して打面を形成することにより製造されているが、自然乾燥の工程で生じる皹や割れなどのために製品化できるのは6割程度に過ぎず、貴重な木材資源が無駄になっている。また、わが国においてはこのような大径木が資源枯渇によって入手困難となってきているため外国産の輸入材に頼るほかはなく、さらにこの輸入材も価格が高騰してきていることから大型に限らず通常の和太鼓であってもコストの面からしだい製造が困難になってきているのが現状である。
【0004】
このような事情から、従来のごとく大径木(一本木)をくり抜いて形成する筒形胴部に代替して、ムクあるいはベニヤなどの集成材で形成した板材を組合わせて太鼓本体を形成するとともにこの本体の外側面に化粧材を接着することにより製造の容易化とコストの低減を図った和太鼓が提案され需要者の便宜に供されている。
しかるに、この種の樽胴型和太鼓は、従来からのくり抜き胴タイプの和太鼓に比べると、時間の経過にともなって組合わせた板材間に緩みや隙間ができて音割れが生じることがあったり、耐久性や強度の点で演奏時に胴打ちができないなど種々の解決すべき課題が指摘されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明では、所定の幅寸法に設定した薄板材を重貼した芯材に表面材を重貼することにより細幅材を形成し、この細幅材を長手方向に沿って所定の曲率で湾曲加工し、前記湾曲加工した細幅材の長手方向両側縁に沿って設けた臍溝とこれに嵌合する臍材とからなる連結手段を介して多数の細幅材を相互に連結することにより胴部形成部材を形成し、ついでこの胴部形成部材を前記と同様の連結手段を介して周方向に連結して多角筒形の樽型胴部を形成し、さらに前記多角筒形の樽型胴部の外側面を仕上げ加工したのち、両端開口部(歌口)に皮を張設して打面を形成することにより、音割れが生じにくく演奏時の胴打ちも問題なく行うことができるようにしたものである。
【0006】
この場合、多角筒形の樽型胴部は、その長手方向の軸を中心として回転させながら外側面としての表面材を切削して断面円形に形成するとともに塗装を施すことにより仕上げ加工を行うのが好適である。
【0007】
また、樽型胴部外側面の仕上げ加工の際に、該樽型胴部の長手方向内側面に沿って複数の導音部材を、好ましくは、ハイポサイクロイド(内サイクロイド)状に突設することにより音質の向上を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態として、長胴太鼓(宮太鼓)を例示して添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
添付図面において、本発明に係る和太鼓としての長胴太鼓は、まず、所定の幅寸法に設定した、例えば、2mm厚の檜単板を12枚重ねて貼着(プライ)することにより芯材10を形成し、この芯材10の上面に、例えば、7mm厚のホワイトアッシュ単板からなる表面材12を加圧接着することにより形成した細幅材14を所定枚数製作する。
【0009】
なお、この場合、檜単板相互および表面材12を接着(重貼)する手段としては、例えば、木材用マルチボンド(商品名:KRボンド134、販売元;光洋産業株式会社)を好適に使用することができるが、合板などの接着に使用されているメラミン尿素共縮合成樹脂接着剤なども適宜使用することができる。
また、檜材やホワイトアッシュ材を薄く剥いて単板を形成する手段としては、特厚突きスライサーを使用すれば所望の厚みの単板を容易にかつ大量に製造できるだけでなく、切削屑などの発生も阻止できるので資源の有効利用を図ることができる。
【0010】
次に、前記細幅材14を製造しようとする長胴太鼓の曲率に合わせて予め形成した湾曲治具(型枠)に装着してプレス装置によりその長手方向に沿って少しずつ曲げ加工することにより湾曲状の細幅材14として形成する。なお、この湾曲加工を行う際、細幅材14を蒸気などで加湿することにより木材繊維を膨潤させて加工を行えば容易にしかも微妙な湾曲加工を迅速に行うことができ好適である。また多数枚の単板を重貼した芯材10と表面材12とを一体化した細幅材14をさらに湾曲加工するので素材の増強を図ることができるものである。
【0011】
このようにして細幅材14を湾曲加工したらこの細幅材14を適宜のクランプ装置に固定してその長手方向両端部(木端)の処理を行うとともに両側縁部を直径方向に沿って所定の角度に切削する。
例えば、長胴太鼓の端部径を45cm(円周長は約140cm)、細幅材14の幅寸法を5cmに設定した場合、28枚の細幅材14を必要とし、各細幅材14の両側縁部の切削角度は計算上夫々6.25度となり、細幅材14の断面形状は上底と下底の寸法差が少ない台形形状として形成されることになる。
また、前記のように所定角度に切削した各細幅材14の両側縁部には臍溝16を夫々穿設するとともに、一方の縁部側の臍溝16にはキー部材としての臍材18をあらかじめ嵌合して接着剤により固着しておく(図3a参照)。
【0012】
次いで、所定の細幅材14の臍材18を別の細幅材14の臍溝16に嵌着し、この細幅材14の臍材18をさらに別の細幅材14の臍溝16に嵌着……というように各細幅材14を相互に連結することにより、円周の数分の1程度に設定した胴部形成部材20として形成する(図3b参照)。そしてこの胴部形成部材20を数枚纏めて相互に連結することにより胴部形成半割り部材22として形成する(図1参照)。
【0013】
そして、図2に示すように、この胴部形成半割り部材22を2つ用意して前述と同様に臍溝16、臍材18からなる連結手段によって連結するとともに締め付けバンドなどの適宜の締具(図示せず)を使用して、全体として中央部が膨出した多角筒形の樽型胴部24を形成する。
なお、本実施の形態においては、製造の効率化を図り量産化に対応し得るように、細幅材14を相互に連結した胴部形成部材20を使用して胴部形成半割り部材22を予め作り、次いで2つの胴部形成半割り部材22を組み合わせて樽型胴部24を形成したが、所定の幅寸法に設定した胴部形成材20を臍溝16と臍材18からなる連結手段で順次連結して所望の樽型胴部24を形成しても良いことは言うまでもない。
【0014】
次に、多角筒形に形成した樽型胴部24の両端開口部26に蓋材28を適宜の治具で夫々装着し、これらの蓋材28の中心軸(長手方向中心軸)Cを保持して前記樽型胴部24を回転させながら切削装置の幅広切削刃Aを使用して表面材12の角部を含む外側面を切削することにより所定の曲率でかつ中央部が膨出した樽型胴部30を形成し、さらにこの樽型胴部30の外側面をオイルステンやニスさらには適宜の塗膜処理などで仕上げ加工する。
このようにして仕上げ加工を行った樽型胴部30は、その両端開口部26に装着した蓋材28を取り外したのち、歌口としての該両端開口部26に止具32を使用して黒豚などの皮を張設することにより打面34を形成し、長胴太鼓として完成させる。
【0015】
そしてこのように構成された本発明に係る和太鼓と、従来のくり抜き胴型の和太鼓との品質を比較したところ、本発明に係る和太鼓は従来の和太鼓に比べてもまったく遜色のない音色を得ることができ、また、演奏時に胴打ちなどを行ったり、長期間経過しても音割れは全く生じないことが確認された。
これは、芯材10と表面材12を重貼(接着)したのち湾曲プレス加工によってしっかりと形成した細幅材14を素材とするだけでなく、この細幅材14を臍溝16と臍材18からなる連結手段および接着材で順次かつ相互に連結して緊締することにより樽型胴部24を形成したので、構成材としての細幅材14が一体化して隙間や緩みが生じないばかりでなく耐久性も向上したからである。
【0016】
一方、図4は、樽型胴部24の長手方向内側面に沿って複数の導音部材36を突設した本発明に係る和太鼓の別の実施の形態である。
すなわち、この実施の形態においては、複数の幅狭薄板材を重貼するとともにその断面形状を湾曲状オーバーハング形に設定した棒状部材36aを複数用意し、これらの棒状部材36aを適宜の治具によって前記樽型胴部24内側面の形状に合致するようなハイポサイクロイド(内サイクロイド)状に湾曲加工し、このようにして得られたハイポサイクロイド状の棒状部材36aを前記樽型胴部24の内側周方向沿って所定間隔で、例えば、接着剤による貼着や釘着などの手段を使用して突設配置したものである。
【0017】
このように構成することにより、打面34の叩打によって発生した音は多数の導音部材36(棒状部材36a)およびそのオーバーハング凹部36bに沿って巻き込まれながらしかも全体としてはサイクロイド状に伝播するので、奥行きの深いしかも澄んだ安定した音色となり、演奏の興趣をかき立てることができるものである。そしてこのように構成した和太鼓は、従来のくり抜き胴型和太鼓に比べると、叩打によって発生する音質のバラツキが少なく高品質の和太鼓として構成するこができるだけなく、導音部材36が補強リブとしても作用することになるので耐久性をより向上させることができるものである。
【0018】
【発明の効果】
先に述べたように、本発明に係る和太鼓によれば、従来のくり抜き胴型和太鼓と比べて奥行きが深くしかも澄んだ安定した音色を得ることができ、しかも品質の安定化と製造の容易化さらには貴重な木材資源の有効利用も図ることができる。また、各構成部材間に隙間や緩みが生じないように太鼓本体の軸方向および周方向の両方を所定の曲率の曲線として形成したので美麗でしかも胴打ち演奏を制限されることもなく耐久性に富んだ和太鼓を得ることができるなど種々の優れた効果を奏するものである。
【0019】
以上、本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態として長胴太鼓を例示して説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、例えば、長胴太鼓に比べて奥行きが短く低音の響きがある平太鼓、鉄製のリングに皮を張り、欅や栓などで形成した胴をロープまたはボルトで締め下拍子として使用される締太鼓、さらにはリングに縫った皮をロープで太鼓胴に張った桶胴太鼓など種々の和太鼓に好適に採用することができ、本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の設計変更をなし得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態を示す長胴太鼓の製造の手順を示す説明図であって、細幅材から胴部形成半割り部材を形成するまでの概略説明図である。
【図2】本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態を示す長胴太鼓の製造手順の図1に続く手順の説明図であって、胴部形成半割り部材から長胴太鼓を完成するまでの概略説明図である。
【図3】図1および図2の製造手順における各部材の説明図であって、aは細幅材の拡大中央横断面説明図、bはaに示す細幅材を連結手段で相互に接続した胴部形成部材の拡大中央横断面説明図、cはbに示す胴部形成部材の外側面を切削加工して所定の曲率に形成した状態の拡大中央横断面説明図である。
【図4】本発明に係る和太鼓の別の実施の形態を示す説明図であって、aは導音部材をその内側周方向沿ってハイポサイクロイド状に突設した樽型胴部の開口端部を切断した概略端面説明図、bはaに示す導音部材の概略斜視図、cはaに示す導音部材と細幅材との関係を示す要部拡大説明図である。
【符号の説明】
10…芯材、 12…表面材、
14…細幅材、 16…臍溝、
18…臍材、 20…胴部形成部材、
22…胴部形成半割り部材、 24…樽型胴部、
26…開口部、 28…蓋材、
30…樽型胴部、 32…止具、
34…打面、 36…導音部材、
【発明の属する技術分野】
この発明は、和太鼓に関するものであり、一層詳細には、樽胴型の和太鼓に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
従来より、和太鼓は篠笛などと共に演奏される伝統的な音楽や神社の神楽などを舞う場合における打楽器として使用されており、また、最近では組太鼓や西洋音楽と融合する新しい演奏方法が編み出されたり、さらには義務教育の場でも和楽器の利用が広まっているため和太鼓の需要が増加してきている。
【0003】
ところで、この種の和太鼓は、一般に大径の欅材やブビンガなどをくり抜いて形成した筒形胴部を数年から10年以上に亘って自然乾燥させた後、両側開口部(歌口)に皮材を張設して打面を形成することにより製造されているが、自然乾燥の工程で生じる皹や割れなどのために製品化できるのは6割程度に過ぎず、貴重な木材資源が無駄になっている。また、わが国においてはこのような大径木が資源枯渇によって入手困難となってきているため外国産の輸入材に頼るほかはなく、さらにこの輸入材も価格が高騰してきていることから大型に限らず通常の和太鼓であってもコストの面からしだい製造が困難になってきているのが現状である。
【0004】
このような事情から、従来のごとく大径木(一本木)をくり抜いて形成する筒形胴部に代替して、ムクあるいはベニヤなどの集成材で形成した板材を組合わせて太鼓本体を形成するとともにこの本体の外側面に化粧材を接着することにより製造の容易化とコストの低減を図った和太鼓が提案され需要者の便宜に供されている。
しかるに、この種の樽胴型和太鼓は、従来からのくり抜き胴タイプの和太鼓に比べると、時間の経過にともなって組合わせた板材間に緩みや隙間ができて音割れが生じることがあったり、耐久性や強度の点で演奏時に胴打ちができないなど種々の解決すべき課題が指摘されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明では、所定の幅寸法に設定した薄板材を重貼した芯材に表面材を重貼することにより細幅材を形成し、この細幅材を長手方向に沿って所定の曲率で湾曲加工し、前記湾曲加工した細幅材の長手方向両側縁に沿って設けた臍溝とこれに嵌合する臍材とからなる連結手段を介して多数の細幅材を相互に連結することにより胴部形成部材を形成し、ついでこの胴部形成部材を前記と同様の連結手段を介して周方向に連結して多角筒形の樽型胴部を形成し、さらに前記多角筒形の樽型胴部の外側面を仕上げ加工したのち、両端開口部(歌口)に皮を張設して打面を形成することにより、音割れが生じにくく演奏時の胴打ちも問題なく行うことができるようにしたものである。
【0006】
この場合、多角筒形の樽型胴部は、その長手方向の軸を中心として回転させながら外側面としての表面材を切削して断面円形に形成するとともに塗装を施すことにより仕上げ加工を行うのが好適である。
【0007】
また、樽型胴部外側面の仕上げ加工の際に、該樽型胴部の長手方向内側面に沿って複数の導音部材を、好ましくは、ハイポサイクロイド(内サイクロイド)状に突設することにより音質の向上を図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態として、長胴太鼓(宮太鼓)を例示して添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
添付図面において、本発明に係る和太鼓としての長胴太鼓は、まず、所定の幅寸法に設定した、例えば、2mm厚の檜単板を12枚重ねて貼着(プライ)することにより芯材10を形成し、この芯材10の上面に、例えば、7mm厚のホワイトアッシュ単板からなる表面材12を加圧接着することにより形成した細幅材14を所定枚数製作する。
【0009】
なお、この場合、檜単板相互および表面材12を接着(重貼)する手段としては、例えば、木材用マルチボンド(商品名:KRボンド134、販売元;光洋産業株式会社)を好適に使用することができるが、合板などの接着に使用されているメラミン尿素共縮合成樹脂接着剤なども適宜使用することができる。
また、檜材やホワイトアッシュ材を薄く剥いて単板を形成する手段としては、特厚突きスライサーを使用すれば所望の厚みの単板を容易にかつ大量に製造できるだけでなく、切削屑などの発生も阻止できるので資源の有効利用を図ることができる。
【0010】
次に、前記細幅材14を製造しようとする長胴太鼓の曲率に合わせて予め形成した湾曲治具(型枠)に装着してプレス装置によりその長手方向に沿って少しずつ曲げ加工することにより湾曲状の細幅材14として形成する。なお、この湾曲加工を行う際、細幅材14を蒸気などで加湿することにより木材繊維を膨潤させて加工を行えば容易にしかも微妙な湾曲加工を迅速に行うことができ好適である。また多数枚の単板を重貼した芯材10と表面材12とを一体化した細幅材14をさらに湾曲加工するので素材の増強を図ることができるものである。
【0011】
このようにして細幅材14を湾曲加工したらこの細幅材14を適宜のクランプ装置に固定してその長手方向両端部(木端)の処理を行うとともに両側縁部を直径方向に沿って所定の角度に切削する。
例えば、長胴太鼓の端部径を45cm(円周長は約140cm)、細幅材14の幅寸法を5cmに設定した場合、28枚の細幅材14を必要とし、各細幅材14の両側縁部の切削角度は計算上夫々6.25度となり、細幅材14の断面形状は上底と下底の寸法差が少ない台形形状として形成されることになる。
また、前記のように所定角度に切削した各細幅材14の両側縁部には臍溝16を夫々穿設するとともに、一方の縁部側の臍溝16にはキー部材としての臍材18をあらかじめ嵌合して接着剤により固着しておく(図3a参照)。
【0012】
次いで、所定の細幅材14の臍材18を別の細幅材14の臍溝16に嵌着し、この細幅材14の臍材18をさらに別の細幅材14の臍溝16に嵌着……というように各細幅材14を相互に連結することにより、円周の数分の1程度に設定した胴部形成部材20として形成する(図3b参照)。そしてこの胴部形成部材20を数枚纏めて相互に連結することにより胴部形成半割り部材22として形成する(図1参照)。
【0013】
そして、図2に示すように、この胴部形成半割り部材22を2つ用意して前述と同様に臍溝16、臍材18からなる連結手段によって連結するとともに締め付けバンドなどの適宜の締具(図示せず)を使用して、全体として中央部が膨出した多角筒形の樽型胴部24を形成する。
なお、本実施の形態においては、製造の効率化を図り量産化に対応し得るように、細幅材14を相互に連結した胴部形成部材20を使用して胴部形成半割り部材22を予め作り、次いで2つの胴部形成半割り部材22を組み合わせて樽型胴部24を形成したが、所定の幅寸法に設定した胴部形成材20を臍溝16と臍材18からなる連結手段で順次連結して所望の樽型胴部24を形成しても良いことは言うまでもない。
【0014】
次に、多角筒形に形成した樽型胴部24の両端開口部26に蓋材28を適宜の治具で夫々装着し、これらの蓋材28の中心軸(長手方向中心軸)Cを保持して前記樽型胴部24を回転させながら切削装置の幅広切削刃Aを使用して表面材12の角部を含む外側面を切削することにより所定の曲率でかつ中央部が膨出した樽型胴部30を形成し、さらにこの樽型胴部30の外側面をオイルステンやニスさらには適宜の塗膜処理などで仕上げ加工する。
このようにして仕上げ加工を行った樽型胴部30は、その両端開口部26に装着した蓋材28を取り外したのち、歌口としての該両端開口部26に止具32を使用して黒豚などの皮を張設することにより打面34を形成し、長胴太鼓として完成させる。
【0015】
そしてこのように構成された本発明に係る和太鼓と、従来のくり抜き胴型の和太鼓との品質を比較したところ、本発明に係る和太鼓は従来の和太鼓に比べてもまったく遜色のない音色を得ることができ、また、演奏時に胴打ちなどを行ったり、長期間経過しても音割れは全く生じないことが確認された。
これは、芯材10と表面材12を重貼(接着)したのち湾曲プレス加工によってしっかりと形成した細幅材14を素材とするだけでなく、この細幅材14を臍溝16と臍材18からなる連結手段および接着材で順次かつ相互に連結して緊締することにより樽型胴部24を形成したので、構成材としての細幅材14が一体化して隙間や緩みが生じないばかりでなく耐久性も向上したからである。
【0016】
一方、図4は、樽型胴部24の長手方向内側面に沿って複数の導音部材36を突設した本発明に係る和太鼓の別の実施の形態である。
すなわち、この実施の形態においては、複数の幅狭薄板材を重貼するとともにその断面形状を湾曲状オーバーハング形に設定した棒状部材36aを複数用意し、これらの棒状部材36aを適宜の治具によって前記樽型胴部24内側面の形状に合致するようなハイポサイクロイド(内サイクロイド)状に湾曲加工し、このようにして得られたハイポサイクロイド状の棒状部材36aを前記樽型胴部24の内側周方向沿って所定間隔で、例えば、接着剤による貼着や釘着などの手段を使用して突設配置したものである。
【0017】
このように構成することにより、打面34の叩打によって発生した音は多数の導音部材36(棒状部材36a)およびそのオーバーハング凹部36bに沿って巻き込まれながらしかも全体としてはサイクロイド状に伝播するので、奥行きの深いしかも澄んだ安定した音色となり、演奏の興趣をかき立てることができるものである。そしてこのように構成した和太鼓は、従来のくり抜き胴型和太鼓に比べると、叩打によって発生する音質のバラツキが少なく高品質の和太鼓として構成するこができるだけなく、導音部材36が補強リブとしても作用することになるので耐久性をより向上させることができるものである。
【0018】
【発明の効果】
先に述べたように、本発明に係る和太鼓によれば、従来のくり抜き胴型和太鼓と比べて奥行きが深くしかも澄んだ安定した音色を得ることができ、しかも品質の安定化と製造の容易化さらには貴重な木材資源の有効利用も図ることができる。また、各構成部材間に隙間や緩みが生じないように太鼓本体の軸方向および周方向の両方を所定の曲率の曲線として形成したので美麗でしかも胴打ち演奏を制限されることもなく耐久性に富んだ和太鼓を得ることができるなど種々の優れた効果を奏するものである。
【0019】
以上、本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態として長胴太鼓を例示して説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されるものではなく、例えば、長胴太鼓に比べて奥行きが短く低音の響きがある平太鼓、鉄製のリングに皮を張り、欅や栓などで形成した胴をロープまたはボルトで締め下拍子として使用される締太鼓、さらにはリングに縫った皮をロープで太鼓胴に張った桶胴太鼓など種々の和太鼓に好適に採用することができ、本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の設計変更をなし得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態を示す長胴太鼓の製造の手順を示す説明図であって、細幅材から胴部形成半割り部材を形成するまでの概略説明図である。
【図2】本発明に係る和太鼓の好適な実施の形態を示す長胴太鼓の製造手順の図1に続く手順の説明図であって、胴部形成半割り部材から長胴太鼓を完成するまでの概略説明図である。
【図3】図1および図2の製造手順における各部材の説明図であって、aは細幅材の拡大中央横断面説明図、bはaに示す細幅材を連結手段で相互に接続した胴部形成部材の拡大中央横断面説明図、cはbに示す胴部形成部材の外側面を切削加工して所定の曲率に形成した状態の拡大中央横断面説明図である。
【図4】本発明に係る和太鼓の別の実施の形態を示す説明図であって、aは導音部材をその内側周方向沿ってハイポサイクロイド状に突設した樽型胴部の開口端部を切断した概略端面説明図、bはaに示す導音部材の概略斜視図、cはaに示す導音部材と細幅材との関係を示す要部拡大説明図である。
【符号の説明】
10…芯材、 12…表面材、
14…細幅材、 16…臍溝、
18…臍材、 20…胴部形成部材、
22…胴部形成半割り部材、 24…樽型胴部、
26…開口部、 28…蓋材、
30…樽型胴部、 32…止具、
34…打面、 36…導音部材、
Claims (4)
- 所定の幅寸法に設定した薄板材を重貼した芯材に表面材を重貼することにより細幅材を形成し、この細幅材を長手方向に沿って所定の曲率で湾曲加工し、前記湾曲加工した細幅材の長手方向両側縁に沿って設けた臍溝とこれに嵌合する臍材とからなる連結手段を介して複数の細幅材を相互に連結することにより胴部形成部材を形成し、ついでこの胴部形成部材を前記と同様の連結手段を介して周方向に連結して多角筒形の樽型胴部を形成し、さらに前記多角筒形の樽型胴部の外側面を仕上げ加工したのち、その開口部に皮を張設して打面を形成することを特徴とする和太鼓。
- 多角筒形の樽型胴部は、その長手方向の軸を中心として回転させながら外側面としての表面材を切削して断面円形に形成するとともに塗装を施すことにより仕上げることからなる請求項1に記載の和太鼓。
- 樽型胴部の長手方向内側面に沿って導音部材を突設することからなる請求項1または2に記載の和太鼓。
- 導音部材は、樽型胴部の長手方向内側面に沿ってハイポサイクロイド状に突設することからなる請求項3に記載の和太鼓。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002290463A JP2004086117A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 和太鼓 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002290463A JP2004086117A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 和太鼓 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004086117A true JP2004086117A (ja) | 2004-03-18 |
Family
ID=32063773
Family Applications (1)
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JP2002290463A Pending JP2004086117A (ja) | 2002-08-28 | 2002-08-28 | 和太鼓 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004086117A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101701643B1 (ko) * | 2015-10-21 | 2017-02-13 | 백윤근 | 타악기 표면 마감장치 |
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2002
- 2002-08-28 JP JP2002290463A patent/JP2004086117A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101701643B1 (ko) * | 2015-10-21 | 2017-02-13 | 백윤근 | 타악기 표면 마감장치 |
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